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iPhone4、ドコモ回線で利用可能に 日本通信が月内にも
 通信ベンチャーの日本通信は米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)4」をNTTドコモの回線で使えるサービスを始める。月内にもドコモ回線に対応した「SIMカード」を発売、輸入したアイフォーン4に差し込んで使う。日本ではソフトバンクモバイルがアイフォーン回線を事実上独占してきたが、日本通信は他社回線での利用ニーズが高いと判断した。
 SIMカードは電話番号などの契約者情報を記録したICカード。アイフォーン4は小型の専用カードを採用している。
 日本通信はドコモの回線情報を記録した専用カードを調達、販売する。カード自体は無料で、月々の利用料金は月額3785円(1050円分の無料通話を含む)。音声通話機能がなく、データ通信だけの用途に特化したカードの利用料金は月額2980円。
 ソフトバンクが扱うアイフォーン4は他社の回線では使えないようSIMカードにカギがかかっている。海外では異なる会社の回線を使えるようロックを解除した「SIMフリー」のアイフォーン4が出回っている。
 国内でもインターネット通販などでSIMフリーのアイフォーン4が販売されているが、日本通信は独立系の携帯電話販売店や輸入会社に呼びかけ、本格的な輸入を促す。将来は輸入会社や家電量販店と組み、カードと端末をセットで販売することも検討する。
 日本通信のSIMカードを利用する場合、消費者はアイフォーン4の購入に別途6万円前後かかる。日本語で利用できるが、ソフトバンクやドコモのメールサービスは使えない。ソフトバンクは一定期間の継続使用を条件に端末購入の実質負担額を「0円」としており、初期費用はソフトバンクが安い。
 ソフトバンクはアイフォーン4の日本における独占販売契約をアップルと結んでいないとしている。無線機器の利用では国内の技術適合基準を満たす必要があるが、SIMフリーのアイフォーン4も同基準をクリアしているという。アップルは原則、海外で購入した製品のサポートを日本でも受け付けている。



「世界標準」へ連携 規模の追求、利害が一致
 中国発の通信規格を使った高速無線データ通信サービスがインドで始まる。米半導体大手クアルコムが6月にデリー、ムンバイなど4地域の事業免許を落札。地元企業と組み、「TD―LTE」方式のサービスを2011年にも始める計画だ。
米企業が後押し
 TD―LTEは光ファイバー回線並みの高速大容量通信が可能な第3.9世代通信技術。国有の中国移動通信集団(チャイナモバイル)が採用する中国独自の第3世代携帯電話規格「TD―SCDMA」の拡張版だ。これまで中国独自規格は国内専用の印象が強かったが、今回は様相が異なる。
 日本のソフトバンクも採用を検討。ロシアでも採用の動きがある。最大の魅力は「規模の経済」だ。中国の携帯加入は6月末で8億500万件。中国移動だけでも5億5000万件に達する。巨大市場と同じ規格を採用すれば、設備などのコスト低下が期待できる。その普及を支えるのがクアルコムなど米国企業だ。
 上海国際博覧会(上海万博)の会場内にはTD―LTEを使った通信網が張り巡らされている。運営は中国移動だが、システムはモトローラや中国の華為技術(広東省)が提供。華為の技術開発を裏で後押しするのは米IBMだ。「TD―LTEは米国企業が技術面で支え、世界で普及すれば米国企業にも金が落ちる」と米通信業界関係者は解説する。
 米国発の技術を中国に持ち込むのが従来の米中企業の提携関係。中国政府の国産技術育成策や中国企業の成長で「教師」と「教え子」の役割分担は曲がり角を迎えたものの、海外市場での「パートナー」として利害が一致する場面も少なくない。「米中規格」売り込みはその一つだ。
 電気自動車(EV)でも「米中規格」への取り組みが加速する。昨年11月のオバマ大統領訪中時にEV関連の規格統一で合意。具体化へ、充電ステーションなどの規格に関する話し合いが始まった。中国と米国の新車販売台数は合計で世界の4割弱。「世界標準を共同で作った方がメーカーにとって有益だろう」(米エネルギー省のダニエル・ポネマン副長官)
相次ぐ合弁生産
 背景には米中企業がEV分野で既に連携を深めている実情がある。米EVベンチャー、コーダ・オートモーティブ(カリフォルニア州)が年内に米国で投入予定のEV。搭載するリチウムイオン電池は中国海洋石油(北京)傘下の電池大手、天津力神電池とコーダが天津で合弁生産。さらに車台も中国製だ。
 米リチウム電池大手のエナデル(インディアナ州)も5月、同社の親会社と万向集団(浙江省)による中国でのEV向け電池合弁生産を発表した。
 中国で蓄積した連携のノウハウを第三国市場の開拓に生かそうとする試みも始まった。米ゼネラル・モーターズ(GM)は折半出資だった上海GMの持ち株の1%を合弁相手の上海汽車集団に譲渡する代わりに、上海汽車をインド事業のパートナーに迎え入れた。中国での合弁事業で低価格小型車を開発・ヒットさせた実績をインドに持ち込む戦略だ。
 数の力に頼り官製色も濃い「米中規格」が第三国市場でどこまで受け入れられるかには疑問も残る。早期に成功例をつくれるかが、将来の米中連携のヒントにもなる。



