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LTEの台頭で急失速したWiMAX陣営のジレンマ
米国ではここ数年、次世代無線ブロードバンドの担い手として「WiMAX」が期待されており、WiMAX広域事業者のクリアワイヤが世界最大規模のWiMAXネットワークを建設してきた。ところがそのWiMAX陣営が、携帯電話事業者などが始めたLTE(long term evolution)ネットワークの整備によって揺れ動き始めている。米政府が無線ブロードバンド整備に力を入れるなかで、混迷の色を強めている米国のWiMAXはどこに向かおうとしているのか。
米国では2年ほど前から、携帯業界第3位のスプリント・ネクステルとクリアワイヤが中心となり、WiMAX広域ネットワークの整備を進めてきた。クリアワイヤはニューヨーク市街、ロサンゼルス、ボストン、デンバー、ミネアポリス、サンフランシスコ湾岸地域、マイアミなどの主要都市でサービスを展開し、2010年第1四半期の契約数は97万1000加入となった。
当初は無線インターネットサービスが中心だったが、スプリント・ネクステルは6月にWiMAXベースの携帯端末「HTC EVO(イーボ)4G」を発売し、モバイルサービスとの融合を具体化させている。米CATV最大手のコムキャストや業界2位のタイムワーナー・ケーブル(TWC)はクリアワイヤのWiMAXサービスの再販を進め、WiMAXの宅内小型基地局(フェムトセル)も販売している。クリアワイヤは10年末までに人口カバー率1億2000万を目指している。
一方、米国の大手携帯電話事業者の多くは、第4世代(4G)の次世代無線ブロードバンドサービスで、LTEを採用しようとしている。米国で9280万加入の契約数を誇る業界トップのベライゾン・ワイヤレスは、10年末までに25都市でLTEサービスを開始する。携帯業界2位のAT&Tモビリティも11年末から12年にLTEサービスを始める計画を明らかにしている。各社とも当初はノートパソコンなど移動データ端末向けだが、13年ころには携帯電話型の端末を展開すると予想されている。
クリアワイヤとスプリント・ネクステルは当初、WiMAXの商用サービスで約3年先行し、後を追ってくるであろうLTE陣営に対して競争を優位に展開する計画だった。そのために電話、テレビ、インターネットの「トリプルプレー」サービスで電話会社と競合するCATV事業者を仲間に引き入れ、WiMAXサービスの再販を拡大した。さらに加入者を増やすことで機器メーカーにWiMAX端末の開発を促し、スマートメーター(電力遠隔検針)をはじめとする多彩な用途の開拓も進めていた。
下り方向で最大毎秒100メガビットが可能な次世代規格「WiMAX2」に早期に移行し、通信速度面でLTE陣営を突き放す戦略にも力を注いでいる。10年4月にはイスラエルのアルバリオン、米インテル、米モトローラ、韓国サムスン、中国ZTEなどのWiMAX関連メーカーが中心となり、WiMAX2を振興する団体「WiMAX2 Collaboration Initiative(WCI)」を発足させている。
全米ブロードバンド計画がLTEへの投資を促進
しかし、ここに来てWiMAX陣営に厳しいニュースが飛び交っている。まずWiMAX機器の認定や互換性検査を行う「WiMAXフォーラム」が、6月にオフィスを1カ所閉鎖した。WiMAX機器の開発を進めていた中小メーカーが急速にLTE端末に流れ、同団体がメンバーの減少に直面しているためだ。
一方WiMAX技術の支援を続けているインテルが、7月初めに台湾の「WiMAXプログラムオフィス」の閉鎖へ動いていることが明らかになった。全地域にWiMAXブロードバンド網を整備し、モデルケースとして注目を浴びてきた台湾だけに、業界内に動揺が走った。
既に述べたように、米国ではクリアワイヤがWiMAXネットワークの整備を続けており、着実に加入者を獲得してきた。では、なぜWiMAX離れが急速に始まったのだろうか。その契機となったのは、3月に発表された「全米ブロードバンド計画(National Broadband Plan=NBP)」である。
NBPではむこう10年間で500MHzもの帯域を無線ブロードバンド整備に割り当てる案が示された。米連邦通信委員会(FCC)は4月上旬に発表した「The Broadband Action Agenda」の中で、テレビ放送業界から120MHz分の周波数帯域を確保し、12年あるいは13年に競売にかける計画を公開している。6月28日には、無線ブロードバンド拡大を指示する「メモランダム」にオバマ米大統領が署名している。
米政府が無線ブロードバンドを支援する姿勢を強く打ち出したことで、米国の携帯電話業界は一斉に無線ブロードバンド投資へと動き出した。ベライゾン・ワイヤレスとAT&TモビリティはLTEへの投資を積極的に打ち出し、中堅の携帯電話事業者は政府の無線免許競売によるLTE用周波数の確保に期待を広げている。ベライゾン・ワイヤレスは地方でのLTEインフラ整備にも眼を配り、地方携帯電話事業者にLTE無線免許のサブライセンスを組み合わせたローミング契約を提案している。連邦政府の強力な支援を追い風にしたLTE陣営の動きが活発化したため、WiMAX陣営の劣勢は誰の目にも明らかになってきた。
クリアワイヤはTD-LTEに移行する算段か
ではクリアワイヤとスプリント・ネクステルはどうするのだろうか。業界内では様々な憶測が飛び交っている。
クリアワイヤは数年先にWiMAXを捨て、中国などが導入を進めているTD-LTE方式への移行を狙っているとうわさされている。もし世界最大の広域事業者であるクリアワイヤがWiMAXを捨てるのであれば、同陣営には大きな痛手となる。スプリント・ネクステルには、11年から始まる米国の電波競売で業界4位のT-モバイルUSAと共同でLTE用無線周波数の応札に走るといううわさがある。
こうした米国のWiMAXを取り巻く状況は、当然日本の無線ブロードバンド業界にも影響を与える。日本でもUQコミュニケーションズなどがWiMAXによる無線ブロードバンドサービスを始めているが、数年後に世界の大勢がLTE側に傾くなら、サービスのあり方を見直す必要に迫られるかもしれない。現在進行中の、無線ブロードバンドを視野に入れた電波再編作業にも影響が及ぶだろう。
これからの通信サービスは、複合化の時代に入る。消費者はサービスを提供する事業者に「いつでも、どこでも、好きなコンテンツを、好きな伝送路で」利用できる環境を求めており、今後もその傾向が強まる。大手通信事業者はこうした理想的な通信環境を目指すに当たって無線ブロードバンドを柱として位置づけている。今後の通信サービスを設計するうえで、WiMAXがこれまで歩んできた道のりは、どのような教訓を通信事業者に残すのだろうか。
薄型・大容量「Xbox」好調 6月ゲーム販売、売上高は6%減少
米国の6月のゲーム市場(ハード、ソフト、付属品)全体の売上高は前年同月比で6%減少し11億ドル(約960億円)にとどまった。
米市場調査会社NPDグループが15日発表したところによると、米マイクロソフトの「Xbox360」は前年同月比88%増の45万1700台。従来よりも薄型で容量の大きいハード・ドライブを搭載した機種の投入が寄与しXbox360の販売台数は年末商戦以外では2007年9月に次いで過去2番目の高水準となった。
任天堂「Wii」の販売台数は16%増の42万2500台。ソニーの「プレイステーション3(PS3)」は85%増の30万4800台。任天堂の「DS」の販売は3割強減少した。同社が裸眼で3D(3次元)映像を楽しめる「ニンテンドー3DS」を発表して購入が控えられた。同社は3DSを11年3月期末までに発売する見通し。
ゲームソフトの販売は15%減の5億3100万ドル。ソフト制作会社は7~12月(下期)まで主な新作ソフトの投入を控えているため、ヒット商品の品ぞろえが比較的少なかったのが影響した。
TOPIX、日経平均との乖離拡大 輸出企業の牽引が目立つ
国内の主要銘柄で構成する日経平均株価と東証1部全銘柄の株価水準を示す東証株価指数(TOPIX)とで数字の開きが大きくなっている。日経平均をTOPIXで割った倍率はそれまでの10倍台から11倍台に広がり、16日時点で10カ月連続で11倍台となった。日経平均が業績回復が続く輸出関連企業の値動きに敏感なのに対し、銀行、非製造業など内需関連銘柄の影響が強いTOPIXの動きが鈍いためで、輸出関連企業が日本産業を支えている構図が株価から浮かび上がる。
日経平均は自動車や電機など主要225銘柄で構成され、輸出関連の比重が大きい。一方、TOPIXは東証1部全銘柄の時価総額をもとに算出される。銀行株の他、非製造業、中堅企業の動向が影響する。
日経平均をリードする輸出関連の業績が平成20年秋のリーマン・ショック後に急回復する一方、内需関連企業は回復が遅れ、TOPIXの動きを引き留めた。16日の日経平均はリーマン・ショックの影響で乱高下する直前の水準から77%回復したが、TOPIXはこの間、71%の回復にとどまる。ただ米ダウ工業株30種平均は90%回復しており日本株の回復は弱い。
日経平均とTOPIXの拡大は、輸出産業の業績回復に連動して広がってきた。
日経平均がバブル崩壊後の最安値(7054円98銭)をつけた21年3月は両者の開きは10・02倍だった。その後、製造業を中心に回復が進み、日経平均が1万1000円に向け上昇していた今年1月には11・64倍にまで急拡大、その後11倍台で推移し、16日も11・19倍だ。
「輸出産業の好転がいずれ内需に波及し、拡大は修正される」(日興コーディアル証券の長谷川浩ストラテジスト)との意見もあるが、両者の広がりについて「国内産業が構造転換を怠ってきたツケが顕在化した」との指摘もあがっている。
内需関連企業の業績回復の遅れは深刻だ。みずほ証券リサーチ&コンサルティングによると22年3月期決算企業のうち輸出を手がける企業が多くを占める製造業の経常利益は81・0%増だったのに対して、内需中心の非製造業(金融除く)は3・0%減に落ち込んでいる。
また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると輸出などを手がける製造業の社員1人が生み出す実質GDPは1970年代から伸び続けているが、内需型企業は60年代半ばからほぼ変わらないといい、内需産業の強化が遅れている分を、輸出型産業が埋め合わせていることを裏付ける。 今後の展望について、市場関係者の間には「TOPIXはあまり上昇せず乖(かい)離(り)が続く」という声は多い。
政府はアジア戦略やインフラ輸出などを柱にした新成長戦略を閣議決定した。日本経済の停滞は、内需型産業からグローバル産業への転換が解決策になることを2つの株価指標が示している。
手のひらスパコンに道 富士通など、新材料実用化へ
丸めて持ち歩ける多機能端末や、スーパーコンピューター並みの処理能力がある省エネ携帯端末――。革新的な商品に道を開く次世代炭素材料「グラフェン」の実用化へ向け、富士通やNTT、NECが相次ぎ加工技術を開発した。グラフェンを機器の心臓部となる電子素子に応用し、微細加工が限界に迫る主力材料のシリコンではかなわない機能を引き出す。
グラフェンは炭素原子が超微細な網目状に連なったシート材料。曲げても伸ばしても破れない。シリコンに比べ電気が100倍流れやすく、超高速トランジスタの材料に有望だ。大規模集積回路(LSI)なら電力損失も従来の10分の1~100分の1になる。日米欧などが技術開発を競うが、実用的なシートが作れなかった。
富士通は厚さが原子1個分ほどに相当する0.34ナノ(ナノは10億分の1)メートルの、極めて薄いグラフェンのシートを均一に作る技術を開発した。直径20センチメートルの基板上に積むことに成功。網目構造の一部がそのまま微細な回路になり、大量のデータを高速でやり取りできる。
NTTはグラフェンの厚みを調整する手法を開発した。スパコンなどを構成する多数の基板が、極薄のグラフェンに置き換わる可能性がある。
【産経主張】国家戦略室 国づくり投げ出す格下げ
外交・安全保障や予算の骨格づくりなど、国のかたちをつかさどる機関を縮小してしまい、菅直人首相は今後、どうやって国家ビジョンを描いていくつもりなのか。
民主党政権で政策調整の司令塔と位置付けられていた国家戦略室の機能を縮小し、首相への助言機関の一つに格下げすることである。
「国家戦略局の設置」は、民主党が昨年の衆院選で示した政権構想の中でも、政治主導を実現する重要な柱だったはずだ。
うまく機能すれば、中長期的な視野に立った政策を官邸主導で展開することが期待された。
鳩山由紀夫前政権下で、戦略室が当初期待された機能を果たしていなかった問題はある。だが、統治機構に関する基本的な考え方を安易に変更してしまうこと自体が民主党主導政権の戦略のなさを露呈している。
戦略室を縮小する理由の一つは、戦略局への格上げなどを図る政治主導確立法案が先の通常国会で成立せず、衆参両院にねじれが生じた中で成立のメドが立たないことだという。
法案は、戦略局を法律的に位置付け、官房副長官を現在の3人から1人増やして局長に充てるほか局長の下に「国家戦略官」を置くことなどを盛り込んだ。だが政府・与党は通常国会での成立に全力を注いだとはいえまい。
鳩山政権発足時から、当時の藤井裕久財務相は「予算編成権はあくまでも財務省にある」と主張した。岡田克也外相は「外交・安全保障の基本は戦略局構想に入っていない」と述べていた。
戦略局の位置付けが閣内でもバラバラだったことに、問題の根幹がある。さらに、首相官邸に強力な権限を集中させられなかったことは鳩山前首相に加え、初代国家戦略担当相を務めた菅首相自身の指導力不足の責任が大きい。
戦略室は平成22年度予算の基本方針に関与したものの、その役割は十分だったとは言い難い。向こう3年間の予算の大枠となる「中期財政フレーム」や「財政運営戦略」をまとめたものの、説得力のある内容にはほど遠かった。
国家戦略の不在が政権を迷走させ、統治責任を果たせずにいる現状をよく考えてもらいたい。日本をどうするかの戦略と政策体系をまとめ、党派を超えて国益を実現することに、菅政権の歴史的使命があるのではないだろうか。
米国ではここ数年、次世代無線ブロードバンドの担い手として「WiMAX」が期待されており、WiMAX広域事業者のクリアワイヤが世界最大規模のWiMAXネットワークを建設してきた。ところがそのWiMAX陣営が、携帯電話事業者などが始めたLTE(long term evolution)ネットワークの整備によって揺れ動き始めている。米政府が無線ブロードバンド整備に力を入れるなかで、混迷の色を強めている米国のWiMAXはどこに向かおうとしているのか。
米国では2年ほど前から、携帯業界第3位のスプリント・ネクステルとクリアワイヤが中心となり、WiMAX広域ネットワークの整備を進めてきた。クリアワイヤはニューヨーク市街、ロサンゼルス、ボストン、デンバー、ミネアポリス、サンフランシスコ湾岸地域、マイアミなどの主要都市でサービスを展開し、2010年第1四半期の契約数は97万1000加入となった。
当初は無線インターネットサービスが中心だったが、スプリント・ネクステルは6月にWiMAXベースの携帯端末「HTC EVO(イーボ)4G」を発売し、モバイルサービスとの融合を具体化させている。米CATV最大手のコムキャストや業界2位のタイムワーナー・ケーブル(TWC)はクリアワイヤのWiMAXサービスの再販を進め、WiMAXの宅内小型基地局(フェムトセル)も販売している。クリアワイヤは10年末までに人口カバー率1億2000万を目指している。
一方、米国の大手携帯電話事業者の多くは、第4世代(4G)の次世代無線ブロードバンドサービスで、LTEを採用しようとしている。米国で9280万加入の契約数を誇る業界トップのベライゾン・ワイヤレスは、10年末までに25都市でLTEサービスを開始する。携帯業界2位のAT&Tモビリティも11年末から12年にLTEサービスを始める計画を明らかにしている。各社とも当初はノートパソコンなど移動データ端末向けだが、13年ころには携帯電話型の端末を展開すると予想されている。
クリアワイヤとスプリント・ネクステルは当初、WiMAXの商用サービスで約3年先行し、後を追ってくるであろうLTE陣営に対して競争を優位に展開する計画だった。そのために電話、テレビ、インターネットの「トリプルプレー」サービスで電話会社と競合するCATV事業者を仲間に引き入れ、WiMAXサービスの再販を拡大した。さらに加入者を増やすことで機器メーカーにWiMAX端末の開発を促し、スマートメーター(電力遠隔検針)をはじめとする多彩な用途の開拓も進めていた。
下り方向で最大毎秒100メガビットが可能な次世代規格「WiMAX2」に早期に移行し、通信速度面でLTE陣営を突き放す戦略にも力を注いでいる。10年4月にはイスラエルのアルバリオン、米インテル、米モトローラ、韓国サムスン、中国ZTEなどのWiMAX関連メーカーが中心となり、WiMAX2を振興する団体「WiMAX2 Collaboration Initiative(WCI)」を発足させている。
全米ブロードバンド計画がLTEへの投資を促進
しかし、ここに来てWiMAX陣営に厳しいニュースが飛び交っている。まずWiMAX機器の認定や互換性検査を行う「WiMAXフォーラム」が、6月にオフィスを1カ所閉鎖した。WiMAX機器の開発を進めていた中小メーカーが急速にLTE端末に流れ、同団体がメンバーの減少に直面しているためだ。
一方WiMAX技術の支援を続けているインテルが、7月初めに台湾の「WiMAXプログラムオフィス」の閉鎖へ動いていることが明らかになった。全地域にWiMAXブロードバンド網を整備し、モデルケースとして注目を浴びてきた台湾だけに、業界内に動揺が走った。
既に述べたように、米国ではクリアワイヤがWiMAXネットワークの整備を続けており、着実に加入者を獲得してきた。では、なぜWiMAX離れが急速に始まったのだろうか。その契機となったのは、3月に発表された「全米ブロードバンド計画(National Broadband Plan=NBP)」である。
NBPではむこう10年間で500MHzもの帯域を無線ブロードバンド整備に割り当てる案が示された。米連邦通信委員会(FCC)は4月上旬に発表した「The Broadband Action Agenda」の中で、テレビ放送業界から120MHz分の周波数帯域を確保し、12年あるいは13年に競売にかける計画を公開している。6月28日には、無線ブロードバンド拡大を指示する「メモランダム」にオバマ米大統領が署名している。
米政府が無線ブロードバンドを支援する姿勢を強く打ち出したことで、米国の携帯電話業界は一斉に無線ブロードバンド投資へと動き出した。ベライゾン・ワイヤレスとAT&TモビリティはLTEへの投資を積極的に打ち出し、中堅の携帯電話事業者は政府の無線免許競売によるLTE用周波数の確保に期待を広げている。ベライゾン・ワイヤレスは地方でのLTEインフラ整備にも眼を配り、地方携帯電話事業者にLTE無線免許のサブライセンスを組み合わせたローミング契約を提案している。連邦政府の強力な支援を追い風にしたLTE陣営の動きが活発化したため、WiMAX陣営の劣勢は誰の目にも明らかになってきた。
クリアワイヤはTD-LTEに移行する算段か
ではクリアワイヤとスプリント・ネクステルはどうするのだろうか。業界内では様々な憶測が飛び交っている。
クリアワイヤは数年先にWiMAXを捨て、中国などが導入を進めているTD-LTE方式への移行を狙っているとうわさされている。もし世界最大の広域事業者であるクリアワイヤがWiMAXを捨てるのであれば、同陣営には大きな痛手となる。スプリント・ネクステルには、11年から始まる米国の電波競売で業界4位のT-モバイルUSAと共同でLTE用無線周波数の応札に走るといううわさがある。
