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新ネット配信サービス SCE、ゲームも検討
 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の平井一夫社長は16日、日本経済新聞記者と会い、ソニーが世界展開を始めたインターネット配信サービスでゲームを配信することを検討していることを明らかにした。ゲーム事業に関しては、家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)3」の販売が好調なことから、2011年3月期に「黒字化に手応えがある」と話した。
 ソニーが世界展開するのはネット配信サービス「Qriocity(キュリオシティ)」。今春、米国での映像配信を開始した。ネット対応テレビやブルーレイ・ディスクプレーヤーに接続してコンテンツを楽しめる。
 当面はビデオと音楽配信の地域展開を広げることを優先するが、「将来的にはゲームや電子書籍用コンテンツの配信を視野にいれている」。ゲーム配信が中心の既存のプレイステーションネットワークのゲームと差別化し、「PS3向けとは違ったカジュアルなゲームを想定している」としている。
 キュリオシティの国内でのサービス展開については「開始時期は未定」としつつも、コンテンツなどの準備が整った段階で提供するとした。
 16日に始まった「東京ゲームショウ2010」では、3次元(3D)映像や体感型システム「ムーブ」を展示。11年3月期のPS3の販売台数を1500万台と想定し、4期連続で赤字が続くゲーム事業の黒字化にメドがたったことを強調した。



ドコモの携帯放送インフラ会社、ソフトバンクも出資
 ソフトバンクは、NTTドコモが中心となって2012年春にも開始する携帯端末向け放送のインフラ運営会社に出資する方針を固めた。ドコモ子会社で同放送の準備を進めるマルチメディア放送(東京・千代田)の二木治成社長が16日、日本経済新聞の取材に対し「ソフトバンクとKDDIに出資を要請したい」と発言。ソフトバンク幹部も応じる姿勢を明らかにした。携帯電話大手が共同で新放送の運営を進める。
 新放送の事業会社は、放送設備を運営するインフラ会社と、コンテンツを提供する委託会社に分かれる。ドコモは近く、インフラ会社を設立する方針で、マルチメディア放送の株主であるフジテレビジョンなど民放各社、伊藤忠商事などに加え、携帯電話メーカーなどに広く出資を呼びかける。KDDIは放送参入をドコモと争った経緯もあり、事業計画などを詳細に検討した上で判断するとみられる。
 二木社長は「11年冬をめどにドコモなどが発売する携帯電話に放送を受信するためのチップを搭載する」と話し、発売後5年間で5000万台の対応端末の普及を目指す。「スマートフォン(高機能携帯電話)のほか、無線機器やテレビにチップを組み込んで、夜間など視聴時以外にもコンテンツを蓄積できるようにする」方針だ。
 サービス開始に向け二木社長は「情報交換会などを通じて、委託会社や端末メーカーに広く技術を開示したい」と表明。また「ドコモが過半を出資して委託会社を設立する」と話し、ドコモとして設備運営だけでなく、放送事業に本格参入することも明らかにした。
 携帯端末向け次世代放送はテレビのアナログ放送終了に伴って空く電波の帯域を使って始める新サービス。ドコモとKDDIが参入枠を巡って争い、電波監理審議会の答申を受けて総務省がドコモ側を選んだ。
 携帯電話向け地上デジタル放送「ワンセグ」に比べて大容量のコンテンツを送ることが可能なほか、放送局以外にも幅広い企業が放送事業に参入できるようになる。



技術・資本蓄積、差が縮小 法人税、日本は重く
 過去20年でアジア各国・地域は技術や資本蓄積などで競争力を高めた。輸出で稼ぐモデルでアジアの先頭を走ってきた日本の優位は揺らいでいるのが現実だ。アジアとの競争条件を意識した法人税制や事業コストなどの見直しが不可欠とされる理由もここにある。
 各国の製造業が生み出す総付加価値の世界シェアを見ると、日本は1990年代後半から低下傾向。97年から2007年までの10年間でシェアは8ポイント低下した一方、アジア各国のシェアは上昇した。
 とりわけ中国は90年代後半から上昇を続け、06年に日本に肩を並べ、07年には4ポイントの差を付けて日本を逆転した。
 部品など中間財の貿易黒字額が輸出入総額に対してどの程度かを示す「貿易特化指数」をみると、90年は日本がプラスだったのに対し、中国と韓国は大幅なマイナスだった。00年になると韓国がプラスに転じ、08年には中国も続いた。中国や韓国で作られた製品の競争力が高まり、他国の市場で稼げるようになったことを示す。
 アジア各国は“頭脳”でも急速に存在感を増している。経済協力開発機構(OECD)のまとめによると、08年に中国で研究開発に携わる人の数は約160万人。5年前に比べて1.8倍に増え、米国を07年に抜いた。国全体の研究開発投資でみると、規模こそ米国が圧倒的だが、伸び率でみるとここ4年で中国がほぼ2倍に増やしている。
 日本からの直接投資がアジアの資本や技術の蓄積につながっている面もある。日本貿易振興機構によると、日本からアジアへの直接投資は09年に206億ドルに達し、この5年でほぼ倍増した。
 アジア諸国は政府も民間部門を後押しする政策にも熱心だ。韓国は新しい輸出産業として有望視される原子力発電所や高速鉄道、リチウムイオン電池などで官民一体で海外への売り込みを強化。台湾の馬英九政権は産業空洞化対策として、今年から法人税を従来の25%から17%に引き下げた。