新生銀、傘下消費者金融を統合へ レイクとノーローン
 新生銀行は、傘下の消費者金融2社を統合する検討に入った。早ければ来年度にも、「レイク」ブランドで消費者金融を手掛ける新生フィナンシャルと、「ノーローン」ブランドで消費者金融を展開するシンキの両子会社を統合する方向だ。消費者金融は改正貸金業法の全面施行などで事業環境が激化しているが、システムなどを一本化して重複業務も整理し、コスト競争力を高める。
 新生銀の当麻茂樹社長が5日、日本経済新聞のインタビューに対し「消費者金融子会社はオペレーションを一体化して将来的にブランドを1つにすることになる」と述べた。両社合計の消費者金融事業の貸出残高(3月末)は5774億円となり業界4位の武富士に並ぶ規模となる。
 統合すれば、与信などの顧客管理システムも一本化できるため、コスト削減につながるとみている。レイクはインターネットを使って融資の審査を実施する電子取引に力を入れており、有人店舗を一部廃止して人件費などの固定費も減らす方針だ。当麻氏は「先行きの事業環境は不透明だが、コストを下げて利ざやの拡大につなげる」と強調した。
 新生銀は2008年9月に米ゼネラル・エレクトリック(GE)から「レイク」名称の消費者金融事業を買収。シンキとは02年3月に資本提携し、その後は出資比率を上げて10年3月に完全子会社化した。消費者金融事業の買収攻勢で小口金融(リテール)部門の強化を進めてきたが、グループ内の事業重複が課題となっていた。
 消費者金融は改正貸金業法の全面施行の影響で、利息制限法の上限を超える金利(過払い金)の返還請求が続くなど各社とも厳しい環境が続いている。ただ、新生銀はレイクの過払い金について、2039億円以上を超えた場合はGEが負担する契約を結んでおり、業績への影響は限定的としている。7月には初めて超過分をGEから受領した。



カタログ通販各社、ネットに活路 限定品や割引
千趣会、セシールなど比率5~7割に
 千趣会やセシールなど通販各社がインターネットへの顧客の誘導を急いでいる。ネット限定の商品や割引などの特典を用意して、ネット経由の受注・販売を拡大する。主力のカタログ通販はネット専業通販への顧客流出で市場がピーク時より2割以上縮小。各社の業績は不振が続いており、コスト負担も軽減できるネット事業の比率を5~7割まで高めて生き残りを目指す。
 千趣会は9月に配布する夏物セールの通販カタログで掲載品目数を昨年より約700点減らす。衣料品や雑貨などで全体の1割に当たるが、逆にネットではセール対象品目を増やす。同社は今年度、ネット限定商品の売上高を4割増やす計画。顧客のネットへの乗り換えを誘うため、カタログ誌面でネット限定商品の紹介も始めた。
 セシールはネットで注文をした場合に付与する特典ポイントをカタログの2倍に拡大した。カタログでは購入額100円に付き1ポイントだが、ネット通販では2ポイントを与える。100ポイントで100円の割引を受けられる。ディノスは7月中旬からネット限定の特売を開始。衣料品、寝具など約1700品目をカタログより10~75%安く販売する。
 ニッセンホールディングスは9月、米アップルの多機能携帯端末「iPad」向けに通販カタログの配信を始める。画面上の誌面から在庫確認をしたり、通販サイトに移動して商品を注文したりできる。
 ネット通販の伸長に押され、カタログ大手各社の業績は低迷が続く。千趣会では2009年度の営業損益が赤字に転落。ニッセンやディノスの営業利益も09年度は前の年度比で4割強減った。
 これまでのところ大手各社の売り上げ全体に占めるネットの比率は40~60%程度にとどまる。各社は早期に同比率を10ポイント程度高めることを狙う。



