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携帯で家電操作、共通仕様に…開発負担の軽減狙う
 総務省は、外出先から携帯電話を使ってテレビやエアコンなどを操作する技術や仕様の共通化に乗り出す。
 一部メーカーにとどまっている家電の遠隔操作技術を共通化できれば、企業の開発負担が軽減されるほか、消費者もメーカーの区別なく幅広い種類の家電について操作が可能になる。2012年度の実現を目指す。
 通信技術を活用した家電の操作は、消し忘れなどを防ぎ、省エネや事故防止に役立つと期待され、すでに一部のメーカーで導入されている。例えば、パナソニックはカーナビゲーションシステムを通じて家庭のDVDレコーダーを操作し、テレビ番組を録画するサービスを始めた。
 総務省は09年度から開始する実証実験などを通じ、ブロードバンド(高速大容量通信)で結ばれた家電が動いているかどうかを携帯電話で確認、操作できる技術を確立したい意向だ。



映画、ネット配信し上映 NTT東西と東宝・角川、映画館向け
 NTT東日本・西日本と東宝、角川グループホールディングスの4社は映画館への映像配信で提携する。高速大容量の光ファイバー通信回線で映画をデジタル配信しフィルムの配送コストを削減。さらに演劇やスポーツを全国規模で同時放映するなど、映画館を多様な娯楽コンテンツを楽しめる場に変える戦略だ。
 東宝は系列映画館を31館、角川は14館持ち、計407スクリーンで映画を上映している。両社は今年春から映画館にある従来の映写機を順次撤去し、デジタルサーバーとプロジェクターに交換。NTT東西が持つ次世代ネットワーク(NGN)で映像を送る。



特許、ソフトも保護対象 大幅な法改正で明確に
 特許庁は特許法の大幅見直しに向けた検討に入る。「モノ」が対象だった特許の保護対象にソフトウエアなどの無形資産を追加。技術革新を促すため、企業や大学が持つ特許を開放する際のルールを整え、相互に活用しやすい環境を整備する。インターネットの普及など経済の構造変化に対応する一方で、日本企業の国際競争力を高める狙い。企業の知的財産戦略にも大きな影響を与えそうだ。
 特許庁は1月下旬から産業界、学界、法曹界、弁理士でつくる長官の私的研究会で1年間かけて検討。2010年には産業構造審議会(経済産業相の諮問機関)で審議したうえ、11年の通常国会に特許法改正案か新法を提出、12年の施行を目指す。



日立DP、タッチパネル付き液晶を本格生産
 日立ディスプレイズ(日立DP)は画面を指などで触れることで様々な表示が可能になるタッチパネル付き液晶ディスプレーの本格生産に乗り出す。携帯電話向けの需要拡大に対応する狙い。2011年にはタッチパネル技術を採用した携帯電話の世界市場が現在の10倍の年間1億3000万台に膨らむと予測、3割のシェア獲得を目指す。
 日立DPが生産するのは「静電容量方式」と呼ばれるタッチパネル技術を使った液晶ディスプレー。表面に微弱な電流を流し、指が触れた位置を検出する。2本の指を同時に認識でき、指の間隔を広げることで写真を拡大するといった感覚的な操作が可能になる。



米クリスマス商戦、ネット通販3%減 01年以来初めて
 インターネット関連調査会社の米コムスコアは、2008年のクリスマス商戦(11月1日―12月23日)の米ネット小売販売額が前年同期比3%減の255億3700万ドル(約2兆4000億円)にとどまったと発表した。景気低迷の直撃を受けて、同調査を始めた01年以来、初の減少になった。
 コムスコアは当初、前年比横ばいを予測していたが、「景気の逆風を受けて、既存店舗とネット小売りの双方にとって厳しい商戦になった」(ジアン・フルゴニ会長)。ネット小売販売額は、10―12月期でも減少に転じる見通しだ。
 12月1―24日の主要小売りサイト訪問者数は同5%増の約1億8000万人。サイト別では、パソコン大手のアップルが同19%増、ネット通販最大手のアマゾン・ドット・コムが同7%増と健闘したが、百貨店大手JCペニーなどのサイト訪問者数は減少した。



JAL、ANAが経営戦略抜本見直し…設備投資を大幅減額
 景気悪化に伴う航空需要の低迷で業績が落ち込んでいる日本航空と全日本空輸の国内航空大手2社が、中期的な経営戦略の見直しを迫られている。
 成田、羽田空港の発着枠が増える2010年を控え、商機拡大を狙った当初の積極的な投資計画を大幅に修正せざるを得ない状況だ。
 08年10月の国際線旅客の輸送実績は、日航が前年同月比14%減、全日空が同10%減と低迷。特に欧州や中国路線が大きく落ち込んだ。国際線は11月以降も「20~25%の落ち込み」(西松遥・日航社長)となった模様だ。
 急速な景気悪化でビジネス客の需要が総崩れに近く、経費節約のために「出張禁止令」を出す企業もあるほどだ。山元峯生・全日空社長は「坂道を転げ落ちている感じだ」と嘆く。
 こうした経営環境の悪化を受け、両社は08年度にスタートしたばかりの中期経営計画を抜本的に見直す作業を続けている。日航は、燃費の良い新型機の購入を数機取りやめ、08~10年度の3年間で4190億円を予定していた設備投資を1000億円削減する。
 全日空も08~11年度の4年間で約9000億円を投じる予定だった設備投資計画を1000~2000億円減らす。新型機への更新を抑えるほか、国内航空初となるエアバス社の最新鋭機「A380」の導入計画も白紙に戻す。09年度中にアジアの航空会社に出資して格安航空事業に参入する構想も事実上、棚上げする方針だ。



東シナ海ガス田「樫」、中国が合意破り単独開発
 東シナ海のガス田共同開発問題で、中国が昨年6月18日の日中両政府の合意に反し、樫(かし)(中国名・天外天)ガス田の単独開発を進めていたことがわかった。
 複数の政府筋が4日、明らかにした。日本政府は昨年、複数回にわたり中国に抗議したが、事実関係は公表していなかった。
 政府筋によると、中国は合意後も樫の掘削を続けていたと見られ、周辺海域が変色していることを自衛隊が確認した。



渡辺・元行革相、自民離党の意向固める…後援会などで明言
 自民党の渡辺喜美・元行政改革相は4日、自民党を離党する意向を固めた。
 同日の栃木県那須塩原市での自身の後援会会合などで、「(衆院早期解散や定額給付金撤回などの)思いが伝わらないなら覚悟がある。自民党の垣根を越え、自民党を離党してでも国民運動を起こす」「麻生首相に決断を迫りたい。(決断)できないなら、自民党を離れる」などと明言した。先月の衆院本会議では解散要求決議案に賛成する造反行動をとったが、離党への言及は初めて。
 週内にも細田幹事長に、給付金撤回などの要望書を提出するが、執行部が要求に応じないと見越しての発言で、今後、離党時期を探る方針だ。
 渡辺氏は記者団に、「独りぼっちは考えていない」と、同調者が出ることに期待感を示した。



スズキ、世界戦略車の商品化凍結 海外新工場稼働も先送り
 スズキは2010年に発売予定だった世界戦略車の商品化計画を凍結する。新規の顧客獲得に向けて同社では最も排気量が大きい3000cc級の中大型車の開発を進めてきたが、世界規模での新車販売急減と小型車シフトの加速をにらみ商品化を見送る。加えてタイとロシアで計画する海外新工場の稼働時期の先送りも決めた。事業環境の急速な悪化を受け、経営資源の絞り込みを急ぐ。
 商品化を凍結するのは「キザシ」と名付けた世界戦略車。スズキが得意とする小型車で獲得した顧客のうち上級車への買い替え客を囲い込む狙いで、最大排気量3600ccの中大型車を開発していた。08年秋時点では生産規模を当初予定より減らしたうえで商品化を検討していた。



