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大手ゲームソフト会社を苦しめる「コスト病」
携帯電話などで手軽に遊べる「ソーシャルゲーム」で新興企業が高収益を謳歌(おうか)する一方で、なぜ日本の大手ゲーム開発会社は苦戦を続けているのか。そこには、構造的な問題が存在している。今回は「ボーモルのコスト病」と呼ばれる考え方で、ゲーム産業が抱える課題を読み解いてみよう。
「ボーモルのコスト病」は、1960年代に活躍した経済学者のウィリアム・J・ボウモルとウィリアム・G・ボウエンが「舞台芸術 芸術と経済のジレンマ」(芸団協出版部)で明らかにした概念だ。現在に至るまで、文化経済学という分野を支える理論の1つとなっている。
この著作では、オーケストラ、オペラ、舞踊、演劇といった舞台芸術団体が、なぜ恒常的に存続の危機にぶつからざるを得ないのかを、1900年から1964年までの統計データを駆使して分析している。舞台芸術団体は、コストの5~6割を人件費が占める。しばしば運営危機に陥る最大の理由は、その舞台芸術に携わる人の生産性が向上していない点にある。
1曲の演奏時間は昔も今も同じ
ボーモルの調査では、1900~60年代まで米国の労働者1人の1時間当たり産出量は年間2.5%の割合で上昇し、約29年で2倍になっている。しかし、自動車産業と異なって、舞台芸術は生産性を向上させることができない。「シューベルトの四重奏曲を45分間演奏するのに必要な人間の労働を減少させることはできない」(前掲書)からだ。
一方でボーモルは、映画、レコード、ラジオ、テレビの発達が公演技術に果たした革命的な変化についても述べている。テレビなどのメディアを使えば、演奏会場に来る2500人の聴衆の代わりに2000万人の視聴者に届けることができる。その生産性の向上は40万%にも及ぶという。
しかし、この恩恵を得ることができたのは一部の団体に過ぎず、公演技術自体には影響を与えなかった。一方で、新たなメディアの登場は、「所定の時間の楽しみ」を供給するコストを急激に下落させる現象も引き起こした。そのため、舞台芸術に携わるプロは、全体として所得面で厳しい状況に直面する。製造業など他産業の給与が、社会の生産性向上によって上昇していくにもかかわらず、自らは生産性を向上できないからだ。もちろん、高所得のスターも一部には存在するが、「実演家の労働条件は、一応まずまずといった水準をはるかに下回っている」(前掲書)という状態になる。
チケット値上げは悪循環に
さらなる問題は、舞台芸術団体の生産性が向上しない一方で、社会全体の経済発展でスタッフの賃金が上昇していくことにある。団体の運営経費が膨らみ、赤字を回避するには入場チケットを値上げするしかなくなる。
例として取り上げた米メトロポリタンオペラでは、1950年を100とする指標でみると、消費者物価指数が1965年に120であるのに対し、平均チケット価格は160まで急上昇している。この差は、チケットの値上げで購入者が減少し、その穴埋めのためにさらにチケットを値上げしたという事実を示している。
これは悪循環の始まりである。ボーモルは「普通、学生は低価格チケットを買う。あらゆる芸術分野のほとんどすべての事例で、チケット価格が上昇するにつれて、学生の比率が急激に低下している」(前掲書)という。つまり、多くの新規ユーザーを集められなくなったことで分野がニッチになり、来場者の減少をチケット値上げで補おうとすることで、さらに間口が狭まっていくのである。
こうした事態についてボーモルは、「何が起ころうとも、現在組織されている商業演劇にとって、長期的な財政上の見通しは厳しい」(前掲書)と指摘し、産業の発展が進む社会では、公共機関からの援助なしで舞台芸術を守り続けることは不可能と結論づけている。
現行世代ゲーム機が陥ったコスト病
ボーモルのコスト病は舞台芸術だけでなく、公立病院や教育機関といった労働集約型の公共サービスの多くが赤字化する要因の説明にも拡大されて使われる。この問題は、労働集約性が高まり、個人の能力に依存する範囲が広がる産業ほど顕著に表れる。それは、現在のゲーム産業にもいえることだ。
ゲームの開発費は、約7~8割が人件費で占められている。典型的な労働集約型産業である。現行の「プレイステーション3(PS3)」や「Xbox360」といった高性能なゲーム機向けゲームは、100~200人近いスタッフで20億~30億円をかけて開発するのが当たり前になっている。
1世代前の「プレイステーション2(PS2)」などでは、開発費は10億円以下が一般的だった。しかし、PS2の開発体制で今のPS3向けのクオリティーのゲームを作ることは至難の業である。開発現場で使う開発ツールの性能は向上しているが、生産性を劇的に引き上げるような技術は生まれておらず、人手でデータを作成する領域はむしろ増加しているからだ。
一方、開発コストは2倍以上になったが、市場は2倍になっていない。現行世代のゲーム機は1世代前の数倍のハード性能を持つが、PS3の価格は06年の発売当初4万9980円(20GBモデル)と高額で、ユーザーにコストを転嫁せざるを得なかった。パッケージソフトの価格も7000~8000円と高止まりしている。ゲーム産業は本来、技術革新で生産性を短期間で向上させて利益を生み出してきたが、現行世代ではその速度が鈍化して市場がニッチ化し、ボーモルのコスト病に陥りやすくなったのだ。
コスト病から逃れる方法はあるか
このコスト病から逃れるには、大きく2つの方法がある。
第一に、市場を拡大することである。主にディスクを配布メディアに使う家庭用ゲーム機は、再生産が容易で乗数効果が高い。これはDVDなどのメディアでコンテンツを二次利用する映画産業も同じで、日本の大手ゲーム会社が欧米市場の本格進出を目指ざす理由もここにある。
2つめは開発コスト、特に人件費を引き下げる方法である。ゲームの開発プロセスをモジュール化して人件費の安い地域に分散する流れは不可避で、多くのゲーム会社がグラフィックス制作などを中国をはじめとするアジア地域にアウトソーシングしようとしている。現場でまじめに働いてきた開発者にとっては理不尽だろうが、社外に開発を委託する外注比率も高まる傾向にある。
さらに、第三の道もある。技術革新により生産性を別のかたちで向上させる方法だ。ソーシャルゲーム市場を牽引するディー・エヌ・エー(DeNA)やグリーといった企業が強い理由はここにある。
2~3人の開発チームで開発したゲームを数百万人に配信する。これが数億円の売り上げを生む意味を考えてほしい。開発コストが低いから、小さな収益でも十分に成り立つ。コスト病の外側に立つ新しいビジネスモデルと戦略を生み出したからこそ、ゲーム市場に大きな変化を引き起こしているともいえる。
アマチュアがプロを駆逐?
ボーモルはおもしろい将来像を指摘している。「少なくともあるタイプのプロの公演にとっては、もしかすると大変居心地の悪いこの未来世界は、アマチュア活動にとっては繁栄できる雰囲気を提供するのかもしれない」
アマチュアは、社会の生産性向上によって生まれた余暇時間で技術を磨き、しかも財政的な圧力がないために楽に活動できる。ボーモルは、「アマチュアの活動は鍛えられた実演家をこの分野から駆逐するであろう」(前掲書)と予言した。
これをゲームに当てはめるなら、アップルの「iPhone」といったスマートフォン向けの安価なゲームアプリが、世界中のアマチュアにより大量に開発され、既存のゲーム会社を圧迫しようとしている姿と重なる。歴史は繰り返されている。
既存のゲーム会社が家庭用ゲーム機向けゲームで生き残るには、生産性を跳ね上げるような技術革新が必要になる。PS3向けゲームを数億円のコストで開発し、高い評価を得られるような開発手法が求められている。しかし、それが短期的には難しいからこそ、各社の試行錯誤が続いているのである。
セガ、施設向けゲーム機で中国参入
セガはアミューズメント施設向けゲーム機器事業で中国市場に参入する。このほど中国政府から機器の生産・販売の許可を取得し、来春から現地の合弁会社を通じて中国全土の施設にドライブゲームなどを販売する。中国では携帯電話向けゲームにも参入しており、今後は国内で人気のゲームをパソコン向けなどにも展開する計画だ。
中国では2000年からアミューズメント機器の生産・販売が禁止されていた。今年から規制緩和で法規制が撤廃されており、日本のゲーム機大手として初めての許可取得とみられる。
セガは今回の事業のため、現地の投資会社である上海精文投資(上海市)と合弁会社、精文世嘉(同)を設立済み。出資比率はセガが49%、上海精文などが51%。精文世嘉がセガのゲーム機器を生産、販売する。子供向けを中心に、シューティングゲームや景品が出るゲーム機器などをセガブランドで展開する。
セガは携帯電話向けのゲームでは、すでに約40件のゲームを中国で配信している。今夏に中国の人気アニメキャラクターのライセンスを取得したうえで、同キャラクターを使ったゲームを中国最大の移動通信会社、チャイナ・モバイルのサイトに配信している。施設向けゲーム機器もキャラクターを活用する予定だ。
日経社説
経済に配慮しつつ環境税に道をつけよ
民主党の税制改正プロジェクトチームが来年度からの導入を目指し、石油や石炭にかける環境税の案を示した。環境税は化石燃料の消費を抑え、税収を低炭素技術の普及に生かす税だ。厳しい経済環境に配慮しつつ、温暖化対策の国際動向もにらみ導入に道をつけてほしい。
民主党の案では、石油や石炭などの輸入や生産にかかる税を5割増やす。ガソリン1リットル当たりでは0.79円の増税となり増収幅は約2400億円を見込む。政府は昨年も1兆円規模での導入を検討したが、意見をまとめきれず「2011年度実施に向け成案を得る」と持ち越した。
石油石炭税の今の税率は、二酸化炭素(CO2)排出が多い石炭に軽く、排出が少ない天然ガスに重い。炭素含有率に比例した税率に改めるのであれば、温暖化対策に取り組むうえで理にかなう。
税収は、環境技術を伸ばし低炭素化につながる投資を促すとか、一部を法人税減税に充てるとか、企業に還元するのが望ましい。革新的な省エネ技術の普及を後押しできれば、化石燃料消費が大きい産業も燃料費を節約できる。その結果、税負担を軽くすることも可能になる。
各省の環境対策にムダがあっては国民の理解も得にくい。事業仕分けで指摘を受けたように、政策が重複し効果があいまいなものもある。国のふところ事情が厳しいなか、国民や企業に負担を求める税収をムダに費やすことがあってはならない。
国連の温暖化対策の交渉が暗礁に乗り上げるなか、日本と欧州が主に温暖化ガスの削減義務を負う京都議定書の延長を望む声が、途上国などで強い。二大排出国である中国と米国が加わった新たな国際的な約束を目指すべきで、日本は議定書の延長を安易に受け入れるべきでない。
交渉行き詰まりを打開できなければ、議定書の約束は12年末で切れる。仮にそうなっても削減努力を続けるのは日本の責務だ。日本の真意を世界に理解させるためにも、環境税をはじめ国内対策を整え、低炭素化への強い決意を示すのが望ましい。
環境税の税率を決めるには、景気動向と温暖化交渉の行方の2つを見極める必要がある。
国際競争が厳しくデフレとあって、税負担の製品価格への転嫁は難しく、収益が圧迫されるとの産業界の心配にはもっともな面がある。今の景気と、米中がなかなか国際的な約束に加わりそうもない状況を考え合わせると、いきなり大幅な増税をせず、徐々に税制を整えていってもよいのではないか。
携帯電話などで手軽に遊べる「ソーシャルゲーム」で新興企業が高収益を謳歌(おうか)する一方で、なぜ日本の大手ゲーム開発会社は苦戦を続けているのか。そこには、構造的な問題が存在している。今回は「ボーモルのコスト病」と呼ばれる考え方で、ゲーム産業が抱える課題を読み解いてみよう。
「ボーモルのコスト病」は、1960年代に活躍した経済学者のウィリアム・J・ボウモルとウィリアム・G・ボウエンが「舞台芸術 芸術と経済のジレンマ」(芸団協出版部)で明らかにした概念だ。現在に至るまで、文化経済学という分野を支える理論の1つとなっている。
この著作では、オーケストラ、オペラ、舞踊、演劇といった舞台芸術団体が、なぜ恒常的に存続の危機にぶつからざるを得ないのかを、1900年から1964年までの統計データを駆使して分析している。舞台芸術団体は、コストの5~6割を人件費が占める。しばしば運営危機に陥る最大の理由は、その舞台芸術に携わる人の生産性が向上していない点にある。
1曲の演奏時間は昔も今も同じ
ボーモルの調査では、1900~60年代まで米国の労働者1人の1時間当たり産出量は年間2.5%の割合で上昇し、約29年で2倍になっている。しかし、自動車産業と異なって、舞台芸術は生産性を向上させることができない。「シューベルトの四重奏曲を45分間演奏するのに必要な人間の労働を減少させることはできない」(前掲書)からだ。
一方でボーモルは、映画、レコード、ラジオ、テレビの発達が公演技術に果たした革命的な変化についても述べている。テレビなどのメディアを使えば、演奏会場に来る2500人の聴衆の代わりに2000万人の視聴者に届けることができる。その生産性の向上は40万%にも及ぶという。
しかし、この恩恵を得ることができたのは一部の団体に過ぎず、公演技術自体には影響を与えなかった。一方で、新たなメディアの登場は、「所定の時間の楽しみ」を供給するコストを急激に下落させる現象も引き起こした。そのため、舞台芸術に携わるプロは、全体として所得面で厳しい状況に直面する。製造業など他産業の給与が、社会の生産性向上によって上昇していくにもかかわらず、自らは生産性を向上できないからだ。もちろん、高所得のスターも一部には存在するが、「実演家の労働条件は、一応まずまずといった水準をはるかに下回っている」(前掲書)という状態になる。
チケット値上げは悪循環に
さらなる問題は、舞台芸術団体の生産性が向上しない一方で、社会全体の経済発展でスタッフの賃金が上昇していくことにある。団体の運営経費が膨らみ、赤字を回避するには入場チケットを値上げするしかなくなる。
例として取り上げた米メトロポリタンオペラでは、1950年を100とする指標でみると、消費者物価指数が1965年に120であるのに対し、平均チケット価格は160まで急上昇している。この差は、チケットの値上げで購入者が減少し、その穴埋めのためにさらにチケットを値上げしたという事実を示している。
これは悪循環の始まりである。ボーモルは「普通、学生は低価格チケットを買う。あらゆる芸術分野のほとんどすべての事例で、チケット価格が上昇するにつれて、学生の比率が急激に低下している」(前掲書)という。つまり、多くの新規ユーザーを集められなくなったことで分野がニッチになり、来場者の減少をチケット値上げで補おうとすることで、さらに間口が狭まっていくのである。
こうした事態についてボーモルは、「何が起ころうとも、現在組織されている商業演劇にとって、長期的な財政上の見通しは厳しい」(前掲書)と指摘し、産業の発展が進む社会では、公共機関からの援助なしで舞台芸術を守り続けることは不可能と結論づけている。
現行世代ゲーム機が陥ったコスト病
ボーモルのコスト病は舞台芸術だけでなく、公立病院や教育機関といった労働集約型の公共サービスの多くが赤字化する要因の説明にも拡大されて使われる。この問題は、労働集約性が高まり、個人の能力に依存する範囲が広がる産業ほど顕著に表れる。それは、現在のゲーム産業にもいえることだ。
ゲームの開発費は、約7~8割が人件費で占められている。典型的な労働集約型産業である。現行の「プレイステーション3(PS3)」や「Xbox360」といった高性能なゲーム機向けゲームは、100~200人近いスタッフで20億~30億円をかけて開発するのが当たり前になっている。
1世代前の「プレイステーション2(PS2)」などでは、開発費は10億円以下が一般的だった。しかし、PS2の開発体制で今のPS3向けのクオリティーのゲームを作ることは至難の業である。開発現場で使う開発ツールの性能は向上しているが、生産性を劇的に引き上げるような技術は生まれておらず、人手でデータを作成する領域はむしろ増加しているからだ。
一方、開発コストは2倍以上になったが、市場は2倍になっていない。現行世代のゲーム機は1世代前の数倍のハード性能を持つが、PS3の価格は06年の発売当初4万9980円(20GBモデル)と高額で、ユーザーにコストを転嫁せざるを得なかった。パッケージソフトの価格も7000~8000円と高止まりしている。ゲーム産業は本来、技術革新で生産性を短期間で向上させて利益を生み出してきたが、現行世代ではその速度が鈍化して市場がニッチ化し、ボーモルのコスト病に陥りやすくなったのだ。
コスト病から逃れる方法はあるか
このコスト病から逃れるには、大きく2つの方法がある。
第一に、市場を拡大することである。主にディスクを配布メディアに使う家庭用ゲーム機は、再生産が容易で乗数効果が高い。これはDVDなどのメディアでコンテンツを二次利用する映画産業も同じで、日本の大手ゲーム会社が欧米市場の本格進出を目指ざす理由もここにある。
2つめは開発コスト、特に人件費を引き下げる方法である。ゲームの開発プロセスをモジュール化して人件費の安い地域に分散する流れは不可避で、多くのゲーム会社がグラフィックス制作などを中国をはじめとするアジア地域にアウトソーシングしようとしている。現場でまじめに働いてきた開発者にとっては理不尽だろうが、社外に開発を委託する外注比率も高まる傾向にある。
さらに、第三の道もある。技術革新により生産性を別のかたちで向上させる方法だ。ソーシャルゲーム市場を牽引するディー・エヌ・エー(DeNA)やグリーといった企業が強い理由はここにある。
2~3人の開発チームで開発したゲームを数百万人に配信する。これが数億円の売り上げを生む意味を考えてほしい。開発コストが低いから、小さな収益でも十分に成り立つ。コスト病の外側に立つ新しいビジネスモデルと戦略を生み出したからこそ、ゲーム市場に大きな変化を引き起こしているともいえる。
アマチュアがプロを駆逐?