こうした米国のWiMAXを取り巻く状況は、当然日本の無線ブロードバンド業界にも影響を与える。日本でもUQコミュニケーションズなどがWiMAXによる無線ブロードバンドサービスを始めているが、数年後に世界の大勢がLTE側に傾くなら、サービスのあり方を見直す必要に迫られるかもしれない。現在進行中の、無線ブロードバンドを視野に入れた電波再編作業にも影響が及ぶだろう。
これからの通信サービスは、複合化の時代に入る。消費者はサービスを提供する事業者に「いつでも、どこでも、好きなコンテンツを、好きな伝送路で」利用できる環境を求めており、今後もその傾向が強まる。大手通信事業者はこうした理想的な通信環境を目指すに当たって無線ブロードバンドを柱として位置づけている。今後の通信サービスを設計するうえで、WiMAXがこれまで歩んできた道のりは、どのような教訓を通信事業者に残すのだろうか。
薄型・大容量「Xbox」好調 6月ゲーム販売、売上高は6%減少
米国の6月のゲーム市場(ハード、ソフト、付属品)全体の売上高は前年同月比で6%減少し11億ドル(約960億円)にとどまった。
米市場調査会社NPDグループが15日発表したところによると、米マイクロソフトの「Xbox360」は前年同月比88%増の45万1700台。従来よりも薄型で容量の大きいハード・ドライブを搭載した機種の投入が寄与しXbox360の販売台数は年末商戦以外では2007年9月に次いで過去2番目の高水準となった。
任天堂「Wii」の販売台数は16%増の42万2500台。ソニーの「プレイステーション3(PS3)」は85%増の30万4800台。任天堂の「DS」の販売は3割強減少した。同社が裸眼で3D(3次元)映像を楽しめる「ニンテンドー3DS」を発表して購入が控えられた。同社は3DSを11年3月期末までに発売する見通し。
ゲームソフトの販売は15%減の5億3100万ドル。ソフト制作会社は7~12月(下期)まで主な新作ソフトの投入を控えているため、ヒット商品の品ぞろえが比較的少なかったのが影響した。
TOPIX、日経平均との乖離拡大 輸出企業の牽引が目立つ
国内の主要銘柄で構成する日経平均株価と東証1部全銘柄の株価水準を示す東証株価指数(TOPIX)とで数字の開きが大きくなっている。日経平均をTOPIXで割った倍率はそれまでの10倍台から11倍台に広がり、16日時点で10カ月連続で11倍台となった。日経平均が業績回復が続く輸出関連企業の値動きに敏感なのに対し、銀行、非製造業など内需関連銘柄の影響が強いTOPIXの動きが鈍いためで、輸出関連企業が日本産業を支えている構図が株価から浮かび上がる。
日経平均は自動車や電機など主要225銘柄で構成され、輸出関連の比重が大きい。一方、TOPIXは東証1部全銘柄の時価総額をもとに算出される。銀行株の他、非製造業、中堅企業の動向が影響する。
日経平均をリードする輸出関連の業績が平成20年秋のリーマン・ショック後に急回復する一方、内需関連企業は回復が遅れ、TOPIXの動きを引き留めた。16日の日経平均はリーマン・ショックの影響で乱高下する直前の水準から77%回復したが、TOPIXはこの間、71%の回復にとどまる。ただ米ダウ工業株30種平均は90%回復しており日本株の回復は弱い。
日経平均とTOPIXの拡大は、輸出産業の業績回復に連動して広がってきた。
日経平均がバブル崩壊後の最安値(7054円98銭)をつけた21年3月は両者の開きは10・02倍だった。その後、製造業を中心に回復が進み、日経平均が1万1000円に向け上昇していた今年1月には11・64倍にまで急拡大、その後11倍台で推移し、16日も11・19倍だ。
「輸出産業の好転がいずれ内需に波及し、拡大は修正される」(日興コーディアル証券の長谷川浩ストラテジスト)との意見もあるが、両者の広がりについて「国内産業が構造転換を怠ってきたツケが顕在化した」との指摘もあがっている。
内需関連企業の業績回復の遅れは深刻だ。みずほ証券リサーチ&コンサルティングによると22年3月期決算企業のうち輸出を手がける企業が多くを占める製造業の経常利益は81・0%増だったのに対して、内需中心の非製造業(金融除く)は3・0%減に落ち込んでいる。
また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると輸出などを手がける製造業の社員1人が生み出す実質GDPは1970年代から伸び続けているが、内需型企業は60年代半ばからほぼ変わらないといい、内需産業の強化が遅れている分を、輸出型産業が埋め合わせていることを裏付ける。 今後の展望について、市場関係者の間には「TOPIXはあまり上昇せず乖(かい)離(り)が続く」という声は多い。
政府はアジア戦略やインフラ輸出などを柱にした新成長戦略を閣議決定した。日本経済の停滞は、内需型産業からグローバル産業への転換が解決策になることを2つの株価指標が示している。
手のひらスパコンに道 富士通など、新材料実用化へ
丸めて持ち歩ける多機能端末や、スーパーコンピューター並みの処理能力がある省エネ携帯端末――。革新的な商品に道を開く次世代炭素材料「グラフェン」の実用化へ向け、富士通やNTT、NECが相次ぎ加工技術を開発した。グラフェンを機器の心臓部となる電子素子に応用し、微細加工が限界に迫る主力材料のシリコンではかなわない機能を引き出す。
グラフェンは炭素原子が超微細な網目状に連なったシート材料。曲げても伸ばしても破れない。シリコンに比べ電気が100倍流れやすく、超高速トランジスタの材料に有望だ。大規模集積回路(LSI)なら電力損失も従来の10分の1~100分の1になる。日米欧などが技術開発を競うが、実用的なシートが作れなかった。
富士通は厚さが原子1個分ほどに相当する0.34ナノ(ナノは10億分の1)メートルの、極めて薄いグラフェンのシートを均一に作る技術を開発した。直径20センチメートルの基板上に積むことに成功。網目構造の一部がそのまま微細な回路になり、大量のデータを高速でやり取りできる。
NTTはグラフェンの厚みを調整する手法を開発した。スパコンなどを構成する多数の基板が、極薄のグラフェンに置き換わる可能性がある。
【産経主張】国家戦略室 国づくり投げ出す格下げ
外交・安全保障や予算の骨格づくりなど、国のかたちをつかさどる機関を縮小してしまい、菅直人首相は今後、どうやって国家ビジョンを描いていくつもりなのか。
民主党政権で政策調整の司令塔と位置付けられていた国家戦略室の機能を縮小し、首相への助言機関の一つに格下げすることである。
「国家戦略局の設置」は、民主党が昨年の衆院選で示した政権構想の中でも、政治主導を実現する重要な柱だったはずだ。
うまく機能すれば、中長期的な視野に立った政策を官邸主導で展開することが期待された。
鳩山由紀夫前政権下で、戦略室が当初期待された機能を果たしていなかった問題はある。だが、統治機構に関する基本的な考え方を安易に変更してしまうこと自体が民主党主導政権の戦略のなさを露呈している。
戦略室を縮小する理由の一つは、戦略局への格上げなどを図る政治主導確立法案が先の通常国会で成立せず、衆参両院にねじれが生じた中で成立のメドが立たないことだという。
法案は、戦略局を法律的に位置付け、官房副長官を現在の3人から1人増やして局長に充てるほか局長の下に「国家戦略官」を置くことなどを盛り込んだ。だが政府・与党は通常国会での成立に全力を注いだとはいえまい。
鳩山政権発足時から、当時の藤井裕久財務相は「予算編成権はあくまでも財務省にある」と主張した。岡田克也外相は「外交・安全保障の基本は戦略局構想に入っていない」と述べていた。
戦略局の位置付けが閣内でもバラバラだったことに、問題の根幹がある。さらに、首相官邸に強力な権限を集中させられなかったことは鳩山前首相に加え、初代国家戦略担当相を務めた菅首相自身の指導力不足の責任が大きい。
戦略室は平成22年度予算の基本方針に関与したものの、その役割は十分だったとは言い難い。向こう3年間の予算の大枠となる「中期財政フレーム」や「財政運営戦略」をまとめたものの、説得力のある内容にはほど遠かった。
国家戦略の不在が政権を迷走させ、統治責任を果たせずにいる現状をよく考えてもらいたい。日本をどうするかの戦略と政策体系をまとめ、党派を超えて国益を実現することに、菅政権の歴史的使命があるのではないだろうか。
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ジョブズ氏「迷惑かけた」 iPhone4受信問題で陳謝
米アップル、対策にケース無料配布
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は16日、受信トラブルが問題となっている高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)4」について「ユーザーに迷惑をかけた」と陳謝した。問題を引き起こさないための対策として、ケースを無料配布すると発表した。一方、「問題はスマートフォン共通で業界の課題」として設計ミスは明確に否定した。
米カリフォルニア州クパチーノ市の本社で記者会見したジョブズCEOは、「我々は完全ではない。電話も完全ではない。でも、ユーザーすべてをハッピーにしたい。それが我々の思い」と発言。他社での実例をビデオで紹介しながら、iPhone4の販売台数が300万台を超えたことや、受信トラブルで苦情が寄せられた比率が0.55%と少ないことなどを指摘し、多くのユーザーの支持を得ていることを強調した。
本体外側にアンテナを配した独特のデザインを採用したiPhone4は、ユーザーが本体左下部を手で強く握ると受信感度が落ちるとの苦情が相次いだ一方、ケースで覆うなどすれば問題を軽減できるとも指摘されていた。
日経BP社、iPad向けに雑誌・書籍を有料配信
日経BP社は16日、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」など向けに9月から自社の雑誌や書籍を有料配信すると発表した。まず週刊ビジネス誌「日経ビジネス」などの約7誌や100タイトル前後の書籍を用意する。販売点数は順次増やす。
無料で配信するソフト「日経BPストア」を使い販売中の刊行物について検索や購入、閲覧ができる。サービス開始時に購入できる雑誌は「日経エレクトロニクス」「日経ウーマン」「日経トレンディ」など。
アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」にも配信する。年内にも米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した端末用のソフトも用意する予定だ。年内に10万人のソフト利用者獲得を目指す。
英ソニー・エリクソン2期連続黒字 4~6月13億円
最終損益、端末の平均価格上向く
【フランクフルト=下田英一郎】欧州携帯電話機大手の英ソニー・エリクソンが16日発表した2010年4~6月期決算は、最終損益が1200万ユーロ(約13億円)の黒字となった。前年同期は2億1300万ユーロの赤字だった。1~3月期に発売したスマートフォン「エクスペリア」の販売が好調で、端末の平均販売価格が上昇し収益が改善。ユーロ安も追い風となり、2四半期連続の最終黒字を確保した。
売上高は4%増の17億5700万ユーロで、スマートフォンの売り上げが5割に達したという。端末の販売台数は、エクスペリアを軸に高機能機種に絞り込んだため、前年同期比で2割減の1100万台だったが、1~3月期比では5%増えた。端末の平均販売価格は160ユーロと前年同期比で31%増、1~3月期比でも19%上向くなど、商品戦略の見直しが収益力の向上につながった。
同社は08年から年間8億8000万ユーロの支出削減を目指したコスト改革に着手。今年6月末までに4000人の従業員を削減し、全従業員を7800人までスリム化したことも明らかにした。
バート・ノルドベリ社長は日本経済新聞のインタビューに対し「現在2%の営業利益を早期に10%まで引き上げる」と強調。来年以降、新たなコスト削減計画に着手する考えも示した。人員削減については「これ以上進める考えはない」とした。経営基盤強化のための他社との提携の可能性については「コメントできない」と述べた。
ホンダ、販売テコ入れへ400人出向 今秋販社に
ホンダは、エコカーに対する新車購入補助金の支給優遇策が期限を迎える9月末以降の販売減をにらみ、今秋にホンダ本体の社員約400人を全国の系列ディーラーに大量出向させることを決めた。9月末以降、国内新車販売の大幅減が予想されているため、販売店の営業スタッフを支援し、販売減を食い止めたい考えだ。
ホンダの本社(東京・港)に勤務する社員や、埼玉県和光市に勤務する国内営業担当の社員が主な出向対象となる。出向先はホンダが出資する直営の販売会社。全国に約30社、計約700店舗ある。ホンダが出資をしていない地場資本の系列ディーラー(約1500店舗)は、出向対象にしない。
まず、9月1日付で国内営業担当の社員を70人、11月1日付で残りの330人を出向させる。期間は原則3年だが、本人の希望も考慮して延長も可能とする。
400人を系列ディーラーに大量出向させるのは極めて異例。主な対象となるホンダ本体従業員約6000人の約7%に当たる。
ホンダは10月以降の国内新車販売が最大で3~4割落ち込むと見ている。このため営業要員を増やしテコ入れする必要があると判断、ホンダ本体から系列ディーラーへの大量出向を決めた。
さらに今後、少子化が進むことで国内新車市場の縮小は避けられず、国内事業も縮小傾向になる見通し。それに伴い、ホンダ本体の社員のスリム化を進める意味合いもあるとみられる。
記録媒体のブランド統一 三菱化学メディア
三菱化学メディア(東京・港)は、記録媒体などのブランドを「Verbatim(バーベイタム)」に統一する。国内で年間約1億枚販売する「MITSUBISHI」ブランドの光ディスクを2010年中をメドに切り替える。売上高の9割を占める海外ではバーベイタムを利用しており、ブランドを統一する。
三菱グループ内の取り決めで、MITSUBISHIの利用は光ディスクに限定されている。DVDなど光ディスクの市場は縮小に転じており、外付けハードディスク駆動装置(HDD)や小型メモリーカードなどの拡販のためブランド戦略の見直しが迫られていた。バーベイタムは親会社の三菱化学が1990年に買収した米社のブランド。
台湾TSMC、半導体新工場に8000億円超投資
主要2工場では2割増産
【台北=新居耕治】世界最大の半導体受託生産会社(ファウンドリー)である台湾積体電路製造(TSMC)は16日、主要2工場の生産能力を年末までに2割増強すると発表した。パソコンや携帯電話機向けの大規模集積回路(LSI)需要が急拡大していることに対応する。2012年稼働の最新鋭工場への投資総額が3000億台湾ドル(約8100億円)以上に達することも明らかにした。
生産能力を増強するのは台湾北部の新竹、南部の台南の2工場。ともに生産効率が高い直径300ミリのシリコンウエハーを使う工場で、合計で20万枚の月産能力を年末に24万枚にし、11年末には30万枚に拡大する。
16日に着工した台湾中部、台中市の新工場は12年1~3月期の一部稼働を目指す。300ミリウエハーを使用、最先端製品である回路線幅が28ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下のLSIを量産。15年初めまでには月産能力を10万枚超に拡大する。
TSMCは今年の設備投資額を前年比8割増の48億米ドル(約4200億円)と計画していたが、既存工場の増強などに伴い上積みする構え。
TSMCは世界のファウンドリー市場で5割弱のシェア(09年、売上高ベース)を握り、米国などのファブレスメーカーのほか、米インテルや富士通などからも生産を受託している。大規模な設備投資で半導体製造装置や部材を提供する日本メーカーは需要増が期待されるが、日本の総合半導体メーカーにとっては、ファブレスメーカーとの競争がさらに激しくなりそうだ。
消費税発言「間違えた」 伊誌に菅首相
菅直人首相は16日発売のイタリア左派系誌エスプレッソのインタビューに答え、参院選前に消費税引き上げについて発言し、結果的に与党敗北につながったことについて「間違えたと認める。今からみると一番いい時期を選んだのではないことに気が付いた」と、自らの判断の誤りを認めた。
また、親交が深いイタリアのロマーノ・プローディ前首相(欧州委員会前委員長)の言葉を使い「難しいのは権力を得ることでなく、それを維持すること」と語った。
一方で、首相就任前に財務相として、財政赤字の深刻さや日本がギリシャのようになる危険性を感じたとも強調。日本の赤字が「工業国の中で最も高い水準で、(欧州で財政状況の悪い)イタリアよりも高い」として、消費税引き上げ論議の必要性を強調した。
インタビューは11日の参院選直後に行われた。
海外経済減速が「優良投資先」演出 円高で日本経済曲がり角
16日の東京外国為替市場などで一時、1ドル86円台に進行した円高の背景には、海外経済の減速への警戒感がある。米国では前日に経済見通しが下方修正され、中国では4~6月の国内総生産(GDP)の伸び率は減速がはっきりとしてきた。また欧州経済も回復の道筋を描けていないのが現状だ。こうした動きは日本を比較的優良な投資先として浮かび上がらせ、投資家を円買いに走らせている。ただし円高は日本の輸出に対しては逆風であることも事実で、日本経済の緩やかな成長は曲がり角を迎えている。
16日の東京外国為替市場などでは円買いの動きが広がった。その要因とされるのが海外経済のスローダウンだ。
日本の主要輸出先となっている中国では14日に発表された4~6月期のGDPが投資家心理を冷やした。実質での伸び率は前年同期比10・3%と、1~3月期の11・9%から低下した。米国でも米連邦準備制度理事会(FRB)が今年の実質GDP成長率の予測を下方修正したほか、欧州でもギリシャなどの財政不安を発端として、金融危機が起こりかねない状態だ。
特に中国では景気過熱への警戒感が強い。不動産価格は2009年6月にはリーマン・ショック後の下落基調から抜け出し、今年2月からは前年比2ケタ増の伸びが続く。景気過熱を抑えようと、政府が住宅ローンの厳格化や開発業者への貸し出し規制、また元相場を弾力化させるなどの対応策を打ち出していて、それが成長の鈍化につながった格好だ。
海外経済の減速は日本を相対的に優良な投資先にみせる。市場では「日本は金融危機のダメージが欧米に比べて小さく、企業収益も伸びている比較的優良な市場。このことが円買いを呼び込んでいる」との声が出ている。
ただ、こうした動きは円高基調を生み出し、日本企業の輸出競争力を弱める一面もある。海外経済の弱体化自体も日本にとっては製品の買い手を失うマイナス要因だ。
大和総研の熊谷亮丸(みつまる)シニアエコノミストは「中国をはじめとする海外経済がスピードダウンすると、緩やかな成長を続けてきた日本経済が踊り場入りするリスクがある」と指摘する。
好調な海外経済を追い風にしてきた日本経済は先導を失いつつある。
トヨタとテスラ、2012年に米でEV販売
【ニューヨーク=小谷野太郎】トヨタ自動車と米電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モーターズは16日、トヨタのスポーツ用多目的車(SUV)「RAV4」をベースにしたEVを、2012年に米国で販売することで正式に合意したと発表した。
既に試作車1台は完成し、テスラが走行試験などを実施している。テスラは年内にトヨタにも試作車を提供し、耐久性などの評価試験を進める方針だ。
8月中ごろに選定へ 携帯マルチメディア放送事業者
