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稼げないソニー! テレビ新製品の連発し、出荷台数急増でも…
 ソニーのテレビ事業は一見すると、絶好調だ。
 10月12日、ソニーは「インターネットテレビ」を発表した。これは、グーグル製の「アンドロイド」とインテル製の高性能半導体を搭載したまったく新しいコンセプトのテレビ。キーボード付きリモコンも付属しており、インターネット閲覧とテレビ番組の視聴という家庭の2大娯楽が、これ1台だけで自在に楽しめる、というものだ。
 ソニーは6月にも高精細さが自慢の3Dテレビを発売している。新しい時代を予感させる新型テレビを次々に打ち出しており、テレビにおけるトレンドリーダーとしての地位は復権しつつあるかのようだ。
 新興国市場でも追い風が吹き始めている。韓国のサムスン電子やLGエレクトロニクスが上位を占めてきたインドの薄型テレビ市場で今年の夏、ソニーが初めてシェアトップに躍り出た。新興国市場でも、急速に「SONY」の4文字が輝きを増してきている。
サムスンが握る生命線 収益化できない迷路
 ところが、内実は決して輝いてはいない。華やかな新製品発表、販売台数の躍進とは裏腹に、収益展望は急速に不透明感を増している。テレビはソニーの売り上げの約15%を占めており、単一製品としては最大事業。かかわっている社員も多く、まさにソニーを象徴する製品だ。赤字に悩み続けるテレビ事業は、跛行を続けるソニーの縮図である。
 8月下旬、東京・品川にあるソニー本社ビルの会議室。ここにテレビ事業の幹部数十人が招集され、緊急会議が開かれた。会議で明らかにされたのは、今2011年3月期もテレビ事業の赤字が続く可能性が高いというシナリオだった。
 はじき出された赤字見通しはおよそ250億円。前期の赤字750億円から大幅に改善するものの、必達目標と掲げていた黒字化は絶望的な状況だ。急激な円高という逆風があったとはいえ、昨年度までのリストラ効果は大きい。今度こそ間違いなく黒字化できる、と考えていただけに、集まった幹部は、誰もが深いため息をつき、うなだれた。
 今期の折り返し地点すら迎えない時期での黒字化断念。最大の要因は、ドル箱である北米市場の需要が想定を大きく下回ったことだ。米ディスプレイサーチの調べによると、10年の北米の市場規模は年初予想から300万台ほど落ち込み、3850万台になる見通し。北米だけでなく欧州なども伸び悩んでおり、ソニーは期初に社内で掲げた世界販売計画2700万台を200万台ほど引き下げざるをえなかった。
 計画の下方修正を迫られているのはソニーだけではない。しかし、ソニーの苦悩が深いのは、テレビの原価の7割を占めるキーデバイス(基幹部品)である液晶パネルを、まったく内製していない点にある。
 液晶パネルの価格は年間におよそ2割のペースで価格低下が進んでおり、倉庫に保管して来年に使い回すわけにはいかない。いわば生鮮食品のようなものだ。販売計画の下方修正に合わせてパネルメーカーに調達のキャンセルを申し入れなければ、そのまま来期以降の損失につながってしまうリスクがある。
 ところが、キャンセルすればすべてが丸く収まるわけではない。キャンセルが、ドミノ式に将来にも難題をもたらす。緊急会議で話し合われたのは、「今期急遽調達のキャンセルを申し入れるにもかかわらず、来期にまた調達を拡大することをパネルメーカーは理解してくれるのか。特にサムスンは納得してくれるだろうか」という点だった。
 ソニーは来12年3月期には、販売台数4000万台を狙う。サムスンと折半出資する合弁工場S-LCDから調達するパネルが全体の過半を占めており、工場運営の主導権を握っているのはサムスン。ソニーの販売計画は実現性がない、とサムスン側が判断すれば計画どおりにパネルを調達することは難しい。実際、サムスンは今回の一部キャンセルの申し入れを受けて、「来期4000万台の計画は、本当に達成できるのだろうか」と強い懸念を示しているという。
手はすべて打ったが主導権は取り戻せない
 テレビの復活なくしてエレキの復活なし。エレキの復活なくしてソニーの復活なし――。05年6月にハワード・ストリンガー氏が会長兼CEOに就任して以来、テレビ事業の収益化は「プレイステーション3」などゲーム事業の赤字脱却と並んで、最優先の経営課題に据えてきた。
 液晶テレビの世界市場シェアはサムスンに続く2位につけている。にもかかわらず、今期も赤字となれば直近5期だけでも合計赤字額は約3200億円に達する。テレビ事業は、デジタルカメラや金融など、ほかの事業の稼ぎに支えられながら延命されているといってもいい状況だ。
 もちろん、この惨状に対し、経営陣は決して手をこまねいてきたわけではない。むしろ、打てる手は打った。だからこそ赤字継続はショックなのだ。
 ストリンガー会長はトップ就任から終始、エレキ事業の生産設備・人員リストラを進めてきた。特に、ブラウン管時代の非効率な開発・生産体制を引き継いだままだったテレビ事業については、08年末以降に愛知県一宮やメキシコ、東欧の工場を閉鎖・譲渡するなど、生産固定費を大幅に圧縮するアセットライト戦略を突き進めた。
 携帯電話端末の合弁会社であるソニー・エリクソンでファブレス(工場を持たない)経営を学んだ吉岡浩副社長が現場に立ち、製品設計も根本から見直している。部品や設計を単純化・共通化できコスト削減につながるなら、デザインへのこだわりも捨てた。スリム化を図りながら販売台数も右肩上がりで拡大させており、その意味ではソニーのブランド力は依然として強いことを証明した。
 しかし、それでも黒字化が難しい理由をソニーの経営陣はよくわかっている。「テレビ事業はパネルメーカーに主導権を奪われてきた。そこに忸怩(じくじ)たる思いがある」。吉岡副社長は09年秋、記者を前に胸中を吐露している。
 コストの7割を占めるコアデバイスを外部に委ね、2割超の単価下落の中で薄利を確保するビジネスモデルは、外部環境の変化で瞬時に機能不全に陥る。これまでにも、需給逼迫期にサムスン合弁工場からすらもパネルを十分調達できず販売機会を逸失したことや、大量調達した結果高値でパネルをつかみ、損益を大幅に悪化させたこともあった。
 安定調達の手法として、シャープの大阪・堺液晶コンビナートで合弁を組み、パネルを共同生産する枠組みを08年に構築した。しかし、数量や価格面で折り合わず、ソニーに供給された数量は極めて限定的だ。
 自前のパネル生産投資に踏み切っていれば赤字に悩むことはなかった、ということでもない。世界4位の薄型テレビメーカーであるパナソニックは液晶・プラズマパネルの大半を内製するが、08年度から赤字に沈んだまま。数千億円規模の設備投資で償却負担も重い。液晶パネルメーカーとしては国内最大手のシャープですら、夏場のパネル工場稼働率が急落し、自社でパネルからテレビまでをつくる垂直統合モデルの強みは出せていない。
 結局、テレビを取り巻く状況が物語るのは、「最も多く生産するサムスンが、テレビでもパネルでも価格競争力を持ち、産業を主導する」ということだ。足元の北米テレビ市場で、ソニーは市場シェアを伸ばしているが、そのシェアはLGエレクトロニクスから奪ったもの。サムスンはソニーと同程度シェアを伸ばしたため、その差が大きく縮まっているわけではない。
 ストリンガー会長は社内の会議で、時折こう発言することがある。「協調を阻むサイロは壊した。アセットライトも進んだ。だが、まだ成し遂げていないことがある。中長期にわたって成長と収益をもたらす、新しいビジネスの創出だ」。
 かつて出井伸之前会長が煙たがった、創業者の薫陶を受けた重鎮たちはみな退いている。そのため、ストリンガー会長が創業期の面々と経営手腕で比べられることもない。「ストリンガー会長から指示を受ける執行役員たちは調整型が多い。そのため激烈な意見の衝突はめっきり減っている」(ソニーOB)。
 しかし、ソニーは「新しいビジネスの創出」ができない焼け野原ではない。最終製品の分野では一部事業の撤退や関連する製品開発施設の閉鎖などを断行したが、デバイスでは最先端分野の研究開発と設備投資を続けてきた。
 たとえばリチウムイオン電池。かつてソニーが圧倒的な強みを持った家電用途の電池は、韓国勢の追い上げが激しい。そこで、事業の軸足を車載電池やスマートグリッド(次世代電力網)用蓄電池など産業用に移すのを急務としている。福島と栃木の既存工場に産業用電池専用のパイロットラインを建設したばかりだ。
 また半導体事業も、長崎のシステムLSIの生産ラインこそ東芝に売却したものの、デジタルカメラ、ビデオカメラなどに用いる電子の目、撮像素子には投資を続けている。まだ収益化できる事業には育っていないが、ペンの細さに巻けるフレキシブル有機ELディスプレーや、給電ケーブルなしで、周囲の金属に熱を与えることなく、携帯電話などを充電できるモジュールなどといった研究開発プロジェクトは、関連の学会でも大きな注目を集めている。
 米国でインターネットテレビを発表した次の日、デバイス事業のエンジニア約50人がひそかに奈良・天理へ飛んだ。向かった先は、シャープの研究開発拠点。広いホールにはシャープのあらゆる事業のエンジニア約500人が集まり、熱気でむせ返った。
 ソニーの最先端のデバイス事業をシャープにアピールする、いわば“技術見本市”。製品ごとでは従来からキヤノンやパナソニック向けに開かれていたが、デバイス事業すべてを横断し、これほど大規模に開かれた例はここしばらくなかった。
 ソニーのエンジニアが惜しげもなく披露したのは、電気自動車用バッテリーとして期待されるオリビン型リン酸鉄を正極材料に用いたリチウムイオン電池、裸眼3D映像用の撮像素子、独自開発した静電式タッチパネルなど、ソニーが誇る先端デバイスの数々。シャープの町田勝彦会長と片山幹雄社長も姿を現し、これらのデバイスに見入っていたという。
 両社の間には堺のパネル合弁の問題がまだくすぶっており、ここから新しい協業が生まれるかは未知数。だが、少なくともソニー側には次世代デバイスを収益事業に育てるという機運は高まっている。
川上にさかのぼるほど差別化のチャンス
 「デジタル時代はハードの差別化が難しいとみんな言うけれど、それは違う。デバイス、さらに先の素材と、川上にさかのぼるほど差別化のチャンスがある。そして、ソニー製品に強いデバイスを載せるために、外販で大胆に稼がなくちゃならないんだ!」
 デバイスソリューション事業本部の石塚茂樹本部長が繰り返す、この熱いメッセージを、本社や生産事業所の多くの社員が聞いている。
 石塚本部長は09年までデジタルイメージング事業(デジタルカメラ、ビデオカメラ)本部長を務めたが、この事業はソニーにとって直近の成功体験といえるかもしれない。銀塩フィルムカメラ事業を持っていなかったソニーは、スチルカメラの分野では後発組だった。
 だがビデオカメラ「ハンディカム」で培った高性能の撮像素子で、銀塩フィルム時代からのカメラメーカーと肩を並べた。テレビ同様価格下落が厳しい中でも、比較的底堅い収益力が維持できているのは、社内で生み出したキーデバイス=撮像素子が支えるからだ。
 つまり、デバイスこそが最終製品の競争力の源泉だ。サムスンの高い利益率を支えているのは、液晶パネルや半導体メモリなどのデバイス。そのサムスンの幹部は、「かつてソニーはわれわれの目指すベンチマーク企業だった。が、今は違う。お客さんだ」と言い切る。
 「ソニーをほかのどことも異なる企業として維持することを、決意せよ」
 米ソニー・エレクトロニクス本社の一角には、60年前にソニーを創業した盛田昭夫氏のこんなメッセージが掲げられている。ソニーが収益力を取り戻すためには、もう一度原点に返り、ほかのどこにもつくれないデバイスを粘り強く生み出していかなければならない。
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iモード版ドコモマーケットは成功するのか?……海外アプリマーケットに見る成功の条件
 スマートフォンとは何かを一言で定義するのは難しい。しかし、世の中でスマートフォンと呼ばれている携帯電話端末に共通する特徴としては、ユーザーが好きなアプリをダウンロードし、機能をカスタマイズできるという点が挙げられる。自由に追加できるアプリの存在は、スマートフォンにとって欠かせない要素である。
 スマートフォンにおいてアプリが果たす役割の大きさについて疑うところはないが、アップルのApp Storeが成功したことにより、アプリ配信マーケットが加えて重要視されるようになった。続いて登場したAndroidスマートフォンには最初からAndroidマーケットが備わっていたし、マイクロソフトもWindows Mobile 6.5からWindows Marketplaceを標準機能として搭載している。
 このようなOS純正の“大型量販店”に相当するマーケットが存在する一方で、携帯電話事業者などが“セレクトショップ”を独自に設ける動きが盛んになっている。NTTドコモは「ドコモマーケット」、KDDIは「au one Market」をスマートフォン向けに開設して日本のユーザーにマッチしたアプリや独自のコンテンツなどを配信しているし、Nokiaの「Ovi Store」、Samsungの「Samsung Apps」など、端末メーカー各社もまた自社製品向けのアプリ/コンテンツマーケットに力を入れている。シャープが電子書籍端末「GALAPAGOS」で提供するサービスなども、広い意味ではそのひとつと言えるだろう。
■App Storeの成功モデルを取り入れたiモード版ドコモマーケット
 そんな中、今期ドコモが新たな取り組みとして力を入れているのが、iモード版のドコモマーケットの展開だ。開発者登録の受付が始まっており、12月6日にマーケットのサイトがオープンする予定だ。
 これまでも、アプリを制作したコンテンツプロバイダに代わってドコモが月々の電話代と合算でiアプリの代金を回収する仕組みは用意されていたが、これを利用するにはiMenu掲載サイト(いわゆる「公式サイト」)になる必要があり、実験的なアプリ販売や個人レベルの開発者で利用できるものではなかった。また、配信サーバーはアプリ制作者が自ら用意する必要があったし、電話帳やメーラーとの連携、GPSやBluetoothの利用、グラフィック描画のためのOpenGL ESといったインタフェースは公式サイト以外には開放されていなかったため、端末自体の持つ機能と連携した高度なアプリを制作することも、少なくとも個人レベルの開発者にとっては不可能だった。
 iモード版のドコモマーケットでは、個人制作者に代わってドコモがアプリの配信サーバーをホスティングし、販売代金の回収も行う。公開前にはドコモの審査を受ける必要があるが、その代わりこれまで公式コンテンツプロバイダにしか使えなかった機能にもアクセス可能となる。いわば、iモード版のApp Storeである。この仕組みを導入することによってiアプリ市場を活性化し、ひいては通信料収入拡大につなげたい、というのがドコモのねらいだ。「ガラパゴス」的なiモードの世界をオープンにし、スマートフォンの成功モデルを採り入れるための取り組みという見方もある。
 また今回、ドコモでは単に配信と代金回収を代行するだけではなく、GUIベースでユーザーインタフェースを開発できる環境を一般提供するといった開発者の支援に加え、ドコモポイントでのアプリ代金の支払いを可能にする、マーケットのサイトはレビューやランキングなどの機能も充実させるなど、iアプリ市場自体を活性化するためのさまざまな施策を投入している。それでいて手数料率はApp StoreやAndroidマーケットよりも低い20%(販売金額の80%がコンテンツプロバイダの取り分)に抑えられている。
■「携帯電話以外」の世界を見据える海外アプリマーケット
 このような姿勢からドコモマーケットにかける同社の本気度の高さは伺えるが、この取り組みによってiアプリ市場は再び活性化するのだろうか。
 かつては事実上の「iPhone一択」でAppleの移行に縛られていた市場に、多様性と自由度を標榜するAndroidが登場し、アプリ配信マーケットに関してユーザーの選択肢は増えている。
 加えて言うならば、既にアプリのプラットフォームは「携帯電話以外」の世界を見据えた展開が当たり前になっている。当初iPhoneから始まったApp StoreはiPadのようなタブレット型端末、そしてMacへとその領域を広げているし、Androidは言うまでもなく当初からスマートフォンだけのプラットフォームではなく、あらゆる情報デバイスを対象としている。Samsung Appsも、グローバル市場においてはテレビやPCなどを含めた展開を図っている。
■マーケットのオープン化だけでは成功できない
 このような状況の中で、オープンなアプリマーケットを用意したからといって、iPhoneやAndroidのような盛り上がりを見せるとは考えにくい。iPhoneに数多くのアプリが存在する理由のひとつとして、App Storeという使いやすい仕組みの存在を挙げることはできるが、それ以前の大前提として、この魅力的な情報端末に向けてアプリを作りたいという気にさせる優れたUIや表現力が備わっていたからこそ、全世界の開発者が(Mac OS X/iPhone OS以外であまり使われないObjective-Cを習得してまで)このプラットフォームに移ってきたということが言えるだろう。
 同じような魅力が、現状のiモード端末にあるだろうか。確かに、iモードの契約数は4,900万を超えており、数だけ見れば世界有数の巨大プラットフォームだ。まだまだスマートフォンに比べ多い従来型携帯のユーザーに向けてアプリを提供したいと考えたときには、このユーザー数は武器になるかもしれない。しかし、iアプリの仕様は機種の世代ごとに断片化しており、2008年末に打ち出した新仕様「Starプロファイル」への移行は十分進んでいるとは言えないし、同じ世代の端末の中でも対応機能はまちまちで、4,900万という数を額面通り受け取ることはできない(もちろん、断片化の課題はiPhoneやAndroidでも見られ始めてはいる)。またドコモ自身、今後は端末ラインナップの軸足をスマートフォンへと移す姿勢を見せている。今回の施策で最も取り込みたいはずの、先進的なアイデアを持つインディペンデントな開発者にとって、本当に魅力的なプラットフォームと言えるだろうか。
■ドコモマーケット成功の条件
 おそらく、iモード版ドコモマーケット成功の可否は、機能や料率といった仕組みの部分ではなく、これを契機にiモードというプラットフォームをどう発展させるのか、「次のビジョン」を示せるかどうかにかかっていると言えるだろう。iPhoneやAndroidでは得られない価値の追求に加え、これまで培ってきたiモードの世界を、クラウド、情報家電などの新たな情報デバイス、グローバル市場といった、外側の世界とどのように連携させていくかの道筋を示すことが求められる。いくら現状のユーザー数が多くても、その先の世界を見通せないプラットフォームに人は集まらない。
 同じことは、いま世界中で「乱立」しつつある無数のアプリ/コンテンツマーケットについて言えるだろう。プラットフォーム自体の魅力がユーザーや開発者を集めるのであって、App Storeの仕組みだけを真似た囲い込みの戦略は成功するはずがない。



