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DeNAとバンダイナムコ、携帯ゲーム配信サイト共同運営
 携帯電話向け交流サイト(SNS)運営のディー・エヌ・エー(DeNA)とバンダイナムコゲームスはSNS向けゲーム事業で連携する。共同でゲームサイトを運営、年間12タイトル以上を配信する。バンダイナムコの往年の人気タイトルを集中的に投入することで、家庭用ゲーム機に親しんできた層を開拓、競合するSNSとの差別化を図る。
 DeNAはSNS「モバゲータウン」で自社開発のゲームに加え、他社が提供するゲームを配信している。バンダイナムコとは専用のサイトを設ける。ミクシィやグリーといったSNS運営会社も他社のゲーム配信サービスを展開しているが、特定のゲーム会社とゲームを共同で配信・開発するのは珍しい。
 アクションゲーム「パックマン」「ゼビウス」といった家庭用ゲーム機で人気のタイトルを毎月1タイトルのペースで無料で配信する。今後、共同で開発した新規タイトルなどを有料で配信する計画だ。
 モバゲータウンの会員数は2千万人弱の水準に達しているが、20代などの若者が多い。ゲーム開発で実績があり人気タイトルを多く抱えるバンダイナムコと組むことで、30代以上の携帯ゲームに親しんでいない層を取り込む狙いだ。



携帯各社トップの発言ににじむLTEへの温度差
 7月14日に東京ビッグサイト(東京・江東)で開幕した無線技術関連の展示会「ワイヤレスジャパン2010」では、2010年12月に国内で始まる次世代携帯通信サービス「LTE(long term evolution)」が中心テーマの1つとなった。携帯電話各社のトップが登壇した基調講演でもLTEが話題となったが、位置づけについては各社の温度差が目に付いた。
キラーアプリはARや自動翻訳
 10年12月に先陣を切って商用サービスを開始するNTTドコモの山田隆持社長は、「ネットワークトラフィックの増大に向け、周波数効率のいいLTEをなんとしても導入したい」と意気込みを示した。今後3年で3000億円を投資する計画については、「当初は5年で3400億円の予定だったが、トラフィックの状況を見て前倒しした。今後はHSDPAの設備増設との兼ね合いになるが、基本的にLTEでやっていきたい」と述べた。
 LTEの利点については屋外で毎秒37.5メガビットと高速なことに加え、遅延が低い点を強調。それを生かした具体的なアプリケーションとして、端末が収集したセンサー情報をネットワークで処理して返答するAR(拡張現実)を挙げたほか、将来的なサービスとして自動音声翻訳にも言及した。
トラフィック対策にはLTEだけでは不足
 一方、KDDIの小野寺正社長兼会長は、12年に商用サービスを開始する予定のLTEをインフラ強化策の一部として説明した。今後のトラフィックについて、「これまではITU-R(国際電気通信連合の無線通信部門)の予測にほぼ乗ってきたが、スマートフォンの普及で15年ころには現在の約10倍になる可能性もある」と予測。「すべてをLTEにすると(ネットワーク)容量は5倍になるが、それにしても足りない」と述べ、周波数そのものの追加やそれぞれの基地局の電波が届く範囲である「セルサイズ」を小さくするなどの対策が必要との見方を示した。
 そのうえで小野寺社長は「中野区の全世帯に毎秒30メガビットでサービスすると、48.8GHzの周波数が必要になる」と具体例を示しながら、モバイルだけでブロードバンドを実現することの限界を強調。小型基地局(フェムトセル)や無線LAN基地局をCATVや光ファイバー加入者線(FTTH)に接続するなど、固定通信ネットワークと連携することの重要性を改めて訴えた。
