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米メルク、シェリング・プラウを4兆円で買収 製薬世界4位に
【シカゴ=毛利靖子】米製薬大手メルクは9日、米同業シェリング・プラウを買収すると発表した。買収総額は411億ドル(約4兆円)。統合により規模を拡大するとともに経費を削減し、新薬の開発力を高める。製薬業界では世界最大手の米ファイザーが1月に米ワイスの買収で合意したばかりで、再編の動きが一段と加速しそうだ。
2008年の売上高合計は424億ドル(医薬品以外を含む)。医薬品売上高では世界8位から4位に浮上する。両社はすでに生活習慣病の治療薬で協力しており、この共同出資会社分を含めると、米ファイザーに次ぐ世界2位となる。
統合で誕生する新会社の名称はメルク。最高経営責任者(CEO)にはメルクのリチャード・クラークCEOが就任する。買収は株式交換と現金の組み合わせで行い、シェリング株主はシェリング株1株につきメルク株0.5767株と10.5ドルを受け取る。拠点の統廃合など合理化を加速。2011年をめどに年35億ドルの経費削減効果を引き出す。
米、「ES細胞」研究助成を解禁 オバマ大統領署名
【ワシントン=米山雄介】オバマ米大統領は9日、再生医療や難病治療への応用が期待されている胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究への政府助成を解禁する大統領令に署名した。倫理上問題があるとしてブッシュ前大統領が2001年に禁止して以来の政策転換となる。オバマ氏は「健全な科学と倫理的価値は矛盾するものではない」と指摘。医療など科学分野で世界を主導する考えを示した。
署名式には皮膚の細胞から作る新型万能細胞(iPS細胞)の研究で知られる京都大学の山中伸弥教授も招かれた。
ES細胞は人体の様々な組織に成長する「万能細胞」の1つ。アルツハイマー病などの治療への応用が期待されている半面、ヒトの受精卵を壊して作るため、倫理上の問題から保守層で研究への反対論が根強い。
人民元の国際化「焦る必要ない」 人民銀行副総裁、中国紙報道
中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁は開催中の全国人民代表大会(全人代)で、人民元の国際化について「長期的にみて人民元は世界の通貨の中で(今後も地位が)上がる通貨だ。平常心を保っていればよく、国際化を焦る必要はない」と述べた。中国紙の中国証券報が9日、伝えた。
元相場を現在の1ドル=6.83元前後で安定させるため、相場の乱高下につながりかねない元の国際化を性急に進める考えがないことを強調した発言と受け止められている。
世界最大の外貨準備で米国債を買い続けるべきかどうかに関しては「我が国の利益を出発点に政策を決め、外貨準備の安全と適度な収益を保証する必要がある」と述べるにとどめた。
金融危機で世界の資産消失、08年に4900兆円 ADBが報告書
アジア開発銀行(ADB)は9日、世界で昨年消失した金融などの資産が50兆ドル(約4900兆円)に達したとの報告書を発表した。金融危機の影響で株式や通貨の価値が大幅に下落したため。特にアジア地域(日本など域内先進国を除く)の消失額は9兆6000億ドル(約940兆円)で、落ち込みが激しいという。
ADBによると、消失額は株式や債券、抵当不動産、通貨(ドル換算)などの下落額の合計。資産種類別や地域別の内訳などは明らかにしていないが、アジアの消失額は域内国内総生産(GDP)の1年分を上回るとしている。
報告書は「世界経済が回復するのは今年後半から来年初になる。アジア経済は向こう1年から1年半は厳しい状況が続く」としている。
アイスランド、大手金融がすべて国の管理下に
【ロンドン=吉田ありさ】アイスランド政府は9日、資金繰りに行き詰まった大手投資銀行ストラウマー・バーダラスを政府管理下に置いたと発表した。同国金融監督庁が選任した委員会が取締役会を引き継ぐ。同国は昨秋の金融危機の際に大手銀行3行を既に国有化しており、これで大手金融機関がすべて国の管理下に入る。
LGディスプレー、第8世代パネルの生産開始
【ソウル=尾島島雄】液晶パネル大手の韓国のLGディスプレーは9日、ソウル市郊外の坡州市にある工場で「第8世代」の液晶パネルの生産ラインの稼働を始めたと発表した。パネル需要は世界的に弱含みだが、中国市場向けなどが伸びている。通貨ウォンの急落で価格競争力も強まっており、薄型テレビ用のパネル供給を拡大する。
2030年代以降に「アジア共通通貨」、世界平和研が提言
世界平和研究所(会長・中曽根康弘元首相)は9日、世界的な金融危機と景気悪化を受け、「2030年代を見据えた国際経済・金融体制の展望」と題した報告書をまとめた。
報告書は、ドルやユーロと並ぶ「アジア共通通貨」を導入し、アジア地域が協力して世界経済の安定に貢献すべきだと提言した。
報告書は、世界経済危機について「米国だけではグローバル市場を支えきれないことを露呈した」と分析、米国主導の国際体制が見直しを迫られているとの認識を示した。その上で「効率的・効果的な市場監視機能や経済危機に対する支援体制を地域単位で整備する必要がある」と説いた。
具体的には、30年代以降にアジア共通通貨の導入を図ることを提案。10年代に日本、中国、韓国を中心に、東南アジア諸国連合(ASEAN)と共通通貨の導入に向けた合意形成を進める。続いて貿易自由化や経済連携強化を図り、アジア通貨の価値を比較できる「アジア共通通貨単位」を20年代に創設するよう求めた。
東海道新幹線で無線LAN トンネルでも高速通信、ドコモなど
NTTドコモやソフトバンクテレコムなど通信大手4社は14日、JR東海の東海道新幹線で無線LAN(構内情報通信網)を利用できるサービスを始める。「N700系」の車両が対象で区間は東京―新大阪間。高速で移動中やトンネル内でも高速データ通信が可能なため、ノートパソコンで業務をこなす出張者などの需要を見込む。
サービスを提供するのはドコモなど2社のほか、NTTコミュニケーションズとKDDI系のUQコミュニケーションズ。新幹線の沿線に張り巡らせたケーブルから車内の移動局に電波を送信。移動局から車内に電波を分配する仕組みで、最大受信速度が毎秒2メガ(メガは100万)ビットの高速通信が可能になる。
駅にも利用場所を設け、無線LANに対応したパソコンやゲーム機器で使える。料金は事業者ごとに異なるが月額で数百円程度。既存サービスの一環として追加料金なしで使える場合もある。
PB商品、2兆円市場へ 食品・日用品、安値志向取り込む
メーカー品より1―5割安いプライベートブランド(PB=自主企画)商品が普及期に入った。イオンは2年内に売上高に占める比率を2割近くに高め、セブン&アイ・ホールディングスは今後1年で品数を2倍の1300にする。ユニーと子会社のサークルKサンクスは4月から共通品を全店に導入する。他社も急拡大しており、PB市場は2年内に少なくとも年2兆円と、食品・日用品全体の5%以上に達する見通し。低価格志向が強まる中、消費の新たな担い手としての期待が高まっている。
PBで先行するイオンは「ジャスコ」を中心に5000品を扱う。マルエツやいなげやなどグループのスーパーに供給先を広げ、2008年2月期に約2600億円だったPB売上高を11年2月期に7500億円とする。これは08年2月期の小売事業(4兆1000億円強)の約18%に当たる。
液晶素材の投資急減 薄型TVなど、販売低迷に対応
液晶パネル向け材料メーカーの間で増産投資を絞り込む動きが広がっている。薄型テレビなど液晶パネルを組み込んだデジタル製品の販売が急減速しているからだ。日本電気硝子が2010年3月期の設備投資額を今期の約半分に圧縮、旭硝子も新工場の稼働を延期する。落ち込んだ需要に見合う生産体制を構築する狙い。投資の軸足は拡大が見込まれる太陽電池向けに移りつつある。
液晶用の基板ガラスで世界3位の日本電気硝子は来期の設備投資を400億―500億円に半減させる。原料を溶かす窯を04年3月期から6期連続で増設、今期の投資額は1000億円を見込むが、来期は増設を中止する。日本と台湾に予定していたガラスの加工ラインの新設計画も凍結する。
独ドレスナー銀傘下の証券、東京支店を閉鎖 年末メド
ドイツの銀行大手ドレスナー銀行傘下のドレスナー・クラインオート証券は2009年末をめどに東京支店での業務を終了する方針を決めた。ドレスナー銀行は米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響で損失が拡大。昨年8月に独大手銀コメルツ銀行との合併を発表し、今年1月にコメルツ銀との合併が完了した。統合計画の一環としてアジア市場での業務を見直す。
ドレスナー銀行の東京支店はコメルツ銀行の東京支店と統合する。ドレスナー・クラインオート証券東京支店の大半の業務は終了し、一部の業務をコメルツ銀行に引き継ぐ予定。従業員約200人の雇用については交渉中という。
【産経主張】漆間氏発言 「厳正・中立」を疑わせた
東京地検が捜査中の西松建設による政治資金規正法違反事件にからんで、漆間巌官房副長官が記者との懇談の場で、自民党議員への波及を否定したと受け取れる発言を行った。
この発言を問題視する民主党など野党は、9日の参院予算委員会で、漆間氏の出席を求めて追及したが、同氏は「特定の政党や議員に及ぶかどうか述べた記憶はない」などと釈明した。
発言には不明な部分があるものの、官房副長官という事務担当の官僚組織のトップの立場にありながら、捜査中の事件について言及したことは、極めて軽率だといわざるを得ない。
とくに、同氏は前の警察庁長官であり、長く事件捜査を担当してきた捜査のプロである。このような立場にある人が、特定事件の捜査についての見通しともとれる発言をしたことは、さまざまな誤解や憶測を生むことになる。批判されても当然だ。
この問題は、漆間氏が5日夕に首相官邸で行った定例の記者懇談で、西松建設の違法献金事件を質問された。記者懇談は発言者の名前を特定しないオフレコ扱いであり、各メディアは「政府高官は自民党議員に波及する可能性はないと思うと語った」などと一斉に報道した。
民主党はこの発言をとらえて、「政府の中枢にいる政府高官が捜査の状況を述べたことは、重大問題である。今回の事件は内閣と検察が通じ合っていたとしか思えない。政府高官の名前を公表すべきだ」などと非難した。
これを受けて河村建夫官房長官は8日、高官が漆間氏だと公表して、同氏にも厳重注意した。
オフレコ扱いなのに、発言者の公表を求めるのはルール違反といえ、遺憾である。ただ、この発言により、検察当局が政治からの厳正かつ中立という立場を逸脱しかねないとの印象を国民に与えたともいえる。今回は事実関係の解明を優先した格好だ。
検察当局には、自民党側の献金額が小沢一郎・民主党代表側より少ないかどうかだけでなく、違法行為は断じて許さないという姿勢で捜査を続けてもらいたい。
民主党は、小沢代表の公設第1秘書逮捕で窮地に立たされている時だけに、まさか今回の漆間氏発言を格好の攻撃材料にしているわけではあるまい。論点のすり替えは許されない。
【シカゴ=毛利靖子】米製薬大手メルクは9日、米同業シェリング・プラウを買収すると発表した。買収総額は411億ドル(約4兆円)。統合により規模を拡大するとともに経費を削減し、新薬の開発力を高める。製薬業界では世界最大手の米ファイザーが1月に米ワイスの買収で合意したばかりで、再編の動きが一段と加速しそうだ。
2008年の売上高合計は424億ドル(医薬品以外を含む)。医薬品売上高では世界8位から4位に浮上する。両社はすでに生活習慣病の治療薬で協力しており、この共同出資会社分を含めると、米ファイザーに次ぐ世界2位となる。
統合で誕生する新会社の名称はメルク。最高経営責任者(CEO)にはメルクのリチャード・クラークCEOが就任する。買収は株式交換と現金の組み合わせで行い、シェリング株主はシェリング株1株につきメルク株0.5767株と10.5ドルを受け取る。拠点の統廃合など合理化を加速。2011年をめどに年35億ドルの経費削減効果を引き出す。
米、「ES細胞」研究助成を解禁 オバマ大統領署名
【ワシントン=米山雄介】オバマ米大統領は9日、再生医療や難病治療への応用が期待されている胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究への政府助成を解禁する大統領令に署名した。倫理上問題があるとしてブッシュ前大統領が2001年に禁止して以来の政策転換となる。オバマ氏は「健全な科学と倫理的価値は矛盾するものではない」と指摘。医療など科学分野で世界を主導する考えを示した。
署名式には皮膚の細胞から作る新型万能細胞(iPS細胞)の研究で知られる京都大学の山中伸弥教授も招かれた。
ES細胞は人体の様々な組織に成長する「万能細胞」の1つ。アルツハイマー病などの治療への応用が期待されている半面、ヒトの受精卵を壊して作るため、倫理上の問題から保守層で研究への反対論が根強い。
人民元の国際化「焦る必要ない」 人民銀行副総裁、中国紙報道
中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁は開催中の全国人民代表大会(全人代)で、人民元の国際化について「長期的にみて人民元は世界の通貨の中で(今後も地位が)上がる通貨だ。平常心を保っていればよく、国際化を焦る必要はない」と述べた。中国紙の中国証券報が9日、伝えた。
元相場を現在の1ドル=6.83元前後で安定させるため、相場の乱高下につながりかねない元の国際化を性急に進める考えがないことを強調した発言と受け止められている。
世界最大の外貨準備で米国債を買い続けるべきかどうかに関しては「我が国の利益を出発点に政策を決め、外貨準備の安全と適度な収益を保証する必要がある」と述べるにとどめた。
金融危機で世界の資産消失、08年に4900兆円 ADBが報告書
アジア開発銀行(ADB)は9日、世界で昨年消失した金融などの資産が50兆ドル(約4900兆円)に達したとの報告書を発表した。金融危機の影響で株式や通貨の価値が大幅に下落したため。特にアジア地域(日本など域内先進国を除く)の消失額は9兆6000億ドル(約940兆円)で、落ち込みが激しいという。