シャープ、携帯電話でインド進出 月内にも現地仕様投入
 シャープは月内にもインドで携帯電話端末の販売を始める。携帯電話4機種を順次投入。このうち2機種は契約者を認識するSIMカードを2枚挿せるなど現地仕様にした。独自の液晶パネルなどをアピールして成長が続くインド市場を開拓する。
 4機種はいずれも第2世代(2G)端末で、インターネット接続もできる。想定価格は約1万3千~3万6千円程度と現地ではやや高め。
 インドでは料金体系の異なる複数の電話会社に加入して使い分ける人も多いため、SIMカードの挿入口が2つある機種を用意。ラジオやタッチパネル機能付き、自社の液晶パネルを使った「アクオスケータイ」なども発売する。
 インドの携帯電話加入件数は過去1年で2億件以上増えたが、普及率はなお5割程度にとどまっているといい、市場拡大が続く見込み。日本の携帯電話メーカー(ソニー・エリクソンを除く)は現在インドに進出していない。フィンランドのノキアや韓国のサムスン電子が高いシェアを持つが、低価格で地元仕様を盛り込んだ現地メーカーも販売量を伸ばしている。シャープは高機能と現地仕様を組み合わせて市場開拓を進める。
 国内市場の伸び悩みを受け、シャープは新興国開拓を急いでいる。中国市場には2008年に参入、09年度で100万台超の販売実績を早期に500万台に引き上げる計画だ。世界全体では09年度に1054万台を販売した。



