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通信と放送の価値観が衝突!携帯マルチメディア放送の多難
6月25日の夕方、総務省の8階にある冷房の効かない大会議室で、“通信と放送の融合”の将来を占う重要な公聴会が開かれた。
その公聴会とは、「携帯端末向けマルチメディア放送の実現のための開設計画に関する公開説明会」。2011年度中に開始される「携帯マルチメディア放送」を実現する技術計画に関して、将来的な事業化を目指す事業者が自らの採用した技術方式の詳細や優位性を説明するための場だった。
端的に言えば、“携帯電話会社が放送の領域まで足を伸ばすための新技術”の説明会である。
その背景にあるのは、2011年7月にテレビ放送が地上デジタル放送へ移行することによって、現行のアナログ放送の周波数の一部に出る“空きスペース”の問題だ。
そこで、放送事業者用に割り当てていた電波を通信事業者に開放して有効活用させようという構想が持ち上がったのである。そして、この空きスペースを狙って、新しいビジネスを展開しようと名乗りを挙げたのが、二大通信事業者の率いる“企業連合軍”だ。
まず、2005年12月から、近い将来の事業化を見込んで放送分野への進出を模索し始めたKDDIと、通信機器のチップメーカーである米クアルコム社が立ち上げた「メディアフロージャパン企画」がある。メディアフローというのは、クアルコム社が開発した技術方式とサービスの名称である。
一方で、3年後の2008年12月より動き始めたのが、NTTドコモが中心の「マルチメディア放送」である。こちらには、フジテレビ、ニッポン放送、伊藤忠商事、スカパーJSAT、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、電通、住友商事などが株主に名を連ねている。
通信と放送は発想が異なる
やる気まんまんのKDDI側の強い要請により、初めて実現した6月25日の公聴会では、両陣営の主張は技術上の問題点を指摘し合うことばかりに終始し、あまり建設的なものにはならなかった。
それもそのはず、傍目には通信事業者同士による免許取得合戦のように見える。だが実際は、意図せずして、「通信事業者の論理」と、「放送事業者の論理」が正面から衝突することになったのだ。
すでに米国で実際にサービスが開始されているメディアフローの増田和彦社長(KDDI出身)が“消費者の利便性”を前面に打ち出したのに対して、まだ試作機を公開できていないマルチメディア放送の二木治成社長(NTTドコモ出身)は“端末とコンテンツが一体で発展するエコシステム”という説明をせざるを得なかった。
この時、両陣営が公表した事業計画の中身を比較すると、顕著な違いが見えてくる。基地局の設備計画に色濃く表れているのだ。
メディアフローは、サービスの利用者が携帯電話などのモバイル端末を持ち歩くということを前提に、大都市圏のビル陰でも電波が届きやすいように中小型の基地局を865局設置するという。
一方で、マルチメディア放送は、現在建設中の「東京スカイツリー」など既存の放送局が持つ大型設備を使って125局設置する。各地の放送局から、強力な電波を送り出すというやり方なので、基地局の数が少ない。「地デジ」の延長線上にある技術で、各地の放送局がそれぞれの地域をカバーする。
つまり、ほとんど独力で未開拓の放送分野に打って出たメディアフローが「通信事業者の論理」(電波のつながりやすさ)で発想しているのに対し、後発ゆえに既存の放送局(在京のキー局)と組んだマルチメディア放送は、「放送局の論理」(コンテンツの配信を一元的に管理する)を最優先して計画を立てている点が“真逆”になっているのである。
「それは、やがては移動体通信が主役になることが見えていながら、NTTドコモは、技術の面で放送業界に押し切られたということを意味する」(放送業界関係者)。
