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ドコモが3D対応スマートフォン 冬~春商戦に投入
壊れにくい携帯も
 NTTドコモは2010年冬~11年春の商戦向けに新機能を取り入れた携帯電話を投入する。国内初となる3次元(3D)画像が見られる高機能携帯電話(スマートフォン)を発売するほか、耐衝撃性や防水性を高めた携帯を用意する。携帯電話の売れ行きが鈍化するなか、購買意欲を刺激するための開発競争が加速している。
 3D対応のスマートフォンは裸眼で3D画像が見られる。米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を採用し、シャープが端末を供給する見通し。テレビやパソコンで広がってきた3D需要を開拓する。
 壊れにくい携帯電話は米国防総省が基準としている「MIL規格」を採用。従来の防水・防じんに加え、耐衝撃、耐塩害性を高めた。端末はNECカシオモバイルコミュニケーションズが開発する。カシオ計算機の時計の「Gショック」などの技術を応用した。環境意識の高い消費者向けに、ひのきの間伐材を外装に使ったタッチパネル式の携帯電話も発売する。
 ドコモは冬~春商戦向けに既存の携帯電話を20種類前後、スマートフォン7機種をそろえる方針。スマートフォンの本格普及を背景に、年2回それぞれ計20前後だった機種数を大幅に増やす方針だ。
 電子情報技術産業協会(JEITA)によると、09年度の携帯電話の国内出荷台数は約3100万台で、ピークとなった00年の約6割の水準に落ち込んでいる。ただ、需要が低迷するなかでも、ソフトバンクモバイルは米アップルの「iPhone(アイフォーン)」で契約数を伸ばしている。
 携帯電話2位のKDDI(au)も「おサイフケータイ」の機能を加えたスマートフォンを11月下旬に発売するなど巻き返しに向けた製品開発を強化している。普及が進むスマートフォンを中心に、年末から来春の需要期に向けて消費者の機種選択の幅が広がりそうだ。



在庫処分開始か、販売不振の「PSP Go」の価格が一気に暴落
 従来のPSPシリーズに採用されていた記録メディア「UMD」を廃して、ゲームソフトをダウンロード販売のみに限定した「PSP Go」が昨年11月に発売されたものの、好調な旧モデルとは対照的に売れ行きの不振が続いている。
 本体価格の高さや従来のソフトウェア資産が使えないこと、ダウンロード販売されるソフトがあまり多くないことなどが売れ行きの不調につながったと思われるが、本体の販売価格が一気に下がり、在庫処分が始まったかのような状態となったことが明らかになった。
 大手価格比較サイト「価格.com」によると、「PSP Go」のパール・ホワイトモデルが2010年10月23日23:45現在、1万6975円で販売されている。なお、発売当初の希望小売価格は2万6800円であったため、およそ1万円値下がりした計算に。
 また、ピアノ・ブラックモデルの販売価格は2010年10月23日23:45現在1万7618円と、パール・ホワイトモデルよりも少しだけ高価という結果に。
 ちなみにゲームビジネスを中心としてリサーチやコンサルティングなどを手がけるメディアクリエイトが行った2010年10月11日~10月17日の調査結果によると、「PSP go」の販売台数は「Xbox360(2342台)」や「PS2(1715台)」を下回る1590台で最下位となったのに対して、従来モデルのPSPは3万7127台を売り上げてトップに躍り出るなど、対称的な結果となっているため、PSPシリーズ自体の需要が低迷しているというわけではないようだ。
 なお、ソニー・コンピュータエンタテイメントのCEO(最高経営責任者)、平井一夫氏は8月に「必ずしも世界各国でダウンロード販売を行うのに十分なネットワークインフラが整備されているわけではない」とした上で、ゲームソフトをダウンロードのみで購入できるハードウェアを発売しない予定であることを明かすなど、PSP Goの不調はソニーにも大きな教訓を残したとみられているため、この教訓がどのような形で新たなゲーム機に生かされるのかといったところに注目が集まりそうだ。