 ソフトバンクモバイルの松本徹三副社長は、LTEの導入時期について「13年ころにはLTEに対応するチップも安くなるだろうから、それからでも遅くない」と述べた。さらに1.5GHz周波数帯は「LTEにはいかずHSPA+でいく」と明言し、その理由を「速度面ではほとんどLTEと一緒で従来技術の延長線上にあり、端末価格は安く音声サービスもできる」と解説した。
 同社は700MHz帯や900MHz帯の周波数を取得できればLTEを導入する意向。ただ基調講演の説明資料には、「LTEに妥当性があれば、1.5GHz帯や2GHz帯もアップグレードする」との記述があり、1.5GHz帯での移行にも含みを残している。
 イー・モバイルのエリック・ガン社長は10年10月に開始する下り最大毎秒42メガビットの「DC-HSDPA」サービスを中心に説明した。「ネットワークはこのままでも、MIMO(multiple-input,multiple-output)技術を使えば下り毎秒80メガビットのサービスも展開できる」と述べ、現行技術による高速化に自信を示した。
 また、下りが最大で毎秒40メガビットのWiMAXサービスを提供するUQコミュニケーションズの野坂章雄社長は、「音声サービスから進化したLTEより、データ専業のWiMAXの方が高速性が求められる端末には向く」と強調。WiMAXの後継技術で下りが最大で毎秒330メガビットの「WiMAX2」の導入計画を説明するとともに、同技術のデモンストレーションを10年10月に開催される展示会「CEATEC JAPAN 2010」で実施する予定を明らかにした。



国内広告費6.2%増に 10年度、日経広告研が予測
 日経広告研究所は、2010年度(10年4月~11年3月)の国内広告費が前年度比6.2%増えるとの予測をまとめた。今年1月には同4.0%減との見通しだったが、景気の回復基調を反映して増加に転じる。ただ、過去のピークだった07年下期の水準まで回復したとはいえない。媒体別広告費ではインターネット広告費が2ケタ台の伸びを見込む以外は高い伸びは期待できない。
 国内広告費は08年秋のリーマン・ショック以降世界的な景気悪化で08年度、09年度と2年連続で前の年度を下回った。特に09年度は同13.0%減と大きく落ち込んだが、10年度は同6.2%増と回復する。新聞、雑誌、テレビ、ラジオのマス4媒体広告費は同4.8%増える(09年度は12.4%減)。このうち、新聞1.2%増(同16.2%減)、雑誌2.9%減(同27.3%減)、テレビ6.9%増(同9.3%減)、ラジオ2.6%減(同14.4%減)の見通し。テレビはスポット広告の回復が寄与し、増加に転じる。新聞は持ち直すものの伸びは小さい。雑誌、ラジオは低落傾向が続く。
 一方、今回からマス4媒体以外でインターネット、交通、折込・チラシの3媒体の広告費も予測した。インターネットは17.3%増(09年度は6.1%増)。08年度以来の2ケタ成長を見込む。交通0.6%増(同17.7%減)、折込・チラシ6.8%増(同11.4%減)といずれも回復基調にある。



半導体、激しい「世界大戦」に スマートフォンなどの需要増で
 供給過剰で価格下落を招く恐れもある中、世界の半導体トップメーカーが増産に走り出した。世界シェア3位の東芝が14日、四日市工場(三重県四日市市)の新棟建設に着手したほか、2位の韓国サムスン電子も半導体の設備投資や研究開発に今年1年間で11兆ウォン(約8000億円)を投じる。新興国を中心とする電子機器の販売拡大や先進国で好調なスマートフォン(多機能携帯電話)の売れ行きを背景に、拡大する需要を取り込む構えだ。
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 東芝は四日市工場の新棟で、携帯電話や携帯音楽プレーヤーなどの記憶装置に使われる「フラッシュメモリー」を生産する。来夏にも稼働を始め、平成23年度末の生産能力は21年度末比で3割程度高まる見通しだ。
