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“殿堂”HMV渋谷は何に負けたのか
1990年代に音楽だけでなくファッション、ビジュアルアートなど若者に大きな影響を与えた大型CDショップ、「HMV渋谷」(東京・渋谷)が8月中旬に閉店する。8日付の日経新聞朝刊が伝えた。閉鎖の理由について記事では明らかにされていないが、ネットによる音楽配信が予想を上回るペースで進んだことが影響している模様だと書いてあった。
HMV渋谷は日本進出1号店でもあるシンボル的存在。独特な若者文化をはぐくんできたため、“渋谷系”の聖地と言われ、海外の著名なアーティストが頻繁に訪れたことから“殿堂”と呼ばれることがある。そんな日本でも屈指の商業地である渋谷を代表するHMVがなぜ閉鎖に追い込まれたのか。
CD販売を巡る環境は厳しい。音楽CD生産額は2009年まで11年連続で前年実績を割り込んでいる。HMVがCDからネットで簡単にダウンロードできる音楽配信の大きなうねりに飲み込まれてしまった部分は否めない。
とはいえ、音楽配信自体もかつての勢いはなくなりつつある。5月25日付の日経新聞朝刊は「国内音楽配信 成長ブレーキ」の見出しで、09年度の音楽配信販売件数が前年度比で初のマイナスになったと報じた。音楽配信だけでHMV渋谷閉鎖の理由を語るのは少し無理がある。
HMV渋谷の閉鎖について家賃交渉の不調という話も出ているようだが、もっと根深いモノがあるのではないだろうか。それは渋谷という街自体の“地盤沈下”だ。そのことを探るために経済産業省の商業統計という調査で見てみることにした。商業統計は小売業や卸売業者の全数調査だ。すべての事業所に調査をかけ、売上高などを事細かに調べるものだ。直近のデータは2007年調査だ。
それによると、HMV渋谷やファッションビルなどが買い物客でにぎわいのある渋谷区宇田川町と隣接する渋谷区道玄坂1丁目と2丁目に店を構える小売業の07年の年間販売額は2401億円。店舗数は626店あった。07年といえばリーマン・ショックの前の年。景気拡大の最終局面で、消費環境はそれほど悪くはなかった。ところが、その前の04年調査と比べると販売額は12%、店舗数は31%とそれぞれ大幅な落ち込みを記録していたのだ。
若者の消費低迷で渋谷が“地盤沈下”
07年の時点で渋谷の超一等地の商業地にお金を落とす人が減っていたことになる。08年のリーマン・ショック以降、消費は冷え込んだから最近は渋谷の“地盤沈下”がもっと進んでいるだろう。
その理由は少子高齢化による若者人口の減少が若者の街、渋谷を直撃したのかもしれない。また、雇用環境が厳しく若者が正社員になりにくく、所得が低いために消費活動が低調になっているとも考えられる。HMV渋谷は若者の購買力と購買意欲の減退に負けたのだろう。もはや「消費意欲が旺盛な若者」といった枕ことばが通用しない時代に入ったのかもしれない。
ちなみに同じ商業統計を使っておじいちゃんやおばあちゃんの買い物の“聖地”、巣鴨地蔵通り商店街周辺(東京都豊島区巣鴨1丁目から5丁目)の販売額を調べてみた。07年の販売額は353億円で、04年調査に比べ4%増だった。規模では渋谷に及ばないがシルバー市場が拡大していることがうかがえる。
「iPhone4」も2年契約で実質0円から ソフトバンク、15日午後5時に予約開始
ソフトバンクモバイルは14日、24日に発売する米アップルの最新スマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)4」の国内予約を15日午後5時に始めると発表した。予約は、アイフォーンを現在取り扱っている全国の携帯電話販売店や、インターネット上のソフトバンクオンラインショップで受け付ける。
アイフォーン4の国内価格は2年契約の場合、記憶容量16ギガバイトの機種が実質0円、32ギガバイトの機種が月額480円の24回払い(計1万1520円)とし、現行機種「3GS」の価格と同じにした。本体価格とは別に、利用に応じてインターネットのパケット通信料や電話代がかかる。
また、本体色は黒、白の2色あるが、発売当初は黒のみを扱う。白の発売時期は未定だが「できる限り早く準備したい」(ソフトバンク)としている。
本体価格については、米国での価格は16ギガバイトの機種で199ドル(約1万8000円)と発表されており、日本では米国より安く設定された形だ。NTTドコモやKDDI(au)を含め、国内の携帯電話各社はスマートフォンの販売を強化しており、ソフトバンクは価格面で対抗する。
ソフトバンクは引き続き、アイフォーン4も同社の携帯電話回線網でしか使えない「SIM(シム)ロック」をかけた状態で発売する方針だ。
アイフォーン4は、本体のデザインがほぼフルモデルチェンジされ、現行機種の「3GS」に比べ、4分の3程度の薄さになったほか、液晶画面の解像度が4倍に、カメラの画素数が300万画素から500万画素にアップした。
米国や日本、欧州など5カ国で24日に同時発売されるが、時差の関係で日本が世界で最も早く発売される可能性が高い。
都議会委員会、性描写条例を否決 都は再提出方針
悪質な性描写のある漫画の販売方法などを規制する東京都青少年健全育成条例の改正案について都議会総務委員会は14日、民主などの反対多数で否決した。自民・公明が提出した修正案も否決した。両案は16日の本会議でも否決される見通し。都は内容を改めて検討し、9月以降に改正案を再提出する方針だ。
都議会で知事が提出した条例案が否決されるのは12年ぶり。
都の改正案は(1)18歳未満の青少年との性交を肯定的に描いた漫画などを「不健全図書」に指定し別の陳列棚に置くことを販売者に義務付ける(2)青少年が持つ携帯電話のフィルタリングを解除する際は保護者に理由を記した書面を提出させる――などの内容。
都側が「子供を不健全な図書から守るため販売規制は必要」としたのに対し、都議会野党の民主などは「表現の自由を侵す危険がある」などと反発。一方、与党の自公は「条文が分かりにくい」との批判に配慮し、一部の文言を言い換えた修正案を提出していた。
都の改正案には著名な漫画家や出版業界が反対する一方、PTAが賛成するなど、広く関心を集めていた。石原慎太郎都知事は「目的は間違っていない」として、改正案を再提出する意向を示している。
1日ツイートしなかっただけで捜索願?
ツイッターで、あるユーザーが1日投稿しなかっただけで行方不明扱いされてしまう、という出来事が起きた。
ツイッターまとめサイト「Togetter」で「Twitter廃人が一日postしなかった結果」として紹介されているこの出来事。まとめによると、あるユーザーAとの連絡がつかなくなりそれを心配したユーザーBがツイッターで、
「【公式RT推奨】Aが行方不明です。(中略)生存確認取れた方はBまでお願いします【拡散願います】」(編集註:RT=リツイートとは、ツイッターにおいて、他のユーザーのつぶやきを引用して自分のアカウントから発信すること)
と、Aの情報を求めるつぶやきを投稿した。すると、フォロワーたちも、
「どうすれば、良いのだろう?親御さんに連絡出来ないのだろうか?」
「くそっ、そういう状況なら仕事やすんでさがしにいったのに」
「心配しているってTLにかいて見つかるのであればいくらでも書きます」(編集註:TL=タイムラインとは、ツイッターにおけるつぶやきのログのこと)
などと騒ぎ始め、なかにはAの住居の管理会社に連絡を入れるユーザーもいたという。
ところが、「捜索願つぶやき」の投稿から5時間弱経ったところでAが「眠くて駅で寝続けてます」と投稿、自ら生存を報告したところであっけなく事件は解決した。そしてAは、
「【1日postするのをやめると?】→捜索願い拡散RTが出される→管理会社に連絡される→実家に連絡される→Twitterこわい」
と投稿。思いがけず大きな騒ぎになっていたことを驚いたようだ。
この一連の騒動についてネット上では、
「RT推奨って書かれた文をRTするのはアレな人ばっかしなんだよな」
「ただ実際、これで発覚することもある」
「こういう人がいるから、事件性のあるPostは内容問わず拡散しないことに決めた」
「ついったーこわいwww」
など、様々な意見が寄せられている。ツイッター上でのコミュニケーションの難しさが露呈した出来事だといえそうだ。
Twitter、“クジラ”多発の原因を説明
Twitterは6月11日、過去1週間ほどのパフォーマンスの低下について、内部ネットワークの管理にミスがあったためと明らかにした。
Twitterでは6月5日ごろからパフォーマンスの低下やエラーが多発し、過負荷の際に表示されるクジラのイラストが頻繁に表示されていた。同社はその原因として、「重要な高帯域幅のコンポーネントを内部ネットワークの同じセグメントに置いていた」「内部ネットワークの監視が適切でなかった」「内部ネットワークの構成を一時的に誤っていた」という3つのミスを挙げている。
同社はこの問題に対処するため、内部ネットワークのキャパシティを倍増させるとともに、監視を強化し、トラフィックのリバランスを実施しているという。
同社は2009年を通じてトラフィック増大に対処してきたが、「今回の件で分かったように、改善の余地は常にある」とし、ホスティング企業と協力して改善に取り組むと述べている。
【本屋が危ない 電子書籍元年】配達、手書き新聞…生き残り模索
出版不況にネット通販・新古書店台頭で店舗数半減
初夏を思わせる青空の下で、朝早くから数百人が並んでいる。5月28日、東京・神宮前の携帯ショップ「ソフトバンク表参道」。米アップルの新型情報端末「iPad(アイパッド)」の国内販売を待つ人たちの行列だ。午前8時の開店に向け、普段は静かな早朝の並木道がカウントダウンセレモニーで盛り上がる。この模様は、発売初日の象徴的なニュースとして大々的に報道された。
iPadは、インターネットやメール、ゲームなどが楽しめる多機能情報端末だ。特徴の一つが電子書籍を読める機能。使い勝手の良さ、何冊も保存可能なことから電子書籍時代を加速させる情報ツール(道具)として期待されている。早くも大手出版社などが電子書籍の配信を始めたが、紙の本を取り扱う書店の反応は複雑だ。
◇
ソフトバンク表参道から並木道を歩いて10分ほど。国道246号との交差点の一角に、都内有数の老舗書店がある。3階建ての壁一面に描かれた画家、谷内六郎の絵で有名な「山陽堂書店」だ。創業は明治24年3月5日。開店120年目の“黒船襲来”に、取締役の遠山秀子さん(50)は「本屋の未来はどうなるか…」と戸惑う。
母親(78)と妹2人、叔母の女性5人で切り盛りする家族経営の“街の本屋さん”。東京五輪前の道路拡張で建物を削ったり、バブル時代に父親の死去で相続があったり…。そして近年の読書離れと、幾多の苦難がありながら営業を続けてきたが、2年前のリーマン・ショックによる金融不安以降はさらに状況が悪化したという。「土曜日の利益はパートに出たほうがましなときもある」と、つい愚痴も出る。書店のもうけは定価の2割程度で、紙袋の経費もばかにならない。雑誌1冊の客に単価が20円程度の手提げ袋を求められると、かなりつらいという。
全国の書店が加盟する日本書店商業組合連合会(日書連)によると、加盟数はこの四半世紀減り続ける一方だ。ピークは昭和61年の1万2935。今では半分以下の5187に落ち込んだ。背景には、出版不況と流通環境の変化がある。出版科学研究所によると、推定販売金額は平成8年の2兆6564億円をピークに減少が続き、昨年は2兆円を割り込んだ。「アマゾン」などのネット通販や「ブックオフ」など新古書店の成長も大きい。小さな書店は大手に比べ取次業者との関係から、売れ筋の本がすぐに店頭に並ばないこともある。日書連の大川哲夫事務局長は「小さな書店ほど疲弊しきっていて、iPadへの不安の声すら上がってこない」と明かす。
◇
街の本屋も傍観しているわけではない。山陽堂書店では、街との結びつきを生かした近隣オフィスへの配達が成功している。遠山さん自ら自転車をこぎ、本を運ぶ。多いときは1日500冊にもなる。明るい材料はまだある。客とのふれあいだ。常連客に事故で亡くなった作家の向田邦子さんがいた。本代のつけを気にする文面が残されており、後日遺族が支払いに訪れた。「父はよくお客さんに声をかけていました」と懐かしむ。客も会話をしたくなるような雰囲気づくりを大切にしたいという。
東京の下町、千駄木で「往来道書店」を営む笈入建志(おいり・けんじ)さん(39)は、ポイントカードの利益還元をはじめ、毎週発行の手書き新聞などでスタッフおすすめの書籍を紹介している。「街の本屋が変わらなければならない時期に来たということ。本屋の良さは客が集まり、情報を寄せてくれるところにある。交流ができる場所づくりをしていきたい」と、希望を語った。
◇
「毎日の生活が変わります」。iPadの国内販売が始まった日、ソフトバンクの孫正義社長は、こう予言した。前日にはソニーも電子書籍端末「リーダー」の日本投入を発表。電子書籍時代の幕開けを、街の本屋さんはどう受け止め、変わろうとしているのか。
ネットに負けたタウン情報誌 老舗「TOKYO1週間」も休刊
講談社とサンケイリビング新聞社が発行していた老舗のタウン情報誌「TOKYO1週間」と「KANSAI1週間」が、2010年6月8日発売号をもって休刊した。
タウン情報誌は、流行のグルメスポットや観光スポット、イベント情報などを紹介。デートや買い物などに出かける際には便利だったが、最近はネットで目的地までの地図が入手できたり、リアルタイムでその場の雰囲気がわかったりするため、そもそも「雑誌」という形を取る必要もなくなった。
「情報の鮮度」や「臨場感」でネットにかなわず
「TOKYO1週間」の創刊は1997年11月、「KANSAI1週間」はその2年後の3月に創刊。雑誌を片手に、グルメでおしゃれなレストランやバー、イベントを訪ねて歩いた人も少なくなかった。ピーク時には30万部以上の発行部数を誇っていたが、最近は8万部前後と低迷していた。
編集部は休刊の理由を、「広告収入の減少など、経済的な理由です」と説明する。しかし雑誌は休刊するが、「引き続きエンタメ情報などを、WEB、ケータイ、電子書籍を使って、よりパワーアップした形て配信していく」と話している。
やはり、「敵」はWEBだった。グルメスポットもイベントも情報を確認できるし、ケータイのナビ機能を駆使すれば、地図もいらずに行きたいお店に連れてってくれる。「紙」が必要であれば、プリントアウトすれば済むことだ。
出版科学研究所の佐々木利春主任研究員は、
「タウン誌が重宝がられたのは、豊富な情報量にあって、それをまとめて見ることができた。読者はそこから行きたい場所選んで出かけた。まさに、それをいま誰もがネットでやっているわけです」
と、WEB情報がタウン誌にとって代わったと指摘する。
さらに、最近はブログやツイッターを使い、その場で、リアルタイムで起こっている出来事に感想まで添えて知りたい情報を教えてくれるのだから、1週間や1か月前のタウン誌の情報など劣化してしまっている。
前出の佐々木氏は「知りたい情報を得る方法として、ネット検索はすでに習慣として身についていますから、タウン誌に限らず雑誌を毎週、あるいは毎月買うことは少なくなるばかりでしょう。情報の鮮度や臨場感、人によっては情報の価値でも、ネットにはかなわなくなっています」と話している。
地元に住む人しか知らないような情報が売り物
数多くあったタウン情報誌だが、老舗で頑張っているのが角川マーケティングの「東京ウォーカー」や「関西ウォーカー」だ。ただ、「ウォーカー」シリーズも一時の拡大路線から現在は、東京や関西のほか、北海道や横浜、東海、福岡の6地域(隔週火曜日発売)になった。北海道や福岡は月刊誌に、また千葉ウォーカーは休刊に追い込まれている。
「東京ウォーカー」の発行部数もピーク時には30万部を超えていたが、最近は約8万部だ。こうした中で、同社が力を入れているのが「ウォーカー・ムック」。市や区、あるいは観光地など、より「局地的」なタウン情報や、おいしいラーメン店などのテーマを切り口にまとめている。地元に住む人しか知らないような人気店や催しを綿密に調べた独自ネタが「売りもの」のようだ。
出版科学研究所の佐々木氏は「最近は編集者の言葉で語った、辛口批評の雑誌が読まれているようです。情報過多なのでセグメントしてあげたり、実用的だったり。ネットにも載っていない情報を掘り起こすことを地道に続けるしかないのでしょう」といっている。
群馬県議会がツイッターで情報発信 都道府県議会では全国初
群馬県議会は14日、ミニブログ「ツイッター」で議会情報の発信を始めた。県議会調査広報課によると、ツイッターは三重県の鳥羽市議会が2月から導入しているが、全国の都道府県議会では初めて。
ツイッター利用は県議会図書広報委員会が提案し、14日の議会運営委員会で承認された。議会開会中のテレビ中継の日程などを投稿するほか、閉会中の各種調査結果などについても随時告知し、原則として毎日更新していくという。
14日午前には8件の“つぶやき”を投稿し、「群馬県議会です。皆さんよろしくお願いします」とあいさつ。同課は「通常のツイートに比べると固い言葉使いになってしまうかもしれないが、議会や議員の活動をより身近に感じてもらえれば」と意気込んでいる。ツイッターのURLはhttp://twitter.com/gunmakengikai
NTT 光回線シェア拡大8割へ 「公設民営方式」導入急増
自治体が光回線などを敷設して運営を通信事業者に委託する「公設民営方式」によるブロードバンド(高速大容量)通信の導入が急増する見通しだ。光回線サービスのシェア(市場占有率)74%を持つNTT東西地域会社が自治体のこうした計画に応じて提案した件数は合計約240件で、09年度までの累計実績の3倍に上ることがわかった。国の支援策を活用した自治体の事業計画がめじろ押しのためだが、多くの案件でNTT東西の単独応札になる見通しで、シェアの急上昇が確実視されている。
[グラフでチェック] NTTの通信サービス別シェア
公設民営方式による光回線敷設事業などへの交付金は2002年度から実施しており、09年度補正予算の交付金は約780億円を計上。山間部や過疎地域などの自治体がブロードバンド整備を相次ぎ計画。申請件数(公設民営方式以外も含む)は08年度の125件から414件に急増した。
公設民営方式の場合、自治体は敷設した光回線設備を通信事業者に貸して住民向けサービスや保守を委託する。09年度までにNTT東日本が57、西日本が24の自治体でサービスを提供しているが、今年度の提案件数はそれぞれ200件と40件。
ただ、山間部などでは採算性が悪く、NTT東西以外の事業者が応札していない自治体も多い。特に東日本地域では「競争相手がいない状態」(NTT東日本)のため、ほとんどの案件でNTT東日本が契約する見通し。「NTTの全国シェアは8割近くまで上昇しそうだ」(通信事業者)と寡占化を懸念する声もある。
原口一博総務相は、光回線を中心とした全国ブロードバンド整備を目指す「光の道」構想を提唱している。
歳出削減策撤回求め、ドイツで初の大規模デモ
【ベルリン=三好範英】ドイツのメルケル政権が推し進める歳出削減策の撤回を求め、2万人(主催者発表)が12日、ベルリンでデモ行進した。
ユーロ安定化に向け、欧州各国は緊縮財政策をとっているが、ドイツでの大規模デモは初めて。
デモには野党社会民主党(SPD)や労働組合など約100組織が参加。デモ隊は「雇用を守れ」などのスローガンを掲げて市内を行進。一部が警官隊と衝突し、デモ隊が投げた爆発物で警官2人が重傷を負った。
デモは南部シュツットガルトでも行われ、約1万人(警察発表)が参加した。
メルケル独政権は7日、戦後ドイツで最大となる総額約800億ユーロ(約8兆8000億円)の歳出削減策を発表した。
1990年代に音楽だけでなくファッション、ビジュアルアートなど若者に大きな影響を与えた大型CDショップ、「HMV渋谷」(東京・渋谷)が8月中旬に閉店する。8日付の日経新聞朝刊が伝えた。閉鎖の理由について記事では明らかにされていないが、ネットによる音楽配信が予想を上回るペースで進んだことが影響している模様だと書いてあった。
HMV渋谷は日本進出1号店でもあるシンボル的存在。独特な若者文化をはぐくんできたため、“渋谷系”の聖地と言われ、海外の著名なアーティストが頻繁に訪れたことから“殿堂”と呼ばれることがある。そんな日本でも屈指の商業地である渋谷を代表するHMVがなぜ閉鎖に追い込まれたのか。
CD販売を巡る環境は厳しい。音楽CD生産額は2009年まで11年連続で前年実績を割り込んでいる。HMVがCDからネットで簡単にダウンロードできる音楽配信の大きなうねりに飲み込まれてしまった部分は否めない。
とはいえ、音楽配信自体もかつての勢いはなくなりつつある。5月25日付の日経新聞朝刊は「国内音楽配信 成長ブレーキ」の見出しで、09年度の音楽配信販売件数が前年度比で初のマイナスになったと報じた。音楽配信だけでHMV渋谷閉鎖の理由を語るのは少し無理がある。
HMV渋谷の閉鎖について家賃交渉の不調という話も出ているようだが、もっと根深いモノがあるのではないだろうか。それは渋谷という街自体の“地盤沈下”だ。そのことを探るために経済産業省の商業統計という調査で見てみることにした。商業統計は小売業や卸売業者の全数調査だ。すべての事業所に調査をかけ、売上高などを事細かに調べるものだ。直近のデータは2007年調査だ。
それによると、HMV渋谷やファッションビルなどが買い物客でにぎわいのある渋谷区宇田川町と隣接する渋谷区道玄坂1丁目と2丁目に店を構える小売業の07年の年間販売額は2401億円。店舗数は626店あった。07年といえばリーマン・ショックの前の年。景気拡大の最終局面で、消費環境はそれほど悪くはなかった。ところが、その前の04年調査と比べると販売額は12%、店舗数は31%とそれぞれ大幅な落ち込みを記録していたのだ。
若者の消費低迷で渋谷が“地盤沈下”
07年の時点で渋谷の超一等地の商業地にお金を落とす人が減っていたことになる。08年のリーマン・ショック以降、消費は冷え込んだから最近は渋谷の“地盤沈下”がもっと進んでいるだろう。
その理由は少子高齢化による若者人口の減少が若者の街、渋谷を直撃したのかもしれない。また、雇用環境が厳しく若者が正社員になりにくく、所得が低いために消費活動が低調になっているとも考えられる。HMV渋谷は若者の購買力と購買意欲の減退に負けたのだろう。もはや「消費意欲が旺盛な若者」といった枕ことばが通用しない時代に入ったのかもしれない。
ちなみに同じ商業統計を使っておじいちゃんやおばあちゃんの買い物の“聖地”、巣鴨地蔵通り商店街周辺(東京都豊島区巣鴨1丁目から5丁目)の販売額を調べてみた。07年の販売額は353億円で、04年調査に比べ4%増だった。規模では渋谷に及ばないがシルバー市場が拡大していることがうかがえる。
「iPhone4」も2年契約で実質0円から ソフトバンク、15日午後5時に予約開始
ソフトバンクモバイルは14日、24日に発売する米アップルの最新スマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)4」の国内予約を15日午後5時に始めると発表した。予約は、アイフォーンを現在取り扱っている全国の携帯電話販売店や、インターネット上のソフトバンクオンラインショップで受け付ける。
アイフォーン4の国内価格は2年契約の場合、記憶容量16ギガバイトの機種が実質0円、32ギガバイトの機種が月額480円の24回払い(計1万1520円)とし、現行機種「3GS」の価格と同じにした。本体価格とは別に、利用に応じてインターネットのパケット通信料や電話代がかかる。
また、本体色は黒、白の2色あるが、発売当初は黒のみを扱う。白の発売時期は未定だが「できる限り早く準備したい」(ソフトバンク)としている。
本体価格については、米国での価格は16ギガバイトの機種で199ドル(約1万8000円)と発表されており、日本では米国より安く設定された形だ。NTTドコモやKDDI(au)を含め、国内の携帯電話各社はスマートフォンの販売を強化しており、ソフトバンクは価格面で対抗する。
ソフトバンクは引き続き、アイフォーン4も同社の携帯電話回線網でしか使えない「SIM(シム)ロック」をかけた状態で発売する方針だ。
アイフォーン4は、本体のデザインがほぼフルモデルチェンジされ、現行機種の「3GS」に比べ、4分の3程度の薄さになったほか、液晶画面の解像度が4倍に、カメラの画素数が300万画素から500万画素にアップした。
米国や日本、欧州など5カ国で24日に同時発売されるが、時差の関係で日本が世界で最も早く発売される可能性が高い。
都議会委員会、性描写条例を否決 都は再提出方針
悪質な性描写のある漫画の販売方法などを規制する東京都青少年健全育成条例の改正案について都議会総務委員会は14日、民主などの反対多数で否決した。自民・公明が提出した修正案も否決した。両案は16日の本会議でも否決される見通し。都は内容を改めて検討し、9月以降に改正案を再提出する方針だ。
都議会で知事が提出した条例案が否決されるのは12年ぶり。
都の改正案は(1)18歳未満の青少年との性交を肯定的に描いた漫画などを「不健全図書」に指定し別の陳列棚に置くことを販売者に義務付ける(2)青少年が持つ携帯電話のフィルタリングを解除する際は保護者に理由を記した書面を提出させる――などの内容。
都側が「子供を不健全な図書から守るため販売規制は必要」としたのに対し、都議会野党の民主などは「表現の自由を侵す危険がある」などと反発。一方、与党の自公は「条文が分かりにくい」との批判に配慮し、一部の文言を言い換えた修正案を提出していた。
都の改正案には著名な漫画家や出版業界が反対する一方、PTAが賛成するなど、広く関心を集めていた。石原慎太郎都知事は「目的は間違っていない」として、改正案を再提出する意向を示している。
1日ツイートしなかっただけで捜索願?
