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キヤノン、最先端の生産技術を海外に 円高で見直し
キヤノンは全世界の工場を対象に、競争力を底上げする取り組みを加速する。国内で培った最先端の生産技術を海外工場にも広げるとともに、品目ごとに各工場の生産効率を厳しく点検。国内外のどの工場で生産すれば全体の効率を最も高められるかを探る。円高でも採算悪化を最小限にとどめる収益基盤を確立する。
キヤノンの御手洗冨士夫会長が17日、日本経済新聞記者と会い、明らかにした。「今後も円高が長期間続くと見ており、それを前提に国内外の生産体制を最適化する」との考えを示した。
11月上旬に国内外の生産・販売拠点のトップや幹部を日本に集め、生産体制や品目見直しの協議を開始。年内に具体策を固め、2011年以降、順次実施に移す。
まず各工場で製造原価に占める労務費の比率を品目ごとに算出。御手洗会長は「労務費比率が高い製品に関しては、その工場での生産を打ち切ることも検討する」と強調。おおむね労務費比率10%を境目にし、これを上回る品目の生産をより低コストの工場に移管したり、効率向上への取り組みを強めたりする。
海外工場に広げるのは、キヤノンが磨いてきた少人数で多品種を生産する最先端の生産技術。「(中国など)人海戦術で生産してきた海外拠点に日本の生産方式を展開し、合理化を進める」と表明。世界規模で柔軟に生産品種を切り替えられる体制作りを目指す。国内工場は維持し、最先端の生産技術を生むマザー工場の役割も強める。
具体策は明らかにしなかったが、国内の主力拠点である大分キヤノン(大分県国東市)の生産方式を中国のキヤノン珠海(広東省)に移植し、大分のビデオカメラの一部を生産移管する方向で検討しているもようだ。
キヤノンの生産拠点は関連会社を含め内外で50カ所を超える。輸出比率が比較的高く、10年7~12月期でドルとユーロに対し円が1円高くなるとそれぞれ47億円、27億円の営業減益要因になる。
キヤノン生産体制見直し「多能工、世界で育成」
日立ディスプレイズの子会社化を撤回
キヤノンの御手洗冨士夫会長が世界規模で生産体制を見直す方針を明らかにした。これに関連して、1人の作業員が複数工程をこなす国内の最先端の生産方式を世界に広げるために「海外での多能工育成を加速する」との考えを表明した。また、日立製作所子会社で中小型液晶を手がける日立ディスプレイズを将来的に子会社化する方針を撤回し、ディスプレー事業の戦略を再構築していることも明らかにした。
御手洗会長は5月に日本経団連会長を退いてから、国内14工場と中国の工場を視察し、「生産技術が進歩していることを確認した」と強調した。
キヤノンは作業員1人で複数の工程をこなし、複数の品種を組み立てる「セル生産方式」を強みとしてきた。従来は人手に頼っていたが、自動化機器を組み合わせて、作業人員を半分に減らせる「マシンセル」を開発。デジタルカメラの主力拠点である大分キヤノン(大分県国東市)に導入、ビデオカメラも混流生産できる体制を整えた。
しかし、御手洗会長はマシンセルの競争力については「まだ完成されていない」と指摘。「検査工程の合理化も進めたい」と述べ、国内工場の生産技術を高めながら、海外に順次移管し、世界規模で柔軟な生産体制を築く考えを示した。ただ「国内工場を維持することが前提」とも強調した。
国内方式を海外で展開するためには、複数の品種、複数の工程をこなす多能工の育成が必要。短期間で労働者が会社を移ることが多い中国での人材育成が課題となる。
キヤノンは中国やベトナムなどアジア地域で生産拠点を拡充してきたが、労務費の上昇が課題になっている。単純な作業を低賃金の労働者がこなす大量生産型のラインは、品目ごとに需要が激しく変動する状況では柔軟性を欠き、今後競争力が低下する懸念がある。
一方、日立ディスプレイズは現在、日立製作所が75.1%、キヤノンが24.9%を出資する。2007年12月に資本参加を決めた際に、将来は50%超を出資して子会社化する方針を示していたが、御手洗会長は「当面、出資比率を引き上げる考えはない」として、子会社化の検討を中止したことを明らかにした。
ただ、自社のデジタルカメラに使う液晶ディスプレーの調達先として、「現在の出資比率は維持する」と強調。ディスプレーの共同開発など従来の協力関係は続ける考えを示した。子会社化の方針を撤回した背景には、中小型液晶の価格下落が激しく、連結対象とするリスクが高まったことが背景にあるとみられる。
また、採算が悪化していた半導体製造装置事業に関しては「人員や組織を見直して、収益構造は改善している」と述べた。最先端の製造装置開発についてはオランダのASMLやニコンに先行されているが「次世代機の開発は続ける」と強調。当面は旧世代装置の生産コストの低減と販売拡大で利益を確保し、装置開発に回す考えだ。
定額制聴き放題・カラオケ、音楽配信各社が携帯向け強化
音楽配信各社が携帯電話向けサービスを拡充する。「着うた」サイトなどを運営するエムティーアイ(MTI)は高機能携帯電話(スマートフォン)向けに定額制聴き放題を導入する。ユニバーサルミュージックはカラオケが楽しめる配信曲数を約2倍に増やす。音楽配信市場は昨年から成長が鈍化しており、テコ入れを急ぐ。
現行の音楽配信サービスはスマートフォンを含め購入型が中心。MTIは今冬にも月額定額制のストリーミング(逐次再生)方式の提供を始める。利用者が聴きたい楽曲のリストを作り、好きな時に再生できる。スマートフォンでは初のサービスとなり、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したNTTドコモの端末で利用できる。数百曲以上を配信し、価格は月額1000円前後とみられる。
