00430000s@merumo.ne.jp に空メールすると、ブログと同じ内容のメルマガをが配信されます。twitterはhttps://twitter.com/wataru4 です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
スマ-トフォン激戦一段と マイクロソフト、HPも新製品
アップルは通信会社増やす
【シリコンバレー=岡田信行】米IT(情報技術)大手の高機能携帯電話(スマートフォン)を巡る競争が激化している。マイクロソフト(MS)の新型OS(基本ソフト)を使った新製品が近く登場するほか、ヒューレット・パッカード(HP)は来年初めにも自社OSの新型機を投入。先行するアップルは通信会社の選択肢を広げて迎撃する見通し。「ネットといえば携帯よりパソコン」だった米国の常識を、スマートフォンが大きく変えようとしている。
年末商戦で、のろしを上げるのはMSだ。11日にニューヨーク市で開くイベントで、新型OS「ウィンドウズフォン7(セブン)」を搭載した新型機について詳細を発表する。米ITメディアは8日、「MSが(米通信大手の)AT&Tと組む」と一斉に報じた。
「7」搭載の新型機は、「テレビ、パソコン、携帯機器の3サイズの画面をネットにつなぐ戦略」(スティーブ・バルマー最高経営責任者)の要。現行OSでアップルやグーグルに完敗しただけに、いかに挽回(ばんかい)するかに注目が集まる。
米調査会社ニールセンの調べでは、2009年末に「携帯電話ユーザーの5人に1人」だったスマートフォン普及率は、11年には「2人に1人」に高まる見通し。「インターネット接続」といえばパソコンで、喫茶店でも空港でもノート型パソコンを開く姿が一般的な米国でも、携帯電話でネット接続し、アプリケーションソフトやコンテンツ(情報の内容)を楽しむ使い方が普及するとみられている。
そうした急成長市場を狙ってIT大手の本格参入も目立つ。HPは来年初めに独自OSを搭載したスマートフォンを発売する。7月までに買収完了した携帯端末大手パームの技術を活用。パームの「ウェブOS」を使ったスマートフォンになるとみられている。
「iPhone(アイフォーン)」で個人向けのスマートフォン市場を切り開いたアップルも通信会社の選択肢を増やして、ユーザー層拡大に動く。従来独占契約を結んでいたAT&Tに加え、米携帯通信最大手のベライゾン・ワイヤレス向けにもiPhoneを供給する見通しだ。
独自OS「アンドロイド」で協力メーカーを一気に増やした後発のグーグルが猛追しており、アップルは通信網の拡充で利用者拡大を進めるとみられる。
序盤戦にアップルの大量点リードを許し、グーグルが猛追してきた米国のスマートフォン競争。各社は脱落せずに巻き返せるか。激しい中盤戦が始まった。
「マジコン」販売に刑事罰 文化庁、来年にも著作権法改正案 海賊版のゲームソフトをインターネットでダウンロードして遊べるようにする機器(回避機器)について、文化庁は製造・販売やサービスの提供などを規制するため、刑事罰の導入を盛り込んだ著作権法の改正案を今年度中にまとめる方針を固めた。早ければ来年の通常国会に提出する見通し。アジアや欧米各国では、携帯ゲーム機向けの「マジコン」と呼ばれる機器が多数出回り、国内でも被害が深刻化しており、歯止めをかけるのが狙いだ。
マジコンをめぐっては、不正競争防止法で機器の頒布などに対する損害賠償請求権が認められており、東京地裁では昨年、販売などの禁止を命じる判決も出されたが、同法に罰則規定がないため現行の民事措置だけでは抑止効果が低く、氾濫(はんらん)させる一因になっているとの指摘もある。
一方、日本が強みを持つコンテンツ産業の成長を阻害する懸念も広がっており、文化庁は知的財産権の侵害だけでなく、産業振興の観点からも刑事罰の早期導入を図りたい考えだ。
