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ドコモで「iPhone」が使えるようになる日
 NTTドコモの山田隆持社長は7月14日、東京ビッグサイト(東京・江東)で開幕した無線技術関連の展示会「ワイヤレスジャパン2010」で基調講演に登壇した。山田社長は2011年4月以降に出荷する全機種を「SIMロック」解除対応にする方針を表明しているが、講演でも改めて解除に向けて前向きな姿勢を示した。
 「11年4月以降に発売される端末にSIMロック解除機能を搭載していく。いまの端末は解除できないが、導入以後はドコモショップに来てもらえれば対応する。ただし、周波数や通信方式、サービスなどが対応しないことも多いので、そのあたりの説明をきっちりとして、納得してもらったうえで解除する」
 端末を特定の携帯電話会社だけで使えるように制限するSIMロックについては、総務省が今年6月、携帯電話会社が自主的に解除に取り組むことを要請するガイドラインを公表済み。山田社長は講演で、解除に向けた顧客対応などについて語った。
 「iモード」機能などを備える一般の携帯電話端末は、SIMロックを解除してしまうと、メールや公式サイト、「おサイフケータイ」機能などが使えなくなってしまう。現在は、そうしたデメリットが一般ユーザーに必ずしも伝わっておらず、「顧客の奪い合いが激化して料金競争が起き、安くなった他社に移行できる」といった偏った情報が広がっている印象がある。そうした誤解を解くうえでも、店頭でデメリットを説明したういえで、それでも解除したい人に限って対応するという状況に持っていきたいようだ。
「Xperia」の取り扱いは?
 基調講演後、山田社長に囲み取材をし、NTTドコモのSIMロック解除に対する様々な考え方を聞くことができた。
 まず、疑問として浮かぶのがスマートフォンの取り扱いだ。iモード対応機などにはそもそもSIMロック解除機能が搭載されていないので、すぐには対応できない。しかし、スマートフォンであれば、ソフトウエアのバージョンアップでSIMロック解除機能を追加できそうなものだ。
 これに対し、山田社長は「スマートフォンであっても、同じ来年4月以降の導入を考えている。(ドコモの人気スマートフォン「Xperia」の場合は)来年4月以降に発売されるかもしれない後継機種からになる。現行機種をSIMロック解除対応にするには、ユーザーから端末を預かる必要などがあり、不便をかけることになってしまう」と述べ、Xperiaの現行機種では対応しないことを明らかにした。
「料金プランはこれから詰める」
 今回、NTTドコモはSIMロック解除に積極的な態度を示したが、導入の条件として「4キャリア同時展開」を総務省に提示している。「6月に総務省からSIMロック解除に関するガイドラインが出たが、やはり4事業者同じスタンスでの導入でなければならない。パブリックコメントでも表明したが、これはぜひ総務省にお願いしたいところ」と山田社長は強調した。
 確かにNTTドコモだけがSIMロックを解除しても何の意味もない。通信方式が異なるKDDIは対象外としても、ソフトバンクモバイル、さらにはイー・モバイルにもSIMロック解除を求めるのは当然だろう。イー・モバイルの人気の携帯型無線LANルーター「ポケットWi-Fi」は現在、国内では1.7GHz帯の周波数でしかつながらないが、端末仕様上はNTTドコモなどが使用する2.1GHzにも対応している。
 NTTドコモから見れば、自社ユーザーがドコモの端末のまま他社に乗り換えることもある一方で、他社ユーザーがSIMロックを解除した端末のままNTTドコモと契約することも可能になる。ではそのとき、NTTドコモはどんな料金プランを用意するのか。「それに関してはまだ詰め切れておらず、これから考えないといけない。ただ、基本的にはいまの料金プランが適用されるようにしていきたい」と山田社長は語る。
 他社のスマートフォンでも、NTTドコモと契約すれば、同社の「パケ・ホーダイダブル」のスマートフォン定額である5985円が適用される、というのがユーザーとしては望ましいだろう。
香港版iPhoneも使えるようになる?
