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アップル、次期iPadに合わせて雑誌・新聞の定期購読ストアを開設へ?
 稼ぎ頭となった iTunes Store と「趣味」を公言しつつ再出発をはかる Apple TV のはざまで、今一つアップルの本気度合いが読み取れなかったiBooks / iBookstoreがテコ入れされるもようだ。ブルームバーグが「関係者ふたり」から得た情報によれば、アップルは雑誌・新聞といった定期購読物をiOSデバイス向け、特にiPad向けに配信するデジタル・ニューススタンドを開発中とのこと。すでにApp Storeでは多数の雑誌アプリが取り扱われているが、アプリ内で一号づつ購入するような仕組みがほとんどで、定期購読者が雑誌の命運を握る米国の出版業界とはお世辞にも相性が良いとは言えなかった。新しいデジタル・ニューススタンドはApp Storeとは切り離され、雑誌の定期購読者を増やすための仕組みになる予定。出版社との交渉がまとまれば今後数ヶ月以内にも実現する予定ですが、来年早々に登場予定という次世代iPadと足並みを揃えて発表する可能性もある。
 実現への課題は、やはり出版社との取り分をどうするかだ。記事によれば、アップルはiTunes StoreやApp Storeと同様に30%のマージンを計画しているものの、契約を嫌がる大手雑誌出版社もあるとのこと。また、雑誌購読者のデータをアップルが出版社と共有するかも争点のひとつ。データがあれば紙版とデジタル版のセット割などが可能になりますが、アップルが秘密主義を貫く可能性もある。一方では雑誌購読で先行するAmazon / Kindleや、出版分野への進出準備を進めるGoogle / Androidといったライバルの影もあり、互いにどうやって有利な条件を引き出すか我慢くらべの様相です。iPad登場時に聞かれた「これが雑誌の未来!」といった喧噪はすっかり聞かれなくなった今日このごろだが、こうして出版業界のあるべき姿をめぐる議論が着実に進んでいるとも言える。



iPhoneひと振りで株価更新!
 iPhoneをシェイクすると株価更新、iPhoneを横に倒すとチャートを横長に表示。そんなiPhone用アプリケーションソフトが9月16日、楽天証券からリリースされた。
 今、ネット証券はiPhoneをはじめ、iPadやiPod touch、NTTドコモのXperiaなどのスマートフォンに対応した携帯情報端末への対応を急いでいる。
 スマートフォンに関するネット証券各社の最新情報やキャンペーン情報を(普jにまとめた。岡三オンライン証券、クリック証券、大和証券、野村證券、松井証券、楽天証券などがスマートフォンへの対応を積極的に進めている様子がわかる。
 最新アプリの流行にはいくつか特徴があるようだ。注目は板発注機能。複数気配が表示された板情報画面から、株価をタップするだけで発注ができる。スマートフォンは画面が小さく、パソコンと比べると操作に手間取りそう。その点、板発注なら手順が少なくてすむのでありがたい。
 岡三オンライン証券は、岡三ネットトレーダーシリーズで定番となっている板発注機能をモバイル版にも搭載。野村ジョイ、松井証券でも可能だ。また、クリック証券の「iCLICK FX」はFX専用だが、画面のタップによる発注ができる。
 発注機能では、スマートフォンから「逆指値」が使えるネット証券がSBI証券、カブドットコム証券、楽天証券だ。カブドットコム証券では、逆指値だけでなく、W指値(OCO)、±指値・Uターン注文・リレー注文までできる。楽天証券も逆指値以外に、逆指値付通常(OCO)注文が使える。
■スマホとPCトレードツールの連携機能が便利
 スマートフォン用のアプリに備わっているのが株価ボード機能。多くの銘柄をあらかじめ登録しておき、すばやく株価がチェックできる。株価情報はリアルタイムで自動更新されるアプリも多い。
 そこで、便利なのがPC版トレードツールとの連携機能。野村ジョイでは、パソコンのトレードツールで登録した銘柄をスマートフォンに移せる。岡三オンライン証券でも銘柄連携機能があり、銘柄一覧を作る際に2度手間いらず。また、登録できる銘柄数は、野村ジョイで無制限、岡三オンライン証券では2000銘柄と多くの銘柄登録が可能だ。
