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孫正義社長の新参謀が激白!
ソフトバンクモバイル 松本徹三副社長インタビュー
─来春より、NTTドコモは、新しく発売される携帯の全端末を対象に、「SIMカード」(利用者を識別するためのモジュール)のロックをはずす準備を進めるとの意向を明かしました。これがはずせると、利用者は自分の意思で通信会社を選べるようになります。
 最近まで、ドコモは「消費者からの要請があれば考えますよ」という消極的なスタンスでした。
 常識的に考えれば、まず2~3機種を「SIMロック・フリー端末」にして様子を見ながら、消費者の反応に合わせて、少しずつ端末を増やしていくものでしょう。
 あまり他社のことを言うべきではないですが、なぜ突然、全機種を対象にSIMロックをはずす意思決定に至ったのかについては意味がわかりません。「なんらかの思惑で、ドコモは初めからはずすつもりだったのでは?」などと邪推してしまいます。じつは、今回の一件については、当のドコモが仕掛け人で、「裏で総務省を動かした」と見る人もいるでしょうね。
 ドコモにすれば、強力な商材のiPhoneやiPadの販売権は獲得できなかったけれど、通信料金は欲しいということだと思います。
─しかし、ソフトバンクは、日頃からNTTに対して「開放」を求めていながら、一方でiPhoneやiPadに限って「ロックは当然」と開き直っています。その姿は、世間の支持を得られないのでは?
 確かに、言葉で聞くと、開放=善、ロック=悪という響きになります。でも、一つひとつを“別個の問題”として考えてほしい。
 それでソフトバンクモバイル(SBM)に対して悪いイメージが付くのはいやなのですが、現時点ではロックをはずしても(消費者には)大きなメリットがなく、むしろデメリットのほうが大きいと主張しています。
 たとえば、今、SIMロックをはずしたら、それまで使っていた端末に固有の機能(たとえば、ドコモのiモードなど)は使えなくなりますし、反対に乗り換えた先の端末に固有の機能も一部が使えなくなります。本当に、電話に毛の生えたような限定的な使い方しかできなくなってしまいます。
 SBMのスタンスとしては、「今はSIMロックをはずしません」になります。ただし、すでにデータ通信の国際ローミング(転送)用の料金メニューは発表していますし、海外出張などでSIMカードが必要な人には2~3種のSIMロック・フリー端末を出せるように準備を始めています。
─松本さんは、もともとは伊藤忠商事の情報・通信畑出身で、チップ・メーカーの米クアルコム社では本社の上級副社長まで務めました。そもそも、孫正義社長とは、どのような経緯で意気投合することになったのですか?
 6年前のある日、久しぶりに孫さんから「お会いできませんか?」と連絡をいただきました。
 当時は、私はクアルコムの幹部でしたから、携帯電話事業に乗り出す前の孫さんは“見込み顧客”でもありました(笑)。
 以来、何度か顔を出すうちに、社内会議にも参加するようになりました。まだ、私は部外者だったのですが、そこに集まる社員と同じように「どう思うか?」と意見を求められるのです。
 あるとき、孫さんが、海外製の安価な端末を高く掲げて「これをタダで配るぞ」と熱っぽく語りました。まだ、携帯電話事業に参入する前です。私は、「孫さん、それは無理です。日本では、高機能の端末に慣れた人が多いので、いまさら機能限定の安価な端末はタダでも欲しがらない。子どもにも相手にされない」と意見を述べました。
 すると、孫さんは少し残念な顔をしましたが、5秒でその理屈を納得し、一瞬で方針を切り替えてしまったのです。私も、元商社マンですから数多くの実業家に会いましたが、あんな人は初めてでした。なにしろ、人から聞いたばかりの話でも、10分後には自分のものにして話すのですから。
─当時、松本さんは、生活の拠点を米国に移そうとしていた時期ですよね。孫さんの口説き文句は、どんな感じだったのですか?
 それが、かなりむちゃくちゃでした。英ボーダフォンの日本法人を買収した後で、孫さんから連絡がありました。米国に半移住するつもりの私が顔を出すと「オレは命を賭けてやる。だから、アンタも手伝うのが当然だ」と。今度は理屈もなにもないんです(笑)。
 3日間、それまでの人生を振り返って考えました。商社マンの頃は、NTT関連の仕事で汗を流しました。クアルコムに転じてからは、KDDIを成長させようと頑張りました。ようやく、「この男(孫さん)なら、通信の世界をガラリと変えられるかもしれない」と意気に感じて、決めました。
─現在、松本さんのミッションは、どのようなものなのですか?
 私の肩書きは、副社長となっていますが、実質的には“アドバイザー”のような立場です。
 ラインの事業を担当していませんので、割と自由に動けます。というのも、SBMの前身はボーダフォンでしたが、なにからなにまで英国本社が決めていたので、海外に独自のパイプを持っている人がいなかったのです。
 そこで、もともとは商社マンで、海外に人脈もある私が、海外通信事業者の動向や情報を取ってくる役割を買って出たということなのです。海外出張は、月に2回程度ですが、SBMは「GSMA」という世界の携帯電話事業者の業界団体のボードメンバーでもあるので、孫さんも私も積極的に発言するようにしています。
 おもしろいのは、この団体に加入する事業者は、すべて世界各国を代表する既存の通信事業者ばかりです。そのなかで、ボーダフォンの推薦で入れてもらったSBMだけが、インターネット系のモバイル事業者であるところです。
 世界の通信事業者たちは、米国のグーグルやアップルを恐れていますし、自らの動きが遅いことも自覚しています。このまま行くと彼らにおいしいところを持っていかれて、自分たちの事業は“土管”(通信回線を貸し出すだけの存在)に成り下がってしまうと心配しています。
 ですから、契約者数ではとうてい仲間に入れてもらえないはずのSBMでも、「なにかやりそうな存在」ということで、入れてもらえました。すでに4年目で、日本のモバイルは注目されていることを肌で感じています。
─松本さんには、「若い世代に語り継ぎたいことがある」そうですが、どのようなことでしょうか?
 日本が、なぜ世界から孤立するのかと言えば、理由は簡単です。
 まず、国内の市場を固めてから海外へ出ようとするのでタイミングが遅れる。次に、国内で固めてしまうので“日本仕様”になる。最後にオールジャパン(企業連合)で出て行こうとする──。
 その調子では、最初から負けが見えています。若い人たちには、世界で戦うということは、むしろ敵地の会社と組んだほうがよいという判断もあるのだという発想を身につけてほしいですね。