原口一博総務相は16日、放送行政をテーマに都内で講演し、2011年春をめどに開始予定の携帯端末向けマルチメディア放送の事業者選定に触れ、「8月中ごろには結論を出したい」と述べ、具体的な選定時期を初めて明言した。
2陣営、実現性アピール 携帯マルチメディア
マルチメディア放送にはNTTドコモと、KDDIを中心とする2つの陣営が参入を申請しているが、総務省は1陣営にだけ放送免許を与える方針を打ち出している。
当初、7月中にも事業者が決まるとみられていたが、「十分に論点を検証する必要がある」(同省地上放送課)として、21日にも両陣営を呼んで非公開のヒアリングを行う。原口総務相は「透明性、公正性の観点に立って事業者を選定したい」との考えを強調した
また、来年7月に予定されている地上デジタル放送への完全移行について、会場から「延期を求める声がある」との質問が出たが、原口総務相は「デジタル放送は国民にとってインフラであり、世界で地デジの導入競争をしている点から考えても選択肢はない」と説明し、延期の可能性を否定した。
日経社説
米金融規制改革の狙いは分かるが 難航していた米国の金融規制改革法案が成立することになった。銀行がリスクの高い取引に手を出すのを抑制し、金融危機の再発を防ぐことを狙った。危機防止は世界共通の課題だが、金融規制は国ごとの市場や取引のあり方を踏まえる必要があることは再確認しておくべきだ。
ざっと2千ページにのぼる今回の法案は、細目を詰めるために500余りの規則を作る必要があるが、目標はとてもはっきりしている。リーマン・ショックのような金融危機を2度と起こさないようにすることだ。
預金を預かり決済という金融のインフラを担う銀行が、リスクの高い取引による損失で経営を揺さぶられるような事態を防ぐ。ボルカー元連邦準備理事会(FRB)議長の主張した「ボルカー・ルール」が、法案の基本的な哲学となっている。
世界恐慌後の1933年に成立したグラス・スティーガル法は、銀行と証券の分離という米国の金融制度の大枠を定めた。80年代以降の急速な金融の進化を受け、その仕組みは99年に撤廃された。ところが、銀行と証券の業務が複雑に融合するのに既存の金融規制や監督が追いつけず、今回の金融危機が発生した。
今回の金融規制法案はグラス・スティーガル法を単純に復活させるものではないが、金融機関の活動にタガをはめる。金融界の反発は大きく調整には時間を要した。例えば銀行によるヘッジファンドなどへの投資も全面禁止するのではなく、銀行の中核的自己資本の3%までという制限付きで認められた。
大手金融機関の経営が悪化した場合、「大きすぎてつぶせない」事態となり結局は公的資金で救済してきた。法案では円滑に破綻処理できる仕組みを作った。規制当局を束ねる金融安定監視評議会も創設し、FRBの監督権限を広げ強めた。
大規模な金融危機が多くの米国民の生活を台無しにした。公的資金を使い救った大手金融機関は今や高収益をおう歌する。今回の法案は米国の金融システムを立て直そうとしたものではあるが、同時に国内のそんな空気も色濃く反映されている。
国際的に金融規制見直しの動きが広まるなか、今回の法案は大きな一石を投じようとしている。ただ米国では直接に市場を通じた金融が中心なのに対し、日本は銀行による貸し出しが主体であるなど、日米では金融の仕組みが大きく異なる。
米国と同じ規制を機械的に取り入れるのではなく、金融危機の再発を防ごうとする今回の法案を貫く精神こそを参考にすべきだろう。
米アップル、対策にケース無料配布
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は16日、受信トラブルが問題となっている高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)4」について「ユーザーに迷惑をかけた」と陳謝した。問題を引き起こさないための対策として、ケースを無料配布すると発表した。一方、「問題はスマートフォン共通で業界の課題」として設計ミスは明確に否定した。
米カリフォルニア州クパチーノ市の本社で記者会見したジョブズCEOは、「我々は完全ではない。電話も完全ではない。でも、ユーザーすべてをハッピーにしたい。それが我々の思い」と発言。他社での実例をビデオで紹介しながら、iPhone4の販売台数が300万台を超えたことや、受信トラブルで苦情が寄せられた比率が0.55%と少ないことなどを指摘し、多くのユーザーの支持を得ていることを強調した。
本体外側にアンテナを配した独特のデザインを採用したiPhone4は、ユーザーが本体左下部を手で強く握ると受信感度が落ちるとの苦情が相次いだ一方、ケースで覆うなどすれば問題を軽減できるとも指摘されていた。
日経BP社、iPad向けに雑誌・書籍を有料配信
日経BP社は16日、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」など向けに9月から自社の雑誌や書籍を有料配信すると発表した。まず週刊ビジネス誌「日経ビジネス」などの約7誌や100タイトル前後の書籍を用意する。販売点数は順次増やす。
無料で配信するソフト「日経BPストア」を使い販売中の刊行物について検索や購入、閲覧ができる。サービス開始時に購入できる雑誌は「日経エレクトロニクス」「日経ウーマン」「日経トレンディ」など。
アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」にも配信する。年内にも米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した端末用のソフトも用意する予定だ。年内に10万人のソフト利用者獲得を目指す。
英ソニー・エリクソン2期連続黒字 4~6月13億円
最終損益、端末の平均価格上向く
【フランクフルト=下田英一郎】欧州携帯電話機大手の英ソニー・エリクソンが16日発表した2010年4~6月期決算は、最終損益が1200万ユーロ(約13億円)の黒字となった。前年同期は2億1300万ユーロの赤字だった。1~3月期に発売したスマートフォン「エクスペリア」の販売が好調で、端末の平均販売価格が上昇し収益が改善。ユーロ安も追い風となり、2四半期連続の最終黒字を確保した。
売上高は4%増の17億5700万ユーロで、スマートフォンの売り上げが5割に達したという。端末の販売台数は、エクスペリアを軸に高機能機種に絞り込んだため、前年同期比で2割減の1100万台だったが、1~3月期比では5%増えた。端末の平均販売価格は160ユーロと前年同期比で31%増、1~3月期比でも19%上向くなど、商品戦略の見直しが収益力の向上につながった。
同社は08年から年間8億8000万ユーロの支出削減を目指したコスト改革に着手。今年6月末までに4000人の従業員を削減し、全従業員を7800人までスリム化したことも明らかにした。
バート・ノルドベリ社長は日本経済新聞のインタビューに対し「現在2%の営業利益を早期に10%まで引き上げる」と強調。来年以降、新たなコスト削減計画に着手する考えも示した。人員削減については「これ以上進める考えはない」とした。経営基盤強化のための他社との提携の可能性については「コメントできない」と述べた。
ホンダ、販売テコ入れへ400人出向 今秋販社に
ホンダは、エコカーに対する新車購入補助金の支給優遇策が期限を迎える9月末以降の販売減をにらみ、今秋にホンダ本体の社員約400人を全国の系列ディーラーに大量出向させることを決めた。9月末以降、国内新車販売の大幅減が予想されているため、販売店の営業スタッフを支援し、販売減を食い止めたい考えだ。
ホンダの本社(東京・港)に勤務する社員や、埼玉県和光市に勤務する国内営業担当の社員が主な出向対象となる。出向先はホンダが出資する直営の販売会社。全国に約30社、計約700店舗ある。ホンダが出資をしていない地場資本の系列ディーラー(約1500店舗)は、出向対象にしない。
まず、9月1日付で国内営業担当の社員を70人、11月1日付で残りの330人を出向させる。期間は原則3年だが、本人の希望も考慮して延長も可能とする。
400人を系列ディーラーに大量出向させるのは極めて異例。主な対象となるホンダ本体従業員約6000人の約7%に当たる。
ホンダは10月以降の国内新車販売が最大で3~4割落ち込むと見ている。このため営業要員を増やしテコ入れする必要があると判断、ホンダ本体から系列ディーラーへの大量出向を決めた。
さらに今後、少子化が進むことで国内新車市場の縮小は避けられず、国内事業も縮小傾向になる見通し。それに伴い、ホンダ本体の社員のスリム化を進める意味合いもあるとみられる。
記録媒体のブランド統一 三菱化学メディア
三菱化学メディア(東京・港)は、記録媒体などのブランドを「Verbatim(バーベイタム)」に統一する。国内で年間約1億枚販売する「MITSUBISHI」ブランドの光ディスクを2010年中をメドに切り替える。売上高の9割を占める海外ではバーベイタムを利用しており、ブランドを統一する。
三菱グループ内の取り決めで、MITSUBISHIの利用は光ディスクに限定されている。DVDなど光ディスクの市場は縮小に転じており、外付けハードディスク駆動装置(HDD)や小型メモリーカードなどの拡販のためブランド戦略の見直しが迫られていた。バーベイタムは親会社の三菱化学が1990年に買収した米社のブランド。
台湾TSMC、半導体新工場に8000億円超投資
主要2工場では2割増産
【台北=新居耕治】世界最大の半導体受託生産会社(ファウンドリー)である台湾積体電路製造(TSMC)は16日、主要2工場の生産能力を年末までに2割増強すると発表した。パソコンや携帯電話機向けの大規模集積回路(LSI)需要が急拡大していることに対応する。2012年稼働の最新鋭工場への投資総額が3000億台湾ドル(約8100億円)以上に達することも明らかにした。
生産能力を増強するのは台湾北部の新竹、南部の台南の2工場。ともに生産効率が高い直径300ミリのシリコンウエハーを使う工場で、合計で20万枚の月産能力を年末に24万枚にし、11年末には30万枚に拡大する。
16日に着工した台湾中部、台中市の新工場は12年1~3月期の一部稼働を目指す。300ミリウエハーを使用、最先端製品である回路線幅が28ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下のLSIを量産。15年初めまでには月産能力を10万枚超に拡大する。
TSMCは今年の設備投資額を前年比8割増の48億米ドル(約4200億円)と計画していたが、既存工場の増強などに伴い上積みする構え。
TSMCは世界のファウンドリー市場で5割弱のシェア(09年、売上高ベース)を握り、米国などのファブレスメーカーのほか、米インテルや富士通などからも生産を受託している。大規模な設備投資で半導体製造装置や部材を提供する日本メーカーは需要増が期待されるが、日本の総合半導体メーカーにとっては、ファブレスメーカーとの競争がさらに激しくなりそうだ。
消費税発言「間違えた」 伊誌に菅首相
菅直人首相は16日発売のイタリア左派系誌エスプレッソのインタビューに答え、参院選前に消費税引き上げについて発言し、結果的に与党敗北につながったことについて「間違えたと認める。今からみると一番いい時期を選んだのではないことに気が付いた」と、自らの判断の誤りを認めた。
また、親交が深いイタリアのロマーノ・プローディ前首相(欧州委員会前委員長)の言葉を使い「難しいのは権力を得ることでなく、それを維持すること」と語った。
一方で、首相就任前に財務相として、財政赤字の深刻さや日本がギリシャのようになる危険性を感じたとも強調。日本の赤字が「工業国の中で最も高い水準で、(欧州で財政状況の悪い)イタリアよりも高い」として、消費税引き上げ論議の必要性を強調した。
インタビューは11日の参院選直後に行われた。
海外経済減速が「優良投資先」演出 円高で日本経済曲がり角
16日の東京外国為替市場などで一時、1ドル86円台に進行した円高の背景には、海外経済の減速への警戒感がある。米国では前日に経済見通しが下方修正され、中国では4~6月の国内総生産(GDP)の伸び率は減速がはっきりとしてきた。また欧州経済も回復の道筋を描けていないのが現状だ。こうした動きは日本を比較的優良な投資先として浮かび上がらせ、投資家を円買いに走らせている。ただし円高は日本の輸出に対しては逆風であることも事実で、日本経済の緩やかな成長は曲がり角を迎えている。
16日の東京外国為替市場などでは円買いの動きが広がった。その要因とされるのが海外経済のスローダウンだ。
日本の主要輸出先となっている中国では14日に発表された4~6月期のGDPが投資家心理を冷やした。実質での伸び率は前年同期比10・3%と、1~3月期の11・9%から低下した。米国でも米連邦準備制度理事会(FRB)が今年の実質GDP成長率の予測を下方修正したほか、欧州でもギリシャなどの財政不安を発端として、金融危機が起こりかねない状態だ。
特に中国では景気過熱への警戒感が強い。不動産価格は2009年6月にはリーマン・ショック後の下落基調から抜け出し、今年2月からは前年比2ケタ増の伸びが続く。景気過熱を抑えようと、政府が住宅ローンの厳格化や開発業者への貸し出し規制、また元相場を弾力化させるなどの対応策を打ち出していて、それが成長の鈍化につながった格好だ。
海外経済の減速は日本を相対的に優良な投資先にみせる。市場では「日本は金融危機のダメージが欧米に比べて小さく、企業収益も伸びている比較的優良な市場。このことが円買いを呼び込んでいる」との声が出ている。
ただ、こうした動きは円高基調を生み出し、日本企業の輸出競争力を弱める一面もある。海外経済の弱体化自体も日本にとっては製品の買い手を失うマイナス要因だ。
大和総研の熊谷亮丸(みつまる)シニアエコノミストは「中国をはじめとする海外経済がスピードダウンすると、緩やかな成長を続けてきた日本経済が踊り場入りするリスクがある」と指摘する。
好調な海外経済を追い風にしてきた日本経済は先導を失いつつある。
トヨタとテスラ、2012年に米でEV販売
【ニューヨーク=小谷野太郎】トヨタ自動車と米電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モーターズは16日、トヨタのスポーツ用多目的車(SUV)「RAV4」をベースにしたEVを、2012年に米国で販売することで正式に合意したと発表した。
既に試作車1台は完成し、テスラが走行試験などを実施している。テスラは年内にトヨタにも試作車を提供し、耐久性などの評価試験を進める方針だ。
8月中ごろに選定へ 携帯マルチメディア放送事業者
原口一博総務相は16日、放送行政をテーマに都内で講演し、2011年春をめどに開始予定の携帯端末向けマルチメディア放送の事業者選定に触れ、「8月中ごろには結論を出したい」と述べ、具体的な選定時期を初めて明言した。
2陣営、実現性アピール 携帯マルチメディア
マルチメディア放送にはNTTドコモと、KDDIを中心とする2つの陣営が参入を申請しているが、総務省は1陣営にだけ放送免許を与える方針を打ち出している。
当初、7月中にも事業者が決まるとみられていたが、「十分に論点を検証する必要がある」(同省地上放送課)として、21日にも両陣営を呼んで非公開のヒアリングを行う。原口総務相は「透明性、公正性の観点に立って事業者を選定したい」との考えを強調した
また、来年7月に予定されている地上デジタル放送への完全移行について、会場から「延期を求める声がある」との質問が出たが、原口総務相は「デジタル放送は国民にとってインフラであり、世界で地デジの導入競争をしている点から考えても選択肢はない」と説明し、延期の可能性を否定した。
日経社説
米金融規制改革の狙いは分かるが 難航していた米国の金融規制改革法案が成立することになった。銀行がリスクの高い取引に手を出すのを抑制し、金融危機の再発を防ぐことを狙った。危機防止は世界共通の課題だが、金融規制は国ごとの市場や取引のあり方を踏まえる必要があることは再確認しておくべきだ。
ざっと2千ページにのぼる今回の法案は、細目を詰めるために500余りの規則を作る必要があるが、目標はとてもはっきりしている。リーマン・ショックのような金融危機を2度と起こさないようにすることだ。
預金を預かり決済という金融のインフラを担う銀行が、リスクの高い取引による損失で経営を揺さぶられるような事態を防ぐ。ボルカー元連邦準備理事会(FRB)議長の主張した「ボルカー・ルール」が、法案の基本的な哲学となっている。
世界恐慌後の1933年に成立したグラス・スティーガル法は、銀行と証券の分離という米国の金融制度の大枠を定めた。80年代以降の急速な金融の進化を受け、その仕組みは99年に撤廃された。ところが、銀行と証券の業務が複雑に融合するのに既存の金融規制や監督が追いつけず、今回の金融危機が発生した。
今回の金融規制法案はグラス・スティーガル法を単純に復活させるものではないが、金融機関の活動にタガをはめる。金融界の反発は大きく調整には時間を要した。例えば銀行によるヘッジファンドなどへの投資も全面禁止するのではなく、銀行の中核的自己資本の3%までという制限付きで認められた。
大手金融機関の経営が悪化した場合、「大きすぎてつぶせない」事態となり結局は公的資金で救済してきた。法案では円滑に破綻処理できる仕組みを作った。規制当局を束ねる金融安定監視評議会も創設し、FRBの監督権限を広げ強めた。
大規模な金融危機が多くの米国民の生活を台無しにした。公的資金を使い救った大手金融機関は今や高収益をおう歌する。今回の法案は米国の金融システムを立て直そうとしたものではあるが、同時に国内のそんな空気も色濃く反映されている。
国際的に金融規制見直しの動きが広まるなか、今回の法案は大きな一石を投じようとしている。ただ米国では直接に市場を通じた金融が中心なのに対し、日本は銀行による貸し出しが主体であるなど、日米では金融の仕組みが大きく異なる。
米国と同じ規制を機械的に取り入れるのではなく、金融危機の再発を防ごうとする今回の法案を貫く精神こそを参考にすべきだろう。
ツイッターに疲れた…企業の広報担当者「深夜2時までネタ探し…」
★ツイッターに疲れた…なう
加ト吉(現・テーブルマーク)や新江ノ島水族館など、ツイッターで知名度を上げる企業が増えている。だが、そんな「会社の看板」を背負う側には、いろいろな気苦労もあるようだ。「ツイッターを使い始めたのは数週間前。使って2日くらいはハマっていましたが、以後急に疲れを感じて…」と語るのは、日用品メーカー大手、エステーの特命宣伝部長・高田鳥場さん。たった数週間で、彼を疲労困憊させた要因はなんだったのか。
「ツイッターって本来は気軽な一言をつぶやくツールですよね。僕のアカウントは正式な企業アカウントではないけど、宣伝部長の名前を出して会社の看板を背負う以上、うかつなことをつぶやけない。さらに、僕は宣伝という機密性の高い職種なので『うっかり重要事項を流してないか!?』と、毎回ボタンを押すときに緊張する。ボット(自動で発言するプログラム)みたいにキャラを固定すればいいんですが、せっかく読んでもらうならリアルにつぶやきたいですし」
心を込めてツイートしたいが、そのぶん神経を余計に使うジレンマも。さらに最近ではフォロワー数も気になり始めているとか。
「いま約500人いるフォロワーをもっと増やしたい思う一方、増えすぎると書く内容の自由度が下がるので、増えても減っても心配です。あとは、宣伝マンの性か、『140文字で名文を!』とつい意気込んでしまう。でも、結局は『カエラ似女子とビールなう』なんて駄文ばかりで…。最近は、深夜2時頃まで『なにをつぶやいたら面白いか』を考える始末。睡眠不足で朝がつらいし、ヒゲを剃る暇もなく青髭のまま会議に出たり。ついに先日は体に不調を感じて、整体に通う日々です…」
ツイッターのために、そこまで身を削るとはなんと律義な…。だが、もしもこれ以上負荷がかかるなら、ツイッター撤退もアリ?