ツイッターで、あるユーザーが1日投稿しなかっただけで行方不明扱いされてしまう、という出来事が起きた。
ツイッターまとめサイト「Togetter」で「Twitter廃人が一日postしなかった結果」として紹介されているこの出来事。まとめによると、あるユーザーAとの連絡がつかなくなりそれを心配したユーザーBがツイッターで、
「【公式RT推奨】Aが行方不明です。(中略)生存確認取れた方はBまでお願いします【拡散願います】」(編集註:RT=リツイートとは、ツイッターにおいて、他のユーザーのつぶやきを引用して自分のアカウントから発信すること)
と、Aの情報を求めるつぶやきを投稿した。すると、フォロワーたちも、
「どうすれば、良いのだろう?親御さんに連絡出来ないのだろうか?」
「くそっ、そういう状況なら仕事やすんでさがしにいったのに」
「心配しているってTLにかいて見つかるのであればいくらでも書きます」(編集註:TL=タイムラインとは、ツイッターにおけるつぶやきのログのこと)
などと騒ぎ始め、なかにはAの住居の管理会社に連絡を入れるユーザーもいたという。
ところが、「捜索願つぶやき」の投稿から5時間弱経ったところでAが「眠くて駅で寝続けてます」と投稿、自ら生存を報告したところであっけなく事件は解決した。そしてAは、
「【1日postするのをやめると?】→捜索願い拡散RTが出される→管理会社に連絡される→実家に連絡される→Twitterこわい」
と投稿。思いがけず大きな騒ぎになっていたことを驚いたようだ。
この一連の騒動についてネット上では、
「RT推奨って書かれた文をRTするのはアレな人ばっかしなんだよな」
「ただ実際、これで発覚することもある」
「こういう人がいるから、事件性のあるPostは内容問わず拡散しないことに決めた」
「ついったーこわいwww」
など、様々な意見が寄せられている。ツイッター上でのコミュニケーションの難しさが露呈した出来事だといえそうだ。
Twitter、“クジラ”多発の原因を説明
Twitterは6月11日、過去1週間ほどのパフォーマンスの低下について、内部ネットワークの管理にミスがあったためと明らかにした。
Twitterでは6月5日ごろからパフォーマンスの低下やエラーが多発し、過負荷の際に表示されるクジラのイラストが頻繁に表示されていた。同社はその原因として、「重要な高帯域幅のコンポーネントを内部ネットワークの同じセグメントに置いていた」「内部ネットワークの監視が適切でなかった」「内部ネットワークの構成を一時的に誤っていた」という3つのミスを挙げている。
同社はこの問題に対処するため、内部ネットワークのキャパシティを倍増させるとともに、監視を強化し、トラフィックのリバランスを実施しているという。
同社は2009年を通じてトラフィック増大に対処してきたが、「今回の件で分かったように、改善の余地は常にある」とし、ホスティング企業と協力して改善に取り組むと述べている。
【本屋が危ない 電子書籍元年】配達、手書き新聞…生き残り模索
出版不況にネット通販・新古書店台頭で店舗数半減
初夏を思わせる青空の下で、朝早くから数百人が並んでいる。5月28日、東京・神宮前の携帯ショップ「ソフトバンク表参道」。米アップルの新型情報端末「iPad(アイパッド)」の国内販売を待つ人たちの行列だ。午前8時の開店に向け、普段は静かな早朝の並木道がカウントダウンセレモニーで盛り上がる。この模様は、発売初日の象徴的なニュースとして大々的に報道された。
iPadは、インターネットやメール、ゲームなどが楽しめる多機能情報端末だ。特徴の一つが電子書籍を読める機能。使い勝手の良さ、何冊も保存可能なことから電子書籍時代を加速させる情報ツール(道具)として期待されている。早くも大手出版社などが電子書籍の配信を始めたが、紙の本を取り扱う書店の反応は複雑だ。
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ソフトバンク表参道から並木道を歩いて10分ほど。国道246号との交差点の一角に、都内有数の老舗書店がある。3階建ての壁一面に描かれた画家、谷内六郎の絵で有名な「山陽堂書店」だ。創業は明治24年3月5日。開店120年目の“黒船襲来”に、取締役の遠山秀子さん(50)は「本屋の未来はどうなるか…」と戸惑う。
母親(78)と妹2人、叔母の女性5人で切り盛りする家族経営の“街の本屋さん”。東京五輪前の道路拡張で建物を削ったり、バブル時代に父親の死去で相続があったり…。そして近年の読書離れと、幾多の苦難がありながら営業を続けてきたが、2年前のリーマン・ショックによる金融不安以降はさらに状況が悪化したという。「土曜日の利益はパートに出たほうがましなときもある」と、つい愚痴も出る。書店のもうけは定価の2割程度で、紙袋の経費もばかにならない。雑誌1冊の客に単価が20円程度の手提げ袋を求められると、かなりつらいという。
全国の書店が加盟する日本書店商業組合連合会(日書連)によると、加盟数はこの四半世紀減り続ける一方だ。ピークは昭和61年の1万2935。今では半分以下の5187に落ち込んだ。背景には、出版不況と流通環境の変化がある。出版科学研究所によると、推定販売金額は平成8年の2兆6564億円をピークに減少が続き、昨年は2兆円を割り込んだ。「アマゾン」などのネット通販や「ブックオフ」など新古書店の成長も大きい。小さな書店は大手に比べ取次業者との関係から、売れ筋の本がすぐに店頭に並ばないこともある。日書連の大川哲夫事務局長は「小さな書店ほど疲弊しきっていて、iPadへの不安の声すら上がってこない」と明かす。
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街の本屋も傍観しているわけではない。山陽堂書店では、街との結びつきを生かした近隣オフィスへの配達が成功している。遠山さん自ら自転車をこぎ、本を運ぶ。多いときは1日500冊にもなる。明るい材料はまだある。客とのふれあいだ。常連客に事故で亡くなった作家の向田邦子さんがいた。本代のつけを気にする文面が残されており、後日遺族が支払いに訪れた。「父はよくお客さんに声をかけていました」と懐かしむ。客も会話をしたくなるような雰囲気づくりを大切にしたいという。
東京の下町、千駄木で「往来道書店」を営む笈入建志(おいり・けんじ)さん(39)は、ポイントカードの利益還元をはじめ、毎週発行の手書き新聞などでスタッフおすすめの書籍を紹介している。「街の本屋が変わらなければならない時期に来たということ。本屋の良さは客が集まり、情報を寄せてくれるところにある。交流ができる場所づくりをしていきたい」と、希望を語った。
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「毎日の生活が変わります」。iPadの国内販売が始まった日、ソフトバンクの孫正義社長は、こう予言した。前日にはソニーも電子書籍端末「リーダー」の日本投入を発表。電子書籍時代の幕開けを、街の本屋さんはどう受け止め、変わろうとしているのか。
ネットに負けたタウン情報誌 老舗「TOKYO1週間」も休刊
講談社とサンケイリビング新聞社が発行していた老舗のタウン情報誌「TOKYO1週間」と「KANSAI1週間」が、2010年6月8日発売号をもって休刊した。
タウン情報誌は、流行のグルメスポットや観光スポット、イベント情報などを紹介。デートや買い物などに出かける際には便利だったが、最近はネットで目的地までの地図が入手できたり、リアルタイムでその場の雰囲気がわかったりするため、そもそも「雑誌」という形を取る必要もなくなった。
「情報の鮮度」や「臨場感」でネットにかなわず
「TOKYO1週間」の創刊は1997年11月、「KANSAI1週間」はその2年後の3月に創刊。雑誌を片手に、グルメでおしゃれなレストランやバー、イベントを訪ねて歩いた人も少なくなかった。ピーク時には30万部以上の発行部数を誇っていたが、最近は8万部前後と低迷していた。
編集部は休刊の理由を、「広告収入の減少など、経済的な理由です」と説明する。しかし雑誌は休刊するが、「引き続きエンタメ情報などを、WEB、ケータイ、電子書籍を使って、よりパワーアップした形て配信していく」と話している。
やはり、「敵」はWEBだった。グルメスポットもイベントも情報を確認できるし、ケータイのナビ機能を駆使すれば、地図もいらずに行きたいお店に連れてってくれる。「紙」が必要であれば、プリントアウトすれば済むことだ。
出版科学研究所の佐々木利春主任研究員は、
「タウン誌が重宝がられたのは、豊富な情報量にあって、それをまとめて見ることができた。読者はそこから行きたい場所選んで出かけた。まさに、それをいま誰もがネットでやっているわけです」
と、WEB情報がタウン誌にとって代わったと指摘する。
さらに、最近はブログやツイッターを使い、その場で、リアルタイムで起こっている出来事に感想まで添えて知りたい情報を教えてくれるのだから、1週間や1か月前のタウン誌の情報など劣化してしまっている。
前出の佐々木氏は「知りたい情報を得る方法として、ネット検索はすでに習慣として身についていますから、タウン誌に限らず雑誌を毎週、あるいは毎月買うことは少なくなるばかりでしょう。情報の鮮度や臨場感、人によっては情報の価値でも、ネットにはかなわなくなっています」と話している。
地元に住む人しか知らないような情報が売り物
数多くあったタウン情報誌だが、老舗で頑張っているのが角川マーケティングの「東京ウォーカー」や「関西ウォーカー」だ。ただ、「ウォーカー」シリーズも一時の拡大路線から現在は、東京や関西のほか、北海道や横浜、東海、福岡の6地域(隔週火曜日発売)になった。北海道や福岡は月刊誌に、また千葉ウォーカーは休刊に追い込まれている。
「東京ウォーカー」の発行部数もピーク時には30万部を超えていたが、最近は約8万部だ。こうした中で、同社が力を入れているのが「ウォーカー・ムック」。市や区、あるいは観光地など、より「局地的」なタウン情報や、おいしいラーメン店などのテーマを切り口にまとめている。地元に住む人しか知らないような人気店や催しを綿密に調べた独自ネタが「売りもの」のようだ。
出版科学研究所の佐々木氏は「最近は編集者の言葉で語った、辛口批評の雑誌が読まれているようです。情報過多なのでセグメントしてあげたり、実用的だったり。ネットにも載っていない情報を掘り起こすことを地道に続けるしかないのでしょう」といっている。
群馬県議会がツイッターで情報発信 都道府県議会では全国初
群馬県議会は14日、ミニブログ「ツイッター」で議会情報の発信を始めた。県議会調査広報課によると、ツイッターは三重県の鳥羽市議会が2月から導入しているが、全国の都道府県議会では初めて。
ツイッター利用は県議会図書広報委員会が提案し、14日の議会運営委員会で承認された。議会開会中のテレビ中継の日程などを投稿するほか、閉会中の各種調査結果などについても随時告知し、原則として毎日更新していくという。
14日午前には8件の“つぶやき”を投稿し、「群馬県議会です。皆さんよろしくお願いします」とあいさつ。同課は「通常のツイートに比べると固い言葉使いになってしまうかもしれないが、議会や議員の活動をより身近に感じてもらえれば」と意気込んでいる。ツイッターのURLはhttp://twitter.com/gunmakengikai
NTT 光回線シェア拡大8割へ 「公設民営方式」導入急増
自治体が光回線などを敷設して運営を通信事業者に委託する「公設民営方式」によるブロードバンド(高速大容量)通信の導入が急増する見通しだ。光回線サービスのシェア(市場占有率)74%を持つNTT東西地域会社が自治体のこうした計画に応じて提案した件数は合計約240件で、09年度までの累計実績の3倍に上ることがわかった。国の支援策を活用した自治体の事業計画がめじろ押しのためだが、多くの案件でNTT東西の単独応札になる見通しで、シェアの急上昇が確実視されている。
[グラフでチェック] NTTの通信サービス別シェア
公設民営方式による光回線敷設事業などへの交付金は2002年度から実施しており、09年度補正予算の交付金は約780億円を計上。山間部や過疎地域などの自治体がブロードバンド整備を相次ぎ計画。申請件数(公設民営方式以外も含む)は08年度の125件から414件に急増した。
公設民営方式の場合、自治体は敷設した光回線設備を通信事業者に貸して住民向けサービスや保守を委託する。09年度までにNTT東日本が57、西日本が24の自治体でサービスを提供しているが、今年度の提案件数はそれぞれ200件と40件。
ただ、山間部などでは採算性が悪く、NTT東西以外の事業者が応札していない自治体も多い。特に東日本地域では「競争相手がいない状態」(NTT東日本)のため、ほとんどの案件でNTT東日本が契約する見通し。「NTTの全国シェアは8割近くまで上昇しそうだ」(通信事業者)と寡占化を懸念する声もある。
原口一博総務相は、光回線を中心とした全国ブロードバンド整備を目指す「光の道」構想を提唱している。
歳出削減策撤回求め、ドイツで初の大規模デモ
【ベルリン=三好範英】ドイツのメルケル政権が推し進める歳出削減策の撤回を求め、2万人(主催者発表)が12日、ベルリンでデモ行進した。
ユーロ安定化に向け、欧州各国は緊縮財政策をとっているが、ドイツでの大規模デモは初めて。
デモには野党社会民主党(SPD)や労働組合など約100組織が参加。デモ隊は「雇用を守れ」などのスローガンを掲げて市内を行進。一部が警官隊と衝突し、デモ隊が投げた爆発物で警官2人が重傷を負った。
デモは南部シュツットガルトでも行われ、約1万人(警察発表)が参加した。
メルケル独政権は7日、戦後ドイツで最大となる総額約800億ユーロ(約8兆8000億円)の歳出削減策を発表した。
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ソニー、E3で新ハード発表か
今週から遂に幕を開けるE3 Expo 2010で、ソニーが新たなハードを発表する可能性が出てきた。
先週オープンした米国PlayStation.comのE3特設サイト上に、「The E3 2010 Expoが始まります!PlayStationのどんな素晴らしいゲームやハードウェアが公開されるか、ここに足を運んで確かめてください」との告知文が掲載。
海外サイトでは、新型機PSP2や新SKUのPS3本体の発売が噂になっているが、新たなハードの発表が本当に行われるのか、ソニーのプレスカンファレンスに大きな注目が集まりそうだ。
また同告知文には、「ここ10年で最も期待されるゲームの発表(ゴホンGT5ゴホン)」という記述もあり、グランツーリスモ5の発売日がいよいよ発表されるとの見方が強まっているす。
E3 2010のソニープレスカンファレンスは、現地時間6月15日午後12時(日本時間6月16日午前4時頃)より開催予定。
都の「アニメポルノ」規制条例 自公修正案でも否決見通し
「非実在青少年」といった独特の言葉が注目を集めた東京都の青少年健全育成条例の改正案が、都議会の6月定例会で審議入りする。出版業界は「創作活動が萎縮する」と反発する一方、都側は「表現活動を規制するつもりはない」と、釈明に追われている。自民・公明の両党は小幅修正した修正案を提出した上で成立を目指すが、最大会派の民主党は、改正案の撤回を求めている。議会を二分する形で議論が白熱しそうだが、結局は反対多数で否決されそうだ。
改正案では、18歳未満として表現されているマンガやアニメのキャラクターを「非実在青少年」と定義。この「非実在青少年」の性的行為を描いたマンガの18歳未満への販売を規制するとの内容だ。
条例案は2月24日開会の都議会3月定例会に提出され、その直後から「規制の基準があいまい」といった、非難の声が続出。3月定例会では「継続審議」とされた。
パンチラや、おっぱいやお尻だけでは規制されず
これを受けて、東京都は4月26日には想定問答集を発表、
「『非実在青少年』のパンチラや、おっぱいやお尻が見えるシーン、裸のシーン、入浴シーンやシャワーシーンの描写があるだけで規制することはありません」
などと、25項目にわたって条例への理解を求めた。
それでも、反発の声は収まらなかった。例えば、出版社10社と漫画家の有志が5月25日、
「漫画作家の創作活動を萎縮させ、漫画文化の衰退を招くことは必至」
などとする声明を発表。日本脚本家連盟も、5月31日に「行政による思想・感情への介入の契機となることを危惧する」
との声明を発表している。
実は、石原慎太郎都知事も、条例の内容に苦言を呈したことがあった。5月7日の会見で、
「『非実在青少年』なんて、誰がどう解釈しても、幽霊の話かと思っちゃう、本当に」 「特に役人がつくる言葉なんていうのは、くだらない常套語があって、世間に通用しないこといっぱいある」
などと批判を展開した。ただし、
「部分修正すればよろしいので、趣旨は正しいと思いますから、撤回する必要ないです。何で議会は自分たちの手でリペア(修正)して、より良いものにブラッシュアップする努力しないんですか」(5月28日)
と、あくまでも「小幅修正」にとどめ、開会中の6月の定例会での成立を目指したい考えだ。
民主党は改正案撤回を要望
もちろん、改正案成立に向けた「応援団」もいる。東京都小学校PTA協議会は、3月と6月の2度にわたって、都議会機長などに早期成立を求める要望書を提出。表現の自由について危惧する声については、
「子どもを守るよりも自分を守ることが大事だ、と言っていることに他ならない」
などと反論している。
このような状況で、6月8日には代表質問が行われ、法案をめぐってヒートアップした。都側と対立姿勢を深める最大会派の民主党は、「提出者自らが不備を認めるような法案は撤回すべき」との立場で、この日も、山下太郎都議は
「都にはあらためて改正案の速やかな撤回を要望する」
と発言。一方、改正案の成立を求める自民党の小磯明都議は、
「改正案に賛成の立場から、都民のため条文をより分かりやすくし、制度のあり方を3年後に検証するなどの修正案を都議会公明党とともに作成した」
と、修正案を提出することを明らかにした。修正案では、「非実在青少年」を「描写された青少年」、「青少年性的視覚描写物」を「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類」に修正するなどの文言修正や、条例の施行から3年後に内容を見直すという附則を加えるなどの「小幅修正」が中心だ。
改正案をめぐっては、民主党や共産党が撤回を求めている。6月定例会では白熱した議論が展開されそうだが、結局は反対多数で否決される見通しだ。
米アマゾン、日本で「クラウド」
ヤフーも参入
米アマゾン・ドット・コムと日本のヤフーは、インターネット経由で情報システムを貸し出す「クラウドコンピューティング」事業を相次ぎ日本で始める。アマゾンはデータセンター能力を貸し出すサービスに本格参入。ヤフーは会員管理や課金などのネット機能を外部企業に提供する。両社は規模を背景に高付加価値のサービスを低価格で提供するとみられ、クラウド市場の競争が激化しそうだ。
アマゾンは検索最大手のグーグルなどと並び、米国のクラウド市場で先行。製薬大手からネットベンチャーまで幅広い顧客を抱える。このほど日本にデータセンター能力を貸し出す事業を手がける子会社を設立し、近く日本語でサービスを始める。
年内をメドに東京にもデータセンターを開設するもよう。これまで欧米とシンガポールの計4つのデータセンター機能を英語版サービスとして提供していた。大容量ネット回線が整備された日本でクラウド活用が進むと判断した。
日本語でのサポート業務も始める。東芝など国内IT(情報技術)各社と協力、顧客企業のクラウド導入支援体制も整える。
ヤフーは来年3月までにクラウド事業に本格参入する。昨年買収したデータセンター子会社の機能を活用し、ポータル(玄関)サイト運営で培った課金、会員管理、広告配信、コンテンツ配信などのネット機能を貸し出す。顧客企業は必要な機能を組み合わせて自社ブランドで様々なネットサービスを展開できるようになる。
ウェブサイトを持たない飲食店から、大規模な動画配信システムを必要とするコンテンツ大手まで幅広い企業のシステム需要を開拓する。
世界ではアマゾンやグーグルなどが本業のネットサービスのノウハウを活用してクラウド市場をけん引する。日本でも富士通などのシステム大手がクラウド事業を展開するが、データセンター規模などでは米ネット大手に後れを取る。
パナソニック、クラウドで生産管理 システム費4割減
迅速な海外展開を後押し 工場の競争力底上げ
パナソニックは2011年度から、ネットワーク経由でソフトウエアの機能を利用する「クラウドコンピューティング」を工場の生産管理に導入する。まず子会社で活用してシステム運用費の4割を削減するとともに、迅速な海外展開を後押しする。自前のコンピューターを持たないクラウドを活用する目的は、日本企業ではメールなどの情報共有が中心だった。生産の基幹部分への導入が広がれば、コストの軽減などで国内外での生産体制の競争力を底上げする動きにつながりそうだ。
サービス
パナソニックグループが進める事業戦略の柱は、家電から蓄電池、住設機器を含めた住宅全体の省エネ化。社内分社や子会社にまたがる製品群を一元管理し、新興国へ迅速に進出することが課題になっている。グループ全体でクラウドを活用すれば、システムコストの削減とともに、柔軟な海外展開につながると判断した。
まずファクトリーオートメーション(FA)機器を手がける子会社、パナソニックファクトリーソリューションズ(大阪府門真市)が中国など国内外の5工場で、今秋から米オラクルのクラウドサービスを使い始め、11年度から本格的に導入。パナソニック本体やグループの他社なども順次、導入する方針だ。
部品の発注や生産計画の立案、製品の出荷状況、在庫管理について、クラウドを活用して効率化する。従来は各拠点の自前の情報システムで運用していたが、オラクルが米国に保有するデータセンターに各地のパソコンから接続してソフトを動かす方式に改める。
パナソニックファクトリーソリューションズの年間売上高は約1200億円で、電子部品の実装装置に強みを持つ。社内システムを持つ現状では年間数億円のシステム運用費がかかっているが、クラウドに移行すれば約4割削減できるという。
パナソニックグループの生産系のシステム運用費は数十億円以上とみられるが、クラウドの活用は新興国などの比較的小規模な拠点から検討する。部品が2万~3万点と多いFA機器でクラウドの有効性を実証すれば、部品点数がより少ない家電製品にも応用できる。
パナソニックは米IBMのクラウドサービスを使い、約20万人のグループ従業員を対象に、メールやスケジュール管理の情報を共有するシステムの導入も進めている。
日本では自動車部品大手のジヤトコ(静岡県)や損害保険ジャパンなどがクラウドを導入する計画だが、地域や組織でバラバラなメールや顧客情報などを共有する目的。海外ではオラクルのサービスを導入した企業が生産関連に活用している事例があるという。
日本企業の海外事業は開発から生産、販売まで広がり、人材の現地採用も増えている。海外拠点を新設する際や複数拠点の生産体制を見直す場合、クラウドによる素早い対応は効果を発揮するため、グローバル展開する製造業の競争力底上げにつながりそうだ。
中央アジア諸国 中国経済圏拡大
資源を供給 安い工業製品輸入、直接投資5年で100倍超に
【タシケント=多部田俊輔】旧ソ連の中央アジア諸国で「中国経済圏」がじわりと拡大している。中国は西隣の中央アジアを石油など天然資源の調達先ばかりでなく、工業製品の主要な輸出市場とも位置付け始めた。中央アジアの街中では中国製の衣服や靴、家電製品があふれる。中国の勢いを生かして経済成長を続け、国家の運営を安定させたい中央アジア側と利害が一致している。
タシケントの市場では中国製商品が圧倒的に多い(イポドロム・バザールで)