ボーモルはおもしろい将来像を指摘している。「少なくともあるタイプのプロの公演にとっては、もしかすると大変居心地の悪いこの未来世界は、アマチュア活動にとっては繁栄できる雰囲気を提供するのかもしれない」
アマチュアは、社会の生産性向上によって生まれた余暇時間で技術を磨き、しかも財政的な圧力がないために楽に活動できる。ボーモルは、「アマチュアの活動は鍛えられた実演家をこの分野から駆逐するであろう」(前掲書)と予言した。
これをゲームに当てはめるなら、アップルの「iPhone」といったスマートフォン向けの安価なゲームアプリが、世界中のアマチュアにより大量に開発され、既存のゲーム会社を圧迫しようとしている姿と重なる。歴史は繰り返されている。
既存のゲーム会社が家庭用ゲーム機向けゲームで生き残るには、生産性を跳ね上げるような技術革新が必要になる。PS3向けゲームを数億円のコストで開発し、高い評価を得られるような開発手法が求められている。しかし、それが短期的には難しいからこそ、各社の試行錯誤が続いているのである。
セガ、施設向けゲーム機で中国参入
セガはアミューズメント施設向けゲーム機器事業で中国市場に参入する。このほど中国政府から機器の生産・販売の許可を取得し、来春から現地の合弁会社を通じて中国全土の施設にドライブゲームなどを販売する。中国では携帯電話向けゲームにも参入しており、今後は国内で人気のゲームをパソコン向けなどにも展開する計画だ。
中国では2000年からアミューズメント機器の生産・販売が禁止されていた。今年から規制緩和で法規制が撤廃されており、日本のゲーム機大手として初めての許可取得とみられる。
セガは今回の事業のため、現地の投資会社である上海精文投資(上海市)と合弁会社、精文世嘉(同)を設立済み。出資比率はセガが49%、上海精文などが51%。精文世嘉がセガのゲーム機器を生産、販売する。子供向けを中心に、シューティングゲームや景品が出るゲーム機器などをセガブランドで展開する。
セガは携帯電話向けのゲームでは、すでに約40件のゲームを中国で配信している。今夏に中国の人気アニメキャラクターのライセンスを取得したうえで、同キャラクターを使ったゲームを中国最大の移動通信会社、チャイナ・モバイルのサイトに配信している。施設向けゲーム機器もキャラクターを活用する予定だ。
日経社説
経済に配慮しつつ環境税に道をつけよ
民主党の税制改正プロジェクトチームが来年度からの導入を目指し、石油や石炭にかける環境税の案を示した。環境税は化石燃料の消費を抑え、税収を低炭素技術の普及に生かす税だ。厳しい経済環境に配慮しつつ、温暖化対策の国際動向もにらみ導入に道をつけてほしい。
民主党の案では、石油や石炭などの輸入や生産にかかる税を5割増やす。ガソリン1リットル当たりでは0.79円の増税となり増収幅は約2400億円を見込む。政府は昨年も1兆円規模での導入を検討したが、意見をまとめきれず「2011年度実施に向け成案を得る」と持ち越した。
石油石炭税の今の税率は、二酸化炭素(CO2)排出が多い石炭に軽く、排出が少ない天然ガスに重い。炭素含有率に比例した税率に改めるのであれば、温暖化対策に取り組むうえで理にかなう。
税収は、環境技術を伸ばし低炭素化につながる投資を促すとか、一部を法人税減税に充てるとか、企業に還元するのが望ましい。革新的な省エネ技術の普及を後押しできれば、化石燃料消費が大きい産業も燃料費を節約できる。その結果、税負担を軽くすることも可能になる。
各省の環境対策にムダがあっては国民の理解も得にくい。事業仕分けで指摘を受けたように、政策が重複し効果があいまいなものもある。国のふところ事情が厳しいなか、国民や企業に負担を求める税収をムダに費やすことがあってはならない。
国連の温暖化対策の交渉が暗礁に乗り上げるなか、日本と欧州が主に温暖化ガスの削減義務を負う京都議定書の延長を望む声が、途上国などで強い。二大排出国である中国と米国が加わった新たな国際的な約束を目指すべきで、日本は議定書の延長を安易に受け入れるべきでない。
交渉行き詰まりを打開できなければ、議定書の約束は12年末で切れる。仮にそうなっても削減努力を続けるのは日本の責務だ。日本の真意を世界に理解させるためにも、環境税をはじめ国内対策を整え、低炭素化への強い決意を示すのが望ましい。
環境税の税率を決めるには、景気動向と温暖化交渉の行方の2つを見極める必要がある。
国際競争が厳しくデフレとあって、税負担の製品価格への転嫁は難しく、収益が圧迫されるとの産業界の心配にはもっともな面がある。今の景気と、米中がなかなか国際的な約束に加わりそうもない状況を考え合わせると、いきなり大幅な増税をせず、徐々に税制を整えていってもよいのではないか。
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ソニーの「PSPスマートフォン」、年内にお披露目される可能性も
先日ソニーグループの携帯電話メーカー、ソニー・エリクソンCEOのBert Nordberg氏がPSPとスマートフォンを合体させたスライド式端末の開発にあたって親会社のソニーと協力しており、来年の早い時期に何らかの発表が行われるかもしれないことを明かしていたが、年内に「PSPスマートフォン」がお披露目される可能性も出てきた。残念ながら確定事項ではないものの、非常に気になるところだ。
ソニー・エリクソンのフランス法人のCEOを務めるPierre Perron氏が開催するパーティーの招待状とされるものに、非常に気になる内容が含まれていた。
招待状の写真にはプレイステーションシリーズでおなじみの「×○△□」のアイコンに加えて、電話のアイコンが記されており、「PSPスマートフォン」を想起させる意味ありげなものとなっている。
この招待状が本物であるのか、そして本当に何らかの発表が行われるのかは不明だが、パーティーが行われる予定とされる12月9日20時(日本時間の12月10日4時)に注目が集まりそうだ。
ソニー、電子書籍端末「Reader」を12月10日発売
ソニーマーケティングは、電子ペーパー搭載の電子書籍端末「Reader」2モデルを12月10日に発売する。店頭価格は、5インチディスプレイ搭載の「Pocket Edition」(PRS-350)が2万円程度、6インチディスプレイ搭載で音楽再生に対応した「Touch Edition」(PRS-650)が2万5000円程度になる見込み。
Readerは、XMDFのほか、ePub、PDF、テキスト形式のファイルを表示できる電子書籍端末。600×800ドット、16階調グレースケールのE-Ink社製電子ペーパー「Pearl」を搭載。光学式タッチスクリーンも装備しており、指やタッチペンによりタッチ操作でページ送りやメモの記入などが行える。
文字は6段階でサイズ調整が可能で、読んでいるページにしおりを挟むブックマーク機能や、タッチペンを利用して本の上に手書きのメモを書き込んだり、気になる文章にマーカーを引いたりするメモ機能、気になる語句を調べられる英和辞書(ジーニアス英和辞書 第四版)、英英辞書(New Oxford American Dictionary)が搭載されている。メモ機能や検索機能を利用する際には、ソフトウェアキーボードが表示される。
2モデルともに2GBのメモリを内蔵し、うち1.4GBがユーザーエリアとして割り当てられている。書籍1冊を約1MBとして計算すると、約1400冊が保存できる。Touch Editionには、メモリースティック PRO デュオとSDメモリーカードのスロットも用意されており、MP3やAACといった音楽ファイルを再生できる。
電子書籍端末「1年で30万台」 ソニー子会社社長
ソニーマーケティングの栗田伸樹社長は25日、12月に国内向けに発売する電子書籍閲覧端末「リーダー」について「(発売後)約1年で30万台売りたい」と述べた。国内の電子書籍専用端末の販売は2012年に100万台を超えると想定しており「50%のマーケットシェアは取っていきたい」としている。
市場では、米アップルの「iPad」など、電子書籍閲覧以外の用途でも使える汎用型端末が増えているが、米ソニー・エレクトロニクスの野口不二夫シニア・バイス・プレジデントは「北米では専用端末向けの電子書籍コンテンツの売り上げは、汎用端末の約5倍だ」と強調。そのうえで、文庫サイズの端末など「本の読みやすさがソニーの強みだ」と述べた。
ソニー:次期社長人事を検討、ストリンガー氏の後継候補-関係者
11月25日(ブルームバーグ):ソニーは、次期社長人事の検討に入った。新社長はハワード・ストリンガー最高経営責任者(CEO、68)の後継者になる可能性がある。関係者が明らかにした。
関係者の1人が匿名で明らかにしたところによると、ストリンガー氏は会長とCEOの職にはとどまるという。ストリンガー氏は09年に、権限を自身に集中させるため中鉢良治社長(当時)との二人三脚体制を脱し、社長も兼務してきた。
新社長は、世界を飛び回るストリンガー氏の負担を軽減する一方、ソニーの経営目標達成に向けその実力が試されることになる。関係者3人によれば、「四銃士」と呼ばれる幹部のうち、ゲームやパソコンなどネットワーク対応製品の事業を統括する平井一夫氏(49)や、テレビを中心に事業を統括する吉岡浩氏(58)が、候補として検討される可能性があるという。ソニーの広報担当者、神戸司郎氏はコメントを控えた。
ストリンガー氏は、ニューヨーク、東京、ロサンゼルスのオフィスに加えて、自宅のあるロンドンを飛び回る生活を送っている。昨年の段階で、中期経営計画の目標を2013年3月までにCEOとして達成する意向を示していた。
ストリンガー氏は05年6月に会長兼CEOに就任。業績回復に向けて、3万人に上る人員削減や工場再編などの構造改革を実施した。しかし、テレビでは韓国サムスン電子、ゲームでは任天堂、携帯音楽プレーヤーなどでは米アップルの後塵(じん)を拝している。次期社長はこうした課題を引き継ぐことになる。
ストリンガー氏がCEOに就任してから株価は約25%下がっており、下落率は日経平均株価の約2倍。25日午前の終値は前日比1.5%高の2914円。
後継者候補の一人である平井氏は現在、ゲーム子会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の社長も務める。CBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)出身でSCE米法人社長も経験。日米両国で教育を受けており、英語が堪能だ。一方、吉岡氏は四銃士の最年長で、携帯電話やオーディオのトップを歴任。現在はテレビやブルーレイディスクプレーヤーなどエレクトロニクス部門や半導体、電池などの部門を統括したグループを率いる。
四銃士のあと2人は石田佳久氏(51)と鈴木国正氏(50)。石田氏はこれまでパソコン「VAIO(バイオ)」事業の本部長を務め、現在は吉岡氏の下でテレビ事業を統括している。鈴木氏は現在、平井氏率いるネットワーク関連製品グループでバイオ事業本部長に就いている。
ストリンガー会長はオックスフォード大学卒業で、米国の放送局CBSに勤務後、1997年にソニー入社。ソニー米国法人の経営改革で名を馳せ、米映画大手MGMの買収を成功させた。新世代DVDの規格争いでも、ハリウッドとのパイプを生かし、ソニー陣営の「ブルーレイ」を勝利に導いた。
りそな銀行の戸田浩司チーフ・ファンド・マネジャーは、ストリンガー氏の経営について、「構造改革を断行して止血したことは功績があったと言えるだろう」と指摘、「成長につながるかじ取りまではできていないようだが、次の成長に向けての体力的な余裕、時間的な猶予を作ったという点では一定の評価はできる」としている。
ネットでラジオ楽しめる「ラジコ」で新会社設立 関東、関西で本格配信へ
ニッポン放送など民放ラジオ13社と電通は25日、インターネットを通じて地上波ラジオを配信する「radiko(ラジコ)」を運営するための新会社を12月1日付で設立すると発表した。電通の岩下宏ラジオ局次長が社長に就任する。
ラジコはパソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)で楽しめるサービスで、3月から試験配信を行ってきた。ホームページ(http://radiko.jp/)にアクセスすれば無料で利用できる。
新会社には電通が17%を出資し、ニッポン放送など7社が8%ずつ、朝日放送など6社が4・5%ずつ出資する。
12月1日からは、関東1都6県(ニッポン放送やTBSラジオなど7局)と、関西2府4県(朝日放送や毎日放送など6局)でサービスを展開する。今後は参加ラジオ局を募り、来春をめどに北海道や中部、九州へのサービス拡大を目指すとしている。
日本の周波数政策が大転換、「LTEに周波数100MHz拡大」など700M/900MHz帯割り当て方針決まる
総務省の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース 電気通信市場の環境変化への対応検討部会」は2010年11月25日、「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ(周波数検討WG)」の第10回会合を開催した。無線通信向けの新たな周波数割り当て案について、「700M/900MHz帯は、ワイヤレスブロードバンド実現に向けて、100MHz幅を確保すべき」といった最終取りまとめの骨子案が報告された。
700M/900MHz帯を使っているFPUやラジオマイク、MCA、ICタグ(RFID)は別周波数へ移行すること、700M/900MHz帯はそれぞれの周波数帯でペアバンドを構成することなど、周波数再編方針が示された。地上アナログ・テレビ放送を停波して空けた700MHz帯と、800MHz帯を再編成して空けた900MHz帯でペアバンドを構成するという日本独自の割り当て案から、700MHz帯と900MHz帯ともに国際的に割り当てられた周波数帯と協調する案へ軌道修正したことで、日本の周波数政策は大転換期を迎えた。
