00430000s@merumo.ne.jp に空メールすると、ブログと同じ内容のメルマガをが配信されます。twitterはhttps://twitter.com/wataru4 です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
グリー社長「ミクシィに肩を並べる存在になった」
グリーの快走が続いている。無料ゲームを携帯SNSの集客やコミュニケーションの活性化に生かす手法が順調で、2月には月間ページビュー(PV)が100億の大台を突破した。「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エーが昨秋に業績の下方修正を発表するなど高成長に陰りも見えるSNS業界でどのような成長戦略を描くのか。田中良和社長に聞いた。
――PVが順調に増えています。直近の利用者数は。
詳細は開示していませんが、順調に増えています。現在、NTTドコモの公式サイトメニューではコミュニティカテゴリの一番上にグリーの名前があります。メニューの掲載順は利用者数によるので、ドコモのユーザーが最もよく使っているSNSはグリーということですね。2位はミクシィです。ミクシィを追い越したとは思っていませんが、肩を並べる存在になりました。
――2006年秋にKDDIと提携し携帯向けSNSを本格的に始めました。KDDIの利用者が多かったのでは。
以前はそうですが、最近はドコモとKDDIの会員数が接近しています。一般的なモバイル向けサービスの会員の構成比率に近くなりました。携帯電話の契約者数はドコモが5割、KDDIが3割程度ですが、KDDIはデータ通信の定額制に加入しているヘビーユーザーが多く会員数では接近するわけです。
――SNSは普及がひと段落し、利用者の伸びが鈍化し始めたとの見方もあります。
そうでしょうか。まだ延びる余地は大きいと思っています。現在、グリーとミクシィとモバゲータウンの会員は延べ3000万―4000万人でしょう。1人で複数のサービスを使う人もいますから、純粋なSNS利用者は3000万人よりずっと少ないはず。日本にはSNSを使っていない人がまだたくさんいます。
――パソコンのPVは低水準が続いています。てこ入れしないのですか。
これからもモバイル向けで利用者を伸ばしていきます。日本ではSNSはモバイル向けのサービスと考えていい。ミクシィもPVのうち半分以上は携帯電話からです。グリーはパソコン向けでスタートしましたが、利用者がシフトすると考えてモバイルサイトを一から作った。だからパソコンとモバイルではサイトの作りもテイストも違うのです。
グリーの携帯向けトップページ
――SNSの活性化にゲームをうまく使っています。同業他社のように小説や音楽配信などのサービスを取り入れる予定は。
今、考えられる最もSNSを活性化できる方法はゲームです。当面はゲームを進化させることで利用者を増やしたい。ゲームのデザインや反応速度など改善点はまだまだあります。通販や音楽配信を取り入れることは、近い将来では考えていません。
――2009年6月期の売上高は前期の3.8倍となる112億円の見通しです。内訳は。
SNSやゲームで使うアバターやアイテムの課金収入が伸びており70-75%を占めます。残りの25―30%が広告です。だいぶ先の話になりそうですが、いずれは50%ずつにしたい。個人と法人の両方から同水準の収入を得られれば、経営の安定につながるからです。
――自社サービスのテレビCMに積極的です。理由は。
集客に加え、マーケティングのノウハウを積む狙いがあります。例えば今はどんなCMに訴求力があるのか、といったことを分析しています。今までインターネットのサービスはクチコミが重要でした。言い換えればネットサービスのマーケティングについて詳しい人がいないということでしょう。継続してCMを打ち、マーケティング力を磨くことが将来グリーの強みになると考えています。
――10年6月期も今期同様の高成長は可能ですか。
まだ予算も組んでいないし、景気がこれだけ低迷していると強気のことは言いづらい(笑)。私が楽天に入社した2000年初めのころは確か楽天市場の店舗は200店ほどでした。それが1年後には10倍の2000店になりました。その当時は十分に増えたと感じたものですが、8年後の今ではさらに10倍の2万6000店もあるそうです。グリーは利用者2000-3000万人(昨年10月時点で700万人)を目指しています。いつになるかは分かりませんが、可能な数字だと思っています。
――同じSNSのミクシィやモバゲータウンを使うことはありますか。