■競合製品の半値以下 「中国製はとにかく安い」。ウズベキスタンの首都タシケントで最大級の総合市場「イポドロム・バザール」。商店1000軒以上が並ぶなか、家電販売店のアジモーフさん(29)は冷蔵庫をたたきながら語った。
価格は1台2万円ほどと競合製品の半値以下だ。中央アジアでは韓国製家電のシェアが高かったが、最近は中国製の人気も上昇中。ハイアール(海爾集団)など中国家電大手のエアコンなどが店頭にずらりと並ぶ。
「日用雑貨のほとんどは中国製だ」。同バザールで玩具を10年以上販売するカリモフさん(25)は中国語で「公安」と書かれたおもちゃのパトカーを手に取って見せる。中央アジアで販売される靴は現在、8割以上が中国製だという。
中国のカザフスタン、トルクメニスタンなど中央アジア5カ国からの輸入額は2009年、合計で約68億ドル(約6200億円)だった。石油などの資源が中心で、01年の7倍弱に当たる。ところが、輸出は輸入以上に伸びており、09年の輸出額は約166億ドル。01年の約34倍に達した。
日用品だけでなく、最近はハイテク分野でも中国製品が台頭。通信機器大手の華為技術はウズベクの通信会社から携帯電話網などの設備を請け負い、同業大手の中興通訊もタジキスタンで通信設備を受注した。
■人民元が流通 中国から中央アジア5カ国への直接投資も急増し、08年は約6億5600万ドルと03年の100倍以上となった。投資の主役は資源だ。カザフでは中国勢による買収が相次ぎ、石油の4分の1はすでに中国資本の傘下とされる。
資源が豊富な中央アジアはもともと、輸送用パイプラインをロシアとだけ接続していた。しかし、中国・カザフ間の原油パイプラインが06年に開通し、09年末にはトルクメンの天然ガスをウズベクなど経由で運ぶパイプラインも開通した。
輸出先に中国を加えて価格交渉を有利にしたい中央アジアと、経済成長で資源が不足する中国の思惑が重なり合う。中国は「原油調達の中東依存度を下げるため、中央アジアからの輸入をさらに増やす」(国家エネルギー局幹部)方針だ。
「中国の資源輸入が増えれば、代金を受け取る側である中央アジアの購買力も高まる」(中国の家電会社幹部)。資源と引き換えに“チャイナマネー”が流れ込み、それが中国の工業製品を買う原資に回るという循環が生まれている形だ。
「中央アジアとの貿易で、(中国通貨の)人民元での決済を支援する」。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は今月初め、中央アジアと隣接する新疆ウイグル自治区の地方政府幹部との会談でこう語った。
「中国経済圏」の拡大で、人民元の流通が中央アジアに広がってきたことを意識した発言だ。カザフの貿易会社幹部は「国内でも、仲間うちでは人民元で決済することもある」と打ち明ける。
全国郵便局長側、国民新党に8億円資金提供 「露骨な利益誘導」指摘も
郵政改革法案の可決を目指す国民新党側に、全国の郵便局長らが過去3年間で総額8億1973万円を資金提供していたことが13日、産経新聞の調べで分かった。「全国郵便局長会」(旧「全国特定郵便局長会」)の会員やOB、家族らでつくる政治団体「郵政政策研究会」がパーティー券購入や寄付を行い、郵便局長らは国民新党の職域支部「国民新党憲友会」にも納金していた。国会議員9人の小政党に特定の団体側から8億円もの資金が流れていた事実に、識者からは「露骨な利益誘導」とする批判の声も出ている。(調査報道班)
国民新党は郵政解散直後の平成17年8月に設立。18~20年の政治資金収支報告書によると、郵政研はこの間、全国の郵便局長らから個人献金計約7億5738万円を受領。党の衆参両院議員の現職や元職、候補者ら計12人の政治団体にパーティー券購入や寄付で、計2億5500万円を支出した。
◇
独協大法科大学院の右崎正博教授(憲法学)の話
「特定の勢力から巨額の資金提供を受け、その勢力の望む政策を実行するのは、露骨な利益誘導といわざるを得ない。小政党の国民新党は、大政党と比べて資金量も大きく劣ることから、郵便局長会側の資金への依存度は相対的に高く、より露骨だ。郵便局長が中心となった職域団体の代表が総務政務官というのも、公平性に疑問がある」
【産経主張】「新漢字表」答申 「制限」の自縛解く好機だ
常用漢字表の見直しを進めていた文化審議会が「改定常用漢字表」を川端達夫文部科学相に答申した。年内にも告示される予定だ。
1945字からなる現行の常用漢字表が告示されたのは昭和56年だった。その後のパソコン、携帯電話の普及で、国民の文字使用環境は大きく変化し、今では手で「書く」より情報機器を使って「打つ」のが主流となった。難しい漢字でもごく簡単に変換して打ち出せる。
改定はそんな時代の流れを国語政策に反映させる目的で行われたもので、「すべてを手書きできる必要はない」としたのが大きな特徴だ。画数が多く難しいなどとして追加見直しの声が多かった「鬱(うつ)」や「彙(い)」も、最終的に追加されたのは大いに評価できる。
平成17年に漢字政策の在り方について諮問した中山成彬文科相(当時)は、国民はより多くの漢字を使いたがっているようだと指摘した。昨今の漢字ブームなども考慮すれば、追加漢字が現行の約1割、196字にとどまったのは残念としか言いようがない。
「虎」が追加される一方で「鷹(たか)」「雀(すずめ)」などが落選した。使用範囲が限定的と判断されたようだが、このままでは「鷹揚(おうよう)」などの熟語や「門前雀羅(じゃくら)を張る」などの成句が、若い世代ばかりか国民の多くから忘れられていく。
戦後間もない昭和21年に制定された当用漢字表は漢字の使用に厳しい制限を設けたため、公文書だけでなくマスコミも、漢語に仮名を交ぜる交ぜ書き表記や代用漢字の使用を余儀なくされた。
当用漢字表の後を受けた常用漢字表では「漢字使用の目安」というふうに制限色が緩和された。が、それにもかかわらず一部マスコミはいまだに「牽引」を「けん引」、「改竄」を「改ざん」と書くなど、「表外字不使用」の自縛を引きずっている。
改定常用漢字表は現行表と同様に「目安」であることを明示し、「表内字だけを用いて文章を書かなければならないという制限的なものでない」ことも付け加えた。表外字には振り仮名の活用も提言している。今こそ先の自縛を解くチャンスではないか。
豊かな文章表現と美しい国語表記に、幅広い漢字の使用は絶対に欠かせない。「けん引」や「改ざん」の表記こそ、国民から正しい漢字知識を遠ざけようとする暴挙と心得るべきだろう。
今週から遂に幕を開けるE3 Expo 2010で、ソニーが新たなハードを発表する可能性が出てきた。
先週オープンした米国PlayStation.comのE3特設サイト上に、「The E3 2010 Expoが始まります!PlayStationのどんな素晴らしいゲームやハードウェアが公開されるか、ここに足を運んで確かめてください」との告知文が掲載。
海外サイトでは、新型機PSP2や新SKUのPS3本体の発売が噂になっているが、新たなハードの発表が本当に行われるのか、ソニーのプレスカンファレンスに大きな注目が集まりそうだ。
また同告知文には、「ここ10年で最も期待されるゲームの発表(ゴホンGT5ゴホン)」という記述もあり、グランツーリスモ5の発売日がいよいよ発表されるとの見方が強まっているす。
E3 2010のソニープレスカンファレンスは、現地時間6月15日午後12時(日本時間6月16日午前4時頃)より開催予定。
都の「アニメポルノ」規制条例 自公修正案でも否決見通し
「非実在青少年」といった独特の言葉が注目を集めた東京都の青少年健全育成条例の改正案が、都議会の6月定例会で審議入りする。出版業界は「創作活動が萎縮する」と反発する一方、都側は「表現活動を規制するつもりはない」と、釈明に追われている。自民・公明の両党は小幅修正した修正案を提出した上で成立を目指すが、最大会派の民主党は、改正案の撤回を求めている。議会を二分する形で議論が白熱しそうだが、結局は反対多数で否決されそうだ。
改正案では、18歳未満として表現されているマンガやアニメのキャラクターを「非実在青少年」と定義。この「非実在青少年」の性的行為を描いたマンガの18歳未満への販売を規制するとの内容だ。
条例案は2月24日開会の都議会3月定例会に提出され、その直後から「規制の基準があいまい」といった、非難の声が続出。3月定例会では「継続審議」とされた。
パンチラや、おっぱいやお尻だけでは規制されず
これを受けて、東京都は4月26日には想定問答集を発表、
「『非実在青少年』のパンチラや、おっぱいやお尻が見えるシーン、裸のシーン、入浴シーンやシャワーシーンの描写があるだけで規制することはありません」
などと、25項目にわたって条例への理解を求めた。
それでも、反発の声は収まらなかった。例えば、出版社10社と漫画家の有志が5月25日、
「漫画作家の創作活動を萎縮させ、漫画文化の衰退を招くことは必至」
などとする声明を発表。日本脚本家連盟も、5月31日に「行政による思想・感情への介入の契機となることを危惧する」
との声明を発表している。
実は、石原慎太郎都知事も、条例の内容に苦言を呈したことがあった。5月7日の会見で、
「『非実在青少年』なんて、誰がどう解釈しても、幽霊の話かと思っちゃう、本当に」 「特に役人がつくる言葉なんていうのは、くだらない常套語があって、世間に通用しないこといっぱいある」
などと批判を展開した。ただし、
「部分修正すればよろしいので、趣旨は正しいと思いますから、撤回する必要ないです。何で議会は自分たちの手でリペア(修正)して、より良いものにブラッシュアップする努力しないんですか」(5月28日)
と、あくまでも「小幅修正」にとどめ、開会中の6月の定例会での成立を目指したい考えだ。
民主党は改正案撤回を要望
もちろん、改正案成立に向けた「応援団」もいる。東京都小学校PTA協議会は、3月と6月の2度にわたって、都議会機長などに早期成立を求める要望書を提出。表現の自由について危惧する声については、
「子どもを守るよりも自分を守ることが大事だ、と言っていることに他ならない」
などと反論している。
このような状況で、6月8日には代表質問が行われ、法案をめぐってヒートアップした。都側と対立姿勢を深める最大会派の民主党は、「提出者自らが不備を認めるような法案は撤回すべき」との立場で、この日も、山下太郎都議は
「都にはあらためて改正案の速やかな撤回を要望する」
と発言。一方、改正案の成立を求める自民党の小磯明都議は、
「改正案に賛成の立場から、都民のため条文をより分かりやすくし、制度のあり方を3年後に検証するなどの修正案を都議会公明党とともに作成した」
と、修正案を提出することを明らかにした。修正案では、「非実在青少年」を「描写された青少年」、「青少年性的視覚描写物」を「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類」に修正するなどの文言修正や、条例の施行から3年後に内容を見直すという附則を加えるなどの「小幅修正」が中心だ。
改正案をめぐっては、民主党や共産党が撤回を求めている。6月定例会では白熱した議論が展開されそうだが、結局は反対多数で否決される見通しだ。
米アマゾン、日本で「クラウド」
ヤフーも参入
米アマゾン・ドット・コムと日本のヤフーは、インターネット経由で情報システムを貸し出す「クラウドコンピューティング」事業を相次ぎ日本で始める。アマゾンはデータセンター能力を貸し出すサービスに本格参入。ヤフーは会員管理や課金などのネット機能を外部企業に提供する。両社は規模を背景に高付加価値のサービスを低価格で提供するとみられ、クラウド市場の競争が激化しそうだ。
アマゾンは検索最大手のグーグルなどと並び、米国のクラウド市場で先行。製薬大手からネットベンチャーまで幅広い顧客を抱える。このほど日本にデータセンター能力を貸し出す事業を手がける子会社を設立し、近く日本語でサービスを始める。
年内をメドに東京にもデータセンターを開設するもよう。これまで欧米とシンガポールの計4つのデータセンター機能を英語版サービスとして提供していた。大容量ネット回線が整備された日本でクラウド活用が進むと判断した。
日本語でのサポート業務も始める。東芝など国内IT(情報技術)各社と協力、顧客企業のクラウド導入支援体制も整える。
ヤフーは来年3月までにクラウド事業に本格参入する。昨年買収したデータセンター子会社の機能を活用し、ポータル(玄関)サイト運営で培った課金、会員管理、広告配信、コンテンツ配信などのネット機能を貸し出す。顧客企業は必要な機能を組み合わせて自社ブランドで様々なネットサービスを展開できるようになる。
ウェブサイトを持たない飲食店から、大規模な動画配信システムを必要とするコンテンツ大手まで幅広い企業のシステム需要を開拓する。
世界ではアマゾンやグーグルなどが本業のネットサービスのノウハウを活用してクラウド市場をけん引する。日本でも富士通などのシステム大手がクラウド事業を展開するが、データセンター規模などでは米ネット大手に後れを取る。
パナソニック、クラウドで生産管理 システム費4割減
迅速な海外展開を後押し 工場の競争力底上げ
パナソニックは2011年度から、ネットワーク経由でソフトウエアの機能を利用する「クラウドコンピューティング」を工場の生産管理に導入する。まず子会社で活用してシステム運用費の4割を削減するとともに、迅速な海外展開を後押しする。自前のコンピューターを持たないクラウドを活用する目的は、日本企業ではメールなどの情報共有が中心だった。生産の基幹部分への導入が広がれば、コストの軽減などで国内外での生産体制の競争力を底上げする動きにつながりそうだ。
サービス
パナソニックグループが進める事業戦略の柱は、家電から蓄電池、住設機器を含めた住宅全体の省エネ化。社内分社や子会社にまたがる製品群を一元管理し、新興国へ迅速に進出することが課題になっている。グループ全体でクラウドを活用すれば、システムコストの削減とともに、柔軟な海外展開につながると判断した。
まずファクトリーオートメーション(FA)機器を手がける子会社、パナソニックファクトリーソリューションズ(大阪府門真市)が中国など国内外の5工場で、今秋から米オラクルのクラウドサービスを使い始め、11年度から本格的に導入。パナソニック本体やグループの他社なども順次、導入する方針だ。
部品の発注や生産計画の立案、製品の出荷状況、在庫管理について、クラウドを活用して効率化する。従来は各拠点の自前の情報システムで運用していたが、オラクルが米国に保有するデータセンターに各地のパソコンから接続してソフトを動かす方式に改める。
パナソニックファクトリーソリューションズの年間売上高は約1200億円で、電子部品の実装装置に強みを持つ。社内システムを持つ現状では年間数億円のシステム運用費がかかっているが、クラウドに移行すれば約4割削減できるという。
パナソニックグループの生産系のシステム運用費は数十億円以上とみられるが、クラウドの活用は新興国などの比較的小規模な拠点から検討する。部品が2万~3万点と多いFA機器でクラウドの有効性を実証すれば、部品点数がより少ない家電製品にも応用できる。
パナソニックは米IBMのクラウドサービスを使い、約20万人のグループ従業員を対象に、メールやスケジュール管理の情報を共有するシステムの導入も進めている。
日本では自動車部品大手のジヤトコ(静岡県)や損害保険ジャパンなどがクラウドを導入する計画だが、地域や組織でバラバラなメールや顧客情報などを共有する目的。海外ではオラクルのサービスを導入した企業が生産関連に活用している事例があるという。
日本企業の海外事業は開発から生産、販売まで広がり、人材の現地採用も増えている。海外拠点を新設する際や複数拠点の生産体制を見直す場合、クラウドによる素早い対応は効果を発揮するため、グローバル展開する製造業の競争力底上げにつながりそうだ。
中央アジア諸国 中国経済圏拡大
資源を供給 安い工業製品輸入、直接投資5年で100倍超に
【タシケント=多部田俊輔】旧ソ連の中央アジア諸国で「中国経済圏」がじわりと拡大している。中国は西隣の中央アジアを石油など天然資源の調達先ばかりでなく、工業製品の主要な輸出市場とも位置付け始めた。中央アジアの街中では中国製の衣服や靴、家電製品があふれる。中国の勢いを生かして経済成長を続け、国家の運営を安定させたい中央アジア側と利害が一致している。
タシケントの市場では中国製商品が圧倒的に多い(イポドロム・バザールで)
■競合製品の半値以下 「中国製はとにかく安い」。ウズベキスタンの首都タシケントで最大級の総合市場「イポドロム・バザール」。商店1000軒以上が並ぶなか、家電販売店のアジモーフさん(29)は冷蔵庫をたたきながら語った。
価格は1台2万円ほどと競合製品の半値以下だ。中央アジアでは韓国製家電のシェアが高かったが、最近は中国製の人気も上昇中。ハイアール(海爾集団)など中国家電大手のエアコンなどが店頭にずらりと並ぶ。
「日用雑貨のほとんどは中国製だ」。同バザールで玩具を10年以上販売するカリモフさん(25)は中国語で「公安」と書かれたおもちゃのパトカーを手に取って見せる。中央アジアで販売される靴は現在、8割以上が中国製だという。
中国のカザフスタン、トルクメニスタンなど中央アジア5カ国からの輸入額は2009年、合計で約68億ドル(約6200億円)だった。石油などの資源が中心で、01年の7倍弱に当たる。ところが、輸出は輸入以上に伸びており、09年の輸出額は約166億ドル。01年の約34倍に達した。
日用品だけでなく、最近はハイテク分野でも中国製品が台頭。通信機器大手の華為技術はウズベクの通信会社から携帯電話網などの設備を請け負い、同業大手の中興通訊もタジキスタンで通信設備を受注した。
■人民元が流通 中国から中央アジア5カ国への直接投資も急増し、08年は約6億5600万ドルと03年の100倍以上となった。投資の主役は資源だ。カザフでは中国勢による買収が相次ぎ、石油の4分の1はすでに中国資本の傘下とされる。
資源が豊富な中央アジアはもともと、輸送用パイプラインをロシアとだけ接続していた。しかし、中国・カザフ間の原油パイプラインが06年に開通し、09年末にはトルクメンの天然ガスをウズベクなど経由で運ぶパイプラインも開通した。
輸出先に中国を加えて価格交渉を有利にしたい中央アジアと、経済成長で資源が不足する中国の思惑が重なり合う。中国は「原油調達の中東依存度を下げるため、中央アジアからの輸入をさらに増やす」(国家エネルギー局幹部)方針だ。
「中国の資源輸入が増えれば、代金を受け取る側である中央アジアの購買力も高まる」(中国の家電会社幹部)。資源と引き換えに“チャイナマネー”が流れ込み、それが中国の工業製品を買う原資に回るという循環が生まれている形だ。
「中央アジアとの貿易で、(中国通貨の)人民元での決済を支援する」。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は今月初め、中央アジアと隣接する新疆ウイグル自治区の地方政府幹部との会談でこう語った。
「中国経済圏」の拡大で、人民元の流通が中央アジアに広がってきたことを意識した発言だ。カザフの貿易会社幹部は「国内でも、仲間うちでは人民元で決済することもある」と打ち明ける。
全国郵便局長側、国民新党に8億円資金提供 「露骨な利益誘導」指摘も
郵政改革法案の可決を目指す国民新党側に、全国の郵便局長らが過去3年間で総額8億1973万円を資金提供していたことが13日、産経新聞の調べで分かった。「全国郵便局長会」(旧「全国特定郵便局長会」)の会員やOB、家族らでつくる政治団体「郵政政策研究会」がパーティー券購入や寄付を行い、郵便局長らは国民新党の職域支部「国民新党憲友会」にも納金していた。国会議員9人の小政党に特定の団体側から8億円もの資金が流れていた事実に、識者からは「露骨な利益誘導」とする批判の声も出ている。(調査報道班)
国民新党は郵政解散直後の平成17年8月に設立。18~20年の政治資金収支報告書によると、郵政研はこの間、全国の郵便局長らから個人献金計約7億5738万円を受領。党の衆参両院議員の現職や元職、候補者ら計12人の政治団体にパーティー券購入や寄付で、計2億5500万円を支出した。
◇
独協大法科大学院の右崎正博教授(憲法学)の話
「特定の勢力から巨額の資金提供を受け、その勢力の望む政策を実行するのは、露骨な利益誘導といわざるを得ない。小政党の国民新党は、大政党と比べて資金量も大きく劣ることから、郵便局長会側の資金への依存度は相対的に高く、より露骨だ。郵便局長が中心となった職域団体の代表が総務政務官というのも、公平性に疑問がある」
【産経主張】「新漢字表」答申 「制限」の自縛解く好機だ
常用漢字表の見直しを進めていた文化審議会が「改定常用漢字表」を川端達夫文部科学相に答申した。年内にも告示される予定だ。
1945字からなる現行の常用漢字表が告示されたのは昭和56年だった。その後のパソコン、携帯電話の普及で、国民の文字使用環境は大きく変化し、今では手で「書く」より情報機器を使って「打つ」のが主流となった。難しい漢字でもごく簡単に変換して打ち出せる。
改定はそんな時代の流れを国語政策に反映させる目的で行われたもので、「すべてを手書きできる必要はない」としたのが大きな特徴だ。画数が多く難しいなどとして追加見直しの声が多かった「鬱(うつ)」や「彙(い)」も、最終的に追加されたのは大いに評価できる。
平成17年に漢字政策の在り方について諮問した中山成彬文科相(当時)は、国民はより多くの漢字を使いたがっているようだと指摘した。昨今の漢字ブームなども考慮すれば、追加漢字が現行の約1割、196字にとどまったのは残念としか言いようがない。
「虎」が追加される一方で「鷹(たか)」「雀(すずめ)」などが落選した。使用範囲が限定的と判断されたようだが、このままでは「鷹揚(おうよう)」などの熟語や「門前雀羅(じゃくら)を張る」などの成句が、若い世代ばかりか国民の多くから忘れられていく。
戦後間もない昭和21年に制定された当用漢字表は漢字の使用に厳しい制限を設けたため、公文書だけでなくマスコミも、漢語に仮名を交ぜる交ぜ書き表記や代用漢字の使用を余儀なくされた。
当用漢字表の後を受けた常用漢字表では「漢字使用の目安」というふうに制限色が緩和された。が、それにもかかわらず一部マスコミはいまだに「牽引」を「けん引」、「改竄」を「改ざん」と書くなど、「表外字不使用」の自縛を引きずっている。
改定常用漢字表は現行表と同様に「目安」であることを明示し、「表内字だけを用いて文章を書かなければならないという制限的なものでない」ことも付け加えた。表外字には振り仮名の活用も提言している。今こそ先の自縛を解くチャンスではないか。
豊かな文章表現と美しい国語表記に、幅広い漢字の使用は絶対に欠かせない。「けん引」や「改ざん」の表記こそ、国民から正しい漢字知識を遠ざけようとする暴挙と心得るべきだろう。
「E3」今年の目玉 3Dゲーム成功の条件
世界最大のゲーム見本市「E3」が6月15日、米ロサンゼルスで開幕する。今年の注目点は、ゲーム機の3次元(3D)対応だろう。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は6月10日、「プレイステーション3(PS3)」向けにまず3タイトルの3Dゲームをダウンロード配信で発売した。一方、任天堂は裸眼で3D映像を楽しめるという新型の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の詳細を発表する予定だ。
映像の3D化はまず映画で成功し、3Dテレビの販売も始まった。そうしたなかでゲーム機が3Dに対応するのは自然な流れだろう。しかし、3Dゲームは2D(2次元)にない新たなゲーム体験を生み出し、ゲームを大きく変化させるのだろうか。その可能性を考えるうえで参考になる実験が過去に行われている。
モントリオールの実験イベントの結果は?
