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電子書籍「日の丸連合」 ソニーは米国勢に勝てるか
 ソニーが日本で電子書籍事業に再び挑む。凸版印刷、KDDI、朝日新聞社の3社と共同で書籍配信の事業企画会社を7月1日をめどに設け、専用端末を年内に売り出す。「日の丸」連合を組んで、先行するアマゾン・ドット・コム、アップルの米国勢に対抗するが、不安材料もある。
 「ソニーは日本のメーカー。電子書籍ビジネスをスタートするにあたっては、日本の文化を継承していこうという意志を持った方々と一緒にやりたい」。ソニーなど4社が5月27日に都内で開いた記者会見。ソニー・エレクトロニクスの野口不二夫シニア・バイス・プレジデントは、事業企画会社への出資企業がオールジャパンとなった理由を説明した。凸版など同席した3社の幹部も「日本の出版文化の発展に寄与したい」と日の丸を前面に掲げた。その2カ月前、伏線ともいえる出来事があった。
 3月24日、東京・神楽坂の日本出版クラブ会館。出版大手31社をメンバーとする「日本電子書籍出版社協会(電書協)」の設立総会が開かれた。記者会見では、代表理事に就いた講談社の野間省伸副社長が「日本と米国の出版市場は環境がだいぶ異なる。日本独自の電子書籍市場を構築したい。紙(の書籍)との共存共栄も図る」と発言。31社の代表者が一人ずつ紹介され、全員で集合写真に収まり、業界の結束をアピールした。
 その後の記念パーティーでは、新潮社の佐藤隆信社長のあいさつに続き、数人が来賓としてスピーチした。最も威勢がよかったのは、内藤正光・総務副大臣だった。「好むと好まざるとにかかわらず、(アマゾン、アップルという)2強が日本を席巻してくる。これを許したら日本の文化を守れるだろうか」
 市場縮小に悩む出版業界は、新たな商売の機会と電子書籍に期待する半面、IT(情報技術)企業のアマゾンやアップルに主導権を握られることを警戒している。配信する作品の選択から値決めまで牛耳られれば経営基盤は揺らぐ。IT企業と作家が直接、契約するような事態となれば、存在意義さえ問われる。電書協設立は米国から来る「黒船」へのけん制であり、個別に出版社がアマゾンなどに急接近する「抜け駆け」を防ぐ相互監視の意味合いもあるとみられる。
 独自端末、独自サービスを出版業界に突きつける米国流の急進的な手法に対し、ソニーは出版業界の理解を得ながら前に進む穏健路線をとる。「日本の文化を守る」をモットーに出版社の懐に入り込み、書籍コンテンツ集めをアマゾンやアップルより優位に進めようとの戦略だ。事業企画会社設立に関する報道資料には、講談社の野間副社長の賛同コメントを載せ、小学館、集英社、文芸春秋も賛同していると強調した。
 しかし、紙の書籍事業の温存や、配信価格の下落防止などが出版業界の本音だろう。ソニーがそれに引きずられた発想を持てば、消費者をうならせる画期的なサービスを生み出しにくい体質になりはしないか。
 ソニーは2004年にも日本で電子書籍事業を始めたが、うまくいかなかった。専用端末「リブリエ」を発売し、主要出版社との共同出資会社で配信も手掛けたが、紙の書籍の売れ行きが鈍るのを恐れてか、コンテンツを読める期間を2カ月に限定。中途半端なサービスとの印象をぬぐえず、消費者の心をつかめなかったのだ。
 アップルの音楽配信、グーグルのネット広告、ユーチューブの動画共有、そしてアマゾン、アップルの電子書籍……。世界的な注目を集めるサービスは既存の業界地図を塗り替える破壊力を秘め、価格決定などを巡りコンテンツ会社と衝突する場面が少なくない。いずれも技術を駆使した便利さ、面白さで消費者の支持を勝ち取り、それを武器に存在感を高めている。
 6年ぶりの仕切り直しとなるソニーの電子書籍事業も、単に米2社の物まねではなく、新鮮味のある工夫が成功の条件になる。出版業界との共同歩調にこだわるあまり、意思決定が遅れたり、角の取れた無難なサービスしか打ち出せなかったりすれば、先行組の追撃は難しい。
 講談社が京極夏彦氏の新作を紙の書籍の価格を下回る料金でiPad向けに配信するなど、出版社も日の丸連合に義理立てしてくれるとは限らない。ソニーが第一に力を注ぐべきは、消費者を味方にできる魅力的な仕組みをつくることだ。それができれば、出版業界での求心力もおのずと高まる。出版業界の反発を避けて優等生的な動きに終始すれば、「リブリエの悪夢」がよみがえりかねない。



国と地方の債務残高初の1千兆円突破 時価ベースの日銀統計
 日銀が17日発表した2010年1~3月期の資金循環統計(速報)で、2010年3月末(09年度末)の国と地方を合わせた債務残高の合計が、前年度末比4・8%増の1001兆7715億円となり、初めて1千兆円を超えたことが分かった。
 景気対策により国債の発行が増加したことが主因。債務残高のうち国債と地方債の合計である「株式以外の証券」は、前年度末比6・5%増の795兆7735億円になった。
 日銀の統計は、国債などの有価証券を時価で評価しており、簿価を基準に財務省が発表する債務残高とは一致しない。財務省では、国と地方の長期債務残高が09年度末で約825兆円になるとの見通しを発表している。



成長戦略・財政規律重視を前面に 民主が公約発表
 民主党は17日夕、参院選公約を発表した。昨年の衆院選マニフェスト(政権公約)で触れていなかった財政再建や成長戦略を全面に打ち出したのが特徴。消費税を含む税制抜本改革は早期の結論をめざして超党派の協議を始める方針を明記。成長戦略の一環として、法人税率引き下げや官民連携によるインフラ輸出促進などを盛り込んだ。
 財政再建では3段階の目標を提示。短期目標は2011年度の国債発行額が10年度(44.3兆円)を上回らないよう全力をあげ、中期では15年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字の対国内総生産(GDP)比を10年度の半分以下にする。長期目標で20年度までにプライマリーバランスを黒字化するとした。
 財源捻出(ねんしゅつ)策として、ムダ使い削減を続ける方針は掲げたが、前回マニフェストで示した13年度に16.8兆円を生み出すとした工程表は削除した。
 成長戦略では首相や閣僚のトップセールスによる原発などのインフラ輸出促進を明記。特定の業界を優遇する租税特別措置の見直しなどを前提にした法人税の引き下げも示し、国際競争力の強化を図った。
 子ども手当に関しては1人あたり月額2万6千円の満額支給を見送り、10年度の1万3千円を「上積みする」と表記するにとどめた。高速道路を原則無料化する方針は実施時期や財源の規模の明示を見送るなど、財政規律への配慮をにじませている。
 政治改革では国会議員の定数を衆院は比例代表の80、参院では40程度の削減を明記。外交・安全保障政策では、日米同盟の強化に加え、米軍普天間基地の移設問題を5月28日の日米合意に基づき進める方針を盛り込んだ。同時に地元・沖縄県の負担の軽減に「全力を尽くす」とうたった。



富士通と東芝、携帯事業統合 正式発表  「競争力あるスマートフォン提供」
 富士通と東芝は6月17日、携帯電話事業を統合することで基本合意したと発表した。7月末をめどに最終的な契約を締結。10月1日をめどに新会社を設立し、東芝の携帯電話事業を移管した上で、富士通が新会社の株式の過半を取得する。
 統合により開発基盤を強化し、競争力ある端末を開発、国内シェアナンバーワンを目指す。両社の技術を融合し、スマートフォン市場に競争力の高い商品をタイムリーに提供するとしている。
 富士通はNTTドコモ向けに端末や携帯電話プラットフォーム技術を提供しており、防水防塵・指紋センサーなど独自機能が売り。東芝はKDDI(au)を中心に、ドコモ、ソフトバンクモバイルにも端末を提供しており、映像技術やスマートフォン技術、海外生産によるコスト効率が強みとしている。



日航、旅行2子会社統合へ JALツアーズとジャルパック 更生計画案に盛る
 会社更生手続き中の日本航空は17日、旅行子会社であるJALツアーズとジャルパックの2社を経営統合する方向で検討に入った。それぞれ国内旅行と海外旅行を手掛けており、旅行業を巡る環境が厳しい中、間接部門の集約などで経営を効率化する。月内にジャルパックの大西誠社長(60)がJALツアーズの社長を兼任し、統合に向けた連携を進める。
 JALツアーズは28日に開く株主総会後の取締役会で、大西ジャルパック社長の社長就任を決定する。山崎寛社長(61)は退任する見通し。両社は来春の統合を目指し、当面は経費削減などで連携していく。
 JALツアーズは旅行業で9位。ジャルパックはそれ以下の中堅だが、日本で初めて海外パックツアーを扱い、知名度がある。2社の2009年度の旅行取扱高を単純合算すると1899億円で、旅行業8位になる。
 統合後は幹部ポストの整理や本社一元化による合理化効果を見込む。日航は一時は旅行事業の売却も検討したが、グループにとどめた方が座席の販売にも寄与し、本業の収益下支えや競争力維持につながると判断した。
 日航は2月に稲盛和夫会長が就任して以来、管財人である企業再生支援機構の指導のもと抜本的な再建策作りに着手。現在は8月末期限の更生計画案の取りまとめに向け、主力銀行団との交渉に入っている。日航は2社の統合を更生計画案に盛り込みたい考え。
 不採算路線と人員の大規模な削減、老朽航空機の整理に加え、膨張した子会社群の整理は再建へ銀行団の協力を得る上で重要になっている。ホテル子会社をホテルオークラに売却する方向で最終調整に入るなど、リストラを本格化している。



永谷園、大相撲懸賞から撤退検討 不祥事連発でスポンサー離れ 
 永谷園が、野球賭博問題に揺れる大相撲の懸賞の取り止めや大幅削減を検討していることが17日、分かった。新弟子死亡事件や力士の大麻事件に続く相次ぐ不祥事で、かえってイメージダウンになりかねないと判断したとみられる。
 永谷園はひと場所あたり200本以上の懸賞をかける大口スポンサー。不祥事が後を絶たない懲りない相撲界からのスポンサー離れが加速するのは必至だ。
 永谷園では、「(野球賭博は)大きな問題と考えており、成り行きをみながら検討中」としている。同社は、大麻事件が起きた際にも、2008年秋場所で、懸賞の本数を大幅に減らしたことがあるが、その後も不祥事が続いたことから、今回は、削減よりもさらに厳しい対応に踏み切る可能性がある。
 永谷園は、02年から懸賞を出し始めた。ちょうど若貴ブームが去り、相撲人気にかげりが出てきたころで、相撲界にはまさに救世主だった。お茶漬けのりの袋をデザインした懸賞旗は、いまや大相撲には欠かせない存在になっている。また人気力士の高見盛をCMにも起用するなど、単なる宣伝ではなく、「応援」の側面も強い。
 懸賞は1本6万円で、うち5000円が手数料として相撲協会の取り分となる。永谷園が撤退すれば、相撲界として1場所あたり1200万円の収入を失うことになる。
 大相撲の懸賞などのスポンサーには、森永製菓や日本マクドナルドなど、消費者と直接触れ合う企業も多い。懸賞を出しても、イメージダウンになるなら本末転倒で、撤退や削減の動きが広がりそうだ。



