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パナソニック、事業を9部門に集約 電工・三洋含め再編
三洋ブランドは12年春に廃止
 パナソニックが事業・組織再編に乗り出す。2012年1月をメドに現在の16部門を9部門程度に集約。来春に完全子会社化する三洋電機とパナソニック電工の事業を製品やサービスごとに仕分けし、新組織に吸収していく。三洋の国内向け家電製品ブランドは12年4月にパナソニックに一本化する。グループ一体で事業を推進する体制を再構築し、成長戦略を加速する。
 パナソニックは01年から事業部制を段階的に廃止、03年にデジタル家電や電池など「ドメイン」と呼ぶ14部門に再編した。現在はパナソニック電工、三洋電機の2社を加えた16のドメインで収益や人事などを管理している。今回の改革はドメイン制を導入して以来の大規模な事業・組織改革になる。
 新しい改革では大きく「消費者向け製品」「デバイス」、エネルギー機器などをシステムとして提供する「ソリューション」の3分野に分け、製品やサービスごとに9事業前後に再編する。
 再編の過程で三洋電機やパナソニック電工の事業は実質的に新しい部門に吸収されていくが、三洋電機は当面、単独企業として存続する。これまでパナソニックと三洋電機が家電や車載用電池を展開。パナ電工とは発光ダイオード(LED)照明などが重複している。2社の事業を仕分けし、可能な限り同一ドメインに集約する。
 パナソニックの今期の連結純利益は850億円を見込んでいるが、大坪文雄社長は「12年度に純利益を(完全子会社化前に比べ)800億円押し上げる」としており、事業・組織再編で達成を確実にしたい考え。
 パナソニックは02年に旧松下通信工業や旧九州松下電器など5子会社を完全子会社化。当時の中村邦夫社長(現会長)は「破壊と創造」を掲げ、似たような事業を展開する弊害が目立ってきた事業部制を解体し、03年に14のドメインに再編した。
 04年にパナソニック電工を子会社化し、昨年12月に三洋電機を傘下に収めたことでドメインが増えており、完全子会社化後に組織を半減することで事業を効率化する必要があると判断した。
 パナソニックと三洋電機でブランドが異なっている国内向け家電は、三洋が11年3月で同社ブランドでの新製品投入を終了。1年間の移行期間を経て、12年4月にパナソニックブランドに一本化する。全国に約1500ある三洋の系列販売店の多くは11年度後半から順次、パナソニックの系列店に衣替えする。
 カーナビゲーションシステムなど三洋電機が強みを持つ家電は従来通り生産を続けるが、競争力の低い家電は生産中止を検討する。海外でも原則的に、12年4月に三洋ブランドを廃止し、パナソニックに一本化する。
 パナソニックの09年度の連結売上高は7兆4180億円で、これを12年度には10兆円に高める計画だ。デジタル家電は韓国勢などとの価格競争が厳しく、単品販売から家電や住宅、太陽電池などグループ一体となった事業モデルへ転換し、収益力を高める。
 特に成長分野に位置付ける太陽電池やリチウムイオン電池などを合わせた「エナジーシステム事業」の売上高は09年度の5400億円から12年度に8500億円、18年度には3兆円以上を目指す。



パナソニック 事業モデル転換急ぐ
 パナソニックが大規模な組織改革に踏み切るのは、大坪文雄社長が経営目標とする創業100周年の2018年に世界電機首位に立つため事業モデルを大転換する狙いがある。価格競争が激しい家電製品の単品売りから脱却、太陽電池など環境エネルギー製品を組み合わせて提供するソリューション事業に経営資源を集中させるため「聖域なき改革」に再び着手する。
 組織改革の最大の狙いは収益源に育てるソリューション事業での顧客窓口の明確化だ。三洋電機とパナソニック電工の完全子会社化を機に、家やビル、街にパナソニック製品を一括供給する「まるごと」事業を収益の柱とするため、組織を抜本的に見直す。
 パナソニックの強みは家電から空調設備、太陽電池などの製品をグループ内でほぼ調達できる点だ。これまでは顧客に対してパナソニックのAV(音響・映像)機器や白物家電の各事業体に加え、三洋とパナ電工が個別に営業を展開したため効率が悪く顧客企業から不満もあった。
 中村邦夫前社長(現会長)が「破壊と創造」を掲げ構造改革を進めてから約10年。中村氏は「松下幸之助創業者の経営理念以外、聖域はない」として、子会社を含め重複部門見直しや研究開発、人事制度などを抜本改革した。今回の組織改革ではパナソニックの成長をけん引してきた白物家電やAV機器も再編の対象となる。
 グループ各社に分散していた事業分野を「Panasonic」ブランドに結集させるのも中村改革の狙いだった。三洋とブランド統一することで大坪改革の目玉である「まるごと」事業を進めやすくなる。
 パナソニックは三洋とパナ電工の完全子会社化で世界の環境エネルギー市場で戦う経営環境を整えた。だが、ライバルのサムスン電子やLG電子も太陽電池やリチウムイオン電池に巨額投資を相次ぎ打ち出す。韓国勢の猛追を防ぐにもグループの垣根を越えた聖域なき組織再編を急ぐ必要がある。



