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アップルを悩ますビートルズの「次」
 米アップルが英国の人気ロックバンド、ビートルズの楽曲を初めてネット配信すると発表した。CDを含む音楽ソフトの販売ですでに世界最大手だった同社。音楽ビジネスでの圧勝を象徴する出来事といえる。ただ、スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が自ら切り開いたデジタル娯楽の市場は音楽から動画、書籍へと広がる。この先の道のりはまだまだ長い。
音楽ビジネスでは頂点に立つが…
 米西海岸時間の16日朝7時(日本の17日深夜0時)。アップルのサイトにモノクロの写真でビートルズのメンバー4人が大写しになった。配信サービス「アイチューンズストア」が主力アルバム13作などの販売を始めた。アルバムは2000円が中心で、1曲単位で購入する場合は200円。一般の楽曲よりも高めの価格設定になっている。
 U2、マドンナと大物を攻略してきたジョブズ氏にとって、ロック界の最高峰に位置するビートルズの楽曲をアイチューンズで販売することは悲願だった。「ここまで来るのは長くて曲がりくねった道だったが、夢を実現しつつある」。ジョブズ氏は早速、ビートルズ後期の名曲になぞらえてコメントを出した。
 アップルの音楽ビジネスのスタートは携帯音楽プレーヤー「iPod」を発売した2001年にさかのぼる。「自分の音楽コレクションを全部ポケットに入れて持ち運ぶ」という斬新な発想でジョブズ氏が商品化を主導。03年に音楽配信を始めたことで普及に拍車がかかった。今年2月には楽曲販売数が累計100億曲を突破。ビートルズ獲得で名実ともに音楽ビジネスの頂点に立つ。
グーグル、アマゾンに遅れとる
 しかし、完ぺき主義者のジョブズ氏がデジタル娯楽の完全制覇を目指すなら、ゴールはまだ先だ。市場が急拡大しているネット経由の動画配信や書籍販売でも音楽級の成功を収める必要がある。だが、道のりは一段と長く、曲がりくねっているかもしれない。
 まず動画。アップルは05年にテレビ番組や音楽ビデオの配信に乗り出している。07年には薄型テレビに動画を映す装置「アップルTV」を発売するなど映画の配信にも本格参入したが、音楽のようには人気に火が付かず、なかなかビジネスモデルが定まらない。当初は1本いくらの売り切りだったが、その後、視聴時間を限った安価なレンタル方式を前面に打ち出したサービスに衣替え。さらに現行のアップルTVでは米シリコンバレーの新興企業ネットフリックスの動画配信にも対応させるなど、戦略は二転三転の印象が強い。
 この間、米グーグルは06年に買収を表明した動画共有サイト、ユーチューブを通じ動画の領域で急速に存在感を高めた。アップルも自社端末のユーチューブ対応を進める。
 電子書籍では米アマゾン・ドット・コムに先を越された。アマゾンのジェフ・ベゾスCEOが端末「キンドル」と書籍配信サービスを発表したのは07年。ジョブズ氏がスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の開発、販売に夢中になっていたころだ。アップルは今春に投入した多機能端末「iPad(アイパッド)」で巻き返しを狙うが、市場にはアマゾン以外にもソニー、グーグルなど強豪がひしめく。
圧倒的な強さが弱みに
 音楽ビジネスでの圧倒的な強さが動画、書籍の競争では弱みに転じるリスクもある。
 音楽でアップル独走を許し、完全に主導権を奪われたレコード業界の教訓から、映画などコンテンツ業界はアップルに大きく依存するような作品提供には慎重だ。
 実際、映画やテレビ番組の配信で、率先してアップルと共同歩調をとるのは米ウォルト・ディズニーくらい。同社はジョブズ氏が個人として筆頭株主のいわば身内だ。書籍でも出版社はアマゾンやアップルなどを競わせ、突出したモンスター企業が生まれるのを避けたいのが本音だろう。音楽で大勝した“ツケ”がアップルに回ってくる可能性がある。
 売上高、利益とも過去最高となった7―9月期のアップル決算。iPodと配信を合わせた音楽ビジネスの売上高は会社全体の13%。主力商品の座にあるのは今やiPhoneやiPadだ。iPodと音楽配信の組み合わせで高収益構造を築いたように、新端末の勢いを保ち続けるには、動画や書籍のソフト面の充実で魅力を常に底上げしていくことが条件となる。
 「グーグルのばらばらな戦略をきっと打ち負かす」「(携帯端末ブラックベリーを手掛けるカナダの)RIMはわれわれに追いつけない」――。10月半ば、珍しく決算発表の電話会見に出席したジョブズ氏はいつにも増して攻撃的だった。業績、株価とも好調だが、デジタル娯楽の完全制覇という野心的シナリオにてらせば、なお道半ば。ゆっくりビートルズの名曲に浸っている余裕はないという心境かもしれない。



「Xperia X12」のスペック、「PSP2」試作機の画像が流出?
 Xperia X10の後継モデル「X12(ANZU)」のスペックが流出したとして、ネットでうわさになっている。うわさによると、X12はX10より薄くて軽く、次期版Android「Gingerbread」ではなくAndroid 2.2 Froyoを搭載。4.3インチディスプレイ(854×480ピクセル)、800MHzのQUALCOMM MSM7230プロセッサ、1200万画素カメラ(720p HD動画が撮影可能)を備えるという。2011年の早い時期にリリースされると言われている。



PSP2試作機の画像(?)がネットに
 ゲーム情報サイトが、「PSP2開発キット」の写真と称するものを公開している。写真によると、PSP2開発キットはPSP goに似たスライド式筐体で、2つのアナログスティック、前面カメラ、背面トラックパッドを備える。ただし、これは古いキットで、新しいキットはスライド式ではなく、PSPに近いスタイルという。デベロッパー関係者は、この写真は本物だと認めたという。