ソフトバンク、ウィルコム全面支援 管財人も派遣
 ソフトバンクは2日、会社更生手続き中のPHS大手ウィルコムを全面支援すると発表した。ウィルコムは契約数の減少などで経営悪化が進んでおり、再建計画の策定が難航している。ソフトバンクは当初、高速通信が可能な次世代PHS事業への出資だけにとどめる予定だったが、事業家管財人も派遣して全面支援する。
 企業再生支援機構などが当初まとめた再生計画では、ソフトバンクの支援は次世代PHS事業が中心。現行PHSに対してはネットワークやコールセンターの効率化など一部の支援だけだった。
 しかし当初の想定より事業の棄損が激しく、再建自体が難しくなってきたため、ウィルコムの管財人がソフトバンクに全面的な支援を要請していた。
 ソフトバンクはウィルコムに事業家管財人を送り込み、10月14日までに裁判所へ提出する予定となっている更生計画案の策定にとりかかる。ウィルコムの弁済総額は取引金融機関などによる債権カットにより約410億円となる見込み。ウィルコムはソフトバンクの支援を受けながら6年かけて弁済していく計画。
 PHS事業には投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP)が3億円を出資して単独で支援する予定だったが、ソフトバンクが最終的に譲り受ける予定。



ヤフー井上社長がMSに反論 提携後も「グーグルとは競争し続ける」
 インターネット検索で世界最大手の米グーグルと国内最大手の日本のヤフーが提携を決めたことに対し、米マイクロソフト(MS)が反対姿勢を強めていることを受けて、ヤフーの井上雅博社長は2日、都内で記者会見し、「検索サービスでグーグルのシェアが90%を超えるということはない」などと述べ、両社の提携が「競争を阻害する」としているMS側の主張に反論した。
 井上社長は、ヤフーとグーグルは「営業部隊も広告マーケットもまったく別」とした上で、「グーグルとはこれからも競争をし続ける」と強調した。
 日本のヤフーの第2位株主である米国のヤフーとMSは、世界規模で検索事業を事実上統合し、グーグルを追う計画を進めている。井上社長は、MSではなくグーグルの検索エンジンの採用を決めた理由について「インターネットの世界は変化が激しい。(日本のヤフーが)成長するために何が正しいのかという点から、グーグルがいいと総合的に判断した」と説明した。
 ヤフーは7月27日、グーグルと提携し、グーグルの検索エンジンと検索連動型広告配信システムを採用すると発表。実質的に国内で9割超のシェアをグーグルが掌握するとの見方から、MSは両社の提携に異議を唱えていた。