Ameba、携帯向けゲームポータルサイト「Amebaゲーム」をオープン
 サイバーエージェントが、同社の携帯向けサービス「Amebaモバイル」にて、携帯ゲームのポータルサイト「Amebaゲーム」をオープンした。
 「Amebaゲーム」は、Amebaユーザー向けに提供している携帯ゲームを集約したゲームポータルサイト。現在、ペット育成ゲーム「ブーシュカ」やモンスター育成バトルゲーム「ギャオス」、料理ゲーム「モグ(mogg)」など計7タイトルの携帯ゲームを提供しており、今後も随時タイトル数を増やしていく。これらのゲームは基本プレイは無料でAmebaの仮想通貨「アメゴールド」を利用するアイテム課金制となっており、さらに一部ゲームは同社の2D仮想空間「アメーバピグ」とも連携しゲーム内でしか手に入らない限定の仮想アイテムを提供していく。



クウェア、FFで「盛大遊戯」と提携 中国国内での独占販売認める
 スクウェア・エニックスは16日、中国のオンラインゲーム会社「盛大遊戯有限公司」(上海市)と提携すると発表した。第1弾として、人気ゲームソフト「ファイナルファンタジー(FF)」シリーズの最新作「14」について、中国での独占販売を盛大遊戯に認める。
 FF14は日米欧で9月末に発売予定だが、中国での発売時期は未定。ゲームのサーバーは日米欧と別にするため、日米欧と中国のプレーヤーがオンライン上で交流することはできないという。



日本通信、海外版iPhone4の販売で英社と協業
 通信ベンチャーの日本通信は、自社で販売するNTTドコモ回線用の「SIMカード」を使う「iPhone(アイフォーン)4」の販売で、携帯電話販売チェーンの英エクスパンシスと協業する。日本通信が同SIMカードを販売する際、エクスパンシスが運営する日本語の販売サイトを紹介。エクスパンシスもサイト上で日本通信のSIMカードを紹介する。
 日本通信は8月下旬から海外版アイフォーンをNTTドコモ回線で利用するためのSIMカードを販売している。海外版アイフォーンは利用を特定の通信会社に限定するSIMロックが解除されている機種が多い。ただ国内では流通量が少ない。このためエクスパンシスと組み顧客が端末を購入しやすくする。価格は記憶容量が16ギガ(ギガは10億)バイトで8万2500円、32ギガバイトで9万3200円。



CCC、70~80年代の邦楽CDを999円で発売
 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は10月、邦楽のプライベートブランド(PB=自主企画)音楽CDを発売する。国内アーティストのベスト盤53作品を999円で、「TSUTAYA」限定で販売する。1970~80年代のフォークソングやポップスをそろえ、40~50歳代の消費者を取り込む。
 販売するのは「かぐや姫」、「あみん」「アン・ルイス」などのベスト盤。EMIミュージック・ジャパン(東京・港)をはじめとしたレコード会社など5社と組み、選曲はCCCが手がけた。2011年3月末までに20万枚の販売を目指す。
 同社は昨年12月、洋楽CDのPBを発売。CD販売が低調な中、計画通りに計35万枚を販売するなど需要が確認できたことから、邦楽のPBに乗り出す。