楽天、仏最大のネットショップ会社買収 240億円で欧州進出 
 楽天は17日、フランス最大のEC(電子商取引)サイトなどを運営するプライスミニスター(本社パリ)の全株式を取得すると発表した。買収額は2億ユーロ(約240億円)。楽天は、先月も米ネット通販会社を2億5000万ドル(約230億円)で買収したばかり。中国などアジアへの進出も加速しており、プライスの買収で、新たに欧州参入を果たす。
 プライスは2000年発足で、フランスを中心にイギリスやスペインでEコマース事業を展開。旅行価格比較サイトや不動産情報サイトなども運営している。同社の主力サイトは会員数が約1200万人で、取扱商品は160万点に上り、月間サイト訪問者数はフランス国内でトップ。
 楽天は08年に欧州法人を立ち上げ、参入を検討してきたが、各国のEコマース市場の成長が続いていることに加え、消費者の厳しい選択眼など日本との共通点が多いことから、プライス買収を決めた。
 日本の「楽天市場」で培ってきたネット・ショップの運営や出店者の開拓・サポートなどのノウハウを活用し、プライスの事業をさらに強化する考えだ。
 楽天は、先月も米国で1400万人の顧客基盤を持つBuy.com(バイ・ドット・コム)を買収すると発表。今年に入り、中国に百度と合弁会社を立ち上げたほか、インドネシアでも合弁会社を設立する計画で、海外進出を急加速。プライス買収で、欧米アジアにまたがるネットワークを構築する。



JCOM株取得に「高額すぎる」 KDDI株主総会で異論噴出 
 KDDIの定時株主総会が17日、都内で開かれ、約3600億円を投じたケーブルテレビ国内最大手のジュピターテレコム(JCOM)の株式取得に対し、「高額すぎるのでは」などの質問が相次いだ。
 総会では、株主が「当時の市場価格の約5割増しの単価でJCOM株を取得したのに、結果として拒否権すら取れていない。高かったのではないか」と質した。
 これに対し、両角寛文専務は「買い取り価格は妥当な価格だと考えている。JCOMへの資本参加は戦略的パートナーシップを結ぶのが目的であり、拒否権がないことは特段問題ではない」と回答。しかし、株主かたは「答えになっていない」と非難する声が上がった。
 JCOMをめぐっては、KDDIが2月に約30%の株式を持つ筆頭株主となったが、JCOMの設立以来の大株主である住商が反発し、TOB(株式公開買い付け)で対抗。保有割合を約40%に引き上げて筆頭株主の座を奪い返すなど、経営権をめぐって主導権争いを繰り広げた経緯がある。KDDIと住商、JCOMの3社は今月10日に放送・通信分野での業務提携に関する覚書を交わした。
 総会で、小野寺正社長兼会長は住商との関係について、「過去に何があったかではない。今後も協力してやっていくことが確認できた。共同で事業を運営していく上で、懸念はない」と理解を求めた。



任天堂「3DS」試してみた! 目に優しい自然な立体映像に好印象
 【ロサンゼルス=三塚聖平】当地で開かれている世界最大規模の家庭用ゲームの見本市「E3」で、最も注目を集めたのが、任天堂の3D(3次元)対応携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS(スリーディーエス)」だ。さっそく立体ゲームを体感してみた。
 3DSのサイズは、134×74×21ミリで、2006年に発売した「DSライト」とほぼ同じ大きさ。現行のDSと同様に2つのディスプレーを搭載しており、そのうち上が3D映像の表示、下は画面を直接触って入力するタッチパネル操作に対応している。
 「専用メガネ不要」が最大の売りだ。実際、裸眼でもはっきりと奥行きを感じる。専用メガネを使用する3D対応テレビなどと比べると奥行き感は乏しい部分もあるが、かえって自然で目が疲れにくく感じる。
 特に、普段かけているメガネと専用メガネの「ダブル・メガネ」の煩わしさがないのも好印象だ。
 試してみて驚いた機能が、3D画像の表示を強めたり弱めたりする「3Dボリューム」だ。本体の右側についているつまみを上下させると、3D効果が音量のように変化させることができる。3D画像に疲れたりした場合に使う機能のようだ。
 背面に設置した2つのカメラを使って3Dの画像を撮影できる機能も搭載しているが、将来、携帯電話にも転用されるのは確実だ。
 遊んでみた感想は、「3D映像を自然に楽しめる」というもの。3Dが目になじまないという人でも、“ボリューム”調整があるので問題はない。現時点では価格が不明だが、ヒットの可能性は高そうだ。



中国の広告市場、14年に倍増で日本に匹敵 米調査会社が予測
 中国(香港含む)の広告市場が2009年から14年までに約1・8倍に拡大し、日本とほぼ肩を並べる水準に達するとの予想を米大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PWC)が17日までにまとめた。
 中国の堅調な経済成長が広告市場の拡大を支えるためで、世界トップの米国を日本と中国が追う形となる。経済の成熟化が進む日本の広告市場が将来にわたって中国への優位を保つのは難しそうだ。
 2009年の市場規模は中国本土が207億3600万ドル(約1兆9千億円)、香港が25億1900万ドルで、合計額で米国、日本に次ぐ世界3位につける。日本や米国など先進国で頭打ちとなっているテレビや新聞広告も順調に増加するほか、インターネット向けも急増するため、14年には中国本土が390億3800万ドル、香港は32億2千万ドルに拡大する。
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ヤフー 先行者利益守る巨象ではない?
自前主義捨て新たな収益目論む
 創業から現在まで増収増益を続け、日本最大級のIT企業に成長したヤフー。その収益モデルは盤石なものがある。しかし、盤石だからこそ進出できない分野もあり、それが次代の成長の足かせになる可能性もある。大企業ゆえの意思決定の遅さもささやかれるなか、同社が取ったのは自前主義との決別だ。
「ツイッター機能が付いてないとケータイとは呼べない時代がくる」
 2010年5月、ソフトバンクモバイルの新商品発表会の壇上、孫正義社長は突如、ツイッター機能を全携帯電話に標準搭載することを明かした。ソフトバンクはヤフーに38.6%出資する親会社。ヤフー側にとって「寝耳に水」(川邊健太郎メディア企画部長)のことだった。
 今、インターネットではツイッターやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)といったソーシャル系サービスが流行している。個人が日記を書いたりなにかをつぶやいたりすることで、他者とつながる仕組みだ。
 海外ではツイッターやフェースブックが人気で、日本でも無料ゲームとSNSを組み合わせて提供しているミクシィ、ディー・エヌ・エー(DeNA)、グリーが急成長した。3社の会員数はそれぞれ、2000万人前後と多く、ツイッターの日本での月間利用者は1000万人に迫るともいわれている。
 じつは最近、ヤフー社内では30代の女性ユーザーがわずかながら減っていると大騒ぎになった。その原因について川邊部長らの見立ては、「ツイッターの普及」だった。
 30代の女性といえば、ツイッターの利用層とも重なる。ソーシャル系サービスは病みつきになる利用者も多い。サービスを提供する会社もそれを承知しているため、コミュニケーション機能に加えてニュースやその他の情報も提供している。
 そのため、これまで多くのインターネット利用者が最初に見る画面だったポータルサイトは、ソーシャル系サービスが取って代わる可能性もある。
 ただ、ヤフーもSNSに関心がなかったわけではない。2006年には「Yahoo!360°」を開始している。だが、市場ではまったく存在感がない。新興の専業事業者に比べれば、力の入れ方も覚悟も足りなかったことは否めない。
 そして、それらの事実をもってIT業界から「先行者として得た既得権にしがみつく巨象にすぎない」(SNS企業幹部)という趣旨の声も聞こえてくる。
 既得権と呼ぶかは別として確かに安定成長の基盤は築けていた。たとえば、ソフトバンクモバイルがほぼ全機種に「Y!(ヤフー)ボタン」を搭載しているおかげで、携帯電話ユーザーをヤフーに誘導しやすい。これなどは左うちわを決め込むには十分な仕掛けだった。
 ところが、そんな状況のなか、孫社長がソーシャル系サービスの最右翼であるツイッターを標準搭載すると発表してしまったのだから、仰天するのも無理はない。「孫さんの決断は速い。今後も何が起こるかわからない」(ヤフー幹部)。
 一方、検索の分野では、グーグルというライバルがいる。
 検索技術に優位性があり、必要な情報により早くたどり着けるという点では定評がある。すでに多くの国でヤフーはシェアを逆転されている。日本でグーグルがテレビ広告を始めた2009年末、業界関係者は「グーグルもヤフー追撃に本腰を入れるのか」とつぶやいた。
 前門には将来の収益源になりそうなソーシャル系サービスで成功した企業が、後門には現在の収益源を奪いかねないグーグルが、控えている──。2兆円近い時価総額で、IT企業としては日本最大級となるまで企業価値を高めてきたヤフーだが、さすがにここにきて曲がり角を迎えているのか。
 そう言い切るのは早計だろう。じつはこうした構図をいちばん理解しているのはヤフー自身だからである。
 前出の川邊部長は、ソフトバンクモバイルへのツイッター機能搭載を例にとり「これは危機だぞ」と社内に発破をかけている。
 1974年生まれで35歳の川邊部長は青山学院大学在学中の95年に「電脳隊」という企業を設立し、早くからインターネットビジネスを手がけてきた。ほかにも若い幹部は多く、IT業界の素早い構造の変化を肌で理解している。
 米国で急激に拡大しているフェースブックに対しても川邊部長は「フェースブックはポータルサイトの地位を揺るがしかねない」と言って憚らない。現状分析はしっかりできているのだ。
 井上雅博社長を含めてほとんどの幹部が、ヤフーがソーシャル系サービスで出遅れたことを自覚し、問題意識を共有している。曲がり角どころか、そこにこの会社の“強さ”すら見ることができる。
 そもそもヤフーには過去の危機を乗り越えて今の強固な収益モデルを構築したという歴史がある。
1日平均15億PV
総合力で首位独走
 現状ではヤフーの収益構造は盤石というほかない。2009年度決算では、売上高が2798億円、経常利益は1433億円。栄枯盛衰の激しいインターネット業界で、13期連続増収増益を記録している。
 リーマンショック以降、伸びが減速した広告収入も復調しつつあり、2010年10月には一部の広告料金の10%値上げに踏み切る予定だ。値上げは限られた広告スペースに対して、需要が多いという結果による。値上げしてもコストは増えないから、10%はそのまま利益増に貢献する。
 なぜ、これほどまで好調が続いているのか。その背景にはヤフーの総合力がある。
 ヤフーには検索以外にも日本最大のニュースサイトであるヤフートピックスがある。「読売新聞」や「産経新聞」などがニュースを提供している。そして動画配信サービス「GyaO!」にはすべての在京民放キー局が参加し、2010年1~3月期には初の四半期黒字化を達成した。そのほかにもトラベルや不動産など130以上のサービスがある。
 数多くのサービスを用意し、それぞれを日本の利用者のために「細かくチューニングすることで支持を得ている」(村上臣R&D統轄本部フロントエンド開発本部EveryWhere開発部部長)のだ。
 たとえば、地図のサービス一つ取っても、ヤフーの場合、ライバルのグーグルが表示していない地下鉄の出口の番号までしっかり表記している。また、天気予報も地域ごとやアニメーションでの予測など、他のポータルサイトに比べてもきめ細かく表示している。
 その結果、ヤフーは1日平均のページビューが延べで15億を超え、重複を除いた1ヵ月当たりの閲覧数は1億9000万にもなる。
 調査会社ネットレイティングスが発表した2010年4月の延べの検索利用者数はヤフーが4223万人、グーグルが2923人とヤフーがまだ優位である。
 これらの莫大な利用者に対して、広告を表示する。その広告主から得る広告収入と、オークション利用などで得る手数料収入などが収益の大きな柱となっている。
専業vs総合
買収と提携が加速
 じつは、ヤフーがソーシャル系サービスに本腰を入れてこなかったのには訳がある。
 SNSなどでは個人がそれぞれ情報発信するから、個人や企業に対していっせいに非難の声が上がる、いわゆる炎上も起きる可能性がある。
 そういう場に、企業は「広告を出しにくい」と考えている。つまり、大黒柱である広告収入が減少してしまう可能性があるのだ。
 もっとも、出遅れたのは広告主を気にしただけではないと口さがないライバル企業は言うかもしれない。大きくなり過ぎたがゆえの動きの鈍さだ。
 ヤフーは数百のサービスを抱えるが、それぞれに専業のライバルがいる。たとえば、ショッピングのライバルは、楽天になる。検索ならグーグル、ソーシャル系ならDeNAやグリー、ミクシィなどだ。天気予報やトラベルなどにもそれぞれ専業の会社がある。
 勢いのある新興企業もあれば上場を果たした大企業もある。規模はさまざまだが、共通しているのは、ある分野で専業であるということ。これらのライバルと“総合百貨店型”のヤフーは戦わなければならない。
 総合力は強みでもあるが、一つ間違えれば社内のリソースが分散するという弱みにもなる。また、規模は往々にして意思決定のスピードを削ぐ。その点は井上社長も認めるところだ。
 ただ、「過去にも難しい局面はあり、新しい収益源を見つけることで、それを打開してきた」(武藤芳彦メディア事業統括本部長)。
 じつは、2000年のITバブル崩壊までは、ヤフーの収益源はバナー広告が中心だった。ところが、バブル崩壊で広告の価格にかげりが見え始め、新たな収益源を探す必要があった。
 そこで、バナー広告以外にも検索連動型広告を加えた。いまや、広告収入1413億円のうち、検索連動型などバナー以外の広告は6割以上を占める。
 加えて、それまで無料だったオークションの出品利用と落札利用の手数料を2002年に導入、各種手数料、会費からの収入は現在、753億円になっている。
 それだけに、今回も2000年当時と同じように、新たな収益源を加えることができるのかが鍵となる。
 その解となりそうな大型の提携が5月にあった。
 ヤフーとDeNAは晩夏に向けサービスを互いに提供し合うことを決めた。ヤフーはソーシャル系で出遅れているし、DeNAは携帯電話向けに強くパソコン向けに弱いので補完関係が築ける。
 ヤフーはこれまで、ニュースや動画といったコンテンツを、メディア企業から受け自身のプラットフォームで表示してきた。そこでは、広告主からの収入から一定額を胴元であるヤフーが抜き、残りをコンテンツ提供事業者間で配分していた。しかし、DeNAとはそのプラットフォーム自体を一緒につくる、つまり一緒に胴元になる提携なのだ。
「ここまで拡大すると自分たちの力だけで今までと同じペースで利用者を拡大させていくことは難しい。外部の力を借りる」(ヤフー幹部)。自前主義との決別だ。
 すでにヤフーは2007年からオープン化戦略を開始している。
 ヤフーの会員がクレジットカード情報などを登録し、ショッピング時などに簡単に決済ができる「Yahoo!ウォレット」がある。このサービスを他のインターネットショッピングを提供する企業などに開放している。
 他社は手数料をヤフーに支払う代わりに、自前の決済システムを構築する必要がなくなり、2000万人のヤフー会員を潜在顧客として獲得することができる。
 今後、投資や大型の提携も加速する。井上社長が今年は出資や買収を加速していくと明言すれば、川邊部長は「フェースブックとの提携も模索できないか考えている」とも明かす。
 なにしろ、ヤフーは現金で370億円を持っている(2009年度末)。もしかしたら、今年、ヤフーは新しい段階に入るかもしれない。



