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新興国台頭 変わる企業競争
経営革新の精神 今こそ 米GE前会長兼CEO ジャック・ウェルチ氏
 世界経済は中国など新興国が台頭し、米国への一極集中が崩れてきた。世界の企業経営者にとって、米国を向いていれば済む時代は幕を閉じた。国家と企業の接近など、金融危機後には新たな競争のルールも現れつつある。現役時代に「20世紀最高の経営者」と呼ばれた米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ前会長兼最高経営責任者(CEO)に企業経営の行方を聞いた。
 ――米国の停滞と新興国の成長で世界の産業界の勢力図が一変しつつあります。
 「GEの経営トップに就任した1980年代初頭もひどい時代だった。米国はマイナス成長で、失業率も2けた。そして、日本企業が米国など世界の市場を奪うかの勢いを見せていた。かたや、戦後の経済繁栄を引きずった米国の大企業は『ビッグ(大きく)でファット(肥大化した)』だった。競争力を高めようとすれば、企業文化を変え、よりスリムな組織につくり直さなければならなかった」
 「当時と今は違う。企業と経営者は別の問題にぶつかっている。競争はグローバルになり、競争相手も変わった。世界はもっと速く動いている。技術や事業モデルのイノベーション(革新)がかつてないほど重要になった」
 ――企業のグローバル競争では今、国家の影がちらつきます。中国の自国企業優遇策には批判も出ています。
 「中国には政府を頼っている企業もあるが、そうでない起業家や会社も多い。例えば、家電のハイアールなどだ。経営スピードとコスト管理に優れた経営者が育っている。現地企業は我々を追いかけ、強く賢くなっている」
 「すでに現地で手に入るような商品、現地メーカーがつくっているような商品なら、受け入れてもらうのは難しい。だからこそ、イノベーションを続けていくことが大事なのだ。継続できないのなら、我々は生活水準を保っていけなくなる」
 ――企業は技術や経営力で国家の影響を超えることができると。
 「経営者には選択肢がある。一つはぎょっとして近寄らず、批判すること。それでは成長はない。もう一つは、折り合いをつけようと努力することだ。GEは過去、日本に対して後者を選び、今や日本ビジネスも大きく成長した」
 「かつての日本は『ジャパン・インク(日本株式会社)』とも呼ばれ、80年代は外資の間で『市場参入が難しい』ともいわれていた。しかし、それは真実ではない。新技術や新製品を受け入れてくれた。通商産業省(現経済産業省)は公平だった。中国でも、革新的で特別な製品を前にしては、政府の規制は消え去るはずだ」
 ――しかし、先進国の技術優位が続くとは限りません。
 「イノベーションの創造に報いなければならない。報酬制度はもちろん、『彼らがヒーローなのだ』と称賛する企業文化を生み出さなくてはならない。もっと機会を与え、社員を奮い立たせることが、今の経営者の大切な仕事だ」
 「個々の現役CEOについて評価したくないが、一人だけ触れたい。米アップルのスティーブ・ジョブズ氏だ。革新的な製品をつくり、成長し続けている。彼自身はたぐいまれな人物だが、革新的な人材は育てることができる。チャンスに恵まれず、『ジョブズ氏』になれていない人材を掘り起こすことだ」
 ――米国では今まで、まず株主を意識する経営が大事とされてきたのでは。あなた自身が「株主価値至上主義の経営者」と評されたこともあります。
 「まったく違う。株主価値は目的ではなく、あくまで経営の結果だ。考え方はCEO時代から変わっていない。GEの時価総額は当時、確かに世界最大になったが、最良の商品をつくり、たくさん売り、最も早く成長していたのが理由だ。『世界最大の時価総額を目指す』と言ったからではない。そんな目標を掲げても、株主価値は生み出せない。(株式市場が注目する)1株利益の数値は、従業員の仕事の成果の集合体だ」
