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CCC、シャープと提携 「ガラパゴス」に本など20万点
 シャープは多機能携帯端末への電子書籍や映画などコンテンツ配信事業でカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と提携する。共同出資会社を通じて、12月に発売する「GALAPAGOS(ガラパゴス)」向けの約20万作品を調達する。先行する米アップルなどを交えた多機能端末の販売競争は激化する見込み。シャープはDVDレンタル・書店チェーン最大手「TSUTAYA(ツタヤ)」を持つCCCのコンテンツ調達力を生かして追撃する。
 両社が5日に発表する。11月に設立する共同出資会社は資本金3億円程度。CCCが51%、シャープが49%を出資する。サービス名は「TSUTAYA GALAPAGOS」で、ガラパゴス向けのエンターテインメント系コンテンツの配信を一括して請け負う。
 すでに大手出版社などと配信へ向けた交渉に入っており、端末発売に合わせてまず電子書籍3万冊でサービスを開始。来年3月には、マンガや雑誌を含む書籍16万冊、映画など映像3万、音楽1万タイトルに広げるメドをつけたという。ゲーム配信にも乗り出すほか、視聴期間を限定した映像レンタルも手がける。利用者には原則、CCCの共通ポイント「Tポイント」を付与。5年後に売上高700億~800億円を目指す。
 シャープはガラパゴスの販売台数を2011年の早い段階で100万台としたい意向。普及へ向けては、書店チェーンおよびDVDやCDのレンタル・販売最大手で、大手出版社や映画配給会社に太いパイプを持つCCCと組み、有力コンテンツを効率的に集めるのが有効と判断した。
 集めたコンテンツはシャープのテレビやスマートフォンへの配信も計画。CCCは多様な販路を確保することで、コンテンツ配信事業を拡大する。



差異化へ先手 シャープ、有力コンテンツ確保へ提携
 シャープがカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と多機能端末向けコンテンツ事業で提携する。拡大が見込まれる多機能端末市場には、国内他社も来春までに製品を投入する計画で、顧客争奪戦が過熱する。シャープは明暗を分けるのは、有力コンテンツの確保度合いとみて先手を打った。
 指で画面を触って操作するタブレット型の多機能端末は、米アップルのiPadが先行したが、今後シャープのほかソニーや東芝、韓国サムスン電子が商品投入を予定。ただ「端末そのものは差異化が難しい」(大手メーカー)とみられ、コンテンツの質や種類が売れ行きを左右しそうだ。
 米アップルはコンテンツ配信サイトで音楽1400万曲以上を配信。またゲームなど25万種類のアプリケーションソフトを売り物にする。
 これに対してCCCとシャープのサービスは、「TSUTAYA」のルートを活用。アイパッドにはまだ少ない日本語の書籍を充実させることで国内顧客の囲い込みを狙う。また画面上の雑誌で紹介された動画や音楽を数クリックで買える仕組みを構築するなど、コンテンツの「買いやすさ」に工夫を凝らす。
 配信事業を本格化させるCCCの課題は、店舗事業との両立。配信利用者に対して、店舗で使える電子クーポン配布を計画しているが、多機能端末が普及すれば「TSUTAYA」加盟店は影響を免れないとみられる。



テレビで「ヤフオク」 パナソニック、ヤフーと開発
11年春、対応機種を発売
 パナソニックはヤフーと共同でインターネット競売サービス対応の薄型テレビを開発した。2011年春に国内で対応機種を発売し、既存のテレビでも利用できるようにする。薄型テレビ向けのネット競売サービスは初めてで、海外展開も検討する。パソコンや携帯電話に続き、薄型テレビのネットサービスを拡充する動きが広がりそうだ。
 国内最大のネット競売サービス「ヤフー!オークション」(登録会員約760万人)をパナソニックの薄型テレビで利用できるようにする。テレビのリモコンで簡単に操作できるようにし、通常の番組を見ながら競売の入札価格の推移を別画面で確認できる機能などを盛り込む。将来は出品物の3次元(3D)映像も見られるようにする。
 薄型テレビ「ビエラ」で来年春に発売する新機種に対応ソフトを組み込むほか、既存のビエラからもネット経由でソフトを取り込めば競売サービスを利用できる。
 また、パナソニックはネット通販サイト最大手の楽天とも薄型テレビ向け通販サービスを共同開発する。ソフトバンク系のビューン(東京・港)やACCESSの電子雑誌サービスも閲覧できるようにして利便性を高める。
 パナソニックは03年にネット接続できるテレビを発売した。現在は通話料なしのテレビ電話サービス「スカイプ」、動画共有サイト「ユーチューブ」を利用できる。国内で販売する薄型テレビのほぼすべてがネット対応だが、実際に接続している顧客は購入者の約1割にとどまっており、ニーズが高いヤフーの競売サービスなどを加える。
 ヤフーはシャープなどの薄型テレビ向けにポータル(玄関)サイトを提供しているが、競売サービスは展開していなかった。ネット接続機器の多様化で、薄型テレビからの利用も増えるとみてパナソニックと組む。