ラジオマイクはホワイトスペース活用
700MHzの再編方針は利用開始を2015年に設定した。既存システムについては、ラジオマイクをホワイトスペースまたは1.2GHz帯へ移行させる。FPUは1.2GHz帯か2.3GHz帯へ移行する。また、割り当て周波数帯は「テレビ放送用のブースターへの影響を踏まえ、下り(基地局から端末への電波)の周波数は770MHz以上」という方針が示された。同じく700MHz帯での割り当てが予定されているITSは利用周波数が明確にされていないが、早期に決定するとしている。
900MHz帯は700MHz帯よりも早期に利用できる見通しで、2012年をメドに5MHz×2のペアバンドで利用を開始する。その後、2015年からは10MHz×2を追加利用できるようにする。個別の既存システムについては、ICタグは950MHz帯から915M~928MHzへ、MCAは930M~940MHz帯へそれぞれ移行する。ICタグおよびMCAの移行は2012年から開始し、2015年をメドとするものの、最終的には2017年度末までの完全移行を目指す。パーソナル無線は2015年度をメドに廃止し、さらに2012~2015年は携帯電話と周波数を共用することで、できるだけ早く携帯電話用途で利用できるようにする。
支払い能力で周波数利用事業者を決定
FPUやラジオマイク、MCA、ICタグという既存システムの移行に当たっては、移行後の周波数を利用する事業者が負担する基本方針が確認された。移行費用については前回会合で700MHz帯と900MHz帯ともに1000億円という試算が示されたが、この費用をどれだけ支払えるのかが事業者決定の基準の一つになる見込みである。ただしオークションのような金額の多寡ではなく、移行に必要な負担額の支払い能力があるかという与信度が重視されるという。また、どれだけ早くサービスを開始できるかも基準になるとしている。
周波数帯の利用権をオークションにかける電波オークションについては、親会の会合で移行費用の負担の方法として内藤正光総務副大臣(当時)から、「電波オークションを前向きに検討する。特に700M/900MHz帯をスムーズに再編するために電波オークションが導入できないか検討していく」という発言もあったが、「導入について十分なコンセンサスが得られているとは言い難い」として、今回の最終とりまとめ骨子案では見送ることになった。ただし「さらなる議論を行うことが必要」として、今後における議論の余地を残した。その議論の際は、「落札額の高騰がユーザー負担の増加を引き起こす可能性があること」や、「新規参入による競争促進との整合性がない」といった点を考慮すべきとした。
先日ソニーグループの携帯電話メーカー、ソニー・エリクソンCEOのBert Nordberg氏がPSPとスマートフォンを合体させたスライド式端末の開発にあたって親会社のソニーと協力しており、来年の早い時期に何らかの発表が行われるかもしれないことを明かしていたが、年内に「PSPスマートフォン」がお披露目される可能性も出てきた。残念ながら確定事項ではないものの、非常に気になるところだ。
ソニー・エリクソンのフランス法人のCEOを務めるPierre Perron氏が開催するパーティーの招待状とされるものに、非常に気になる内容が含まれていた。
招待状の写真にはプレイステーションシリーズでおなじみの「×○△□」のアイコンに加えて、電話のアイコンが記されており、「PSPスマートフォン」を想起させる意味ありげなものとなっている。
この招待状が本物であるのか、そして本当に何らかの発表が行われるのかは不明だが、パーティーが行われる予定とされる12月9日20時(日本時間の12月10日4時)に注目が集まりそうだ。
ソニー、電子書籍端末「Reader」を12月10日発売
ソニーマーケティングは、電子ペーパー搭載の電子書籍端末「Reader」2モデルを12月10日に発売する。店頭価格は、5インチディスプレイ搭載の「Pocket Edition」(PRS-350)が2万円程度、6インチディスプレイ搭載で音楽再生に対応した「Touch Edition」(PRS-650)が2万5000円程度になる見込み。
Readerは、XMDFのほか、ePub、PDF、テキスト形式のファイルを表示できる電子書籍端末。600×800ドット、16階調グレースケールのE-Ink社製電子ペーパー「Pearl」を搭載。光学式タッチスクリーンも装備しており、指やタッチペンによりタッチ操作でページ送りやメモの記入などが行える。
文字は6段階でサイズ調整が可能で、読んでいるページにしおりを挟むブックマーク機能や、タッチペンを利用して本の上に手書きのメモを書き込んだり、気になる文章にマーカーを引いたりするメモ機能、気になる語句を調べられる英和辞書(ジーニアス英和辞書 第四版)、英英辞書(New Oxford American Dictionary)が搭載されている。メモ機能や検索機能を利用する際には、ソフトウェアキーボードが表示される。
2モデルともに2GBのメモリを内蔵し、うち1.4GBがユーザーエリアとして割り当てられている。書籍1冊を約1MBとして計算すると、約1400冊が保存できる。Touch Editionには、メモリースティック PRO デュオとSDメモリーカードのスロットも用意されており、MP3やAACといった音楽ファイルを再生できる。
電子書籍端末「1年で30万台」 ソニー子会社社長
ソニーマーケティングの栗田伸樹社長は25日、12月に国内向けに発売する電子書籍閲覧端末「リーダー」について「(発売後)約1年で30万台売りたい」と述べた。国内の電子書籍専用端末の販売は2012年に100万台を超えると想定しており「50%のマーケットシェアは取っていきたい」としている。
市場では、米アップルの「iPad」など、電子書籍閲覧以外の用途でも使える汎用型端末が増えているが、米ソニー・エレクトロニクスの野口不二夫シニア・バイス・プレジデントは「北米では専用端末向けの電子書籍コンテンツの売り上げは、汎用端末の約5倍だ」と強調。そのうえで、文庫サイズの端末など「本の読みやすさがソニーの強みだ」と述べた。
ソニー:次期社長人事を検討、ストリンガー氏の後継候補-関係者
11月25日(ブルームバーグ):ソニーは、次期社長人事の検討に入った。新社長はハワード・ストリンガー最高経営責任者(CEO、68)の後継者になる可能性がある。関係者が明らかにした。
関係者の1人が匿名で明らかにしたところによると、ストリンガー氏は会長とCEOの職にはとどまるという。ストリンガー氏は09年に、権限を自身に集中させるため中鉢良治社長(当時)との二人三脚体制を脱し、社長も兼務してきた。
新社長は、世界を飛び回るストリンガー氏の負担を軽減する一方、ソニーの経営目標達成に向けその実力が試されることになる。関係者3人によれば、「四銃士」と呼ばれる幹部のうち、ゲームやパソコンなどネットワーク対応製品の事業を統括する平井一夫氏(49)や、テレビを中心に事業を統括する吉岡浩氏(58)が、候補として検討される可能性があるという。ソニーの広報担当者、神戸司郎氏はコメントを控えた。
ストリンガー氏は、ニューヨーク、東京、ロサンゼルスのオフィスに加えて、自宅のあるロンドンを飛び回る生活を送っている。昨年の段階で、中期経営計画の目標を2013年3月までにCEOとして達成する意向を示していた。
ストリンガー氏は05年6月に会長兼CEOに就任。業績回復に向けて、3万人に上る人員削減や工場再編などの構造改革を実施した。しかし、テレビでは韓国サムスン電子、ゲームでは任天堂、携帯音楽プレーヤーなどでは米アップルの後塵(じん)を拝している。次期社長はこうした課題を引き継ぐことになる。
ストリンガー氏がCEOに就任してから株価は約25%下がっており、下落率は日経平均株価の約2倍。25日午前の終値は前日比1.5%高の2914円。
後継者候補の一人である平井氏は現在、ゲーム子会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の社長も務める。CBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)出身でSCE米法人社長も経験。日米両国で教育を受けており、英語が堪能だ。一方、吉岡氏は四銃士の最年長で、携帯電話やオーディオのトップを歴任。現在はテレビやブルーレイディスクプレーヤーなどエレクトロニクス部門や半導体、電池などの部門を統括したグループを率いる。
四銃士のあと2人は石田佳久氏(51)と鈴木国正氏(50)。石田氏はこれまでパソコン「VAIO(バイオ)」事業の本部長を務め、現在は吉岡氏の下でテレビ事業を統括している。鈴木氏は現在、平井氏率いるネットワーク関連製品グループでバイオ事業本部長に就いている。
ストリンガー会長はオックスフォード大学卒業で、米国の放送局CBSに勤務後、1997年にソニー入社。ソニー米国法人の経営改革で名を馳せ、米映画大手MGMの買収を成功させた。新世代DVDの規格争いでも、ハリウッドとのパイプを生かし、ソニー陣営の「ブルーレイ」を勝利に導いた。
りそな銀行の戸田浩司チーフ・ファンド・マネジャーは、ストリンガー氏の経営について、「構造改革を断行して止血したことは功績があったと言えるだろう」と指摘、「成長につながるかじ取りまではできていないようだが、次の成長に向けての体力的な余裕、時間的な猶予を作ったという点では一定の評価はできる」としている。
ネットでラジオ楽しめる「ラジコ」で新会社設立 関東、関西で本格配信へ
ニッポン放送など民放ラジオ13社と電通は25日、インターネットを通じて地上波ラジオを配信する「radiko(ラジコ)」を運営するための新会社を12月1日付で設立すると発表した。電通の岩下宏ラジオ局次長が社長に就任する。
ラジコはパソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)で楽しめるサービスで、3月から試験配信を行ってきた。ホームページ(http://radiko.jp/)にアクセスすれば無料で利用できる。
新会社には電通が17%を出資し、ニッポン放送など7社が8%ずつ、朝日放送など6社が4・5%ずつ出資する。
12月1日からは、関東1都6県(ニッポン放送やTBSラジオなど7局)と、関西2府4県(朝日放送や毎日放送など6局)でサービスを展開する。今後は参加ラジオ局を募り、来春をめどに北海道や中部、九州へのサービス拡大を目指すとしている。
日本の周波数政策が大転換、「LTEに周波数100MHz拡大」など700M/900MHz帯割り当て方針決まる
総務省の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース 電気通信市場の環境変化への対応検討部会」は2010年11月25日、「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ(周波数検討WG)」の第10回会合を開催した。無線通信向けの新たな周波数割り当て案について、「700M/900MHz帯は、ワイヤレスブロードバンド実現に向けて、100MHz幅を確保すべき」といった最終取りまとめの骨子案が報告された。
700M/900MHz帯を使っているFPUやラジオマイク、MCA、ICタグ(RFID)は別周波数へ移行すること、700M/900MHz帯はそれぞれの周波数帯でペアバンドを構成することなど、周波数再編方針が示された。地上アナログ・テレビ放送を停波して空けた700MHz帯と、800MHz帯を再編成して空けた900MHz帯でペアバンドを構成するという日本独自の割り当て案から、700MHz帯と900MHz帯ともに国際的に割り当てられた周波数帯と協調する案へ軌道修正したことで、日本の周波数政策は大転換期を迎えた。
ラジオマイクはホワイトスペース活用
700MHzの再編方針は利用開始を2015年に設定した。既存システムについては、ラジオマイクをホワイトスペースまたは1.2GHz帯へ移行させる。FPUは1.2GHz帯か2.3GHz帯へ移行する。また、割り当て周波数帯は「テレビ放送用のブースターへの影響を踏まえ、下り(基地局から端末への電波)の周波数は770MHz以上」という方針が示された。同じく700MHz帯での割り当てが予定されているITSは利用周波数が明確にされていないが、早期に決定するとしている。
900MHz帯は700MHz帯よりも早期に利用できる見通しで、2012年をメドに5MHz×2のペアバンドで利用を開始する。その後、2015年からは10MHz×2を追加利用できるようにする。個別の既存システムについては、ICタグは950MHz帯から915M~928MHzへ、MCAは930M~940MHz帯へそれぞれ移行する。ICタグおよびMCAの移行は2012年から開始し、2015年をメドとするものの、最終的には2017年度末までの完全移行を目指す。パーソナル無線は2015年度をメドに廃止し、さらに2012~2015年は携帯電話と周波数を共用することで、できるだけ早く携帯電話用途で利用できるようにする。
支払い能力で周波数利用事業者を決定
FPUやラジオマイク、MCA、ICタグという既存システムの移行に当たっては、移行後の周波数を利用する事業者が負担する基本方針が確認された。移行費用については前回会合で700MHz帯と900MHz帯ともに1000億円という試算が示されたが、この費用をどれだけ支払えるのかが事業者決定の基準の一つになる見込みである。ただしオークションのような金額の多寡ではなく、移行に必要な負担額の支払い能力があるかという与信度が重視されるという。また、どれだけ早くサービスを開始できるかも基準になるとしている。
