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「1兆円クラブ」の椅子は? 百貨店業界サバイバル(COLUMN)
「百貨店の店舗の数はまだ多すぎる」。大丸と松坂屋を傘下に持つJ・フロントリテイリングの奥田務社長は、新たな再編を予言してはばからない。百貨店業界では2008年に三越・伊勢丹連合と高島屋・阪急、阪神百貨店連合が誕生し、“売上高1兆円クラブ”のメンバーによる4グループ時代を迎えたばかり。だが、構造的な業態衰退に加え、深刻な消費不況で消費者の百貨店離れが、一気に加速しており、何があってもおかしくない。
百貨店業界にとって、08年は業態衰退を象徴する歴史的な年となる。
かつては“小売りの雄”として君臨した百貨店だが、08年の全国売上高で、新興勢力のコンビニエンスストアに抜かれることが確実になっているのだ。
「これまで経験したことがない未曾有(みぞう)の事態だ」。高島屋幹部は悲鳴を上げる。
米国発の金融危機が勃発(ぼっぱつ)した昨年10月以降、「不要不急」の支出を切り詰める節約消費が、“晴れの日”の衣料品や高級ブランド品を主力とする百貨店を直撃した。
もっとも、百貨店の衰退は今に始まったことではない。
品ぞろえや売り場づくりで、消費やライフスタイルの猛烈な変化に対応できず、消費者にそっぽを向かれた。専門店を集積した大規模ショッピングセンター(SC)やネット通販など業態の垣根を越えたサバイバルでも劣勢を強いられ、顧客が流出している。
全国百貨店売上高は、この15年で約2兆円も目減りした。
「百貨店は小売業で一番古い業態。一番新しい業態のコンビニでも改革しないと変化に対応できない。百貨店も改革が必要」
コンビニ最大手のセブン-イレブンを擁するセブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長に、同情まで受ける始末だ。
衰退への危機感が、各社を再編へと駆り立てた。
07年9月に大丸と松坂屋の統合でJ・フロントが発足。間髪おかずに、伊勢丹と三越も統合で合意し、08年4月に三越伊勢丹ホールディングス(HD)が誕生した。“孤高”をかこっていた高島屋は、金融危機の最中の10月に、阪急、阪神百貨店を傘下に持つH2Oリテイリングと3年以内の統合で合意した。
この結果、大手百貨店は、そごう、西武百貨店を傘下に持ち、セブン&アイグループ入りしたミレニアムリテイリグを含め、売上高1兆円規模の4グループに集約される。
売り上げ規模は、1位三越伊勢丹、2位高島屋・H2O、3位J・フロント、4位ミレニアム。生き残りの条件である“1兆円クラブ”のメンバーの椅子(いす)は、4グループで埋まったといわれてきた。
だが、金融危機による消費不況で、メンバーの不安が高まり、にわかに浮足立ってきた。
「4グループで安泰、1兆円あれば、安全とは思わない」
高島屋の鈴木弘治社長は、生き残りの椅子が4つから減ってしまう可能性を否定しない。
H2Oの椙岡俊一会長も、高島屋との統合合意会見で、「マーケットが成熟すると、シュリンク(縮小)し、寡占と倒産が起こる。百貨店は今その真っただ中にある」と危機感をあらわにした。
「次の台風の目になるのはJ・フロントだ」
ある大手百貨店の幹部はこう断言する。
同社の奥田社長は、一連の再編の仕掛け人であり、強烈なリーダーシップが持ち味だ。
業界では「大阪(大丸の地盤)の暴れん坊が業界トップに立つと何をし出すかわからないという恐怖感が、三越と伊勢丹の背中を押した」(関係者)と、真顔で語られるほどだ。
07年9月の発足時には業界首位に躍り出たが、三越伊勢丹HDの誕生で、“半年天下”に終わる。さらに高島屋・H2O連合の統合が完了すれば、業界3位に甘んじることになる。
H2Oの阪急百貨店は、メンズ館などで発揮した抜群の商品力に加え、阪急電鉄沿線の富裕層を囲い込み、“関西の勝ち組”と呼ばれる。高島屋も大阪、名古屋に大型店を構える。
両社のタッグは、関西の老舗である大丸と中部をおひざ元とする松坂屋にとって大きな脅威だ。
さらなる再編のターゲットとして、J・フロントが狙っているとのうわさが絶えないのが、ミレニアムだ。
業界関係者は「J・フロントが、親会社のセブン&アイに接触したが、断られた」と、まことしやかに明かす。奥田社長も、他社との提携について、「ケース・バイ・ケース」と、完全には否定していない。
