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“ジリ貧”の東芝携帯事業をあえて買収する富士通の狙い
富士通、東芝は携帯電話事業を統合する方向で基本合意をした。目下のところ、7月29日に予定されている最終契約の締結に向けて、統合スキームの詳細を詰める交渉がヤマ場を迎えている。
いまだ、不確定要素はあるものの、「第1段階では、東芝の携帯電話事業を分社して設立した新会社に対して、富士通が80%強を出資する」(交渉関係者)としており、富士通側の出資規模は20億~30億円で決着する見込みだ。
最終的には、富士通が新会社を100%子会社化して本体へ吸収、既存の携帯電話事業と完全に統合させる案が有力である。
富士通の携帯電話事業では、納入先の通信事業者(キャリア)をNTTドコモに限定し、らくらくホンシリーズを柱に安定収益を稼いでいる。2009年度の販売台数は518万台、ドコモの販売台数に占めるシェアは約3割で、首位を堅持している。
一方の東芝はどうか。東芝が、KDDI、米クアルコムとともに参画しているau携帯電話専用のプラットフォーム(KCPプラス)の開発が遅れたことが響き、満足に新製品を投入できなかった。auの販売台数に占める東芝のシェアは1割程度。京セラやシャープなどの後塵を拝して5位の座に甘んじている。ドコモ、ソフトバンクにも納入しているものの販売数量は微々たるもので、08年度、09年度における携帯電話事業は赤字に転落していた。
そこで、東芝経営陣は、携帯電話事業の単独での生き残りを諦め、事業譲渡の意思を固めた。これまで、競合の電機メーカー数社に売却交渉を持ちかけては袖にされていた経緯がある。富士通との“婚約”は2年越しの成就だった。
それでは、あえて富士通が“ジリ貧”事業を買収するのはなぜなのだろうか。
大谷信雄・富士通執行役員常務は、東芝との協業メリットについて、「一つ目は、東芝が先行するスマートフォン分野で連携できること。二つ目は、親密先キャリアとしてauが加わることで、シェアアップを図れること。最後の三つ目は、海外展開において協力できること」の3点を挙げる。
そして、これらの“欲しい要素”を取得できるという前提であるが、なによりも富士通の背中を押したのは、売却を急ぐ東芝から引き出した“有利な交渉条件”であっただろう。
まず、買収金額が安い。携帯電話事業のキャッシュフロー1年分もあれば十分な規模だ。雇用面においても同様であり、東芝から新会社へ移籍するのは、前述したau専用プラットフォームの開発にかかわる要員360人のみで、それ以外の要員は東芝側が引き取る。しかも、富士通側が移籍者リストを綿密にチェックして欲しい人材のみが新会社へ移る予定だ。
米のSNSフェースブック、利用者5億人突破
【シリコンバレー=岡田信行】SNS(交流サイト)最大手の米フェースブックは21日、利用者が全世界で5億人を超えたと発表した。2004年に大学生の交流サイトから始まったフェースブックは実名登録と実際の友人関係を基にした安心感や、ゲームなど利用できるソフトの充実度で世界的な人気を集め、先行するマイスペースなどを抜き去って創業6年で大台を突破した。
創業者のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が21日、自社ブログへの動画メッセージ付きの投稿で大台突破を明らかにした。
匿名を好む日本のSNSとは異なり、フェースブックは実名や実際の人間関係を基にしたネットワークである点が特徴。利用者個人やグループの属性が把握しやすく、広告媒体や電子商取引の基盤として世界的に注目されている。
現在は70カ国語以上に対応し、利用者の7割以上が米国外。欧米先進国だけでなく、中南米や東南アジアなど新興国での利用も急増している。
量販店、3D特需に期待 エコポイント効果に陰り
テレビの主要な小売市場である家電量販店業界では、今後のけん引役として3D対応機種に期待が集まっている。省エネ家電の購入を促すエコポイント制度が昨年5月に始まってから1年以上が過ぎ、その効果がはげ落ちてきて好調だったテレビ販売に陰りが出ているからだ。年末に制度が終了すれば一段と失速するのは必至で、3Dテレビ需要の取り込みに力を入れ始めている。
