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ソフト会社と小売店の険悪な関係 日本のゲーム産業の課題(COLUMN)
日本のゲーム産業が抱える課題を考える2回目は、ゲームソフトの流通を取り上げる。ここ数年間、中古品の流通増大やゲーム会社とゲームショップの関係悪化など、好ましくないいくつかの変化が起きた。こうした阻害要因を取り除くためにゲーム会社がとり得る戦略は何なのだろうか。
2009年は、「プレイステーション・ポータブル(PSP)2」の発表があってもおかしくないだろうと思っている。初代PSPが04年に発表されてから5年目に入り、「ニンテンドーDSi」と同様に、そろそろ本格的なバージョンアップ版が出てもいい時期だからだ。
■「PSP」次世代機が流通を変える?
最大のポイントは、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が、PSP用の独自メディア「UMD」を維持するかどうかにある。順当にいけば、搭載されないと考えるべきであろう。PSPのバッテリーの持続時間を伸ばすにあたり、UMDディスクの回転がボトルネックになっている。また、フラッシュメモリー価格の急激な下落で、UMDの優位性であった1.8ギガバイトというメディア容量が意味のないものに変わりつつあるからだ。
UMDを非搭載にした場合、SCEは流通政策でもこれまでの手法を大きく見直す貴重な機会を得られる。既存のパッケージソフトと同じく、独自フォーマットにしたメモリースティックにデータを記録して店頭で売るのか、それともダウンロード販売によるネット流通を前面に押し出すのか、2つの選択肢があるからだ。この決定によって将来のゲーム流通のあり方が根本的に変わる。
ちなみに、SCEは「プレイステーション3(PS3)」向けに07年末に投入した「グランツーリスモ5プロローグ」では、店頭でのパッケージ販売とオンライン機能を使ったネット販売の両方を行うというやり方を日本と欧州で実施した。
■ゲームユーザーが遊ぶ3割は中古
PSPに限らず、流通はゲーム業界にとって大きなウエイトを占めている。現在、日本のゲーム流通に強い影響を及ぼしているのは、02年に決着した中古裁判だ。中古ソフトを販売するゲーム専門店をゲーム会社が訴えたが、小売店側の全面勝利に終わり、中古ソフトはゲーム専門店の重要な商材になった。
しかし、これによってゲーム会社と小売店との関係は決定的に悪化し、ゲーム会社は小売店のマージンをできるだけ減らそうとする戦略を採った。その結果、ゲーム専門店では新品ソフトを売る動機が相対的に低下し、新品の販売本数を減らして利益が大きい中古ソフトをさらに売るというビジネス構造が進んだ。2000年代に入っての日本の市場規模の縮小には、この状況が一役買っている。
昨年、あるゲーム会社で、20万本ヒットとなった「プレイステーション2(PS2)」向けタイトルの新品と中古の販売状況を調査したデータを見せてもらい、唖然とした。特定ショップの定点観測に基づくデータだが、新品は2週間で販売が終わり、その後は中古が販売価格をだんだんと下げながらも1年以上売れ続けている。ざっくりとした推計で、新品とほぼ同じ本数の中古が売れたのではないかという。当然、そのゲーム会社にとっては、とてつもない販売機会の損失である。
フランチャイズの小売りチェーンは中古ソフトの販売本数や収益をあまり公開しておらず、正確な市場規模はわからない。「CESAゲーム白書2008」では、東京ゲームショウに来場したユーザーへアンケート調査の結果をまとめている。それによると、年間平均購入本数は6.4本で、そのうち1.7本(27.2%)が中古だった。つまり東京ゲームショウに来るような積極的なゲームユーザーの遊ぶ約3割は、中古ソフトなのである。
ゲームは、デジタルデータでありコンテンツとして劣化しない。ユーザーが中古ということに抵抗を持たない限り、新品と同じように遊べる。PS2向けは特に中古ソフトの占める割合が高く、「CESA一般生活調査報告書2007」によると、06年時点で44.6%が中古ソフトで占められるという。
■小売店が在庫リスクを負う流通構造
中古流通の増大はいびつな現象であるが、ある意味では当然の結果ともいえる。中古裁判などの影響もあるものの、原因をつきつめれば、日本の商慣習に行き着くからだ。
日本のゲーム産業では、在庫リスクを小売店が負う形になっている。通常、一度仕入れたゲームは小売店からゲーム会社に返品できない契約である。小売店に出荷した段階で、ゲーム会社は確実に収益を得られるが、その先のユーザーに売れるかどうかは小売店の責任であり、売れずに残った在庫による損失は小売店がすべて被る。小売店側へのマージンは少なく、10本仕入れて1本残れば赤字といわれる。
ゲーム専門店が中古に依存したビジネスへと傾斜していったのは、そのためだ。ゲーム会社が新作ソフトのキャンペーンを行っている間に、いち早く遊び終えたユーザーから中古を安価で仕入れる。それをだんだんと値を下げながら販売することが、最大の利益となるのだ。人気タイトルは高値で扱われ、そうでないタイトルはすぐに安くなる。市場での価格形成を中古が主導するという構造になっている。
「ドラゴンクエスト」シリーズなどの開発を手がけるレベルファイブは、07年に投入したニンテンドーDS用「レイトン教授」シリーズで、下請けの開発会社から独自ブランドを持つゲーム会社へと鞍替えした。これができるのは返品リスクのない日本の流通構造のおかげでもある。手持ち資金が少なくとも発売して小売店に納入した時点で現金化できる。
■究極の中古対策はネット販売だが・・・
一方、小売店の力が強く返品が完全に認められている北米では、こうしたことは今後も起こりえない。大手パブリッシャーでなければ在庫リスクを負うことができないからだ。
日本では結局、在庫リスクを誰に回すかという駆け引きのなかで小売店への押し付けが起き、小売店はそのリスク回避のために中古を販売し、結果として新品が売れずにゲーム会社の収益が伸びないという、産業としては誰の得にもならない状況を招いている。
ゲーム会社では開発の際に、すぐに遊び終わって中古に回らないように「やりこみ」要素を追加するべきという戦略が一般に説かれる。しかし、それが本当に効果を上げているかどうかを裏付けるデータがあるわけでもない。
結局、中古対策として有効なのはネット販売だ。ダウンロードしたゲームは誰かに転売することができない。市場が抱える矛盾を少なくともゲーム機メーカーとゲーム会社は解決できる可能性がある。一方、ゲーム専門店側は、売る商品自体がなくなる事態として警戒している。
■任天堂が「毎日触るゲーム」を出す狙い
この長年の状況を別のアプローチで動かした企業がある。またもや任天堂である。
任天堂は、まず自社のタイトルが中古で出回りにくくなるように、ゲームの構造自体を考えた。毎日ちょっとした変化が起きる「どうぶつの森」、一日にできる問題数を限って毎日アクセスさせる「脳トレ」など、DS向けのゲームはとにかく毎日ユーザーに触るように働きかける仕掛けがある。その結果、短期間でクリアして中古として売ってしまうということが起きにくくなる。
昨年10月に発売された「わがままガールズファッションモード」では、ゲーム内の店が服の仕入れを行うのだが、現実の世界の曜日によって仕入れられる服のブランドや種類が違っている。日常性とはあまり関係なさそうなタイトルにまで「毎日」という要素が徹底されている点に驚く。
一方、販売チャネルに関しても、力を付けてきた大手家電量販店やトイザらスなど新作を中心に扱う小売店を重視する流通政策を採っている。これらの小売店は利ザヤは薄くても在庫回転率を上げてスケールメリットで勝負する業態であり、あくまで新品の販売が主力になる。06年にDSの品不足が起きたときは、町のゲーム専門店には数台しか入荷しないが、トイザらスには毎週何十台もの入荷があり、入荷予定日も示されていた。
■流通と築いた「ウィン-ウィン」関係
任天堂は価格戦略でも他と一線を画し、発売して一定期間が経過すると実質的に値下げをする、いわゆる「廉価版」をほとんど出していない。岩田聡社長は昨年10月の中間決算発表時の質疑応答で、時間が経過するとゲームが安く売られる現状に疑問を呈し、「一見業界の常識のようになっているけど、本当にそれ以外の売り方はないのか」「なるべく最初の値段を維持するモデルでチャレンジしたい」と述べている。
これは流通側から見れば、既存タイトルを一定期間在庫として抱えても値下がりリスクが少ないという安心感につながると考えられる。
任天堂はゲームソフトの価格を低めに設定する戦略を採り、DSやWiiのゲームでは実売価格が5000円を切るタイトルが多い。これもユーザーがゲームを中古ショップに売ろうとするインセンティブを削いでいると見られる。価格が安くても、販売本数が増加して中古の流通量が相対的に減少すれば、収益性は高まるという判断があったものと思われる。
一方で、新品で6000~7000円という相場が当たり前となったPS3や「Xbox360」のゲームはいかにも高く感じられる。中古が出回ることがわかっているため、各社とも値段を下げられないのだが、ユーザーにしてみれば高いから余計に「中古ショップに売る」「中古を買う」という気持ちになる。
任天堂の現在の成功は、流通政策もその一部であると考えていい。任天堂は量販店と「ウィン-ウィン」の関係を作り上げ、流通全体を自らに有利な方向に変えることに成功したのである。
■「KORG DS-10」の成功が示すヒント
しかしこれらは、任天堂のプラットホームホルダーとしての強みがあればこそ生きた戦略でもある。他のソフトウエア企業が同じことをしても難しい。任天堂が強すぎて、打つ手がないという話も聞く。
ただ、チャンスがないわけではない。AQインタラクティブは昨年7月、テクノシンセサイザーソフトのDS用「KORG DS-10」をアマゾンのみでの限定販売にした。通常の販売チャネルで発売すれば、下手をすると1000本程度の注文しか集まらないと容易に予想できたためだ。
しかし、動画サイトを活用したプロモーション方法なども効果を上げ、販売本数はアマゾンの08年販売ランキングで9位というヒット商品になった。アマゾンは販売本数を一切公開しないので正確な数はわからないが、関係者によると数万本単位で売れたようだ。最大手企業でなくとも、ウィン-ウィンの関係が築けた例だ。
流通ルートは今後数年で、店頭でのパッケージ販売からネットからのダウンロード販売へと移行が進むであろうが、劇的に変化する兆しはまだ見えていない。しかし、緩やかな変化は進んでおり、ゲーム会社は、KORG DS-10のような小さな予想外の成功に着目するべきだ。流通やユーザーニーズの時代による変化はこうしたところにも顔を出している。
次回は、日本のゲーム産業が抱える「人材」面の課題を取り上げる。
日本のゲーム産業が抱える課題を考える2回目は、ゲームソフトの流通を取り上げる。ここ数年間、中古品の流通増大やゲーム会社とゲームショップの関係悪化など、好ましくないいくつかの変化が起きた。こうした阻害要因を取り除くためにゲーム会社がとり得る戦略は何なのだろうか。
2009年は、「プレイステーション・ポータブル(PSP)2」の発表があってもおかしくないだろうと思っている。初代PSPが04年に発表されてから5年目に入り、「ニンテンドーDSi」と同様に、そろそろ本格的なバージョンアップ版が出てもいい時期だからだ。
■「PSP」次世代機が流通を変える?