 これは何も他の携帯電話会社の端末に限った話ではない。メーカーが独自にSIMロック解除端末を販売すれば、NTTドコモはそれに応じたプランを出す、ということになる。つまり、米アップルが海外と同様に、日本でも直販店「アップルストア」や家電量販店でSIMロックフリー版「iPhone」を販売すれば、NTTドコモで使える可能性が出てくるということだ。
 海外製の「SIMフリースマートフォン」への対応も気になるところだ。海外では日本では販売されていない魅力的なスマートフォンがいくつも販売されている。それらを何らかの手段で購入し、NTTドコモのネットワークで使うことも可能になるのか。この疑問に対し、山田社長は「技適マークがどうなっているか次第。それもこれから詰めていくことになる」と語る。
 「技適マーク」とは特定無線設備の技術基準適合証明等のマークのことで、電波法令で定める技術基準に適合している無線機であることを証明するものだ。日本の携帯電話会社が国内で販売している端末はこの「技適マーク」をきちんと取得している。しかし、日本での販売を前提にしていない海外の製品は、技適マークをほとんど取得していない。
 香港などで売られているSIMロックフリー版のiPhoneは、本体背面に技適マークがないが、設定画面のなかに「認証」という項目があり、そこを開くと技適マークを表示できるようになっている。これまでは本体の外側に技適マークが見えるように刻印する必要があったが、10年4月28日に総務省が「技適マークをディスプレーに表示できれば問題ない」とする改正省令を施行。これにより、香港版SIMロックフリーiPhoneを日本で使用しても法的に問題がなくなった。来年4月以降は、香港版iPhoneをNTTドコモのネットワークにつなぎ、ドコモのスマートフォンとほぼ同等の料金で使うことが可能になるもしれない。
 もっともiPhoneの16GBモデルは、ソフトバンクモバイルで購入して2年間使い続ければ、本体の実質的な負担額が0円となる。本体価格が数万円もする高価な香港版をわざわざ購入してドコモと契約するのは現実的でないかもしれない。
 とはいえ、NTTドコモがiPhoneの販売権を得られない状態がこのまま続いたとしても、アップル自身がSIMロックフリー版を販売したり、輸入業者が海外版を日本に持ち込んだりすれば、NTTドコモで使えるiPhoneが日本で出回ることになるだろう。ソフトバンクモバイルは、iPhoneのSIMロック解除をかたくなに拒むだろうから、こちらのほうが現実的といえそうだ。
自信を深めるドコモ
 SIMロック解除については、携帯電話会社間の取り決めなど、まだまだ調整しなくてはならないことが多い。山田社長は「例えばドコモ端末のSIMロックを外して他社に行った場合に、壊れたときの修理をどちらがやるべきかという問題がある。(これから事業者間で)制度を決めていかないとならない」と指摘する。
 ユーザーの選択肢が増えて端末と回線を自由に選べるようになる一方で、故障やサービスが使えなくなったときに十分なアフターサービスを受けられないのであれば、かえって消費者の不利益になる可能性もある。それらの問題をいかにつぶしていくかが肝心となってくるだろう。
 最後に山田社長は「(SIMロック解除によって)ユーザーの選択の幅が増える。(ドコモは)料金やネットワークエリア、品質がいい。解除によって受けられるサービスは変わってくるが、そこはしっかりと説明する。とにかく、ドコモショップに来てもらいたい」と語った。NTTドコモはネットワーク品質の高さを武器に、来るSIMロック解除時代に向けてますます自信を深めているように見える。



KDDIとソフトバンク、SKテレコムが連携 決済サービスなどで
 KDDIは15日、ソフトバンク傘下のソフトバンクモバイル、韓国の携帯電話会社SKテレコムと、日韓両国で利用できる携帯電話を使った決済サービスで連携すると発表した。これまでは携帯電話をかざして財布代わりに決済する場合、通信方式の違いによって日本国内で利用する端末を韓国内で使うことはできなかった。今回の連携により、設備の相互利用や両国で利用可能なサービスなどを検討する。



NTT、南アIT大手を3000億円で買収
システム事業世界展開