J・フロントでは、松坂屋が、最大のお得意さまであるトヨタ自動車が09年3月期に1500億円の営業赤字に転落するという“トヨタショック”に見舞われ、販売が急速に落ち込んでいる。
一方のミレニアムも迷走している。昨年9月に佐野和義前社長がセブン&アイと経営方針をめぐって対立し、経営陣が一斉に辞任する“お家騒動”が勃発(ぼつぱつ)した。
経営陣を入れ替えたセブン&アイは「より日常性を強化していくべきだ」(村田社長)と、コンビニ感覚で百貨店の改革を目指すが、成否は未知数だ。
難局打開のための再編は世のつね。J・フロントとミレニアムが急接近する可能性は否定できない。
大手同士の再編は、「可能性のレベル」に過ぎないが、避けて通れないのが、電鉄系や地方などの中下位百貨店の再編・淘(とう)汰(た)だ。
1兆円クラブメンバーの三越や高島屋、大丸は、共同仕入れなどで、それぞれ地方百貨店とネットワークを構築。伊勢丹も、商品開発などのノウハウ提供で東急百貨店、東武百貨店など電鉄系と提携している。
大丸の奥田社長、高島屋の鈴木社長は、地方、電鉄系のグループへの合流を歓迎する意向を表明し、ラブコールを送る。
「銀座一番店」を擁する松屋のほか、“異端児”と呼ばれる丸井など独立志向の強い百貨店も、生き残りは厳しさを増す。
「パイが縮小する中、リスクをとらないで稼ぐというのは厚かましい。規模という体力がある方が、リスクをとりやすい」
H2Oの椙岡会長は、再編による規模のメリットを強調する。
消費者の低価格志向が強まる中、規模を背景にした大量仕入れによる「バイイングパワー(購買力)」は不可欠だ。各社が力を入れている低価格帯のプライベートブランド(PB)商品の開発でも、規模は低コスト化の武器となる。
さらに、大不況下で“独り勝ち”を続けるユニクロのように、自ら商品企画、生産、販売に携わるSPA(製造小売り)の手法を取り入れるなど、生き残りへの抜本改革も体力がなければできない。
縮小する国内市場から海外市場に活路を見いだす戦略にも体力がいる。
百貨店業界にとって、再編はもはや不可避だ。
【東京新聞社説】
年のはじめに考える 歴史的選挙に備えたい
2009年1月4日
総選挙の年を迎えました。有権者の一票で、政権交代だって起こり得ます。目を覆いたくなる迷走が続く政治。その末にやってくる歴史的局面です。
未曾有の「雇用切り」が社会問題化しています。会社経営経験のある麻生太郎首相はもしかしたら“率先垂範”したのでしょうか。衆院解散は四百八十人の議員を解雇するようなものだと慎重姿勢を示し、伝家の宝刀をついに昨年抜きませんでした。
しかし、今年は解散があろうがなかろうが、秋までに全員がクビになります。九月に議員の任期満了を迎えるためで、職場復帰には総選挙に勝つしかありません。
◆国会は大波乱必至
総選挙の前哨戦となる五日召集の通常国会は、自民党幹部いわく「民主党との何でもありの戦い」の始まりです。与党の至上命令は第二次補正予算と二〇〇九年度予算の早期成立であり、関連法案は衆院再可決で中央突破する方針。「解散の『か』の字も考えずにひたすら予算成立へ努力するのが首相の考えだ」-。普段は地味系の河村建夫官房長官も強気です。
厄介なのは後ろから鉄砲玉が飛びかねないこと。例えば二次補正には評判の悪い定額給付金が盛り込まれ、自民党若手に不満がくすぶります。十七人の造反で再可決に必要な「三分の二」を割り込みます。
昨年の衆院解散要求決議案で麻生批判の急先鋒(せんぽう)である渡辺喜美氏が造反しました。「第二、第三の渡辺」が現れて予算関連法案の成立が阻まれれば政権は失速。取りざたされる〇九年度予算成立後の解散はおろか総辞職の可能性もあります。20%前後の内閣支持率の下落が続けば、多数の鉄砲玉が飛びそうです。
ここは考え時。民主党が要求する通り、給付金部分を分離して二次補正を提出してみてはどうですか。頼みの綱の「三分の二」以上の勢力も、〇五年の郵政選挙がもたらした「遺産」であることを忘れてもらっては困ります。
◆液状化と曲がり角
渡辺氏の動きばかりではありません。小泉改革路線の堅持を主張する自民党の中川秀直元幹事長は政策勉強会を立ち上げ、加藤紘一、山崎拓両元幹事長らも民主との接近がうわさされています。
総選挙を前にした液状化現象。自民ならぬ「自分党」といった趣でしょうか。総選挙は「ポスト麻生」で、との話すら出ています。
