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ノキア・シーメンス、モトローラの基地局事業買収
【フランクフルト=下田英一郎】欧州通信機器大手のノキア・シーメンス・ネットワークス(フィンランド)は19日、米モトローラから携帯電話の通信規格「CDMA」などの無線インフラ事業を12億ドル(約1040億円)で買収することで合意したと発表した。両社はともに競争激化で業績が低迷。ノキア・シーメンスは米国や日本で普及するCDMA向け基地局事業を強化し、モトローラは次世代の無線機器事業に集中することで経営再建を急ぐ。
ノキア・シーメンスは通信規格「GSM」向けの通信インフラ事業が主力で、CDMAは手薄だった。CDMAとGSMの双方を含むモトローラの無線インフラ事業の大半の資産を現金で買収するという。年内には買収作業を終える見通し。モトローラの従業員7500人や米国、中国、インドの研究開発拠点もノキア・シーメンスに移る。
買収によってCDMA向け携帯電話を手掛けるKDDIや中国通信大手の中国移動通信集団(チャイナモバイル)、米携帯電話最大手のベライゾン・ワイヤレスなどとの関係を強化。競合するエリクソン(スウェーデン)などに対抗する。
一方モトローラは会社を携帯・家庭用機器事業と業務用機器・サービス事業に2分割するなど、構造改革を進めている。今回は「iDEN」と呼ぶ次世代無線機器事業を手元に残し、携帯機器事業をてこ入れする考えだ。
交流ゲームが市場「攻略」 無料で躍進、新たな収益源に
携帯電話を使って気軽に、参加者同士が交流しながら遊べる「ソーシャルゲーム」が、ゲーム市場で存在感を高めている。ゲームをあまりやらない「ライトユーザー」も引きつけ、市場規模は2011年度に1000億円の大台を突破する見通しだ。大手ソフトメーカーもソフト投入を積極化。任天堂の「Wii」など専用ゲーム機にソフトが一極集中してきた従来のゲーム市場に構造変化をもたらしている。
「豊富な種類のゲームが提供され、利用者数と課金額ともに順調に拡大している」
携帯電話端末向けSNSを運営するディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子社長は事業の好調さをアピールする。DeNAは、ソーシャルゲームサービス「モバゲータウン」を運営し、会員数は6月末で1993万人と右肩上がりで増加した。
ソーシャルゲームは、主に携帯電話を使って遊ぶことができるオンラインゲームで、会員同士で対戦や共同作業をする交流機能を持つのが特徴だ。利用料金は基本的に無料で、サービス事業者は広告収入と、ゲーム内で使用するアイテムなどユーザー課金が収益の柱だ。
ソーシャルゲームの伸びは著しく、市場調査会社の矢野経済研究所によると、国内市場規模は09年度は前年比8.5倍増の338億円と急増。11年度には1171億円に拡大する見込みだ。
モバゲータウンに加え、ミクシィが展開する「mixi」、グリーが展開する「GREE」の3社のサービスが会員数2000万人前後でしのぎを削る。
各社が成長の起爆剤と位置づけるのが大手ゲームソフト会社のソフト。ソーシャルゲームは自社開発のソフトが中心だったが、mixiが昨年8月に初めて外部メーカーによるソフト投入を可能とし、モバゲータウンも今年1月、GREEも6月に追随した。DeNAの南場社長は「新たなゲームが新たな利用者を呼んだ」と指摘する。
ソフト会社側もソーシャルゲームに大きな期待を寄せる。
◇
■携帯が強み 専用機ビジネス揺らす
セガは6月29日にGREE向けに2作品の配信を開始。セガの鶴見尚也常務は「ソーシャルゲームは急速に伸びており、見過ごせない市場」と述べ、配信を本格化させる。カプコンやバンダイナムコゲームスもソフト投入を積極化。「家庭用ゲーム市場が落ち込む中で、収益を補う」(大手)考えだ。
