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ドコモ、ソフトバンク…高機能携帯、頼みは「黒船」
 ケータイ先進国として世界の先頭を走ってきた日本の地位が揺らいでいる。独自の技術やサービスが集まり、その市場の閉鎖性から「ガラパゴス」と揶揄(やゆ)されたのも今は昔。需要拡大のけん引役となるスマートフォン(高機能携帯電話)では米アップル、韓国サムスン電子といった外資ばかりが目立つ。市場開拓は「黒船」頼みが強まっている。
アップルも戸惑うパフォーマンス
 「あれをやっているのは世界で唯一ソフトバンクだけ」。アップル関係者が声をひそめて言う。
 「あれ」とはアップルの新製品の発売日、ソフトバンクの携帯電話ショップに孫正義社長が現れて派手なイベントを開くことだ。アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」や多機能端末「iPad(アイパッド)」を片手に満面の笑顔で記念写真に収まる孫社長。その姿は新聞やテレビを通じて人々の脳裏に焼き付く。
 アップルはブランドイメージ戦略に厳しい会社だ。新製品の発売日には、リンゴマークが目印の自社直営店に顧客が行列をなす映像がメディアに流れるよう仕向け、世界中で統一的なイメージを演出したいのが本音。孫社長の振る舞いは足並みを乱すスタンドプレーと映るが、販売のパートナーに面と向かって文句も言いにくい。「(ソフトバンクの)親分はお祭り好きなのだろう……」。アップル関係者はあきらめ顔だ。
 孫社長の気合が入るのも無理はない。iPhoneは89カ国、iPadは26カ国で販売されているが、ソフトバンクほど自社の事業に「有効活用」している通信事業者はない。
 「一言で申し上げて順調」。10月28日。記者やアナリストを集めたソフトバンクの4-9月期の決算説明会。冒頭、孫社長は上機嫌でこう発言した。営業利益、純利益とも過去最高を記録。契約純増数は約160万件に達し、売上高が微減だったNTTドコモ、減益だったKDDIのライバル2社に差をつけた。
 好決算を支えるのはアップル製のiPhone。他社が出遅れたスマートフォンでの大ヒット商品はソフトバンクのブランドイメージの向上にも大きく貢献している。孫社長はiPhoneとiPadをけん引役にした業績拡大が今後も続くと強調。「私も毎日使っている。パソコンがなくても人生は成り立つ」。1時間あまりの説明会で孫社長はアップル製品の名前を連呼した。
発売イベントでiPhone4をアピールする孫正義社長(6月24日、東京・渋谷のソフトバンク表参道店)
 決算説明会の翌日には東京・有楽町の日本外国特派員協会で講演。「日本のスティーブ・ジョブズと呼ばれることをどう思うか」と質問され、「スティーブ・ジョブズ(米アップル最高経営責任者=CEO)やビル・ゲイツ(米マイクロソフト会長)は偉大な友であり、私のヒーロー。そのように言っていただき大変光栄だ」とご満悦だった。
 本家のアップルが戸惑うほどiPhoneやiPadに傾倒するソフトバンク。危うさはないのか。
開発費は年間5億円
 IT(情報技術)企業の生命線ともいえる研究開発費。年次報告書によると、ソフトバンクが2009年度に投じたのは前年度比16%減の5億5700万円。2兆7000億円を超える売上高に占める比率はわずか0.02%だ。通信・ネットのリーディングカンパニーとのイメージとはかけ離れる。
 孫社長は「自前主義の研究開発は20世紀型。ソフトバンクは世界中の資源を有効活用する」と説明する。アップルの研究開発費は2010年9月期で前年同期比34%増の17億8200万ドル(約1460億円)。アップルが生み出した技術力を踏み台にソフトバンクが好業績を上げる構図が浮かび上がる。
