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iPhoneが結んだドコモとサムスン「GALAXY」の縁
 NTTドコモは5日、韓国サムスン電子と共同で発表会を開き、スマートフォン「GALAXY S」を10月下旬、「GALAXY Tab」を11月下旬にそれぞれ発売すると発表した。会見では日本市場にかけるサムスン電子の意気込みが際立ったが、それには理由があるようだ。
 GALAXY Sは、NTTドコモの山田隆持社長が今年5月の夏モデル発表会で投入を予告していた製品。世界ですでに500万台が売れ、そのペースは「2秒に1台」(サムスン電子)というほどヒットしている。
 同時に発表したGALAXY Tabは、7インチのディスプレーを採用したタブレット端末。基本的な機能はGALAXY Sに近く、音声通話にも対応したのがアップルの多機能携帯端末「iPad」との大きな相違点だ。本体のスピーカーで相手の声を聞くか、Bluetooth通信のヘッドセットなどで通話する。とはいえ、やはりデータ通信を中心に使うのが一般的だろう。
アンドロイド最新版でサクサク動く
 GALAXY Sの最大の特徴は「スーパーAMOLED」という有機ELディスプレーにある。画面サイズは4インチで、発色に優れて高精細でとにかく美しい。ハイビジョン動画を再生すると、その鮮やかさに思わず映像に引き込まれるほどだ。
 米グーグルの携帯電話向け基本ソフト(OS)「Android(アンドロイド)」のバージョンは最新版の2.2。「Adobe Flash 10.1」をサポートしており、フラッシュで作成したアニメーションが入ったウェブページをパソコンと同じように閲覧できる。
 本体は9.9ミリと薄く、重さは約118グラム。米アップルのスマートフォン「iPhone4」と比べると、かなり軽く感じられる。実際に触ってみると反応よくサクサクと動き、使っていてストレスを感じることはなかった。
 ハードウエアは世界仕様だが、アプリケーションは日本向けにカスタマイズしている。
 iモードメールをスマートフォンから扱える「spモード」の専用アプリをはじめ、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「mixi(ミクシイ)」やミニブログ「Twitter(ツイッター)」用のアプリ、ゼンリンデータコムの「いつもNAVI」といった地図アプリ、電通とITベンチャーのヤッパ(東京・渋谷)が運営する「MAGASTORE(マガストア)」の電子書籍アプリなどをあらかじめインストールしている。GALAXY Tabにもほぼ同等のアプリを搭載した。
世界の人気モデルで「iPhone独走」に待った
 NTTドコモの山田隆持社長は発表会見で、今年4月に発売したソニー・エリクソン製の「Xperia(エクスペリア)」の販売台数が50万台近くに達したことを明らかにした。同社は「2010年度中に100万台」というスマートフォンの販売目標を掲げているが、「十分に達成できるのではないか」(山田社長)と、市場拡大への手応えを口にした。
 NTTドコモはこのところ、「ナンバー・ポータビリティーで毎月数万件という単位のユーザーがソフトバンクに流出している」(業界関係者)といわれる。世界の人気モデルであるXperiaやGALAXY Sは、ソフトバンクモバイルのiPhone4に優良顧客が流出するのを食い止める切り札ともなる。
 NTTドコモは秋冬商戦向けにあと5機種のスマートフォンを発表する予定。そのうち数機種は日本メーカーが開発し、「おサイフケータイ」やワンセグなどの機能を備えた日本向けの独自仕様モデルとなる見込みだ。和洋両面の商品構成で、年末商戦に挑もうとしている。
発表会ではサムスン側が製品説明
 今回の製品発表では、NTTドコモとサムスン電子の親密ぶりも目に付いた。
 会見にはサムスン電子本社の無線事業部長である申宗均(シン・ジョンギュン)氏が出席し、「NTTドコモの支援により、日本のユーザーに製品を提供できることになった。NTTドコモとは末永い協力関係を続けたい」と抱負を語った。GALAXY Sのセールスポイントを語る際も、「NTTドコモのネットワークで使える点」を挙げるなど最大限の敬意を示した。
 NTTドコモもサムスン電子に配慮した様子がうかがえる。これまでのNTTドコモの製品発表では、メーカーの担当者が詳細を説明するケースはほとんどなかったが、今回はサムスン電子の開発担当者がプレゼンテーションする時間を用意した。
GALAXY Tabを紹介するサムスンテレコムジャパン端末営業部の阿部崇次長。NTTドコモの端末でメーカーの担当者がプレゼンテーションに立つのは異例だ
 NTTドコモには「メーカーは製品の調達先であり、製品をユーザーに提供するのはドコモ自身」という明確なポリシーがある。それは製品発表でも貫かれており、4月のXperiaの発表会見も製品の詳細はソニー・エリクソンではなくドコモの山田社長が説明した。
 山田社長は今回、製品の特徴を紹介する程度にとどめ、GALAXY Sの商品コンセプトや使い方のシーン提案、詳細な仕様の説明は、サムスン電子の担当者に任せた。サムスン電子は、巨大なスクリーンを使い、かなりの費用をかけたとおぼしき映像を駆使して新製品をプレゼンテーションした。聞けば「グローバル向けに制作した映像に、日本向けにアレンジした映像を組み合わせた」(サムスン電子関係者)という。映像を追加するため、韓国から10人弱のチームが日本に来て、約1週間かけてロケや編集作業をしたそうだ。
ソフトバンク向けでは浮上できず
 こうしたサムスン電子の姿勢からは、「ドコモとのパートナーシップを生かし、日本で成功を収めたい」という強い意志が伝わってくる。
 サムスン電子は、日本市場の参入当初はボーダフォン向け、その後はソフトバンクモバイル向けに端末を供給し続けてきた。参入当初は薄型の折りたたみ端末が多かったが、世界仕様モデルを少しカスタマイズした程度では売れないと判断するや、すぐさま日本特有の機能やサービスを研究・開発し、製品に取り込んできた。最近はおサイフケータイやワンセグを搭載したタッチパネル型の端末も投入している。
 だが、iPhoneばかりを売ろうとするソフトバンクモバイル向けでは、「その他メーカーの1社」という立場からなかなか浮上できず、悔しい思いをしていたようだ。そこに救いの手をさしのべるかたちとなったのがNTTドコモ。ソフトバンクモバイルだけでなく他社にも活路を見いだしたいサムスン電子とスマートフォンを強化したいNTTドコモの思惑が一致した。
ローカライズとカスタマイズが強み
 携帯電話端末で世界シェア2位のサムスン電子は、共通仕様の端末を世界規模で展開しているが、実は国ごとに現地や携帯電話会社のニーズをくみ取ってローカライズする地力も持っている。今回発表したGALAXY Sも韓国やブラジルでは現地のテレビチューナーを内蔵して販売している。他のスマートフォンでも携帯電話会社ごとの仕様に沿った製品を納入するなど、ローカライズとカスタマイズが強さの隠れた理由となっている。
 日本でもこれまでそうしてきたように、アンドロイド版スマートフォンを日本向けにカスタマイズしてくる可能性は十分ある。サムスン電子関係者に聞くと「携帯電話会社がほしいといえば、おサイフケータイでもワンセグでもスマートフォンに載せるだろう。サムスンはそういう会社」と断言する。
 日本の携帯電話端末メーカーは、世界モデルで攻めてくる海外メーカーを日本市場に特化したスマートフォンで迎え撃とうとしてきた。しかし、そうしたすみ分けは早晩、過去のものになっていくだろう。



