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中国PHSサービス終了へ ユーザー不在の当局決定で広がる波紋 <COLUMN>
 中国の通信産業主管省庁である工業信息化部が先ごろ出した一通の通達が大きな波紋を呼んでいる。明言はしていないものの、中国版PHSである「小霊通」の廃止を意味する内容だったからだ。いまだに7000万人近い利用者を擁するサービスへの突然の退場宣言にユーザーは混乱し、通信業界には様々な思惑が蠢き始めた。
 当局が今回下した決定のキーワードは「TD-SCDMA」だ。つい最近交付した中国3G免許の一つ、中国の独自国際規格である。PHSが使用している1900~1920MHz帯の周波数は、TD-SCDMAに割り当てられた1880~1900MHz帯に隣接する。このままでは3Gサービスの運営に支障をきたす恐れがあるため、2011年末までに1900~1920MHz帯から引き上げるよう通達したのである。
■ユーザーが反発 「市場か国策か」の論争も
 中国のPHSはピーク時に9000万人超のユーザーを抱えたが、ここ数年は減少が続き、衰退ぶりは明らかだった。しかし、このタイミングでいきなりサービス終了期限が発表されるとは予想されておらず、ユーザーには驚きが広がった。
 特に、中国が威信をかけるTD-SCDMAを盾にとったようなやり方に、「ユーザー視点を欠いた決定」と反発が強まっている。この問題は「市場か国策か」という論争に発展し、弁護士などの法律家も独占を助長する疑いがあるとして合法性を疑問視し、聴聞会の開催を要求しているほどだ。
 PHSサービスを展開する当事者であるチャイナテレコムやチャイナユニコムは、「いかなる場合でもユーザーの利益を最優先する」とのコメントを発表したが、その具体的な方策はまだ出ていない。キャリア間、そしてキャリアと政府間の駆け引きが今後さらに激しくなるのは確実だ。今回の決定はまだ方針と期限を示しただけで、中国社会は固唾を呑んでその追加細則の発表に注目している。
■妥協の産物として生まれた中国PHS
 今回の決定では当局が市場無視と批判されているが、そもそも中国のPHS導入政策そのものが苦肉の策だった。なぜならPHS技術の導入が検討された当時から、政府はすでに携帯電話規格としては方向的に見劣りするとして導入に反対だった。
 しかし、勢いのある携帯事業を分離され(後にチャイナモバイル)、固定通信しか残っていなかったチャイナテレコムがPHSの導入を強く働きかけた。それまでガリバーであったチャイナテレコムの圧力により当時の信息産業部は仕方なく、「PHSは固定通信の延長と補助である」と定義し、政策のグレーゾーンを作り出したのだ。
 それにより2002年から地方都市でサービスを始め、1年で600万ユーザーを獲得して政府の外堀を埋めた。以降、政府の「奨励せず、関与せず」という曖昧な方針の下で、PHSはその低価格を武器に地方から大都市へとエリアを広げ、4年間でついに1億人に迫るユーザーを抱える一大陣営に成長したのである。
 PHSはある時期まで、落日の固定通信キャリアであったチャイナテレコムとチャイナネットコムを救ったともいえる。もちろん、移動通信のチャイナモバイルは猛反発したが、チャイナモバイルの強さゆえに政府はバランスをとるべく固定通信キャリアを“懐柔”したわけだ。
 PHSは淘汰される技術の烙印を押されながらも、通信キャリアと政府の駆け引きによる妥協の産物としてこれまで生き延びてきた。今回の決定は、その政策の天秤がTD-SCDMAを担うことになったチャイナモバイル側に傾いた結果ともいえる。いずれにせよ、その決定プロセスにおいてユーザーは蚊帳の外だった。
■7000万ユーザー争奪戦が勃発
 今回の決定はユーザーからの反発を招いたが、もはや逆戻りはできない。次の焦点はやはり、7000万ユーザーの今後だ。移転をスムーズに運ぶことが大前提になるだろうが、その裏では潜在顧客を巡る各キャリアの熾烈な争奪戦が予想される。
 今のところ、チャイナテレコムが5000万人、チャイナユニコムが2000万人(旧チャイナネットコム分)のPHSユーザーを抱えている。3G免許が交付されている2社にとって、これらのPHSユーザーをいかに自分の陣営に引き止めるかは死活問題となる。
 一方、3Gサービスで一番不確実性の高いTD-SCDMAを担うチャイナモバイルも、ガリバーの座を守るため虎視眈々としている。中国の携帯契約数は6億件を突破し、新規ユーザーの開拓も頭打ちになりつつある。PHSユーザーはローエンドの顧客層ではあるが、残された市場としては最大のターゲットになるからだ。
 特にTD-SCDMAはまだ魅力的な3Gアプリケーションが欠けており、ローエンドユーザーをまとめて獲得できる今回の機会はまさに渡りに船といえる。2G時代の覇者は間違いなく3Gの最初のターゲットとして照準を合わせ、チャイナテレコムやチャイナユニコムも一歩も引けない。その戦いは3G時代の前哨戦としてすでに始まっている。
■次世代PHS戦略にも影
 一方、今回の決定で中国市場を失う日本のPHS陣営への打撃はあまりにも大きい。中国市場はPHSの最大市場であり、ユーザー数の9割以上を占めているからだ。
 その推進役であるウィルコムは2007年末にチャイナネットコムとデータ通信を中心とした包括提携を結び、巨大な中国市場をバックに次世代PHSの普及に繋げるシナリオを描いた。しかし、そのチャイナネットコムはすでに業界再編により姿を消し、絵に描いた餅になっている。
 ウィルコムがどこまで中国市場を分析したのかについては疑問符をつけざるを得ない。ウィルコムの命綱である次世代PHSサービスは今年スタートするが、それも海外市場、つまり中国市場の存在があって初めて意義がある。日本発の通信技術として初めて海外市場で開花したPHSだが、中国の陥落は次世代PHSの戦略にも影を落とすことになろう。



