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電子書籍「日の丸連合」 ソニーは米国勢に勝てるか
 ソニーが日本で電子書籍事業に再び挑む。凸版印刷、KDDI、朝日新聞社の3社と共同で書籍配信の事業企画会社を7月1日をめどに設け、専用端末を年内に売り出す。「日の丸」連合を組んで、先行するアマゾン・ドット・コム、アップルの米国勢に対抗するが、不安材料もある。
 「ソニーは日本のメーカー。電子書籍ビジネスをスタートするにあたっては、日本の文化を継承していこうという意志を持った方々と一緒にやりたい」。ソニーなど4社が5月27日に都内で開いた記者会見。ソニー・エレクトロニクスの野口不二夫シニア・バイス・プレジデントは、事業企画会社への出資企業がオールジャパンとなった理由を説明した。凸版など同席した3社の幹部も「日本の出版文化の発展に寄与したい」と日の丸を前面に掲げた。その2カ月前、伏線ともいえる出来事があった。
 3月24日、東京・神楽坂の日本出版クラブ会館。出版大手31社をメンバーとする「日本電子書籍出版社協会(電書協)」の設立総会が開かれた。記者会見では、代表理事に就いた講談社の野間省伸副社長が「日本と米国の出版市場は環境がだいぶ異なる。日本独自の電子書籍市場を構築したい。紙(の書籍)との共存共栄も図る」と発言。31社の代表者が一人ずつ紹介され、全員で集合写真に収まり、業界の結束をアピールした。
 その後の記念パーティーでは、新潮社の佐藤隆信社長のあいさつに続き、数人が来賓としてスピーチした。最も威勢がよかったのは、内藤正光・総務副大臣だった。「好むと好まざるとにかかわらず、(アマゾン、アップルという)2強が日本を席巻してくる。これを許したら日本の文化を守れるだろうか」
 市場縮小に悩む出版業界は、新たな商売の機会と電子書籍に期待する半面、IT(情報技術)企業のアマゾンやアップルに主導権を握られることを警戒している。配信する作品の選択から値決めまで牛耳られれば経営基盤は揺らぐ。IT企業と作家が直接、契約するような事態となれば、存在意義さえ問われる。電書協設立は米国から来る「黒船」へのけん制であり、個別に出版社がアマゾンなどに急接近する「抜け駆け」を防ぐ相互監視の意味合いもあるとみられる。
 独自端末、独自サービスを出版業界に突きつける米国流の急進的な手法に対し、ソニーは出版業界の理解を得ながら前に進む穏健路線をとる。「日本の文化を守る」をモットーに出版社の懐に入り込み、書籍コンテンツ集めをアマゾンやアップルより優位に進めようとの戦略だ。事業企画会社設立に関する報道資料には、講談社の野間副社長の賛同コメントを載せ、小学館、集英社、文芸春秋も賛同していると強調した。
 しかし、紙の書籍事業の温存や、配信価格の下落防止などが出版業界の本音だろう。ソニーがそれに引きずられた発想を持てば、消費者をうならせる画期的なサービスを生み出しにくい体質になりはしないか。
 ソニーは2004年にも日本で電子書籍事業を始めたが、うまくいかなかった。専用端末「リブリエ」を発売し、主要出版社との共同出資会社で配信も手掛けたが、紙の書籍の売れ行きが鈍るのを恐れてか、コンテンツを読める期間を2カ月に限定。中途半端なサービスとの印象をぬぐえず、消費者の心をつかめなかったのだ。
 アップルの音楽配信、グーグルのネット広告、ユーチューブの動画共有、そしてアマゾン、アップルの電子書籍……。世界的な注目を集めるサービスは既存の業界地図を塗り替える破壊力を秘め、価格決定などを巡りコンテンツ会社と衝突する場面が少なくない。いずれも技術を駆使した便利さ、面白さで消費者の支持を勝ち取り、それを武器に存在感を高めている。
 6年ぶりの仕切り直しとなるソニーの電子書籍事業も、単に米2社の物まねではなく、新鮮味のある工夫が成功の条件になる。出版業界との共同歩調にこだわるあまり、意思決定が遅れたり、角の取れた無難なサービスしか打ち出せなかったりすれば、先行組の追撃は難しい。
 講談社が京極夏彦氏の新作を紙の書籍の価格を下回る料金でiPad向けに配信するなど、出版社も日の丸連合に義理立てしてくれるとは限らない。ソニーが第一に力を注ぐべきは、消費者を味方にできる魅力的な仕組みをつくることだ。それができれば、出版業界での求心力もおのずと高まる。出版業界の反発を避けて優等生的な動きに終始すれば、「リブリエの悪夢」がよみがえりかねない。