 iPhoneやXperiaに対応する証券会社が多いが、野村ジョイではイー・モバイルの端末(Touch Diamond、EM・ONEα)にも対応。岡三オンライン証券では、スマートフォンのOSがWindows Mobile5.0(日本語版)以上などの条件に合う機種なら使えるため、ほとんど各通信会社に対応している。たとえば、auの「IS02」という機種はOSがWindows Mobile。auユーザーでもスマートフォンを使った取引が可能だ。
 また、株だけでなく、他の金融商品の取引がスマートフォンで可能なネット証券もある。岡三オンライン証券、カブドットコム証券、松井証券では日経先物などが可能。大和証券では、株以外にFX、CFD、投資信託も取引できる。



日産、中国の生産能力8割増
2012年に年120万台体制へ
 【鄭州(中国河南省)=多部田俊輔】日産自動車は20日、中国での自動車の年産能力を2012年に現在の8割増の120万台に増強すると発表した。中国の自動車市場は09年に米国を抜いて世界最大となり、当面は2けた成長が続く見通し。日産は現在6%の中国市場でのシェアを10%まで引き上げ、収益基盤を強化する。欧米や中国メーカーも能力増強に動いており、中国での競争が激しくなりそうだ。
 日産の中国合弁会社、鄭州日産汽車の第2工場の完成式典で、カルロス・ゴーン社長が生産能力の増強を表明した。日産はこれまで12年の年産能力を100万台に設定していたが、中国市場が予想以上に成長しているほか、日産車の売れ行きが好調なことから20万台を上積みした。
日産自動車の合弁会社が20日に稼働を始めたSUVの新工場(河南省鄭州市)
 日産は中国で広東省花都、湖北省襄樊、鄭州に工場を持ち、年産能力は67万台。花都と鄭州で新工場を立ち上げるほか、花都から鄭州に多目的スポーツ車(SUV)の生産を移管することなどで生産効率を高めて、中国での実質的な生産能力を高める。
 日産が生産能力を増強するのは、生産が販売に追いつかないためだ。現在は24時間稼働で対応することが多く、09年の販売台数は75万台。1日16時間稼働を基準とする年産能力を大きく上回る。能力増強で需要増に素早く対応できる体制を構築して販売台数を増やすほか、既存工場の残業を減らし、コスト低減を進める狙いもある。
 中国では独フォルクスワーゲン(VW)など外資メーカー、浙江吉利控股集団などの中国メーカーが大幅な生産能力増強を表明している。中国市場は伸びる見通しだが、政府は生産能力が過剰になるとの懸念を示している。



宝島社、都内大型書店内に書店 読者の反応知るアンテナに
 東京都内の大型書店に今月、特定の出版社が自社の出版物を並べた「書店内書店」が期間限定でオープンした。“出店”したのは、ブランドバッグ付きのファッション誌など斬新なアイデアでミリオンセラーを連発している宝島社(東京)。出版不況の中、出版社が読者の反応を直接知る試みとして、出版界から注目が集まっている。                  ◇
 「新刊を出版したら、後は書店任せ。出版界の既存の流通システムに疑問を感じ、書店を応援するための手段の一つとして企画しました」。宝島社広報課の担当者は、書店内書店の意図を説明する。同社が今月1日から25日までの限定で設置したのは、大型書店「リブロ池袋本店」(東京都豊島区)地下1階の一画。100万部を超えたイヴ・サンローランのバッグ付き雑誌のトートバッグなどを洋品店の売り場のように飾り付け、一風変わった演出でアピールした。
 初日は、通常の3倍の売り上げを達成したという。同書店の矢部潤子・営業統括マネジャー(52)は「凝ったレイアウトといい、香りの演出をしたり、ふだんのブックフェアとは明らかに違う。“書店の新たな一面”をお客さまは楽しみに来てくれる。書店員にとっても勉強になります」と話す。
 この企画は、今年4月から5月にかけ、テストケースとして紀伊国屋書店福岡本店(福岡市)で実施。宝島社のブランドバッグ付き雑誌やベストセラー小説『チーム・バチスタの栄光』の著者、海堂尊(かいどうたける)さんの文庫シリーズなどを並べた特別コーナーが客の目をひき、「ふだん素通りしていくOLたちが立ち寄るなど客層が広がった」(同書店員)と、書店側にも好評だった。その後、宝島社でオープンする書店を募ったところ全国から応募が殺到したという。