調査会社BCN(東京・千代田)によると、家電量販各社のテレビ販売量は足元でなお前年を上回るものの、5月、6月とも売上高では前年を割った。家庭の2台目、3台目の需要が増え、安価な小型機種のシェアが上昇して単価が下落しているためだ。
6月のテレビ販売額のうち3D対応機種の占める比率は2.7%にとどまる。とはいえ4月の0.6%、5月の1%から着実に伸び、7月は3%を上回るペースだ。ケーズホールディングスは「3D映像のブルーレイ・ディスク(BD)作品や放送がまだ少ないため普及ペースはゆっくりだが、ソフトの充実に従って加速する。来年7月の地上デジタル放送への完全移行後も順調に伸びる」(社長室)と期待する。
3D対応テレビは同じサイズの一般の機種より5万~10万円高く、量販店にとっては「単価アップ効果を期待できる商材」(コジマ経営企画室)。地デジ対応テレビの世帯普及率は8割を突破し、薄型テレビ需要はほぼ一巡しつつある。今後は3D対応機能が買い替えの動機になるかどうかが、焦点となりそうだ。
中国、新エネルギーに65兆円 風力・次世代送電網など
日本・欧米企業にも商機
【北京=多部田俊輔】中国政府は2011~20年の10年間に、環境負荷が小さい新エネルギーの産業振興に5兆元(約65兆円)規模を投じる方向で検討に入った。風力発電、太陽光発電、バイオマス発電、電気自動車(EV)、IT(情報技術)で電力を効率的に供給する次世代送電網「スマートグリッド」を5本柱とする。温暖化ガスの排出増加を抑制するほか、一連の投資で名目国内総生産(GDP)を4%分拡大、環境対応と経済成長の両立を目指す。日本や欧米の企業にも商機が広がりそうだ。
中国の国家エネルギー局がまとめた「新エネルギー産業振興計画案」で5兆元の投資が盛り込まれた。近く国務院(政府)に提出し、来年までに決定する見通し。政府補助金などを通じ企業が手掛ける新エネルギー事業に資金を提供する。
計画では温暖化ガスの排出抑制へ再生可能エネルギーの発電能力を大幅に高める。風力、太陽光、バイオマス発電の新規設置に力を入れ、09年末で約1800万キロワットの発電能力を20年末に約11倍の約2億キロワットに増やす。
新エネルギーとは別に、温暖化ガスの排出抑制につながる原子力発電にも力を入れる。09年末で約900万キロワットの発電能力を20年末には8000万キロワット以上に高める。
新エネルギーの大半を担う風力や太陽光発電は天候の影響を受け出力が不安定という弱点がある。現在は風力発電設備の3割程度が送電網に接続していない。このため通信機能を使い送電網内の電力の過不足を調整するスマートグリッドを全国規模で導入する。
電力の開発や整備以外の分野ではEVなど環境対応車の普及も進める。中国政府は一部都市で補助金を支給して、EVなどの販売を11~12年に50万台と見込む。石油の消費を抑える対策として、将来は補助政策を全国に広げ20年には新車販売台数の約半分を環境対応車にしたい考えだ。
5兆元の投資で、毎年の名目GDPを1兆5000億元程度押し上げる効果があり、雇用を1500万人創出する。同局幹部は「現在は鉄鋼などのエネルギー消費型産業が経済をけん引しているが、次の10年はグリーン産業が経済をけん引するようにしたい」と話す。
中国では経済発展に伴いエネルギーの消費量が増大中で、07年の二酸化炭素(CO2)排出量は世界1位で全体の2割強を占める約60億トン。エネルギー局幹部は新エネルギー産業の振興計画を通じ、CO2排出量が、計画を実施しない場合に比べ約12億トン削減できると見込んでいる。
富士通、携帯「SIMロック」解除容認
富士通の佐相秀幸副社長は21日、携帯電話を一つの通信会社でしか使えないようにする「SIMロック」を解除する総務省の指針を容認する姿勢を明らかにした。携帯端末各社はこれまで解除に反対方針を打ち出していた。
佐相副社長は同日開いた携帯電話機の新製品発表会で、SIMロック解除への対応について「日本全体がグローバル化の方向に踏み出したものと理解している」と語った。