新成長戦略、外資のアジア拠点誘致
来年度から補助金や税優遇 法人税率「主要国並みに下げ」
 政府は月内に閣議決定する新成長戦略で、経済成長に貢献する21の政策を「国家戦略プロジェクト」として打ち出す。日本に外国企業のアジア本社や研究開発拠点を誘致するため税制など外資優遇策の2011年度の新設を検討。国内外企業に対する法人実効税率は現在の約40%から「主要国並みに引き下げる」と明記した。原子力発電などのインフラ輸出へ首相がトップの特別委員会の設置も盛り込んだ。 新成長戦略では「環境・エネルギー」や「健康」など7分野を柱として個別の政策と具体的な成果を例示。政策の数が約250と多いため、力を入れる21政策を選び優先順位を明確にした。
 同戦略は、日本をグローバル企業の「アジア拠点」とするため、新たな進出企業への優遇を掲げた。一定期間の法人税減免や入国手続きの簡素化、大型投資への補助金などを柱とする。進出済みの外資による研究開発拠点の新設なども優遇する方向で検討する。
 年内に優遇措置の具体策や対象となる企業の認定制度づくりに着手。11年度からの開始を目指す。これによって外国企業の対日直接投資を倍増し、雇用を現在の75万人から20年度に200万人に増やす目標も示した。
 法人実効税率について、成長戦略は「主要国並みに引き下げる」と明記した。租税特別措置など抜本的に見直し、課税ベースの拡大で財源を確保。段階的に税率を下げる。時期は明示していないが「緊急の課題」と位置付け早期実現をにじませた。閣議決定文書に明記されることで、実現する公算が大きくなった。
 インフラ輸出拡大に向けて首相をトップとする「国家戦略プロジェクト委員会」を設置し、重点分野やトップセールス手法などを議論する。大使館などに「インフラプロジェクト専門官」を指名し、案件を発掘する。



富士通と東芝、携帯事業統合で合意 10月にも新会社
 富士通と東芝は携帯電話機事業の統合で合意した。10月にも共同出資の新会社を設立、富士通が過半を出資する。携帯電話やスマートフォン(多機能携帯電話)の製造、開発、販売機能を一本化、アジアなど海外市場に本格進出する。両社の国内シェアは合計約19%で、シャープに次ぐ第2位メーカーが誕生する。
 17日に発表する。新会社は東芝の携帯電話機事業部門を切り離したうえで富士通が出資する。富士通が開発陣などを新会社に送り込み、製品開発の一体化を進める。富士通の出資比率は7~8割とみられる。
 富士通は「らくらくホン」や防水機能、指紋認証機能を持った携帯電話で強みを持つ。国内ではNTTドコモにのみ端末を供給し、シェアを拡大してきた。
 東芝はKDDI(au)向けの端末が主力。スマートフォンに強みがあり、KDDIのほかNTTドコモなどにも供給。欧州でも年間約10万台を販売している。
 富士通は国内メーカーの中でスマートフォン戦略でやや出遅れており、東芝との統合で事業強化につなげる。
 携帯電話の機能は年々高度化し、開発費は膨らんでいる。東芝は携帯電話の国内生産から撤退、海外企業に生産委託するなどコストを削減してきたが2009年度は赤字だった。富士通は黒字を確保しているが、海外攻勢をかけるためには事業基盤を強化する必要があると判断した。
 両社は09年秋にも、東芝が富士通のハードディスク駆動装置(HDD)部門を買収、関係を深めていた。



モバゲータウンに“モンスターハンター”初登場 
 カプコンと、携帯電話向けSNSサイト「モバゲータウン」を運営するDeNAは16日、累計1100万本を出荷したカプコンの人気ゲーム「モンスターハンター」シリーズの新作ソーシャルゲームを8月上旬からモバゲータウン向けに配信すると発表した。
 通称モンハンのシリーズがソーシャルゲームに登場するのは初めて。DeNAは、人気タイトルの新作で新たな会員の獲得を目指す。一方のカプコンは、会員数1900万人超にまで成長しているモバゲータウンで、モンハンの新規ユーザーを開拓したい考えだ。
 配信されるのは「モンハン日記 モバイルアイルー村」で、モンハンに出てくる猫のキャラクターを主役とした新作のスピンオフ作品。基本プレーは無料だが、アイテム課金制となる。



瀬名秀明氏ら作家8人、書き下ろし作品を電子書籍で配信
 累計150万部を発行したSFホラー小説「パラサイト・イブ」で知られる瀬名秀明氏ら作家8人が、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」など向けに、未発表の新作を集めた「電子文芸誌」を刊行する。書き下ろしの小説や評論文、エッセーを持ち寄って1冊にまとめ、350円で有料配信する。
 17日から配信する電子書籍「AiR」には、瀬名氏が約80ページの中編小説「魔法」を提供。ライトノベル作家の桜坂洋氏や脳科学に関する著作が多い前野隆司慶応大学教授らも執筆陣に加わり、すべて読み切り作品で構成した。
 ベストセラー作品を持つ作家が出版社を介さず、自ら電子書籍事業に乗り出すのは日本では珍しい。作家のほかはスタッフ3人で編集と制作、宣伝をこなし、少額投資でも電子書籍事業が成り立つかどうかを実験的に探るという。
 収益は、米アップルが徴収する手数料を除き作家とスタッフで分配。5000部以上を販売できれば「仕事量に見合った対価を払える」(作品を寄稿した著述家の堀田純司氏)。瀬名氏や桜坂氏らは紙の書籍向けの執筆活動も続け、出版社との関係も維持するという。
 iPadに加え高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」向けにも配信。7月からは掲載作品を増やし、価格も600円に改めて配信する予定。



「借りられない」ATMではや混乱 改正貸金業法、18日から完全施行
 貸金業者に対する規制を強化する改正貸金業法が18日に完全施行されるのを目前に控え、早くも借り手に混乱が広がっている。一部の消費者金融が規制対象となる顧客への融資を前倒しで中止し始めたためで、借り入れを断られて初めて制度改正に気づく顧客も多い。政府は業界に対し、激変緩和措置として顧客の当面の資金繰りを支援するよう求めているが、対応は後手に回っている。(藤沢志穂子)
 「制度改正は知っていたが、まさか自分が借りられなくなるとは…。何とかしてほしい」。大手消費者金融プロミスのコールセンターでは6月に入り、顧客からの切羽詰まった問い合わせが急増している。件数は前月比2倍の勢いだ。
 多重債務者問題への対応策として18日に完全施行される改正貸金業法は、顧客への融資を年収の3分の1以下に抑える総量規制と上限金利の引き下げが柱。高金利での過剰融資に歯止めをかける狙いがある。
 主婦は門前払い
 これを先取りし、プロミスは6月以降、総量規制に引っかかる顧客に対し現金自動預払機(ATM)での融資を中止。アコムも同様の措置を取り始めた。
 各社とも、総量規制に引っかかる恐れのある顧客に対してはできる限り事前に連絡し、理解を求めようとしてきた。ただ、消費者金融には取引を他人に知られたくない顧客が多いため郵送通知は難しく、電話で連絡のつかない例も多い。
 そんな顧客がATMで借りられなくなったことを知り、慌てて連絡してくるのだという。「ひたすらおわびするしかない」とプロミス担当者はため息をつく。
 情報調査機関の日本信用情報機構によると、消費者ローンの利用者は3月末時点で約1420万人。金融庁は、半数の約700万人には年収の3分の1超の借り入れがあるとみている。
 問題は改正法の認知度が低いことで、日本貸金業協会が4月にまとめたアンケートでは、3分の1超の借入残高がある利用者のうち総量規制を把握していた人は48・8%にとどまった。
 中でも影響が大きいのが専業主婦だ。今後は、夫の同意書や年収証明書を提出しなければ融資を受けられなくなるが、消費者金融大手のほとんどは、こうした事務手続き上のコスト負担を嫌い、専業主婦への融資自体を中止する方針だ。
 東京情報大の堂下(どうもと)浩准教授は「専業主婦が生活苦からヤミ金業者に走るのは間違いなく、すでにその傾向が出ている」と話す。
 政府の対応後手
 金融庁は11日、制度改正に伴う当面の資金繰りに困る顧客を支援するため、3カ月返済を条件に最大10万円を融資する「特定緊急貸付」を総量規制の対象外とすることを決め、消費者金融各社などに同貸付を実施するよう求めている。