8月下旬には曲の再生中に歌詞を表示するサービスも提供する。歌詞配信サービスのシンクパワー(東京・千代田)からデータを受け取る。通常の携帯向けにも同種のサービスを9月末に導入する予定だ。ストリーミング方式の導入は、携帯向け音楽配信最大手のレコチョク(東京・渋谷)も検討している。
ユニバーサルは今春から始めたカラオケ配信サービス「カラ・フル」の曲数をほぼ倍増させる。通常の携帯端末に対応したサービスで、年内に60曲から100曲以上を配信する。歌手の歌声がなく簡易に作られた着メロと異なり、マスター音源を使ってカラオケ用を作成。邦楽・洋楽の定番から新作まで1曲丸ごと歌える。30~40代のカラオケファンの購入を促す。
2008年まで年率2ケタ増で伸びてきた音楽配信市場は減速傾向にある。09年の販売額は前年比横ばいの約909億円にとどまった。10年1~3月の販売額は前年同期比2%減、4~6月も前年同期並みとなった見通しだ。
携帯3社、4~6月データ通信収入 ソフトバンク20%増
携帯大手3社のデータ通信収入の成長力に格差が出てきた。スマートフォン(高機能携帯電話)の戦略の違いが背景にあり、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」を擁するソフトバンクが好調な半面、商品投入で出遅れたKDDIの苦戦が目立つ。NTTドコモには巻き返しの兆しがあり、足元で株価が堅調に推移する。成長分野であるデータ通信の好不調が株価や業績を左右する構図が続きそうだ。
データ通信の指標となる契約当たり月間収入(ARPU)は4~6月(2011年3月期第1四半期、ひと月あたり平均)、ソフトバンクが前年同期に比べ20%増となった。一方、NTTドコモは3%、KDDIは2%の伸びにとどまった。
これが音声も含めた全体の通信料収入の動向も左右。ソフトバンクは4~6月期、通信料収入が3075億円と前年同期比14%増加した一方、NTTドコモは2%減の8642億円、KDDIは5%減の4867億円だった。営業利益もソフトバンクが増益、他の2社は減益となった。
ただ、ドコモには復調の兆しも出ている。矢継ぎ早にスマートフォンの機種を拡充していることに加え、従来型の「iモード」でも、中高年層の需要を掘り起こしているためだ。同社は11年3月期通期にデータ通信で2560円のARPUを目標にしているが、4~6月期の時点で2510円まで上昇。また、4~6月期は6月末にかけ、尻上がりにARPUが上昇したもようだ。
KDDIは苦戦が続きそうだ。4~7月の契約件数の純増数は27万件とソフトバンクの3分の1弱で、ドコモとの比較でも半分弱にとどまっている。スマートフォンの品ぞろえで出遅れたことで、従来型方式のデータ通信のヘビーユーザー層も、他社のスマートフォンに一部流出している影響もあるとみられる。
株価もこうしたデータ通信の攻防を反映。年初来の株価騰落率ではソフトバンクとドコモが11%の上昇となる半面、KDDIは14%安と低迷している。なかでもドコモはデータ通信の底上げ期待を背景に、7月29日の4~6月期決算発表以降、5%上昇した。
弱点克服 ドコモ冬商戦 打倒iPhone、メール機能改善
携帯電話最大手のNTTドコモが、急成長するスマートフォン(高機能携帯電話)市場でのソフトバンクモバイルの独走に歯止めをかけようと、本格的に市場攻略のカードを切り始めた。今月4日に東京・有楽町にスマートフォン専用のショールームを開設したのを手始めに、9月には既存のドコモユーザーのスマートフォン需要を取り込む“切り札”も用意し、下期の「冬モデル商戦」で新機種の大量攻勢をかける。アップル製の「iPhone(アイフォーン)」で市場を席巻するソフトバンクの牙城に、ドコモがどこまで迫れるか。勝負の行方は携帯電話市場全体の勢力図にも大きく影響しそうだ。
◆7機種一挙投入
「最大の懸念はもう消えた」。下期の市場攻勢に向けた準備に忙しいNTTドコモのスマートフォン事業推進室では、木戸博也事業企画担当部長がこう話し、冬モデル商戦に自信をみせる。木戸氏の強気の理由は、スマートフォン向けに9月から提供が始まる新ネット接続サービス「spモード」の存在だ。spモードはドコモ独自の「iモード」の携帯メールアドレスをスマートフォンでもそのまま継続利用できるようにするサービスで、ドコモの携帯電話ユーザーにとってスマートフォンへの機種変更のハードルが大きく下がる。
ドコモは4月に、アイフォーンの対抗製品として英ソニー・エリクソン製の「エクスペリア」を鳴り物入りで発売。3週間で10万台を販売し、ソフトバンクの独走にストップをかけたかにみえた。だが7月末までのエクスペリアの累計販売台数は約35万台とみられ、当初の勢いは失速している。アイフォーンでも従来契約の携帯メールアドレスを利用できるソフトバンクに対し、アドレス変更を迫られるドコモのスマートフォンを携帯ユーザーが敬遠したためだ。しかし、その弱点がspモードの導入で解消する。
ドコモはこの切り札に続き、10月以降に投入する「冬モデル」の携帯新商品で、携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」が視聴できるタイプや、タブレット型などスマートフォン7機種を一挙にラインアップし、既存契約者の買い替えニーズを含めたスマートフォン需要の一網打尽を狙っている。
◆出荷台数300万台