任天堂、京都に新研究拠点 128億円で用地購入
 任天堂が家庭用ゲームの新しい研究拠点を京都市に建設する方針が明らかになった。昨年末に128億円を投じて京都市南区の現本社近くに約4万平方メートルの土地を取得した。世界的なゲーム需要拡大に伴い、ゲームのハード・ソフトの新たな開発拠点にする考え。
 具体的な建設時期は未定という。任天堂は開発人員の増加に伴い、2000年に京都市東山区から現本社に移転。旧本社を「京都リサーチセンター」とし、新旧本社の2拠点に開発部門を置いてきた。
 据え置き型ゲーム機「Wii(ウィー)」と携帯型の「ニンテンドーDS」が世界的に好調な販売を続けていることから、開発拠点が手狭になっていた。開発部門を1カ所に集約して効率化することなどを検討している。



富士通出資の米半導体大手 日本法人が更生法
 米半導体大手で富士通が出資する米スパンションの日本法人スパンション・ジャパン(福島県会津若松市)は10日、東京地方裁判所に会社更生法の適用を申請した。民間調査機関の帝国データバンクによると負債総額は741億円。会津若松市にある半導体工場への設備投資などが負担になっていたところに半導体不況が重なり、資金繰りに行き詰まった。
 米スパンションは2003年に富士通と米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)のフラッシュメモリー事業を統合して設立した。富士通は米スパンションに10%超を出資する筆頭株主となっており、AMDも10%弱を出資。米国と会津若松市に生産拠点を持ち、スパンション・ジャパンは会津若松工場を運営している。
 同社の主力商品であるNOR型フラッシュメモリーは家電製品や携帯電話などに使われている。日本では富士通が同製品の生産を受託しているほか、販売代理店も務めている。富士通はスパンション・ジャパンの破綻について「影響は現在調査中」としている。