一方で、ソーシャルゲームの隆盛は既存の専用ゲーム機ビジネスを揺さぶる。専用ゲーム機首位の任天堂の岩田聡社長は、「ソーシャルゲームに飲み込まれることはない」と一蹴(いっしゅう)するが、「消費者の限られた時間を奪い合うことは間違いない」(野村総合研究所の山崎秀夫シニア研究員)との見方は強く、今後、ユーザーの奪い合いになるのは間違いない。
■顧客維持へ 新機能不可欠
ソーシャルゲームは交流機能が利用者を引きつけており米国でも人気となっている。特に携帯電話のネットワーク機能との親和性が高く、携帯電話向けゲームは大半がソーシャルゲームに置き換わるとみている。
ただ、ソーシャルゲームは内容がシンプルなので、新しい機能を付加するといった工夫をしないと2年くらいで消費者が飽きてくるという課題もある。また、GREEなどソーシャルゲームのサービス提供会社の競争も激化し、混乱期に入る。
ただ、ゲーム専用機にとって脅威になるのは間違いない。差別化を図るため、専用機でしかできないような重厚なゲームを強化するといった努力が必要になる。
これは、ソフト開発費の高騰要因になる可能性がある。一方でmixi向けに人気ソフト「サンシャイン牧場」を供給している「レクー」など中国メーカーの参入も増えるなど、専用機向けの事業は厳しさが見込まれる。
家庭充電型ハイブリッド車、ホンダが13年メド発売
トヨタは12年に、開発競争が加速
ホンダは2013年をめどにプラグインハイブリッド車(PHV)と電気自動車(EV)を発売する。ハイブリッド車(HV)の米国生産の検討にも入った。トヨタ自動車はPHVとEVを12年から量産する方針を打ち出している。環境技術で世界をリードする国内大手2社が、HVに続く次世代自動車を相次ぎ投入することで、環境対応車の開発競争が加速し、市場拡大にも弾みがつきそうだ。
ホンダはPHVとEVに関連する技術の確立と商品化を「3年以内」とする方針を固めた。伊東孝紳社長が20日に記者会見を開き、PHV、EVなど次世代自動車の投入計画を正式に表明する。
PHVには高性能のリチウムイオン電池を搭載し、家庭のコンセントでも充電できる。従来のHVが減速時に発電して蓄えた電気を、発進・加速時などにあくまでエンジンの補助として使うのに対し、PHVは短距離なら電動モーターだけで走行が可能。燃費はトヨタのHV「プリウス」のガソリン1リットルあたり38キロメートルをさらに上回る見通しで、二酸化炭素(CO2)排出量も減らせる。
ホンダは燃費を同60キロメートル以上とし、年間数万台規模で販売することをめざす。HVに続く次世代自動車の本命と位置付け、日米など主力市場への先行投入を検討する。トヨタが12年に量産するPHVはプリウスをベースに開発し、燃費は57キロメートルにする計画だ。
販売専用ソフトをレンタル転用 CCC、旧作洋画で
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は廃盤になったり、販売専用だったために貸し出せなかったりした旧作洋画ソフトをレンタル用に転用する。まず1960~90年代の洋画から22作を選び、23日から同社が展開する「TSUTAYA(ツタヤ)」の全国約1400店で貸し出す。シニア層などの需要を開拓し、映画ソフトレンタルの活性化につなげる。
販売専用だった英国映画「ジャガーノート」など認知度が低くても映画ファンの間で評価が高い作品をレンタルすれば需要が見込めると判断。メーカーの協力を得て、廃盤作品の再製作も含め、年内にタイトル数を200に増やす方針。料金は旧作映画と同じ設定(1週間で300円前後)とする。一部作品を対象に顧客が満足できなかった場合、返却時に料金を返金する制度も設ける。
新サービスで2011年3月期に90億円の売上高をめざす。ツタヤの10年3月期の映像レンタル事業の売上高は前の期に比べて4.3%減った。映像レンタル事業のてこ入れが急務となっている。
