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iモードでアップル流アプリ配信 ドコモ、今秋から 個人のアプリ開発容易に
 NTTドコモは今秋、iモードが使える従来型の携帯電話で、個人が開発したゲームや仕事に役立つソフトなど様々な「アプリ」を取り込める新サービスを始める。米アップルの高機能携帯電話(スマートフォン)向けには22万本以上のアプリが開発され、「アイフォーン(iPhone)」人気を支えている。従来型の携帯電話を中心に国内で約5500万人の契約者を抱えるドコモは9割以上が従来型の携帯電話を使っている。スマートフォン並みのアプリを楽しめるようにすることで対抗する。
 ドコモのiモードでは現在でも、ゲームや駅の乗り換え案内、ニュースなど様々なアプリを使える。ただこうしたアプリを提供するには、高性能なコンピューターなどの機器が必要なこともあり、iモード向けのアプリなどを開発などに携わっているのは企業を中心に約2万にとどまる。
 日本ではソフトバンクが独占販売しているアイフォーンは、アップルが運営している「アップストア」で22万本以上の専用アプリを購入できる。自分のライフスタイルにあった使い方や必要な情報を入手できるよう、端末購入後に機能を追加できるのが特徴だ。
 ドコモは従来型の携帯電話でも使えるアプリを大幅に増やすには、企業主体のアプリ開発体制を転換する必要があると判断した。
 秋のサービス開始をにらみ、8月下旬から個人のソフト開発者向けにパソコンを使って簡単にiモード向けのアプリが開発できるソフト「アプリスタジオ」の提供を始める。11月にも従来型の携帯電話から、アプリが購入できるサイトを開設する方針だ。
 新サービスでは開発者向けにアプリ配信のための専用サーバーも用意する。携帯電話料金と一緒にアプリの代金回収を代行し、高価なネットワーク機器がなくても開発できるようにする。休日に趣味でソフトを開発しているような個人にも門戸を広げ、多彩なアプリをそろえる方針。
 近年ではアップルがコンテンツの規制に動いていることから、米グーグルの無償ソフト「アンドロイド」対応の携帯端末向けのアプリを開発する人も増えている。「アンドロイドマーケット」のアプリ数は約6万本に達した。
 NTTドコモは、アイフォーンやアンドロイド携帯向けの既存のアプリに、わずかな改良を加えるだけで秋からの新サービスを利用できるよう工夫する。海外で人気の高いアプリも呼び込みたい考えだ。
 こうした配信サービスは世界の端末メーカーも一斉に力を入れている。日本の携帯電話メーカーはこれまで端末の魅力を高めるためにハードの機能向上を競ってきたが、アプリなどを提供する仕組みが主戦場になりつつある。
 世界の携帯端末最大手、フィンランドのノキアも「Ovi(オビ)ストア」を通じてアプリを配信するほか、韓国サムスン電子も同様なアプリ配信を始めた。「ブラックベリー」を手掛けるカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)も6月から日本でサービスを始めている。
 アプリを事業の中核に据えるモデルは携帯からテレビに広がる可能性もある。グーグルは2011年初めから、携帯向けソフトをテレビでも使えるようにする。ソニーなどと協力して立ち上げるテレビ向けサービス「グーグルテレビ」を携帯向けソフトに対応させ、ソフト販売の拡大につなげる。



「まずはiPhone向け」 アプリ開発、選別強める
 身近なIT(情報技術)機器の主役がパソコンからケータイへ移り、アップルの「iPhone+アップストア」がゲームやビジネス用ソフト、ニュースなど様々なコンテンツ(情報の内容)の流通基盤として存在感を高めている。米グーグルやノキアなど世界の有力企業もこぞってアプリ配信に参入している。
 アプリの競争が激しくなる一方で、ソフトの開発側が配信サービスを選別する動きも強まる。NTTドコモの「iモード」など日本の携帯サービス向けに作品を供給してきたゲーム大手も、アイフォーン対応を重視する。
 カプコンは主力の「ストリートファイター」シリーズを供給しているほか、米子会社はアイフォーン向けの独自ゲームも開発中。ハドソンも「ゲームを世界に配信できる携帯端末ではアイフォーンが1番」(柴田真人執行役員)と話す。
 米シリコンバレーのネットベンチャーの間では、まずはアイフォーン向けにサービスを展開し、その後に「アンドロイド」などに対応させる流れが一般的になりつつある。アプリの質と量で端末の人気を高め、さらなるアプリを呼び込む循環を生み出せるかが、配信サービス側の生き残りの条件になりそうだ。



