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携帯新放送事業者、NTTドコモ優勢に 電監審きょうにも答申
 2012年春にも始まる携帯端末向け新放送のインフラ事業者選定を巡り、電波監理審議会(総務相の諮問機関)が早ければ8日にも答申をまとめる見通しとなった。同事業者ではNTTドコモグループとKDDIグループが競ってきた。電監審が7日に開いた臨時の会合では、ドコモ陣営の事業計画を評価する声が優勢だったもようだ。
 新放送はテレビの地上アナログ放送が終了した後に空く周波数帯を使って始める。携帯端末向けに本格的な放送番組を流すほか、通信と融合した新しいサービスの提供も想定している。
 総務省は今回、基地局を整備するインフラ事業者を選定する。NTTドコモグループの「マルチメディア放送」と、KDDIグループの「メディアフロージャパン企画」の2社が名乗りを上げ、1枠を競ってきた。
 電監審のメンバーの間では端末の普及計画や料金設定の安さ、設備投資額などの観点からドコモ陣営の方が優れているといった意見が出ているもようだ。KDDI側は電波の届きやすさといった技術面の優位性を主張してきたが、技術面での差はつきにくいと判断したとみられる。
 原口一博総務相は8月中旬の決定を目指していたが、民主党などから選定過程などに異論が出て審査は難航。総務省が事業者をあらかじめ内定せず、選定そのものを電監審に委任する異例の対応で結論を先送りした。
 電監審は改めて事業者からの聴取や公開説明会を開き、選定に向けた作業を進めてきた。電監審が8日以降にまとめる答申を受け、総務省が最終的に認可を判断する。



外資系化粧品、日本でネット通販拡大 仏ロレアルが全ブランド
 化粧品世界最大手の仏ロレアルは、2011年中に店頭で扱う8ブランドすべてをインターネットの自社サイトで国内向けに販売する。国内勢に比べて店頭販売網が手薄であるため、ネット通販を百貨店などに次ぐ主力販路として育成。資生堂など国内大手に対抗する。
 ロレアルは現在、高級ブランド「ランコム」をネットで販売している。来春までに「イヴ・サンローラン」や「ヘレナルビンスタイン」など主に百貨店で展開する高級5ブランドを投入。来年末までにはドラッグストアなどで販売している低価格の「ロレアル パリ」と「メイベリン」を含め、店頭で販売するブランドすべてを自社の通販サイトにそろえる。
 店頭の全ブランドをネットで扱うのは大手メーカーでは初。ロレアルとしても他国に先駆けて日本で試みる。販売価格は百貨店などでの価格と同等に設定。通販売上高比率を3~5年後に10%にまで高めたい考え。
 世界2位の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)も8月、主力の「SK―2」でネット販売に参入した。SK―2をセブン&アイ・ホールディングスやイオンのオンラインショップなどで発売。ネット限定のスキンケア化粧品のセットなどをそろえる。
 カネボウ化粧品によると、国内化粧品市場に占める外資系メーカーのシェアは10~15%程度。国内勢に比べると、専門店の販売網などが弱く、主販路の百貨店も閉鎖や客数減少に直面していることからネット通販の強化に動く。カウンセリング販売する美容部員の人件費がかからないため、店頭に比べ営業利益率が高くなる利点もある。
 国内大手では資生堂やコーセーが子会社ブランドのネット販売に乗り出しているが、自社の主力ブランドは取り扱っていない。売上高の3割程度を占める専門店などに配慮しているためで、ネット通販の本格参入に消極的な姿勢が目立つ。
 だが国内化粧品市場は減少傾向である一方、通販市場は成長している。今後、消費者にとって通販の存在感がさらに高まれば、国内勢も戦略の見直しを迫られる可能性もある。