周波数帯の利用権をオークションにかける電波オークションについては、親会の会合で移行費用の負担の方法として内藤正光総務副大臣(当時)から、「電波オークションを前向きに検討する。特に700M/900MHz帯をスムーズに再編するために電波オークションが導入できないか検討していく」という発言もあったが、「導入について十分なコンセンサスが得られているとは言い難い」として、今回の最終とりまとめ骨子案では見送ることになった。ただし「さらなる議論を行うことが必要」として、今後における議論の余地を残した。その議論の際は、「落札額の高騰がユーザー負担の増加を引き起こす可能性があること」や、「新規参入による競争促進との整合性がない」といった点を考慮すべきとした。
メディア王のマードック氏、iPad専用の新聞を計画中 アプリの課金で収益確保へ
メディア王として知られる米ニューズ・コーポレーションのルパート・マードック会長が、米アップルの「アイパッド(iPad)」などのタブレット端末向け日刊紙を計画していると米国のメディアが報じている。
年末にもベータ版を開始
それによると同氏は今年5月のとある深夜にこの構想を思いついた。印刷版は発行せず、課金の仕組みを持つタブレット端末専用の新聞をつくる。同氏は調査を行っており、読者はアイパッドで時間を費やす方が好きだということが分かったのだという。また数年後には携帯電話のように誰もが量販店で安い端末を購入するようになり、タブレットが1人1台の時代になるのもそう遠くはないと考えている。
メディア報道によると、このプロジェクトはかなり具体的に進んでおり、既に大規模な組織体制がつくられている。例えば傘下のニューヨーク・ポスト紙の編集長ジェシー・アンジェロ氏をプロジェクトの責任者に任命しており、3カ月かけて100人のスタッフから成るニュース編集室を設置した。媒体名は「ザ・デイリー(The Daily)」で、料金は1週間99セント、1カ月4.25ドルという設定。2010年のクリスマス時期にベータ版を開始し、2011年初めにも一般公開するという。
スタッフには、ニューヨーカー誌のライターや、ニューヨーク・タイムズのベテラン編集者、ABCニュースのプロデューサー、英国の日刊タブロイド紙サンのオンライン版編集者などを起用したほか、動画コンテンツやデザインのスタッフも多数揃えている。音声、動画、写真を多用するリッチメディアの電子新聞が出来上がるという。
英紙オンライン版の購読数はわずか数万件
しかしこのプロジェクト、マードック会長が思い描くように採算が取れる事業なのだろうか?
ニューズ・コーポレーション傘下の新聞では、米国の経済紙ウォールストリート・ジャーナルが記事本文の一部を表示し、全文を読むには有料会員への登録が必要な「有料の壁(ペイウォール)」を導入している。
また英国の日刊紙「タイムズ」と日曜紙「サンデー・タイムズ」のオンライン版(「thetimes.co.uk」と「thesundaytimes.co.uk」)をこの6月に有料化している。こちらはトップページ以外ほぼすべてが有料となる会員制で、マードック氏が目指すオンラインニュースの完全有料化に向けた実験という位置付けだ。
この2つの英国紙について同社は最初の4カ月間で10万件の有料購読があったと発表しているが、米ニューヨーク・タイムズによると、実はそのほぼ半数は定期購読ではない。つまり単発の購読だ。
タイムズとサンデー・タイムズオンライン版の料金は2種類あり、1つは新聞1部と同じ1日1ポンド。もう1つは初回30日間が1ポンドで、その後1週間ごとに2ポンドかかるという定期購読。料金は紙の新聞の定期購読者からは取らない。そしてこれら既存読者を除く、純粋な新規購読数はわずか数万件にとどまっているという。
つまり、有料化計画は当初予想していたほど成功していないということになる。ウィリアム王子婚約の話題で盛り上がる英国メディアだが、まだウェブ版に金を払うという人は少ないようだ。
そこでマードック氏は課金システムが確立しているアイパッドに活路を見いだしたというわけだが、「そこには厳しい現実がある」とニューヨーク・タイムズは指摘している。
マードック氏が計画しているザ・デイリーとは、紙の新聞という古典的な媒体の作り方を単純に最新の機器でやるというだけのもので、今の時代にマッチしていないというのだ。新聞は夜までに記事を完成させ、夜中に印刷し、朝に配達する。マードック氏はこれを電子版でやろうとしているが、それではウェブの速報性にはかなわない。
さらにウェブの世界ではリンクというエコシステム(生態系)が形成されている。そうした時代にマードック氏のザ・デイリーはアプリという閉鎖的な形を取ろうとしていると指摘している。
ニューヨーク・タイムズ記事では現実的に購読される部数は10万部程度で、収益は多くても年間2000万ドルと予測している。マードック氏が計画している同事業の初年度の予算は3000万ドル。つまりこの事業、同氏のほかの新聞同様に採算は取れないと結論づけている。
au スマートフォンに勢い あす発売「IS03」 ネット・店頭で予約殺到
KDDI(au)が26日に発売する主力のスマートフォン(高機能携帯電話)「IS03」(シャープ製)のネット仮予約が約25万件に達するなど、予想を上回る人気となっている。初期の発注は異例の60万台とみられており、スマートフォン市場での出遅れを挽回する勢いだ。
店頭予約も20万台前後になる見通しで、NTTドコモの「エクスペリア」や「ギャラクシー・エス」の各5万台を大きく上回るペースだ。2年後には国内携帯電話出荷台数の5割に達すると予想される成長分野だけに、スマートフォンの覇権争いが激しさを増しそうだ。
IS03は、基本ソフト(OS)に世界で急速にシェアを伸ばしているアンドロイドを搭載。おサイフケータイやワンセグ、高性能カメラ、赤外線通信など第3世代(3G)携帯電話の機能もそのまま使える便利さを備えているのが特徴。
KDDIは10月4日のIS03発表直後から、専用サイトで仮予約した人に予備バッテリーをプレゼントするキャンペーンを実施。23日時点で登録者は24万9000人を超えた。また、携帯電話販売最大手のティーガイアは「当社のショップでの事前予約は約10万件に達する見通し。当社のシェアからみると、15万台はいくのでは」(片山文平副社長)と強気の見通しを立てている。
トーバルズ氏「多様な機器へ対応」 「リナックス」創始者
設計図が公開され無償で利用できる基本ソフト(OS)「リナックス」の創始者リーナス・トーバルズ氏が24日、日本経済新聞に対し、今後のリナックスの開発では「高機能携帯電話(スマートフォン)など多様化した電子機器への対応を強化する」と語った。スマートフォンやタブレット端末など非パソコン機器の市場が急成長していることに対応、米マイクロソフトや米アップルなどの独自OSに対抗する。
リナックスは1991年にトーバルズ氏が個人で開発を始めたOS。現在では数千人の技術者が無償で開発に参加し、テレビや携帯電話、業務システムまで幅広く普及している。国内では2010年1月に稼働した東京証券取引所の基幹システムがリナックスを採用している。
日本ではルネサスエレクトロニクス、富士通やNTTグループなどが参画。トーバルズ氏は「ここ数年は日本からの貢献度が1割近くを占めている。業務システムやデジタル家電のほか、ネットワーク技術での貢献が大きい」とし、日本の役割に期待を示した。
米グーグルが開発するスマートフォン向けOS「アンドロイド」もリナックスをベースとする。トーバルズ氏は競合する米アップルのiPhone(アイフォーン)について「(ソフト開発に様々な制限を加えるなどして)市場を制御する試みは長続きしない」として将来性に疑問を投げかけた。
カラオケ、新サービス競う メンズデーや専用シェフも
飽和状態が進むカラオケ業界で一律だったサービス内容を見直すケースが増えている。「ビッグエコー」を運営する第一興商はベビーチェアの無料貸し出しなど、立地別の独自サービスを導入。シダックス・コミュニティーは2011年度から15億円程度をかけ、「女性専用」や「ゴルフ」などの特別室を増やす。個人消費の冷え込みに伴い最需要期の夜間利用が減少するなか、新たな顧客争奪戦が激化しそうだ。
第一興商は来年3月までに順次、直営のビッグエコー全121店舗でターゲット別の新サービスを導入する。既存店を「繁華街」「沿線駅前」「郊外」「ナイト」「オフィス」の5つに分類。郊外型ではおもちゃや絵本、ベビーチェアを無料で貸し出す。深夜利用が多いナイト型は女性に化粧直しセットやひざ掛けを無料で用意し、オフィス型には高級酒や生ハムなどを投入する。
同社は4~9月期の既存店売上高が前年同期比で1割弱減少。「全店統一の金太郎あめのサービスでは集客に限界がある」(店舗企画課)と判断した。
約300店舗を展開する最大手のシダックス・コミュニティー。11年度は新規出店をほぼ凍結し、既存店の改装に投資を集中する。
全国カラオケ事業者協会によると、09年度の市場規模は約3850億円。ピーク時の1996年度(約6620億円)から4割強縮んだ。全体の7割程度を占める午後6時以降の夜の売上高が激減したためだ。価格競争も限界があり、今後はサービスの付加価値を競うことになりそうだ。
コーテクHD、オンライン・モバイル事業が黒字に 11年3月期
コーエーテクモホールディングスの2011年3月期のオンライン・モバイル事業は、営業損益が6千万円程度の黒字になりそうだ。前期は8億円強の赤字だった。不採算のゲームタイトルからの撤退を進めたことで、費用負担が軽減。携帯電話の交流サイト(SNS)向けに新たに投入したゲームも堅調だ。
同事業の売上高は前期比8%増の43億円になる見通し。今上期は主にパソコン用のオンラインゲームで3タイトルを整理した。一方、携帯電話のSNS向けには8~10月に2タイトルを新規投入。8月下旬に配信を始めた「100万人の信長の野望」の登録ユーザー数は100万人を突破。アイテム課金収入が増収に寄与する。
日経社説
光回線を安く使える方策改めて考えよ
光回線の利用を2015年までに全世帯に広める「光の道」構想を実現するには、カギとなる通信料金をどう引き下げるか。光回線の7割を占めるNTTのあり方が焦点になるが、総務省の作業部会はNTTの分割を見送る案をまとめた。
通信料金を下げるには設備を分社化すべきだとの意見に対し、NTTの組織変更は時間がかかり現実的でないとした。1年に及ぶ議論は現状とあまり変わらない結論となった。
日本は光回線が9割の世帯をカバーしているが、実際に使っている世帯は3割にとどまる。料金が高いうえ、光回線を必要とする行政などのサービスがまだ少ないためだ。
光回線の利用を促すにはNTTの設備を通信各社が安く使えるようにするのが望ましい。NTTが回線を貸し出す際の接続料を引き下げられるよう、作業部会では光の設備を外部かグループ内に別会社化する案を検討した。結局、今の形のまま他の通信会社もNTTと同じ条件で使えるようにする案に落ち着いた。
NTTの経営分割が見送られればこれで3度目だ。最初は10年前、2度目は通信と放送の融合が議論された5年前。いずれもNTTが率先して光の整備を担うことが分割見送りの条件だった。NTTは当初、今年までに光の全国展開をほぼ終える計画だったが、実現していない。
光設備の分社化は本当に現実的でないのか、分社の形などを含め政府は改めて検討すべきである。
仮にNTTの分割を見送るなら、どうすれば光の利用をもっと促せるのか別な道筋を早く示すべきだ。例えば政府は接続料の引き下げをNTTに再び強く促す必要がある。接続料を思い切って半額程度に引き下げれば、一時的に回線収入が減っても需要は確実に増えるはずだ。
接続料を引き下げるためには、NTTは銅線による電話時代の通信サービスをいつまでに光回線を使ったインターネット時代の技術に置き換えるか目標を定めるべきである。電話交換機には保守費用がかかり、二重投資のままではNTTの経営コストを引き下げられないからだ。
光の普及を促すには政府による広範な規制緩和も欠かせない。行政や医療、教育などで対面サービスを義務づけている法規制を大幅に緩和すべきだ。公共分野や映像分野で光による新しい情報サービスを作り出せば、海外にも売れるに違いない。
光通信の分野には欧米も力を入れているだけに、いたずらに時間を空費すれば日本の光通信インフラの優位性も失われかねない。
メディア王として知られる米ニューズ・コーポレーションのルパート・マードック会長が、米アップルの「アイパッド(iPad)」などのタブレット端末向け日刊紙を計画していると米国のメディアが報じている。
年末にもベータ版を開始
それによると同氏は今年5月のとある深夜にこの構想を思いついた。印刷版は発行せず、課金の仕組みを持つタブレット端末専用の新聞をつくる。同氏は調査を行っており、読者はアイパッドで時間を費やす方が好きだということが分かったのだという。また数年後には携帯電話のように誰もが量販店で安い端末を購入するようになり、タブレットが1人1台の時代になるのもそう遠くはないと考えている。
メディア報道によると、このプロジェクトはかなり具体的に進んでおり、既に大規模な組織体制がつくられている。例えば傘下のニューヨーク・ポスト紙の編集長ジェシー・アンジェロ氏をプロジェクトの責任者に任命しており、3カ月かけて100人のスタッフから成るニュース編集室を設置した。媒体名は「ザ・デイリー(The Daily)」で、料金は1週間99セント、1カ月4.25ドルという設定。2010年のクリスマス時期にベータ版を開始し、2011年初めにも一般公開するという。
スタッフには、ニューヨーカー誌のライターや、ニューヨーク・タイムズのベテラン編集者、ABCニュースのプロデューサー、英国の日刊タブロイド紙サンのオンライン版編集者などを起用したほか、動画コンテンツやデザインのスタッフも多数揃えている。音声、動画、写真を多用するリッチメディアの電子新聞が出来上がるという。
英紙オンライン版の購読数はわずか数万件
しかしこのプロジェクト、マードック会長が思い描くように採算が取れる事業なのだろうか?