JVCケンウッド、「JVC」ブランドを海外企業に供与
 経営再建中のJVC・ケンウッド・ホールディングスは傘下の日本ビクターが持つ「JVC」ブランドを海外企業に有償で供与する。まず第1弾としてアルゼンチンの家電販売代理店と契約。同代理店が委託生産した液晶テレビを「JVC」ブランドで売り出す。
 アルゼンチンの代理店は「JVC」ブランドの液晶テレビを年間10万台規模で始めるもよう。アルゼンチンは日本方式の地上デジタル放送の採用が決まり市場拡大が見込まれる。ブランド使用料は数億円とみられる。
 アルゼンチンに続き、中南米やアフリカなど今後成長が見込まれる新興国市場で、供与先を増やしていく計画だ。
 ブランド供与はブランド価値を損なうリスクがあるが、安定的な収入が見込める利点が大きいと判断した。
 ビクターはテレビ事業の採算を改善するため、日米欧の自社工場を閉鎖し、電子機器の受託製造サービス(EMS)への生産委託に切り替えてきた。
 JVCケンウッドは2008年にビクターとケンウッドが経営統合して発足。テレビなどAV(音響・映像)機器事業の苦戦で、今期も3期連続となる130億円の最終赤字を見込む。中期目標に掲げる来期の黒字転換に向け、AV機器事業の立て直しが急務となっている。
 テレビ事業から撤退したパイオニアも09年に中国の家電量販店大手、蘇寧電器とブランド供与の契約を結んだ。海外勢では経営破綻した米ポラロイドのブランドをアジア企業が液晶テレビに使っている例がある。
 日本の薄型テレビメーカーは韓国勢との激しい価格競争で、利益を出すのが難しくなっている。各社は外部への生産委託でコスト削減を進めている。



キヤノン、家庭用SEDテレビ商品化を断念
 キヤノンは18日、次世代薄型ディスプレーパネル「SED(表面伝導型電子放出ディスプレー)」テレビの発売を断念し、全額出資の開発子会社「SED」(神奈川県平塚市)を9月末で解散すると発表した。
 SEDテレビは画質で液晶やプラズマを上回るとされたが、現在の薄型テレビに価格面で対抗できないと判断した。
 SEDは色の鮮やかさや、動きの速い映像の処理に優れ、液晶やプラズマに対抗する薄型テレビとして期待された。キヤノンと東芝は1999年、デジタル家電市場の切り札と位置づけて共同開発に乗りだし、2004年に共同出資で開発会社を設立した。
 しかし、高い生産コストや関連技術を巡る特許訴訟の長期化などから発売延期を繰り返した。キヤノンは07年に東芝が保有する開発会社の株式を買い取って単独で生産する方針に転換したが、採算の確保が困難だと判断した。キヤノンは本体に技術者などを移し、業務用の研究開発を継続する。



3Dパソコン、富士通・NEC高機能競う
 3D(3次元)映像時代を迎え、デスクトップパソコンでも3D対応の製品が登場した。専用ソフト再生のほか、自分で撮影した3D画像も編集できる。パソコンは個人で使うため、眼鏡をかけて特定の位置から視聴する3D向きとされる。市販の3Dソフトが増える今秋以降、需要拡大が期待されている。
 VN790/BS」は、主力機種「VN770」に3D機能を加えた。PC事業本部の渡辺敏博商品企画開発本部長代理は「ベストセラー機に先進機能を持たせ、ユーザーの満足感を高めた」と説明する。
 パソコンでDVDソフトを視聴する人が多いことに配慮し、2D(2次元)映像を3Dに変換する機能を搭載。富士フイルムの3D対応デジタルカメラ「ファインピックス リアル 3D W1」で撮った3D映像を再生できる機能も備えた。
 同社は、テレビ番組の受信・録画、3Dを含む映画や音楽のソフト再生など「パソコンはAV(音響・映像)関連をすべて扱う個人向け情報機器として今後も市場が拡大する」(渡辺氏)とみる。
 富士通の「エスプリモ FH550/3AM」は3Dの面白さをすぐに楽しめるよう、モニター枠の上部に専用3Dカメラを設置した。自分の顔などを撮影して3D映像として再生できる。
 映像は3Dビデオレターとして送れるが、今のところ、相手も同じパソコンを持っていないと再生できない。それでもパーソナルマーケティング統括部の中西猛プロジェクト部長は「自分あてのビデオレターとして将来見るのも楽しい」と幅広い用途を強調する。
 NECの3Dパソコンと同様に、通常のDVDソフトを3Dに変換表示する機能もある。この変換機能を使って楽しめるゲームも収録した。
 富士通は3Dパソコンを夏モデルの代表機種と位置付け、テレビCMでも3D眼鏡をかけたタレントを登場させた。「パソコンユーザーはより現実感があるAV機能を求めている」(中西氏)と普及に自信を見せる。
 両社とも3Dは大画面で楽しみたい人が多いとみてデスクトップパソコンから導入を決めた。現在は価格も考慮して20型のみだが、今後は23型などにも3D対応が登場しそうだ。