メキシコ湾原油流出事故 BP、1兆8千億円拠出で合意か
 【ワシントン=渡辺浩生】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は16日(日本時間17日未明)、米南部メキシコ湾の原油流出事故を起こした英メジャー(国際石油資本)、BPが被害補償のための基金として、200億ドル(約1兆8300億円)を拠出することで米政府と合意したと報じた。
 被害補償の全額拠出を求めるオバマ米大統領とスバンバーグBP会長が16日、ホワイトハウスで会談、オバマ大統領がBP側に基金設立を求めていた。



5年で国防予算9兆円削減 米国防長官が議会証言
 ゲーツ米国防長官は16日、上院歳出委員会の小委員会で証言し、国防予算を2012会計年度(11年10月~12年9月)から5年間で総額千億ドル(約9兆1400億円)以上削減する方針を示した。既に内局や各軍に削減案の策定を求めたという。
 ゲーツ氏は「装備調達の手法を変えないといけない」と指摘。また組織運営の諸経費を大きく削減する考えを示し「国防長官の部署も含めて例外はない」と述べた。
 最新鋭戦闘機F35の代替エンジン開発費は「無駄」と重ねて強調、議会が予算計上した場合に「大統領は拒否権を発動する」とけん制した。



点検 注目材料株◇任天堂、「3DS」効果の持続性は
 16日の大阪株式市場では任天堂が商いを伴って買われた。終値は前日比5%高の2万6520円で、売買高も1552万株と前日の2倍近くに膨らんだ。米ロサンゼルスで15日(日本時間16日未明)に開幕したゲーム見本市「E3」で、新型携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を公開したことが材料視された。対ユーロでの円高一服も追い風。
 3DSは専用の眼鏡をかけなくても3次元(3D)の立体映像が見られるのが特徴だ。携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」シリーズとしては、約6年ぶりの新型機となる。
 お披露目された3DSの機能はほぼ事前の想定通りだったようだが、スクウェア・エニックスの「キングダムハーツ」やコナミの「メタルギア・ソリッド」など、人気タイトルの開発が進んでいる。ゴールドマン・サックス証券は16日付のリポートで「ソフトウェアのラインアップは想定以上に強力であり、発売直後のスタートダッシュは期待できそうである」と指摘した。
 任天堂の2011年3月期の連結純利益は前期比13%減の2000億円と、2期連続の減益見通し。06年に発売した据え置き型ゲーム機「Wii」の販売が伸び悩むほか、円高も響く。同社は欧州売上高比率が3~4割と高く、特にユーロ安が減益要因になる。足元では1ユーロ=112円台と、やや円安方向に戻したが、想定為替レート(1ユーロ=120円)とは開きがある。
 国内運用会社のファンドマネージャーは「ニンテンドー3DSの影響はわからないが、買い替えが進む期待はある。今期業績はユーロ安による下方修正リスクがあり、現状での投資判断は中立。だが、来期以降は収益回復を予想しているため、今期の悪材料が出尽くした場面では買ってもよい」と話す。
 短期的には「ここしばらくで2万6000円台を固められれば3万円を目指す展開」(中堅証券ディーラーの久米隆嗣氏)との声がある。ただ、「明日(17日)の出来高が今日(16日)の7~8割程度ならこの流れが続きそうだが、5割程度まで戻ってしまうと上昇は長続きせず、再び下落する可能性が高い」(久米氏)という。松井証券の土信田雅之マーケットアナリストは「09年のレンジ相場の上限である2万7000円に近づいているため、戻り待ちの売りに対する警戒感がある」と指摘する。
 任天堂の株価は新型ゲーム機が発売された年は、E3の後から年末にかけて上昇する傾向があるという。ニンテンドーDSが発売された04年やWiiが発売された06年がそれにあたる。今回も同様かどうかは、DSやWiiが家族でゲームを楽しむ需要を作り出したように「3DSで新たなゲーム層を開拓できるかにかかっている」
<任天堂>ニンテンドー3DS初公開 3Dカメラ内蔵、裸眼でプレー バイオ、キングダムハーツも
 任天堂は15日(米国時間)、新型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を公開した。上画面は3.5インチディスプレーで、3D表示に対応。専用メガネなどは不要で、3D映像を見ることができ、本体に付いているダイヤルで任意に3D効果を調整できる。下画面はDSと同じタッチパネルになる。
 内蔵カメラは二つを用意し、3Dカメラとして使える。また通信機能も強化し、任意のソフトを遊んでいるときも他の通信データを受信できる。
 米ロサンゼルスで行われた発表会で岩田聡社長は「3D規格は、私たちの頭の中にあった。キャラクターが立体化するだけでなく、空間の奥行きが認識でき、動き回れるようになる」と語った。「ニンテンドックス」の3D版を開発中で、さらに、カプコンの「バイオハザード」やスクウェア・エニックスの「キングダムハーツ」、コナミデジタルエンタテインメントの「メタルギアソリッド」、バンダイナムコゲームズの「リッジレーサー」なども開発中であることを明らかにした。



ソニーが「E3 2010」でプレスカンファレンスを実施、「PlayStation Move」をアピール
 マイクロソフトや任天堂に引き続いて、アメリカのロサンゼルスで開催されているゲーム業界の見本市「E3 2010」において、ソニーがプレスカンファレンスを実施した。
 モーションコントローラー「PlayStation Move」が大々的に宣伝されており、数々のタイトルがラインナップされている。
 「PlayStation Move」はヨーロッパで9月15日、北米で9月19日、日本で10月21日に発売予定。
 スポーツソフト「SPORTS CHAMPIONS」と「PlayStation Move」を同梱したPS3が399.99ドル(約3万6500円)で発売される。



「3D」技術で火花 世界最大のゲーム見本市が開幕
 【ロサンゼルス=花井悠希】世界最大規模のゲーム見本市「E3」が15日(日本時間16日未明)、米国ロサンゼルスで開幕した。任天堂やソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の3次元(3D)技術を活用したゲームが話題を集めそうだ。ゲームを楽しめる端末が多様化しているため、ソフト各社は多機能携帯電話(スマートフォン)やパソコンなど複数機種に対応する。
 任天堂の目玉は新型の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS(仮称)」。専用の眼鏡をかけずに3Dの立体画像を楽しめるのが特徴で、立体と平面の画面を切り替える機能を搭載。携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」の人気ソフトをインターネットを通じて低価格で配信する見通しだ。SCEは家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)3」向けの3D映像ゲームをネット上で配信する。
 ソフト各社は人気タイトル中心に3Dに対応するが、ゲーム機以外の端末への対応も加速する。
 スクウェア・エニックスは人気ゲーム「ファイナルファンタジー(FF)14」をPS3のほかパソコン向けに提供する。セガは人気ゲーム「ソニック」シリーズの新作を米アップルの「iPhone(アイフォーン)」と多機能携帯端末「iPad」向けにも配信する予定。



携帯3社、基地局10万増設 スマートフォンで通信急増
 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの携帯電話3社は2010年度に基地局を大幅増設する。3社の基地局は簡易型も含め前年度末比10万局増の約30万局となる。スマートフォン(多機能携帯電話)の普及で通信量が急増。一部で通信しにくくなる問題があるほか、年末にはより大容量の次世代サービスが始まる。携帯各社の顧客獲得競争はエリアの拡大から品質の向上にシフトしており、顧客の利便性向上にもつながる。
 3社はより速く安定した通信品質を目指し、基地局を増設する。NTTドコモは年度内に屋外や地下街・大規模オフィスビルにある8万局の基地局を9万局に増やす。投資額は2600億円。年末には光ファイバー並みの通信速度を持つ次世代サービス「LTE」が始まる。東京など大都市部にある約1000カ所の基地局にはLTE対応の設備も設け、他社に先行したい考えだ。
 KDDIは屋外基地局を前年度末比3割増の5万4500局にする。投資額は2300億円前後。地下街や屋内向けの小型局も同4割増の3万4300局に増やす。
 ソフトバンクは米アップルの「iPhone(アイフォーン)」投入以来、データ通信量が飛躍的に伸びている。出遅れていた基地局網の整備を急ぐため、投資額の少ない簡易型も含め年度内に全基地局数を倍の12万局とする。このうち屋外や地下街向けなどの大規模基地局は7割程度とみられる。投資額は約3200億円。
 また、3社はビルなどの影響で電波が入りにくい地域や顧客を対象に宅内用の小型アンテナを無料で貸し出すサービスも始める。
 ソフトバンクではアイフォーンに加え、多機能端末「iPad(アイパッド)」の登場でデータ通信が急増、通信しにくくなったとの声が顧客から出ている。英ソニー・エリクソンの「エクスペリア」などスマートフォンを増やしているドコモも8日に一部障害が発生した。
 基地局が増えると利用者と基地局との距離が縮まり通信が途切れにくくなる。さらに携帯電話が本来持っている最大通信速度に近い速さの通信が可能になる。
 携帯電話3社の設備投資額は減少傾向が続いてきたが、今年度は前年度比約7%増の約1兆4850億円と増加に転じる見通し。うち基地局投資は約8100億円と同1割増える。来年度はドコモとKDDIが「LTE」投資を本格化するためさらに2000億円程度増加する可能性がある。
 インターネット接続やメールの使用増加で、ドコモのデータ通信収入は今年度に音声収入を逆転する見通し。ソフトバンクは10年1~3月期に逆転した。



「革新性」で購買刺激 大ヒット乏しく 2010年上期日経MJヒット商品番付
 日本経済新聞社は2010年上期の日経MJヒット商品番付をまとめた。個人消費の伸び悩みを受けて大型ヒットは少なく、横綱は西の「3D(3次元)」のみ。東の横綱は空位となった。だがデジタル機器などで、革新性を武器に購買意欲を刺激する新製品が登場しており、今後の消費の活性化が期待される。(詳細を16日付日経MJに)
 3Dの米映画「アバター」は国内興行収入150億円を突破。今秋には邦画でも立体映像作品が公開される。4月にパナソニックが発売した3Dテレビも滑り出しが好調だ。3D対応のパソコンの発表も相次いだ。
 スマートフォン(多機能携帯電話)は、米アップル「iPhone(アイフォーン)」に続き、英ソニー・エリクソン「エクスペリア」が品薄状態に。アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」も人気が高い。電子書籍普及の契機になるともされる。
 NHK大河ドラマの主役「竜馬」の効果で高知県には観光客が急増。400億円を超える経済効果がもたらされるとの試算も。
 「LED(発光ダイオード)電球」は低価格化を背景に急速に普及が進み、4月には電球全体の販売額に占める割合が過半に達した。