ACCESS、スマートフォンでヤフーと提携
 ソフト開発のACCESSは高機能携帯電話(スマートフォン)事業でヤフー(東京・港)と提携する。ACCESSが15日に提供を始める閲覧ソフト(ブラウザー)に、ヤフーの提供する検索機能を標準で搭載。検索連動型広告による収益をヤフーとACCESSで分け合う。
 ACCESSがブラウザーを提供するのは米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した端末。利用者は無償でソフトをダウンロードできる。
 アンドロイドが標準で備える閲覧ソフトはグーグルの検索機能と連動するため、他の玄関サイトにとっては自社サイトに利用者を誘導しにくい課題があった。ACCESSはソフトのライセンス収入に次ぐ新たな収入源を開拓、ヤフーは提携でスマートフォン分野での検索シェア拡大を図る。
 ACCESSは欧米やアジアでも複数の地元ポータル(玄関)サイトと交渉中で、年内に同様の事業モデルの構築を目指す。
 このほかACCESSは、文書ファイルを閲覧できるソフトなど3種類のソフトの提供を15日から始める。ソフトに広告を付加して無償で提供するが、文書閲覧アプリのみ広告のない有償版を用意する。
 これまで同社は、携帯電話事業者向けにブラウザーを提供してライセンス収入を得る事業が中心だったが、国内の携帯電話市場の縮小に伴い収入が伸び悩んでいた。今後は利用者に直接ソフトを届ける事業に力を入れ、新たな収益減の確保にのりだす。ACCESSはスマートフォン関連事業について、3年以内に年間売上高30億~50億円を目指す。