調査会社のMM総研によると、2010年度のスマートフォン出荷台数は前年度比28%増の300万台に拡大する見通し。アイフォーンが好調なソフトバンクは、スマートフォンのデータ通信収入の拡大で、4~6月期の契約当たりの月間平均収入(ARPU)が携帯大手3社の中で唯一、前年同期比プラスになるなど成長市場の果実を独り占めしている。しかもソフトバンクは7月の携帯契約純増数でも、番号継続制度でドコモとKDDIの転出分の7万件超を丸ごと獲得。その中身は「アイフォーン4への乗り換えが多かった」(広報室)と、スマートフォンの成功効果は携帯電話市場全体の競争優位に及んでいる。
ただ「12年度にスマートフォン市場でシェア50%」(山田隆持社長)を狙うドコモの攻勢の成否によっては、携帯市場の勢力図は塗り変わるかもしれない。
総務省、インフラ事業者内定見送り 携帯向け新放送
総務省は17日、2012年春にも始まる携帯端末向け新放送の基地局をつくるインフラ事業者の内定を見送り、電波監理審議会(総務相の諮問機関)に決定を求めた。同事業者を巡っては、NTTドコモ陣営とKDDI陣営が1枠を競っている。民主党などから選定過程について異論が出るなど審議が難航していたため、電監審に判断を委ねることにした。
総務省が事前に案を固めずに、電監審に決定そのものを求めるのは初めて。08年の電波法改正で事前に事業者を決めずに諮問することが可能になった。電監審の原島博会長(東大名誉教授)は17日夕の記者会見で「非常に重要な諮問。国民の目から見て、公明正大に結論を出していく」と語った。必要なら事業者から改めて説明を聞き、慎重に審議する方針だ。
原口一博総務相は8月半ばに事業者を選ぶ意向を示していた。総務省はこの間に公開ヒアリングを開くなど、通常より念入りに審査を実施してきた。ただ、両陣営がそれぞれの優位性を主張しあい、決定が難航。8月上旬には民主党から「事業者を2社にできないか」といった意見が出るなど、大詰めで混迷の様相をみせていた。
原島会長は1社を選ぶことが原則だと強調したうえで、「できるだけ早く決めたい」と語った。両陣営が採用する技術方式が違うため、決定が遅れれば、サービス開始や端末の開発に影響しかねない。通信機器メーカーからは「投資計画が策定できない」といった不満も上がっている。
携帯端末向け新放送は2011年7月に終了するテレビのアナログ放送の周波数帯を使って提供する。携帯電話のワンセグ放送より大量の情報を流すことができ、放送と通信を融合したサービスが想定されている。
セブン-イレブンが来春めどにスイカなど交通系電子マネー導入
セブン&アイ・ホールディングスとJR四国・JR貨物を除くJR5社、京急電鉄は17日、スイカやイコカ、パスモといった各鉄道会社の電子マネーサービスを、各地区のセブン-イレブンの店舗に来春をめどに導入することで合意したと発表した。セブン-イレブンの電子マネー導入は他のコンビニに比べ、遅れていたが、来春以降は全国の約1万3000店舗で交通系電子マネーでの支払いやチャージ(入金)ができるようになり、顧客の利便性のアップや決済時間の短縮といった効果が期待できる。
ベスト電器子会社、台湾の家電量販店と提携
家電量販大手のベスト電器(福岡市)は17日、同社の子会社で、台湾の現地企業との合弁会社「台湾ベスト社」が、台湾南部の高雄市にある家電量販店の株式を約7割取得し、業務・資本提携することで合意したと発表した。
株式は今年中に取得する予定だが、詳しい時期や購入株式数は今後の協議で決める予定。
台湾ベスト社はすでに、台湾北部を中心に13店舗展開している。南部を中心に展開する現地企業と提携することで、台湾での新規出店を強化し、仕入れの一本化などでコスト削減を図るのが狙い。
日中貿易総額、過去最高…2010年上半期
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、2010年上半期(1~6月)の日本と中国の輸出入を合わせた貿易総額(ドルベース)が前年同期比34・5%増の1383億7395万ドル(約11兆8000億円)と、半期ベースで過去最高となった。
日本からの輸出は、47・1%増の684億2967万ドルと過去最高、中国からの輸入は24・2%増の699億4428万ドルだった。
中国政府による大型の景気対策によって、建設用・鉱山用機械や部品、自動車が大幅に伸びた。上海万博の影響でデジタルカメラやビデオカメラなどの輸出も好調だった。
一方、中国からは、液晶テレビなどの家電製品や、原材料であるアルミニウムやマグネシウムなど非鉄金属などが伸びた。
ジェトロの真家陽一・中国北アジア課長は、「下半期も貿易額は増加基調にあり、2010年の日中貿易額は、過去最高の08年を更新する可能性が高い」と分析している。
カード・信販会社、ネット事業者向け決済代行を拡充
クレジットカード・信販各社がインターネット事業者向けの決済代行事業を強化する。セディナはネット上で口座振替手続きを完了させるサービスを拡充。アプラスは紙の請求書を使わずに、消費者に即時に支払いを請求できるサービスを始めた。キャッシングなど既存事業の環境が厳しい中、成長分野であるネット決済を取り込み新たな収益源に育てる考えだ。
セディナは今秋、紙の申込書を郵送せずに、専用サイトに口座番号などの情報を入力すれば口座振込を申し込めるサービスを拡充する。これまで2行だった取扱金融機関をみずほ銀行など8行に拡大したうえで、契約したネット事業者が受け付け状況などをリアルタイムで把握できる管理システムを導入する。
口座振替の需要が多いネットスーパーやネット経由での保険販売などの利用を見込み、来年3月末までに30社との契約を目指す。ジャックスもサイト上で口座振替を申し込むサービスを始めた。