西武有楽町店跡にルミネ 11年秋にファッションビル
JR東、流通事業拡大へ
 今年12月末で閉鎖する百貨店、西武有楽町店(東京・千代田)の後継店舗として、東日本旅客鉄道(JR東日本)系の商業ビル運営会社、ルミネ(東京・渋谷)が有力になったことが7日明らかになった。JR東日本グループは新たな収益の柱として流通事業を強化している。日本最大の商業地である銀座・有楽町地区に拠点を設けて、事業拡大に弾みをつける。
 今年1月にセブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武が、商業ビル(通称・有楽町マリオン)の核テナントだった西武有楽町店(売り場面積約1万5000平方メートル)の閉鎖を決定、後継が注目されていた。
 後継店の入札にはイオンやヤマダ電機なども参加していたが、ルミネとビル所有者の朝日新聞社が最終調整に入る。正式に決まれば、ルミネは2011年秋に新店舗を開業する。衣料品や雑貨を中心としたファッションビルになるもようで、内外の有力ブランド店の誘致を急ぐ。
 ルミネはJR新宿駅などJR東の駅ビルに13施設を展開している。若い女性の集客力を持つ衣料品・雑貨などの専門店の発掘に定評があり、09年3月期まで10期連続の増収増益。ただ10年3月期は消費低迷の影響で減収となった。西武有楽町跡はJR駅と直結していない初の本格的な大型商業施設となり、今後は駅ビル以外の施設運営を本格展開する方針だ。



ソニー、スペインのテレビ工場売却 外部生産委託加速
 ソニーは7日、欧州向け液晶テレビを生産しているスペインのバルセロナ工場を同国の自動車部品メーカーなど2社に売却すると発表した。ソニーはすでにメキシコとスロバキアのテレビ工場を台湾企業に売却済み。生産の外部委託を加速することで赤字が続くテレビ事業をテコ入れする。
 バルセロナ工場を生産会社と設計・開発会社の2社に分割する。生産会社は自動車部品メーカー大手のフィコサ・インターナショナルに売却。設計・開発会社はフィコサと、鉄道などのインフラ設計を手掛けるコムサ・エムテに売却する。
 2010年12月末までに売却手続きを終える予定。ソニーは売却後2年間は新会社にテレビ生産を委託し、欧州での販売を続ける。約1100人の従業員の大半は両社が引き継ぐ。売却額は明らかにしていないが、売却に伴う損失は11年3月期の業績予想に織り込み済みとしている。
 ソニーのテレビ工場は日本と中国、マレーシア、ブラジルの4カ所となり、欧州の現地生産からは撤退する。昨年末からメキシコとスロバキアのテレビ工場を相次ぎ売却しており、今年度のテレビ生産の外部委託比率は50%以上になる見通し。



経団連会長、代表選に苦言「何たることか」
 【北京=山腰克也】日中経済協会代表団の最高顧問として訪中している米倉弘昌日本経団連会長は7日、北京で記者会見した。14日の民主党代表選について「日本の直面している様々な課題や、新成長戦略を閣議決定して実施しようという矢先に代表選というのは何たることか」と苦言を呈した。「日本の課題を解決するためにどういう政策をとればいいのか、2人の候補者、民主党の中でもっと真剣に議論すべきだ」と述べた。



サイバー、アジアで企業投資加速 ゲームなど年10社に
 インターネット広告大手のサイバーエージェントはアジアのネット企業への投資を加速する。台湾やベトナム、中国などのゲーム関連や交流サイト(SNS)運営の企業を中心に、年10社程度に投資する計画。出資先の香港やシンガポールでの上場を支援するほか、グループとしてアジア展開の足掛かりとする。2012年までに計60億円程度の出資を目指す。
 子会社のサイバーエージェント・インベストメント(CAI、東京・渋谷)を通じて出資する。このほど、ベトナムのオンラインゲーム・SNS運営最大手であるVNGコーポレーション(ホーチミン市)の発行済み株式の0.4%を取得した。取得額は明らかにしていない。VNGのベトナムでの会員数は500万人。中国やベトナムへの投資は同社で今年8社目になる。
 サイバーエージェントはSNS運営の世界最大手である米フェースブックのSNS内で、仮想空間やオンラインゲームなどを展開している。VNGとは互いのノウハウを共有して相乗効果を見込む。
 中長期的に国内のネット関連市場は伸び悩みが懸念される中、「アジア市場は高い成長を見込める」(CAI田島聡一社長)として積極投資する。



