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ジワリ衰退 危機感薄く 世界での存在感低下
この20年、日本は「緩慢なる衰退」を続けている。バブル崩壊後の不良債権処理を長引かせた末、いまだにデフレから抜け出せない。政治は混迷し、改革は先送りされたままだ。金融危機に見舞われた米欧は長期停滞を避けようと日本の失敗に学ぼうとしている。世界経済の歴史的転換のなかで日本は「失われた20年」から脱却できるか。戦後最大の岐路を迎えている。
戦後世界を驚嘆させた経済大国は何を間違えたか。成功のおごりか。痛みを先送りする「根拠なき楽観」か。最大の問題は日本人の多くがこの危機に危機感を覚えなくなっているところにある。
冷戦終結でグローバル経済が大転換した時代に日本国内では不良債権処理がもつれにもつれていた。1992年8月、宮沢喜一首相が打ち出した公的資金投入は経済界、旧大蔵省、メディアに反対され、あっさりお蔵入りになる。
それを最初のつまずきとすれば、住宅金融専門会社(住専)の処理は第2のつまずきだ。大蔵省銀行局長として批判の矢面に立った西村吉正早大教授は「もっとうまく収拾していたら、その後の公的資金注入もスムーズだったかもしれないが、住専問題は1度は受けなければならない洗礼だった」と述懐する。
98年10月、柳沢伯夫金融再生担当相は就任していきなり、日本長期信用銀行の破綻に直面する。「宮沢蔵相をはじめ、大銀行の破綻は避けたいとの声は強かったのだが」と漏らす。金融危機の収拾を巡って、政府内は対立する。
柳沢氏は「やってもやっても、もっと不良債権処理を、もっと公的資金注入をといわれた」と語る。金融不安の増幅を警戒する柳沢氏に対し金融担当を兼務することになる竹中平蔵経済財政相は厳しい検査に基づく大胆な不良債権処理と公的資金注入を求めた。
その竹中氏が金融危機回避の瀬戸際で取ったのは現実主義だった。2003年5月、厳格な会計処理で資本不足があらわになった、りそなに対し、株主責任を問わずに公的資金を注入する。「大きすぎてつぶせないというルールに沿った」と竹中氏は述懐する。りそな救済を機に株価は反転し、好循環が始まる。
それにしても不良債権処理には13年もかかった。日本がもたつく間にグローバル経済は回転速度を上げていた。
税制改革は先送り
「なぜ日本は冷戦終結、グローバル化という大転換を強く意識できなかったか。それは冷戦時代に緊張感がなかったからではないか」と行天豊雄国際通貨研究所理事長(元大蔵省財務官)は分析する。
改革の遅れはそれを示す。竹中氏は「小泉改革の後の政権で改革が続かずに中断された。危機が去ったと思って、政府も民間も改革マインドが緩んだ」と指摘する。
マクロ政策の失敗も大きかった。バブルの発生から崩壊、デフレ進行下で金融政策は揺らぐ。失敗を取り返そうとして次の失敗を生んだ。「緩めすぎ、締めすぎ、緩め遅れ」と行天氏はいう。速水優日銀総裁の時代はゼロ金利解除を焦り、結局、未踏の量的緩和に足を踏み入れた。デフレ脱却に「非伝統的手段」は当然だが、金利機能が働かない金融政策が日本経済の構造改善を遅らせたのも事実だ。
税財政政策の失敗は超高齢社会に向かう日本経済に負の遺産を残した。企業がバランスシート調整を急ぎ、「合成の誤謬(ごびゅう)」が生じるなかでは財政の下支えが必要だが、繰り返される財政頼みは先進国最悪の長期債務残高として積み上げられた。
何より本格的な税制改革を実行できなかったことが経済の活力と財政の健全性を損なった。先進国最低クラスの消費税率(5%)と最高水準の法人税率(40%)は何を物語るか。「政治の怠慢の一言につきる」と与謝野馨たちあがれ日本共同代表は反省する。
政治の混迷は「失われた20年」と深くからむ。永田町の権力闘争と理念なき野合、20年で14人という「首相の生産性の高さ」は日本の国際的な信認を失墜させた。
リーマン・ショックを経てグローバル経済の歴史的転換が本格化している。米欧からアジアへのパワーシフトは鮮明だ。サマーズ米国家経済会議委員長はこの大転換を「冷戦終結が小さくみえるほど歴史的だ」と考える。日本は改革でアジアの時代に好機を見いだすか。それとも内向きに傾斜して「緩慢なる衰退」から大停滞への道をたどるか。重大な選択を迫られている。
“リアル”との連携を強化、ハンゲームが新たに提案する「リアゲー」とは?
「NAVER」「Livedoor」などのネットサービスを運営するNHN Japanは7月26日、同社のゲームポータルサイト「ハンゲーム」の新戦略を発表した。その中で同社は、新しいゲームの形となる「リアゲー」というスタイルを提案している。リアゲーとは一体どのようなもので、ゲームの形をどのように変えていこうとしているのだろうか?
