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ネット絶交の悲喜こもごも 英ヘンリー王子破局からマイミク切りまで(COLUMN1)
1月下旬、イギリスのヘンリー王子が恋人と破局したと報じられた。その際、交際相手だった大学院生の女性が、ネット上でその意思表示をしたとして注目されている。
ヘンリー王子の破局は、英ニューズ・オブ・ザ・ワールド紙が報じて、他のメディアも追随した。交際相手の大学院生、チェルシー・デービーさんとは5年間の付き合いで、過去にも1度破局し、復縁している。今回は2度目の破局ということになる。
英デイリー・テレグラフ紙によれば、デービーさんは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「Facebook」の設定を変更して、結果的にヘンリー王子との破局を公に宣言することになったという。
Facebookには「Relationship Status」という機能があり、自分の状態を「Single(恋人なし)」「In a Relationship(恋人あり)」「It's Complicated(複雑な状態)」などと表明することができる。デービーさんは、「In a Relationship」となっていた設定を解除したというわけだ。その人が今フリーかどうかが、ネット上の個人情報を見てわかるというのは、いかにも“イマドキ”な話である。
2008年3月には、ネット百科事典の「ウィキペディア」を創設したジミー・ウェールズ氏が、同じようにネット上で男女関係について意思表示をしている。当時、交際が噂されていたコメンテーターのレイチェル・マースデンさんとの関係について、ウェールズ氏は、自身のブログで「妻と離婚後にマースデンさんと1度だけ会ったことはあるが、今は何の関係もない」と書いた。
ところが、これを見たマースデンさんは腹を立てたらしく、オークションサイトの「イーベイ」を使って反撃に出た。辛辣なコメント付きで、マースデンさんのアパートに残されたというウェールズ氏の洋服を出品したのである。2人の関係がどういう実態であったかは不明だが、結果的にネット上で男女のバトルが展開されることになってしまった。
このように、ネット上で男女関係について意思表示をすることで、思わぬ騒ぎを起こしてしまうこともある。さらには、男女関係、恋愛関係だけでなく、広い意味での人間関係において、ネット上での意思表示が問題になることもある。
その典型例が「マイミク切り」だ。SNSの「ミクシィ」では、友人や知り合いをマイミクというリストに承認登録するシステムになっているが、このリストから削除することを「マイミク切り」と呼ぶ。
マイミクが何十人という規模なら、どういう人が登録されているかを把握することは可能である。しかし、何百人という単位になると、登録している人がどういう人物なのか、登録を承認した本人でさえ忘れてしまう。
そのまま放っておくのも落ち着かないのでマイミク切りしたいのだが、そうすると、マイミク切りされた側が傷つくのではないか、無用のトラブルを生むのではないか、そういう心配が生じてくる。同じようなことは、他のSNSでも見られる。
一方で、そんな人々の繊細な気持ちをあざ笑うかのように、ネット上での友人関係をスパッと切ることを奨励するキャンペーンが登場した。米ハンバーガー・チェーンのバーガー・キングは、Facebookで友人を10人切ったらハンバーガーの無料クーポンをプレゼントするというキャンペーンを実施。現在、キャンペーンは終了しているが、合計23万3906人が「犠牲」となった。
中には友人同士で共謀して友人関係を切り合い、まんまと無料クーポンをゲットした人たちもいると思うが、「友人か、それともハンバーガーか」という二択が大々的に成立するのは、「ネット上の人間関係は本当にすべて必要な関係なのか」という疑問を抱いている人がそれだけ多いということなのだろう。人間関係解消の意思表示をしたくてもできずにいて、背中をポンと押されるのを待っている人たちが、まだたくさんいるのかもしれない。
我々は「iモード」の価値を一度見直すべきではないか?(COLUMN2)
今年の2月22日に、日本初の携帯電話向けインターネットサービスであるNTTドコモの「iモード」が誕生してからちょうど10年を迎えた。現在ではiモードをはじめとする携帯電話のインターネットの世界を低く見る向きもあるが、iモードが日本のインターネット、ひいてはリアル社会にまで与えた影響は非常に大きい。その価値を改めて見直すべきではないだろうか。
ケータイを日本のインターネットの“主役”にした
