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ドコモの次世代携帯、月6510円 料金抑え普及優先
 NTTドコモは年末に予定する次世代携帯電話サービスの通信料金を、現行サービスを1割弱上回る程度に抑えて始める。新サービスは高精細な映像などを、高速の有線ネット回線と同じように楽しめる。料金を消費者が受け入れやすい水準に設定、一気に普及を促し、投資の回収を急ぐ。
 新サービスは通信速度を現在の5~10倍に高めた「LTE」と呼ぶ高速通信方式を採用。サービスを開始する12月24日に合わせ、データ通信用の端末として富士通と韓国のLG電子の2機種を発売する予定。2011年下半期にはスマートフォン(高機能携帯電話)型で音声による通信もできる端末を投入する。
 業界では当初、月1万円程度の通信料になるとの見方が多かったが、ドコモはサービスの普及を優先。実質的な定額制を導入、現行サービスより9%高い6510円に抑えた。LTEの実施に伴い、12年度までの3年間で約3000億円の設備投資をする。新サービスへの移行が想定より遅れれば、収益的に負担が先行する可能性もある。
 具体的には月ごとの通信データ量が一定水準を超えると、5ギガ(ギガは10億)バイトまで6510円の定額となる仕組み。4分の音楽を1250曲、動画共有サイトの通常画質の映像を23時間視聴でき、ドコモでは顧客の99%以上がこの範囲にとどまるとみている。5ギガバイトを超すと2ギガバイトごとに2625円を加算する。
 対象地域が大都市圏に限られる12年4月までは2年契約で月4935円の特別料金も設定する。
 LTEは世界の通信大手が採用する方針。ソフトバンクモバイルとKDDIも12年以降に始める予定で、事実上世界の携帯電話の通信方式が統一される。これまで携帯電話サービスでは国内外の通信方式の違いが障壁となり、日本市場の孤立を招いた。海外進出で遅れた日本の携帯電話機メーカーにとっても、LTE開始は世界市場に打って出る好機となる。
 海外では北欧のテリアソネラがストックホルムの一部でLTE方式のサービスを開始。ボーダフォン・ドイツも一部地域で商用化しており、料金はいずれも円換算で月7000円台。ドコモの料金戦略は、国内外の通信会社の料金設定にも影響を与えそうだ。



ビートルズ版権どこへ行く 再建迷走EMI、ワーナーなど食指
 ビートルズなど著名アーティストのレコードレーベルを所有している英音楽大手EMIグループが、ライバル会社による買収の標的にされる可能性が出てきた。同社を2007年に買収した英投資会社テラ・ファーマ・キャピタル・パートナーズがEMI再建で迷走を続けているのに加え、EMI買収をめぐる裁判にも敗訴し、アーティストらの信頼を失っているためだ。
 テラ・ファーマを率いる英資産家ガイ・ハンズ氏はEMIグループ買収の前日に米金融大手シティグループのバンカー、デビッド・ワームズリー氏が他社による対抗案提示をほのめかしたため買収額が必要以上につり上げられたとして、同行を提訴していたが、ニューヨーク連邦地裁はこのほどハンズ氏の訴えを退ける評決を下した。
 これを受け、国外のレコード各社がEMI買収に続々と名乗りを上げる見通しだ。英音楽業界調査会社ミュージック・アリーのポール・ブリンドリー最高経営責任者(CEO)は今回の評決の影響について「EMIの所属アーティストらの間に同社の展望に対する不信感が広がるだろう」と予測した。ハンズ氏による買収以来、EMIではポール・マッカートニー、レディオヘッド、ローリング・ストーンズなど大物アーティストの脱退が相次いでいる。
 110年の歴史をもち、ビートルズのレコードレーベルなどを所有するEMIの買収に対しては、米ワーナーミュージック・グループと米独企業の合弁会社BMGライツ・マネジメントがすでに関心を表明している。
 BMGのハートウィグ・マズーフCEOは「まだテラ・ファーマとの具体的な協議には入っていない」としながらも「EMIを買収するなら今だと確信している。この機会を逃す手はない」と強い意欲を示した。ワーナーミュージックはこの件に関するコメントを控えている。
 所属アーティストのヒットが続いているにもかかわらず、EMIの財務状況には改善の兆しが見られず、銀行からの借り入れ契約条項に違反している可能性まで指摘されている。
 EMIの元幹部でロンドンの音楽・娯楽調査会社エンダース・アナリシスのCEOを務めるクレア・エンダース氏は「条項に対する違反の有無は、おそらく今後数週間以内に調べられる。違反があれば、EMIは債権者のシティの手に渡るだろう。最終的に決着がつくのは年明けになるのではないか」との見通しを示した。