現在地や天気、時間などをゲームに反映
最近、ポータルサイトの「Livedoor」を買収したことで話題となったNHN Japan。だが、同社の事業の中心は、実はゲームポータルサイト「ハンゲーム」の運営である。ハンゲームは特にPCで高い人気を誇るサービスで、日本に上陸してから今年で10周年を迎える。
そこで今回、報道関係者向けに「Hangame ex 2010」というイベントを開催、ハンゲームに関する同社の今後の戦略が説明された。その中で、社長である森川亮氏が最初に取り上げたのが「リアゲー」である。
現在、TwitterやUstreamに代表されるリアルタイム性を重視したネットサービスが人気を博してきており、同社もこのリアルタイム性を重視する方針を打ち出している。だが森川氏は、ハンゲームにおいて「PCではチャットなどでリアルタイム性を提供してきたが、携帯電話向けに関しては悩んできた」と話し、その回答として示したたのが“リアゲー”になるという。
リアゲーとは、文字通り“リアルタイムゲーム”の略で、ゲームに“今”を反映させているのが大きな特徴だ。つまり、GPSによる位置情報や現在の時刻、その場所の天気などによって、ゲームのイベントが変化したり、手に入るアイテムが変化したりするのだ。「コロプラ」「ケータイ国盗り合戦」など携帯電話の位置情報を利用したゲームはいくつか存在するが、リアゲーはこれをさらに進めた形になる。
例えば、ハンゲーム内で提供されている「不思議な生き物 ねんどん」の場合、リアゲーに対応することで、遊んでいる場所で雨が降っていると、キャラクターが成長するという仕組みが取り入れられている。またPC側とケータイ側が勇者軍、魔王軍にそれぞれ分かれて戦う、9月リリース予定のRPG「トライフルストーリー」においては、昼間は勇者軍が、夜は魔王軍が有利になるなど時間によって優劣が変化するほか、場所によってその地域限定のモンスターが現れるなどの仕組みを用意するという。
ゲームで割引クーポンを入手、リアル店舗とも連携
リアゲーによるリアルタイム性をさらに生かす要素として、もう1つ新たに提供されるのが「イマコレ」だ。イマコレとは、利用する場所や時間、 天気に応じてゲームのミッションが指示され、それをクリアするとカードが手に入るというもの。
このカードには、アイテムやモンスター、美少女などゲームと連動したものが用意されており、コレクションとして楽しむことができる。だがカードには単に集めるだけでなく、別の仕組みも用意されている。
実はカードには、裏側に提携する店舗で利用可能なクーポンが用意されている場合があり、これを利用することで商品の割引など特定のサービスを受けたりできるようになるのだ。例えば宅配ピザの「PIZZA-LA」とのタイアップにおいては、カードを集めることで割引クーポンを獲得できるキャンペーンなどが提供されるという。
携帯電話でメールマガジン会員に登録すると割引クーポンが手に入るというサービスは、現在多くの飲食店で実施されている。だがイマコレでは、それにゲームによる楽しさを結びつけることで、ゲームをリアル店舗のプロモーションや販売促進に広く活用しようとしているのだ。ゲーム内だけにとどまらないリアル社会との結び付きの強化がイマコレの大きなポイントになっているといえる。
スマートフォン対応やプラットフォームのオープン化も
ハンゲームの新しい戦略は、リアゲー以外にもいくつか挙げられている。1つはスマートフォンへの展開だ。発表会同日の27日、XperiaなどのAndroid端末に向けたハンゲームがサービスを開始。いくつかのカジュアルゲームや、「イマコレ」などのサービスが利用できるようになっている。またiPhone版についても、審査の関係でやや時間がかかるものの、近日中に提供するとしている。
そしてもう1つは、ハンゲームのプラットフォームのオープン化だ。アプリケーションプラットフォームのオープン化は、mixiやモバゲータウン、グリーなどのSNSが先行しており、その上で多数の“ソーシャルゲーム”と呼ばれるゲームが流通、100万単位の会員を集めるゲームが多く誕生するなど高い人気を博している。オンラインゲーム&コミュニティサービスの元祖ともいうべきハンゲームもこの流れにのり、プラットフォームのオープン化を進めてきたようだ。
オープンプラットフォームとしては後発となるものの、ハンゲームのメリットして、PC・携帯電話・スマートフォンを1つのIDで利用できるという点、ハンゲームだけでなくLivedoorでもサービスを提供することによる集客力の高さ、そして開発者に向けた環境が整っていることを挙げている。
リアル社会と密接に連動したゲームが、プラットフォームのオープン化によって、さまざまなデバイスに向けて多数提供されること。この流れは、従来のゲームのあり方や楽しみ方を大きく変えていくというだけでなく、実際の店舗や商品を持つ企業のプロモーション手段として活用されるなど、ゲームの娯楽にとどまらない可能性も示している、ともいえそうだ。
上場企業の4~6月、経常益5倍 新興国需要の回復で