「カセット」ウォークマン販売終了 デジタル化で30年の歴史に幕 
 ソニーは22日、カセットテープ対応の携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」の国内販売を終了することを明らかにした。今年4月末の段階で最後の5モデルの出荷をすでに終えており、店頭の在庫が順次なくなり次第、姿を消すことになる。中国メーカーで委託生産している海外向けは販売を続ける。
 ウォークマンは1979年に登場し大ヒット。「音楽を持ち歩く」とのコンセプトで若者のライフスタイルも大きく変えた。名称はカセットタイプからCD、MD対応を経て、ネットからメモリーにダウンロードするデジタル方式の現行タイプへと継承された。
 カセットタイプは、録音用に使う人向けなどで細々と販売を続けていたが、国内ではついに30年余りの歴史に幕を閉じることになる。
 ウォークマンの累計販売台数は、今年3月末までで約4億台。デジタル方式のウォークマンは最近、米アップルの「iPod(アイポッド)」と抜きつ抜かれつの激しいシェア争いを繰り広げている。
 CDやMD対応機種も販売は低調だが、当面は生産・販売を続けるという。



米アップル、批判に応えアプリの審査プロセス透明化へ 
 米アップルが2年前に、同社のスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」向けのアプリ配信サイト「iPhone App Store(アイフォーン・アップストア)」を開設したとき、サイトに出品するアプリの承認プロセスついて、その不透明さが批判の的となった。何の説明もなしに出品が拒否されることがあったためだ。だがアップルは同じ過ちは繰り返していないようだ。
 同社は20日にパソコン「Mac(マック)」向けのアプリ配信サイト「マック・アップストア」を向こう3カ月以内に開設することを明らかにしたが、その翌日にはアプリの審査プロセスに関するガイドラインを公表した。ガイドラインには、アプリの仕組みやユーザーインターフェースから、どのようなコンテンツが不採用となり得るかまで、あらゆることが詳述されている。
 ガイドラインの冒頭には「新設の『マック・アップストア』が、利用者にとって最もアプリを検索・購入したくなるような場所になると期待している」と記載されており、さらに「(ガイドラインは)開発したアプリが承認プロセスを問題なく通過できるようにするためのもの」であると付け加えられている。
 アップストアでは現在、アイフォーンのほか、多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」や携帯音楽プレーヤー「iPod touch(アイポッドタッチ)」向けのアプリも配信されているが、ガイドラインはアップルのアップストアで当初生じていた多くの問題に対処している。
 例えば、ガイドラインには、アプリの開発者がユーザーによる評価、「カスタマーレビュー」を改ざんしようとした場合、その開発者は除外され、あるいは、アプリの名称に含まれるアップル製品名の表記が間違っていた場合は却下される、といった基準が記載されている。
 またプライバシーに関する項目では、ユーザーに関するデータを事前に本人の許可なく配信することを禁じているほか、ユーザーに関するデータがどこで、どのように利用されるかを本人が確認できるようにすることを規定している。
 このほか、アプリ上でほかのソフトウエアを販売・配信する機能を組み込んだものや、何らかの機能を改ざんすることを目的としたもの、不正なサイトに勧誘するスパムアプリなども拒否の対象になるとしている。
 ガイドラインにはアプリのコンテンツに関する基準も規定されている。暴力的または性的描写を含むものや「他人を誹謗(ひぼう)中傷したり、悪意のある」ものは禁じるとしている。ただし、アイフォーン・アップストアでは、政治的風刺については他人を誹謗中傷したり、悪意があるものとは判断されないとしている。 このほかギャンブルやコンテスト、くじ、募金を目的としたアプリに関する規定もある。
 今回の基準は、アップルが9月初めに公表した最初のアップストア向けガイドラインとおおむね似た内容だ。前回同様、今回のガイドラインでも、マック・アップストア向けガイドラインは「新たなアプリの登場や状況の変化に応じて改訂される」としている。
 アップルは20日、マック向けアプリの申請受け付けを11月に開始することを明らかにした。


自動車各社“つぶやき”戦術加速 拡販にツイッター活用
 国内自動車メーカーが簡易投稿サイト(ミニブログ)「ツイッター」を新車の拡販に活用する動きが広がってきた。ホンダが今月発売した主力小型車「フィット」のハイブリッド車(HV)の広告に使い始めたほか、日産自動車も年末に投入する電気自動車(EV)「リーフ」でサイトを開設。国内自動車市場の縮小が続く中、消費者と双方向の対話が可能な新媒体を武器に「車離れ」にブレーキをかけたい考えだ。
 ツイッターでは、「つぶやき」と呼ばれる1回当たり最大140文字の文章を投稿し、サイトの登録者らが閲覧、返信できる。
 ホンダはフィットHVのデモカーを走らせてツイッターを活用。例えば「もう川越はすぎました」「標識には○○と書いています」などとつぶやく。これをヒントにフィットの居場所を探し出し、発見者にプレゼントを贈る仕組みだ。同社は「ゲーム感覚で楽しんでもらい、フィットHVへの関心を高めたい」という。
 日産は8月から、ツイッターで閲覧者とリーフについて“質疑応答”を繰り広げている。「フォロワー」と呼ばれる定期的な閲覧者は6千人以上に達した。
 開発段階からツイッターを活用するメーカーも出てきた。川崎重工業は来年にも欧州で発売する大型バイク「ニンジャZX-10R」について、ツイッター上で開発コンセプトや秘話を英語で発信。バイクファンのひと言が開発の参考になるほか、情報を小出しにして「ファンの反応や関心度もうかがえる」という。
 各社がツイッターによる販売促進を行う背景には、人口減少や景気低迷で国内販売が頭打ちになっている事情がある。平成12年度に約597万台だった国内の新車販売台数は21年度に約488万台まで減った。
 また、ツイッターによる広告はテレビCMなどに比べてコストが少ない。ある自動車大手関係者は「景気低迷で広告費は軒並み減っている。メーカーはより確実に、直接、顧客とつながる効果的な広告媒体を模索している」と指摘。実際の広告効果には未知数の面もあるものの、手軽にメッセージを届ける媒体としてメーカー側の期待は高まる一方となっている。
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