韓国での買い物にもTSUTAYAの「Tポイント」
CCC、韓国SKグループとネットで相互交換
 買い物を通じて付与する共通ポイントで、日韓の最大手が提携する。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と韓国財閥SKグループは2010年度内に、インターネット上でポイントを相互交換する仕組みを整える。小売業などの共通ポイントで国際連携するのは珍しい。日本の消費者は韓国旅行でためたSK側のポイントを日本で使えるようになる。日本の小売業からも、外国人買い物客の囲い込み手段として関心を集めそうだ。
 共通ポイントは小売りや外食チェーン、ホテルなど業種や企業を超えて利用できるのが特徴。CCCが運営する国内最大の「Tポイント」は会員数が3600万人、同社のDVDレンタルチェーン「TSUTAYA」をはじめ69社3万5000店舗が参加する。SKグループは完全子会社のSKマーケティング&カンパニー(ソウル市)を通じて「OKキャッシュバッグ」ポイントを手がける。会員数は韓国人口の7割にあたる3400万人、韓国の免税店や百貨店、コンビニエンスストアなど150社4万8000店舗で使える。
 CCCとSKマーケティングは8日、提携に向けた基本合意を締結し、発表する。来春のサービス開始に向けてシステムを整えるほか、利用を促すキャンペーンなどを検討する。将来は日韓両国で200万人程度の利用を見込む。両国間では年間累計で500万人程度の行き来がある。
 CCCは韓国人旅行者、SKは日本人旅行者を対象に、空港やホテルなどで自社のポイントカードを無料配布する。ためたポイントは帰国後にそれぞれの会社の専用サイトで交換する。交換比率は実際の為替レートに連動させる。Tポイント1ポイントは1円、OKポイント1ポイントは1ウォンに相当する。7日時点の交換比率はOKポイント13ポイントに対し、Tポイント1ポイントを付与する計算になる。交換で生じる端数は切り捨てる。
 CCCは韓国人観光客の利用が多い地方の温泉旅館や土産販売店などにTポイントへの参加を呼びかけていく。今後はさらにTポイントの利便性を高めるため、欧米や他のアジア諸国のポイント事業者との提携も検討している。



医療費上限、高所得者は引き上げ 年収800万円軸に
政府検討、200万~300万円の層は負担軽く
 政府は世帯収入に応じて医療費の患者負担に月額の上限を定める仕組みを来年度にも見直す方針だ。高所得層の上限を上げて負担を増やし、それを原資に年収200万円台の比較的所得の少ない層の負担を軽くする。800万円以上の層の負担を上げる方向だが、対象を700万円程度の所得層まで広げる案も出ている。1000万円以上の層では上限が10万円程度上がるとみられ、負担増への反発から調整が難航する可能性もある。
 厚生労働省の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会が現在、見直しの議論をしている。厚労省は見直し案を年末までにまとめたうえで、政令の改正に着手。来年夏にも実施したい考え。
 医療費は、患者の3割負担が原則だが、がんや難病、脳の手術などは高度な治療が必要で、医療費が1カ月で100万円を超える場合もある。このため、政府は世帯収入に応じて、一定額を超えた医療費を患者に払い戻す高額療養費制度という仕組みを整えている。
 この制度では、70歳未満で年収約800万円以上の「上位所得者」の医療費の負担の月額上限は15万強。年収210万~800万円の「一般所得者」の場合、月8万円強。住民税が非課税で年収210万円を下回る「低所得者」の負担上限は月3万5400円となっている。
 厚労省は年収800万円以上の区分を2つに分け、「年収800万~1000万円」の層の負担上限を3万円上げて18万円程度とし、「年収1000万円以上」の上限を10万円前後上げて25万円程度にする案を検討している。同省によれば、財源を400億円近く捻出(ねんしゅつ)できる。
 一方、患者団体などは年収300万円以下の世帯の医療費の負担上限を月8万円強からほぼ半分に下げるように主張しているが、厚労省の試算によれば、新たに財源が約2600億円必要になる。所得の多い層の負担増でも賄えないため、例えば、年収250万円以下に対象者を大幅に絞り込む方向で検討。年収が210万円を下回る層の月額上限は現行水準を維持する方向だ。



日経社説
着実な法人税率下げで投資を引き出せ
 主要国で最も高い法人税の税率をどう引き下げるか。来年度の税制改正の議論が始まった。税率下げによる減収分を法人の他の税負担増で賄う数字合わせはやめ、国際競争で勝ち抜く減税をまず実現すべきだ。
 日本は国税、地方税を合わせた法人の負担率である実効税率が40.69%と、10年以上同じ水準だ。アジア諸国・地域は10~20%台、欧州諸国も30%以下に競って下げている。
 経済産業省によると韓国のサムスン電子の実際の税負担率は10%強と、シャープの3分の1以下。日本企業は税率の高い国内から離れ、外国の投資も日本に呼び込めない。現状に危機感が募った結果、政府の新成長戦略は「法人実効税率を主要国並みに下げる」と明記した。
 経産省は来年度にまず国税の法人税率を30%から5%下げるよう要望した。税率下げによる1兆~2兆円規模の減収の扱いで対立がある。
 財務省と政府税制調査会は、減収分は別の法人の税負担増で取り返す「税収中立」の立場。ナフサの免税縮小や研究開発促進税制の大幅削減など2.6兆~5.4兆円の財源案を示した。経済界や経産省は差し引き減税で企業負担を軽くしないと税率下げの意味はない、と反発する。
 双方が最初の札を切った段階だが、留意すべき点がいくつかある。
 まず、5%の税率下げを来年度から確実に実施し、そのうえで近い将来に25~30%の国際水準に下げると明示することだ。
 その主眼は日本での投資を引き出すことにある。国際競争に直面する日本企業の税の重荷を軽減し、外国からの投資も呼び込もう。経済を成長させ、雇用をつくるためにも、そのことは欠かせない。税率の下げ幅を圧縮したり将来の再引き下げをあいまいにすれば、企業や投資家の期待を裏切り、逆効果だ。
 ふたつ目に、財政への目配りは必要にせよ、法人負担の中だけで年度ごとの税収中立を保つというのは、経済活性化の視点が乏しすぎる。他の税収を増やし、さらに国と地方の歳出抑制を含め、財政規律を確保する発想が求められる。
 第三に、今後の産業構造の変化を意識すべきだ。従来型産業に恩恵が偏る租税特別措置や減価償却などの制度は見直し、不要なものはやめる。全体としての法人税率を下げて情報やサービス、福祉といった新産業を後押しする必要がある。
 税務申告で4分の3の法人が赤字という現状は異常だ。中小・零細企業を中心に、所得の適切な捕捉へ納税者番号制度の導入が急がれる。
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