ナムコ、LED照明のゲーム機 施設向け、消費電力4割減
 アミューズメント施設運営のナムコは、発光ダイオード(LED)照明を採用した施設向けゲーム機を展開する。ゲーム機に合った色調の専用LED球を開発した。1台当たりの消費電力を約40%削減できる。まず直営の施設約220店舗で導入し、今後は他社施設への販売を目指す。娯楽の多様化や消費低迷で施設業界の経営は厳しさを増しており、LED導入で経費削減につなげる。
 LED球はランプ製造のフェニックス電機と共同で開発した。色調や明るさは従来の製品と同等にした。
 まず導入したのはゲーム機内の景品をつかむクレーンゲーム機。ナムコの全国の直営店舗を対象に合計4280台に導入した。現行のランプをLED球に取り換えたほか、電力消費量を減らせる蛍光灯を設置した。
 今後、新機種にも導入し、グループ会社のバンダイナムコゲームスを通じて他の施設運営会社に提供していく予定。
 ゲームセンターの機器は照明設備を充実させるために電力使用量が多く、ナムコでは総コストの5~6%程度を占めるという。娯楽の多様化などによる集客数の減少や機器開発費の高騰は、施設各社の収益を圧迫しており、省エネ機器の導入で経費削減につなげる。



ビジネス日本語能力テスト、本年度で中止 「赤字で採算取れず」
 日本漢字能力検定協会(京都市)が、日本企業への就職を目指す外国人らを対象に実施している「ビジネス日本語能力テスト(BJT)」を、本年度限りで中止することが18日、同協会への取材で分かった。協会は「赤字続きで採算が取れないため」と説明している。
 同協会などによると、BJTは平成8年に日本貿易振興機構(ジェトロ)が始めた。20年3月に協会が3億3600万円で買い取り、昨年3月から運営を引き継いだ。
 同協会は昨年6月と同11月、ことし6月の計3回実施。会場は日本やタイ、インド、米国などで、受験者は約2800~3500人で推移。今年11月の実施が最後で、7月1日から受験者を募集している。
 BJTは外国人の入国審査の際、留学や就学の資格認定の資料としても活用されている。



首相、追加経済対策の財源に予備費活用を検討
経済再生
 菅首相は18日、急激な円高・株安や景気減速への対応として政府が検討している追加経済対策について、2010年度予算に計上した「経済危機対応・地域活性化予備費」の活用を含めて検討する考えを示した。
 民社協会会長の田中慶秋民主党衆院議員らが首相官邸を訪れ、緊急経済対策を申し入れたのに答えた。
 首相は、補正予算を組んで景気対策を実行するには国会の承認を得るなど時間がかかるため、予備費の活用など「早急にできることを考える」と述べた。具体策の一つとして、中小企業対策を盛り込む必要があるとの考えも示したという。
 景気対策の財源としては、同予備費で残っている約9000億円のほか、09年度一般会計決算の純剰余金のうち約8000億円を充てることが想定されている。