ありません(笑)。ビジネスマンとして必要なもの以外は、ネットのサービスはあまり使いません。3―5年先にユーザーに求められると思うサービスを、ゼロから作り出すのがグリーの役割だと考えています。すでに誰かが実現しているネットのサービスは参考になりません。
2004年2月に個人でSNSを立ち上げた理由は、世の中に求められるサービスだと思ったからです。当時は誰に聞いても「日記は人に見せるものではない。写真は家族や仲間内で楽しむもの。そんなサービスは使われない」と冷たい反応でした。それが2005年ごろになるとみんなが使うようになりました。ユーザーは変わります。それを予想して次の手を打つ必要があります。
――株式相場が低迷するなか昨年12月に上場しました。延期は考えなかったのですか。
上場はゴールではなく成長を続けるためのステップ。ずっと前から準備していたスケジュールどおりで迷いはありませんでした。目指すのは新しいプラットフォームを作って、多くの人に使われて、喜ばれ、その結果たくさんの利益を稼ぐこと。例えば任天堂やアップル、グーグルのような存在になりたいですね。
複雑・巨大から単純へ、ゲーム市場の転換点 GDC報告(COLUMN)
米サンフランシスコで3月23~27日に開催された「ゲーム開発者会議(GDC)」報告の2回目。北米ではこの1年でパッケージ市場がにわかに揺らぎだした。その実態と、環境変化への適応を急ぐゲーム産業の状況をお伝えする。
■巨大化したプロジェクトの苦戦
GDCの会場で、あるミドルウエアベンダーのCEOから聞いた話だが、北米のゲーム開発コストの相場観は明らかにおかしく、ゲーム会社の収益を圧迫する問題になっているという。
08年の年末商戦でそれなりにヒットしたタイトルは2500万ドル(約25億円)以上の開発費が当たり前になっており、少なくともそのコストを回収するためには、最低120万本を販売する必要があるというのである。
その本数に達してやっと、1本当たりの開発費を約20ドルに抑え込むことができ、黒字化する可能性が出てくる。PS3やXbox360向けの場合、発売当初は59ドル程度で販売されるために、120万本の販売本数であっても、まだ開発費が売上高の3分の1を占めている。実際には、ディスカウントして販売するため、さらに多く販売しなければ回収できない。これがゲーム会社にとって相当なギャンブルであることは想像に固くないだろう。
その異常事態の象徴が、08年10―12月期に1億9180万ドルもの赤字を出した米大手ゲーム会社のTHQだ。10月にリリースした「Saints Row 2」(PS3、Xbox360)は、260万本の販売を達成したにもかかわらず、利益が出なかった。
これまでは必勝パターンとされてきた映画とのタイアップタイトル「WALL・E/ウォーリー」(PS3、PS2、Xbox360など)も販売が振るわなかった。
中規模クラスのタイトルですら1500万ドルもの開発費をかけるのだが、その程度では小売店から小粒なタイトルと見なされ、そもそも店頭に置いてもらえない。結果として、中規模タイトルは軒並み赤字になっているようだ。THQのケースでは昨年9月に発売したパズルゲーム「de Blob」(Wii)がゲームとして高い評価を受けたが、販売は70万本にとどまっている。
今回のGDCで、仏UBIの「ファークライ2」(Xbox360、PS3)のメイキングセッションがあり、カナダのモントリオールにある開発スタジオが紹介されたのだが、チーム全員による集合写真を見て驚いた。開発者の数があまりに多く、恐ろしささえ感じた。
ファークライ2は3年の開発期間で、プログラマーが100人関わり、ピーク時のチームの開発人員はテスト担当まで含めて260人を超えた。このプロジェクトが2500万ドルの開発費で収まっているとは考えにくい。
評価は高く、300万本の販売とヒットしたものの、かろうじて黒字というのが実際ではないだろうか。一歩間違えれば大失敗になりかねないギャンブル性の高いプロジェクトだったように思う。
■ベテラン開発者が独立系ゲームに流れ込む
今回のGDCでやたらと多かったのは、「コンサルタント」という名刺を持った開発者だ。ベテランの開発者がフリーランスになると、とりあえずそう名乗って仕事をするケースが多いようだ。
破産法を申請した米ミッドウェイのテキサス州オースティンのスタジオで働いていたという30歳代のプログラマーに出会ったが、彼もコンサルタントと名乗っていた。ミッドウェイの業績を圧迫する要因となった、4000万ドルをかけたアクションゲーム「ストラングルホールド」(PS3、Xbox360)のネットワークプログラミングを担当していたという。しかし、解雇され、仕事を探す目的も半分ありGDCに参加したようだ。
彼は現在小さなスタジオで、オンライン対戦に対応するようなゲームの開発を手伝っているという。1000万円を超えていたかつての給与からすれば、糊口をしのぐような仕事である。