SNS活用した企業宣伝 DAC、米社と提携
 博報堂系のインターネット広告大手、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)は、交流サイト(SNS)を活用した企業宣伝の支援事業で米国の有力ネット企業、インボルバーと提携した。世界最大のSNS「フェースブック」上で企業サイトを簡単に開設・運営できるソフトを、日本と中国向けに供給。広告事業の活性化にもつなげる。
 米社のフェースブック用アプリケーションと情報管理システムの販売をDACが受託。DACと提携しているネット企業のメンバーズが顧客支援などを担当する。日本では11月下旬に投入を予定。アプリの価格は月10万円。情報管理システムとセットで月40万円。
ツイッター、アップルの交流サイト「ピング」と連携 楽曲情報の発信や共有など可能に
 【シリコンバレー=岡田信行】ミニブログ大手の米ツイッターは11日、米アップルが9月に立ち上げたSNS(交流サイト)「Ping(ピング)」と連携を始めたと発表した。両者に登録したユーザーがピングで投稿した楽曲の評判をツイッターに流すほか、ツイッターからアップルの配信サイトに接続して楽曲を購入できるようにした。11日から米国や日本を含む23カ国で利用できる。
 ツイッターの利用者がピングに接続し、ツイッターでの登録情報を入力することで連携する。ピングで「お気に入り」の楽曲情報をツイッターで発信・共有できるほか、ツイッターからアップルの音楽配信サイト「iTunes(アイチューンズ)ストア」に接続して楽曲を購入できる。
 アップルはツイッターの利用者を自社の音楽配信サイトに呼び込んで楽曲の販売を増やせるほか、ツイッターはアップルのオンライン音楽配信サイトと連携することで利用者の利便性を高め、それぞれ利用拡大を目指す。



次のGoogle携帯はサムスン製 Nexus S、Android 2.3 " Gingerbread "搭載
 Google Nexus One の後継機、" Nexus S " のギャラリーをお届けします。純正Google 携帯こと Nexus One の後継機 " Nexus Two (仮) " のうわさがあったのは先月末。複数の流通関係者などが語っていたのは、Google携帯の新モデルが各国のキャリアから販売される、搭載するのはAndroid 2.3 " Gingerbread "、端末はサムスン製らしいといった話でした。
 そしてつい先日、米小売 Best Buy mobile のサイトに " Nexus S " なる端末が掲載されます。見出しは「Pure Google」。具体的な仕様などについての言及はないものの、キャリア はT-Mobileであり、今年のホリデーシーズン発売に向けて予約受付中となっていました。(現在は取り下げ済み。Googleキャッシュ)。
 Picasa や Flickr などで " Nexus S " で撮影された写真を検索すると、おそらく5メガピクセルのカメラで撮影されたとおぼしきファイルが複数見つかります。ユーザープロファイルはいずれも Googleの従業員やその家族。公開されている写真をさらに見てゆくと、" Nexus S " の数日前には " GT-i9020 " なるデバイスで撮影されていたことがEXIF情報から分かります。これはおそらく、アップデートでEXIFに含まれる型番が "GT-i9020" から " Nexus S " に変更されたため。
 i9000台といえば、サムスンがGalaxy Sシリーズで使用している型番です。(※ 日本ではドコモの1機種が Galaxy S と呼ばれていますが、国外ではスライドキーボードつきやWiMAX対応、デュアルディスプレイなど、異なる仕様・デザインと名称の端末が " Galaxy S " ブランドで販売されています)。さらに FCC や Wi-Fi 認証を検索すれば、サムスン製の i9020というスマートフォンが見つかります。こちらの仕様は802.11b/g/n (非デュアルバンド) WiFi、米T-Mobileの使用帯域と一致するAWS帯 (バンド IV) の UMTS (WCDMA) 3G。
Nexus Sについて Google に問い合わせたところ、回答は「うわさや推測にはコメントしません」。Android OSの次期バージョン 2.3 " Gingerbread "が近日中にリリースされるという話や、 Best Buy mobile の「ホリデーシーズン発売」からすれば正式発表も近そうです。



サムスン Galaxy S 後継機はスーパー有機EL2 & 1.2GHz プロセッサ搭載、2月発表?
 GoogleのNexus Sとはまた別に、サムスンの次世代Android端末らしき情報が流出しています。現行Galaxy Sファミリーの後継にあたるもので、かなり大型のスーパー有機EL2(sAMOLED2)ディスプレイを搭載するのが特長です。ディスプレイサイズについては4.3型 / 4.5型と情報が交錯していたり、また右上にある「薄さ自慢の図」は他の製品からの借用だったり、どうも急ごしらえで作られた資料のもよう。OSには間もなくの発表が噂されるAndroid "Gingerbread"を採用し、カメラはAF・LEDフラッシュ付きで1080p動画対応 / 800万画素。そのほかにも1.2GHzプロセッサ、16GBメモリ、802.11 b/g/n WiFi、DLNA、GPS、Bluetooth 3.0といったハイエンドな仕様が並んでいます。「2011年2月」という文面から推測するに、毎年2月に開催されるモバイル系の大展示会 Mobile World Congress で発表されると考えるのが自然でしょうか。ギャラリーにはもう一枚の資料と合わせて、もうすこし大きなサイズで掲載しています。