官民共同の貿易保険 輸出や投資を活性化
 独立行政法人、日本貿易保険は2009年度にも民間の損害保険会社と共同で貿易保険を引き受ける制度を導入する。民間参入を促進し、サービス向上につなげるのが狙い。金融危機で停滞が懸念される貿易取引を活発にする効果も見込む。ただ利用者にとっては手続きが複雑になり、浸透するかどうかは不透明な面もある。
 新たに導入するのは「協調保険」と呼ばれる保険制度。損保会社が貿易保険を引き受ける際に、限度額を超えた部分を日本貿易保険が手掛ける仕組み。日本貿易保険が損保会社の貿易保険の信用リスク部分だけを手掛ける方式も取り入れ、引受額が大きい保険も扱えるようにする。民間と共同で保険を実施することで、リスクの高い途上国も対象とするなど顧客利便の向上を図る。



第一三共、3000億円の評価損計上へ ランバクシー株が急落
 第一三共は買収したインド製薬最大手、ランバクシー・ラボラトリーズの株価下落により、2008年4―12月期に3000億円超の評価損を計上する見通しだ。世界的な株安の影響などで昨年12月末のランバクシー株価が取得価格を66%も下回った。巨額の評価損計上で、09年3月期は第一三共発足後初の最終赤字に転落する可能性が高い。
 今週内にも評価損の計上を発表する。第一三共は新興国や安価な後発医薬品市場への参入を狙い昨年11月にランバクシーを約4900億円で買収した。一株当たりの取得価格は737ルピー(1ルピーは約1.9円)。



米国で薄型テレビの“投げ売り”(COLUMN)
迫り来る日本勢撤退のXデー
 シャープの32型液晶テレビが398ドル(約3万6000円)、ソニーのそれが498ドル(約4万5000円)――。
クリスマス商戦の真っただ中にある米国の家電売り場には、目を疑うような安値で薄型テレビが並び、まさに“投げ売り”の様相を呈している。
 発端は、米国最大の商戦期“ブラックフライデー”(感謝祭翌日の金曜日。2008年は11月28日)だった。韓サムスン電子が、599ドルが最低価格帯だった32型液晶テレビを499ドルまで値下げして仕掛けた。これに対し、サムスンの攻勢には劣るが、パナソニックやシャープといった日系メーカーも破格の値づけで臨んだ。
 例年では、ブラックフライデーの目玉はノンブランド商品が中心だったが、08年は大手メーカーが先を競うように安売りになだれ込んだ。ブラックフライデーが過ぎてもなお、日系メーカーを中心に、採算度外視の投げ売りを続けている。
 米ディスプレイサーチの予測では、08年第4四半期の価格下落率は32型液晶テレビで27.2%、42型液晶テレビで29.8%。年率3割の下落に歯止めがかからない。
 なぜか。個人消費が急激に冷え込んだ米国では、刺激的な価格設定をしなければ需要を喚起できない、というメーカー側の読みもあるだろう。それ以上に、「在庫を4~5ヵ月分も抱えたメーカーもある」(電機メーカー幹部)というくらいに深刻な販売不振こそが、安売りの元凶になっている。いわば、在庫処分一掃セールである。
 事態はさらに深刻である。米国に端を発した経済危機は新興国へと波及し、世界の薄型テレビ市場にかげりが見え始めた。ディスプレイサーチは、「09年は、世界の液晶テレビ市場(金額ベース)が前年比16.3%減少し、史上初めてマイナスに転じる」(鳥居寿一バイスプレジデント)と予測する。これまで、電機メーカーの“顔”として右肩上がりで成長してきた液晶テレビ市場が、いよいよ大減速するのだ。
 市場縮小と価格下落のダブルパンチに見舞われて、日系メーカーは苦境に立たされている。すでに、ソニーは、米ペンシルベニア州ピッツバーグにある液晶テレビ工場を閉鎖し、米国での現地生産から撤退することを決めた。早晩、すべての日系メーカーが、こうした生産移管、事業の規模縮小・撤退といった決断を迫られるだろう。
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「1兆円クラブ」の椅子は? 百貨店業界サバイバル(COLUMN)
 「百貨店の店舗の数はまだ多すぎる」。大丸と松坂屋を傘下に持つJ・フロントリテイリングの奥田務社長は、新たな再編を予言してはばからない。百貨店業界では2008年に三越・伊勢丹連合と高島屋・阪急、阪神百貨店連合が誕生し、“売上高1兆円クラブ”のメンバーによる4グループ時代を迎えたばかり。だが、構造的な業態衰退に加え、深刻な消費不況で消費者の百貨店離れが、一気に加速しており、何があってもおかしくない。
 百貨店業界にとって、08年は業態衰退を象徴する歴史的な年となる。
 かつては“小売りの雄”として君臨した百貨店だが、08年の全国売上高で、新興勢力のコンビニエンスストアに抜かれることが確実になっているのだ。
 「これまで経験したことがない未曾有(みぞう)の事態だ」。高島屋幹部は悲鳴を上げる。
 米国発の金融危機が勃発(ぼっぱつ)した昨年10月以降、「不要不急」の支出を切り詰める節約消費が、“晴れの日”の衣料品や高級ブランド品を主力とする百貨店を直撃した。
 もっとも、百貨店の衰退は今に始まったことではない。
 品ぞろえや売り場づくりで、消費やライフスタイルの猛烈な変化に対応できず、消費者にそっぽを向かれた。専門店を集積した大規模ショッピングセンター(SC)やネット通販など業態の垣根を越えたサバイバルでも劣勢を強いられ、顧客が流出している。
 全国百貨店売上高は、この15年で約2兆円も目減りした。
 「百貨店は小売業で一番古い業態。一番新しい業態のコンビニでも改革しないと変化に対応できない。百貨店も改革が必要」
 コンビニ最大手のセブン-イレブンを擁するセブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長に、同情まで受ける始末だ。
 衰退への危機感が、各社を再編へと駆り立てた。
 07年9月に大丸と松坂屋の統合でJ・フロントが発足。間髪おかずに、伊勢丹と三越も統合で合意し、08年4月に三越伊勢丹ホールディングス(HD)が誕生した。“孤高”をかこっていた高島屋は、金融危機の最中の10月に、阪急、阪神百貨店を傘下に持つH2Oリテイリングと3年以内の統合で合意した。
 この結果、大手百貨店は、そごう、西武百貨店を傘下に持ち、セブン&アイグループ入りしたミレニアムリテイリグを含め、売上高1兆円規模の4グループに集約される。
 売り上げ規模は、1位三越伊勢丹、2位高島屋・H2O、3位J・フロント、4位ミレニアム。生き残りの条件である“1兆円クラブ”のメンバーの椅子(いす)は、4グループで埋まったといわれてきた。
 だが、金融危機による消費不況で、メンバーの不安が高まり、にわかに浮足立ってきた。
 「4グループで安泰、1兆円あれば、安全とは思わない」
 高島屋の鈴木弘治社長は、生き残りの椅子が4つから減ってしまう可能性を否定しない。
 H2Oの椙岡俊一会長も、高島屋との統合合意会見で、「マーケットが成熟すると、シュリンク(縮小)し、寡占と倒産が起こる。百貨店は今その真っただ中にある」と危機感をあらわにした。
 「次の台風の目になるのはJ・フロントだ」
 ある大手百貨店の幹部はこう断言する。
 同社の奥田社長は、一連の再編の仕掛け人であり、強烈なリーダーシップが持ち味だ。
 業界では「大阪(大丸の地盤)の暴れん坊が業界トップに立つと何をし出すかわからないという恐怖感が、三越と伊勢丹の背中を押した」(関係者)と、真顔で語られるほどだ。
 07年9月の発足時には業界首位に躍り出たが、三越伊勢丹HDの誕生で、“半年天下”に終わる。さらに高島屋・H2O連合の統合が完了すれば、業界3位に甘んじることになる。
 H2Oの阪急百貨店は、メンズ館などで発揮した抜群の商品力に加え、阪急電鉄沿線の富裕層を囲い込み、“関西の勝ち組”と呼ばれる。高島屋も大阪、名古屋に大型店を構える。
 両社のタッグは、関西の老舗である大丸と中部をおひざ元とする松坂屋にとって大きな脅威だ。
 さらなる再編のターゲットとして、J・フロントが狙っているとのうわさが絶えないのが、ミレニアムだ。
 業界関係者は「J・フロントが、親会社のセブン&アイに接触したが、断られた」と、まことしやかに明かす。奥田社長も、他社との提携について、「ケース・バイ・ケース」と、完全には否定していない。
 J・フロントでは、松坂屋が、最大のお得意さまであるトヨタ自動車が09年3月期に1500億円の営業赤字に転落するという“トヨタショック”に見舞われ、販売が急速に落ち込んでいる。
 一方のミレニアムも迷走している。昨年9月に佐野和義前社長がセブン&アイと経営方針をめぐって対立し、経営陣が一斉に辞任する“お家騒動”が勃発(ぼつぱつ)した。
 経営陣を入れ替えたセブン&アイは「より日常性を強化していくべきだ」(村田社長)と、コンビニ感覚で百貨店の改革を目指すが、成否は未知数だ。
 難局打開のための再編は世のつね。J・フロントとミレニアムが急接近する可能性は否定できない。
 大手同士の再編は、「可能性のレベル」に過ぎないが、避けて通れないのが、電鉄系や地方などの中下位百貨店の再編・淘(とう)汰(た)だ。
 1兆円クラブメンバーの三越や高島屋、大丸は、共同仕入れなどで、それぞれ地方百貨店とネットワークを構築。伊勢丹も、商品開発などのノウハウ提供で東急百貨店、東武百貨店など電鉄系と提携している。
 大丸の奥田社長、高島屋の鈴木社長は、地方、電鉄系のグループへの合流を歓迎する意向を表明し、ラブコールを送る。
 「銀座一番店」を擁する松屋のほか、“異端児”と呼ばれる丸井など独立志向の強い百貨店も、生き残りは厳しさを増す。
 「パイが縮小する中、リスクをとらないで稼ぐというのは厚かましい。規模という体力がある方が、リスクをとりやすい」
 H2Oの椙岡会長は、再編による規模のメリットを強調する。
 消費者の低価格志向が強まる中、規模を背景にした大量仕入れによる「バイイングパワー(購買力)」は不可欠だ。各社が力を入れている低価格帯のプライベートブランド(PB)商品の開発でも、規模は低コスト化の武器となる。
 さらに、大不況下で“独り勝ち”を続けるユニクロのように、自ら商品企画、生産、販売に携わるSPA(製造小売り)の手法を取り入れるなど、生き残りへの抜本改革も体力がなければできない。
 縮小する国内市場から海外市場に活路を見いだす戦略にも体力がいる。
 百貨店業界にとって、再編はもはや不可避だ。