ADBによると、消失額は株式や債券、抵当不動産、通貨(ドル換算)などの下落額の合計。資産種類別や地域別の内訳などは明らかにしていないが、アジアの消失額は域内国内総生産(GDP)の1年分を上回るとしている。
報告書は「世界経済が回復するのは今年後半から来年初になる。アジア経済は向こう1年から1年半は厳しい状況が続く」としている。
アイスランド、大手金融がすべて国の管理下に
【ロンドン=吉田ありさ】アイスランド政府は9日、資金繰りに行き詰まった大手投資銀行ストラウマー・バーダラスを政府管理下に置いたと発表した。同国金融監督庁が選任した委員会が取締役会を引き継ぐ。同国は昨秋の金融危機の際に大手銀行3行を既に国有化しており、これで大手金融機関がすべて国の管理下に入る。
LGディスプレー、第8世代パネルの生産開始
【ソウル=尾島島雄】液晶パネル大手の韓国のLGディスプレーは9日、ソウル市郊外の坡州市にある工場で「第8世代」の液晶パネルの生産ラインの稼働を始めたと発表した。パネル需要は世界的に弱含みだが、中国市場向けなどが伸びている。通貨ウォンの急落で価格競争力も強まっており、薄型テレビ用のパネル供給を拡大する。
2030年代以降に「アジア共通通貨」、世界平和研が提言
世界平和研究所(会長・中曽根康弘元首相)は9日、世界的な金融危機と景気悪化を受け、「2030年代を見据えた国際経済・金融体制の展望」と題した報告書をまとめた。
報告書は、ドルやユーロと並ぶ「アジア共通通貨」を導入し、アジア地域が協力して世界経済の安定に貢献すべきだと提言した。
報告書は、世界経済危機について「米国だけではグローバル市場を支えきれないことを露呈した」と分析、米国主導の国際体制が見直しを迫られているとの認識を示した。その上で「効率的・効果的な市場監視機能や経済危機に対する支援体制を地域単位で整備する必要がある」と説いた。
具体的には、30年代以降にアジア共通通貨の導入を図ることを提案。10年代に日本、中国、韓国を中心に、東南アジア諸国連合(ASEAN)と共通通貨の導入に向けた合意形成を進める。続いて貿易自由化や経済連携強化を図り、アジア通貨の価値を比較できる「アジア共通通貨単位」を20年代に創設するよう求めた。
東海道新幹線で無線LAN トンネルでも高速通信、ドコモなど
NTTドコモやソフトバンクテレコムなど通信大手4社は14日、JR東海の東海道新幹線で無線LAN(構内情報通信網)を利用できるサービスを始める。「N700系」の車両が対象で区間は東京―新大阪間。高速で移動中やトンネル内でも高速データ通信が可能なため、ノートパソコンで業務をこなす出張者などの需要を見込む。
サービスを提供するのはドコモなど2社のほか、NTTコミュニケーションズとKDDI系のUQコミュニケーションズ。新幹線の沿線に張り巡らせたケーブルから車内の移動局に電波を送信。移動局から車内に電波を分配する仕組みで、最大受信速度が毎秒2メガ(メガは100万)ビットの高速通信が可能になる。
駅にも利用場所を設け、無線LANに対応したパソコンやゲーム機器で使える。料金は事業者ごとに異なるが月額で数百円程度。既存サービスの一環として追加料金なしで使える場合もある。
PB商品、2兆円市場へ 食品・日用品、安値志向取り込む
メーカー品より1―5割安いプライベートブランド(PB=自主企画)商品が普及期に入った。イオンは2年内に売上高に占める比率を2割近くに高め、セブン&アイ・ホールディングスは今後1年で品数を2倍の1300にする。ユニーと子会社のサークルKサンクスは4月から共通品を全店に導入する。他社も急拡大しており、PB市場は2年内に少なくとも年2兆円と、食品・日用品全体の5%以上に達する見通し。低価格志向が強まる中、消費の新たな担い手としての期待が高まっている。
PBで先行するイオンは「ジャスコ」を中心に5000品を扱う。マルエツやいなげやなどグループのスーパーに供給先を広げ、2008年2月期に約2600億円だったPB売上高を11年2月期に7500億円とする。これは08年2月期の小売事業(4兆1000億円強)の約18%に当たる。
液晶素材の投資急減 薄型TVなど、販売低迷に対応
液晶パネル向け材料メーカーの間で増産投資を絞り込む動きが広がっている。薄型テレビなど液晶パネルを組み込んだデジタル製品の販売が急減速しているからだ。日本電気硝子が2010年3月期の設備投資額を今期の約半分に圧縮、旭硝子も新工場の稼働を延期する。落ち込んだ需要に見合う生産体制を構築する狙い。投資の軸足は拡大が見込まれる太陽電池向けに移りつつある。
液晶用の基板ガラスで世界3位の日本電気硝子は来期の設備投資を400億―500億円に半減させる。原料を溶かす窯を04年3月期から6期連続で増設、今期の投資額は1000億円を見込むが、来期は増設を中止する。日本と台湾に予定していたガラスの加工ラインの新設計画も凍結する。
独ドレスナー銀傘下の証券、東京支店を閉鎖 年末メド
ドイツの銀行大手ドレスナー銀行傘下のドレスナー・クラインオート証券は2009年末をめどに東京支店での業務を終了する方針を決めた。ドレスナー銀行は米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響で損失が拡大。昨年8月に独大手銀コメルツ銀行との合併を発表し、今年1月にコメルツ銀との合併が完了した。統合計画の一環としてアジア市場での業務を見直す。
ドレスナー銀行の東京支店はコメルツ銀行の東京支店と統合する。ドレスナー・クラインオート証券東京支店の大半の業務は終了し、一部の業務をコメルツ銀行に引き継ぐ予定。従業員約200人の雇用については交渉中という。
【産経主張】漆間氏発言 「厳正・中立」を疑わせた
東京地検が捜査中の西松建設による政治資金規正法違反事件にからんで、漆間巌官房副長官が記者との懇談の場で、自民党議員への波及を否定したと受け取れる発言を行った。
この発言を問題視する民主党など野党は、9日の参院予算委員会で、漆間氏の出席を求めて追及したが、同氏は「特定の政党や議員に及ぶかどうか述べた記憶はない」などと釈明した。
発言には不明な部分があるものの、官房副長官という事務担当の官僚組織のトップの立場にありながら、捜査中の事件について言及したことは、極めて軽率だといわざるを得ない。
とくに、同氏は前の警察庁長官であり、長く事件捜査を担当してきた捜査のプロである。このような立場にある人が、特定事件の捜査についての見通しともとれる発言をしたことは、さまざまな誤解や憶測を生むことになる。批判されても当然だ。
この問題は、漆間氏が5日夕に首相官邸で行った定例の記者懇談で、西松建設の違法献金事件を質問された。記者懇談は発言者の名前を特定しないオフレコ扱いであり、各メディアは「政府高官は自民党議員に波及する可能性はないと思うと語った」などと一斉に報道した。
民主党はこの発言をとらえて、「政府の中枢にいる政府高官が捜査の状況を述べたことは、重大問題である。今回の事件は内閣と検察が通じ合っていたとしか思えない。政府高官の名前を公表すべきだ」などと非難した。
これを受けて河村建夫官房長官は8日、高官が漆間氏だと公表して、同氏にも厳重注意した。
オフレコ扱いなのに、発言者の公表を求めるのはルール違反といえ、遺憾である。ただ、この発言により、検察当局が政治からの厳正かつ中立という立場を逸脱しかねないとの印象を国民に与えたともいえる。今回は事実関係の解明を優先した格好だ。
検察当局には、自民党側の献金額が小沢一郎・民主党代表側より少ないかどうかだけでなく、違法行為は断じて許さないという姿勢で捜査を続けてもらいたい。
民主党は、小沢代表の公設第1秘書逮捕で窮地に立たされている時だけに、まさか今回の漆間氏発言を格好の攻撃材料にしているわけではあるまい。論点のすり替えは許されない。
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携帯放送、次のエースは 「マルチメディア」事業化競争(COLUMN)
2011年以降、携帯電話やカーナビなどの移動体端末向けに始まる「マルチメディア放送」をめぐり、事業化を目指す各陣営の動きが活発化してきた。NTTドコモは、フジテレビジョンなど4社と均等に出資した事業会社の株式の過半数を取得。放送波と通信波を組み合わせ、利用者の好みの番組を配信するサービスの開始を目指す。KDDI陣営も今秋に、ニュースなどの配信実験を開始。ラジオ局陣営も108社が集まり、新組織を立ち上げた。各陣営とも新たな収益源として期待するが、高機能端末の普及が前提になるなど「順調に立ち上がるかは微妙」(通信業界)との見方もある。
≪ドコモの戦略≫
11年7月にテレビのアナログ放送が終了し、デジタル方式に切り替わるのに伴い、特定の周波数帯の電波に空きが出る。携帯向けマルチメディア放送は、この空いた部分を利用し、携帯端末に音声や動画を配信するサービス。大きく2種類の周波数帯が提供され、一つがテレビ、もう一つがラジオを軸にしたサービスが始まる予定だ。テレビ中心のサービスでは、NTTドコモ、KDDIが異なる技術規格を提唱しており、来夏に総務省が与える事業免許の争奪戦が起こると予想されている。
「ISDB-Tmm」と呼ばれる技術規格でサービス開始を目指すNTTドコモは今年1月、フジテレビや伊藤忠商事などと各20%出資し、06年に設立した事業会社「マルチメディア放送」の増資を通じ、過半数に当たる51%の株式を取得した。「主導的に技術・サービスの開発を進める」(同社)のが狙い。併せて日本テレビ、TBS、テレビ朝日の3局もそれぞれ3.8%出資し、民放各社がバックアップする態勢も整った。
サービスの姿も見えつつある。NTTドコモの新事業アライアンス担当部長で、同社の社長も務める石川昌行氏は「99.5%は放送波を使い利用者の好みに合わせた番組を自動配信し、端末に蓄積して好きな時間に視聴可能にする。残りの0.5%は携帯電話向けの次世代高速無線通信によって、リアルタイムで番組を視聴できるようにする」と明かす。
利用者の好みを推測するドコモの技術と組み合わせ「提案型」の放送も計画している。料金は月額数百円程度になる見込みで「ワンセグ以上に普遍的なサービスを目指す」(石川氏)考えだ。収益はコンテンツを提供する放送局と分け合う方針でテレビ局にとっても新たな収益源として期待がかかる。
≪KDDIは米方式≫
同じくテレビ分野で競合するKDDIは米クアルコムと共同で「メディアフロージャパン企画」を設立した。
同社が推進するのは、すでに米国で商用化されている「メディアフロー」と呼ばれるテレビ放送方式。端末機器メーカーにとっては「端末を日本だけでなく海外でも販売がしやすくなる」(増田和彦社長)メリットがある。4月以降、実際に放送を流す実証実験を沖縄県で実施。秋には携帯に専用ソフトを搭載し、ニュースや株価情報などの配信実験を行う予定だ。
◇
■高機能端末の普及カギ
マルチメディア放送への期待感は大きいものの、テレビ放送方式をはじめとして、先行きが読みにくいのも事実。このためソフトバンクが設立した「モバイルメディア企画」は当初、KDDI陣営が推すメディアフローを選択したものの昨年末、ISDBに変更した。
ラジオ事業者も具体的に動き出したが、緒に就いた段階だ。
エフエム東京、ニッポン放送、NHK、三井物産など108社は2月20日、「デジタルラジオ」の開始に向け、受信端末の技術仕様を策定する協議会を設立した。ラジオ陣営は携帯電話だけでなく、カーナビや携帯音楽プレーヤーなどへの配信も視野に入れて準備を進めている。しかし、参加企業が多く「端末に搭載する機能などで各社の意見が異なっている」(NHKの黒田徹総合企画室統括担当部長)のが現状。まず、サービス内容を明確にするなど、足並みをそろえる必要に迫られている。
マルチメディア放送に期待が集まる背景には、ワンセグ放送対応携帯電話が普及し、携帯をテレビ代わりに利用する生活スタイルが広がっていることがある。携帯電話事業者にも、マルチメディア放送はデータ通信料の新たな収益源に映る。
調査会社のシード・プランニングが昨年、ワンセグ放送受信者向けに実施した調査によると、有料でも見たい携帯向け映像配信サービスは「映画」(全体の53.9%)、「多チャンネルサービス」(48%)、「好みの登録番組の自動蓄積サービス」(32.7%)など。好みの番組を視聴できるサービスへのニーズが、意外に多いことが分かる。
ただ、映像蓄積型サービスは膨大な量のデータを扱う関係上、従来にない高機能端末を開発する必要がある。景気悪化などを受け高額端末は敬遠される傾向が強く、高価な新端末への支持が得られるかの判断は、現段階では難しい。
さらに、基地局整備には数百億円規模の資金が必要とされる。事業の採算性も含め解決すべき課題が山積しているのが実態だ。
WBC日韓戦、瞬間最高視聴率は46・3%
日本が韓国にコールド勝ちし、2次ラウンド進出を決めた7日のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の平均視聴率(テレビ朝日、関東地区)が37・8%だったことが9日、ビデオリサーチ社の調べで分かった。
瞬間最高視聴率は午後8時55分の46・3%で、四回裏、松坂大輔投手が、韓国打線から三つ目のアウトを取った場面だった。
WBC:日本が再び韓国と激突 先発は安定感抜群の岩隈 右打者が好調の日本、1位通過なるか
野球の国・地域別対抗戦、第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次ラウンドA組は9日、日本と韓国によるA組1位決定戦が午後6時半から東京ドームで行われる。先発投手は、日本が岩隈(楽天)、韓国は元大リーガーの左腕・奉重根。日本は既に1次ラウンド突破を決めているが、1位通過ならB組2位、2位ならB組1位と2次ラウンドの対戦相手が異なってくるため、重要な試合だ。
韓国の先発は当初予想された柳賢振ではなく奉重根となった。191センチの大型本格派左腕だが制球に苦しむことがあり、韓国プロ野球で昨シーズンは被本塁打13本と、安定感では金広鉉や柳賢振には劣る。7日の韓国戦と同じオーダーの可能性が高い日本は、大活躍した村田、内川(ともに横浜)にくわえ、中島(西武)、城島(マリナーズ)も3安打と右打者がそろって好調。ボールを見極めて好球必打で臨みたい。
日経平均、終値7086円 バブル後安値更新、26年5カ月ぶり低水準