ゲーム機本体には、違法にダウンロードした海賊版ソフトを正常に起動させないアクセスコントロール機能がついているが、マジコンを使えば、誰でも簡単に制御機能を無効にすることができる。
海賊版ソフトは、ファイル共有ソフトなどを通じて多数流通。マジコンを使った被害額は、全世界で4兆円近くにのぼるという推計データもある。
日本では著作権法上、ソフトを流通させた者のほか、今年1月の改正法で個人が著作権者の承諾を得ずにダウンロードした場合でも違法となったが、マジコンそのものの売買については同法で摘発できない。
さらに、マジコンユーザーがゲームのダウンロード目的ではなく、音楽や映像の再生など別の用途での利用を主張するケースや、販売時点では回避機能をつけず、購入後にネットで回避プログラムをダウンロードさせるケースもあるなど、手口が巧妙化している。
このため文化庁は、主に海外で製造されているマジコンの輸入規制を視野に入れ、関税法を所管する財務省や、不正競争防止法を所管する経済産業省とも連携。罰則については、懲役刑の導入も検討している。
■マジコン 人気携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」の海賊版ソフトを使えるようにする回避機器で、語源は「マジックコンピューター」。DSには海賊版ソフトが起動しない技術が組み込まれているが、ソフトのデータをSDカードなどの記憶媒体に取り込み、マジコンに挿入してDS本体つなげば使用可能になる。1個5千円程度で市販されており、ネット販売などで簡単に手に入る。
野放し状態、コンテンツ産業の成長阻害も 「マジコン」刑事罰
インターネット上で出回る携帯ゲーム機の海賊版ソフトを利用可能にする制御回避機器「マジコン」などの製造・販売について、文化庁が刑事罰を含む著作権法の厳格化に乗り出す方針が10日、明らかになった。マジコンをめぐっては、著作権者が莫大(ばくだい)な損害を受ける一方、これまで規制に向けた有効な手立てがなく、いたずらに流通を許す状態が続いていた。同庁は他の機関とも連携し、不法行為の一掃を目指す構えだ。
社団法人「コンピュータエンターテインメント協会」が東大に調査を依頼し、今年6月に公表した「違法複製ゲームソフトのダウンロードに関する使用実態調査」によると、マジコン使用による被害額は昨年までの6年間で、国内で少なくとも9540億円、全世界では3兆8160億円にのぼると試算される。
調査では、携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の人気ソフト(日本語版)を対象に、ネット上に存在する114の違法サイトで確認できたダウンロード回数を集計して被害額を算出。違法サイトのサーバーはすべて海外に設置され、米中の2カ国で6割を占めていた。
しかし、ファイル共有ソフトを使った違法ダウンロードは今回の調査対象になっておらず、協会関係者は「被害額は数倍に及ぶ可能性もある」と指摘する。
これまで製造・販売に対して有効に取り締まる方策がなかったマジコンなどの回避機器は、大阪・日本橋の電気街などでも簡単に手に入れることができる。他方、このまま野放しにすれば、日本のコンテンツ産業の成長を脅かしかねない状態になっている。
文化庁が厳格化に乗り出す背景には、こうした実情への強い危機感がある。同庁関係者は「関係省庁とも連携し、総合的な対策で厳しく流通を規制したい」としている。
パソコン半導体、画像処理競う インテルの戦略試す
インテル3.0 巨人の挑戦
インターネット経由の動画視聴が広がるなか、パソコンの心臓部を巡る競争の軸が画像処理半導体(GPU)に変わってきた。パソコン向けMPU(超小型演算処理装置)で世界シェアの約8割を握る米インテルも、GPUに限れば過半を押さえる程度。GPUの機能を取り込んだ次世代MPU「サンディーブリッジ」は、インテルが新市場でも影響力を保てるかどうかの試金石となる。
動画視聴が急増