【東京新聞社説】
年のはじめに考える 歴史的選挙に備えたい
2009年1月4日
 総選挙の年を迎えました。有権者の一票で、政権交代だって起こり得ます。目を覆いたくなる迷走が続く政治。その末にやってくる歴史的局面です。
 未曾有の「雇用切り」が社会問題化しています。会社経営経験のある麻生太郎首相はもしかしたら“率先垂範”したのでしょうか。衆院解散は四百八十人の議員を解雇するようなものだと慎重姿勢を示し、伝家の宝刀をついに昨年抜きませんでした。
 しかし、今年は解散があろうがなかろうが、秋までに全員がクビになります。九月に議員の任期満了を迎えるためで、職場復帰には総選挙に勝つしかありません。
◆国会は大波乱必至
 総選挙の前哨戦となる五日召集の通常国会は、自民党幹部いわく「民主党との何でもありの戦い」の始まりです。与党の至上命令は第二次補正予算と二〇〇九年度予算の早期成立であり、関連法案は衆院再可決で中央突破する方針。「解散の『か』の字も考えずにひたすら予算成立へ努力するのが首相の考えだ」-。普段は地味系の河村建夫官房長官も強気です。
 厄介なのは後ろから鉄砲玉が飛びかねないこと。例えば二次補正には評判の悪い定額給付金が盛り込まれ、自民党若手に不満がくすぶります。十七人の造反で再可決に必要な「三分の二」を割り込みます。
 昨年の衆院解散要求決議案で麻生批判の急先鋒(せんぽう)である渡辺喜美氏が造反しました。「第二、第三の渡辺」が現れて予算関連法案の成立が阻まれれば政権は失速。取りざたされる〇九年度予算成立後の解散はおろか総辞職の可能性もあります。20%前後の内閣支持率の下落が続けば、多数の鉄砲玉が飛びそうです。
 ここは考え時。民主党が要求する通り、給付金部分を分離して二次補正を提出してみてはどうですか。頼みの綱の「三分の二」以上の勢力も、〇五年の郵政選挙がもたらした「遺産」であることを忘れてもらっては困ります。
◆液状化と曲がり角
 渡辺氏の動きばかりではありません。小泉改革路線の堅持を主張する自民党の中川秀直元幹事長は政策勉強会を立ち上げ、加藤紘一、山崎拓両元幹事長らも民主との接近がうわさされています。
 総選挙を前にした液状化現象。自民ならぬ「自分党」といった趣でしょうか。総選挙は「ポスト麻生」で、との話すら出ています。
 全国各地に広がるのは「一度民主にやらせた方がいい」との声。そんな中で、体力が弱まる後援会組織や各種支持団体を固める従来型戦術では、苦戦は避けられそうもありません。
 昨年末には自民党の選挙責任者である古賀誠氏が「公明切り」に言及したとされる騒動も。創価学会を支持母体とする公明党との間に吹くすきま風は身に染みそうです。公明にしても支持者の麻生離れをどうするのか。連立十年目。曲がり角の時かもしれません。
 民主はどうでしょう。一昨年の参院選圧勝後、大連立話のゴタゴタはあったにせよ政権に手が届くところまで来たのは確かです。共産党が三百小選挙区のうち百五十程度に候補擁立を絞ったことも民主に有利に働くとみられます。
 しかし、民主政権待望論には相変わらず「自民ではダメだから」とのただし書きがつく点を重く受け止めるべきです。民主党支持率は必ずしも伸びていません。
 政権交代後、四年で実現する政策の工程表を盛り込んだマニフェストも、財政の裏付けがないとの批判にさらされています。焦点の雇用問題でも、アピール度は共産党に押され気味。
 このまま行けば勝てるからと「守り」に入れば、追い風も弱まるでしょう。
 選挙後の政権枠組みで見逃せないのは社民、国民新の消長。与党と民主ともに過半数に達しない場合、平沼赳夫氏らの無所属グループの「数」がキャスチングボートを握る可能性もあります。選挙後に自民、民主を巻き込んだ再編という、それこそ政界液状化という事態もないとはいえません。
◆皆で政治を正そう
 百年に一度の金融危機に、昨年の日本政治は漂流を続けました。国民の信任を受けた正統な政権でないと国難のかじ取りはできないのに、それが封じられたからです。震源地の米国で変革を唱えたオバマ次期大統領が選出される光景はうらやましくもありました。
 政権担当者が立ちすくむなら、私たちがこの国の針路を決める番です。政党政治には歴史的舞台にふさわしいマニフェストづくりが求められます。
 そして私たち自身も考えてみる時です。苦境をはね返し未来への希望を見いだす方策を。その視点から各党公約をチェックする。そんな積み重ねを、政治を正す道につなげる一年にしたいものです。
殺人など重大事件、時効を撤廃含め見直し…法務省
 法務省は3日、殺人などの重大事件の公訴時効を見直す方向で検討に入った。刑事訴訟法は殺人など「死刑に当たる罪」の時効期間を25年と定めているが、期間の延長や時効の撤廃も含めて検討する。
 今月中旬に法務省内に刑事局を中心とする勉強会を設置し、3月に報告書をまとめる方針だ。
 勉強会での具体的な検討事項としては、重大事件に限り時効を撤廃することの可否や時効期間を40~50年に延長したり、遺族らが裁判所に請求した場合は、時効の進行を停止する制度を設けたりすることなどが想定されている。
 公訴時効は犯罪が終わった時点から一定の期間を経過したら起訴できなくなる制度で、〈1〉時の経過で遺族や被害者の処罰感情が薄れる〈2〉証拠が散逸して公正な裁判の実現が難しくなる〈3〉捜査機関が長期捜査に伴う様々な負担から解放される――などが、時効の存在する理由とされている。法務省によると、2007年中に時効が成立した殺人事件は58件に上る。
 これに対し、「全国犯罪被害者の会」が08年11月の大会で「被害感情は時の経過で薄くなることはなく、むしろ日に日に増していく」として、時効廃止を求める決議を行った。00年12月に起きた東京都世田谷区の一家4人殺害事件の遺族らも08年12月に記者会見し、時効制度の見直しを訴えるなど、被害者の側から公訴時効見直しを求める声が強まっている。
 一方、証拠の散逸についても、近年DNA鑑定など科学捜査の進歩で、証拠の長期保全が可能になっているという事情もある。04年8月に東京都足立区の小学校の元警備員の男が26年前に女性教諭を殺害したとして警視庁に自首し、供述通り遺体が見つかるなど、時効成立後に犯人が殺人を自供するケースもあり、「真犯人だと科学的な裏付けが取れるのに時効後だから起訴できず、悔しい思いをする捜査員は多い」(法務省幹部)という。
 法務省では、時効見直しに対する遺族らの要望が強まっていることに加え、今年5月の裁判員制度開始で、一般国民が刑事裁判に参加することから国民の間で時効制度への疑問を解消する意味でも議論を整理する必要があると判断し、勉強会の設置を決めた。