ニューズ・コーポレーション傘下の新聞では、米国の経済紙ウォールストリート・ジャーナルが記事本文の一部を表示し、全文を読むには有料会員への登録が必要な「有料の壁(ペイウォール)」を導入している。
また英国の日刊紙「タイムズ」と日曜紙「サンデー・タイムズ」のオンライン版(「thetimes.co.uk」と「thesundaytimes.co.uk」)をこの6月に有料化している。こちらはトップページ以外ほぼすべてが有料となる会員制で、マードック氏が目指すオンラインニュースの完全有料化に向けた実験という位置付けだ。
この2つの英国紙について同社は最初の4カ月間で10万件の有料購読があったと発表しているが、米ニューヨーク・タイムズによると、実はそのほぼ半数は定期購読ではない。つまり単発の購読だ。
タイムズとサンデー・タイムズオンライン版の料金は2種類あり、1つは新聞1部と同じ1日1ポンド。もう1つは初回30日間が1ポンドで、その後1週間ごとに2ポンドかかるという定期購読。料金は紙の新聞の定期購読者からは取らない。そしてこれら既存読者を除く、純粋な新規購読数はわずか数万件にとどまっているという。
つまり、有料化計画は当初予想していたほど成功していないということになる。ウィリアム王子婚約の話題で盛り上がる英国メディアだが、まだウェブ版に金を払うという人は少ないようだ。
そこでマードック氏は課金システムが確立しているアイパッドに活路を見いだしたというわけだが、「そこには厳しい現実がある」とニューヨーク・タイムズは指摘している。
マードック氏が計画しているザ・デイリーとは、紙の新聞という古典的な媒体の作り方を単純に最新の機器でやるというだけのもので、今の時代にマッチしていないというのだ。新聞は夜までに記事を完成させ、夜中に印刷し、朝に配達する。マードック氏はこれを電子版でやろうとしているが、それではウェブの速報性にはかなわない。
さらにウェブの世界ではリンクというエコシステム(生態系)が形成されている。そうした時代にマードック氏のザ・デイリーはアプリという閉鎖的な形を取ろうとしていると指摘している。
ニューヨーク・タイムズ記事では現実的に購読される部数は10万部程度で、収益は多くても年間2000万ドルと予測している。マードック氏が計画している同事業の初年度の予算は3000万ドル。つまりこの事業、同氏のほかの新聞同様に採算は取れないと結論づけている。
au スマートフォンに勢い あす発売「IS03」 ネット・店頭で予約殺到
KDDI(au)が26日に発売する主力のスマートフォン(高機能携帯電話)「IS03」(シャープ製)のネット仮予約が約25万件に達するなど、予想を上回る人気となっている。初期の発注は異例の60万台とみられており、スマートフォン市場での出遅れを挽回する勢いだ。
店頭予約も20万台前後になる見通しで、NTTドコモの「エクスペリア」や「ギャラクシー・エス」の各5万台を大きく上回るペースだ。2年後には国内携帯電話出荷台数の5割に達すると予想される成長分野だけに、スマートフォンの覇権争いが激しさを増しそうだ。
IS03は、基本ソフト(OS)に世界で急速にシェアを伸ばしているアンドロイドを搭載。おサイフケータイやワンセグ、高性能カメラ、赤外線通信など第3世代(3G)携帯電話の機能もそのまま使える便利さを備えているのが特徴。
KDDIは10月4日のIS03発表直後から、専用サイトで仮予約した人に予備バッテリーをプレゼントするキャンペーンを実施。23日時点で登録者は24万9000人を超えた。また、携帯電話販売最大手のティーガイアは「当社のショップでの事前予約は約10万件に達する見通し。当社のシェアからみると、15万台はいくのでは」(片山文平副社長)と強気の見通しを立てている。
トーバルズ氏「多様な機器へ対応」 「リナックス」創始者
設計図が公開され無償で利用できる基本ソフト(OS)「リナックス」の創始者リーナス・トーバルズ氏が24日、日本経済新聞に対し、今後のリナックスの開発では「高機能携帯電話(スマートフォン)など多様化した電子機器への対応を強化する」と語った。スマートフォンやタブレット端末など非パソコン機器の市場が急成長していることに対応、米マイクロソフトや米アップルなどの独自OSに対抗する。
リナックスは1991年にトーバルズ氏が個人で開発を始めたOS。現在では数千人の技術者が無償で開発に参加し、テレビや携帯電話、業務システムまで幅広く普及している。国内では2010年1月に稼働した東京証券取引所の基幹システムがリナックスを採用している。
日本ではルネサスエレクトロニクス、富士通やNTTグループなどが参画。トーバルズ氏は「ここ数年は日本からの貢献度が1割近くを占めている。業務システムやデジタル家電のほか、ネットワーク技術での貢献が大きい」とし、日本の役割に期待を示した。
米グーグルが開発するスマートフォン向けOS「アンドロイド」もリナックスをベースとする。トーバルズ氏は競合する米アップルのiPhone(アイフォーン)について「(ソフト開発に様々な制限を加えるなどして)市場を制御する試みは長続きしない」として将来性に疑問を投げかけた。
カラオケ、新サービス競う メンズデーや専用シェフも
飽和状態が進むカラオケ業界で一律だったサービス内容を見直すケースが増えている。「ビッグエコー」を運営する第一興商はベビーチェアの無料貸し出しなど、立地別の独自サービスを導入。シダックス・コミュニティーは2011年度から15億円程度をかけ、「女性専用」や「ゴルフ」などの特別室を増やす。個人消費の冷え込みに伴い最需要期の夜間利用が減少するなか、新たな顧客争奪戦が激化しそうだ。
第一興商は来年3月までに順次、直営のビッグエコー全121店舗でターゲット別の新サービスを導入する。既存店を「繁華街」「沿線駅前」「郊外」「ナイト」「オフィス」の5つに分類。郊外型ではおもちゃや絵本、ベビーチェアを無料で貸し出す。深夜利用が多いナイト型は女性に化粧直しセットやひざ掛けを無料で用意し、オフィス型には高級酒や生ハムなどを投入する。
同社は4~9月期の既存店売上高が前年同期比で1割弱減少。「全店統一の金太郎あめのサービスでは集客に限界がある」(店舗企画課)と判断した。
約300店舗を展開する最大手のシダックス・コミュニティー。11年度は新規出店をほぼ凍結し、既存店の改装に投資を集中する。
全国カラオケ事業者協会によると、09年度の市場規模は約3850億円。ピーク時の1996年度(約6620億円)から4割強縮んだ。全体の7割程度を占める午後6時以降の夜の売上高が激減したためだ。価格競争も限界があり、今後はサービスの付加価値を競うことになりそうだ。
コーテクHD、オンライン・モバイル事業が黒字に 11年3月期
コーエーテクモホールディングスの2011年3月期のオンライン・モバイル事業は、営業損益が6千万円程度の黒字になりそうだ。前期は8億円強の赤字だった。不採算のゲームタイトルからの撤退を進めたことで、費用負担が軽減。携帯電話の交流サイト(SNS)向けに新たに投入したゲームも堅調だ。
同事業の売上高は前期比8%増の43億円になる見通し。今上期は主にパソコン用のオンラインゲームで3タイトルを整理した。一方、携帯電話のSNS向けには8~10月に2タイトルを新規投入。8月下旬に配信を始めた「100万人の信長の野望」の登録ユーザー数は100万人を突破。アイテム課金収入が増収に寄与する。
日経社説
光回線を安く使える方策改めて考えよ
光回線の利用を2015年までに全世帯に広める「光の道」構想を実現するには、カギとなる通信料金をどう引き下げるか。光回線の7割を占めるNTTのあり方が焦点になるが、総務省の作業部会はNTTの分割を見送る案をまとめた。
通信料金を下げるには設備を分社化すべきだとの意見に対し、NTTの組織変更は時間がかかり現実的でないとした。1年に及ぶ議論は現状とあまり変わらない結論となった。
日本は光回線が9割の世帯をカバーしているが、実際に使っている世帯は3割にとどまる。料金が高いうえ、光回線を必要とする行政などのサービスがまだ少ないためだ。
光回線の利用を促すにはNTTの設備を通信各社が安く使えるようにするのが望ましい。NTTが回線を貸し出す際の接続料を引き下げられるよう、作業部会では光の設備を外部かグループ内に別会社化する案を検討した。結局、今の形のまま他の通信会社もNTTと同じ条件で使えるようにする案に落ち着いた。
NTTの経営分割が見送られればこれで3度目だ。最初は10年前、2度目は通信と放送の融合が議論された5年前。いずれもNTTが率先して光の整備を担うことが分割見送りの条件だった。NTTは当初、今年までに光の全国展開をほぼ終える計画だったが、実現していない。
光設備の分社化は本当に現実的でないのか、分社の形などを含め政府は改めて検討すべきである。
仮にNTTの分割を見送るなら、どうすれば光の利用をもっと促せるのか別な道筋を早く示すべきだ。例えば政府は接続料の引き下げをNTTに再び強く促す必要がある。接続料を思い切って半額程度に引き下げれば、一時的に回線収入が減っても需要は確実に増えるはずだ。
接続料を引き下げるためには、NTTは銅線による電話時代の通信サービスをいつまでに光回線を使ったインターネット時代の技術に置き換えるか目標を定めるべきである。電話交換機には保守費用がかかり、二重投資のままではNTTの経営コストを引き下げられないからだ。
光の普及を促すには政府による広範な規制緩和も欠かせない。行政や医療、教育などで対面サービスを義務づけている法規制を大幅に緩和すべきだ。公共分野や映像分野で光による新しい情報サービスを作り出せば、海外にも売れるに違いない。
光通信の分野には欧米も力を入れているだけに、いたずらに時間を空費すれば日本の光通信インフラの優位性も失われかねない。
ソニー、国内向けに電子書籍端末「Reader」と電子書籍配信サービスを明日発表へ
ソニーが明日、海外で展開している電子書籍端末「Reader」の国内向けモデルを発表することを告知した。
また、同時に国内向けの電子書籍配信サービスも発表される予定となっています。
登壇予定者はアメリカのソニー・エレクトロニクス シニア・バイス・プレジデント 野口不二夫氏とソニーマーケティング株式会社 代表取締役社長 栗田伸樹氏を予定。発表会の様子はUstreamを利用してライブ配信される予定となっている。
ソニーと凸版印刷、KDDI、朝日新聞社の4社が2010年7月1日付で共同設立した電子書籍配信事業準備株式会社は2010年11月4日付で「株式会社ブックリスタ」 として事業会社化しており、今後コンテンツの収集や電子化および管理、顧客認証や課金システム、プロモーション業務など、コンテンツ販売に関連するサービスのためのオープンなプラットフォームを構築していくとのこと。
また、端末メーカーおよびストア事業者は、このプラットフォームを利用することでオンライン上に各社のストアを設置し、各種端末向けに魅力的なコンテンツを提供することが可能となり、文芸書やビジネス書、エッセイなど多様なジャンルを取り扱うだけでなく、コミックや新聞、雑誌なども順次取り扱いを拡大する予定とされている。
iOS 4.3は12月半ばにリリースか
iOS 4.2がリリースされたばかりだが、早くもiOS 4.3をめぐるうわさが流れている。情報筋によると、iOS4.3は12月半ばに登場し、バグフィックスのほか、アプリの定期購読に対応する可能性があるという。News Corp.のiPad限定のデジタル日刊紙「Daily」も併せて発表されると伝えられている。Appleは12月9日に記者発表会を開き、iOS 4.3とDailyを発表するとの情報もある。
ビートルズ配信、1週間で200万曲 アップルの音楽サイト
米電子機器大手アップルの音楽配信サイト「アイチューンズ・ストア」で、ビートルズの作品の販売数が、発売後1週間で世界で200万曲に達した。アルバムの販売数は45万枚。ロイター通信などが23日伝えた。
米国でのアルバムの販売は「アビイ・ロード」が週間6位、著名なアルバムを収録したボックスセットが10位に入った。個別の曲別では「ヒア・カムズ・ザ・サン」が最も多かったという。
アップルはビートルズ側と商標権をめぐって係争関係にあり、これまで曲を扱っていなかったが、このほど作品のネット配信で合意し、16日から販売を始めた。価格は米国で1曲1・29ドル、アルバムは12・99ドルから。日本ではそれぞれ200円、2千円から。
au、Android向け「LISMO」を26日よりスタート
KDDIと沖縄セルラーは、auのAndroid搭載スマートフォン向けに、総合音楽サービス「LISMO」を11月26日より提供する。
「LISMO」は、楽曲配信~再生までサポートするauの総合音楽サービス。今回のサービスでは、auのAndroid搭載スマートフォン向けにポータルサイトがオープンするほか、タッチパネルでの操作に対応したプレーヤーアプリ「LISMO Player」、楽曲検索や再生履歴を基点にしたソーシャルサービス「うたとも」などが利用できる。
対応機種はIS01、IS03、REGZA Phone IS04、IS05。いずれもサイト/アプリの利用料は無料となる。Windows Phone(Windows Mobile)であるIS02への対応予定はなく、発表済み端末の1つである「SIRIUSα(シリウス アルファ) IS06」は、利用できるかどうか未定とのこと。
KDDIでは、他キャリアの端末からの利用について検討中としている。
日本通信、Wi-FiルーターとSIMのセットを月額2980円で提供
日本通信は、モバイルWi-Fiルーター「b-mobileWiFi」とSIMカードと通信サービスの「b-mobileSIM U300」をセットにし、2年契約を条件に月額2980円で提供する「b-mobileWiFi 月々払いプラン」の提供を開始した。