リーマン・ショック前の9割に
上場企業の収益が急回復している。2010年4~6月期決算は全産業の経常利益が前年同期の5倍に増加。新興国需要とコスト削減を支えに自動車や電機など製造業の回復が鮮明となった。経常利益は08年のリーマン・ショック前の9割の水準で、最初の四半期を終えた時点での通期予想に対する進ちょく率は29%に達した。だが円高や先進国の景気動向など懸念材料は多く、下期業績については慎重に見る企業が目立つ。
30日までに決算を発表した3月期決算企業(金融・新興3市場を除く)559社を対象に日本経済新聞社が集計した。社数で全体の36%、株式の時価総額で62%を占める。
全産業の売上高は14%増えた。リーマン以降の世界不況に直面し、企業はコスト削減を推進。収益構造がスリム化したところに新興国需要の拡大などで売上高が増え、事業や財務活動で稼いだ利益を示す経常利益は3兆8300億円と1年前の5倍に膨らんだ。1~3月期と比べると46%増。リーマン前の08年4~6月期との比較では、売上高が86%、経常利益が93%の水準まで回復した。
経常利益の改善額3兆700億円のうち60%を電機と自動車が占めた。パナソニックは税引き前損益が1300億円強改善。薄型テレビなどのデジタル家電や白物家電など「全部門で売り上げが好調に推移した」(上野山実常務)。中国向けの売上高は75%の増加となった。ソニーは薄型テレビやパソコンなど「新興国向けが40%伸びた」(加藤優・最高財務責任者=CFO)。
自動車・部品も経常損益が7000億円近く改善し黒字になった。日産自動車は世界販売台数が3割増加。小型車「ティーダ」などの好調で中国で7割近く販売台数を増やした。コマツは中国で建設機械の売り上げが8割近く増えた。
固定費削減や原価低減など前期までのリストラの効果も大きい。東芝は前期に人件費や研究開発費などコストを4300億円削減した。売上高は08年の水準を下回ったが営業利益は4~6月期として最高になった。
非製造業では、資源高で商社の利益が2.3倍となり、海運はコンテナ船事業が好調で黒字転換した。ただ、小売りや不動産は国内の不振が響き減益になった。
新キンドルは日本語対応 電子書籍端末の競争激化へ
米インターネット小売り大手アマゾン・コムが8月下旬に出荷を始める電子書籍端末キンドルの新型が、日本語に対応していることが分かった。同社が31日までに発表した。日本ではソニーやシャープも電子書籍端末の投入を予定。競争激化が予想され、日本語対応のキンドルがどこまで受け入れられるか注目される。
アマゾンによると新型キンドルは韓国語、中国語にも対応する。無線LANと第3世代携帯電話(3G)の高速データ通信に対応したモデルは189ドル(約1万6千円)、無線LANのみに対応した最廉価版は139ドル。米アマゾンのサイトで予約を受け付けており、日本からも注文できる。
グンゼ、携帯向けタッチパネルフィルム参入
グンゼは携帯電話や携帯ゲーム機向けのタッチパネル用フィルム事業に参入する。年内にも3.5インチ型の試作品を作り、受注活動を開始。2010~11年に量産を始める。同社は10インチ型など中大型のパネルが主力だったが、スマートフォン(高機能携帯電話)向けなどの需要が急拡大しているのに対応する。早期に5億円程度の売り上げを目指す。
同社は台湾工場(台南県)で、タッチパネル用のITO(酸化インジウムすず)フィルムを生産しており、新たに携帯向けの量産体制を整える。韓国のサムスン電子やLG電子など、主に海外の端末メーカー向けの供給を想定している。
これまでグンゼはフィルムの製造からタッチパネルの組み立てまで一貫生産をしてきた。ただ、海外の端末メーカーは自社のグループ内でタッチパネルの組み立てを始めるようになってきたことから、フィルムでの供給を拡大する。
調査会社のシード・プランニング(東京・台東)によると、タッチパネルの世界市場は15年には09年比3.6倍の約1兆2600億円に急拡大する見通し。スマートフォンが需要増をけん引する。これまでパソコンや電子看板など中・大型向けに特化していたグンゼも事業戦略を見直し、成長市場の需要取り込みを図る。
子ども手当「上乗せ断念」 来年も1万3千円、追加財源確保は困難
政府は31日、平成23年度予算編成の焦点である「子ども手当」の支給額について、現在の月額1万3千円からの上乗せを断念する方向で検討に入った。「今年度限りの暫定措置」と説明していた地方自治体や企業による財源負担も継続する。国の財政が厳しく、追加財源確保が困難と判断した。「23年度以降は月額2万6千円」としていた昨年夏の政権公約(マニフェスト)の度重なる方針転換には批判が必至で、今後の調整は難航が予想される。
政府が支給額を月1万3千円にとどめる検討に入ったのは、今年度2兆2554億円もかかった支給総額が、一時的な子供の数の増加で、来年度は約2・7兆円に膨らむこともある。
子ども手当を上積みするには、月額1千円アップするごとに約2千億円の財源が必要。厚生労働省の予算全体が大幅増の見込みの中、子ども手当の予算をさらに獲得することは極めて難しいと判断している。
