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パナソニックが全世界で統一の採用基準
 パナソニックが世界の地域ごとに定めていた社員の採用基準を2011年度に全世界で統一することが3日、分かった。海外での採用拡大を打ち出すなか、各国の社員の能力、適性を一定レベル以上に保つのが狙い。今年度中に世界共通の採用ガイドラインを策定し、11年度の採用から導入していく。採用基準を全世界で統一するのは、電機業界では異例の試み。
 パナソニックは11年度の採用で、国内の新卒採用を前年度比4割減の290人とする一方、海外は約1・5倍の1100人と過去最多の採用を計画。現在、新たな採用ガイドラインを策定するため、本社の人事担当者が海外子会社に出向き、どのような人材が活躍しているかなどを聞き取り調査している。グループ各社の回答から採用の基準となる「キーワード」を抽出し、パナソニックグループとして「どのような人材を採用すべきか」を来年3月までにまとめる。
 決定したガイドラインは来年度以降、世界の採用活動で共通の判断材料とする。採用に当たっては、単に報酬や条件などにとらわれず「経営理念や価値観を共有できる人材を採用することが不可欠」(人事担当者)と判断。採用基準の統一で、グループ全体のために活躍できる人材を確保する。さらに将来、経営の中枢として活躍できる外国人幹部を増やすことにつなげたいという。
 海外に生産・販売拠点を展開する大手企業は、勤務体系や賃金水準などの違いから、それぞれの国や現地法人ごとの人事制度の規定で、人材を採用するケースが多い。パナソニックも全世界に200以上の拠点を持ち、全社員のうち半数以上が外国人を中心とした海外採用。採用基準は地域ごとの採用センターに委ねられる部分が大きかった。



NTTドコモ、地域情報配信を強化 個人型サービス
 NTTドコモは携帯電話を使った個人型情報配信サービス「iコンシェル」向けに地域密着情報の配信を強化する。これまでは大手企業の情報配信に限っていたが、個人商店でも簡易に配信が可能な玄関サイトを開設。地方の施設との連携も強化し、地域情報を全体の3割に当たる200件以上に拡大する。2010年度末に前期比2倍の約800万契約を目指す。
 iコンシェルは全地球測位システム(GPS)の位置情報などから、近くにあるレストランや最寄り駅の終電時間などを「執事」のように知らせてくれるサービス。
 情報配信用のネットワーク機器を持たない個人商店でも、専用ページから店の情報を入力するだけで月630円でドコモのサーバーを使って同サービスに情報提供できるようにした。地方の観光施設にも情報提供を呼びかけ、水族館や自治体の道の駅のイベント情報といった地域密着の情報を拡充する。
 また契約者の拡大に伴い、ドコモはiコンシェルを使い利用者の好みに合った情報を配信するターゲット型の広告事業への参入も検討する。
 ドコモは携帯電話の音声収入の低下に対応し、iコンシェルなどの携帯電話を使った情報配信サービスを増やしデータ収入拡大につなげる考え。



3D、ツイッター対応…韓国2強、「スマートテレビ」で攻勢  【ベルリン=森川潤】薄型テレビで世界的な強さを誇るサムスン電子とLG電子の韓国メーカー2社が、インターネットに接続して多彩なソフトも楽しめる「スマートテレビ」で攻勢をかけ始めた。ベルリンで3日開幕した世界最大級の家電見本市「IFA」に、サムスンは3次元(3D)映像に対応するスマートテレビを出品。LGはミニブログのツィッターなどを利用できるサービスを盛り込んだ。追い上げを狙うパナソニックやソニーなどの日本勢を、「次世代テレビ」で引き離す構えだ。
 「一昨年はLED(発光ダイオード)テレビ、昨年は3D、今年はスマートテレビでリードする」
 サムスン映像ディスプレイビジネス社のユンブグン社長は2日、テレビの開発で常に一歩先を行く姿勢を強調した。LED、3Dテレビで世界シェアのトップに立つサムスンは、今年から来年にかけてはスマートテレビの拡販に力を注ぐ。
 米アップルの多機能端末「iPad(アイパッド)」などと同じように、一般の開発者が出品したゲームや動画などのソフトを、配信サービスを通じて購入できるのが特徴。開発者向けのコンテストを各国で催し、優秀なソフトを募る戦略をとる。現在107カ国で利用できるという。
 10月には3D対応の65型スマートテレビなどを発売。液晶モニターを搭載したリモコンを持ち運べば、寝室や子供部屋でもネットワーク経由で番組などを楽しむことができる。サムスン幹部は「本当のスマートな生活スタイルを提案する」と自信をみせた。
 一方、LGもテレビ向け配信サービスを独自開発。ネット経由で各国の放送を視聴できるほか、投稿動画「ユーチューブ」やゲームをテレビでダウンロードできる。厚さ約3ミリの3D対応有機LEDテレビや、厚さ約8ミリの「ナノテレビ」もIFAで展示し、技術力の高さも見せつけた。
 米調査会社ディスプレイサーチによると、インターネット接続テレビの世界販売は09年の1520万台から14年に1億1930万台にまで拡大する見込みだ。

