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KDDI小野寺社長が世界の通信業界へ最後に語ったこと   携帯電話業界の国際展示会「Mobile Asia Congress」が11月17~18日、香港で開催された。話題の中心は、日本ではNTTドコモが12月24日に開始する次世代通信サービス「LTE」と米アップルの「iPhone」を筆頭に市場が盛り上がっているスマートフォンだ。
 そのスマートフォンブームの陰で、「トラフィックの急増」が携帯電話会社の頭痛の種となっている。スマートフォンからの接続が増大し、携帯電話会社は通信ネットワークにかかる負荷に対して危機感を強めている。通信量にかかわらず使い放題のパケット定額制を維持するべきか、従量課金や容量制限を設けるべきかという選択に苦慮している。
 こうしたなかで、中国メーカーの中興通訊(ZTE)は、「W―CDMA」系の通信方式である「HSPA」と無線LANだけでなく、規格が異なる「CDMA2000」系の「EV-DO」方式でも接続が可能なタブレット端末を出展した。同社は「端末は今後、ユーザーが意識することなく、通信環境に応じて最適なネットワークを使い分けられるようにするべきだ」と提案している。
 一方、NECは、基地局を設置する際に有線ケーブルに代わって無線で基幹ネットワークに接続できる機器を展示した。「スマートフォンの普及でデータ通信のトラフィックが増え、基地局の需要も高まる傾向にある。基地局を簡便に建設するためには欠かせない機器」とアピールしていた。
 スマートフォンブームによるトラフィック問題は、携帯電話会社にとっては回避すべき経営課題である一方、端末メーカーや通信機器メーカーはそれをチャンスと受け止めているという構図が浮かび上がる。
「LTEだけでは耐えられない」
 Mobile Asia Congressの基調講演には、日本からNTTドコモの山田隆持社長とKDDIの小野寺正社長兼会長が登壇した。小野寺氏は11月末をもって会長職に専念する。この基調講演は小野寺氏がKDDIの社長として世界の通信業界に語る最後の場となる。
 講演のテーマは「LTE――The Dawn of a New Era for voice and data service(音声とデータサービスの新しい時代の夜明け)」。小野寺社長はZTEと香港の通信会社CSLのトップとともに登壇した。
 KDDIは、NTTドコモに続いて12年にLTEの導入を予定している。小野寺社長は「日本では09年からの5年間でトラフィックが15倍に増大するだろう。その急増にどう対応するかが、通信事業者の課題となる」と語った。
 小野寺社長の説明によると、ネットワークの収容能力はLTE技術の導入で従来の2倍、新規周波数の割り当てで2倍、1つの基地局のカバー区域を小さくする「小セル化」による密度向上で10倍の計40倍になる。さらに複数に同時送信する「マルチキャスト」技術を取り入れて放送型の通信をすることでネットワークの容量を高められるという。それでも、「LTEだけでは耐えられない。ほかにも努力が必要だ」と説いた。
「トラフィックのコントロールが難しい」
 KDDIは高速データ通信サービスの「WiMAX」を展開するUQコミュニケーションズに出資するほか、今年10月には国内で公衆無線LANサービスを提供するワイヤ・アンド・ワイヤレス(東京・港)の増資を引き受け筆頭株主になった。
 LTEだけでなく、これらの通信インフラを組み合わせてトラフィック集中を回避させる狙いだ。それでも小野寺社長は「WiMAXを組み合わせても、増え続ける(トラフィック)需要には足りないかもしれない」と不安を口にした。
 最大の不安要因は、従来型の携帯電話(フィーチャーフォン)からスマートフォンへの移行が加速している点にある。「これまではフィーチャーフォンが主体だったので、通信事業者がトラフィックをある程度はコントロールでき、パケット定額制のサービスも導入できた。しかしスマートフォンが主体になってくれば、それさえも難しくなるだろう」と小野寺社長は語った。
 実際、NTTドコモはLTE導入にあたって、データ通信量が5ギガバイト(GB)までは6510円だが、それを超えると2GBごとに2625円かかる上限付きの料金プランを用意した(11年4月30日まではキャンペーンで月額4935円の定額制)。これにより、トラフィックが増え続けることを抑止しようとしている。
 小野寺社長も「(NTTドコモの料金プランは)1つの解だと思う。我々もいろいろ考えなくてはならない」と理解を示した。
モバイルのために固定がいっそう重要に
 小野寺氏がKDDI社長に就任したのは01年。KDDIは以降、固定通信とモバイル通信の融合を意味する「FMC(Fixed Mobile Convergence)」に、放送(Broadcasting)を加えた「FMBC」の実現に向けて取り組んできた。
 07年には、東京電力との光ファイバー通信事業を統合し、さらにはCATV大手であるJCNグループの連結子会社化を実現。08年には中部電力系の地域通信会社CTCの株式を取得するなど、固定通信と放送の分野を強化してきた。
 小野寺社長はその狙いを改めてこう語った。「携帯電話などモバイルを使う人にも大容量のトラフィックを提供するには、固定通信が重要になる。FMBCによってモバイルと固定を融合させ、データのトラフィックにFMBC全体を対応させていかなくてはならない。こうした『コンバージェンス』が、これからの通信事業者のキーワードになっていくだろう」
 日本ではソフトバンクの孫正義社長が、無線LANネットワークの拡充を進める一方、光ファイバー網を使った「光の道」の実現を熱く語っている。これもiPhoneによるトラフィック増を目の当たりにしているからだろう。
 小野寺社長時代のKDDIは、スマートフォンの端末戦略では他社よりも出遅れてしまったが、アクセス網の整備には積極的に投資を続けてきた。今後スマートフォンやタブレット端末が普及すると、携帯電話ネットワークへの負荷集中を回避するために、固定通信やCATVといった固定ネットワークの重要性がいっそう増してくる。
「FMBCは全然、完成していない」
 これまでFMBCの実現に向けてまい進してきたKDDI。基調講演を終え、会場を足早に歩く小野寺社長に「社長に就任して約10年、FMBCの完成度はどれくらいですか」と尋ねたところ、最後に「我々のFMBCはまだ全然、完成していない」という言葉を残して去っていった。
 本格的なスマートフォン時代に突入するさなかの12月1日、携帯電話と固定、CATVを抱えるKDDIの手綱は、田中孝司新社長に委ねられる。