全国各地に広がるのは「一度民主にやらせた方がいい」との声。そんな中で、体力が弱まる後援会組織や各種支持団体を固める従来型戦術では、苦戦は避けられそうもありません。
昨年末には自民党の選挙責任者である古賀誠氏が「公明切り」に言及したとされる騒動も。創価学会を支持母体とする公明党との間に吹くすきま風は身に染みそうです。公明にしても支持者の麻生離れをどうするのか。連立十年目。曲がり角の時かもしれません。
民主はどうでしょう。一昨年の参院選圧勝後、大連立話のゴタゴタはあったにせよ政権に手が届くところまで来たのは確かです。共産党が三百小選挙区のうち百五十程度に候補擁立を絞ったことも民主に有利に働くとみられます。
しかし、民主政権待望論には相変わらず「自民ではダメだから」とのただし書きがつく点を重く受け止めるべきです。民主党支持率は必ずしも伸びていません。
政権交代後、四年で実現する政策の工程表を盛り込んだマニフェストも、財政の裏付けがないとの批判にさらされています。焦点の雇用問題でも、アピール度は共産党に押され気味。
このまま行けば勝てるからと「守り」に入れば、追い風も弱まるでしょう。
選挙後の政権枠組みで見逃せないのは社民、国民新の消長。与党と民主ともに過半数に達しない場合、平沼赳夫氏らの無所属グループの「数」がキャスチングボートを握る可能性もあります。選挙後に自民、民主を巻き込んだ再編という、それこそ政界液状化という事態もないとはいえません。
◆皆で政治を正そう
百年に一度の金融危機に、昨年の日本政治は漂流を続けました。国民の信任を受けた正統な政権でないと国難のかじ取りはできないのに、それが封じられたからです。震源地の米国で変革を唱えたオバマ次期大統領が選出される光景はうらやましくもありました。
政権担当者が立ちすくむなら、私たちがこの国の針路を決める番です。政党政治には歴史的舞台にふさわしいマニフェストづくりが求められます。
そして私たち自身も考えてみる時です。苦境をはね返し未来への希望を見いだす方策を。その視点から各党公約をチェックする。そんな積み重ねを、政治を正す道につなげる一年にしたいものです。
「百貨店の店舗の数はまだ多すぎる」。大丸と松坂屋を傘下に持つJ・フロントリテイリングの奥田務社長は、新たな再編を予言してはばからない。百貨店業界では2008年に三越・伊勢丹連合と高島屋・阪急、阪神百貨店連合が誕生し、“売上高1兆円クラブ”のメンバーによる4グループ時代を迎えたばかり。だが、構造的な業態衰退に加え、深刻な消費不況で消費者の百貨店離れが、一気に加速しており、何があってもおかしくない。
百貨店業界にとって、08年は業態衰退を象徴する歴史的な年となる。
かつては“小売りの雄”として君臨した百貨店だが、08年の全国売上高で、新興勢力のコンビニエンスストアに抜かれることが確実になっているのだ。
「これまで経験したことがない未曾有(みぞう)の事態だ」。高島屋幹部は悲鳴を上げる。
米国発の金融危機が勃発(ぼっぱつ)した昨年10月以降、「不要不急」の支出を切り詰める節約消費が、“晴れの日”の衣料品や高級ブランド品を主力とする百貨店を直撃した。
もっとも、百貨店の衰退は今に始まったことではない。
品ぞろえや売り場づくりで、消費やライフスタイルの猛烈な変化に対応できず、消費者にそっぽを向かれた。専門店を集積した大規模ショッピングセンター(SC)やネット通販など業態の垣根を越えたサバイバルでも劣勢を強いられ、顧客が流出している。
全国百貨店売上高は、この15年で約2兆円も目減りした。
「百貨店は小売業で一番古い業態。一番新しい業態のコンビニでも改革しないと変化に対応できない。百貨店も改革が必要」
コンビニ最大手のセブン-イレブンを擁するセブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長に、同情まで受ける始末だ。
衰退への危機感が、各社を再編へと駆り立てた。
07年9月に大丸と松坂屋の統合でJ・フロントが発足。間髪おかずに、伊勢丹と三越も統合で合意し、08年4月に三越伊勢丹ホールディングス(HD)が誕生した。“孤高”をかこっていた高島屋は、金融危機の最中の10月に、阪急、阪神百貨店を傘下に持つH2Oリテイリングと3年以内の統合で合意した。