スターバックスが反転攻勢 年間60店出店、低価格も
 コーヒーチェーン最大手、スターバックスコーヒージャパンが出店や低価格戦略で攻勢に転じる。2011年度から年間最大60店を出店し、手薄だった郊外へ店舗網を広げる。また2杯目のコーヒーを100円にするサービスを恒常化させる。景気後退以降、売上高が伸び悩んでいたが、価格戦略が奏功して客数が回復しており、成長軌道の確保を狙う。
 スタバは8月末で約870店を展開している。09年度は35店にとどまっていた新規出店数を上積みし、3年以内に1000店体制とする。主力である都心部への出店を続ける一方で、店舗の少ない地方都市や郊外の開拓を急ぐ。
 ただこれまで郊外店の主な立地だったショッピングセンター(SC)は、開設が減っている。このため2つの立地を積極的に開発する。1つは幹線道路沿いのドライブスルー型店舗。顧客が自動車に乗ったまま、商品を受け取れるドライブスルーを展開するコーヒー専業チェーンはなく、開拓の余地が多いとみている。現在は70店強だが早期に100店に広げる。
 もう一つは、公園内出店。現在は富山市の環水公園と、福岡市の大濠公園内の2店のみだが、地方都市の比較的広域の公園内で、レジャー客などを取り込む。5年程度で30店規模にする計画だ。
 強気の出店計画は足元の業績改善を受けたもの。8月の既存店売上高は前年同月比5.4%増と5カ月連続のプラス。11年3月期通期の業績予想を上方修正し、売上高は4.5%増の1015億円、経常利益は4%増の69億円とした。従来の減益予想から一転、3期ぶりに過去最高益を更新する見通し。
 顧客への価格訴求を強め、「他チェーンに比べて高い」とのイメージ脱却をはかったことが奏功している。コーヒーとセットで購入しても500円以内に収まる200円未満のフードメニューを拡充。また春に発売した家庭用インスタントコーヒーも、8月までに当初想定の約2倍の1000万本以上を販売するなど好調だ。
 特に業績改善へ寄与したのが1月に始めた、ドリップコーヒー(ショートサイズで290円)を注文した客を対象に、購入当日であれば2杯目を100円で提供するキャンペーン。レシートを提示すれば、購入店舗以外でも適用される。



中国ハイアール、海外の開発・生産拠点を倍増
 中国家電最大手の海爾集団(ハイアール)は16日、開発拠点と中国国外の工場を、それぞれ約2倍に増やす方針を明らかにした。同社は中国に加え、米国や日本、東南アジアなどで事業を拡大、売上高の年率3割増を目指している。
 ハイアールの周雲傑高級執行副総裁が日本経済新聞の取材で明らかにした。倍増させるのは、世界8カ所にある開発拠点と24ある中国国外の工場。アフリカや南米、東欧やロシアを工場の候補地として検討する。
 同社は現在、中国国内向けの売上高が過半を占めるとみられるが、海外売上高比率を約7割に高める方針。日本市場でも2011年度に洗濯機や冷蔵庫、エアコンなど主要製品で現状の約4割増となる約50機種を中・高級機種中心に投入。今年11月にはドラム式洗濯機市場に参入する。
 ハイアールの世界売上高は09年に約182億ドル(約1兆6000億円)だった。冷蔵庫、洗濯機は生産台数でともに世界首位。



金型大手2社、政府主導で統合 ものづくりの要守る
支援機構、53億円出資
 自動車用金型で国内2位の富士テクニカは同3位の宮津製作所(群馬県大泉町)の事業を買収する。宮津は事業譲渡後に会社を清算、富士テクニカは企業再生支援機構から8割の出資を受け入れ経営基盤を強化する。金融危機後の受注急減で金型各社の経営環境は厳しさを増している。両社は統合を機に先端技術の開発や海外展開を加速、生き残りを目指す。日本のものづくりの根幹を支えてきた金型産業の再編が政府主導で動き出す。
 金型の製作には高度の熟練技術が必要で、日本が長年にわたり強みを持ってきた分野。国内の金型企業に対しては、中国など新興国の企業から買収提案が水面下で多く寄せられている。最大手のオギハラ(群馬県太田市)は昨年、タイ企業の傘下に入った。政府は大手の経営再建を支援し、国内の金型産業の地盤沈下を食い止める。
 宮津は2つある国内工場のうち、太田工場(群馬県太田市)を閉鎖。450人いる従業員のうち、130人規模の希望退職を募る。事業譲渡後、特別清算手続きに入る。宮津の主取引銀行の足利銀行は50億円の債権カットに応じる方向だ。
 富士テクニカは支援機構から53億円の出資を受け、事業継承の資金に充てる。経営陣は退任し、支援機構が役員を派遣する。希望退職募集や生産拠点の見直しなどのリストラに取り組み、早期の経営再建を目指す。
 金型は金属やプラスチックなどを様々な形に加工するのに欠かせず、自動車や家電などほとんどの工業製品の生産に使われる。金型製作は日本の「お家芸」だった。
金型の
 だが2008年秋以降の金融危機で自動車大手の生産台数が減少。主要顧客である米ゼネラル・モーターズ(GM)を筆頭に海外メーカーからの受注が急減した。これを受け新興国企業との取引拡大を目指したが、日本企業同士が受注を奪い合う消耗戦を演じ業績悪化に拍車をかけた。
 ものづくりのIT(情報技術)化の進展で設計データがあれば比較的容易に一定の品質の金型を製作できるようになり、中国や韓国などの新興国メーカーが台頭。加えて自動車メーカー自身が金型を内製化。中国の自動車大手が日本の金型工場を買収する動きもある。金型大手は買収を防ぐためにも経営基盤を固める必要に迫られている。
 富士テクニカは昨年9月、産業活力再生特別措置法(産活法)に基づく債務保証制度を利用して静岡銀行などから20億円の協調融資を受け、危機をしのいだが、受注低迷は続いている。宮津も2010年2月期に債務超過に転落。経済産業省は自力再建には限界があると判断、支援機構を活用した支援に踏み切る。