資源大手統合、試される公取 日本、世界に先駆け「ノー」可能性も
世界の資源大手2社の事業統合に対し、その是非を審査中の公正取引委員会が、世界の独占禁止当局に先駆けて「ノー」を突きつける可能性が高まってきた。大手2社は、日本にとって鉄鉱石輸入の6割近くを占め、計画通りに事業統合が実現すれば需給が大手資源の思い通りにされかねないなど影響が大きい。世界の独禁行政で日本の発言力拡大を求める声が高まる中、日本が先行判断に踏み切れるか試される。
統合を検討しているのは、鉄鉱石世界2位のリオ・ティントと3位のBHPビリトンの鉄鉱石生産事業だ。両社は、オーストラリア西部での鉄鉱石生産事業を年内に統合し新会社を設立する計画だ。豪州西部で両者の鉄鉱石生産のほぼ9割を占めるなど、資源供給に大きな影響を与えるとみられ、日本をはじめ世界の独禁当局が審査を続けている。
これについて日本の公取は先週末、本格的な審査である2次審査入りを決めた。2次審査は、そのままでは独禁法に抵触する可能性が高い場合など慎重に審査をする必要性が高いときに踏み切る。
公取は今後、両社から判断に必要な資料の提出を受け、それから90日以内に判断する。資料提供や審査が順調に進めば、10月中旬にも判断の期限が来る。
一方、審査中の欧州連合(EU)当局とドイツの当局は10月末に審査結果を公表する方向で、韓国や豪州などの当局はEUの判断待ちの姿勢とみられる。このため日本が先行する可能性は高い。
独禁法適用の適否を客観的に判断するという立場上、公取自身は先行判断に対する意欲を表向きには示していない。しかし関係者によると、資源2社に資料提出で時間稼ぎをさせないよう、強い姿勢で取り組んでいるという。
2社は2年前にも買収計画を発表し、このときはEU当局がBHPに一部事業売却を求め、破談になった。鉄鋼メーカーなどは破談の結果には胸をなで下ろしたが、大きな影響を受ける日本が主導できなかったことに、世界での発言力低下を懸念する声が高まっていた。
それでも日銀は動かない?
「金融緩和や景気後退をそれなりに織り込んだ水準になりつつある」。大和証券キャピタル・マーケッツの尾野功一シニアストラテジストは最近の債券相場を眺め、こう語る。近い将来の金融緩和を織り込んでいない限り、説明できないような金利体系になってきたというわけだ。
米景気指標の悪化から先行きの不透明感が高まった16日の債券市場。新発10年物国債の流通利回りは一時1.065%まで低下し、1日につけた1.055%に接近。2003年8月以来の1%台割れが再び視野に入ってきた。
2年債利回りは0.13~0.15%台と政策金利の0.1%に近づき、すでに下げ余地はあまりない。まず5年債利回りが、すでに下限に近い2年債にさや寄せする形で下がり、10年債利回りがやや遅れて追随する構図だ。時を追うごとに金利の低下圧力が年限の長い債券に及ぶ、利回り曲線の平たん化(ブル・フラットニング)。景気の腰折れや金融緩和を織り込む典型的な現象だ。
各年限の利回りを政策金利に対するスプレッド(上乗せ幅)の形で示すと、興味深いことがわかる。10年債スプレッドから2年債スプレッドを差し引いた10-2年債の格差は、16日現在、0.95%。4月7日の1.25%を直近のピークにじりじり縮小しつつある。2002年以降、10-2年債の格差が最も小さかったのが、03年6月の0.4%。当時は景気回復期の2年目だったが、金融システム問題などを背景に市場の景況感が悪化し、債券相場が過熱した時期に当たる。日銀の金融政策は量的緩和政策の拡大過程にあった。
現在の2年債のスプレッドは0.035%で、03年6月と同じ水準だ。5年債スプレッドも現在が0.245%なのに対し、03年6月が0.16%で、それなりに近い。一方、10年債スプレッドは現在が0.985%なのに対し、03年6月当時が0.435%。両者にはかなり差がある。