最大のポイントは、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が、PSP用の独自メディア「UMD」を維持するかどうかにある。順当にいけば、搭載されないと考えるべきであろう。PSPのバッテリーの持続時間を伸ばすにあたり、UMDディスクの回転がボトルネックになっている。また、フラッシュメモリー価格の急激な下落で、UMDの優位性であった1.8ギガバイトというメディア容量が意味のないものに変わりつつあるからだ。
UMDを非搭載にした場合、SCEは流通政策でもこれまでの手法を大きく見直す貴重な機会を得られる。既存のパッケージソフトと同じく、独自フォーマットにしたメモリースティックにデータを記録して店頭で売るのか、それともダウンロード販売によるネット流通を前面に押し出すのか、2つの選択肢があるからだ。この決定によって将来のゲーム流通のあり方が根本的に変わる。
ちなみに、SCEは「プレイステーション3(PS3)」向けに07年末に投入した「グランツーリスモ5プロローグ」では、店頭でのパッケージ販売とオンライン機能を使ったネット販売の両方を行うというやり方を日本と欧州で実施した。
■ゲームユーザーが遊ぶ3割は中古
PSPに限らず、流通はゲーム業界にとって大きなウエイトを占めている。現在、日本のゲーム流通に強い影響を及ぼしているのは、02年に決着した中古裁判だ。中古ソフトを販売するゲーム専門店をゲーム会社が訴えたが、小売店側の全面勝利に終わり、中古ソフトはゲーム専門店の重要な商材になった。
しかし、これによってゲーム会社と小売店との関係は決定的に悪化し、ゲーム会社は小売店のマージンをできるだけ減らそうとする戦略を採った。その結果、ゲーム専門店では新品ソフトを売る動機が相対的に低下し、新品の販売本数を減らして利益が大きい中古ソフトをさらに売るというビジネス構造が進んだ。2000年代に入っての日本の市場規模の縮小には、この状況が一役買っている。
昨年、あるゲーム会社で、20万本ヒットとなった「プレイステーション2(PS2)」向けタイトルの新品と中古の販売状況を調査したデータを見せてもらい、唖然とした。特定ショップの定点観測に基づくデータだが、新品は2週間で販売が終わり、その後は中古が販売価格をだんだんと下げながらも1年以上売れ続けている。ざっくりとした推計で、新品とほぼ同じ本数の中古が売れたのではないかという。当然、そのゲーム会社にとっては、とてつもない販売機会の損失である。
フランチャイズの小売りチェーンは中古ソフトの販売本数や収益をあまり公開しておらず、正確な市場規模はわからない。「CESAゲーム白書2008」では、東京ゲームショウに来場したユーザーへアンケート調査の結果をまとめている。それによると、年間平均購入本数は6.4本で、そのうち1.7本(27.2%)が中古だった。つまり東京ゲームショウに来るような積極的なゲームユーザーの遊ぶ約3割は、中古ソフトなのである。
ゲームは、デジタルデータでありコンテンツとして劣化しない。ユーザーが中古ということに抵抗を持たない限り、新品と同じように遊べる。PS2向けは特に中古ソフトの占める割合が高く、「CESA一般生活調査報告書2007」によると、06年時点で44.6%が中古ソフトで占められるという。
■小売店が在庫リスクを負う流通構造
中古流通の増大はいびつな現象であるが、ある意味では当然の結果ともいえる。中古裁判などの影響もあるものの、原因をつきつめれば、日本の商慣習に行き着くからだ。
日本のゲーム産業では、在庫リスクを小売店が負う形になっている。通常、一度仕入れたゲームは小売店からゲーム会社に返品できない契約である。小売店に出荷した段階で、ゲーム会社は確実に収益を得られるが、その先のユーザーに売れるかどうかは小売店の責任であり、売れずに残った在庫による損失は小売店がすべて被る。小売店側へのマージンは少なく、10本仕入れて1本残れば赤字といわれる。
ゲーム専門店が中古に依存したビジネスへと傾斜していったのは、そのためだ。ゲーム会社が新作ソフトのキャンペーンを行っている間に、いち早く遊び終えたユーザーから中古を安価で仕入れる。それをだんだんと値を下げながら販売することが、最大の利益となるのだ。人気タイトルは高値で扱われ、そうでないタイトルはすぐに安くなる。市場での価格形成を中古が主導するという構造になっている。
「ドラゴンクエスト」シリーズなどの開発を手がけるレベルファイブは、07年に投入したニンテンドーDS用「レイトン教授」シリーズで、下請けの開発会社から独自ブランドを持つゲーム会社へと鞍替えした。これができるのは返品リスクのない日本の流通構造のおかげでもある。手持ち資金が少なくとも発売して小売店に納入した時点で現金化できる。
■究極の中古対策はネット販売だが・・・
一方、小売店の力が強く返品が完全に認められている北米では、こうしたことは今後も起こりえない。大手パブリッシャーでなければ在庫リスクを負うことができないからだ。
日本では結局、在庫リスクを誰に回すかという駆け引きのなかで小売店への押し付けが起き、小売店はそのリスク回避のために中古を販売し、結果として新品が売れずにゲーム会社の収益が伸びないという、産業としては誰の得にもならない状況を招いている。
ゲーム会社では開発の際に、すぐに遊び終わって中古に回らないように「やりこみ」要素を追加するべきという戦略が一般に説かれる。しかし、それが本当に効果を上げているかどうかを裏付けるデータがあるわけでもない。
結局、中古対策として有効なのはネット販売だ。ダウンロードしたゲームは誰かに転売することができない。市場が抱える矛盾を少なくともゲーム機メーカーとゲーム会社は解決できる可能性がある。一方、ゲーム専門店側は、売る商品自体がなくなる事態として警戒している。
■任天堂が「毎日触るゲーム」を出す狙い
この長年の状況を別のアプローチで動かした企業がある。またもや任天堂である。
任天堂は、まず自社のタイトルが中古で出回りにくくなるように、ゲームの構造自体を考えた。毎日ちょっとした変化が起きる「どうぶつの森」、一日にできる問題数を限って毎日アクセスさせる「脳トレ」など、DS向けのゲームはとにかく毎日ユーザーに触るように働きかける仕掛けがある。その結果、短期間でクリアして中古として売ってしまうということが起きにくくなる。
昨年10月に発売された「わがままガールズファッションモード」では、ゲーム内の店が服の仕入れを行うのだが、現実の世界の曜日によって仕入れられる服のブランドや種類が違っている。日常性とはあまり関係なさそうなタイトルにまで「毎日」という要素が徹底されている点に驚く。
一方、販売チャネルに関しても、力を付けてきた大手家電量販店やトイザらスなど新作を中心に扱う小売店を重視する流通政策を採っている。これらの小売店は利ザヤは薄くても在庫回転率を上げてスケールメリットで勝負する業態であり、あくまで新品の販売が主力になる。06年にDSの品不足が起きたときは、町のゲーム専門店には数台しか入荷しないが、トイザらスには毎週何十台もの入荷があり、入荷予定日も示されていた。
■流通と築いた「ウィン-ウィン」関係
任天堂は価格戦略でも他と一線を画し、発売して一定期間が経過すると実質的に値下げをする、いわゆる「廉価版」をほとんど出していない。岩田聡社長は昨年10月の中間決算発表時の質疑応答で、時間が経過するとゲームが安く売られる現状に疑問を呈し、「一見業界の常識のようになっているけど、本当にそれ以外の売り方はないのか」「なるべく最初の値段を維持するモデルでチャレンジしたい」と述べている。
これは流通側から見れば、既存タイトルを一定期間在庫として抱えても値下がりリスクが少ないという安心感につながると考えられる。
任天堂はゲームソフトの価格を低めに設定する戦略を採り、DSやWiiのゲームでは実売価格が5000円を切るタイトルが多い。これもユーザーがゲームを中古ショップに売ろうとするインセンティブを削いでいると見られる。価格が安くても、販売本数が増加して中古の流通量が相対的に減少すれば、収益性は高まるという判断があったものと思われる。
一方で、新品で6000~7000円という相場が当たり前となったPS3や「Xbox360」のゲームはいかにも高く感じられる。中古が出回ることがわかっているため、各社とも値段を下げられないのだが、ユーザーにしてみれば高いから余計に「中古ショップに売る」「中古を買う」という気持ちになる。
任天堂の現在の成功は、流通政策もその一部であると考えていい。任天堂は量販店と「ウィン-ウィン」の関係を作り上げ、流通全体を自らに有利な方向に変えることに成功したのである。
■「KORG DS-10」の成功が示すヒント
しかしこれらは、任天堂のプラットホームホルダーとしての強みがあればこそ生きた戦略でもある。他のソフトウエア企業が同じことをしても難しい。任天堂が強すぎて、打つ手がないという話も聞く。
ただ、チャンスがないわけではない。AQインタラクティブは昨年7月、テクノシンセサイザーソフトのDS用「KORG DS-10」をアマゾンのみでの限定販売にした。通常の販売チャネルで発売すれば、下手をすると1000本程度の注文しか集まらないと容易に予想できたためだ。
しかし、動画サイトを活用したプロモーション方法なども効果を上げ、販売本数はアマゾンの08年販売ランキングで9位というヒット商品になった。アマゾンは販売本数を一切公開しないので正確な数はわからないが、関係者によると数万本単位で売れたようだ。最大手企業でなくとも、ウィン-ウィンの関係が築けた例だ。
流通ルートは今後数年で、店頭でのパッケージ販売からネットからのダウンロード販売へと移行が進むであろうが、劇的に変化する兆しはまだ見えていない。しかし、緩やかな変化は進んでおり、ゲーム会社は、KORG DS-10のような小さな予想外の成功に着目するべきだ。流通やユーザーニーズの時代による変化はこうしたところにも顔を出している。
次回は、日本のゲーム産業が抱える「人材」面の課題を取り上げる。
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「iTunes」コピー防止機能撤廃の衝撃が向かう先(COLUMN)
米アップルが6日、iTunes Music Storeの米国内での音楽配信について、コピー防止機能(DRM:Digital Right Management)の廃止と価格体系の見直しを発表した。なぜか誰も議論していないが、これが日本でも導入されたら非常に大きなインパクトをもたらす重要な変更である。音楽ビジネスそのものにではない。私的録音録画補償金を巡る議論にである。
■米国音楽産業への影響は軽微
アップルの発表によると、(1)3月までにすべての楽曲をDRMなしで提供する、(2)4月から価格体系を変更し、これまでの一律99セントから69セント/99セント/1ドル29セントという3種類の価格帯を設ける――という。
今回の変更はまず米国内で実施されるが、米国の音楽産業にどのような影響を与えるであろうか。この点について米国内の専門家の論調を調べてみたところ、大した影響はないだろうという意見が趨勢であった。
DRM解除については、AmazonやWal-Martなどがすでに1年前からDRMフリーの楽曲を販売しており、今回の動きはその後追いに過ぎない。加えて、DRMを目の敵にしてきたのは主に無料で楽曲を手に入れたい人か技術オタクであり、大多数を占める一般ユーザーはiPodで再生できればそれで満足しているので、大勢に影響ないであろうという認識であった。
一方、3種類の価格帯となることで曲によって価格を違えることができるようになるが、それが音楽業界の収益増にどの程度結びつくかについては、貢献するという予測と、違法ダウンロードが氾濫するなかでは結局安い値段に収斂するという予測が半々ぐらいという感じであった。
ちなみに言えば、今回の変更は音楽業界との取引の結果とも言われている。単一価格を止めさせて楽曲の価格決定権を持ちたいけれどDRMは維持したかった音楽業界と、DRMは放棄したいけれど単一価格は維持したかったアップルが、お互いに歩み寄ったのであろう。
■日本で導入されたらどうなるか?
それでは、日本への影響はどうであろうか。二段階に分けて考えてみよう。
第一に、アップルは日本での音楽配信でも同様の変更を行う(正確には“行える”)であろうか。この点については、日米の音楽市場の違いを考慮する必要がある。
米国ではiTunes Music Storeは音楽小売(CDとデジタルの双方を含む全体)で最大のシェアを誇るが、日本でのiTunesのシェアは、デジタル配信の市場の中でも決して大きくない。かつ、日本市場ではDRM付きの楽曲配信が主流であり、音楽業界もDRMの維持を望むであろう。そう考えると、米国でアップルと音楽業界との間で成立したような取引が日本でもすぐに成立するとは考えにくいのではないだろうか。
第二に、もし日本でも同様の変更が行われた場合、音楽産業にどのようなインパクトを及ぼすであろうか。
ビジネスへの影響という点では、米国と同様にあまり大きくないのかもしれない。日本の音楽配信の大半を占める携帯向け市場では違法ダウンロードが正規ダウンロードを上回っている(日本レコード協会発表)。つまり米国と同様に日本でもすでに違法コピーは十分過ぎるほど流通しているのであり、DRMを解除しても事態はあまり変わらないだろう。かつ、市場シェアが低いiTunesの価格体系が音楽配信ビジネスで支配的になるとも考えにくい。
■崩れる「補償金廃止」の論拠
しかし、第一の点については、今回のアップルの米国での変更に象徴されるように、DRMフリーでの音楽配信は世界の趨勢になりつつある。そう考えると、いずれかのタイミングで日本でもDRMフリーが普及する可能性は十分にあると言わざるを得ないであろう。それがいつになるかは、日本の音楽業界の腹づもり次第である。
そして、第二の点について言えば、アップルの変更は日本の音楽ビジネス自体には大きな影響を及ぼさないであろうが、別の面では非常に大きな影響を及ぼすことを忘れてはならない。私的録音録画補償金(以下「補償金」と略す)の議論に対してである。
ご承知のように、文化庁の審議会で昨年、「ダビング10」の導入とセットで補償金の対象にiPodなどを追加することが検討された。しかし、一部のメーカーと役所の反発により白紙に戻され、ダビング10が導入された今もまだ宙ぶらりんのままとなっている。それどころか、彼らは補償金の制度自体を2011年に廃止に追い込もうと画策しているようである。
しかし、補償金の対象の追加を拒み、その廃止まで主張する彼らの最大の論拠は「権利者は技術的手段で違法コピー/ダウンロードを防止できるようになったのだから、補償金で所得を補填する必要はない」というものであったことを忘れてはならない。そう、アップルが日本でもDRMフリーを導入し、それが他社にも普及した場合、この論拠自体が完全に崩れるのである。
従って、補償金の対象追加や廃止を巡って役所間で不毛な争いを繰り広げるのはもう止めにすべきである。ナンセンスも甚だしい。
それよりも、遠くない将来にDRMフリーの音楽配信が日本でも主流になり得ることを前提に、デジタルとネットの時代における権利者に対する所得補償のあり方自体の議論からやり直すべきではないだろうか。補償金自体がネット普及前にできた制度であり、デジタル音楽配信の恩恵を被っているネット事業者や通信事業者には何の負担も求めていないなど、現実を考えると不十分極まりないからである。
■「ウィン-ウィン」関係をめざせ
日本は音楽配信ビジネスに関しては世界の先進国である。例えば日米の大手レコード会社の総売り上げに占めるデジタル配信の割合を比較してみると、米国(ワーナー)が約18%であるのに対し、日本(エイベックス)は30%を超えている。従って、欧米の一部で議論されているような「音楽税」のようなアプローチが良いかどうかは別にして、日本で世界最先端の補償制度が確立されるよう、今こそ関係者が力を合わせて取り組むべきである。
それが確立されて初めて、ユーザーがDRMフリーによるデジタルの恩恵を十分に享受でき、同時に音楽という大事な文化がデジタル時代を生き残れるという「ウィン-ウィン」の環境が実現されるのである。