一方で「iモード」など通信会社特有のサービスの取り扱い、修理など顧客への対応、端末コストの増加など、「短期的には課題もある」と指摘した。
「SIMロック」をめぐってはNTTドコモが来春出荷分から全機種で解除機能を搭載する方針を示しており、端末メーカーが容認に転じれば解除の動きが加速することになる。
米消費者の満足度、「Facebook」は意外に低い
米ForeSee Resultsは米国時間2010年7月20日、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)サイト「Facebook」に対する米国消費者の満足度は低いとする調査結果を発表した。プライバシー保護に対する懸念、頻繁な変更、商業主義、広告などがユーザー体験にマイナスの影響を与えていると指摘している。
ネットを活用したサービスを手掛ける企業に対する米国ユーザーの満足度を、100点を満点とする指数「American Customer Satisfaction Index(ACSI)」で示した場合、Facebookの評価は64点だった。これは、調査対象となったすべての民間企業のうち、評価が低いほうから5%に含まれる。
同調査では今回初めてSNS部門を設けた。SNS部門にはFacebookのほか、「Wikipedia」「YouTube」「MySpace」が含まれ、Facebookを除いたサイトの評価はそれぞれ77、73、63点だった。
ポータルおよび検索エンジン部門では、「Google」が80点で首位を維持。「Bing」は77点、「Yahoo!」は76点、「AOL」は74点、「Ask.com」は73点だった。
ニュースおよび情報部門では「FOXNews.com」が82と最も点数が高かった。大手新聞のWebサイトも評価が高く「USATODAY.com」は77点、「NYTimes.com」は76点だった。
ネット出店者に楽天が人材紹介
楽天は仮想商店街「楽天市場」に出店する事業者の支援策を拡充する。子会社の楽天仕事紹介(東京・品川)を通じて月内にネットショップ経験者やウェブ制作に強い人材を出店者に紹介。サイトの効果的な見せ方やメールマガジンの配信などのノウハウを提供する。楽天市場全体の売り上げ増につなげる。
楽天仕事紹介は昨年9月に設立。このほどパソコン教室運営のナガセPCスクール(東京・新宿)やピーシーアシスト(京都市)など5社と提携した。楽天仕事紹介にナガセなどがウェブデザインなどに強みを持つ人材を紹介。出店者は希望する人材がいれば、原則正社員として採用する。
楽天市場への出店は現在3万3000あり、うち55%から人材の引き合いがあるという。
三菱重工、神戸造船所での商船建造から撤退
三菱重工業は21日、神戸造船所(神戸市)での商船建造から撤退し、長崎と下関の2造船所に生産を集約すると発表した。昨年までの世界景気の低迷で船舶需要が急減、今後も回復は見込めないとみて、約1割の生産能力削減に踏み切る。造船は世界的に大幅な供給過剰が続くとみられ、設備廃棄の動きが他社にも広がる可能性がある。
神戸造船所は1905年に操業を開始。商船はコンテナ船と自動車運搬船が主力だが、手持ちの建造が終わる2012年上半期で生産を打ち切る。防衛省向けの潜水艦の建造は継続する。6つあるドックと船台は、潜水艦の船台を除いて閉鎖する。商船部門の人員370人は原則、所内で配置転換し、人員削減はしない方針だ。
三菱重工の造船部門は長崎(生産能力190万総トン)、神戸(同30万トン)、下関造船所(山口県下関市、同13万5千トン)の3拠点体制を敷いてきた。だが、08年秋のリーマン・ショックの影響で受注が激減。業界全体の受注は年初から上向きつつあるが、同社が得意とするコンテナ船やタンカーは余剰感が強く、新規受注は長期にわたって見込めないため、事実上の2拠点体制への移行に踏み切る。
リーマン・ショック以前は空前の海運活況を受けて実需を上回る船舶の大量発注があり、韓国、中国メーカーもこぞって生産能力拡大に動いた。その結果、三菱重工は世界の供給能力(1億2500万総トン)が中期的な需要(4千万トン)の3倍以上に膨れあがっていると見ている。