つまり03年当時と比べると、現在の5年債の利回りは低下余地が乏しくなってきた一方で、10年債利回りにはなお大幅な下げ余地があるということだ。すでに5年債利回りはかなり景気後退や金融緩和を織り込んでいるということを示す。市場に弱気のムードが続けば、10年債にも金利低下圧力が及びやすい情勢だ。
日銀はどうみているのか。「世界経済がどこまで減速するのか、市場は気迷いを続けている」。ある幹部はこう語る。気迷いの過程では、いったんは景気の後退を織り込むような場面もあるという見方だ。日銀は15日の景気見通しで示したように、緩やかな回復が続くというシナリオを崩していない。単に債券市場に追加緩和を催促されただけでは、追加緩和に動くつもりはないようだ。
外為市場では円高が進み、16日の海外市場では約7カ月半ぶりの高値をつけた。実効レートでみると、臨時の金融政策決定会合で追加緩和策を決めた昨年12月ごろの水準を超えてきた。最近では米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和が織り込まれつつあり、日銀の金融政策が現状維持なら、思わぬ円高を招く恐れもゼロではない。それでも、いまのところは「当時とは企業収益の強さが違う。企業マインドの下振れは起きていない」として平静を保っている。
「我々が正しいとすれば、市場が間違っているということ」。日銀はこう割り切っているようだ。景気の拡大が続き、日銀と市場との「勝負」に勝つのか。秋にかけて景気の減速懸念が強まり、市場に負けるのか。それとも政治情勢が不透明ななかで勝負がつく前に、急激な円高など「市場の暴力」で動かざるを得ない事態に陥るのか。03年は景気回復が続き、夏以降、債券相場は急落(長期金利は急上昇)したのだが……。
【産経主張】米金融規制法 景気冷やさぬ慎重運用を
米国の金融規制改革法案が上院で可決され、オバマ大統領の署名を経て成立する。一昨年9月のリーマン・ブラザーズ破綻(はたん)に伴う世界金融危機を教訓に、再発を防ぐための金融規制が大幅に強化される。
高額の報酬目当てにリスクの高い取引に手を出し、危機を招いた金融業界に一定のたがをはめることには異論がない。「大きすぎてつぶせない」との理由から、税金で金融機関を救うような事態は二度と起こさないとの決意表明が、今回の法案の趣旨ともいえるからだ。
しかし、米国の金融機関の不良債権処理は遅れており、景気の足取りもまだ不確かだ。規制が行き過ぎて、米経済を萎縮(いしゅく)させるようなことになれば、世界経済にも影響を及ぼしかねない。
法案は今年11月の米議会中間選挙を控え、金融機関に対する厳しい世論を多分に意識しているとされる。今後の具体的な法律の運用にあたっては、「角を矯めて牛を殺す」結果にならぬよう、慎重な対応を求めたい。
法案には米連邦準備制度理事会(FRB)によるノンバンクを含む大手金融機関の監督強化や、金融システムを監視する協議会の新設、経営難に陥った大手銀行を税金で救済せずに破綻処理する制度の整備などが盛り込まれた。銀行自らの投機的取引やヘッジファンドなどへの投資を制限し、自己資本規制も強化する。
米国は1933年、世界恐慌を教訓に、銀行と証券の業務を明確に分離するグラス・スティーガル法を定めた。しかし、その後、欧州の金融機関との競争条件を同じにする狙いもあって同法を撤廃、大胆に規制緩和を進めた。今回の措置は、その金融自由化路線を再び抜本的に転換するものだ。
今後の課題は、日本や欧州など各国で異なる金融規制の整合性をいかに図っていくかだ。投機資金は規制の緩い国や規制の抜け穴を狙って動く。各国がバラバラに新たな金融規制を打ち出すことは、世界の金融システムを不安定化しかねない。