米シティ、会社2分割 日興コーディアルなど2社売却も
【ニューヨーク=松浦肇】米大手銀行シティグループは16日、同行を預金、融資、投資銀行事業などを手がける中核部門の「シティコープ」と証券仲介事業など非中核部門の「シティ・ホールディングス」の2部門に分割すると発表した。シティは財務内容が急速に悪化しており、非中核事業のリストラ・売却による事業のスリム化を通じて生き残りを目指す。
日本で展開する日興コーディアル証券と日興アセットマネジメントは「シティ・ホールディングス」に含まれる。パンディット最高経営責任者(CEO)は16日、日興コーディアル証券について「世界戦略上、(事業価値や位置づけが)不十分で、経営を複雑にしている」と述べ、日興アセットとともに将来の売却の可能性を示唆した。
世界を代表する大手金融機関だったシティが過去10年来掲げてきた「総合金融」の旗印を降ろした形で、各国の金融機関は今後、新たなビジネスモデルの模索に迫られる可能性が高い。
政府、日米定期対話を刷新へ オバマ政権と協調
政府はオバマ次期米政権が20日に発足するのを受け、新たな定期経済対話を創設する方向で次期政権と協議に入る。2国間の問題に加え、世界経済など地球規模の課題を議論するため複数の対話の場を設ける案が有力だ。特にブッシュ政権から積極的な立場に変わるとみられる地球温暖化問題については、緊密に協議を重ね、本格化する国際交渉での主導権確保につなげたい考えだ。
現在のブッシュ政権とは「成長のための日米経済パートナーシップ」と呼ぶ定期対話の場があり、規制改革や貿易といったテーマ別などで会合を開いている。オバマ政権発足を機にこれを刷新する。民主党政権は8年ぶりなため、重層的な関係構築に向け、複数の経路で対話できる固定した枠組みが重要と判断した。オバマ政権発足以降、早期に協議した上で今春にも合意したい考えだ。
景気基調判断、4カ月連続下方修正 1月の月例報告
内閣府は1月の月例経済報告で、景気の基調判断を4カ月連続で下方修正する方向で関係省庁と調整に入った。減産の動きが一段と広がり、企業部門を中心とした景気の悪化が急速に進んだとみている。先行きについても為替相場の変動などのリスク要因が多く、強い警戒感を示す。
1月の月例報告は20日に開く関係閣僚会議で決める。昨年12月の基調判断は「景気は悪化している」。1月は景気が企業部門を中心に一段と悪化したとの認識を示すもよう。4カ月連続の下方修正は、IT(情報技術)バブル崩壊の影響で景気が後退局面にあった2001年2―6月(5カ月連続)以来となる。
経済運営指針 「失われた10年」繰り返すな(1月17日付・読売社説)
世界同時不況の乱気流から早く脱出し、日本経済を力強い上昇軌道に乗せるための道筋が描けたのだろうか。
政府の経済財政諮問会議が、当面の景気回復と将来の成長力向上に向けた指針となる「経済財政の中長期方針と10年展望」をまとめた。
これからの10年を、再び「失われた10年」にしてはなるまい。政府は緊迫感を持ち、成長戦略の実現を急がねばならない。
「10年展望」は、当面、中期、中長期の3段階に分けて、必要な施策を整理した。
今年度を含む当面の3年は、景気回復を最優先する。2010年代半ばまでの中期は、安定した社会保障制度の構築と、財政の立て直しを課題に掲げた。
さらに10年後をにらんだ中長期では、規制改革や新産業の育成で新たな需要と雇用を生み出し、成長力を底上げする戦略だ。
こうした手順に問題はないだろう。しかし、具体策の内容や実効性の面で物足りない。
当面の景気では、すでに表明した総額75兆円規模の対策を簡単に紹介しただけだ。「景気回復のため追加策も辞さない」という、強い決意が感じられない。危機感が足りないのではないか。
財政や社会保障の先行きは、一段と不透明になった。
国と地方を合わせた基礎的財政収支を11年度に黒字化するとした政府目標は「達成困難」と認めたが、努力目標として残った。
財政再建の「旗」を降ろさず、財政規律を守るという。だが、内閣府の試算では、消費税率引き上げや世界経済の急回復を見込む最も楽観的なケースさえ、11年度は13兆円の赤字の見込みだ。黒字化など望むべくもない。
実現不可能な旗にしがみつくより、時期は遅くなっても達成しうる新たな旗印を掲げた方が、社会保障や財政に対する将来不安は和らぐのではないか。
中長期では、技術力など日本の強みを生かし、「低炭素社会」などを実現するとした。
こうした政府の成長プランは、昨年も「日本経済の進路と戦略」や「経済成長戦略」などいくつも打ち出されている。メニューは出尽くした感が強い。
立派なメニューがいくらあっても、腕のいい料理人がいないと、おいしい料理は作れない。
メニューを具体化して「実り多い10年」を実現する。こうした政治のリーダーシップが、今ほど必要とされる時はない。
米アップルが6日、iTunes Music Storeの米国内での音楽配信について、コピー防止機能(DRM:Digital Right Management)の廃止と価格体系の見直しを発表した。なぜか誰も議論していないが、これが日本でも導入されたら非常に大きなインパクトをもたらす重要な変更である。音楽ビジネスそのものにではない。私的録音録画補償金を巡る議論にである。
■米国音楽産業への影響は軽微
アップルの発表によると、(1)3月までにすべての楽曲をDRMなしで提供する、(2)4月から価格体系を変更し、これまでの一律99セントから69セント/99セント/1ドル29セントという3種類の価格帯を設ける――という。
今回の変更はまず米国内で実施されるが、米国の音楽産業にどのような影響を与えるであろうか。この点について米国内の専門家の論調を調べてみたところ、大した影響はないだろうという意見が趨勢であった。
DRM解除については、AmazonやWal-Martなどがすでに1年前からDRMフリーの楽曲を販売しており、今回の動きはその後追いに過ぎない。加えて、DRMを目の敵にしてきたのは主に無料で楽曲を手に入れたい人か技術オタクであり、大多数を占める一般ユーザーはiPodで再生できればそれで満足しているので、大勢に影響ないであろうという認識であった。
一方、3種類の価格帯となることで曲によって価格を違えることができるようになるが、それが音楽業界の収益増にどの程度結びつくかについては、貢献するという予測と、違法ダウンロードが氾濫するなかでは結局安い値段に収斂するという予測が半々ぐらいという感じであった。
ちなみに言えば、今回の変更は音楽業界との取引の結果とも言われている。単一価格を止めさせて楽曲の価格決定権を持ちたいけれどDRMは維持したかった音楽業界と、DRMは放棄したいけれど単一価格は維持したかったアップルが、お互いに歩み寄ったのであろう。
■日本で導入されたらどうなるか?
それでは、日本への影響はどうであろうか。二段階に分けて考えてみよう。
第一に、アップルは日本での音楽配信でも同様の変更を行う(正確には“行える”)であろうか。この点については、日米の音楽市場の違いを考慮する必要がある。
米国ではiTunes Music Storeは音楽小売(CDとデジタルの双方を含む全体)で最大のシェアを誇るが、日本でのiTunesのシェアは、デジタル配信の市場の中でも決して大きくない。かつ、日本市場ではDRM付きの楽曲配信が主流であり、音楽業界もDRMの維持を望むであろう。そう考えると、米国でアップルと音楽業界との間で成立したような取引が日本でもすぐに成立するとは考えにくいのではないだろうか。
第二に、もし日本でも同様の変更が行われた場合、音楽産業にどのようなインパクトを及ぼすであろうか。
ビジネスへの影響という点では、米国と同様にあまり大きくないのかもしれない。日本の音楽配信の大半を占める携帯向け市場では違法ダウンロードが正規ダウンロードを上回っている(日本レコード協会発表)。つまり米国と同様に日本でもすでに違法コピーは十分過ぎるほど流通しているのであり、DRMを解除しても事態はあまり変わらないだろう。かつ、市場シェアが低いiTunesの価格体系が音楽配信ビジネスで支配的になるとも考えにくい。
■崩れる「補償金廃止」の論拠
しかし、第一の点については、今回のアップルの米国での変更に象徴されるように、DRMフリーでの音楽配信は世界の趨勢になりつつある。そう考えると、いずれかのタイミングで日本でもDRMフリーが普及する可能性は十分にあると言わざるを得ないであろう。それがいつになるかは、日本の音楽業界の腹づもり次第である。
そして、第二の点について言えば、アップルの変更は日本の音楽ビジネス自体には大きな影響を及ぼさないであろうが、別の面では非常に大きな影響を及ぼすことを忘れてはならない。私的録音録画補償金(以下「補償金」と略す)の議論に対してである。
ご承知のように、文化庁の審議会で昨年、「ダビング10」の導入とセットで補償金の対象にiPodなどを追加することが検討された。しかし、一部のメーカーと役所の反発により白紙に戻され、ダビング10が導入された今もまだ宙ぶらりんのままとなっている。それどころか、彼らは補償金の制度自体を2011年に廃止に追い込もうと画策しているようである。
しかし、補償金の対象の追加を拒み、その廃止まで主張する彼らの最大の論拠は「権利者は技術的手段で違法コピー/ダウンロードを防止できるようになったのだから、補償金で所得を補填する必要はない」というものであったことを忘れてはならない。そう、アップルが日本でもDRMフリーを導入し、それが他社にも普及した場合、この論拠自体が完全に崩れるのである。
従って、補償金の対象追加や廃止を巡って役所間で不毛な争いを繰り広げるのはもう止めにすべきである。ナンセンスも甚だしい。
それよりも、遠くない将来にDRMフリーの音楽配信が日本でも主流になり得ることを前提に、デジタルとネットの時代における権利者に対する所得補償のあり方自体の議論からやり直すべきではないだろうか。補償金自体がネット普及前にできた制度であり、デジタル音楽配信の恩恵を被っているネット事業者や通信事業者には何の負担も求めていないなど、現実を考えると不十分極まりないからである。
■「ウィン-ウィン」関係をめざせ
日本は音楽配信ビジネスに関しては世界の先進国である。例えば日米の大手レコード会社の総売り上げに占めるデジタル配信の割合を比較してみると、米国(ワーナー)が約18%であるのに対し、日本(エイベックス)は30%を超えている。従って、欧米の一部で議論されているような「音楽税」のようなアプローチが良いかどうかは別にして、日本で世界最先端の補償制度が確立されるよう、今こそ関係者が力を合わせて取り組むべきである。
それが確立されて初めて、ユーザーがDRMフリーによるデジタルの恩恵を十分に享受でき、同時に音楽という大事な文化がデジタル時代を生き残れるという「ウィン-ウィン」の環境が実現されるのである。
米シティ、会社2分割 日興コーディアルなど2社売却も
【ニューヨーク=松浦肇】米大手銀行シティグループは16日、同行を預金、融資、投資銀行事業などを手がける中核部門の「シティコープ」と証券仲介事業など非中核部門の「シティ・ホールディングス」の2部門に分割すると発表した。シティは財務内容が急速に悪化しており、非中核事業のリストラ・売却による事業のスリム化を通じて生き残りを目指す。
日本で展開する日興コーディアル証券と日興アセットマネジメントは「シティ・ホールディングス」に含まれる。パンディット最高経営責任者(CEO)は16日、日興コーディアル証券について「世界戦略上、(事業価値や位置づけが)不十分で、経営を複雑にしている」と述べ、日興アセットとともに将来の売却の可能性を示唆した。
世界を代表する大手金融機関だったシティが過去10年来掲げてきた「総合金融」の旗印を降ろした形で、各国の金融機関は今後、新たなビジネスモデルの模索に迫られる可能性が高い。
政府、日米定期対話を刷新へ オバマ政権と協調
政府はオバマ次期米政権が20日に発足するのを受け、新たな定期経済対話を創設する方向で次期政権と協議に入る。2国間の問題に加え、世界経済など地球規模の課題を議論するため複数の対話の場を設ける案が有力だ。特にブッシュ政権から積極的な立場に変わるとみられる地球温暖化問題については、緊密に協議を重ね、本格化する国際交渉での主導権確保につなげたい考えだ。
現在のブッシュ政権とは「成長のための日米経済パートナーシップ」と呼ぶ定期対話の場があり、規制改革や貿易といったテーマ別などで会合を開いている。オバマ政権発足を機にこれを刷新する。民主党政権は8年ぶりなため、重層的な関係構築に向け、複数の経路で対話できる固定した枠組みが重要と判断した。オバマ政権発足以降、早期に協議した上で今春にも合意したい考えだ。
景気基調判断、4カ月連続下方修正 1月の月例報告
内閣府は1月の月例経済報告で、景気の基調判断を4カ月連続で下方修正する方向で関係省庁と調整に入った。減産の動きが一段と広がり、企業部門を中心とした景気の悪化が急速に進んだとみている。先行きについても為替相場の変動などのリスク要因が多く、強い警戒感を示す。
1月の月例報告は20日に開く関係閣僚会議で決める。昨年12月の基調判断は「景気は悪化している」。1月は景気が企業部門を中心に一段と悪化したとの認識を示すもよう。4カ月連続の下方修正は、IT(情報技術)バブル崩壊の影響で景気が後退局面にあった2001年2―6月(5カ月連続)以来となる。
経済運営指針 「失われた10年」繰り返すな(1月17日付・読売社説)
世界同時不況の乱気流から早く脱出し、日本経済を力強い上昇軌道に乗せるための道筋が描けたのだろうか。
政府の経済財政諮問会議が、当面の景気回復と将来の成長力向上に向けた指針となる「経済財政の中長期方針と10年展望」をまとめた。
これからの10年を、再び「失われた10年」にしてはなるまい。政府は緊迫感を持ち、成長戦略の実現を急がねばならない。
「10年展望」は、当面、中期、中長期の3段階に分けて、必要な施策を整理した。
今年度を含む当面の3年は、景気回復を最優先する。2010年代半ばまでの中期は、安定した社会保障制度の構築と、財政の立て直しを課題に掲げた。
さらに10年後をにらんだ中長期では、規制改革や新産業の育成で新たな需要と雇用を生み出し、成長力を底上げする戦略だ。
こうした手順に問題はないだろう。しかし、具体策の内容や実効性の面で物足りない。
当面の景気では、すでに表明した総額75兆円規模の対策を簡単に紹介しただけだ。「景気回復のため追加策も辞さない」という、強い決意が感じられない。危機感が足りないのではないか。
財政や社会保障の先行きは、一段と不透明になった。
国と地方を合わせた基礎的財政収支を11年度に黒字化するとした政府目標は「達成困難」と認めたが、努力目標として残った。
財政再建の「旗」を降ろさず、財政規律を守るという。だが、内閣府の試算では、消費税率引き上げや世界経済の急回復を見込む最も楽観的なケースさえ、11年度は13兆円の赤字の見込みだ。黒字化など望むべくもない。
実現不可能な旗にしがみつくより、時期は遅くなっても達成しうる新たな旗印を掲げた方が、社会保障や財政に対する将来不安は和らぐのではないか。
中長期では、技術力など日本の強みを生かし、「低炭素社会」などを実現するとした。
こうした政府の成長プランは、昨年も「日本経済の進路と戦略」や「経済成長戦略」などいくつも打ち出されている。メニューは出尽くした感が強い。
立派なメニューがいくらあっても、腕のいい料理人がいないと、おいしい料理は作れない。
メニューを具体化して「実り多い10年」を実現する。こうした政治のリーダーシップが、今ほど必要とされる時はない。
快進撃に待った!全国に広がる「イー・モバイル包囲網」(COLUMN)
モバイルデータ通信に注力し、ネットブックとのセット販売によって大躍進を遂げた新興キャリアのイー・モバイル。しかし、他社もそうした状況をただ指をくわえて見ているわけではない。事実、年末から年始にかけて各地の販売店を回って見たところ、イー・モバイルをけん制する動きが非常に活発化しているのを目にすることができた。
ソフトバンクモバイルが定額データ通信に参入?