 書店内書店には別の意図もある。「家電メーカーにはアンテナショップがあるのに、なぜ出版社にはないのか? 読者の反応をダイレクトに出版社が知る手段が今の流通市場にはない。書店内書店をアンテナショップ代わりとして使い、読者のニーズにかなう出版活動にも生かせたら」と同社の担当者は期待を込める。同社では「全国に広げていきたい」としており、成功例が増えれば、追随する同業他社も出てきそうだ。



2年目の民主党政権、政策の優先順位づけ急務
 菅直人首相が「有言実行内閣」と名づけた新体制が週明けに本格始動する。この1年間を「試行錯誤の内閣だった」と語る姿を率直だと評価するか軽いと思うかはともかく、2年目の民主党政権が正念場を迎えているのは間違いない。
 17日昼、首相官邸で新閣僚の呼び込みが始まったころ、民主党の岡田克也幹事長、枝野幸男幹事長代理らは各党へのあいさつ回りに汗を流した。
まず野党対策
 国会議事堂3階の自民党の部屋では、交わす言葉にも火花が散った。
 大島理森副総裁は参院選の大敗で幹事長から降格した枝野氏に「仕事は何」と質問。選挙だと聞くと「ああそう。それなら選挙また負けるよ」と言い放った。
 石原伸晃幹事長は先の通常国会で民主党が閉会の手続きも十分に行わず会期を打ち切ったことを持ち出し「議会人としてあるまじきことだ」と畳みかけた。政府・与党はまず野党との関係修復が急務となる。
 菅政権は6月に発足したが、参院選や民主党代表選に多くの時間を割いた。臨時国会の召集は10月上旬とみられ、ほぼ4カ月を選挙や政局に費やした計算だ。しかも終わってみれば「ねじれ国会」と「党内の亀裂」という2つの難題に直面する結果となった。
 首相の表情が思いのほか明るいのは、代表選の勝利に内閣支持率のV字回復が加わったからだろう。内閣改造後の記者会見では、今後の国会対応に関して「すでに自民党や公明党から景気対策の提案を頂いている。野党の皆さんとの合意形成も可能性は十分ある」と力を込めた。
 今の国会の情勢では予算と条約は衆院の優越で決定できても、法案は野党が多数を占める参院でことごとく否決されかねない。
 首相は個別政策ごとに野党と連携する部分連合(パーシャル連合)に強い意欲を示し、野党へのあいさつ回りも岡田幹事長らとは別に改めて行う考えだ。
 首相周辺が念頭におくのは「補正予算という一致点を見いだしやすい景気対策で連携」「実績を踏まえて税制改革や社会保障などの与野党協議に道を開く」との二段構え。しかし与党内の調整と野党との協議を並行して進めるのは実際にはかなりの困難を伴う。
 「こんな人事をやっていたら行き詰まる」。代表選で小沢一郎氏を支持した勢力は、副大臣や政務官の人事を待たずに反執行部の立場を鮮明にしている。衆院選公約の扱いと絡む来年度予算案の編成で、対立が先鋭化する恐れもある。
 一方、自民党は「小沢首相」が誕生した場合は政治資金問題を徹底追及し、早期の衆院解散・総選挙に追い込む戦略だった。だが与野党協議への対応を含め、菅政権との距離感はまだ詰めきれていない。
 ある自民党幹部は「菅政権の命運を握るのは来年春の予算関連法案の扱いだ。赤字国債を発行する特例法案を成立させるため、公明党などになりふり構わずすり寄ってくるだろう」と警戒感を隠さない。
政権運営綱渡り
 首相の政権運営は党内政局と国会対応の二正面作戦を強いられ、常に綱渡りの要素をはらむ。しかし円高や株安、財政の悪化など日本が置かれた状況は一段と厳しさを増し、政府・与党の不作為は国民生活に直接はね返ることになる。
 「ねじれ国会」の袋小路に追い込まれないためには、結局は現政権が政策の優先順位づけを徹底的に吟味し、有権者の支持を背景に野党に譲歩を迫る正攻法しかない。
 首相は改造内閣の発足にあたって側近議員に「今日はスタートの日だ。受け身の姿勢じゃなく、自ら前進する発想で考えてほしい」と語ったという。
 現状が困難でも立ち止まれば失速する――。「挙党態勢」という空虚な掛け声を振り払って代表選に勝利した首相は、今度こそ歴代政権の教訓に学べるだろうか。



日経社説
アジアの需要を取り込む航空政策を
 東京の羽田空港に4本目の滑走路ができ、10月下旬から本格的な国際線運航が始まる。政治的事情による台湾行きやチャーター便扱いの上海便などを除けば、羽田の国際定期便就航は32年ぶりだ。成田空港も3月から発着枠が22万回に増え、「航空ビッグバン」と呼ばれている。