「リーマン・ショック」の再発防止は各国共通の目標だ。主要20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議などで金融規制の国際協調に向けた議論が積み重ねられている。新たな規制が国内の金融機関にとって不利にならぬよう、日本も国際ルールづくりで積極的に声を上げていく必要がある。
【フランクフルト=下田英一郎】欧州通信機器大手のノキア・シーメンス・ネットワークス(フィンランド)は19日、米モトローラから携帯電話の通信規格「CDMA」などの無線インフラ事業を12億ドル(約1040億円)で買収することで合意したと発表した。両社はともに競争激化で業績が低迷。ノキア・シーメンスは米国や日本で普及するCDMA向け基地局事業を強化し、モトローラは次世代の無線機器事業に集中することで経営再建を急ぐ。
ノキア・シーメンスは通信規格「GSM」向けの通信インフラ事業が主力で、CDMAは手薄だった。CDMAとGSMの双方を含むモトローラの無線インフラ事業の大半の資産を現金で買収するという。年内には買収作業を終える見通し。モトローラの従業員7500人や米国、中国、インドの研究開発拠点もノキア・シーメンスに移る。
買収によってCDMA向け携帯電話を手掛けるKDDIや中国通信大手の中国移動通信集団(チャイナモバイル)、米携帯電話最大手のベライゾン・ワイヤレスなどとの関係を強化。競合するエリクソン(スウェーデン)などに対抗する。
一方モトローラは会社を携帯・家庭用機器事業と業務用機器・サービス事業に2分割するなど、構造改革を進めている。今回は「iDEN」と呼ぶ次世代無線機器事業を手元に残し、携帯機器事業をてこ入れする考えだ。
交流ゲームが市場「攻略」 無料で躍進、新たな収益源に
携帯電話を使って気軽に、参加者同士が交流しながら遊べる「ソーシャルゲーム」が、ゲーム市場で存在感を高めている。ゲームをあまりやらない「ライトユーザー」も引きつけ、市場規模は2011年度に1000億円の大台を突破する見通しだ。大手ソフトメーカーもソフト投入を積極化。任天堂の「Wii」など専用ゲーム機にソフトが一極集中してきた従来のゲーム市場に構造変化をもたらしている。
「豊富な種類のゲームが提供され、利用者数と課金額ともに順調に拡大している」
携帯電話端末向けSNSを運営するディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子社長は事業の好調さをアピールする。DeNAは、ソーシャルゲームサービス「モバゲータウン」を運営し、会員数は6月末で1993万人と右肩上がりで増加した。
ソーシャルゲームは、主に携帯電話を使って遊ぶことができるオンラインゲームで、会員同士で対戦や共同作業をする交流機能を持つのが特徴だ。利用料金は基本的に無料で、サービス事業者は広告収入と、ゲーム内で使用するアイテムなどユーザー課金が収益の柱だ。
ソーシャルゲームの伸びは著しく、市場調査会社の矢野経済研究所によると、国内市場規模は09年度は前年比8.5倍増の338億円と急増。11年度には1171億円に拡大する見込みだ。
モバゲータウンに加え、ミクシィが展開する「mixi」、グリーが展開する「GREE」の3社のサービスが会員数2000万人前後でしのぎを削る。
各社が成長の起爆剤と位置づけるのが大手ゲームソフト会社のソフト。ソーシャルゲームは自社開発のソフトが中心だったが、mixiが昨年8月に初めて外部メーカーによるソフト投入を可能とし、モバゲータウンも今年1月、GREEも6月に追随した。DeNAの南場社長は「新たなゲームが新たな利用者を呼んだ」と指摘する。
ソフト会社側もソーシャルゲームに大きな期待を寄せる。
◇
■携帯が強み 専用機ビジネス揺らす