日銀、資金供給拡大へ 10兆円増視野 円安誘導図る
 円高・株安に対応するため政府が20日の経済関係閣僚会議から検討に入る追加経済対策と並行して、日銀も追加の金融緩和策の検討に着手することが18日、分かった。企業の資金調達を後押しし、景気下支え効果が期待される「新型オペレーション」(新型オペ)の拡充が有力視されている。来週に予定される菅直人首相と白川方明日銀総裁との会談前に「臨時の金融政策決定会合で決めるのではないか」との声も出ている。
 選択肢として昨年12月に日銀が導入した、年0.1%の固定金利で貸出期間3カ月の資金供給を行う新型オペの規模を、現在の20兆円から30兆円に増やす案が浮上。期間を3カ月から6カ月に伸ばす可能性もある。1年以内の短い間、資金を調達する短期金融市場の資金を増やすことで金利をさらに下げる効果を狙うとみられる。
 日本と欧米との金利差が広がれば、外国為替市場で円は売られやすくなる。追加的な金融緩和策で円安誘導が期待されるほか、企業が設備投資資金を借りやすくなったり、住宅ローン金利の低下など個人消費への刺激も見込まれている。
 今月10日の金融政策決定会合で「企業業績は好転している」(白川総裁)との判断を示した日銀だが、財政難から政府の追加経済対策の中身が薄いだけに、日銀内には「追加緩和のカードはなくならない」との見方が強い。「週内に追加緩和策を決める」(市場関係者)との観測が浮上する背景には昨年12月、白川総裁と鳩山由紀夫首相(当時)が会談する1日前に日銀が臨時会合を開き、新型オペの導入を決めた経緯があるようだ。
 ただ、今年3月に新型オペの規模が10兆円から20兆円に引き上げられた後も1年物の短期金利は0.1%前後のまま動いていない。「底を打った政策金利は上がりも下がりもしない」など、一部の市場関係者には追加緩和の効果を疑問視する向きもある。「日銀と緊密に連携する」(野田佳彦財務相)といった発言が相次ぐ中、中央銀行としての日銀の独立性は「絵に描いたもち」との批判も高まりそうだ。



【産経主張】追加経済対策 「アリバイ作り」では困る
 政府・日銀が追加経済対策の検討を始めた。4~6月期の国内総生産(GDP)が予想以上の減速を見せたのに加え、輸出の足を引っ張る円高が急ピッチで進んでいることが背景にある。
 経済の現状に対する危機感が乏しいと指摘されてきた菅直人政権も、ここにきてようやく重い腰を上げた格好だ。回復軌道をたどってきた景気の底割れ防止には万全な対応が求められている。来月の民主党代表選に気を取られ、追加対策の策定や実施に影響が出ることは許されない。
 政府は、20日にも関係閣僚会議を開くと決めたほか、来週には菅首相が白川方明(まさあき)日銀総裁と会談する予定だ。菅政権には「アリバイ作り」ではなく、実効性ある追加対策を早期に実施する姿勢が問われている。
 一連の協議では、現在の景気情勢や円高について意見を交わし、追加対策の骨格づくりを進める見通しだ。大学・高校の既卒未就職者向けの雇用対策や年内で終了する家電エコポイント制の再延長などが検討課題にあがっている。
 ただ、財政事情が厳しい中で、バラマキにつながる新規国債の増発は避けねばならない。6月にまとめた財政運営戦略では、国と地方の基礎的財政収支の赤字について、平成27年度までに半減させると決めたばかりだ。今年度予算に計上した経済危機対応・地域活性化予備費の未使用分(約9千億円)などを活用し、高い投資効果が見込める事業に絞るべきだ。
 15年ぶりに1ドル=84円台を記録した円高への対応は日本経済にとって喫緊の課題だ。米金利が低下し、日米間の金利差縮小が最近の円高の一つの要因であり、追加対策の取りまとめに先んじて菅・白川会談では一段の金融緩和も検討する必要が出てこよう。
 さらなる円高には、日本単独で円売りの市場介入に踏み切ることも選択肢に含めるべきだ。米欧諸国は輸出促進につながる自国の通貨安を容認する姿勢を示している。効果は限定的だとしても、日本として、これ以上の円高は断固阻止するというメッセージを発信することが重要だ。
 政府は10日の月例経済報告で、景気の基調判断を「持ち直しつつある」と据え置いたが、認識が甘かったと言わざるを得ない。菅政権は危機意識を持って経済運営に当たらねばならない。
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