HTC、「HTC Desire HD」のクラウドサービスなど紹介
 HTC Nipponは、11月12日よりAndroidスマートフォン「HTC Desire HD」の販売が開始されたことに伴い戦略説明会を開催した。
 プレゼンテーションを行ったのは、HTC本社の最高製品責任者(CPO)である小寺康司氏。同氏は今年8月にCPOとしてHTCに入社した。これまでに三菱電機、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズなどに勤め、ソニー・エリクソンではバイスプレジデントとして製品やコンテンツを担当していた。
 小寺氏はまず、グローバルの状況を説明し、HTC製端末は世界のAndroid端末の5台に2台、Windows Phone端末は2台に1台がHTC端末であるとした。HTCのビジネスの半分以上を占めている主戦場の北米市場では、昨年から1年間でブランド価値が13%から48%へ上昇し、顧客満足度が高まったことなどを紹介した。
 スマートフォン事業に注力しているHTCは、従来よりイノベーションを追求するという方針を示している。小寺氏は「イノベーションにフォーカスし、いかにマーケットにそれを投入していくか」が重要であるとした。また、これまで最新OSにいち早く対応をしてきたHTCだが、今後も「設計段階から先を読んで展開していく」という。
 ソフトバンクより販売が開始された「HTC Desire HD」については、起動の速さをアピールし、空港でのワンシーンを説明し「飛行機を降りてまず何をするか? スマートフォンの電源を入れる。HDならわずか10秒で起動する」と話した。
 また、「HTC Desire HD」で提供されるクラウドサービス「HTC Sense.com」なども紹介された。「HTC Sense.com」では、スマートフォン内に保存されたアドレス帳データやSNSなどのメッセージのやりとり、カレンダー情報などをHTCのサーバー上に保存できるというもの。データの管理はパソコンから行え、端末を変更した際にもデータの移行がしやすくなる。
 「HTC Sense.com」では、スマートフォンをどこに置いたのかわからなくなった場合などに、マナーモード中であったとしてもパソコンから強制的にメロディを流すよう発信できる。また、端末を紛失した場合でも「HTC Sense.com」から端末ロックとパスワードが設定でき、「見つけたかたは電話してください」などとディスプレイ側にメッセージが表示できる。どうしても見つからない場合も遠隔からスマートフォン内のデータを消去できる。
 なお、「HTC Sense.com」は「HTC Desire HD」以降のモデルから利用できるようになる。HTC Desireなど従来提供していたモデルへの対応は検討中とのことで、小寺氏は「なるべく早く回答を出したい」と語った。
 このほかHTCでは、端末内に記録されたデータを新しい端末にする際に、Bluetoothを利用して、マシン to マシンでデータ移行できる仕組みなどを検討しているという。また、日本特有の機能へのキャッチアップについて、小寺氏は「FeliCaなどはいずれやらざるえないと思っている」と語った。国内では今後も、携帯電話事業者と協力して端末を提供していく方針という。



ハルヒにエヴァ、大沢在昌の新刊など、「Book☆Walker」コンテンツ発表
 株式会社角川コンテンツゲートは12日、電子書籍プラットフォーム「Book☆Walker」のコンテンツのラインナップを発表した。12月に展開を開始するiPad/iPhoneアプリ向けに、電子版が先行発売となる大沢在昌の新刊「カルテット」や人気のライトノベル「涼宮ハルヒの憂鬱」など約100作品を販売する。
 ライトノベル、コミック、文芸、新書の4ジャンルを配信する。主なコンテンツとしては、文芸が「カルテット」やダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」など、新書が50万部を突破した池上彰の「知らないと恥をかく世界の大問題」など、ライトノベルが「涼宮ハルヒの憂鬱」など、コミックが「ケロロ軍曹」や「新世紀エヴァンゲリオン」など。
 12月以降も毎週約20作品を追加する。Android端末やPC向けのサービスが開始する2011年4月時点では、雑誌や実用書、写真集などの配信ジャンルを拡大し、約1000作品を扱う予定。2011年7月にはグランドオープンを予定している。
 また、角川グループと包括的業務提携を結んだ株式会社ドワンゴ子会社の株式会社ニワンゴは、Book☆Walkerで購入した電子書籍の一部を閲覧できる無料アプリ「ニコニコビューワ(仮称)」を2011年4月にリリースする。同アプリはiPadおよびPC向けに展開。「ニコニコ動画」のように、ユーザーのコメントを背景にしながら電子書籍が楽しめる。
 さらに、株式会社角川書店とモーションポートレート株式会社は、iPadアプリ「アニメロイド『涼宮ハルヒのBook☆Walkerナビ』」を近日中に無償公開する。同アプリは、涼宮ハルヒのキャラクターが、iPad上で「Book☆Walker」のコンテンツをインタラクティブに紹介するというもの。



「~なう」「ガラケー」「本田△」2010年流行語大賞ノミネート語
 自由国民社は、「2010ユーキャン新語・流行語大賞」の候補語60語を発表した。インターネット関連では「iPad」「~なう」「ガラパゴス(ガラケー)」などがノミネートされている。
 このほか、2ちゃんねるなどで話題になった「リア充」「本田△(ほんださんかっけー)」「岡ちゃん、ごめんね」など、芸能関係では「AKB48」「ゲゲゲの~」「いい質問ですねえ!」などがノミネートされている。
 大賞とトップテンは12月1日に発表される。なお、2009年の大賞には「政権交代」が選ばれた。