楽天、発売前の書籍を一部公開 ネット通販拡大狙う
 楽天は書籍のインターネット通販サイト「楽天ブックス」で本の中身の一部を公開するサービスを始める。出版社から許諾を受けた書籍データをサイト上で公開し、利用者が中身を確認してから購入できるようにする。一部書籍のデータは発売前に先行公開する。利便性を高めて書籍ネット通販の拡大を目指す。
 新サービスは「チラよみ」で、25日にも始める。開始時には講談社、小学館、幻冬舎などの大手を含む出版社約50社と協力する。書籍1千冊程度、雑誌400冊程度の中身を公開する。そのうち、約100冊は早ければ発売の1週間前にも公開する見通し。楽天は、出版社側が指定する20~30ページ分を公開する。今後も協力先の出版社を増やす。
 同様のサービスは、米アマゾン・ドット・コムなどが日本向けにも展開中だが、出版前の書籍の中身を閲覧できるのは楽天のサービスが初めてとみられる。
 楽天は、新機能の追加で書籍ネット通販で先行するアマゾンを追い上げる。ネット利用者が、出版前に書籍の中身をどの程度閲覧したかなどのデータは出版社に提供し、初版印刷部数の決定などに役立ててもらうサービスも展開する。



パナソニック組織再編、重複事業の解消課題 三洋の不採算事業、撤退も
 パナソニックは2012年1月をめどにグループの組織を抜本的に再編する。現在16ある事業部門を9部門程度に集約して、環境エネルギー関連分野への経営資源の集中を狙う。子会社の三洋電機のモーターなどの不採算事業の撤退や売却などを通じ、グループ内の重複事業を整理していくことが課題になる。
 パナソニックは11年4月に三洋とパナソニック電工を完全子会社化し、その後、3社で事業を抜本的に再編し競争力を高める。三洋は今年に入り物流子会社を売却し、半導体事業も米国メーカーに売ることを決めたが、不採算のモーター事業も組織再編の前に売却する必要に迫られる。
 家電事業では12年春にブランドをパナソニックに統一する。家庭用エアコンなど三洋の競争力の弱い製品は開発・生産から撤退する方針だ。組織再編の過程で閉鎖する拠点の従業員の配転も今後の課題になる。
 パナソニックは省エネ家電や空調設備、太陽電池などの環境エネルギー分野の製品を一括供給する「まるごと」事業を強化する方針だ。次世代送電網(スマートグリッド)では制御技術で日立製作所と提携するなど、目標に必要な経営資源を見極めながら、グループ再編や提携戦略を急ぐ。



まんまと他社回線にタダ乗り
ソフトバンクの家庭内基地局
 一時は、通信業界関係者による“ソフトバンク(SB)包囲網”ができそうな雲行きだったのだが、事態は思わぬ進展を見せている。
 ソフトバンクモバイルの孫正義社長は、今年3月28日に開催された“創業30周年記念イベント”で、インフラの増強を公約する「電波改善宣言」を発表した。
 そして5月21日より、希望者には「フェムトセル」(家庭内小型基地局)を無償提供する受付を開始した。この、いわばホームアンテナを自宅に設置すれば、自宅で使っているインターネットのブロードバンド回線を、携帯電話用の回線として利用できるようになる。
 だが、SB傘下のYahoo! BBのサービスに限定するのならば問題はなかったのだが、受付開始直前に孫社長がツイッターで「すべてのブロードバンドサービスに対応する」と宣言。2008年に総務省が制定したガイドラインにある運用ルール、つまり「各事業者との事前協議」を経ず、いきなり消費者向けにフライング発表してしまったことから大騒動に発展した。
 というのも、SBは、アクセスライン(通信サービスを家庭まで届けるための最後の区間)のインフラを持つケーブルテレビやISP(接続会社)などの事業者に仁義を切ることなく、“ユーザーから直接無料で借りる”という論理で受付を先行させたからだった。
 これまで、汗を流してコツコツとインフラ整備をしてきた事業者にとっては言語道断の行為であり、関西電力系の通信事業者のケイ・オプティコムは、間髪を入れずSBの“タダ乗り”を牽制するリリースを出したほど。その他多くの事業者も、SBに対して感情的な反発の姿勢を崩さなかった。
 ところが、SBは、事態を重く見た総務省によりクギを刺されたことで、事業者ごとに事前協議を行う方針に切り替えた。スジから言えば、そちらのほうが先にくるべきだが、すると今度は少しずつ、有料でSBに回線を貸す事業者が増えてきた。すでに、近鉄ケーブルネットワークなど30社以上のケーブルテレビ事業者や独立系のISPが応諾しているのだ。
 関西のあるケーブルテレビ事業者によると、その理屈は単純明快である。「仮に、自社の契約者から『SBのフェムトセルを使ってみたい』と言われた場合、『ウチではできません』とは言えない。協議のうえでルールができて、少ないながらも利用料が入るのなら、無料よりはマシだ。その際、『できません』と言えば、SBの営業マンは契約者に『Yahoo! BBを無料で提供します。この機会にSBの回線に切り替えませんか?』と攻勢をかけてくる。そうなると、契約者を奪われてしまうだろう?」。
 じつは、置かれた環境は、規模の大小を問わず、すべての事業者にとって同じだ。SBは、これまで同様に、自ら回線に投資せずに全国的にアクセスラインを使わせてもらえるようになる。各事業者に個別の利用料を払うとはいえ、“事実上のタダ乗り”が実現する。結局、SBの思惑どおりの展開になったが、後味の悪さが残る。