 ――金融危機を招いた米金融大手の経営姿勢には今なお不信感が残っています。
 「金融機関が『グリード(強欲)』だったかどうかは議論したくない。ただ、そのビジネスは扱いが難しく、私は嫌いだ。(CEO在任中に買収した証券大手)キダー・ピーボディは結局、売却した。自伝にも『誤りだった』と書いている。一方、GEの金融子会社GEキャピタルは企業の設備投資などに伴う融資が柱だ。実体のない金融商品に手を出す会社ではない」
 ――金融危機と景気低迷が重なったこともあり、米国でも「政府の役割」が大きくなりました。
 「米国の景気が『二番底』に入るとは思わないが、低成長は続くだろう。失業率は高止まりし、住宅市場は非常に悪い。しかし、問題は規制が多くなりすぎていることや、企業を後押しするような政策が不十分であることだ。私には自由な企業活動を今の政府が信じているとは思えない」
 「解決策は『イノベート(革新する)! イノベート! イノベート!』。起業家に自由を与え、政府は干渉しない。中小企業などに負担をかけるような規制は敷くべきではない。コストを考慮しないような医療保険改革もいけない。政府は『レギュレート(規制する)! レギュレート! レギュレート!』。別のゲームをしている」
 ――米国はいつ停滞から抜け出すでしょう。
 「米国では政権与党と議会を握る党が別々だった時期の方が良かった。互いに議論を戦わせる結果、よりバランスのとれた政策が出てくるからだ。(共和党の)レーガン大統領時代は議会で民主党が強かった。そこには歩み寄りがあった。(民主党の)クリントン大統領は就任して初めての米中間選挙で議会を共和党に握られると、その後はともに偉大なチームをつくった」
 「(共和党の)ブッシュ大統領時代は議会も共和党が優位で、巨額の財政赤字を生んでしまった。一政党が動かすと、過ちを犯しやすい。今年の中間選挙で共和党が勝利して、オバマ大統領がより良い大統領になれば、うまくいく」
 ――日本は「失われた20年」といわれ、今は円高に苦しんでいます。
 「輸出主導の経済システムでは不十分だということだ。国内経済がしっかりしていれば、こんな事態にはならない。優れた移民政策や、さらなる成長戦略を描かなければならない」



中国首相、ギリシャに国債買い増しを表明
パパンドレウ首相と会談
 【ロンドン=岐部秀光】中国の温家宝首相は2日、ギリシャ首都アテネでパパンドレウ首相と会談し、財政悪化で信用危機に直面した同国の国債を買い増す考えを表明した。温首相は「ユーロ圏の国々やギリシャが危機を克服するのを支援したい」と強調した。人民元問題や尖閣諸島を巡る強硬姿勢に懸念が広がるなか、4日からブリュッセルで開くアジア欧州会議(ASEM)首脳会合を前に協力姿勢を示す狙いとみられる。
 欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)による1100億ユーロの資金援助を受けるギリシャは2012年まで国債発行による資金調達の必要がないが、同国政府は来年中に発行を再開したい意向。パパンドレウ首相は同日「中国の決定はギリシャとユーロ圏に対する信頼の表れ」と歓迎した。外貨準備が豊富な中国がギリシャ支援の姿勢を鮮明にしたことは同国の経済再建にとって大きな追い風となる。



米科学者、1940年代に中米で梅毒の人体実験
 【ワシントン=共同】米国の科学者が60年以上前、薬の効果を確かめる目的で、中米グアテマラの刑務所や精神科病院で、故意に梅毒を感染させる実験をしていたことが1日、明らかになった。
 米政府は「倫理に反し非難されるべき実験だった」との声明を発表、オバマ米大統領は同日、グアテマラのコロン大統領に電話で謝罪した。