新日鉄・トヨタ、鋼材値上げ1万9000円台で最終合意
上期、最高の08年度並み水準
 新日本製鉄とトヨタ自動車は2010年度上期(4~9月期)の鋼材価格を、09年度より1トン1万9千円強引き上げることで最終合意した。値上げは2年ぶりで、価格は過去最高値だった08年度と並ぶ水準になる。新価格は鉄鋼各社と大口需要家の今後の交渉の指標となる。仮に国内のすべての鋼材価格が通年で同水準上がれば、産業界全体で1兆2千億円程度の調達費用増となり、自動車や家電などのコストに影響が出るのは確実だ。
新価格は鉄鋼各社と大口需要家の交渉の指標となる(新日鉄君津の原料ヤード)
 合意した価格は1万9千円台後半。値上げ率は代表的な薄板である冷延鋼板で約25%高い1トン10万円前後となる。さび止め加工を施した鋼板など、10万円を大幅に上回る製品もある。乗用車は1台あたり1トン弱の鋼材を使っており、今回の値上げは車1台につき、2万円弱の鋼材調達費用の上昇につながる。
 一方、鉄鋼側にとっては値上げにより原料価格上昇分の8割強を自動車などへの販売価格に転嫁できる見通し。
 過去20年以上、鉄鋼大手と自動車各社は年間契約で鋼材価格を決めていた。今年度から資源大手が鉄鋼大手に対して、鉄鉱石や石炭など鉄鋼原料の価格を四半期ごとに改定する方式を要求。価格も大幅に引き上げを求めた。このため鉄鋼大手も自動車向けの値決め方式の変更を求めた。トヨタなど自動車側は生産コストが不安定になるとして改定期間の短縮に反発していた。
 4~6月期の鉄鋼の原料価格は、高品位の原料用石炭(原料炭)が09年度より55%高い1トン200ドル、鉄鉱石が約2倍の110~120ドル程度となった。交渉が長期化するにつれ、7~9月期の原料炭や鉄鉱石価格がさらに上昇する見通しとなったことから、4~9月期で一括して鋼材価格を決めることにした。
 新日鉄はトヨタに2万円強の値上げを求めていたが、販売台数が伸び悩むトヨタは値上げ幅の縮小を主張。1万9000円台後半で歩み寄った。



電機・車など、1.2兆円コスト増要因 今年度、製品価格転嫁は不透明
 鋼材価格が1トン1万9千円強上昇することで、自動車や電機大手など鋼材を使う業種にとって、2010年度は前年度比で1兆2千億円前後のコストが上積みされる。最終製品の価格競争は激しく、調達コストの上昇を製品価格に転嫁できるかどうかは不透明。産業界の収益の圧迫要因になる見通しで、一段のコスト低減を迫られる。
 10年度の国内粗鋼生産は1億トン強の見込みで、鉄鋼大手が国内向けに出荷しているのはこのうち約6割。鋼材が年間を通してこの水準で上がるとすれば、国内向けのコスト上昇は年1兆2千億円前後になる計算だ。
 今回合意したのは上半期(4~9月)の鋼材価格の上げ幅だけ。今秋から交渉が始まる下半期(10月~来年3月)にも原料価格の高騰が進めば、鋼材価格が一段と高くなり、鋼材調達コストが年度の途中で想定以上に膨らむリスクがある。収益の回復途上にある自動車大手などにとって、新たな重荷になる。
 トヨタ自動車は年間数千億円の原価改善を“お家芸”とし、09年度に2期ぶりに黒字転換を果たしたのもこのコスト削減効果が大きい。しかし鋼材値上げで、この原価改善の効果が目減りすることになる。
 実際、過去最大の鋼材値上げとなった08年度は、増減益要因としてトヨタは異例の「原価改善努力がゼロ」に陥った。
 さらに車両価格への転嫁は難しい。08年の素材上昇時にトヨタは乗用車で34年ぶりの値上げに踏み切ったが、対象は「プリウス」など一部にとどまった。
 今期は政府の新車購入補助金が9月に期限を迎えるなど販売失速が懸念されており、「この局面で車両価格を引き上げるのは、消費者に受け入れられない」(トヨタ幹部)との声が大勢だ。




欧州自動車販売、2か月連続減…トヨタも激減
 【ロンドン=是枝智】欧州自動車工業会が15日発表した欧州連合(EU)域内(キプロス、マルタを除く25か国)での5月の乗用車の新車販売台数は前年同月比9・3%減の112万9508台だった。
 2か月連続のマイナスで、減少率は拡大した。主要メーカーでは、トヨタ自動車の落ち込みが23・1%減と最も大きく、伊フィアットも前年に売り上げを伸ばした反動から22・7%減った。
 国別では、EUでは最大の自動車市場であるドイツが35%減ったほか、財政危機のギリシャでは前年同期の半分以下に落ち込んだ。



中国不動産融資「リスク高まる」 監督当局が指摘
 【北京=高橋哲史】中国銀行業監督管理委員会(銀監会)は15日発表した2009年の年報で「10年は不動産市場の不確定要因が増えるにつれ、不動産向け融資の隠れたリスクが高まる」と指摘した。政府が4月に打ち出した住宅ローン規制の影響で、不動産市場の先行きは不透明感が強まっており、銀監会は不動産向け融資の不良債権化を警戒している。
 中国の不動産市場は金融緩和の効果で09年に急回復し、同年末には金融機関の不動産向け融資残高が前年同期比38.1%増の7兆3300億元(約98兆円)に膨らんだ。
 銀監会の年報は「十分な審査をしないで個人向けの住宅ローンを出す例が急増している」などとして、不良債権化する不動産向け融資が今後増えるリスクに言及した。




スズキのインド生産、12年に日本超す 年145万台へ 年内まず2割増産
 【ニューデリー=黒沼勇史】スズキのインドの乗用車生産能力が2012年にも、日本国内を超える見通しとなった。年内に20億~40億円を投じて既存工場を効率化し、年産能力を従来の約100万台から120万台に高める。新工場が12年に稼働すれば145万台体制となり、日本の約140万台を上回る。内需が拡大する同国で最大手スズキは、強まる自動車各社の攻勢に対抗し、シェア約5割の維持を狙う。
 スズキの印子会社の中西真三社長は取材に対し「6月と12月に、塗装工程などを効率化し生産能力を120万台に引き上げる」と語った。北部ハリヤナ州のグルガオン工場とマネサール工場の設備更新に2回にわたり10億~20億円を投じる。このほか、170億ルピー(約330億円)を投資して3番目の工場となるマネサール第2工場を今年3月に着工。12年春に稼働し年産25万台を見込む。
 インドの乗用車市場全体は今後も年14%前後伸び、15年度には09年度(194万台)の2倍にあたる400万台に達すると見込まれる。



情報の独占崩れる 健全な市場経済後押し
 新興国で携帯電話が猛烈な勢いで普及し、経済や社会を根本から変え始めた。携帯で情報を得た人々は市場経済とつながり、因習や制度の縛りを超えて豊かさを求め出した。携帯がもたらす新興国の“革命”を伝える。
 インド北部パンジャブ州の小村キライ・チェランワリ村。綿花・小麦を栽培するジャグタール・シンさん(24)は、小麦に付いたアブラムシを携帯のカメラで撮影してボタンを押した。「安くて良い殺虫剤がないかを聞いたんだ」
 15分ほどで、遠く離れた町の農業専門家カマルディープ・シンさん(30)から読み慣れた地元の言葉のパンジャブ語でメールが届く。費用は1回1円前後。2009年から適切な農薬や散布量といった専門知識を携帯で得られるようになった。
 ジャグタールさんは昨年4~12月の綿花栽培時期に、農薬散布を以前の7回から4回に減らせた。同州の農業に詳しい男性は「これまで農家は州政府の役人しか知らず、その役人に紹介される小売店で高価な農薬を買わされていた」と話す。
 世界の携帯電話の累計加入件数は3月末で約48億件になったとされ、1~3月だけで1億7500万件増えた。なかでもインドなど中所得国(1人当たり国民所得が935~1万1456ドル)は08年で25億件と普及が急速に進む。携帯で新興国の人々は頻繁に情報をやり取りできるようになり、当たり前のように受け入れていた不公平な慣行の変革に挑み始めた。
 小型漁船がひしめき合うスリランカ南部ハンバントタ。漁港で漁師のニマルカさん(24)は、行き来する仲買人を気にしながらひそひそ声で語った。「携帯電話で収入が1割近く増えたんだ」
 サワラなど魚を捕ると港で待つ複数の仲買人に海上から電話し、高値で買う人を探す。08年まで漁船の燃料・器具の購入資金を借りている仲買人が求める価格で魚を渡し、その代金で借入金を返済していた。ニマルカさんは携帯で価格情報を入手、不利な取引から抜け出し収入を増やした。
 「2476」。南米ペルーで、このあて先に携帯で簡易メールを送ると、首都リマでの農産物の卸売市況が返信されてくる。08年に農務省が始めたサービスだ。市場価格がわかれば、農民は仲買人に農産物を買いたたかれるのを防げ、より値段の高い作物を栽培して売ることもできる。
 市場の価格決定メカニズムは、売り手と買い手が等しく情報を入手できるという「情報の対称性」が前提だ。だが新興国では一部の富裕層が情報を独占し、情報を持たない庶民は経済的に不利な立場に甘んじてきた。情報格差が貧困層の階層を固定化し、テロや犯罪など社会不安を招く悪循環にも陥っていた。
 そんな情報格差の構造に簡便で安価な携帯の普及が風穴を開けつつある。携帯は情報を一般庶民に開放し、健全な市場経済を新興国全体に広げていくのかもしれない。市場経済が回り出し、中間層が育てば貧富の差に起因する対立も和らぐ。携帯は新興国の安定した成長に欠かせないツールとなった。