「Yahoo!モバゲー」ユーザーが100万人突破
 ヤフーとディー・エヌ・エー(DeNA)は11月11日、PC向けソーシャルゲームサービス「Yahoo!モバゲー」のユーザー数が同日付けで100万人を突破したと発表した。今月中旬にはYahoo!JAPAN IDのみでの利用登録に対応し、ユーザー拡大に弾みを付けたい考えだ。
 9がつ21日のβ版公開から51日、10月7日の正式オープンから35日で大台を超えた。人気ゲームのPC版「怪盗ロワイヤル-zero-」などをそろえたほか、友達紹介キャンペーン、Twitter連携、テレビCMの全国展開、Yahoo!JAPANトップページからの誘導強化などが奏功したとしている。
 ユーザーは男性が68%、女性が32%。20歳未満が15%、20代が29%で、30代以上が56%と半数を占める。
 利用にはモバゲーへの登録が必要だったが、今月中旬には、一部のゲーム・機能を除きYahoo!JAPAN IDのみで利用登録できるようにする。携帯電話やクレジットカードによる認証が不要で利用登録できるようになり、ユーザー数の拡大を見込んでいる。
KDDIとのまさかの提携で注目度急上昇 「スカイプ」はようやく本格普及するか?
 無料で世界中どこにでも電話をかけることができるP2P(ピアトゥピア)技術を利用したインターネット電話サービス「スカイプ」(Skype)が、ここにきて改めて注目を集めている。
 スカイプの初登場は2004年。リリース当初は、無料ながらも高音質での通話が可能ということもあって、一気に普及するかに見えた。
 しかし、無料というキャッチフレーズは魅力的ではあったものの、実際に使ってみると実用的とはいい難かった。電話をかけるのに、いちいちPCを起動したり、ヘッドセットやウェブカメラを整えたりしなければならないという点が、ユーザーに煩わしく感じられたのだ。
 結果的にスカイプは、一部のビジネスシーンでの活用に留まり、一般ユーザーにまで広く浸透するには至らなかった感がある。
 そうした動きに変化が現れたのは、スマートフォンへの搭載が進み始めたからだろう。たとえばiPhoneを例にとれば、現在では3G回線やマルチタスクにも対応しており、使い勝手の面では格段に利用しやすくなった。
「つながりやすさ」に関しては様々な声があるが、出先でも使えるようになった意義はやはり大きい。これまでPCという「固定電話」に繋がれていたスカイプが、スマートフォンに搭載されることでようやく「携帯電話」へと進化したと言えるからだ。
 ただし、それだけではスカイプの弱点を全て克服したとは言えない。無料通話を試みるには、通話相手が「スカイプユーザー」であり、かつ「スカイプを立ち上げてログインしている」状態でなければならない。当たり前のことだが、この敷居が意外に高い。
 逆に言えば、ユーザーがスカイプの起動を意識することなくログインでき、少ない電力消費でバックグラウンドに常駐するようになれば、通話時にスカイプを選択するユーザーも増えると考えられる。
 その意味でも、このほど発表されたKDDIとの提携は、注目に値するものだと言える。専用アプリによる「バックグラウンドでの動作」および「省電力化」は、記者発表でも明言されており、上記の問題が改善される可能性は高い。KDDI版スカイプ(「Skype au」)の実績いかんによっては、他キャリアの追随も十分あり得る。
 さらにスカイプは、KDDIとの提携を発表する少し前に、世界最大のSNS「フェイスブック」(Facebook)との連携機能を持ったバージョンをリリースしている。2010年10月現在では、ウインドウズ版のみでの提供となっているが、新たに「Facebookニュースフィード」と「電話帳」機能を追加。
 これにより、スカイプでフェイスブックのユーザーページを閲覧することが可能となり、コメントや「いいね!」といったアクションを簡単に返すことができるようになった。また、友人のスカイプアカウントや携帯電話番号も合わせて表示されるので、クリック1つで通話に切り替えることができる(携帯や固定電話への発信は有料)。
 携帯キャリア、あるいはソーシャルメディアとの連携が進めば、スカイプがコミュニケーションの起点となるかもしれない。たとえば、携帯で撮影したビデオをフェイスブックに投稿したのち、その内容についてすぐにスカイプにログインしている友人と通話することもできる。
 こうしたネットとリアルとをまたぐ愉しみ方は、これまでありそうでなかった。スカイプが新しいコミュニケーションを生み出す起爆剤となるか、注目したいところだ。



映画「携帯で見る」時代に 国内勢、アップルを警戒
 米アップルは11日、高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」などの携帯端末向けに映画を配信する有料サービスを日本でも始めた。日米の主要映画会社が計1000本以上の作品を提供する。見たい時にいつでも好きな映画を選べるサービスはこれまで、家庭のテレビ向けが主流だった。どこでも視聴可能な携帯向けサービスの登場で、競争が一段と激しくなりそうだ。
■最新作もズラリ
 映画は米アップルが運営するネット上の販売サイト「iTunesストア」で購入するか、レンタルで視聴できる。購入価格は1000~2500円。レンタルは200~500円で、ダウンロード完了後30日以内に見始め、視聴開始から48時間以内に見終えればよい。その間なら何度でもみることができる。
 パラマウント・ピクチャーズやウォルト・ディズニー・スタジオ、ワーナー・ブラザース、松竹、東映、角川映画など日米の映画大手が作品を提供する。ディズニーが今月3日にブルーレイ・ディスクを発売したばかりの「トイ・ストーリー3」など最新作も多い。松竹は「おとうと」など90作品以上を提供する。
 iPhoneのほか、電子書籍などが読める新端末「iPad(アイパッド)」でも受信できる。今週から出荷する専用のネット接続機器「アップルTV」(8800円)を使えば家庭の大画面テレビでも楽しめる。
 米国ではすでにサービスを始めていた。日本でもiPhoneの出荷台数が370万台以上に達したとみられ、アップルの顧客基盤を生かして新たな収益事業にする。
■作品数で対抗へ
 国内の動画配信はテレビ向けが主流。パナソニックなど電機大手が出資するアクトビラ(東京・渋谷)やNTTぷらら(東京・豊島)、ケーブルテレビ最大手ジュピターテレコム(JCOM)、ヤフー子会社のGyaO(東京・港)などが手がけているが「サービスの充実を急がないと顧客を奪われかねない」(NTTぷらら)と警戒する。
 映画やドラマなどの作品数ではJCOMが約2万8000本、NTTぷららが約1万4000本と多いが、配信時期を早めるなどサービス向上に力を入れている。
 映画なら劇場公開から1年後に配信するのが一般的だったが、半年前後前倒しするケースが増えてきた。作品によっては劇場公開と同時という例もある。消費者の関心が高いうちに家庭でも見てもらおうという狙いだ。
 ソニーも危機感を強める。同社は今春に米国で「Qriocity(キュリオシティ)」と呼ぶ配信サービスを始めた。米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントや米20世紀フォックスなどの900以上の作品を配信している。欧州でも同様のサービスを計画しているが、日本での開始時期は未定。ライバルのアップルにおひざ元の日本で先を越された格好だ。



ドワンゴ、ニコニコ動画の生中継強化
 携帯コンテンツ配信のドワンゴは、運営する動画投稿サイト「ニコニコ動画」の生放送を拡大する。12月中旬から全国で音楽コンサートを開くほか、独自のミュージカルも開催する。コンテンツの領域を増やし視聴者を増やすとともに、有料のライブ中継を新たな収益源に育成する。
 ニコニコ動画は子会社のニワンゴ(東京・中央)が運営。ニコニコ動画の人気投稿者などを集めたコンサート「ニコニコ大会議」を東京、大阪など全国で12月中旬から1月末まで開く。投稿者が演じる「ニコニコミュージカル」も12月末から開催する。ネット上での視聴も一部有料にする。