アプラスは8月に代金の振り込みやコンビニでの支払いを希望する消費者に対して請求書の代わりに「支払キー」と呼ぶ番号を通知するサービスを始めた。消費者がネット銀行のサイトやコンビニの端末に番号を入力すれば、請求金額などの情報が表示されて振り込みができる。請求書を発送する必要がなくなるため、早期回収や経費削減につながるとして売り込む。
カード・信販業界では今年6月に完全施行された改正貸金業法の影響を受け、キャッシング事業の縮小を余儀なくされている。消費が低調なため本業の信用販売なども低迷しており、新たな収益源を模索している。
【ウォールストリートジャーナル社説】ジャパン・アズ・ナンバースリー
若い読者にとっては信じ難いことかもしれない。ほんの20年前、米国の政界と学界は、日本を躍進する経済大国とみなしていた。ハーバード大学の学者、エズラ・ボーゲル氏の著書「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は広く読まれ、メディアは、日本は戦争で米国に敗北を喫したが経済では米国に勝利を収めた、と報じた。
中国の国内総生産(GDP)が日本を上回り、世界2位の経済大国となったとのニュースは、こうした見方を皮肉に変えた。この出来事は一世代前には想像すらできなかった。それでも、日本の1人当たりGDPと生活水準は中国を大きく引き離す。
しかし、チャートが示しているように、両国の成長トレンドに開きがあるのは否定できない。1990年から2009年までの中国の年間成長率はほぼ10%だ。これに対し、日本は高度経済成長の後、成長率が2%を大きく下回る水準まで著しく低下した。一方は貧困から急速に抜け出した。もう一方が陥ったのは、よく言って繁栄を維持しながらのスタグネーションだ。
アジアにおける形勢逆転の理由と、これが持つ意味合いを考えたい。明らかな教訓は、国家の豊かさは生得権ではないということだ。国民の才能を解き放つ健全な経済政策を通じて国家は毎年、繁栄を重ねていく。
中国にとっての突破口は、小平氏による1978年の改革開放経済政策の導入だった。当初は農業、後にそのほかの産業が開かれ、中国は格段に企業家精神に富んだ国になった。08年の本紙のリポートにあるように、GDPに政府が占める割合は78年の31%から2000年代初めに約11%に縮小した。中国は一方的に関税を引き下げ、世界貿易機関(WTO)に加盟し、国有企業を改革して競争にさらした。そして、こうした政策がもたらす成長モメンタムの影響を引き続き享受している。
一方、日本は反対の方向に動いている。本紙は84年、「ジャパン・アズ・ナンバー・トゥエンティワン」との見出しの社説を掲載した。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、日本は政府歳入のGDP比が27%と加盟23カ国中、21番目で、歳出のGDP比は26%と最下位だった。しかし、もはやそうではない。日本は消費税を導入し、歳出のGDP比は40%に近い。
不動産と株式バブルが崩壊した90年、世界的に最も長期にわたり、最も高コストのケインズ主義政策に日本は乗り出した。この政策は、日本の債務をGDPのほぼ200%に押し上げたが、成長にほとんど貢献していない。また、日本は自国の政府支援企業である郵政改革にも失敗した。
訪問客にとって日本は依然として裕福な国に見えるだろう。しかし、相対的な凋落は著しい。ヘリテージ財団のデレク・シザーズ氏によると、日本の個人所得は今では世界の40位付近だ。日本人の平均所得は(米国で最も貧しい)ミシシッピ州の住民よりも少ない。失われた世代が事態を悪化させている。
単なる政策のみならず、国家の意思にも開きがある。日本人は第二次世界大戦での敗北の後、躍起になって復興に取り組んだ。日本の社会的一体性と企業の内部統制は、世界でも最も優れた企業を作り出した。こうした日本企業は現在でも世界の健全性に一役買っている。
現在、日本の人口は高齢化している。老齢人口が多くなれば、リスクを回避する傾向が強まる。米国やオーストラリアと異なり、若年労働者の供給源である移民を日本は歓迎していない。日本の政治システムは、持続的な成長を目指す経済政策に回帰する能力がないようだ。
中国は今日、より力強く自信に満ちた国家だ。国民は失われた数世紀を取り戻そうと努力し、地域大国として再び主張を始めた。中国は(一人っ子政策のせいで)高齢化の問題に直面しているが、農村部から都市部に向かう数千万人の出稼ぎ労働者が若い労働力を提供している。
問題は、中国が一党独裁の限界に突き当たるなか、素晴らしい成長を維持することが可能であるかどうかだ。金融危機が米国型経済モデルを傷つけるなか、中国は「国家主導型」の世界企業を追求している。
中国通で知られるコンサルタント会社APCOワールドワイドのジェームズ・マグレガー氏は米商工会議所の最近のリポートで、中国は主要7地域において国内企業を競争から保護する政策を打ち出し、市場経済からの離脱を図っている、と指摘。これにより、国内で効率性と革新性が後退するとともに、世界各国で反感が芽生える可能性がある、との見方を示した。政治主導の資本は一時は花を咲かせるが、市場規律の欠落により衰退を余儀なくされることは目に見えている。
それでも、中国の経済面での躍進は世界の繁栄に寄与している。日本の戦後の復興時と同様だ。対照的に、日本の20年間のスタグネーションは日本人のみならず世界にとっても悲劇だった。世界の繁栄はゼロサムゲームでない。各国が貢献することが大切だ。
米国民にとっての朗報は、他国の順位に変動があっても、少なくとも08年までは米国のGDPの順位は不動であったことだ。中国は躍進しているが、米国の経済規模はこれを凌駕する。日本と同じ政策の過ちを犯し、日本の運命をたどることを米国は避けねばならない。