びわこ競輪、来年3月廃止へ 大津市
 高松宮記念杯を毎年開催している大津びわこ競輪場(大津市)について、運営主体の市が来年3月末で廃止する方針を決めたことが16日、分かった。関係者によると、累積赤字は今年度末で約26億円に達する見通しで、市はこれ以上の運営は困難と判断した。6月に開催し、年間売り上げの約7割を占める高松宮記念杯は返上する。
 目片信市長が17日の定例議会最終日に、廃止を正式表明する。
 びわこ競輪場は、昭和25年に大津市と滋賀県が共同で開設し、平成元年から市が単独運営。3万4千人を収容でき、500メートルの競走路がある。
 売上は平成9年度の約493億円をピークに減り続け、16年度に赤字に転落して以降は毎年、赤字が膨らんでいた。
 目片市長は今年6月の高松宮記念杯開催直前の記者会見で、存続の判断基準として「売上額110億円を目安にする」と表明。しかし、結果は約107億円と、目標としていた額に到達しなかった。



韓・台企業との競争厳しく 介入でも円高・アジア通貨安 輸出産業の力そぐ
 政府・日銀が6年半ぶりに外国為替市場での円売り介入に踏み切った日本。ただ、円とドルに目配りすれば済む時代は過ぎ去り、韓国や台湾、中国などアジア通貨との関係が対ドル以上に重要になっている。韓台企業などと日本企業の輸出競争がより激しくなっているためで、対ドルで15年前と同じような水準の円高であっても、日本の置かれた環境は一段と厳しい。
 政府・日銀が外国為替市場で円売り介入に踏み切った15日。円は対ドルだけではなく、主要アジア通貨に対しても下落した。だが、その効果はほぼ1日。円の対アジア通貨相場は16日はほぼ横ばいにとどまった。「アジア諸国が日本に対抗して自国通貨売り介入を増やす」との思惑からだ。
ウォン46%安
 アジアとの競争条件は大きく変化した。1997年夏からのアジア通貨危機時、資金流出に見舞われたアジア通貨は円に対して総じて大幅に下落。その後横ばい圏で推移した韓国ウォンなどは、08年9月のリーマン・ショック以降、再び対円で下落傾向をたどった。リーマン・ショック前の高値と16日時点で比較すると、韓国ウォンは46%、台湾ドルは29%、人民元は22%それぞれ対円で安くなった。
 日本の輸出産業の主要な競争相手は今や韓国、台湾などのアジア企業だ。日本の産業界が円高に悲鳴を上げる理由は「ドル安」もさることながら、「アジア通貨安」にあるとの見方は多い。
 アジア諸国は自国通貨売り介入で通貨上昇を抑えている。韓国の外貨準備残高は今年6月末で2742億ドル(23兆4000億円強)と金融危機前から1割増。韓国の金融通貨当局は「ウォン相場の急激な変動は為替介入によってなだらかにする」(中央銀行幹部)のが基本スタンスだ。
 通貨安メリットは業績や株価にも反映している。自動車では韓国・現代自動車の2010年4~6月期の純利益が金融危機前の08年4~6月期の2.5倍に拡大した。トヨタ自動車など国内大手3社合計が13%減るなか、ウォン安メリットを生かして輸出競争力を高めた。現代自は低価格なだけでなく「品質向上にも目を見張るものがある」(ホンダ幹部)という。
株価にも反映
 半導体も同様の構図で、サムスン電子の10年4~6月期の半導体部門の営業利益は前年同期の8.6倍となり、エルピーダメモリや東芝の同部門の利益を大きく上回った。株価も相対的にアジア企業の方が高かったり、下げ率が小さかったりする動きになっている。
 野村証券の木内登英チーフエコノミストは、日本政府の円売り介入について「国内経済の柱である輸出企業に配慮しているというメッセージを発した」と評価する。ただ、アジアの通貨安競争に拍車をかけるとの見方もある。一部の政府関係者や学識経験者の間には、より極端な“円安誘導策”を求める声もある。
 似たような場面は過去にもあった。「日銀は金融政策の一環として外国債券を買えないか」。日本が深刻な不況とデフレに直面していた01年ごろにも盛り上がった議論で、当時の中原伸之審議委員は金融政策決定会合で外債購入を準備するよう提案、否決され続けた。
 代表選に勝利したとはいえ、菅直人首相には衆参両院で多数派が異なる国会の運営が待ち受ける。手詰まりになった政府が日銀に追加政策の矛先を向ける可能性もある。