放送局の論理では、自分たちの役割は、番組などのコンテンツの製作と管理が優先なので、消費者に最も近い端末の開発などは“後回し”になる。もとより放送局は、他分野から来た通信会社をコンテンツの供給先として考えても、対等な事業パートナーとは見ていないので、便利だからといって易々と技術に関するイニシアティブを手放そうとはしない。
「いつか来た道」に戻ることになるのか
NTTドコモにとっては気の毒な話だが、25日の公聴会の場でも、総大将として参加したKDDIの小野寺正社長兼会長が自説を主張するのに対して、同じく総大将として参加したNTTドコモの山田隆持社長は、いつもと違って一言も発言しなかった。
しかも、マルチメディア放送の技術の話は、ほぼすべて同席したフジテレビの技術系幹部によってなされた。山田社長は、もともと通信の技術者出身だが、放送技術の話だったので、横から口を挟むことができなかったのだ。
それが通信分野の話であれば、話は違ったはずである。ある通信業界関係者は、「通信事業者の性として、(電波がつながりやすくするために)山田社長は設備を細かく打つ必然性について、熱弁を振るったはず」と同情を隠さない。
この7月中には、両陣営のどちらかに対して、総務省から認可が下りると目されている。国際標準のメディアフローか、または国内限定のマルチメディア放送か。
下馬評では、米国以外にも20カ国で導入が検討されているメディアフローではなく、現在は計画段階に過ぎないマルチメディア放送に「たった1つしかない認可枠」が与えられると囁かれている。
というのも、総務省内には、通信分野を監督する部門と、放送分野を監督する部門が別々に存在しているが、今回の公聴会を主導したのは放送業界を見ている放送政策課だからだ。
図らずも今回は、積年の「通信vs放送」の対立構造が“再浮上”してしまった格好だ。残された時間は少ないが、今回の携帯マルチメディア事業者の認定に当たっては、従来の“放送業界の利権”に配慮して改革を骨抜きにするという「いつか来た道」に戻ることがないように祈るばかりである。
ソフトバンク、都市集中型に転機 投資増で接続改善なるか
米アップルの「iPhone(アイフォーン)」で快進撃を続けるソフトバンク。新規獲得から解約を引いた純増数でトップを走るが、目を引くのは東京を中心とした都市圏で効率よく稼ぐ都市集中型のビジネスモデルだ。しかし、この手法も転機を迎えつつある。
「地元では『ソフトバンクは電波が入らないからやめておけ』と言われている」。25日の株主総会で千葉県から来たという男性からこんな声が上がった。孫正義社長は基地局の増強などを説明する中で思わずこう漏らした。「自宅で電波が入らないのはユーザーの2%。カバーを98%から99%に引き上げるのに大変なコストがかかる。設備投資の効率からすると、なかなか悩ましい」
株式市場では相次ぐ大型商品の投入で「契約増に弾みが付く」との期待が膨らんでいる。株価は21日に一時、2007年12月以来の2500円台を回復。その後も高値圏で推移しているが、この躍進を支えてきたのが都市集中型の戦略だ。4~5月は契約純増数が約47万件に達したが、東京、東海、関西の3大都市圏が84%を占めた。大都市圏比率はNTTドコモが73%、KDDI(au)は64%。都市圏での純増数69万件のうち約6割をソフトバンクがさらった。
09年10月時点で3大都市圏には総人口の53%が集中する。学生向けの割引プランやスマートフォン(高機能携帯電話)を武器に、若年層や30~40代のビジネス需要を取り込んできたことが、顧客基盤の拡大を支えてきた。
都市型戦略は投資負担の軽さにつながってきた。10年3月期の携帯電話関連の設備投資はドコモの5千億円台、KDDIの4千億円弱に対し、ソフトバンクは2千億円弱にとどまる。