 当初は昨春の着工を計画していたが、市況悪化を受けて延期。ところが昨年半ば前後から需給が逼迫(ひつぱく)状態となり、今年の正月や5月の大型連休中はフル稼働で対応に追われた。今後3年間で新棟建設を含めて4千億~5千億円を投じ、半導体全体の生産能力を拡充する。
 半導体市場は好況時には需要増で価格が上がり、各社が増産に乗り出すと供給過剰で市況が悪化する好不況を繰り返してきた。
 だが、ここ数年で相次いだメーカーの再編・淘(とう)汰(た)により、市場の寡占化が進行。フラッシュメモリーはサムスンと東芝の2強で世界シェアの計8割近くを占め、「暴落する状況にはない」(東芝)と悪夢の再現を否定する。新たな需要が半導体全体の活況をもたらしていることもあり、「大きな値崩れは考えにくい」(エルピーダメモリの坂本幸雄社長)という見方も強い。
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 米国半導体工業会(SIA)によると、5月の世界半導体売上高は前年同月比48%増の246億5000万ドル(約2兆1600億円)となり、2カ月連続で単月の過去最高を更新。世界トップの米インテルが13日発表した4~6月期決算も売上高が前年同期比34%増で過去最高の107億6500万ドルとなるなど、平成20年秋の世界金融危機後に落ち込んだ需要の急回復に業界は沸いている。
 需要をリードするのは欧米などで好調なパソコンやスマートフォン。「中国をはじめとする新興国で需要が伸びている」(シャープの片山幹雄社長)という薄型テレビなど電子機器の存在も大きい。
 もっとも、米系調査会社アイサプライ・ジャパンの南川明副社長は「欧州で景気が後退して世界的に波及すれば、電子機器の買い控えにつながり、10月ごろに調整局面に入る可能性もある」と指摘する。
 東芝は四日市工場の新棟建設を計画の1期分にとどめており、「生産のスピードアップと設備投資は状況をみながら行う」(小林清志執行役上席常務)など、需給の変化に柔軟に対応する構えもみせている。



半導体回復、装置に波及 東京エレクトロン・4~6月受注3倍
 世界的な半導体の需要増加を受け、半導体装置メーカーの受注が回復している。世界大手の東京エレクトロンは2010年4~6月期の受注額が前年同期比3倍となり、研削装置最大手のディスコは今期に1~2割増産する。半導体はパソコン・携帯端末向けや新興国需要の増加を背景に米インテルの業績が急回復、東芝も14日に三重県四日市市の工場で新棟に着工した。製造装置といったすそ野の産業に投資などの波及効果が広がりそうだ。
 東京エレクトロンは半導体製造工程のうち塗布・現像装置などで高いシェアを持つ。近年の半導体部門の受注額(四半期ベース)の底は09年1~3月期で、204億円まで落ち込んだ。それが今年1~3月期は1236億円と6倍超に伸び、4~6月期は1500億円近くに達した。エッチングや洗浄装置の受注も好調で、洗浄装置開発に十数億円を投じる。
 装置に使用するガラスや金属の消耗品需要も急回復し、中古装置の販売や保守・点検事業の受注額も足元で3割近く伸びているという。ただ水準は08年秋のリーマン・ショック前の8割程度にとどまっており、「本格的な回復に向かうのか、まだ判断できない」(同社)と今のところ慎重だ。
 研削装置で世界シェア7割を握るディスコは、10年3月期の受注が663億円と前の期に比べ4割増。広島県の呉工場(呉市)で新棟を建設中で、今期に生産量を全体で1~2割増やす。
 島津製作所は半導体製造装置に組み込んで真空状態をつくる「ターボ分子ポンプ」の11年3月期の売り上げ見込みが100億円以上と前期比4割超増える。4月からは約20社だった同ポンプの外注先を3社増やした。