 1990年代にはゲイツ氏率いるマイクロソフトと組んで日本でのパソコン普及に一役買い、その後、米ヤフーのサービスを国内に持ち込んでネット分野でも存在感を発揮した。そして今度はアップル。事業チャンスを逃さない孫社長の嗅覚(きゅうかく)は鋭い。ただ「他人頼み」の事業構造は、製品やサービスの調達につまずけば、とたんに足元をすくわれるリスクがつきまとう。
 「ネットワークが土管化している」。ドコモの山田隆持社長はアップル製品に依存するソフトバンクをこう皮肉る。「土管」となるインフラを持っているだけで、その土管に流す通信サービスに独自性のある機能、付加価値がないという指摘だ。
ソフトバンク化するドコモ
 世界の有力IT企業は、独自の技術やビジネスモデルで競争力を高めている。アップルも端末だけではなく、ソフトのネット配信や、顧客の相談に丁寧に応じる直営店の世界展開といった施策を重層的に打ち出す。通信事業者などに通信機器を売る米シスコシステムズでさえ、ジョン・チェンバースCEOが「ネットの配管業者から脱する」と宣言。企業買収などによってサービス分野への進出を急ぐ。ソフトバンクの経営は世界の有力ネット企業の指向とは逆行しているようにも見える。
 実はソフトバンクは「土管」さえ手放すかもしれないという噂(うわさ)が昨年末、IT業界を駆け巡った。自社の携帯通信インフラを売却しようと孫社長が買い手を探しているという内容だった。真偽のほどは不明だが、NTTなど国内の通信大手が売却先の候補だったとされる。
 ソフトバンクの「土管化」を皮肉るドコモ。しかし、状況は似たり寄ったりだ。
 「iPhoneと十分に戦えると確信する」。10月5日、スマートフォンでのiPhone対抗の目玉としてドコモが発表したのは米グーグルの基本ソフト(OS)を活用した「ギャラクシーS」。山田社長が自信を見せるこの端末は韓国サムスン電子製。海外では5月下旬に売り出され、現在約100カ国で手に入り、累計販売台数はすでに700万台に達する。日本登場は欧米などより遅いが、発売日までの半月で予約件数が5万台を超える人気になっている。
 ドコモもソフトバンク同様、スマートフォン市場の攻略に海外のメーカーを担ぎ出した。
 さらに11月8日には、都内で今冬以降の新製品・サービスの発表会を開いた。プレゼンに立った山田社長が壇上に招いたゲストは、米シリコンバレーのベンチャー企業、エバーノートのフィル・リービンCEO。文書や画像をネット上に保存し、さまざまな端末でみられるようにする同社のサービスをギャラクシーなど主力スマートフォンに搭載すると表明した。エバーノートもすでに各国で急速に普及しているサービス。世界を見渡し、人気の高い端末やサービスを調達して顧客に提供する手法はソフトバンクと大差ない。
消える楽園ガラパゴス
 ドコモの研究開発費は年間1099億円(2009年度)。アップルには及ばないものの、巨額の研究開発費を背景に、これまで「iモード」や「おサイフケータイ」など日本独自の機能やサービスをライバルのKDDIと競い合ってともに世に送り出してきた。
 かつては携帯端末の開発の際に、大きさや色、ボタンの位置にまで関与するなどメーカーを丸抱えし、国内メーカーとともに「楽園ガラパゴス」を築いてきた。通信会社に縛られずに製品を自社開発するノキア(フィンランド)やサムスンなどが世界を舞台に繰り広げる競争とは隔絶した市場を日本に作ってきた。
 MM総研(東京・港)の予測によれば、国内のスマートフォン市場は2010年度の386万台が15年度には2030万台に急増、携帯電話販売に占める比率は10%強から50%以上に増える見通し。今後のケータイの主戦場で、ドコモは自前主義から舵(かじ)を切った。
 「もはや通信会社が独自で最先端の技術に対応できる時代ではない」。NTTグループのある役員はこう指摘する。世界に目を向ければ、通信・ネット部門は猛烈な勢いで技術革新を続けている。「ドコモはまだ自社の成功体験を捨てきれないが、もうあきらめて土管業者になったほうがいい」という。
