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「LTEは不公平感をなくす新料金も」 NTTドコモ山田社長インタビュー
 法人市場は重要な成長分野だ。個人用とは別に持つ2台めの端末になるはずだからだ。Windows Mobile搭載のT-01Aなどはパソコンとの連動を売り物にしたことで、いくつかの企業が採用した。Xperiaを導入した企業もある。でも市場規模はまだまだ小さい。
 企業にとって携帯電話は業務効率化のツール。だから、ソリューションを組んで提案することが重要になる。ソリューションを作り、Xperiaのような端末を含め、もっと積極的に法人向けに展開していく。現在、法人利用の回線比率はドコモ全体の10%強。これを2012年には20%まで増やす。
 法人向けで重視されるのは、紛失したときのデータ消去や遠隔制御といったセキュリティ機能だ。これらはiモード機ではできているが、Androidはまだまだ。使い勝手や自由さとセキュリティの両立は難しい面があるが、改善していく。
 今、年末のサービス開始に間に合うよう、準備を進めている。サービスエリアは3G(第3世代移動体通信)のエリアにオーバーレイさせる形で、トラフィックが多く高速・大容量通信の需要が高いところから展開していく。だから端末は、必ず3GとLTEのデュアル対応にする。
 かつてFOMAを始めた当初は、バッテリーや端末サイズの問題で、デュアル端末を用意できなかった。それで、「FOMAが高速だといっても電波が届かなければ意味がない」と散々お叱りの言葉をいただいた。今はチップ技術が進んでいるから、LTEでは同じことを繰り返さないようにする。
 基地局への投資ペースも、当初5年間で3400億円と考えていた計画を少し前倒して、3年間で3000億円に変える。HSDPA用と考えていた投資を衣替えしてLTEに振り向けるだけだから、トータルの投資額は変わらない。ただ、LTEでは周波数利用効率が3Gの3倍にもなる。LTEのユーザーが増えれば、同じ投資額でも、より多くのユーザーを収容でき、ずっと効率的だ。
料金はどうなる?
 料金については、LTEの高速性を反映した料金にはなるが、詳細はこれから詰めていく。併せて検討しているのが、たくさん使った人とそうでない人を区別できる料金体系だ。
 今の3Gのネットワークでは、1%のユーザーが全トラフィックの30%を出している。無線はリソースを複数ユーザーでシェアするため、公平感を保つことが重要になる。LTEは特に、大容量トラフィックを発生させるユーザーが先に加入してくると考えられる。だから、今までとは少し違う料金プランを考えている。
それは3Gにも適用するのか。
 3Gでは今、動的コントロールというトラフィック制限の仕組みを取り入れている。各ユーザーの3日間の総パケット数を監視し、300万パケットを超えていたら、その翌日ネットワークが混雑している場合には、利用可能な帯域に上限を設ける。これで不公平な使い方はかなり緩和できた。
 だから3Gは、当面、今のままでしのぐ。対処し切れなくなったら改めて考えるが、LTEの投資ペース前倒しによっても、3Gのトラフィックを抑える効果は見込めるだろう。
 それから、LTEの低遅延をうまく生かせば、端末に機能(ソフト)を実装する必要がなくなる。高度な新機能を、端末に負荷をかけずにクラウドで実現できる。数多くのユーザーでシェアでき、そのほうがサービスの料金は絶対に安くなる。だから「端末とネットワークのコラボレーション」に注力する。
 もちろん、このようなサービスは外部の事業者がやってもいい。ただ、どんなサービスにすればネットワークを介して効率よく使えるのか、ドコモが一番よく知っている。我々が最もうまくサービスを作れるはずだ。



“禁断”の無料通話ソフト スマホ出遅れKDDIの賭け
 スマートフォン(高機能携帯電話)で出遅れたKDDI(au)が、“禁断の果実”を口にした。無料通話を可能にするソフト「スカイプ」を11月下旬以降に発売する新モデルなど2機種から順次搭載していく。急増するスカイプ利用者を取り込むのが狙いだが、通話料の減少は避けられない。スカイプの普及は、通信会社のビジネスモデルを根底からひっくり返す可能性をはらんでいる。
「革命を起こす」
 「実はきょう言おうか、言うまいか悩んだが、(10月)18日に『禁断のアプリ』を発表する」
 同4日に開いた新モデル発表会。12月に社長就任が内定している田中孝司専務は、思わせぶりに語った。
 直後からネット上では話題騒然となったが、業界関係者の多くが予想した通り、18日に発表されたのは、ルクセンブルクに拠点を置くスカイプ・テクノロジーズとの提携だった。
 同社のエイドリアン・ディロンCEO(最高経営責任者)も出席した発表会見で、KDDIの増田和彦サービス・プロダクト企画本部長は、「携帯電話の革命を起こしたい、そういう気持ちだ」と、意気込んだ。
 両社は共同で専用ソフト「スカイプau」を開発。新発売のスマートフォン以外にも、来年からは通常の携帯電話にも搭載していく計画。ソフトを搭載したau端末同士なら、無料で通話ができるようになる見通しだ。
利用者5億人超
 「中国の仕事先との連絡などに使っているが、とにかく安上がり。携帯でも使えるようになれば、パソコンを持ち歩かなくて済むので助かる」
 産業機械メーカーに勤める北海道在住の40代の男性は、KDDIの決断を大歓迎する。
 スカイプは、パソコンやスマートフォンに無料でダウンロードし、利用者同士がネット回線を通じて無料で音声通話やテレビ電話がかけられるソフト。加入者数は全世界で5億2千万人を超え、国内で過去1年に利用した人は1900万人に上る。
 米調査会社テレジオグラフィーによると、昨年の全世界の国際電話通話時間は4060億分で、うちスカイプが540億分と13%を占めるなど、急速に普及している。
 電話回線や携帯基地局を整備し、通信料収入を生業とする通信会社にとっては、まさに天敵だ。実際、KDDIの国際電話事業は、スカイプ普及と反比例するように下降線をたどり、今年3月期の売上高は前期比12%減の589億円に落ち込んだ。
 それでもあえてスカイプと手を組んだのは、通話料の減収とメリットをてんびんにかけ、「かなりの割合でチャンスが増え、収益に貢献する」(田中専務)と、判断したためだ。
ソフトバンクに打撃?
 まず減収対策では、「無料というコンセプトは守った上で、新しい料金体系を11月中につくる」(田中専務)という。
 海外の事例では、「スカイプ利用者は、通話もデータ通信も頻繁に使うヘビーユーザーが多い」(業界関係者)という。日本で先陣を切れば、優良顧客を取り込むことができる。
 新料金ではデータ通信料や通話料金を少し高めに設定する可能性があり、それで減収は十分にカバーできるとみているようだ。
 実際、JPモルガン証券の佐分博信シニアアナリストは「音声通話にはすでにさまざまな割引があり、減収インパクトは限定的」と指摘する。