セブン&アイ、電子雑誌の掲載商品をネット通販
出版社と連携、コンビニで受け渡し
 セブン&アイ・ホールディングスは電子書籍市場に参入する。電子版の雑誌に掲載された商品をインターネット通販で簡単に購入できるサービスを年内にも始める。消費者は多機能携帯端末などを使って雑誌を眺めながら、気に入った商品を注文し、コンビニエンスストアの店頭などで受け取る。電子書籍を活用して、ネットと店舗を融合したサービスを展開する。
 3日に出版社や音楽ソフト関連企業など約750社を集め、新サービスへの参加を求める。事業を担うのは、グループでネット通販を手掛けるセブンネットショッピング(東京・千代田)。セブン&アイの通販サイトを通じて、電子化した雑誌の内容の一部や商品情報を提供する。まず800誌前後の雑誌の電子版を導入したい考えだ。
 雑誌に掲載された商品のネット通販では、衣料品やアクセサリーなどの需要を見込んでいる。セブン&アイは、ネット通販経由の販売額の一定割合を出版社などに還元していく。
 2011年度には電子書籍のダウンロード販売も始める。セブン&アイのネット通販事業は現在300億円超だが、電子雑誌を使ったネット通販をテコに、12年度に3倍の1000億円規模に引き上げる。
 高機能携帯電話(スマートフォン)や多機能携帯端末で雑誌を閲覧する。米アップルの製品だけでなく、シャープやソニーなど幅広いメーカーの端末に対応できるようにする。
 出版社やネット通販会社も雑誌と連動した通販サービスを手掛けているが、大手流通小売りでは初めて。セブンイレブンの書籍販売は雑誌を中心に年間約1300億円に達しており、国内の雑誌販売としては最大手。コンビニで送料無料で商品を手渡すだけでなく、店頭に並べていない雑誌を無線LAN(構内情報通信網)を通じて店内で配信することも検討。通販で人気の高い商品を店頭の品ぞろえに生かすなどネットと店舗の相乗効果を狙う。



<エコカー補助>新たな支援を…トヨタ副社長
 トヨタ自動車の布野幸利副社長(渉外担当)は2日、日本のエコカー補助金制度が9月末で終了することについて「円高の影響もあり、配慮いただきたい」と述べ、政府の新たな支援策が必要との認識を示した。名古屋市内で記者団の質問に答えた。
 布野副社長は各国政府の支援策が終わりつつあり、世界の新車市場は踊り場局面を迎えていると指摘。ドイツメーカーなどはユーロ安の恩恵で、国内販売の冷え込みを輸出採算の改善で補っているが、日本勢は円高に直面しており「他国メーカー以上にしんどい」と述べた。自動車はすそ野の広い産業であるため「業界のエゴではなく、一つの景気浮揚策として考えてもらいたい」と語った。