民主党の参院選マニフェストでは、子ども手当について「地域の実情に応じて、現物サービスにも代えられる」として待機児童の解消などに活用する考えを打ち出した。政府としてはこうした保育サービスを拡充させることで、国民の理解を求めたい考えだ。
台湾の通販サイト、日本語で買い物 楽天、国際展開へ布石
楽天は主力のインターネット通販サービスで国際取引を本格的に始める。年内に台湾のネット通販サイトに出店する企業が日本向けに商品を販売できたり、台湾の消費者が日本の商品を容易に買えたりする仕組みをつくる。楽天は欧米とアジアの合計6カ国・地域への進出を決定済み。将来は世界各国の通販サイトであらゆる商品を互いに売買できる体制を目指す。
台湾で展開する仮想商店街「楽天市場台湾」の出店企業が日本向けに商品を販売しやすくする。年末までに75店舗のサイトの日本語化や日本語での顧客サポートを支援する。果物やファッション関連商品など200点以上を日本向けに販売する。日本の消費者は「楽天市場」から「楽天市場台湾」内の日本語サイトに簡単に移動して商品を購入できる。日本で使うクレジットカードで決済できる。楽天市場台湾には約1400店が出店しており、対象を今後拡大する。
9月までには、日本の「楽天市場」に出店する7800店・1600万以上の商品を、台湾の同社のサイトから検索機能を使って購入できるようにする。
楽天は中国ネット大手の百度(バイドゥ)と組んで今秋に中国でネット通販サイトの運営も始める予定。日本、台湾、中国サイトの連携を進めて、各国間で売買できる体制を整える。ネット通販では、日本のヤフーが中国アリババグループの淘宝網(タオバオ)と組んで、中国―日本間の商品売買を始めている。
職員全員がツイッターで受発信 佐賀県武雄市、全国初
佐賀県武雄市は9月1日から全職員425人にミニブログ「ツイッター」のアカウントを持たせ、イベントや福祉などの情報を発信したり、市民から行政への要望を受け付けたりする。同市によると、職員全員がツイッターのアカウントを持って業務にあたるのは全国初という。
ツイッターは140字以内で文章を“つぶやく”ミニブログ。同市の樋渡啓祐市長が5月からツイッターを本格的に始め、難病の患者から行政サービスへの苦情を受け、迅速に対応。これをきっかけに全職員にツイッターのアカウントを登録させ、業務に有効活用させることにした。
職員はイベントの込み具合の情報をリアルタイムで書き込んだり、大雨など災害時に現場の状況を迅速に発信し避難などに役立てたりしてもらう。市民から市の行政サービスへの要望もツイッターで受けられるようにする。
市役所内でも市長が就業前にツイッターで職員への指示を出し、職員がツイッターで回答するケースなどを想定。樋渡市長は「字数が限られているので要点を簡潔に伝えてもらえる。ブログに比べて使いやすい」と利便性を説く。
自治体が市町村単位でツイッターのアカウントを持ったり、首長がツイッターを活用したりしている例は少なくないが、職員全員がアカウントを持つのは初の試みだ。
日経社説
米景気の減速に日本は警戒を怠るな
米経済の減速傾向がはっきりしてきた。個人消費が盛り上がりを欠き、望ましくない物価下落も心配されだした。日本にはとくに円高・ドル安という形で影響が及ぶだけに、警戒が怠れない。
先週末発表された4~6月期の米実質成長率は前期比年率2.4%に鈍化した。気になるのは中身である。国内総生産(GDP)の7割を占める消費がさえない。企業が雇用拡大になお慎重なため、家計が先行き不安から財布のひもを緩めない。
米政府が住宅取得減税を4月末に打ち切り、住宅市場が息切れしたことの影響もある。政策の下支えがなくなると、景気が失速する。その姿は、バブル崩壊後の日本を想起させる。設備投資の拡大は好材料だが、所得に比べて過大な借金を抱えた米家計の足取りが重いなか、持続的な成長の見取り図は描きにくい。
いきおい、需要が供給を下回る需給ギャップの解消が遅れ気味だ。失業率は9%台半ばで高止まりし、食品・エネルギーを除いた消費者物価上昇率が1%を下回っている。米連邦準備理事会(FRB)内部ではデフレのリスクが警戒されだした。
GDPの発表を受けた外国為替市場では一時、1ドル=85円台まで円高が進んだ。円高・ドル安を促す大きな要因が、米国側に2つある。
ひとつは景気減速とデフレ懸念への政策対応。米国も財政赤字は深刻で一層の財政出動には限度がある。景気テコ入れは金融緩和に頼らざるを得ない。バーナンキFRB議長も、追加緩和の用意を見せている。米金利が低下すれば、その分だけ円高・ドル安が進みやすくなる。
もうひとつは、米貿易収支の悪化だ。春先以降、米国の貿易赤字が再び増え出したのは、欧州の金融混乱でユーロ相場が大幅安となったためだ。外需拡大による景気回復を目指すオバマ政権には痛手だし、中間選挙を控えて米議会の保護主義圧力は高まろう。その辺の事情を織り込みドルは売られやすくなっている。