全国通信網という「面」より、都市圏の「点」を優先する戦略は曲がり角が近づいている。地方の通信状況改善に加え、都市部でもiPhoneなどのヒットでさらにネットワークへの負担は重くなる一方だ。「『圏外』を減らし、データ通信能力を増強する」(孫社長)ため、今期の設備投資はグループ全体で4千億円と前期比1.8倍に膨らむ。
投資負担の増加は収益拡大の重荷になる可能性がある一方、同社の弱点だった「つながりにくさ」を克服できれば利用者層の拡大につながるかもしれない。
ミニストップ、全店で公衆無線LAN ソフトバンクと連携
イオングループのコンビニエンスストア、ミニストップは公衆無線LAN(構内情報通信網)サービスをほぼ全店の約2千店で利用できるようにする。米アップルの携帯電話iPhone(アイフォーン)などの高速無線インターネット通信を店内で可能にし、飲食コーナーの利用客の利便性を高める。7月1日から順次広げ、2010年度中に完了する。
ソフトバンクモバイルの無線LANサービスを導入する。接続速度は通常の携帯電話回線の数倍で、5月に国内で発売された多機能情報端末「iPad(アイパッド)」にも対応する。一部の工事費を除き、機器や接続回線にかかわる費用はソフトバンクモバイルが負担する。病院内など一部の店舗を除いて設置する。
ミニストップの店舗は、ファストフードやソフトクリームを店内で食べることができるカウンター席(4~8席)を設けた「イートイン」コーナーが特徴。
ネットサービス企業、利用者課金が収益の柱に ディーエヌエなど広告逆転
インターネットでサービスを提供する企業が会員から得る課金収入を拡大している。従来は取引先企業から得る広告収入を柱にしていたが、個人からの利用料を徴収する収益構造に変わりつつある。収益の柱を複数持つようになったネット企業は景気変動の影響を受けにくく、株式市場での評価も高まっている。
「大きく会社が様変わりしている」。ディー・エヌ・エーの南場智子社長は手応えを感じている。交流サイト「モバゲータウン」で1~3月期の利用料収入は100億円と、広告収入の5倍に拡大。2009年10~12月期に利用者課金が初めて広告を上回り、前四半期では稼ぎ頭となった。
交流サイトのゲームは基本的に無料。ただし、持続的に楽しむには武器や道具など数百円程度のアイテムを購入する必要がある。30歳代を中心に利用が広がり、4~6月期の連結純利益は58億円と、前年同期の3.3倍に伸びる。
「今夜のおかずは何にしようかしら」。夕方になると主婦からのアクセスが増える携帯電話レシピサイト「モバれぴ」はクックパッドの収益源。10年4月期の単独税引き利益を5億6700万円と前の期の2.4倍に押し上げた原動力だ。
利用者課金の売上高は約5倍の8億5100万円で、食品メーカーから受け取る広告料(3億8800万円)を初めて上回った。「利用料を払っても見る価値のあるサイトとして満足度を高めていきたい」(佐野陽光社長)という。
携帯コンテンツのドワンゴが運営する動画共有サイト「ニコニコ動画」事業は1~3月期に初めて黒字化した。優先的に動画を視聴できる有料会員の増加が寄与した。夏野剛取締役は「動画サイトの黒字化は世界で初めてに近いのではないか」と話す。
ネットサービス企業が利用者課金へかじを切っているのは、ネット広告の伸びが鈍化してきたため。野村総合研究所はネット広告市場の成長率は10年は10%だが、11~14年は5~7%程度にとどまるとみている。
一方で課金収入を拡大できず、広告に依存する企業は苦戦が目立つ。交流サイト運営のミクシィは「過度な利用料の徴収を避けている」(幹部)。11年3月期の連結純利益は6%増の13億円と、競合のグリーやディーエヌエに比べて増益幅が少ない。販促や広告など企業からの収入が主力のぐるなびは11年3月期の連結純利益は28%減の16億円となる見込みだ。
利用者課金を拡大している企業への市場の評価も高い。昨年末からの株価をみると、ディーエヌエ、グリー、クックパッドが2~4割上げた一方、ぐるなびやミクシィは4割強の下げだ。