この結果、大手百貨店は、そごう、西武百貨店を傘下に持ち、セブン&アイグループ入りしたミレニアムリテイリグを含め、売上高1兆円規模の4グループに集約される。
売り上げ規模は、1位三越伊勢丹、2位高島屋・H2O、3位J・フロント、4位ミレニアム。生き残りの条件である“1兆円クラブ”のメンバーの椅子(いす)は、4グループで埋まったといわれてきた。
だが、金融危機による消費不況で、メンバーの不安が高まり、にわかに浮足立ってきた。
「4グループで安泰、1兆円あれば、安全とは思わない」
高島屋の鈴木弘治社長は、生き残りの椅子が4つから減ってしまう可能性を否定しない。
H2Oの椙岡俊一会長も、高島屋との統合合意会見で、「マーケットが成熟すると、シュリンク(縮小)し、寡占と倒産が起こる。百貨店は今その真っただ中にある」と危機感をあらわにした。
「次の台風の目になるのはJ・フロントだ」
ある大手百貨店の幹部はこう断言する。
同社の奥田社長は、一連の再編の仕掛け人であり、強烈なリーダーシップが持ち味だ。
業界では「大阪(大丸の地盤)の暴れん坊が業界トップに立つと何をし出すかわからないという恐怖感が、三越と伊勢丹の背中を押した」(関係者)と、真顔で語られるほどだ。
07年9月の発足時には業界首位に躍り出たが、三越伊勢丹HDの誕生で、“半年天下”に終わる。さらに高島屋・H2O連合の統合が完了すれば、業界3位に甘んじることになる。
H2Oの阪急百貨店は、メンズ館などで発揮した抜群の商品力に加え、阪急電鉄沿線の富裕層を囲い込み、“関西の勝ち組”と呼ばれる。高島屋も大阪、名古屋に大型店を構える。
両社のタッグは、関西の老舗である大丸と中部をおひざ元とする松坂屋にとって大きな脅威だ。
さらなる再編のターゲットとして、J・フロントが狙っているとのうわさが絶えないのが、ミレニアムだ。
業界関係者は「J・フロントが、親会社のセブン&アイに接触したが、断られた」と、まことしやかに明かす。奥田社長も、他社との提携について、「ケース・バイ・ケース」と、完全には否定していない。
J・フロントでは、松坂屋が、最大のお得意さまであるトヨタ自動車が09年3月期に1500億円の営業赤字に転落するという“トヨタショック”に見舞われ、販売が急速に落ち込んでいる。
一方のミレニアムも迷走している。昨年9月に佐野和義前社長がセブン&アイと経営方針をめぐって対立し、経営陣が一斉に辞任する“お家騒動”が勃発(ぼつぱつ)した。
経営陣を入れ替えたセブン&アイは「より日常性を強化していくべきだ」(村田社長)と、コンビニ感覚で百貨店の改革を目指すが、成否は未知数だ。
難局打開のための再編は世のつね。J・フロントとミレニアムが急接近する可能性は否定できない。
大手同士の再編は、「可能性のレベル」に過ぎないが、避けて通れないのが、電鉄系や地方などの中下位百貨店の再編・淘(とう)汰(た)だ。
1兆円クラブメンバーの三越や高島屋、大丸は、共同仕入れなどで、それぞれ地方百貨店とネットワークを構築。伊勢丹も、商品開発などのノウハウ提供で東急百貨店、東武百貨店など電鉄系と提携している。
大丸の奥田社長、高島屋の鈴木社長は、地方、電鉄系のグループへの合流を歓迎する意向を表明し、ラブコールを送る。
「銀座一番店」を擁する松屋のほか、“異端児”と呼ばれる丸井など独立志向の強い百貨店も、生き残りは厳しさを増す。
「パイが縮小する中、リスクをとらないで稼ぐというのは厚かましい。規模という体力がある方が、リスクをとりやすい」
H2Oの椙岡会長は、再編による規模のメリットを強調する。
消費者の低価格志向が強まる中、規模を背景にした大量仕入れによる「バイイングパワー(購買力)」は不可欠だ。各社が力を入れている低価格帯のプライベートブランド(PB)商品の開発でも、規模は低コスト化の武器となる。
さらに、大不況下で“独り勝ち”を続けるユニクロのように、自ら商品企画、生産、販売に携わるSPA(製造小売り)の手法を取り入れるなど、生き残りへの抜本改革も体力がなければできない。
縮小する国内市場から海外市場に活路を見いだす戦略にも体力がいる。
百貨店業界にとって、再編はもはや不可避だ。
【東京新聞社説】
年のはじめに考える 歴史的選挙に備えたい
2009年1月4日
総選挙の年を迎えました。有権者の一票で、政権交代だって起こり得ます。目を覆いたくなる迷走が続く政治。その末にやってくる歴史的局面です。