 堀場製作所はマスフローコントローラーと呼ばれる半導体向けの計測装置が好調だ。10年12月期の売上高は前期比84%増の230億円を見込む。シリコンウエハー表面にコーティングするガスの流量を制御するもので、京都工場(京都市)などの生産ラインを増設し、全体の生産能力を5割引き上げた。
 世界の半導体市場はリーマン・ショック後、電機各社の在庫調整や設備投資抑制を受けて急速に悪化した。しかし昨年後半から中国など新興国市場を中心にネットブックと呼ばれる低価格小型パソコンやスマートフォン(多機能型携帯電話)向けなどに需要が急回復。
 今年に入ると、電子機器の記憶装置に使うNAND型フラッシュメモリー最大手の韓国サムスン電子が10年に過去最大の26兆ウォン(約2兆1000億円)の投資を決定するなど、世界で大型投資が再び動き出した。半導体世界最大手のインテルの10年4~6月期決算も、純利益が28億8700万ドル(約2550億円)と前年同期の赤字から大幅黒字に転換した。
 日本半導体製造装置協会(SEAJ)は10年の日本製の半導体製造装置の販売が1兆2277億円と前年比88.1%増えるとみており、1月時点の予測を約4600億円上方修正した。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が14日に発表した10年の世界の半導体製造装置の販売も前年比104%増の325億ドル(2兆9000億円弱)。11年には355億3000万ドル(約3兆円)に達すると予測している。



富士フイルム、液晶用フィルム3割増産 新興国需要が拡大
 富士フイルムは液晶パネルの中核材料である保護フィルムを増産する。熊本県の生産拠点に新棟を建設し、2011年10月に稼働させる。既存工場の設備更新も実施し、生産能力は枚数換算で約3割増える。総投資額は400億円。同社は保護フィルムの世界シェアの約8割を持つ。新興国を中心とする液晶テレビの市場拡大を受け、日本勢が高いシェアを握るパネル材料の増産投資が広がりそうだ。
 増産するTAC(セルローストリアセテート)フィルムは液晶用偏光板を保護したり、画面を見やすくしたりする。熊本や神奈川県南足柄市、静岡県吉田町の3拠点の計15ラインで生産している。
 熊本県菊陽町の子会社工場に4カ所目の新棟を建設し、11年10月に1ラインを稼働させる。棟内にはもう1ライン増設する余裕を設け、市場動向を見ながらさらなる能力増強を検討する。
 新棟建設に先行して、熊本と神奈川で既設の計2ラインの生産設備を更新する。熊本の新棟も含め、画面サイズが40インチ以上の大型パネル用フィルムを効率的に生産できる設備を導入する。



タカラトミー、業務用ゲーム機強化 内容変更容易に
 タカラトミーは量販店の玩具売り場などに設置する子供向けの業務用ゲーム機事業を強化する。ソフトや外装を手直しするだけでゲーム内容を変えられるゲーム機を今月中旬に投入、機動的に新ゲームを出せる体制を整える。玩具と同じキャラクターをゲームで使用することで認知度を上げ、玩具販売を底上げする。同事業の売上高を3年後に150億円と現在の5倍に引き上げる。
 ゲーム機は100円を入れ、音楽に合わせてタイミング良くボタンを押すなどして遊ぶ。人気アイドルグループが登場する女児向けゲームを月内から投入するのを手始めに、順次ゲームの種類を増やして3年で9千台を投入する。
 機械を作り替えるコストをかけず、数カ月ごとにゲームのプログラムを更新して新たな内容を加えたり、動向を見て別のゲームに変えたりして売上高の目減りを防ぐ。玩具はアニメと同じキャラを使って認知度を上げるのが一般的だが、ゲームも連動させてさらに幅広い層に広げる。玩具市場の縮小に対応して、玩具以外の収益源を育てる。



ホンダ、投資を効率化 高級車から小型車シフト
 ホンダは建設を凍結していた寄居工場の稼働と軽自動車の新工場建設中止を決め、事業の再構築に一挙に踏み込む。ハイブリッド車や小型車などの環境対応車に経営資源をシフトする一方、軽自動車や高級車、大型車の商品ラインアップは絞り込む。車種の選択と集中に合わせて生産体制を組み直し、一段の効率化を目指す。