最初に紹介するのは、ソフトバンクモバイルの動向だ。筆者が都心のある家電量販店を確認したところ、ソフトバンクモバイルのデータ通信端末と、ネットブックとのセット販売が行われていたのである。既存キャリアで唯一、ソフトバンクモバイルは定額のモバイルデータ通信サービスを提供していないので、不思議に思う人もいるだろう。だが同社は現在、一部地域の量販店で「データ昼間定額プラン」というサービスを期間限定で提供しているようで、このプランとセットで契約することで割引が受けられるようになっているのだ。
この「データ昼間定額プラン」とはどのようなプランなのかというと、月額基本料4480円で、1時から18時の「昼間」だけデータ通信が定額で利用できるというサービスのようだ。NTTドコモのようなプロトコル規制はないようだが、18時から翌1時までは1パケット当たり0.0525円の従量制となるため、夜間の利用には適していない。
他社のモバイルデータ通信用プランが24時間の定額制を実現しているのに比べ、時間が限定されるというのは魅力が薄いと感じるのは事実だ。しかし、その分料金は他社より安めに設定されているほか、Yahoo! BBのADSLへ同時加入すると「データ昼間定額プラン(セット)」となり、基本料2980円で利用可能となる。
かつてのスーパーボーナスのように、ソフトバンクモバイルは本サービス展開前にこうした期間・契約数限定のサービスを一部で行うことがある。そうしたことから、今回の「データ昼間定額プラン」も、サービスを本格展開する前のテストと考えられ、近いうちに何らかの形で同社がモバイルデータ通信の市場へ本格参入する可能性は高いといえよう。
イー・モバイルの弱点である「地方」を攻めるドコモ
次はNTTドコモの動向だ。筆者は東北地方の出身であり、年末年始は地元に帰省していた。そこで、地元の家電量販店を回ってみたところ、都心の量販店との大きな違いを目にしたのである。それは、データ通信端末とPCとのセットによる割引販売がイー・モバイルではなくNTTドコモ中心に行われていた、ということだ。
これは前回の記事でもやや触れているのだが、ネットブックをはじめとしたPCとデータ通信端末とのセット販売は、イー・モバイルだけでなく、最近はNTTドコモも行うようになってきている。だが都心の量販店を見ると、割引額がイー・モバイルより小さいことなどから、イー・モバイルと比べるとあまり目立っていないというのが正直なところだ。
だが、筆者が地元で訪れた量販店で目にしたのは、それと全く逆の光景であった。NTTドコモのデータ通信端末とのセット販売に大きなスペースが割かれており、イー・モバイルとのセット販売は片隅に置かれている程度であったのである。
これには、両者の「エリア」が大きく影響していると考えられる。当然のことだが、イー・モバイルは新興キャリアであるため、東名阪など人口が集中するエリアのインフラ整備は早くから行われている一方、地方でのエリア展開は比較的遅れている(東北地方もそうした地域の1つである)。それゆえ都市部では積極的な販売戦略をとることができるが、圏外となるエリアが少なからずある地方においては、それを行うことができない。
だが、NTTドコモはFOMA網を既に全国に張り巡らせており、HSDPAによる高速データ通信の「FOMAハイスピード」も、昨年の12月には人口カバー率100%を達成している。そのため、都市・地方問わずエリア面では非常に充実しているのだ。しかも同社のサービスは、動画ストリーミングなどいくつかのインターネット・プロトコルが利用できないという弱点があるものの、ことネットインフラが充実していない地方においては、何よりもまず「確実につながる」ということが重視されるため、デメリットとしては目立ちにくい。
NTTドコモのデータ通信サービスは、確かにインフラの充実した都心においてはイー・モバイルと比べ、明確なメリットを見いだしにくい。だが、地方では「エリアが広くて確実につながる」というメリットが生きてくる。そこでイー・モバイルが手薄とならざるを得ない地方の量販店に積極展開し、地方のモバイルデータ通信需要を先取りしてしまおうという狙いがあるのではないか、と考えられる。
厳しくなるモバイルデータ通信競争、イー・モバイルは好調を維持できるか?
ここまで紹介したように、都市部からも地方からも、各キャリアがイー・モバイルに対抗するためのさまざまな策を打ってきていることが理解できるだろう。現在のところ、KDDIやウィルコムに大きな動きは見られないが、KDDIは出資するUQコミュニケーションズのモバイルWiMAXが、ウィルコムは次世代PHSの「WILLCOM CORE」が、今年サービスインを控えている。
さらにイー・モバイルが得意としていたもう1つの分野であるスマートフォンも、auが重い腰を上げて参入することを表明したほか、NTTドコモが「PRO Series」という1つのシリーズとして本格展開を行うなど、今後競争が激しくなってくることが予想される。
もっとも、先に紹介したソフトバンクモバイルの「データ昼間定額プラン」は昼間しか利用できないし、NTTドコモの定額データ通信はプロトコルの制限が厳しい。それゆえサービス面は現在でもイー・モバイルが1歩上回っているといえるが、エリアのようにメリットよりもデメリットが目立ってしまうケースもあることから、スキを突かれて足下をすくわれてしまう可能性がないとは言い切れないだろう。
これまでイー・モバイルが成長を遂げることができたのは、ある意味同社が力を入れるモバイルデータ通信やスマートフォンの市場が、携帯電話市場全体から見ればニッチな存在であったからともいえる。だが、音声端末市場が飽和・縮小に向かう中、次の成長を求めて大手キャリアが本腰を入れてこの分野に力を入れてきた。さらにネットブックのようにブレイクスルーをもたらすアイテムが登場する可能性が高くないこともあって、昨年のように純増数を大幅に増やすことは徐々に難しくなってくるのではないかと感じている。
保護貿易の動き強まる、インド・ロシアなど関税上げ続々
世界経済の急速な悪化を受け、各国で国内企業を保護するための輸入障壁を設ける動きが目立ち始めた。インドやロシアなど新興国が相次いで輸入関税を引き上げているほか、安い輸入品の流入を制限しようとする動きも広がっている。米国政府による大手自動車支援などを受けて各国が自国産業保護に乗り出す傾向も強まっており、貿易自由化に向けた国際協調に影を落としている。
関税引き上げなどを通じた輸入制限や、政府による自国企業への補助金投入などは、国内産業の発展を助ける一方で輸出入の停滞を招く。自由で公正な企業活動を損なって国際貿易の縮小につながる可能性が高い。
YouTubeがテレビ向けサービス。PS3とWiiでの視聴に最適化
米Googleは16日、動画共有サービス「YouTube」をテレビで視聴できるサービスを開始した。当初はプレイステーション 3(PS3)およびWiiで視聴でき、22地域12言語でサービスを開始。日本からも利用できる。
PS3もしくはWiiのブラウザ機能から「http://www.youtuve.com/tv」にアクセスすると、ゲーム機に最適化されたYouTubeの画面が表示され、YouTubeの動画が視聴できる。画面のデザインはPS3とWiiで異なり、PS3の黒を基調としたデザインに対してWiiは白を基調とし、トップページで表示する動画の数なども異なる。
動画は早送り、早戻し、一時停止といった操作に加えて全画面表示も可能。なお、動画は通常画質で表示され、HD画質が用意されている場合でもメニューなどからHD画質を再生することは現時点ではできないようだ。
国内のネット検索市場、Yahoo!とGoogleが2強
ネットレイティングスは15日、2008年10月における国内検索サービスの利用状況をとりまとめた。調査は、家庭および職場における主要検索サービスの検索結果ページビュー(PV)数を集計したもの。
最も多く利用されていたのは「Yahoo!」で、35億3649万PV。次いで「Google」が25億6843万PVで、下位を大きく離した。3位以下は「MSN/Windows Live」(2億1901万PV)、「goo」(1億4485万PV)、「Biglobe」(9719万PV)、「Nifty」(4857万PV)、「Baidu」(4738万PV)などが続いた。
ネットレイティングス代表取締役社長の萩原雅之氏は、「検索市場は世界的に見ればGoogleが圧倒的首位に立っているが、日本では Yahoo!検索が長くトップを維持している」と説明。14日付け報道記事では、1月1日にGoogle日本法人社長に就任した辻野晃一郎氏が日本独自の営業戦略でトップシェアを狙う方針を示したとしており、「両社の競争はますますホットになりそうだ」と見ている。
09年米新車市場予測、GMが1050万台に下方修正
【ニューヨーク=武類雅典】米政府支援下のゼネラル・モーターズ(GM)は15日、2009年の米新車市場の予測を従来予想より10%超低い1050万台に引き下げた。販売回復が見込めず、2月中旬に政府に再び提出する再建計画の前提が一段と苦しくなった。再建が遅れれば、政府負担が膨らむ恐れが高まる。
政府支援や経営再建の前提となる市場予測の下方修正はリチャード・ワゴナー会長らがアナリスト説明会で明らかにした。GMは昨年12月上旬に米議会へ提出した当初の再建計画で、09年の米新車販売台数が1200万台であることが再建の「基本シナリオ」と説明、リストラ策などを提示していた。しかし、販売不振が長引き、市場予測を「悲観シナリオ」で設定した1050万台に下げざるを得なくなった。
GMは134億ドル(約1兆2000億円)のつなぎ融資を政府から確保しているが、悲観シナリオに基づけば、09年末までに必要になる融資額は従来予想の120億ドルから160億ドルに膨らむ。
富士重の09年3月期、190億円赤字 自動車需要減退響く
富士重工業は16日、2009年3月期の連結最終損益が190億円の赤字(前期は184億円の黒字)になる見通しと発表した。従来予想は100億円の黒字だった。最終赤字は1994年3月期以来15期ぶり。世界的な自動車需要の減退から販売計画の見直しを余儀なくされたうえ、円高や回収不能債権の発生なども響いた。4.5円を予定していた期末配当も未定とする。
売上高は従来予想を1600億円下回り、前期比8%減の1兆4400億円に下方修正。通期の為替レートの前提を一段と円高方向に見直したことなどもあり、230億円の黒字を見込んでいた営業損益は90億円の赤字(前期は456億円の黒字)になる見通し。
09年の世界携帯市場、8年ぶり縮小へ 民間予測
金融危機の影響で2009年の世界携帯電話機市場の伸びが8年ぶりにマイナスに転じる見通しになった。調査会社の米IDCは09年の市場規模が前年比1.9%減少するとの予測をまとめた。IT(情報技術)バブルが崩壊した01年に2.3%減を記録して以来の低水準になるとみている。米ガートナーの予測は1.1%減。携帯電話機メーカーのノキアは昨年11月の時点で5%以上、減少するとの見込みを立てている。
02年以降、中国やインドなど新興国がけん引して携帯電話機市場は急拡大。最近は伸び率が鈍化しつつあったが、08年前半は中東やアフリカ、中南米などの成長もあって、当初予想を大幅に上回る前年同期比15%程度の伸びを記録した。だが、金融危機を受けた年後半の失速で、IDCによると08年は前年比7.1%増にとどまったとみられる。
モバイルデータ通信に注力し、ネットブックとのセット販売によって大躍進を遂げた新興キャリアのイー・モバイル。しかし、他社もそうした状況をただ指をくわえて見ているわけではない。事実、年末から年始にかけて各地の販売店を回って見たところ、イー・モバイルをけん制する動きが非常に活発化しているのを目にすることができた。
ソフトバンクモバイルが定額データ通信に参入?