【用語解説】スマートテレビ 
 インターネット接続機能を強化し、パソコンなどを経由せずに、多くのソフトが楽しめるテレビ。映画を購入でき、テレビ番組を好きなタイミングで見られるほか、テレビ電話、ゲームなど、機能やソフトの種類はメーカーによってさまざま。テレビ自体がユーザーの好きな番組やソフトを学習するタイプも開発されている。



電波再編加速へ競売制度導入 政府方針
 政府は3日、10日にも閣議決定する緊急経済対策の規制改革案に、電波の再編を加速するための新制度や競売(オークション)制度の導入を盛り込む方針を固めた。電波をより有効に使うため、周波数帯の再編に伴う費用負担方法を見直す。携帯電話の通信速度向上や無線による新サービスの創出を後押しし、経済の活性化にもつなげる狙いがある。
 内閣府の大塚耕平副大臣と総務省の内藤正光副大臣が3日、規制改革のひとつとして推進する考えで一致した。電波政策を所管する総務省が年内に具体策をまとめ、2011年の通常国会で電波法の改正を目指す。
 すでに特定の用途に割り当てている周波数帯について、免許期間中でも携帯電話など需要の大きいサービスに振り向けやすくする。違う周波数帯に移るのにかかる設備改修費用の一部を、跡地を使う別の事業者に負担させる新制度を導入する。
 参入希望事業者が複数の場合は、より高い金額を提示した事業者に割り当てるオークション制度を活用する。市場原理を取り入れ、電波割り当ての透明性を高める。



アジェンダ、SNS用ゲーム参入 ミクシィ向けに提供
 ソフト開発のアジェンダ(札幌市、松井文也社長)は交流サイト(SNS)向けのゲーム開発に参入した。会員数が2000万人を超えるSNS最大手ミクシィ向けに8月17日にゲームの提供を開始。手軽に遊べるSNSのゲーム市場は拡大しており、新たな収益源に育てたい考え。
 ミクシィに提供を始めたのは、農場経営ゲームの「モーモータウン」。野菜や動物を育てて販売したり、育てた作物を使った料理を提供するレストランを経営したりする。ミクシィ内の友人「マイミク」と農場やレストランを相互に訪れることで、作物の種などを買うためのコインを得られる。毎週、新しい種やアイテムを追加し、長く遊べるようにする。
 将来的な利用者獲得目標は100万人。無料で利用できるが、ゲームを進めやすくするためのアイテムなどは有料のものもある。全体の利用者のうち、1%程度への課金を目指す。



武田薬品、MR全2000人に「iPhone」貸与
 武田薬品工業は10月から国内約2千人の医薬情報担当者(MR)全員に米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」を貸与する。業務報告書の提出やメールの送受信、自社製品の販売実績照会などの使途を見込んでおり、業務効率向上を目指す。
 一部のMRには多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」も試験導入する方針。医療機関へ情報提供する際にiPadで動画などを使い、医師の理解を深めてもらう。
 武田薬品は今年、5年ぶりに国内で新薬を発売した。新薬を素早く医療現場に周知させ、売り上げを伸ばすため、MRの情報武装を強化するとともに業務を効率化する。