米スタバ、初の値引きメニュー 「朝食+コーヒー」2割超安く
 客足の減少が続く米スターバックスは、米国内で実質初めてとなる値引きメニューを採り入れる。全米の直営店で3月3日から始め、コーヒーと朝食のセットを3ドル95セント(約360円)で提供する。従来価格より平均で1ドル20セント安いという。従来はブランド価値を維持するために原則として値引きしない方針を貫いてきた。しかし、景気減速で節約志向を強める消費者がマクドナルドなど低価格チェーンに流れている危機感から値下げに踏み切る。
 新たな朝食のセットメニューは2種類あり、カフェラテ(トールサイズ)にオートミールかケーキを合わせるタイプか、コーヒー(同)と4種類から1つ選ぶサンドイッチを合わせるタイプ。地域によって料金設定は異なるが、現状なら5ドル強するため、2割以上安くなる計算だ。「スターバックスを(金額的に)毎日手の届くものにする」(同社)狙い。
 スターバックスの米国内の既存店売上高は、5四半期連続で前年割れしている。



電気自動車生産へ 日産、米政府の低利融資を申請
 日産自動車は環境対応車の実用化を支援するために米政府が創設した低利融資制度の適用を申請した。日本の自動車メーカーによる同制度の申請が明らかになったのは初めて。日産は2010年に日本や米国で発売を計画している電気自動車などの生産に同資金を活用したい考え。
 同制度の融資枠は総額250億ドル(約2兆3000億円)。米国に工場を長期間設置していることなどが融資を受ける条件。米ゼネラル・モーターズ(GM)や米クライスラーの経営を支援するためのつなぎ融資とは、別の制度になる。
 日産のカルロス・ゴーン社長は、日本と米国、欧州、中国などで電気自動車と自動車用電池の生産を検討していると表明。今後、同様に環境対応車への支援策を設けている欧州、中国でも適用を要請することにしている。



スピルバーグ監督の映画制作会社、ディズニーと配給で契約
 【ニューヨーク=杉本晶子】スティーブン・スピルバーグ監督率いる米映画制作会社、ドリームワークスSKGは9日、米ウォルト・ディズニーとの間で、映画配給で契約を結んだ。同社は米ゼネラル・エレクトリック(GE)傘下の映画部門ユニバーサル・ピクチャーズと合意した配給契約が先週、白紙になったばかり。新たな資金提供先を探していた。ディズニー側は融資にも応じる方向。映画配給の本数が減少傾向にあったディズニー側は、コンテンツを充実する狙いがある。
 ディズニーが発表した両社の契約によると、ドリームワークスが制作する映画を毎年6本程度ずつ、ディズニーが配給する。2010年封切り分が第1作目となる。米メディア報道によると、さらにディズニーは1億5000万ドル(約140億円)まで融資に応じるとみられている。



米、電子書籍が急成長 アマゾンが新端末
 【ニューヨーク=村山恵一】米国で電子書籍ビジネスが加速してきた。ネット小売り最大手のアマゾン・ドット・コムは9日、音声による朗読機能がある新端末を発表。カリフォルニア州に本拠を置くベンチャー企業も2010年の参入計画を打ち出した。販売不振が続く個人向け電子機器のなかで、電子書籍は数少ない急成長分野。新市場を巡る各社の主導権争いが本格化する。
 アマゾンの新端末「キンドル2」はジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)がニューヨークで発表した。07年発売の初代機の後継。手のひらサイズの本体に無線通信で本や雑誌、新聞のデータを取り込んで読む。
 本体に保存できる本は1500冊分と従来の7倍以上。文字情報を音声に変換する機能は朗読スピードを調整できる。紙の印刷に近い鮮明な表示が可能な6インチの電子ペーパーを使った白黒表示はほぼ従来通りとした。
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