 ホンダは日本メーカーの中では、元々少ない車種で販売台数を稼ぐ効率経営で知られる。今年6月の国内販売では、小型車「フィット」「フリード」など主力3車種でホンダの全体販売(軽自動車除く)の約7割を占めた。トヨタや日産自動車の場合、トップ3車種の比率は約4割にすぎない。ホンダがさらに効率を追求する姿勢を鮮明にすることで、他社も車種構成や生産体制の見直しを迫られそうだ。
 ホンダは寄居工場をハイブリッド車など環境対応車を中心とした生産基地に位置付ける計画。将来の主力車種を集中的に生産し、投資効率を上げる狙いだ。
 ホンダの国内車両生産能力は約130万台。2010年度の生産計画は約100万台で、30万台分の余剰能力を抱える。寄居工場を稼働させる一方、既存工場の能力削減に取り組む考えだ。寄居工場と同じ埼玉地区にある埼玉製作所(埼玉県狭山市)内の車両工場「狭山工場」の生産能力を縮小することが有力案となっている。
 一方、軽自動車については年々、販売シェアを落としており、09年度は9.6%と10%を切るまでになった。国内市場に限定される軽自動車に経営資源を割くのは得策ではないと判断。今後は軽自動車の新規開発を一部車種にとどめ、新工場の建設計画も白紙に戻す。
 ホンダの国内販売(軽自動車除く)の約7割を小型車が占めており、高級車や大型車の新規開発も見直す。車種を絞り込むと1つの新車開発の成否が経営に与える影響は大きくなりがちだが、当面の削減対象は販売台数の限られる国内中心の車種で、メリットの方が大きいとみている。経営資源を集中する主力車種は新興国を含め幅広い市場に展開するため、新車の当たり外れによるリスクも減っている。
 環境対応車の開発には莫大な投資が必要で、主戦場となりつつある新興国では、利幅の薄い低価格車の市場が拡大している。自動車業界の収益環境が厳しさを増すなか、いかに効率良く投資し、素早く回収できる体制を組めるかが課題となっている。



iPhone4はビスタの二の舞? MS幹部が皮肉
 【ワシントン=岡田信行】「『iPhone(アイフォーン)4』は、アップルの『ビスタ』になるかもしれない」――。米マイクロソフト(MS)のケビン・ターナー最高執行責任者(COO)は14日、普及が進まなかったMSの前世代のパソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズ・ビスタ」を例に、「iPhone4」の受信トラブルで揺れるアップルを自虐的に皮肉った。
 MSが米ワシントンで開いた「世界パートナー会議」で基調講演したターナーCOOは、アップルを「強力な競合相手。製品も素晴らしい」と称賛。そのうえで、高機能ながら動作の遅さが敬遠されて普及しなかったMSの前世代OS「ビスタ」の“失敗”を引き合いにiPhone4のトラブルを皮肉り、130カ国から集まった取引先や社員ら約1万4000人を沸かせた。
 ターナーCOOは「IT)関連の主要15分野のうち、13分野で昨年よりもシェアが高まった」と指摘。伸び悩んだ携帯電話とブラウザー(インターネット閲覧ソフト)の2分野は、すでに発表済みの新製品投入で巻き返しが可能だとした。



総務省、V-High帯利用の全国向け「携帯端末向けマルチメディア放送」でヒアリング
 総務省は2010年7月14日、携帯端末向けマルチメディア放送の実現に向けて、V-High帯(207.5MHz~222MHz)を使用する特定基地局の開設計画の認定にかかわるヒアリングを2010年7月21日に実施すると発表した。
 総務省は同放送の特定基地局開設に関する指針などを2010年4月23日に制定し、5月6日から6月7日までの間に、開設計画の認定申請を受け付けた。その結果、1枠に対して、マルチメディア放送およびメディアフロージャパン企画の2者が開設計画の申請を行った。