社会保障、20歳まで支払い超8000万円 5年前の1.8倍
50歳からプラス 世代別の不均衡拡大
 人が一生の間に政府に払う税金などと、年金などで受け取る受益はどのくらいか。現行制度が続くと仮定すると、現在2008年度に20歳未満の人の生涯収支は8千万円超の「支払い超過」で、5年前に20歳未満だった人の1.8倍になったことが分かった。一方、現在50歳以上だった世代は受け取り超過。今後、高齢化が加速すれば、受益と負担のバランスが一段と崩れる可能性もある。
 一橋大経済研究所の小黒一正准教授が試算した。試算結果について小黒氏は「負担増を先送りしたことで、将来世代の収支が悪化した」と指摘している。
 試算によると、08年現在で50歳代と60歳以上の世代は、それまで支払った分やその後に払う税金・社会保険料より、生涯を通じて受け取る便益の方が大きかった。
 特に60歳以上は生涯で1億4700万円を政府に支払う一方で、社会保障給付を1億8700万円受け取っている。高齢者世代の一部は年金制度の導入時期に当たっており、これが受け取り超過を大きくする原因になっているとみられる。
 一方で40歳代以下は生涯を通じて見れば支払いの方が大きい。しかも、若くなるほどに超過額は大きくなっていく。20歳代についてみると、1100万円の支払い超過となる見込みだ。



国民年金納付率、初の60%割れ 09年度、4年連続で減少
 厚生労働省は5日、2009年度の国民年金保険料の納付率が08年度に比べて2.07ポイント低い59.98%と過去最低を更新したと発表した。前年度を下回るのは4年連続で、初めて60%を割り込んだ。雇用・賃金情勢が厳しかったことなどが影響したと説明している。「国民皆年金」の形骸化に歯止めをかけられない実態が浮き彫りとなった。
 国民年金は20歳以上60歳未満の全員が加入し、保険料を猶予・免除された低所得者らを除く全員に納付義務がある。現行制度が始まった1986年度以降、納付率が最も低かったのは08年度の62.05%だった。
 政府は「納付率80%」を前提に将来の年金財政を設計しており、このまま低下傾向が続けば年金財政への影響も大きい。昨年の政権交代で年金制度の信頼回復を掲げる長妻昭厚労相が就任したものの、納付率が低いままでは、将来多くの無年金・低年金者を生みかねない。
 厚労省年金局によると、景気低迷などで企業を解雇され、国民年金に加入しても保険料を払えない事例が増えているという。「消えた年金」など年金記録問題への根強い不信感から納付を拒否する人も依然多いようだ。納付率の高い団塊の世代が次々と60歳になり、納付対象者から外れたことや、被保険者に占める非正規労働者の割合が増えたのも影響しているという。
 保険料を徴収する日本年金機構(旧社会保険庁)が年金記録問題への対応に追われたことも一因にあげている。厚労相は11年度までの2年間を年金記録問題への集中対策期間として「人、モノ、カネ」を集中投下している。年金局は「年金記録問題への対応を優先し、保険料徴収の強化に人手を割けなかった」と説明している。
 納付率を巡っては、厚労相は1月の日本年金機構発足を機に、これまで政府が目標としてきた年金納付率80%を「非現実的だ」として撤回。09年度は年度としての目標は設けず、10年度については「09年度の納付実績を上回る」と、目標を事実上引き下げている。
 持続可能な年金制度への改革に向け、政府は6月末に7つの基本原則を公表したが、具体論は示さなかった。こうした先行きの不透明感が加入者に保険料納付をためらわせているとの見方も多い。政府内からも「政治家が早期に具体案を示し、年金制度運営への懸念を払拭(ふっしょく)すべきだ」(厚労省幹部)との指摘があがっている。



経産省、ソフト輸出を強化 中国にデザイナー派遣
 経済産業省は日本のソフト輸出の一環として、日本人デザイナーの海外派遣を始める。年末に中国で展示会を開き、若手のデザイナーが現地の家電メーカーやインテリア関連の事業者など業種ごとに商談を進める。政府は新成長戦略のひとつとしてアジア需要の取り込みを掲げており、ソフト輸出をハード面のインフラ輸出などと並ぶ柱に位置付けている。
 経産省は民間事業者と連携して12月9、10日に上海でデザインの商談に絞った「JAPAN DESIGN +」と題した会合を開く。6日から派遣するデザイナーの公募を始め、20人程度を選ぶ。中国では服飾や家電、住宅など多くの分野でデザイン関連のニーズが強まっているという。
 国外へのソフトの売り込みでは、英国や韓国が日本に先行している。政府はアニメや音楽に加え、デザインでも日本は高い競争力を持つとみている。