最初に紹介するのは、ソフトバンクモバイルの動向だ。筆者が都心のある家電量販店を確認したところ、ソフトバンクモバイルのデータ通信端末と、ネットブックとのセット販売が行われていたのである。既存キャリアで唯一、ソフトバンクモバイルは定額のモバイルデータ通信サービスを提供していないので、不思議に思う人もいるだろう。だが同社は現在、一部地域の量販店で「データ昼間定額プラン」というサービスを期間限定で提供しているようで、このプランとセットで契約することで割引が受けられるようになっているのだ。
この「データ昼間定額プラン」とはどのようなプランなのかというと、月額基本料4480円で、1時から18時の「昼間」だけデータ通信が定額で利用できるというサービスのようだ。NTTドコモのようなプロトコル規制はないようだが、18時から翌1時までは1パケット当たり0.0525円の従量制となるため、夜間の利用には適していない。
他社のモバイルデータ通信用プランが24時間の定額制を実現しているのに比べ、時間が限定されるというのは魅力が薄いと感じるのは事実だ。しかし、その分料金は他社より安めに設定されているほか、Yahoo! BBのADSLへ同時加入すると「データ昼間定額プラン(セット)」となり、基本料2980円で利用可能となる。
かつてのスーパーボーナスのように、ソフトバンクモバイルは本サービス展開前にこうした期間・契約数限定のサービスを一部で行うことがある。そうしたことから、今回の「データ昼間定額プラン」も、サービスを本格展開する前のテストと考えられ、近いうちに何らかの形で同社がモバイルデータ通信の市場へ本格参入する可能性は高いといえよう。
イー・モバイルの弱点である「地方」を攻めるドコモ
次はNTTドコモの動向だ。筆者は東北地方の出身であり、年末年始は地元に帰省していた。そこで、地元の家電量販店を回ってみたところ、都心の量販店との大きな違いを目にしたのである。それは、データ通信端末とPCとのセットによる割引販売がイー・モバイルではなくNTTドコモ中心に行われていた、ということだ。
これは前回の記事でもやや触れているのだが、ネットブックをはじめとしたPCとデータ通信端末とのセット販売は、イー・モバイルだけでなく、最近はNTTドコモも行うようになってきている。だが都心の量販店を見ると、割引額がイー・モバイルより小さいことなどから、イー・モバイルと比べるとあまり目立っていないというのが正直なところだ。
だが、筆者が地元で訪れた量販店で目にしたのは、それと全く逆の光景であった。NTTドコモのデータ通信端末とのセット販売に大きなスペースが割かれており、イー・モバイルとのセット販売は片隅に置かれている程度であったのである。
これには、両者の「エリア」が大きく影響していると考えられる。当然のことだが、イー・モバイルは新興キャリアであるため、東名阪など人口が集中するエリアのインフラ整備は早くから行われている一方、地方でのエリア展開は比較的遅れている(東北地方もそうした地域の1つである)。それゆえ都市部では積極的な販売戦略をとることができるが、圏外となるエリアが少なからずある地方においては、それを行うことができない。
だが、NTTドコモはFOMA網を既に全国に張り巡らせており、HSDPAによる高速データ通信の「FOMAハイスピード」も、昨年の12月には人口カバー率100%を達成している。そのため、都市・地方問わずエリア面では非常に充実しているのだ。しかも同社のサービスは、動画ストリーミングなどいくつかのインターネット・プロトコルが利用できないという弱点があるものの、ことネットインフラが充実していない地方においては、何よりもまず「確実につながる」ということが重視されるため、デメリットとしては目立ちにくい。
NTTドコモのデータ通信サービスは、確かにインフラの充実した都心においてはイー・モバイルと比べ、明確なメリットを見いだしにくい。だが、地方では「エリアが広くて確実につながる」というメリットが生きてくる。そこでイー・モバイルが手薄とならざるを得ない地方の量販店に積極展開し、地方のモバイルデータ通信需要を先取りしてしまおうという狙いがあるのではないか、と考えられる。
厳しくなるモバイルデータ通信競争、イー・モバイルは好調を維持できるか?
ここまで紹介したように、都市部からも地方からも、各キャリアがイー・モバイルに対抗するためのさまざまな策を打ってきていることが理解できるだろう。現在のところ、KDDIやウィルコムに大きな動きは見られないが、KDDIは出資するUQコミュニケーションズのモバイルWiMAXが、ウィルコムは次世代PHSの「WILLCOM CORE」が、今年サービスインを控えている。
さらにイー・モバイルが得意としていたもう1つの分野であるスマートフォンも、auが重い腰を上げて参入することを表明したほか、NTTドコモが「PRO Series」という1つのシリーズとして本格展開を行うなど、今後競争が激しくなってくることが予想される。
もっとも、先に紹介したソフトバンクモバイルの「データ昼間定額プラン」は昼間しか利用できないし、NTTドコモの定額データ通信はプロトコルの制限が厳しい。それゆえサービス面は現在でもイー・モバイルが1歩上回っているといえるが、エリアのようにメリットよりもデメリットが目立ってしまうケースもあることから、スキを突かれて足下をすくわれてしまう可能性がないとは言い切れないだろう。
これまでイー・モバイルが成長を遂げることができたのは、ある意味同社が力を入れるモバイルデータ通信やスマートフォンの市場が、携帯電話市場全体から見ればニッチな存在であったからともいえる。だが、音声端末市場が飽和・縮小に向かう中、次の成長を求めて大手キャリアが本腰を入れてこの分野に力を入れてきた。さらにネットブックのようにブレイクスルーをもたらすアイテムが登場する可能性が高くないこともあって、昨年のように純増数を大幅に増やすことは徐々に難しくなってくるのではないかと感じている。
保護貿易の動き強まる、インド・ロシアなど関税上げ続々
世界経済の急速な悪化を受け、各国で国内企業を保護するための輸入障壁を設ける動きが目立ち始めた。インドやロシアなど新興国が相次いで輸入関税を引き上げているほか、安い輸入品の流入を制限しようとする動きも広がっている。米国政府による大手自動車支援などを受けて各国が自国産業保護に乗り出す傾向も強まっており、貿易自由化に向けた国際協調に影を落としている。
関税引き上げなどを通じた輸入制限や、政府による自国企業への補助金投入などは、国内産業の発展を助ける一方で輸出入の停滞を招く。自由で公正な企業活動を損なって国際貿易の縮小につながる可能性が高い。
YouTubeがテレビ向けサービス。PS3とWiiでの視聴に最適化
米Googleは16日、動画共有サービス「YouTube」をテレビで視聴できるサービスを開始した。当初はプレイステーション 3(PS3)およびWiiで視聴でき、22地域12言語でサービスを開始。日本からも利用できる。
PS3もしくはWiiのブラウザ機能から「http://www.youtuve.com/tv」にアクセスすると、ゲーム機に最適化されたYouTubeの画面が表示され、YouTubeの動画が視聴できる。画面のデザインはPS3とWiiで異なり、PS3の黒を基調としたデザインに対してWiiは白を基調とし、トップページで表示する動画の数なども異なる。
動画は早送り、早戻し、一時停止といった操作に加えて全画面表示も可能。なお、動画は通常画質で表示され、HD画質が用意されている場合でもメニューなどからHD画質を再生することは現時点ではできないようだ。
国内のネット検索市場、Yahoo!とGoogleが2強
ネットレイティングスは15日、2008年10月における国内検索サービスの利用状況をとりまとめた。調査は、家庭および職場における主要検索サービスの検索結果ページビュー(PV)数を集計したもの。
最も多く利用されていたのは「Yahoo!」で、35億3649万PV。次いで「Google」が25億6843万PVで、下位を大きく離した。3位以下は「MSN/Windows Live」(2億1901万PV)、「goo」(1億4485万PV)、「Biglobe」(9719万PV)、「Nifty」(4857万PV)、「Baidu」(4738万PV)などが続いた。
ネットレイティングス代表取締役社長の萩原雅之氏は、「検索市場は世界的に見ればGoogleが圧倒的首位に立っているが、日本では Yahoo!検索が長くトップを維持している」と説明。14日付け報道記事では、1月1日にGoogle日本法人社長に就任した辻野晃一郎氏が日本独自の営業戦略でトップシェアを狙う方針を示したとしており、「両社の競争はますますホットになりそうだ」と見ている。
09年米新車市場予測、GMが1050万台に下方修正
【ニューヨーク=武類雅典】米政府支援下のゼネラル・モーターズ(GM)は15日、2009年の米新車市場の予測を従来予想より10%超低い1050万台に引き下げた。販売回復が見込めず、2月中旬に政府に再び提出する再建計画の前提が一段と苦しくなった。再建が遅れれば、政府負担が膨らむ恐れが高まる。
政府支援や経営再建の前提となる市場予測の下方修正はリチャード・ワゴナー会長らがアナリスト説明会で明らかにした。GMは昨年12月上旬に米議会へ提出した当初の再建計画で、09年の米新車販売台数が1200万台であることが再建の「基本シナリオ」と説明、リストラ策などを提示していた。しかし、販売不振が長引き、市場予測を「悲観シナリオ」で設定した1050万台に下げざるを得なくなった。
GMは134億ドル(約1兆2000億円)のつなぎ融資を政府から確保しているが、悲観シナリオに基づけば、09年末までに必要になる融資額は従来予想の120億ドルから160億ドルに膨らむ。
富士重の09年3月期、190億円赤字 自動車需要減退響く
富士重工業は16日、2009年3月期の連結最終損益が190億円の赤字(前期は184億円の黒字)になる見通しと発表した。従来予想は100億円の黒字だった。最終赤字は1994年3月期以来15期ぶり。世界的な自動車需要の減退から販売計画の見直しを余儀なくされたうえ、円高や回収不能債権の発生なども響いた。4.5円を予定していた期末配当も未定とする。
売上高は従来予想を1600億円下回り、前期比8%減の1兆4400億円に下方修正。通期の為替レートの前提を一段と円高方向に見直したことなどもあり、230億円の黒字を見込んでいた営業損益は90億円の赤字(前期は456億円の黒字)になる見通し。
09年の世界携帯市場、8年ぶり縮小へ 民間予測
金融危機の影響で2009年の世界携帯電話機市場の伸びが8年ぶりにマイナスに転じる見通しになった。調査会社の米IDCは09年の市場規模が前年比1.9%減少するとの予測をまとめた。IT(情報技術)バブルが崩壊した01年に2.3%減を記録して以来の低水準になるとみている。米ガートナーの予測は1.1%減。携帯電話機メーカーのノキアは昨年11月の時点で5%以上、減少するとの見込みを立てている。
02年以降、中国やインドなど新興国がけん引して携帯電話機市場は急拡大。最近は伸び率が鈍化しつつあったが、08年前半は中東やアフリカ、中南米などの成長もあって、当初予想を大幅に上回る前年同期比15%程度の伸びを記録した。だが、金融危機を受けた年後半の失速で、IDCによると08年は前年比7.1%増にとどまったとみられる。
日産、主力車「マーチ」生産をタイに全面移管
日産自動車は業績の悪化を受け、収益改善に向けたリストラに乗り出す。主力小型車「マーチ」の生産をタイに全面移管して原価を3割削減、円高を活用して日本に輸入する。今後5年間の新型車開発件数も2割削減、来年度の役員報酬も大幅に減らす方針だ。日本車メーカーで主力量販車の生産を海外に全面移管するのは初めて。1ドル=90円前後の円高と世界的な販売不振を背景に、事業構造を抜本的に転換する。
日産は現在マーチを追浜工場(神奈川県横須賀市)で全量生産して国内専用車として年4万7000台程度販売している。2010年の全面改良に合わせて国内生産を打ち切り、日本での販売分は全量タイから輸入する。自動車業界では一部車種を海外から輸入するケースはあったが、主力量販車の全面移管は例がない。
日立、1000億円最終赤字 今期見通し、半導体の需要急減
日立製作所の2009年3月期の連結最終損益(米国会計基準)が、150億円の黒字予想から一転して1000億円超の赤字になる見通しとなった。最終赤字は3期連続。深刻さを増す半導体不況の中、グループのルネサステクノロジが2000億円規模の最終赤字に転落する。東芝に続いて、収益が比較的底堅かった日立も赤字に追い込まれ、半導体業界は総崩れの様相になってきた。
自動車や携帯電話などの販売不振で、製品に使う半導体の需要が急減。ルネサスは工場の稼働率が低下しており、連結営業赤字が1000億円程度(前期は436億円の黒字)、最終赤字は2000億円規模(同95億円の黒字)に膨らみそうだ。
半導体、営業赤字5000億円超に 今期、大手5社
日立製作所グループの半導体大手ルネサステクノロジが2009年3月期に1000億円程度の営業赤字見通しになるなど、半導体各社の業績不振が深刻だ。国内大手5社の営業赤字額は現時点で5000億円を超え、IT(情報技術)バブル崩壊で巨額赤字を計上した02年3月期の水準に迫る勢い。ルネサスが約300人の正社員削減方針を新たに決めるなど、人員削減もさらに拡大している。
日立と三菱電機が出資するルネサスは国内全従業員の約3%に当たる、300人規模の正社員を削減する方針。50歳以上を対象に2月初めにも早期退職者の募集を開始し、3月末に退職する。すでに派遣社員は3月末までに約1000人の削減計画を打ち出したが、正社員の削減にも踏み込む。
中国のGDP、世界3位に 07年
中国の国内総生産(GDP)が2007年にドイツを抜いて米国、日本に次ぐ世界3位になった。中国国家統計局が07年のGDPを大幅に上方修正したためだ。ただ、1人当たりでみたGDPは世界100位以下となお低い水準にあり、中国は自らが「発展途上国」であるとの立場を変えていない。
