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英米のICT戦略に学び、日本も戦略産業強化へ政策転換を(COLUMN1)
未曾有の経済危機に直面するなかで、英国と米国で経済対策・雇用創出策の一環としてのICT戦略が動き出した。日本はブロードバンドインフラ整備で世界に先んじたが、その後のICT利活用では足踏み状態にあり、このままでは危機をバネにした英米に追い越されかねない。日本も正しい方向でICT戦略を強化すべきではないだろうか。
■長期視点の「デジタル・ブリテン」
日本ではほとんど報じられていないが、英国政府のICT戦略である「デジタル・ブリテン」の中間報告が1月29日に発表された。まだ中間報告なので具体性に乏しいが、以下の5つの目標が明示されている。
・最先端のデジタルネットワークを構築して、デジタル時代における英国の競争力を維持する
・デジタルコンテンツやアプリケーション、サービスへの投資を喚起する
・英国ユーザーのための英国コンテンツを充実する
・ユニバーサル接続とデジタルリテラシーを向上し、誰でもデジタル経済・社会に参加できるようにする
・電子政府(公共サービスの提供、ビジネスとの関連)を強化する
この目標を達成するために、22ものアクションが打ち出されているが、それらも読むと3つの注目すべき点が浮かび上がる。
第一に、経済危機のなかにあっても、短期的な雇用創出というよりは、中長期的な国の競争力の強化を意図した戦略となっているということである。そして、政府の果たすべき役割と官民パートナーシップの重要性も強調されている。
第二は、英国が競争力を有するクリエイティブ産業、特にコンテンツ産業の強化を狙っているということである。それは、アクションのうち3つが著作権保護や違法コンテンツの排除に充てられていることから明らかであろう。
第三は、社会や経済のデジタル化を加速するための先導的コンテンツとして電子政府を捉えていることである。
要は、英国政府は、ブロードバンドインフラの整備を加速するとともに、コンテンツレイヤーではクリエイティブ産業と電子政府を特に強化することで、政府の主導で英国のデジタル化を一気に進め、長期的な競争力強化につなげようとしているのである。
ついでに言えば、報告書ではローカルメディアのあり方を検討すると明示されている。世界的にローカルメディアがネットの普及と経済危機で苦境に瀕しているなかでは、非常に正しいアプローチではないだろうか。
■米国は雇用創出を重視
米国でも、オバマ政権のICT戦略が動き出しつつある。英国のような具体的なプランはまだ明らかになっていないが、それは現在検討中の経済対策の中身から明らかである。
下院で可決された総額8190億ドル(上院は7800億ドル程度に減額)の5%弱である370億ドル(約3.3兆円)がデジタル関連の予算となっている。金額的にはそう大きくないが、注目すべきはその内容である。
370億ドルのうちブロードバンド整備に60億ドル、医療データの電子化に200億ドル、そしてスマート・グリッド(ICTを活用した、省エネと環境に貢献する電力網)に110億ドルを支出しようとしている。この金額配分から、オバマ政権は以下のような戦略を描いているのではないかと推察される。
第一に、短期的な雇用創出効果が期待できる分野にICT関連の予算も集中させている。例えば米国のシンクタンクITIFは、医療データの電子化については年間100億ドルの投資で20万人の雇用が創出され、スマート・グリッドについては5年間で500億ドル投資すれば24万人の雇用が創出されると試算している。
第二に、ブロードバンドインフラの整備は遅れているが、これまでも民間主導で行われてきており、かつ識者の間でもその雇用創出効果については賛否両論があることから、多額の予算は割り当てない。
要は、オバマ政権は、ICT関連予算も主に短期的な雇用創出効果が大きい戦略分野に投入しつつ、中長期的な競争力向上に間違いなく役立つブロードバンドインフラ整備では民間の力を活用するつもりなのではないだろうか。
ちなみに、米国では昨年、建設業・製造業・輸送業などで150万の職が失われた一方、ヘルスケアで37万、教育で16万の新規雇用が創出された。また、8190億ドルの経済対策でも、医療に1600億ドル以上、教育に1500億ドルが割り当てられているのに対し、インフラ整備には1200億ドルしか配分されていない。これらの数字からも、医療という雇用創出のための戦略産業でICTを手段として活用しようとしていることが理解できるだろう。
■日本は優位を生かす政策を