セガは6月29日にGREE向けに2作品の配信を開始。セガの鶴見尚也常務は「ソーシャルゲームは急速に伸びており、見過ごせない市場」と述べ、配信を本格化させる。カプコンやバンダイナムコゲームスもソフト投入を積極化。「家庭用ゲーム市場が落ち込む中で、収益を補う」(大手)考えだ。
一方で、ソーシャルゲームの隆盛は既存の専用ゲーム機ビジネスを揺さぶる。専用ゲーム機首位の任天堂の岩田聡社長は、「ソーシャルゲームに飲み込まれることはない」と一蹴(いっしゅう)するが、「消費者の限られた時間を奪い合うことは間違いない」(野村総合研究所の山崎秀夫シニア研究員)との見方は強く、今後、ユーザーの奪い合いになるのは間違いない。
■顧客維持へ 新機能不可欠
ソーシャルゲームは交流機能が利用者を引きつけており米国でも人気となっている。特に携帯電話のネットワーク機能との親和性が高く、携帯電話向けゲームは大半がソーシャルゲームに置き換わるとみている。
ただ、ソーシャルゲームは内容がシンプルなので、新しい機能を付加するといった工夫をしないと2年くらいで消費者が飽きてくるという課題もある。また、GREEなどソーシャルゲームのサービス提供会社の競争も激化し、混乱期に入る。
ただ、ゲーム専用機にとって脅威になるのは間違いない。差別化を図るため、専用機でしかできないような重厚なゲームを強化するといった努力が必要になる。
これは、ソフト開発費の高騰要因になる可能性がある。一方でmixi向けに人気ソフト「サンシャイン牧場」を供給している「レクー」など中国メーカーの参入も増えるなど、専用機向けの事業は厳しさが見込まれる。
家庭充電型ハイブリッド車、ホンダが13年メド発売
トヨタは12年に、開発競争が加速
ホンダは2013年をめどにプラグインハイブリッド車(PHV)と電気自動車(EV)を発売する。ハイブリッド車(HV)の米国生産の検討にも入った。トヨタ自動車はPHVとEVを12年から量産する方針を打ち出している。環境技術で世界をリードする国内大手2社が、HVに続く次世代自動車を相次ぎ投入することで、環境対応車の開発競争が加速し、市場拡大にも弾みがつきそうだ。
ホンダはPHVとEVに関連する技術の確立と商品化を「3年以内」とする方針を固めた。伊東孝紳社長が20日に記者会見を開き、PHV、EVなど次世代自動車の投入計画を正式に表明する。
PHVには高性能のリチウムイオン電池を搭載し、家庭のコンセントでも充電できる。従来のHVが減速時に発電して蓄えた電気を、発進・加速時などにあくまでエンジンの補助として使うのに対し、PHVは短距離なら電動モーターだけで走行が可能。燃費はトヨタのHV「プリウス」のガソリン1リットルあたり38キロメートルをさらに上回る見通しで、二酸化炭素(CO2)排出量も減らせる。
ホンダは燃費を同60キロメートル以上とし、年間数万台規模で販売することをめざす。HVに続く次世代自動車の本命と位置付け、日米など主力市場への先行投入を検討する。トヨタが12年に量産するPHVはプリウスをベースに開発し、燃費は57キロメートルにする計画だ。
販売専用ソフトをレンタル転用 CCC、旧作洋画で
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は廃盤になったり、販売専用だったために貸し出せなかったりした旧作洋画ソフトをレンタル用に転用する。まず1960~90年代の洋画から22作を選び、23日から同社が展開する「TSUTAYA(ツタヤ)」の全国約1400店で貸し出す。シニア層などの需要を開拓し、映画ソフトレンタルの活性化につなげる。
販売専用だった英国映画「ジャガーノート」など認知度が低くても映画ファンの間で評価が高い作品をレンタルすれば需要が見込めると判断。メーカーの協力を得て、廃盤作品の再製作も含め、年内にタイトル数を200に増やす方針。料金は旧作映画と同じ設定(1週間で300円前後)とする。一部作品を対象に顧客が満足できなかった場合、返却時に料金を返金する制度も設ける。