2008年11月にカナダのモントリオールで、「GAMMA 3D」という実験的なゲームイベントが開催された。モントリオール地域のゲーム開発者を中心とする「Kokoromi」という団体が主催したもので、いち早く「3D対応ゲーム」をテーマにしたことから、現在もゲーム開発者の間で話題になることが多い。
この実験では、「3D技術を使うことで、他の方法では達成することができないオリジナリティーのあるゲームプレーを実現することができるか」を目標に掲げ、それぞれコンセプトが異なる14タイトルの実験的ゲームを公開した。
3Dの手法は、特殊なハードウエア環境を必要としないシンプルな「赤青メガネ」方式に限定するというルールで、イベント会場では参加者全員に赤青メガネが配布された。このとき公開されたゲームは、現在もKokoromiのサイトからすべて無料でダウロードすることができる。赤青メガネさえ自作すれば、誰でも試すことが可能だ。
結論からいうと、この実験では3Dゲームが持つ可能性よりむしろ課題の方が多く浮かび上がった。Kokoromiのメンバーであるへザー・ケリー氏はイベントを総括してブログに投稿している。「(真にオリジナリティーを持つ3Dゲームの実現は)可能だが、ごく稀だろう。(成功は)ビジュアルを注意深くコントロールして制限した場合に限られる」と指摘している。つまり、実験に使ったゲームに限れば、3Dならではの新しいゲーム体験を生み出すことは難しかったのだ。
メガネなしでもプレーに支障なし
イベントで公開されたゲームうち代表的な3タイトルを実際に見てみた。赤青メガネは100円ショップで売られているフィルムで自作した。
「super HYPERCUBE」は、空中に浮かんだブロックを壁に空いた穴の形に合うように的確に回転させて通過させる「立体テトリス」とでもいえそうなパズルゲームだ。3分間にいくつのブロックを通過させることができるかで得点が決まる。赤青メガネをかけるとブロックの立体感がわかりやすく伝わり、ゲームプレーが盛り上がる効果もある。
ただ、何度かプレーしていると、このゲームにとって3Dは必須かどうか疑問になってきた。実際、メガネをかけないでプレーしても、スコアにはあまり影響がないように思える。赤青メガネによる立体感がなくても、このゲームは十分おもしろかった。
「Paper Moon」は、「スーパーマリオ」スタイルの2Dのアクションゲームに3D要素を持ち込むとどうなるかを実験したゲームだ。アクションボタンを押すと、岩や扉が前面に出たり、後ろに引っ込んだりして奥行き感を出している。扉は引っ込んでいるときにだけ通過でき、進路を邪魔する敵を倒すための仕掛けにもなる。
ただ、これも赤青メガネをはずしてゲームをしても、何ら困ることはなかった。3D手法を使わなくても奥行き感は演出できてしまう。
唯一、「The Depths To Which I Sink」だけは、赤青メガネがないとプレーできない。奥行きのある物体に衝突しないように回避し続けることが目的のゲームだが、裸眼でみると物体に影がないため奥行き感がわからない。これなら「3Dならではのゲーム」といえるかもしれないが、映像としてはおもしろくてもゲームとして長時間遊び続けたいと感じるほどの魅力はない。
どのタイトルも、3Dはゲームの魅力を高める一要素になってはいるが、過去のゲームで見たことのない決定的な何かを生み出すほどではないというのが率直な感想だ。
赤青メガネ方式は市販ゲームにも採用されたが……
赤青メガネ方式による3D表現は、スケートボードを題材とした市販ゲームで09年2月に日本で発売された「スケート2」(エレクトロニックアーツ、PS3、Xbox360)でも採用されている。実験的な意味が大きいと思われるが、タイミングよくジャンプを決めるには、地面の凹凸を正確に把握する必要があるため、3Dにする効果は大きいと思える。ただ、動画サイト「YouTube」にアップロードされたスケート2の5000件以上のプレー動画のうち、3Dモードでのプレーは数件に過ぎないことからもわかるように、あまり多くのユーザーに遊ばれはしなかった。今年5月に欧米圏で発売になった「スケート3」では、この機能は削られたようだ。
もちろん、赤青メガネは極めて古典的な方法だ。長い間見ていると目が疲れるという問題もある。一方、PS3の3Dは液晶シャッター付きのメガネを使う最新の方式であり、画質面で同列に比較するのは意味がないかもしれない。しかし、ゲーム性にかかわる部分の課題は、いくら技術が変わっても解消されるわけではない。
PS3の課題、ニンテンドー3DSの可能性
ケリー氏は、3Dゲームをプレーするには特定のハードウエアやソフトウエアが必要であることも普及のうえでの課題だと指摘する。3D環境は急には広がらず、結果としてユーザーの母数もすぐには増えない。そうなると、仮に新しいゲームデザインの可能性があるにしても、すぐに見つかる確率は低いと考えている。
PS3向けの3Dゲームを発売したSCEとっても、この点は課題になるだろう。3D規格に準拠した3Dテレビ、専用の3Dメガネ、ハイスピード規格に対応したHDMIケーブルを用意する必要があり、ゲームをプレーするまでのコストはお世辞にも安いとは言えない。そこまで支出しても見合うだけのゲーム体験を提供できるかどうかが問われることになる。
一方、任天堂が「ニンテンドーDS」シリーズの後継機として11年3月期中に発売する予定のニンテンドー3DSは特別なメガネを必要とせず、ゲーム機と対応ソフトさえ購入すれば3Dを体験できる。裸眼での立体再現がどの程度のレベルかは実機を見ないとわからないが、映像として魅力があれば、普及は早いだろう。
任天堂は、ゲーム機の回りに自然と人が集まってくるような機能を取り入れる戦略に長けている。DSのタッチペンによるわかりやすい操作や「Wii」の体感コントローラーなどと同様、周りの人を巻き込み、口コミを引き起こす仕掛けとして3Dを位置づけているとみられる。
E3で魅力的なタイトルは登場するか
ケリー氏は次のように結論づけている。「一般に立体視は、ゲームプレーに革命を起こすというよりも、主にプレーヤーの関心を視覚的、感覚的に引いて没入させる方法と考えられている。しかし、それが間違いだと証明されることを我々は願っている。さしあたり3Dゲームは、おちゃめな紙メガネをかけた親しい人たちで部屋をいっぱいにする最適な方法にはなる」
新奇な見た目で客寄せになるというレベルを超え、3D対応のハードウエアをほしいと思わせるような魅力的なゲームが出てくるかどうか。E3で発表になる各社の新タイトルの一つの見どころとなるだろう。
谷垣総裁、参院選与党過半数なら辞任
自民党の谷垣総裁は13日、フジテレビの番組で、今夏の参院選で与党を過半数割れに追い込めなかった場合、総裁を辞任する考えを明らかにした。
谷垣氏は番組終了後、都内で記者団に対し、「(参院選に)政治生命をかけるというのは、(敗北すれば)総裁としての資格はなくなったと考えるということだ」と述べた。具体的な目標議席数については「全く考えていない。野党は、与党を追い込んでいくのが仕事だ」と述べ、与党の過半数割れを目指すことを重ねて強調した。
W杯で過熱の薄型TV商戦、ブラジルで日韓対決
11日に開幕したサッカー・ワールドカップ(W杯)を契機に、テレビの買い替え需要が急増しているからだ。ブラジルのテレビ市場では、韓国メーカーが日本メーカーを圧倒しているが、日本勢もW杯商戦を機に巻き返しを図っている。
サンパウロ市内のソニー直営店は、午後8時の閉店時間まで、大勢の客でにぎわっている。特に人気が高いのが薄型テレビだ。獣医師のロベルト・メローさん(36)は「W杯のために、母のためにテレビを買い足そうかと考えている」と品定めしていた。
ソニーはW杯商戦が本格化した4月に新製品を投入し、店頭ではスポンサー契約を結んだブラジル代表で人気の高いカカ選手の等身大ポスターを並べた。テレビCMではW杯公式スポンサーであることをアピールし、販売攻勢をかけている。
サッカーはブラジルの国技で、絶大な人気を誇る。W杯商戦の成果で、ソニーのテレビ販売台数は4月から急増し、ブラジル国内の生産工場で液晶テレビのパネル在庫が底をついたほどだ。3月末から5月にかけ、赤字覚悟で日本や韓国から緊急空輸でパネルを取り寄せて対応している。
ただ、ブラジル市場では韓国勢が圧倒している。
2007年ごろは、サムスン電子、韓国LG電子のシェア(市場占有率、金額ベース)はともに25%前後、ソニーは約20%と競り合っていた。しかし、その後は韓国勢の強力な販売攻勢に押され、今年3月時点では、LGの30%、サムスンの25%に対し、ソニーは10%と大きくシェアを落とした。日本勢全体でも約15%程度で、韓国勢の3分の1以下だ。
米調査会社ディスプレイサーチによると、ブラジルの薄型テレビ市場は09年は前年比約1・5倍の420万台、10年は710万台と予想し、13年には1000万台突破を見込んでいる。ブラジルでは14年にW杯ブラジル大会、16年にリオデジャネイロ五輪が控えており、テレビ需要が高まるのは確実と見られ、日本メーカーは巻き返しを狙う。
ソニー・ブラジルの筒井隆司社長は「ブランドイメージはまだ我々が韓国勢を上回る。2012年度にはシェア1位を取り戻したい」と意気込む。テレビを現地生産するパナソニックや東芝も販売を強化する考えだ。
一方、韓国勢も、サムスンが昨年、ブラジルの名門サッカーチーム、パルメイラスの公式スポンサーとなった。LGもブラジル屈指の人気チーム、サンパウロFCのスポンサーで、サッカーに絡んだ宣伝合戦を繰り広げており、日本メーカーの反撃を迎え撃つ構えだ。
米FTC、アップルの携帯端末向けソフト規制を調査
【ワシントン】米連邦取引委員会(FTC)は、アップルの携帯端末向けソフトウエアに関する規制が競争阻害行為に当たるかどうかについて調査を始める。事情に詳しい関係筋が明らかにした。
複数の企業が、アップルのソフトウエア規制が競合他社を締め出していると、同社を非難している問題で、FTCと米司法省は数週間にわたってどちらの機関が調査を行うか協議してきた。
グラフィックデザイン・ソフトウエア最大手のアドビ・システムズは、同社の動画再生技術「フラッシュ」について、アップルが自社製品ではサポートしないと決めたことに反発。またグーグルは、アップルの「iPhone(アイフォーン)」と「iPad(アイパッド)」の 基本ソフト(OS)に対する新規制のために、アプリケーション開発者がこうした端末でグーグルの広告技術を使用できなくなるとして、アップルを非難している。
アップル、FTCとも今回の報道についてコメントを控えるとしている。
アップルは、このほかにも反トラスト法違反の疑いについて調査を受ける可能性がある。司法省はすでに、アップルを含む多数のテクノロジー企業が人材の引き抜きをお互いに行わないとの取り決めをしているかどうかについて調査を始めている。
Twitterはビジネスツールとなりえるのか 企業がこぞって参加する現象はセカンドライフと同じ?
140文字のつぶやき(ツイート)を投稿する米国のミニブログ・Twitter。4月のカンファレンスで登録者数が1億人を超えていることが公式データとして初めて発表された。日本でも昨年ブレークし、芸能人や元首相も登録する人気のコミュニケーションツールとなっている。
そうなればおのずと企業がビジネス活用しだすことは必至で、ユニクロや無印良品、モスバーガーなど様々な企業がTwitterにアカウントを登録、なかにはTwitterを利用したイベントや告知を実施している企業もある。
例えばどのような活用法があるのかというと、イベント状況をTwitterで実況中継したり、Twitterでイベント参加者を募ったりなどだ。4月に渋谷109でイベントを行ったPanasonicのラムダッシュでは、Twitterでイベントを実況ツイートし、イベントに参加出来ないひとのためにTwitterで応募できるキャンペーンを実施。無印良品ではTwitter内で発表されたキーワードをモデルハウスで言えばプレゼントがもらえる。
またTwitter風のつぶやきをすることができるオリジナルツールも出現している。tenki.jpではTwitterから取得したツイートとtenki.jpから書き込んだヒトコトを日本地図上にみんなの気持ちとしてアップされ、一方毎日新聞からはTwitterと連動し、読者の声を生かした新聞「毎日RT」が創刊されている。
はたまたTwitterを舞台にしたドラマも製作され話題を呼んだが、こちらは脚本家がTwitter自体をあまり知らないため、ネット上で批判を受けた。それに脚本家が反論してしまい、さらに炎上するなど一波乱あった。
このように様々な工夫を凝らしたTwitter活用法が見受けられるが、とかく飽きやすいと定評がある日本人だけにこのブームは果たしていつまで続くのか。昔、CMの中で「続きはWEBで」というネット連動型の手法が流行った。現在でもWEBのみでCMのロングバージョンを流すといったコンテンツが好評を博し、このクロスメディア戦法は定番化している。
仮想空間「セカンドライフ」が流行した際には、自動車メーカーやIT企業など名だたる大手企業がセカンドライフのSIM内でイベントを開催したり、ショールームを構築したりした。こちらはセカンドライフの人気のかげりとともに衰退してしまったが、Twitterは企業が使用するツールとして今後定番化していくのだろうか。それとも単なる一過性にすぎないのか。
世界で稼ぐ成長戦略 企業の力を日本の力に
日産自動車の追浜工場(神奈川県横須賀市)で小型車「マーチ」の生産が終了する。1982年に発売され、日産車の売れ行きナンバーワンにたびたび輝いたクルマだ。今も根強い人気を誇るが、秋に予定されるモデルチェンジを機に、タイで生産し、日本に逆輸入することになった。
進む産業空洞化
日本車メーカーではこれまで「日本で売れるクルマは日本でつくる」が大原則だった。「マーチのタイ移管でその常識が崩れる。これはかなり深刻な事態」と経済産業省の幹部は言う。
菅直人首相の新政権が発足した。足元の日本の景況は悪くない。国内総生産(GDP)は年率5%の実質成長を示し、企業の業績も上向いている。ただ今の回復は「V」ではなく、片仮名の「レ」の字型。反転はしたものの、金融危機以前の水準には届かず、持続力も心もとない。
日本経済の迫力不足の一因は、企業が国内投資をためらっていることだ。いざなぎ超えといわれた前回の景気回復では「工場の日本回帰」が進んだが、今回はマーチのように「生産拠点の日本脱出が加速する可能性」が高い。
円高などの逆境を克服し、経済が力強さを取り戻すために求められる政策は何か。一つは直嶋正行経産相が旗を振る法人税の引き下げだ。世界各国で法人税の切り下げ競争が進む中で、日本は財政難を理由に約40%という高税率を維持してきた。
日産がマーチをタイに移管した理由の一つは、タイ政府が提示した「安い税」。タイの政変のさなかの4月に、三菱自動車がタイへの投資を決めた背景にも、税制面の優遇がある。
税制における配慮は製造業だけではない。欧州や韓国は海運会社に対して船のトン数に応じた外形標準課税を実施済みで、実効税率は10%以下とかなり低い。「本社を税率の安いシンガポールに移すことを本気で検討する。今のままでは太平洋航路の主導権を奪われる」。大手海運会社の首脳が打ち明ける。
高コストにメス
国際競争という現実に無頓着すぎた税に限らず、公的コストのリストラも欠かせない。5月、財務相として中央アジアに出張した菅首相。往復とも韓国経由の空路を使うしかなかった。この経験が「日本は九十いくつも飛行場をつくって、まともなハブ空港が一つもない」という就任会見の厳しい言葉につながった。
日本の旅客や航空会社が負担する着陸料などの「公租公課」は国際的に見て割高だが、バラマキ型のインフラ整備に浪費され、成長の土台にならなかった。自民党時代から続く構造にメスを入れるしかない。
世界で稼ぐための政策をもう置き去りにできない。隣国の韓国は自由貿易協定(FTA)の輪を広げ、主要貿易相手で協定がないのは日本と中国ぐらい。
韓国の現代自動車がインドに部品を輸出すると1~5%の関税で済むようになるが、早くからインドに進出していた日本のスズキは12.5%の関税がかかる。「インドで最大のライバルは現代」とスズキの幹部は言う。電機業界は韓国勢の追い上げで以前の輝きを失った。自動車が同じ轍(てつ)を踏めば、日本は「リーディング産業が不在」の国となる。
発足当初はアンチビジネス(反企業)的な姿勢が目立った民主党政権だが、最近は軌道修正の動きがある。生き生きした日本経済をつくるために、政府と経済界が適切な距離感を保ち、知恵を出し合う関係が望ましい。必要な改革をひとつひとつ積み上げて、成長への政権の本気度を内外に示すときがきた。
世界最大のゲーム見本市「E3」が6月15日、米ロサンゼルスで開幕する。今年の注目点は、ゲーム機の3次元(3D)対応だろう。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は6月10日、「プレイステーション3(PS3)」向けにまず3タイトルの3Dゲームをダウンロード配信で発売した。一方、任天堂は裸眼で3D映像を楽しめるという新型の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の詳細を発表する予定だ。
映像の3D化はまず映画で成功し、3Dテレビの販売も始まった。そうしたなかでゲーム機が3Dに対応するのは自然な流れだろう。しかし、3Dゲームは2D(2次元)にない新たなゲーム体験を生み出し、ゲームを大きく変化させるのだろうか。その可能性を考えるうえで参考になる実験が過去に行われている。
モントリオールの実験イベントの結果は?