 NTTはロンドン証券取引所に上場する情報システム大手、ディメンション・データ(南アフリカ・ヨハネスブルク)を買収する方向で最終調整に入った。合意すれば来月にもTOB(株式公開買い付け)を実施、完全子会社化する。買収総額は3000億円弱になる見通し。ディメンション社は約50カ国でシステム構築やデータセンター事業を手がけており、NTTは同事業を世界規模で展開する。
 ディメンション社の時価総額は約2320億円(14日時点)。NTTは3000億円弱の買収資金を用意しているもよう。ディメンション社も交渉を受け入れ、友好的TOBになる見通し。
 NTTでは子会社のNTTデータやNTTコミュニケーションズが情報システム事業を手がけているが顧客の多くは日本企業にとどまっていた。ディメンション社が持つ欧米アジアの有力企業に顧客層を広げる。
 NTTはグループ各社とディメンション社との連携を進める。情報システムに不可欠な通信技術をNTTが提供。NTTデータの国内拠点とディメンション社の海外拠点を結び、グローバル企業のシステム受託を目指す。ネットワーク経由でソフトやシステム機能を提供する「クラウドコンピューティング」事業も拡大する方針。NTTドコモの技術を生かし外出先から社内情報を閲覧できるサービスも検討する。
 NTTは今年度までの3カ年計画で海外売上高を2000億円から4000億円にする計画だが、買収により一気に7000億円規模になる。
 NTTは2000年前後、積極的に海外企業に出資。01年までにNTTドコモが米AT&Tワイヤレスなど携帯会社に総額1兆9000億円を投じた。NTTコムも米インターネット大手ベリオを6000億円で買収した。しかし、IT(情報技術)バブルの崩壊などで投資先の財務体質が悪化、撤退や巨額の損失計上を迫られ、失敗に終わった。最近、改めて投資を再開している。
 現在、NTTは通信会社に限らず、情報システムにも対象を広げる投資戦略をとっている。通信事業はインフラへの投資や各国の許認可の影響を受けやすく、リスクが高い。情報システムやデータセンターの運営は安定した収入が見込めるため世界各国での事業展開に乗り出す。



東芝、中国にテレビ販売会社設立 TCL集団と合弁
 東芝は15日、中国家電大手のTCL集団(広東省)と合弁で、中国での液晶テレビ拡販に向けた販売会社「東芝ビジュアルプロダクツ(中国)」を設立すると発表した。2012年度の現地のテレビ市場が09年度比で2倍近くまで拡大すると予測しており、TCLの販売網を活用して沿岸部の大都市に加えて内陸の中規模都市でも売り込む考えだ。
 新会社の資本金は5000万元(約6億3000万円)で、東芝が51%、TCLが49%出資。本社を広東省恵州市に置き、9月から営業を始める。東芝の中国の自社拠点での生産に加えて、TCLからのOEM(相手先ブランドによる生産)調達によって商品群を拡充。販売網も12年度までに1万店以上に増やす方針だ。



「MSN産経」を「iPhone」で
 産経デジタルとマイクロソフトは、パソコン向けのニュースサイト「MSN産経ニュース」を米アップル社のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」で快適に閲覧することができるアプリ「MSN産経ニュース for iPhone」の提供を始めた。
 MSN産経ニュースが提供する毎日約300本の最新ニュースや、写真などを無料で楽しめるほか、地下鉄などネットに接続できない環境でも、あらかじめダウンロードしておいた最大15本の記事を閲覧することができる。気になるニュースをアプリ上からツイッターに投稿することも可能だ。
 さらに、産経新聞の紙面を閲覧できる既存のアプリ「産経新聞iPhone版」へワンタッチで移行できるボタンもついた。
 一日のニュースがまとまった“紙面”は「産経新聞iPhone版」で、速報ニュースは「MSN産経ニュース for iPhone」でと、目的に応じて使い分けられる。



「日本は消費税上げを」IMF提言14~22%
 【ワシントン=岡田章裕】国際通貨基金(IMF)は14日、日本に対する年次審査報告を発表し、先進国で最悪の水準となっている日本の財政状況について、「2011年度から段階的に消費税率を引き上げ、財政再建を始めるべき」と提言した。
 特に税率について、「(消費税率を)15%に引き上げれば、国内総生産(GDP)比で4~5%(20兆円程度)の歳入増が生じる」などと言及している。IMFが税率や引き上げ時期などを詳細に示して増税を日本に求めるのは初めてだ。