国と地方の債務残高初の1千兆円突破 時価ベースの日銀統計
 日銀が17日発表した2010年1~3月期の資金循環統計(速報)で、2010年3月末(09年度末)の国と地方を合わせた債務残高の合計が、前年度末比4・8%増の1001兆7715億円となり、初めて1千兆円を超えたことが分かった。
 景気対策により国債の発行が増加したことが主因。債務残高のうち国債と地方債の合計である「株式以外の証券」は、前年度末比6・5%増の795兆7735億円になった。
 日銀の統計は、国債などの有価証券を時価で評価しており、簿価を基準に財務省が発表する債務残高とは一致しない。財務省では、国と地方の長期債務残高が09年度末で約825兆円になるとの見通しを発表している。



成長戦略・財政規律重視を前面に 民主が公約発表
 民主党は17日夕、参院選公約を発表した。昨年の衆院選マニフェスト(政権公約)で触れていなかった財政再建や成長戦略を全面に打ち出したのが特徴。消費税を含む税制抜本改革は早期の結論をめざして超党派の協議を始める方針を明記。成長戦略の一環として、法人税率引き下げや官民連携によるインフラ輸出促進などを盛り込んだ。
 財政再建では3段階の目標を提示。短期目標は2011年度の国債発行額が10年度(44.3兆円)を上回らないよう全力をあげ、中期では15年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字の対国内総生産(GDP)比を10年度の半分以下にする。長期目標で20年度までにプライマリーバランスを黒字化するとした。
 財源捻出(ねんしゅつ)策として、ムダ使い削減を続ける方針は掲げたが、前回マニフェストで示した13年度に16.8兆円を生み出すとした工程表は削除した。
 成長戦略では首相や閣僚のトップセールスによる原発などのインフラ輸出促進を明記。特定の業界を優遇する租税特別措置の見直しなどを前提にした法人税の引き下げも示し、国際競争力の強化を図った。
 子ども手当に関しては1人あたり月額2万6千円の満額支給を見送り、10年度の1万3千円を「上積みする」と表記するにとどめた。高速道路を原則無料化する方針は実施時期や財源の規模の明示を見送るなど、財政規律への配慮をにじませている。
 政治改革では国会議員の定数を衆院は比例代表の80、参院では40程度の削減を明記。外交・安全保障政策では、日米同盟の強化に加え、米軍普天間基地の移設問題を5月28日の日米合意に基づき進める方針を盛り込んだ。同時に地元・沖縄県の負担の軽減に「全力を尽くす」とうたった。



富士通と東芝、携帯事業統合 正式発表  「競争力あるスマートフォン提供」
 富士通と東芝は6月17日、携帯電話事業を統合することで基本合意したと発表した。7月末をめどに最終的な契約を締結。10月1日をめどに新会社を設立し、東芝の携帯電話事業を移管した上で、富士通が新会社の株式の過半を取得する。
 統合により開発基盤を強化し、競争力ある端末を開発、国内シェアナンバーワンを目指す。両社の技術を融合し、スマートフォン市場に競争力の高い商品をタイムリーに提供するとしている。
 富士通はNTTドコモ向けに端末や携帯電話プラットフォーム技術を提供しており、防水防塵・指紋センサーなど独自機能が売り。東芝はKDDI(au)を中心に、ドコモ、ソフトバンクモバイルにも端末を提供しており、映像技術やスマートフォン技術、海外生産によるコスト効率が強みとしている。