iモードが日本の携帯電話、そしてインターネットに何をもたらしたのか改めて振り返ってみよう。
最も大きな変化は、わずか10年で携帯電話を日本のインターネット接続機器の“主役”にしたということである。総務省のによると、パソコンからインターネットを利用している人は7813万人。一方、携帯電話やPHSなどからインターネットを利用している人は7287万人となっており、ほぼPCに匹敵する規模となっている。
さらに平成18年度の同調査と比較してみると、「PCのみ」でインターネットを利用する人が1627万人から1469万人と減少する一方で、「携帯電話のみ」でインターネットを利用する人は688万人から992万人と、逆に増えており、インターネット利用者全体の1割に達するという状況を生み出している。iモード登場以前は、多くの人にとって携帯電話でインターネットをするという発想すらなかったのだから、この変化がどれほど大きなことであるかというのが理解できるのではないだろうか。
ちなみに日本以外では、iモードに近い存在といえるWAPベースのモバイルインターネットサービスが順調に立ち上がらなかったことから、その普及率は現在でも高いとはいえず、モバイルインターネットサービスはあまり積極的に利用されていない(iPhoneをはじめとした各種スマートフォンが海外で人気を博しているのには、そうした背景がある)。これだけ積極的にモバイル・インターネットが活用されている国は日本だけであり、iモードは技術だけでなく文化的にも非常に高度な“超モバイル先進国”へ導いたと言っても過言ではない。
コミュニケーションの形を激変させた「メール」と「絵文字」
誰もが実感できるiモードがもたらした大きな変化は「メール」だろう。iモード登場以前にも、現在のSMSに相当するキャリア独自のショートメールシステムで、同じキャリア同士で短文のメールを交わすことはできた。
しかし、(当時)250文字もの長文が入力でき、かつEメールの仕組みを採用しているためキャリアやデバイスを問わずメールを送ることができるiモードメールの登場が、携帯電話、ひいては日常におけるコミュニケーションのあり方を大きく変えたのは間違いない。
そして現在、携帯電話は“通話”ではなく“メール”するためのツールと言っても過言ではない状況となっており、文字を主体としたコミュニケーションの重要性も非常に高まっている。そうした環境を生み出したのも、iモードによる影響が大きいといえよう。
もう1つ、メール文化と切り離すことのできない「絵文字」も、社会に大きな変化をもたらした存在といえる。絵文字自体はショートメールの時代から存在していたが、その数は10に満たない程度であった。だがiモードの登場によって絵文字が劇的に増加したことで、急速に普及したメール・コミュニケーションにおける表現手法として、欠かすことのできないものとなった。
絵文字自体は現在でも日本ローカルの規格ではあるが、世界中で販売されているiPhoneが絵文字に対応するようになり、またGoogleが絵文字のユニコード標準化を進めるなど、海外からもその重要性の高さを認められるに至っている。
“コンテンツで金が取れる”環境の実現
Webサービスの面でも、iモードは2つの大きな影響を与えている。1つは、当初からコンテンツの課金システムが用意されていたことによる影響だ。
PCのインターネットの世界では、「コンテンツでお金を取る」ということに対して有効な決済手段がなかったことから、長く課金ビジネスが難しいものとされてきた。しかも現在、Web2.0ブームの終息などから広告ベースによるサービスの運営に限界も出てきており、インターネット上でいかにお金を取っていくか、という所での思考錯誤が続いている。
だが、iモードはサービス開始当初から、公式サイトのみではあるがコンテンツに対する課金システムが存在した。さらに当初はコンテンツの額も300円以下と少額で、支払った料金は携帯電話の料金と一緒に回収されるという仕組みを採用するなど、ユーザーにとって使い勝手の良い仕組みも整えられた。それゆえ、最初から「お金を払ってコンテンツを買う」というスタイルを確立することができたのである。
この課金制度によって生まれたのが、着メロ・着うたからゲーム、コミック、占い……などといった携帯電話向けのコンテンツ市場だ。モバイル・コンテンツ・フォーラム発表の資料によると、有料コンテンツの市場は2007年時点で約4000億円、さらに物販などコマース分野を含めると、市場規模は1兆円を超えている。10年に満たない期間でこれだけの市場を生み出したというのは、非常に大きな出来事だといえるのではないだろうか。