「もうちょっと頑張ってみようかなあ。僕、高田鳥場は宣伝に命をかけてますから。ただ僕のツイートを読む際は『疲れてるんだな』と思ってくれればうれしいです」
起業仲間はmixiで見つけた 150万人が遊ぶソーシャルゲーム作るポケラボ
「最初はGoogleすら知らなかった」――「モバゲータウン」でソーシャルゲーム「サムライ戦記」や「やきゅとも!」を提供するソーシャルメディアプロバイダー(SAP)、ポケラボの代表取締役 後藤貴史さん(25)は語る。サムライ戦記は5カ月で150万ユーザー、やきゅとも!は1カ月で70万ユーザー集めた人気ゲームだ。
後藤さんがWebに興味を持ったのは3年前。Web広告代理店の手伝いをしている時だ。それまではPCも持っておらず、ネットの閲覧には携帯電話を使っていた。
そんな後藤さんに転機をもたらしたのはSNS「mixi」だ。Webに触れるきっかけになった代理店での仕事は、mixiのコミュニティで見つけた。共同経営者の佐々木俊介さんや投資家との出会いもmixiの起業家コミュニティがきっかけ。「mixi、大活躍でした」と後藤さんは笑いながら当時を振り返る。
mixiを通じてさまざまな人に出会い、起業に至った。「やるからには勝ちたい。中小企業では終わりたくない」と、国内ナンバー1のSAPを目指す。
バイトも企業仲間もmixiで
映像関連の学部にいた大学2年の時、後藤さんは焦っていた。周囲に比べて知識が足りず、同級生に置いてかれているように思ったという。そこで映像にかかわるバイトを探し、働きながら知識を付けようと決意。しかしバイト先はなかなか見つからない。
バイト探しにmixiを使うことを思いつき、コミュニティを伝って映像関連の仕事をしている人を探した。「当時、mixiの会員数は200万くらい。各コミュニティに入っている人数も今ほど多くなく、声を掛ければすぐ仲良くなれるような雰囲気があったんです」。30人程度に「仕事を下さい」と声をかけ、何人かと仲良くなり、広告関連のバイトを見つけた。
広告関連の現場で働く中でWeb広告代理店の人と出会った。聞けば「ネット広告が伸びている」という。そのころ就職活動で悩んでいたこともあり、伸びるならやってみたい、とWeb広告に興味を持った。
mixiを通じてもう一度仕事探しをスタート。Web広告代理店に声を掛けていったところ、ちょうど代理店を立ち上げようとしていた人と出会う。ただ働きだが、一緒に働かせてもらえることになった。
後藤さんは当時、主に携帯電話を使ってネットを利用していた。ネット関連の知識はほとんどなかった。「まずはGoogleから勉強しろ」。社長から指示を受け、ネット広告についてひたすら勉強。就活生という立場を生かし、ネットベンチャーの説明会もかたっぱしから回った。「ネットって面白い」。このころ初めて思ったという。
手伝っていた代理店の社長はもともとある企業のトップ営業マンだったという。「起業したことで給料はすごく下がっていた。それでも社長は楽しそうで、お金ではない部分にやりがいを感じていたんだと思う」。そんな社長にあこがれ、「どうせなら今しかできないことをやろう」と起業を決意した。
起業家コミュニティで出会った学生起業家を通じて、投資家とも出会う。「モバイル関連の事業をやること」「技術者を見つけてくること」という2つの条件付きで出資が決定。NTTコムウェアで次世代ネットワークの開発をしていた佐々木さんを誘って会社を興した。
最初に作ったサービスは携帯向けのブックマークサービス「ポケットブックマーク」だ。「当時、アメリカで『delicious』というソーシャルブックマークサービスが伸びていたし、日本のはてなブックマークも伸びていた」ため、モバイル版を作れば成功するのではという読みだった。しかし、思ったようにはユーザーは集まらない。広告で収益を得る予定だったが、なかなかビジネスにつながらず、赤字は1年程度続いた。
09年1月、「せっかくやるなら、自分たちが好きなゲームを作ってみたい」と方針転換を決めた。携帯向けブラウザゲームで収益化に成功した例を聞き、利用無料・アイテム課金制の戦国シミュレーションゲーム「サムライキングダム」をスタートした。
当初は「作りがかなり乱雑だった」が、「カスタマーサポートをしっかりやっていたら、意外とユーザーが付いてきた」という。アイテム課金で収益を上げ、2カ月程度で黒字化した。
mixiがオープン化したタイミングで「せっかくならもっとソーシャルゲームを作ろう」と、ゲーム事業に注力。mixiで出したアプリは1カ月半で60万ユーザーを獲得し、「ソーシャルアプリってすごいと思った」という。追ってディー・エヌ・エー(DeNA)もオープン化を発表。「これは乗るしかない」と、技術者向けの説明会に乗り込んだ。
サービス開始と同時にアプリの提供を始める先行開発パートナーはすでに決まっていたが、「どうしても先行開発パートナーになりたい」と、DeNAの守安功COOに直談判。その場でサムライキングダムを見せて交渉した。結果、サムライキングダムと同じゲームを出すという条件で先行開発パートナーの座を獲得した。
サムライキングダムをベースに「サムライ戦記」を1カ月で開発。リリースすると1カ月で50万ユーザー、2カ月で100万ユーザーを突破した。実績が認められ、野球チームを育成する「やきゅとも!」もリリース。ユーザーは1カ月で70万を超える人気タイトルになった。
強みは「好きな人が好きに作ること」
ヒットの秘けつは「自分が面白いと思うものを作る」こと。後藤さんは「ヒットするアプリを作ろうと思ったというより、僕らが面白いと思えるものを作れば当たる」と話す。サムライ戦記は、共同経営者の佐々木さんが戦国時代が大好きだったことから、やきゅとも!は、同社のアルバイトスタッフが野球好きだったことがきっかけ。「うちの会社の強みは、好きな人が好きにゲームを作るところ。自分が遊んで面白いものを作ればいい」
「ヒットしたコンテンツを表面上まねしても同じようなヒットを生むのは難しい」と、他社が作ったソーシャルアプリを参考にすることはあまりない。むしろ、テレビゲームや映画、ドラマ、小説などから着想を得ることのほうが多いという。「映画やドラマ、小説などエンターテインメントは、ユーザーに感動を与えてキャッシュを得るビジネス。共通するポイントはかならずあると思う」
同社では、ゲームのハードやソフト、攻略本、漫画などをすべて経費で購入できる。購入してほしい製品を記入できるリストがあり、そこにゲームのタイトルや商品名を書き込めば、経費で購入するようになっている。
国内ナンバー1のSAP目指す
現在の目標は、国内ナンバー1のSAPになること。その前段階として、今年は国内トップクラス入りが目標だ。6月には事務所を移転。社員も一気に増やすつもりだ。
「ソーシャルアプリの市場はまだできたばかり。大きい会社が出ている中で、『そんな名前の会社知らないよ』という状況でも勝負ができる」と後藤さんはフロンティアの市場に期待する。
「世界にコンテンツを出す今以上の機会はないと思う」。国内トップの先には海外展開も視野に入れている。「国内トップになってポケラボの認知度を上げ、勢いを利用して海外展開もしたい。こんなチャンスはなかなかない。生かしたいと思っている」
三菱商事、3年で2兆円投資 中期計画を発表
金属・エネルギーに注力
三菱商事は16日、2013年3月期までの中期経営計画を発表した。金属・エネルギー資源分野を強化し、2013年3月期の連結純利益を10年3月期比83%増の5000億円と過去最高益を上回る水準を目指す。年間配当は60円(10年3月期実績は38円)に増やす方針だ。
投資は毎年7000億~8000億円、合計で2兆~2兆5000億円を実施。このうち金属・エネルギー資源の分野には1兆~1兆2000億円を振り向ける計画だ。中国、インド、ブラジルの3カ国を戦略地域とし「拡大する需要の取り込みを狙う」(小林健社長)。水事業などインフラ・環境分野にも長期的に取り組む。
戦略港湾に京浜・阪神を指定 国交省、アジアの拠点に
予算優遇へ
国土交通省は16日、国内の国際港湾のうち、予算を重点配分してアジアの拠点港湾を育てる「国際コンテナ戦略港湾」に、京浜港(東京港、川崎港、横浜港)と阪神港(大阪港、神戸港)を指定する方針を固めた。2011年度以降、大型ターミナル整備を加速するとともに、港を管理する自治体と協力して域内港湾の連携策などの検討を本格化させる。
省内に設置した有識者委員会が8月上旬にも、京浜、阪神の2港を指定するよう求める答申をまとめる見通し。これを受けて前原誠司国交相ら政務三役が正式決定する段取りだ。
戦略港湾を指定するのは、厳しい財政事情の中で従来型の予算配分をしていては国際競争に生き残る港湾整備ができないとの判断がある。10年度予算での港湾整備費は前年度比25%減。11年度も大幅増は見込めないが、戦略港湾2港には予算を傾斜配分する。その分、他の港湾に振り向ける予算は減少する見通しで関連自治体の反発も予想される。
戦略港湾の選定のため、国交省が2月に公募した際に名乗りをあげたのは、京浜、阪神のほか、伊勢湾(名古屋港、四日市港)、北部九州港湾(北九州港、博多港)。有識者委は、関東、近畿の二大経済圏を背後に持つ京浜、阪神の優先整備が必要との判断に傾いているという。
政府は来年度以降、戦略港湾向けに、パナマ運河の拡張に合わせた超大型船が入港できる水深18メートル級のターミナルを整備。自治体とも協力して貨物の搬出搬入も含めた24時間利用が可能な体制や、複数の港を一体的に運営できるよう管理体制の統合などの検討を進める。韓国・釜山港などに比べ割高とされる入港料や物流施設の賃料などコスト面での競争力向上が課題となる。
日本のコンテナ取扱量のトップは東京港だが、世界首位のシンガポールの取扱量の6分の1以下にとどまる。日本の地方港からコンテナ貨物が釜山港などに集められ、欧米向け船舶に積み替えられるなど、日本の港湾の地盤沈下が進んでいる。
ドコモを抜いて資金調達額で世界3位 香港上場の中国農業銀
中国の四大国有商業銀行の一つ、中国農業銀行が16日、香港証券取引所に株式上場した。15日には上海市場に上場し、両市場での資金調達額は計約192億ドル(約1兆6800億円)で、ロイター通信などによると、新規株式公開(IPO)による調達額としてはNTTドコモを上回り、世界3位。
香港では公募価格を3・2香港ドル(約36円)に設定し、約254億株を発行。中国の経済成長への期待感から、カタールやクウェートの政府系投資機関のほか、英国やシンガポールの大手金融機関などが出資。日本では約10億株(約360億円分)を公募した。
エコカー補助金延長「今の段階で検討せず」直嶋経産相
直嶋正行経済産業相は16日の閣議後会見で、9月末で期限切れを迎えるエコカー購入補助金制度を延長する可能性を示唆したとの報道に対し「(報道が)意図していたことと違う。今の段階で10月の延長を検討をしているということではない」と述べ、否定した。ただ「結論は出していない」と含みをもたせたことについては「経済動向を引き続き厳しく注視していく必要がある」と説明した。
経産相は「一定の成果が出ている。リーマン・ショック後の異例の措置であり本来、無制限に続けるべき性格のものではない」との見解を示し、基本的には補助金制度を継続しないとの考えを強調した。
エコカー補助金をめぐっては、日本自動車工業会の志賀俊之会長(日産自動車最高執行責任者)が、円高などを理由に延長を要請する可能性を示唆していた。省エネ家電の購入を促すエコポイント制度は、3月末終了だった期限を12月末までに延長した経緯がある。
たばこの値上げ認可 10月に「マイルドセブン」110円アップ
日本たばこ産業(JT)は16日、10月1日以降のたばこの価格について、申請通り財務相から認可された発表した。対象はJTが取り扱う103銘柄。主要商品ではマイルドセブンが現在の300円から410円へ、セブンスターが300円から440円へ、キャスターが290円から410円へ、それぞれ値上げされる。
今回の値上げは、たばこ税が政府の方針で1本当たり3・5円増税されることによるもの。JTは「過去に例のない増税幅で、大幅な販売数量の減少が予想される」と、業績への影響を懸念するコメントを出した。
全国百貨店売上高4.4%減 1~6月、減少幅縮小
「政治不安定で先行きに懸念材料」
日本百貨店協会が16日発表した1~6月期の全国百貨店売上高は、前年同期比4.4%減の3兆184億円だった。過去最大の減少幅だった前年(11.0%)からは減少幅が縮小したものの、景気の先行き不透明感から売り上げの苦戦が続いた。
あわせて発表した6月の全国百貨店売上高は、前年同月比6.0%減の4924億円と、28カ月連続で前年を下回った。株安の影響で宝飾品や輸入雑貨といった十万円以上の商品の売り上げが低迷。5月には2.1%まで減少幅を縮小していたが、回復傾向がストップした。
同協会は「7月はセールの滑り出しもよく、全国的に前年並みで推移している状況だが、政治が安定せず有効な経済政策を打ち出せる状況ではなくなってきていることは懸念材料だ」と見ている。
【産経主張】落選法相の留任 民意を無視する首相要請
参院選で落選した千葉景子法相は菅直人首相に辞意を伝えたが、首相は「行政の継続性という観点から、続けていただくことが望ましい」とし、続投を求めた。理解に苦しむ判断である。
千葉氏は昨年9月の法相就任当初から、家族の絆(きずな)を壊す恐れがある夫婦別姓制の導入に強い意欲を示した。今年2月の法務省政策会議では、男女が婚姻時に同姓か別姓かを選ぶ「選択的夫婦別姓制度」を柱とする民法改正案の概要が示された。
先月、千葉氏は内閣府に政府から独立した人権委員会を設置する人権侵害救済機関設置法案の中間報告を発表している。人権侵害救済機関には政府や特定団体による恣意(しい)的な言論・表現統制の危険性が指摘されている。
いずれも閣議決定には至っていないが、千葉氏が早期実現を目指していた法案である。
その一方で、千葉氏は法相として一度も死刑執行の署名をしていない。弁護士出身の千葉氏は死刑廃止論者としても知られる。
有権者はこうした千葉氏の約10カ月の法相としての仕事ぶりも含め、「落選」という審判を下したのである。千葉氏の留任はこの民意を無視したものといえる。
菅首相は「大臣は議員である人が多いが、議員でなくても適任者であればなれる。千葉氏は法曹出身でもあり適任者だ」とも述べている。たとえ法曹出身者であっても、死刑執行の署名など法相としてなすべきことをしない人物が適任者とは、とてもいえない。
法相留任の背景には、千葉氏が辞任すれば、民主党内から内閣改造要求や党執行部の責任を問う声が激しくなりかねないことへの懸念もあったといわれる。こうした党内事情や「政局的打算」を優先させるのは筋違いである。
首相が求めた留任期間は9月の党代表選までとされるが、落選した閣僚が1カ月以上、内閣にとどまった例は過去にない。まもなく各省庁は来年度予算への概算要求の大事な時期に入る。適格性を備えた新しい法相がこれにあたるべきだ。
参院選で、郵政民営化の逆行路線を主導した国民新党は議席ゼロに終わったが、落選した長谷川憲正総務政務官も留任した。この続投も理解を得られにくい。
菅政権は千葉氏落選の結果を真摯(しんし)に受け止め、これらの政策をゼロから再検討すべきだ。
★ツイッターに疲れた…なう
加ト吉(現・テーブルマーク)や新江ノ島水族館など、ツイッターで知名度を上げる企業が増えている。だが、そんな「会社の看板」を背負う側には、いろいろな気苦労もあるようだ。「ツイッターを使い始めたのは数週間前。使って2日くらいはハマっていましたが、以後急に疲れを感じて…」と語るのは、日用品メーカー大手、エステーの特命宣伝部長・高田鳥場さん。たった数週間で、彼を疲労困憊させた要因はなんだったのか。
「ツイッターって本来は気軽な一言をつぶやくツールですよね。僕のアカウントは正式な企業アカウントではないけど、宣伝部長の名前を出して会社の看板を背負う以上、うかつなことをつぶやけない。さらに、僕は宣伝という機密性の高い職種なので『うっかり重要事項を流してないか!?』と、毎回ボタンを押すときに緊張する。ボット(自動で発言するプログラム)みたいにキャラを固定すればいいんですが、せっかく読んでもらうならリアルにつぶやきたいですし」
心を込めてツイートしたいが、そのぶん神経を余計に使うジレンマも。さらに最近ではフォロワー数も気になり始めているとか。
「いま約500人いるフォロワーをもっと増やしたい思う一方、増えすぎると書く内容の自由度が下がるので、増えても減っても心配です。あとは、宣伝マンの性か、『140文字で名文を!』とつい意気込んでしまう。でも、結局は『カエラ似女子とビールなう』なんて駄文ばかりで…。最近は、深夜2時頃まで『なにをつぶやいたら面白いか』を考える始末。睡眠不足で朝がつらいし、ヒゲを剃る暇もなく青髭のまま会議に出たり。ついに先日は体に不調を感じて、整体に通う日々です…」
ツイッターのために、そこまで身を削るとはなんと律義な…。だが、もしもこれ以上負荷がかかるなら、ツイッター撤退もアリ?