日銀新融資 成長力強化につなげる工夫を(6月16日付・読売社説)
 景気は明るさを増してきたが、その先の経済成長への展望は見えてこない。日銀が成長基盤の強化を後押しする新融資制度を導入するのは、こうした危機感の表れだろう。
 新制度は、環境・エネルギー、医療・介護など、日本経済の成長力を高めると期待される分野が対象である。
 こうした分野への融資を希望する民間銀行に対して、日銀が低利融資することで貸し出しを促し、成長産業の育成を支援する仕組みだ。金利が年0・1%、期間は最長4年で、資金枠は総額3兆円を用意する。
 「通貨の番人」である日銀が、特定の産業分野を対象に政策を発動するのは異例だが、民間企業の成長力を高め、閉塞(へいそく)感の打破を目指す意欲は歓迎したい。
 輸出の回復などで企業業績は上向いてきたが、内需は大幅に不足し、慢性のデフレが続いている。企業が、設備投資を積極化できる環境とはいえない。これでは、次世代の日本経済を引っ張る成長産業も育ちにくい。
 日銀の新融資が「呼び水」となって、戦略的な民間投資に火がつくよう期待したい。
 ただし、効果には疑問の声もある。日銀が金融機関に好条件で融資することが、民間の融資や設備投資を、どの程度刺激するのか、未知数だからだ。
 また日銀は民間銀行の融資方針などは確認するが、個別の企業や事業の是非を判断しないという。資金が本当に有効活用されるかどうか、日銀は融資先の銀行と十分に意見交換する必要があろう。
 菅政権は「強い経済」の実現を掲げ、近く成長戦略の具体策をまとめる。環境・エネルギーといった政府の重点分野は、日銀の新融資とも重なる部分が多い。
 政府・日銀の足並みがうまくそろえば、成長強化策の実効性が、一段と高まるかもしれない。
 とはいえ、物価が下がるデフレが続いたままでは、成長強化の取り組みも、思い通りの効果は望めないだろう。
 菅首相は財務相時代からデフレ脱却のため、日銀に追加金融緩和を何度も求めてきた。だが日銀は、今年3月を最後に、追加策を出していない。
 日銀の新融資制度は、政府などの追加緩和圧力をかわすためではないかと見る向きもある。
 これでは、成長への期待も盛り上がらないだろう。日銀は、量的緩和策の拡充などで、デフレ克服の強い決意を示してほしい。
任天堂の3DSはPSP、Wii超える高性能の可能性-市場の見方
 ゲーム機世界最大手任天堂が今期の発売を予定している3D(3次元)対応の新携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS(仮称)」は、同社の据置型ゲーム機Wiiやライバルであるソニーのプレイステーション・ポータブル(PSP)をしのぐ高性能ハードになる可能性がある。
  任天堂は、ロサンゼルスで15日から開催されるゲームコンファレンス「E3」で3DSを発表する。いまのところ、裸眼で3D映像によるゲームが楽しめるというほかは、ほとんど詳しいことは分かっていないが、E3での発表の中で詳細が明らかになる見通しだ。
  複数のアナリストは、3DSの高い性能を予想している。エース経済研究所の安田秀樹アナリストは、使われる液晶パネルの解像度の高さに注目。その点から「単純に考えると、PSPやWiiを上回る高性能のゲーム機になるということになる」と分析した。BNPパリバ証券の上出浩史アナリストも3DSはテクノロジーなどで大きな進歩とみられるだろうと、している。
  任天堂の業績は、前期(2010年3月期)は携帯型ゲーム機「DS」販売減や「Wii」値下げなどが響き、前の期比18%減の2286億円と6期ぶり減益。今期連結純利益も2000億円と2期連続減益を予想する。そうした中で3DSは巻き返しの材料で、米国任天堂のレジー・フィセメ社長は4月、インタビューで「当社にとって新製品ニンテンドー3DSは次の携帯プラットフォームとなる」と語っている。
  「DS」発売以来最大の新製品となる3DSについて、安田氏はパネルメーカーへの取材などから「シャープと日立製作所の製品が使われるのではないか」とみている。シャープの発表資料によると、3D対応の液晶ディスプレイの画素数は480x854ドットで、同じ携帯型ゲーム機のPSP(272x480)、据え置き型のWii(720x480) と比べ「非常に解像度が高い」という。
  同氏によると、「これだけのグラフィックを処理しようとすれば、相当速いCPUや高性能の半導体を搭載しないと動かせない」。これが高性能と予想する理由だ。
  BNPパリバの上出浩史氏は5月13日付の英文リポートで、従来の任天堂のゲーム機について、革新的でかつとっつきやすさも兼ね備えているとしながら、「これまでは一義的にはローテクの傾向を持ち続けてきた」という。しかし、3DSは「従来の製品とは違うものになり、テクノロジーや機能という点において、大きな進歩とみなされるだろう」と予測する。
  具体的には画像処理能力の向上のほか、コントローラーの傾き検知や振動センサー、インターネットへの常時接続などの新たな機能が搭載される可能性があると指摘。電話やGPS(全地球測位システム)機能は搭載されないだろうとした。推測の根拠は述べていない。
予想外の驚き
  野村証券の桜井雄太アナリストは、「任天堂側から情報がまったく出てこないこともあり、どんなゲーム機か発表前に予測することは難しい」。ソフトのダウンロードなどを容易にするインターネットへの常時接続機能の搭載については、「通信にかかるお金を誰が負担するのかということだ」と懐疑的な見方を示した。
  E3の現地で実機を確かめるという桜井氏は「これまでも誰も予想だにしない発表をしてきた会社。今回も予想外の驚きがあるに違いないというポジティブな期待をもって見守っている」と話した。
ソニーは劣後に追い込まれる
  エース経済研究所の安田氏によると、任天堂は04年発売(国内)のニンテンドーDSや06年発売(同)のWiiの成功で、ソニーとの比較のうえで「『高機能を追わない』というイメージがついてしまったが、それ以前はゲームキューブやファミコンまでさかのぼってもハードの性能は非常に高かった」と指摘。任天堂が携帯型ゲーム機で再び高機能路線に回帰した場合、ライバルのソニーは「劣後に追い込まれることになる」と安田氏は話す。
  その理由としてソニーのPSPは従来、シンプルなゲームが多いDSとのすみわけができていたが、高機能という同じ土俵で戦った場合、ポケットモンスターなど人気の高いコンテンツを保有する任天堂が有利になるからだという。「ソニーには任天堂のようなワールドワイドで売れるコンテンツがない。そうなるとソニーは自ら戦う土俵を変えてくるのでないか」と話す。
  携帯電話端末「iPhone(アイフォーン)」向けのゲームアプリなどで攻勢を強めるアップルに関しては、ソフトの販売方式が違い、商品単価も任天堂の方が高いことから現時点では「競合しないと思っている」と話し、「結局、携帯ゲーム機市場において、任天堂の圧倒的有利は今後も変わらないだろう」と



米Twitter、「Twitter Places」発表~場所ごとのツイートが一覧可能に
 米Twitterは14日、新機能「Twitter Places」を発表した。
 Twitter Placesは現在、「twitter.com」と「mobile.twitter.com」で利用でき、来週にかけて世界65か国で利用できるようになるとしている。
 新機能は、ツイート時にタグを付けてツイートすることによって、その場所の「Twitter Place」を作成できるというもの。作成されたTwitter Placeで、他のツイートの一覧表示も可能だ。また、Twitter Placeでツイートされれば、当該地点を示すTwitter Placeのリンクが表示されるようになる。



ツイッターCTO「オープン性が成功の条件」 ICTサミット
 情報通信分野の技術動向や将来像を探る「世界ICT(情報通信技術)サミット2010」(日本経済新聞社・総務省主催)は15日、2日目に入り、ネットワーク経由でソフトや情報サービスを利用する「クラウドコンピューティング」の普及を背景に「クラウドが変える情報社会」について講演を行った。
 携帯電話などから手軽にメッセージを発信、利用者の反応をすぐに確かめられる「ツイッター」を提供する米ツイッターのグレッグ・パス最高技術責任者(CTO)は「オープンなシステムで、リアルタイム情報をいつでもどこでも利用できるようにしたのが成功の条件」と語った。「他の開発者による16万の関連機能(アプリケーション)がツイッター上で動いている」という。
 一日6500万件の「ツイート(つぶやき)」のうち、日本での発信が12%に上ることも明らかにした。
 NTTデータの山下徹社長は各地の自治体のクラウドをつなげれば、引っ越しの際の住所変更などの手続きが非常に容易になることを例に挙げ、「クラウドをつなげることで、多様なサービスを提供することができる」と将来像を予測。
 「クラウドはプラグを差し込むだけで電気が使える電力サービスに例えられることが多いが、次のクラウドはチャンネルをひねるだけで様々なサービスを受けられるテレビのようになる」と強調した。
 両氏の基調講演に続くパネル討論に先立ち、村上憲郎・グーグル日本法人名誉会長は「クラウドは最も低コストのコンピューティング手法だが、データセンターの冷却など電力コスト削減が最大の課題」と指摘。「次世代送電網(スマートグリッド)や、太陽光や風力などの利用が必要になってくる」と展望した。



iPhone 4の白は「入荷未定」と孫社長
 iPhone 4の予約受け付けが、6月15日午後5時からスタートする。黒と白の2モデルあり、15日から予約できるのは黒のみ。白は「入荷未定」という。
 ソフトバンクモバイルの孫正義社長が14日夜Twitterで、「しばらく白の品不足です」とつぶやき、翌15日朝、それを訂正する形で、「白は品不足ではなく、入荷時期未定です。申し訳ありません」とツイートした。
 白についてソフトバンクモバイルはニュースリリースで「できる限り早く準備します」としている。「米国では白は夏後半の発売」と伝える米メディアもある。
 iPhone 4は従来より24%薄いという厚さ9.3ミリ。背面に500万画素カメラを搭載し、720p/30fpsのHD動画の撮影が可能だ。マルチタスクなどに対応した新OS「iOS 4」を搭載する。



【W杯】カメルーン戦後半視聴率は45・2% 瞬間最高49・1%
 W杯南アフリカ大会で、日本がカメルーンを1-0で下した試合を生中継した14日のNHK総合の番組平均世帯視聴率は、第1部(午後10時50分~)が関東地区で44・7%、関西地区で38・3%、第2部(午後11時48分~)が関東地区で45・2%、関西地区で41・7%だったことが15日、ビデオリサーチの調べで分かった。
 同社によると、瞬間最高視聴率は、後半終了間際に49・1%に達した。番組平均視聴率が40%を超えたのは今年初めて。



【本屋が危ない 電子書籍元年】紙と両方売る強みで反攻へ
 ■試読・購入サイトにつながるデジタルサイネージ
 「iPad(アイパッド)」の国内販売が始まった5月28日。東京・神宮前の発売セレモニーの1時間後、都内の「有隣堂アトレ恵比寿店」では、電子書籍を紹介するデジタルサイネージ(電子看板)のお披露目が行われていた。
 非接触IC技術「FeliCa(フェリカ)」が使われ、対応の携帯電話をかざすと、電子書籍販売サイト「Booker’s(ブッカーズ)」で電子書籍の試し読みや購入ができる。ブッカーズは、都内約600の書店が加盟する東京都書店商業組合などが運営。サイト内の電子書籍はiPad未対応だが、電子雑誌10誌については6月からiPadやiPhone(アイフォーン)などで買えるようになっている。
 紙の本を扱う書店が、電子書籍に対応するための組織的な取り組みで、今後実験的に都内4店舗に順次設置していくという。組合の小橋琢己常務理事は「リアル書店と連動して、デジタルコンテンツ(創作物)を販売していく取り組み。書店には、電子書籍の成長で、紙の本が売れなくなるのではないかという危機感がある」。組合理事長で、創業120周年を迎えた東京堂書店(東京・神田神保町)の大橋信夫社長も「売れる新刊が電子書籍で出始めたら、書店はますます圧迫される」と懸念を口にする。
                   ◇ 
 電子書籍が紙の本を上回る日は近い将来くるのか。市場規模を調査している「インプレスR&D」によると、規模は平成18年度の182億円から20年度は464億円に拡大。21年度は500億円を上回ると予測されているが、まだ出版市場全体の2・5%程度にすぎず、急速なシェア拡大を疑問視する人もいる。
 しかし、持ち運びや保管の面でかさばる紙の本よりも、電子書籍を熱望する声があるのも事実だ。iPadの発売初日、セレモニー会場周辺などで聞いてみた。実家が書店という都内の会社員(24)は「本屋の悩みは分かるが、便利だから電子書籍には伸びていってもらいたい」と本音を隠さない。
 日本縦断の旅で3カ月も歩いているというスウェーデン人のヨセフ・ニールセンさん(22)は、荷物を軽くするため持ってきた本2冊のうち1冊を処分した。「もう1冊も読んだら捨てる。長旅にはきっと電子書籍が便利だね」と大きなリュックを背負いなおした。
                   ◇
 デジタルサイネージ以外にも、書店に客を向かわせる取り組みは進んでいる。書店に並ぶコミックは、大半がビニールでカバーされ、不自由を感じている読者は多いだろう。
 日本書店商業組合連合会(日書連)では、店頭でコミックの試し読みができるシステム「ためほんくん」の先行稼働を4月から東京や鳥取などの13店舗で始めた。タッチパネルの液晶モニターで検索画面から作品の選択ができる。「コミックの中身を確認したい」という客の声に答えた取り組みだ。昨年から実証実験を行ったところ売り上げアップにつながった。
 運用前後の売り上げ比較データによると、ある店舗では、少女漫画「赤髪の白雪姫」(白泉社)は運用前28日間で1冊しか売れなかったが、運用後は28日間で8冊に急増。ほかの作品もほぼ倍増の結果が出たという。日書連の大川哲夫事務局長は「この端末を通じて書店に人が来る機会をつくっていきたい」と本格稼働に向けて準備を進める。
 世界では、iPadが発売約2カ月で200万台を突破し、500万冊以上の電子書籍(無料も含む)がダウンロードされたという。「電子書籍の波は大きいが、最初からあきらめないで、自分たちの側に引き込んでいく。本屋は売り場があって、紙と電子の両方を販売できるのが強み。客に選んでもらえるような方法を探っていきたい」(小橋常務理事)。電子書籍時代の幕開けとともに、書店の反攻が始まった。