8月4日、米連邦取引委員会(FTC)は米インテルとの市場独占を巡る訴訟で和解したと発表した。「和解の対象にはMPUだけでなくチップセットやGPUも含まれる」。同日、米ワシントンで開いた記者会見の冒頭、FTCのジョン・レイボウィッツ委員長はこう強調した。
インテルは同社だけからMPUを購入するパソコンメーカーに有利な取引条件を提示することや、競合他社と取引したパソコンメーカーに報復することを禁じるといった和解案を受け入れる。10年以上にわたって各国の独禁当局とこの手の訴訟を繰り広げてきたが、今回の和解で目を引くのはGPUについてはっきりと言及したことだ。
その3カ月ほど前、米サンタクララの本社で開いたアナリスト向け説明会。トム・キルロイ上席副社長は動画共有サイト「ユーチューブ」などの視聴時間が急増していることを示す右肩上がりのグラフを示し、「これがメーンストリームだ」と話した。処理能力、低消費電力に次ぐ新たなパソコンの競争軸として「画像のきれいさ」が加わったことを意味する。
だが、画像処理という競争軸の誕生が必ずしもインテルに味方をするとは限らない。
米マイクロソフト(MS)は6月、米サンフランシスコで閲覧ソフト(ブラウザー)「インターネットエクスプローラー9(IE9)」の説明会を開いた。応援のために登壇したのはMSとともにパソコンの黄金期を築いたインテルではなく、米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)や米エヌビディアの幹部たちだった。
IE9の特徴のひとつは動画表示の滑らかさだが、これはGPUを得意とするAMDやエヌビディアとの協力により実現した。いわばIE9はGPUとの連携を優先して開発した初めてのブラウザーであり、この分野ではGPUとの連携がより重要になるというのは業界の共通認識だ。
56億5300万ドル対17億2100万ドル――。これはインテルと、AMDの年間の研究開発費(2009年12月期)だ。圧倒的なシェアを握るパソコン・サーバー向けMPUからの利潤を研究開発や設備投資に回し、ライバルを上回るスピードで高性能な次世代商品を生み出すのがインテルの“勝利の方程式”だ。
近年は製造技術とコア(中枢回路)の設計技術を交互に刷新し、毎年新製品を出す「チックタック戦略」を実践している。時計が時を刻むように決まったペースで新製品を出して自社製品でさえも短時間で陳腐化、結果として価格も維持してきた。だがGPUが競争の中心となりインテルの主力であるMPUの役割が低下すれば戦略の根幹が揺らぎかねない。
「再び革命起こす」
GPUの台頭にどう立ち向かうのか。13日に米サンフランシスコで開いた開発者向け会議の席上、ポール・オッテリーニ社長がその答えの一端を示した。「サンディーブリッジはもう一度パソコン業界に革命を起こす」。サンディーブリッジというコードネームで開発を進めている次世代MPUこそが新たな競争軸へのインテルの対抗策になる。
会場の片隅にある2台のパソコンに目をやると、同じゲームが表示してあった。「細かい動きや影に注目してください」と担当者。サンディーブリッジはいわばGPUの機能を取り込んだMPU。展示はMPUとGPUの双方を搭載した現行のパソコンと比較し、新製品の性能の高さを訴える趣向だ。「1つのチップにまとめるので消費電力も下がる」という。
サンディーブリッジが市場に出回る11年はMPUとGPUが融合する“元年”になるが、06年にGPU大手のATIテクノロジーズ(カナダ)を買収したAMDもこれを好機とみる。AMDもMPUとGPUの融合を進めており、ダーク・マイヤー社長も新製品が「パソコンの使い方を大きく変えることになる」と強調。口ぶりにはオッテリーニ社長と相通じるものがある。