「もうちょっと頑張ってみようかなあ。僕、高田鳥場は宣伝に命をかけてますから。ただ僕のツイートを読む際は『疲れてるんだな』と思ってくれればうれしいです」
起業仲間はmixiで見つけた 150万人が遊ぶソーシャルゲーム作るポケラボ
「最初はGoogleすら知らなかった」――「モバゲータウン」でソーシャルゲーム「サムライ戦記」や「やきゅとも!」を提供するソーシャルメディアプロバイダー(SAP)、ポケラボの代表取締役 後藤貴史さん(25)は語る。サムライ戦記は5カ月で150万ユーザー、やきゅとも!は1カ月で70万ユーザー集めた人気ゲームだ。
後藤さんがWebに興味を持ったのは3年前。Web広告代理店の手伝いをしている時だ。それまではPCも持っておらず、ネットの閲覧には携帯電話を使っていた。
そんな後藤さんに転機をもたらしたのはSNS「mixi」だ。Webに触れるきっかけになった代理店での仕事は、mixiのコミュニティで見つけた。共同経営者の佐々木俊介さんや投資家との出会いもmixiの起業家コミュニティがきっかけ。「mixi、大活躍でした」と後藤さんは笑いながら当時を振り返る。
mixiを通じてさまざまな人に出会い、起業に至った。「やるからには勝ちたい。中小企業では終わりたくない」と、国内ナンバー1のSAPを目指す。
バイトも企業仲間もmixiで
映像関連の学部にいた大学2年の時、後藤さんは焦っていた。周囲に比べて知識が足りず、同級生に置いてかれているように思ったという。そこで映像にかかわるバイトを探し、働きながら知識を付けようと決意。しかしバイト先はなかなか見つからない。
バイト探しにmixiを使うことを思いつき、コミュニティを伝って映像関連の仕事をしている人を探した。「当時、mixiの会員数は200万くらい。各コミュニティに入っている人数も今ほど多くなく、声を掛ければすぐ仲良くなれるような雰囲気があったんです」。30人程度に「仕事を下さい」と声をかけ、何人かと仲良くなり、広告関連のバイトを見つけた。
広告関連の現場で働く中でWeb広告代理店の人と出会った。聞けば「ネット広告が伸びている」という。そのころ就職活動で悩んでいたこともあり、伸びるならやってみたい、とWeb広告に興味を持った。
mixiを通じてもう一度仕事探しをスタート。Web広告代理店に声を掛けていったところ、ちょうど代理店を立ち上げようとしていた人と出会う。ただ働きだが、一緒に働かせてもらえることになった。
後藤さんは当時、主に携帯電話を使ってネットを利用していた。ネット関連の知識はほとんどなかった。「まずはGoogleから勉強しろ」。社長から指示を受け、ネット広告についてひたすら勉強。就活生という立場を生かし、ネットベンチャーの説明会もかたっぱしから回った。「ネットって面白い」。このころ初めて思ったという。
手伝っていた代理店の社長はもともとある企業のトップ営業マンだったという。「起業したことで給料はすごく下がっていた。それでも社長は楽しそうで、お金ではない部分にやりがいを感じていたんだと思う」。そんな社長にあこがれ、「どうせなら今しかできないことをやろう」と起業を決意した。
起業家コミュニティで出会った学生起業家を通じて、投資家とも出会う。「モバイル関連の事業をやること」「技術者を見つけてくること」という2つの条件付きで出資が決定。NTTコムウェアで次世代ネットワークの開発をしていた佐々木さんを誘って会社を興した。
最初に作ったサービスは携帯向けのブックマークサービス「ポケットブックマーク」だ。「当時、アメリカで『delicious』というソーシャルブックマークサービスが伸びていたし、日本のはてなブックマークも伸びていた」ため、モバイル版を作れば成功するのではという読みだった。しかし、思ったようにはユーザーは集まらない。広告で収益を得る予定だったが、なかなかビジネスにつながらず、赤字は1年程度続いた。
09年1月、「せっかくやるなら、自分たちが好きなゲームを作ってみたい」と方針転換を決めた。携帯向けブラウザゲームで収益化に成功した例を聞き、利用無料・アイテム課金制の戦国シミュレーションゲーム「サムライキングダム」をスタートした。
当初は「作りがかなり乱雑だった」が、「カスタマーサポートをしっかりやっていたら、意外とユーザーが付いてきた」という。アイテム課金で収益を上げ、2カ月程度で黒字化した。
mixiがオープン化したタイミングで「せっかくならもっとソーシャルゲームを作ろう」と、ゲーム事業に注力。mixiで出したアプリは1カ月半で60万ユーザーを獲得し、「ソーシャルアプリってすごいと思った」という。追ってディー・エヌ・エー(DeNA)もオープン化を発表。「これは乗るしかない」と、技術者向けの説明会に乗り込んだ。
サービス開始と同時にアプリの提供を始める先行開発パートナーはすでに決まっていたが、「どうしても先行開発パートナーになりたい」と、DeNAの守安功COOに直談判。その場でサムライキングダムを見せて交渉した。結果、サムライキングダムと同じゲームを出すという条件で先行開発パートナーの座を獲得した。
サムライキングダムをベースに「サムライ戦記」を1カ月で開発。リリースすると1カ月で50万ユーザー、2カ月で100万ユーザーを突破した。実績が認められ、野球チームを育成する「やきゅとも!」もリリース。ユーザーは1カ月で70万を超える人気タイトルになった。
強みは「好きな人が好きに作ること」
ヒットの秘けつは「自分が面白いと思うものを作る」こと。後藤さんは「ヒットするアプリを作ろうと思ったというより、僕らが面白いと思えるものを作れば当たる」と話す。サムライ戦記は、共同経営者の佐々木さんが戦国時代が大好きだったことから、やきゅとも!は、同社のアルバイトスタッフが野球好きだったことがきっかけ。「うちの会社の強みは、好きな人が好きにゲームを作るところ。自分が遊んで面白いものを作ればいい」
「ヒットしたコンテンツを表面上まねしても同じようなヒットを生むのは難しい」と、他社が作ったソーシャルアプリを参考にすることはあまりない。むしろ、テレビゲームや映画、ドラマ、小説などから着想を得ることのほうが多いという。「映画やドラマ、小説などエンターテインメントは、ユーザーに感動を与えてキャッシュを得るビジネス。共通するポイントはかならずあると思う」
同社では、ゲームのハードやソフト、攻略本、漫画などをすべて経費で購入できる。購入してほしい製品を記入できるリストがあり、そこにゲームのタイトルや商品名を書き込めば、経費で購入するようになっている。
国内ナンバー1のSAP目指す
現在の目標は、国内ナンバー1のSAPになること。その前段階として、今年は国内トップクラス入りが目標だ。6月には事務所を移転。社員も一気に増やすつもりだ。
「ソーシャルアプリの市場はまだできたばかり。大きい会社が出ている中で、『そんな名前の会社知らないよ』という状況でも勝負ができる」と後藤さんはフロンティアの市場に期待する。
「世界にコンテンツを出す今以上の機会はないと思う」。国内トップの先には海外展開も視野に入れている。「国内トップになってポケラボの認知度を上げ、勢いを利用して海外展開もしたい。こんなチャンスはなかなかない。生かしたいと思っている」
三菱商事、3年で2兆円投資 中期計画を発表
金属・エネルギーに注力
三菱商事は16日、2013年3月期までの中期経営計画を発表した。金属・エネルギー資源分野を強化し、2013年3月期の連結純利益を10年3月期比83%増の5000億円と過去最高益を上回る水準を目指す。年間配当は60円(10年3月期実績は38円)に増やす方針だ。
投資は毎年7000億~8000億円、合計で2兆~2兆5000億円を実施。このうち金属・エネルギー資源の分野には1兆~1兆2000億円を振り向ける計画だ。中国、インド、ブラジルの3カ国を戦略地域とし「拡大する需要の取り込みを狙う」(小林健社長)。水事業などインフラ・環境分野にも長期的に取り組む。
戦略港湾に京浜・阪神を指定 国交省、アジアの拠点に
予算優遇へ
国土交通省は16日、国内の国際港湾のうち、予算を重点配分してアジアの拠点港湾を育てる「国際コンテナ戦略港湾」に、京浜港(東京港、川崎港、横浜港)と阪神港(大阪港、神戸港)を指定する方針を固めた。2011年度以降、大型ターミナル整備を加速するとともに、港を管理する自治体と協力して域内港湾の連携策などの検討を本格化させる。
省内に設置した有識者委員会が8月上旬にも、京浜、阪神の2港を指定するよう求める答申をまとめる見通し。これを受けて前原誠司国交相ら政務三役が正式決定する段取りだ。
戦略港湾を指定するのは、厳しい財政事情の中で従来型の予算配分をしていては国際競争に生き残る港湾整備ができないとの判断がある。10年度予算での港湾整備費は前年度比25%減。11年度も大幅増は見込めないが、戦略港湾2港には予算を傾斜配分する。その分、他の港湾に振り向ける予算は減少する見通しで関連自治体の反発も予想される。
戦略港湾の選定のため、国交省が2月に公募した際に名乗りをあげたのは、京浜、阪神のほか、伊勢湾(名古屋港、四日市港)、北部九州港湾(北九州港、博多港)。有識者委は、関東、近畿の二大経済圏を背後に持つ京浜、阪神の優先整備が必要との判断に傾いているという。
政府は来年度以降、戦略港湾向けに、パナマ運河の拡張に合わせた超大型船が入港できる水深18メートル級のターミナルを整備。自治体とも協力して貨物の搬出搬入も含めた24時間利用が可能な体制や、複数の港を一体的に運営できるよう管理体制の統合などの検討を進める。韓国・釜山港などに比べ割高とされる入港料や物流施設の賃料などコスト面での競争力向上が課題となる。
日本のコンテナ取扱量のトップは東京港だが、世界首位のシンガポールの取扱量の6分の1以下にとどまる。日本の地方港からコンテナ貨物が釜山港などに集められ、欧米向け船舶に積み替えられるなど、日本の港湾の地盤沈下が進んでいる。
ドコモを抜いて資金調達額で世界3位 香港上場の中国農業銀
中国の四大国有商業銀行の一つ、中国農業銀行が16日、香港証券取引所に株式上場した。15日には上海市場に上場し、両市場での資金調達額は計約192億ドル(約1兆6800億円)で、ロイター通信などによると、新規株式公開(IPO)による調達額としてはNTTドコモを上回り、世界3位。
香港では公募価格を3・2香港ドル(約36円)に設定し、約254億株を発行。中国の経済成長への期待感から、カタールやクウェートの政府系投資機関のほか、英国やシンガポールの大手金融機関などが出資。日本では約10億株(約360億円分)を公募した。
エコカー補助金延長「今の段階で検討せず」直嶋経産相
直嶋正行経済産業相は16日の閣議後会見で、9月末で期限切れを迎えるエコカー購入補助金制度を延長する可能性を示唆したとの報道に対し「(報道が)意図していたことと違う。今の段階で10月の延長を検討をしているということではない」と述べ、否定した。ただ「結論は出していない」と含みをもたせたことについては「経済動向を引き続き厳しく注視していく必要がある」と説明した。
経産相は「一定の成果が出ている。リーマン・ショック後の異例の措置であり本来、無制限に続けるべき性格のものではない」との見解を示し、基本的には補助金制度を継続しないとの考えを強調した。
エコカー補助金をめぐっては、日本自動車工業会の志賀俊之会長(日産自動車最高執行責任者)が、円高などを理由に延長を要請する可能性を示唆していた。省エネ家電の購入を促すエコポイント制度は、3月末終了だった期限を12月末までに延長した経緯がある。
たばこの値上げ認可 10月に「マイルドセブン」110円アップ
日本たばこ産業(JT)は16日、10月1日以降のたばこの価格について、申請通り財務相から認可された発表した。対象はJTが取り扱う103銘柄。主要商品ではマイルドセブンが現在の300円から410円へ、セブンスターが300円から440円へ、キャスターが290円から410円へ、それぞれ値上げされる。
今回の値上げは、たばこ税が政府の方針で1本当たり3・5円増税されることによるもの。JTは「過去に例のない増税幅で、大幅な販売数量の減少が予想される」と、業績への影響を懸念するコメントを出した。
全国百貨店売上高4.4%減 1~6月、減少幅縮小
「政治不安定で先行きに懸念材料」
日本百貨店協会が16日発表した1~6月期の全国百貨店売上高は、前年同期比4.4%減の3兆184億円だった。過去最大の減少幅だった前年(11.0%)からは減少幅が縮小したものの、景気の先行き不透明感から売り上げの苦戦が続いた。
あわせて発表した6月の全国百貨店売上高は、前年同月比6.0%減の4924億円と、28カ月連続で前年を下回った。株安の影響で宝飾品や輸入雑貨といった十万円以上の商品の売り上げが低迷。5月には2.1%まで減少幅を縮小していたが、回復傾向がストップした。
同協会は「7月はセールの滑り出しもよく、全国的に前年並みで推移している状況だが、政治が安定せず有効な経済政策を打ち出せる状況ではなくなってきていることは懸念材料だ」と見ている。
【産経主張】落選法相の留任 民意を無視する首相要請
参院選で落選した千葉景子法相は菅直人首相に辞意を伝えたが、首相は「行政の継続性という観点から、続けていただくことが望ましい」とし、続投を求めた。理解に苦しむ判断である。
千葉氏は昨年9月の法相就任当初から、家族の絆(きずな)を壊す恐れがある夫婦別姓制の導入に強い意欲を示した。今年2月の法務省政策会議では、男女が婚姻時に同姓か別姓かを選ぶ「選択的夫婦別姓制度」を柱とする民法改正案の概要が示された。
先月、千葉氏は内閣府に政府から独立した人権委員会を設置する人権侵害救済機関設置法案の中間報告を発表している。人権侵害救済機関には政府や特定団体による恣意(しい)的な言論・表現統制の危険性が指摘されている。
いずれも閣議決定には至っていないが、千葉氏が早期実現を目指していた法案である。
その一方で、千葉氏は法相として一度も死刑執行の署名をしていない。弁護士出身の千葉氏は死刑廃止論者としても知られる。
有権者はこうした千葉氏の約10カ月の法相としての仕事ぶりも含め、「落選」という審判を下したのである。千葉氏の留任はこの民意を無視したものといえる。
菅首相は「大臣は議員である人が多いが、議員でなくても適任者であればなれる。千葉氏は法曹出身でもあり適任者だ」とも述べている。たとえ法曹出身者であっても、死刑執行の署名など法相としてなすべきことをしない人物が適任者とは、とてもいえない。
法相留任の背景には、千葉氏が辞任すれば、民主党内から内閣改造要求や党執行部の責任を問う声が激しくなりかねないことへの懸念もあったといわれる。こうした党内事情や「政局的打算」を優先させるのは筋違いである。
首相が求めた留任期間は9月の党代表選までとされるが、落選した閣僚が1カ月以上、内閣にとどまった例は過去にない。まもなく各省庁は来年度予算への概算要求の大事な時期に入る。適格性を備えた新しい法相がこれにあたるべきだ。
参院選で、郵政民営化の逆行路線を主導した国民新党は議席ゼロに終わったが、落選した長谷川憲正総務政務官も留任した。この続投も理解を得られにくい。
菅政権は千葉氏落選の結果を真摯(しんし)に受け止め、これらの政策をゼロから再検討すべきだ。
ドコモ、ARに本腰――PRIMEシリーズ冬モデルにAR機能を搭載
NTTドコモが冬モデルのPRIMEシリーズ全機種に、AR(拡張現実)機能を搭載する予定であることが分かった。
NTTドコモ 編成統括部の部長を務める原田由佳氏が、「ケータイコンテンツの取り組み 2010」と題したワイヤレスジャパンの講演の中で明らかにしたもので、冬モデルのPRIMEシリーズ全機種に、携帯電話上で拡張現実サービスを実現するRawImageCaptureという機能を搭載する予定であると説明。RawImageCaptureは、iアプリ経由でカメラを起動すると、リアルタイムにものやアイコンをオーバーレイ表示する機能で、夏モデルの「P-06B」「N-05B」「N-04B」「P-04B」「N-07B」「N-08B」にも搭載されている。
具体的なサービスについては「コンテンツプロバイダと協力して、サービス開発の準備を進めている」(ドコモ)とし、今冬にも新たなエンターテインメントサービスの提供を目指す考え。具体的なサービスイメージとして原田氏は、インテリアを選ぶ際のシミュレーションや位置情報と連携した街案内、キャラクターの立体表示などを挙げている。
AR関連のサービスについては、他の通信キャリアも積極的に取り組んでおり、ソフトバンクは頓智ドットのセカイカメラを活用した施設や地域のプロモーションを展開。KDDIは、KDDI研究所が開発した「実空間透視ケータイ」と頓智ドットのセカイカメラを連携させた「セカイカメラZOOM」を期間限定のトライアル版として提供している。
auのAndroidは「約4割が女性ユーザー」――KDDIの上月氏が語る
「IS01は約4割が女性ユーザー」――KDDI プロダクト企画部の上月勝博氏(オープンプラットフォーム企画グループ グループリーダー)が、「ワイヤレスジャパン2010」の講演の中で、au初のAndroid端末「IS01」のユーザー傾向について話した。
6月30日に発売されたIS01は、モバイル環境でのインターネットの使いやすさを追求した端末だ。ノートPCのような折りたたみ型のボディにパンタグラフキーを備え、約5インチの大画面液晶を採用。通話機能も備えるが、同社の狙いは従来の携帯電話と併せて利用する“2台目需要”の開拓にある。
GfK Japanによる携帯電話販売ランキングを参考にすると、IS01は発売後第1週目で全キャリア総合では10位以下、au端末内では4位と、iPhoneやXperiaといったスマートフォンの人気モデルに比べれば販売台数は少ない。しかし、発売前に展示機に対してユーザーが好反応を見せたことなどから、同社は当初の計画の倍の発注に踏み切っている。そして、「ネットでの口コミの広がりもあり、店頭では在庫がほとんどない状態」(上月氏)と、想定以上の好調な出足となっているようだ。
また、上月氏によれば、購入者は機種変更ではなく新規契約のユーザーがほとんどだという。「ISデビュー割の提供も関係しているが、新規のお客様が8割を超えている」(上月氏)。発売からまだ日が浅くはあるが、狙い通りの2台目ユーザーを獲得していると上月氏はみる。
こうした販売を女性ユーザーが支えているという上月氏の説明も興味深い。「従来のスマートフォンは女性ユーザーの比率が低かったが、IS01は約4割が女性ユーザー。これが特徴的だと考えている」(上月氏)。同時期に発売されたWindows phone「IS02」は、「男性ユーザーが85%」(上月氏)と、同じIS seriesでもユーザー傾向に違いが出ていることを同氏は説明する。
女性ユーザーが増えた理由としては、端末のデザインに加え、ブログなどの長文作成やTwitterの利用を意識した商品作りが功を奏していると上月氏は読む。当初は予定していなかったテレビのスポットCMなども展開するなど、宣伝も強化しているという。
同社が調査した購入者の評価ポイント。「3G回線でも高画質なYouTubeが見られる」「アプリを終話キーで終了し、メモリを解放できる」といった点も好評を得ていると上月氏。また、同社独自のAndroid向けアプリマーケット「au one Market」に関しても、購入者が比較的コンスタントに利用しているという
有害図書を条例で指定 大阪府、改正案を2月議会で提案へ
18歳未満の青少年を性的対象にした有害図書の指定をめぐり、青少年健全育成条例の改正を検討している大阪府は15日、これまで施行規則で定めてきた有害図書の指定基準を条例で定めるため、改正条例案を2月議会で提案することを明らかにした。また、府内で行った図書類の実態調査結果を公表。雑誌など100点のうち55点に青少年の性描写があったほか、有害図書を販売している店舗のうち3割で現行条例通りに区分陳列などを行っていなかったという。
府によると、調査は雑誌やDVD、ゲームなどから100点を抽出して実施。性的表現があった55点のうち、すでに府が有害図書指定済の図書が30点。残る25点のうち9点に有害図書に該当する性的表現があったという。
店舗調査では、書店など355店舗への調査で、250点で有害図書の販売を確認。有害図書は府条例で、区分陳列したり個別包装したりする必要があるが、条例を順守していたのは168店(67・2%)で、約3割が条例に従っていなかった。
一方、府の担当部局などには、今年3月から今月9日までの間に、府民らから意見などを記した1001件のメールが寄せられているといい、うち8割以上の830件が規制強化に反対する意見だったという。
実態調査は、東京都が青少年健全育成条例改正案を都議会に提案(その後、否決)したことを受け、橋下徹知事が府内の状況の把握を指示していた。
府条例は、わいせつ描写のページが一定数を超えると有害図書として規制される内容で、全国的にも厳しい規制があるとされるが、府の場合、有害図書の指定基準が議会議決の必要ない施行規則として定められていたため、橋下知事が「行政が恣意(しい)的に有害図書を指定できる」と指摘していた。
ホンダ、シビックをハイブリッド車に限定
「レジェンド」「エリシオン」開発中止
ホンダは国内で販売する車種を削減する。主力セダン「シビック」はハイブリッド車(HV)に限定するほか、最高級車「レジェンド」、高級ミニバン「エリシオン」など看板車種の開発を中止した。当初計画では、いずれも2011年以降に全面改良して発売する予定だった。今後は低燃費の小型車や次世代環境車、インドなど新興国向けの超低価格車の開発に経営資源を集中する。
同社はリーマン・ショック後の需要急減で計画を凍結していた寄居工場(埼玉県)の建設を再開し、13年をメドに稼働させる。三重県に予定していた軽自動車の新工場の建設は白紙に戻す。国内生産体制の見直しに合わせ、車種を絞ることで収益力の改善を狙う。
シビックのガソリン車は来秋をメドに全面改良して世界各国で投入するが、日本では発売しない。モーターを併用するハイブリッド車モデルの「シビックハイブリッド」のみ全面改良し、来秋以降も国内販売を続ける方針だ。
シビックはホンダが初の本格的な乗用車として1972年に発売した。国内最後発メーカーとして自動車事業に進出したホンダの経営基盤を築いた。トヨタ自動車の「カローラ」などと並び、日本のモータリゼーションを支えた。近年はセダン離れが進み、低燃費のハイブリッド車や小型車に人気が集まった結果、月間の販売台数が100台程度と低迷していた。
高級車レジェンドの開発も中止した。ホンダが04年に発売したレジェンドは、世界初の四輪駆動制御技術と300馬力のエンジンを搭載し、ホンダの国内最高級車の位置付けだった。景気低迷で高級車の国内販売不振に拍車がかかっており、環境車などの開発を優先する必要があると判断した。
ホンダのミニバンで最上位車種に位置付けていたエリシオンについても同様に、開発途中段階で中止した。
ホンダは現在、国内で約20車種(軽自動車除く)を販売している。小型車の「フィット」や「フリード」、ミニバンの「ステップワゴン」の3車種だけでホンダ車販売全体の約7割を占める。開発資金や技術者など経営資源の分散を避けるため、販売が低迷する国内専用車のレジェンドやエリシオンは開発を中止することにした。現行モデルは今後も販売を続ける。
ホンダは現在、埼玉製作所(埼玉県)、鈴鹿製作所(三重県)、子会社の八千代工業の四日市製作所(三重県)の3工場で四輪車を生産している。年間生産能力は計130万台。国内需要は減少が見込まれるうえ、海外生産への移管も進むため、将来は70万~80万台程度に削減することを検討している。
日産・ルノー、ロシアで生産 最大手と年30万台
450億円投資 小型車の車台を共通化