キヤノンは全世界の工場を対象に、競争力を底上げする取り組みを加速する。国内で培った最先端の生産技術を海外工場にも広げるとともに、品目ごとに各工場の生産効率を厳しく点検。国内外のどの工場で生産すれば全体の効率を最も高められるかを探る。円高でも採算悪化を最小限にとどめる収益基盤を確立する。
キヤノンの御手洗冨士夫会長が17日、日本経済新聞記者と会い、明らかにした。「今後も円高が長期間続くと見ており、それを前提に国内外の生産体制を最適化する」との考えを示した。
11月上旬に国内外の生産・販売拠点のトップや幹部を日本に集め、生産体制や品目見直しの協議を開始。年内に具体策を固め、2011年以降、順次実施に移す。
まず各工場で製造原価に占める労務費の比率を品目ごとに算出。御手洗会長は「労務費比率が高い製品に関しては、その工場での生産を打ち切ることも検討する」と強調。おおむね労務費比率10%を境目にし、これを上回る品目の生産をより低コストの工場に移管したり、効率向上への取り組みを強めたりする。
海外工場に広げるのは、キヤノンが磨いてきた少人数で多品種を生産する最先端の生産技術。「(中国など)人海戦術で生産してきた海外拠点に日本の生産方式を展開し、合理化を進める」と表明。世界規模で柔軟に生産品種を切り替えられる体制作りを目指す。国内工場は維持し、最先端の生産技術を生むマザー工場の役割も強める。
具体策は明らかにしなかったが、国内の主力拠点である大分キヤノン(大分県国東市)の生産方式を中国のキヤノン珠海(広東省)に移植し、大分のビデオカメラの一部を生産移管する方向で検討しているもようだ。
キヤノンの生産拠点は関連会社を含め内外で50カ所を超える。輸出比率が比較的高く、10年7~12月期でドルとユーロに対し円が1円高くなるとそれぞれ47億円、27億円の営業減益要因になる。
キヤノン生産体制見直し「多能工、世界で育成」
日立ディスプレイズの子会社化を撤回
キヤノンの御手洗冨士夫会長が世界規模で生産体制を見直す方針を明らかにした。これに関連して、1人の作業員が複数工程をこなす国内の最先端の生産方式を世界に広げるために「海外での多能工育成を加速する」との考えを表明した。また、日立製作所子会社で中小型液晶を手がける日立ディスプレイズを将来的に子会社化する方針を撤回し、ディスプレー事業の戦略を再構築していることも明らかにした。
御手洗会長は5月に日本経団連会長を退いてから、国内14工場と中国の工場を視察し、「生産技術が進歩していることを確認した」と強調した。
キヤノンは作業員1人で複数の工程をこなし、複数の品種を組み立てる「セル生産方式」を強みとしてきた。従来は人手に頼っていたが、自動化機器を組み合わせて、作業人員を半分に減らせる「マシンセル」を開発。デジタルカメラの主力拠点である大分キヤノン(大分県国東市)に導入、ビデオカメラも混流生産できる体制を整えた。
しかし、御手洗会長はマシンセルの競争力については「まだ完成されていない」と指摘。「検査工程の合理化も進めたい」と述べ、国内工場の生産技術を高めながら、海外に順次移管し、世界規模で柔軟な生産体制を築く考えを示した。ただ「国内工場を維持することが前提」とも強調した。
国内方式を海外で展開するためには、複数の品種、複数の工程をこなす多能工の育成が必要。短期間で労働者が会社を移ることが多い中国での人材育成が課題となる。
キヤノンは中国やベトナムなどアジア地域で生産拠点を拡充してきたが、労務費の上昇が課題になっている。単純な作業を低賃金の労働者がこなす大量生産型のラインは、品目ごとに需要が激しく変動する状況では柔軟性を欠き、今後競争力が低下する懸念がある。
一方、日立ディスプレイズは現在、日立製作所が75.1%、キヤノンが24.9%を出資する。2007年12月に資本参加を決めた際に、将来は50%超を出資して子会社化する方針を示していたが、御手洗会長は「当面、出資比率を引き上げる考えはない」として、子会社化の検討を中止したことを明らかにした。
ただ、自社のデジタルカメラに使う液晶ディスプレーの調達先として、「現在の出資比率は維持する」と強調。ディスプレーの共同開発など従来の協力関係は続ける考えを示した。子会社化の方針を撤回した背景には、中小型液晶の価格下落が激しく、連結対象とするリスクが高まったことが背景にあるとみられる。
また、採算が悪化していた半導体製造装置事業に関しては「人員や組織を見直して、収益構造は改善している」と述べた。最先端の製造装置開発についてはオランダのASMLやニコンに先行されているが「次世代機の開発は続ける」と強調。当面は旧世代装置の生産コストの低減と販売拡大で利益を確保し、装置開発に回す考えだ。
定額制聴き放題・カラオケ、音楽配信各社が携帯向け強化
音楽配信各社が携帯電話向けサービスを拡充する。「着うた」サイトなどを運営するエムティーアイ(MTI)は高機能携帯電話(スマートフォン)向けに定額制聴き放題を導入する。ユニバーサルミュージックはカラオケが楽しめる配信曲数を約2倍に増やす。音楽配信市場は昨年から成長が鈍化しており、テコ入れを急ぐ。
現行の音楽配信サービスはスマートフォンを含め購入型が中心。MTIは今冬にも月額定額制のストリーミング(逐次再生)方式の提供を始める。利用者が聴きたい楽曲のリストを作り、好きな時に再生できる。スマートフォンでは初のサービスとなり、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したNTTドコモの端末で利用できる。数百曲以上を配信し、価格は月額1000円前後とみられる。