高コスト体質の三菱重工は中韓勢には価格競争力で太刀打ちできないと判断、生産能力の削減でコンテナ船など一般商船の比率を大幅に縮小する。一方で客船や洋上風車設置船、液化天然ガス(LNG)船など高付加価値船の事業拡大を急ぎ、造船事業で生き残りを目指す。
ブラジル、自動車販売世界4位へ 年間で独抜く勢い
【サンパウロ=檀上誠】ブラジルの新車販売台数が国別で世界4位のドイツに肉薄している。ブラジル自動車工業会(ANFAVEA)によると、1~6月の新車販売台数(登録ベース、トラック・バスを含む)は前年同期比9%増の157万9700台となった。販売減少が続くドイツとの差は2万台弱となり、2010年通年ではブラジルが中国、米国、日本に次ぐ自動車市場に浮上する公算が大きくなっている。拡大する市場でのシェア獲得を目指し、自動車各社による競争も激化してきた。
ブラジルでは、今年3月末に景気刺激を目的とした乗用車に対する減税策が打ち切られたことから、駆け込み需要が発生。3月は単月で35万台超と過去最高の販売を記録した。4月以後は反動減の傾向が見られるものの、底堅い販売が続いている。
中長期的にも販売増加は続きそうだ。経済発展に伴う中産階級層の増加や自動車ローンなど金融サービスの拡充が見込まれるためで、15年には500万台市場になるとの見通しも出ている。
一方、ドイツ自動車工業会(VDA)によると1~6月の総販売台数は約159万8000台。昨年9月に新車買い替え補助金制度が打ち切られた影響で、乗用車販売が29%減になったことが響いた。09年通年の総販売台数ではドイツが約405万台、ブラジルが314万台と90万台近い差があった。
ブラジルには本格的な自国資本の自動車メーカーは存在せず、イタリアのフィアットを筆頭に欧州、米国の上位4社が市場の74%を握る。各社はブラジルに開発拠点を置き、国内向け車種を開発。主要市場と位置づけており、新興国向け車種の開発拠点としての機能強化に乗り出している。
米ゼネラル・モーターズ(GM)はブラジルを中心とした南米地区を米本社会長の直轄市場として、他の海外市場から分離。米フォード・モーターはブラジルで開発中の小型多目的スポーツ車(SUV)を南米域外でも生産、販売する方針だ。
書店復活へあの手この手 大阪トーハン会らが児童書フェア
書籍取り次ぎ大手、トーハンの取引先書店らでつくる近畿1府3県のトーハン会は30、31の両日、大阪市北区のトーハン大阪支社で、児童書フェア「こどもの本ブックフェア2010」を開催する。児童書や保育・教育図書など3万冊以上が一堂に集まる大規模な催しは、大阪では16年ぶり。電子書籍の普及などで既存の書店が逆風にさらされる中、将来の読者となる子供の囲い込みに乗り出す。
同フェアは大阪、兵庫、奈良、和歌山の書店経営者らで組織する地域のトーハン会が共同で開催。約1万5千種の児童書などを展示、販売する。人気児童書「となりのせきのますだくん」の著者、武田美穂さんとのワークショップや、隠し絵・迷路絵本で人気の高い香川元太郎氏による「迷路絵本あそび」などのイベントも開く。
大阪トーハン会の鎌苅一身会長は「本を手にとって読む楽しみを子供に伝えるのが、地域の書店の将来にとっても不可欠」と16年ぶりの大型イベント開催に踏み切った理由を説明する。
携帯電話やインターネットの普及に伴う書籍離れによる出版不況で、出版市場は平成21年に2兆円の大台を割り込んだ。
その影響を最も受けているのが地域の書店だ。ネット通販大手のアマゾンやリサイクル書店チェーンのブックオフなど新たな書店流通業態の台頭で競争が激化。全国の書店調査を行う出版社のアルメディア(東京都豊島区)の調査によると、平成12年に全国で2万1922店あった書店は、年々減少を続け、今年1月時点では29・3%減の1万5519店となった。
さらに米アップルの多機能情報端末「iPad(アイパッド)」発売に伴う電子書籍の普及を視野に、講談社や新潮社、集英社など国内の主要出版社21社が今年2月に「日本電子書籍出版社協会」を発足。中小規模の書店にとって「かつてない逆風」(鎌苅会長)となっている。
「児童向けの書籍は機器操作などが妨げとなり、最後まで電子化にそぐわないジャンル」(同)と見ており、今回のフェアを将来の読者の開拓と販売する書籍ジャンルの囲い込みの両面につなげる考えだ。