日本のモバイルトラフィックは3カ月で13%増加 総務省と移動体通信5社が調査
 スマートフォンやモバイルブロードバンドの進展によって、モバイルトラフィックは増加の一途をたどっているが、それを裏付ける国内の統計データが公表された。
 総務省は2010年11月18日、移動体通信事業者5社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイル、UQコミュニケーションズ)と協力し、日本のモバイルトラフィック量を集計したデータを明らかにした。これは総務省で議論が進む「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ」の会合の中で、モバイルトラフィック増加の実態を分析するために調査したもの。これまでモバイルのデータ通信に関する、国内のまとまった統計は存在していなかった。
 調査は2010年6月と9月の2回実施。2010年9月分の5社合計の月間延べトラフィック量は、2万3078Tバイトであり、平均トラフィックは71.2Gビット/秒である。6月時点での調査から平均トラフィックは13.2%増加したという。わずか3カ月で13%ものトラフィックが増えた形だ。1加入者に換算すると、月間で202.8Mバイトのデータをやり取りしていることになる。
 このほか曜日・時間単位のトラフィックの推移も分析。平日・休日とも22時から24時にかけて急速にトラフィックが増大していたり、平日は昼休みに一時的なピークが発生していたりする様子をグラフなどの形で紹介した。



中国のソフトバンク系交流サイト、日本でクーポン共同購入
 中国の交流サイト(SNS)運営大手でソフトバンクグループのオーク・パシフィック・インタラクティブ(OPI、北京市)は、日本でクーポンの共同購入サービスを来年から始める。購入希望者が一定数集まることを条件に、飲食店やレジャー施設、ネット上のゲームコンテンツなどが割安に使えるクーポンを販売する。
 飲食店紹介の無料誌を発行するぱどと組み、1月に専用サイトを設立。食事の代金やレジャー施設の入場料金が通常の半額以下になるクーポンの共同購入希望者を募る。クーポンはまず首都圏の70~80施設を対象とし、順次全国に広げ、年間10億円の取扱高を見込む。
 OPIが運営するSNSの会員数は1億6千万人おり、中国では既にクーポンの共同購入サービスを展開している。訪日する中国人に日本で使えるクーポンの要望が多いこともあり、日本での参入を決めた。
 同サービスを日本では米最大手のグルーポンが提供しているほか、飲食店情報サイトのぐるなび、価格比較サイトのカカクコムなどが相次いで参入している。OPIとぱどはSNSで会員同士が遊ぶソーシャルゲーム(交流型ゲーム)で使うアイテムも割安で買えるクーポンを用意し、独自性を打ち出す。



「アイフォーン」SIMカード内蔵に「ノー」
欧州通信各社、米アップルに警告
 欧州の大手携帯電話サービス各社はiPhoneに大幅な技術革新を導入するならば、報復措置も辞さないと警告している。
販売奨励金の拠出拒否も辞さない姿勢
 通信各社は、アップルがアイフォーンに契約者を認識する新型のSIMカードを内蔵するならば、アイフォーンへの販売奨励金の拠出を拒むこともありうると非公式に明らかにしている。各社はアップルが新しいSIMカードを通じ、通信各社と携帯電話利用者との関係を支配しようとしていると非難している。
 欧州通信大手でこうした懸念を抱いていると見られるのは、英ボーダフォンやフランステレコム、スペインのテレフォニカなど。各社ともコメントを拒否しており、アップルもこれまでのところフィナンシャル・タイムズ紙の取材要請に応じていない。
 だが欧州通信グループのある幹部は、アップルが新たなSIMカードを巡り通信各社と「戦争」を起こすリスクがあると話す。導入に踏み切れば、通信各社はアイフォーンに販売奨励金を出すのを拒む可能性があるためだ。
 アイフォーンの卸売価格は約600ドルだが、通信各社は顧客が2年間の通信契約を結んだ場合には、無料またはそれに近い金額でアイフォーンを提供している。通信各社の販売奨励金により、アップルはアイフォーンの売り上げを最大限伸ばしてきた。
 欧州の通信各社によると、アップルが検討している新型SIMカードは、現在携帯電話業界で使われているモデルとは明らかに一線を画すものになるという。



MySpaceがFacebookと提携 「いいね!」情報をオプトインで取り込み可能に
 米MySpaceは11月18日(現地時間)、米Facebookとの提携による新機能「Mashup with Facebook」を発表した。FacebookとMySpaceの両方を使っているユーザーは、Facebookのプロフィールや「いいね!」、ウォールへの投稿情報をMySpaceにオプトインで取り込むことができる。MySpaceのアカウントを持っていないFacebookユーザーも、OAuthによる認証でMySpaceにログインできる。
 ユーザー数でFacebookに大きく水をあけられているMySpace(Facebookは4億人以上、MySpaceは1億人以上)は、今回の新機能で少なくとも疎遠になっているユーザーを呼び戻すことができるかもしれない。
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