競争軸の変化は好機であるとともに、リスクにもなる。実際、05年ごろには低消費電力が新たな競争軸となったがインテルは出遅れてシェアが7割程度まで下がり、収益悪化を招いた。サンディーブリッジの成否は短期の業績を左右するのはもちろんだが、同社の繁栄を築いた戦略が今後も有効かを占ううえでも重要な意味を持つ。
アップルは通信会社増やす
【シリコンバレー=岡田信行】米IT(情報技術)大手の高機能携帯電話(スマートフォン)を巡る競争が激化している。マイクロソフト(MS)の新型OS(基本ソフト)を使った新製品が近く登場するほか、ヒューレット・パッカード(HP)は来年初めにも自社OSの新型機を投入。先行するアップルは通信会社の選択肢を広げて迎撃する見通し。「ネットといえば携帯よりパソコン」だった米国の常識を、スマートフォンが大きく変えようとしている。
年末商戦で、のろしを上げるのはMSだ。11日にニューヨーク市で開くイベントで、新型OS「ウィンドウズフォン7(セブン)」を搭載した新型機について詳細を発表する。米ITメディアは8日、「MSが(米通信大手の)AT&Tと組む」と一斉に報じた。
「7」搭載の新型機は、「テレビ、パソコン、携帯機器の3サイズの画面をネットにつなぐ戦略」(スティーブ・バルマー最高経営責任者)の要。現行OSでアップルやグーグルに完敗しただけに、いかに挽回(ばんかい)するかに注目が集まる。
米調査会社ニールセンの調べでは、2009年末に「携帯電話ユーザーの5人に1人」だったスマートフォン普及率は、11年には「2人に1人」に高まる見通し。「インターネット接続」といえばパソコンで、喫茶店でも空港でもノート型パソコンを開く姿が一般的な米国でも、携帯電話でネット接続し、アプリケーションソフトやコンテンツ(情報の内容)を楽しむ使い方が普及するとみられている。
そうした急成長市場を狙ってIT大手の本格参入も目立つ。HPは来年初めに独自OSを搭載したスマートフォンを発売する。7月までに買収完了した携帯端末大手パームの技術を活用。パームの「ウェブOS」を使ったスマートフォンになるとみられている。
「iPhone(アイフォーン)」で個人向けのスマートフォン市場を切り開いたアップルも通信会社の選択肢を増やして、ユーザー層拡大に動く。従来独占契約を結んでいたAT&Tに加え、米携帯通信最大手のベライゾン・ワイヤレス向けにもiPhoneを供給する見通しだ。
独自OS「アンドロイド」で協力メーカーを一気に増やした後発のグーグルが猛追しており、アップルは通信網の拡充で利用者拡大を進めるとみられる。
序盤戦にアップルの大量点リードを許し、グーグルが猛追してきた米国のスマートフォン競争。各社は脱落せずに巻き返せるか。激しい中盤戦が始まった。
「マジコン」販売に刑事罰 文化庁、来年にも著作権法改正案 海賊版のゲームソフトをインターネットでダウンロードして遊べるようにする機器(回避機器)について、文化庁は製造・販売やサービスの提供などを規制するため、刑事罰の導入を盛り込んだ著作権法の改正案を今年度中にまとめる方針を固めた。早ければ来年の通常国会に提出する見通し。アジアや欧米各国では、携帯ゲーム機向けの「マジコン」と呼ばれる機器が多数出回り、国内でも被害が深刻化しており、歯止めをかけるのが狙いだ。
マジコンをめぐっては、不正競争防止法で機器の頒布などに対する損害賠償請求権が認められており、東京地裁では昨年、販売などの禁止を命じる判決も出されたが、同法に罰則規定がないため現行の民事措置だけでは抑止効果が低く、氾濫(はんらん)させる一因になっているとの指摘もある。
一方、日本が強みを持つコンテンツ産業の成長を阻害する懸念も広がっており、文化庁は知的財産権の侵害だけでなく、産業振興の観点からも刑事罰の早期導入を図りたい考えだ。
ゲーム機本体には、違法にダウンロードした海賊版ソフトを正常に起動させないアクセスコントロール機能がついているが、マジコンを使えば、誰でも簡単に制御機能を無効にすることができる。