9日の東京株式市場で日経平均株価は続落。大引けは前週末比87円07銭(1.21%)安の7086円03銭と2008年10月27日のバブル後安値を下回り、1982年10月6日(6974円35銭)以来、26年5カ月ぶりの安値水準に落ち込んだ。景気低迷の長期化懸念や、欧米の金融問題を嫌気した売りに押された。アジアなどを含む世界的な株式相場の先行き不透明感が強く、リスク資産である株式の保有比率を引き下げる持ち高調整の売りも続いた。東証株価指数(TOPIX)も続落。大引けは前週末比10.86ポイント(1.51%)安の710.53と前週末に続いてバブル後安値を更新し、82年12月以来、25年3カ月ぶりに安値水準となった。
東証1部の売買代金は概算で1兆1125億円、売買高は同17億3760万株だった。値下がり銘柄数は全体の約64%に当たる1088、値上がりは同29%の497、変わらずは125だった。
1月の経常収支、13年ぶり赤字 1728億円
財務省が9日発表した2009年1月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資など全体の取引状況を示す経常収支は、1996年1月以来13年ぶりの赤字となった。赤字額は1728億円で、比較可能な1985年1月以降で最大。輸出が大幅に落ち込んで貿易赤字額が膨らんだことに加え、海外から得る投資の稼ぎも円高や国際的な金利低下で大きく減ったことが響いた。
経常赤字になったのは85年1月以降では4回目。1月は正月休みの影響で輸出額が減り、例年経常収支が落ち込む傾向がある。米欧の金融危機による景気低迷が、貿易と投資を通じ、日本経済に悪影響を与えている姿が鮮明になった。
途上国、最大69兆円の不足 09年世銀見通し
【ワシントン=大隅隆】世界銀行は8日、約130の発展途上国が2009年に2700億―7000億ドル(約26兆―69兆円)の資金不足に直面するとの見通しを発表した。経済・金融危機の影響で投資家が途上国から資金を引き揚げているのが主因。
世銀によると世界経済は今年、戦後初のマイナス成長に陥る可能性が高い。世界貿易も1929年の大恐慌以来「80年ぶりの落ち込みになる」見通しで、経済基盤が弱い途上国に深刻な影響が広がる公算が大きい。
資金不足額はアフリカ、アジアなど129カ国の官民債務に貿易赤字額も加味して算出した。自力で不足分を調達できるのは4分の1程度の国に限られる見込み。
ニコニコ党首討論シリーズ、第2弾は日本共産党の志位委員長
動画共有サービス「ニコニコ動画(ββ)」を運営するニワンゴは9日、「ニコニコ党首討論シリーズ」の第2弾として、日本共産党の志位和夫委員長が出演すると発表した。3月12日20時より、「ニコニコ生放送」を通じて配信する。
ニコニコ党首討論シリーズは、ニコニコ動画のコメント機能を使って、政党の党首とニコニコ動画ユーザーが討論していくコンテンツ。3月6日に実施された第1回では、社民党の福島みずほ党首が出演した。
新興国に価格抑え「専用機種」 富士フイルムはデジカメ1万円
日本の大手企業が新興国市場の開拓を狙って、価格を大幅に引き下げた専用機種の開発に相次ぎ乗り出した。富士フイルムは機能の絞り込みなどで価格を100ドル(約9700円)以下に抑えたデジタルカメラを開発、2009年中にアジアや南米で発売する。パナソニックやホンダもそれぞれの製品分野で新興国専用モデルの開発を急いでいる。日米欧向け製品をベースに世界市場を開拓する従来の戦略を転換、増大する新興国の中間層をいち早く獲得する。
富士フイルムが商品化するのはコンパクト型で、性能を左右する画像センサーに汎用品を採用するなど機能を大幅に絞る。中国に部品購買組織を新設して調達先をゼロから見直すほか、海外メーカーに生産委託するなどして日本の半分以下の価格でも収益を確保できる体制を整える。新興国で蓄積した低コスト生産の手法を先進国向け製品に転用し、価格競争力を高める狙いもある。
米大手銀の破綻処理論が浮上 共和党、税金投入拡大を懸念
【ワシントン=米山雄介】米共和党内で8日、米大手銀行の破綻処理論が浮上した。公的資金注入を繰り返しているにもかかわらず、金融不安が一向に解消しないためだ。オバマ政権が景気回復や医療制度改革へ多額の財政支出を打ち出す中、金融安定化などへの税金投入が一段と膨張することへの警戒感が背景にある。自動車大手2社への追加融資にも反対しており、政府支援の是非を巡る議論が議会で高まりそうだ。
米上院銀行委員会の重鎮であるシェルビー議員(共和)は8日、ABCテレビに出演し「われわれの懸念は(金融安定化の)公的資金枠が第2、第3へと増えることだ」と指摘。資本不足懸念のある大手米銀について「閉鎖して業務停止にすべきだ」と述べた。特定の銀行名に言及することは避けたが、3度目の政府支援を受けたシティグループが破綻処理の念頭にあるのかとの問いに「シティは常に問題児だ」と答えた。
大統領選を戦ったマケイン上院議員(共和)も同日、FOXテレビで「銀行を破綻処理するという厳しい決断を下していない」とオバマ政権の政策運営を批判した。
2011年以降、携帯電話やカーナビなどの移動体端末向けに始まる「マルチメディア放送」をめぐり、事業化を目指す各陣営の動きが活発化してきた。NTTドコモは、フジテレビジョンなど4社と均等に出資した事業会社の株式の過半数を取得。放送波と通信波を組み合わせ、利用者の好みの番組を配信するサービスの開始を目指す。KDDI陣営も今秋に、ニュースなどの配信実験を開始。ラジオ局陣営も108社が集まり、新組織を立ち上げた。各陣営とも新たな収益源として期待するが、高機能端末の普及が前提になるなど「順調に立ち上がるかは微妙」(通信業界)との見方もある。
≪ドコモの戦略≫
11年7月にテレビのアナログ放送が終了し、デジタル方式に切り替わるのに伴い、特定の周波数帯の電波に空きが出る。携帯向けマルチメディア放送は、この空いた部分を利用し、携帯端末に音声や動画を配信するサービス。大きく2種類の周波数帯が提供され、一つがテレビ、もう一つがラジオを軸にしたサービスが始まる予定だ。テレビ中心のサービスでは、NTTドコモ、KDDIが異なる技術規格を提唱しており、来夏に総務省が与える事業免許の争奪戦が起こると予想されている。
「ISDB-Tmm」と呼ばれる技術規格でサービス開始を目指すNTTドコモは今年1月、フジテレビや伊藤忠商事などと各20%出資し、06年に設立した事業会社「マルチメディア放送」の増資を通じ、過半数に当たる51%の株式を取得した。「主導的に技術・サービスの開発を進める」(同社)のが狙い。併せて日本テレビ、TBS、テレビ朝日の3局もそれぞれ3.8%出資し、民放各社がバックアップする態勢も整った。
サービスの姿も見えつつある。NTTドコモの新事業アライアンス担当部長で、同社の社長も務める石川昌行氏は「99.5%は放送波を使い利用者の好みに合わせた番組を自動配信し、端末に蓄積して好きな時間に視聴可能にする。残りの0.5%は携帯電話向けの次世代高速無線通信によって、リアルタイムで番組を視聴できるようにする」と明かす。
利用者の好みを推測するドコモの技術と組み合わせ「提案型」の放送も計画している。料金は月額数百円程度になる見込みで「ワンセグ以上に普遍的なサービスを目指す」(石川氏)考えだ。収益はコンテンツを提供する放送局と分け合う方針でテレビ局にとっても新たな収益源として期待がかかる。
≪KDDIは米方式≫
同じくテレビ分野で競合するKDDIは米クアルコムと共同で「メディアフロージャパン企画」を設立した。
同社が推進するのは、すでに米国で商用化されている「メディアフロー」と呼ばれるテレビ放送方式。端末機器メーカーにとっては「端末を日本だけでなく海外でも販売がしやすくなる」(増田和彦社長)メリットがある。4月以降、実際に放送を流す実証実験を沖縄県で実施。秋には携帯に専用ソフトを搭載し、ニュースや株価情報などの配信実験を行う予定だ。
◇
■高機能端末の普及カギ
マルチメディア放送への期待感は大きいものの、テレビ放送方式をはじめとして、先行きが読みにくいのも事実。このためソフトバンクが設立した「モバイルメディア企画」は当初、KDDI陣営が推すメディアフローを選択したものの昨年末、ISDBに変更した。
ラジオ事業者も具体的に動き出したが、緒に就いた段階だ。
エフエム東京、ニッポン放送、NHK、三井物産など108社は2月20日、「デジタルラジオ」の開始に向け、受信端末の技術仕様を策定する協議会を設立した。ラジオ陣営は携帯電話だけでなく、カーナビや携帯音楽プレーヤーなどへの配信も視野に入れて準備を進めている。しかし、参加企業が多く「端末に搭載する機能などで各社の意見が異なっている」(NHKの黒田徹総合企画室統括担当部長)のが現状。まず、サービス内容を明確にするなど、足並みをそろえる必要に迫られている。
マルチメディア放送に期待が集まる背景には、ワンセグ放送対応携帯電話が普及し、携帯をテレビ代わりに利用する生活スタイルが広がっていることがある。携帯電話事業者にも、マルチメディア放送はデータ通信料の新たな収益源に映る。
調査会社のシード・プランニングが昨年、ワンセグ放送受信者向けに実施した調査によると、有料でも見たい携帯向け映像配信サービスは「映画」(全体の53.9%)、「多チャンネルサービス」(48%)、「好みの登録番組の自動蓄積サービス」(32.7%)など。好みの番組を視聴できるサービスへのニーズが、意外に多いことが分かる。
ただ、映像蓄積型サービスは膨大な量のデータを扱う関係上、従来にない高機能端末を開発する必要がある。景気悪化などを受け高額端末は敬遠される傾向が強く、高価な新端末への支持が得られるかの判断は、現段階では難しい。
さらに、基地局整備には数百億円規模の資金が必要とされる。事業の採算性も含め解決すべき課題が山積しているのが実態だ。
WBC日韓戦、瞬間最高視聴率は46・3%
日本が韓国にコールド勝ちし、2次ラウンド進出を決めた7日のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の平均視聴率(テレビ朝日、関東地区)が37・8%だったことが9日、ビデオリサーチ社の調べで分かった。
瞬間最高視聴率は午後8時55分の46・3%で、四回裏、松坂大輔投手が、韓国打線から三つ目のアウトを取った場面だった。
WBC:日本が再び韓国と激突 先発は安定感抜群の岩隈 右打者が好調の日本、1位通過なるか
野球の国・地域別対抗戦、第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次ラウンドA組は9日、日本と韓国によるA組1位決定戦が午後6時半から東京ドームで行われる。先発投手は、日本が岩隈(楽天)、韓国は元大リーガーの左腕・奉重根。日本は既に1次ラウンド突破を決めているが、1位通過ならB組2位、2位ならB組1位と2次ラウンドの対戦相手が異なってくるため、重要な試合だ。
韓国の先発は当初予想された柳賢振ではなく奉重根となった。191センチの大型本格派左腕だが制球に苦しむことがあり、韓国プロ野球で昨シーズンは被本塁打13本と、安定感では金広鉉や柳賢振には劣る。7日の韓国戦と同じオーダーの可能性が高い日本は、大活躍した村田、内川(ともに横浜)にくわえ、中島(西武)、城島(マリナーズ)も3安打と右打者がそろって好調。ボールを見極めて好球必打で臨みたい。
日経平均、終値7086円 バブル後安値更新、26年5カ月ぶり低水準
9日の東京株式市場で日経平均株価は続落。大引けは前週末比87円07銭(1.21%)安の7086円03銭と2008年10月27日のバブル後安値を下回り、1982年10月6日(6974円35銭)以来、26年5カ月ぶりの安値水準に落ち込んだ。景気低迷の長期化懸念や、欧米の金融問題を嫌気した売りに押された。アジアなどを含む世界的な株式相場の先行き不透明感が強く、リスク資産である株式の保有比率を引き下げる持ち高調整の売りも続いた。東証株価指数(TOPIX)も続落。大引けは前週末比10.86ポイント(1.51%)安の710.53と前週末に続いてバブル後安値を更新し、82年12月以来、25年3カ月ぶりに安値水準となった。
東証1部の売買代金は概算で1兆1125億円、売買高は同17億3760万株だった。値下がり銘柄数は全体の約64%に当たる1088、値上がりは同29%の497、変わらずは125だった。
1月の経常収支、13年ぶり赤字 1728億円
財務省が9日発表した2009年1月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資など全体の取引状況を示す経常収支は、1996年1月以来13年ぶりの赤字となった。赤字額は1728億円で、比較可能な1985年1月以降で最大。輸出が大幅に落ち込んで貿易赤字額が膨らんだことに加え、海外から得る投資の稼ぎも円高や国際的な金利低下で大きく減ったことが響いた。
経常赤字になったのは85年1月以降では4回目。1月は正月休みの影響で輸出額が減り、例年経常収支が落ち込む傾向がある。米欧の金融危機による景気低迷が、貿易と投資を通じ、日本経済に悪影響を与えている姿が鮮明になった。
途上国、最大69兆円の不足 09年世銀見通し
【ワシントン=大隅隆】世界銀行は8日、約130の発展途上国が2009年に2700億―7000億ドル(約26兆―69兆円)の資金不足に直面するとの見通しを発表した。経済・金融危機の影響で投資家が途上国から資金を引き揚げているのが主因。
世銀によると世界経済は今年、戦後初のマイナス成長に陥る可能性が高い。世界貿易も1929年の大恐慌以来「80年ぶりの落ち込みになる」見通しで、経済基盤が弱い途上国に深刻な影響が広がる公算が大きい。
資金不足額はアフリカ、アジアなど129カ国の官民債務に貿易赤字額も加味して算出した。自力で不足分を調達できるのは4分の1程度の国に限られる見込み。
ニコニコ党首討論シリーズ、第2弾は日本共産党の志位委員長
動画共有サービス「ニコニコ動画(ββ)」を運営するニワンゴは9日、「ニコニコ党首討論シリーズ」の第2弾として、日本共産党の志位和夫委員長が出演すると発表した。3月12日20時より、「ニコニコ生放送」を通じて配信する。
ニコニコ党首討論シリーズは、ニコニコ動画のコメント機能を使って、政党の党首とニコニコ動画ユーザーが討論していくコンテンツ。3月6日に実施された第1回では、社民党の福島みずほ党首が出演した。
新興国に価格抑え「専用機種」 富士フイルムはデジカメ1万円
