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マイクロソフト、新OSスマートフォンを米で11月8日発売
 【ニューヨーク=小川義也】米マイクロソフト(MS)が開発した新型の携帯電話用基本ソフト(OS)「ウィンドウズフォン7(セブン)」を搭載した高機能携帯電話(スマートフォン)が11月以降、世界30カ国以上で順次登場する。MSはアップルの「iPhone(アイフォーン)」やグーグルのOSを搭載した機種に対抗。IT(情報技術)の次の主戦場であるスマートフォン市場で攻勢をかける。
 MSのスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)が11日、ニューヨーク市内で開いた記者会見で発表した。「7」搭載の新製品は韓国サムスン電子や台湾HTCなどが機器の開発・製造を手掛け、世界60社以上の携帯通信事業者が販売・対応する。一部機種はMSが自社の直営店で販売する。
 米国では11月8日に通信大手のAT&Tが韓国サムスン電子製の機種を199.99ドル(約1万6400円)で発売するなど年内に9機種が登場。Tモバイル、ベライゾン・ワイヤレス、スプリント・ネクステルも順次発売する。米国のほか、英、独、仏、シンガポールなどでも年内に発売し、販売地域を広げていく考え。



「携帯の心臓部に信頼性を」 米インテル上席副社長
インテル3.0 巨人の挑戦
 米インテルはパソコン市場の拡大に歩調を合わせて業績を伸ばしてきた。2010年4~6月期は売上高、利益率ともに過去最高を記録したが、今夏以降は一部地域でパソコン販売が失速、業績の減速懸念が高まった。中長期ではパソコン市場の成熟化による“成長の限界”もささやかれる。全世界の販売やマーケティングを統括するトム・キルロイ上席副社長に聞いた。
 ――7~9月期の売上高予想を8月末に従来の112億~120億ドルから108億~112億ドルに引き下げた。
 「これは米国と欧州で個人向けのパソコン販売が減速したためだ。メーカーが在庫の調整に入っており、当社の予想修正も妥当だ。ただ、それ以外の分野では引き続き需要は堅調で、日本ではビジネス向けの代替需要などが非常に好調だ。今年は市場全体も10%台後半の成長が見込まれており、依然として高水準だ」
 ――中国市場の減速を指摘する声もあるが。
 「そのような兆候はない。政府の景気刺激策が効果を上げており、ビジネス、消費者向けの双方とも健全だ。新興国需要に加えて、一家で複数台のパソコンを所有する傾向が強まる。今後4~5年で世界のパソコン市場は現在の2倍に増えるとみている」
 ――新興国がけん引役となると安価な商品ばかりが売れて収益性が落ちるのではないか。
 「必ずしもそうではない。例えば中国では最初に購入するパソコンとしてネットブックなど安価な製品ではなく『本物のパソコン』を選ぶ傾向が強い。ただ、2台目以降はそうでない場合もあるし、市場、分野ごとに事情は違う」
 ――米アップルの「iPad(アイパッド)」など多機能携帯端末の市場が立ち上がった。インテルはアップルにパソコンのMPU(超小型演算処理装置)を供給しているが、iPad向けは受注できなかった。
 「多機能端末はエキサイティングな分野。ネットブックの初期と同様に高成長が続くだろう。アップルとは強い関係を築いており、iPadやiPhone(アイフォーン)向けに供給するチャンスはある。アップルとの取引は他の顧客との関係と同様に大切だ」
 ――消費電力が少なく価格も安い「アトム」は多機能端末などを想定して開発したはずだが、現状では供給先がネットブックに限られている。
 「それはネットブックがパソコン市場の延長線上にあり、参入しやすかったからだ。ただ現在は消費者が携帯電話などで動画視聴などより高度な体験を求めており、MPUの性能がより重要になっている。低消費電力と性能を両立したアトムが必要とされる環境が整ってきた」
 ――スマートフォン(高機能携帯電話)や多機能端末向けのMPU市場にはライバルが多い。インテルはパソコン市場と同様にここでも圧倒的な存在感を示せるか。
 「より大きなチャンスが広がっており、成功する自信はある。ただ、こうした市場での実績はまだゼロであり、時間はかかるだろう。シェア目標などに言及するのは差し控えるが、まず必要なのは性能などに対する信頼性を高めることだ」



ノーベル経済学賞、「労働市場の摩擦論理」構築の米教授ら3氏に
 【ロンドン=木村正人】スウェーデンの王立科学アカデミーは11日、2010年のノーベル経済学賞を、市場には取引相手を見つける時間や費用などの摩擦が存在するとのモデルを構築した米マサチューセッツ工科大のピーター・ダイヤモンド教授(70)ら3人に授与すると発表した。
 他の2人は米ノースウエスタン大のデール・モルテンセン教授(71)、英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのクリストファー・ピサリデス教授。
 同アカデミーは授賞理由について「就職募集が多い時になぜ大量の失業者が発生するのかという疑問に応える理論を構築し発展させた。この理論は労働市場だけでなく他の市場にも応用されている」と評価した。
 労働市場は使用者と労働者が一堂に会して円滑に契約が結ばれるのではなく、互いに相手を見つけるのに時間や費用を要する。このため、労働者が十分な雇用機会を獲得できない一方、使用者も必要な労働力を確保できない状況が生じるモデルを構築した。
 この理論からは、失業保険を手厚くすると失業率が高くなり、再就職までに要する時間が長くなるという結論も導き出されている。
 賞金1千万スウェーデンクローナ(約1億2千万円)は3等分される。授賞式は12月10日にストックホルムで行われる。