【トリヤッチ(ロシア中部)=金子夏樹】日産自動車と仏ルノーがロシア政府系の自動車最大手アフトワズと共同で小型乗用車を生産する。ルノーの戦略小型車の車台(プラットホーム)を3社が共通化し、アフトワズのトリヤッチ工場で2012年から年30万台を生産する。投資額は3社で4億ユーロ(約450億円)。外資による進出が増えるなか、日産・ルノーは最大手と組むことで、拡大するロシアの自動車市場で攻勢をかける。
アフトワズのカマロフ社長が日本経済新聞記者に会い、明らかにした。設備投資額4億ユーロのうち日産・ルノーが3億ユーロを負担する。3社は中価格帯を中心に生産。日産は12年9月から年7万5000台、ルノーは13年3月から年15万台を生産し、それぞれのブランドで販売する。アフトワズは「ラーダ」ブランドで7万5000台生産する。
カマロフ社長とルノーのエステヴェ副社長が15日、トリヤッチで車台共通化のための設備導入に関する技術協力について合意文書に調印した。
米金融規制法案、上院が可決 大統領署名経て成立へ
【ワシントン=御調昌邦】米上院は15日午後の本会議で金融規制改革法案を賛成多数で可決した。下院は6月下旬に既に同じ法案を可決しており、オバマ大統領が近く署名して成立する見通しだ。米証券リーマン・ブラザーズの破綻から約2年を経て、金融危機の再発防止に向けた法整備がようやく決着する。
上院本会議での最終採決の結果は賛成60票に対し、反対39票。共和党からも一部議員が賛成に回った。米政府・議会は1930年代以来の包括的な金融規制改革と位置付けており、法案には銀行の高リスク取引の制限や金融の消費者保護強化などを盛り込んだ。
オバマ大統領は早期成立の必要性を訴え続けてきた。ギブズ大統領報道官は、大統領の署名式は来週になるとの見方を示している。
米メキシコ湾で原油流出止まる、英BP発表 事故後初めて
【ワシントン=大隅隆】メキシコ湾の原油流出事故で、英石油大手のBPは15日、流出源の油井に新たに設けた密閉用のふたなどを使い、海中への流出を完全に止めたと発表した。まだ試験段階としているが、原油流出が止まったのは4月の事故発生以降初めて。オバマ大統領はホワイトハウスで記者団に「前向きなサインだ」と語った。
ジブリ新作映画の原作、岩波書店が電子書籍で配信
岩波書店は15日、英作家による児童文学「床下の小人たち」を電子書籍で配信すると発表した。同作品は17日公開のスタジオジブリの新作アニメ映画「借りぐらしのアリエッティ」の原作。書店で販売を拡大している文庫本に電子書籍を加え、読者層を広げる。
複数の電子書籍サイトを通じ、携帯電話向けとパソコン向けに配信。価格は588円で文庫本より約2割安い。8月中に米アップルの高機能携帯電話(スマートフォン)「iPhone(アイフォーン)」向けも追加する予定。
原作者のメアリー・ノートン氏と挿絵家の著作権を管理する英出版社から許諾を得た。権利関係が複雑な海外文学の翻訳版の配信は珍しい。同じ著者による続編4冊も順次配信する。
吉野家、値下げ競争対応へ店舗改革
持ち帰り専門など低コスト化
吉野家ホールディングス(HD)が店舗運営の改革に乗り出す。牛丼業界の最安値である280円に合わせた新メニューや牛丼の持ち帰り店を展開、2011年2月期中に運営コストを大幅に抑えた店舗の出店も始める。高コスト体質に、「すき家」のゼンショー、松屋フーズの値下げ攻勢が追い打ちをかけ、業績回復のメドは立っていない。グループ企業のリストラは一定の成果を上げつつあるとはいえ、復活に向けた主力の牛丼事業の立て直しが正念場を迎えている。
新メニューは「牛キムチクッパ」と「牛鍋丼」で、価格は牛丼(並盛)より100円安く、すき家と同じ。約30店(国内店舗数は約1200)でのテスト販売だが、「全国展開するか注目している」(他の外食大手)。東京・日本橋にこのほど出店した牛丼と牛皿の持ち帰り専門店の店舗面積は、通常の3分の1。営業は昼食と夕食時間帯のみで、サラリーマンに照準を絞った。
吉野家の6月の既存店売上高は前年同月比15.1%減。同月の値下げ効果で快走するゼンショーや松屋フーズに比べて、価格を据え置いた吉野家の劣勢は明らか。
足元の改革は新型店の本格展開をにらんだ布石だ。厨房(ちゅうぼう)のレイアウト見直しなどで店舗面積を1割程度縮小したり、メニュー看板を簡素にしたりして初期投資を3割減の3500万円前後に抑制。発光ダイオード(LED)照明やオール電化の厨房など省エネも進める。
中国1人っ子政策→女性少なく、男性結婚難
【北京=佐伯聡士】中国では、19歳以下の男女比が著しく不均衡なことから、2020年には結婚適齢期を迎える男性が女性より約2400万人も多くなり、結婚相手を探すのが極めて困難になることがわかった。
共産党機関紙「人民日報」が、政府系シンクタンク社会科学院の報告書をもとに伝えた。
女性の誘拐や売買春などの犯罪行為が増え、社会が不安定化することへの当局の懸念が背景にある。
人民日報の特集記事(8日付)によると、伝統的な男尊女卑の考え方が依然根強い上、1979年から続く「一人っ子政策」のため、出産前に性別を鑑定し女子なら堕胎するという違法行為が横行していることが男女比不均衡の原因だ。
男性の結婚難を背景に、女性を誘拐して売り飛ばすなどの犯罪行為が増えており、浙江省では、既婚女性の省外出身者20万人中、3万6000人が誘拐の被害者とわかったという。
現在、性別鑑定や堕胎などの違法行為に対する罰金は1万~3万元(13万~39万円)程度だが、罰金引き上げや懲役刑などの厳罰を求める声も上がっている。
株反落、読みにくさ増す世界景気
15日の東京株式市場で日経平均株価は午後にやや下げ渋ったが、方向感に乏しい展開だった。米主要企業の決算や米中の経済指標など今週の主要なイベントはほぼ通過したが、強弱入り交じった内容。インテルの決算でやや明るくなった市場心理も、もとに戻ってしまった感がある。
前日14日の日経平均はインテルの4~6月期の好決算を受けて258円高と急伸していた。ただ、14日の米国市場でインテル株は1.67%高にとどまり、東京市場ははしごを外された格好。米国では6月の米小売売上高が前月比0.5%減と予想以上に落ち込むなど、ミクロの企業業績とマクロ経済指標がちぐはぐになっている面もあるようだ。
今週のもうひとつの注目だった中国の主要経済指標も消化難だった。
15日に発表された4~6月の実質国内総生産(GDP)は10.3%増と、市場予想(10.5%増)とほぼ同水準。同時に発表された6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.9%の上昇と、政府の目標である3%を下回った。
「成長率は高水準ながら金融引き締めの効果も見えており、金融引き締め懸念は薄らいでいる」(大和証券の山崎政昌投資情報部次長)と、市場では好感されそうな数字で、実際、上海総合指数は統計発表後に上昇に転じる場面もあった。が、景気減速懸念も頭をもたげ、上海株は再び下落。指標の解釈の難しさや先行きの不透明感を改めて印象づけた。
金融政策に目を転じれば、新興国の一部では利上げを実施する国がある一方で、米連邦準備理事会(FRB)は再び金融緩和に備え始めた。
最近、市場関係者が口にするキーワードが「QE2」。量的緩和(Quantitative Easing)の頭文字を取り、金融危機後にFRBがバランスシートを膨らませたQEを再度実施するとの見方だ。
FRBが14日に公表した6月22~23日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、追加緩和策について議論があったことが明らかになり、2010年以降の経済成長率の見通しも下方修正した。米長期金利の低下を通じて円相場には逆風が吹き、15日午後には1ドル=87円台が再び視野に入ってきた。
日銀は東京銀行間取引金利(TIBOR)が実勢よりも高止まりしているなどと、円高抑制に向けて口先介入を試みているが影響は限定的。そのかたわら、15日の金融政策決定会合ではタイミング悪く10~11年度の成長率を上方修正した。
世界中で景況感がまだらな状況が、株式相場の先行きを一層読みにくくしている。
日経社説
中国は持続的な成長へ内需拡大に力を
中国の4~6月の国内総生産(GDP)は前年同期に比べ実質10.3%増えた。3四半期連続の2けた成長だが、1~3月の11.9%増と比べると伸び率は下がり、景気の過熱感はいくらか和らいだ。
成長の最大の原動力である固定資産投資の伸びがやや鈍った一方、輸出と貿易黒字が急拡大し、消費は比較的高い伸びを保った。そのなかで6月の消費者物価上昇率が2カ月ぶりに政府目標の3%を下回り、インフレ懸念はやや後退した。
中国では春先まで不動産バブルが膨らんでいるとの見方が広がり、先行きのバブル崩壊を懸念する声もあった。とりあえず4月から不動産融資に対する規制を強化したことなどが奏功し、投機的なマンション開発などは大幅に減っている。
中国国家統計局の盛来運報道官が指摘したように「中国経済は全体として良好」で、望ましい方向に向かっているといえるのだろう。
中国が景気の過熱や不動産バブルを回避するのは、世界経済の持続的成長にとっても悪いことではない。ただ、過度の減速で世界景気に冷水を浴びせることにならないよう、微妙なバランスも求められる。
バブル抑制のため引き締め気味の金融政策を取る一方で、リーマン・ショック後に打ち出した内需刺激策の効果が息切れしないような政策面での配慮が必要だろう。
中国の貿易黒字は5月から再び急拡大している。米国向け、欧州向け、韓国・台湾など近隣地域向けとも輸出が大幅に伸びた。
だが、米国では消費の回復に息切れ感が出始めている。中国にとって米国以上の輸出先である欧州連合(EU)諸国は、ギリシャの財政危機を機に緊縮財政に傾き、失業率も高止まりして景気回復の勢いは鈍い。アジアの新興国・地域は、経済運営の軸足を景気回復から過熱防止へと移している。
中国の輸出の回復、拡大が、これまでのような勢いで続くか、疑問符も付く。何よりも、すでに世界最大の貿易大国である中国が外需にもっぱら頼って高率の成長継続を目指すと、世界経済のひずみが増す。
中国政府は6月から人民元の対ドル相場を緩やかに切り上げているが、さらに大胆な切り上げを排除すべきではない。
労働者の賃金が抑えられ社会保障の整備も遅れていたことが、投資に比べた個人消費の伸び悩みと過剰貯蓄を招いていた。中国政府は内需主導の持続的な成長へ向け所得分配や社会保障制度の整備を急ぐべきだ。
NTTドコモが冬モデルのPRIMEシリーズ全機種に、AR(拡張現実)機能を搭載する予定であることが分かった。
NTTドコモ 編成統括部の部長を務める原田由佳氏が、「ケータイコンテンツの取り組み 2010」と題したワイヤレスジャパンの講演の中で明らかにしたもので、冬モデルのPRIMEシリーズ全機種に、携帯電話上で拡張現実サービスを実現するRawImageCaptureという機能を搭載する予定であると説明。RawImageCaptureは、iアプリ経由でカメラを起動すると、リアルタイムにものやアイコンをオーバーレイ表示する機能で、夏モデルの「P-06B」「N-05B」「N-04B」「P-04B」「N-07B」「N-08B」にも搭載されている。
具体的なサービスについては「コンテンツプロバイダと協力して、サービス開発の準備を進めている」(ドコモ)とし、今冬にも新たなエンターテインメントサービスの提供を目指す考え。具体的なサービスイメージとして原田氏は、インテリアを選ぶ際のシミュレーションや位置情報と連携した街案内、キャラクターの立体表示などを挙げている。
AR関連のサービスについては、他の通信キャリアも積極的に取り組んでおり、ソフトバンクは頓智ドットのセカイカメラを活用した施設や地域のプロモーションを展開。KDDIは、KDDI研究所が開発した「実空間透視ケータイ」と頓智ドットのセカイカメラを連携させた「セカイカメラZOOM」を期間限定のトライアル版として提供している。
auのAndroidは「約4割が女性ユーザー」――KDDIの上月氏が語る
「IS01は約4割が女性ユーザー」――KDDI プロダクト企画部の上月勝博氏(オープンプラットフォーム企画グループ グループリーダー)が、「ワイヤレスジャパン2010」の講演の中で、au初のAndroid端末「IS01」のユーザー傾向について話した。
6月30日に発売されたIS01は、モバイル環境でのインターネットの使いやすさを追求した端末だ。ノートPCのような折りたたみ型のボディにパンタグラフキーを備え、約5インチの大画面液晶を採用。通話機能も備えるが、同社の狙いは従来の携帯電話と併せて利用する“2台目需要”の開拓にある。
GfK Japanによる携帯電話販売ランキングを参考にすると、IS01は発売後第1週目で全キャリア総合では10位以下、au端末内では4位と、iPhoneやXperiaといったスマートフォンの人気モデルに比べれば販売台数は少ない。しかし、発売前に展示機に対してユーザーが好反応を見せたことなどから、同社は当初の計画の倍の発注に踏み切っている。そして、「ネットでの口コミの広がりもあり、店頭では在庫がほとんどない状態」(上月氏)と、想定以上の好調な出足となっているようだ。
また、上月氏によれば、購入者は機種変更ではなく新規契約のユーザーがほとんどだという。「ISデビュー割の提供も関係しているが、新規のお客様が8割を超えている」(上月氏)。発売からまだ日が浅くはあるが、狙い通りの2台目ユーザーを獲得していると上月氏はみる。
こうした販売を女性ユーザーが支えているという上月氏の説明も興味深い。「従来のスマートフォンは女性ユーザーの比率が低かったが、IS01は約4割が女性ユーザー。これが特徴的だと考えている」(上月氏)。同時期に発売されたWindows phone「IS02」は、「男性ユーザーが85%」(上月氏)と、同じIS seriesでもユーザー傾向に違いが出ていることを同氏は説明する。
女性ユーザーが増えた理由としては、端末のデザインに加え、ブログなどの長文作成やTwitterの利用を意識した商品作りが功を奏していると上月氏は読む。当初は予定していなかったテレビのスポットCMなども展開するなど、宣伝も強化しているという。
同社が調査した購入者の評価ポイント。「3G回線でも高画質なYouTubeが見られる」「アプリを終話キーで終了し、メモリを解放できる」といった点も好評を得ていると上月氏。また、同社独自のAndroid向けアプリマーケット「au one Market」に関しても、購入者が比較的コンスタントに利用しているという
有害図書を条例で指定 大阪府、改正案を2月議会で提案へ
18歳未満の青少年を性的対象にした有害図書の指定をめぐり、青少年健全育成条例の改正を検討している大阪府は15日、これまで施行規則で定めてきた有害図書の指定基準を条例で定めるため、改正条例案を2月議会で提案することを明らかにした。また、府内で行った図書類の実態調査結果を公表。雑誌など100点のうち55点に青少年の性描写があったほか、有害図書を販売している店舗のうち3割で現行条例通りに区分陳列などを行っていなかったという。
府によると、調査は雑誌やDVD、ゲームなどから100点を抽出して実施。性的表現があった55点のうち、すでに府が有害図書指定済の図書が30点。残る25点のうち9点に有害図書に該当する性的表現があったという。
店舗調査では、書店など355店舗への調査で、250点で有害図書の販売を確認。有害図書は府条例で、区分陳列したり個別包装したりする必要があるが、条例を順守していたのは168店(67・2%)で、約3割が条例に従っていなかった。
一方、府の担当部局などには、今年3月から今月9日までの間に、府民らから意見などを記した1001件のメールが寄せられているといい、うち8割以上の830件が規制強化に反対する意見だったという。
実態調査は、東京都が青少年健全育成条例改正案を都議会に提案(その後、否決)したことを受け、橋下徹知事が府内の状況の把握を指示していた。
府条例は、わいせつ描写のページが一定数を超えると有害図書として規制される内容で、全国的にも厳しい規制があるとされるが、府の場合、有害図書の指定基準が議会議決の必要ない施行規則として定められていたため、橋下知事が「行政が恣意(しい)的に有害図書を指定できる」と指摘していた。
ホンダ、シビックをハイブリッド車に限定
「レジェンド」「エリシオン」開発中止
ホンダは国内で販売する車種を削減する。主力セダン「シビック」はハイブリッド車(HV)に限定するほか、最高級車「レジェンド」、高級ミニバン「エリシオン」など看板車種の開発を中止した。当初計画では、いずれも2011年以降に全面改良して発売する予定だった。今後は低燃費の小型車や次世代環境車、インドなど新興国向けの超低価格車の開発に経営資源を集中する。
同社はリーマン・ショック後の需要急減で計画を凍結していた寄居工場(埼玉県)の建設を再開し、13年をメドに稼働させる。三重県に予定していた軽自動車の新工場の建設は白紙に戻す。国内生産体制の見直しに合わせ、車種を絞ることで収益力の改善を狙う。
シビックのガソリン車は来秋をメドに全面改良して世界各国で投入するが、日本では発売しない。モーターを併用するハイブリッド車モデルの「シビックハイブリッド」のみ全面改良し、来秋以降も国内販売を続ける方針だ。
シビックはホンダが初の本格的な乗用車として1972年に発売した。国内最後発メーカーとして自動車事業に進出したホンダの経営基盤を築いた。トヨタ自動車の「カローラ」などと並び、日本のモータリゼーションを支えた。近年はセダン離れが進み、低燃費のハイブリッド車や小型車に人気が集まった結果、月間の販売台数が100台程度と低迷していた。
高級車レジェンドの開発も中止した。ホンダが04年に発売したレジェンドは、世界初の四輪駆動制御技術と300馬力のエンジンを搭載し、ホンダの国内最高級車の位置付けだった。景気低迷で高級車の国内販売不振に拍車がかかっており、環境車などの開発を優先する必要があると判断した。
ホンダのミニバンで最上位車種に位置付けていたエリシオンについても同様に、開発途中段階で中止した。
ホンダは現在、国内で約20車種(軽自動車除く)を販売している。小型車の「フィット」や「フリード」、ミニバンの「ステップワゴン」の3車種だけでホンダ車販売全体の約7割を占める。開発資金や技術者など経営資源の分散を避けるため、販売が低迷する国内専用車のレジェンドやエリシオンは開発を中止することにした。現行モデルは今後も販売を続ける。
ホンダは現在、埼玉製作所(埼玉県)、鈴鹿製作所(三重県)、子会社の八千代工業の四日市製作所(三重県)の3工場で四輪車を生産している。年間生産能力は計130万台。国内需要は減少が見込まれるうえ、海外生産への移管も進むため、将来は70万~80万台程度に削減することを検討している。
日産・ルノー、ロシアで生産 最大手と年30万台
450億円投資 小型車の車台を共通化
【トリヤッチ(ロシア中部)=金子夏樹】日産自動車と仏ルノーがロシア政府系の自動車最大手アフトワズと共同で小型乗用車を生産する。ルノーの戦略小型車の車台(プラットホーム)を3社が共通化し、アフトワズのトリヤッチ工場で2012年から年30万台を生産する。投資額は3社で4億ユーロ(約450億円)。外資による進出が増えるなか、日産・ルノーは最大手と組むことで、拡大するロシアの自動車市場で攻勢をかける。
アフトワズのカマロフ社長が日本経済新聞記者に会い、明らかにした。設備投資額4億ユーロのうち日産・ルノーが3億ユーロを負担する。3社は中価格帯を中心に生産。日産は12年9月から年7万5000台、ルノーは13年3月から年15万台を生産し、それぞれのブランドで販売する。アフトワズは「ラーダ」ブランドで7万5000台生産する。
カマロフ社長とルノーのエステヴェ副社長が15日、トリヤッチで車台共通化のための設備導入に関する技術協力について合意文書に調印した。
米金融規制法案、上院が可決 大統領署名経て成立へ
【ワシントン=御調昌邦】米上院は15日午後の本会議で金融規制改革法案を賛成多数で可決した。下院は6月下旬に既に同じ法案を可決しており、オバマ大統領が近く署名して成立する見通しだ。米証券リーマン・ブラザーズの破綻から約2年を経て、金融危機の再発防止に向けた法整備がようやく決着する。
上院本会議での最終採決の結果は賛成60票に対し、反対39票。共和党からも一部議員が賛成に回った。米政府・議会は1930年代以来の包括的な金融規制改革と位置付けており、法案には銀行の高リスク取引の制限や金融の消費者保護強化などを盛り込んだ。
オバマ大統領は早期成立の必要性を訴え続けてきた。ギブズ大統領報道官は、大統領の署名式は来週になるとの見方を示している。
米メキシコ湾で原油流出止まる、英BP発表 事故後初めて
【ワシントン=大隅隆】メキシコ湾の原油流出事故で、英石油大手のBPは15日、流出源の油井に新たに設けた密閉用のふたなどを使い、海中への流出を完全に止めたと発表した。まだ試験段階としているが、原油流出が止まったのは4月の事故発生以降初めて。オバマ大統領はホワイトハウスで記者団に「前向きなサインだ」と語った。
ジブリ新作映画の原作、岩波書店が電子書籍で配信
岩波書店は15日、英作家による児童文学「床下の小人たち」を電子書籍で配信すると発表した。同作品は17日公開のスタジオジブリの新作アニメ映画「借りぐらしのアリエッティ」の原作。書店で販売を拡大している文庫本に電子書籍を加え、読者層を広げる。
複数の電子書籍サイトを通じ、携帯電話向けとパソコン向けに配信。価格は588円で文庫本より約2割安い。8月中に米アップルの高機能携帯電話(スマートフォン)「iPhone(アイフォーン)」向けも追加する予定。
原作者のメアリー・ノートン氏と挿絵家の著作権を管理する英出版社から許諾を得た。権利関係が複雑な海外文学の翻訳版の配信は珍しい。同じ著者による続編4冊も順次配信する。
吉野家、値下げ競争対応へ店舗改革
持ち帰り専門など低コスト化
吉野家ホールディングス(HD)が店舗運営の改革に乗り出す。牛丼業界の最安値である280円に合わせた新メニューや牛丼の持ち帰り店を展開、2011年2月期中に運営コストを大幅に抑えた店舗の出店も始める。高コスト体質に、「すき家」のゼンショー、松屋フーズの値下げ攻勢が追い打ちをかけ、業績回復のメドは立っていない。グループ企業のリストラは一定の成果を上げつつあるとはいえ、復活に向けた主力の牛丼事業の立て直しが正念場を迎えている。
新メニューは「牛キムチクッパ」と「牛鍋丼」で、価格は牛丼(並盛)より100円安く、すき家と同じ。約30店(国内店舗数は約1200)でのテスト販売だが、「全国展開するか注目している」(他の外食大手)。東京・日本橋にこのほど出店した牛丼と牛皿の持ち帰り専門店の店舗面積は、通常の3分の1。営業は昼食と夕食時間帯のみで、サラリーマンに照準を絞った。
吉野家の6月の既存店売上高は前年同月比15.1%減。同月の値下げ効果で快走するゼンショーや松屋フーズに比べて、価格を据え置いた吉野家の劣勢は明らか。
足元の改革は新型店の本格展開をにらんだ布石だ。厨房(ちゅうぼう)のレイアウト見直しなどで店舗面積を1割程度縮小したり、メニュー看板を簡素にしたりして初期投資を3割減の3500万円前後に抑制。発光ダイオード(LED)照明やオール電化の厨房など省エネも進める。
中国1人っ子政策→女性少なく、男性結婚難
【北京=佐伯聡士】中国では、19歳以下の男女比が著しく不均衡なことから、2020年には結婚適齢期を迎える男性が女性より約2400万人も多くなり、結婚相手を探すのが極めて困難になることがわかった。
共産党機関紙「人民日報」が、政府系シンクタンク社会科学院の報告書をもとに伝えた。
女性の誘拐や売買春などの犯罪行為が増え、社会が不安定化することへの当局の懸念が背景にある。
人民日報の特集記事(8日付)によると、伝統的な男尊女卑の考え方が依然根強い上、1979年から続く「一人っ子政策」のため、出産前に性別を鑑定し女子なら堕胎するという違法行為が横行していることが男女比不均衡の原因だ。