以上をまとめれば、経済危機対応のための英国と米国のICT戦略は、短期的な効果と中長期な効果のどちらを重視しているか、政府の役割が大きいかどうかという点での違いはあるが、共通して、ブロードバンドインフラの整備とアプリケーションおよびコンテンツのレイヤー(電子政府、医療、クリエイティブ産業における戦略部門)への資源の集中を行おうとしていると考えられる。
それに対して日本はどうであろうか。2月6日にIT戦略本部の「IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会」が開催された。今後3年の緊急プランが当面の重要課題のはずであるが、報道を見る限りまだ危機感も戦略性も薄いように感じられる。
日本はすでにブロードバンドインフラの整備では世界的にもかなり先んじているのだから、英国や米国と同様に、アプリケーション、コンテンツのレイヤーでの戦略部門の明確化を行うべきである。具体的には、医療、教育、電子政府、クリエイティブ産業がそれに該当しよう。そして、それらの分野でのこれまでの間違った政策を一気に修正すべきである。
これまでの政府の対応は、医療や教育の分野では規制改革を置き去りにして、“何とかセンター”のような類いの新たな組織を創設することばかりであった。クリエイティブ産業についても、創作より流通に偏った政策が多かった。前者の医療や教育の分野では、ICTを手段として最大限活用するために規制改革が不可欠である。後者の分野では、まったく正反対の政策にシフトチェンジすべきである。
「アキハバラの次の主力ビジネスは何か」(COLUMN2)
最近、秋葉原の次の主力ビジネスになるのは何かという質問をよく受けるようになった。メイドカフェブームが一服し、皆が乗っかれるトレンドが見つからなくなったのに、次に流行するビジネスがまだ明確に見えてきていないからだ。
秋葉原の主力ビジネスは、10年単位で交替してきた。1960年代の家電、70年代のオーディオ、80年代のマイクロコンピュータ、90年代のマルチメディア、そして2000年代の萌えビジネスだ。秋葉原最初の本格メイドカフェとなったキュアメイドカフェが開店したのが00年だから、来年にはそうした新しいビジネスの芽が生まれてくるかもしれない。だが、新しい芽は、なかなか姿を現さなかった。と言うより、あまりにいろいろなビジネスが現われて、どれが大きな潮流になっていくのかが分からなかったのだ。
しかし、最近、少し方向性が見えてきた気がする。それはニーズの「二次元から三次元への移行」だ。
需給環境の変化でメイドが高クオリティ化
JR秋葉原駅周辺で配られているチラシをみていると、最近大きな変化が表れていることが分かる。昨年夏くらいからメイドカフェのチラシが減り、メイド人材派遣や撮影会などのチラシが急速に増えているのだ。実は、これも三次元化の始まりなのではないかと、私は考えている。
メカニズムはこうだ。数年前のメイドカフェブームの頃には、次々に新店舗がオープンしたから、萌えビジネスは、働き手の女性の奪い合いとなった。圧倒的売り手市場のなかで、採用の際、応募してくる女性の外見は無視された。それでよかったのだ。メイドカフェの常連さんたちは、メイドというキャラクターを愛していたので、極論すれば、メイド服のなかの女性の見た目は、どうでもよかったのだ。現実に、この時期のメイドビジネスには、見た目が???という女性がたくさん存在した。
しかし、メイドブームの終焉と不況による求人減は、萌え産業の労働市場も激変させた。メイドになりたい、コスプレ服を着たいという女性が相変わらず多いなかで、求人が大きく減ってしまったのだ。その結果、メイドさんになるためには、300倍もの競争を勝ち抜かなければなくなった。当然、採用された女性たちは、圧倒的な容姿端麗を誇るようになったのだ。
キャラクターからリアルの女性へ
そうすると、オタクの男性たちも、メイド服の中身の女性に興味を持ち始める。つまり、キャラクターではなく、人間の女性がマーケットで価値を持ち始めたのだ。
そこに当然ビジネスが生まれる。メイドさんが撮影会を開く。メイドさんを人材派遣し、アキハバラの散策や遊園地を楽しんでもらう。最近、急速に増えてきたアキバのライブハウスは、何人ものアキバ・アイドルを生みだしている。こうした現象は、いままで考えられなかったことだ。
もともと、「萌え」は、女性に相手にされないオタクが、女性に恋をするのと同じように、キャラクターに恋をすることで始まった。しかし、いま生まれているアイドルたちは、芸能界で活躍するアイドルよりもずっと身近で、手が届くところにいるアイドルなのだ。
「名門女子高校環境ビデオ」