ネット企業にとって課金収入の拡大は、景気変動への抵抗力が増すことを意味する。一般的に広告事業よりも利益率が高いという利点もある。
比較サイト運営のカカクコムは「食べログ」での情報閲覧による課金を拡大する方針。エムスリーは課金できる医療情報サイトの数を増やす。広告主の費用対効果に対する判断が厳しさを増すなか、ネット企業のビジネスモデルは今後も広告中心から徐々に変化していきそうだ。
ワーナー、映画30作品を一括販売 TV向けネット配信で
洋画大手のワーナーエンターテイメントジャパン(東京・港)は7月1日、インターネットを使った動画配信で、毎月30作品の映画を視聴できるサービスを始める。テレビ向けネット配信サービスの「アクトビラ」を活用。特定の映画配給会社の動画をまとめて販売するのは珍しい。
新サービス「ワーナー・フィルムズ」は米ワーナー・ブラザーズの映画から毎月30作品を選択。月が替わるたびに更新する。アクションやサスペンスなど幅広いジャンルを毎月用意する。料金は月1470円。単品で購入する場合の3作品分より安く設定した。
映画の黒子である配給会社の名前を表面に出してコンテンツを販売するのは異例だ。毎月の作品名は購入前に「アクトビラ」の画面やサービス運営会社アクトビラ(東京・渋谷)のホームページで分かるようにする。
アクトビラにはパナソニックやソニーなどの電機大手が出資。電機大手が販売する対応テレビをネットに接続すると映画やドラマなどの動画を有料で視聴できる。
日印原子力協定 核軍縮と不拡散も強く求めよ(6月30日付・読売社説)
日本とインドが、原子力協力協定の締結に向けて交渉を開始した。
インドは、核拡散防止条約(NPT)を不平等条約だとして加盟せず、独自に核開発を進めている核兵器保有国だ。12年前の核実験に際しては、対抗して核実験を強行した隣国パキスタンともども国際社会の制裁を受けた。
日本は、そのインドへの原子力協力をこれまで控えてきた。すべての国のNPT加盟を求め、新たな核兵器国の出現を許さず、核軍縮を進めて究極的に核兵器のない世界の実現を目指す。そういう日本の非核政策が根底にあった。
今回、方針を転換した以上、従来の政策との整合性が問われる。この点、政府の見解ははっきりしない。丁寧に説明すべきだ。
2年前、日本など原子力供給国グループ(NSG、現在46か国)は、インドへの輸出規制を「例外扱い」で解除することを全会一致で承認した。インドとの関係強化を目指す米国が主導した。
インドは、民生用の核施設を国際原子力機関(IAEA)の査察下に置き、抜き打ち査察を可能にする追加議定書にも署名した。
岡田外相は、「例外化」後のインドの行動を注視し、約束を着実に実行したことを確認して、今回の決断を下したと説明した。
経済成長が著しい大国インドは今後、エネルギー需要の急増が見込まれている。インドの原発を受注した米国やフランスの企業は、提携する日本の大手メーカーの協力が欠かせない。米仏両国からの強い要請も背景にあった。
地球温暖化対策、インドとの協力強化、日本の原子力産業の活性化などを考えると、原子力協力にはメリットがある。
反面、インドは核保有を不問に付され、査察対象とならない軍事用の核施設は存続できる。民生用原発の核燃料の確保にもメドがつき、乏しい国内のウラン資源を軍事用に回すことが可能だ。
ライバルのパキスタンが危機感を抱き、同様の「例外扱い」を求めるのも不思議はない。それを後押ししようとするのは中国だ。
インドへの例外扱いは、NPTを順守する加盟国に不満を抱かせており、ブラジルは、追加議定書に署名をしていない。
核不拡散に逆行する動きを止めるために、インドは核軍縮や不拡散で具体的な行動を取らねばならない。核実験全面禁止条約(CTBT)への署名・批准もその一つだ。日本は協定交渉の過程でインドに強く働きかけるべきだ。