企業年金の運用利回り、一段と悪化 08年4―11月マイナス16%
 金融危機の直撃による世界的な市場混乱で企業年金の運用が一段と悪化している。昨年4―11月の運用利回りはマイナス16%に低下しており、このまま株式相場の低迷が続けば2008年度は過去最悪となる可能性もある。運用の悪化で積立金が不足すれば企業業績の圧迫要因になるだけに、日立製作所が株式への資金配分を凍結するなど年金運用を見直す動きも広がっている。年金対策が日本企業の大きな経営課題のひとつになってきた。
 格付投資情報センター(R&I)が約140の企業年金の4―11月の運用利回りを調べたところ、落ち込み幅は4―9月のマイナス5%から大きく拡大した。国内債券はプラス0.3%を確保したものの、国内株式がマイナス31%と大幅に悪化。外国株式がマイナス40%に落ち込んだうえ、急激な円高で外国債券もマイナス14%に悪化したことが響いた。



製薬、中国開拓へ攻勢 「世界2位の市場」に布石
 アステラス製薬など国内製薬大手が中国市場の開拓に乗り出す。人口の増加と所得水準の向上などを受けて中国の医薬品市場は年率2ケタ増のペースで拡大しており、近い将来、日本市場を抜いて米国に次ぐ世界第2の市場に成長する見通し。景気悪化で米欧の医薬品市場の伸びが鈍化してきているため、中国で主力薬の発売や営業員の増員を進める。
 アステラス製薬は2009年夏にも主力薬「ベシケア」を中国で売り出す。ベシケアは世界売上高が600億円強に達する薬剤で、泌尿器分野を得意とする同社が主力薬と位置付ける製品。頻尿や尿失禁などの症状が起きる過活動ぼうこうの治療に使う。



永田元衆院議員が自殺か 偽メール問題で議員辞職
 3日午後6時25分ごろ、北九州市八幡西区里中のマンション駐車場で、永田寿康元衆院議員(39)が倒れているのを住民が見つけ、110番した。永田元議員は病院に運ばれたが、まもなく死亡が確認。福岡県警八幡西署は永田元議員がマンションから飛び降り自殺したとみている。
 永田元議員は1993年に東大卒業後、当時の大蔵省に入省した。2000年の衆院選で民主党から千葉2区で初当選。3期目の06年4月、ライブドアの堀江貴文元社長が自民党幹部の家族あてに送金を指示したとする偽メール問題で議員辞職した。



米鉄鋼業界も崩壊の危機、政府に1兆ドル規模の支援求める
 米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙は2日、米鉄鋼業界が崩壊の危機に直面しており、需要を刺激するため最大1兆ドル(約92兆円)規模の政府支援を求めていると伝えた。
 粗鋼生産量は、景気後退と世界的な金融危機のなか、建設や自動車の生産が急速に落ちこんだことを受け、9月から50%減少した。
 ニューヨーク・タイムズ紙によると、鉄鋼業界トップらは、バラク・オバマ(Barack Obama)次期米大統領の景気刺激策の下で、2年間で最大1兆ドルの大規模な公共インフラ投資計画を実施するよう求めているという。



ダイムラー、ボルボの買収断念 独誌報道
 【フランクフルト=後藤未知夫】ドイツの有力週刊誌シュピーゲル(電子版)は3日、独ダイムラーが、米フォード・モーター傘下のボルボ・カーズ(スウェーデン)の買収を断念したと報じた。ダイムラーは買収の可否を慎重に検討したが、基幹部品の共通化などにコストがかかり、相乗効果が見込めなかったという。
 同誌によると、高級車メーカーでは独BMWもボルボ買収を見送っており、長安汽車集団などの中国車メーカーが身売り先として有力と伝えた。



ロシアのガス供給量、東欧で最大3割減 EU、即時解決要求
 【ベルリン=赤川省吾、モスクワ=古川英治】ロシアの独占天然ガス会社ガスプロムがウクライナへのガス供給を停止した影響が中東欧にも波及し始めた。3日までにルーマニアなどで供給が最大で約3割減り、欧州連合(EU)は即時解決を求める声明を発表、仲裁の動きも出てきた。ロシアにはウクライナの親欧米政権に圧力を加える意図があり、昨年8月のグルジア紛争に続き、欧米を巻き込んで対立が深まる可能性がある。
 現地からの報道によると、ポーランド、ルーマニア、ブルガリアなどでガス供給量が減った。各国には一定のガス備蓄があるため、すぐに支障が出るわけではないが、長期化すればエネルギー価格の高騰などにつながりかねない。ドイツ向けなどは通常通り供給されているもようだ。
 EU議長国チェコは2日の声明で「EUと周辺国のエネルギー関係は信頼性に基づくべきだ」としてロシアに安定供給を求めた。



