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ソフトバンク「グーグル携帯」拡充 電子書籍も配信
3D画像対応、iPhoneと両面作戦
 ソフトバンクモバイルは来春にかけて、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマートフォンの品ぞろえを大幅に拡充する。3次元(3D)画像を扱える機種などを追加する。ソフトバンクは米アップルの「iPhone(アイフォーン)」で市場を押さえているが、追い上げを図るNTTドコモやKDDIに品ぞろえで対抗し、リードをさらに広げたい考えだ。アンドロイド端末向けの電子書籍配信サービスも始める。
 これまで2機種だったアンドロイド端末を拡充し、来春にかけて5機種以上投入。3D画像の撮影と表示に対応したシャープ製のスマートフォンや米デル製のタブレット型端末などを予定する。
 ソフトバンクはシニア向けなど一部を除き今後3~4年で多くの利用者が携帯電話からスマートフォンに移行するとみている。タブレット型端末との併用を促し、9月末時点で約2300万件だった契約数を、今後10年以内に4000万件に伸ばす目標を掲げる。
 アンドロイド端末向けの電子書籍配信サービス「ソフトバンクブックストア(仮)」も早ければ年内に始める。ソフトバンクがネット上に書籍の販売サイトを開設・運営し、書籍の購入費を毎月の通信料金と一緒に請求して手数料を得る。作品調達では大日本印刷や凸版印刷の子会社などが協力し、書籍やマンガ、雑誌など10万点以上を早期にそろえる計画だ。
 具体的には大日印傘下のモバイルブック・ジェーピー(東京・千代田)や凸版子会社のビットウェイ(東京・台東)、携帯サイト運営のメディアドゥ(名古屋市)など複数の電子書籍を扱う流通会社に委託する。端末の「本棚」に相当する管理ソフトはソフトバンクが提供するが、作品データの配信サーバーは流通会社に運用を委ね、分業で早期のサービス立ち上げを目指す。
 iPhoneではコンテンツ配信から課金までをアップルが独占的に提供する。ソフト配信では販売売り上げの3割を手数料として徴収。米国では電子書籍配信も同社が手掛け、ソフトバンクが料金回収代行などで入り込む余地が少ない。一方、アンドロイド搭載端末ではグーグルとは独立してコンテンツ配信などを手掛けることが可能になる。電子書籍配信で新たな収益源の確立を狙う。



富士通、タブレット端末発売 来春「ウィンドウズ」搭載
 富士通は2011年春にも、タッチパネルで操作する板状の「タブレット端末」で基本ソフト(OS)に米マイクロソフト「ウィンドウズ」を搭載した製品を発売する。セキュリティー機能の高さなどを武器に法人を中心に売り込み、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」に対抗する。北米や欧州、アジアなどでも同時に発売、初年度に70万~80万台の販売を見込む。
 OSをウィンドウズとすることで、多くの企業は現在使用しているセキュリティー対策を変更することなく端末を導入できる。統合ソフトなどとの互換性も確保できる点も訴求して教育市場向けなどにも売り込む。
 新端末は10型液晶搭載で、バッテリー駆動時間は8時間程度とし、持ち運びに向く仕様とする。SDカードやUSBスロットなども装備し、拡張性も確保。価格は約500ドルとする予定だ。
 タブレット端末はシャープや東芝などが一般消費者向け製品の投入を決めたほか、NECが企業情報システム向け端末の発売を予定している。



NTTコム、スカイプ対抗 企業用IP電話 海外も“内線化”
 NTTコミュニケーションズは2日、海外事業所も含めた企業向けIP電話サービスの提供を12月から開始することを明らかにした。国内外の拠点間で通話が可能なIP(インターネット・プロトコル)電話サービスは、通信大手で初めて。
 NTTコムは国内で法人向けに同サービスを提供してきたが、日本企業の海外進出の増加に伴いサービスの適用範囲を海外にも広げる。
 NTTコムは法人向けIP電話サービスを「ドットフォン IPセントレックス」として、平成15年に提供を開始した。同サービスはデータ通信網を利用するため、高価な電話交換機などを導入せず初期費用を抑えて、事業所間では無料で通話が可能な内線通話網を構築できる。
 ただ近年、海外進出する日本企業が増加。この結果、海外拠点も含めた国際通信網の見直しを通じて、通信費用の削減を目指す動きが強まっている。
 加えて専用ソフトを導入したパソコンや高機能携帯電話(スマートフォン)同士で無料で通話できる「スカイプ」などの新しいネット電話サービスも登場。海外では個人だけではなく企業が利用するケースも増えている。
 このため、国内のみで提供してきた企業向けIP電話サービスを海外拠点に広げることにした。同サービスを新規に導入した場合、通信費用が10分の1から20分の1に削減できる可能性があるという。外資系企業の開拓も進め、26年3月末までに海外1千拠点への導入を目指す。



アドウェイズ、高機能携帯向けネット広告に参入
 成果報酬型(アフィリエイト)広告大手のアドウェイズは、スマートフォン(高機能携帯電話)向けインターネット広告事業に乗り出す。ネットゲームなどのアプリケーション利用者が広告をクリックして商品購入や会員登録をすると、仮想コインなど有償ポイントを入手できる仕組みを採用。スマートフォン市場の拡大を追い風に、広告主の開拓を推し進める。
 アプリの開発を手掛ける企業向けのネット広告商品「AppDriver(アップドライバー)」を4日にも売り出す。スマートフォン向けの同様のサービスは日本企業で初とみられる。
 アドウェイズは広告主を取りまとめるとともに、アプリ開発元にアップドライバーを供給。スマートフォン利用者による商取引の成果に応じて、アプリの開発元は広告主から利益を得られる。
 アプリ開発元はアップドライバーを通じ、自ら配信するアプリの広告出稿も可能。アドウェイズはまず、米アップルのアイフォーン(iPhone)のアプリ向けに事業化し、1年で100アプリでの採用を目指す。