男性の結婚難を背景に、女性を誘拐して売り飛ばすなどの犯罪行為が増えており、浙江省では、既婚女性の省外出身者20万人中、3万6000人が誘拐の被害者とわかったという。
現在、性別鑑定や堕胎などの違法行為に対する罰金は1万~3万元(13万~39万円)程度だが、罰金引き上げや懲役刑などの厳罰を求める声も上がっている。
株反落、読みにくさ増す世界景気
15日の東京株式市場で日経平均株価は午後にやや下げ渋ったが、方向感に乏しい展開だった。米主要企業の決算や米中の経済指標など今週の主要なイベントはほぼ通過したが、強弱入り交じった内容。インテルの決算でやや明るくなった市場心理も、もとに戻ってしまった感がある。
前日14日の日経平均はインテルの4~6月期の好決算を受けて258円高と急伸していた。ただ、14日の米国市場でインテル株は1.67%高にとどまり、東京市場ははしごを外された格好。米国では6月の米小売売上高が前月比0.5%減と予想以上に落ち込むなど、ミクロの企業業績とマクロ経済指標がちぐはぐになっている面もあるようだ。
今週のもうひとつの注目だった中国の主要経済指標も消化難だった。
15日に発表された4~6月の実質国内総生産(GDP)は10.3%増と、市場予想(10.5%増)とほぼ同水準。同時に発表された6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.9%の上昇と、政府の目標である3%を下回った。
「成長率は高水準ながら金融引き締めの効果も見えており、金融引き締め懸念は薄らいでいる」(大和証券の山崎政昌投資情報部次長)と、市場では好感されそうな数字で、実際、上海総合指数は統計発表後に上昇に転じる場面もあった。が、景気減速懸念も頭をもたげ、上海株は再び下落。指標の解釈の難しさや先行きの不透明感を改めて印象づけた。
金融政策に目を転じれば、新興国の一部では利上げを実施する国がある一方で、米連邦準備理事会(FRB)は再び金融緩和に備え始めた。
最近、市場関係者が口にするキーワードが「QE2」。量的緩和(Quantitative Easing)の頭文字を取り、金融危機後にFRBがバランスシートを膨らませたQEを再度実施するとの見方だ。
FRBが14日に公表した6月22~23日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、追加緩和策について議論があったことが明らかになり、2010年以降の経済成長率の見通しも下方修正した。米長期金利の低下を通じて円相場には逆風が吹き、15日午後には1ドル=87円台が再び視野に入ってきた。
日銀は東京銀行間取引金利(TIBOR)が実勢よりも高止まりしているなどと、円高抑制に向けて口先介入を試みているが影響は限定的。そのかたわら、15日の金融政策決定会合ではタイミング悪く10~11年度の成長率を上方修正した。
世界中で景況感がまだらな状況が、株式相場の先行きを一層読みにくくしている。
日経社説
中国は持続的な成長へ内需拡大に力を
中国の4~6月の国内総生産(GDP)は前年同期に比べ実質10.3%増えた。3四半期連続の2けた成長だが、1~3月の11.9%増と比べると伸び率は下がり、景気の過熱感はいくらか和らいだ。
成長の最大の原動力である固定資産投資の伸びがやや鈍った一方、輸出と貿易黒字が急拡大し、消費は比較的高い伸びを保った。そのなかで6月の消費者物価上昇率が2カ月ぶりに政府目標の3%を下回り、インフレ懸念はやや後退した。
中国では春先まで不動産バブルが膨らんでいるとの見方が広がり、先行きのバブル崩壊を懸念する声もあった。とりあえず4月から不動産融資に対する規制を強化したことなどが奏功し、投機的なマンション開発などは大幅に減っている。
中国国家統計局の盛来運報道官が指摘したように「中国経済は全体として良好」で、望ましい方向に向かっているといえるのだろう。
中国が景気の過熱や不動産バブルを回避するのは、世界経済の持続的成長にとっても悪いことではない。ただ、過度の減速で世界景気に冷水を浴びせることにならないよう、微妙なバランスも求められる。
バブル抑制のため引き締め気味の金融政策を取る一方で、リーマン・ショック後に打ち出した内需刺激策の効果が息切れしないような政策面での配慮が必要だろう。
中国の貿易黒字は5月から再び急拡大している。米国向け、欧州向け、韓国・台湾など近隣地域向けとも輸出が大幅に伸びた。
だが、米国では消費の回復に息切れ感が出始めている。中国にとって米国以上の輸出先である欧州連合(EU)諸国は、ギリシャの財政危機を機に緊縮財政に傾き、失業率も高止まりして景気回復の勢いは鈍い。アジアの新興国・地域は、経済運営の軸足を景気回復から過熱防止へと移している。
中国の輸出の回復、拡大が、これまでのような勢いで続くか、疑問符も付く。何よりも、すでに世界最大の貿易大国である中国が外需にもっぱら頼って高率の成長継続を目指すと、世界経済のひずみが増す。
中国政府は6月から人民元の対ドル相場を緩やかに切り上げているが、さらに大胆な切り上げを排除すべきではない。
労働者の賃金が抑えられ社会保障の整備も遅れていたことが、投資に比べた個人消費の伸び悩みと過剰貯蓄を招いていた。中国政府は内需主導の持続的な成長へ向け所得分配や社会保障制度の整備を急ぐべきだ。
ドコモで「iPhone」が使えるようになる日
NTTドコモの山田隆持社長は7月14日、東京ビッグサイト(東京・江東)で開幕した無線技術関連の展示会「ワイヤレスジャパン2010」で基調講演に登壇した。山田社長は2011年4月以降に出荷する全機種を「SIMロック」解除対応にする方針を表明しているが、講演でも改めて解除に向けて前向きな姿勢を示した。
「11年4月以降に発売される端末にSIMロック解除機能を搭載していく。いまの端末は解除できないが、導入以後はドコモショップに来てもらえれば対応する。ただし、周波数や通信方式、サービスなどが対応しないことも多いので、そのあたりの説明をきっちりとして、納得してもらったうえで解除する」
端末を特定の携帯電話会社だけで使えるように制限するSIMロックについては、総務省が今年6月、携帯電話会社が自主的に解除に取り組むことを要請するガイドラインを公表済み。山田社長は講演で、解除に向けた顧客対応などについて語った。
「iモード」機能などを備える一般の携帯電話端末は、SIMロックを解除してしまうと、メールや公式サイト、「おサイフケータイ」機能などが使えなくなってしまう。現在は、そうしたデメリットが一般ユーザーに必ずしも伝わっておらず、「顧客の奪い合いが激化して料金競争が起き、安くなった他社に移行できる」といった偏った情報が広がっている印象がある。そうした誤解を解くうえでも、店頭でデメリットを説明したういえで、それでも解除したい人に限って対応するという状況に持っていきたいようだ。
「Xperia」の取り扱いは?
基調講演後、山田社長に囲み取材をし、NTTドコモのSIMロック解除に対する様々な考え方を聞くことができた。
まず、疑問として浮かぶのがスマートフォンの取り扱いだ。iモード対応機などにはそもそもSIMロック解除機能が搭載されていないので、すぐには対応できない。しかし、スマートフォンであれば、ソフトウエアのバージョンアップでSIMロック解除機能を追加できそうなものだ。
これに対し、山田社長は「スマートフォンであっても、同じ来年4月以降の導入を考えている。(ドコモの人気スマートフォン「Xperia」の場合は)来年4月以降に発売されるかもしれない後継機種からになる。現行機種をSIMロック解除対応にするには、ユーザーから端末を預かる必要などがあり、不便をかけることになってしまう」と述べ、Xperiaの現行機種では対応しないことを明らかにした。
「料金プランはこれから詰める」
今回、NTTドコモはSIMロック解除に積極的な態度を示したが、導入の条件として「4キャリア同時展開」を総務省に提示している。「6月に総務省からSIMロック解除に関するガイドラインが出たが、やはり4事業者同じスタンスでの導入でなければならない。パブリックコメントでも表明したが、これはぜひ総務省にお願いしたいところ」と山田社長は強調した。
確かにNTTドコモだけがSIMロックを解除しても何の意味もない。通信方式が異なるKDDIは対象外としても、ソフトバンクモバイル、さらにはイー・モバイルにもSIMロック解除を求めるのは当然だろう。イー・モバイルの人気の携帯型無線LANルーター「ポケットWi-Fi」は現在、国内では1.7GHz帯の周波数でしかつながらないが、端末仕様上はNTTドコモなどが使用する2.1GHzにも対応している。
NTTドコモから見れば、自社ユーザーがドコモの端末のまま他社に乗り換えることもある一方で、他社ユーザーがSIMロックを解除した端末のままNTTドコモと契約することも可能になる。ではそのとき、NTTドコモはどんな料金プランを用意するのか。「それに関してはまだ詰め切れておらず、これから考えないといけない。ただ、基本的にはいまの料金プランが適用されるようにしていきたい」と山田社長は語る。
他社のスマートフォンでも、NTTドコモと契約すれば、同社の「パケ・ホーダイダブル」のスマートフォン定額である5985円が適用される、というのがユーザーとしては望ましいだろう。
香港版iPhoneも使えるようになる?
これは何も他の携帯電話会社の端末に限った話ではない。メーカーが独自にSIMロック解除端末を販売すれば、NTTドコモはそれに応じたプランを出す、ということになる。つまり、米アップルが海外と同様に、日本でも直販店「アップルストア」や家電量販店でSIMロックフリー版「iPhone」を販売すれば、NTTドコモで使える可能性が出てくるということだ。
海外製の「SIMフリースマートフォン」への対応も気になるところだ。海外では日本では販売されていない魅力的なスマートフォンがいくつも販売されている。それらを何らかの手段で購入し、NTTドコモのネットワークで使うことも可能になるのか。この疑問に対し、山田社長は「技適マークがどうなっているか次第。それもこれから詰めていくことになる」と語る。
「技適マーク」とは特定無線設備の技術基準適合証明等のマークのことで、電波法令で定める技術基準に適合している無線機であることを証明するものだ。日本の携帯電話会社が国内で販売している端末はこの「技適マーク」をきちんと取得している。しかし、日本での販売を前提にしていない海外の製品は、技適マークをほとんど取得していない。
香港などで売られているSIMロックフリー版のiPhoneは、本体背面に技適マークがないが、設定画面のなかに「認証」という項目があり、そこを開くと技適マークを表示できるようになっている。これまでは本体の外側に技適マークが見えるように刻印する必要があったが、10年4月28日に総務省が「技適マークをディスプレーに表示できれば問題ない」とする改正省令を施行。これにより、香港版SIMロックフリーiPhoneを日本で使用しても法的に問題がなくなった。来年4月以降は、香港版iPhoneをNTTドコモのネットワークにつなぎ、ドコモのスマートフォンとほぼ同等の料金で使うことが可能になるもしれない。
もっともiPhoneの16GBモデルは、ソフトバンクモバイルで購入して2年間使い続ければ、本体の実質的な負担額が0円となる。本体価格が数万円もする高価な香港版をわざわざ購入してドコモと契約するのは現実的でないかもしれない。
とはいえ、NTTドコモがiPhoneの販売権を得られない状態がこのまま続いたとしても、アップル自身がSIMロックフリー版を販売したり、輸入業者が海外版を日本に持ち込んだりすれば、NTTドコモで使えるiPhoneが日本で出回ることになるだろう。ソフトバンクモバイルは、iPhoneのSIMロック解除をかたくなに拒むだろうから、こちらのほうが現実的といえそうだ。
自信を深めるドコモ
SIMロック解除については、携帯電話会社間の取り決めなど、まだまだ調整しなくてはならないことが多い。山田社長は「例えばドコモ端末のSIMロックを外して他社に行った場合に、壊れたときの修理をどちらがやるべきかという問題がある。(これから事業者間で)制度を決めていかないとならない」と指摘する。
ユーザーの選択肢が増えて端末と回線を自由に選べるようになる一方で、故障やサービスが使えなくなったときに十分なアフターサービスを受けられないのであれば、かえって消費者の不利益になる可能性もある。それらの問題をいかにつぶしていくかが肝心となってくるだろう。
最後に山田社長は「(SIMロック解除によって)ユーザーの選択の幅が増える。(ドコモは)料金やネットワークエリア、品質がいい。解除によって受けられるサービスは変わってくるが、そこはしっかりと説明する。とにかく、ドコモショップに来てもらいたい」と語った。NTTドコモはネットワーク品質の高さを武器に、来るSIMロック解除時代に向けてますます自信を深めているように見える。
KDDIとソフトバンク、SKテレコムが連携 決済サービスなどで
KDDIは15日、ソフトバンク傘下のソフトバンクモバイル、韓国の携帯電話会社SKテレコムと、日韓両国で利用できる携帯電話を使った決済サービスで連携すると発表した。これまでは携帯電話をかざして財布代わりに決済する場合、通信方式の違いによって日本国内で利用する端末を韓国内で使うことはできなかった。今回の連携により、設備の相互利用や両国で利用可能なサービスなどを検討する。
NTT、南アIT大手を3000億円で買収
システム事業世界展開
NTTはロンドン証券取引所に上場する情報システム大手、ディメンション・データ(南アフリカ・ヨハネスブルク)を買収する方向で最終調整に入った。合意すれば来月にもTOB(株式公開買い付け)を実施、完全子会社化する。買収総額は3000億円弱になる見通し。ディメンション社は約50カ国でシステム構築やデータセンター事業を手がけており、NTTは同事業を世界規模で展開する。
ディメンション社の時価総額は約2320億円(14日時点)。NTTは3000億円弱の買収資金を用意しているもよう。ディメンション社も交渉を受け入れ、友好的TOBになる見通し。
NTTでは子会社のNTTデータやNTTコミュニケーションズが情報システム事業を手がけているが顧客の多くは日本企業にとどまっていた。ディメンション社が持つ欧米アジアの有力企業に顧客層を広げる。
NTTはグループ各社とディメンション社との連携を進める。情報システムに不可欠な通信技術をNTTが提供。NTTデータの国内拠点とディメンション社の海外拠点を結び、グローバル企業のシステム受託を目指す。ネットワーク経由でソフトやシステム機能を提供する「クラウドコンピューティング」事業も拡大する方針。NTTドコモの技術を生かし外出先から社内情報を閲覧できるサービスも検討する。
NTTは今年度までの3カ年計画で海外売上高を2000億円から4000億円にする計画だが、買収により一気に7000億円規模になる。
NTTは2000年前後、積極的に海外企業に出資。01年までにNTTドコモが米AT&Tワイヤレスなど携帯会社に総額1兆9000億円を投じた。NTTコムも米インターネット大手ベリオを6000億円で買収した。しかし、IT(情報技術)バブルの崩壊などで投資先の財務体質が悪化、撤退や巨額の損失計上を迫られ、失敗に終わった。最近、改めて投資を再開している。
現在、NTTは通信会社に限らず、情報システムにも対象を広げる投資戦略をとっている。通信事業はインフラへの投資や各国の許認可の影響を受けやすく、リスクが高い。情報システムやデータセンターの運営は安定した収入が見込めるため世界各国での事業展開に乗り出す。
東芝、中国にテレビ販売会社設立 TCL集団と合弁
東芝は15日、中国家電大手のTCL集団(広東省)と合弁で、中国での液晶テレビ拡販に向けた販売会社「東芝ビジュアルプロダクツ(中国)」を設立すると発表した。2012年度の現地のテレビ市場が09年度比で2倍近くまで拡大すると予測しており、TCLの販売網を活用して沿岸部の大都市に加えて内陸の中規模都市でも売り込む考えだ。
新会社の資本金は5000万元(約6億3000万円)で、東芝が51%、TCLが49%出資。本社を広東省恵州市に置き、9月から営業を始める。東芝の中国の自社拠点での生産に加えて、TCLからのOEM(相手先ブランドによる生産)調達によって商品群を拡充。販売網も12年度までに1万店以上に増やす方針だ。
「MSN産経」を「iPhone」で
産経デジタルとマイクロソフトは、パソコン向けのニュースサイト「MSN産経ニュース」を米アップル社のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」で快適に閲覧することができるアプリ「MSN産経ニュース for iPhone」の提供を始めた。
MSN産経ニュースが提供する毎日約300本の最新ニュースや、写真などを無料で楽しめるほか、地下鉄などネットに接続できない環境でも、あらかじめダウンロードしておいた最大15本の記事を閲覧することができる。気になるニュースをアプリ上からツイッターに投稿することも可能だ。
さらに、産経新聞の紙面を閲覧できる既存のアプリ「産経新聞iPhone版」へワンタッチで移行できるボタンもついた。
一日のニュースがまとまった“紙面”は「産経新聞iPhone版」で、速報ニュースは「MSN産経ニュース for iPhone」でと、目的に応じて使い分けられる。
「日本は消費税上げを」IMF提言14~22%
【ワシントン=岡田章裕】国際通貨基金(IMF)は14日、日本に対する年次審査報告を発表し、先進国で最悪の水準となっている日本の財政状況について、「2011年度から段階的に消費税率を引き上げ、財政再建を始めるべき」と提言した。
特に税率について、「(消費税率を)15%に引き上げれば、国内総生産(GDP)比で4~5%(20兆円程度)の歳入増が生じる」などと言及している。IMFが税率や引き上げ時期などを詳細に示して増税を日本に求めるのは初めてだ。
報告は、「ギリシャの財政危機に端を発した欧州の信用不安を背景に財政再建の緊急性が増している」と強調した。そのうえで、日本の消費税率について、14~22%まで引き上げる案を提示。税率引き上げで短期的には「当初の3~5年間は、成長率を0・3%程度押し下げる」と推計した。しかし、中長期的には、「老後の不安などで蓄えていた貯蓄が消費に回る効果が見込める」として「毎年0・5%ずつ成長率を押し上げる」と結論付けている。
また、報告は、消費税率引き上げとともに、諸外国に比べて高い法人税率を引き下げ、雇用や投資を刺激する成長戦略も組み合わせることを求めている。日本銀行にも「景気回復が弱まった場合は追加緩和策が必要」との見解を示した。
さらに、日本の構造的な基礎的財政収支(PB)について、「今後10年間にわたり、年平均で(5兆円程度にあたる)GDP比1%分ずつ削減する目標設定が望ましい」とした。
世界20か国・地域(G20サミット)首脳会議は6月、日本を、各国が合意した財政再建目標の例外扱いし、菅首相が示した財政再建策を尊重する方針を決めた。しかし、報告は、GDP比で約180%(10年度末見込み)まで膨らんだ債務残高を抱える日本の財政に深刻な懸念を抱いていることを示している。
記者の目◇良品計画が中国で「勝ち組」になる条件
良品計画が中国展開に本腰を入れ始めた。国内では「カテゴリーキラー」と呼ばれる専門店が台頭するなか、総合雑貨店「無印良品」は苦しい状況が続く。シンプルな統一感を強みにしてきた無印ブランドだが、決して格安路線ではないこともあって節約志向の高まりにあらがうのは難しいようだ。ただ、中国に活路を見いだそうとするのは他の小売企業も同じ。各社がこぞって中国に進出する中で勝機をつかむには、かつて日本の消費者の心をつかんだように、現地消費者の価値観に訴求できるかどうかがカギとなる。
良品計画が9日に発表した2010年3~5月の連結決算は、純利益が前年同期比26%減の21億円だった。食品や生活雑貨の販売は堅調だったものの、高利益率の衣料品が10%強も落ち込んだ。春先の天候不順の影響も一部あったが、衣料品販売はネット通販でも15%減少。金井政明社長は同日の記者会見で、「客単価が上がらない。堅実で価格に敏感な消費が続いている」と、価格重視の消費動向に対応できていない状況を厳しい表情で振り返った。
国内の閉塞(へいそく)感が強まるなか、収益源確保のために急ぐのが中国事業の拡大だ。店舗運営のシステムや物流面のインフラを築いた後、13年に目指す100店体制の構築に向けて大量出店に踏み切る考えだ。
良品計画にとって中国事業の本格スタートは苦い経験を伴ったものだった。香港の企業が衣料品などを対象に「無印良品」を無断で商標登録し、本家であるはずの良品計画は衣料品や履物に「無印良品」ブランドが使用できなかった。訴訟が決着し全商品を「無印良品」ブランドに切り替えたのは08年になってからだった。苦労も多かっただけに経営陣の意気込みも強い。
ただ消費市場が拡大する中国といえども、スウェーデンの「ヘネス・アンド・モーリッツ(H&M)」やスペインのインディテックスが展開する「ZARA」、ファーストリテイリングのユニクロなど世界的な専門店チェーンはすでに先手を打って進出している。商標問題で出遅れてしまったハンディは少なくない。今後は出店立地の争奪戦や人件費の上昇など、収益圧迫要因も急速に増すことも予想される。良品計画はどう巻き返すつもりなのか。
「中国や東南アジアなど新興市場の消費者は、約8割が環境問題に関心を持っている」――。金井社長が中国戦略を語る際に引き合いに出すのが、大手広告代理店が実施した意識調査の結果だ。所得が伸びている中国では「簡素さがむしろ美しく、慎ましさが生活者の誇りにつながる」という無印良品のコンセプトを受け入れてくれる消費者層も一定以上存在するとみている。実際、都市部の比較的所得の多い層では、無印良品のファンもできつつあるという。
無印良品のコンセプトをより中国の現地事情に合わせたデザインに落とし込むための取り組みも始めた。5月には中国で現地のクリエーター約600人を集めた展覧会を開催。食器などの商品のデザインや使用素材の現地化を進める考えだ。
「中国でも次は、環境や生産者への配慮を打ち出した業態が伸びる」。こう読んだ金井社長の読みは功を奏するのか。中国でのブランド戦略の成否に注目が集まる。
NTTドコモの山田隆持社長は7月14日、東京ビッグサイト(東京・江東)で開幕した無線技術関連の展示会「ワイヤレスジャパン2010」で基調講演に登壇した。山田社長は2011年4月以降に出荷する全機種を「SIMロック」解除対応にする方針を表明しているが、講演でも改めて解除に向けて前向きな姿勢を示した。
「11年4月以降に発売される端末にSIMロック解除機能を搭載していく。いまの端末は解除できないが、導入以後はドコモショップに来てもらえれば対応する。ただし、周波数や通信方式、サービスなどが対応しないことも多いので、そのあたりの説明をきっちりとして、納得してもらったうえで解除する」
端末を特定の携帯電話会社だけで使えるように制限するSIMロックについては、総務省が今年6月、携帯電話会社が自主的に解除に取り組むことを要請するガイドラインを公表済み。山田社長は講演で、解除に向けた顧客対応などについて語った。
「iモード」機能などを備える一般の携帯電話端末は、SIMロックを解除してしまうと、メールや公式サイト、「おサイフケータイ」機能などが使えなくなってしまう。現在は、そうしたデメリットが一般ユーザーに必ずしも伝わっておらず、「顧客の奪い合いが激化して料金競争が起き、安くなった他社に移行できる」といった偏った情報が広がっている印象がある。そうした誤解を解くうえでも、店頭でデメリットを説明したういえで、それでも解除したい人に限って対応するという状況に持っていきたいようだ。
「Xperia」の取り扱いは?