良品計画、中国の拠点集約 衣料品の協力工場、2年で半減
 雑貨店「無印良品」を運営する良品計画は、衣料品を生産する中国の協力工場を集約する。2010年2月期に約240カ所あった工場を2年で半減する。中国の人件費は高騰しているが、品質を維持・向上する上で他国への急速な生産シフトは難しいと判断した。国内の価格競争が激化する中、衣料品企業が最大の生産基地である中国の活用を見直す動きが加速してきた。
 同社は上海市近辺などで、年間約2000品目の衣料品を生産委託している協力工場との契約見直しに入った。シャツ、スカートといった服の種類や使用素材ごとに工場の役割分担や生産量を決め、12年2月期には委託工場を110カ所に集約する計画。
 1品当たりの生産量を増やすと同時に、生産ラインを長期にわたって活用し委託先工場の稼働率をアップ。生産コストの低減を図る。工場数を絞ることで良品計画の社員が工程管理の確認のために工場を訪問する機会も増え、商品の品質向上にもつながるとみている。
 良品計画の衣料品は売上高の約3割を占める主力商品。ただ近年はユニクロなど、より価格の低い商品との競争が激化し、10年2月期の衣料品売上高は前年比4.2%減と苦戦している。工場を集約することで中国の人件費の高騰リスクを抑えるほか、関係強化で意思疎通を円滑にする。
 同社は西友のプライベートブランド(PB=自主企画)の事業部門として発足。百貨店など既存流通の衣料品より割安な商品を作るため、他社に先駆け1980年代から中国への生産委託を始めており、現在は衣料品の8割を中国製が占める。ただ自社工場と異なり、委託工場では納期が遅れたり不良品が発生したりする可能性がある。
 こうしたリスクを分散化するため委託先工場を増やしてきたが、コスト削減を優先し方針を転換する。同社も3~4年をめどに中国での衣料品生産比率を約65%に下げ、インドやバングラデシュなどに生産地を広げる計画。ただ中国は技術が高く、今後も当面は最大の生産委託先と判断。中国の生産体制を効率化することで対応する。
 衣料品業界は中国で大半の商品を生産している企業がほとんどで、生産体制を見直す動きが広がっている。ユニクロを運営するファーストリテイリングはバングラデシュなどでの生産を拡大し、12年に中国以外での生産比率を3割超と現状の倍以上にする計画。青山商事も主力商品であるスーツの7割が中国生産である現状を改め、同国以外での生産比率を5年で5割程度に高める。



マツダ、原価低減を徹底 円高受け収益改善300~400億円狙う
 マツダは足元の急激な円高を受け、緊急の収益改善策に乗り出す。取引先メーカーに対して一律数%の追加コスト削減を要請するほか、マツダ本体でも研究開発の効率化を急ぐ。販売面での採算向上も含めると、追加の収益改善効果は300億~400億円に達する見通しだ。一連の対策で2011年3月期の業績計画の達成を目指す。
 収益改善策の目玉となるのがコスト削減で、追加効果は200億円程度に達する公算が大きい。まず原価低減では同社の取引先に対して新たにコスト削減を要請する。削減幅は現状より一律3~5%になるとみられる。設計段階から生産まで様々な過程で削減余地があると判断した。
 本体でも設計の共通化などで開発費や生産コストを圧縮する。例えば開発段階で基本的な骨組みなどの構造を共通化し、異なるサイズの車の「作り方」を統一する取り組みだ。設計や開発、衝突実験テストなどの工程を圧縮できるうえ、それぞれの作業をモデル別に分ける必要もなくなり、投入資源の削減や開発期間の短縮につながる。
 この取り組みは主力の「マツダ3(アクセラ)」や「マツダ6(アテンザ)」などで実施。これら車種の次期モデルの開発・設計時の工程数は旧モデル比で3割減る見通しだ。また今期に1千億円を計画する開発費についても、投資効率が悪い案件は先送りする。
 販売の採算も高める。今期の世界販売は前期比6%増の127万台の計画だったが、タイや中国の好調で実際は130万台以上に上振れしそうだ。採算の良いモデルや地域での売り込みを上積みすることで、収益構造そのものを見直し、販売面で100億円以上の利益貢献につなげる。
 マツダが緊急対策を進めるのは、国内生産比率が約7割と日産自動車(3割弱)など他社より高く、為替変動の影響を受けやすいためだ。輸出比率も1~6月は8割弱と業界最高水準だ。
 足元の為替相場はマツダの想定レートよりドルで6円、ユーロで17円の円高水準で推移している。1円の円高でどれだけ営業利益が減るかを示す感応度は対ドルで30億円、対ユーロで12億円。特にユーロは、世界販売がほぼ3倍のホンダ(15億円)に迫る規模だ。
 マツダは今期の連結営業利益を前期比約3.2倍の300億円と見込むが、今の為替水準が続けばドル・ユーロ以外の通貨も合わせて300億円以上の営業減益要因となる可能性がある。緊急対策で円高の影響を吸収して利益計画を維持する。