 米メディアによると、実験したのは米公衆衛生当局所属の医師。1946年から48年にかけ、当時は新しかった抗生物質ペニシリンの治療効果や、予防にも有効かなどを調べるため、刑務所受刑者ら計696人に梅毒を感染させた。実験はグアテマラ政府の許可を得て行われたとされるが、詳しい目的は伝えていなかったという。この医師は既に死亡している。
 米政府は、現在ではこのような研究は行われていないとしているが、グアテマラで何が起き、今の研究に対する規制が十分かどうかを調べるため、大統領委員会で調査するとしている。



尖閣直後「対応変わった」…中国進出企業回答
 尖閣諸島沖の漁船衝突事件を受け、群馬県は、中国に拠点をもつ県内17企業に緊急の聞き取り調査を行った。
 現段階で業務に直接影響が出ている企業はなかったが、現地で差別的な対応を受けるようになったという回答が複数あった。
 県工業振興課が9月24、27の両日、県内に本社または主要拠点のある主な企業に対し、「業務に与える影響」「現地(事業所)に対する指示内容」「今後の見通し・その他」の3項目について電話で尋ねた。
 直接的な影響を指摘する回答はなかったが、これまで地元金融機関と英語でやり取りできたのに、事件直後から「中国語のみ受け付ける」と対応が変わった例があったという。
 現地に対する指示としては「日本人だけでは行動しない」など、身辺の安全を図る措置を挙げた回答が多かった。
 今後の見通しについては「税関の対応が厳しくなるのではないか」「中国人労働者のストライキが起きる可能性がある」などの懸念が出ていた。



エコカー補助 終了後の反動減をどう防ぐ(10月3日付・読売社説)
 政府のエコカー補助金制度が終了し、自動車の売れ行きに急ブレーキがかかった。
 この危機をどう乗り切って行くか。自動車各社の戦略が問われそうだ。
 省エネ性能に優れた車の購入を支援する補助金制度は、昨年春から導入された。最大25万円もらえる内容が好評で、政府の予算枠を使い切り、9月末の期限を待たず打ち切られたほどだ。
 このおかげで、国内新車販売台数が12か月連続で前年を上回るなど収益を押し上げ、金融危機後に赤字に転落した自動車各社の業績は昨年夏以降、急回復した。
 補助金制度はすそ野が広い自動車産業を復活させ、景気下支えにもひと役買ったと評価できる。
 しかし、業界の試練はこれからである。好調だった売れ行きは、新車購入の需要を先食いした結果と見られるからだ。
 9月の新車販売は前年比で13か月ぶりに減り、10月以降、2~3割減少すると予想される。各社の減産も見込まれる。
 米欧やアジア向けなどに輸出を伸ばしてきた業界にとっては、円急騰も懸念材料だ。輸出競争力が低下して収益が圧迫されそうで、補助金終了と円高の“ダブルパンチ”と言えよう。
 トヨタ自動車や日産自動車などが、実質値下げに踏み切ったり、販売店に支援金を出したりして、国内販売をテコ入れしている。
 逆風をはね返そうと、各社が販売促進策を競うのは当然だ。エコカーを求める消費者の潜在的なニーズは大きい。2012年春まで継続されるエコカー減税を追い風にして魅力ある車を積極的に売り込み、市場を開拓してほしい。
 トヨタは来年秋に軽自動車市場に参入することを決めた。消費者の節約志向が強まり、割安感のある軽自動車の人気は高い。今や、新車総販売台数の3割超を占めるほどに急成長してきた。
 トヨタは有望市場に参入し、販売減を食い止める作戦だ。スズキなどとの競争は激しくなるが、顧客層が広がる期待もある。
 勝ち残りを目指す各社に中長期的に求められるのは、世界のライバル社が競う電気自動車や燃料電池車などの次世代カー開発を加速することだ。追突防止機能などを付けた安全対策も課題になる。
 政府は追加景気対策に、エコカーの研究開発施設や部品工場などの建設を支援する制度を盛り込んだ。産業の空洞化を防ぎ、日本経済を牽引(けんいん)する自動車業界への一層の支援強化が欠かせない。
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