今回提供される「b-mobileWiFi 月々払いプラン」は、モバイルWi-Fiルーターと通信サービスをセットにして、月額2980円で利用できるもの。通信サービスの利用料は月額2980円で、端末代金は1万9800円を24分割し、月々825円の24回払い。契約時の事務手数料は3150円で、ユニバーサルサービス料は月額8円。利用料の支払いはクレジットカードのみで、変更・解約の申し込みが無い限り、契約が継続される。
同プランでは、契約開始月から24カ月目まで、「b-mobileWiFi 月々払いプラン割」として毎月825円が割り引かれる。これにより、2年間契約すると端末代金は実質0円になる。
2年契約の途中で解約の場合、825円の割引は無くなるが、別途の解約金は発生しない。
10月薄型テレビ出荷、2・4倍増で過去最高 エコP半減駆け込み
電子情報技術産業協会(JEITA)が24日発表した10月の薄型テレビ出荷台数は前年同月比2.4倍の283万3000台となり、単月の過去最高を記録した。12月からエコポイント半減を前にした駆け込みけ込み需要で急増した。
画面サイズ別では、売れ筋の30~36型が同2.5倍の100万2000台。大型機種の37型以上が2・4倍の97万1000台で、29型以下が2.4倍の86万台と、全サイズ帯で倍以上の伸びを記録した。
一方、ブルーレイ・ディスク(BD)の録画再生機も、薄型テレビとのセット販売により、前年比82.8%増の46万4000台と好調だった。
年内に300万人超え アメーバピグ英語版「Pico」人気の秘密
サイバーエージェントが運営する仮想空間サービス「アメーバピグ」の英語版「AmebaPico」が順調にユーザーを増やしている。今年3月にスタートし、すでに250万人を突破。年内に300万人を超える見込みという。拡大スピードでは、495万会員のピグをしのぐ勢いだ。
Facebookや独自サイトで提供。ほとんどはFacebookからで、米国、インドネシア、フィリピンのユーザーが多く、ぞれぞれ2割ずつを占める。
アイテム課金制で、ARPU(ユーザー1人当たりの月間売上高)はピグが1450円に対し、Picoは800~1000円程度。売り上げの拡大が課題になっており、「まだ大成功という感じではない」と同社執行役員の長瀬慶重さんは気を引き締める。
ユーザー層は同じでも……似て非なるピグとPico
Picoの基本機能はピグと同じ。2頭身アバターを作って、ほかのユーザーとチャットし、コミュニケーションを楽しむ。仮想通貨でアバターアイテムを購入したり、ゲームをプレイできる。
自分の部屋を拡張したり、掲示板でイベント告知するといったピグにはない独自機能も。部屋にほかのユーザーを呼んで盛り上がれるようにと用意したもので、ホームパーティーが盛んな海外文化を意識した。
英語、日本語、タイ語、中国語など、特定の言語でコミュニケーションする専用エリアや、日本のビジュアル系バンド「Alice Nine」をテーマにしたエリアも用意している。
ユーザー層はピグ、Picoとも女性が7割を占め、20~30代が多い傾向。だが人気のアバターアイテムはかなり異なる。例えば、ピグは優しい色合いのアイテムが、Picoではヴィヴィッドな色が好評。ビジュアル系やゴスロリなど“クールジャパン”なアイテムや、パンク、ロックなアイテムが好まれるのもPicoの特徴だ。
以前は両サービスを1つの開発チームが手掛けていたが、ローカライズを徹底するため、今はチームを分け独自にアイテムや機能の開発を進めている。社内の同じフロアーに、ピグのチーム(約60人)とPicoのチーム(約20人)が隣り合って座っているが、「お互いに引っ張られない」(長瀬マネージャー)関係という。
11月に出したピグのAndroidアプリは、公開されたばかりのAndroid版Adobe AIRの活用をアドビシステムズから提案され、エンジニアとデザイナーの2人が自発的に作ったサービス。“現場発”で開発が進む雰囲気もあるようだ。
Picoは年内に300万会員を突破する見込み。ピグは昨年2月のスタートから300万会員を突破するまで約1年2カ月かかっており、Picoの拡大スピードはピグを上回っている。海外文化に合わせたサービスや機能を用意したことが人気を支えていると、長瀬さんは見る。
Facebookのユーザーは世界で5億人以上と、日本のネット人口をはるかに超える規模。人気のアプリは口コミで拡大する傾向もあるが、「いいアプリを作っても流行る時代じゃない」とも。Picoは、Facebookに広告を出したり、9月から米国のゲームポータル「Mochi Media」でも提供したりして、集客につなげてきた。「重要なのはマーケティング」(長瀬さん)だ。
PicoのARPUがピグを下回るのは、ユーザーの多いインドネシアやフィリピンで単価が低いことが影響しているという。海外で決済インフラや課金文化が浸透すれば、「ピグの課金単価を越えるポテンシャルはある」(同社広報担当の鳥羽綾子さん)と期待を寄せている。
Picoを「事業としてきちっとインパクトのあるものにしていきたい」と長瀬さんは意気込む。ユーザーがPicoにアクセスする頻度を高められるよう、課金の対象となるゲームの種類を今後増やしていく予定だ。
【産経主張】北の砲撃 移行期の「暴発」に備えよ
北朝鮮の朝鮮人民軍が23日、黄海の南北境界水域に向けて陸上から砲撃し、韓国側に、落下した砲弾で延坪(ヨンピョン)島の家屋多数が炎上、民間人や軍人の死傷者が多数出るという安全保障上、重大な事態となった。
韓国軍の黄海演習に対抗した行動とみられ、韓国側も対応射撃をしてはいるが、攻撃を仕掛けたのは北朝鮮であり、許し難い暴挙である。「明白な武力挑発で、民間人にまで無差別砲撃をしたことは決して容認できない」とした韓国大統領府の声明を支持したい。
だが、今は、この砲撃事件が南北の本格戦闘へと拡大して、地域の安定がさらに損なわれることがないようにすべきだ。当事国はもちろん、日本をはじめとする地域諸国や国際社会の責任も重い。
沈静化した段階で、今回、ゆえなき先制攻撃に出た北朝鮮に対しては、厳しい国際的な措置が求められよう。国際社会はすでに、北朝鮮が核武装増強につながるウラン濃縮プロセスの実施を世界に公表したことで、重大な挑戦を受けている。これ以上、甘やかしてはならない。
北朝鮮による常軌を逸した武力行使としては、今年3月にやはり南北境界水域で、韓国海軍の哨戒艦「天安」が魚雷により撃沈された事件がまだ記憶に生々しい。
この事件で、哨戒艦は北朝鮮の魚雷攻撃により撃沈されたという国際的な原因究明結果が公表されても、中国はそれを受け入れようとせず、事件を踏まえて行われた米韓合同軍事演習に激しく反発するのみだった。中国には今度こそ、「責任ある大国」として北朝鮮に厳正な対応を求めたい。
哨戒艦撃沈事件にしても、今回の砲撃事件にしても、北朝鮮が権力移行期に入っていることと無関係ではあるまい。金正日総書記の三男、金正恩(ジョンウン)氏が朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長に就任し、後継者として確定したばかりだ。
世襲独裁体制は、権力移行に伴って不安定化する国内を引き締めるために、外に敵をつくりがちである。加えて、何ら実績のない正恩氏も、自らを権威づけするため軍事的冒険に出やすい。
こうした状況下、日本は北朝鮮の暴発が今後も繰り返されるとみて備えを万全にしなければならない。日米韓の合同演習を実施し抑止力を高めていくことに加え、周辺事態法の検討も肝要だろう。
ソニーが明日、海外で展開している電子書籍端末「Reader」の国内向けモデルを発表することを告知した。
また、同時に国内向けの電子書籍配信サービスも発表される予定となっています。
登壇予定者はアメリカのソニー・エレクトロニクス シニア・バイス・プレジデント 野口不二夫氏とソニーマーケティング株式会社 代表取締役社長 栗田伸樹氏を予定。発表会の様子はUstreamを利用してライブ配信される予定となっている。
ソニーと凸版印刷、KDDI、朝日新聞社の4社が2010年7月1日付で共同設立した電子書籍配信事業準備株式会社は2010年11月4日付で「株式会社ブックリスタ」 として事業会社化しており、今後コンテンツの収集や電子化および管理、顧客認証や課金システム、プロモーション業務など、コンテンツ販売に関連するサービスのためのオープンなプラットフォームを構築していくとのこと。
また、端末メーカーおよびストア事業者は、このプラットフォームを利用することでオンライン上に各社のストアを設置し、各種端末向けに魅力的なコンテンツを提供することが可能となり、文芸書やビジネス書、エッセイなど多様なジャンルを取り扱うだけでなく、コミックや新聞、雑誌なども順次取り扱いを拡大する予定とされている。
iOS 4.3は12月半ばにリリースか
iOS 4.2がリリースされたばかりだが、早くもiOS 4.3をめぐるうわさが流れている。情報筋によると、iOS4.3は12月半ばに登場し、バグフィックスのほか、アプリの定期購読に対応する可能性があるという。News Corp.のiPad限定のデジタル日刊紙「Daily」も併せて発表されると伝えられている。Appleは12月9日に記者発表会を開き、iOS 4.3とDailyを発表するとの情報もある。
ビートルズ配信、1週間で200万曲 アップルの音楽サイト
米電子機器大手アップルの音楽配信サイト「アイチューンズ・ストア」で、ビートルズの作品の販売数が、発売後1週間で世界で200万曲に達した。アルバムの販売数は45万枚。ロイター通信などが23日伝えた。
米国でのアルバムの販売は「アビイ・ロード」が週間6位、著名なアルバムを収録したボックスセットが10位に入った。個別の曲別では「ヒア・カムズ・ザ・サン」が最も多かったという。
アップルはビートルズ側と商標権をめぐって係争関係にあり、これまで曲を扱っていなかったが、このほど作品のネット配信で合意し、16日から販売を始めた。価格は米国で1曲1・29ドル、アルバムは12・99ドルから。日本ではそれぞれ200円、2千円から。
au、Android向け「LISMO」を26日よりスタート
KDDIと沖縄セルラーは、auのAndroid搭載スマートフォン向けに、総合音楽サービス「LISMO」を11月26日より提供する。
「LISMO」は、楽曲配信~再生までサポートするauの総合音楽サービス。今回のサービスでは、auのAndroid搭載スマートフォン向けにポータルサイトがオープンするほか、タッチパネルでの操作に対応したプレーヤーアプリ「LISMO Player」、楽曲検索や再生履歴を基点にしたソーシャルサービス「うたとも」などが利用できる。
対応機種はIS01、IS03、REGZA Phone IS04、IS05。いずれもサイト/アプリの利用料は無料となる。Windows Phone(Windows Mobile)であるIS02への対応予定はなく、発表済み端末の1つである「SIRIUSα(シリウス アルファ) IS06」は、利用できるかどうか未定とのこと。
KDDIでは、他キャリアの端末からの利用について検討中としている。
日本通信、Wi-FiルーターとSIMのセットを月額2980円で提供
日本通信は、モバイルWi-Fiルーター「b-mobileWiFi」とSIMカードと通信サービスの「b-mobileSIM U300」をセットにし、2年契約を条件に月額2980円で提供する「b-mobileWiFi 月々払いプラン」の提供を開始した。
今回提供される「b-mobileWiFi 月々払いプラン」は、モバイルWi-Fiルーターと通信サービスをセットにして、月額2980円で利用できるもの。通信サービスの利用料は月額2980円で、端末代金は1万9800円を24分割し、月々825円の24回払い。契約時の事務手数料は3150円で、ユニバーサルサービス料は月額8円。利用料の支払いはクレジットカードのみで、変更・解約の申し込みが無い限り、契約が継続される。
同プランでは、契約開始月から24カ月目まで、「b-mobileWiFi 月々払いプラン割」として毎月825円が割り引かれる。これにより、2年間契約すると端末代金は実質0円になる。
2年契約の途中で解約の場合、825円の割引は無くなるが、別途の解約金は発生しない。
10月薄型テレビ出荷、2・4倍増で過去最高 エコP半減駆け込み
電子情報技術産業協会(JEITA)が24日発表した10月の薄型テレビ出荷台数は前年同月比2.4倍の283万3000台となり、単月の過去最高を記録した。12月からエコポイント半減を前にした駆け込みけ込み需要で急増した。
画面サイズ別では、売れ筋の30~36型が同2.5倍の100万2000台。大型機種の37型以上が2・4倍の97万1000台で、29型以下が2.4倍の86万台と、全サイズ帯で倍以上の伸びを記録した。
一方、ブルーレイ・ディスク(BD)の録画再生機も、薄型テレビとのセット販売により、前年比82.8%増の46万4000台と好調だった。
年内に300万人超え アメーバピグ英語版「Pico」人気の秘密
サイバーエージェントが運営する仮想空間サービス「アメーバピグ」の英語版「AmebaPico」が順調にユーザーを増やしている。今年3月にスタートし、すでに250万人を突破。年内に300万人を超える見込みという。拡大スピードでは、495万会員のピグをしのぐ勢いだ。
Facebookや独自サイトで提供。ほとんどはFacebookからで、米国、インドネシア、フィリピンのユーザーが多く、ぞれぞれ2割ずつを占める。
アイテム課金制で、ARPU(ユーザー1人当たりの月間売上高)はピグが1450円に対し、Picoは800~1000円程度。売り上げの拡大が課題になっており、「まだ大成功という感じではない」と同社執行役員の長瀬慶重さんは気を引き締める。
ユーザー層は同じでも……似て非なるピグとPico