国家統計局は14日、07年のGDPを08年4月に公表した修正値より3.1%多い25兆7306億元に上方修正した。
国際通貨基金(IMF)によると、ドル換算でみた07年のGDPはドイツが3兆3209億ドルで、上方修正前の中国(3兆2802億ドル)を上回っていた。上方修正を考慮すると中国はドイツをわずかに抜く。
IT分野の輸出力強化へ新戦略 総務省
総務省は、世界に輸出できる最先端のIT技術や新サービスを募集する。高速インターネットや地上デジタル放送など日本が得意とする分野での計画を選び出し、開発資金などを援助する。世界的な景気後退が進む中、欧米や韓国などの政府も“国策”としてIT産業支援を打ち出しており、日本も対抗して競争力を備えたITビジネスの育成を進める。
総務省は16日から(1)途上国向け技術(2)次世代通信技術(3)ネットビジネス-3分野で、計約20件の開発プロジェクトを企業などから募集する。夏までに採用プロジェクトを決定し、全体で20億円の支援を行う。
昨秋の金融危機以降、欧米やアジア各国は、IT分野の開発強化戦略を相次いで発表している。米国ではオバマ次期大統領が、政府のIT施策を統括する最高技術責任者(CTO)を任命する方針を明らかにしている。
日本もすでに昨年12月にIT分野の技術開発支援策を打ち出している。政府は、携帯電話やブロードバンドなど、世界でも技術的に先行する通信を中心としたIT分野を輸出産業に育て上げることで、日本経済の成長力を高め、景気回復につなげたい考えだ。
デジタル関連製品、12月の販売額減少 薄型TVなど値下げ進む
調査会社BCN(東京・文京)が15日まとめたデジタル関連製品主要116品目の2008年12月の販売額は前年同月比6.8%減と、2カ月ぶりに前年割れした。12月は歳末商戦の稼ぎ時で、07年までは伸びていた。景気後退を受けて需要喚起のため店頭での値下げが進み、販売台数が伸びても市場が拡大しない傾向が顕著になってきた。
全国約2100店の販売データを基に集計した。薄型テレビの販売台数は前年同月比15.6%増だったが、販売額は2.7%減。平均単価は11月に比べて7000円近く下がった。液晶テレビの売れ筋上位10機種のうち、昨年6月以前に発売されたモデルが8機種を占めるなど、低価格品が人気だった。
パソコンの販売額も8.4%減、デジタルカメラも18.2%減と低迷した。デジタル一眼レフカメラは台数が45.8%増えたものの、販売額は7%減。初心者向け製品の値下げに拍車がかかり、単価は11月比で約1万8000円下がった。
民放、55社が経常赤字 08年9月中間、地デジ移行への投資響く
日本民間放送連盟は15日、全国のテレビ局127社のうち43%にあたる55社が2008年9月中間期に経常赤字になったことを明らかにした。広告収入不振に加え、11年7月に予定する地上デジタル放送への完全移行に向けた設備投資が収益を圧迫した。広瀬道貞会長は同日の記者会見で民放の経営状況について「民放連の58年の歴史で最悪」と語った。
民放連に加盟する194社の地上波テレビ局とラジオ局のうち約47%にあたる92社が中間期に経常赤字を計上。テレビ局に限れば127社のうち55社が赤字だった。09年3月通期の見通しについて広瀬会長は「さらに悪化していく恐れがある」と厳しい認識を示した。
地デジへの移行完了に向けた放送業界の設備投資額は民放だけで1兆円超にのぼる。同会長は「ローカル局の投資額は各30億―50億円で、各局の利益の約10年分」と説明。一方で「(減価償却負担が増す)当面の局面を乗り切れば、またテレビの時代になる」と力説した。
消費税率上げなければ30年度赤字25兆円 内閣府試算
内閣府は15日、消費税率を引き上げなかった場合の平成30年度の国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の試算を自民党の政調全体会議に提示した。世界経済が低迷し、歳出削減も進まない最悪のシナリオでは25兆3000億円の赤字となり、黒字化のめどはまったく見えないとしている。
内閣府は14日に、23年度から消費税率を毎年1%ずつ計5%引き上げた場合、30年度に黒字化できるとの試算を提示したが、増税前提に対する異論が噴出していた。自民党は再提出を受け、この試算を盛り込んだ「経済財政の中長期方針と10年展望」を了承した。
試算では世界経済が(1)順調に回復(2)急回復(3)底ばうの3つのシナリオに応じて、歳出削減が進んだ場合と進まない場合の計6パターンを提示。順調に回復した場合でも、30年度に7兆~15兆8000億円の赤字となる。最悪のシナリオでは、30年度の公債等残高は国内総生産(GDP)の2倍超に相当する1062兆5000億円にまで膨らむとしている。消費税率を上げた場合は、経済が回復し14兆3000億円の歳出削減に成功すれば、30年度に黒字化できるとしていた。
米グーグル、採用部門100人削減 欧米の開発3拠点も廃止
【シリコンバレー=田中暁人】インターネット検索最大手の米グーグルは14日、人員採用部門の縮小と技術開発拠点の統廃合を明らかにした。採用部門の4分の1弱にあたる100人を削減するほか、欧米の開発3拠点を廃止する。同社は2004年の新規株式上場以来、ほぼ一貫して拡大戦略を続けてきたが、世界景気減速を背景に経営効率化を進める。
グーグルは昨年10月に人員採用ペースの抑制などを表明していた。それを受けて、「採用活動に割り当てる社員も少なくする」(グーグル)。同社の昨年9月末時点の従業員数は2万123人。05年以降、従業員数は毎年約5000人ずつ増加していた。
開発体制では世界20カ国以上にある約40拠点のうち、米テキサス州、ノルウェー、スウェーデンにある3拠点を閉鎖する。3拠点で働く社員約70人は他拠点に異動させるが、「全員の雇用が維持できない可能性もある」(同)としている。
春闘スタート 環境激変に労使一体で当たれ(1月16日付・読売社説)
世界的な不況の出口が見えない中で、今年の春闘がスタートした。
日本経団連と連合の首脳懇談会が開かれ、それぞれ交渉に臨む基本的な見解を述べ合った。
自動車や電機など春闘のリード役である代表的な輸出産業が、猛烈な逆風下にある。職場の士気を落とさず、いかに競争力を蓄えていくか。その方策を探ることが労使の重要な課題となる。
連合は、8年ぶりに、賃金の底上げを図るベースアップ要求を掲げた。「物価の上昇で実質賃金は低下している。賃上げで消費を拡大させることが最大の景気対策になる」と主張している。
これを受けて、傘下の自動車総連は月額4000円以上、電機連合は同4500円以上の賃上げ要求の方針を打ち出した。昨年の自動車が1000円以上、電機は2000円以上という要求に比べても、強気の姿勢が際立つ。
もちろん、経営側がのめるわけがない。「賃金は自社の支払い能力に応じて決めるのが原則で、物価変動は要素にならない」としたうえで、「賃上げできる企業はほとんどない」と切り返す。
このままでは不毛の対立に終始しかねない。危機の時代ほど、労使の協調が大事だ。徹底的に議論し、着地点を探ってほしい。
すでに、操業の一部休止と抱き合わせで賃金カットを決めた企業もあるなど、状況は刻々と変わっている。交渉過程で、連合方針から脱落する労働組合が続出する可能性もあるだろう。
雇用問題も避けて通れない。経団連と連合は、雇用の安定などに協力して取り組むことを表明した共同宣言をまとめた。主要部分は政府への注文だ。安全網の拡充や雇用の創出策を早急に実施するよう求めている。
緊急事態だけに、労使が一致して政府に対策を促していくのは意味がある。だが、何でも政府に丸投げして済む問題ではない。
共同宣言では「長期雇用システムが企業・経済の成長・発展を支えてきたことを再認識し、雇用の安定、景気回復に向け最大限の努力を行う」とも述べている。
製造業で非正規労働者の削減が一気に進んだ。今後は、正社員にも雇用調整の動きが広がりかねない。正社員と非正規労働者の格差問題も浮上している。この宣言文の観点で、ぜひ具体策の論議を深めてもらいたい。
環境の激変をどう乗り切り、持続的成長につなげるか。各労使の対応が問われる春闘でもある。
日産自動車は業績の悪化を受け、収益改善に向けたリストラに乗り出す。主力小型車「マーチ」の生産をタイに全面移管して原価を3割削減、円高を活用して日本に輸入する。今後5年間の新型車開発件数も2割削減、来年度の役員報酬も大幅に減らす方針だ。日本車メーカーで主力量販車の生産を海外に全面移管するのは初めて。1ドル=90円前後の円高と世界的な販売不振を背景に、事業構造を抜本的に転換する。
日産は現在マーチを追浜工場(神奈川県横須賀市)で全量生産して国内専用車として年4万7000台程度販売している。2010年の全面改良に合わせて国内生産を打ち切り、日本での販売分は全量タイから輸入する。自動車業界では一部車種を海外から輸入するケースはあったが、主力量販車の全面移管は例がない。
日立、1000億円最終赤字 今期見通し、半導体の需要急減
日立製作所の2009年3月期の連結最終損益(米国会計基準)が、150億円の黒字予想から一転して1000億円超の赤字になる見通しとなった。最終赤字は3期連続。深刻さを増す半導体不況の中、グループのルネサステクノロジが2000億円規模の最終赤字に転落する。東芝に続いて、収益が比較的底堅かった日立も赤字に追い込まれ、半導体業界は総崩れの様相になってきた。
自動車や携帯電話などの販売不振で、製品に使う半導体の需要が急減。ルネサスは工場の稼働率が低下しており、連結営業赤字が1000億円程度(前期は436億円の黒字)、最終赤字は2000億円規模(同95億円の黒字)に膨らみそうだ。
半導体、営業赤字5000億円超に 今期、大手5社
日立製作所グループの半導体大手ルネサステクノロジが2009年3月期に1000億円程度の営業赤字見通しになるなど、半導体各社の業績不振が深刻だ。国内大手5社の営業赤字額は現時点で5000億円を超え、IT(情報技術)バブル崩壊で巨額赤字を計上した02年3月期の水準に迫る勢い。ルネサスが約300人の正社員削減方針を新たに決めるなど、人員削減もさらに拡大している。
日立と三菱電機が出資するルネサスは国内全従業員の約3%に当たる、300人規模の正社員を削減する方針。50歳以上を対象に2月初めにも早期退職者の募集を開始し、3月末に退職する。すでに派遣社員は3月末までに約1000人の削減計画を打ち出したが、正社員の削減にも踏み込む。
中国のGDP、世界3位に 07年
中国の国内総生産(GDP)が2007年にドイツを抜いて米国、日本に次ぐ世界3位になった。中国国家統計局が07年のGDPを大幅に上方修正したためだ。ただ、1人当たりでみたGDPは世界100位以下となお低い水準にあり、中国は自らが「発展途上国」であるとの立場を変えていない。
国家統計局は14日、07年のGDPを08年4月に公表した修正値より3.1%多い25兆7306億元に上方修正した。
国際通貨基金(IMF)によると、ドル換算でみた07年のGDPはドイツが3兆3209億ドルで、上方修正前の中国(3兆2802億ドル)を上回っていた。上方修正を考慮すると中国はドイツをわずかに抜く。
IT分野の輸出力強化へ新戦略 総務省
総務省は、世界に輸出できる最先端のIT技術や新サービスを募集する。高速インターネットや地上デジタル放送など日本が得意とする分野での計画を選び出し、開発資金などを援助する。世界的な景気後退が進む中、欧米や韓国などの政府も“国策”としてIT産業支援を打ち出しており、日本も対抗して競争力を備えたITビジネスの育成を進める。
総務省は16日から(1)途上国向け技術(2)次世代通信技術(3)ネットビジネス-3分野で、計約20件の開発プロジェクトを企業などから募集する。夏までに採用プロジェクトを決定し、全体で20億円の支援を行う。
昨秋の金融危機以降、欧米やアジア各国は、IT分野の開発強化戦略を相次いで発表している。米国ではオバマ次期大統領が、政府のIT施策を統括する最高技術責任者(CTO)を任命する方針を明らかにしている。
日本もすでに昨年12月にIT分野の技術開発支援策を打ち出している。政府は、携帯電話やブロードバンドなど、世界でも技術的に先行する通信を中心としたIT分野を輸出産業に育て上げることで、日本経済の成長力を高め、景気回復につなげたい考えだ。
デジタル関連製品、12月の販売額減少 薄型TVなど値下げ進む
調査会社BCN(東京・文京)が15日まとめたデジタル関連製品主要116品目の2008年12月の販売額は前年同月比6.8%減と、2カ月ぶりに前年割れした。12月は歳末商戦の稼ぎ時で、07年までは伸びていた。景気後退を受けて需要喚起のため店頭での値下げが進み、販売台数が伸びても市場が拡大しない傾向が顕著になってきた。
全国約2100店の販売データを基に集計した。薄型テレビの販売台数は前年同月比15.6%増だったが、販売額は2.7%減。平均単価は11月に比べて7000円近く下がった。液晶テレビの売れ筋上位10機種のうち、昨年6月以前に発売されたモデルが8機種を占めるなど、低価格品が人気だった。
パソコンの販売額も8.4%減、デジタルカメラも18.2%減と低迷した。デジタル一眼レフカメラは台数が45.8%増えたものの、販売額は7%減。初心者向け製品の値下げに拍車がかかり、単価は11月比で約1万8000円下がった。
民放、55社が経常赤字 08年9月中間、地デジ移行への投資響く
日本民間放送連盟は15日、全国のテレビ局127社のうち43%にあたる55社が2008年9月中間期に経常赤字になったことを明らかにした。広告収入不振に加え、11年7月に予定する地上デジタル放送への完全移行に向けた設備投資が収益を圧迫した。広瀬道貞会長は同日の記者会見で民放の経営状況について「民放連の58年の歴史で最悪」と語った。
民放連に加盟する194社の地上波テレビ局とラジオ局のうち約47%にあたる92社が中間期に経常赤字を計上。テレビ局に限れば127社のうち55社が赤字だった。09年3月通期の見通しについて広瀬会長は「さらに悪化していく恐れがある」と厳しい認識を示した。