海賊版ソフトは、ファイル共有ソフトなどを通じて多数流通。マジコンを使った被害額は、全世界で4兆円近くにのぼるという推計データもある。
日本では著作権法上、ソフトを流通させた者のほか、今年1月の改正法で個人が著作権者の承諾を得ずにダウンロードした場合でも違法となったが、マジコンそのものの売買については同法で摘発できない。
さらに、マジコンユーザーがゲームのダウンロード目的ではなく、音楽や映像の再生など別の用途での利用を主張するケースや、販売時点では回避機能をつけず、購入後にネットで回避プログラムをダウンロードさせるケースもあるなど、手口が巧妙化している。
このため文化庁は、主に海外で製造されているマジコンの輸入規制を視野に入れ、関税法を所管する財務省や、不正競争防止法を所管する経済産業省とも連携。罰則については、懲役刑の導入も検討している。
■マジコン 人気携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」の海賊版ソフトを使えるようにする回避機器で、語源は「マジックコンピューター」。DSには海賊版ソフトが起動しない技術が組み込まれているが、ソフトのデータをSDカードなどの記憶媒体に取り込み、マジコンに挿入してDS本体つなげば使用可能になる。1個5千円程度で市販されており、ネット販売などで簡単に手に入る。
野放し状態、コンテンツ産業の成長阻害も 「マジコン」刑事罰
インターネット上で出回る携帯ゲーム機の海賊版ソフトを利用可能にする制御回避機器「マジコン」などの製造・販売について、文化庁が刑事罰を含む著作権法の厳格化に乗り出す方針が10日、明らかになった。マジコンをめぐっては、著作権者が莫大(ばくだい)な損害を受ける一方、これまで規制に向けた有効な手立てがなく、いたずらに流通を許す状態が続いていた。同庁は他の機関とも連携し、不法行為の一掃を目指す構えだ。
社団法人「コンピュータエンターテインメント協会」が東大に調査を依頼し、今年6月に公表した「違法複製ゲームソフトのダウンロードに関する使用実態調査」によると、マジコン使用による被害額は昨年までの6年間で、国内で少なくとも9540億円、全世界では3兆8160億円にのぼると試算される。
調査では、携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の人気ソフト(日本語版)を対象に、ネット上に存在する114の違法サイトで確認できたダウンロード回数を集計して被害額を算出。違法サイトのサーバーはすべて海外に設置され、米中の2カ国で6割を占めていた。
しかし、ファイル共有ソフトを使った違法ダウンロードは今回の調査対象になっておらず、協会関係者は「被害額は数倍に及ぶ可能性もある」と指摘する。
これまで製造・販売に対して有効に取り締まる方策がなかったマジコンなどの回避機器は、大阪・日本橋の電気街などでも簡単に手に入れることができる。他方、このまま野放しにすれば、日本のコンテンツ産業の成長を脅かしかねない状態になっている。
文化庁が厳格化に乗り出す背景には、こうした実情への強い危機感がある。同庁関係者は「関係省庁とも連携し、総合的な対策で厳しく流通を規制したい」としている。
パソコン半導体、画像処理競う インテルの戦略試す
インテル3.0 巨人の挑戦
インターネット経由の動画視聴が広がるなか、パソコンの心臓部を巡る競争の軸が画像処理半導体(GPU)に変わってきた。パソコン向けMPU(超小型演算処理装置)で世界シェアの約8割を握る米インテルも、GPUに限れば過半を押さえる程度。GPUの機能を取り込んだ次世代MPU「サンディーブリッジ」は、インテルが新市場でも影響力を保てるかどうかの試金石となる。
動画視聴が急増
8月4日、米連邦取引委員会(FTC)は米インテルとの市場独占を巡る訴訟で和解したと発表した。「和解の対象にはMPUだけでなくチップセットやGPUも含まれる」。同日、米ワシントンで開いた記者会見の冒頭、FTCのジョン・レイボウィッツ委員長はこう強調した。