日立、3年間で海外調達率50%に上昇へ 生産コストのカット目指す
 日立製作所は15日、平成24年度までに主要製品の生産コストを30~40%低減させる目標に向け、部品などの海外調達率を21年度の25%から一気に50%に引き上げる方針を発表した。コスト競争力を高め、海外展開を強化する。
 30~40%のコスト低減目標を掲げたのは、韓国や中国の企業が海外での原子力発電所建設や鉄道建設プロジェクトに参画し、強力な価格競争力を示し始めたためだ。
 江幡誠執行役常務は同日の調達戦略説明会で「これまではどれだけ下げられるかを考えてコスト削減目標を立てていたが、今回はグローバル競争に勝てる削減目標をまず立てた」と、大胆な目標となった理由を説明。原発や火力発電、鉄道車両でも「30%はコスト削減しないと競争に勝てない」と述べた。
 21年度は約9兆円の連結売上高のうち、生産材の調達高は4兆6千億円。うち25%の1兆1500億円が海外生産における現地での部品調達や工事発注、国内生産における海外からの部品調達分だった。
 このグローバル調達率を22年度に35%、24年度に50%に高める。調達額は22年度が1兆6千億円、24年度は3兆円に上る。
 急増が見込まれる調達先は中国やアジアが中心。日本国内での調達は必然的に減少が見込まれる。主要調達先130社に対しては14日に説明会を開き、コスト削減目標達成に向けた協力を求めた。



難民・避難民4330万人 90年代半ば以来最悪と国連
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は15日、武力紛争などで家を追われた難民、国内避難民の総数が2009年末時点で4330万人と、1990年代半ば以降で最多の水準に達したとする09年版の難民状況まとめを発表した。
 国外に逃れた「難民」は1520万人と前年比横ばいだったが、ソマリア、パキスタンなどの情勢悪化で国境を越えない「国内避難民」が4%増の2710万人と過去最多になったのが最大の要因。難民認定を待つ人も約100万人に増え、09年に自発的な本国帰還を果たした難民が25万1千人と90年以来で最低にとどまったのも響いた。
 パキスタンでは北西部の治安悪化で国内避難民が約190万人に急増。一方で同国は、アフガニスタンからの大量流入で174万人の難民を抱える世界最大の受け入れ国ともなっている。



BPに数十億ドルの基金設立を要求 原油流出補償で米政府
 バートン米大統領副報道官は14日、記者団に対し、メキシコ湾で続く原油流出事故の被害者に対する補償資金として、米政府が英BP社に巨額の基金設立を求め交渉していると明らかにした。バートン氏は詳しい額には触れず「何十億ドルもの」規模になる見通しを示した。
 米議会民主党指導部はBPに対し、200億ドル(約1兆8千億円)の基金を要求する書簡を送付したとしている。基金は預託を受けた第三者機関が管理。米メディアによると、個別の補償請求に対する判断の権限をBPから奪う狙いもある。
 オバマ大統領は同日、4度目の現地視察のため南部ミシシッピ、アラバマ、フロリダの各州を訪問。記者団に対し、16日に予定されるBP社幹部らとの会談までに「(漁業者ら被害者の補償請求が)公平、公正かつ速やかに取り扱われる仕組み」の実現にめどをつけると語った。



iPad大人気の裏側で始まるか コンテンツ制作者のアップル離れ
 アップルのiPadが発売された2010年5月28日。東京都内の販売店には数百人が列をなし、お祭り騒ぎとなった。
 ところが、皮肉にもアプリケーション開発会社やゲーム会社、出版社などのコンテンツ制作会社はライバル端末に期待を寄せ始めている。グーグルのOS「アンドロイド」を搭載する携帯電話だ。
 出版社やゲーム会社がiPhoneやiPad向けコンテンツをアップルの用意する「App Store」で販売する場合、その中身について事前にアップルによる審査を受けなければならない。
 そして現在、この審査に通らないコンテンツが続出している。iPhone向けに電子書籍を提供してきた廣済堂は、最近、すべてを審査で拒否された。
 また、審査を通ったものでもアップルの意向で、突如販売を停止させられたケースは電子書籍に限らず、あらゆるジャンルで、世界中で起きている。しかも厄介なことに審査に通らなかった理由が明確に示されないことが多い。
 一方、グーグルの姿勢はまったく異なる。アンドロイド携帯向けのコンテンツ販売の仕組みには「アンドロイドマーケット」があるが、審査はなく「なんでもありの状態」(アプリ開発業者)。
 日本ではまだまだアンドロイド携帯はごく一部だが、米国では10年1~3月期の販売シェアで、アンドロイド携帯がiPhoneを初めて抜いた。ほぼすべての大手携帯電話メーカーが採用しており、今後拡大することは間違いない。
 iPhone向けアプリで売り上げ上位を獲得したあるアプリ開発業者も「これからはアンドロイド向けに力を入れる」と明かす。
 アップルの端末向けビジネスを続けるために、審査を必要としない方式を模索する動きもある。たとえば、電子書籍の場合では読者にビューワーのみをApp Storeでダウンロードしてもらい、書籍自体は自社サイトなどで販売する方式だ。
 とはいっても、この方式もアップルが問題視すれば、規制対象となる可能性もある。
 iPhoneやiPad向けのコンテンツビジネスは発展途上にあるため、アップルも手探りで進めている部分があるのだろう。しかし、明確な審査基準を示さないうえに、一方的に削除を通知してくることもあるとなると、ビジネスの場としてはリスクが大きく、利用者の立場から見ても不都合が大きい。
 新しい市場を立ち上げていくには、コンテンツホルダーとプラットフォーム業者のあいだの信頼関係は不可欠と思われるのだが……。
ソフトバンク、アジアでゲーム配信 米VBと提携
 【ロサンゼルス=花井悠希】ソフトバンクは米国のゲーム開発会社、ジンガ(カリフォルニア州)と資本・業務提携した。同社が6月初めに実施した第三者割当増資を引き受け、約135億円を出資した。日本をはじめとするアジア市場でジンガのゲームをインターネット上で提供し、ソフトバンクが進める新興市場開拓を加速する狙いがある。
 ソフトバンクはジンガのゲームを同社の携帯電話や子会社のヤフー向けに日本語化して提供するほか、共同でアジア展開を目指す。出資比率は数%とみられる。
 ジンガは交流サイト(SNS)の会員を対象とした「ソーシャルゲーム」を開発する企業。2007年設立で、米SNS最大手のフェースブックやマイスペース、ヤフーのほか、アップルの「iPhone(アイフォーン)」などにも幅広く提供している。ジンガ製ゲームの1カ月当たりの延べ利用者数は2億3500万人以上にのぼる。
 「フェースブック」や「マイスペース」などのSNSサービスはソーシャルゲームをテコに米などで会員数を伸ばしている。日本でもミクシィやディー・エヌ・エー、グリーなどがソーシャルゲームに力を入れており、アジア地域でも成長を見込んでいる。
 ソフトバンクは「携帯インターネット」と「中国・アジア展開」を成長戦略に掲げ、ネット関連企業への出資に力を入れている。08年には中国SNS大手のオーク・パシフィック・インタラクティブ(OPI、北京市)に約100億円を出資。09年にはSNS向けソフト配信の米ロックユー、今年1月には動画配信の米ユーストリームにも出資した。
 ロックユーやユーストリームとはアジア展開に向けた合弁会社を共同でそれぞれ設立しており、ロックユーとはすでに中国や韓国、日本でサービスを展開済み。ジンガとの提携でも同様の共同事業を目指すとみられる。



【戦略分析】アジアへの橋渡しで成長目指す
 ソフトバンクは中国などアジアのネット市場開拓にあたって、米シリコンバレーの革新的なサービスや技術の導入を目指している。シリコンバレー企業の「アジア窓口」として提携を広げ、消費者をひきつける戦略だ。
 ソフトバンクは1996年のヤフー日本法人設立のように、米国の先端的なビジネスをいち早く持ち込み、日本市場で先行する「タイムマシン経営」を得意としてきた。
 一方、シリコンバレーの有力ネット大手は中国市場開拓に苦戦中。ネット検索最大手の米グーグルは、中国最大手の百度(バイドゥ)の牙城を崩せないまま、同国当局のネット検閲に反発して中国本土での検索サービス提供から撤退した。
 ネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コムや、ネット競売大手の米イーベイも欧米市場のようなシェア獲得には至っていない。中国で存在感があるのはソフトバンクが出資する中国アリババグループのネット通販大手、淘宝網(タオバオ)などだ。
 シリコンバレーのベンチャー企業にとっては、日本に拠点を持ち、中国との太いパイプがあるソフトバンクとの提携でアジア市場攻略のリスクを軽減する狙いもありそうだ。
 ソフトバンクによる米国や中国企業への出資は「金額が小さくて発表されていない案件も数多い。そのうちのいくつかが成功すればいいという考え方」(関係者)だという。だが、魅力的なビジネスをアジアに持ち込み続けるにはシリコンバレーの経営者の信頼を得ることが必要で、提携の成功率を上げることが課題になりそうだ。



mixi会員の約25%がプレイ!――「サンシャイン牧場」500万ユーザーを突破
 Rekoo Japanは、同社がSNSサイト「mixi」上で提供するオンラインゲーム「サンシャイン牧場」について、ユーザー数が500万人を突破した、と発表した。
 「サンシャイン牧場」は、植物と家畜を育てる農場シュミレーションゲームで、mixi上でつながる友達の農場を巡り、水をあげたり、虫を置いていたずらをしたり、収穫物を盗るといったコミュニケーションが図れる仕組みになっている。
 4月にmixiは会員数が2000万人を超えたと発表しており、今回「サンシャイン牧場」が達成した500万ユーザーは、その約25%に相当する。