フィリップス、半導体から撤退 分離会社の全株売却へ
 【フランクフルト=下田英一郎】欧州総合電機大手のフィリップス(オランダ)は7日、2006年に分離した半導体メーカー、NXPセミコンダクターズの出資分17%をすべて売却すると発表した。売却先はフィリップス英国法人の年金基金。フィリップスは半導体事業から完全撤退する。フィリップスは2010年7~9月期に1億4千万ユーロ(約150億円)をNXP株の売却益として計上する。
 同年金基金は欠損を抱えているため、フィリップスは3億5千万ユーロを同基金に注入。この資金を元手に基金はNXP株を買い取る仕組みで、同基金の救済策といえる。



野村、スマートフォン向け投資情報サービス拡充
 野村証券は7日、株式や為替などの投資情報を無料提供するスマートフォン向けの専用サイトとiPhone向けのアプリケーションを17日から導入することを発表した。携帯端末からの投資情報を拡充することで、個人投資家の利便性を向上することが狙い。
 スマートフォン向けの専用サイトでは、株価検索や投資情報、アナリストのリポート閲覧などが、同社に口座がなくても利用できる。iPhone向けアプリでは、これまで口座保有者に限定していたセミナーの動画について、口座に有無にかかわらず視聴できる。
 また、外国為替保証金取引(FX)「野村ジョイ」のiPhone向けアプリでは、同社で提供している店頭FXの取引ができる。



ゲーム操作 新市場萌芽 家電・医療…応用へ開発競争
 イスラエルのIT(情報技術)ベンチャー企業「XTR」が、画面に触れずに身ぶり手ぶりでゲームソフトなどを操作する「モーションコントロール」の新技術を開発した。パソコンに接続する市販のウェブカメラで細かい動きをモニター画面に反映させられるのが特徴で、来年4~6月にもゲーム機などへの搭載を目指す。モーションコントロールは任天堂の家庭用ゲーム機「Wii(ウィー)」で知られるようになったが、今後は家電や医療機器など幅広い分野で利用が見込まれ、成長市場の取り込みを目指して技術開発の動きも加速している。
 ◆動きでコントロール
 XTRは、イスラエルのテルアビブで2005年に設立されたベンチャー。同社のモーションコントロール技術は、ウェブカメラで人間の動きを把握するソフトウエアが特徴。カメラで撮影した人間の動きを3D(3次元)技術で捕捉すると同時に、奥行きについても分析し、利用者の動きを正確に把握して画面上に反映させる仕組みだ。
 これらの処理をソフトで行うため、専用のコントローラーやカメラも不要で、精度も1ミリ単位の誤差しかないという。ソフトを電子機器にダウンロードするだけでモーションコントロールを利用できるのも売りだ。
 XTRのドー・ギボン最高経営責任者(CEO)は「専用の機器を使わないのでコストがかからない。他の技術と比べた際の優位性は明らかだ」と強調。XTRではゲーム機器のほか、テレビなど家電メーカーにもソフト搭載を働きかけている。
 モーションコントロールは、任天堂が06年に発売したWiiに搭載されたことで認知度を得た。ゲーム機の常識だったボタン操作ではなく、身体の動きで操作する新しさが高齢者や女性らにも訴求し、全世界で約7400万台(6月末時点)を販売するヒット商品となった。
 ◆専用の機器不要
 他のゲーム機メーカーも追随している。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、モーションコントローラー「Move(ムーブ)」を今月15日に欧州で発売する。先端部が光を発する手持ち型のコントローラーと、その動きを読み取る専用カメラなどで構成。カメラがコントローラーの放つ光を感知して利用者の動きを正確に把握することで、Wiiよりも正確性を高めたという。米マイクロソフトも、コントローラーを使わずに身ぶりや声でゲームを操作する「Kinect(キネクト)」を北米で11月4日に発売する。専用カメラとセンサーを組み合わせ、利用者の動きだけでなく声も検知して画面内の登場人物の動きなどに反映させる。専用のコントローラーは不要だ。
 ゲーム機以外でも応用が始まった。日立ソフトウェアエンジニアリングは島根県産業技術センター(松江市)と共同で、同技術を使って水族館で来場者に飼育員の仕事を疑似体験してもらうなどのサービスを開発し、今月から本格展開する。日立ソフトでは「産業や医療などでも使用が見込める」(幹部)として、用途を開発中だ。半導体大手のルネサスエレクトロニクスも、テレビに市販のウェブカメラを装着して手ぶりなどで操作する技術を開発した。XTRのギボンCEOはモーションコントロールについて「自然な操作感はわれわれを取り巻く多くの機器に広がっていく」と期待する。野村総合研究所の中林優介コンサルタントは「ゲーム以外ではまだ未知の分野だが、操作の正確性などが向上すればセキュリティー機器を遠隔操作するなど産業分野でも利用が広がる可能性はある」と指摘する。
 米アップルの多機能情報端末「iPad(アイパッド)」がタッチパネルによって情報機器への入力方法を変えたように、モーションコントロールが電子機器を大きく変化させる可能性もありそうだ。