基調講演後、山田社長に囲み取材をし、NTTドコモのSIMロック解除に対する様々な考え方を聞くことができた。
まず、疑問として浮かぶのがスマートフォンの取り扱いだ。iモード対応機などにはそもそもSIMロック解除機能が搭載されていないので、すぐには対応できない。しかし、スマートフォンであれば、ソフトウエアのバージョンアップでSIMロック解除機能を追加できそうなものだ。
これに対し、山田社長は「スマートフォンであっても、同じ来年4月以降の導入を考えている。(ドコモの人気スマートフォン「Xperia」の場合は)来年4月以降に発売されるかもしれない後継機種からになる。現行機種をSIMロック解除対応にするには、ユーザーから端末を預かる必要などがあり、不便をかけることになってしまう」と述べ、Xperiaの現行機種では対応しないことを明らかにした。
「料金プランはこれから詰める」
今回、NTTドコモはSIMロック解除に積極的な態度を示したが、導入の条件として「4キャリア同時展開」を総務省に提示している。「6月に総務省からSIMロック解除に関するガイドラインが出たが、やはり4事業者同じスタンスでの導入でなければならない。パブリックコメントでも表明したが、これはぜひ総務省にお願いしたいところ」と山田社長は強調した。
確かにNTTドコモだけがSIMロックを解除しても何の意味もない。通信方式が異なるKDDIは対象外としても、ソフトバンクモバイル、さらにはイー・モバイルにもSIMロック解除を求めるのは当然だろう。イー・モバイルの人気の携帯型無線LANルーター「ポケットWi-Fi」は現在、国内では1.7GHz帯の周波数でしかつながらないが、端末仕様上はNTTドコモなどが使用する2.1GHzにも対応している。
NTTドコモから見れば、自社ユーザーがドコモの端末のまま他社に乗り換えることもある一方で、他社ユーザーがSIMロックを解除した端末のままNTTドコモと契約することも可能になる。ではそのとき、NTTドコモはどんな料金プランを用意するのか。「それに関してはまだ詰め切れておらず、これから考えないといけない。ただ、基本的にはいまの料金プランが適用されるようにしていきたい」と山田社長は語る。
他社のスマートフォンでも、NTTドコモと契約すれば、同社の「パケ・ホーダイダブル」のスマートフォン定額である5985円が適用される、というのがユーザーとしては望ましいだろう。
香港版iPhoneも使えるようになる?
これは何も他の携帯電話会社の端末に限った話ではない。メーカーが独自にSIMロック解除端末を販売すれば、NTTドコモはそれに応じたプランを出す、ということになる。つまり、米アップルが海外と同様に、日本でも直販店「アップルストア」や家電量販店でSIMロックフリー版「iPhone」を販売すれば、NTTドコモで使える可能性が出てくるということだ。
海外製の「SIMフリースマートフォン」への対応も気になるところだ。海外では日本では販売されていない魅力的なスマートフォンがいくつも販売されている。それらを何らかの手段で購入し、NTTドコモのネットワークで使うことも可能になるのか。この疑問に対し、山田社長は「技適マークがどうなっているか次第。それもこれから詰めていくことになる」と語る。
「技適マーク」とは特定無線設備の技術基準適合証明等のマークのことで、電波法令で定める技術基準に適合している無線機であることを証明するものだ。日本の携帯電話会社が国内で販売している端末はこの「技適マーク」をきちんと取得している。しかし、日本での販売を前提にしていない海外の製品は、技適マークをほとんど取得していない。
香港などで売られているSIMロックフリー版のiPhoneは、本体背面に技適マークがないが、設定画面のなかに「認証」という項目があり、そこを開くと技適マークを表示できるようになっている。これまでは本体の外側に技適マークが見えるように刻印する必要があったが、10年4月28日に総務省が「技適マークをディスプレーに表示できれば問題ない」とする改正省令を施行。これにより、香港版SIMロックフリーiPhoneを日本で使用しても法的に問題がなくなった。来年4月以降は、香港版iPhoneをNTTドコモのネットワークにつなぎ、ドコモのスマートフォンとほぼ同等の料金で使うことが可能になるもしれない。
もっともiPhoneの16GBモデルは、ソフトバンクモバイルで購入して2年間使い続ければ、本体の実質的な負担額が0円となる。本体価格が数万円もする高価な香港版をわざわざ購入してドコモと契約するのは現実的でないかもしれない。
とはいえ、NTTドコモがiPhoneの販売権を得られない状態がこのまま続いたとしても、アップル自身がSIMロックフリー版を販売したり、輸入業者が海外版を日本に持ち込んだりすれば、NTTドコモで使えるiPhoneが日本で出回ることになるだろう。ソフトバンクモバイルは、iPhoneのSIMロック解除をかたくなに拒むだろうから、こちらのほうが現実的といえそうだ。
自信を深めるドコモ
SIMロック解除については、携帯電話会社間の取り決めなど、まだまだ調整しなくてはならないことが多い。山田社長は「例えばドコモ端末のSIMロックを外して他社に行った場合に、壊れたときの修理をどちらがやるべきかという問題がある。(これから事業者間で)制度を決めていかないとならない」と指摘する。
ユーザーの選択肢が増えて端末と回線を自由に選べるようになる一方で、故障やサービスが使えなくなったときに十分なアフターサービスを受けられないのであれば、かえって消費者の不利益になる可能性もある。それらの問題をいかにつぶしていくかが肝心となってくるだろう。
最後に山田社長は「(SIMロック解除によって)ユーザーの選択の幅が増える。(ドコモは)料金やネットワークエリア、品質がいい。解除によって受けられるサービスは変わってくるが、そこはしっかりと説明する。とにかく、ドコモショップに来てもらいたい」と語った。NTTドコモはネットワーク品質の高さを武器に、来るSIMロック解除時代に向けてますます自信を深めているように見える。
KDDIとソフトバンク、SKテレコムが連携 決済サービスなどで
KDDIは15日、ソフトバンク傘下のソフトバンクモバイル、韓国の携帯電話会社SKテレコムと、日韓両国で利用できる携帯電話を使った決済サービスで連携すると発表した。これまでは携帯電話をかざして財布代わりに決済する場合、通信方式の違いによって日本国内で利用する端末を韓国内で使うことはできなかった。今回の連携により、設備の相互利用や両国で利用可能なサービスなどを検討する。
NTT、南アIT大手を3000億円で買収
システム事業世界展開
NTTはロンドン証券取引所に上場する情報システム大手、ディメンション・データ(南アフリカ・ヨハネスブルク)を買収する方向で最終調整に入った。合意すれば来月にもTOB(株式公開買い付け)を実施、完全子会社化する。買収総額は3000億円弱になる見通し。ディメンション社は約50カ国でシステム構築やデータセンター事業を手がけており、NTTは同事業を世界規模で展開する。
ディメンション社の時価総額は約2320億円(14日時点)。NTTは3000億円弱の買収資金を用意しているもよう。ディメンション社も交渉を受け入れ、友好的TOBになる見通し。
NTTでは子会社のNTTデータやNTTコミュニケーションズが情報システム事業を手がけているが顧客の多くは日本企業にとどまっていた。ディメンション社が持つ欧米アジアの有力企業に顧客層を広げる。
NTTはグループ各社とディメンション社との連携を進める。情報システムに不可欠な通信技術をNTTが提供。NTTデータの国内拠点とディメンション社の海外拠点を結び、グローバル企業のシステム受託を目指す。ネットワーク経由でソフトやシステム機能を提供する「クラウドコンピューティング」事業も拡大する方針。NTTドコモの技術を生かし外出先から社内情報を閲覧できるサービスも検討する。
NTTは今年度までの3カ年計画で海外売上高を2000億円から4000億円にする計画だが、買収により一気に7000億円規模になる。
NTTは2000年前後、積極的に海外企業に出資。01年までにNTTドコモが米AT&Tワイヤレスなど携帯会社に総額1兆9000億円を投じた。NTTコムも米インターネット大手ベリオを6000億円で買収した。しかし、IT(情報技術)バブルの崩壊などで投資先の財務体質が悪化、撤退や巨額の損失計上を迫られ、失敗に終わった。最近、改めて投資を再開している。
現在、NTTは通信会社に限らず、情報システムにも対象を広げる投資戦略をとっている。通信事業はインフラへの投資や各国の許認可の影響を受けやすく、リスクが高い。情報システムやデータセンターの運営は安定した収入が見込めるため世界各国での事業展開に乗り出す。
東芝、中国にテレビ販売会社設立 TCL集団と合弁
東芝は15日、中国家電大手のTCL集団(広東省)と合弁で、中国での液晶テレビ拡販に向けた販売会社「東芝ビジュアルプロダクツ(中国)」を設立すると発表した。2012年度の現地のテレビ市場が09年度比で2倍近くまで拡大すると予測しており、TCLの販売網を活用して沿岸部の大都市に加えて内陸の中規模都市でも売り込む考えだ。
新会社の資本金は5000万元(約6億3000万円)で、東芝が51%、TCLが49%出資。本社を広東省恵州市に置き、9月から営業を始める。東芝の中国の自社拠点での生産に加えて、TCLからのOEM(相手先ブランドによる生産)調達によって商品群を拡充。販売網も12年度までに1万店以上に増やす方針だ。
「MSN産経」を「iPhone」で
産経デジタルとマイクロソフトは、パソコン向けのニュースサイト「MSN産経ニュース」を米アップル社のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」で快適に閲覧することができるアプリ「MSN産経ニュース for iPhone」の提供を始めた。
MSN産経ニュースが提供する毎日約300本の最新ニュースや、写真などを無料で楽しめるほか、地下鉄などネットに接続できない環境でも、あらかじめダウンロードしておいた最大15本の記事を閲覧することができる。気になるニュースをアプリ上からツイッターに投稿することも可能だ。
さらに、産経新聞の紙面を閲覧できる既存のアプリ「産経新聞iPhone版」へワンタッチで移行できるボタンもついた。
一日のニュースがまとまった“紙面”は「産経新聞iPhone版」で、速報ニュースは「MSN産経ニュース for iPhone」でと、目的に応じて使い分けられる。
「日本は消費税上げを」IMF提言14~22%
【ワシントン=岡田章裕】国際通貨基金(IMF)は14日、日本に対する年次審査報告を発表し、先進国で最悪の水準となっている日本の財政状況について、「2011年度から段階的に消費税率を引き上げ、財政再建を始めるべき」と提言した。
特に税率について、「(消費税率を)15%に引き上げれば、国内総生産(GDP)比で4~5%(20兆円程度)の歳入増が生じる」などと言及している。IMFが税率や引き上げ時期などを詳細に示して増税を日本に求めるのは初めてだ。
報告は、「ギリシャの財政危機に端を発した欧州の信用不安を背景に財政再建の緊急性が増している」と強調した。そのうえで、日本の消費税率について、14~22%まで引き上げる案を提示。税率引き上げで短期的には「当初の3~5年間は、成長率を0・3%程度押し下げる」と推計した。しかし、中長期的には、「老後の不安などで蓄えていた貯蓄が消費に回る効果が見込める」として「毎年0・5%ずつ成長率を押し上げる」と結論付けている。
また、報告は、消費税率引き上げとともに、諸外国に比べて高い法人税率を引き下げ、雇用や投資を刺激する成長戦略も組み合わせることを求めている。日本銀行にも「景気回復が弱まった場合は追加緩和策が必要」との見解を示した。
さらに、日本の構造的な基礎的財政収支(PB)について、「今後10年間にわたり、年平均で(5兆円程度にあたる)GDP比1%分ずつ削減する目標設定が望ましい」とした。
世界20か国・地域(G20サミット)首脳会議は6月、日本を、各国が合意した財政再建目標の例外扱いし、菅首相が示した財政再建策を尊重する方針を決めた。しかし、報告は、GDP比で約180%(10年度末見込み)まで膨らんだ債務残高を抱える日本の財政に深刻な懸念を抱いていることを示している。
記者の目◇良品計画が中国で「勝ち組」になる条件
良品計画が中国展開に本腰を入れ始めた。国内では「カテゴリーキラー」と呼ばれる専門店が台頭するなか、総合雑貨店「無印良品」は苦しい状況が続く。シンプルな統一感を強みにしてきた無印ブランドだが、決して格安路線ではないこともあって節約志向の高まりにあらがうのは難しいようだ。ただ、中国に活路を見いだそうとするのは他の小売企業も同じ。各社がこぞって中国に進出する中で勝機をつかむには、かつて日本の消費者の心をつかんだように、現地消費者の価値観に訴求できるかどうかがカギとなる。
良品計画が9日に発表した2010年3~5月の連結決算は、純利益が前年同期比26%減の21億円だった。食品や生活雑貨の販売は堅調だったものの、高利益率の衣料品が10%強も落ち込んだ。春先の天候不順の影響も一部あったが、衣料品販売はネット通販でも15%減少。金井政明社長は同日の記者会見で、「客単価が上がらない。堅実で価格に敏感な消費が続いている」と、価格重視の消費動向に対応できていない状況を厳しい表情で振り返った。
国内の閉塞(へいそく)感が強まるなか、収益源確保のために急ぐのが中国事業の拡大だ。店舗運営のシステムや物流面のインフラを築いた後、13年に目指す100店体制の構築に向けて大量出店に踏み切る考えだ。
良品計画にとって中国事業の本格スタートは苦い経験を伴ったものだった。香港の企業が衣料品などを対象に「無印良品」を無断で商標登録し、本家であるはずの良品計画は衣料品や履物に「無印良品」ブランドが使用できなかった。訴訟が決着し全商品を「無印良品」ブランドに切り替えたのは08年になってからだった。苦労も多かっただけに経営陣の意気込みも強い。
ただ消費市場が拡大する中国といえども、スウェーデンの「ヘネス・アンド・モーリッツ(H&M)」やスペインのインディテックスが展開する「ZARA」、ファーストリテイリングのユニクロなど世界的な専門店チェーンはすでに先手を打って進出している。商標問題で出遅れてしまったハンディは少なくない。今後は出店立地の争奪戦や人件費の上昇など、収益圧迫要因も急速に増すことも予想される。良品計画はどう巻き返すつもりなのか。
「中国や東南アジアなど新興市場の消費者は、約8割が環境問題に関心を持っている」――。金井社長が中国戦略を語る際に引き合いに出すのが、大手広告代理店が実施した意識調査の結果だ。所得が伸びている中国では「簡素さがむしろ美しく、慎ましさが生活者の誇りにつながる」という無印良品のコンセプトを受け入れてくれる消費者層も一定以上存在するとみている。実際、都市部の比較的所得の多い層では、無印良品のファンもできつつあるという。
無印良品のコンセプトをより中国の現地事情に合わせたデザインに落とし込むための取り組みも始めた。5月には中国で現地のクリエーター約600人を集めた展覧会を開催。食器などの商品のデザインや使用素材の現地化を進める考えだ。
「中国でも次は、環境や生産者への配慮を打ち出した業態が伸びる」。こう読んだ金井社長の読みは功を奏するのか。中国でのブランド戦略の成否に注目が集まる。