日本の景気に対しても、米景気の先行きと為替相場の動向は重要な意味を持っている。輸出の落ち込みで日本の鉱工業生産が6月に前月比マイナスになるなど、外需主導の回復に黄信号がともりだした。
今の水準から一層の円高になるようだと、経営者や投資家の心理を冷やす恐れがある。とりわけ米国が追加緩和に動くような際に、日本が手をこまぬいていれば円高リスクは高まる。政府・日銀は事態に目を凝らし、いざという際に機動的な行動に出る態勢を整えておくべきだ。
この20年、日本は「緩慢なる衰退」を続けている。バブル崩壊後の不良債権処理を長引かせた末、いまだにデフレから抜け出せない。政治は混迷し、改革は先送りされたままだ。金融危機に見舞われた米欧は長期停滞を避けようと日本の失敗に学ぼうとしている。世界経済の歴史的転換のなかで日本は「失われた20年」から脱却できるか。戦後最大の岐路を迎えている。
戦後世界を驚嘆させた経済大国は何を間違えたか。成功のおごりか。痛みを先送りする「根拠なき楽観」か。最大の問題は日本人の多くがこの危機に危機感を覚えなくなっているところにある。
冷戦終結でグローバル経済が大転換した時代に日本国内では不良債権処理がもつれにもつれていた。1992年8月、宮沢喜一首相が打ち出した公的資金投入は経済界、旧大蔵省、メディアに反対され、あっさりお蔵入りになる。
それを最初のつまずきとすれば、住宅金融専門会社(住専)の処理は第2のつまずきだ。大蔵省銀行局長として批判の矢面に立った西村吉正早大教授は「もっとうまく収拾していたら、その後の公的資金注入もスムーズだったかもしれないが、住専問題は1度は受けなければならない洗礼だった」と述懐する。
98年10月、柳沢伯夫金融再生担当相は就任していきなり、日本長期信用銀行の破綻に直面する。「宮沢蔵相をはじめ、大銀行の破綻は避けたいとの声は強かったのだが」と漏らす。金融危機の収拾を巡って、政府内は対立する。
柳沢氏は「やってもやっても、もっと不良債権処理を、もっと公的資金注入をといわれた」と語る。金融不安の増幅を警戒する柳沢氏に対し金融担当を兼務することになる竹中平蔵経済財政相は厳しい検査に基づく大胆な不良債権処理と公的資金注入を求めた。
その竹中氏が金融危機回避の瀬戸際で取ったのは現実主義だった。2003年5月、厳格な会計処理で資本不足があらわになった、りそなに対し、株主責任を問わずに公的資金を注入する。「大きすぎてつぶせないというルールに沿った」と竹中氏は述懐する。りそな救済を機に株価は反転し、好循環が始まる。
それにしても不良債権処理には13年もかかった。日本がもたつく間にグローバル経済は回転速度を上げていた。
税制改革は先送り
「なぜ日本は冷戦終結、グローバル化という大転換を強く意識できなかったか。それは冷戦時代に緊張感がなかったからではないか」と行天豊雄国際通貨研究所理事長(元大蔵省財務官)は分析する。
改革の遅れはそれを示す。竹中氏は「小泉改革の後の政権で改革が続かずに中断された。危機が去ったと思って、政府も民間も改革マインドが緩んだ」と指摘する。
マクロ政策の失敗も大きかった。バブルの発生から崩壊、デフレ進行下で金融政策は揺らぐ。失敗を取り返そうとして次の失敗を生んだ。「緩めすぎ、締めすぎ、緩め遅れ」と行天氏はいう。速水優日銀総裁の時代はゼロ金利解除を焦り、結局、未踏の量的緩和に足を踏み入れた。デフレ脱却に「非伝統的手段」は当然だが、金利機能が働かない金融政策が日本経済の構造改善を遅らせたのも事実だ。
税財政政策の失敗は超高齢社会に向かう日本経済に負の遺産を残した。企業がバランスシート調整を急ぎ、「合成の誤謬(ごびゅう)」が生じるなかでは財政の下支えが必要だが、繰り返される財政頼みは先進国最悪の長期債務残高として積み上げられた。
何より本格的な税制改革を実行できなかったことが経済の活力と財政の健全性を損なった。先進国最低クラスの消費税率(5%)と最高水準の法人税率(40%)は何を物語るか。「政治の怠慢の一言につきる」と与謝野馨たちあがれ日本共同代表は反省する。
政治の混迷は「失われた20年」と深くからむ。永田町の権力闘争と理念なき野合、20年で14人という「首相の生産性の高さ」は日本の国際的な信認を失墜させた。
リーマン・ショックを経てグローバル経済の歴史的転換が本格化している。米欧からアジアへのパワーシフトは鮮明だ。サマーズ米国家経済会議委員長はこの大転換を「冷戦終結が小さくみえるほど歴史的だ」と考える。日本は改革でアジアの時代に好機を見いだすか。それとも内向きに傾斜して「緩慢なる衰退」から大停滞への道をたどるか。重大な選択を迫られている。
“リアル”との連携を強化、ハンゲームが新たに提案する「リアゲー」とは?
「NAVER」「Livedoor」などのネットサービスを運営するNHN Japanは7月26日、同社のゲームポータルサイト「ハンゲーム」の新戦略を発表した。その中で同社は、新しいゲームの形となる「リアゲー」というスタイルを提案している。リアゲーとは一体どのようなもので、ゲームの形をどのように変えていこうとしているのだろうか?