2008年11月にカナダのモントリオールで、「GAMMA 3D」という実験的なゲームイベントが開催された。モントリオール地域のゲーム開発者を中心とする「Kokoromi」という団体が主催したもので、いち早く「3D対応ゲーム」をテーマにしたことから、現在もゲーム開発者の間で話題になることが多い。
この実験では、「3D技術を使うことで、他の方法では達成することができないオリジナリティーのあるゲームプレーを実現することができるか」を目標に掲げ、それぞれコンセプトが異なる14タイトルの実験的ゲームを公開した。
3Dの手法は、特殊なハードウエア環境を必要としないシンプルな「赤青メガネ」方式に限定するというルールで、イベント会場では参加者全員に赤青メガネが配布された。このとき公開されたゲームは、現在もKokoromiのサイトからすべて無料でダウロードすることができる。赤青メガネさえ自作すれば、誰でも試すことが可能だ。
結論からいうと、この実験では3Dゲームが持つ可能性よりむしろ課題の方が多く浮かび上がった。Kokoromiのメンバーであるへザー・ケリー氏はイベントを総括してブログに投稿している。「(真にオリジナリティーを持つ3Dゲームの実現は)可能だが、ごく稀だろう。(成功は)ビジュアルを注意深くコントロールして制限した場合に限られる」と指摘している。つまり、実験に使ったゲームに限れば、3Dならではの新しいゲーム体験を生み出すことは難しかったのだ。
メガネなしでもプレーに支障なし
イベントで公開されたゲームうち代表的な3タイトルを実際に見てみた。赤青メガネは100円ショップで売られているフィルムで自作した。
「super HYPERCUBE」は、空中に浮かんだブロックを壁に空いた穴の形に合うように的確に回転させて通過させる「立体テトリス」とでもいえそうなパズルゲームだ。3分間にいくつのブロックを通過させることができるかで得点が決まる。赤青メガネをかけるとブロックの立体感がわかりやすく伝わり、ゲームプレーが盛り上がる効果もある。
ただ、何度かプレーしていると、このゲームにとって3Dは必須かどうか疑問になってきた。実際、メガネをかけないでプレーしても、スコアにはあまり影響がないように思える。赤青メガネによる立体感がなくても、このゲームは十分おもしろかった。
「Paper Moon」は、「スーパーマリオ」スタイルの2Dのアクションゲームに3D要素を持ち込むとどうなるかを実験したゲームだ。アクションボタンを押すと、岩や扉が前面に出たり、後ろに引っ込んだりして奥行き感を出している。扉は引っ込んでいるときにだけ通過でき、進路を邪魔する敵を倒すための仕掛けにもなる。
ただ、これも赤青メガネをはずしてゲームをしても、何ら困ることはなかった。3D手法を使わなくても奥行き感は演出できてしまう。
唯一、「The Depths To Which I Sink」だけは、赤青メガネがないとプレーできない。奥行きのある物体に衝突しないように回避し続けることが目的のゲームだが、裸眼でみると物体に影がないため奥行き感がわからない。これなら「3Dならではのゲーム」といえるかもしれないが、映像としてはおもしろくてもゲームとして長時間遊び続けたいと感じるほどの魅力はない。
どのタイトルも、3Dはゲームの魅力を高める一要素になってはいるが、過去のゲームで見たことのない決定的な何かを生み出すほどではないというのが率直な感想だ。
赤青メガネ方式は市販ゲームにも採用されたが……
赤青メガネ方式による3D表現は、スケートボードを題材とした市販ゲームで09年2月に日本で発売された「スケート2」(エレクトロニックアーツ、PS3、Xbox360)でも採用されている。実験的な意味が大きいと思われるが、タイミングよくジャンプを決めるには、地面の凹凸を正確に把握する必要があるため、3Dにする効果は大きいと思える。ただ、動画サイト「YouTube」にアップロードされたスケート2の5000件以上のプレー動画のうち、3Dモードでのプレーは数件に過ぎないことからもわかるように、あまり多くのユーザーに遊ばれはしなかった。今年5月に欧米圏で発売になった「スケート3」では、この機能は削られたようだ。
もちろん、赤青メガネは極めて古典的な方法だ。長い間見ていると目が疲れるという問題もある。一方、PS3の3Dは液晶シャッター付きのメガネを使う最新の方式であり、画質面で同列に比較するのは意味がないかもしれない。しかし、ゲーム性にかかわる部分の課題は、いくら技術が変わっても解消されるわけではない。
PS3の課題、ニンテンドー3DSの可能性
ケリー氏は、3Dゲームをプレーするには特定のハードウエアやソフトウエアが必要であることも普及のうえでの課題だと指摘する。3D環境は急には広がらず、結果としてユーザーの母数もすぐには増えない。そうなると、仮に新しいゲームデザインの可能性があるにしても、すぐに見つかる確率は低いと考えている。
PS3向けの3Dゲームを発売したSCEとっても、この点は課題になるだろう。3D規格に準拠した3Dテレビ、専用の3Dメガネ、ハイスピード規格に対応したHDMIケーブルを用意する必要があり、ゲームをプレーするまでのコストはお世辞にも安いとは言えない。そこまで支出しても見合うだけのゲーム体験を提供できるかどうかが問われることになる。
一方、任天堂が「ニンテンドーDS」シリーズの後継機として11年3月期中に発売する予定のニンテンドー3DSは特別なメガネを必要とせず、ゲーム機と対応ソフトさえ購入すれば3Dを体験できる。裸眼での立体再現がどの程度のレベルかは実機を見ないとわからないが、映像として魅力があれば、普及は早いだろう。
任天堂は、ゲーム機の回りに自然と人が集まってくるような機能を取り入れる戦略に長けている。DSのタッチペンによるわかりやすい操作や「Wii」の体感コントローラーなどと同様、周りの人を巻き込み、口コミを引き起こす仕掛けとして3Dを位置づけているとみられる。
E3で魅力的なタイトルは登場するか
ケリー氏は次のように結論づけている。「一般に立体視は、ゲームプレーに革命を起こすというよりも、主にプレーヤーの関心を視覚的、感覚的に引いて没入させる方法と考えられている。しかし、それが間違いだと証明されることを我々は願っている。さしあたり3Dゲームは、おちゃめな紙メガネをかけた親しい人たちで部屋をいっぱいにする最適な方法にはなる」
新奇な見た目で客寄せになるというレベルを超え、3D対応のハードウエアをほしいと思わせるような魅力的なゲームが出てくるかどうか。E3で発表になる各社の新タイトルの一つの見どころとなるだろう。
谷垣総裁、参院選与党過半数なら辞任
自民党の谷垣総裁は13日、フジテレビの番組で、今夏の参院選で与党を過半数割れに追い込めなかった場合、総裁を辞任する考えを明らかにした。
谷垣氏は番組終了後、都内で記者団に対し、「(参院選に)政治生命をかけるというのは、(敗北すれば)総裁としての資格はなくなったと考えるということだ」と述べた。具体的な目標議席数については「全く考えていない。野党は、与党を追い込んでいくのが仕事だ」と述べ、与党の過半数割れを目指すことを重ねて強調した。
W杯で過熱の薄型TV商戦、ブラジルで日韓対決
11日に開幕したサッカー・ワールドカップ(W杯)を契機に、テレビの買い替え需要が急増しているからだ。ブラジルのテレビ市場では、韓国メーカーが日本メーカーを圧倒しているが、日本勢もW杯商戦を機に巻き返しを図っている。
サンパウロ市内のソニー直営店は、午後8時の閉店時間まで、大勢の客でにぎわっている。特に人気が高いのが薄型テレビだ。獣医師のロベルト・メローさん(36)は「W杯のために、母のためにテレビを買い足そうかと考えている」と品定めしていた。
ソニーはW杯商戦が本格化した4月に新製品を投入し、店頭ではスポンサー契約を結んだブラジル代表で人気の高いカカ選手の等身大ポスターを並べた。テレビCMではW杯公式スポンサーであることをアピールし、販売攻勢をかけている。
サッカーはブラジルの国技で、絶大な人気を誇る。W杯商戦の成果で、ソニーのテレビ販売台数は4月から急増し、ブラジル国内の生産工場で液晶テレビのパネル在庫が底をついたほどだ。3月末から5月にかけ、赤字覚悟で日本や韓国から緊急空輸でパネルを取り寄せて対応している。
ただ、ブラジル市場では韓国勢が圧倒している。
2007年ごろは、サムスン電子、韓国LG電子のシェア(市場占有率、金額ベース)はともに25%前後、ソニーは約20%と競り合っていた。しかし、その後は韓国勢の強力な販売攻勢に押され、今年3月時点では、LGの30%、サムスンの25%に対し、ソニーは10%と大きくシェアを落とした。日本勢全体でも約15%程度で、韓国勢の3分の1以下だ。
米調査会社ディスプレイサーチによると、ブラジルの薄型テレビ市場は09年は前年比約1・5倍の420万台、10年は710万台と予想し、13年には1000万台突破を見込んでいる。ブラジルでは14年にW杯ブラジル大会、16年にリオデジャネイロ五輪が控えており、テレビ需要が高まるのは確実と見られ、日本メーカーは巻き返しを狙う。
ソニー・ブラジルの筒井隆司社長は「ブランドイメージはまだ我々が韓国勢を上回る。2012年度にはシェア1位を取り戻したい」と意気込む。テレビを現地生産するパナソニックや東芝も販売を強化する考えだ。
一方、韓国勢も、サムスンが昨年、ブラジルの名門サッカーチーム、パルメイラスの公式スポンサーとなった。LGもブラジル屈指の人気チーム、サンパウロFCのスポンサーで、サッカーに絡んだ宣伝合戦を繰り広げており、日本メーカーの反撃を迎え撃つ構えだ。
米FTC、アップルの携帯端末向けソフト規制を調査
【ワシントン】米連邦取引委員会(FTC)は、アップルの携帯端末向けソフトウエアに関する規制が競争阻害行為に当たるかどうかについて調査を始める。事情に詳しい関係筋が明らかにした。
複数の企業が、アップルのソフトウエア規制が競合他社を締め出していると、同社を非難している問題で、FTCと米司法省は数週間にわたってどちらの機関が調査を行うか協議してきた。
グラフィックデザイン・ソフトウエア最大手のアドビ・システムズは、同社の動画再生技術「フラッシュ」について、アップルが自社製品ではサポートしないと決めたことに反発。またグーグルは、アップルの「iPhone(アイフォーン)」と「iPad(アイパッド)」の 基本ソフト(OS)に対する新規制のために、アプリケーション開発者がこうした端末でグーグルの広告技術を使用できなくなるとして、アップルを非難している。
アップル、FTCとも今回の報道についてコメントを控えるとしている。
アップルは、このほかにも反トラスト法違反の疑いについて調査を受ける可能性がある。司法省はすでに、アップルを含む多数のテクノロジー企業が人材の引き抜きをお互いに行わないとの取り決めをしているかどうかについて調査を始めている。
Twitterはビジネスツールとなりえるのか 企業がこぞって参加する現象はセカンドライフと同じ?
140文字のつぶやき(ツイート)を投稿する米国のミニブログ・Twitter。4月のカンファレンスで登録者数が1億人を超えていることが公式データとして初めて発表された。日本でも昨年ブレークし、芸能人や元首相も登録する人気のコミュニケーションツールとなっている。
そうなればおのずと企業がビジネス活用しだすことは必至で、ユニクロや無印良品、モスバーガーなど様々な企業がTwitterにアカウントを登録、なかにはTwitterを利用したイベントや告知を実施している企業もある。
例えばどのような活用法があるのかというと、イベント状況をTwitterで実況中継したり、Twitterでイベント参加者を募ったりなどだ。4月に渋谷109でイベントを行ったPanasonicのラムダッシュでは、Twitterでイベントを実況ツイートし、イベントに参加出来ないひとのためにTwitterで応募できるキャンペーンを実施。無印良品ではTwitter内で発表されたキーワードをモデルハウスで言えばプレゼントがもらえる。
またTwitter風のつぶやきをすることができるオリジナルツールも出現している。tenki.jpではTwitterから取得したツイートとtenki.jpから書き込んだヒトコトを日本地図上にみんなの気持ちとしてアップされ、一方毎日新聞からはTwitterと連動し、読者の声を生かした新聞「毎日RT」が創刊されている。
はたまたTwitterを舞台にしたドラマも製作され話題を呼んだが、こちらは脚本家がTwitter自体をあまり知らないため、ネット上で批判を受けた。それに脚本家が反論してしまい、さらに炎上するなど一波乱あった。
このように様々な工夫を凝らしたTwitter活用法が見受けられるが、とかく飽きやすいと定評がある日本人だけにこのブームは果たしていつまで続くのか。昔、CMの中で「続きはWEBで」というネット連動型の手法が流行った。現在でもWEBのみでCMのロングバージョンを流すといったコンテンツが好評を博し、このクロスメディア戦法は定番化している。
仮想空間「セカンドライフ」が流行した際には、自動車メーカーやIT企業など名だたる大手企業がセカンドライフのSIM内でイベントを開催したり、ショールームを構築したりした。こちらはセカンドライフの人気のかげりとともに衰退してしまったが、Twitterは企業が使用するツールとして今後定番化していくのだろうか。それとも単なる一過性にすぎないのか。
世界で稼ぐ成長戦略 企業の力を日本の力に
日産自動車の追浜工場(神奈川県横須賀市)で小型車「マーチ」の生産が終了する。1982年に発売され、日産車の売れ行きナンバーワンにたびたび輝いたクルマだ。今も根強い人気を誇るが、秋に予定されるモデルチェンジを機に、タイで生産し、日本に逆輸入することになった。
進む産業空洞化
日本車メーカーではこれまで「日本で売れるクルマは日本でつくる」が大原則だった。「マーチのタイ移管でその常識が崩れる。これはかなり深刻な事態」と経済産業省の幹部は言う。
菅直人首相の新政権が発足した。足元の日本の景況は悪くない。国内総生産(GDP)は年率5%の実質成長を示し、企業の業績も上向いている。ただ今の回復は「V」ではなく、片仮名の「レ」の字型。反転はしたものの、金融危機以前の水準には届かず、持続力も心もとない。
日本経済の迫力不足の一因は、企業が国内投資をためらっていることだ。いざなぎ超えといわれた前回の景気回復では「工場の日本回帰」が進んだが、今回はマーチのように「生産拠点の日本脱出が加速する可能性」が高い。
円高などの逆境を克服し、経済が力強さを取り戻すために求められる政策は何か。一つは直嶋正行経産相が旗を振る法人税の引き下げだ。世界各国で法人税の切り下げ競争が進む中で、日本は財政難を理由に約40%という高税率を維持してきた。
日産がマーチをタイに移管した理由の一つは、タイ政府が提示した「安い税」。タイの政変のさなかの4月に、三菱自動車がタイへの投資を決めた背景にも、税制面の優遇がある。
税制における配慮は製造業だけではない。欧州や韓国は海運会社に対して船のトン数に応じた外形標準課税を実施済みで、実効税率は10%以下とかなり低い。「本社を税率の安いシンガポールに移すことを本気で検討する。今のままでは太平洋航路の主導権を奪われる」。大手海運会社の首脳が打ち明ける。
高コストにメス
国際競争という現実に無頓着すぎた税に限らず、公的コストのリストラも欠かせない。5月、財務相として中央アジアに出張した菅首相。往復とも韓国経由の空路を使うしかなかった。この経験が「日本は九十いくつも飛行場をつくって、まともなハブ空港が一つもない」という就任会見の厳しい言葉につながった。
日本の旅客や航空会社が負担する着陸料などの「公租公課」は国際的に見て割高だが、バラマキ型のインフラ整備に浪費され、成長の土台にならなかった。自民党時代から続く構造にメスを入れるしかない。
世界で稼ぐための政策をもう置き去りにできない。隣国の韓国は自由貿易協定(FTA)の輪を広げ、主要貿易相手で協定がないのは日本と中国ぐらい。
韓国の現代自動車がインドに部品を輸出すると1~5%の関税で済むようになるが、早くからインドに進出していた日本のスズキは12.5%の関税がかかる。「インドで最大のライバルは現代」とスズキの幹部は言う。電機業界は韓国勢の追い上げで以前の輝きを失った。自動車が同じ轍(てつ)を踏めば、日本は「リーディング産業が不在」の国となる。
発足当初はアンチビジネス(反企業)的な姿勢が目立った民主党政権だが、最近は軌道修正の動きがある。生き生きした日本経済をつくるために、政府と経済界が適切な距離感を保ち、知恵を出し合う関係が望ましい。必要な改革をひとつひとつ積み上げて、成長への政権の本気度を内外に示すときがきた。
アップル、家電量販選別の舞台裏
「売る側への配慮がない」――。米アップルが多機能携帯端末「iPad」を日本で発売して10日。販売店舗を制限、ネット通販を認めないなど、厳しい販売ルートの選別に、家電量販店の恨み節が続いている。昨年末から続いたアップルと量販店との販売戦略を巡る綱引き。アップルの圧勝に終わった舞台裏を追った。
アップル主導の交渉
都内の家電店。操作を体験してみたいという客が専門コーナーに列をつくるなど発売後1週間以上がたってもiPad人気は続いている。アップル日本法人も「とても好調」と説明する。取扱店は全国で約180店に厳選、通信販売はアップル公式サイト限定とし、販路を大胆に絞り込む戦略転換を断行したが、ライバル不在の圧倒的な商品力を前に影響は全く出ていないようだ。
アップルの販売戦略の見直しが表面化したのは4月。しかし、準備は周到だったようだ。
アップル日本法人の幹部が、ある大手家電量販店の本社を訪ねたのは昨年末。「米国本社の意向」として見直しの内容を伝えるアップル側に、量販幹部は表情を曇らせながら聞き入った。
量販店へのアップル側の要求は、携帯音楽プレーヤー「iPod」などを含むアップル製品を、アップル側が指定した店だけで販売すること。店以外では売らず、通販業者などへの商品供給もしないこと。さらに、今までより納入価格を高くすることも取引の条件として提示したようだ。その代わり、アップルの指示に従って販売実績を上げた社に対しては、販売奨励金などの名目で実質的な利益を増やす特典を付けた。
有力な量販店には直接乗り込み、複数回の協議を重ねた。規模が小さい通販の専業会社になるとアップル側に呼び出され、取引条件の変更を迫られたという。
交渉が詰めの段階を迎えたのが2月から3月。「顧客にアップルの世界観を堪能してもらうためです。小型店の狭い売り場で他社製品と一緒に並べられてはブランドイメージが保てない」とアップルは扱い店舗の絞り込みを迫る。これに対して量販幹部は「取扱店を減らすとなると、その店を利用していた消費者はどうなる。通販でも売れないなんて」と反論した。アップル側の答えは「ごもっともですが、米国本社の方針です」と結局アップル主導のまま、量販店側の意見が留意されることはなかった。
中間流通業者も絞り込み
アップルが販売店を選別する際に基準にしているのは、売り場面積や販売数量だけではない。「専用の棚をつくる」「一定水準以上の販売員を何人置く」など、販売店の営業施策にかかわる部分にも踏み込んで要望する。ある家電量販店大手の首脳は「ここまで要求するメーカーは今までなかった。本音では自由に販売したいが、アップルには逆らえない」と打ち明ける。その姿はルイ・ヴィトンなど人気高級ブランドと百貨店との関係にも似ている。商品単価は高くても販売側にとって取引条件は厳しく、アップル製品の利幅は「ポイント還元もできないほど」とこぼす大手量販店首脳もいる。それでも消費不況下、集客には絶大な力を発揮するため、要求を受け入れざるを得ない。
既存商品の販売見直しを求めた後、iPadの販売店舗数の絞り込みについて打診してきたのは4月。ここでもアップルの豪腕ぶりは際立った。
例えば、アップルが通販での同社製品の販売を停止するよう依頼したにもかかわらず、唯一4月下旬までネット通販を続けていた業界7位の上新電機。意向に従わなかったせいか、上新でiPadを扱えるのは直営約170店のうち、わずか1店。全店舗数では上新の半分以下に過ぎないノジマやPCデポでも2~4店。競合他社からも「アップルも極端なことをする」と驚きの声が上がる。
家電量販店は5月28日のiPad発売に先駆けて同10日に事前予約を実施した。だが2日後の午後3時、アップルから突然、「30分後には予約を締め切ってください」との連絡が入る。もちろん事前に入荷数量は知らせない。ある量販店の首脳は「あまりにも売る側への配慮がない」と憤る。改善を要望しているが、「のれんに腕押し」という。
販売ルートの絞り込みに向け、アップルは販売体制の抜本的な見直しにも着手した。
もともとアップルはキヤノンマーケティングジャパン、加賀ハイテックなど10社近くの中間流通業者を介して大小の数千店規模の販売店に商品を供給していた。しかし、今春からはヤマダ電機、ヨドバシカメラなど主要家電量販8社と直接取引を始め、ほかの取引のほぼすべてをダイワボウ情報システム、ソフトバンクBBの2社に集約した。
アップル日本法人の元幹部は「苦しいときもあれだけ世話になった取引先を切るなんて、いくら外資系でもドライすぎる」と指摘する。「あれだけブランド力が確立したのに地方の店で販売をやめるなんて消費者からひんしゅくを買うだけ。長年在籍した幹部が辞めるなど組織の流動化も激しく、日本市場に応じた営業戦略が立てられていないのではないか」(元社員)と指摘する声もある。取引を打ち切られたあるシステム系企業の社長は「アップルについて何も言うことはない」とぶぜんとする。
公取委は静観
こうしたアップルの営業姿勢に業界では「取引条件としては極端。独占禁止法に触れないのか」との声も上がる。
公正取引委員会は現段階では静観の構えだ。「専門店やネット通販といった流通経路は、アップルが営業施策として決められること」(取引企画課)としている。販売店絞り込みの行為自体が即座に独禁法に抵触することはないとの認識だ。例えば、化粧品では使い方を丁寧に説明するために、量販店に卸さず、百貨店にある専門店でしか扱わない商品もある。「ブランドを維持するということが目的であれば、客観的な事実だけみれば、アップルの件も化粧品と同じ」という。ただ、値崩れを防ぐために販路を絞り込んでいるなら、「独禁法に抵触する恐れがある」として、公取委はアップルの動向を注意深く見守る構えだ。