農水省が中国の商標申請をネット監視へ…国産ブランド保護で
 日本の農産品名や産地名が中国などで商標登録されている事態を受け、農林水産省は登録申請を監視する機関「農林水産知的財産保護コンソーシアム」の設置を決めた。
 1月中にも試行を始め、現地商標当局のインターネットサイトを見張る。日本の産地名などが見つかると自治体に知らせ、異議申し立てをする。
 監視機関は4月に正式発足。国内の民間調査研究機関に事務所を置き、中国と台湾の弁理士事務所とも協力する。都道府県にも参加を呼びかけ、運営費の負担を求める。中国や台湾では、申請された商標を当局がネットに掲載。利害関係者は、審査終了から3か月以内に異議申し立てができる。国内には独自で監視する自治体もあるが、農水省は共同で監視する方が効率的と判断した。



急変する世界 国際秩序安定をどう図るか、米新政権が背負う重い課題(1月4日付・読売社説)
 世界全体の景気が急速に冷え込む中、「チェンジ(変化、変革)」を掲げるバラク・オバマ氏が20日、米国新大統領に就任する。
 最優先の課題は米国経済の再生だ。イラクとアフガニスタンの二つの戦争、核拡散防止、中東和平問題などの難題も待ち構えている。
 オバマ次期政権が、米国主導の世界秩序の立て直しに向け、いかなる取り組みを見せるのか。その政策が、2009年の世界の行方を左右することになる。
 8年間続いたブッシュ政権のもと、イラクの混迷や金融危機で、米国の威信は大きく傷ついた。「ベルリンの壁」とソ連が崩壊したあと、到来したかに見えていた米国の一極支配体制は、足元から揺らいでいる。
 大国復活を目指すロシア、経済力と軍事力の増大を背景に存在感を強める中国、地域の大国として大きな潜在力を持ったインド、ブラジルなど、新たなプレーヤーが台頭している。
 金融危機への対応では、G8(主要8か国)に中国やインド、南アフリカ、韓国などを加えたG20が、また地球温暖化対策では、主要排出国16か国会合が、新たな枠組みとして定着してきた。
 しかし、各国とも昨年来の金融危機と景気後退で、苦境の中にある。このため、先進国と新興国との利害対立も深まっており、懸案の合意形成を難しくしている。
 オバマ次期大統領は、米国のリーダーシップを再生するため、世界に比類のない軍事力、経済力、外交力など米国が有するパワーを総動員し、重大かつ喫緊の課題に取り組む、と宣言している。
 実際、世界をとりまとめ、安定と繁栄へ導いていく能力を有する責任ある大国は、米国以外にはあるまい。
 オバマ氏には、その言葉の通り、諸政策を具体化し、果敢に遂行していく責務があろう。
 現在、世界情勢は急激に変化し、流動化している。
 ◆中国もロシアも難局◆
 軍事的な膨張を続ける中国は、昨年末、ソマリア沖の海賊対策で軍艦を派遣し、国際責任を果たす意思を鮮明にした。外洋展開能力を誇示する狙いもあろう。
 だが、国内では、社会不安が増大しつつある。建国60年の今年は、チベット動乱から50年、民主化運動を弾圧した天安門事件から20年の節目でもある。
 北京五輪成功直後の米国発金融危機に伴う景気減速で、生活への不満は高まっている。格差是正を要求する大衆行動が広がる恐れが指摘されている。
 ロシアも、好調だった経済が、原油価格の暴落で暗転した。外貨準備の取り崩しを余儀なくされるなど、資源偏重の経済構造の脆弱(ぜいじゃく)性を露呈した。
 一方で、欧米の東方拡大路線に対する強烈な対抗意識は変わるところがない。
 中露には、国連安全保障理事会の常任理事国の立場から、オバマ次期米政権と協力体制を築き、世界の安定のために、責任を持って行動してもらう必要がある。
 ◆テロとの戦いは続く◆
 「テロとの戦い」も、引き続き国際社会の重大な課題だ。
 オバマ次期大統領は、テロとの戦いの最前線は、イラクではなく、アフガニスタンだとして、イラクから米軍を撤退させ、アフガンへの増派を進める方針だ。
 米軍を早期に撤退させつつ、イラクの安定を確保できるのかどうか。宗派対立の激化で内戦に陥らないようにするには、復興支援を強化していくことが重要だ。
 アフガンでは、米国から増派要請を受けている英独仏など北大西洋条約機構(NATO)メンバー国は、これにどこまで積極的に応じるのか。パキスタン領内にあるテロ集団の拠点を、パキスタン政府の協力で壊滅できるか、という難題もある。
 核兵器保有国であるパキスタンとインドの根深い対立が、昨年、両国で相次いだ無差別テロを契機に、再燃しようとしているのも懸念材料だ。
 北朝鮮の核廃棄や、イランの核開発の阻止も、焦眉(しょうび)の急だ。
 オバマ氏は、核廃絶を目標に掲げ、専制的な独裁政権とも「無条件で対話する」外交戦略に力点を置いている。だが、経済力や軍事力のテコなしに、核交渉で成果をあげられるか、疑問も残る。
 健康不安が伝えられる金正日総書記の後継問題など、北朝鮮情勢の不透明感が強まっている。
 核廃棄や拉致問題の解決を早急に図らなければならない日本は、米国と緊密に連携しつつ、対北朝鮮交渉ではより能動的な対応が求められる。
再編サバイバル電機業界 生き残りかけ合従連衡(COLUMN)
 「販売不振・価格下落・円高」の“三重苦”に見舞われている電機業界。パナソニックによる三洋電機の買収交渉が決着し、2009年に売上高10兆円超の国内最大の電機メーカーが誕生するのを契機に新たな再編が火を噴くのは必至だ。大不況の苦境を克服した“勝者”が、“敗者”を飲み込むサバイバルレースが幕を開ける。
■ソニーショック再来
 昨年12月9日、再び“ソニー・ショック”が駆けめぐった。薄型テレビなどエレクトロニクス事業の正規社員約16万人の5%に当たる約8000人と全世界の非正規社員8000人の計1万6000人を削減する大リストラ計画を発表したのだ。
 「聖域なく検討する」。ソニーの中鉢良治社長は、こう語り、未曽有(みぞう)の経営環境の悪化を乗り越えるため、もう一段のリストラも辞さない構えだ。
 他の大手でも業績の急激な悪化を受け、派遣などの非正規社員の人員整理や工場建設の中止などのリストラが横行し、不況が深刻化している。
 今年も回復の見通しは立たず、視界不良のままだ。なかでも、デジタル家電の成長を牽引(けんいん)してきた薄型テレビの落ち込みが深刻だ。米ディスプレイサーチの予測によると、薄型のうち液晶テレビの09年の全世界売上高は前年比16%減の640億ドル(約5兆5600億円)と、初めて前年実績を割り込む見通しだ。
 デジタル放送対応の薄型テレビは、各国でアナログ放送からデジタル放送への切り替えが進むことから各社が期待を寄せていた製品だけに影響は大きい。
 世界中のメーカーが工場を建て、生産設備を増強していたところに、世界同時不況による消費の冷え込みが直撃。販売急減で在庫が積み上がり、在庫処理のための投げ売りで販売価格が急落し、各社の収益をさらに悪化させるという「負の連鎖」に陥っている。
■生き残りは数社
 業界では「生き残るのは、せいぜい数社」(関係者)との見方がもっぱらだ。すでに08年の段階で中下位メーカーの脱落が始まった。
 まずパナソニックの傘下からたもとを分かち、ケンウッドとの経営統合を決めた日本ビクターは国内の薄型テレビ事業から事実上撤退。パイオニアと日立製作所もプラズマテレビ用パネルの生産から離脱した。
 さらに昨年は主要部品である液晶パネルの生産をめぐり、資本・業務提携による合従連衡が進行。「ソニー・シャープ・東芝」連合と「パナソニック・日立製作所・キヤノン」連合の2陣営に色分けされた。
 09年はまず中下位メーカーの中でも、パイオニアの動向が焦点となる。
 小谷進社長は「飲み込まれてしまう形にはしない」と話し、ブランドや雇用維持を前提とした再編を模索している。パイオニアはシャープと資本提携関係にあり、一段の関係強化の観測が絶えない。ただ、“液晶テレビの雄”であるシャープとの経営統合は、小谷社長の嫌う「飲み込まれる形」になるだけに、他の中下位メーカーとの連合に走る可能性もありそうだ。
■家電から完全撤退も
 パネル生産2陣営内でのさらなる合従連衡も、注目点だ。
 M&A(合併・買収)のうわさがくすぶるのが、豊富な手元資金を持つキヤノンだ。同社は「SED(表面電界ディスプレー)」と呼ばれる次世代薄型テレビパネルの開発に注力してきたが、商品化のめどは依然、立っていない。
 得意のデジタルカメラとプリンターの“コンビ”も撮影した写真を薄型テレビやパソコンを使ってプリントする人が増えており、悲願である薄型テレビ参入が急務だ。市場では「手っ取り早く他社の薄型テレビ事業の買収に動く」(関係者)との見方も出ている。
 東芝、日立も要注意だ。原子力発電機器まで幅広く手掛ける重電メーカーの日立と東芝は、生産連合に参加することでパネルを外部から調達し、自社ブランドの薄型テレビ事業を継続する。
 もっとも、デジタル家電は販売低迷と競争激化による価格下落で採算は悪化するばかりだ。究極の“選択と集中”として、「東芝、日立の両社が家電事業を売り払い、撤退の道を選ぶ可能性も否定できない」(業界筋)。その場合の売却先は、東芝がソニーかシャープ、日立はパナソニックというパネル連合内の組み合わせになる。
■再編どころ淘汰
 薄型テレビ以上に深刻なのが半導体事業だ。自動車やデジタル家電、携帯電話向けの需要の激減で、市況が急落。汎用性の高いDRAMなどのメモリーは、出荷価格が採算ラインを割り込み、作れば作るほど赤字が増える状態だ。
 「再編すら難しくなってきた。再編より淘(とう)汰(た)や事業縮小が先に起きる」
 NECエレクトロニクスの中島俊雄社長は悲痛な叫びを漏らす。
 どこかが退場し供給過剰を解消しないと、共倒れになりかねない。半導体分野で巨大勢力となった韓国、台湾勢を含め、どこが最初に力尽きるのかという、まさにサバイバル戦の様相を呈してきた。
 一方で、富士通マイクロエレクトロニクスの岡田晴基社長は「提携どころではないというのが本音だが、こういう時期だからこそできる提携があるかもしれない」と、再編に含みを持たせる。
 富士通の半導体部門を切り離した同社は再編の“台風の目”とみられており、動向から目が離せない。
 ■クルマとのタッグも
 生き残りをかけた新しい再編の潮流を予想する声も出ている。
 パナソニックの大坪文雄社長は「もう一つ大きな成長エンジンが必要だった。両社が手を組めば環境・エネルギーで世界の消費者が求める事業を展開できる」と、三洋電機買収の狙いを強調する。
 唯一の成長市場である環境分野で勝ち残るには、三洋が持つ太陽電池やリチウムイオン電池を是が非でも取り込む必要があった。
 「家まるごとパナソニック」。パナソニックは、テレビや洗濯機といった家電から住宅設備、照明機器にいたる幅広い商品ラインアップが強みだ。
 「家まるごと」を一歩進めれば、「家電とクルマ」や「家電と住宅」という業界の枠を超えた“異業種連合”へと行き着く。
 パナソニックは、電気自動車や次世代ハイブリッド車の心臓部となる車載用電池で、トヨタ自動車と手を組んでいる。
 2009年は、世界中がビックリ大仰天するような組み合わせによる再編が飛び出すかもしれない。