6月25日の夕方、総務省の8階にある冷房の効かない大会議室で、“通信と放送の融合”の将来を占う重要な公聴会が開かれた。
その公聴会とは、「携帯端末向けマルチメディア放送の実現のための開設計画に関する公開説明会」。2011年度中に開始される「携帯マルチメディア放送」を実現する技術計画に関して、将来的な事業化を目指す事業者が自らの採用した技術方式の詳細や優位性を説明するための場だった。
端的に言えば、“携帯電話会社が放送の領域まで足を伸ばすための新技術”の説明会である。
その背景にあるのは、2011年7月にテレビ放送が地上デジタル放送へ移行することによって、現行のアナログ放送の周波数の一部に出る“空きスペース”の問題だ。
そこで、放送事業者用に割り当てていた電波を通信事業者に開放して有効活用させようという構想が持ち上がったのである。そして、この空きスペースを狙って、新しいビジネスを展開しようと名乗りを挙げたのが、二大通信事業者の率いる“企業連合軍”だ。
まず、2005年12月から、近い将来の事業化を見込んで放送分野への進出を模索し始めたKDDIと、通信機器のチップメーカーである米クアルコム社が立ち上げた「メディアフロージャパン企画」がある。メディアフローというのは、クアルコム社が開発した技術方式とサービスの名称である。
一方で、3年後の2008年12月より動き始めたのが、NTTドコモが中心の「マルチメディア放送」である。こちらには、フジテレビ、ニッポン放送、伊藤忠商事、スカパーJSAT、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、電通、住友商事などが株主に名を連ねている。
通信と放送は発想が異なる
やる気まんまんのKDDI側の強い要請により、初めて実現した6月25日の公聴会では、両陣営の主張は技術上の問題点を指摘し合うことばかりに終始し、あまり建設的なものにはならなかった。
それもそのはず、傍目には通信事業者同士による免許取得合戦のように見える。だが実際は、意図せずして、「通信事業者の論理」と、「放送事業者の論理」が正面から衝突することになったのだ。
すでに米国で実際にサービスが開始されているメディアフローの増田和彦社長(KDDI出身)が“消費者の利便性”を前面に打ち出したのに対して、まだ試作機を公開できていないマルチメディア放送の二木治成社長(NTTドコモ出身)は“端末とコンテンツが一体で発展するエコシステム”という説明をせざるを得なかった。
この時、両陣営が公表した事業計画の中身を比較すると、顕著な違いが見えてくる。基地局の設備計画に色濃く表れているのだ。
メディアフローは、サービスの利用者が携帯電話などのモバイル端末を持ち歩くということを前提に、大都市圏のビル陰でも電波が届きやすいように中小型の基地局を865局設置するという。
一方で、マルチメディア放送は、現在建設中の「東京スカイツリー」など既存の放送局が持つ大型設備を使って125局設置する。各地の放送局から、強力な電波を送り出すというやり方なので、基地局の数が少ない。「地デジ」の延長線上にある技術で、各地の放送局がそれぞれの地域をカバーする。
つまり、ほとんど独力で未開拓の放送分野に打って出たメディアフローが「通信事業者の論理」(電波のつながりやすさ)で発想しているのに対し、後発ゆえに既存の放送局(在京のキー局)と組んだマルチメディア放送は、「放送局の論理」(コンテンツの配信を一元的に管理する)を最優先して計画を立てている点が“真逆”になっているのである。
「それは、やがては移動体通信が主役になることが見えていながら、NTTドコモは、技術の面で放送業界に押し切られたということを意味する」(放送業界関係者)。