インテルは同社だけからMPUを購入するパソコンメーカーに有利な取引条件を提示することや、競合他社と取引したパソコンメーカーに報復することを禁じるといった和解案を受け入れる。10年以上にわたって各国の独禁当局とこの手の訴訟を繰り広げてきたが、今回の和解で目を引くのはGPUについてはっきりと言及したことだ。
その3カ月ほど前、米サンタクララの本社で開いたアナリスト向け説明会。トム・キルロイ上席副社長は動画共有サイト「ユーチューブ」などの視聴時間が急増していることを示す右肩上がりのグラフを示し、「これがメーンストリームだ」と話した。処理能力、低消費電力に次ぐ新たなパソコンの競争軸として「画像のきれいさ」が加わったことを意味する。
だが、画像処理という競争軸の誕生が必ずしもインテルに味方をするとは限らない。
米マイクロソフト(MS)は6月、米サンフランシスコで閲覧ソフト(ブラウザー)「インターネットエクスプローラー9(IE9)」の説明会を開いた。応援のために登壇したのはMSとともにパソコンの黄金期を築いたインテルではなく、米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)や米エヌビディアの幹部たちだった。
IE9の特徴のひとつは動画表示の滑らかさだが、これはGPUを得意とするAMDやエヌビディアとの協力により実現した。いわばIE9はGPUとの連携を優先して開発した初めてのブラウザーであり、この分野ではGPUとの連携がより重要になるというのは業界の共通認識だ。
56億5300万ドル対17億2100万ドル――。これはインテルと、AMDの年間の研究開発費(2009年12月期)だ。圧倒的なシェアを握るパソコン・サーバー向けMPUからの利潤を研究開発や設備投資に回し、ライバルを上回るスピードで高性能な次世代商品を生み出すのがインテルの“勝利の方程式”だ。
近年は製造技術とコア(中枢回路)の設計技術を交互に刷新し、毎年新製品を出す「チックタック戦略」を実践している。時計が時を刻むように決まったペースで新製品を出して自社製品でさえも短時間で陳腐化、結果として価格も維持してきた。だがGPUが競争の中心となりインテルの主力であるMPUの役割が低下すれば戦略の根幹が揺らぎかねない。
「再び革命起こす」
GPUの台頭にどう立ち向かうのか。13日に米サンフランシスコで開いた開発者向け会議の席上、ポール・オッテリーニ社長がその答えの一端を示した。「サンディーブリッジはもう一度パソコン業界に革命を起こす」。サンディーブリッジというコードネームで開発を進めている次世代MPUこそが新たな競争軸へのインテルの対抗策になる。
会場の片隅にある2台のパソコンに目をやると、同じゲームが表示してあった。「細かい動きや影に注目してください」と担当者。サンディーブリッジはいわばGPUの機能を取り込んだMPU。展示はMPUとGPUの双方を搭載した現行のパソコンと比較し、新製品の性能の高さを訴える趣向だ。「1つのチップにまとめるので消費電力も下がる」という。
サンディーブリッジが市場に出回る11年はMPUとGPUが融合する“元年”になるが、06年にGPU大手のATIテクノロジーズ(カナダ)を買収したAMDもこれを好機とみる。AMDもMPUとGPUの融合を進めており、ダーク・マイヤー社長も新製品が「パソコンの使い方を大きく変えることになる」と強調。口ぶりにはオッテリーニ社長と相通じるものがある。
競争軸の変化は好機であるとともに、リスクにもなる。実際、05年ごろには低消費電力が新たな競争軸となったがインテルは出遅れてシェアが7割程度まで下がり、収益悪化を招いた。サンディーブリッジの成否は短期の業績を左右するのはもちろんだが、同社の繁栄を築いた戦略が今後も有効かを占ううえでも重要な意味を持つ。
PR
この記事にコメントする