ジブリ、北米で本格展開 著名プロデューサー起用し広告
 スタジオジブリは本格的に北米市場を開拓する。米ハリウッドの著名プロデューサーやアニメ監督を起用し広告・宣伝を強化する。第1弾は宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」で、2009年夏に公開する予定。現地事情に精通したプロをマーケティング担当に抜てきし、劇場公開までの認知度を高め、興行収入増を狙う。
 プロデューサーとして起用するのは、フランク・マーシャルとキャサリーン・ケネディ夫妻、米ピクサー・アニメーション・スタジオのジョン・ラセター監督の3人。マーシャル氏とケネディ氏は「インディ・ジョーンズ」シリーズなどを手掛け、ラセター氏は「トイ・ストーリー」などピクサーの代表作を監督した。新作では3人の経験、実績、人脈をフル活用する。



地熱発電所、三菱マテなど20年ぶり新設 政府、春に支援策
 地下の熱水や蒸気を利用する地熱発電所の新建設計画がほぼ20年ぶりに国内で動き出す。三菱マテリアルとJパワーは共同で約400億円を投じ、2016年にも出力6万キロワットの発電設備を建設。日鉄鉱業と九州電力も約200億円で発電所を新設する。政府も今春に資金面などの支援策をまとめる方針で、二酸化炭素(CO2)をあまり出さず、燃料価格の乱高下リスクがない地熱を国産エネルギーとして活用する動きが広がりそうだ。
 三菱マテとJパワーは秋田県湯沢市で、09年度から本格的な事業化調査(FS)に入る。地下2000メートル前後から熱水や蒸気をくみ上げ、発電設備で利用する。環境アセスメントなどを経て着工、16年にも稼働させる。電力は東北電力などへ販売する。三菱マテはすでに国内2カ所、Jパワーは1カ所に地熱発電所を持つ。



外国人の高度技能者、人材獲得へ研修制度 政府が検討
 政府の高度人材受入推進会議(議長・田中直毅国際公共政策研究センター理事長)は法律や研究、製造現場の技術などで高い技能を持つ外国人の受け入れ拡大に向け、新たな研修制度の創設や在留資格の見直しに向けた検討に入る。作業部会を設置し、具体策の議論を始めた。世界各国は国際競争に勝ち抜くための人材獲得に力を入れており、政府も戦略の立案を本格的に進める。
 専門的な技能を持つ外国人は日本での在留資格が認められる。ただ、歌手やダンサーなどの「興行」を除いた「専門的・技術的分野」の在留資格を得た外国人は2006年末で約15万8000人にとどまる。日本に滞在する優秀な外国人を増やすために、受け入れ体制を充実させることが課題だ。