 報告は、「ギリシャの財政危機に端を発した欧州の信用不安を背景に財政再建の緊急性が増している」と強調した。そのうえで、日本の消費税率について、14~22%まで引き上げる案を提示。税率引き上げで短期的には「当初の3~5年間は、成長率を0・3%程度押し下げる」と推計した。しかし、中長期的には、「老後の不安などで蓄えていた貯蓄が消費に回る効果が見込める」として「毎年0・5%ずつ成長率を押し上げる」と結論付けている。
 また、報告は、消費税率引き上げとともに、諸外国に比べて高い法人税率を引き下げ、雇用や投資を刺激する成長戦略も組み合わせることを求めている。日本銀行にも「景気回復が弱まった場合は追加緩和策が必要」との見解を示した。
 さらに、日本の構造的な基礎的財政収支(PB)について、「今後10年間にわたり、年平均で(5兆円程度にあたる)GDP比1%分ずつ削減する目標設定が望ましい」とした。
 世界20か国・地域(G20サミット)首脳会議は6月、日本を、各国が合意した財政再建目標の例外扱いし、菅首相が示した財政再建策を尊重する方針を決めた。しかし、報告は、GDP比で約180%(10年度末見込み)まで膨らんだ債務残高を抱える日本の財政に深刻な懸念を抱いていることを示している。



記者の目◇良品計画が中国で「勝ち組」になる条件
 良品計画が中国展開に本腰を入れ始めた。国内では「カテゴリーキラー」と呼ばれる専門店が台頭するなか、総合雑貨店「無印良品」は苦しい状況が続く。シンプルな統一感を強みにしてきた無印ブランドだが、決して格安路線ではないこともあって節約志向の高まりにあらがうのは難しいようだ。ただ、中国に活路を見いだそうとするのは他の小売企業も同じ。各社がこぞって中国に進出する中で勝機をつかむには、かつて日本の消費者の心をつかんだように、現地消費者の価値観に訴求できるかどうかがカギとなる。
 良品計画が9日に発表した2010年3~5月の連結決算は、純利益が前年同期比26%減の21億円だった。食品や生活雑貨の販売は堅調だったものの、高利益率の衣料品が10%強も落ち込んだ。春先の天候不順の影響も一部あったが、衣料品販売はネット通販でも15%減少。金井政明社長は同日の記者会見で、「客単価が上がらない。堅実で価格に敏感な消費が続いている」と、価格重視の消費動向に対応できていない状況を厳しい表情で振り返った。
 国内の閉塞(へいそく)感が強まるなか、収益源確保のために急ぐのが中国事業の拡大だ。店舗運営のシステムや物流面のインフラを築いた後、13年に目指す100店体制の構築に向けて大量出店に踏み切る考えだ。
 良品計画にとって中国事業の本格スタートは苦い経験を伴ったものだった。香港の企業が衣料品などを対象に「無印良品」を無断で商標登録し、本家であるはずの良品計画は衣料品や履物に「無印良品」ブランドが使用できなかった。訴訟が決着し全商品を「無印良品」ブランドに切り替えたのは08年になってからだった。苦労も多かっただけに経営陣の意気込みも強い。
 ただ消費市場が拡大する中国といえども、スウェーデンの「ヘネス・アンド・モーリッツ(H&M)」やスペインのインディテックスが展開する「ZARA」、ファーストリテイリングのユニクロなど世界的な専門店チェーンはすでに先手を打って進出している。商標問題で出遅れてしまったハンディは少なくない。今後は出店立地の争奪戦や人件費の上昇など、収益圧迫要因も急速に増すことも予想される。良品計画はどう巻き返すつもりなのか。
 「中国や東南アジアなど新興市場の消費者は、約8割が環境問題に関心を持っている」――。金井社長が中国戦略を語る際に引き合いに出すのが、大手広告代理店が実施した意識調査の結果だ。所得が伸びている中国では「簡素さがむしろ美しく、慎ましさが生活者の誇りにつながる」という無印良品のコンセプトを受け入れてくれる消費者層も一定以上存在するとみている。実際、都市部の比較的所得の多い層では、無印良品のファンもできつつあるという。
 無印良品のコンセプトをより中国の現地事情に合わせたデザインに落とし込むための取り組みも始めた。5月には中国で現地のクリエーター約600人を集めた展覧会を開催。食器などの商品のデザインや使用素材の現地化を進める考えだ。
 「中国でも次は、環境や生産者への配慮を打ち出した業態が伸びる」。こう読んだ金井社長の読みは功を奏するのか。中国でのブランド戦略の成否に注目が集まる。
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