富士通、東芝は携帯電話事業を統合する方向で基本合意をした。目下のところ、7月29日に予定されている最終契約の締結に向けて、統合スキームの詳細を詰める交渉がヤマ場を迎えている。
いまだ、不確定要素はあるものの、「第1段階では、東芝の携帯電話事業を分社して設立した新会社に対して、富士通が80%強を出資する」(交渉関係者)としており、富士通側の出資規模は20億~30億円で決着する見込みだ。
最終的には、富士通が新会社を100%子会社化して本体へ吸収、既存の携帯電話事業と完全に統合させる案が有力である。
富士通の携帯電話事業では、納入先の通信事業者(キャリア)をNTTドコモに限定し、らくらくホンシリーズを柱に安定収益を稼いでいる。2009年度の販売台数は518万台、ドコモの販売台数に占めるシェアは約3割で、首位を堅持している。
一方の東芝はどうか。東芝が、KDDI、米クアルコムとともに参画しているau携帯電話専用のプラットフォーム(KCPプラス)の開発が遅れたことが響き、満足に新製品を投入できなかった。auの販売台数に占める東芝のシェアは1割程度。京セラやシャープなどの後塵を拝して5位の座に甘んじている。ドコモ、ソフトバンクにも納入しているものの販売数量は微々たるもので、08年度、09年度における携帯電話事業は赤字に転落していた。
そこで、東芝経営陣は、携帯電話事業の単独での生き残りを諦め、事業譲渡の意思を固めた。これまで、競合の電機メーカー数社に売却交渉を持ちかけては袖にされていた経緯がある。富士通との“婚約”は2年越しの成就だった。
それでは、あえて富士通が“ジリ貧”事業を買収するのはなぜなのだろうか。
大谷信雄・富士通執行役員常務は、東芝との協業メリットについて、「一つ目は、東芝が先行するスマートフォン分野で連携できること。二つ目は、親密先キャリアとしてauが加わることで、シェアアップを図れること。最後の三つ目は、海外展開において協力できること」の3点を挙げる。
そして、これらの“欲しい要素”を取得できるという前提であるが、なによりも富士通の背中を押したのは、売却を急ぐ東芝から引き出した“有利な交渉条件”であっただろう。
まず、買収金額が安い。携帯電話事業のキャッシュフロー1年分もあれば十分な規模だ。雇用面においても同様であり、東芝から新会社へ移籍するのは、前述したau専用プラットフォームの開発にかかわる要員360人のみで、それ以外の要員は東芝側が引き取る。しかも、富士通側が移籍者リストを綿密にチェックして欲しい人材のみが新会社へ移る予定だ。
米のSNSフェースブック、利用者5億人突破
【シリコンバレー=岡田信行】SNS(交流サイト)最大手の米フェースブックは21日、利用者が全世界で5億人を超えたと発表した。2004年に大学生の交流サイトから始まったフェースブックは実名登録と実際の友人関係を基にした安心感や、ゲームなど利用できるソフトの充実度で世界的な人気を集め、先行するマイスペースなどを抜き去って創業6年で大台を突破した。
創業者のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が21日、自社ブログへの動画メッセージ付きの投稿で大台突破を明らかにした。
匿名を好む日本のSNSとは異なり、フェースブックは実名や実際の人間関係を基にしたネットワークである点が特徴。利用者個人やグループの属性が把握しやすく、広告媒体や電子商取引の基盤として世界的に注目されている。
現在は70カ国語以上に対応し、利用者の7割以上が米国外。欧米先進国だけでなく、中南米や東南アジアなど新興国での利用も急増している。
量販店、3D特需に期待 エコポイント効果に陰り
テレビの主要な小売市場である家電量販店業界では、今後のけん引役として3D対応機種に期待が集まっている。省エネ家電の購入を促すエコポイント制度が昨年5月に始まってから1年以上が過ぎ、その効果がはげ落ちてきて好調だったテレビ販売に陰りが出ているからだ。年末に制度が終了すれば一段と失速するのは必至で、3Dテレビ需要の取り込みに力を入れ始めている。