不良資産の損失リスク、米政府が肩代わり 米財務省、大手行向け
 【ワシントン=大隅隆】米財務省は2日、金融機関の保有する不良資産から生じる損失を政府が肩代わりする制度を導入したと発表した。昨秋のシティグループ向け救済策を、他の金融機関でも利用できるようにした形だ。金融機関の損失拡大を防ぎ、貸し渋りなどの信用収縮に歯止めをかける狙い。
 新たに導入した資産保証制度は、経済活動の維持に必要不可欠と政府が認めた金融機関が利用できる。金融システムの根幹を担う大手行が主対象になる見通しで「大手行は破綻させない」との米政府の考えを強くにじませている。
 昨秋のシティ救済では、同行が抱える3060億ドルの不良資産を対象に、損失の大半を政府が肩代わりする仕組みを導入した。同時に実施した公的資金による追加資本注入とあわせ、シティグループの破綻を回避、金融システムを維持した経緯がある。



米クライスラーも40億ドル受領 公的資金による緊急融資
 【ニューヨーク3日共同】経営危機に陥っている米自動車大手クライスラーは2日、公的資金による緊急融資として40億ドル(約3690億円)を受け取ったと発表した。
 米政府は金融危機対策のための7000億ドルの公的資金枠を活用し、最大手ゼネラル・モーターズ(GM)と合わせ計174億ドルを融資する方針。GMは昨年12月31日に第1弾の40億ドルを受け取った。
 両社とも部品メーカーなどへの支払いが集中するとされる年初を乗り切り、当面の経営破たんを回避できる見通し。



戦略石油備蓄を再開へ 米エネルギー省 原油価格低下で
 【ワシントン=大隅隆】米エネルギー省は2日、2008年7月から凍結していた戦略石油備蓄の積み増しを再開すると発表した。1200万バレルの原油を購入するほか、ハリケーンの影響で昨秋に戦略備蓄から供給を受けた石油会社は政府に原油を返済する。原油価格低下を受け、備蓄積み増しを正常化する。
 戦略石油備蓄は7億2700万バレルの原油が貯蔵可能で、現在の備蓄量は97%。05年のエネルギー法は備蓄積み増しを義務づけているが、原油価格高騰に伴う時限立法で、米政府は08年末まで備蓄積み増しを禁止されていた。



08年世界半導体売上高、前年割れの可能性 11月9.8%減
 【シリコンバレー=田中暁人】米国半導体工業会(SIA)は2日、2008年11月の世界半導体売上高が前年同月比9.8%減の208億4000万ドル(約1兆9000億円)だったと発表した。世界景気減速を背景に半導体需要が急減退し、2カ月連続で前年実績を下回った。1―11月の累計は前年同期比0.2%増にとどまっており、08年の通年売上高が前年割れだった可能性も高まっている。
 SIAは、08年の世界半導体売上高を07年比2.2%増の2612億ドルと見込んでいる。11月までの累計売上高は2327億ドルだった。11月は、米州が前年同月比19.5%減の30億8000万ドルと大苦戦。アジア太平洋地域や欧州なども大幅減だった。
<08~09ゲーム展望>ドラクエ500万本で業界を引っ張る 浜村弘一社長に聞く
 ゲームソフトの売り上げが下降し、世界金融危機で海外市場の不安が募る08年のゲーム業界。「浜村通信」こと浜村弘一・エンターブレイン社長に08年を振り返ってもらい、「ドラゴンクエスト9」発売など09年のポイントを聞いた。
--毎年話題になっていた「ドラゴンクエスト9」がとうとう発売されます。
 3月ですね。「ドラゴンクエスト9」が出るとハードが動くので大きいですよね。年末商戦よりも、3月の方が目玉になりそうです。“外伝”(「ドラゴンクエスト モンスターズ」)でも100万本売れて、本編なら前作「8」でも300万本を超えていますから。400万から500万本は期待できそうですね。
--満を持しての発売で、ドラクエにはヒットしてもらわないと。
 ニンテンドーDSの国内販売数の2000万台は、ゲーム機の普及限界点で、新型のDSiが発売されて、買い替えもある2周目に入りました。08年の上半期は売り上げが落ちましたが、DSi発売で持ち直しました。そこにドラクエですから、絶妙のタイミングと言えます。任天堂の岩田聡社長がDSで狙っていた女性や高齢者のライト層が一段落して、今度は中高生とか若いサラリーマンなどゲーム好きの人たちに向けた「ゲームらしいゲーム」が出て、さらにDSが普及するか、任天堂の次のチャレンジですね。また「ドラクエ10」がWiiで出ることを明かしたことにも戦略を感じます。ゲームファンがついてないといわれるWiiで、「モンスターハンター3」とともに期待されるところでしょう。
--PSPの躍進の一年でした。
 「モンスターハンター 2nd G」が270万売れた後に、他のゲームメーカーのソフトも売れたのがポイントでしょう。PS2などゲーム開発のリソース(資源)が生きるのも大きい。また、「モンハン」のヒットは、コミュニティーの大切さを証明してしました。今までのゲームは1人で完結していましたが、みんなが遊んで、それが連鎖を呼ぶ。新世代の携帯ゲームだからできることですよね。
--「ポケモン」もそうでしたし、「ドラクエ9」もネットワーク対応です。
 ネットワークの強みは、自分の都合で「やめられない」こと。友達がやるとひっぱりださないといけないわけで、遊んでいるうちにモチベーションが出てくるわけです。ドラクエもオンラインでつながりますから、つながって遊ぶ、ネットワークのコミュニティーを制するものがゲームを制すると思います。
--Xbox360の奮闘が目立ちました
 ハードの値段を下げて売り上げが上がるという正統的な伸ばし方でした。本来は、PS3がやるべき戦略をX360が取り始めた感じがします。ソフトもビッグタイトルが出始めたましたし。
--PS3は
 PS3は、展開がゆっくりすぎます。09年末に3万円を切って、「ファイナルファンタジー13」が出れば、というところ。個人的には、今年の約4万円の値段据え置きの発表は残念でした。コンセプト上、ハードディスクが取れないのは理解できますが、ハードディスクの容量を増やしている場合ではないのです。PS3が息の長いゲーム機であることは分かっていて、いつかは売れるのも分かりますが……。頑張ってほしいが、ソニー本体が世界的に大規模リストラをかけていたり、金融危機の影響が大きいので、業界全体としても心配です。
--今年のソフトを振り返ると?
 DSが08年上期に落ちたとはいえ、やはり任天堂が絶好調でしたね。「Wiiミュージック」も面白い。開発した宮本茂さんは「モニターで楽しませればゲーム」という考え方の通り、楽器を演奏するだけで競争もないけど遊べる。生活の一部として楽しむという方向なのですよね。
--ほかのメーカーでは
 カプコンは「モンハン」がすごかったけど、「バイオハザード5」のできがいいんです。実はこのソフトもオンラインに対応していて、援護射撃してもらうとかコミュニケーションにつながっています。米国では前評判が高くて、「400万~500万本」という声もあるほどです。日本開発のハイデフゲームでは史上最高になる可能性も秘めていますね。コナミは「メタルギア」やサッカーゲーム「ウイイレ」で、特に後者が欧州で売れていて、海外での依存率が高くなりつつあります。逆にスクウェア・エニックスは、「ドラクエ」「FF」「キングダムハーツ」があり、安泰ですが、日本への依存度が高いので、そこが考えどころですね。
--今年まとめると
 PSP-3000で、ネットワークからゲームソフトが買える時代になり、DSiでもダウンロードサービスが始まるなどインフラが変わりました。キーワードは「コミュニティーを制するものがゲームを制する」という流れで「つながって遊ぶ」。来年は「ドラクエ9」が売れて、他のソフトを力強く引っ張ってほしいと思います。