放送局の論理では、自分たちの役割は、番組などのコンテンツの製作と管理が優先なので、消費者に最も近い端末の開発などは“後回し”になる。もとより放送局は、他分野から来た通信会社をコンテンツの供給先として考えても、対等な事業パートナーとは見ていないので、便利だからといって易々と技術に関するイニシアティブを手放そうとはしない。
「いつか来た道」に戻ることになるのか
NTTドコモにとっては気の毒な話だが、25日の公聴会の場でも、総大将として参加したKDDIの小野寺正社長兼会長が自説を主張するのに対して、同じく総大将として参加したNTTドコモの山田隆持社長は、いつもと違って一言も発言しなかった。
しかも、マルチメディア放送の技術の話は、ほぼすべて同席したフジテレビの技術系幹部によってなされた。山田社長は、もともと通信の技術者出身だが、放送技術の話だったので、横から口を挟むことができなかったのだ。
それが通信分野の話であれば、話は違ったはずである。ある通信業界関係者は、「通信事業者の性として、(電波がつながりやすくするために)山田社長は設備を細かく打つ必然性について、熱弁を振るったはず」と同情を隠さない。
この7月中には、両陣営のどちらかに対して、総務省から認可が下りると目されている。国際標準のメディアフローか、または国内限定のマルチメディア放送か。
下馬評では、米国以外にも20カ国で導入が検討されているメディアフローではなく、現在は計画段階に過ぎないマルチメディア放送に「たった1つしかない認可枠」が与えられると囁かれている。
というのも、総務省内には、通信分野を監督する部門と、放送分野を監督する部門が別々に存在しているが、今回の公聴会を主導したのは放送業界を見ている放送政策課だからだ。
図らずも今回は、積年の「通信vs放送」の対立構造が“再浮上”してしまった格好だ。残された時間は少ないが、今回の携帯マルチメディア事業者の認定に当たっては、従来の“放送業界の利権”に配慮して改革を骨抜きにするという「いつか来た道」に戻ることがないように祈るばかりである。
ソフトバンク、都市集中型に転機 投資増で接続改善なるか
米アップルの「iPhone(アイフォーン)」で快進撃を続けるソフトバンク。新規獲得から解約を引いた純増数でトップを走るが、目を引くのは東京を中心とした都市圏で効率よく稼ぐ都市集中型のビジネスモデルだ。しかし、この手法も転機を迎えつつある。
「地元では『ソフトバンクは電波が入らないからやめておけ』と言われている」。25日の株主総会で千葉県から来たという男性からこんな声が上がった。孫正義社長は基地局の増強などを説明する中で思わずこう漏らした。「自宅で電波が入らないのはユーザーの2%。カバーを98%から99%に引き上げるのに大変なコストがかかる。設備投資の効率からすると、なかなか悩ましい」
株式市場では相次ぐ大型商品の投入で「契約増に弾みが付く」との期待が膨らんでいる。株価は21日に一時、2007年12月以来の2500円台を回復。その後も高値圏で推移しているが、この躍進を支えてきたのが都市集中型の戦略だ。4~5月は契約純増数が約47万件に達したが、東京、東海、関西の3大都市圏が84%を占めた。大都市圏比率はNTTドコモが73%、KDDI(au)は64%。都市圏での純増数69万件のうち約6割をソフトバンクがさらった。
09年10月時点で3大都市圏には総人口の53%が集中する。学生向けの割引プランやスマートフォン(高機能携帯電話)を武器に、若年層や30~40代のビジネス需要を取り込んできたことが、顧客基盤の拡大を支えてきた。
都市型戦略は投資負担の軽さにつながってきた。10年3月期の携帯電話関連の設備投資はドコモの5千億円台、KDDIの4千億円弱に対し、ソフトバンクは2千億円弱にとどまる。
全国通信網という「面」より、都市圏の「点」を優先する戦略は曲がり角が近づいている。地方の通信状況改善に加え、都市部でもiPhoneなどのヒットでさらにネットワークへの負担は重くなる一方だ。「『圏外』を減らし、データ通信能力を増強する」(孫社長)ため、今期の設備投資はグループ全体で4千億円と前期比1.8倍に膨らむ。