未曾有の「雇用切り」が社会問題化しています。会社経営経験のある麻生太郎首相はもしかしたら“率先垂範”したのでしょうか。衆院解散は四百八十人の議員を解雇するようなものだと慎重姿勢を示し、伝家の宝刀をついに昨年抜きませんでした。
しかし、今年は解散があろうがなかろうが、秋までに全員がクビになります。九月に議員の任期満了を迎えるためで、職場復帰には総選挙に勝つしかありません。
◆国会は大波乱必至
総選挙の前哨戦となる五日召集の通常国会は、自民党幹部いわく「民主党との何でもありの戦い」の始まりです。与党の至上命令は第二次補正予算と二〇〇九年度予算の早期成立であり、関連法案は衆院再可決で中央突破する方針。「解散の『か』の字も考えずにひたすら予算成立へ努力するのが首相の考えだ」-。普段は地味系の河村建夫官房長官も強気です。
厄介なのは後ろから鉄砲玉が飛びかねないこと。例えば二次補正には評判の悪い定額給付金が盛り込まれ、自民党若手に不満がくすぶります。十七人の造反で再可決に必要な「三分の二」を割り込みます。
昨年の衆院解散要求決議案で麻生批判の急先鋒(せんぽう)である渡辺喜美氏が造反しました。「第二、第三の渡辺」が現れて予算関連法案の成立が阻まれれば政権は失速。取りざたされる〇九年度予算成立後の解散はおろか総辞職の可能性もあります。20%前後の内閣支持率の下落が続けば、多数の鉄砲玉が飛びそうです。
ここは考え時。民主党が要求する通り、給付金部分を分離して二次補正を提出してみてはどうですか。頼みの綱の「三分の二」以上の勢力も、〇五年の郵政選挙がもたらした「遺産」であることを忘れてもらっては困ります。
◆液状化と曲がり角
渡辺氏の動きばかりではありません。小泉改革路線の堅持を主張する自民党の中川秀直元幹事長は政策勉強会を立ち上げ、加藤紘一、山崎拓両元幹事長らも民主との接近がうわさされています。
総選挙を前にした液状化現象。自民ならぬ「自分党」といった趣でしょうか。総選挙は「ポスト麻生」で、との話すら出ています。
全国各地に広がるのは「一度民主にやらせた方がいい」との声。そんな中で、体力が弱まる後援会組織や各種支持団体を固める従来型戦術では、苦戦は避けられそうもありません。
昨年末には自民党の選挙責任者である古賀誠氏が「公明切り」に言及したとされる騒動も。創価学会を支持母体とする公明党との間に吹くすきま風は身に染みそうです。公明にしても支持者の麻生離れをどうするのか。連立十年目。曲がり角の時かもしれません。
民主はどうでしょう。一昨年の参院選圧勝後、大連立話のゴタゴタはあったにせよ政権に手が届くところまで来たのは確かです。共産党が三百小選挙区のうち百五十程度に候補擁立を絞ったことも民主に有利に働くとみられます。
しかし、民主政権待望論には相変わらず「自民ではダメだから」とのただし書きがつく点を重く受け止めるべきです。民主党支持率は必ずしも伸びていません。
政権交代後、四年で実現する政策の工程表を盛り込んだマニフェストも、財政の裏付けがないとの批判にさらされています。焦点の雇用問題でも、アピール度は共産党に押され気味。
このまま行けば勝てるからと「守り」に入れば、追い風も弱まるでしょう。
選挙後の政権枠組みで見逃せないのは社民、国民新の消長。与党と民主ともに過半数に達しない場合、平沼赳夫氏らの無所属グループの「数」がキャスチングボートを握る可能性もあります。選挙後に自民、民主を巻き込んだ再編という、それこそ政界液状化という事態もないとはいえません。
◆皆で政治を正そう
百年に一度の金融危機に、昨年の日本政治は漂流を続けました。国民の信任を受けた正統な政権でないと国難のかじ取りはできないのに、それが封じられたからです。震源地の米国で変革を唱えたオバマ次期大統領が選出される光景はうらやましくもありました。
政権担当者が立ちすくむなら、私たちがこの国の針路を決める番です。政党政治には歴史的舞台にふさわしいマニフェストづくりが求められます。
そして私たち自身も考えてみる時です。苦境をはね返し未来への希望を見いだす方策を。その視点から各党公約をチェックする。そんな積み重ねを、政治を正す道につなげる一年にしたいものです。
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