日本の大手企業が新興国市場の開拓を狙って、価格を大幅に引き下げた専用機種の開発に相次ぎ乗り出した。富士フイルムは機能の絞り込みなどで価格を100ドル(約9700円)以下に抑えたデジタルカメラを開発、2009年中にアジアや南米で発売する。パナソニックやホンダもそれぞれの製品分野で新興国専用モデルの開発を急いでいる。日米欧向け製品をベースに世界市場を開拓する従来の戦略を転換、増大する新興国の中間層をいち早く獲得する。
富士フイルムが商品化するのはコンパクト型で、性能を左右する画像センサーに汎用品を採用するなど機能を大幅に絞る。中国に部品購買組織を新設して調達先をゼロから見直すほか、海外メーカーに生産委託するなどして日本の半分以下の価格でも収益を確保できる体制を整える。新興国で蓄積した低コスト生産の手法を先進国向け製品に転用し、価格競争力を高める狙いもある。
米大手銀の破綻処理論が浮上 共和党、税金投入拡大を懸念
【ワシントン=米山雄介】米共和党内で8日、米大手銀行の破綻処理論が浮上した。公的資金注入を繰り返しているにもかかわらず、金融不安が一向に解消しないためだ。オバマ政権が景気回復や医療制度改革へ多額の財政支出を打ち出す中、金融安定化などへの税金投入が一段と膨張することへの警戒感が背景にある。自動車大手2社への追加融資にも反対しており、政府支援の是非を巡る議論が議会で高まりそうだ。
米上院銀行委員会の重鎮であるシェルビー議員(共和)は8日、ABCテレビに出演し「われわれの懸念は(金融安定化の)公的資金枠が第2、第3へと増えることだ」と指摘。資本不足懸念のある大手米銀について「閉鎖して業務停止にすべきだ」と述べた。特定の銀行名に言及することは避けたが、3度目の政府支援を受けたシティグループが破綻処理の念頭にあるのかとの問いに「シティは常に問題児だ」と答えた。
大統領選を戦ったマケイン上院議員(共和)も同日、FOXテレビで「銀行を破綻処理するという厳しい決断を下していない」とオバマ政権の政策運営を批判した。
小沢代表「辞任を」53%、8割「説明納得できず」読売調査
民主党の小沢代表の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件を受け、小沢氏が党代表を辞任すべきだと思う人は53%に上り、その必要はないと思う人の36%を大きく上回っていることが、読売新聞社の全国世論調査(6~8日実施、電話方式)でわかった。
◆麻生内閣支持率は続落…17・4%◆
民主党支持率は23・8%と前回から4・5ポイント下落した。一方、麻生内閣支持率は17・4%(前回19・7%)と続落し、自民党支持率も24・1%(同26・8%)に落ちた。小沢民主党への有権者の視線は一転して厳しくなったが、政府・与党も反転攻勢のきっかけはつかめていないようだ。
「麻生首相と小沢代表のどちらが首相にふさわしいか」では、小沢氏を挙げた人は35%(同40%)に減った。麻生氏は26%(同24%)に微増したが、進退が問われる小沢氏を今回も下回った。どちらとも答えなかった人は38%に上り、「両氏ともに選べない」と考える有権者が最も多くなった。
定額給付金などの財源を確保する2008年度第2次補正予算関連法成立など、政府・与党は景気対策で前進を見せたものの、内閣不支持率は74・8%(同72・4%)とさらに悪化した。2月下旬の麻生首相とオバマ大統領との日米首脳会談についても、「評価しない」59%が「評価する」33%を大きく上回った。
民主「敵失」でも内閣支持率低迷…首相の資質に疑問根強く
読売新聞世論調査では、麻生内閣の支持率は17・4%と約2ポイント低下し、低迷に歯止めをかけられなかった。
民主党が小沢代表の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件で支持率を4・5ポイント減らしたにもかかわらず、減少分を支持につなげられなかった。首相へのふさわしさに関する質問でも、首相は26%と、小沢氏になお10ポイント近く引き離されている。「麻生首相では衆院選を戦えない」との声が一段と強まることが予想される。
自民党の細田幹事長は8日、2月中旬の中川昭一前財務・金融相の辞任が支持率低下につながったとの見方を示し、「一度だいぶ下がってから(定額給付金支給などで)上がったのだろう」と回復基調にあるとの見方を示した。その上で「着実に景気対策をやるのみだ。定額給付金を評価する声も増えており、これから支持率は上がる」と強調した。河村官房長官も「前財務相の失態などをずっと引きずっているのだろう」と指摘した。
だが、今回の調査では内閣支持率だけでなく、自民党の支持率も24・1%と前月比で3ポイント近く落とした。朝日新聞、共同通信が8日まとめた世論調査でも内閣支持率はそれぞれ14%、16%で低迷している。
党内には「支持率低迷は、首相の資質による部分が大きく、上げるのは難しい」(若手)との見方が根強く、「麻生降ろし」がくすぶる状況に変わりはなさそうだ。閣僚経験者は「小沢氏が代表を辞任すれば、当然、麻生首相も代えろという話になる」と語った。
さらに、西松建設の違法献金事件で、二階経済産業相の関連政治団体が捜査対象になる可能性が高まっていることも懸念材料だ。
同党の尾辻参院議員会長は8日、「政治に対する不信感が数字に如実に出た。自民党の方にも事件が進展すれば、自民、民主両党ともに数字を大きく下げ続けるだろう」と語った。
民主の「小沢離れ」進む、鳩山幹事長も進退問題に言及
民主党の小沢代表の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件に関し、小沢氏の代表辞任を求める声が大きいことが8日、読売新聞社の全国世論調査で明らかになり、党内の「小沢離れ」は一層進む見通しだ。
鳩山幹事長は8日のNHK番組で「進退問題が浮上しないと言い切るつもりはない。新たな事実が判明したら新たな展開になる」と述べ、捜査の進展によっては小沢氏の代表辞任もあり得るとの認識を示した。さらに、事件に対する小沢氏の説明について「国民は『説明責任を果たしている』とは思っていない」と指摘した。
鳩山氏はこれまで、小沢氏の代表辞任を強く否定してきたが、次期衆院選への影響を懸念する声を受け、世論に配慮する姿勢を明確にしたものとみられる。
鳩山氏の発言に関連し、党幹部は「収賄やあっせん利得などの疑いが出てきたときは厳しい」と語った。
小沢氏は疑惑を否定しているものの、調査結果は世論が納得していないことを示しており、民主党内の危機感は強い。小沢氏は10日の党常任幹事会で改めて事件への対応を説明する方針だが、「ここまで世論の批判が高まると、小沢氏を守るより党を守らなければならない」(中堅衆院議員)との声も出ている。
正社員の退職募集2万人 08年秋以降、倒産で失職は4万7000人
米金融危機が深刻化した昨年9月以降、正社員を対象に希望退職の募集に踏み切った上場企業が117社に達し、募集人数が合わせて約2万人に上っていることが日本経済新聞の集計で明らかになった。同時期に勤務先の倒産で職を失った人も4万7000人いた。厚生労働省の調べでは昨秋から3月末までに非正規従業員15万人以上が失職する見通しだが、雇用調整の動きは正社員にも及んできた。比較的所得の高い正社員の雇用減少が進めば、景気の先行きにも影響を与えそうだ。
上場企業が発表した希望退職の募集計画を個別に拾って集計した。昨年9月からほぼ半年間の募集数は計1万9953人。このうち5200人余りが既に応募し、退職が決まっている。東京商工リサーチによると、直近で希望退職の募集が最も多かったのは2002年の200社、2万8000人だった。半年で117社、2万人という今回の募集規模はかなりの高水準といえる。
歓迎!中国家族ご一行、「観光ビザ」緩和へ…警察など難色
観光庁は、中国人向けの「家族観光ビザ」の発給条件を緩和する方針を固めた。
中国からの観光客を増やして内需拡大につなげるのが狙いだ。10日の経済財政諮問会議に提出する景気対策案に盛り込む。観光庁は早ければ2009年度中にも実施したい考えだ。
具体的には、添乗員2人の同行を義務付けている厳しい発給条件を改め、保証金を用意させるなどの新しい発給条件を検討している。
08年3月から中国人の家族観光ビザの発給が始まり、2~3人での旅行が可能となった。00年には5人以上の団体観光ビザが地域を限定して解禁され、05年以降は地域制限もなくした。
07年の中国人の訪日旅行者数は、前年比16・1%増の94万人で、アメリカを抜いて3位となった。ただ、大部分は団体客で、富裕層などの家族観光は伸び悩んでいる。
自動車買い替え補助、欧州で広がる 新車販売に後押し効果
【ロンドン=清水泰雅】古い自動車を廃棄して新車に買い替える際に、政府が一定額を支援する制度が欧州で広がっている。フランス、ドイツなどに加え、4月にオーストリアが開始する見込みで、少なくとも7カ国が導入する。不振が続く新車販売のてこ入れ策として効果を上げ始めている。英米でも業界が要求している。
ドイツは1月末、9年以上使用した自動車を廃棄処分にし新車を購入した場合、政府が2500ユーロ(約30万円)を支払う制度を導入した。直後から申請が殺到し、2月の新車販売は前年同月比22%増と7カ月ぶりに増加に転じた。
オーストリアは今月11日の議会承認を経て、正式に導入が決まる見込み。昨年12月に初めて導入したフランスの場合、新たに購入する新車は走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量が160グラム未満であることを条件とし、環境対策も兼ねている。
変額年金、撤退や縮小広がる 銀行窓販ブレーキ
運用成績によって受取額が変わる変額年金で、保険会社の撤退や縮小の動きが広がってきた。銀行などの窓口販売の主力として急拡大した商品だが、三井生命保険が販売を全面休止するなど積極姿勢が一気に後退。運用環境の悪化でリスク負担が膨らんだためで、老後の生活資金のための民間保険商品がまず打撃を受けた格好だ。経済危機でそのほかの金融商品にも逆風が強まっており、家計の将来設計の厳しさが増している。
変額年金は顧客から預かった保険料を保険会社が株式や債券などで運用し、その成績に応じて受取額が変わる商品。2002年に銀行窓口での販売が認められて以降、新たな戦略商品との位置づけで主要生保や新興生保、外資系生保などが顧客への売り込みを競ってきた。契約残高は17兆円近くに達している。
コマツ、北米の組み立て工場半減 建機・産業車両
コマツは北米の生産体制を再編する。今年末までに現在6カ所にある建設機械や産業車両の組み立て工場を3カ所に半減する。同じく閉鎖を決めた部品再生工場などを含めると、北米の生産拠点数は9から5に減る。官民向けともに土木建設需要が低迷している北米市場は中国などに比べて回復が遅れる見通し。コマツは国内でも大幅な生産調整を実施しており、世界規模で固定費削減に踏み切る。
今年9月末にはカナダのケベック州にあり、土砂運搬などに使うホイールローダーを生産する「キャンディアック工場」(カナダケベック州)を閉鎖する。フォークリフトを生産する「米国コマツフォークリフト」(ジョージア州)の工場も12月に閉鎖。両工場の生産はニューベリー工場(サウスカロライナ州)に一部設備を含め全面移管する計画だ。林業機械の「コマツフォレストLLC」については既に閉鎖を表明している。
【産経主張】東京大空襲 「勝者の罪」も検証しよう
3月10日は、東京の下町一帯が米軍のB29の無差別爆撃を受け、10万人が死亡した東京大空襲から64年目の命日にあたる。広島、長崎の原爆の日(8月6日と9日)とともに、多くの非戦闘員が犠牲になった日として、忘れてはならない日だ。改めて犠牲者の冥福を祈りたい。
日本が頻繁に空襲を受けるようになったのは昭和19年夏、サイパン、テニアンなどを失い、本土がB29の行動圏内に入ってからである。当初は軍事施設を狙った精密爆撃が中心だったが、昭和20年1月、米極東空軍司令官に着任したカーチス・ルメイ少将は、木造の住宅密集地を標的にした無差別爆撃に切り替えた。
それは、まず爆撃目標地域の周囲に焼夷(しょうい)弾を投下し、逃げ道をふさいだうえで絨毯(じゅうたん)爆撃を加える方法だった。無差別爆撃は東京大空襲の後も、名古屋や大阪などの大都市や地方都市に加えられ、犠牲者総数は50万人を超えた。
1922年、ハーグで日米英などの法律家委員会が作成した「空戦に関する規則(24条)」は未発効ではあったが、軍隊や軍事施設以外の目標への爆撃を禁止していた。当時の米政府は「戦争終結を早めるため」と正当化したが、日本の敗色が濃厚な時期に、非人道的な無差別爆撃が本当に必要だったのか、極めて疑問である。
昨年、BC級戦犯裁判でB29の搭乗員を処刑した罪に問われた岡田資中将の法廷闘争を描いた映画「明日への遺言」が上映され、大きな反響を呼んだ。この映画は無差別爆撃の非人道性を問いかけた作品で、この問題に関する国民の関心の高さを物語っている。
近年、ヨーロッパでも、第二次大戦中の戦勝国の非人道的な行為を検証しようという試みが始まっている。
東京大空襲の1カ月前の1945年2月、ドイツの古都、ドレスデンが米英空軍の無差別爆撃を受け、数万人の一般市民が死亡したといわれる。戦後、ドレスデンは東独に属し、ホロコーストへの負い目もあって、連合国への批判が控えられてきたが、60周年にあたる2005年2月の式典では、5万人の市民がロウソクをともし、犠牲者を追悼した。
戦争はいつの時代も、勝者の側から見た歴史だけが語られがちである。だが、敗者の側から“勝者の戦争犯罪”を検証することも大切である。
民主党の小沢代表の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件を受け、小沢氏が党代表を辞任すべきだと思う人は53%に上り、その必要はないと思う人の36%を大きく上回っていることが、読売新聞社の全国世論調査(6~8日実施、電話方式)でわかった。
◆麻生内閣支持率は続落…17・4%◆
民主党支持率は23・8%と前回から4・5ポイント下落した。一方、麻生内閣支持率は17・4%(前回19・7%)と続落し、自民党支持率も24・1%(同26・8%)に落ちた。小沢民主党への有権者の視線は一転して厳しくなったが、政府・与党も反転攻勢のきっかけはつかめていないようだ。