NECカシオ、新スマートフォンは「クラウド」に注力
 NECカシオモバイルコミュニケーションズは18日、2010年下期にも発売するスマートフォン(高機能携帯電話)について、インターネット経由でソフトやサービスを利用する「クラウドサービス」を充実させる方針を明らかにした。携帯をサーバーに接続してソフトの利用履歴などのデータを収集。統合データは各ソフト提供者が共有できるようにし、端末利用者ごとに適したサービスを届けられるようにする。
 基本ソフト(OS)には米グーグルの「アンドロイド」を採用。端末の仕様では、薄型、耐久性、高性能カメラを前面に打ち出す。10年度下期に米通信大手ベライゾン・ワイヤレスに供給し、11年度上半期にはNTTドコモに供給する計画だ。



低価格で攻勢のAndroid 50ドルの「大衆価格」スマートフォンも
 50ドルを切るAndroidスマートフォンを発売する米Verizon Wirelessが発表したことで、競争はAppleが対抗できない方向へと激化している。クリント・ボールトン記者が指摘したように、価格を低く抑えることで、これまでiPhoneを買わなかったような人々にスマートフォンを届けられるだろう。だが、低価格Android携帯を投入するキャリアはVerizonだけではない。
 米T-Mobileは11月1日に、メーカー3社のAndroid端末4機種を発表した。うち2機種は米Motorola製で、価格は50ドルを下回る。そのうちの1つ「T-Mobile Comet」は2年契約を結べば、リベート適用後の価格が10ドル未満になる。
 Android携帯が10ドルで売られるようになると、全く新たな層のユーザーに市場が開かれる。これらは、スマートフォンは裕福な人にしか買えないほど高いと思っていて、スマートフォンの購入を考えたこともないかもしれない人々だ。
 だが、今やAndroidデバイスは大衆化を大きく進めている――スマートフォンを買いたい人が誰でも買えるようになり、Android Marketで提供されている多数の無料あるいは安価なアプリのほとんどを入手できるようになる。もちろん、データ通信プランが必要だが、T-MobileとVerizon Wirelessはこれらの低価格スマートフォンを購入する人のために、新たな低価格データプランを作り出している。中には、月額10ドルからのプランもある。
 これはまったく新しいスマートフォンの市場だ。今のところは、厳密に言えばAndroidの市場だ。この価格帯の携帯電話はたくさん出回っており、中にはスマートフォン的な機能を持ったものもあるが、これはスマートフォン市場に対するまったく新しいアプローチだ。
 これら低価格デバイスには最新版のAndroidは載っていないかもしれないし、おそらく高速プロセッサや大容量アプリケーションメモリはないだろうが、それでもほかのAndroidデバイスができることはたいていこなせる。
 これに対して、iPhoneは主に高い端末代と高い(その上もう無制限ではない)AT&Tのデータプランを払う余裕のあるエリートユーザーが対象だ。iPhoneのハードが新しい低価格Android端末より技術的に優れている――少なくとも、アンテナを除けば――ことに疑いの余地はないが、これら安価な端末は、iPhoneが決して手を伸ばさない多数の人々にリーチしている。
 これを世界的な影響という点で考えると、Androidにとって大成功になることはたやすく理解できる。米国の多くのスマートフォンユーザーにとっては価格は主な購入動機にはならないが、同国ほど裕福でない世界の地域では、大衆向けスマートフォンはビジネスの点でも知識へのアクセスという点でも大きな影響をもたらし得る。iPhoneとそのエリートユーザーはそれを知ることはないだろう。
 Verizon Wirelessは米国を広く押さえており、T-Mobileは世界に展開しているため、低価格Android携帯は単なる興味深いクリスマスプレゼント候補にとどまらない。このようなデバイスは、あらゆる場所でビジネスのやり方を変える可能性がある。
 携帯電話は既に、米国や西欧以外のところで、ビジネスに大きな影響を及ぼしている――漁師がその日捕まえた魚を市場に持ち込むときに価格を決められるようにしたり、徒歩での移動に頼っていた小規模企業にコミュニケーション手段を与えたりしている。真に安価なスマートフォンがこうしたビジネスをどう変えるかを想像してみてほしい。
 だからといって、iPhoneや高額な競合機種が企業にとって間違った選択肢だということではない。誰にとっても適切な選択肢というわけではない、ということだ。スマートフォンを使った情報やサービスへの新たなアクセスが広がれば、路線バスの到着時間などの日常的な情報から、必要な商品を扱っている業者の検索まで、多くの点で暮らしが変わるだろう。こうした機能は既にスマートフォン市場のほとんどで提供されているが、これまで多くの人がその市場から締め出されていた。それが変わるのだ。
 では、そうした事情がどういうふうに、Androidが今年iOSを追い抜いたこと、来年Nokiaを追い抜くであろうことの説明になるのだろうか? その答えは極めて明白だ。新しく、非常に大きな市場を一度開き、その結果需要を作り出せれば、多くのスマートフォンを売れる。
 世界市場では長らくNokiaがリードしてきた。それは主に、各国で安価な携帯電話を多数販売しているからだ。だが同社のスマートフォンは、特に安いわけではない。新しい低価格Android携帯は非常に安価で、これまで満たされていなかった、この種のデバイスへの巨大に違いない需要をきっと満たすだろう。Appleは、エリート向けの端末以外のものにたどり着かない限り、この分野ではチャンスはない。いつでも「つながる」ことのできる大きな世界がある。低価格Android携帯はそのつながるになる手段かもしれない。
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