Picoの基本機能はピグと同じ。2頭身アバターを作って、ほかのユーザーとチャットし、コミュニケーションを楽しむ。仮想通貨でアバターアイテムを購入したり、ゲームをプレイできる。
自分の部屋を拡張したり、掲示板でイベント告知するといったピグにはない独自機能も。部屋にほかのユーザーを呼んで盛り上がれるようにと用意したもので、ホームパーティーが盛んな海外文化を意識した。
英語、日本語、タイ語、中国語など、特定の言語でコミュニケーションする専用エリアや、日本のビジュアル系バンド「Alice Nine」をテーマにしたエリアも用意している。
ユーザー層はピグ、Picoとも女性が7割を占め、20~30代が多い傾向。だが人気のアバターアイテムはかなり異なる。例えば、ピグは優しい色合いのアイテムが、Picoではヴィヴィッドな色が好評。ビジュアル系やゴスロリなど“クールジャパン”なアイテムや、パンク、ロックなアイテムが好まれるのもPicoの特徴だ。
以前は両サービスを1つの開発チームが手掛けていたが、ローカライズを徹底するため、今はチームを分け独自にアイテムや機能の開発を進めている。社内の同じフロアーに、ピグのチーム(約60人)とPicoのチーム(約20人)が隣り合って座っているが、「お互いに引っ張られない」(長瀬マネージャー)関係という。
11月に出したピグのAndroidアプリは、公開されたばかりのAndroid版Adobe AIRの活用をアドビシステムズから提案され、エンジニアとデザイナーの2人が自発的に作ったサービス。“現場発”で開発が進む雰囲気もあるようだ。
Picoは年内に300万会員を突破する見込み。ピグは昨年2月のスタートから300万会員を突破するまで約1年2カ月かかっており、Picoの拡大スピードはピグを上回っている。海外文化に合わせたサービスや機能を用意したことが人気を支えていると、長瀬さんは見る。
Facebookのユーザーは世界で5億人以上と、日本のネット人口をはるかに超える規模。人気のアプリは口コミで拡大する傾向もあるが、「いいアプリを作っても流行る時代じゃない」とも。Picoは、Facebookに広告を出したり、9月から米国のゲームポータル「Mochi Media」でも提供したりして、集客につなげてきた。「重要なのはマーケティング」(長瀬さん)だ。
PicoのARPUがピグを下回るのは、ユーザーの多いインドネシアやフィリピンで単価が低いことが影響しているという。海外で決済インフラや課金文化が浸透すれば、「ピグの課金単価を越えるポテンシャルはある」(同社広報担当の鳥羽綾子さん)と期待を寄せている。
Picoを「事業としてきちっとインパクトのあるものにしていきたい」と長瀬さんは意気込む。ユーザーがPicoにアクセスする頻度を高められるよう、課金の対象となるゲームの種類を今後増やしていく予定だ。
【産経主張】北の砲撃 移行期の「暴発」に備えよ
北朝鮮の朝鮮人民軍が23日、黄海の南北境界水域に向けて陸上から砲撃し、韓国側に、落下した砲弾で延坪(ヨンピョン)島の家屋多数が炎上、民間人や軍人の死傷者が多数出るという安全保障上、重大な事態となった。
韓国軍の黄海演習に対抗した行動とみられ、韓国側も対応射撃をしてはいるが、攻撃を仕掛けたのは北朝鮮であり、許し難い暴挙である。「明白な武力挑発で、民間人にまで無差別砲撃をしたことは決して容認できない」とした韓国大統領府の声明を支持したい。
だが、今は、この砲撃事件が南北の本格戦闘へと拡大して、地域の安定がさらに損なわれることがないようにすべきだ。当事国はもちろん、日本をはじめとする地域諸国や国際社会の責任も重い。
沈静化した段階で、今回、ゆえなき先制攻撃に出た北朝鮮に対しては、厳しい国際的な措置が求められよう。国際社会はすでに、北朝鮮が核武装増強につながるウラン濃縮プロセスの実施を世界に公表したことで、重大な挑戦を受けている。これ以上、甘やかしてはならない。
北朝鮮による常軌を逸した武力行使としては、今年3月にやはり南北境界水域で、韓国海軍の哨戒艦「天安」が魚雷により撃沈された事件がまだ記憶に生々しい。
この事件で、哨戒艦は北朝鮮の魚雷攻撃により撃沈されたという国際的な原因究明結果が公表されても、中国はそれを受け入れようとせず、事件を踏まえて行われた米韓合同軍事演習に激しく反発するのみだった。中国には今度こそ、「責任ある大国」として北朝鮮に厳正な対応を求めたい。
哨戒艦撃沈事件にしても、今回の砲撃事件にしても、北朝鮮が権力移行期に入っていることと無関係ではあるまい。金正日総書記の三男、金正恩(ジョンウン)氏が朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長に就任し、後継者として確定したばかりだ。
世襲独裁体制は、権力移行に伴って不安定化する国内を引き締めるために、外に敵をつくりがちである。加えて、何ら実績のない正恩氏も、自らを権威づけするため軍事的冒険に出やすい。
こうした状況下、日本は北朝鮮の暴発が今後も繰り返されるとみて備えを万全にしなければならない。日米韓の合同演習を実施し抑止力を高めていくことに加え、周辺事態法の検討も肝要だろう。
ヤフー、開発機能を外部へ開放 高機能携帯やPC向け
ヤフーは外部のソフト開発者などが自社サイト内にあるソフト開発・配信機能を自由に使える仕組みを導入する。パソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)で使えるアプリケーションなどの開発を促すことで、サイトの集客力を高める。米アップルなどが外部のソフト開発力を活用したアプリの配信で収益を上げており、ヤフーも同様の事業モデルによりサイト収入の拡大を図る。
ヤフーが外部の事業者を自社システムに取り込む形で事業を展開するのは初めて。外部のソフト開発者にとっても、約2500万人のヤフー会員向けにソフトを供給する機会が得られる。
会員向けサイト「Yahoo!アプリ」を近く新設。ユーザーがアプリをダウンロードして利用する。種類はゲームなどの娯楽、時刻表や道順表示などの便利機能、ニュースなど情報配信の36分野。有料アプリの収入は契約に応じて開発者とヤフーで分け合う。
ソフト開発機能はインターネット経由でシステム機能が使えるクラウドコンピューティングで提供する。月内にもアプリ開発基盤を稼働する。自前の開発設備を持たないソフト開発者も利用できることから、多様なソフト、アプリの開発が進むと期待している。
「Yahoo!アプリ」はパソコン向けで始めるが、2011年春にはスマートフォンからも利用できるようにする。
このほか、ヤフーは飲食店や公共施設が自らの情報を登録・蓄積できる地域情報データベースも外部に開放する。ネット利用者が検索すれば、より詳しい情報を閲覧できるようにする。
「iPhone(アイフォーン)」を持つアップルや、基本ソフト(OS)「アンドロイド」の米グーグルは携帯電話向けソフトで外部の開発者と収益を分け合うモデルを確立している。ヤフーも自社サイトを開放する事業モデルに転換し、広告を含むネット収入を高められると判断した。
携帯電話をクーポンに フェリカ
ソニー系のフェリカネットワークス(東京・品川)は、携帯電話を電子クーポンとして低価格で利用できるようにするサービスを始める。消費者が店頭のレジで携帯電話をかざすだけで割引サービスを提供できるのが特徴で、販促手段を増やしたい小売業者向けに提案する。2011年に約20社から受注を目指す。
ソニーが開発した非接触で情報をやりとりできるIC「フェリカ」を搭載した携帯電話を使う。
まず、小売業者が自社のウエブサイトから電子クーポンを配信する。消費者がダウンロードすると、携帯電話にクーポンの情報が取り込まれる。店舗を訪れた消費者が携帯電話を読み取り端末にかざすと、割引が受けられる仕組みだ。
紙のクーポンに比べて消費者の手間が少なく、店舗側も低コストで導入できるという。利用料金は読み取り端末の貸出料などを含め、店舗数が30店の場合で1店舗あたり月額5千円程度に設定した。ローソンやイオンがすでに導入を始めており、12月からは中小企業にも提案を始める。
フェリカは電子決済ができる「おサイフケータイ」向けに携帯電話への搭載が進んでいる。電子クーポンにも使い方を広げることで、普及拡大に弾みをつける。
設備投資促進へ規制緩和 政府が8項目検討
太陽光パネル設置など
政府が月内にとりまとめる「日本国内投資促進プログラム」の骨子が23日、明らかになった。国内で工場などへの投資を促すため、建築基準法などで8項目の規制緩和の検討を盛り込んだ。法人実効税率の引き下げや主要国との経済連携協定(EPA)推進も掲げ、これらの政策の実現を前提に産業界が投資の目標を明示。「成長促進型」の政策運営に向け官民で道筋を示す。
プログラムの骨子は民間企業の有識者などが参加する政府の国内投資促進円卓会議(議長・大畠章宏経済産業相)がまとめた。25日にも開かれる新成長戦略実現会議で報告する。
規制緩和を検討するのは、建築基準法のほか、工場立地法や消防法など6つの法律で定める計8項目。具体的には行政刷新会議で内容を詰め、来年3月までに決定する。
建築基準法の規制では、太陽光パネルを設置しやすくする見直しを想定する。いまはスーパーや工場の駐車場、屋外通路などにパネルを設置すると建築物と見なされ、敷地全体の容積率などの基準を満たせなくなる場合がある。駐車場などを例外的な扱いとして、地球温暖化対策などに求められるパネル設置を促す。
工場立地法は大規模工場に一定の広さの緑地を確保することを義務付けている。ただ屋上や駐車場の緑地は面積の25%までしか緑地とみなされない。この規定を緩和することで、工場の増設・建て替えの際に敷地を柔軟に使えるようにする。
円卓会議は円高などによる国内企業の海外流出を食い止めるため、菅直人首相の指示で9月に設置された。プログラムの取りまとめでは、政府の取り組みとして国内での企業の投資・事業活動を促進する成長促進型(プロ・グロース)政策を強力に推進すると明記。電機業界が「為替水準の適正化などを前提に5年以内に年間設備投資額を昨年度比2倍の3兆円」、製薬業界は「イノベーション環境が整えば20年の研究開発投資を08年度比2倍の2.5兆円」などと試算しており、政策対応を前提とした民間の投資目標として併記する。
また、全国9地域で自治体や地元経済団体、金融機関などで構成する国内投資促進地域本部を11年初に設置。規制や制度見直しの提言機能などを担うようにする。各地の経済産業局には企業からの工場立地相談窓口も設ける方針も打ち出す。
台湾エイサー、アイパッド型端末発表 11年2月発売
【ニューヨーク=小川義也】パソコン世界2位の台湾エイサーは23日、ニューヨーク市内で開いた製品発表会で「iPad」型の多機能携帯(タブレット)端末3機種を正式に発表した。画面サイズが約10型のモデル2機種と約7型のモデル1機種で、来年2月から順次発売する。タブレット端末の台頭で、主力の低価格ノートパソコン(PC)の需要が落ち込んでいるエイサーは自らも成長市場に参入。先行する米アップルなどに対抗する。
ニューヨーク市内で記者会見した翁建仁・上級副社長は「2011年のタブレット端末の販売台数は全世界で5000万台程度に達する見込み。我々はまず10%~20%のシェアを獲得したい」と述べた。
来年2月にまず、米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を搭載した約10型の端末1機種を発売。4月には米グーグルのOS「アンドロイド」を搭載した約10型と約7型の端末各1機種を追加する。製品名や価格は「最終的に決定していない」として、明らかにしなかった。
タブレット端末はアップルが今年4月にiPadを発売して人気に火が付いた。これまでに韓国のサムスン電子が独自の端末を発売。カナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)と米ヒューレット・パッカード(HP)なども参入を表明している。
米アップル参入、競争激化 iPhoneなどで映画視聴サービス
薄型テレビや多様な携帯端末の普及を背景に、映画などの動画配信サービスが拡大している。米アップルが今月から有料配信サイト「アイチューンズ・ストア」で映画の販売やレンタルを日本でも始めたほか、人気のスマートフォン(高機能携帯電話)向け配信も関心が高まっており、競争が激化しそうだ。
アップルは、スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」や多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」などで1000本を超える映画の視聴ができるサービスを始めた。テレビにつなげる電子装置「アップルTV」も発売。インターネットの配信サイト経由で映画をテレビで楽しめる仕組みも整えた。
一方、パナソニックやソニーなどが出資するアクトビラは、テレビ向けに映画など約3万2000本の動画を配信。ケーブルテレビ国内最大手のジュピターテレコム(JCOM)も約2万8000本を扱う。NTTコム傘下のNTTぷららは光ファイバー回線で動画を提供している。
携帯電話向けの動画サービスはすでに展開されているが、「画面が小さい携帯電話で映画を見る人は少ない」(KDDI)とされ、「今後は無線LANにも対応できるスマートフォンや多機能携帯端末向けが重要になる」(同)という。
こうした中、ヤフー子会社のGyaO(ギャオ)は現在のパソコン向けに加え、スマートフォンへの動画配信も始める方針。ソニーは、4月に米国で始めたテレビ向けの映画配信サービス「キュリオシティ」の国内導入を検討している。
「au×シャープ」の強み随所 細部まで日本流のこだわり