地デジへの移行完了に向けた放送業界の設備投資額は民放だけで1兆円超にのぼる。同会長は「ローカル局の投資額は各30億―50億円で、各局の利益の約10年分」と説明。一方で「(減価償却負担が増す)当面の局面を乗り切れば、またテレビの時代になる」と力説した。
消費税率上げなければ30年度赤字25兆円 内閣府試算
内閣府は15日、消費税率を引き上げなかった場合の平成30年度の国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の試算を自民党の政調全体会議に提示した。世界経済が低迷し、歳出削減も進まない最悪のシナリオでは25兆3000億円の赤字となり、黒字化のめどはまったく見えないとしている。
内閣府は14日に、23年度から消費税率を毎年1%ずつ計5%引き上げた場合、30年度に黒字化できるとの試算を提示したが、増税前提に対する異論が噴出していた。自民党は再提出を受け、この試算を盛り込んだ「経済財政の中長期方針と10年展望」を了承した。
試算では世界経済が(1)順調に回復(2)急回復(3)底ばうの3つのシナリオに応じて、歳出削減が進んだ場合と進まない場合の計6パターンを提示。順調に回復した場合でも、30年度に7兆~15兆8000億円の赤字となる。最悪のシナリオでは、30年度の公債等残高は国内総生産(GDP)の2倍超に相当する1062兆5000億円にまで膨らむとしている。消費税率を上げた場合は、経済が回復し14兆3000億円の歳出削減に成功すれば、30年度に黒字化できるとしていた。
米グーグル、採用部門100人削減 欧米の開発3拠点も廃止
【シリコンバレー=田中暁人】インターネット検索最大手の米グーグルは14日、人員採用部門の縮小と技術開発拠点の統廃合を明らかにした。採用部門の4分の1弱にあたる100人を削減するほか、欧米の開発3拠点を廃止する。同社は2004年の新規株式上場以来、ほぼ一貫して拡大戦略を続けてきたが、世界景気減速を背景に経営効率化を進める。
グーグルは昨年10月に人員採用ペースの抑制などを表明していた。それを受けて、「採用活動に割り当てる社員も少なくする」(グーグル)。同社の昨年9月末時点の従業員数は2万123人。05年以降、従業員数は毎年約5000人ずつ増加していた。
開発体制では世界20カ国以上にある約40拠点のうち、米テキサス州、ノルウェー、スウェーデンにある3拠点を閉鎖する。3拠点で働く社員約70人は他拠点に異動させるが、「全員の雇用が維持できない可能性もある」(同)としている。
春闘スタート 環境激変に労使一体で当たれ(1月16日付・読売社説)
世界的な不況の出口が見えない中で、今年の春闘がスタートした。
日本経団連と連合の首脳懇談会が開かれ、それぞれ交渉に臨む基本的な見解を述べ合った。
自動車や電機など春闘のリード役である代表的な輸出産業が、猛烈な逆風下にある。職場の士気を落とさず、いかに競争力を蓄えていくか。その方策を探ることが労使の重要な課題となる。
連合は、8年ぶりに、賃金の底上げを図るベースアップ要求を掲げた。「物価の上昇で実質賃金は低下している。賃上げで消費を拡大させることが最大の景気対策になる」と主張している。
これを受けて、傘下の自動車総連は月額4000円以上、電機連合は同4500円以上の賃上げ要求の方針を打ち出した。昨年の自動車が1000円以上、電機は2000円以上という要求に比べても、強気の姿勢が際立つ。
もちろん、経営側がのめるわけがない。「賃金は自社の支払い能力に応じて決めるのが原則で、物価変動は要素にならない」としたうえで、「賃上げできる企業はほとんどない」と切り返す。
このままでは不毛の対立に終始しかねない。危機の時代ほど、労使の協調が大事だ。徹底的に議論し、着地点を探ってほしい。
すでに、操業の一部休止と抱き合わせで賃金カットを決めた企業もあるなど、状況は刻々と変わっている。交渉過程で、連合方針から脱落する労働組合が続出する可能性もあるだろう。
雇用問題も避けて通れない。経団連と連合は、雇用の安定などに協力して取り組むことを表明した共同宣言をまとめた。主要部分は政府への注文だ。安全網の拡充や雇用の創出策を早急に実施するよう求めている。
緊急事態だけに、労使が一致して政府に対策を促していくのは意味がある。だが、何でも政府に丸投げして済む問題ではない。
共同宣言では「長期雇用システムが企業・経済の成長・発展を支えてきたことを再認識し、雇用の安定、景気回復に向け最大限の努力を行う」とも述べている。
製造業で非正規労働者の削減が一気に進んだ。今後は、正社員にも雇用調整の動きが広がりかねない。正社員と非正規労働者の格差問題も浮上している。この宣言文の観点で、ぜひ具体策の論議を深めてもらいたい。
環境の激変をどう乗り切り、持続的成長につなげるか。各労使の対応が問われる春闘でもある。
テレビと携帯電話 日本メーカー世界進出の成功と失敗を分けるもの(COLUMN)
6日に米サンフランシスコで開催された「Macworld Expo」の基調講演、そして7日からは米ラスベガスの「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)2009」を駆け足で取材してきた。
CESはもともとコンシューマー向け家電の展示会であるから、携帯電話や通信業界などは「脇役」に過ぎない。しかし、通信関連の企業も数多く出展し、またテレビと携帯電話の両方を手がけるメーカーも多い。すでにアメリカではWiMAXのサービスも始まっていることから、勉強を兼ねて足を伸ばした。
■世界のテレビ市場をリードする日本メーカー
CESは初めての取材だったが、そのなかでも最も印象的だったのが、日本メーカーの存在感の大きさだ。
7日に開催された各メーカーの記者会見は当然ながら海外メディアであふれ、立ち見が出るほどの盛況ぶり。現地のアメリカ人社長やマーケティング担当がプレゼンテーションを行い、海外メディアが熱心に質問をしていく。
8日からの展示会では、パナソニック、シャープ、東芝、ソニーといった日本メーカーが巨大ブースでテレビを盛んにアピールしている。3Dや新技術などが展示され、多くの人を集めていた。
シャープなどは、アメリカでスポンサーをしている大リーグの選手がブースを訪れるというイベントを実施していたこともあり、ファンが群がっていた。
テレビにおいて、日本メーカーは世界をリードする立場にあり、日本メーカーの動向が世界を動かしている、そんな感想を改めて抱いたのだった。
■携帯電話市場では存在感薄く
これが携帯電話業界だとどうだろう?
CESが開催されたラスベガスコンベンションセンターは、昨年春にアメリカの通信業界展示会「CTIA WIRELESS」も行っている。昨年のCTIAは取材にいったが、日本メーカーの影はほとんどなかった状態だ(現地法人がある京セラぐらい)。これが、スペイン・バルセロナで開催される「Mobile World Congress(MWC)」ともなると、パナソニックやNECの姿は見られるものの、輪をかけて存在感が薄いと言わざるを得ない。 テレビと携帯電話で、ここまで各メーカーの取り組み方に違いがあるのかとちょっと愕然としてしまった。
確かに携帯電話は世界では売りにくい商品だ。現地キャリアとの交渉や営業が必要で、さらには海外に販売店を設けなくてはいけない。修理を受け付けるためのネットワークも構築しなくてはいけない。
テレビを売るのに現地キャリアとの交渉のようなものは不要だ。あとはいかに販売と保守のネットワークを構築して、売りまくるかが重要となる。メジャーリーグなどのスポンサーになれば、それだけブランド力も増していく。
「キャリアとの交渉力」が、やはり日本メーカーにはないのだろう。また、日本メーカーが得意とする「高機能商品」がこれまでは海外で一部にしか受け入れられなかったということも背景にある。
■それでも最大の武器は高機能モデル
ノキアが世界トップシェアを確保してかなりの年月が経過するが、ノキアの平均端末価格は70ドルちょっとに過ぎない。つまり、安価な端末を発展途上国でばらまいて売っているからこそ、いまの地位があるわけだ。「日本メーカーの世界的なシェアが低い」といい、国際競争力を高めろという指摘があるが、日本メーカーがノキアに対抗して70ドルちょっとの端末を作ってばらまくことが、彼らのやるべきことではないだろう。
やはり日本メーカーは高機能モデルが最大の武器なのだから。
■富士通初の海外進出へ
そんななか、飛び込んできたのがNTTドコモと富士通の台湾向け端末の共同開発のニュースだ。「F905i」をベースとし台湾向けに中文繁体字の表示、入力に対応させる。NTTドコモが出資提携しているFar EasTone Telecommunicationsから発売されるという。
富士通にとってみれば、初の海外進出モデルとなる。しかも、日本で発売されていたモデルをほぼそのままのかたちで投入できる。
昨年、台湾にはシャープも参入している。アジアでは日本のユーザーと同様に高機能端末を求める傾向が強い。香港などでは、日本の高機能端末を輸入、改造して販売しているケースもある(最近、日本で携帯電話ショップが相次いで盗難に遭っているが、盗難された携帯電話は中国に密輸されている可能性があるといわれている)。
ユーザーのニーズが日本と似ているアジア地域であれば、日本メーカーが進出するチャンスは充分にありそうだ。すでに高い技術と高機能モデルはそろっている。そこでカギとなるのが、メーカー自身がしっかりと現地に販売と保守のネットワークを持ち、ブランド力を高めるためにマーケティング活動も行うことだ。
富士通はNTTドコモとの共同開発となっているが、いずれは独立して自社で海外キャリアの開拓や販売をしていくのが望ましいだろう。
■今こそ海外展開のチャンス
今回、CESでノキアやブラックベリーなどの新製品モデルを触っていると、日本メーカーに近づいているように思えた。つまり、それだけ海外メーカーも高機能製品に市場性を見込んでいるということだ。海外でも通信が高速化され、タッチパネルが増え、ネット接続が当たり前になれば、日本メーカーにとって追い風となる。
いまこそ、日本メーカーにとっては海外展開のチャンスであるはずだ。
これまで日本メーカーが海外進出できていなかったのは、総務省のモバイルビジネス研究会が指摘する「キャリアの影響力が強い」とか「SIMロックがかかっているから」というレベルの話ではない。「メーカーの怠慢」。これだけのことだ。
CESを見る限り、テレビ事業においては、日本メーカーは海外で勝負できるだけの販売網やブランド力を構築している。テレビ事業にでき、携帯電話にできないなんて、言い訳に過ぎない。確かにキャリアとの交渉は大変かもしれないが、日本メーカーにやってやれないことはないはずだ。
数年後のCESでは、日本メーカーのブースに数多くの携帯電話が並んでいることを期待したいものだ。
カシオ日立製「930CA」、シャープ製「932SH」など、ソフトバンク向け新機種が大量にJATE通過
2009年春商戦向けモデルの発表を控え、今回も多数の機種がJATE(電気通信端末機器審査協会)を通過した。
中でも多かったのは、1月29日に春モデルを発表するソフトバンクモバイル向けと思われる機種。ハイエンドモデルに与えられる型番9xx番台の機種にシャープ製の「932SH」(認定日:2008年12月24日、認定番号:AD08-0552001)とカシオ日立モバイルコミュニケーションズ製の「930CA」(認定日:2008年12月24日、認定番号:AD08-0532001)、8xx番台の機種にシャープ製の「831SH」(認定日:2008年12月24日、認定番号:AD08-0551001)と「830SHe」(認定日:2008年12月24日、認定番号:AD08-055000)、NEC製の「830N」(認定日:2008年12月24日、認定番号:AD08-0531001)、計5機種の存在が明らかになった。
このほか2009年春モデルから端末命名ルールが変わるau向けと思われる機種にソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製の「SO001」(認定日:2008年12月16日、認定番号:AD08-0539001)も認定を受けた。au向けと思われるソニー・エリクソン製端末は、2008年11月に「SOY01」という機種もJATEを通過している。
光回線での競争促進へ=NTT独占に歯止め-総務省
総務省は14日、ブロードバンド(高速大容量)通信の主流となった光回線について、競争促進に向けた環境整備を始める方針を明らかにした。シェア拡大を続けるNTTグループの独占化に歯止めを掛け、利用料金の引き下げにつなげるのが狙い。屋内配線工事の費用と、契約事業者を変更する際の配線転用のルール化が課題で、3月から情報通信審議会(総務相の諮問機関)の接続政策委員会を開催、議論する。
米アップル・ジョブズCEO、6月末まで病気休暇
【ニューヨーク=伴百江】米アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は14日、従業員にあてた電子メールで、6月末まで病気休暇をとることを明らかにした。「過去1週間に自分の健康問題は思っていた以上に複雑なことがわかった」とした上で、「従業員が事業に専念するためにも、また自分が健康問題に集中的に取り組むためにも病気休暇をとることに決めた」としている。
会社の日常的な運営はティモシー・クック最高執行責任者(COO)が担当する。
米マイクロソフトが大規模人員削減を検討=WSJ
[サンフランシスコ 14日 ロイター] 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)電子版は14日、複数の関係筋の話として、米マイクロソフトが大規模で全社的な人員削減を検討していると報じた。
ただ計画はまだ固まっておらず、マイクロソフトが他のコスト削減策を選択する可能性もあるという。
マイクロソフトのスポークスマンは人員削減のうわさについてコメントを拒否した。