日経社説
この合意では「通貨戦争」は止められない
 各国の利害が複雑に絡む通貨摩擦をどう打開するか。難題を背に韓国の慶州で開いた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、経済の実力を映す為替相場の仕組みに移行し「通貨の競争的な切り下げを避ける」と共同声明で表明した。
 混乱の原因である経常収支の過度の不均衡を直す方針も確認したが、具体策の合意は何もない。この程度の合意では「通貨戦争」は止められない。来月のソウル・サミットに向けてG20の首脳はさらに知恵を絞り、一段と歩み寄りを探るべきだ。
 金融危機後、G20は先進国と新興国の政策協調の枠組みとして機能した。だが最近は景気回復にもたつく米国などの先進国と、高成長の新興国との間のひずみが広がり、対立が生じてきた。通貨摩擦も一つだ。
 米国など先進国は人民元相場を割安にして輸出を有利にする中国を批判し、中国は急激な元上昇は世界経済に悪影響が及ぶと反論する。新興国は人民元が安値のうえ、日米欧の金融緩和であふれた資金の流入で自国通貨高に苦しむ。介入や資本規制で対抗する動きもある。
 レアル高が進む現状を「通貨戦争」と非難したブラジルの財務相がG20会議を欠席したように、国際協調に亀裂が広がり始めていた。
 「協調的でない対応は、すべての国にとってより悪い結果をもたらす」とG20声明は指摘した。各国が自国優先に走り、自由な貿易や資本の流れが損なわれて世界経済が打撃を受ける展開は避けねばならない。
 とはいえ、行動が伴わなければ、通貨摩擦や不均衡の改善は進まない。中国の人民元切り上げ、住宅市場の不振を抱えた米経済の低迷打開など、懸案は明らかだ。対立を埋め、各国の実行を担保する必要がある。
 G20会議の直前、米国は経常収支の赤字や黒字を2015年までに国内総生産の4%以内に抑える数値基準を提案し、議長国の韓国も支持した。人民元切り上げを促す狙いがあるといわれるが、中国は消極的で、黒字水準の高いドイツも反対だ。
 声明は「過度の不均衡を減らし、経常収支を持続可能な水準で維持するために、あらゆる政策を追求する」と指摘したものの、数値は見送った。あまり数字が独り歩きして、国内外の自由な経済活動を縛るようでは良くない。日本が硬直的な目標設定に慎重であるのは妥当だろう。
 だがそれだけに、日本はデフレ脱却と成長促進への強力な政策運営が求められる。過度の円高を阻止する市場介入も、世界経済への貢献度を高めないと、理解を得られない。
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