 日本は首都圏空港の整備で韓国やシンガポールに後れを取ってきた。これを機に少しでも巻き返し、アジアでの存在感を高めていきたい。
始まった構造変化
 羽田空港に乗り入れる航空会社には、海外でロー・コスト・キャリアー(LCC)と呼ばれる格安航空会社も含まれている。連休明けに日本での事業計画を発表するマレーシアのエアアジアXという会社だ。
 こうした航空会社の特徴は運航から予約、機内サービスまであらゆる部分で費用を切り詰めた経営モデルにある。通常の航空会社の半分から10分の1という安い運賃を実現し、旅行者の支持を勝ち取っている。
 首都圏ではすでに茨城空港に、春秋航空という創業から6年の中国企業が乗り入れた。韓国などからも4社程度が乗り入れを検討しており、日本の航空会社は経営体質の見直しを迫られる可能性がある。
 全日本空輸は自ら格安航空会社を香港の投資会社などと設立すると発表した。再建中の日本航空も国土交通省の勧めで検討を始めた。だが、安い運賃で日本人旅客を奪い合うだけでは新たな成長は見込めない。旅客の構成の変化、日本の空の構造転換に合わせた戦略が重要になる。アジアの人々の所得水準に合わせた格安航空事業の拡大が欠かせない。
 日本発着便の主役は日本人だったが、海外渡航者は2000年の1782万人をピークに昨年は1545万人まで減った。一方で日本を訪れる外国人は今年、03年の約2倍になり、1000万人を超す可能性が大きい。増加が目立つのは中国などアジアの人だ。近い将来、訪日する外国人は日本人の海外渡航者より多くなり、「19年以降は2500万人規模」(観光庁)との予測もある。
 空のビッグバンは、今年の増便、増枠だけで終わりにはできない。日本人の旅行需要を掘り起こすのはもちろんだが、アジアなどから旅行者やビジネスマンをどう呼び込むか、さらに踏み込んだ戦略が必要だ。
 1つは格安航空を含め、多くの航空会社が乗り入れられるよう空港の発着枠を増やすこと。羽田は今回、年40万回、成田も14年までに30万回を確保するが、それだけでは膨張するアジア需要にこたえきれない。
 羽田については第5滑走路を検討する一方、今は使われていない「旧B滑走路」を修復、再利用できないものか。さらに、かねて議論に上ってきた米軍横田基地の活用も外交交渉をしてはどうか。これらで年間30万回近い発着枠が生まれる。
 2つ目は日本の空を自由化する「オープンスカイ」の推進だ。世界ではすでに3分の2が自由化の対象地域だ。米国は92カ国と自由化協定を結び、欧州連合(EU)は1993年に域内を自由化した。
 近隣諸国では東南アジア諸国連合(ASEAN)が15年から域内を自由化、韓国はそのASEANと自由化に合意した。だが日本が自由化協定を結んだ国はまだない。航空自由化は日本の航空会社にとって試練かもしれないが、外国のライバルと競ってこそ経営体質を強くできる。
 外国客をさらに増やせば、観光や買い物、医療などで経済活性化、雇用の創出につながる。自国の航空会社を守るために海外勢や新興の格安航空の参入を制限すべきではない。
輸出と同じ効果を期待
 九州では型破りな航空会社構想が浮上している。福岡、長崎などと上海や北京などの間を毎日運航し、運賃は無料。その代わりに「九州バウチャー」という疑似通貨を売り、買い物などをしてもらうという。
 旅客1人が10万円分を九州に落とせば、1日3000人として年1000億円。高度医療などと組み合わせれば経済効果はさらに膨らむ。政府や航空会社に頼れないと考えた西日本鉄道、JTB九州など地元企業や自治体が具体化に意欲的だ。
 日本は空港整備特別会計を使い空港を98にまで増やしたが、結果的に旅客不在に近い路線も生んだ。その延長線上では、これからの航空政策は描けない。採算に合わない空港は思い切って統廃合し、首都圏やアイデアのある地方の空港にはお金をかける。国際的にみて著しく高い着陸料も下げる。発着枠も国籍ではなくアジアから活力を運んでくれる航空会社かどうかを基準に配分する。
 アジアの人々にとって日本はブランドであり、日本製品を国内で買ってもらえば輸出と同じ効果がある。しかも観光産業は海外に逃げない。日航再建で法的整理という手法を選んだ民主党政権だが、空港政策でも思い切った戦略の転換が要る。
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