W杯放送、実は赤字 放送権料の高騰、民放連会長が批判
 日本民間放送連盟(民放連)の広瀬道貞会長は16日の記者会見で、サッカー・ワールドカップ(W杯)の南アフリカ大会に関し、NHKと民放で構成する放送事業「ジャパンコンソーシアム」のうち、民放の収支が赤字になったと明らかにした。同事業での赤字は五輪とサッカーW杯を通じて初めて。
 国際サッカー連盟(FIFA)に支払う放送権料の高騰と、2008年の金融危機から続いた企業広告の抑制傾向が原因。広瀬会長は五輪やW杯の放送権料高騰について「世界で視聴できない地域が出るなど大きな混乱を招いている」と指摘。主催者の姿勢を「反省が求められる」と批判した。



排外主義の台頭 異文化とどう共生していくか(9月17日付・読売社説)
 敬虔(けいけん)なイスラム教徒女性が身に着ける衣装に、顔も体も覆い隠すブルカやニカブがある。これを公共の場で着用するのを禁止する法律が、フランスで成立した。
 違憲立法審査機関が異議を唱えなければ半年後に施行される。
 禁止の理由は、ブルカが厳格な政教分離や女性解放の理念に反するからだという。
 法案を準備したサルコジ政権は今夏以来、ルーマニアなどからやって来たロマ人を強制送還しているほか、重罪を犯した移民の国籍剥奪(はくだつ)も検討している。
 ロマ人や移民の若者グループが暴動を起こしたためだが、2012年の大統領選を見据えた人気回復策だ、との批判は絶えない。
 かつてジプシーと呼ばれたロマ人の追放には、欧州連合(EU)内でも、EUの基本原則「域内の移動の自由」の侵害だ、と批判が起きている。しかし、仏国民の大半は、追放にもブルカ禁止にも賛成している。
 そんな世論に迎合した排外政策だとしたら、フランスが掲げる「自由・平等・友愛」の理念が泣くのではないか。
 移民や少数派に非寛容になったのはフランスだけではない。
 欧米諸国では、9年前の米同時テロ事件で、イスラム教徒を見る目に恐怖と猜疑(さいぎ)心が加わった。
 欧州では最近の財政危機や失業率の増加で、移民に対する風当たりはさらに強くなった。オランダやハンガリーで今年前半、イスラム教徒排斥やロマ人の取り締まり強化を叫ぶ極右政党が選挙で大躍進したのは、その一例である。
 ブルカ禁止の動きはベルギーやスペインでも進む。ロマ人追放にはイタリアも乗り出した。
 ドイツでは、イスラム教徒移民やユダヤ人に対する差別的発言を繰り返した連邦銀行理事が今月初めに解任されたが、解任を支持する声は約3割にとどまった。
 移民大国の米国でも、米同時テロ跡地近くにイスラム教礼拝堂を建設する計画をめぐって、賛成派と反対派の亀裂が深まっている。反対派の牧師がイスラム教の聖典コーランを焼却すると宣言して、世界を騒然とさせた。
 グローバル化が進む今、信仰や習俗の異なる人々との共生は避けて通れない。それは、日本も例外ではない。
 異文化との共生には、移民など少数派が既存社会に溶け込む努力も欠かせない。受け入れる側には文化摩擦の中で起きる排外主義と闘う責任があろう。
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