来年中に電子書籍参入へ 富士通の山本社長方針、出版社と提携視野
 富士通の山本正已社長は4日、産経新聞のインタビューに応じ、平成23年中に電子書籍事業に参入する方針を明らかにした。米アップルの多機能情報端末「iPad(アイパッド)」のように、電子書籍やインターネットなどの閲覧に対応した新端末を売り出し、出版社などから電子書籍コンテンツの供給を受ける。世界的に電子書籍の需要が拡大する中、アイパッドなどの牙城の切り崩しを目指したい考えだ。
 電子書籍について、山本社長は「今後、コンテンツの供給態勢の整備も進み、市場としてのすそ野が広がっていく」との見通しを示した。その上で「電子書籍だけでなく、ネット閲覧など多様な機能を持った端末の開発を進めており、今後1年以内の市場投入を目指す」との意向を表明した。
 端末で提供するコンテンツについては「富士通で抱えることは難しい」としており、出版社などと提携することで確保する考えだ。
 このほか携帯電話事業については、東芝から同事業を買収して1日付で発足させた新会社「富士通東芝モバイルコミュニケーションズ」に関して、「スマートフォン(高機能携帯電話)開発や海外展開を進めるため、両社の力を合わせて競争力をつける」と強調。年内にスマートフォンを発売するほか、NTTドコモと連携して海外進出を検討する考えを示した。
 富士通は、ネットワーク経由でソフトウエアを提供する「クラウドコンピューティング」で、米マイクロソフト(MS)と7月に提携するなど同事業を強化している。山本社長は「手薄な分野があれば、さらなる提携やM&A(企業の合併・買収)も活用する」との考えを強調した。



米セールスフォース、クラウド日本事業拡大
ソフト開発会社に出資
 米セールスフォース・ドットコムは、ネット経由で情報システムを提供する「クラウドコンピューティング」型サービスの日本での事業を拡大する。大証ヘラクレス上場のソフト開発会社シナジーマーケティングに5%強出資するほか、NTTコミュニケーションズの施設を借りて国内初のサービス提供拠点を確保する。体制強化で100億円弱の日本での年間売上高を将来は1000億円規模に引き上げる。
 セールスフォースはクラウド技術を利用した顧客情報管理ソフトを強みに世界8万2400社、日本でも3000社あまりの顧客を持つ。
 同社はシナジーの第三者割当増資を10月から数回に分けて引き受け、発行済み株式数の5%強を取得する方針だ。取得額は合計1億~2億円とみられる。2011年1月にもシナジーが両社のソフト機能を統合した新製品を発売し、販売面でも協力する。セールスフォースが日本企業に出資するのは初めて。
 これまで日本にデータセンターを持たなかったため、海外のデータセンターを通じて国内企業にサービス提供していた。東京に拠点を確保することで、社内データを海外に置くことに懸念を持つ企業も同社のサービスを利用しやすくなる。
 クラウド事業で先行する米国勢では、米アマゾン・ドット・コムも日本でのデータセンター開設を検討している。富士通やNECなど日本の大手は、設計開発や財務管理など基幹業務向けに高品質のクラウドサービスを提供する考えだ。



紙との相乗効果着々 出版社、「中抜き」恐れず攻め
 書籍にも本格的な電子時代が到来しつつある。今秋から年末にかけて家電大手が読書用の端末を次々投入。大手書店は相次ぎ配信サービスに乗り出す。紙の本を主軸にしてきた出版社や書店は、時代の変わり目にどう挑むのか。出版ビジネスの未来を追う。
 「ネット配信の可能性を実感できた」。ダイヤモンド社(東京・渋谷)の今泉憲志書籍編集局長は電子書籍の効果に驚いている。
 きっかけは今年4月に発売した人気経済小説「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の電子版。7万件以上を配信したが、同社が注目するのは小説の下敷きになった経営学書の売れ行きだ。ブログなどネット上の投稿を追っていくと、電子版の多くの読者が2100円する“原書”を購入していた。
 電子版の価格は800円と紙の本のほぼ半額。米アップルの高機能携帯「iPhone」などで手軽に読めるため若い人が飛びつき、経営学書の販売につながる好循環が起きたという。その後、同社は旧作品の電子版を次々刊行。他の出版社向けに書籍の配信を請け負う事業も開始した。
 専用端末で本を読む電子書籍は1990年代からあるが、出版社は紙の本の販売への影響や作家が配信会社と直接契約する「中抜き」を恐れ、消極姿勢を続けてきた。ところが市場の本格化を控えた今、多くの出版社が考えを改めつつある。
 講談社が紙と電子で同時発売した京極夏彦氏の作品は電子で2万件以上を販売し、紙も8万6千部を発行。野間省伸副社長は「電子と紙の読者層は違う。両方出すことで作品への関心も高まった」と話す。
 電子の利点は何よりコストがかからないこと。紙の本で代金の3割前後とされる印刷・製本コストはゼロ。在庫リスクもない。売れるかどうか分からない新人の作品でも「本」にできる。
 「ケータイ小説」では様々な作品を無料で流し、人気が出れば紙の本にして稼ぐ手法が確立した。無料の作品の愛読者は同じ紙の本を何冊も買うという。大手サイト「魔法のiらんど」は毎月4~5作を紙にして平均5万部を販売。140万部を発行した「恋空」などヒットも生み出した。
企画力が重要に
 もちろん作家が出版社を介さずに書籍を配信する例も出てきている。桜坂洋氏らが独自に配信した「AiR」は約1万件を販売。だが作品を紙の本にして、より大きな収益を手にするには出版社の力が必要だ。桜坂氏は「出版社との関係は続ける」と話す。実際、ある出版社と書籍化の話を進めているという。
 米アマゾン・ドット・コムが昨年、書籍の売り上げの最大70%を作家の取り分にすると発表した時、「中抜き」を懸念する日本の出版社にも動揺が広がった。ただ作家を売り込む代理人制度が定着した米国とは異なり、日本では出版社を頼りにする作家はまだ多い。
 いち早くネット配信の波にのまれたレコード会社はCDから配信、コンサートまでを企画するプロデュース業への脱皮を迫られている。出版社もこれからは紙とネットを駆使して収益を生み出す企画力が重要になる。コンテンツを抱える出版社の積極姿勢は電子本の普及にも弾みを付ける。
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