3銀行と三菱商事、事業再生ファンド設立へ
 三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、日本政策投資銀行の3行と三菱商事が、共同出資により事業再生・再編ファンドを今月末にも設立することが3日、分かった。
 メガバンク、総合商社が業態やグループの枠を超えて事業再生分野で本格協力するのは初めてだ。他の金融機関や企業も参加する可能性がある。
 ファンドへの出資は当初は約300億円規模で、段階的に拡大し、最終的には1000億円規模に増やしたい考えだ。各行の主力取引先などを対象に、事業再構築や再編などを支援する。
 銀行の貸し出しが低迷する中、出資先企業の株式上場後に株式を売却し、投資資金を回収するなど収益確保を図る。さらに、産業再編を後押しすることで、低迷する日本企業の国際競争力を高め、経済の活性化を促す狙いもある。



【主張】代表選と税財政 正面から健全化の議論を
2010.9.4 03:12
このニュースのトピックス:主張
 先進国で突出して悪化した財政の健全化と持続可能な社会保障制度のための安定財源確保は、日本にとって最重要課題のひとつである。
 政権を担う民主党の代表選はそこが問われねばならないが、結論から言えば課題解決の道筋はまったく見えない。
 民主党は昨年夏の衆院選で消費税引き上げ凍結と子ども手当などのマニフェスト(政権公約)を掲げて政権を握った。しかし、こうした政策の一部実施でさえ、国債増発や特別会計の“埋蔵金”に頼るなど、「財源なきバラマキ政策」が明白になった。
 本来なら代表選の焦点は政権公約の抜本見直しである。なのに、菅直人首相が少し現実路線に修正した程度で、小沢一郎前幹事長は消費税を凍結しても政権公約の財源16・8兆円は捻出(ねんしゅつ)できると全面実施を主張している。
 小沢氏はその捻出策のひとつとして一般会計と特別会計の予算組み替えをあげる。だが、一般会計から見直し可能な特別会計に流れる金額は3・6兆円しかない。昨年の事業仕分けでも捻出できた恒久財源は5000億円程度で、その大幅上積みは不可能に近い。
 ひも付き補助金の一括交付金化で無駄を削減するともいう。社会保障や公共事業など分野ごとに自治体が自由に使える財源にすれば効率的だというのだが、これも抽象的で問題が多い。
 これは「第二地方交付税」のようなものだから、まず使途が不透明になる可能性がある。財源の配分基準や主体も不明確で、そこに政治利権が生じる恐れもあろう。第一、国の歳出削減にどうつなげるかも明言していない。
 現実路線への修正姿勢を見せる菅氏の主張もまた、煮え切らない。子ども手当の満額支給などは断念したが、肝心の消費税については社会保障と税制の一体的議論を政府・党、さらに野党に協力を求めて行うとするだけで、強力なリーダーシップを示さない。
 菅氏が消費税増税を先の参院選で打ち出したのは、財政健全化と社会保障の安定財源に不可欠だと、遅まきながら気付いたからではないか。それが参院選敗北に対する党内批判で簡単にしぼむようでは本気度が疑われる。
 国、地方の債務残高が国内総生産の1・8倍に達する財政は破綻(はたん)寸前にある。代表選の意義はこれを正面から議論することだ。
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