ここにも、今年のトレンドが垣間見える。大型のプロジェクトがなくなってしまい、ベテラン開発者は小さな独立系ゲームに新しい可能性を求めて流れ込もうとしている。
もちろん、これらの現象は任天堂のパワーにより引き起こされたことだ。以前のコラム「欧米市場を襲った『Wii』旋風 GDCを読む」でもその状況について解説している。
現在のゲーム市場において、「ニンテンドーDS」と「Wii」の強さは圧倒的だ。今回のGDCに参加していた米国の開発者たちからも「どうすれば任天堂プラットホームで売れるようになれるのか、まったくわからない」という声が聞かれた。昨年、任天堂プラットフォームに参入した企業はいくつもあったが、大きな実績を出せるまでになった企業は北米ではまだないといっていい。
■巨大化したゲームの自壊は歴史的パターン
ただ、この状況を冷静に見ているベテラン開発者もいる。21年にわたり、35本以上のゲーム開発に関わってきたゲームデザイナーのボブ・ベイト氏は、今回の北米市場のバブル崩壊を「景気後退の影響ではなく、市場の構造的なパターン」だという。
ゲームの発展の歴史は、どの時代でも簡単なものからスタートして、だんだんと複雑さを増していくという流れをたどってきた。ところが、その複雑さと巨大さは、だんだんと市場が我慢できる限界に達していき、最終的にはコストと釣り合わないプロジェクトが自重により崩壊する。
そして、一度単純なものへと揺り戻しが来る。そのように崩壊した例としては「シェンムー」(セガ、ドリームキャスト)があり、崩壊後に単純なゲームとして成功した例では「テトリス」(任天堂、ゲームボーイ)があった。
ベイト氏は、一本のタイトルに下手をすれば5年も関わるという現在の状況は異常だという。今の開発者は、彼のようなベテラン世代と違い、何本ものタイトル開発に関わるというようなことができない。だからこそ、今度は短期間で開発できる軽いゲームから新しいイノベーションが登場してくる。独立系ゲームの台頭は、必ず来る当然の流れだったとベイト氏は見ていた。
今の北米は、高いコストをかけて開発したタイトルが結局は、中古市場を発展させてしまうという悪循環にはまりこみつつある。そして、それがさらにゲーム会社の収益を圧迫する。一方で、インターネットを経由したディストリビューションの安価なゲームの台頭は、高コスト体質のゲームの収益機会をさらに減少させようとしている。
市場のルールは大きく変わろうとしており、過去の考え方を変えなければ生き残れない状況が、出現しようとしている。
グリーの快走が続いている。無料ゲームを携帯SNSの集客やコミュニケーションの活性化に生かす手法が順調で、2月には月間ページビュー(PV)が100億の大台を突破した。「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エーが昨秋に業績の下方修正を発表するなど高成長に陰りも見えるSNS業界でどのような成長戦略を描くのか。田中良和社長に聞いた。
――PVが順調に増えています。直近の利用者数は。
詳細は開示していませんが、順調に増えています。現在、NTTドコモの公式サイトメニューではコミュニティカテゴリの一番上にグリーの名前があります。メニューの掲載順は利用者数によるので、ドコモのユーザーが最もよく使っているSNSはグリーということですね。2位はミクシィです。ミクシィを追い越したとは思っていませんが、肩を並べる存在になりました。
――2006年秋にKDDIと提携し携帯向けSNSを本格的に始めました。KDDIの利用者が多かったのでは。
以前はそうですが、最近はドコモとKDDIの会員数が接近しています。一般的なモバイル向けサービスの会員の構成比率に近くなりました。携帯電話の契約者数はドコモが5割、KDDIが3割程度ですが、KDDIはデータ通信の定額制に加入しているヘビーユーザーが多く会員数では接近するわけです。
――SNSは普及がひと段落し、利用者の伸びが鈍化し始めたとの見方もあります。
そうでしょうか。まだ延びる余地は大きいと思っています。現在、グリーとミクシィとモバゲータウンの会員は延べ3000万―4000万人でしょう。1人で複数のサービスを使う人もいますから、純粋なSNS利用者は3000万人よりずっと少ないはず。日本にはSNSを使っていない人がまだたくさんいます。
――パソコンのPVは低水準が続いています。てこ入れしないのですか。
これからもモバイル向けで利用者を伸ばしていきます。日本ではSNSはモバイル向けのサービスと考えていい。ミクシィもPVのうち半分以上は携帯電話からです。グリーはパソコン向けでスタートしましたが、利用者がシフトすると考えてモバイルサイトを一から作った。だからパソコンとモバイルではサイトの作りもテイストも違うのです。