しかも「コンテンツでお金が取れる」という携帯コンテンツの存在は、インターネットビジネス全体にも大きな影響をもたらしている。例えば動画共有サイトとして人気を博している「ニコニコ動画」なども、それを運営するニワンゴの親会社であるドワンゴが着メロ・着うたによって大きな収益を得ていなければ、誕生していなかったかもしれないのだ。
PCに親しみのない“普通の人”にまでインターネットを広げた
もう1つの大きな影響とは、インターネットの世界を“PCの外”へ広げることに成功したということである。
携帯電話のインターネットを積極的に利用しているのは、1つは学生を中心とした若年層、もう1つは女性、そして最後は、PCに関連しない職業の人々などである。つまりPCやITの世界とは比較的縁の薄い層が積極的に利用する傾向が強いのだ。
エリート・ビジネスパーソンこそiモードの価値を学ぶべし
このように、iモード、ひいては携帯電話のインターネットサービスは、携帯電話だけでなく日本のインターネット、日本の社会全体にまで大きな影響を与えている。だがその重要性に気付いている人は、残念ながらあまり多いとはいえないのが実情だろう。
実はITリテラシーが高く、PCのインターネットを積極的に利用する人であればあるほど、携帯電話のインターネットに対する理解が少なく、かつ「PCのサブ」として見なす傾向が強い。本連載でも幾度か触れているが、「未成年に携帯電話を持たせない」という動きも、親、さらには大人世代のケータイに対する“無理解”が非常に大きく影響していると筆者は見ている。
だが、iモードをはじめとした携帯電話によるインターネットサービスは、“ごく普通の人々”に広く普及し、大きな影響力を持つようになった。現在ではそれが“道路”、いや“空気”のような存在になりつつあるといってもいい。それゆえ、多くの企業が広く普及したモバイルインターネットの価値に着目しており、メディア、マーケティングの分野などでは非常に熱い視線が注がれている。
携帯電話市場の飽和によって、日本でも新たな市場開拓を行うべく、iPhoneやAndroidをはじめとした“PC世界の延長”というべきスマートフォンが増えてきている。PCに親しんでいる人達はそちらに目が向きがちだが、それらは“PC世界の延長”であるがゆえ、“普通の人”を虜(とりこ)にするとは考えにくい。誕生から10年を迎えた今こそ、PCの世界観に縛られず、iモードがもたらした“普通”の価値と重要性をもっと理解すべきではないかと思うのだ。
1月下旬、イギリスのヘンリー王子が恋人と破局したと報じられた。その際、交際相手だった大学院生の女性が、ネット上でその意思表示をしたとして注目されている。
ヘンリー王子の破局は、英ニューズ・オブ・ザ・ワールド紙が報じて、他のメディアも追随した。交際相手の大学院生、チェルシー・デービーさんとは5年間の付き合いで、過去にも1度破局し、復縁している。今回は2度目の破局ということになる。
英デイリー・テレグラフ紙によれば、デービーさんは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「Facebook」の設定を変更して、結果的にヘンリー王子との破局を公に宣言することになったという。
Facebookには「Relationship Status」という機能があり、自分の状態を「Single(恋人なし)」「In a Relationship(恋人あり)」「It's Complicated(複雑な状態)」などと表明することができる。デービーさんは、「In a Relationship」となっていた設定を解除したというわけだ。その人が今フリーかどうかが、ネット上の個人情報を見てわかるというのは、いかにも“イマドキ”な話である。
2008年3月には、ネット百科事典の「ウィキペディア」を創設したジミー・ウェールズ氏が、同じようにネット上で男女関係について意思表示をしている。当時、交際が噂されていたコメンテーターのレイチェル・マースデンさんとの関係について、ウェールズ氏は、自身のブログで「妻と離婚後にマースデンさんと1度だけ会ったことはあるが、今は何の関係もない」と書いた。
ところが、これを見たマースデンさんは腹を立てたらしく、オークションサイトの「イーベイ」を使って反撃に出た。辛辣なコメント付きで、マースデンさんのアパートに残されたというウェールズ氏の洋服を出品したのである。2人の関係がどういう実態であったかは不明だが、結果的にネット上で男女のバトルが展開されることになってしまった。
このように、ネット上で男女関係について意思表示をすることで、思わぬ騒ぎを起こしてしまうこともある。さらには、男女関係、恋愛関係だけでなく、広い意味での人間関係において、ネット上での意思表示が問題になることもある。