「麻生首相と小沢代表のどちらが首相にふさわしいか」では、小沢氏を挙げた人は35%(同40%)に減った。麻生氏は26%(同24%)に微増したが、進退が問われる小沢氏を今回も下回った。どちらとも答えなかった人は38%に上り、「両氏ともに選べない」と考える有権者が最も多くなった。
定額給付金などの財源を確保する2008年度第2次補正予算関連法成立など、政府・与党は景気対策で前進を見せたものの、内閣不支持率は74・8%(同72・4%)とさらに悪化した。2月下旬の麻生首相とオバマ大統領との日米首脳会談についても、「評価しない」59%が「評価する」33%を大きく上回った。
民主「敵失」でも内閣支持率低迷…首相の資質に疑問根強く
読売新聞世論調査では、麻生内閣の支持率は17・4%と約2ポイント低下し、低迷に歯止めをかけられなかった。
民主党が小沢代表の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件で支持率を4・5ポイント減らしたにもかかわらず、減少分を支持につなげられなかった。首相へのふさわしさに関する質問でも、首相は26%と、小沢氏になお10ポイント近く引き離されている。「麻生首相では衆院選を戦えない」との声が一段と強まることが予想される。
自民党の細田幹事長は8日、2月中旬の中川昭一前財務・金融相の辞任が支持率低下につながったとの見方を示し、「一度だいぶ下がってから(定額給付金支給などで)上がったのだろう」と回復基調にあるとの見方を示した。その上で「着実に景気対策をやるのみだ。定額給付金を評価する声も増えており、これから支持率は上がる」と強調した。河村官房長官も「前財務相の失態などをずっと引きずっているのだろう」と指摘した。
だが、今回の調査では内閣支持率だけでなく、自民党の支持率も24・1%と前月比で3ポイント近く落とした。朝日新聞、共同通信が8日まとめた世論調査でも内閣支持率はそれぞれ14%、16%で低迷している。
党内には「支持率低迷は、首相の資質による部分が大きく、上げるのは難しい」(若手)との見方が根強く、「麻生降ろし」がくすぶる状況に変わりはなさそうだ。閣僚経験者は「小沢氏が代表を辞任すれば、当然、麻生首相も代えろという話になる」と語った。
さらに、西松建設の違法献金事件で、二階経済産業相の関連政治団体が捜査対象になる可能性が高まっていることも懸念材料だ。
同党の尾辻参院議員会長は8日、「政治に対する不信感が数字に如実に出た。自民党の方にも事件が進展すれば、自民、民主両党ともに数字を大きく下げ続けるだろう」と語った。
民主の「小沢離れ」進む、鳩山幹事長も進退問題に言及
民主党の小沢代表の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件に関し、小沢氏の代表辞任を求める声が大きいことが8日、読売新聞社の全国世論調査で明らかになり、党内の「小沢離れ」は一層進む見通しだ。
鳩山幹事長は8日のNHK番組で「進退問題が浮上しないと言い切るつもりはない。新たな事実が判明したら新たな展開になる」と述べ、捜査の進展によっては小沢氏の代表辞任もあり得るとの認識を示した。さらに、事件に対する小沢氏の説明について「国民は『説明責任を果たしている』とは思っていない」と指摘した。
鳩山氏はこれまで、小沢氏の代表辞任を強く否定してきたが、次期衆院選への影響を懸念する声を受け、世論に配慮する姿勢を明確にしたものとみられる。
鳩山氏の発言に関連し、党幹部は「収賄やあっせん利得などの疑いが出てきたときは厳しい」と語った。
小沢氏は疑惑を否定しているものの、調査結果は世論が納得していないことを示しており、民主党内の危機感は強い。小沢氏は10日の党常任幹事会で改めて事件への対応を説明する方針だが、「ここまで世論の批判が高まると、小沢氏を守るより党を守らなければならない」(中堅衆院議員)との声も出ている。
正社員の退職募集2万人 08年秋以降、倒産で失職は4万7000人
米金融危機が深刻化した昨年9月以降、正社員を対象に希望退職の募集に踏み切った上場企業が117社に達し、募集人数が合わせて約2万人に上っていることが日本経済新聞の集計で明らかになった。同時期に勤務先の倒産で職を失った人も4万7000人いた。厚生労働省の調べでは昨秋から3月末までに非正規従業員15万人以上が失職する見通しだが、雇用調整の動きは正社員にも及んできた。比較的所得の高い正社員の雇用減少が進めば、景気の先行きにも影響を与えそうだ。
上場企業が発表した希望退職の募集計画を個別に拾って集計した。昨年9月からほぼ半年間の募集数は計1万9953人。このうち5200人余りが既に応募し、退職が決まっている。東京商工リサーチによると、直近で希望退職の募集が最も多かったのは2002年の200社、2万8000人だった。半年で117社、2万人という今回の募集規模はかなりの高水準といえる。
歓迎!中国家族ご一行、「観光ビザ」緩和へ…警察など難色
観光庁は、中国人向けの「家族観光ビザ」の発給条件を緩和する方針を固めた。
中国からの観光客を増やして内需拡大につなげるのが狙いだ。10日の経済財政諮問会議に提出する景気対策案に盛り込む。観光庁は早ければ2009年度中にも実施したい考えだ。
具体的には、添乗員2人の同行を義務付けている厳しい発給条件を改め、保証金を用意させるなどの新しい発給条件を検討している。
08年3月から中国人の家族観光ビザの発給が始まり、2~3人での旅行が可能となった。00年には5人以上の団体観光ビザが地域を限定して解禁され、05年以降は地域制限もなくした。
07年の中国人の訪日旅行者数は、前年比16・1%増の94万人で、アメリカを抜いて3位となった。ただ、大部分は団体客で、富裕層などの家族観光は伸び悩んでいる。
自動車買い替え補助、欧州で広がる 新車販売に後押し効果
【ロンドン=清水泰雅】古い自動車を廃棄して新車に買い替える際に、政府が一定額を支援する制度が欧州で広がっている。フランス、ドイツなどに加え、4月にオーストリアが開始する見込みで、少なくとも7カ国が導入する。不振が続く新車販売のてこ入れ策として効果を上げ始めている。英米でも業界が要求している。
ドイツは1月末、9年以上使用した自動車を廃棄処分にし新車を購入した場合、政府が2500ユーロ(約30万円)を支払う制度を導入した。直後から申請が殺到し、2月の新車販売は前年同月比22%増と7カ月ぶりに増加に転じた。
オーストリアは今月11日の議会承認を経て、正式に導入が決まる見込み。昨年12月に初めて導入したフランスの場合、新たに購入する新車は走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量が160グラム未満であることを条件とし、環境対策も兼ねている。
変額年金、撤退や縮小広がる 銀行窓販ブレーキ
運用成績によって受取額が変わる変額年金で、保険会社の撤退や縮小の動きが広がってきた。銀行などの窓口販売の主力として急拡大した商品だが、三井生命保険が販売を全面休止するなど積極姿勢が一気に後退。運用環境の悪化でリスク負担が膨らんだためで、老後の生活資金のための民間保険商品がまず打撃を受けた格好だ。経済危機でそのほかの金融商品にも逆風が強まっており、家計の将来設計の厳しさが増している。
変額年金は顧客から預かった保険料を保険会社が株式や債券などで運用し、その成績に応じて受取額が変わる商品。2002年に銀行窓口での販売が認められて以降、新たな戦略商品との位置づけで主要生保や新興生保、外資系生保などが顧客への売り込みを競ってきた。契約残高は17兆円近くに達している。
コマツ、北米の組み立て工場半減 建機・産業車両
コマツは北米の生産体制を再編する。今年末までに現在6カ所にある建設機械や産業車両の組み立て工場を3カ所に半減する。同じく閉鎖を決めた部品再生工場などを含めると、北米の生産拠点数は9から5に減る。官民向けともに土木建設需要が低迷している北米市場は中国などに比べて回復が遅れる見通し。コマツは国内でも大幅な生産調整を実施しており、世界規模で固定費削減に踏み切る。
今年9月末にはカナダのケベック州にあり、土砂運搬などに使うホイールローダーを生産する「キャンディアック工場」(カナダケベック州)を閉鎖する。フォークリフトを生産する「米国コマツフォークリフト」(ジョージア州)の工場も12月に閉鎖。両工場の生産はニューベリー工場(サウスカロライナ州)に一部設備を含め全面移管する計画だ。林業機械の「コマツフォレストLLC」については既に閉鎖を表明している。
【産経主張】東京大空襲 「勝者の罪」も検証しよう
3月10日は、東京の下町一帯が米軍のB29の無差別爆撃を受け、10万人が死亡した東京大空襲から64年目の命日にあたる。広島、長崎の原爆の日(8月6日と9日)とともに、多くの非戦闘員が犠牲になった日として、忘れてはならない日だ。改めて犠牲者の冥福を祈りたい。
日本が頻繁に空襲を受けるようになったのは昭和19年夏、サイパン、テニアンなどを失い、本土がB29の行動圏内に入ってからである。当初は軍事施設を狙った精密爆撃が中心だったが、昭和20年1月、米極東空軍司令官に着任したカーチス・ルメイ少将は、木造の住宅密集地を標的にした無差別爆撃に切り替えた。
それは、まず爆撃目標地域の周囲に焼夷(しょうい)弾を投下し、逃げ道をふさいだうえで絨毯(じゅうたん)爆撃を加える方法だった。無差別爆撃は東京大空襲の後も、名古屋や大阪などの大都市や地方都市に加えられ、犠牲者総数は50万人を超えた。
1922年、ハーグで日米英などの法律家委員会が作成した「空戦に関する規則(24条)」は未発効ではあったが、軍隊や軍事施設以外の目標への爆撃を禁止していた。当時の米政府は「戦争終結を早めるため」と正当化したが、日本の敗色が濃厚な時期に、非人道的な無差別爆撃が本当に必要だったのか、極めて疑問である。
昨年、BC級戦犯裁判でB29の搭乗員を処刑した罪に問われた岡田資中将の法廷闘争を描いた映画「明日への遺言」が上映され、大きな反響を呼んだ。この映画は無差別爆撃の非人道性を問いかけた作品で、この問題に関する国民の関心の高さを物語っている。
近年、ヨーロッパでも、第二次大戦中の戦勝国の非人道的な行為を検証しようという試みが始まっている。
東京大空襲の1カ月前の1945年2月、ドイツの古都、ドレスデンが米英空軍の無差別爆撃を受け、数万人の一般市民が死亡したといわれる。戦後、ドレスデンは東独に属し、ホロコーストへの負い目もあって、連合国への批判が控えられてきたが、60周年にあたる2005年2月の式典では、5万人の市民がロウソクをともし、犠牲者を追悼した。
戦争はいつの時代も、勝者の側から見た歴史だけが語られがちである。だが、敗者の側から“勝者の戦争犯罪”を検証することも大切である。
新型「PSP2」はiPhoneを超える? ソニーの開発プロジェクトをめぐり、噂が飛び交う(COLUMN1)
すでに新型PSP(プレイステーション・ポータブル)をめぐっては、すでに昨年も様々な噂で盛り上がっているが、このほど、米大手ゲーム情報サイトのIGN.comに、リリースが近づく「PSP2」のリーク情報がアップされた。
複数の信頼できる情報筋が太鼓判を押しているという、PSP2の最大の売りは、まさにiPhoneさながらのマルチタッチインターフェースの実現なのだとか。画面全体を指でタッチしつつ、新感覚のゲームプレイが可能になるとのことで、これは事実ならば、かなり楽しみだ。他の期待したいスペックとしましては、Bluetoothのサポート、GPS機能の搭載、HDDの内蔵などを、ソニーが検討しているのも事実だそうだ。
まぁ当然ながら、それを否定するコメントも出されてはいるのだが、結局のところ、その情報も正式にソニーが発表したものではなく、ソニーに近い情報筋が否定しているといった程度のものなのだ。
もちろん、PSP2の開発計画自体が、まだ噂レベルの域を出ないのですが、今年すぐの発表は難しくとも、いずれは正式リリースを行うべく、PSP2の開発プロジェクトが進行しているのは間違いないのではないかと。ソニー・エリクソンに向かって、半端なPSPケータイなど出すなと締めつけを行ったことからしても、ソニーのPSPにかける思いは、非常に強いものがありそうだ。
「モバイルWiMAX」を東京都内で試してみた 速度・エリアを4社で比較 <COLUMN2>
KDDI系のUQコミュニケーションズは2月26日、高速モバイル通信サービス「UQ WiMAX」を東京23区内と横浜市、川崎市でスタートした。いよいよ日本でも始まった次世代高速無線技術「モバイルWiMAX」の実力とはどれくらいのものなのか。都内各所でエリア、速度の実験を行った。
■東京都内でドコモなどと比較
モバイルWiMAXはスペック値で最高40Mbpsという高速通信が売り物だ。実力を試すため、早速、USB型のデータ通信端末「UD01NA」を入手。都内各地で他社サービスと比較した。ソフトバンクはMVNOのためイーモバイルの数値を参考にしてほしい。
比較対象としたのは、NTTドコモの「FOMAデータ通信」、auの「PacketWINシングル(従量制)」、イー・モバイルの「EMモバイルブロードバンド」の3サービス。NTTドコモとイー・モバイルは下り最大7.2Mbpsの高速通信に対応する端末を選んだ。ソニーの小型ノートパソコン「VAIO type P」を用い、ダウンロード測定サイト「gooスピードテスト」に接続。各所で3回ずつダウンロードして平均値をとった。
■新宿の家電量販店近くは圏外
2月28日、まず向かったのが東京・新宿の家電量販店近くの喫茶店。各社とも家電量販店の店頭にデモ端末を置くため、ネットワーク品質に力を入れている場所だ。
午前11時、窓から3メートルほど離れた座席に陣取った。早速、モバイルWiMAXをつないでみるも「圏外」。他の通信サービスは問題なく接続できる。
キャリア平均速度(Mbps)UQコミュニケーションズ圏外NTTドコモ2.44 au0.61 イー・モバイル2.30
午後5時30分、今度は東京・千代田の地下鉄・神保町駅の都営新宿線のホームで実験を開始した。地下ということもあり、モバイルWiMAXが使えないのは想定済み。ここはNTTドコモとauがきちんと使えることが知りたかったのだ。
予想通り、この2社は地下などでも使えるというのが特徴だ。イー・モバイルは圏外で使えなかった。
キャリア平均速度(Mbps)UQコミュニケーションズ圏外NTTドコモ2.01 au0.64 イー・モバイル圏外
■JR田町駅では平均4.76Mbps!