 海外からやってくる「黒船」を使ってスマートフォン市場を開拓する――。ドコモやソフトバンクの戦略は「楽園」の景色を一変させる。市場の閉鎖性に安住してきた国内メーカーは国際競争には大きく出遅れている。技術革新の大波があっという間に孤島を飲み込もうとしている。



都の漫画規制条例、修正案を再提出へ
 子どものキャラクターによる露骨な性行為を描写した漫画やアニメの販売・レンタルを規制する東京都青少年健全育成条例の改正案について、東京都は15日、文言を修正の上、今月末開会予定の都議会に再提出する方針を固めた。
 これまで反対していた民主党も修正内容に同意するとみられ、条例改正の公算が大きくなった。
 今年3月に提出され、6月に否決された改正案は、漫画などの登場人物で「18歳未満として表現されていると認識される」ものを「非実在青少年」と定義。それに対する強姦(ごうかん)など反社会的な性描写の作品を「不健全図書」に指定し、子どもへの販売や閲覧を制限する内容だった。
 再提出案では、定義があいまいで過度な規制につながる恐れがあると指摘された「非実在青少年」との文言を削除、「18歳未満」とした、規制対象のキャラクターについても具体的な言及を避けた。



SNSのマイスペース、楽曲の検索機能を強化
 交流サイト(SNS)大手のマイスペース日本法人(東京・渋谷)は16日、運営するサイトを全面刷新する。利用者が興味のある楽曲や動画を検索する機能を強化するほか、お薦めの商品を知らせる機能を導入。年内には高機能携帯電話(スマートフォン)版にも対応する。フェイスブックなど競合するSNSとの差別化を進める。
 これまでは、楽曲などを検索した場合、接続先のリンクが表示されるだけだったが、新機能では直接楽曲の試聴や動画の閲覧ができるようになる。
 また、利用者と同じ種類のコンテンツを選んだ他の利用者の楽曲や動画を表示したり、ネット上で友人になれる機能を取り入れることで、自分の趣味にあったコンテンツを簡単に見つけやすくなる。興味のあるコンテンツに対するほかの利用者のコメントを一覧で見られるようにした。



高島屋、衣料品で製造小売り ユニクロ型で低価格
 高島屋は主力の衣料品で、商品企画、素材調達から生産・販売まで一貫して手掛ける製造小売り事業に進出する。第1弾としてカシミヤを使うセーターなどを従来品の4分の1の価格で近く売り出す。百貨店は生産・販売を取引先のアパレルメーカーに依存してきたが、割高感から販売不振が続く。高品質と低価格の両立を求める消費者ニーズに対応、「ユニクロ」に代表される製造小売りモデルの構築を目指す。
冬物の婦人服を販売する高島屋の売り場(東京都中央区)
 カシミヤは高島屋がモンゴルで原毛を買い付けて、中国の協力工場に生産加工を委託。100%使用の女性向けセーター・カーディガンとして17日から順次国内11店で計1万着を販売する。店頭価格は7000~8000円台で、アパレルから同等品を仕入れると3万円前後になるという。
 円高を追い風に今後もシルクなど素材を海外で買い付け夏用セーター、マフラーなどを開発。男性用の商品にも広げる。自社店舗のない北海道や九州などで地方百貨店向けに卸売りも計画、年商10億円の事業に育てる方針。
 商品企画から販売までを自社で管理する事業モデルは製造小売り(SPA)と呼ばれる。ファーストリテイリングのユニクロのほか、流行のファッションを提供するH&M(スウェーデン)などの「ファストファッション」などが代表。割安感と機能・デザインの高さから、衣料品不況のなかでも勢力を伸ばしている。
 高島屋の2009年度の衣料品売上高は08年度比14.6%減。伊勢丹(12.1%減)や大丸(8.7%減、現在は大丸松坂屋百貨店)と比べて落ち込みが大きい。若者向けブランドを積極的に誘致する大丸などと比べて改革が遅れていた。
 日本百貨店協会によると、全国の百貨店の09年衣料品売上高(既存店)は08年比13.2%減。足元も今年9月まで39カ月連続で前年実績を下回っている。
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