現在地や天気、時間などをゲームに反映
最近、ポータルサイトの「Livedoor」を買収したことで話題となったNHN Japan。だが、同社の事業の中心は、実はゲームポータルサイト「ハンゲーム」の運営である。ハンゲームは特にPCで高い人気を誇るサービスで、日本に上陸してから今年で10周年を迎える。
そこで今回、報道関係者向けに「Hangame ex 2010」というイベントを開催、ハンゲームに関する同社の今後の戦略が説明された。その中で、社長である森川亮氏が最初に取り上げたのが「リアゲー」である。
現在、TwitterやUstreamに代表されるリアルタイム性を重視したネットサービスが人気を博してきており、同社もこのリアルタイム性を重視する方針を打ち出している。だが森川氏は、ハンゲームにおいて「PCではチャットなどでリアルタイム性を提供してきたが、携帯電話向けに関しては悩んできた」と話し、その回答として示したたのが“リアゲー”になるという。
リアゲーとは、文字通り“リアルタイムゲーム”の略で、ゲームに“今”を反映させているのが大きな特徴だ。つまり、GPSによる位置情報や現在の時刻、その場所の天気などによって、ゲームのイベントが変化したり、手に入るアイテムが変化したりするのだ。「コロプラ」「ケータイ国盗り合戦」など携帯電話の位置情報を利用したゲームはいくつか存在するが、リアゲーはこれをさらに進めた形になる。
例えば、ハンゲーム内で提供されている「不思議な生き物 ねんどん」の場合、リアゲーに対応することで、遊んでいる場所で雨が降っていると、キャラクターが成長するという仕組みが取り入れられている。またPC側とケータイ側が勇者軍、魔王軍にそれぞれ分かれて戦う、9月リリース予定のRPG「トライフルストーリー」においては、昼間は勇者軍が、夜は魔王軍が有利になるなど時間によって優劣が変化するほか、場所によってその地域限定のモンスターが現れるなどの仕組みを用意するという。
ゲームで割引クーポンを入手、リアル店舗とも連携
リアゲーによるリアルタイム性をさらに生かす要素として、もう1つ新たに提供されるのが「イマコレ」だ。イマコレとは、利用する場所や時間、 天気に応じてゲームのミッションが指示され、それをクリアするとカードが手に入るというもの。
このカードには、アイテムやモンスター、美少女などゲームと連動したものが用意されており、コレクションとして楽しむことができる。だがカードには単に集めるだけでなく、別の仕組みも用意されている。
実はカードには、裏側に提携する店舗で利用可能なクーポンが用意されている場合があり、これを利用することで商品の割引など特定のサービスを受けたりできるようになるのだ。例えば宅配ピザの「PIZZA-LA」とのタイアップにおいては、カードを集めることで割引クーポンを獲得できるキャンペーンなどが提供されるという。
携帯電話でメールマガジン会員に登録すると割引クーポンが手に入るというサービスは、現在多くの飲食店で実施されている。だがイマコレでは、それにゲームによる楽しさを結びつけることで、ゲームをリアル店舗のプロモーションや販売促進に広く活用しようとしているのだ。ゲーム内だけにとどまらないリアル社会との結び付きの強化がイマコレの大きなポイントになっているといえる。
スマートフォン対応やプラットフォームのオープン化も
ハンゲームの新しい戦略は、リアゲー以外にもいくつか挙げられている。1つはスマートフォンへの展開だ。発表会同日の27日、XperiaなどのAndroid端末に向けたハンゲームがサービスを開始。いくつかのカジュアルゲームや、「イマコレ」などのサービスが利用できるようになっている。またiPhone版についても、審査の関係でやや時間がかかるものの、近日中に提供するとしている。
そしてもう1つは、ハンゲームのプラットフォームのオープン化だ。アプリケーションプラットフォームのオープン化は、mixiやモバゲータウン、グリーなどのSNSが先行しており、その上で多数の“ソーシャルゲーム”と呼ばれるゲームが流通、100万単位の会員を集めるゲームが多く誕生するなど高い人気を博している。オンラインゲーム&コミュニティサービスの元祖ともいうべきハンゲームもこの流れにのり、プラットフォームのオープン化を進めてきたようだ。
オープンプラットフォームとしては後発となるものの、ハンゲームのメリットして、PC・携帯電話・スマートフォンを1つのIDで利用できるという点、ハンゲームだけでなくLivedoorでもサービスを提供することによる集客力の高さ、そして開発者に向けた環境が整っていることを挙げている。
リアル社会と密接に連動したゲームが、プラットフォームのオープン化によって、さまざまなデバイスに向けて多数提供されること。この流れは、従来のゲームのあり方や楽しみ方を大きく変えていくというだけでなく、実際の店舗や商品を持つ企業のプロモーション手段として活用されるなど、ゲームの娯楽にとどまらない可能性も示している、ともいえそうだ。
上場企業の4~6月、経常益5倍 新興国需要の回復で
リーマン・ショック前の9割に