実は、こうした変化を象徴するような商品が昨年12月に発売された。『名門女子高校環境ビデオシリーズ』だ。CD-ROMのなかに、100枚以上の写真とムービーが納められているのだが、現在、学習院女子高等科編、品川女子学院編、目白学園高等学校編、雙葉高等学校編、白百合学園高等学校と、6つの名門女子高の「環境ビデオ」が発売されている。
ビデオに詳しい方は、『名門女子高校環境ビデオシリーズ』というタイトルで、すぐにピンときたと思うが、これは90年代中盤に、テリー伊藤氏の企画で作られたビデオ『名門女子大学周辺 環境ビデオシリーズ』のパロディだ。テリー伊藤氏の作品は、単に名門女子大に登校する女子大生の姿を写しただけのものだったが、いまは個人情報保護法があるので、素人の女子大生を勝手にビデオで撮影して、その映像を発売するといった企画は成立しない。
そこで、この高校生版の新しい環境ビデオは、本物の女子高生ではなく、制服を着たアイドルが、女子高の校門前で写真を撮るというスタイルを採用している、もちろん校内に入っているわけではないが、それでも常識的に考えたら、女子高の前での撮影許可が出るはずはない。そのため、通りすがりの一般人が街で記念撮影しているという建前で、ゲリラ的に撮影してしまっているのだそうだ。また、高校制服のコスプレをしているため、その学校に通っている本物の女子生徒との区別がつかないので、通学中のその他の一般生徒などから、不審がられる事もないそうだ。
萌えとエロの関係が大きな課題に
実は、もう一つの驚きは、ここに登場している女子高生を演じているのは、ミアカフェのメイド、相原みぃちゃんなのだ。みぃちゃんは、すでにテレビや雑誌にも数多く登場しており、普通のメイドさんの範疇を飛び出しているのだが、メイドを離れて、CD-ROMがメイド以外の世界で売れるというビジネスが、すでに成立するところまできているのだ。
もちろんアイドルのデジタル写真集はこれまでもたくさんあったが、この『名門女子高校環境ビデオシリーズ』は、パロディ、ゲリラ、メイドというアキハバラ文化をてんこ盛りにしているところが、新しいのだ。
実は、このCD-ROMには女子高制服の写真以外に、ちょっとエッチな写真もたくさん含まれている。もちろん脱いでいるわけではないのだが、やはり、キャラクターを離れると、そうした要素も取り入れないとビジネスとして、成り立たないのだそうだ。
萌えとエロの関係をどう整理するのか、もし私の予想通り、アイドルが新しいビジネスの主流になるのだとしたら、解決しなければならない大きな課題となるだろう。
未曾有の経済危機に直面するなかで、英国と米国で経済対策・雇用創出策の一環としてのICT戦略が動き出した。日本はブロードバンドインフラ整備で世界に先んじたが、その後のICT利活用では足踏み状態にあり、このままでは危機をバネにした英米に追い越されかねない。日本も正しい方向でICT戦略を強化すべきではないだろうか。
■長期視点の「デジタル・ブリテン」
日本ではほとんど報じられていないが、英国政府のICT戦略である「デジタル・ブリテン」の中間報告が1月29日に発表された。まだ中間報告なので具体性に乏しいが、以下の5つの目標が明示されている。
・最先端のデジタルネットワークを構築して、デジタル時代における英国の競争力を維持する
・デジタルコンテンツやアプリケーション、サービスへの投資を喚起する
・英国ユーザーのための英国コンテンツを充実する
・ユニバーサル接続とデジタルリテラシーを向上し、誰でもデジタル経済・社会に参加できるようにする
・電子政府(公共サービスの提供、ビジネスとの関連)を強化する
この目標を達成するために、22ものアクションが打ち出されているが、それらも読むと3つの注目すべき点が浮かび上がる。
第一に、経済危機のなかにあっても、短期的な雇用創出というよりは、中長期的な国の競争力の強化を意図した戦略となっているということである。そして、政府の果たすべき役割と官民パートナーシップの重要性も強調されている。
第二は、英国が競争力を有するクリエイティブ産業、特にコンテンツ産業の強化を狙っているということである。それは、アクションのうち3つが著作権保護や違法コンテンツの排除に充てられていることから明らかであろう。
第三は、社会や経済のデジタル化を加速するための先導的コンテンツとして電子政府を捉えていることである。
要は、英国政府は、ブロードバンドインフラの整備を加速するとともに、コンテンツレイヤーではクリエイティブ産業と電子政府を特に強化することで、政府の主導で英国のデジタル化を一気に進め、長期的な競争力強化につなげようとしているのである。
ついでに言えば、報告書ではローカルメディアのあり方を検討すると明示されている。世界的にローカルメディアがネットの普及と経済危機で苦境に瀕しているなかでは、非常に正しいアプローチではないだろうか。
■米国は雇用創出を重視