続いて向かったのがJR田町駅。駅構内で実験した。
モバイルWiMAXは、なんと平均4.76Mbpsという速度をマーク。他社が2メガを超えなかったことを考えるとかなり快適だった。
キャリア平均速度(Mbps)UQコミュニケーションズ4.76 NTTドコモ1.54 au0.63 イー・モバイル1.48
UQコミュニケーションズの株主には東日本旅客鉄道(JR東日本)がいる。UQコミュニケーションズは記者会見でJRの駅構内をエリアにしていくことを明らかにしており、すでに駅には基地局が設置されていると思われる。基地局から近いということもあり、5Mbps近い高速通信が可能だったようだ。
■「微弱」だと1.3Mbps程度
翌3月1日の午前11時、東京・港の表参道交差点にあるファミリーレストラン。繁華街ではあるが、やはりモバイルWiMAXは使えなかった。
キャリア平均速度(Mbps)UQコミュニケーションズ圏外NTTドコモ2.30 au0.62 イー・モバイル3.08
午後2時、東京・新宿の曙橋近くにある自宅にて実験。ここではモバイルWiMAXがきちんと利用できた。しかし、通信速度は1.3Mbps程度。電波状況は「微弱」だった。
キャリア平均速度(Mbps)UQコミュニケーションズ1.33 NTTドコモ2.23 au0.64 イー・モバイル1.78
続いて午後3時、JR四ツ谷駅の総武線のホームで実験を開始。イー・モバイルが3Mbps弱と高速だったが、モバイルWiMAXはさらに上回る平均5Mbps以上をマークした。やはりJR駅構内というのはモバイルWiMAXの強みのようだ。
キャリア平均速度(Mbps)UQコミュニケーションズ5.21 NTTドコモ0.95 au0.64 イー・モバイル2.56
では、高いところはどうなのか。水道橋にあるビルの11階で実験してみた。モバイルWiMAXの電波は不安定で時折、圏外になることもあったが、2Mbps以上を記録した。
キャリア平均速度(Mbps)UQコミュニケーションズ2.20 NTTドコモ1.29 au0.58 イー・モバイル1.95
■やはりエリアはまだこれから
都内各地でモバイルWiMAXを試したが、やはりエリアについてはまだこれからという印象だ。繁華街であっても使えない場所は多い。「現在、500基地局で、将来的には全国で2万基地局を計画している」(UQコミュニケーションズの田中孝司社長)というように、まだ計画の2.5%に過ぎないのだから、当然かもしれない。
ただ、基地局の近くであれば、5Mbps以上の速度で通信が可能となっている。NTTドコモやイー・モバイルのHSDPAサービスではなかなか達成できない数字であるだけに、これは魅力だ。現在、JR駅構内ならば、基地局が設置されている可能性が高いだけに、ユーザーが使う際は駅周辺に陣取るようにするのが確実だろう。
実験前日、27日にもいくつかの場所で接続を試みたのだが、東京・千代田の溜池山王では、場所によって圏外であったり圏内であったりという状況だった。つながった際には1~2Mbps程度の通信速度になった。記者会見の会場でUQの関係者が「基地局から離れたエリアの端では1Mbps程度の通信速度になってしまう」と話していたが、その説明と実際がぴたりと一致した気がした。
電波をつかめば1Mbps、基地局から近ければ5Mbps以上というのがモバイルWiMAXの実力のようだ。
■PC向けデータ通信は各社とも一長一短
他社と比較をしたが、どこでも高速通信が可能だったのがNTTドコモとイー・モバイルだ。auは安定して600kbps程度となっていた。ただし、地下などのエリアではNTTドコモとauに分がある。NTTドコモはエリア、速度ともに魅力だが、一方で、ファイル交換やVoIPなど一部のアプリケーションが使えない。
パソコン向けのモバイル通信サービスは、現状はまだ各社とも一長一短があるといえるようだ。
【東京新聞社説】
週のはじめに考える 血液型では決まらない
2009年3月8日
またぞろ血液型性格診断がはやっています。単なる遊び心だからなどと擁護する人もいるでしょうが、差別や偏見、思考停止につながらないか心配です。
血液型と結婚を結び付けたテレビドラマが先月下旬、四夜連続で放送されました。
A、B、O、ABの四つの血液型の女性をヒロインに結婚への道をコメディータッチで描いた作品です。気になったのは血液型で性格を決定づけていることです。
A型「安定志向」、B型「好奇心旺盛」、O型「おおらか」、AB型「マイペース」といった具合です。典型的な類型化です。
◆ベストセラーに4著書
「血液型による性格診断」が受けたのはドラマだけではありません。昨年の年間ベストセラー(トーハン調べ)十位までの中に血液型による「自分の説明書」と題する書物四冊が入っています。出版した文芸社によると、合計発行部数は五百万部を超えるそうです。
同書に基づくと、四つの血液型の特徴は次のようになります。
A型 神経質な完全主義者であるが、心配過敏性的である
B型 陽気であるが、風変わりで自己中心的である
O型 好奇心が強く寛容であるが、頑固な面もある
AB型 芸術家的であるが、謎めいていて予測がつかない
先のドラマの分類とは少し違っているようです。誰かの血液型と照らして「そうだな」「違うな」などと思う人がいるかもしれません。ちなみに、麻生太郎首相、福田康夫前首相はA型、安倍晋三元首相、小沢一郎民主党代表はB型です。当たっていますか。
こんな血液型性格診断ブームを米誌「NEWS WEEK」電子版(二月一日号)が皮肉っぽく紹介し、こう指摘しています。
「日本では血液型は結婚相談所から職業の決定に至るまで決定的な役割を持ち、いかに科学的に反論しても歯が立たない」
実際に、血液型を結婚の相性テストに使ったり、従業員に仕事を割り当てる場合に利用したりする会社があるそうです。園児のクラス編成に使用する幼稚園もあるといいます。
北京五輪で金メダルを獲得したソフトボールチームが練習する際に、選手の血液型を一つの情報として考慮していたこともエピソードとして挙げられています。
でも、日本でどうしてこれほど血液型性格論がはやるのでしょうか。二〇〇七年秋にNTTナビスペースが「血液型による性格の違いあると思いますか?」という調査をした結果、七万を超す回答者のうち女性の63・1%、男性の47・3%が「ある」と答えました。
◆冗談ではすまない欧米
もともと回答者に血液型占いなどを楽しんでいる人が多かったのでしょうが、驚きの数字です。
血液型と気質の関連を科学的な研究対象にしようとする試みは、昭和の初期から医師や学者によって行われてきましたが、結果的に科学的な差異が認められなかった経緯があります。先の米誌の記事の中で菊池聡信州大准教授(心理学)は、こう言っています。
「血液型は血液中のタンパク質によるものであって、性格とは何ら関係ない。血液型性格論はえせ科学であり、その考えは人間理解の妨げになり、人種差別主義と同じようなものである」
欧米では血液型の話は冗談ではすまされません。第一次世界大戦後のドイツで、ナチスがユダヤ人迫害のスローガンとして「純粋なアーリア人の血をユダヤの血で汚すな」と呼びかけたとされます。「血で人が異なる」という信念が強調され、アウシュビッツにつながる民族大虐殺が行われたことを連想させるからです。
血液型性格論が与える最大の問題点は、人にレッテルを張ったり、決め付けたりすることです。これは差別や偏見の入り口となります。本人の能力や資質とは無関係の論点だからです。
テレビやパソコンサイトで血液型性格論を盛んに伝えるマスメディアの影響も大きいものがあります。こういう情報を頼りにして、深く考えることを避ける傾向が強いのも最近の特徴でしょうか。
◆輸血にしか役立たない
血液型性格論に限りません。ものの見方が単純化し、雑ぱくになった人が増えた感があります。
テレビでクイズ番組が受けるのも、手っ取り早く答えを見つけたい人の多い表れではないでしょうか。
経済危機や政治の混迷を打ち破るには、将来ビジョンを描くリーダーや政治家が欠かせません。
総選挙を前に、それには誰がふさわしいのか、じっくり自分の頭で考えたいものです。血液型は輸血にしか役立ちませんが、人間を見るための判断材料なら山ほどあります。
すでに新型PSP(プレイステーション・ポータブル)をめぐっては、すでに昨年も様々な噂で盛り上がっているが、このほど、米大手ゲーム情報サイトのIGN.comに、リリースが近づく「PSP2」のリーク情報がアップされた。
複数の信頼できる情報筋が太鼓判を押しているという、PSP2の最大の売りは、まさにiPhoneさながらのマルチタッチインターフェースの実現なのだとか。画面全体を指でタッチしつつ、新感覚のゲームプレイが可能になるとのことで、これは事実ならば、かなり楽しみだ。他の期待したいスペックとしましては、Bluetoothのサポート、GPS機能の搭載、HDDの内蔵などを、ソニーが検討しているのも事実だそうだ。
まぁ当然ながら、それを否定するコメントも出されてはいるのだが、結局のところ、その情報も正式にソニーが発表したものではなく、ソニーに近い情報筋が否定しているといった程度のものなのだ。
もちろん、PSP2の開発計画自体が、まだ噂レベルの域を出ないのですが、今年すぐの発表は難しくとも、いずれは正式リリースを行うべく、PSP2の開発プロジェクトが進行しているのは間違いないのではないかと。ソニー・エリクソンに向かって、半端なPSPケータイなど出すなと締めつけを行ったことからしても、ソニーのPSPにかける思いは、非常に強いものがありそうだ。
「モバイルWiMAX」を東京都内で試してみた 速度・エリアを4社で比較 <COLUMN2>
KDDI系のUQコミュニケーションズは2月26日、高速モバイル通信サービス「UQ WiMAX」を東京23区内と横浜市、川崎市でスタートした。いよいよ日本でも始まった次世代高速無線技術「モバイルWiMAX」の実力とはどれくらいのものなのか。都内各所でエリア、速度の実験を行った。
■東京都内でドコモなどと比較
モバイルWiMAXはスペック値で最高40Mbpsという高速通信が売り物だ。実力を試すため、早速、USB型のデータ通信端末「UD01NA」を入手。都内各地で他社サービスと比較した。ソフトバンクはMVNOのためイーモバイルの数値を参考にしてほしい。
比較対象としたのは、NTTドコモの「FOMAデータ通信」、auの「PacketWINシングル(従量制)」、イー・モバイルの「EMモバイルブロードバンド」の3サービス。NTTドコモとイー・モバイルは下り最大7.2Mbpsの高速通信に対応する端末を選んだ。ソニーの小型ノートパソコン「VAIO type P」を用い、ダウンロード測定サイト「gooスピードテスト」に接続。各所で3回ずつダウンロードして平均値をとった。
■新宿の家電量販店近くは圏外
2月28日、まず向かったのが東京・新宿の家電量販店近くの喫茶店。各社とも家電量販店の店頭にデモ端末を置くため、ネットワーク品質に力を入れている場所だ。
午前11時、窓から3メートルほど離れた座席に陣取った。早速、モバイルWiMAXをつないでみるも「圏外」。他の通信サービスは問題なく接続できる。
キャリア平均速度(Mbps)UQコミュニケーションズ圏外NTTドコモ2.44 au0.61 イー・モバイル2.30
午後5時30分、今度は東京・千代田の地下鉄・神保町駅の都営新宿線のホームで実験を開始した。地下ということもあり、モバイルWiMAXが使えないのは想定済み。ここはNTTドコモとauがきちんと使えることが知りたかったのだ。
予想通り、この2社は地下などでも使えるというのが特徴だ。イー・モバイルは圏外で使えなかった。
キャリア平均速度(Mbps)UQコミュニケーションズ圏外NTTドコモ2.01 au0.64 イー・モバイル圏外
■JR田町駅では平均4.76Mbps!