「節約」で初売り低調 福袋は実用型が人気
 百貨店、スーパー、家電量販店が1、2日に実施した初売りは、これまで5年連続で過去最高を更新していた伊勢丹新宿本店(東京・新宿)の売上高が前年水準を割り込むなど低調だった。福袋は「野菜詰め放題」(西武百貨店池袋本店)など実用型に人気が集まり、格安店に衣替えしたセブン&アイグループのスーパーの客数も前年の倍に伸びた。節約志向は一段と強まっており、小売りの値下げ競争が加速しそうだ。
 今年は帰省を控えた人も多く、朝10時までに東武百貨店池袋本店(同・豊島)には前年比6%多い約1万4000人が来店。阪急百貨店梅田本店(大阪市)も3割増の約9000人が詰めかけ、開店時間を10分前倒しした。ただ客数の伸びが売り上げ増につながっていない。



財投「埋蔵金」を全額活用 財務省、特例法案提出へ
 財務省はいわゆる「埋蔵金」と呼ばれる10兆円規模の財政投融資特別会計の金利変動準備金について、2010年度までに全額を経済・雇用対策や基礎年金の国庫負担引き上げの財源として活用する検討を始めた。通常国会に提出する09年度予算案と併せ、2年間に限り同準備金の一般会計繰り入れを可能にする特例法案を提出する。同省は準備金の取り崩しに慎重だったが、経済・雇用情勢の悪化を受け方針転換した。
 財投特会の金利変動準備金は、政府系機関や自治体向け貸し出しの原資となる財政融資資金を安定運用するために積み立てておく資金。資産の5%を金利変動に備え、現在約10兆円の残高がある。今年度第2次補正予算案や来年度予算案で取り崩しが決まっており、10年度末の残高は4兆円程度に目減りする見込みだ。



民主「単独過半数297獲得」
 党対策本部が衆院選独自分析 参院民主党の「衆院選支援対策本部」(輿石東本部長)が、次期衆院選で民主党が衆院単独過半数(241議席)を上回る297議席を獲得して圧勝する可能性が高い-と情勢分析した内部資料を作成していたことが2日、分かった。参院民主党の対策本部は「党のいわば第2選対」(参院幹部)で、党の世論調査や対策本部の独自調査をもとに内部資料を12月中旬にまとめた。小沢一郎代表へも伝えられている。
 それによると、民主党は小選挙区(全国300)で213議席、比例で84議席の計297議席を単独で獲得する。小泉純一郎元首相が郵政民営化を争点に解散に踏み切った平成17年の前回衆院選で自民党が得た296議席とほぼ同数の議席を民主党が占め、自民、公明両党は衆院でも少数野党になる。



日経社説 危機と政府(2)金融蘇生を急ぎ規制と監視の再構築を(1/3)
 カネ余りで膨らんだ金融バブルの崩壊で、2009年の主要国経済は軒並みマイナス成長が見込まれる。まずは各国政府や中央銀行が傷んだ金融機能の蘇生(そせい)に短期集中で全力を挙げるべきだ。並行して将来の危機再発を防ぐ規制や監視の強化も欠かせない。当局が過度の介入をせず、金融の活力を生かせる有効な規制の再構築が求められる。
資金の血流を絶やすな
 信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の証券化商品などで高収益を上げた米国型金融は昨年9月のリーマン・ブラザーズ破綻で挫折した。投資銀行のゴールドマン・サックスなどが銀行持ち株会社に転じ、保険、銀行大手のAIGとシティグループは事実上の政府管理に陥った。危機は欧州や新興国ものみ込み、金融市場の相互不信から世界的なカネ詰まりが起きた。
 米欧諸国は資本不足の懸念を抱えた金融機関の国有化や資本注入に公的資金を投じ、信用維持に懸命だ。だが金融の損失拡大は止まらず、米が用意した7000億ドル(約63兆円)の金融安定化基金などの備えが足りなくなることもあり得る。
 まずは当局主導で、資金の流れが滞る信用収縮を止めることだ。カギを握るのはスピードと大胆さである。公的資金の追加をいとわずに金融機能を回復させるべきだ。小出しではコストはかえって甚大になる。
 気掛かりなのは、公的資金で資本を増強した米欧勢と裏腹に、サブプライム問題などで傷が浅いはずの日本勢がすくんでいることだ。
 海外展開する金融機関はリスク資産に対し最低8%の自己資本を積む必要がある。株安や不況が続けば保有株式の減損処理や不良債権処理の費用増で自己資本が目減りしかねず、日本の金融機関は分母に当たる貸し出しの圧縮に動いている。自力調達が難しい企業は借り入れ依存を強めているだけに、問題は深刻だ。
 予防的な公的資金注入を可能にする改正金融機能強化法が昨年暮れに成立した。金融機関は公的資金注入による当局の監視強化を敬遠しがちだが、市場に不意の混乱が広がる事態に備えるのが先決だ。地域金融機関だけでなく大手も申請をためらうべきでない。日銀にも企業金融の円滑化へ果断な対応を望みたい。
 異例の政策には副作用もある。制度に便乗するモラルハザード(倫理観の喪失)を防ぐためにも、公的関与は短期間にとどめるべきだ。政策の「出口」を考える必要がある。
 世界の金融当局にはもう一つの重い課題がある。金融バブルの過熱を再び起こさせないよう、規制や監督の恒久的な見直しを進めることだ。4月に英国で開く20カ国・地域(G20)の第2回金融サミットが、その節目となる。
 金融機関は規制の網をかいくぐり自己資本の何十倍もの元手を得て投資を膨らませ、収益拡大に走った。その猛烈な巻き戻しが今の景気悪化を主導している。金融技術の発達と市場のグローバル化に金融当局の規制と監視がついていけなかった。
 昨年11月の金融サミットは金融市場と規制の枠組みを強化し、危機再来を防ぐ共通原則を確認した。健全な規制を広げ、複雑な金融商品の開示を強化する内容だ。具体案はG20新旧議長国のブラジル、英、韓国の財務相が3月末までに提案する。
再発防止へ国際協調を
 重要なのは「賢い規制と監視」を意識することだ。金融の役割は、企業や個人に適切にマネーを仲介し、情報を生かして助言をすることだ。当局の規制が厳しすぎて金融機関が創意を発揮できないようでは、経済の中で金融を有効に生かせない。
 金融機関の自己資本比率に関する国際決済銀行(BIS)の規制見直しも課題となる。現在の「バーゼル2」基準は好況期に融資拡大の余裕ができる一方、不況期には融資を絞る作用が指摘される。景気循環の振れを大きくする体系を見直し、好況時にもっと多めの自己資本を積ませるなどの改善策も検討すべきだ。
 金融機関は株式会社である以上、株主が有限責任を負う資本を大きく上回る規模で投資や融資ができる。BIS規制は金融機関の暴走を防ぐ手だてとして重要な役割を果たす。現実に沿った運用改善が望まれる。
 規制の国際協調も重要だ。グローバル化した金融市場では、規制の緩いところにマネーが集中し、ひずみを生む。広範囲な規制を主張するフランスなど欧州諸国、自由度を維持したい米英、そして発展途上の金融インフラを抱える中国やインドの利害対立は深い。G20の調整は難しい作業だが、規制や監視の国際連携は不可欠だ。日本もルール作りに主体的に加わり、世界の金融再生に乗り遅れないようにしてほしい。
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