調査会社BCN(東京・千代田)によると、家電量販各社のテレビ販売量は足元でなお前年を上回るものの、5月、6月とも売上高では前年を割った。家庭の2台目、3台目の需要が増え、安価な小型機種のシェアが上昇して単価が下落しているためだ。
6月のテレビ販売額のうち3D対応機種の占める比率は2.7%にとどまる。とはいえ4月の0.6%、5月の1%から着実に伸び、7月は3%を上回るペースだ。ケーズホールディングスは「3D映像のブルーレイ・ディスク(BD)作品や放送がまだ少ないため普及ペースはゆっくりだが、ソフトの充実に従って加速する。来年7月の地上デジタル放送への完全移行後も順調に伸びる」(社長室)と期待する。
3D対応テレビは同じサイズの一般の機種より5万~10万円高く、量販店にとっては「単価アップ効果を期待できる商材」(コジマ経営企画室)。地デジ対応テレビの世帯普及率は8割を突破し、薄型テレビ需要はほぼ一巡しつつある。今後は3D対応機能が買い替えの動機になるかどうかが、焦点となりそうだ。
中国、新エネルギーに65兆円 風力・次世代送電網など
日本・欧米企業にも商機
【北京=多部田俊輔】中国政府は2011~20年の10年間に、環境負荷が小さい新エネルギーの産業振興に5兆元(約65兆円)規模を投じる方向で検討に入った。風力発電、太陽光発電、バイオマス発電、電気自動車(EV)、IT(情報技術)で電力を効率的に供給する次世代送電網「スマートグリッド」を5本柱とする。温暖化ガスの排出増加を抑制するほか、一連の投資で名目国内総生産(GDP)を4%分拡大、環境対応と経済成長の両立を目指す。日本や欧米の企業にも商機が広がりそうだ。
中国の国家エネルギー局がまとめた「新エネルギー産業振興計画案」で5兆元の投資が盛り込まれた。近く国務院(政府)に提出し、来年までに決定する見通し。政府補助金などを通じ企業が手掛ける新エネルギー事業に資金を提供する。
計画では温暖化ガスの排出抑制へ再生可能エネルギーの発電能力を大幅に高める。風力、太陽光、バイオマス発電の新規設置に力を入れ、09年末で約1800万キロワットの発電能力を20年末に約11倍の約2億キロワットに増やす。
新エネルギーとは別に、温暖化ガスの排出抑制につながる原子力発電にも力を入れる。09年末で約900万キロワットの発電能力を20年末には8000万キロワット以上に高める。
新エネルギーの大半を担う風力や太陽光発電は天候の影響を受け出力が不安定という弱点がある。現在は風力発電設備の3割程度が送電網に接続していない。このため通信機能を使い送電網内の電力の過不足を調整するスマートグリッドを全国規模で導入する。
電力の開発や整備以外の分野ではEVなど環境対応車の普及も進める。中国政府は一部都市で補助金を支給して、EVなどの販売を11~12年に50万台と見込む。石油の消費を抑える対策として、将来は補助政策を全国に広げ20年には新車販売台数の約半分を環境対応車にしたい考えだ。
5兆元の投資で、毎年の名目GDPを1兆5000億元程度押し上げる効果があり、雇用を1500万人創出する。同局幹部は「現在は鉄鋼などのエネルギー消費型産業が経済をけん引しているが、次の10年はグリーン産業が経済をけん引するようにしたい」と話す。
中国では経済発展に伴いエネルギーの消費量が増大中で、07年の二酸化炭素(CO2)排出量は世界1位で全体の2割強を占める約60億トン。エネルギー局幹部は新エネルギー産業の振興計画を通じ、CO2排出量が、計画を実施しない場合に比べ約12億トン削減できると見込んでいる。
富士通、携帯「SIMロック」解除容認
富士通の佐相秀幸副社長は21日、携帯電話を一つの通信会社でしか使えないようにする「SIMロック」を解除する総務省の指針を容認する姿勢を明らかにした。携帯端末各社はこれまで解除に反対方針を打ち出していた。
佐相副社長は同日開いた携帯電話機の新製品発表会で、SIMロック解除への対応について「日本全体がグローバル化の方向に踏み出したものと理解している」と語った。
一方で「iモード」など通信会社特有のサービスの取り扱い、修理など顧客への対応、端末コストの増加など、「短期的には課題もある」と指摘した。