日本でも需要が拡大しているスマートフォン(高機能携帯電話)の新型端末を26日、KDDI(au)が発売する。シャープ製の「IS03」で、米インターネット検索大手グーグルの基本ソフト(OS)「Android(アンドロイド)」を搭載し、大画面の液晶ディスプレーに触って文字などを直接入力するタッチパネル方式を採用。電子マネーの「おサイフケータイ」にスマートフォンで初めて対応するなど、日本の携帯電話でおなじみの機能も装備している。
■品ぞろえ充実で出遅れ取り戻す
≪KDDIプロダクト企画部 オープンプラットフォーム企画 グループリーダー 上月勝博課長≫
KDDI(au)でスマートフォンの商品企画を担当するプロダクト企画部オープンプラットフォーム企画グループリーダーの上月勝博課長に、IS03投入の狙いなどについて聞いた。
--IS03の開発コンセプトは
「単にアンドロイドOSを搭載したタッチパネル式のスマートフォンを出すということにとどまらず、日本市場で売れるために完成度を高めた端末にするアイデアをシャープと練ってきた。見た目としてアップルのアイフォーンに似ている部分はあるが、日本勢にしか作れないような機能を盛り込んだ点に大きな違いがある。それは、ワンセグやおサイフケータイといった目立った機能だけでなく、細かい操作性などにも表れている」
--国内メーカーの端末を発売する利点は
「海外メーカーは最新機能をいち早く搭載する点で優れているが、市場ごとに端末をカスタマイズすることには重点を置いていない。日本の携帯電話市場はすでに一定の進化を遂げているので、単純に海外の最新端末を持ってきて爆発的に売れるかというと決してそうではないと考えている」
--発売後の機能強化は
「OSについては、現状での品質の高さを考えて1世代前の『アンドロイド2.1』を搭載したが、最新の2.2へのバージョンアップは視野に入れている。来年にもバージョンアップを検討したい」
--日本独自の仕様を盛り込むことでスマートフォンでも「ガラパゴス化」の道を進むとの指摘がある
「スマートフォンに独自機能を搭載するのは、従来の携帯電話とはまったく異なる意味がある。従来、独自機能を搭載するには専用のプログラムを個別に作る必要があったが、スマートフォンは開発環境がオープンなので一度作ったプログラムは各端末で共通に使える。独自の仕様を搭載するのにも従来と比べて開発資金と時間がかからなくなる。そうした上で消費者の利便性が高まるということなので、批判には当たらないだろう」
--今後のスマートフォンの品ぞろえは
「当面は端末数を増やしてスケールメリットを得ることで、スマートフォンでの出遅れを取り戻したい。特に、主戦場となっているアイフォーンのようなタッチパネル式のタイプに経営資源を割いていく」
ヤフーは外部のソフト開発者などが自社サイト内にあるソフト開発・配信機能を自由に使える仕組みを導入する。パソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)で使えるアプリケーションなどの開発を促すことで、サイトの集客力を高める。米アップルなどが外部のソフト開発力を活用したアプリの配信で収益を上げており、ヤフーも同様の事業モデルによりサイト収入の拡大を図る。
ヤフーが外部の事業者を自社システムに取り込む形で事業を展開するのは初めて。外部のソフト開発者にとっても、約2500万人のヤフー会員向けにソフトを供給する機会が得られる。
会員向けサイト「Yahoo!アプリ」を近く新設。ユーザーがアプリをダウンロードして利用する。種類はゲームなどの娯楽、時刻表や道順表示などの便利機能、ニュースなど情報配信の36分野。有料アプリの収入は契約に応じて開発者とヤフーで分け合う。
ソフト開発機能はインターネット経由でシステム機能が使えるクラウドコンピューティングで提供する。月内にもアプリ開発基盤を稼働する。自前の開発設備を持たないソフト開発者も利用できることから、多様なソフト、アプリの開発が進むと期待している。
「Yahoo!アプリ」はパソコン向けで始めるが、2011年春にはスマートフォンからも利用できるようにする。
このほか、ヤフーは飲食店や公共施設が自らの情報を登録・蓄積できる地域情報データベースも外部に開放する。ネット利用者が検索すれば、より詳しい情報を閲覧できるようにする。
「iPhone(アイフォーン)」を持つアップルや、基本ソフト(OS)「アンドロイド」の米グーグルは携帯電話向けソフトで外部の開発者と収益を分け合うモデルを確立している。ヤフーも自社サイトを開放する事業モデルに転換し、広告を含むネット収入を高められると判断した。
携帯電話をクーポンに フェリカ
ソニー系のフェリカネットワークス(東京・品川)は、携帯電話を電子クーポンとして低価格で利用できるようにするサービスを始める。消費者が店頭のレジで携帯電話をかざすだけで割引サービスを提供できるのが特徴で、販促手段を増やしたい小売業者向けに提案する。2011年に約20社から受注を目指す。
ソニーが開発した非接触で情報をやりとりできるIC「フェリカ」を搭載した携帯電話を使う。
まず、小売業者が自社のウエブサイトから電子クーポンを配信する。消費者がダウンロードすると、携帯電話にクーポンの情報が取り込まれる。店舗を訪れた消費者が携帯電話を読み取り端末にかざすと、割引が受けられる仕組みだ。
紙のクーポンに比べて消費者の手間が少なく、店舗側も低コストで導入できるという。利用料金は読み取り端末の貸出料などを含め、店舗数が30店の場合で1店舗あたり月額5千円程度に設定した。ローソンやイオンがすでに導入を始めており、12月からは中小企業にも提案を始める。
フェリカは電子決済ができる「おサイフケータイ」向けに携帯電話への搭載が進んでいる。電子クーポンにも使い方を広げることで、普及拡大に弾みをつける。
設備投資促進へ規制緩和 政府が8項目検討
太陽光パネル設置など
政府が月内にとりまとめる「日本国内投資促進プログラム」の骨子が23日、明らかになった。国内で工場などへの投資を促すため、建築基準法などで8項目の規制緩和の検討を盛り込んだ。法人実効税率の引き下げや主要国との経済連携協定(EPA)推進も掲げ、これらの政策の実現を前提に産業界が投資の目標を明示。「成長促進型」の政策運営に向け官民で道筋を示す。
プログラムの骨子は民間企業の有識者などが参加する政府の国内投資促進円卓会議(議長・大畠章宏経済産業相)がまとめた。25日にも開かれる新成長戦略実現会議で報告する。
規制緩和を検討するのは、建築基準法のほか、工場立地法や消防法など6つの法律で定める計8項目。具体的には行政刷新会議で内容を詰め、来年3月までに決定する。
建築基準法の規制では、太陽光パネルを設置しやすくする見直しを想定する。いまはスーパーや工場の駐車場、屋外通路などにパネルを設置すると建築物と見なされ、敷地全体の容積率などの基準を満たせなくなる場合がある。駐車場などを例外的な扱いとして、地球温暖化対策などに求められるパネル設置を促す。
工場立地法は大規模工場に一定の広さの緑地を確保することを義務付けている。ただ屋上や駐車場の緑地は面積の25%までしか緑地とみなされない。この規定を緩和することで、工場の増設・建て替えの際に敷地を柔軟に使えるようにする。
円卓会議は円高などによる国内企業の海外流出を食い止めるため、菅直人首相の指示で9月に設置された。プログラムの取りまとめでは、政府の取り組みとして国内での企業の投資・事業活動を促進する成長促進型(プロ・グロース)政策を強力に推進すると明記。電機業界が「為替水準の適正化などを前提に5年以内に年間設備投資額を昨年度比2倍の3兆円」、製薬業界は「イノベーション環境が整えば20年の研究開発投資を08年度比2倍の2.5兆円」などと試算しており、政策対応を前提とした民間の投資目標として併記する。
また、全国9地域で自治体や地元経済団体、金融機関などで構成する国内投資促進地域本部を11年初に設置。規制や制度見直しの提言機能などを担うようにする。各地の経済産業局には企業からの工場立地相談窓口も設ける方針も打ち出す。
台湾エイサー、アイパッド型端末発表 11年2月発売
【ニューヨーク=小川義也】パソコン世界2位の台湾エイサーは23日、ニューヨーク市内で開いた製品発表会で「iPad」型の多機能携帯(タブレット)端末3機種を正式に発表した。画面サイズが約10型のモデル2機種と約7型のモデル1機種で、来年2月から順次発売する。タブレット端末の台頭で、主力の低価格ノートパソコン(PC)の需要が落ち込んでいるエイサーは自らも成長市場に参入。先行する米アップルなどに対抗する。
ニューヨーク市内で記者会見した翁建仁・上級副社長は「2011年のタブレット端末の販売台数は全世界で5000万台程度に達する見込み。我々はまず10%~20%のシェアを獲得したい」と述べた。
来年2月にまず、米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を搭載した約10型の端末1機種を発売。4月には米グーグルのOS「アンドロイド」を搭載した約10型と約7型の端末各1機種を追加する。製品名や価格は「最終的に決定していない」として、明らかにしなかった。
タブレット端末はアップルが今年4月にiPadを発売して人気に火が付いた。これまでに韓国のサムスン電子が独自の端末を発売。カナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)と米ヒューレット・パッカード(HP)なども参入を表明している。
米アップル参入、競争激化 iPhoneなどで映画視聴サービス
薄型テレビや多様な携帯端末の普及を背景に、映画などの動画配信サービスが拡大している。米アップルが今月から有料配信サイト「アイチューンズ・ストア」で映画の販売やレンタルを日本でも始めたほか、人気のスマートフォン(高機能携帯電話)向け配信も関心が高まっており、競争が激化しそうだ。
アップルは、スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」や多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」などで1000本を超える映画の視聴ができるサービスを始めた。テレビにつなげる電子装置「アップルTV」も発売。インターネットの配信サイト経由で映画をテレビで楽しめる仕組みも整えた。
一方、パナソニックやソニーなどが出資するアクトビラは、テレビ向けに映画など約3万2000本の動画を配信。ケーブルテレビ国内最大手のジュピターテレコム(JCOM)も約2万8000本を扱う。NTTコム傘下のNTTぷららは光ファイバー回線で動画を提供している。
携帯電話向けの動画サービスはすでに展開されているが、「画面が小さい携帯電話で映画を見る人は少ない」(KDDI)とされ、「今後は無線LANにも対応できるスマートフォンや多機能携帯端末向けが重要になる」(同)という。
こうした中、ヤフー子会社のGyaO(ギャオ)は現在のパソコン向けに加え、スマートフォンへの動画配信も始める方針。ソニーは、4月に米国で始めたテレビ向けの映画配信サービス「キュリオシティ」の国内導入を検討している。
「au×シャープ」の強み随所 細部まで日本流のこだわり
日本でも需要が拡大しているスマートフォン(高機能携帯電話)の新型端末を26日、KDDI(au)が発売する。シャープ製の「IS03」で、米インターネット検索大手グーグルの基本ソフト(OS)「Android(アンドロイド)」を搭載し、大画面の液晶ディスプレーに触って文字などを直接入力するタッチパネル方式を採用。電子マネーの「おサイフケータイ」にスマートフォンで初めて対応するなど、日本の携帯電話でおなじみの機能も装備している。
■品ぞろえ充実で出遅れ取り戻す
≪KDDIプロダクト企画部 オープンプラットフォーム企画 グループリーダー 上月勝博課長≫
KDDI(au)でスマートフォンの商品企画を担当するプロダクト企画部オープンプラットフォーム企画グループリーダーの上月勝博課長に、IS03投入の狙いなどについて聞いた。
--IS03の開発コンセプトは
「単にアンドロイドOSを搭載したタッチパネル式のスマートフォンを出すということにとどまらず、日本市場で売れるために完成度を高めた端末にするアイデアをシャープと練ってきた。見た目としてアップルのアイフォーンに似ている部分はあるが、日本勢にしか作れないような機能を盛り込んだ点に大きな違いがある。それは、ワンセグやおサイフケータイといった目立った機能だけでなく、細かい操作性などにも表れている」
--国内メーカーの端末を発売する利点は
「海外メーカーは最新機能をいち早く搭載する点で優れているが、市場ごとに端末をカスタマイズすることには重点を置いていない。日本の携帯電話市場はすでに一定の進化を遂げているので、単純に海外の最新端末を持ってきて爆発的に売れるかというと決してそうではないと考えている」
--発売後の機能強化は
「OSについては、現状での品質の高さを考えて1世代前の『アンドロイド2.1』を搭載したが、最新の2.2へのバージョンアップは視野に入れている。来年にもバージョンアップを検討したい」
--日本独自の仕様を盛り込むことでスマートフォンでも「ガラパゴス化」の道を進むとの指摘がある
「スマートフォンに独自機能を搭載するのは、従来の携帯電話とはまったく異なる意味がある。従来、独自機能を搭載するには専用のプログラムを個別に作る必要があったが、スマートフォンは開発環境がオープンなので一度作ったプログラムは各端末で共通に使える。独自の仕様を搭載するのにも従来と比べて開発資金と時間がかからなくなる。そうした上で消費者の利便性が高まるということなので、批判には当たらないだろう」
--今後のスマートフォンの品ぞろえは
「当面は端末数を増やしてスケールメリットを得ることで、スマートフォンでの出遅れを取り戻したい。特に、主戦場となっているアイフォーンのようなタッチパネル式のタイプに経営資源を割いていく」