上場企業の収益が急回復している。2010年4~6月期決算は全産業の経常利益が前年同期の5倍に増加。新興国需要とコスト削減を支えに自動車や電機など製造業の回復が鮮明となった。経常利益は08年のリーマン・ショック前の9割の水準で、最初の四半期を終えた時点での通期予想に対する進ちょく率は29%に達した。だが円高や先進国の景気動向など懸念材料は多く、下期業績については慎重に見る企業が目立つ。
30日までに決算を発表した3月期決算企業(金融・新興3市場を除く)559社を対象に日本経済新聞社が集計した。社数で全体の36%、株式の時価総額で62%を占める。
全産業の売上高は14%増えた。リーマン以降の世界不況に直面し、企業はコスト削減を推進。収益構造がスリム化したところに新興国需要の拡大などで売上高が増え、事業や財務活動で稼いだ利益を示す経常利益は3兆8300億円と1年前の5倍に膨らんだ。1~3月期と比べると46%増。リーマン前の08年4~6月期との比較では、売上高が86%、経常利益が93%の水準まで回復した。
経常利益の改善額3兆700億円のうち60%を電機と自動車が占めた。パナソニックは税引き前損益が1300億円強改善。薄型テレビなどのデジタル家電や白物家電など「全部門で売り上げが好調に推移した」(上野山実常務)。中国向けの売上高は75%の増加となった。ソニーは薄型テレビやパソコンなど「新興国向けが40%伸びた」(加藤優・最高財務責任者=CFO)。
自動車・部品も経常損益が7000億円近く改善し黒字になった。日産自動車は世界販売台数が3割増加。小型車「ティーダ」などの好調で中国で7割近く販売台数を増やした。コマツは中国で建設機械の売り上げが8割近く増えた。
固定費削減や原価低減など前期までのリストラの効果も大きい。東芝は前期に人件費や研究開発費などコストを4300億円削減した。売上高は08年の水準を下回ったが営業利益は4~6月期として最高になった。
非製造業では、資源高で商社の利益が2.3倍となり、海運はコンテナ船事業が好調で黒字転換した。ただ、小売りや不動産は国内の不振が響き減益になった。
新キンドルは日本語対応 電子書籍端末の競争激化へ
米インターネット小売り大手アマゾン・コムが8月下旬に出荷を始める電子書籍端末キンドルの新型が、日本語に対応していることが分かった。同社が31日までに発表した。日本ではソニーやシャープも電子書籍端末の投入を予定。競争激化が予想され、日本語対応のキンドルがどこまで受け入れられるか注目される。
アマゾンによると新型キンドルは韓国語、中国語にも対応する。無線LANと第3世代携帯電話(3G)の高速データ通信に対応したモデルは189ドル(約1万6千円)、無線LANのみに対応した最廉価版は139ドル。米アマゾンのサイトで予約を受け付けており、日本からも注文できる。
グンゼ、携帯向けタッチパネルフィルム参入
グンゼは携帯電話や携帯ゲーム機向けのタッチパネル用フィルム事業に参入する。年内にも3.5インチ型の試作品を作り、受注活動を開始。2010~11年に量産を始める。同社は10インチ型など中大型のパネルが主力だったが、スマートフォン(高機能携帯電話)向けなどの需要が急拡大しているのに対応する。早期に5億円程度の売り上げを目指す。
同社は台湾工場(台南県)で、タッチパネル用のITO(酸化インジウムすず)フィルムを生産しており、新たに携帯向けの量産体制を整える。韓国のサムスン電子やLG電子など、主に海外の端末メーカー向けの供給を想定している。
これまでグンゼはフィルムの製造からタッチパネルの組み立てまで一貫生産をしてきた。ただ、海外の端末メーカーは自社のグループ内でタッチパネルの組み立てを始めるようになってきたことから、フィルムでの供給を拡大する。
調査会社のシード・プランニング(東京・台東)によると、タッチパネルの世界市場は15年には09年比3.6倍の約1兆2600億円に急拡大する見通し。スマートフォンが需要増をけん引する。これまでパソコンや電子看板など中・大型向けに特化していたグンゼも事業戦略を見直し、成長市場の需要取り込みを図る。
子ども手当「上乗せ断念」 来年も1万3千円、追加財源確保は困難
政府は31日、平成23年度予算編成の焦点である「子ども手当」の支給額について、現在の月額1万3千円からの上乗せを断念する方向で検討に入った。「今年度限りの暫定措置」と説明していた地方自治体や企業による財源負担も継続する。国の財政が厳しく、追加財源確保が困難と判断した。「23年度以降は月額2万6千円」としていた昨年夏の政権公約(マニフェスト)の度重なる方針転換には批判が必至で、今後の調整は難航が予想される。
政府が支給額を月1万3千円にとどめる検討に入ったのは、今年度2兆2554億円もかかった支給総額が、一時的な子供の数の増加で、来年度は約2・7兆円に膨らむこともある。
子ども手当を上積みするには、月額1千円アップするごとに約2千億円の財源が必要。厚生労働省の予算全体が大幅増の見込みの中、子ども手当の予算をさらに獲得することは極めて難しいと判断している。
民主党の参院選マニフェストでは、子ども手当について「地域の実情に応じて、現物サービスにも代えられる」として待機児童の解消などに活用する考えを打ち出した。政府としてはこうした保育サービスを拡充させることで、国民の理解を求めたい考えだ。
台湾の通販サイト、日本語で買い物 楽天、国際展開へ布石