固定電話の基幹回線、2025年めどにIPへ
 NTT東日本と西日本は2日、2025年をめどに、固定電話の通信網の基幹回線を、IPに全面的に切り替えると発表した。
 光IP電話サービスの需要動向や既存の電話交換機の寿命を踏まえ、20年ごろから全面切り替えに着手する方針だ。ただ、総務省は光回線などの高速通信網を15年に全世帯に普及させる「光の道」構想を掲げており、調整が難航する可能性もある。
 切り替えに先立ち、現在の通信網で提供しているダイヤルQ2やコレクトコールなどは20年ごろまでに順次廃止する。店舗などに設置してある一部の公衆電話など、利用減が見込まれるサービスは、20年ごろまでに十分に周知したうえで、代替サービスへの移行を促し、順次廃止する。



三菱UFJ、英銀RBSからインフラ金融部門買収
5000億円で合意へ リスク抑え海外収益確保
 三菱UFJフィナンシャル・グループは、大手英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の開発金融(プロジェクト金融)部門を買収する。欧州・中東・アフリカ向けのインフラ融資を中心にRBSの貸出資産を買い取ると同時に、営業部隊を引き継ぐ。買収額は約40億ポンド、5000億円規模に上る見込み。RBSの議決権の8割を持つ英政府と近く基本合意する。国内収益が低迷するなか、リスクを抑えつつ、海外で収益をあげる体制を整える。(関連記事経済1面に)
 三菱UFJは今春からRBS・英政府との本格交渉に着手。資産査定を実施したうえで10月下旬に最終価格案を提示し、最終的な合意内容の擦り合わせに入っている。年内に正式調印し、来年前半の買収完了を目指す。
 RBSは一時、世界で18万人の従業員を抱え、総合金融サービスを展開してきたが、2008年秋のリーマン・ショック後、経営が悪化し、英国政府の公的支援を受けた。英政府は公的資金の回収のために、RBSに非中核事業の売却を要請。プロジェクト金融部門の行方が最大の焦点になっていた。
 RBSは欧州・中東・アフリカの新興国の鉄道、エネルギーなどインフラ向け融資に強みを持ち、プロジェクト金融部門で世界トップ級。三菱UFJは、RBSの資産を買い取ると同時に、営業部隊を中心に数十人規模の人材も承継する方向だ。
 プロジェクト金融は、それぞれの事業の収益を担保に融資する手法で、貸出先の信用力に左右されない比較的リスクの低い資産として知られる。
 国内経済の低迷や利ざやの縮小で、日本の金融機関の収益環境は厳しさを増している。三菱UFJは米モルガン・スタンレーへ出資するなどグローバル展開を強化してきた。今回さらに、リスクを抑え、比較的安定した収益が期待できる海外資産を買い取ることによって、収益の底上げにつなげる。
 三菱UFJはプロジェクト金融部門で09年、米国内の新規組成額1位を獲得したものの、世界全体で見ると、今年1~9月期の実績では10位にとどまる。RBSの部門買収で世界首位を目指す。



警察情報流出 国際テロ捜査の根幹が揺らぐ(11月3日付・読売社説)
 日本の警察に対する国際的信用が失墜しかねない深刻な事態である。
 警視庁公安部の国際テロ捜査に関する内部資料とみられる文書が、ファイル共有ソフト「ウィニー」を通じてインターネット上に大量流出した。捜査協力者などの個人情報も含まれているという。
 今月中旬には横浜市で、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が控えている。その警備に影響が出るようなことがあってはなるまい。
 警察当局は内部の資料かどうか「調査中」としているが、特定することが急務だ。捜査資料と判明すれば、流出ルートを調べる一方、サイトの管理者に文書の削除を要請するなど漏えいの拡大を食い止めねばならない。
 テロ組織などの捜査では、相手組織の内部に協力者を作り、情報を収集するのが公安部の手法だ。警察の中でも、取り扱う情報の秘匿性は極めて高く、厳重な情報管理態勢が敷かれているという。
 流出文書には、捜査協力者とされる外国人の名前や連絡先、さらに接触方法などが記されていた。捜査対象者の顔写真や旅券番号、米連邦捜査局(FBI)によるテロ対策の研修内容とみられるものまであった。
 これらが警察の内部資料であれば、影響は計り知れない。協力者に危害が加えられる可能性もあり、今後、捜査への協力は得られなくなる恐れがある。
 海外の捜査機関も、情報の漏えいを警戒し、日本に対し、国際テロ組織に関する情報を提供しなくなるだろう。
 警察では過去にもウィニーを介した捜査資料の流出があり、私物パソコンの使用禁止などの措置を講じてきた。
 今回、内部の人間が警察の公用パソコンから外部記憶媒体などを使って捜査情報を持ち出し、私物パソコンから誤って流出させたとすれば、過去の教訓が生かされていなかったことになる。情報管理態勢を見直さねばならない。
 流出文書には流出元の私的な文書が含まれていないことから、意図的に捜査情報だけを流出させた可能性もある。そうであれば組織管理上、見過ごせない問題だ。
 警察は、職員らに法に触れる行為がなかったかどうか、徹底的に調べる必要がある。
 テロ対策には国際捜査協力が欠かせない。互いの情報提供は、厳重な情報管理態勢への信頼の上に成り立つことを、警察当局は肝に銘じてもらいたい。
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