WSJによると、削減数はここ数週間うわさされていた1万5000人より大幅に少なくなる見込みで、来週の四半期決算発表時に明らかにされる可能性がある。
マイクロソフトの従業員は世界全体で約9万1000人。
仮想空間「ニコッとタウン」、10万会員突破
スクウェア・エニックス(スクエニ)100%子会社のスマイルラボは1月15日、2D仮想空間「Nicotto Town(ニコッとタウン)」の登録者数が昨年12月30日付けで10万人を突破したと発表した。昨年9月29日に正式オープンし、約3カ月で達成した。
Webブラウザ上で利用でき、アバターを着替えさせたり、チャットしたり、ゲームをプレイして楽しめる。1月15日時点の登録者数は12万、月間ページビューは約5000万、月間ユニークユーザーは約70万。
会員の中心は10代から主婦層までの女性。男女比率は女性が75%、男性が25%となっている。
自動車総連会長、製造業派遣「禁止を」
自動車大手労組でつくる自動車総連の西原浩一郎会長は15日、広島市内で記者会見を開き、「製造業派遣は禁止の方向で検討が必要だ」と述べた。派遣労働者の削減が社会問題化し労働者派遣法の見直し論議が浮上する中で、労組幹部が禁止を表明するのは初めて。
西原会長は自動車業界の工場現場で一般的な「登録型」の派遣に関して禁止すべきだと主張。事務職などで見られる比較的長期間の「常用雇用型」の派遣に関しては「一定のニーズもあり、雇用者の責任が認められるのであれば(存続も)考えられる」と述べた。
またワークシェアリング(仕事の分かち合い)に関しては「検討を否定するものではない」としたうえで「定義や手法、対象者の明確化などを整理、検討することから始め、慎重に議論すべきだ」と述べ、早急な導入には否定的な見解を示した。
08年の中古車登録、23年ぶり低水準 6%減の429万台
日本自動車販売協会連合会(自販連)が15日発表した2008年の中古車登録台数(軽自動車を除く)は、429万8086台と前年より6.0%減った。前年実績割れは8年連続。暦年では1985年(424万297台)以来、23年ぶりの低水準となった。新車への買い替えが減って中古車が市場に出回りにくくなっているほか、消費者の買い控えが響いた。
08年は9月を除くすべての月で前年同月を下回った。特に3月、8月、11月は2ケタの減少率だった。中古車登録台数は07年に18年ぶりに500万台を割り込んだが、08年も減少に歯止めがかからなかった。
6日に米サンフランシスコで開催された「Macworld Expo」の基調講演、そして7日からは米ラスベガスの「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)2009」を駆け足で取材してきた。
CESはもともとコンシューマー向け家電の展示会であるから、携帯電話や通信業界などは「脇役」に過ぎない。しかし、通信関連の企業も数多く出展し、またテレビと携帯電話の両方を手がけるメーカーも多い。すでにアメリカではWiMAXのサービスも始まっていることから、勉強を兼ねて足を伸ばした。
■世界のテレビ市場をリードする日本メーカー
CESは初めての取材だったが、そのなかでも最も印象的だったのが、日本メーカーの存在感の大きさだ。
7日に開催された各メーカーの記者会見は当然ながら海外メディアであふれ、立ち見が出るほどの盛況ぶり。現地のアメリカ人社長やマーケティング担当がプレゼンテーションを行い、海外メディアが熱心に質問をしていく。
8日からの展示会では、パナソニック、シャープ、東芝、ソニーといった日本メーカーが巨大ブースでテレビを盛んにアピールしている。3Dや新技術などが展示され、多くの人を集めていた。
シャープなどは、アメリカでスポンサーをしている大リーグの選手がブースを訪れるというイベントを実施していたこともあり、ファンが群がっていた。
テレビにおいて、日本メーカーは世界をリードする立場にあり、日本メーカーの動向が世界を動かしている、そんな感想を改めて抱いたのだった。
■携帯電話市場では存在感薄く
これが携帯電話業界だとどうだろう?
CESが開催されたラスベガスコンベンションセンターは、昨年春にアメリカの通信業界展示会「CTIA WIRELESS」も行っている。昨年のCTIAは取材にいったが、日本メーカーの影はほとんどなかった状態だ(現地法人がある京セラぐらい)。これが、スペイン・バルセロナで開催される「Mobile World Congress(MWC)」ともなると、パナソニックやNECの姿は見られるものの、輪をかけて存在感が薄いと言わざるを得ない。 テレビと携帯電話で、ここまで各メーカーの取り組み方に違いがあるのかとちょっと愕然としてしまった。
確かに携帯電話は世界では売りにくい商品だ。現地キャリアとの交渉や営業が必要で、さらには海外に販売店を設けなくてはいけない。修理を受け付けるためのネットワークも構築しなくてはいけない。
テレビを売るのに現地キャリアとの交渉のようなものは不要だ。あとはいかに販売と保守のネットワークを構築して、売りまくるかが重要となる。メジャーリーグなどのスポンサーになれば、それだけブランド力も増していく。
「キャリアとの交渉力」が、やはり日本メーカーにはないのだろう。また、日本メーカーが得意とする「高機能商品」がこれまでは海外で一部にしか受け入れられなかったということも背景にある。
■それでも最大の武器は高機能モデル
ノキアが世界トップシェアを確保してかなりの年月が経過するが、ノキアの平均端末価格は70ドルちょっとに過ぎない。つまり、安価な端末を発展途上国でばらまいて売っているからこそ、いまの地位があるわけだ。「日本メーカーの世界的なシェアが低い」といい、国際競争力を高めろという指摘があるが、日本メーカーがノキアに対抗して70ドルちょっとの端末を作ってばらまくことが、彼らのやるべきことではないだろう。
やはり日本メーカーは高機能モデルが最大の武器なのだから。
■富士通初の海外進出へ
そんななか、飛び込んできたのがNTTドコモと富士通の台湾向け端末の共同開発のニュースだ。「F905i」をベースとし台湾向けに中文繁体字の表示、入力に対応させる。NTTドコモが出資提携しているFar EasTone Telecommunicationsから発売されるという。
富士通にとってみれば、初の海外進出モデルとなる。しかも、日本で発売されていたモデルをほぼそのままのかたちで投入できる。
昨年、台湾にはシャープも参入している。アジアでは日本のユーザーと同様に高機能端末を求める傾向が強い。香港などでは、日本の高機能端末を輸入、改造して販売しているケースもある(最近、日本で携帯電話ショップが相次いで盗難に遭っているが、盗難された携帯電話は中国に密輸されている可能性があるといわれている)。
ユーザーのニーズが日本と似ているアジア地域であれば、日本メーカーが進出するチャンスは充分にありそうだ。すでに高い技術と高機能モデルはそろっている。そこでカギとなるのが、メーカー自身がしっかりと現地に販売と保守のネットワークを持ち、ブランド力を高めるためにマーケティング活動も行うことだ。
富士通はNTTドコモとの共同開発となっているが、いずれは独立して自社で海外キャリアの開拓や販売をしていくのが望ましいだろう。
■今こそ海外展開のチャンス
今回、CESでノキアやブラックベリーなどの新製品モデルを触っていると、日本メーカーに近づいているように思えた。つまり、それだけ海外メーカーも高機能製品に市場性を見込んでいるということだ。海外でも通信が高速化され、タッチパネルが増え、ネット接続が当たり前になれば、日本メーカーにとって追い風となる。
いまこそ、日本メーカーにとっては海外展開のチャンスであるはずだ。
これまで日本メーカーが海外進出できていなかったのは、総務省のモバイルビジネス研究会が指摘する「キャリアの影響力が強い」とか「SIMロックがかかっているから」というレベルの話ではない。「メーカーの怠慢」。これだけのことだ。
CESを見る限り、テレビ事業においては、日本メーカーは海外で勝負できるだけの販売網やブランド力を構築している。テレビ事業にでき、携帯電話にできないなんて、言い訳に過ぎない。確かにキャリアとの交渉は大変かもしれないが、日本メーカーにやってやれないことはないはずだ。
数年後のCESでは、日本メーカーのブースに数多くの携帯電話が並んでいることを期待したいものだ。
カシオ日立製「930CA」、シャープ製「932SH」など、ソフトバンク向け新機種が大量にJATE通過
2009年春商戦向けモデルの発表を控え、今回も多数の機種がJATE(電気通信端末機器審査協会)を通過した。
中でも多かったのは、1月29日に春モデルを発表するソフトバンクモバイル向けと思われる機種。ハイエンドモデルに与えられる型番9xx番台の機種にシャープ製の「932SH」(認定日:2008年12月24日、認定番号:AD08-0552001)とカシオ日立モバイルコミュニケーションズ製の「930CA」(認定日:2008年12月24日、認定番号:AD08-0532001)、8xx番台の機種にシャープ製の「831SH」(認定日:2008年12月24日、認定番号:AD08-0551001)と「830SHe」(認定日:2008年12月24日、認定番号:AD08-055000)、NEC製の「830N」(認定日:2008年12月24日、認定番号:AD08-0531001)、計5機種の存在が明らかになった。
このほか2009年春モデルから端末命名ルールが変わるau向けと思われる機種にソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製の「SO001」(認定日:2008年12月16日、認定番号:AD08-0539001)も認定を受けた。au向けと思われるソニー・エリクソン製端末は、2008年11月に「SOY01」という機種もJATEを通過している。
光回線での競争促進へ=NTT独占に歯止め-総務省
総務省は14日、ブロードバンド(高速大容量)通信の主流となった光回線について、競争促進に向けた環境整備を始める方針を明らかにした。シェア拡大を続けるNTTグループの独占化に歯止めを掛け、利用料金の引き下げにつなげるのが狙い。屋内配線工事の費用と、契約事業者を変更する際の配線転用のルール化が課題で、3月から情報通信審議会(総務相の諮問機関)の接続政策委員会を開催、議論する。
米アップル・ジョブズCEO、6月末まで病気休暇
【ニューヨーク=伴百江】米アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は14日、従業員にあてた電子メールで、6月末まで病気休暇をとることを明らかにした。「過去1週間に自分の健康問題は思っていた以上に複雑なことがわかった」とした上で、「従業員が事業に専念するためにも、また自分が健康問題に集中的に取り組むためにも病気休暇をとることに決めた」としている。
会社の日常的な運営はティモシー・クック最高執行責任者(COO)が担当する。
米マイクロソフトが大規模人員削減を検討=WSJ
[サンフランシスコ 14日 ロイター] 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)電子版は14日、複数の関係筋の話として、米マイクロソフトが大規模で全社的な人員削減を検討していると報じた。
ただ計画はまだ固まっておらず、マイクロソフトが他のコスト削減策を選択する可能性もあるという。
マイクロソフトのスポークスマンは人員削減のうわさについてコメントを拒否した。
WSJによると、削減数はここ数週間うわさされていた1万5000人より大幅に少なくなる見込みで、来週の四半期決算発表時に明らかにされる可能性がある。
マイクロソフトの従業員は世界全体で約9万1000人。
仮想空間「ニコッとタウン」、10万会員突破
スクウェア・エニックス(スクエニ)100%子会社のスマイルラボは1月15日、2D仮想空間「Nicotto Town(ニコッとタウン)」の登録者数が昨年12月30日付けで10万人を突破したと発表した。昨年9月29日に正式オープンし、約3カ月で達成した。
Webブラウザ上で利用でき、アバターを着替えさせたり、チャットしたり、ゲームをプレイして楽しめる。1月15日時点の登録者数は12万、月間ページビューは約5000万、月間ユニークユーザーは約70万。
会員の中心は10代から主婦層までの女性。男女比率は女性が75%、男性が25%となっている。
自動車総連会長、製造業派遣「禁止を」
自動車大手労組でつくる自動車総連の西原浩一郎会長は15日、広島市内で記者会見を開き、「製造業派遣は禁止の方向で検討が必要だ」と述べた。派遣労働者の削減が社会問題化し労働者派遣法の見直し論議が浮上する中で、労組幹部が禁止を表明するのは初めて。
西原会長は自動車業界の工場現場で一般的な「登録型」の派遣に関して禁止すべきだと主張。事務職などで見られる比較的長期間の「常用雇用型」の派遣に関しては「一定のニーズもあり、雇用者の責任が認められるのであれば(存続も)考えられる」と述べた。
またワークシェアリング(仕事の分かち合い)に関しては「検討を否定するものではない」としたうえで「定義や手法、対象者の明確化などを整理、検討することから始め、慎重に議論すべきだ」と述べ、早急な導入には否定的な見解を示した。
08年の中古車登録、23年ぶり低水準 6%減の429万台
日本自動車販売協会連合会(自販連)が15日発表した2008年の中古車登録台数(軽自動車を除く)は、429万8086台と前年より6.0%減った。前年実績割れは8年連続。暦年では1985年(424万297台)以来、23年ぶりの低水準となった。新車への買い替えが減って中古車が市場に出回りにくくなっているほか、消費者の買い控えが響いた。
08年は9月を除くすべての月で前年同月を下回った。特に3月、8月、11月は2ケタの減少率だった。中古車登録台数は07年に18年ぶりに500万台を割り込んだが、08年も減少に歯止めがかからなかった。