楽天は主力のインターネット通販サービスで国際取引を本格的に始める。年内に台湾のネット通販サイトに出店する企業が日本向けに商品を販売できたり、台湾の消費者が日本の商品を容易に買えたりする仕組みをつくる。楽天は欧米とアジアの合計6カ国・地域への進出を決定済み。将来は世界各国の通販サイトであらゆる商品を互いに売買できる体制を目指す。
台湾で展開する仮想商店街「楽天市場台湾」の出店企業が日本向けに商品を販売しやすくする。年末までに75店舗のサイトの日本語化や日本語での顧客サポートを支援する。果物やファッション関連商品など200点以上を日本向けに販売する。日本の消費者は「楽天市場」から「楽天市場台湾」内の日本語サイトに簡単に移動して商品を購入できる。日本で使うクレジットカードで決済できる。楽天市場台湾には約1400店が出店しており、対象を今後拡大する。
9月までには、日本の「楽天市場」に出店する7800店・1600万以上の商品を、台湾の同社のサイトから検索機能を使って購入できるようにする。
楽天は中国ネット大手の百度(バイドゥ)と組んで今秋に中国でネット通販サイトの運営も始める予定。日本、台湾、中国サイトの連携を進めて、各国間で売買できる体制を整える。ネット通販では、日本のヤフーが中国アリババグループの淘宝網(タオバオ)と組んで、中国―日本間の商品売買を始めている。
職員全員がツイッターで受発信 佐賀県武雄市、全国初
佐賀県武雄市は9月1日から全職員425人にミニブログ「ツイッター」のアカウントを持たせ、イベントや福祉などの情報を発信したり、市民から行政への要望を受け付けたりする。同市によると、職員全員がツイッターのアカウントを持って業務にあたるのは全国初という。
ツイッターは140字以内で文章を“つぶやく”ミニブログ。同市の樋渡啓祐市長が5月からツイッターを本格的に始め、難病の患者から行政サービスへの苦情を受け、迅速に対応。これをきっかけに全職員にツイッターのアカウントを登録させ、業務に有効活用させることにした。
職員はイベントの込み具合の情報をリアルタイムで書き込んだり、大雨など災害時に現場の状況を迅速に発信し避難などに役立てたりしてもらう。市民から市の行政サービスへの要望もツイッターで受けられるようにする。
市役所内でも市長が就業前にツイッターで職員への指示を出し、職員がツイッターで回答するケースなどを想定。樋渡市長は「字数が限られているので要点を簡潔に伝えてもらえる。ブログに比べて使いやすい」と利便性を説く。
自治体が市町村単位でツイッターのアカウントを持ったり、首長がツイッターを活用したりしている例は少なくないが、職員全員がアカウントを持つのは初の試みだ。
日経社説
米景気の減速に日本は警戒を怠るな
米経済の減速傾向がはっきりしてきた。個人消費が盛り上がりを欠き、望ましくない物価下落も心配されだした。日本にはとくに円高・ドル安という形で影響が及ぶだけに、警戒が怠れない。
先週末発表された4~6月期の米実質成長率は前期比年率2.4%に鈍化した。気になるのは中身である。国内総生産(GDP)の7割を占める消費がさえない。企業が雇用拡大になお慎重なため、家計が先行き不安から財布のひもを緩めない。
米政府が住宅取得減税を4月末に打ち切り、住宅市場が息切れしたことの影響もある。政策の下支えがなくなると、景気が失速する。その姿は、バブル崩壊後の日本を想起させる。設備投資の拡大は好材料だが、所得に比べて過大な借金を抱えた米家計の足取りが重いなか、持続的な成長の見取り図は描きにくい。
いきおい、需要が供給を下回る需給ギャップの解消が遅れ気味だ。失業率は9%台半ばで高止まりし、食品・エネルギーを除いた消費者物価上昇率が1%を下回っている。米連邦準備理事会(FRB)内部ではデフレのリスクが警戒されだした。
GDPの発表を受けた外国為替市場では一時、1ドル=85円台まで円高が進んだ。円高・ドル安を促す大きな要因が、米国側に2つある。
ひとつは景気減速とデフレ懸念への政策対応。米国も財政赤字は深刻で一層の財政出動には限度がある。景気テコ入れは金融緩和に頼らざるを得ない。バーナンキFRB議長も、追加緩和の用意を見せている。米金利が低下すれば、その分だけ円高・ドル安が進みやすくなる。
もうひとつは、米貿易収支の悪化だ。春先以降、米国の貿易赤字が再び増え出したのは、欧州の金融混乱でユーロ相場が大幅安となったためだ。外需拡大による景気回復を目指すオバマ政権には痛手だし、中間選挙を控えて米議会の保護主義圧力は高まろう。その辺の事情を織り込みドルは売られやすくなっている。
日本の景気に対しても、米景気の先行きと為替相場の動向は重要な意味を持っている。輸出の落ち込みで日本の鉱工業生産が6月に前月比マイナスになるなど、外需主導の回復に黄信号がともりだした。
今の水準から一層の円高になるようだと、経営者や投資家の心理を冷やす恐れがある。とりわけ米国が追加緩和に動くような際に、日本が手をこまぬいていれば円高リスクは高まる。政府・日銀は事態に目を凝らし、いざという際に機動的な行動に出る態勢を整えておくべきだ。
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