続いて向かったのがJR田町駅。駅構内で実験した。
モバイルWiMAXは、なんと平均4.76Mbpsという速度をマーク。他社が2メガを超えなかったことを考えるとかなり快適だった。
キャリア平均速度(Mbps)UQコミュニケーションズ4.76 NTTドコモ1.54 au0.63 イー・モバイル1.48
UQコミュニケーションズの株主には東日本旅客鉄道(JR東日本)がいる。UQコミュニケーションズは記者会見でJRの駅構内をエリアにしていくことを明らかにしており、すでに駅には基地局が設置されていると思われる。基地局から近いということもあり、5Mbps近い高速通信が可能だったようだ。
■「微弱」だと1.3Mbps程度
翌3月1日の午前11時、東京・港の表参道交差点にあるファミリーレストラン。繁華街ではあるが、やはりモバイルWiMAXは使えなかった。
キャリア平均速度(Mbps)UQコミュニケーションズ圏外NTTドコモ2.30 au0.62 イー・モバイル3.08
午後2時、東京・新宿の曙橋近くにある自宅にて実験。ここではモバイルWiMAXがきちんと利用できた。しかし、通信速度は1.3Mbps程度。電波状況は「微弱」だった。
キャリア平均速度(Mbps)UQコミュニケーションズ1.33 NTTドコモ2.23 au0.64 イー・モバイル1.78
続いて午後3時、JR四ツ谷駅の総武線のホームで実験を開始。イー・モバイルが3Mbps弱と高速だったが、モバイルWiMAXはさらに上回る平均5Mbps以上をマークした。やはりJR駅構内というのはモバイルWiMAXの強みのようだ。
キャリア平均速度(Mbps)UQコミュニケーションズ5.21 NTTドコモ0.95 au0.64 イー・モバイル2.56
では、高いところはどうなのか。水道橋にあるビルの11階で実験してみた。モバイルWiMAXの電波は不安定で時折、圏外になることもあったが、2Mbps以上を記録した。
キャリア平均速度(Mbps)UQコミュニケーションズ2.20 NTTドコモ1.29 au0.58 イー・モバイル1.95
■やはりエリアはまだこれから
都内各地でモバイルWiMAXを試したが、やはりエリアについてはまだこれからという印象だ。繁華街であっても使えない場所は多い。「現在、500基地局で、将来的には全国で2万基地局を計画している」(UQコミュニケーションズの田中孝司社長)というように、まだ計画の2.5%に過ぎないのだから、当然かもしれない。
ただ、基地局の近くであれば、5Mbps以上の速度で通信が可能となっている。NTTドコモやイー・モバイルのHSDPAサービスではなかなか達成できない数字であるだけに、これは魅力だ。現在、JR駅構内ならば、基地局が設置されている可能性が高いだけに、ユーザーが使う際は駅周辺に陣取るようにするのが確実だろう。
実験前日、27日にもいくつかの場所で接続を試みたのだが、東京・千代田の溜池山王では、場所によって圏外であったり圏内であったりという状況だった。つながった際には1~2Mbps程度の通信速度になった。記者会見の会場でUQの関係者が「基地局から離れたエリアの端では1Mbps程度の通信速度になってしまう」と話していたが、その説明と実際がぴたりと一致した気がした。
電波をつかめば1Mbps、基地局から近ければ5Mbps以上というのがモバイルWiMAXの実力のようだ。
■PC向けデータ通信は各社とも一長一短
他社と比較をしたが、どこでも高速通信が可能だったのがNTTドコモとイー・モバイルだ。auは安定して600kbps程度となっていた。ただし、地下などのエリアではNTTドコモとauに分がある。NTTドコモはエリア、速度ともに魅力だが、一方で、ファイル交換やVoIPなど一部のアプリケーションが使えない。
パソコン向けのモバイル通信サービスは、現状はまだ各社とも一長一短があるといえるようだ。
【東京新聞社説】
週のはじめに考える 血液型では決まらない
2009年3月8日
またぞろ血液型性格診断がはやっています。単なる遊び心だからなどと擁護する人もいるでしょうが、差別や偏見、思考停止につながらないか心配です。
血液型と結婚を結び付けたテレビドラマが先月下旬、四夜連続で放送されました。
A、B、O、ABの四つの血液型の女性をヒロインに結婚への道をコメディータッチで描いた作品です。気になったのは血液型で性格を決定づけていることです。
A型「安定志向」、B型「好奇心旺盛」、O型「おおらか」、AB型「マイペース」といった具合です。典型的な類型化です。
◆ベストセラーに4著書
「血液型による性格診断」が受けたのはドラマだけではありません。昨年の年間ベストセラー(トーハン調べ)十位までの中に血液型による「自分の説明書」と題する書物四冊が入っています。出版した文芸社によると、合計発行部数は五百万部を超えるそうです。
同書に基づくと、四つの血液型の特徴は次のようになります。
A型 神経質な完全主義者であるが、心配過敏性的である
B型 陽気であるが、風変わりで自己中心的である
O型 好奇心が強く寛容であるが、頑固な面もある
AB型 芸術家的であるが、謎めいていて予測がつかない
先のドラマの分類とは少し違っているようです。誰かの血液型と照らして「そうだな」「違うな」などと思う人がいるかもしれません。ちなみに、麻生太郎首相、福田康夫前首相はA型、安倍晋三元首相、小沢一郎民主党代表はB型です。当たっていますか。
こんな血液型性格診断ブームを米誌「NEWS WEEK」電子版(二月一日号)が皮肉っぽく紹介し、こう指摘しています。
「日本では血液型は結婚相談所から職業の決定に至るまで決定的な役割を持ち、いかに科学的に反論しても歯が立たない」
実際に、血液型を結婚の相性テストに使ったり、従業員に仕事を割り当てる場合に利用したりする会社があるそうです。園児のクラス編成に使用する幼稚園もあるといいます。
北京五輪で金メダルを獲得したソフトボールチームが練習する際に、選手の血液型を一つの情報として考慮していたこともエピソードとして挙げられています。
でも、日本でどうしてこれほど血液型性格論がはやるのでしょうか。二〇〇七年秋にNTTナビスペースが「血液型による性格の違いあると思いますか?」という調査をした結果、七万を超す回答者のうち女性の63・1%、男性の47・3%が「ある」と答えました。
◆冗談ではすまない欧米
もともと回答者に血液型占いなどを楽しんでいる人が多かったのでしょうが、驚きの数字です。
血液型と気質の関連を科学的な研究対象にしようとする試みは、昭和の初期から医師や学者によって行われてきましたが、結果的に科学的な差異が認められなかった経緯があります。先の米誌の記事の中で菊池聡信州大准教授(心理学)は、こう言っています。
「血液型は血液中のタンパク質によるものであって、性格とは何ら関係ない。血液型性格論はえせ科学であり、その考えは人間理解の妨げになり、人種差別主義と同じようなものである」
欧米では血液型の話は冗談ではすまされません。第一次世界大戦後のドイツで、ナチスがユダヤ人迫害のスローガンとして「純粋なアーリア人の血をユダヤの血で汚すな」と呼びかけたとされます。「血で人が異なる」という信念が強調され、アウシュビッツにつながる民族大虐殺が行われたことを連想させるからです。
血液型性格論が与える最大の問題点は、人にレッテルを張ったり、決め付けたりすることです。これは差別や偏見の入り口となります。本人の能力や資質とは無関係の論点だからです。
テレビやパソコンサイトで血液型性格論を盛んに伝えるマスメディアの影響も大きいものがあります。こういう情報を頼りにして、深く考えることを避ける傾向が強いのも最近の特徴でしょうか。
◆輸血にしか役立たない
血液型性格論に限りません。ものの見方が単純化し、雑ぱくになった人が増えた感があります。
テレビでクイズ番組が受けるのも、手っ取り早く答えを見つけたい人の多い表れではないでしょうか。
経済危機や政治の混迷を打ち破るには、将来ビジョンを描くリーダーや政治家が欠かせません。
総選挙を前に、それには誰がふさわしいのか、じっくり自分の頭で考えたいものです。血液型は輸血にしか役立ちませんが、人間を見るための判断材料なら山ほどあります。
不況でも急伸「ネットブック」,ウィンテル体制に転機(COLUMN)
世界的な景気悪化の影響で多くのIT企業が打撃を受ける中,例外的に急成長を遂げている製品がある。小型・軽量を売りにした低価格ミニノートPC「ネットブック」である。
台湾アスーステック・コンピュータ(ASUS)が2007年秋に発売した「Eee PC」を皮切りに,ほかのPCメーカーも次々とネットブック市場に参入。2007年には全世界で40万台だった販売台数が,2008年には1140万台という驚異的な成長をみせた。
当初は発展途上国向けと考えられていたが,主要なマーケットは米国と欧州だ。2008年のネットブックの販売台数は,あのiPhoneさえも凌駕している。調査会社の米ガートナーは,2012年のネットブック販売台数が5000万台になると予測する。米ABIリサーチの予測はさらに大きく,2013年には1億4000万台になるとしている。
マイクロソフトは戦略変更
ネットブックの登場によって,これまで20年以上にわたってパソコンの世界を支配してきた米マイクロソフトと米インテル,いわゆるウィンテル(Wintel)体制に変化の兆しが見えている。新バージョンが出るたびに高機能化するOSやCPUは,インターネットを閲覧する程度の機能で十分なネットブックにはふさわしくないからだ。
ネットブックでは,低機能CPUでも動作するLinux OSのシェアが約30%もある。通常のPCではLinuxのシェアは1%程度で,Windowsが圧倒的だ。マイクロソフトは,ネットブックの台頭を脅威に感じているだろう。
実際マイクロソフトは,Linuxがネットブックに採用されるのを阻止するため,より低機能なCPUでも動作するWindows XP Home Editionの販売中止予定時期を当初の2008年6月から2010年6月に延期した。さらにはWindows Vistaに次ぐWindowsの次期バージョン「Windows 7」は,ネットブックのような低機能マシンでも安定して動作すると言われている。マイクロソフトが従来製品より機能が少ないOSを出すのは,これが初めてではないか。
インテルと英ARMが対決姿勢
インテルもネットブックの台頭に頭が痛いはずだ。同社のネットブック向けCPU「Atom」は,価格がたったの44ドル。同社の主力CPUで多くのノートPCに採用されるPenrynコアのCore 2 Duoが200ドル以上であるのに比べるともうけははるかに少ない。そのためインテルは2008年第4四半期の売上高予測を10億ドルも引き下げた。
さらに,英ARMがネットブック市場に攻勢をかけている。ARMは携帯電話向けCPUの世界市場で90%の占有率を持つ企業で,同社が設計したARMアーキテクチャをチップ・ベンダーにライセンスしている。米クアルコムや米フリースケールはライセンスを受けて,インテルのAtomよりも安価で電池の持ちが良いCPUを出荷している。
20年間続いてきたマイクロソフトとインテル帝国は,ネットブックの浸透で変貌が避けられないように思う。
雇用調整金4000億円上積み 政府・与党、追加経済対策の柱に
政府・与党は7日、国が企業の休業手当の一部を支援する雇用調整助成金を4000億円以上積み増す方向で調整に入った。今月中旬にもまとめる雇用に関する対策の柱の1つとし、2009年度予算成立後に編成する予定の追加経済対策に盛り込む。景気の悪化による非正規労働者の解雇などに歯止めをかけるため、一段の雇用対策が必要と判断した。
新たな雇用対策は法改正が不要で、迅速に実施できる項目が中心。与党新雇用対策プロジェクトチーム(座長・川崎二郎元厚生労働相)で検討し、大枠を固める。事業規模は1兆円超となる見通し。ただ、与党内には雇用環境の一段の悪化を見込み、規模をさらに拡大すべきだとの意見もある。
英大手銀ロイズ、実質国有化 不良資産36兆円に政府保証
【ロンドン=吉田ありさ】英大手銀ロイズ・バンキング・グループは7日、約2600億ポンド(約36兆円)の不良資産について、将来発生する損失の大半を英政府が肩代わりする資産保証制度の適用を申請すると発表した。また配当負担を軽減するため昨年に政府が引き受けた優先株を普通株に転換することでも合意。英政府の株式保有比率は現在の43%から65%に高まり、実質国有化となる。
英政府の保証制度の適用はロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)に続き2番目。政府が保証する資産から今後生じる損失が250億ポンドを超えると、損失の9割を政府が肩代わりする。ロイズは保証手数料(156億ポンド)として議決権のない株式を政府に発行。政府が将来これを普通株に転換する選択権を実行すれば、保有比率は最大77%まで高まる。ただし議決権は75%を上限とする。
ダイムラー、BMWが株式持ち合い…独誌が提携計画報道
【ロンドン=是枝智】ドイツの自動車大手ダイムラーとBMWが、株式を相互に持ち合う資本・業務提携の検討に入ったと、独週刊誌シュピーゲルが7日報じた。
報道によると、メルセデス・ベンツなどで知られるダイムラーは、BMWの株式の7%を取得することを求めており、代わりに、BMWもダイムラー株を取得する計画という。
業務面でも、小型車の車台の共通化や、部品の共同調達などを行い、コスト削減につなげたい考えだ。ドイツを代表する自動車2社が提携することで、厳しい経営環境を乗り越える狙いとみられる。
GM、欧州3工場閉鎖も
ドイツ週刊誌シュピーゲルは7日、米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)が、ドイツ子会社オペルの車を生産する欧州の3工場の閉鎖を検討していると報じた。GMが支援を要請するためドイツ政府に提出した経営再建案に含まれているという。
報道によると、3工場はドイツのアイゼナハ、ボーフム、ベルギーのアントワープの各工場。閉鎖が実行された場合、GM欧州で働く5万5000千人のうち約20%の雇用が失われる恐れがあるという。
中国、内陸部の景気底堅く 消費増加、沿海部と対照的
中国景気が地方間で異なった様相を示している。輸出依存度が高い沿海部は、外需低迷を受けて景気減速傾向が続く一方、内陸部は都市化を背景に個人消費が堅調だ。ただ沿海部での相次ぐ工場閉鎖を受け、出稼ぎ労働者(農民工)の失業問題も浮上。政権が掲げる8%成長への道筋は確固としたものになっていない。
北京で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は分科会で全31省市ごとに経済政策を議論した。
東芝、排出枠事業に参入 ベトナムで工場のガス削減
東芝は温暖化ガスの排出枠ビジネスに乗り出す。2010年度をメドにベトナムで食品工場の廃液からメタンガスを回収する温暖化ガス削減事業を開始し、得られる排出枠を日本企業などに販売する。排出枠の転売を目的にした海外での排出削減事業は大手商社が手掛けているが、メーカーが参入するのは初めて。需要動向をみて、ベトナム以外の地域への進出も検討する。
ベトナムの食品会社、グエン・ヴー社と合弁で同国南部タイニン省に「東芝クリーン開発サービス・ベトナム」を設立した。資本金は300万ドルで東芝の出資比率は51%。同国政府の許可を待って事業に着手する。
「必要なことはすべて実施」 オバマ米大統領がラジオ演説