8月下旬には曲の再生中に歌詞を表示するサービスも提供する。歌詞配信サービスのシンクパワー(東京・千代田)からデータを受け取る。通常の携帯向けにも同種のサービスを9月末に導入する予定だ。ストリーミング方式の導入は、携帯向け音楽配信最大手のレコチョク(東京・渋谷)も検討している。
ユニバーサルは今春から始めたカラオケ配信サービス「カラ・フル」の曲数をほぼ倍増させる。通常の携帯端末に対応したサービスで、年内に60曲から100曲以上を配信する。歌手の歌声がなく簡易に作られた着メロと異なり、マスター音源を使ってカラオケ用を作成。邦楽・洋楽の定番から新作まで1曲丸ごと歌える。30~40代のカラオケファンの購入を促す。
2008年まで年率2ケタ増で伸びてきた音楽配信市場は減速傾向にある。09年の販売額は前年比横ばいの約909億円にとどまった。10年1~3月の販売額は前年同期比2%減、4~6月も前年同期並みとなった見通しだ。
携帯3社、4~6月データ通信収入 ソフトバンク20%増
携帯大手3社のデータ通信収入の成長力に格差が出てきた。スマートフォン(高機能携帯電話)の戦略の違いが背景にあり、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」を擁するソフトバンクが好調な半面、商品投入で出遅れたKDDIの苦戦が目立つ。NTTドコモには巻き返しの兆しがあり、足元で株価が堅調に推移する。成長分野であるデータ通信の好不調が株価や業績を左右する構図が続きそうだ。
データ通信の指標となる契約当たり月間収入(ARPU)は4~6月(2011年3月期第1四半期、ひと月あたり平均)、ソフトバンクが前年同期に比べ20%増となった。一方、NTTドコモは3%、KDDIは2%の伸びにとどまった。
これが音声も含めた全体の通信料収入の動向も左右。ソフトバンクは4~6月期、通信料収入が3075億円と前年同期比14%増加した一方、NTTドコモは2%減の8642億円、KDDIは5%減の4867億円だった。営業利益もソフトバンクが増益、他の2社は減益となった。
ただ、ドコモには復調の兆しも出ている。矢継ぎ早にスマートフォンの機種を拡充していることに加え、従来型の「iモード」でも、中高年層の需要を掘り起こしているためだ。同社は11年3月期通期にデータ通信で2560円のARPUを目標にしているが、4~6月期の時点で2510円まで上昇。また、4~6月期は6月末にかけ、尻上がりにARPUが上昇したもようだ。
KDDIは苦戦が続きそうだ。4~7月の契約件数の純増数は27万件とソフトバンクの3分の1弱で、ドコモとの比較でも半分弱にとどまっている。スマートフォンの品ぞろえで出遅れたことで、従来型方式のデータ通信のヘビーユーザー層も、他社のスマートフォンに一部流出している影響もあるとみられる。
株価もこうしたデータ通信の攻防を反映。年初来の株価騰落率ではソフトバンクとドコモが11%の上昇となる半面、KDDIは14%安と低迷している。なかでもドコモはデータ通信の底上げ期待を背景に、7月29日の4~6月期決算発表以降、5%上昇した。
弱点克服 ドコモ冬商戦 打倒iPhone、メール機能改善
携帯電話最大手のNTTドコモが、急成長するスマートフォン(高機能携帯電話)市場でのソフトバンクモバイルの独走に歯止めをかけようと、本格的に市場攻略のカードを切り始めた。今月4日に東京・有楽町にスマートフォン専用のショールームを開設したのを手始めに、9月には既存のドコモユーザーのスマートフォン需要を取り込む“切り札”も用意し、下期の「冬モデル商戦」で新機種の大量攻勢をかける。アップル製の「iPhone(アイフォーン)」で市場を席巻するソフトバンクの牙城に、ドコモがどこまで迫れるか。勝負の行方は携帯電話市場全体の勢力図にも大きく影響しそうだ。
◆7機種一挙投入
「最大の懸念はもう消えた」。下期の市場攻勢に向けた準備に忙しいNTTドコモのスマートフォン事業推進室では、木戸博也事業企画担当部長がこう話し、冬モデル商戦に自信をみせる。木戸氏の強気の理由は、スマートフォン向けに9月から提供が始まる新ネット接続サービス「spモード」の存在だ。spモードはドコモ独自の「iモード」の携帯メールアドレスをスマートフォンでもそのまま継続利用できるようにするサービスで、ドコモの携帯電話ユーザーにとってスマートフォンへの機種変更のハードルが大きく下がる。
ドコモは4月に、アイフォーンの対抗製品として英ソニー・エリクソン製の「エクスペリア」を鳴り物入りで発売。3週間で10万台を販売し、ソフトバンクの独走にストップをかけたかにみえた。だが7月末までのエクスペリアの累計販売台数は約35万台とみられ、当初の勢いは失速している。アイフォーンでも従来契約の携帯メールアドレスを利用できるソフトバンクに対し、アドレス変更を迫られるドコモのスマートフォンを携帯ユーザーが敬遠したためだ。しかし、その弱点がspモードの導入で解消する。
ドコモはこの切り札に続き、10月以降に投入する「冬モデル」の携帯新商品で、携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」が視聴できるタイプや、タブレット型などスマートフォン7機種を一挙にラインアップし、既存契約者の買い替えニーズを含めたスマートフォン需要の一網打尽を狙っている。
◆出荷台数300万台
調査会社のMM総研によると、2010年度のスマートフォン出荷台数は前年度比28%増の300万台に拡大する見通し。アイフォーンが好調なソフトバンクは、スマートフォンのデータ通信収入の拡大で、4~6月期の契約当たりの月間平均収入(ARPU)が携帯大手3社の中で唯一、前年同期比プラスになるなど成長市場の果実を独り占めしている。しかもソフトバンクは7月の携帯契約純増数でも、番号継続制度でドコモとKDDIの転出分の7万件超を丸ごと獲得。その中身は「アイフォーン4への乗り換えが多かった」(広報室)と、スマートフォンの成功効果は携帯電話市場全体の競争優位に及んでいる。