投資負担の増加は収益拡大の重荷になる可能性がある一方、同社の弱点だった「つながりにくさ」を克服できれば利用者層の拡大につながるかもしれない。
ミニストップ、全店で公衆無線LAN ソフトバンクと連携
イオングループのコンビニエンスストア、ミニストップは公衆無線LAN(構内情報通信網)サービスをほぼ全店の約2千店で利用できるようにする。米アップルの携帯電話iPhone(アイフォーン)などの高速無線インターネット通信を店内で可能にし、飲食コーナーの利用客の利便性を高める。7月1日から順次広げ、2010年度中に完了する。
ソフトバンクモバイルの無線LANサービスを導入する。接続速度は通常の携帯電話回線の数倍で、5月に国内で発売された多機能情報端末「iPad(アイパッド)」にも対応する。一部の工事費を除き、機器や接続回線にかかわる費用はソフトバンクモバイルが負担する。病院内など一部の店舗を除いて設置する。
ミニストップの店舗は、ファストフードやソフトクリームを店内で食べることができるカウンター席(4~8席)を設けた「イートイン」コーナーが特徴。
ネットサービス企業、利用者課金が収益の柱に ディーエヌエなど広告逆転
インターネットでサービスを提供する企業が会員から得る課金収入を拡大している。従来は取引先企業から得る広告収入を柱にしていたが、個人からの利用料を徴収する収益構造に変わりつつある。収益の柱を複数持つようになったネット企業は景気変動の影響を受けにくく、株式市場での評価も高まっている。
「大きく会社が様変わりしている」。ディー・エヌ・エーの南場智子社長は手応えを感じている。交流サイト「モバゲータウン」で1~3月期の利用料収入は100億円と、広告収入の5倍に拡大。2009年10~12月期に利用者課金が初めて広告を上回り、前四半期では稼ぎ頭となった。
交流サイトのゲームは基本的に無料。ただし、持続的に楽しむには武器や道具など数百円程度のアイテムを購入する必要がある。30歳代を中心に利用が広がり、4~6月期の連結純利益は58億円と、前年同期の3.3倍に伸びる。
「今夜のおかずは何にしようかしら」。夕方になると主婦からのアクセスが増える携帯電話レシピサイト「モバれぴ」はクックパッドの収益源。10年4月期の単独税引き利益を5億6700万円と前の期の2.4倍に押し上げた原動力だ。
利用者課金の売上高は約5倍の8億5100万円で、食品メーカーから受け取る広告料(3億8800万円)を初めて上回った。「利用料を払っても見る価値のあるサイトとして満足度を高めていきたい」(佐野陽光社長)という。
携帯コンテンツのドワンゴが運営する動画共有サイト「ニコニコ動画」事業は1~3月期に初めて黒字化した。優先的に動画を視聴できる有料会員の増加が寄与した。夏野剛取締役は「動画サイトの黒字化は世界で初めてに近いのではないか」と話す。
ネットサービス企業が利用者課金へかじを切っているのは、ネット広告の伸びが鈍化してきたため。野村総合研究所はネット広告市場の成長率は10年は10%だが、11~14年は5~7%程度にとどまるとみている。
一方で課金収入を拡大できず、広告に依存する企業は苦戦が目立つ。交流サイト運営のミクシィは「過度な利用料の徴収を避けている」(幹部)。11年3月期の連結純利益は6%増の13億円と、競合のグリーやディーエヌエに比べて増益幅が少ない。販促や広告など企業からの収入が主力のぐるなびは11年3月期の連結純利益は28%減の16億円となる見込みだ。
利用者課金を拡大している企業への市場の評価も高い。昨年末からの株価をみると、ディーエヌエ、グリー、クックパッドが2~4割上げた一方、ぐるなびやミクシィは4割強の下げだ。