 ヒアリングには、電波監理審議会の委員も同席し、申請者の申請内容について質疑などを行う。「申請内容には当該法人の経営に係る情報など、公にすることによって申請者の正当な利益を害するおそれがある事項が含まれる」という理由から、ヒアリングは非公開で行う。
 なお総務省は6月25日に、携帯端末向けマルチメディア放送の実現のための開設計画に関する公開説明会を実施している。



「マーチ」常識覆す 主力車生産も海外へ 価格帯下げ規模で稼ぐ  世界の自動車産業の競争軸が大きく変わり始めた。主役はハイブリッド車や電気自動車だけではない。安さと低燃費を追求する小型車だ。ホンダは小型車と環境車へのシフトを前提にした国内工場の再編を決め、日産自動車は新型「マーチ」の生産を海外に移した。世界大手や中国、インド勢も狙う小型車市場でいかに稼ぐか。日本メーカーが新たなビジネスモデルの構築に挑む。
新型マーチの車台はセダンや多目的車にも活用する
 日産が13日に発売したタイ製のマーチ。国内向け標準モデルの価格は123万円弱、燃費も1リットルあたり26キロメートルと同型車種の中でトップレベルだ。トヨタ系部品メーカー首脳は「驚いたのは価格や燃費じゃない。業界の常識を覆した日産の割り切りだ」と関心を寄せる。
 日産は「主力車の生産は国内」の原則を転換。マーチ全量を海外、しかも新興国を中心に生産する。志賀俊之最高執行責任者(COO)は「世界を狙う小型車を日本から輸出していては利益は出ない」と言い切る。
 マーチはタイに続きインド、中国、メキシコで量産。日立製作所の部品納入遅れで国内4工場が14日から3日間、操業を停止したが、マーチは影響を受けない。
 日産は薄利の小型車を規模で稼ぐ戦略も明快にした。カギを握るのはクルマの骨格となるプラットホーム(車台)だ。
再編の触媒に
 日本メーカーの多くは同じ名前のクルマでも北米、欧州、新興国など地域別に車台の大きさや仕様を変えてきた。市場ごとにきめ細かく対応するためだが、これと決別。開発効率を優先し、世界のニーズを1枚の設計図に落とし込んだ。
 コストを3割下げたマーチ用の車台で、2012年までにセダン、多目的車(MPV)と他の小型車を相次ぎ商品化。志賀COOは「早期に160カ国・地域で年100万台を“量販”する」と宣言する。
 世界の自動車メーカーも布石を打つ。小型車事業の強化を狙い、昨年末には欧州最大手の独フォルクスワーゲン(VW)がスズキと資本提携。今春には独ダイムラーが仏ルノー・日産連合と手を結んだ。業界再編も小型車を軸に進む。
 米調査会社IHSオートモーティブによれば、1800cc級以下の小型車販売台数は16年に5700万台超と07年比で54%増。同じ期間の自動車全体(大型商用車を除く)の伸び率(34%)を大きく上回る。
新興国で競う
 成長をけん引するのは新興国。ハイブリッド車や電気自動車は価格が下がりにくく新興国では主力商品にならない。小型ガソリン車で稼がなければ、これからの成長戦略は描けない。
 新興国の価格競争は異次元に入りつつある。インドのタタ自動車が昨年発売した「ナノ」は20万円強。低価格化が新興国の小型車需要をさらに加速させる。日産も15日からインドで売り出すマーチは装備を簡略化、最低価格を売れ筋の70万円台にして対抗する。
 1980年代、大型車一辺倒だった米国に低燃費・低公害型の小型車を投入し、世界展開のきっかけをつかんだ日本メーカー。いつの間にか1台あたり100万円以上の利益が期待できる高級車や大型車に頼る収益構造が染みついた。低価格化で少ない利幅がさらに縮まりがちな小型車。日本メーカーはビジネスモデルを進化させ続ける必要がある。
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