ただ「12年度にスマートフォン市場でシェア50%」(山田隆持社長)を狙うドコモの攻勢の成否によっては、携帯市場の勢力図は塗り変わるかもしれない。
総務省、インフラ事業者内定見送り 携帯向け新放送
総務省は17日、2012年春にも始まる携帯端末向け新放送の基地局をつくるインフラ事業者の内定を見送り、電波監理審議会(総務相の諮問機関)に決定を求めた。同事業者を巡っては、NTTドコモ陣営とKDDI陣営が1枠を競っている。民主党などから選定過程について異論が出るなど審議が難航していたため、電監審に判断を委ねることにした。
総務省が事前に案を固めずに、電監審に決定そのものを求めるのは初めて。08年の電波法改正で事前に事業者を決めずに諮問することが可能になった。電監審の原島博会長(東大名誉教授)は17日夕の記者会見で「非常に重要な諮問。国民の目から見て、公明正大に結論を出していく」と語った。必要なら事業者から改めて説明を聞き、慎重に審議する方針だ。
原口一博総務相は8月半ばに事業者を選ぶ意向を示していた。総務省はこの間に公開ヒアリングを開くなど、通常より念入りに審査を実施してきた。ただ、両陣営がそれぞれの優位性を主張しあい、決定が難航。8月上旬には民主党から「事業者を2社にできないか」といった意見が出るなど、大詰めで混迷の様相をみせていた。
原島会長は1社を選ぶことが原則だと強調したうえで、「できるだけ早く決めたい」と語った。両陣営が採用する技術方式が違うため、決定が遅れれば、サービス開始や端末の開発に影響しかねない。通信機器メーカーからは「投資計画が策定できない」といった不満も上がっている。
携帯端末向け新放送は2011年7月に終了するテレビのアナログ放送の周波数帯を使って提供する。携帯電話のワンセグ放送より大量の情報を流すことができ、放送と通信を融合したサービスが想定されている。
セブン-イレブンが来春めどにスイカなど交通系電子マネー導入
セブン&アイ・ホールディングスとJR四国・JR貨物を除くJR5社、京急電鉄は17日、スイカやイコカ、パスモといった各鉄道会社の電子マネーサービスを、各地区のセブン-イレブンの店舗に来春をめどに導入することで合意したと発表した。セブン-イレブンの電子マネー導入は他のコンビニに比べ、遅れていたが、来春以降は全国の約1万3000店舗で交通系電子マネーでの支払いやチャージ(入金)ができるようになり、顧客の利便性のアップや決済時間の短縮といった効果が期待できる。
ベスト電器子会社、台湾の家電量販店と提携
家電量販大手のベスト電器(福岡市)は17日、同社の子会社で、台湾の現地企業との合弁会社「台湾ベスト社」が、台湾南部の高雄市にある家電量販店の株式を約7割取得し、業務・資本提携することで合意したと発表した。
株式は今年中に取得する予定だが、詳しい時期や購入株式数は今後の協議で決める予定。
台湾ベスト社はすでに、台湾北部を中心に13店舗展開している。南部を中心に展開する現地企業と提携することで、台湾での新規出店を強化し、仕入れの一本化などでコスト削減を図るのが狙い。
日中貿易総額、過去最高…2010年上半期
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、2010年上半期(1~6月)の日本と中国の輸出入を合わせた貿易総額(ドルベース)が前年同期比34・5%増の1383億7395万ドル(約11兆8000億円)と、半期ベースで過去最高となった。
日本からの輸出は、47・1%増の684億2967万ドルと過去最高、中国からの輸入は24・2%増の699億4428万ドルだった。
中国政府による大型の景気対策によって、建設用・鉱山用機械や部品、自動車が大幅に伸びた。上海万博の影響でデジタルカメラやビデオカメラなどの輸出も好調だった。
一方、中国からは、液晶テレビなどの家電製品や、原材料であるアルミニウムやマグネシウムなど非鉄金属などが伸びた。
ジェトロの真家陽一・中国北アジア課長は、「下半期も貿易額は増加基調にあり、2010年の日中貿易額は、過去最高の08年を更新する可能性が高い」と分析している。
カード・信販会社、ネット事業者向け決済代行を拡充
クレジットカード・信販各社がインターネット事業者向けの決済代行事業を強化する。セディナはネット上で口座振替手続きを完了させるサービスを拡充。アプラスは紙の請求書を使わずに、消費者に即時に支払いを請求できるサービスを始めた。キャッシングなど既存事業の環境が厳しい中、成長分野であるネット決済を取り込み新たな収益源に育てる考えだ。
セディナは今秋、紙の申込書を郵送せずに、専用サイトに口座番号などの情報を入力すれば口座振込を申し込めるサービスを拡充する。これまで2行だった取扱金融機関をみずほ銀行など8行に拡大したうえで、契約したネット事業者が受け付け状況などをリアルタイムで把握できる管理システムを導入する。
口座振替の需要が多いネットスーパーやネット経由での保険販売などの利用を見込み、来年3月末までに30社との契約を目指す。ジャックスもサイト上で口座振替を申し込むサービスを始めた。
アプラスは8月に代金の振り込みやコンビニでの支払いを希望する消費者に対して請求書の代わりに「支払キー」と呼ぶ番号を通知するサービスを始めた。消費者がネット銀行のサイトやコンビニの端末に番号を入力すれば、請求金額などの情報が表示されて振り込みができる。請求書を発送する必要がなくなるため、早期回収や経費削減につながるとして売り込む。