アサヒ、韓国で飲料再編
首位ロッテと提携へ 商品を共同開発、3位子会社は売却
 アサヒビールは韓国ロッテグループと同国の清涼飲料事業で提携する方針を固め、近く交渉に入る。清涼飲料の最大手メーカーであるロッテと現地向け商品を開発、同社の販路活用も検討しているもよう。一方、子会社で同国3位のヘテ飲料(ソウル市)は他社に売却し、ロッテとの提携戦略に切り替えて成長市場開拓を急ぐ。キリンホールディングスもこのほどシンガポールの飲料大手に資本参加しており、国内飲料大手のアジア事業強化に向けた合従連衡が加速してきた。
 ロッテは韓国の清涼飲料市場でシェア(出荷ベース)50%近くを握る。アサヒはロッテと、自社が得意とする健康志向に配慮した高付加価値分野で韓国向け商品を開発。量販店などロッテの営業網に乗せて売る方向で交渉する見通し。
 アサヒは2004年にロッテとビール販売の合弁会社を韓国に設立し、05年から「スーパードライ」を売っている。清涼飲料で提携すれば、物流・販売面でビール事業との相乗効果も見込めると判断した。
 09年の韓国の清涼飲料市場は小売りベースで約4700億円。日本の1割弱の規模だが、数量で前年比10%近く伸びた。アサヒは00年にヘテ飲料に20%出資して同市場に参入。04年に連結子会社化し、現在は発行済み株式の58%を保有する。
 ヘテはシェア約10%と同25%の韓国コカ・コーラに次ぐメーカーだが、主力の果汁飲料を中心に苦戦。03年12月期に350億円あった売上高は今期に200億円まで減り、営業損益も24億円の赤字となる見込み。アサヒはロッテとの提携に軸足を移す考えを固め、ヘテ売却へ向けて他社と交渉に入る方針などを2日までにヘテ側に伝えた。
 国内飲料大手はビール市場がピーク時から2割減るなど内需縮小に直面する中、特に成長するアジアでの収益基盤強化が課題。キリンはサントリーホールディングスとの経営統合が破談したが、7月末に約850億円を投じてシンガポールのフレイザー・アンド・ニーヴに15%弱を出資、国際展開を加速している。
 アサヒの10年12月期見込みの海外売上高比率は7%と、キリン(25%)やサントリー(22%)に比べて出遅れている。このため、15年12月期までに連結売上高を2兆~2兆5000億円(前期は1兆4724億円)、海外比率を20~30%にそれぞれ引き上げる計画だ。
 アサヒはビール事業では09年に中国2位の青島ビールに出資し、今年に世界4位のカールスバーグ(デンマーク)と香港やマレーシアの販売で提携した。実現しなかったものの、韓国でロッテとビール大手の共同買収を検討した経緯がある。清涼飲料でも台湾の大手商社、三商行股●(にんべんに分)グループに生産を委託するなど、巻き返しを急いでいる。
 これまでキリンを含めて国内飲料大手のアジア戦略は、海外企業の買収や国内商品の輸出が主軸だった。今回、アサヒがロッテとの提携を実現すれば、海外でのパートナーを乗り換えたうえで商品開発から着手するという事業再編のモデルケースになる可能性がある。



【産経主張】菅首相 腰引けて日本を担えるか

 菅直人首相が就任以来、初の予算委員会審議に臨んだ。日本をどうするのかを明確に語ってもらいたかったが、参院選で大敗した釈明の範囲にとどまっている印象が否めない。
 内政外交の懸案解決に腰が引けているようにみえる。それでどうして日本丸を担えるのか。
 とりわけ問題なのは、消費税増税について、平成22年度中に改革案をとりまとめるとの方針を自ら撤回しようとしていることだ。
 首相はこの日、「消費税自体が否定されたのではなく、取り上げ方がまずかった。その面も反省している」などと改めて釈明した。今後の消費税への対応については、民主党内での議論が必要なことや、低所得者対策など多くの課題があることを挙げ、「いつまでにと期限を切ることは改めたい」と述べた。首相は先月30日の国会召集日の記者会見でも「代表選で約束にすることは考えていない」と、消費税の争点化は避けたい考えを示している。
 参院選に際し、首相は自民党が掲げた「10%」を参考にし、与野党協議を呼びかけ、今年度中の改革案とりまとめを提起した。予算委では「財政再建はだれが首相でも、だれが政権を担当しても避けられない」と改めて与野党協議を呼びかけ、予算編成に野党の意見を反映させる意向も示した。
 だが、民主党内の強い反発を受け、消費税について首相はまたもぶれている。これでは野党側も協議に乗れないだろう。消費税増税の必要性を認めながら具体的な論議は避けようとする姿勢はわかりにくい。引き続き政権を担いたいのなら、懸案解決の処方箋(せん)を示すしかあるまい。
 首相への提言機関に格下げされた「国家戦略室」の扱いでも混乱がある。枝野幸男幹事長が一転して「局」への格上げを目指す姿勢を示し、首相も「格下げとは全く違う」と釈明した。だが、首相は「予算編成そのものをやるなら、主計局350人の部隊を官邸に持ってくることになる。そこまでは考えていない」と、戦略局を予算編成の司令塔とする当初構想に否定的だ。このことも昨夏の総選挙で約束したのではないか。
 予算委では与党議員からも「どういう国家像を目指すのか」と質問された。首相の発言が同僚議員の心からも離れているとしかいいようがない。
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