グリーの携帯向けトップページ
――SNSの活性化にゲームをうまく使っています。同業他社のように小説や音楽配信などのサービスを取り入れる予定は。
今、考えられる最もSNSを活性化できる方法はゲームです。当面はゲームを進化させることで利用者を増やしたい。ゲームのデザインや反応速度など改善点はまだまだあります。通販や音楽配信を取り入れることは、近い将来では考えていません。
――2009年6月期の売上高は前期の3.8倍となる112億円の見通しです。内訳は。
SNSやゲームで使うアバターやアイテムの課金収入が伸びており70-75%を占めます。残りの25―30%が広告です。だいぶ先の話になりそうですが、いずれは50%ずつにしたい。個人と法人の両方から同水準の収入を得られれば、経営の安定につながるからです。
――自社サービスのテレビCMに積極的です。理由は。
集客に加え、マーケティングのノウハウを積む狙いがあります。例えば今はどんなCMに訴求力があるのか、といったことを分析しています。今までインターネットのサービスはクチコミが重要でした。言い換えればネットサービスのマーケティングについて詳しい人がいないということでしょう。継続してCMを打ち、マーケティング力を磨くことが将来グリーの強みになると考えています。
――10年6月期も今期同様の高成長は可能ですか。
まだ予算も組んでいないし、景気がこれだけ低迷していると強気のことは言いづらい(笑)。私が楽天に入社した2000年初めのころは確か楽天市場の店舗は200店ほどでした。それが1年後には10倍の2000店になりました。その当時は十分に増えたと感じたものですが、8年後の今ではさらに10倍の2万6000店もあるそうです。グリーは利用者2000-3000万人(昨年10月時点で700万人)を目指しています。いつになるかは分かりませんが、可能な数字だと思っています。
――同じSNSのミクシィやモバゲータウンを使うことはありますか。
ありません(笑)。ビジネスマンとして必要なもの以外は、ネットのサービスはあまり使いません。3―5年先にユーザーに求められると思うサービスを、ゼロから作り出すのがグリーの役割だと考えています。すでに誰かが実現しているネットのサービスは参考になりません。
2004年2月に個人でSNSを立ち上げた理由は、世の中に求められるサービスだと思ったからです。当時は誰に聞いても「日記は人に見せるものではない。写真は家族や仲間内で楽しむもの。そんなサービスは使われない」と冷たい反応でした。それが2005年ごろになるとみんなが使うようになりました。ユーザーは変わります。それを予想して次の手を打つ必要があります。
――株式相場が低迷するなか昨年12月に上場しました。延期は考えなかったのですか。
上場はゴールではなく成長を続けるためのステップ。ずっと前から準備していたスケジュールどおりで迷いはありませんでした。目指すのは新しいプラットフォームを作って、多くの人に使われて、喜ばれ、その結果たくさんの利益を稼ぐこと。例えば任天堂やアップル、グーグルのような存在になりたいですね。
複雑・巨大から単純へ、ゲーム市場の転換点 GDC報告(COLUMN)
米サンフランシスコで3月23~27日に開催された「ゲーム開発者会議(GDC)」報告の2回目。北米ではこの1年でパッケージ市場がにわかに揺らぎだした。その実態と、環境変化への適応を急ぐゲーム産業の状況をお伝えする。
■巨大化したプロジェクトの苦戦
GDCの会場で、あるミドルウエアベンダーのCEOから聞いた話だが、北米のゲーム開発コストの相場観は明らかにおかしく、ゲーム会社の収益を圧迫する問題になっているという。
08年の年末商戦でそれなりにヒットしたタイトルは2500万ドル(約25億円)以上の開発費が当たり前になっており、少なくともそのコストを回収するためには、最低120万本を販売する必要があるというのである。
その本数に達してやっと、1本当たりの開発費を約20ドルに抑え込むことができ、黒字化する可能性が出てくる。PS3やXbox360向けの場合、発売当初は59ドル程度で販売されるために、120万本の販売本数であっても、まだ開発費が売上高の3分の1を占めている。実際には、ディスカウントして販売するため、さらに多く販売しなければ回収できない。これがゲーム会社にとって相当なギャンブルであることは想像に固くないだろう。
その異常事態の象徴が、08年10―12月期に1億9180万ドルもの赤字を出した米大手ゲーム会社のTHQだ。10月にリリースした「Saints Row 2」(PS3、Xbox360)は、260万本の販売を達成したにもかかわらず、利益が出なかった。