日航、旅行2子会社統合へ JALツアーズとジャルパック 更生計画案に盛る
 会社更生手続き中の日本航空は17日、旅行子会社であるJALツアーズとジャルパックの2社を経営統合する方向で検討に入った。それぞれ国内旅行と海外旅行を手掛けており、旅行業を巡る環境が厳しい中、間接部門の集約などで経営を効率化する。月内にジャルパックの大西誠社長(60)がJALツアーズの社長を兼任し、統合に向けた連携を進める。
 JALツアーズは28日に開く株主総会後の取締役会で、大西ジャルパック社長の社長就任を決定する。山崎寛社長(61)は退任する見通し。両社は来春の統合を目指し、当面は経費削減などで連携していく。
 JALツアーズは旅行業で9位。ジャルパックはそれ以下の中堅だが、日本で初めて海外パックツアーを扱い、知名度がある。2社の2009年度の旅行取扱高を単純合算すると1899億円で、旅行業8位になる。
 統合後は幹部ポストの整理や本社一元化による合理化効果を見込む。日航は一時は旅行事業の売却も検討したが、グループにとどめた方が座席の販売にも寄与し、本業の収益下支えや競争力維持につながると判断した。
 日航は2月に稲盛和夫会長が就任して以来、管財人である企業再生支援機構の指導のもと抜本的な再建策作りに着手。現在は8月末期限の更生計画案の取りまとめに向け、主力銀行団との交渉に入っている。日航は2社の統合を更生計画案に盛り込みたい考え。
 不採算路線と人員の大規模な削減、老朽航空機の整理に加え、膨張した子会社群の整理は再建へ銀行団の協力を得る上で重要になっている。ホテル子会社をホテルオークラに売却する方向で最終調整に入るなど、リストラを本格化している。



永谷園、大相撲懸賞から撤退検討 不祥事連発でスポンサー離れ 
 永谷園が、野球賭博問題に揺れる大相撲の懸賞の取り止めや大幅削減を検討していることが17日、分かった。新弟子死亡事件や力士の大麻事件に続く相次ぐ不祥事で、かえってイメージダウンになりかねないと判断したとみられる。
 永谷園はひと場所あたり200本以上の懸賞をかける大口スポンサー。不祥事が後を絶たない懲りない相撲界からのスポンサー離れが加速するのは必至だ。
 永谷園では、「(野球賭博は)大きな問題と考えており、成り行きをみながら検討中」としている。同社は、大麻事件が起きた際にも、2008年秋場所で、懸賞の本数を大幅に減らしたことがあるが、その後も不祥事が続いたことから、今回は、削減よりもさらに厳しい対応に踏み切る可能性がある。
 永谷園は、02年から懸賞を出し始めた。ちょうど若貴ブームが去り、相撲人気にかげりが出てきたころで、相撲界にはまさに救世主だった。お茶漬けのりの袋をデザインした懸賞旗は、いまや大相撲には欠かせない存在になっている。また人気力士の高見盛をCMにも起用するなど、単なる宣伝ではなく、「応援」の側面も強い。
 懸賞は1本6万円で、うち5000円が手数料として相撲協会の取り分となる。永谷園が撤退すれば、相撲界として1場所あたり1200万円の収入を失うことになる。
 大相撲の懸賞などのスポンサーには、森永製菓や日本マクドナルドなど、消費者と直接触れ合う企業も多い。懸賞を出しても、イメージダウンになるなら本末転倒で、撤退や削減の動きが広がりそうだ。



楽天、仏最大のネットショップ会社買収 240億円で欧州進出 
 楽天は17日、フランス最大のEC(電子商取引)サイトなどを運営するプライスミニスター(本社パリ)の全株式を取得すると発表した。買収額は2億ユーロ(約240億円)。楽天は、先月も米ネット通販会社を2億5000万ドル(約230億円)で買収したばかり。中国などアジアへの進出も加速しており、プライスの買収で、新たに欧州参入を果たす。
 プライスは2000年発足で、フランスを中心にイギリスやスペインでEコマース事業を展開。旅行価格比較サイトや不動産情報サイトなども運営している。同社の主力サイトは会員数が約1200万人で、取扱商品は160万点に上り、月間サイト訪問者数はフランス国内でトップ。
 楽天は08年に欧州法人を立ち上げ、参入を検討してきたが、各国のEコマース市場の成長が続いていることに加え、消費者の厳しい選択眼など日本との共通点が多いことから、プライス買収を決めた。
 日本の「楽天市場」で培ってきたネット・ショップの運営や出店者の開拓・サポートなどのノウハウを活用し、プライスの事業をさらに強化する考えだ。
 楽天は、先月も米国で1400万人の顧客基盤を持つBuy.com(バイ・ドット・コム)を買収すると発表。今年に入り、中国に百度と合弁会社を立ち上げたほか、インドネシアでも合弁会社を設立する計画で、海外進出を急加速。プライス買収で、欧米アジアにまたがるネットワークを構築する。