10年前の2000年、公取委はパソコン「iMac」「iBook」の価格を拘束していた疑いで独禁法違反に当たる恐れがあるとしてアップルの日本法人に警告を出した。当時もアップル側は「違反はない」と反論。あくまで在庫を圧縮し、リベートを排除した販売手法の結果だったとしている。
今回、アップルと交渉にあたった量販店幹部の1人は、「彼らはどんなに話を振っても小売価格については触れず、ブランドイメージの話だけを強調する。独禁法対策で、弁護士から指導を受けているとしか思えない」と明かす。
水道の水のごとく、消費者に手軽に商品を行き渡らせる「水道哲学」とは逆をいく「高級りんご哲学」――。ブランドを守るために、厳しいルールで市場に臨むのはおかしいことではない。持続的に利益をあげるためには、批判を浴びるぐらいの強い商品力を備えることも必要だ。ただIT(情報技術)産業は(人間の約18倍の速度で年を取る)マウスイヤーに例えられるように、あっという間に主役が交代する。ある家電チェーンの首脳は「今はアップルの要求をのまざるを得ないが、iPadに勝る製品はいずれ出てくる。そうなれば違う対応も考えられる」と主導権の奪還に意欲をにじませる。アップルと量販店との力関係は、その時点でどちらが消費者を味方に付けられる企業力を持っているかにかかっている。
世界の富裕層14%増 09年末 中国など躍進、日本は1%増どまり
世界の富裕層が2009年末に1119万人と1年前から14%増えたことが、米ボストンコンサルティンググループが公表した調査で明らかになった。経済の高成長や昨年の株高を追い風に、国別で3位の中国などアジア勢の躍進が目立つ。日本は世界2位の座を維持したが、1%増と主要国で最も低い伸びにとどまった。
調査は金融資産を100万ドル(約9100万円)以上保有する個人を富裕層と定義。首位の米国は15%増の471万人と世界全体の4割強を占めた。株式相場の上昇で金融資産が増えたようだ。2位の日本(123万人)に続き、3位の中国は31%増の67万人だった。
中国製造業に賃上げ広がる 日本の電機、対応に苦慮
【台北=新居耕治】中国の製造拠点での賃上げが広がりをみせている。発端となったEMS(電子製品の製造受託サービス)最大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業は約1カ月にわたって従業員の相次ぐ自殺への対応に揺れ、大幅な待遇改善に踏み切った。賃上げの波及は続いており、中国生産への依存度を高める日本の電機業界などは戦略の見直しを迫られそうだ。
「中国の低賃金に頼ることはもうできない。賃上げは我々だけの問題ではない」
鴻海の董事長、郭台銘は8日こう語り、賃上げの動きが中国全体に広がると強調した。約1カ月の模索の末、2度にわたる合計2倍超の賃上げを決断。この日、3時間半に及ぶ株主総会を乗り切った直後だった。
震源は中国子会社、富士康科技集団(フォックスコン)の深センの工場群(広東省)。米アップルの「iPad(アイパッド)」や「iPhone(アイフォーン)」の生産を一手に引き受け、今年のグループ売上高が7兆円を超えるとみられる鴻海の主力拠点だ。
合計45万人が働く工場はさながら巨大な町。敷地内には工場や宿舎、商店がすき間無く立ち並ぶ。香港メディアは「現代の紫禁城」と呼び、郭を皇帝に例える。ここで今年に入り連続飛び降り自殺が発生。5月上旬から中国メディアで大きく報じられたのだ。
事件の背景として労働環境の悪さを指摘する報道が続き、株価も下落。郭は自家用ジェット機で台北と深センを何度も往復した。「従業員の自殺を伝える電話のことを考えると夜も眠れなかった」
自動車にも波及
深セン工場の宿舎に泊まる夜が続く中、郭が出した答えが、大幅賃上げと残業時間の最大3時間への短縮だった。郭は賃上げによるコスト上昇について「顧客も理解してくれると信じる」と発言。アップルなどに生産受託料の引き上げを求める可能性に言及した。
鴻海の問題が表面化したのとほぼ同時期にあたる5月17日。広東省にあるホンダの変速機工場が止まった。賃上げを求める突然のストライキで、ホンダが中国に持つ完成車工場の一時停止にまで至った。EMSなどに比べ、待遇が良いと言われる自動車産業でのストは波紋を呼ぶ。携帯電話部品などを生産する台湾の美津実業も従業員のストを受け、深セン工場での賃上げを受け入れた。
賃上げの動きはどこまで広がるのか。コスト低減を狙ってEMSへの委託比率を引き上げてきた日本の電機メーカーには深刻な問題だ。
液晶テレビの外部生産委託比率を2009年度の2割強から10年度に4割まで引き上げるソニー。液晶テレビだけでなく、デジタルカメラ、ゲーム機など幅広い製品を外部委託しており、その多くを鴻海に任せている。だが、現地から十分な情報を得られず、明確な対応策を決めかねているもようだ。
コスト削減急務
賃上げの一部が受託料の引き上げという形で転嫁されれば、新たなコスト低減策を探る必要が出てくる。外部委託比率が高いデジカメメーカーは「EMSと協力して設計効率化や調達改革を進め、労務費の安さに頼らないコスト低減策を練る必要がある」と強調する。
東南アジアの拠点との分業を模索する局面も出てきそうだ。ハイテク調査会社テクノ・システム・リサーチのアシスタントディレクター、大森鉄男は「長期的に賃金上昇が続く場合は、脱・中国を視野に入れた生産体制を検討しなければならないだろう」と指摘する。
ただ、根本的な問題は電機メーカーの利益率の低さにある。アップルのように独創的な商品・サービスを開発したり、携帯電話事業の統合交渉に入った東芝、富士通のような事業再編をさらに進めたりしなければ、アジア地域の人件費上昇に悩み続ける状況からは抜け出せない。
三洋電機、次世代の太陽電池を13年度に商品化 変換効率23% 三洋電機は世界最高の発電性能を持つ次世代の太陽電池を2013年度に商品化する。セル(発電素子)が光を電気に変える効率を量産レベルで従来品の約20%から23%以上にする計画。21%台で現在首位の米サンパワーを抜く。セルの厚みも約半分にし材料費も抑える。パナソニックグループが15年度に世界シェア3位入りをめざすための戦略商品となる。
新製品は三洋独自の「HIT太陽電池」を基に開発する。HITはシリコンウエハーとシリコン薄膜を重ねた構造。新製品では薄膜の高品質化やウエハーの清浄化などにより、接合面で電気が消失するのを抑える。太陽光の吸収率を上げる技術や、発生した電気を効率よく電極に集める技術にもメドを付けた。
一方で、独自の薄型化技術を使い厚さを約100マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルに抑える。シリコンの使用量が減ることで、生産コストを削減できる。
神戸市の研究所で量産に向けて最終調整した後、12年度末にも量産を始める。当初はパナソニックの兵庫県尼崎市のプラズマパネル工場内で生産する方針で、13年度以降にハンガリーや米国など、海外での生産も検討する。
三洋はこれまでも変換効率の向上に取り組んできたが、過去5年間の成果は通算1ポイント未満だった。新技術の導入で高性能化のスピードを速める。
【W杯】韓国で爆発的視聴率50・7%! 対ギリシャ戦
【ソウル=水沼啓子】サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で1次リーグ突破を目指す韓国は12日、初戦をギリシャに2-0で圧勝し、韓国中が初勝利の祝杯ムードに酔った。韓国の応援団“赤い悪魔”たちが赤いTシャツを着込み街に繰り出して応援する、おなじみの光景も、ソウル市庁前広場など各地で見られた。
この日の試合を単独で衛星中継した韓国の民放テレビ、SBSのソウル地域での視聴率は48%を記録した。後半7分、キャプテンの朴智星が3大会連続ゴールを決めた午後9時37分の視聴率は50・7%に上った。
日証協、社債売買の価格透明に
時価などネット開示 活性化へ制度整備 低格付け債の発行後押し
日本証券業協会は社債市場を活性化するため、社債の時価情報開示を柱とした制度整備に乗り出す。社債の取引価格を毎日ネット上で公表するほか、低格付け社債については金融機関が投資家に代わって経営を監視する仕組みを導入する。市場の透明性を高めて内外の投資家が社債を保有しやすくし、幅広い企業に資金調達の機会を与える。米国の10分の1程度にとどまる社債市場の拡大を目指す考えだ。
日証協は今月下旬に、時価情報開示などの市場改革案を決定。金融庁や法務省、日本公認会計士協会とも連携し、年末から実施していく方針だ。
日証協は現在、証券会社から情報提供を受け、発行後の各銘柄の「参考価格」を公表している。ただ、参考価格と実際の取引価格の違いが大きいとの批判がかねてある。
米国では約3万銘柄の社債の取引価格を個人投資家が無料で見られるようになっている。英国でも発行額の大きい社債について、取引価格情報が毎日公表されている。
日証協は来年中にも、売買の多い社債の取引価格をネット上で1日1回公表。段階的に対象銘柄や公表の回数を増やす。企業の財務状態などに応じて日々変わる社債の時価がわかるようになれば、個人投資家でも機動的に売買し、損益を確定できるようになる。
現在は発行の道が事実上閉ざされている低格付け企業の社債発行も後押しする。信用力の低い企業には財務状態を監視する社債管理会社を必ず付ける仕組みを検討。管理会社となる金融機関が投資家の代わりに、企業の財務状況をチェックし、必要に応じて経営情報の開示を求める。破綻した場合でも適切に債権を保全・回収し、投資家が他の債権者より不利な扱いを受けないようにする。
さらに、引受証券会社の審査作業の見直しなどにより、発行手続きを簡素にする。社債が発行可能な期間が年間で7~8カ月にとどまっている現状を改め、9~10カ月程度発行が可能なようにする。資金需要のある企業が素早く社債を発行できるようにして、市場の拡大につなげる。
証券界が社債市場の改革に踏み切るのは、国内の社債発行残高が59兆円(2009年末)と、米国(約620兆円)の10分の1以下に低迷しているためだ。発行企業が一部の高格付け企業に偏り、資金調達手段として定着していない。個人や海外投資家の保有割合も1~2%程度にとどまる。
政府は今月1日から、海外投資家が保有する社債の利子を原則非課税にした。社債市場に海外からも投資マネーを呼び込む狙いがある。日証協は政府と足並みをそろえつつ、改革案の実行で新たな企業や投資家を社債市場に定着させる考えだ。
地方公務員共済のホテル、赤字穴埋めに巨額公金
総務省所管の「地方公務員共済組合」が経営するホテルの赤字を穴埋めするため、自治体が拠出した公費で不適切な補填(ほてん)を続けていることが、同省の調べでわかった。
2004~08年度だけで総額193億円に上り、組合員の積立金からも同額を投入していた。補填は約40年間にわたり続いており、公費だけで700億円以上がつぎ込まれたと試算している。同省は、不採算ホテルの閉鎖など抜本的な改善を指導する方針だ。
同省によると、組合が経営するホテルの赤字総額は04年度以降、毎年65億~97億円。08年度は91か所のホテルのうち、黒字は2施設。赤字穴埋めのため、公費35億円と職員の共済積立金35億円の計70億円が76施設に投入された。
最高は、当時、37施設を所有していた、道府県職員が加入する「地方職員共済組合」の11億8200万円。
補填は、人間ドック受診費用など組合員の健康増進のための資金を管理する経費や、組合員の住宅ローン資金を管理する経費から繰り入れ名目で行われた。いずれも自治体が拠出している公費と、組合員の積立金で折半して賄われている。
組合からホテルへの資金繰り入れについて、総務省は、割引料金で利用した組合員の宿泊費を補助する場合に認めているが、赤字穴埋めは対象外としている。同省は、補填は1960年代後半から行われているとしており、「公共のホテルであっても民間と同じように独立採算が原則。毎年赤字を垂れ流すような施設は廃止すべきだ」と指摘する。
北海道市町村職員共済組合は今年度から、赤字補填を取りやめた。経営していた二つのホテルの赤字は、毎年計1億2000万円前後。実際には赤字額を上回る資金を組合から繰り入れてきたが、「公費投入は住民の理解を得られない」と判断した。3月末で閉館した札幌市のホテルは、12年前に35億円を投じて建て替えたばかり。だが、売却額はその10分の1程度だった。
土居丈朗・慶大教授(財政学)の話「赤字を公費で埋めるという考え方は不適切であり、非効率な経営につながる。公的な組織がホテルを持つ必要性も希薄で、事業自体を見直すべきだ」
メキシコ湾原油流出、英BPの負担「数兆円か」
【ロンドン=是枝智】米ルイジアナ州沖のメキシコ湾の原油流出事故で、施設を運営する英石油大手BPが信用失墜のがけっぷちに立たされている。
4月20日の事故発生から2か月近くも原油流出は止まらず、環境汚染が深刻になり、株価も急落した。
米国ではBPへの批判が強まり、政治問題にもなってきた。
BPは国際石油資本(メジャー)の一角で、英国を代表する企業グループだ。これまでに負担した費用は14億ドル(約1300億円)を超えた。最終的な負担額は「数百億ドル(数兆円)に達する」との見方もあり、年間の純利益(2009年は約166億ドル)を大幅に超える可能性がある。BPの全世界での石油販売量の4割を占める米国市場での企業イメージの悪化は、流出事故が止まった後も経営に打撃となりそうだ。
英国のキャメロン首相は11日、BPのカールヘンリック・スバンベリ会長に電話した。首相は、BPの事故対応に不満を見せながらも、「BPが強く安定した企業であることがみんなの利益だ」と伝えた。
キャメロン首相は12日にオバマ米大統領とも電話で会談し、対応を協議した模様だ。
一方、日本企業でも、三井物産子会社の三井石油開発が、油田開発に参画しており、費用負担を求められる可能性がある。
「売る側への配慮がない」――。米アップルが多機能携帯端末「iPad」を日本で発売して10日。販売店舗を制限、ネット通販を認めないなど、厳しい販売ルートの選別に、家電量販店の恨み節が続いている。昨年末から続いたアップルと量販店との販売戦略を巡る綱引き。アップルの圧勝に終わった舞台裏を追った。
アップル主導の交渉
都内の家電店。操作を体験してみたいという客が専門コーナーに列をつくるなど発売後1週間以上がたってもiPad人気は続いている。アップル日本法人も「とても好調」と説明する。取扱店は全国で約180店に厳選、通信販売はアップル公式サイト限定とし、販路を大胆に絞り込む戦略転換を断行したが、ライバル不在の圧倒的な商品力を前に影響は全く出ていないようだ。
アップルの販売戦略の見直しが表面化したのは4月。しかし、準備は周到だったようだ。
アップル日本法人の幹部が、ある大手家電量販店の本社を訪ねたのは昨年末。「米国本社の意向」として見直しの内容を伝えるアップル側に、量販幹部は表情を曇らせながら聞き入った。
量販店へのアップル側の要求は、携帯音楽プレーヤー「iPod」などを含むアップル製品を、アップル側が指定した店だけで販売すること。店以外では売らず、通販業者などへの商品供給もしないこと。さらに、今までより納入価格を高くすることも取引の条件として提示したようだ。その代わり、アップルの指示に従って販売実績を上げた社に対しては、販売奨励金などの名目で実質的な利益を増やす特典を付けた。
有力な量販店には直接乗り込み、複数回の協議を重ねた。規模が小さい通販の専業会社になるとアップル側に呼び出され、取引条件の変更を迫られたという。
交渉が詰めの段階を迎えたのが2月から3月。「顧客にアップルの世界観を堪能してもらうためです。小型店の狭い売り場で他社製品と一緒に並べられてはブランドイメージが保てない」とアップルは扱い店舗の絞り込みを迫る。これに対して量販幹部は「取扱店を減らすとなると、その店を利用していた消費者はどうなる。通販でも売れないなんて」と反論した。アップル側の答えは「ごもっともですが、米国本社の方針です」と結局アップル主導のまま、量販店側の意見が留意されることはなかった。
中間流通業者も絞り込み
アップルが販売店を選別する際に基準にしているのは、売り場面積や販売数量だけではない。「専用の棚をつくる」「一定水準以上の販売員を何人置く」など、販売店の営業施策にかかわる部分にも踏み込んで要望する。ある家電量販店大手の首脳は「ここまで要求するメーカーは今までなかった。本音では自由に販売したいが、アップルには逆らえない」と打ち明ける。その姿はルイ・ヴィトンなど人気高級ブランドと百貨店との関係にも似ている。商品単価は高くても販売側にとって取引条件は厳しく、アップル製品の利幅は「ポイント還元もできないほど」とこぼす大手量販店首脳もいる。それでも消費不況下、集客には絶大な力を発揮するため、要求を受け入れざるを得ない。
既存商品の販売見直しを求めた後、iPadの販売店舗数の絞り込みについて打診してきたのは4月。ここでもアップルの豪腕ぶりは際立った。
例えば、アップルが通販での同社製品の販売を停止するよう依頼したにもかかわらず、唯一4月下旬までネット通販を続けていた業界7位の上新電機。意向に従わなかったせいか、上新でiPadを扱えるのは直営約170店のうち、わずか1店。全店舗数では上新の半分以下に過ぎないノジマやPCデポでも2~4店。競合他社からも「アップルも極端なことをする」と驚きの声が上がる。
家電量販店は5月28日のiPad発売に先駆けて同10日に事前予約を実施した。だが2日後の午後3時、アップルから突然、「30分後には予約を締め切ってください」との連絡が入る。もちろん事前に入荷数量は知らせない。ある量販店の首脳は「あまりにも売る側への配慮がない」と憤る。改善を要望しているが、「のれんに腕押し」という。
販売ルートの絞り込みに向け、アップルは販売体制の抜本的な見直しにも着手した。
もともとアップルはキヤノンマーケティングジャパン、加賀ハイテックなど10社近くの中間流通業者を介して大小の数千店規模の販売店に商品を供給していた。しかし、今春からはヤマダ電機、ヨドバシカメラなど主要家電量販8社と直接取引を始め、ほかの取引のほぼすべてをダイワボウ情報システム、ソフトバンクBBの2社に集約した。
アップル日本法人の元幹部は「苦しいときもあれだけ世話になった取引先を切るなんて、いくら外資系でもドライすぎる」と指摘する。「あれだけブランド力が確立したのに地方の店で販売をやめるなんて消費者からひんしゅくを買うだけ。長年在籍した幹部が辞めるなど組織の流動化も激しく、日本市場に応じた営業戦略が立てられていないのではないか」(元社員)と指摘する声もある。取引を打ち切られたあるシステム系企業の社長は「アップルについて何も言うことはない」とぶぜんとする。
公取委は静観
こうしたアップルの営業姿勢に業界では「取引条件としては極端。独占禁止法に触れないのか」との声も上がる。
公正取引委員会は現段階では静観の構えだ。「専門店やネット通販といった流通経路は、アップルが営業施策として決められること」(取引企画課)としている。販売店絞り込みの行為自体が即座に独禁法に抵触することはないとの認識だ。例えば、化粧品では使い方を丁寧に説明するために、量販店に卸さず、百貨店にある専門店でしか扱わない商品もある。「ブランドを維持するということが目的であれば、客観的な事実だけみれば、アップルの件も化粧品と同じ」という。ただ、値崩れを防ぐために販路を絞り込んでいるなら、「独禁法に抵触する恐れがある」として、公取委はアップルの動向を注意深く見守る構えだ。
10年前の2000年、公取委はパソコン「iMac」「iBook」の価格を拘束していた疑いで独禁法違反に当たる恐れがあるとしてアップルの日本法人に警告を出した。当時もアップル側は「違反はない」と反論。あくまで在庫を圧縮し、リベートを排除した販売手法の結果だったとしている。
今回、アップルと交渉にあたった量販店幹部の1人は、「彼らはどんなに話を振っても小売価格については触れず、ブランドイメージの話だけを強調する。独禁法対策で、弁護士から指導を受けているとしか思えない」と明かす。
水道の水のごとく、消費者に手軽に商品を行き渡らせる「水道哲学」とは逆をいく「高級りんご哲学」――。ブランドを守るために、厳しいルールで市場に臨むのはおかしいことではない。持続的に利益をあげるためには、批判を浴びるぐらいの強い商品力を備えることも必要だ。ただIT(情報技術)産業は(人間の約18倍の速度で年を取る)マウスイヤーに例えられるように、あっという間に主役が交代する。ある家電チェーンの首脳は「今はアップルの要求をのまざるを得ないが、iPadに勝る製品はいずれ出てくる。そうなれば違う対応も考えられる」と主導権の奪還に意欲をにじませる。アップルと量販店との力関係は、その時点でどちらが消費者を味方に付けられる企業力を持っているかにかかっている。
世界の富裕層14%増 09年末 中国など躍進、日本は1%増どまり
世界の富裕層が2009年末に1119万人と1年前から14%増えたことが、米ボストンコンサルティンググループが公表した調査で明らかになった。経済の高成長や昨年の株高を追い風に、国別で3位の中国などアジア勢の躍進が目立つ。日本は世界2位の座を維持したが、1%増と主要国で最も低い伸びにとどまった。
調査は金融資産を100万ドル(約9100万円)以上保有する個人を富裕層と定義。首位の米国は15%増の471万人と世界全体の4割強を占めた。株式相場の上昇で金融資産が増えたようだ。2位の日本(123万人)に続き、3位の中国は31%増の67万人だった。
中国製造業に賃上げ広がる 日本の電機、対応に苦慮
【台北=新居耕治】中国の製造拠点での賃上げが広がりをみせている。発端となったEMS(電子製品の製造受託サービス)最大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業は約1カ月にわたって従業員の相次ぐ自殺への対応に揺れ、大幅な待遇改善に踏み切った。賃上げの波及は続いており、中国生産への依存度を高める日本の電機業界などは戦略の見直しを迫られそうだ。
「中国の低賃金に頼ることはもうできない。賃上げは我々だけの問題ではない」