任天堂、不安抱え年末商戦へ
 任天堂が28日発表した2010年4~9月期連結決算は、最終損益が20億円の赤字(前年同期は694億円の黒字)だった。同社が半期ベースで最終赤字に転落するのは03年4~9月期以来、7年ぶり。円高の影響が大きいとはいえ、ほんの数年前までの好調を考えれば寂しい現実だ。これから書き入れ時の年末商戦を迎えるが、携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」の販売が大きく落ち込むなど不安は多い。
 4~9月期の売上高は前年同期比34%減の3631億円、営業利益は48%減の542億円だった。9月末に業績予想を下方修正しており、今回の決算発表の内容に驚きはなかったが、問題はこれから。クリスマスに最も販売が伸びる欧米市場も含め、年末商戦をどう乗り切るかが目先の焦点となる。
 1年前を振り返ると、いかにこの時期が任天堂にとって重要な時期かがよく分かる。09年10~12月期は据え置き型ゲーム機「Wii」向けに発売した「NewスーパーマリオブラザーズWii」が大ヒットを記録。Wii本体の販売増にもつながり、6341億円の売上高をたたき出した。これは10年3月期通期の売上高(1兆4343億円)の44%を占める。
 09年も秋までは好調とは言い難い状況だったが、「マリオ」をけん引役に一時的に息を吹き返した。
 では任天堂は今年の年末商戦をどう乗り切ろうとしているのか。切り札の一つがDS対応ソフトとして9月に発売した「ポケットモンスター」の新作。わずか2週間で400万本以上を販売し、年末に向けて一段の伸びが見込まれる。Wii向けでは「星のカービィ」や「ドンキーコング」など定番シリーズの新作を相次いで投入。第1作の発売から25周年を迎えた「マリオ」の記念キャンペーンなども展開していく。
 ただ、昨年の再現が期待できるか、現段階では不透明だ。確かにポケモンは好調だが、DS本体の4~9月の販売は世界全体で前年同期比43%減の669万台と低迷している。3次元(3D)対応の新しい携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の発売を控え、DS向けの新作ソフトのタイトル数も目に見えて減少している。Wiiは定番ソフトについて一定の販売が見込まれるものの、ユーザーをあっと驚かせるような新作は今のところ見当たらない。
 任天堂は11年3月期通期に1兆1000億円の売上高、2100億円の営業利益を見込むが、この計画を達成するには下期(10年10月~11年3月)だけで約7400億円の売上高、約1600億円の営業利益を達成する必要がある。ハードルは決して低いとはいえない。そもそも任天堂は新型の3DSを年内に発売する計画だった。それが11年2月末にずれ込んだことで、年末商戦に不安がつきまとう印象はぬぐえない。
 アナリスト予想をまとめたQUICKコンセンサスによると、12年3月期の任天堂の連結売上高は1兆2598億円、営業利益は2473億円。市場は、来期以降は3DSの発売などで業績は回復に向かうと期待をかけている。年末商戦で反転のきっかけをつかめるかどうかは、回復への潜在力を示す試金石となりそうだ。



アップルがモトローラ提訴 携帯電話の特許で訴訟合戦
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は30日、米電子機器大手アップルが、高機能携帯電話の関連特許を侵害したとして米通信機器大手モトローラをウィスコンシン州の裁判所に提訴した、と報じた。アップルはモトローラに対し損害賠償と携帯電話の販売停止を求めている。
 高機能携帯の技術に絡んでは、モトローラが10月上旬にアップルを特許侵害で訴えたばかり。モトローラは米ソフトウエア最大手マイクロソフトからも訴えを起こされており、急成長する携帯電話市場をめぐり訴訟合戦が激化している。
 同紙によると、訴えでは、アップルは、モトローラが携帯電話の画面を触って操作する「タッチスクリーン」や画面表示の技術など、六つの特許を侵害したとしている。米グーグルの基本ソフト(OS)アンドロイドを搭載した携帯電話などが対象だという。
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