「SIMロック」をめぐってはNTTドコモが来春出荷分から全機種で解除機能を搭載する方針を示しており、端末メーカーが容認に転じれば解除の動きが加速することになる。
米消費者の満足度、「Facebook」は意外に低い
米ForeSee Resultsは米国時間2010年7月20日、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)サイト「Facebook」に対する米国消費者の満足度は低いとする調査結果を発表した。プライバシー保護に対する懸念、頻繁な変更、商業主義、広告などがユーザー体験にマイナスの影響を与えていると指摘している。
ネットを活用したサービスを手掛ける企業に対する米国ユーザーの満足度を、100点を満点とする指数「American Customer Satisfaction Index(ACSI)」で示した場合、Facebookの評価は64点だった。これは、調査対象となったすべての民間企業のうち、評価が低いほうから5%に含まれる。
同調査では今回初めてSNS部門を設けた。SNS部門にはFacebookのほか、「Wikipedia」「YouTube」「MySpace」が含まれ、Facebookを除いたサイトの評価はそれぞれ77、73、63点だった。
ポータルおよび検索エンジン部門では、「Google」が80点で首位を維持。「Bing」は77点、「Yahoo!」は76点、「AOL」は74点、「Ask.com」は73点だった。
ニュースおよび情報部門では「FOXNews.com」が82と最も点数が高かった。大手新聞のWebサイトも評価が高く「USATODAY.com」は77点、「NYTimes.com」は76点だった。
ネット出店者に楽天が人材紹介
楽天は仮想商店街「楽天市場」に出店する事業者の支援策を拡充する。子会社の楽天仕事紹介(東京・品川)を通じて月内にネットショップ経験者やウェブ制作に強い人材を出店者に紹介。サイトの効果的な見せ方やメールマガジンの配信などのノウハウを提供する。楽天市場全体の売り上げ増につなげる。
楽天仕事紹介は昨年9月に設立。このほどパソコン教室運営のナガセPCスクール(東京・新宿)やピーシーアシスト(京都市)など5社と提携した。楽天仕事紹介にナガセなどがウェブデザインなどに強みを持つ人材を紹介。出店者は希望する人材がいれば、原則正社員として採用する。
楽天市場への出店は現在3万3000あり、うち55%から人材の引き合いがあるという。
三菱重工、神戸造船所での商船建造から撤退
三菱重工業は21日、神戸造船所(神戸市)での商船建造から撤退し、長崎と下関の2造船所に生産を集約すると発表した。昨年までの世界景気の低迷で船舶需要が急減、今後も回復は見込めないとみて、約1割の生産能力削減に踏み切る。造船は世界的に大幅な供給過剰が続くとみられ、設備廃棄の動きが他社にも広がる可能性がある。
神戸造船所は1905年に操業を開始。商船はコンテナ船と自動車運搬船が主力だが、手持ちの建造が終わる2012年上半期で生産を打ち切る。防衛省向けの潜水艦の建造は継続する。6つあるドックと船台は、潜水艦の船台を除いて閉鎖する。商船部門の人員370人は原則、所内で配置転換し、人員削減はしない方針だ。
三菱重工の造船部門は長崎(生産能力190万総トン)、神戸(同30万トン)、下関造船所(山口県下関市、同13万5千トン)の3拠点体制を敷いてきた。だが、08年秋のリーマン・ショックの影響で受注が激減。業界全体の受注は年初から上向きつつあるが、同社が得意とするコンテナ船やタンカーは余剰感が強く、新規受注は長期にわたって見込めないため、事実上の2拠点体制への移行に踏み切る。
リーマン・ショック以前は空前の海運活況を受けて実需を上回る船舶の大量発注があり、韓国、中国メーカーもこぞって生産能力拡大に動いた。その結果、三菱重工は世界の供給能力(1億2500万総トン)が中期的な需要(4千万トン)の3倍以上に膨れあがっていると見ている。
高コスト体質の三菱重工は中韓勢には価格競争力で太刀打ちできないと判断、生産能力の削減でコンテナ船など一般商船の比率を大幅に縮小する。一方で客船や洋上風車設置船、液化天然ガス(LNG)船など高付加価値船の事業拡大を急ぎ、造船事業で生き残りを目指す。