その典型例が「マイミク切り」だ。SNSの「ミクシィ」では、友人や知り合いをマイミクというリストに承認登録するシステムになっているが、このリストから削除することを「マイミク切り」と呼ぶ。
マイミクが何十人という規模なら、どういう人が登録されているかを把握することは可能である。しかし、何百人という単位になると、登録している人がどういう人物なのか、登録を承認した本人でさえ忘れてしまう。
そのまま放っておくのも落ち着かないのでマイミク切りしたいのだが、そうすると、マイミク切りされた側が傷つくのではないか、無用のトラブルを生むのではないか、そういう心配が生じてくる。同じようなことは、他のSNSでも見られる。
一方で、そんな人々の繊細な気持ちをあざ笑うかのように、ネット上での友人関係をスパッと切ることを奨励するキャンペーンが登場した。米ハンバーガー・チェーンのバーガー・キングは、Facebookで友人を10人切ったらハンバーガーの無料クーポンをプレゼントするというキャンペーンを実施。現在、キャンペーンは終了しているが、合計23万3906人が「犠牲」となった。
中には友人同士で共謀して友人関係を切り合い、まんまと無料クーポンをゲットした人たちもいると思うが、「友人か、それともハンバーガーか」という二択が大々的に成立するのは、「ネット上の人間関係は本当にすべて必要な関係なのか」という疑問を抱いている人がそれだけ多いということなのだろう。人間関係解消の意思表示をしたくてもできずにいて、背中をポンと押されるのを待っている人たちが、まだたくさんいるのかもしれない。
我々は「iモード」の価値を一度見直すべきではないか?(COLUMN2)
今年の2月22日に、日本初の携帯電話向けインターネットサービスであるNTTドコモの「iモード」が誕生してからちょうど10年を迎えた。現在ではiモードをはじめとする携帯電話のインターネットの世界を低く見る向きもあるが、iモードが日本のインターネット、ひいてはリアル社会にまで与えた影響は非常に大きい。その価値を改めて見直すべきではないだろうか。
ケータイを日本のインターネットの“主役”にした
iモードが日本の携帯電話、そしてインターネットに何をもたらしたのか改めて振り返ってみよう。
最も大きな変化は、わずか10年で携帯電話を日本のインターネット接続機器の“主役”にしたということである。総務省のによると、パソコンからインターネットを利用している人は7813万人。一方、携帯電話やPHSなどからインターネットを利用している人は7287万人となっており、ほぼPCに匹敵する規模となっている。
さらに平成18年度の同調査と比較してみると、「PCのみ」でインターネットを利用する人が1627万人から1469万人と減少する一方で、「携帯電話のみ」でインターネットを利用する人は688万人から992万人と、逆に増えており、インターネット利用者全体の1割に達するという状況を生み出している。iモード登場以前は、多くの人にとって携帯電話でインターネットをするという発想すらなかったのだから、この変化がどれほど大きなことであるかというのが理解できるのではないだろうか。
ちなみに日本以外では、iモードに近い存在といえるWAPベースのモバイルインターネットサービスが順調に立ち上がらなかったことから、その普及率は現在でも高いとはいえず、モバイルインターネットサービスはあまり積極的に利用されていない(iPhoneをはじめとした各種スマートフォンが海外で人気を博しているのには、そうした背景がある)。これだけ積極的にモバイル・インターネットが活用されている国は日本だけであり、iモードは技術だけでなく文化的にも非常に高度な“超モバイル先進国”へ導いたと言っても過言ではない。
コミュニケーションの形を激変させた「メール」と「絵文字」
誰もが実感できるiモードがもたらした大きな変化は「メール」だろう。iモード登場以前にも、現在のSMSに相当するキャリア独自のショートメールシステムで、同じキャリア同士で短文のメールを交わすことはできた。
しかし、(当時)250文字もの長文が入力でき、かつEメールの仕組みを採用しているためキャリアやデバイスを問わずメールを送ることができるiモードメールの登場が、携帯電話、ひいては日常におけるコミュニケーションのあり方を大きく変えたのは間違いない。
そして現在、携帯電話は“通話”ではなく“メール”するためのツールと言っても過言ではない状況となっており、文字を主体としたコミュニケーションの重要性も非常に高まっている。そうした環境を生み出したのも、iモードによる影響が大きいといえよう。