NECモバイリング、中国社の携帯修理受注
 携帯電話販売大手のNECモバイリングは、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)の携帯電話の修理を始める。国内で販売されるZTE製端末の修理をNECモバイリングの工場で一括して行う。同社はこれまでNECブランドの端末のみを修理していたが、国内に保守拠点を持たない海外メーカーの修理業務を取り込んで事業の拡大を図る。
 ZTE製端末の修理は、まずソフトバンクモバイルが10月末に発売した1機種を扱う。今後ZTEが国内で投入する高機能携帯電話(スマートフォン)などの修理も請け負う予定。携帯電話販売店で受け付け、NECモバイリングの工場で基盤などを直したうえで、店舗を通じて消費者に返却する。海外で修理するのと比べ、修理時間の短縮につなげる。
 MM総研(東京・港)によると、国内の携帯電話出荷のうち米アップルなど海外メーカーが占める割合は2009年度上期(4~9月)の17.3%から10年度上期には21.2%まで上昇している。NECモバイリングは今後、海外勢の携帯電話の修理需要が伸びるとみて、他の海外メーカーからの修理受注も目指す。



中国家電量販の蘇寧、日本の中堅メーカー品販売
ラオックスが仲介、成長市場の販路に
 中国の家電量販最大手、蘇寧電器(南京市)は日本の中堅家電メーカーの製品の販売を始める。傘下のラオックスが仲介、第1弾としてファミリー(大阪市)のマッサージチェア売り場を中国の100店舗で開設する。蘇寧は機能面などでの評価が高い日本製品を独自に品ぞろえし、中国の他の量販店と差異化する。同社は中国全土に1200店強を展開、日本の中堅メーカーにとっては成長市場での販路確保につながりそうだ。
 ファミリーは電動マッサージチェアの大手。まず高級チェアを富裕層が多い上海市などの蘇寧の店舗で販売する。専用の売り場を設けて、ファミリーの中国現地法人が販売員を派遣。2011年末までに100店に売り場を広げる計画だ。
 ファミリーはOEM(相手先ブランドによる生産)製品で中国に進出しているが、自社ブランド品の販売拡大のため蘇寧の店舗網を活用、ラオックスと仲介業務委託契約を結ぶ。ラオックスは日中のメーカー・量販店を仲介し、売上高の一定割合を手数料として受け取る。ラオックスはパソコン周辺機器メーカーや理美容家電メーカーなど他の中堅家電メーカー10社とも交渉を進めている。「中国の他の家電量販店で扱っていないような機能やデザインを備えた製品を持つメーカーを中心に蘇寧に紹介する」(ラオックス首脳)方針。
 成長が続く中国の家電市場の規模は09年で10兆7100億円とされ、日本(業界推計、7兆~8兆円)を上回る。同年に国美電器(北京市)を抜いて家電量販最大手となった蘇寧も業績は好調で、今年1~9月期の売上高は前年同期比30.6%増の543億元(6787億円)、純利益は43.6%増の28億3000万元だった。
 日本の大手家電メーカーは中国国内で生産・販売拠点を持ち、有力家電量販店内にも売り場を構えているが、中堅以下のメーカーが販売網を築くのは難しかった。1235店(9月末時点)を展開する蘇寧が、ラオックスを通じて日本の中堅メーカーにも門戸を開くことは、各社の成長機会を広げることにつながる。
 ラオックスによると、蘇寧との取引を打診する国内企業は50社以上に上るという。ラオックスは昨年8月に蘇寧の傘下に入り、経営再建中。仲介事業を収益の新たな柱に育てる方針で、11年12月期の取扱目標額を最低100億円としている。
アップル、日本で映画配信 対アンドロイドで映像補強
 米アップルは11日、日本向けの映像配信サービスを開始したと発表した。当初は国内外の映画を約1000本そろえ、アップルの配信サービス「iTunes Store」を通じて販売する。パソコンやスマートフォン「iPhone」、タブレット端末「iPad」で視聴できるほか、テレビに接続する端末「アップルTV」も近く発売する。
 アップルは米国などではすでに、音楽だけでなく映画やテレビドラマなどの映像もiTunes Storeで配信している。日本では「非対応」の状況が続いていたが、ようやく映画がコンテンツに加わることになる。配信には国内と米国の主要な映画会社が参加する。販売は売り切りまたはレンタル方式で、価格はハイビジョン(HD)画質の新作が売り切りで1本2500円、レンタルで500円、旧作が売り切りで2000円、レンタルで300円。
コンテンツ競争でもリードへ
 アップルの映像配信参入は、国内のスマートフォンやタブレット端末市場に大きなインパクトを与えるだろう。
 これまでiPhoneやiPadで動画を見るには、動画共有サイト「YouTube」に接続するか、手持ちの動画を専用ソフトを使ってiPhoneやiPad用のファイル形式に変換する必要があった。しかし、アップルが映像配信サービスを直接手がけることで、パソコンの管理ソフト「iTunes」からiPhoneやiPadに転送できるのはもちろん、単体でも無線LAN経由で直接購入できる。
 この「映画を気軽に持ち歩ける」という利点は、スマートフォンやタブレット端末にとって大きい。空き時間にすぐに見られるだけでなく、飛行機などで長時間移動する際なども重宝する。米国に行くと、iPhoneで映画を見ている現地ユーザーを見かけることが多く、日米でのサービス格差に改めて気付かされるが、これでかなり解消されることになる。
 スマートフォンのシェア争いにおいて、iPhoneは25万種類以上の豊富なアプリが強力な武器となっている。そこが米グーグルの携帯端末向けOS「Android(アンドロイド)」陣営をリードしている点だ。
 しかし、アンドロイド搭載スマートフォン向けには、NTTドコモの「ドコモマーケット」やソフトバンクモバイルの「ビデオストア」といった動画サービスが出てきており、これからは動画などコンテンツでの競争も激しくなる。
 NTTドコモやソフトバンクモバイルのサービスはまだ魅力的な動画コンテンツが十分とはいえないなか、アップルは国内外の主要な映画会社を引き入れた。これでiPhone、iPadは、アプリだけでなくコンテンツも豊富というイメージを打ち出すことができる。
 このところ携帯電話各社が「おサイフケータイ」や赤外線、ワンセグに対応したアンドロイド搭載スマートフォンをそろって発表し、iPhone、iPadの影が薄れていた。店頭での在庫薄も解消され、当日持ち帰りができるようになっているが、今回の映像配信開始で、また販売に勢いがつくかもしれない。
 もう一つのニュースは、テレビにつないでiTunesなどの映像コンテンツを視聴できるアップルTVの発売だ。米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、オーストラリアに続き、日本でも今週から出荷を開始するという。米国では99ドルで販売され、品薄状態が続いている。日本では昨今の円高を反映し、希望小売価格8800円で販売する。
 アップルTVはテレビとHDMIケーブルで接続する。2011年7月の地上アナログ放送終了に向けてHDMI端子を備える薄型テレビは販売好調が続いており、それだけアップルTVと簡単につなげるテレビが増えていることになる。日本ではパソコンやテレビ向けに映画を配信するオンデマンド系サービスが数多くあるが、新たなライバル登場となる。
 筆者は先日、米国でアップルTVを購入し、すでに米国のiTunesアカウントを使ってテレビに接続している。アップルTVはマルチ言語対応となっており、日本語表示も問題ない。付属の小さなリモコンを使って、見たい映画を選択する。文字入力はアルファベットを一つ一つ選ぶ必要があってやや煩わしいが、映画を選ぶ程度の操作であれば時間はかからない。
 これまでアップルの日本でのコンテンツサービスは、米国向けと比べてかなり見劣りしていた。しかし、11月10日にアプリ向けの広告サービス「iAd」を電通グループと共同で日本展開すると発表したのに続き、映画配信を始める。アップルが日本での自社サービスを強化している表れだ。
 今のところ、米国のようなテレビ番組の配信はないが、ユーザーが増えれば日本のテレビ局も無視できなくなるだろう。同じく日本ではやっていない電子書籍配信サービス「iBook Store」をどうするかが次の焦点となる。