【ワシントン=大隅隆】オバマ米大統領は週末恒例のラジオとネットでの演説で、「2月に65万1000人の雇用が失われたことで今回の景気後退局面の雇用減少は440万人になった」と指摘した。そのうえで「危機に対処するために必要なことはすべて実施すると確約している」と語り、住宅市場活性化策、貸し渋り緩和策、予算改革、医療保険改革などを同時並行的に進める考えを強調した。
ロシア外相、米のMD計画けん制 「世界の安定損なう危険」
【ジュネーブ=藤田剛】ロシアのラブロフ外相は7日、ジュネーブ軍縮会議で演説し、第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる新たな核軍縮条約について「最優先で取り組む」と述べた。ただ、米国のミサイル防衛(MD)施設の中・東欧配備計画には「世界の安定を損なう危険がある」とけん制した。
ラブロフ外相はMDなど迎撃ミサイルシステムについて「一方的な開発は核軍縮の真の前進にはつながらない」と指摘。迎撃ミサイルで着弾のリスクを低減したとしても、核兵器自体を削減しなければ、核の脅威はなくならないとの見方を示した。
【WBC】「恥辱」と大敗に失望 コールド負けの韓国
第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次ラウンドでの日本戦で、2-14のコールド負けを喫した韓国。ライバル打倒にかけた期待が裏切られ、メディアは「恥辱の大敗」などと、ふがいないチームをしったした。
聯合ニュースは、昨夏の北京五輪で日本を破った「日本キラー」の先発、金広鉉が2回までに8点を失ったことに「プロデビュー後、最悪の投球」と失望。スポーツソウル(電子版)は「守備もぎくしゃく、打線は沈黙」と、攻守そろって不振のチームを嘆いた。
【産経主張】米露外相会談 各論で問われる協力関係
オバマ米政権発足後初めての米露外相会談が開かれ、クリントン米国務長官とラブロフ・ロシア外相は12月に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる新たな削減条約の年内合意をめざすことで一致した。
米露関係は昨夏のグルジア紛争やミサイル防衛(MD)の東欧配備計画、北大西洋条約機構(NATO)拡大などで対立し、冷戦後最悪の状態に冷え込んでいた。
NATOとロシアの対話再開決定に加えて、両外相がリセットボタンを押し、新たな対話と協力関係に向けてスタートを切ったことを評価したい。
米露は各4000-5000発以上の核弾頭を擁している。クリントン長官が「最優先課題」とする新条約でこれを大幅に削減できれば、他の核保有国への模範となる。来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議への波及効果も望まれ、北朝鮮やイランの核開発問題への説得力も増すだろう。
新条約の協議は来月開かれる米露首脳会談に引き継がれる。アフガニスタンや北朝鮮、イラン問題で前向きな連携を進めることで一致できたことも一応の成果といってよい。国際社会の大きな公益を視野に置いて、米露の協力分野をさらに広げてもらいたい。
しかし、両国の新たな協力関係はまだ総論にとどまっている。各論では米露の間に重要な対立が多いことも忘れてはならない。
ロシアはグルジアやウクライナのNATO加盟を妨害し、イランのミサイル脅威に備えるポーランド、チェコへのMD配備にも強硬に反対している。キルギスなど中央アジアから駐留米軍を締め出す動きも進んでいる。こうした背景には、旧ソ連地域への「勢力圏」再興を狙うロシアの戦略的意図があるとみられている。
これに対してオバマ政権は「勢力圏の考えは容認しない」としている。資源や軍事力で近隣を威圧する時代は終わり、自由や民主主義に基づく主権国家の選択を尊重するのが米外交の基本原則といっていい。欧州では長い間、大国の横暴や妥協で小国がしわ寄せを受けてきた。そうした歴史をロシアはよく考える必要がある。
現状では資源外交、対イラン関係などロシアの外交カードを無視できず、米国は現実的対応を迫られるだろう。それでも、オバマ外交の基本原則を譲るようなことがあってはならない。
世界的な景気悪化の影響で多くのIT企業が打撃を受ける中,例外的に急成長を遂げている製品がある。小型・軽量を売りにした低価格ミニノートPC「ネットブック」である。
台湾アスーステック・コンピュータ(ASUS)が2007年秋に発売した「Eee PC」を皮切りに,ほかのPCメーカーも次々とネットブック市場に参入。2007年には全世界で40万台だった販売台数が,2008年には1140万台という驚異的な成長をみせた。
当初は発展途上国向けと考えられていたが,主要なマーケットは米国と欧州だ。2008年のネットブックの販売台数は,あのiPhoneさえも凌駕している。調査会社の米ガートナーは,2012年のネットブック販売台数が5000万台になると予測する。米ABIリサーチの予測はさらに大きく,2013年には1億4000万台になるとしている。
マイクロソフトは戦略変更
ネットブックの登場によって,これまで20年以上にわたってパソコンの世界を支配してきた米マイクロソフトと米インテル,いわゆるウィンテル(Wintel)体制に変化の兆しが見えている。新バージョンが出るたびに高機能化するOSやCPUは,インターネットを閲覧する程度の機能で十分なネットブックにはふさわしくないからだ。
ネットブックでは,低機能CPUでも動作するLinux OSのシェアが約30%もある。通常のPCではLinuxのシェアは1%程度で,Windowsが圧倒的だ。マイクロソフトは,ネットブックの台頭を脅威に感じているだろう。
実際マイクロソフトは,Linuxがネットブックに採用されるのを阻止するため,より低機能なCPUでも動作するWindows XP Home Editionの販売中止予定時期を当初の2008年6月から2010年6月に延期した。さらにはWindows Vistaに次ぐWindowsの次期バージョン「Windows 7」は,ネットブックのような低機能マシンでも安定して動作すると言われている。マイクロソフトが従来製品より機能が少ないOSを出すのは,これが初めてではないか。
インテルと英ARMが対決姿勢
インテルもネットブックの台頭に頭が痛いはずだ。同社のネットブック向けCPU「Atom」は,価格がたったの44ドル。同社の主力CPUで多くのノートPCに採用されるPenrynコアのCore 2 Duoが200ドル以上であるのに比べるともうけははるかに少ない。そのためインテルは2008年第4四半期の売上高予測を10億ドルも引き下げた。
さらに,英ARMがネットブック市場に攻勢をかけている。ARMは携帯電話向けCPUの世界市場で90%の占有率を持つ企業で,同社が設計したARMアーキテクチャをチップ・ベンダーにライセンスしている。米クアルコムや米フリースケールはライセンスを受けて,インテルのAtomよりも安価で電池の持ちが良いCPUを出荷している。
20年間続いてきたマイクロソフトとインテル帝国は,ネットブックの浸透で変貌が避けられないように思う。
雇用調整金4000億円上積み 政府・与党、追加経済対策の柱に
政府・与党は7日、国が企業の休業手当の一部を支援する雇用調整助成金を4000億円以上積み増す方向で調整に入った。今月中旬にもまとめる雇用に関する対策の柱の1つとし、2009年度予算成立後に編成する予定の追加経済対策に盛り込む。景気の悪化による非正規労働者の解雇などに歯止めをかけるため、一段の雇用対策が必要と判断した。
新たな雇用対策は法改正が不要で、迅速に実施できる項目が中心。与党新雇用対策プロジェクトチーム(座長・川崎二郎元厚生労働相)で検討し、大枠を固める。事業規模は1兆円超となる見通し。ただ、与党内には雇用環境の一段の悪化を見込み、規模をさらに拡大すべきだとの意見もある。
英大手銀ロイズ、実質国有化 不良資産36兆円に政府保証
【ロンドン=吉田ありさ】英大手銀ロイズ・バンキング・グループは7日、約2600億ポンド(約36兆円)の不良資産について、将来発生する損失の大半を英政府が肩代わりする資産保証制度の適用を申請すると発表した。また配当負担を軽減するため昨年に政府が引き受けた優先株を普通株に転換することでも合意。英政府の株式保有比率は現在の43%から65%に高まり、実質国有化となる。
英政府の保証制度の適用はロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)に続き2番目。政府が保証する資産から今後生じる損失が250億ポンドを超えると、損失の9割を政府が肩代わりする。ロイズは保証手数料(156億ポンド)として議決権のない株式を政府に発行。政府が将来これを普通株に転換する選択権を実行すれば、保有比率は最大77%まで高まる。ただし議決権は75%を上限とする。
ダイムラー、BMWが株式持ち合い…独誌が提携計画報道
【ロンドン=是枝智】ドイツの自動車大手ダイムラーとBMWが、株式を相互に持ち合う資本・業務提携の検討に入ったと、独週刊誌シュピーゲルが7日報じた。
報道によると、メルセデス・ベンツなどで知られるダイムラーは、BMWの株式の7%を取得することを求めており、代わりに、BMWもダイムラー株を取得する計画という。
業務面でも、小型車の車台の共通化や、部品の共同調達などを行い、コスト削減につなげたい考えだ。ドイツを代表する自動車2社が提携することで、厳しい経営環境を乗り越える狙いとみられる。
GM、欧州3工場閉鎖も
ドイツ週刊誌シュピーゲルは7日、米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)が、ドイツ子会社オペルの車を生産する欧州の3工場の閉鎖を検討していると報じた。GMが支援を要請するためドイツ政府に提出した経営再建案に含まれているという。
報道によると、3工場はドイツのアイゼナハ、ボーフム、ベルギーのアントワープの各工場。閉鎖が実行された場合、GM欧州で働く5万5000千人のうち約20%の雇用が失われる恐れがあるという。
中国、内陸部の景気底堅く 消費増加、沿海部と対照的
中国景気が地方間で異なった様相を示している。輸出依存度が高い沿海部は、外需低迷を受けて景気減速傾向が続く一方、内陸部は都市化を背景に個人消費が堅調だ。ただ沿海部での相次ぐ工場閉鎖を受け、出稼ぎ労働者(農民工)の失業問題も浮上。政権が掲げる8%成長への道筋は確固としたものになっていない。
北京で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は分科会で全31省市ごとに経済政策を議論した。
東芝、排出枠事業に参入 ベトナムで工場のガス削減
東芝は温暖化ガスの排出枠ビジネスに乗り出す。2010年度をメドにベトナムで食品工場の廃液からメタンガスを回収する温暖化ガス削減事業を開始し、得られる排出枠を日本企業などに販売する。排出枠の転売を目的にした海外での排出削減事業は大手商社が手掛けているが、メーカーが参入するのは初めて。需要動向をみて、ベトナム以外の地域への進出も検討する。
ベトナムの食品会社、グエン・ヴー社と合弁で同国南部タイニン省に「東芝クリーン開発サービス・ベトナム」を設立した。資本金は300万ドルで東芝の出資比率は51%。同国政府の許可を待って事業に着手する。
「必要なことはすべて実施」 オバマ米大統領がラジオ演説
【ワシントン=大隅隆】オバマ米大統領は週末恒例のラジオとネットでの演説で、「2月に65万1000人の雇用が失われたことで今回の景気後退局面の雇用減少は440万人になった」と指摘した。そのうえで「危機に対処するために必要なことはすべて実施すると確約している」と語り、住宅市場活性化策、貸し渋り緩和策、予算改革、医療保険改革などを同時並行的に進める考えを強調した。
ロシア外相、米のMD計画けん制 「世界の安定損なう危険」
【ジュネーブ=藤田剛】ロシアのラブロフ外相は7日、ジュネーブ軍縮会議で演説し、第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる新たな核軍縮条約について「最優先で取り組む」と述べた。ただ、米国のミサイル防衛(MD)施設の中・東欧配備計画には「世界の安定を損なう危険がある」とけん制した。
ラブロフ外相はMDなど迎撃ミサイルシステムについて「一方的な開発は核軍縮の真の前進にはつながらない」と指摘。迎撃ミサイルで着弾のリスクを低減したとしても、核兵器自体を削減しなければ、核の脅威はなくならないとの見方を示した。
【WBC】「恥辱」と大敗に失望 コールド負けの韓国
第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次ラウンドでの日本戦で、2-14のコールド負けを喫した韓国。ライバル打倒にかけた期待が裏切られ、メディアは「恥辱の大敗」などと、ふがいないチームをしったした。
聯合ニュースは、昨夏の北京五輪で日本を破った「日本キラー」の先発、金広鉉が2回までに8点を失ったことに「プロデビュー後、最悪の投球」と失望。スポーツソウル(電子版)は「守備もぎくしゃく、打線は沈黙」と、攻守そろって不振のチームを嘆いた。
【産経主張】米露外相会談 各論で問われる協力関係
オバマ米政権発足後初めての米露外相会談が開かれ、クリントン米国務長官とラブロフ・ロシア外相は12月に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる新たな削減条約の年内合意をめざすことで一致した。
米露関係は昨夏のグルジア紛争やミサイル防衛(MD)の東欧配備計画、北大西洋条約機構(NATO)拡大などで対立し、冷戦後最悪の状態に冷え込んでいた。
NATOとロシアの対話再開決定に加えて、両外相がリセットボタンを押し、新たな対話と協力関係に向けてスタートを切ったことを評価したい。
米露は各4000-5000発以上の核弾頭を擁している。クリントン長官が「最優先課題」とする新条約でこれを大幅に削減できれば、他の核保有国への模範となる。来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議への波及効果も望まれ、北朝鮮やイランの核開発問題への説得力も増すだろう。
新条約の協議は来月開かれる米露首脳会談に引き継がれる。アフガニスタンや北朝鮮、イラン問題で前向きな連携を進めることで一致できたことも一応の成果といってよい。国際社会の大きな公益を視野に置いて、米露の協力分野をさらに広げてもらいたい。
しかし、両国の新たな協力関係はまだ総論にとどまっている。各論では米露の間に重要な対立が多いことも忘れてはならない。
ロシアはグルジアやウクライナのNATO加盟を妨害し、イランのミサイル脅威に備えるポーランド、チェコへのMD配備にも強硬に反対している。キルギスなど中央アジアから駐留米軍を締め出す動きも進んでいる。こうした背景には、旧ソ連地域への「勢力圏」再興を狙うロシアの戦略的意図があるとみられている。
これに対してオバマ政権は「勢力圏の考えは容認しない」としている。資源や軍事力で近隣を威圧する時代は終わり、自由や民主主義に基づく主権国家の選択を尊重するのが米外交の基本原則といっていい。欧州では長い間、大国の横暴や妥協で小国がしわ寄せを受けてきた。そうした歴史をロシアはよく考える必要がある。
現状では資源外交、対イラン関係などロシアの外交カードを無視できず、米国は現実的対応を迫られるだろう。それでも、オバマ外交の基本原則を譲るようなことがあってはならない。