ネット企業にとって課金収入の拡大は、景気変動への抵抗力が増すことを意味する。一般的に広告事業よりも利益率が高いという利点もある。
比較サイト運営のカカクコムは「食べログ」での情報閲覧による課金を拡大する方針。エムスリーは課金できる医療情報サイトの数を増やす。広告主の費用対効果に対する判断が厳しさを増すなか、ネット企業のビジネスモデルは今後も広告中心から徐々に変化していきそうだ。
ワーナー、映画30作品を一括販売 TV向けネット配信で
洋画大手のワーナーエンターテイメントジャパン(東京・港)は7月1日、インターネットを使った動画配信で、毎月30作品の映画を視聴できるサービスを始める。テレビ向けネット配信サービスの「アクトビラ」を活用。特定の映画配給会社の動画をまとめて販売するのは珍しい。
新サービス「ワーナー・フィルムズ」は米ワーナー・ブラザーズの映画から毎月30作品を選択。月が替わるたびに更新する。アクションやサスペンスなど幅広いジャンルを毎月用意する。料金は月1470円。単品で購入する場合の3作品分より安く設定した。
映画の黒子である配給会社の名前を表面に出してコンテンツを販売するのは異例だ。毎月の作品名は購入前に「アクトビラ」の画面やサービス運営会社アクトビラ(東京・渋谷)のホームページで分かるようにする。
アクトビラにはパナソニックやソニーなどの電機大手が出資。電機大手が販売する対応テレビをネットに接続すると映画やドラマなどの動画を有料で視聴できる。
日印原子力協定 核軍縮と不拡散も強く求めよ(6月30日付・読売社説)
日本とインドが、原子力協力協定の締結に向けて交渉を開始した。
インドは、核拡散防止条約(NPT)を不平等条約だとして加盟せず、独自に核開発を進めている核兵器保有国だ。12年前の核実験に際しては、対抗して核実験を強行した隣国パキスタンともども国際社会の制裁を受けた。
日本は、そのインドへの原子力協力をこれまで控えてきた。すべての国のNPT加盟を求め、新たな核兵器国の出現を許さず、核軍縮を進めて究極的に核兵器のない世界の実現を目指す。そういう日本の非核政策が根底にあった。
今回、方針を転換した以上、従来の政策との整合性が問われる。この点、政府の見解ははっきりしない。丁寧に説明すべきだ。
2年前、日本など原子力供給国グループ(NSG、現在46か国)は、インドへの輸出規制を「例外扱い」で解除することを全会一致で承認した。インドとの関係強化を目指す米国が主導した。
インドは、民生用の核施設を国際原子力機関(IAEA)の査察下に置き、抜き打ち査察を可能にする追加議定書にも署名した。
岡田外相は、「例外化」後のインドの行動を注視し、約束を着実に実行したことを確認して、今回の決断を下したと説明した。
経済成長が著しい大国インドは今後、エネルギー需要の急増が見込まれている。インドの原発を受注した米国やフランスの企業は、提携する日本の大手メーカーの協力が欠かせない。米仏両国からの強い要請も背景にあった。
地球温暖化対策、インドとの協力強化、日本の原子力産業の活性化などを考えると、原子力協力にはメリットがある。
反面、インドは核保有を不問に付され、査察対象とならない軍事用の核施設は存続できる。民生用原発の核燃料の確保にもメドがつき、乏しい国内のウラン資源を軍事用に回すことが可能だ。
ライバルのパキスタンが危機感を抱き、同様の「例外扱い」を求めるのも不思議はない。それを後押ししようとするのは中国だ。
インドへの例外扱いは、NPTを順守する加盟国に不満を抱かせており、ブラジルは、追加議定書に署名をしていない。
核不拡散に逆行する動きを止めるために、インドは核軍縮や不拡散で具体的な行動を取らねばならない。核実験全面禁止条約(CTBT)への署名・批准もその一つだ。日本は協定交渉の過程でインドに強く働きかけるべきだ。
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