米国でも、オバマ政権のICT戦略が動き出しつつある。英国のような具体的なプランはまだ明らかになっていないが、それは現在検討中の経済対策の中身から明らかである。
下院で可決された総額8190億ドル(上院は7800億ドル程度に減額)の5%弱である370億ドル(約3.3兆円)がデジタル関連の予算となっている。金額的にはそう大きくないが、注目すべきはその内容である。
370億ドルのうちブロードバンド整備に60億ドル、医療データの電子化に200億ドル、そしてスマート・グリッド(ICTを活用した、省エネと環境に貢献する電力網)に110億ドルを支出しようとしている。この金額配分から、オバマ政権は以下のような戦略を描いているのではないかと推察される。
第一に、短期的な雇用創出効果が期待できる分野にICT関連の予算も集中させている。例えば米国のシンクタンクITIFは、医療データの電子化については年間100億ドルの投資で20万人の雇用が創出され、スマート・グリッドについては5年間で500億ドル投資すれば24万人の雇用が創出されると試算している。
第二に、ブロードバンドインフラの整備は遅れているが、これまでも民間主導で行われてきており、かつ識者の間でもその雇用創出効果については賛否両論があることから、多額の予算は割り当てない。
要は、オバマ政権は、ICT関連予算も主に短期的な雇用創出効果が大きい戦略分野に投入しつつ、中長期的な競争力向上に間違いなく役立つブロードバンドインフラ整備では民間の力を活用するつもりなのではないだろうか。
ちなみに、米国では昨年、建設業・製造業・輸送業などで150万の職が失われた一方、ヘルスケアで37万、教育で16万の新規雇用が創出された。また、8190億ドルの経済対策でも、医療に1600億ドル以上、教育に1500億ドルが割り当てられているのに対し、インフラ整備には1200億ドルしか配分されていない。これらの数字からも、医療という雇用創出のための戦略産業でICTを手段として活用しようとしていることが理解できるだろう。
■日本は優位を生かす政策を
以上をまとめれば、経済危機対応のための英国と米国のICT戦略は、短期的な効果と中長期な効果のどちらを重視しているか、政府の役割が大きいかどうかという点での違いはあるが、共通して、ブロードバンドインフラの整備とアプリケーションおよびコンテンツのレイヤー(電子政府、医療、クリエイティブ産業における戦略部門)への資源の集中を行おうとしていると考えられる。
それに対して日本はどうであろうか。2月6日にIT戦略本部の「IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会」が開催された。今後3年の緊急プランが当面の重要課題のはずであるが、報道を見る限りまだ危機感も戦略性も薄いように感じられる。
日本はすでにブロードバンドインフラの整備では世界的にもかなり先んじているのだから、英国や米国と同様に、アプリケーション、コンテンツのレイヤーでの戦略部門の明確化を行うべきである。具体的には、医療、教育、電子政府、クリエイティブ産業がそれに該当しよう。そして、それらの分野でのこれまでの間違った政策を一気に修正すべきである。
これまでの政府の対応は、医療や教育の分野では規制改革を置き去りにして、“何とかセンター”のような類いの新たな組織を創設することばかりであった。クリエイティブ産業についても、創作より流通に偏った政策が多かった。前者の医療や教育の分野では、ICTを手段として最大限活用するために規制改革が不可欠である。後者の分野では、まったく正反対の政策にシフトチェンジすべきである。
「アキハバラの次の主力ビジネスは何か」(COLUMN2)
最近、秋葉原の次の主力ビジネスになるのは何かという質問をよく受けるようになった。メイドカフェブームが一服し、皆が乗っかれるトレンドが見つからなくなったのに、次に流行するビジネスがまだ明確に見えてきていないからだ。
秋葉原の主力ビジネスは、10年単位で交替してきた。1960年代の家電、70年代のオーディオ、80年代のマイクロコンピュータ、90年代のマルチメディア、そして2000年代の萌えビジネスだ。秋葉原最初の本格メイドカフェとなったキュアメイドカフェが開店したのが00年だから、来年にはそうした新しいビジネスの芽が生まれてくるかもしれない。だが、新しい芽は、なかなか姿を現さなかった。と言うより、あまりにいろいろなビジネスが現われて、どれが大きな潮流になっていくのかが分からなかったのだ。
しかし、最近、少し方向性が見えてきた気がする。それはニーズの「二次元から三次元への移行」だ。
需給環境の変化でメイドが高クオリティ化