交流サイト運営のミクシィ、業績拡大へ自社も交流?
 交流サイトの会員数でグリーに首位の座を明け渡したミクシィ。9月10日に「mixi」と楽天やヤフーといった外部のサイトを連携させる新戦略を打ち出した。4~6月期に稼いだ連結純利益4億7500万円は、ディー・エヌ・エーの1割以下、グリーの単独税引き利益の2割以下。新戦略は、かつての高い成長力を取り戻すための布石になるのだろうか。
 「何が出てくるのだろう」。都内のホテルで開かれた発表イベントには技術者やデザイナーなど、約3000人が集まった。当日のテーマは「インターネットからソーシャルネットへ」。内容は、楽天市場やカカクコムが運営する「食べログ」といった外部のサイト上に、「mixiチェック」というボタンを設置。1回クリックするだけでお薦めのレストラン、お気に入りの商品、ニュースなどの情報をmixi上で簡単に友人に知らせるサービスを導入するというものだ。イベントでは、原田明典副社長が楽天やヤフーからのゲストも交えて具体的に説明した。
 ただ、用意したスライドは65枚あったが、業績に関係しそうなスライドは1枚だけ。投資家にとっては「期待はずれの内容」(国内証券アナリスト)だった。8月下旬から上昇傾向にあった株価は下落に転じ、今月4日には一時42万1000円と、8月27日以来の安値を付けた。
 今回の新戦略は、業績拡大につながる可能性があるのか。ミクシィが期待しているのは2つある。1つはmixiの利用者やサイト閲覧数増加だ。ネット通販やニュースサイトを利用しているものの、これまでmixiを使っていない中高年層を取り込める可能性がある。利用者が増えて交流が一段と活発になれば、広告媒体価値の向上につながる。
 もう1つは課金サービス収入の拡大だ。新サービスを導入すれば、友人がどんな商品や飲食店に興味を持っているか把握しやすくなる。その情報をみて、友人同士がプレゼントしあう。ミクシィが通販サイトなどとの間に入ることで、手数料を得られる可能性がある。小泉文明取締役は「お金の流通に食い込みたい」と話す。住所を知らない会員に年賀状を郵送できるようにする「ミクシィ年賀状」で手数料を受け取っているのに近いイメージだ。
 では具体的には業績にはいつ結びつくのか。小泉取締役は「2012年3月期か、もう少し先。1~2年のスパンで考えたい」と話す。
 5日時点のミクシィの時価総額は687億円と、ディー・エヌ・エーの3775億円、グリーの2956億円に大きく差を付けられた。携帯ゲームに特化したサイトを運営する他の2社は、ゲーム利用者への課金で業績を大きく伸ばした。ミクシィは2社と一線を画し広告モデルを中心に据えてきた。現時点ではそれが業績に結びついていない。
 今回の新戦略は、サイトの利用者からの課金も増やしたいというミクシィの思惑が見える。会員によるサイト上のコメントの集積をいかにして自社の利益に結びつけるか。それは、ミクシィ自身がゲーム会社やネット企業の枠を超えて、飲料品や衣料品などを取り扱う事業会社との交流を拡大できるかにかかっている。



【産経主張】緊急経済対策 元気引き出す規制緩和を
 政府が総額5兆円規模の緊急経済対策を閣議決定した。円高デフレから脱却するうえで欠かせない対策だけに、裏付けとなる補正予算の早期成立を求めたい。
 しかし、対策の中身には疑問点が多いと言わざるを得ない。新卒者の就職対策や中小企業の資金繰り支援などを盛り込んではいるが、新規産業の育成や企業の設備投資の増加につながるような「元気の出る対策」は見あたらないからだ。
 菅直人政権は輸出産業に対して円高にも耐える構造転換を促しながら、企業の創意工夫を引き出す規制緩和などの産業政策に取り組まねばならない。
 15年ぶりとなる円高水準に対応し、日銀は4年3カ月ぶりに実質的なゼロ金利政策を打ち出して日米の金利差縮小に動いた。これに続く形で、政府・与党がこの対策を策定することで円高阻止やデフレ脱却を目指したといえる。
 ただ、肝心の対策は焦点がぼけている印象が拭(ぬぐ)えない。住宅エコポイントの対象拡充や地方が公共事業に使える地域活性化交付金は景気の下支え役にとどまる可能性がある。従業員を解雇せず、休業などにとどめた企業に支払われる雇用調整助成金の条件緩和も盛り込まれたが、これも新規雇用の創出につながるものではない。
 日本経済の先行き不透明感が強まる中で、企業は設備投資を手控えたままだ。医療や福祉などで規制緩和を進め、設備投資や新規産業の育成を促すことで雇用を生み出そうとする工夫がみられないのは残念だ。
 一方で政府は、今回の対策と同時に地球温暖化対策基本法案を閣議決定し、再び国会に提出する構えをみせる。温暖化ガスの国内排出量を厳しく規制する同法案に対し、産業界は「海外への工場移転につながる」と反対している。政府・与党は産業界との意思疎通を緊密化して国内投資を活発化させる政策を進める必要がある。
 産業界の意識も変えなければならない。
 円高を生かして海外企業を買収するなど、積極的な事業展開が求められる。企業の手元資金は過去最高の水準に達している。これを国債などの安全資産で運用するだけでは成長は見込めない。リスクを冒しても新たな市場を開拓する企業家精神なくして日本経済の自律的な回復は望めない。
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