ソニー、携帯電話向け高性能センサー量産へ スマートフォン向け
 ソニーは7日、カメラ付き携帯電話向けに、世界初となる有効1641万画素の裏面照射型イメージセンサーを開発し、年末までに量産を開始すると発表した。スマートフォン向けなどでデジカメセンサーの世界需要は拡大しており、ソニーは2011年度までに約400億円を投入し、新製品を含め生産能力を増強する考えだ。
 新製品は携帯電話向けとして業界最小の1.12マイクロメートルの単位画素を採用し、より薄く小型のモジュール化が可能。部品数が多数に上るスマートフォンにも組み込むことができるという。
 さらにソニーは、熊本工場の設備投資で、センサーの生産能力を月間1万6000枚から2万2000万枚に増強する計画だ。



アビバ、携帯電話販売に参入
 パソコン教室大手のアビバ(名古屋市)は携帯電話の販売に参入する。東京・練馬に8日、販売店を開設する。急速に普及するスマートフォン(高機能携帯電話)など新型の携帯端末の操作法を教える教室を併設して、相乗効果を狙う。
 端末の調達、店舗運営などで携帯販売のテレコムサービス(東京・豊島)と協力する。来年3月までに首都圏を中心に10店程度展開する計画。教室は1回10人程度集めて開く。受講料は30分980円。携帯電話の購入者などには割引特典を用意することを検討している。



ヤフー、福島県に大型データセンター 「クラウド」拠点に
 ヤフーは福島県白河市に大型のデータセンターを建設する。2012年3月の完成を目指す。数万台規模のサーバーを格納し、ネット経由でソフトやシステムを提供する「クラウドコンピューティング」事業を強化する。同社は北九州市にも大型データセンターを持つ。IT(情報技術)インフラの増強で自社サイトのサービス向上にもつなげる。
 ヤフーの100%出資子会社のIDCフロンティア(東京・新宿)が建設する。まず、延べ床面積8200平方メートルのデータセンターを1棟建設する。2万5千平方メートルの敷地を確保し、最大6棟まで拡張できる。
 第1期の投資額は数十億円規模で来年春の着工を目指す。サーバーを格納する「ラック」と呼ばれる専用棚を1棟で約600台収納できる。6棟・3600ラックまで拡張すれば国内最大級になる。
 外気を取り入れてサーバーを冷却する機能を設けるなど、世界有数の「省エネ」データセンターになる見通しだ。
 IDCフロンティアは2008年10月に北九州市にも拡張可能なデータセンターを建設。同施設では現在、1棟あたり500ラックを収納できるセンターが2棟あり、最大12棟まで拡張できる。首都圏や関西圏にも中小規模のデータセンターを持ち、ヤフーはデータセンターを日本各地に分散させることでデータ管理の安全性や、データ伝送速度の向上につなげる。
 IDCフロンティアがネットベンチャーなどに提供するクラウドサービスの価格競争力も高める。ヤフーは、外部サイトに動画配信や決済サービスなどを貸し出す独自のクラウドサービス開始の検討も進めており、同事業の本格展開にもつなげるとみられる。ヤフーのポータルサイトの操作速度向上につながる。
 海外では、グーグルやアマゾン・ドット・コムなどの米ネット大手がデータセンターを相次ぎ増強。自社サイトの能力向上と共に、他社にデータセンター機能を貸し出すクラウドサービスを本格展開している。日本でもIT大手がデータセンター拡充に動いており、クラウド市場の拡大に弾みがつきそうだ。
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