もう1つ、メール文化と切り離すことのできない「絵文字」も、社会に大きな変化をもたらした存在といえる。絵文字自体はショートメールの時代から存在していたが、その数は10に満たない程度であった。だがiモードの登場によって絵文字が劇的に増加したことで、急速に普及したメール・コミュニケーションにおける表現手法として、欠かすことのできないものとなった。
絵文字自体は現在でも日本ローカルの規格ではあるが、世界中で販売されているiPhoneが絵文字に対応するようになり、またGoogleが絵文字のユニコード標準化を進めるなど、海外からもその重要性の高さを認められるに至っている。
“コンテンツで金が取れる”環境の実現
Webサービスの面でも、iモードは2つの大きな影響を与えている。1つは、当初からコンテンツの課金システムが用意されていたことによる影響だ。
PCのインターネットの世界では、「コンテンツでお金を取る」ということに対して有効な決済手段がなかったことから、長く課金ビジネスが難しいものとされてきた。しかも現在、Web2.0ブームの終息などから広告ベースによるサービスの運営に限界も出てきており、インターネット上でいかにお金を取っていくか、という所での思考錯誤が続いている。
だが、iモードはサービス開始当初から、公式サイトのみではあるがコンテンツに対する課金システムが存在した。さらに当初はコンテンツの額も300円以下と少額で、支払った料金は携帯電話の料金と一緒に回収されるという仕組みを採用するなど、ユーザーにとって使い勝手の良い仕組みも整えられた。それゆえ、最初から「お金を払ってコンテンツを買う」というスタイルを確立することができたのである。
この課金制度によって生まれたのが、着メロ・着うたからゲーム、コミック、占い……などといった携帯電話向けのコンテンツ市場だ。モバイル・コンテンツ・フォーラム発表の資料によると、有料コンテンツの市場は2007年時点で約4000億円、さらに物販などコマース分野を含めると、市場規模は1兆円を超えている。10年に満たない期間でこれだけの市場を生み出したというのは、非常に大きな出来事だといえるのではないだろうか。
しかも「コンテンツでお金が取れる」という携帯コンテンツの存在は、インターネットビジネス全体にも大きな影響をもたらしている。例えば動画共有サイトとして人気を博している「ニコニコ動画」なども、それを運営するニワンゴの親会社であるドワンゴが着メロ・着うたによって大きな収益を得ていなければ、誕生していなかったかもしれないのだ。
PCに親しみのない“普通の人”にまでインターネットを広げた
もう1つの大きな影響とは、インターネットの世界を“PCの外”へ広げることに成功したということである。
携帯電話のインターネットを積極的に利用しているのは、1つは学生を中心とした若年層、もう1つは女性、そして最後は、PCに関連しない職業の人々などである。つまりPCやITの世界とは比較的縁の薄い層が積極的に利用する傾向が強いのだ。
エリート・ビジネスパーソンこそiモードの価値を学ぶべし
このように、iモード、ひいては携帯電話のインターネットサービスは、携帯電話だけでなく日本のインターネット、日本の社会全体にまで大きな影響を与えている。だがその重要性に気付いている人は、残念ながらあまり多いとはいえないのが実情だろう。
実はITリテラシーが高く、PCのインターネットを積極的に利用する人であればあるほど、携帯電話のインターネットに対する理解が少なく、かつ「PCのサブ」として見なす傾向が強い。本連載でも幾度か触れているが、「未成年に携帯電話を持たせない」という動きも、親、さらには大人世代のケータイに対する“無理解”が非常に大きく影響していると筆者は見ている。
だが、iモードをはじめとした携帯電話によるインターネットサービスは、“ごく普通の人々”に広く普及し、大きな影響力を持つようになった。現在ではそれが“道路”、いや“空気”のような存在になりつつあるといってもいい。それゆえ、多くの企業が広く普及したモバイルインターネットの価値に着目しており、メディア、マーケティングの分野などでは非常に熱い視線が注がれている。
携帯電話市場の飽和によって、日本でも新たな市場開拓を行うべく、iPhoneやAndroidをはじめとした“PC世界の延長”というべきスマートフォンが増えてきている。PCに親しんでいる人達はそちらに目が向きがちだが、それらは“PC世界の延長”であるがゆえ、“普通の人”を虜(とりこ)にするとは考えにくい。誕生から10年を迎えた今こそ、PCの世界観に縛られず、iモードがもたらした“普通”の価値と重要性をもっと理解すべきではないかと思うのだ。
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