Facebookソーシャルゲーム,ユーザー減少に歯止めがかからず。3ヶ月連続で大幅ダウン
 Facebook上のソーシャルゲームが苦戦している。
 Inside Social Gameが月次で発表しているFacebookソーシャルアプリ調査記事で,2010年3月からはじまったアクティブユーザー減少が今月も続き,3ヶ月連続となったことがわかった。一本調子で成長してきたSAP(Social Application Provider)にとって,はじめてのスランブ期となっている。
 トップ25アプリ中,なんと23アプリが減少している。Zyngaはこの中で8ゲームをランクインさせているが,全ゲームが減少しており,延べ2500万人の月間アクティブユーザーをわずか1ヶ月で失ったことになる。
 この減少は,Facebookが2010年3月初旬にアプリからのニュースフィードを制限したことに起因している。多くのアプリはそのタイミングでお知らせをメールないしSMSに切り替えたが,すべてのユーザーに普及しているわけではなく,その効果は限定的と言えそうだ。もう2ヶ月ほどデータを遡ってみよう。
 つまり,2010年3月には25アプリ中14アプリが,2010年4月には18アプリが,そして2010年5月には25アプリ中23アプリが前月比でアクティブユーザーを失っており,しかもそれらは歯止めがかかるどころか加速しつつあるように見える。
 最強ソーシャルゲームFramVilleだけ見ても,2010年2月には8300万人が3ヶ月後には7066万人と,3ヶ月で15%以上を喪失したことになる。
 Zyngaは最近,活発に業務提携をすすめており,iPhone,iPad上でのFarmVilleもスタートすると発表した。それらの背景には,このような背に腹は変えられない経営状況がある。Faccebook上の主要プレイヤーが,アジア,特に先行している日本に目をつけはじめているのも必然の流れと言えるだろう。



米マイクロソフト、身ぶり手ぶりでゲーム 「キネクト」
 【ロサンゼルス=岡田信行】米マイクロソフト(MS)は14日、身ぶり手ぶりでゲームを操作する新技術「キネクト」用の機器を11月4日に北米で発売すると発表した。同社のゲーム機「Xbox360」向けで日本でも年内に発売する。価格は日米ともに未定。MSはキネクトを直接つなげる新型Xbox360を月内に発売し、新たなゲーム市場の開拓を進める。
 キネクトは開発名「ナタル」として昨年6月にMSが発表した。センサーとカメラを組み合わせ、ユーザーの動きや音声を検知して映像に反映させる。新型Xbox360だけでなく、従来モデルとも付属アダプターを介して接続が可能。新型Xboxとセット販売するほか、個別にも販売する予定だ。
 新型Xboxは北米で14日から、日本では24日に発売。価格は北米で299ドル(約2万7400円)、日本で2万9800円となる。キネクトとのセット価格やキネクト個別の価格は未定。
 ゲーム各社は従来も体感ゲームを投入して、ゲームになじみのないユーザーを取り込んで需要を拡大を図ってきた。感覚的なコントローラーを使う任天堂「Wii(ウィー)」や、ユーザーの姿をカメラで取り込んで遊ぶソニーの「アイトーイ」などの例がある。
 MSはキネクトをゲーム以外にも幅広く応用する考え。すでにパソコン、携帯電話など様々なデジタル家電への応用を検討しており、ボタンやタッチパネルが主流だった入力技術を大きく変える可能性もありそうだ。



KDDI、携帯向けに価格比較サイト
 KDDI(au)は同社の携帯電話向けサービスで価格比較サイトを新設し、利用者が携帯から簡単に買い物ができる仕組みを整える。KDDIは成約時にインターネット通販会社から手数料を得る。携帯市場の成熟化で、通話料やデータ通信料収入の大幅な増加が見込みにくくなっており、成長の続くネット通販分野で収益を上げるのが狙いだ。
 KDDIは価格比較サイト運営のECナビ(東京・渋谷)と提携し、15日に比較サイトを開設する。KDDIの直営サイトのほか、楽天やヤフーなどネット通販約30社の計3000万点以上の商品が比較可能という。
 利用者が比較サイトを経由してネット通販会社から商品を購入した場合、通販会社が売り上げの一部をKDDIに支払う。KDDIは秋にも同サイト経由の商品購入にポイントを付与して利用を促す考えだ。
 NTTドコモなども携帯を使った通販サービスを強化している。ドコモは子会社のディーツーコミュニケーションズ(東京・港)と共同で、複数の携帯向け通販サイトの商品情報を一度に検索できるサイトを運営。ソフトバンクモバイルも携帯向け玄関サイトから、ヤフーの通販サイトに簡単に接続できるようにしている。
 通話料金の低下や定額サービスの浸透などで携帯電話の利用料金が伸び悩む一方、携帯を使ったネット通販は拡大を続けている。野村総合研究所の推計では、2009年度の携帯電話などを利用したネット通販の市場規模は1兆955億円。10年度は前年度比24.9%増の1兆3678億円に拡大する見込み。このため各社はネット通販や決済サービスなどの事業拡大を急いでいる。



米スタバ、米国内直営店で無料ネット接続提供へ
 【ニューヨーク=西邨紘子】米コーヒーチェーン大手スターバックスは14日、7月1日から米国内の直営店で無線ネット接続サービスを無料にすると発表した。これまでは2時間で約4ドルだった。既存店の集客力向上を狙う。米国の大手外食チェーンではこれまでに、米マクドナルドが店内での無線ネット接続を無料化している。
 スターバックスは米ヤフーと組んで、今秋から店内でのネット利用者向けにコンテンツ提供を始める計画も発表した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版など有料サイトも含むという。



海外で幹部候補大量採用 新興国開拓に備え
三菱重工、技術者などを800人 パナソニック、日本で2年研修  日本の大手企業が海外で現地の設計・開発や営業の幹部候補となる外国人を大量に採用する。パナソニックは採用後日本で2年間の長期研修を受けさせる。三菱重工業はアジアを中心に設計などに携わる人材を年間約800人のペースで増やす。流通企業など内需型産業を含め幅広い企業が外国人採用を増やす。国内での採用は抑制しながら、新興国市場開拓のため人材のグローバル化を急ぐ。
 三菱重工は海外のグループ会社の社員数を今後5年間で約4000人増やし、2014年度には約4割多い1万5000人体制とする。発電設備や空調機器分野を中心に、現地の技術者や製造部門の人材を採用。14年度の受注の海外比率を現在の49%から63%に高める考えで、海外生産を2倍に拡大する。一方で国内の新規採用は厳選。国内は10~14年度平均では2000人と現在の6割程度に抑える。
 日本の大手企業のこれまでの外国人採用は、製造現場やオフィスでの現地採用が中心だった。処遇や給与体系などにも本社と違いがあり、経営の戦略部門に関与する人材を定期採用するケースは少なかった。
 だが海外市場にあわせたデザインや仕様の製品開発には現地技術者の採用拡大が不可欠。ダイキン工業は年内に中国でエアコンの開発者を160人採用し、200人体制にする。日本で開発や仕様変更をしている現在の方式を見直す。
 パナソニックは来春までにグループ全体で前年度比5割増となる1100人の外国人を採用する。今年度から一部の幹部候補には日本で最長2年の研修を受けさせている。長期研修で日本の本社幹部などと社内人脈を形成したり、日本流のマネジメントを理解させる。
 同社はインドや中国で中間所得者向けのボリュームゾーン(普及価格帯)商品を投入する計画。欧米向けから新興国へと市場が広がり、現地での開発・設計を重視する。
 東洋エンジニアリングはインドで正社員の技術者などを約170人採用する。09年度の同社の海外売上高比率は約70%。グループ全体では11年春までに採用する人員の85%が外国人になる。
 外国人採用は自動車や電機が先行したが、内需型とされる産業でも急速に広がってきた。「ユニクロ」を中国や韓国などで拡大するファーストリテイリングが、来年新卒で採用する約600人の半数を外国人にする。数年後の店長候補と位置付け、大半はまず地元の店舗に配属する。



星光堂株8%トーハンが取得 共同仕入れで効率化
 出版取次大手のトーハンは14日、CD・DVD卸大手の星光堂(東京・豊島)と資本・業務提携したと発表した。トーハンが星光堂の株式約8%を取得する。取得金額は明らかにしていない。両社は共同仕入れや在庫の相互利用などを通じて業務を効率化する。
 5月31日付で提携の契約書に調印した。星光堂の2009年6月期の売上高は885億円。



攻めかかるマネー 欧州の失政、ファンドが刃
 急速に膨らんだマネーが通貨を、国家を、揺さぶっている。経済を潤すはずのお金が姿を変え、世界に新たな混沌(こんとん)を呼ぶ――。
標的は国家
 「次に死刑台に向かうのは国家だ」。昨年秋に米国で開かれた投資会議。カナダのヘッジファンド大手、スプロット・アセット・マネジメントの運用を統括するスプロット氏は、約300人の投資家を前に宣告した。
 同氏は2008年秋のリーマン・ショックを半年以上も前に予想し、多額の利益を稼ぎ出したことで知られる。痛手を被った大手銀行への公的資金投入などで損失を肩代わりした国家が、新たな「標的」となった。
 集中砲火を浴びたのはユーロだった。
 「財政破綻時のロシアや韓国を参考に、一斉にユーロ売りを仕掛けている」。欧米で情報交換するうちに、調査会社パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの宮島秀直代表はヘッジファンドの意図に気付く。1990年代のルーブルやウォンの下落幅が頻繁に話題に上ったからだ。
 計算されたユーロの下落幅は対ドルで16%。「その水準までは思い切って売れる」。ギリシャの深刻な財政危機が伝わるなか、ヘッジファンドは雪崩を打ってユーロ売りに走った。実際、年初からの下落幅はすでに15%に達している。
 国家への市場の挑戦は18年前にもあった。ヘッジファンドを率いるソロス氏が仕掛けた英ポンド売り。英中央銀行は通貨防衛に敗れた。
 ヘッジファンドの規模は当時の数十倍に膨らんでいる。運用総額は、日本の一般会計予算の1.5倍にあたる約1兆5000億ドル(約138兆円)。市場にあふれるマネーを吸収する形で04年からの4年間で2倍に増え、08年に2兆ドルに。リーマン・ショックで目減りしたが、再び資金が流れ込んでいる。
資金吸い込む
 6月8日午後、東京の六本木ヒルズに約50人の年金運用担当者が集まった。運用資産320億ドル、世界3位のヘッジファンドを率いるポールソン氏の話を聞くためだ。
 「伝統的な債券や株式投資では年金の安定給付に必要な利回りを得られない」。東京都石油業厚生年金基金は、全資産の半分近くをヘッジファンドに委ねる。平均で20%前後とされる高い運用利回り。水が低きに流れるかのように、世界の資金がヘッジファンドに吸い寄せられていく。
 高収益を求めるヘッジファンドは絶えず政策のスキを探る。通貨は1つでも財政政策は各国でバラバラという矛盾、ギリシャの財政危機で浮かんだ不協和音、不良債権の開示を怠ってきた不作為――。欧州の失政は市場に突かれ、ユーロは大きく売り込まれた。
 ユーロが6%下落するなか、ドルは3%、円は4%の上昇――。総合的な通貨の価値を表す実効為替レートで、4月以降に特に上昇が目立ったのは円。その円でさえ、安全な通貨と認められたとはいえない。
 市場を見渡せば、この間に最も多くのマネーが流れたのは「金」。上昇幅は10%を超える。無国籍通貨としての価値が再評価された形だ。5月26日には、米グリーンライト・キャピタルが、タンザニアの金鉱山を投資先に加えたと表明。市場の話題を呼んだ。
 今や市場の主役となったヘッジファンド。その名前はリスク回避(ヘッジ)に由来する。価格変動のリスクを避けながら、市場原理に沿って資金を再配分するのが役割。だが、身の丈が極端に肥大化した今、その姿はマネーの海でうごめく「怪物」とも映る。
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