JR秋葉原駅周辺で配られているチラシをみていると、最近大きな変化が表れていることが分かる。昨年夏くらいからメイドカフェのチラシが減り、メイド人材派遣や撮影会などのチラシが急速に増えているのだ。実は、これも三次元化の始まりなのではないかと、私は考えている。
メカニズムはこうだ。数年前のメイドカフェブームの頃には、次々に新店舗がオープンしたから、萌えビジネスは、働き手の女性の奪い合いとなった。圧倒的売り手市場のなかで、採用の際、応募してくる女性の外見は無視された。それでよかったのだ。メイドカフェの常連さんたちは、メイドというキャラクターを愛していたので、極論すれば、メイド服のなかの女性の見た目は、どうでもよかったのだ。現実に、この時期のメイドビジネスには、見た目が???という女性がたくさん存在した。
しかし、メイドブームの終焉と不況による求人減は、萌え産業の労働市場も激変させた。メイドになりたい、コスプレ服を着たいという女性が相変わらず多いなかで、求人が大きく減ってしまったのだ。その結果、メイドさんになるためには、300倍もの競争を勝ち抜かなければなくなった。当然、採用された女性たちは、圧倒的な容姿端麗を誇るようになったのだ。
キャラクターからリアルの女性へ
そうすると、オタクの男性たちも、メイド服の中身の女性に興味を持ち始める。つまり、キャラクターではなく、人間の女性がマーケットで価値を持ち始めたのだ。
そこに当然ビジネスが生まれる。メイドさんが撮影会を開く。メイドさんを人材派遣し、アキハバラの散策や遊園地を楽しんでもらう。最近、急速に増えてきたアキバのライブハウスは、何人ものアキバ・アイドルを生みだしている。こうした現象は、いままで考えられなかったことだ。
もともと、「萌え」は、女性に相手にされないオタクが、女性に恋をするのと同じように、キャラクターに恋をすることで始まった。しかし、いま生まれているアイドルたちは、芸能界で活躍するアイドルよりもずっと身近で、手が届くところにいるアイドルなのだ。
「名門女子高校環境ビデオ」
実は、こうした変化を象徴するような商品が昨年12月に発売された。『名門女子高校環境ビデオシリーズ』だ。CD-ROMのなかに、100枚以上の写真とムービーが納められているのだが、現在、学習院女子高等科編、品川女子学院編、目白学園高等学校編、雙葉高等学校編、白百合学園高等学校と、6つの名門女子高の「環境ビデオ」が発売されている。
ビデオに詳しい方は、『名門女子高校環境ビデオシリーズ』というタイトルで、すぐにピンときたと思うが、これは90年代中盤に、テリー伊藤氏の企画で作られたビデオ『名門女子大学周辺 環境ビデオシリーズ』のパロディだ。テリー伊藤氏の作品は、単に名門女子大に登校する女子大生の姿を写しただけのものだったが、いまは個人情報保護法があるので、素人の女子大生を勝手にビデオで撮影して、その映像を発売するといった企画は成立しない。
そこで、この高校生版の新しい環境ビデオは、本物の女子高生ではなく、制服を着たアイドルが、女子高の校門前で写真を撮るというスタイルを採用している、もちろん校内に入っているわけではないが、それでも常識的に考えたら、女子高の前での撮影許可が出るはずはない。そのため、通りすがりの一般人が街で記念撮影しているという建前で、ゲリラ的に撮影してしまっているのだそうだ。また、高校制服のコスプレをしているため、その学校に通っている本物の女子生徒との区別がつかないので、通学中のその他の一般生徒などから、不審がられる事もないそうだ。
萌えとエロの関係が大きな課題に
実は、もう一つの驚きは、ここに登場している女子高生を演じているのは、ミアカフェのメイド、相原みぃちゃんなのだ。みぃちゃんは、すでにテレビや雑誌にも数多く登場しており、普通のメイドさんの範疇を飛び出しているのだが、メイドを離れて、CD-ROMがメイド以外の世界で売れるというビジネスが、すでに成立するところまできているのだ。
もちろんアイドルのデジタル写真集はこれまでもたくさんあったが、この『名門女子高校環境ビデオシリーズ』は、パロディ、ゲリラ、メイドというアキハバラ文化をてんこ盛りにしているところが、新しいのだ。
実は、このCD-ROMには女子高制服の写真以外に、ちょっとエッチな写真もたくさん含まれている。もちろん脱いでいるわけではないのだが、やはり、キャラクターを離れると、そうした要素も取り入れないとビジネスとして、成り立たないのだそうだ。
萌えとエロの関係をどう整理するのか、もし私の予想通り、アイドルが新しいビジネスの主流になるのだとしたら、解決しなければならない大きな課題となるだろう。
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