ブラジル、自動車販売世界4位へ 年間で独抜く勢い
【サンパウロ=檀上誠】ブラジルの新車販売台数が国別で世界4位のドイツに肉薄している。ブラジル自動車工業会(ANFAVEA)によると、1~6月の新車販売台数(登録ベース、トラック・バスを含む)は前年同期比9%増の157万9700台となった。販売減少が続くドイツとの差は2万台弱となり、2010年通年ではブラジルが中国、米国、日本に次ぐ自動車市場に浮上する公算が大きくなっている。拡大する市場でのシェア獲得を目指し、自動車各社による競争も激化してきた。
ブラジルでは、今年3月末に景気刺激を目的とした乗用車に対する減税策が打ち切られたことから、駆け込み需要が発生。3月は単月で35万台超と過去最高の販売を記録した。4月以後は反動減の傾向が見られるものの、底堅い販売が続いている。
中長期的にも販売増加は続きそうだ。経済発展に伴う中産階級層の増加や自動車ローンなど金融サービスの拡充が見込まれるためで、15年には500万台市場になるとの見通しも出ている。
一方、ドイツ自動車工業会(VDA)によると1~6月の総販売台数は約159万8000台。昨年9月に新車買い替え補助金制度が打ち切られた影響で、乗用車販売が29%減になったことが響いた。09年通年の総販売台数ではドイツが約405万台、ブラジルが314万台と90万台近い差があった。
ブラジルには本格的な自国資本の自動車メーカーは存在せず、イタリアのフィアットを筆頭に欧州、米国の上位4社が市場の74%を握る。各社はブラジルに開発拠点を置き、国内向け車種を開発。主要市場と位置づけており、新興国向け車種の開発拠点としての機能強化に乗り出している。
米ゼネラル・モーターズ(GM)はブラジルを中心とした南米地区を米本社会長の直轄市場として、他の海外市場から分離。米フォード・モーターはブラジルで開発中の小型多目的スポーツ車(SUV)を南米域外でも生産、販売する方針だ。
書店復活へあの手この手 大阪トーハン会らが児童書フェア
書籍取り次ぎ大手、トーハンの取引先書店らでつくる近畿1府3県のトーハン会は30、31の両日、大阪市北区のトーハン大阪支社で、児童書フェア「こどもの本ブックフェア2010」を開催する。児童書や保育・教育図書など3万冊以上が一堂に集まる大規模な催しは、大阪では16年ぶり。電子書籍の普及などで既存の書店が逆風にさらされる中、将来の読者となる子供の囲い込みに乗り出す。
同フェアは大阪、兵庫、奈良、和歌山の書店経営者らで組織する地域のトーハン会が共同で開催。約1万5千種の児童書などを展示、販売する。人気児童書「となりのせきのますだくん」の著者、武田美穂さんとのワークショップや、隠し絵・迷路絵本で人気の高い香川元太郎氏による「迷路絵本あそび」などのイベントも開く。
大阪トーハン会の鎌苅一身会長は「本を手にとって読む楽しみを子供に伝えるのが、地域の書店の将来にとっても不可欠」と16年ぶりの大型イベント開催に踏み切った理由を説明する。
携帯電話やインターネットの普及に伴う書籍離れによる出版不況で、出版市場は平成21年に2兆円の大台を割り込んだ。
その影響を最も受けているのが地域の書店だ。ネット通販大手のアマゾンやリサイクル書店チェーンのブックオフなど新たな書店流通業態の台頭で競争が激化。全国の書店調査を行う出版社のアルメディア(東京都豊島区)の調査によると、平成12年に全国で2万1922店あった書店は、年々減少を続け、今年1月時点では29・3%減の1万5519店となった。
さらに米アップルの多機能情報端末「iPad(アイパッド)」発売に伴う電子書籍の普及を視野に、講談社や新潮社、集英社など国内の主要出版社21社が今年2月に「日本電子書籍出版社協会」を発足。中小規模の書店にとって「かつてない逆風」(鎌苅会長)となっている。
「児童向けの書籍は機器操作などが妨げとなり、最後まで電子化にそぐわないジャンル」(同)と見ており、今回のフェアを将来の読者の開拓と販売する書籍ジャンルの囲い込みの両面につなげる考えだ。
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