経営トーク◇楽天が英語で決算会見 三木谷浩史社長「ネット通販、年内の失速ない」
 楽天が5日発表した2010年1~6月期の連結決算は経常利益が前年同期比23%増の275億円だった。主力のネット通販や旅行予約が堅調で、過去最高益を更新した。同日午後、東京・品川の楽天本社で開いた決算説明会で三木谷浩史社長は「年内はネット通販の成長が減速することはない」と述べ、成長持続に自信を示した。楽天は公用語を英語にしており、この日の三木谷社長の説明もすべて英語で行われた。主な発言と質疑応答をまとめた。
 ――足元の業績はどうですか。
5日、英語で決算会見する楽天の三木谷社長
 「4~6月期の営業利益は前年同期比12%増の152億円と過去最高益を更新した。電子商取引(EC)、トラベル、ポータル(玄関)サイトの売り上げ成長がいずれも20%を維持している。電子マネー『Edy(エディ)』の取扱高は641億円と、21%伸びた。消費低迷にもかかわらず成長できており、シナジーを最大化している」
 ――今年後半の楽天市場事業の先行きをどう見ていますか。
 「全般的な消費については悲観的な意見を多くの方々から聞く。ECに関しては改善できることもたくさんあり、年内はネット通販の成長が減速することはない。現在は無駄の洗い出し作業を実施している。年後半には利益率を高められる」
 ――社内公用語を英語にしました。
 「国際化への施策だ。グローバルな人材を採用したい。経営層もそうだし、世界一流の大学から学生を採用する。システム開発拠点の国際化も進めている。英語化は日本だけでなく、中国やアジア、欧州の拠点でもそうだ。英語は日本語よりもシンプルでストレートな言語だ。労働生産性のうえでも好ましいのではないか。エンジニアなどは英語でより新鮮な情報に接することができるようになる。仕事に使う単語は3000~5000語程度だろう」
 ――日本人同士のコミュニケーションは日本語の方がよいのではないか。
 「すべての社員が英語の能力を上げられるように研修など様々な機会を提供している。現時点では(会議などの)フォローアップを日本語で行わなくてはならないこともある。ただし、これから1年、1年半かければ全員が流ちょうな英語を話せるようになる。将来的には経営陣の半数は外国人になる可能性もある」
 ――円高・ドル安が進んでいる。買収には好ましい状況なのでは。
 「その通りだ。1ドル=85円台は非常にすばらしい状況。トヨタ自動車や日産自動車には申し訳ないが、円が強いことを歓迎している」



日経社説
最低賃金上げは慎重を期せ
 今年の地域別最低賃金引き上げの目安を議論していた中央最低賃金審議会の小委員会は、時間あたりの上げ幅を初めて全都道府県で10円以上とすることを決めた。全国平均では15円上がり時給728円になる。大部分の地域で現状維持とした昨年と比べ、賃金の底上げを鮮明にした。
 確かに景気は回復の動きがある。だがデフレが続き、特に中小企業の経営は厳しい。円高で大手企業の海外生産移転がいっそう進み、下請けの仕事がさらに減る恐れもある。
 目安通りに最低賃金が上がった場合、人件費増で苦境に陥る中小企業が広がり、雇用が失われないか心配だ。各都道府県の地方最低賃金審議会は地域ごとの実際の最低賃金引き上げに慎重を期すべきだ。
 小委員会で最後まで労使が対立したのは最低賃金の水準が低い沖縄、青森など16県の上げ幅だった。
 政労使などで構成する雇用戦略対話が6月、2020年までのできる限り早い時期に最低賃金を時給800円まで上げることで合意。現在629円と最も低い沖縄など4県は800円との差が大きく、労働側は16県について今年、少なくとも20円前後の引き上げが必要と主張した。
 一方、経営側は、800円への引き上げは20年度までの平均で名目3%などの経済成長が前提である点を挙げ、その実績のない今年、16県の上げ幅は1~3円とした。中立の学識者の裁定による10円以上という金額は労使の主張の間をとった形だ。
 問題はその賃上げの余力が中小企業にあるかだ。従業員30人未満の事業所の時間当たり賃金は今年6月、前年同月に比べ0.1%減り、2年連続マイナスだった。中小企業はコスト削減に追われ続けている。
 大手企業は新興国需要を現地生産でとって業績を急回復させているが、下請けは大手の国内生産縮小で受注が減っている。新事業への進出など経営改革にも資金がいる。最低賃金の引き上げは中小の経営を圧迫し従業員にも影響が及びかねない。
 生活保護の支給額が最低賃金より高い東京、神奈川など12都道府県は、受給者が職に就く意欲をそがないよう、着実に最低賃金を上げていく必要がある。ただし中小企業に無理がないようにする配慮もほしい。
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