JCOM株取得に「高額すぎる」 KDDI株主総会で異論噴出 
 KDDIの定時株主総会が17日、都内で開かれ、約3600億円を投じたケーブルテレビ国内最大手のジュピターテレコム(JCOM)の株式取得に対し、「高額すぎるのでは」などの質問が相次いだ。
 総会では、株主が「当時の市場価格の約5割増しの単価でJCOM株を取得したのに、結果として拒否権すら取れていない。高かったのではないか」と質した。
 これに対し、両角寛文専務は「買い取り価格は妥当な価格だと考えている。JCOMへの資本参加は戦略的パートナーシップを結ぶのが目的であり、拒否権がないことは特段問題ではない」と回答。しかし、株主かたは「答えになっていない」と非難する声が上がった。
 JCOMをめぐっては、KDDIが2月に約30%の株式を持つ筆頭株主となったが、JCOMの設立以来の大株主である住商が反発し、TOB(株式公開買い付け)で対抗。保有割合を約40%に引き上げて筆頭株主の座を奪い返すなど、経営権をめぐって主導権争いを繰り広げた経緯がある。KDDIと住商、JCOMの3社は今月10日に放送・通信分野での業務提携に関する覚書を交わした。
 総会で、小野寺正社長兼会長は住商との関係について、「過去に何があったかではない。今後も協力してやっていくことが確認できた。共同で事業を運営していく上で、懸念はない」と理解を求めた。



任天堂「3DS」試してみた! 目に優しい自然な立体映像に好印象
 【ロサンゼルス=三塚聖平】当地で開かれている世界最大規模の家庭用ゲームの見本市「E3」で、最も注目を集めたのが、任天堂の3D(3次元)対応携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS(スリーディーエス)」だ。さっそく立体ゲームを体感してみた。
 3DSのサイズは、134×74×21ミリで、2006年に発売した「DSライト」とほぼ同じ大きさ。現行のDSと同様に2つのディスプレーを搭載しており、そのうち上が3D映像の表示、下は画面を直接触って入力するタッチパネル操作に対応している。
 「専用メガネ不要」が最大の売りだ。実際、裸眼でもはっきりと奥行きを感じる。専用メガネを使用する3D対応テレビなどと比べると奥行き感は乏しい部分もあるが、かえって自然で目が疲れにくく感じる。
 特に、普段かけているメガネと専用メガネの「ダブル・メガネ」の煩わしさがないのも好印象だ。
 試してみて驚いた機能が、3D画像の表示を強めたり弱めたりする「3Dボリューム」だ。本体の右側についているつまみを上下させると、3D効果が音量のように変化させることができる。3D画像に疲れたりした場合に使う機能のようだ。
 背面に設置した2つのカメラを使って3Dの画像を撮影できる機能も搭載しているが、将来、携帯電話にも転用されるのは確実だ。
 遊んでみた感想は、「3D映像を自然に楽しめる」というもの。3Dが目になじまないという人でも、“ボリューム”調整があるので問題はない。現時点では価格が不明だが、ヒットの可能性は高そうだ。



中国の広告市場、14年に倍増で日本に匹敵 米調査会社が予測
 中国(香港含む)の広告市場が2009年から14年までに約1・8倍に拡大し、日本とほぼ肩を並べる水準に達するとの予想を米大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PWC)が17日までにまとめた。
 中国の堅調な経済成長が広告市場の拡大を支えるためで、世界トップの米国を日本と中国が追う形となる。経済の成熟化が進む日本の広告市場が将来にわたって中国への優位を保つのは難しそうだ。
 2009年の市場規模は中国本土が207億3600万ドル(約1兆9千億円)、香港が25億1900万ドルで、合計額で米国、日本に次ぐ世界3位につける。日本や米国など先進国で頭打ちとなっているテレビや新聞広告も順調に増加するほか、インターネット向けも急増するため、14年には中国本土が390億3800万ドル、香港は32億2千万ドルに拡大する。
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