鴻海の董事長、郭台銘は8日こう語り、賃上げの動きが中国全体に広がると強調した。約1カ月の模索の末、2度にわたる合計2倍超の賃上げを決断。この日、3時間半に及ぶ株主総会を乗り切った直後だった。
震源は中国子会社、富士康科技集団(フォックスコン)の深センの工場群(広東省)。米アップルの「iPad(アイパッド)」や「iPhone(アイフォーン)」の生産を一手に引き受け、今年のグループ売上高が7兆円を超えるとみられる鴻海の主力拠点だ。
合計45万人が働く工場はさながら巨大な町。敷地内には工場や宿舎、商店がすき間無く立ち並ぶ。香港メディアは「現代の紫禁城」と呼び、郭を皇帝に例える。ここで今年に入り連続飛び降り自殺が発生。5月上旬から中国メディアで大きく報じられたのだ。
事件の背景として労働環境の悪さを指摘する報道が続き、株価も下落。郭は自家用ジェット機で台北と深センを何度も往復した。「従業員の自殺を伝える電話のことを考えると夜も眠れなかった」
自動車にも波及
深セン工場の宿舎に泊まる夜が続く中、郭が出した答えが、大幅賃上げと残業時間の最大3時間への短縮だった。郭は賃上げによるコスト上昇について「顧客も理解してくれると信じる」と発言。アップルなどに生産受託料の引き上げを求める可能性に言及した。
鴻海の問題が表面化したのとほぼ同時期にあたる5月17日。広東省にあるホンダの変速機工場が止まった。賃上げを求める突然のストライキで、ホンダが中国に持つ完成車工場の一時停止にまで至った。EMSなどに比べ、待遇が良いと言われる自動車産業でのストは波紋を呼ぶ。携帯電話部品などを生産する台湾の美津実業も従業員のストを受け、深セン工場での賃上げを受け入れた。
賃上げの動きはどこまで広がるのか。コスト低減を狙ってEMSへの委託比率を引き上げてきた日本の電機メーカーには深刻な問題だ。
液晶テレビの外部生産委託比率を2009年度の2割強から10年度に4割まで引き上げるソニー。液晶テレビだけでなく、デジタルカメラ、ゲーム機など幅広い製品を外部委託しており、その多くを鴻海に任せている。だが、現地から十分な情報を得られず、明確な対応策を決めかねているもようだ。
コスト削減急務
賃上げの一部が受託料の引き上げという形で転嫁されれば、新たなコスト低減策を探る必要が出てくる。外部委託比率が高いデジカメメーカーは「EMSと協力して設計効率化や調達改革を進め、労務費の安さに頼らないコスト低減策を練る必要がある」と強調する。
東南アジアの拠点との分業を模索する局面も出てきそうだ。ハイテク調査会社テクノ・システム・リサーチのアシスタントディレクター、大森鉄男は「長期的に賃金上昇が続く場合は、脱・中国を視野に入れた生産体制を検討しなければならないだろう」と指摘する。
ただ、根本的な問題は電機メーカーの利益率の低さにある。アップルのように独創的な商品・サービスを開発したり、携帯電話事業の統合交渉に入った東芝、富士通のような事業再編をさらに進めたりしなければ、アジア地域の人件費上昇に悩み続ける状況からは抜け出せない。
三洋電機、次世代の太陽電池を13年度に商品化 変換効率23% 三洋電機は世界最高の発電性能を持つ次世代の太陽電池を2013年度に商品化する。セル(発電素子)が光を電気に変える効率を量産レベルで従来品の約20%から23%以上にする計画。21%台で現在首位の米サンパワーを抜く。セルの厚みも約半分にし材料費も抑える。パナソニックグループが15年度に世界シェア3位入りをめざすための戦略商品となる。
新製品は三洋独自の「HIT太陽電池」を基に開発する。HITはシリコンウエハーとシリコン薄膜を重ねた構造。新製品では薄膜の高品質化やウエハーの清浄化などにより、接合面で電気が消失するのを抑える。太陽光の吸収率を上げる技術や、発生した電気を効率よく電極に集める技術にもメドを付けた。
一方で、独自の薄型化技術を使い厚さを約100マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルに抑える。シリコンの使用量が減ることで、生産コストを削減できる。
神戸市の研究所で量産に向けて最終調整した後、12年度末にも量産を始める。当初はパナソニックの兵庫県尼崎市のプラズマパネル工場内で生産する方針で、13年度以降にハンガリーや米国など、海外での生産も検討する。
三洋はこれまでも変換効率の向上に取り組んできたが、過去5年間の成果は通算1ポイント未満だった。新技術の導入で高性能化のスピードを速める。
【W杯】韓国で爆発的視聴率50・7%! 対ギリシャ戦
【ソウル=水沼啓子】サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で1次リーグ突破を目指す韓国は12日、初戦をギリシャに2-0で圧勝し、韓国中が初勝利の祝杯ムードに酔った。韓国の応援団“赤い悪魔”たちが赤いTシャツを着込み街に繰り出して応援する、おなじみの光景も、ソウル市庁前広場など各地で見られた。
この日の試合を単独で衛星中継した韓国の民放テレビ、SBSのソウル地域での視聴率は48%を記録した。後半7分、キャプテンの朴智星が3大会連続ゴールを決めた午後9時37分の視聴率は50・7%に上った。
日証協、社債売買の価格透明に
時価などネット開示 活性化へ制度整備 低格付け債の発行後押し
日本証券業協会は社債市場を活性化するため、社債の時価情報開示を柱とした制度整備に乗り出す。社債の取引価格を毎日ネット上で公表するほか、低格付け社債については金融機関が投資家に代わって経営を監視する仕組みを導入する。市場の透明性を高めて内外の投資家が社債を保有しやすくし、幅広い企業に資金調達の機会を与える。米国の10分の1程度にとどまる社債市場の拡大を目指す考えだ。
日証協は今月下旬に、時価情報開示などの市場改革案を決定。金融庁や法務省、日本公認会計士協会とも連携し、年末から実施していく方針だ。
日証協は現在、証券会社から情報提供を受け、発行後の各銘柄の「参考価格」を公表している。ただ、参考価格と実際の取引価格の違いが大きいとの批判がかねてある。
米国では約3万銘柄の社債の取引価格を個人投資家が無料で見られるようになっている。英国でも発行額の大きい社債について、取引価格情報が毎日公表されている。
日証協は来年中にも、売買の多い社債の取引価格をネット上で1日1回公表。段階的に対象銘柄や公表の回数を増やす。企業の財務状態などに応じて日々変わる社債の時価がわかるようになれば、個人投資家でも機動的に売買し、損益を確定できるようになる。
現在は発行の道が事実上閉ざされている低格付け企業の社債発行も後押しする。信用力の低い企業には財務状態を監視する社債管理会社を必ず付ける仕組みを検討。管理会社となる金融機関が投資家の代わりに、企業の財務状況をチェックし、必要に応じて経営情報の開示を求める。破綻した場合でも適切に債権を保全・回収し、投資家が他の債権者より不利な扱いを受けないようにする。
さらに、引受証券会社の審査作業の見直しなどにより、発行手続きを簡素にする。社債が発行可能な期間が年間で7~8カ月にとどまっている現状を改め、9~10カ月程度発行が可能なようにする。資金需要のある企業が素早く社債を発行できるようにして、市場の拡大につなげる。
証券界が社債市場の改革に踏み切るのは、国内の社債発行残高が59兆円(2009年末)と、米国(約620兆円)の10分の1以下に低迷しているためだ。発行企業が一部の高格付け企業に偏り、資金調達手段として定着していない。個人や海外投資家の保有割合も1~2%程度にとどまる。
政府は今月1日から、海外投資家が保有する社債の利子を原則非課税にした。社債市場に海外からも投資マネーを呼び込む狙いがある。日証協は政府と足並みをそろえつつ、改革案の実行で新たな企業や投資家を社債市場に定着させる考えだ。
地方公務員共済のホテル、赤字穴埋めに巨額公金
総務省所管の「地方公務員共済組合」が経営するホテルの赤字を穴埋めするため、自治体が拠出した公費で不適切な補填(ほてん)を続けていることが、同省の調べでわかった。
2004~08年度だけで総額193億円に上り、組合員の積立金からも同額を投入していた。補填は約40年間にわたり続いており、公費だけで700億円以上がつぎ込まれたと試算している。同省は、不採算ホテルの閉鎖など抜本的な改善を指導する方針だ。
同省によると、組合が経営するホテルの赤字総額は04年度以降、毎年65億~97億円。08年度は91か所のホテルのうち、黒字は2施設。赤字穴埋めのため、公費35億円と職員の共済積立金35億円の計70億円が76施設に投入された。
最高は、当時、37施設を所有していた、道府県職員が加入する「地方職員共済組合」の11億8200万円。
補填は、人間ドック受診費用など組合員の健康増進のための資金を管理する経費や、組合員の住宅ローン資金を管理する経費から繰り入れ名目で行われた。いずれも自治体が拠出している公費と、組合員の積立金で折半して賄われている。
組合からホテルへの資金繰り入れについて、総務省は、割引料金で利用した組合員の宿泊費を補助する場合に認めているが、赤字穴埋めは対象外としている。同省は、補填は1960年代後半から行われているとしており、「公共のホテルであっても民間と同じように独立採算が原則。毎年赤字を垂れ流すような施設は廃止すべきだ」と指摘する。
北海道市町村職員共済組合は今年度から、赤字補填を取りやめた。経営していた二つのホテルの赤字は、毎年計1億2000万円前後。実際には赤字額を上回る資金を組合から繰り入れてきたが、「公費投入は住民の理解を得られない」と判断した。3月末で閉館した札幌市のホテルは、12年前に35億円を投じて建て替えたばかり。だが、売却額はその10分の1程度だった。
土居丈朗・慶大教授(財政学)の話「赤字を公費で埋めるという考え方は不適切であり、非効率な経営につながる。公的な組織がホテルを持つ必要性も希薄で、事業自体を見直すべきだ」
メキシコ湾原油流出、英BPの負担「数兆円か」
【ロンドン=是枝智】米ルイジアナ州沖のメキシコ湾の原油流出事故で、施設を運営する英石油大手BPが信用失墜のがけっぷちに立たされている。
4月20日の事故発生から2か月近くも原油流出は止まらず、環境汚染が深刻になり、株価も急落した。
米国ではBPへの批判が強まり、政治問題にもなってきた。
BPは国際石油資本(メジャー)の一角で、英国を代表する企業グループだ。これまでに負担した費用は14億ドル(約1300億円)を超えた。最終的な負担額は「数百億ドル(数兆円)に達する」との見方もあり、年間の純利益(2009年は約166億ドル)を大幅に超える可能性がある。BPの全世界での石油販売量の4割を占める米国市場での企業イメージの悪化は、流出事故が止まった後も経営に打撃となりそうだ。
英国のキャメロン首相は11日、BPのカールヘンリック・スバンベリ会長に電話した。首相は、BPの事故対応に不満を見せながらも、「BPが強く安定した企業であることがみんなの利益だ」と伝えた。
キャメロン首相は12日にオバマ米大統領とも電話で会談し、対応を協議した模様だ。
一方、日本企業でも、三井物産子会社の三井石油開発が、油田開発に参画しており、費用負担を求められる可能性がある。
iPadに対抗 NEC、ソニーが相次ぎ端末技術開発 新チップやタッチパネル
NECとソニーは、1台の端末で書籍やインターネットの閲覧ができる多機能携帯端末の利便性向上につながる技術を相次いで開発した。NECは画面だけを本体から取り外して閲覧できる新型端末の実用化にメドをつけた。ソニーは紙のような感触で電子書籍のページがめくれるタッチパネル機能付きディスプレーを開発した。両社とも今後市場に投入する自社製の携帯端末で採用し、米アップルの「iPad」などに対抗する。
NECが開発したのは、画面上に映像や文字を表示するための半導体チップ。パソコンなどでは画面と本体が有線でつながっているが、チップを使えばデータが無線で送れるようになり端末本体から画面だけを分離できる。画面部分には情報を保存するメモリーなどがなくなり大幅に軽くなる。雑誌並みの軽さで、消費電力も大幅に減り、電子書籍などを長時間楽しめるようになる。来年度にもチップを生産、2~3年後の実用化につなげる。
ソニーコンピュータサイエンス研究所は紙のような触感が味わえるタッチパネルを開発した。画面に圧力を感知するセンサーのほか、指で押された力を紙に触れたような感覚で押し返す機能も持たせる。本物の書籍のようなページをめくる触感があり、押す力を微妙に変えることで、めくれるページ数が正確に決められる。再生する楽曲を効率よく選んだり、文字を素早く入力したりするのにも適している。まず英ソニー・エリクソンの携帯電話に搭載を目指す。
世界の多機能端末市場はiPadや米アマゾン・ドット・コムの「キンドル」など、米国勢が日本メーカーに先行する。日本勢は小型化や使い勝手を磨き、次世代端末の開発に生かす。
“視聴率”BS、CS牽引 多様化する視聴者の嗜好反映 「その他」好調
NHK、民放キー局など地上波以外の「その他」の視聴率が上がっている。5月第3週(17~23日)の平均は、ゴールデン、プライムで7%の大台を初めて突破し、一部キー局の視聴率を上回った。BS放送やCS放送を受信できるテレビが普及し、多様化する視聴者の趣向が反映されているようだ。
テレビ視聴率の調査区分には、各キー局のほかに「その他」があり、NHKのBS1、BS2、民放のBS、CS局、UHF局などが含まれる。これまでは、全日(午前6時~深夜0時)の週平均視聴率は3%台が普通だった。
ところが、この「その他」の視聴率が、5月第3週にゴールデン(午後7~10時)で7.4%、プライム(同7~11時)で7.1%となり、5月に行われたテレビ各局の記者会見で話題になった。ともに初めての7%超えで、しかも「午後8時台は8%、深夜の占拠率はほとんど2ケタ」(テレビ朝日・早河洋社長)という。
各局の社長や役員が指摘するのは、BS放送、CS放送の躍進だ。今月1日に発表された民放BS局の「接触率」の週平均は、4月19~25日のゴールデンで15.4%と、2月調査の11.6%から大幅に増加。CSも「接触率が平成19年10月から今年4月までで1.2倍になった」(衛星テレビ広告協議会の須藤修司メディアデータ委員長)と、各局の分析を裏付ける。
特に、プロ野球がシーズンに入り、BS、CSのキラーコンテンツぶりを発揮しているようだ。日本テレビの舛方勝宏専務は「巨人戦の時間帯で『その他』が地上波を上回ることもある。『野球はBS』というブランドが定着しつつある」と分析。CSのチャンネルを抱えるスカパーJSATも「シーズンになると契約数が伸びる傾向」と話す。
来年7月の地上デジタル化完全移行を前に、BSやCS対応テレビが普及していることも、こうした動きを後押しする。総務省の3月調査では「BSを視聴できない」とする回答は27%と、昨年9月の前回調査の31.7%と比べ、着実に減っている。
学習院大学の遠藤薫教授は「BSやCSには専門性の高い番組が多く、嗜好(しこう)がはっきりした視聴者に受けている。チューナー内蔵のテレビが普及し、心理的なハードルも低くなった。番組宣伝のための番組などが増えた地上波の優位性は小さくなっており、『その他』視聴は今後も拡大していくだろう」と話している。
日航削減3600人上積み、破綻前の4割減に
会社更生手続き中の日本航空は12日、1月に公表した再生計画で2012年度までに約1万5700人としていた人員削減数を3600人上積みし、1万9300人とする方針を固めた。
12年度末の従業員数は、経営破綻(はたん)前に比べ、4割少ない約3万2600人とする。8月末に東京地裁に提出する更生計画案に盛り込む。年間の人件費を12年度までに約1280億円圧縮する体制を整え、安定的に黒字を確保できる経営体質への転換を急ぐ。
日航は会社更生法の適用を申請した1月の再生計画で、12年度末までにグループ全体の従業員のうち約1万5700人を削減することを打ち出した。だが、金融機関などから「削減が不十分だ」と指摘されたため、削減数を大幅に上積みして計画も前倒しする。
今年3月末までですでに約3000人を削減しており、今年度中にさらに約1万6000人減らして、上積み分を加えた人員削減のほとんどを今年度末までに終える。リストラの強化で、金融機関から更生計画案への同意を取り付ける考えだ。
人員削減の上積みは、国内線と国際線からの路線撤退を当初の計31路線から計45路線に拡大させたことで可能になった。今年3月に募集した特別早期退職には、想定の2700人を大きく上回る4000人が応募しており、今秋以降も数千人規模の特別早期退職を募集する。ただ、運航の安全面に配慮し、パイロットや整備部門よりも子会社の売却に伴う人員削減を優先させる方向だ。
日航は、赤字が続いている連結営業利益を11年3月期には約250億円の黒字への転換を目指す。人件費を含む大幅な経費削減を加速し、連結営業費用を09年度比で約4860億円減らし、13年3月期には連結営業利益を約1170億円に増やす収支計画を新たに立てている。
WTO提訴に向け協力 グーグルと米欧当局
米インターネット検索大手グーグルは11日、中国が行っているネット検閲が自由な貿易を妨げているとして、米当局などと協力し世界貿易機関(WTO)への提訴に向けた準備を進めていることを明らかにした。ロイター通信が伝えた。
米国が主に人権面から問題を指摘してきた中国のネット検閲が今後、米中間で新たな貿易摩擦の火種となる可能性が高まった。
ワシントンで開催されたパネル討論で、グーグル幹部は「ネット検閲が貿易障壁だと確信している」と述べた。米通商代表部(USTR)や国務省、商務省に加えて欧州当局と連携、検閲によりグーグルのネット検索事業や企業活動が制約を受けていることを示す。
同幹部はこれまでWTOでネット検閲問題が取り上げられたことはなく、提訴しても解決には長期間を要するとの見通しも示した。
ガリバー、アイパッドで販促 素早い起動 車体も明るく
中古車販売のガリバーインターナショナルは、15日から多機能情報端末「iPad(アイパッド)」を活用した車両販売システムの試験導入を始める。従来のパソコンを使ったサービスに比べ、起動が早いうえ顧客が楽しみながら車選びができるなどの利点を生かし、サービスの充実を目指す。
ガリバーは、インターネットを使った個人向け中古車販売システム「ドルフィネット」を展開。ガリバーの店頭や同社の営業スタッフのパソコンから、購入可能な自動車の外観や内外装の状態などを確認できる。顧客の求めに応じて、スタッフは自宅などを訪問しノートパソコンを参照して説明していた。
このパソコンの代わりにアイパッドを試験導入する。訪問を受けた顧客はスタッフの説明を受けながらアイパッドを自分で操作。中古車情報を確認して購入を検討できる。パソコンより起動が早いだけでなく、見たい部分を拡大するのも簡単だ。当初は都内の店舗に5台を準備し、効果があると判断すれば順次、導入店舗を増やす。
同社では「アイパッドは起動が早く、画面も明るい。クルマ選びの楽しさを一層感じていただきたい」としている。
同社は1998年に通信衛星を活用してドルフィネットを立ち上げ、環境整備とともにネットを利用したサービスに移行。在庫台数は約6000台という。
人民元、高まる市場の警戒感 1年7カ月ぶりインフレ率大幅上昇
中国の5月のインフレ率は1年7カ月ぶりの大幅上昇となり、同国経済の過熱リスクが浮き彫りになった。金融市場で利上げへの警戒感が強まりそうだ。
中国国家統計局が11日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.1%上昇と、4月の2.8%上昇に比べて伸びが加速した。ブルームバーグニュースがまとめたエコノミスト32人の予想中央値(3.0%上昇)も上回った。生産者物価指数(PPI)は7.1%上昇で、同じく4月の6.8%上昇を上回った。
20カ国・地域(G20)首脳会合を2週間後に控え、この日発表された指標は、前日に示された輸出急増や不動産価格の記録的上昇とともに、人民元の柔軟性を求める米政府の主張を勢いづける材料となるものだ。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のエコノミスト、劉利剛氏(香港在勤)は統計発表前「中国経済はなおも過熱状態に向かうサイクルをたどっている。政府はインフレ期待抑制のための措置を強化すべきだ」と指摘した。さらに「今週末あるいはG20首脳会合までの期間が中国にとって人民元の変動幅を拡大する好機だ」と述べた。
5月の新規融資は6394億元(約8兆5600億円)だった。工業生産は前年同月比16.5%増と、エコノミスト予想の中央値(17%増)を下回った。4月は17.8%増だった。小売売上高は同16.7%増。前月は18.5%増だった。1~5月の都市部固定資産投資は前年同期比25.9%増。1~4月の26.1%増からは伸びが鈍化した。
5月のCPI上昇率は、2010年通年の政府目標の上限である3%を上回った。このため銀行融資などにより流動性が増え、インフレ制御ができなくなりつつあるとの懸念が高まっている。
鴻海精密工業の中国子会社、富士康国際(フォックスコン)やホンダなどが表明した賃上げもインフレ圧力を高めている。
葬儀費用は総量規制の例外
金融庁は11日、18日の改正貸金業法の完全施行を前に、葬儀費用や海外で緊急に必要となった費用については「総量規制」の例外とする、と発表した。
総量規制は借り手の年収の3分の1を超える融資を基本的に禁じるルールで、同法の完全施行に伴って導入される。葬儀費用などのほか、「社会通念上緊急に必要と認められる費用」は、同規制の例外として、貸出残高が年収の3分の1を超える場合でも、返済能力に応じて融資を受けられることになる。
データ改竄「過去数年」 ハンガリー、首相が言及
国際通貨基金(IMF)の支援下で財政再建を進めるハンガリーのオルバン首相は11日、ウィーンで開かれた金融関係の会議で、指摘されていた同国の財政データ改竄(かいざん)について「(前社会党政権下の)過去数年間にわたって行われた」と述べた。
IMFは7月、財政状況などを協議する代表団をハンガリーに派遣する方針。データ改竄を受け、同国にさらなる緊縮財政を求める可能性もある。