日経社説
優先度問われる日本版GPS
 カーナビなど電子地図に不可欠な全地球測位システム(GPS)を巡り、国際的な競争と連携の構図が変わりつつある。欧州版GPS計画「ガリレオ」を進める欧州連合(EU)が米国との連携を探る一方、日本は独自の測位衛星を打ち上げる。GPSは生活に重要な技術だけに、どうすれば利便性が高まるか、政府も具体的戦略を持つ必要がある。
 GPSは航空機などを安全に誘導する目的で米国が軍事用に開発した衛星技術だ。インターネットと同様に冷戦の終結によって商用化が認められ、カーナビなどへの利用が広まった。最近は携帯情報端末にもGPS機能が搭載され、地図情報サービスなどに使われている。
 GPS開発の国際競争が加速した背景には、米国の軍事技術に依存し続けたくないという判断があった。EUのガリレオは2014年から運用を始める予定。ロシアは「グロナス」というシステムを持つ。中国は「コンパス」と呼ぶ計画を進めており、インドも技術を開発中だ。韓国はガリレオに参画している。
 ところがガリレオで米国に対抗するEUが最近、米国との協調路線に転じた。打ち上げなどに多額の費用がかかるのが一因だ。米国のGPSと一体運用できるようにすれば、情報の精度が高まり、ガリレオの商用化が進むという判断もある。
 日本は独自衛星の投入を考えたが米国に反対され、ガリレオへの参画も見送っている。今週打ち上げ予定の測位衛星「みちびき」は日本としての技術検証が狙いだが、打ち上げなどに735億円かかる。GPSとして利用するには何基も必要だが、その見通しが立っていない状況だ。
 問題は米欧が協調に転じた結果、これまで無償で利用できた米国のGPSが有料化される懸念が出てきたことだ。10月にGPS関連の国際会議が開かれるが、日本が独自路線に固執すれば、国際的な衛星の運用で不利な立場に立たされかねない。
 日本はGPS利用で世界の先頭を走ってきた。宇宙基本計画は宇宙開発全体の予算を5年で2.5兆円としたが、限られた財源の中で効果を上げるには海外との連携も必要だ。基盤整備よりも利用技術の開発と実用化で世界をリードすべきだろう。
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