スマートフォン世界販売96%増 アンドロイドけん引
7~9月 iPhoneも好調
 【シリコンバレー=奥平和行】世界の携帯電話端末市場で売れ筋が高機能携帯電話(スマートフォン)と機能が少なく割安な「フィーチャーフォン」に偏る二極化が進んでいる。米調査会社のガートナーによる7~9月期の世界のスマートフォン販売台数が前年同期比96%増える一方、安価な商品を主力とする中国などのメーカーもシェアを大幅に拡大した。総花的な品ぞろえを続けてきたメーカーは戦略の見直しを迫られそうだ。
 ガートナーの10日の発表によると、7~9月期の世界の携帯電話販売台数は前年同期比35%増の4億1708万台となり、3四半期連続で2ケタ増だった。このうちスマートフォンは96%増の8053万台。販売台数全体に占めるスマートフォンの割合は前年同期の13%から19%に高まった。
 米アップルは「iPhone(アイフォーン)」の新製品で受信感度に関する問題があったが、販売は好調。携帯電話の世界シェアは前の四半期よりも0.5ポイント高い3.2%となり、順位を7位から4位に上げた。シェア首位はフィンランドのノキア(28.2%)、2位は韓国のサムスン電子(17.2%)、3位は韓国のLG電子(6.6%)だった。
 上位3社の顔ぶれは1年前と同じだが、シェアはそれぞれ2.4~8.5ポイント減らした。その原因となっているのは中国などアジアメーカーの存在だ。アジアメーカーが中心と見られる「その他」のシェアは前年同期比16.9ポイント増の33%まで増えた。
 ノキアなど上位メーカーは新興国需要に支えられて成長してきたがここへきて失速。こうした市場ではアジアメーカーの安価な製品が急速に存在感を高めている。一方、スマートフォンではアップルや米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した商品が好調で、アジアメーカーと“新興勢力”の挟み撃ちにあっている格好だ。
 フィーチャーフォンの苦戦で業績が低迷していた米モトローラはアンドロイドを搭載したスマートフォンに経営の軸足を移す戦略が奏功。1年前には販売台数に占めるスマートフォンの割合はほぼゼロだったが7~9月期は42%まで高まり、営業損益(減価償却費などを除く)が黒字化するところまでこぎ着けた。
 英ソニー・エリクソンもアンドロイドを搭載した「エクスペリア」を中心とした体制に切り替え、黒字基調を定着させている。日本などでは安価な機種からスマートフォンまでをまんべんなくそろえる戦略を採っているメーカーもあるが、世界展開するためにはより思いきった絞り込みが必要となるかもしれない。



Evernoteが500万ユーザーを突破、83日間で100万人増
 米Evernoteは10日、クラウド型データ管理サービス「Evernote」のユーザー数が500万人を突破したと発表した。400万人から500万人に増えるまでにかかった期間は83日間だった。
 Evernoteによると、ユーザー数が100万人に達するまでに446日かかったが、200万人までは222日、300万人までは133日、400万人までは108日と、増加ペースが加速している。11月9日には、過去最高となる2万2130人が新規に登録したという。



NAND一本足でも強い東芝
 「再び成長路線に乗せた」(東芝の村岡富美雄副社長)
 9日、2010年4~9月期決算(米国会計基準)で東芝の連結営業利益は1048億円(前年同期は21億円)と10年ぶりに1000億円台を回復。売上高も6%増と2半期連続で増収となり、東芝はリストラモードから成長モードへ転換しつつある。
 けん引役はNAND型フラッシュメモリー。10年4~9月期だけで540億円強稼いだとみられ、全体の営業利益の約半分を稼いだことになる。背景にあるのが高機能携帯電話(スマートフォン)への出荷拡大だ。米アップルのiPhone(アイフォーン)向けに供給するのはよく知られているが、ここへきて各端末メーカーがスマートフォンへ参入しており、利益率の高い用途で飛躍的に需要が拡大している。
 供給メーカーも韓国サムスン電子やハイニックスなどに限られ、価格も安定。7~9月期は4~6月期に比べ価格下落は数%程度にとどまり、主要用途のパソコンの調整で同期間に約15%下落したDRAMとは比較にならない。微細化などコストダウンも寄与し、NANDの利益率は22%近く(4~6月期は約15%)まで上昇。為替の影響(円高とウォン安)を除くと、フラッシュの利益率でトップのサムスン電子(推定で30%弱)との差をかなりつめているとみられる。
 NANDの勢いはどこまで続くのか。「NANDの利益率は10~12月期にいったん落ち、11年1~3月期に再び上昇する」。村岡副社長は目先のNANDは短期的な調整局面入りとの認識を示した。半導体分野の10~12月期の営業利益は250億円(7~9月期は350億円)と減速するという。理由について村岡副社長は「7~9月期は年末商戦向けへの仕込み時期で10~12月期は反動で一時的に落ちる」と需給要因であると説明した。
 東芝の株価はこれまでNANDの動向に左右されやすい傾向があるだけに、いったんは材料出尽くし感から利食い売りが出て小休止局面入りする懸念が出てきた。ただ、「NANDフラッシュの成長が続くシナリオに変更はない」(野村証券)との見方から下値では拾う動きも予想される。
 もっとも、その前提として下期(10~3月期)に収益の刈り入れ時に入る社会インフラ事業の着実な利益貢献が欠かせない。4~9月期には社会インフラの収益が期初計画を下回った。「下期以降、前年同期で増収基調になる」(村岡副社長)との見通しを示しているが、IT(情報技術)サービスが主な足かせになっていると見られ、国内の企業の投資意欲が鈍い中、同分野の回復は見込み難い。電力や産業用機器などどれだけ収益貢献するかがカギになりそうだ。
 安定した収益を稼ぐ社会インフラ。黒字化するも、大きな利益を稼がない液晶テレビやパソコン。となると、東芝の成長の勢いは利益率20%超のNANDが握っている。NANDの動向に神経質になる場面が当面続きそうだ。
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