オルバン政権の与党幹部らはこれまで、前政権への批判の中で財政データの改竄に言及したが、詳細は明らかになっていない。首相もこの日、実際の数値については「把握が困難になっている」と述べるにとどめた。
ハンガリーは08年からIMFの支援下で財政再建中だが、今月に入り与党幹部らから財政危機が深刻だとの発言が相次ぎ、金融市場の波乱要因となっていた。
「首相、先の展開読まず」安易な連立合意あだに
国民新党の亀井代表が菅政権の発足からわずか3日後に金融・郵政改革相を辞任し、菅首相らの政権運営能力には早くも疑問符が付く結果となった。
首相とすれば、政権発足に先立って交わした連立合意があだになった形で、安易な合意を批判する声も出ている。
亀井氏は辞任後の11日夕、国民新党本部で記者団に、「両党の紙まで書いた約束がほごになった。民主党は猛省をせないかん」と不満をぶちまけた。そのうえで、「我々は政策を実行するために連立を組んでいる。難しいならさっさとお別れしますよ、本当に」と述べ、今後の民主党の出方次第で連立離脱もあり得るとほのめかした。
連立合意は「現在国会で審議中の郵政改革法案については、速やかに成立を期す」という内容だった。4日に菅氏が民主党代表に選出された直後に、わずかな協議を行っただけで交わしたものだった。菅首相も政権発足直後は、「今国会で成立を期すと合意している。この合意に沿って全力を挙げる」と明言していた。連立合意には法案成立の時期が明記されていなかったが、首相は「国民新党との連立は大事にしなくてはならない」と周囲に語り、7月11日に想定していた参院選がずれ込むことになっても国会の会期を延長して法案成立を図る姿勢を示していた。
しかし、菅内閣が高支持率を記録し、民主党への追い風が明らかになると、同党内では「速やかに参院選を行うべきだ」という声が急速に強まった。首相周辺からも「選挙の主役である参院議員が『7・11投開票』を譲らない以上、逆らえない」との声が出て、首相も姿勢を転換した。
首相は仙谷官房長官や民主党の枝野幹事長に国民新党との調整を委ねた。しかし、鳩山政権では、同党とのパイプは小沢一郎前幹事長が一手に握っていたため、仙谷氏らは亀井氏の意向や動きを正確につかむこともできなかった。11日未明に亀井氏が閣僚辞任を発表した際にも、菅首相は滞在先のホテルで熟睡していたという。民主党では、「先の展開を読まずに連立合意をしたのが菅氏の失敗だった」という指摘が出ている。
亀井氏側には、「党は連立にとどまって引き続き実利を得る。亀井氏は閣外に出て政局でのフリーハンドを確保した」という声がある。民主党では「亀井氏は今後、小沢氏と連携し、反『菅政権』色を強めていくのではないか」という見方も出ている。
残された道は「さようなら米国」
メキシコ湾の油井からの原油流出事故発生直後から、英エネルギー企業のBPは、大騒動に見舞われた巨大企業ならではの典型的な行動を取ってきた。
テレビ番組に広報担当者を送り込んで、平謝りに謝罪させた。原油が流出している油井への対処は、まるではき古した靴下を詰め込んでいるような無意味なものだったが、何かやっているように見せようと東奔西走した。BPのヘイワード最高経営責任者(CEO)自身もあらゆる機会を利用して悲痛にくれた表情を見せた。
◆スケール違う大惨事
しかし、今回の事態は全く新しいスケールの大惨事だ。従来の対策は役に立たないだろう。実際、流出が及ぼす被害に値するだけの十分な謝罪の言葉をBPは見つけることができない。何を言おうと、BPは米国で最も非難される企業であり続けるだろう。
ならば、BPは異なる戦略を試すべきだ。米国と米国民に対して開き直るのだ。実際、米国は最もひどい偽善行為を犯している。今となってはBPにとって自社への信頼を回復するには遅過ぎる。現実問題として望めるのは株主のためにできるだけ多くの資金を救済することだ。
BPが困難な状況に陥った理由は明白だ。米国史上最大規模となった流出原油は海岸線少なくとも140マイル(約225キロメートル)を汚染。メキシコ湾での新規の探鉱掘削は停止され、出漁区域の約3分の1が閉鎖となった。米紙ニューヨーク・デーリー・ニュースは先週、ヘイワードCEOの今回の危機への対応で同CEOを「米国で最も憎まれ、最も無知な人物」と表現した。これ以上の悪評はないだろう。
次に、BPの企業生命は米国においては終わっている可能性が高い。どのような形で謝罪しても何も変わらないだろう。平均的な米国人の消費者はBPを憎んでおり、その見方は何世代も変化することはないだろう。従って、BPはお金で解決できるよう、素晴らしい弁護士を雇うべきだ。すべての訴訟を闘い、最低限を上回る賠償請求は軒並み拒否する。いずれにしてもたたきのめされるのだから、闘うべきだろう。
何をするにしても、イメージを回復するために広告代理店や広報コンサルタントに大金を注ぎ込むようなことはすべきではない。うまくいくはずがないから試みる必要性もない。
最後に、BPは株主を保護する必要がある。そのために米国で保有する資産を余力があるうちにメジャー(国際石油資本)の1つに売却すべきだ。そこには大量の原油と自動車を擁する大きな世界が広がっていることを忘れてはならない。BPの任務は株主らに配慮することであり、望まれもしない国に受け入れられようとすることではないのだ。
BPの米国でのイメージは、同社が米国で事業を展開しようとする場合のみ問題となる。損失を削減し米国から今撤退すれば、メキシコ湾での事故とは無縁の日本やフランス、アルゼンチンなどの他国でならやっていける。
こう言えば済む。「今までいろいろありがとう。お世話になりました。原油流出については謝罪します。さようなら、そしておやすみなさい」
それが今有効な唯一つの戦略だ。
NECとソニーは、1台の端末で書籍やインターネットの閲覧ができる多機能携帯端末の利便性向上につながる技術を相次いで開発した。NECは画面だけを本体から取り外して閲覧できる新型端末の実用化にメドをつけた。ソニーは紙のような感触で電子書籍のページがめくれるタッチパネル機能付きディスプレーを開発した。両社とも今後市場に投入する自社製の携帯端末で採用し、米アップルの「iPad」などに対抗する。
NECが開発したのは、画面上に映像や文字を表示するための半導体チップ。パソコンなどでは画面と本体が有線でつながっているが、チップを使えばデータが無線で送れるようになり端末本体から画面だけを分離できる。画面部分には情報を保存するメモリーなどがなくなり大幅に軽くなる。雑誌並みの軽さで、消費電力も大幅に減り、電子書籍などを長時間楽しめるようになる。来年度にもチップを生産、2~3年後の実用化につなげる。
ソニーコンピュータサイエンス研究所は紙のような触感が味わえるタッチパネルを開発した。画面に圧力を感知するセンサーのほか、指で押された力を紙に触れたような感覚で押し返す機能も持たせる。本物の書籍のようなページをめくる触感があり、押す力を微妙に変えることで、めくれるページ数が正確に決められる。再生する楽曲を効率よく選んだり、文字を素早く入力したりするのにも適している。まず英ソニー・エリクソンの携帯電話に搭載を目指す。
世界の多機能端末市場はiPadや米アマゾン・ドット・コムの「キンドル」など、米国勢が日本メーカーに先行する。日本勢は小型化や使い勝手を磨き、次世代端末の開発に生かす。
“視聴率”BS、CS牽引 多様化する視聴者の嗜好反映 「その他」好調
NHK、民放キー局など地上波以外の「その他」の視聴率が上がっている。5月第3週(17~23日)の平均は、ゴールデン、プライムで7%の大台を初めて突破し、一部キー局の視聴率を上回った。BS放送やCS放送を受信できるテレビが普及し、多様化する視聴者の趣向が反映されているようだ。
テレビ視聴率の調査区分には、各キー局のほかに「その他」があり、NHKのBS1、BS2、民放のBS、CS局、UHF局などが含まれる。これまでは、全日(午前6時~深夜0時)の週平均視聴率は3%台が普通だった。
ところが、この「その他」の視聴率が、5月第3週にゴールデン(午後7~10時)で7.4%、プライム(同7~11時)で7.1%となり、5月に行われたテレビ各局の記者会見で話題になった。ともに初めての7%超えで、しかも「午後8時台は8%、深夜の占拠率はほとんど2ケタ」(テレビ朝日・早河洋社長)という。
各局の社長や役員が指摘するのは、BS放送、CS放送の躍進だ。今月1日に発表された民放BS局の「接触率」の週平均は、4月19~25日のゴールデンで15.4%と、2月調査の11.6%から大幅に増加。CSも「接触率が平成19年10月から今年4月までで1.2倍になった」(衛星テレビ広告協議会の須藤修司メディアデータ委員長)と、各局の分析を裏付ける。
特に、プロ野球がシーズンに入り、BS、CSのキラーコンテンツぶりを発揮しているようだ。日本テレビの舛方勝宏専務は「巨人戦の時間帯で『その他』が地上波を上回ることもある。『野球はBS』というブランドが定着しつつある」と分析。CSのチャンネルを抱えるスカパーJSATも「シーズンになると契約数が伸びる傾向」と話す。
来年7月の地上デジタル化完全移行を前に、BSやCS対応テレビが普及していることも、こうした動きを後押しする。総務省の3月調査では「BSを視聴できない」とする回答は27%と、昨年9月の前回調査の31.7%と比べ、着実に減っている。
学習院大学の遠藤薫教授は「BSやCSには専門性の高い番組が多く、嗜好(しこう)がはっきりした視聴者に受けている。チューナー内蔵のテレビが普及し、心理的なハードルも低くなった。番組宣伝のための番組などが増えた地上波の優位性は小さくなっており、『その他』視聴は今後も拡大していくだろう」と話している。
日航削減3600人上積み、破綻前の4割減に
会社更生手続き中の日本航空は12日、1月に公表した再生計画で2012年度までに約1万5700人としていた人員削減数を3600人上積みし、1万9300人とする方針を固めた。
12年度末の従業員数は、経営破綻(はたん)前に比べ、4割少ない約3万2600人とする。8月末に東京地裁に提出する更生計画案に盛り込む。年間の人件費を12年度までに約1280億円圧縮する体制を整え、安定的に黒字を確保できる経営体質への転換を急ぐ。
日航は会社更生法の適用を申請した1月の再生計画で、12年度末までにグループ全体の従業員のうち約1万5700人を削減することを打ち出した。だが、金融機関などから「削減が不十分だ」と指摘されたため、削減数を大幅に上積みして計画も前倒しする。
今年3月末までですでに約3000人を削減しており、今年度中にさらに約1万6000人減らして、上積み分を加えた人員削減のほとんどを今年度末までに終える。リストラの強化で、金融機関から更生計画案への同意を取り付ける考えだ。
人員削減の上積みは、国内線と国際線からの路線撤退を当初の計31路線から計45路線に拡大させたことで可能になった。今年3月に募集した特別早期退職には、想定の2700人を大きく上回る4000人が応募しており、今秋以降も数千人規模の特別早期退職を募集する。ただ、運航の安全面に配慮し、パイロットや整備部門よりも子会社の売却に伴う人員削減を優先させる方向だ。
日航は、赤字が続いている連結営業利益を11年3月期には約250億円の黒字への転換を目指す。人件費を含む大幅な経費削減を加速し、連結営業費用を09年度比で約4860億円減らし、13年3月期には連結営業利益を約1170億円に増やす収支計画を新たに立てている。
WTO提訴に向け協力 グーグルと米欧当局
米インターネット検索大手グーグルは11日、中国が行っているネット検閲が自由な貿易を妨げているとして、米当局などと協力し世界貿易機関(WTO)への提訴に向けた準備を進めていることを明らかにした。ロイター通信が伝えた。
米国が主に人権面から問題を指摘してきた中国のネット検閲が今後、米中間で新たな貿易摩擦の火種となる可能性が高まった。
ワシントンで開催されたパネル討論で、グーグル幹部は「ネット検閲が貿易障壁だと確信している」と述べた。米通商代表部(USTR)や国務省、商務省に加えて欧州当局と連携、検閲によりグーグルのネット検索事業や企業活動が制約を受けていることを示す。
同幹部はこれまでWTOでネット検閲問題が取り上げられたことはなく、提訴しても解決には長期間を要するとの見通しも示した。
ガリバー、アイパッドで販促 素早い起動 車体も明るく
中古車販売のガリバーインターナショナルは、15日から多機能情報端末「iPad(アイパッド)」を活用した車両販売システムの試験導入を始める。従来のパソコンを使ったサービスに比べ、起動が早いうえ顧客が楽しみながら車選びができるなどの利点を生かし、サービスの充実を目指す。
ガリバーは、インターネットを使った個人向け中古車販売システム「ドルフィネット」を展開。ガリバーの店頭や同社の営業スタッフのパソコンから、購入可能な自動車の外観や内外装の状態などを確認できる。顧客の求めに応じて、スタッフは自宅などを訪問しノートパソコンを参照して説明していた。
このパソコンの代わりにアイパッドを試験導入する。訪問を受けた顧客はスタッフの説明を受けながらアイパッドを自分で操作。中古車情報を確認して購入を検討できる。パソコンより起動が早いだけでなく、見たい部分を拡大するのも簡単だ。当初は都内の店舗に5台を準備し、効果があると判断すれば順次、導入店舗を増やす。
同社では「アイパッドは起動が早く、画面も明るい。クルマ選びの楽しさを一層感じていただきたい」としている。
同社は1998年に通信衛星を活用してドルフィネットを立ち上げ、環境整備とともにネットを利用したサービスに移行。在庫台数は約6000台という。
人民元、高まる市場の警戒感 1年7カ月ぶりインフレ率大幅上昇
中国の5月のインフレ率は1年7カ月ぶりの大幅上昇となり、同国経済の過熱リスクが浮き彫りになった。金融市場で利上げへの警戒感が強まりそうだ。
中国国家統計局が11日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.1%上昇と、4月の2.8%上昇に比べて伸びが加速した。ブルームバーグニュースがまとめたエコノミスト32人の予想中央値(3.0%上昇)も上回った。生産者物価指数(PPI)は7.1%上昇で、同じく4月の6.8%上昇を上回った。
20カ国・地域(G20)首脳会合を2週間後に控え、この日発表された指標は、前日に示された輸出急増や不動産価格の記録的上昇とともに、人民元の柔軟性を求める米政府の主張を勢いづける材料となるものだ。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のエコノミスト、劉利剛氏(香港在勤)は統計発表前「中国経済はなおも過熱状態に向かうサイクルをたどっている。政府はインフレ期待抑制のための措置を強化すべきだ」と指摘した。さらに「今週末あるいはG20首脳会合までの期間が中国にとって人民元の変動幅を拡大する好機だ」と述べた。
5月の新規融資は6394億元(約8兆5600億円)だった。工業生産は前年同月比16.5%増と、エコノミスト予想の中央値(17%増)を下回った。4月は17.8%増だった。小売売上高は同16.7%増。前月は18.5%増だった。1~5月の都市部固定資産投資は前年同期比25.9%増。1~4月の26.1%増からは伸びが鈍化した。
5月のCPI上昇率は、2010年通年の政府目標の上限である3%を上回った。このため銀行融資などにより流動性が増え、インフレ制御ができなくなりつつあるとの懸念が高まっている。
鴻海精密工業の中国子会社、富士康国際(フォックスコン)やホンダなどが表明した賃上げもインフレ圧力を高めている。
葬儀費用は総量規制の例外
金融庁は11日、18日の改正貸金業法の完全施行を前に、葬儀費用や海外で緊急に必要となった費用については「総量規制」の例外とする、と発表した。
総量規制は借り手の年収の3分の1を超える融資を基本的に禁じるルールで、同法の完全施行に伴って導入される。葬儀費用などのほか、「社会通念上緊急に必要と認められる費用」は、同規制の例外として、貸出残高が年収の3分の1を超える場合でも、返済能力に応じて融資を受けられることになる。
データ改竄「過去数年」 ハンガリー、首相が言及
国際通貨基金(IMF)の支援下で財政再建を進めるハンガリーのオルバン首相は11日、ウィーンで開かれた金融関係の会議で、指摘されていた同国の財政データ改竄(かいざん)について「(前社会党政権下の)過去数年間にわたって行われた」と述べた。
IMFは7月、財政状況などを協議する代表団をハンガリーに派遣する方針。データ改竄を受け、同国にさらなる緊縮財政を求める可能性もある。
オルバン政権の与党幹部らはこれまで、前政権への批判の中で財政データの改竄に言及したが、詳細は明らかになっていない。首相もこの日、実際の数値については「把握が困難になっている」と述べるにとどめた。
ハンガリーは08年からIMFの支援下で財政再建中だが、今月に入り与党幹部らから財政危機が深刻だとの発言が相次ぎ、金融市場の波乱要因となっていた。
「首相、先の展開読まず」安易な連立合意あだに
国民新党の亀井代表が菅政権の発足からわずか3日後に金融・郵政改革相を辞任し、菅首相らの政権運営能力には早くも疑問符が付く結果となった。
首相とすれば、政権発足に先立って交わした連立合意があだになった形で、安易な合意を批判する声も出ている。
亀井氏は辞任後の11日夕、国民新党本部で記者団に、「両党の紙まで書いた約束がほごになった。民主党は猛省をせないかん」と不満をぶちまけた。そのうえで、「我々は政策を実行するために連立を組んでいる。難しいならさっさとお別れしますよ、本当に」と述べ、今後の民主党の出方次第で連立離脱もあり得るとほのめかした。
連立合意は「現在国会で審議中の郵政改革法案については、速やかに成立を期す」という内容だった。4日に菅氏が民主党代表に選出された直後に、わずかな協議を行っただけで交わしたものだった。菅首相も政権発足直後は、「今国会で成立を期すと合意している。この合意に沿って全力を挙げる」と明言していた。連立合意には法案成立の時期が明記されていなかったが、首相は「国民新党との連立は大事にしなくてはならない」と周囲に語り、7月11日に想定していた参院選がずれ込むことになっても国会の会期を延長して法案成立を図る姿勢を示していた。
しかし、菅内閣が高支持率を記録し、民主党への追い風が明らかになると、同党内では「速やかに参院選を行うべきだ」という声が急速に強まった。首相周辺からも「選挙の主役である参院議員が『7・11投開票』を譲らない以上、逆らえない」との声が出て、首相も姿勢を転換した。
首相は仙谷官房長官や民主党の枝野幹事長に国民新党との調整を委ねた。しかし、鳩山政権では、同党とのパイプは小沢一郎前幹事長が一手に握っていたため、仙谷氏らは亀井氏の意向や動きを正確につかむこともできなかった。11日未明に亀井氏が閣僚辞任を発表した際にも、菅首相は滞在先のホテルで熟睡していたという。民主党では、「先の展開を読まずに連立合意をしたのが菅氏の失敗だった」という指摘が出ている。
亀井氏側には、「党は連立にとどまって引き続き実利を得る。亀井氏は閣外に出て政局でのフリーハンドを確保した」という声がある。民主党では「亀井氏は今後、小沢氏と連携し、反『菅政権』色を強めていくのではないか」という見方も出ている。
残された道は「さようなら米国」
メキシコ湾の油井からの原油流出事故発生直後から、英エネルギー企業のBPは、大騒動に見舞われた巨大企業ならではの典型的な行動を取ってきた。
テレビ番組に広報担当者を送り込んで、平謝りに謝罪させた。原油が流出している油井への対処は、まるではき古した靴下を詰め込んでいるような無意味なものだったが、何かやっているように見せようと東奔西走した。BPのヘイワード最高経営責任者(CEO)自身もあらゆる機会を利用して悲痛にくれた表情を見せた。
◆スケール違う大惨事
しかし、今回の事態は全く新しいスケールの大惨事だ。従来の対策は役に立たないだろう。実際、流出が及ぼす被害に値するだけの十分な謝罪の言葉をBPは見つけることができない。何を言おうと、BPは米国で最も非難される企業であり続けるだろう。
ならば、BPは異なる戦略を試すべきだ。米国と米国民に対して開き直るのだ。実際、米国は最もひどい偽善行為を犯している。今となってはBPにとって自社への信頼を回復するには遅過ぎる。現実問題として望めるのは株主のためにできるだけ多くの資金を救済することだ。
BPが困難な状況に陥った理由は明白だ。米国史上最大規模となった流出原油は海岸線少なくとも140マイル(約225キロメートル)を汚染。メキシコ湾での新規の探鉱掘削は停止され、出漁区域の約3分の1が閉鎖となった。米紙ニューヨーク・デーリー・ニュースは先週、ヘイワードCEOの今回の危機への対応で同CEOを「米国で最も憎まれ、最も無知な人物」と表現した。これ以上の悪評はないだろう。
次に、BPの企業生命は米国においては終わっている可能性が高い。どのような形で謝罪しても何も変わらないだろう。平均的な米国人の消費者はBPを憎んでおり、その見方は何世代も変化することはないだろう。従って、BPはお金で解決できるよう、素晴らしい弁護士を雇うべきだ。すべての訴訟を闘い、最低限を上回る賠償請求は軒並み拒否する。いずれにしてもたたきのめされるのだから、闘うべきだろう。
何をするにしても、イメージを回復するために広告代理店や広報コンサルタントに大金を注ぎ込むようなことはすべきではない。うまくいくはずがないから試みる必要性もない。
最後に、BPは株主を保護する必要がある。そのために米国で保有する資産を余力があるうちにメジャー(国際石油資本)の1つに売却すべきだ。そこには大量の原油と自動車を擁する大きな世界が広がっていることを忘れてはならない。BPの任務は株主らに配慮することであり、望まれもしない国に受け入れられようとすることではないのだ。
BPの米国でのイメージは、同社が米国で事業を展開しようとする場合のみ問題となる。損失を削減し米国から今撤退すれば、メキシコ湾での事故とは無縁の日本やフランス、アルゼンチンなどの他国でならやっていける。
こう言えば済む。「今までいろいろありがとう。お世話になりました。原油流出については謝罪します。さようなら、そしておやすみなさい」
それが今有効な唯一つの戦略だ。