カード・信販業界では今年6月に完全施行された改正貸金業法の影響を受け、キャッシング事業の縮小を余儀なくされている。消費が低調なため本業の信用販売なども低迷しており、新たな収益源を模索している。
【ウォールストリートジャーナル社説】ジャパン・アズ・ナンバースリー
若い読者にとっては信じ難いことかもしれない。ほんの20年前、米国の政界と学界は、日本を躍進する経済大国とみなしていた。ハーバード大学の学者、エズラ・ボーゲル氏の著書「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は広く読まれ、メディアは、日本は戦争で米国に敗北を喫したが経済では米国に勝利を収めた、と報じた。
中国の国内総生産(GDP)が日本を上回り、世界2位の経済大国となったとのニュースは、こうした見方を皮肉に変えた。この出来事は一世代前には想像すらできなかった。それでも、日本の1人当たりGDPと生活水準は中国を大きく引き離す。
しかし、チャートが示しているように、両国の成長トレンドに開きがあるのは否定できない。1990年から2009年までの中国の年間成長率はほぼ10%だ。これに対し、日本は高度経済成長の後、成長率が2%を大きく下回る水準まで著しく低下した。一方は貧困から急速に抜け出した。もう一方が陥ったのは、よく言って繁栄を維持しながらのスタグネーションだ。
アジアにおける形勢逆転の理由と、これが持つ意味合いを考えたい。明らかな教訓は、国家の豊かさは生得権ではないということだ。国民の才能を解き放つ健全な経済政策を通じて国家は毎年、繁栄を重ねていく。
中国にとっての突破口は、小平氏による1978年の改革開放経済政策の導入だった。当初は農業、後にそのほかの産業が開かれ、中国は格段に企業家精神に富んだ国になった。08年の本紙のリポートにあるように、GDPに政府が占める割合は78年の31%から2000年代初めに約11%に縮小した。中国は一方的に関税を引き下げ、世界貿易機関(WTO)に加盟し、国有企業を改革して競争にさらした。そして、こうした政策がもたらす成長モメンタムの影響を引き続き享受している。
一方、日本は反対の方向に動いている。本紙は84年、「ジャパン・アズ・ナンバー・トゥエンティワン」との見出しの社説を掲載した。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、日本は政府歳入のGDP比が27%と加盟23カ国中、21番目で、歳出のGDP比は26%と最下位だった。しかし、もはやそうではない。日本は消費税を導入し、歳出のGDP比は40%に近い。
不動産と株式バブルが崩壊した90年、世界的に最も長期にわたり、最も高コストのケインズ主義政策に日本は乗り出した。この政策は、日本の債務をGDPのほぼ200%に押し上げたが、成長にほとんど貢献していない。また、日本は自国の政府支援企業である郵政改革にも失敗した。
訪問客にとって日本は依然として裕福な国に見えるだろう。しかし、相対的な凋落は著しい。ヘリテージ財団のデレク・シザーズ氏によると、日本の個人所得は今では世界の40位付近だ。日本人の平均所得は(米国で最も貧しい)ミシシッピ州の住民よりも少ない。失われた世代が事態を悪化させている。
単なる政策のみならず、国家の意思にも開きがある。日本人は第二次世界大戦での敗北の後、躍起になって復興に取り組んだ。日本の社会的一体性と企業の内部統制は、世界でも最も優れた企業を作り出した。こうした日本企業は現在でも世界の健全性に一役買っている。
現在、日本の人口は高齢化している。老齢人口が多くなれば、リスクを回避する傾向が強まる。米国やオーストラリアと異なり、若年労働者の供給源である移民を日本は歓迎していない。日本の政治システムは、持続的な成長を目指す経済政策に回帰する能力がないようだ。
中国は今日、より力強く自信に満ちた国家だ。国民は失われた数世紀を取り戻そうと努力し、地域大国として再び主張を始めた。中国は(一人っ子政策のせいで)高齢化の問題に直面しているが、農村部から都市部に向かう数千万人の出稼ぎ労働者が若い労働力を提供している。
問題は、中国が一党独裁の限界に突き当たるなか、素晴らしい成長を維持することが可能であるかどうかだ。金融危機が米国型経済モデルを傷つけるなか、中国は「国家主導型」の世界企業を追求している。
中国通で知られるコンサルタント会社APCOワールドワイドのジェームズ・マグレガー氏は米商工会議所の最近のリポートで、中国は主要7地域において国内企業を競争から保護する政策を打ち出し、市場経済からの離脱を図っている、と指摘。これにより、国内で効率性と革新性が後退するとともに、世界各国で反感が芽生える可能性がある、との見方を示した。政治主導の資本は一時は花を咲かせるが、市場規律の欠落により衰退を余儀なくされることは目に見えている。
それでも、中国の経済面での躍進は世界の繁栄に寄与している。日本の戦後の復興時と同様だ。対照的に、日本の20年間のスタグネーションは日本人のみならず世界にとっても悲劇だった。世界の繁栄はゼロサムゲームでない。各国が貢献することが大切だ。
米国民にとっての朗報は、他国の順位に変動があっても、少なくとも08年までは米国のGDPの順位は不動であったことだ。中国は躍進しているが、米国の経済規模はこれを凌駕する。日本と同じ政策の過ちを犯し、日本の運命をたどることを米国は避けねばならない。
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