これまでは必勝パターンとされてきた映画とのタイアップタイトル「WALL・E/ウォーリー」(PS3、PS2、Xbox360など)も販売が振るわなかった。
中規模クラスのタイトルですら1500万ドルもの開発費をかけるのだが、その程度では小売店から小粒なタイトルと見なされ、そもそも店頭に置いてもらえない。結果として、中規模タイトルは軒並み赤字になっているようだ。THQのケースでは昨年9月に発売したパズルゲーム「de Blob」(Wii)がゲームとして高い評価を受けたが、販売は70万本にとどまっている。
今回のGDCで、仏UBIの「ファークライ2」(Xbox360、PS3)のメイキングセッションがあり、カナダのモントリオールにある開発スタジオが紹介されたのだが、チーム全員による集合写真を見て驚いた。開発者の数があまりに多く、恐ろしささえ感じた。
ファークライ2は3年の開発期間で、プログラマーが100人関わり、ピーク時のチームの開発人員はテスト担当まで含めて260人を超えた。このプロジェクトが2500万ドルの開発費で収まっているとは考えにくい。
評価は高く、300万本の販売とヒットしたものの、かろうじて黒字というのが実際ではないだろうか。一歩間違えれば大失敗になりかねないギャンブル性の高いプロジェクトだったように思う。
■ベテラン開発者が独立系ゲームに流れ込む
今回のGDCでやたらと多かったのは、「コンサルタント」という名刺を持った開発者だ。ベテランの開発者がフリーランスになると、とりあえずそう名乗って仕事をするケースが多いようだ。
破産法を申請した米ミッドウェイのテキサス州オースティンのスタジオで働いていたという30歳代のプログラマーに出会ったが、彼もコンサルタントと名乗っていた。ミッドウェイの業績を圧迫する要因となった、4000万ドルをかけたアクションゲーム「ストラングルホールド」(PS3、Xbox360)のネットワークプログラミングを担当していたという。しかし、解雇され、仕事を探す目的も半分ありGDCに参加したようだ。
彼は現在小さなスタジオで、オンライン対戦に対応するようなゲームの開発を手伝っているという。1000万円を超えていたかつての給与からすれば、糊口をしのぐような仕事である。
ここにも、今年のトレンドが垣間見える。大型のプロジェクトがなくなってしまい、ベテラン開発者は小さな独立系ゲームに新しい可能性を求めて流れ込もうとしている。
もちろん、これらの現象は任天堂のパワーにより引き起こされたことだ。以前のコラム「欧米市場を襲った『Wii』旋風 GDCを読む」でもその状況について解説している。
現在のゲーム市場において、「ニンテンドーDS」と「Wii」の強さは圧倒的だ。今回のGDCに参加していた米国の開発者たちからも「どうすれば任天堂プラットホームで売れるようになれるのか、まったくわからない」という声が聞かれた。昨年、任天堂プラットフォームに参入した企業はいくつもあったが、大きな実績を出せるまでになった企業は北米ではまだないといっていい。
■巨大化したゲームの自壊は歴史的パターン
ただ、この状況を冷静に見ているベテラン開発者もいる。21年にわたり、35本以上のゲーム開発に関わってきたゲームデザイナーのボブ・ベイト氏は、今回の北米市場のバブル崩壊を「景気後退の影響ではなく、市場の構造的なパターン」だという。
ゲームの発展の歴史は、どの時代でも簡単なものからスタートして、だんだんと複雑さを増していくという流れをたどってきた。ところが、その複雑さと巨大さは、だんだんと市場が我慢できる限界に達していき、最終的にはコストと釣り合わないプロジェクトが自重により崩壊する。
そして、一度単純なものへと揺り戻しが来る。そのように崩壊した例としては「シェンムー」(セガ、ドリームキャスト)があり、崩壊後に単純なゲームとして成功した例では「テトリス」(任天堂、ゲームボーイ)があった。
ベイト氏は、一本のタイトルに下手をすれば5年も関わるという現在の状況は異常だという。今の開発者は、彼のようなベテラン世代と違い、何本ものタイトル開発に関わるというようなことができない。だからこそ、今度は短期間で開発できる軽いゲームから新しいイノベーションが登場してくる。独立系ゲームの台頭は、必ず来る当然の流れだったとベイト氏は見ていた。
今の北米は、高いコストをかけて開発したタイトルが結局は、中古市場を発展させてしまうという悪循環にはまりこみつつある。そして、それがさらにゲーム会社の収益を圧迫する。一方で、インターネットを経由したディストリビューションの安価なゲームの台頭は、高コスト体質のゲームの収益機会をさらに減少させようとしている。
市場のルールは大きく変わろうとしており、過去の考え方を変えなければ生き残れない状況が、出現しようとしている。
PR
この記事にコメントする