新サービスで2011年3月期に90億円の売上高をめざす。ツタヤの10年3月期の映像レンタル事業の売上高は前の期に比べて4.3%減った。映像レンタル事業のてこ入れが急務となっている。
資源大手統合、試される公取 日本、世界に先駆け「ノー」可能性も
世界の資源大手2社の事業統合に対し、その是非を審査中の公正取引委員会が、世界の独占禁止当局に先駆けて「ノー」を突きつける可能性が高まってきた。大手2社は、日本にとって鉄鉱石輸入の6割近くを占め、計画通りに事業統合が実現すれば需給が大手資源の思い通りにされかねないなど影響が大きい。世界の独禁行政で日本の発言力拡大を求める声が高まる中、日本が先行判断に踏み切れるか試される。
統合を検討しているのは、鉄鉱石世界2位のリオ・ティントと3位のBHPビリトンの鉄鉱石生産事業だ。両社は、オーストラリア西部での鉄鉱石生産事業を年内に統合し新会社を設立する計画だ。豪州西部で両者の鉄鉱石生産のほぼ9割を占めるなど、資源供給に大きな影響を与えるとみられ、日本をはじめ世界の独禁当局が審査を続けている。
これについて日本の公取は先週末、本格的な審査である2次審査入りを決めた。2次審査は、そのままでは独禁法に抵触する可能性が高い場合など慎重に審査をする必要性が高いときに踏み切る。
公取は今後、両社から判断に必要な資料の提出を受け、それから90日以内に判断する。資料提供や審査が順調に進めば、10月中旬にも判断の期限が来る。
一方、審査中の欧州連合(EU)当局とドイツの当局は10月末に審査結果を公表する方向で、韓国や豪州などの当局はEUの判断待ちの姿勢とみられる。このため日本が先行する可能性は高い。
独禁法適用の適否を客観的に判断するという立場上、公取自身は先行判断に対する意欲を表向きには示していない。しかし関係者によると、資源2社に資料提出で時間稼ぎをさせないよう、強い姿勢で取り組んでいるという。
2社は2年前にも買収計画を発表し、このときはEU当局がBHPに一部事業売却を求め、破談になった。鉄鋼メーカーなどは破談の結果には胸をなで下ろしたが、大きな影響を受ける日本が主導できなかったことに、世界での発言力低下を懸念する声が高まっていた。
それでも日銀は動かない?
「金融緩和や景気後退をそれなりに織り込んだ水準になりつつある」。大和証券キャピタル・マーケッツの尾野功一シニアストラテジストは最近の債券相場を眺め、こう語る。近い将来の金融緩和を織り込んでいない限り、説明できないような金利体系になってきたというわけだ。
米景気指標の悪化から先行きの不透明感が高まった16日の債券市場。新発10年物国債の流通利回りは一時1.065%まで低下し、1日につけた1.055%に接近。2003年8月以来の1%台割れが再び視野に入ってきた。
2年債利回りは0.13~0.15%台と政策金利の0.1%に近づき、すでに下げ余地はあまりない。まず5年債利回りが、すでに下限に近い2年債にさや寄せする形で下がり、10年債利回りがやや遅れて追随する構図だ。時を追うごとに金利の低下圧力が年限の長い債券に及ぶ、利回り曲線の平たん化(ブル・フラットニング)。景気の腰折れや金融緩和を織り込む典型的な現象だ。
各年限の利回りを政策金利に対するスプレッド(上乗せ幅)の形で示すと、興味深いことがわかる。10年債スプレッドから2年債スプレッドを差し引いた10-2年債の格差は、16日現在、0.95%。4月7日の1.25%を直近のピークにじりじり縮小しつつある。2002年以降、10-2年債の格差が最も小さかったのが、03年6月の0.4%。当時は景気回復期の2年目だったが、金融システム問題などを背景に市場の景況感が悪化し、債券相場が過熱した時期に当たる。日銀の金融政策は量的緩和政策の拡大過程にあった。
現在の2年債のスプレッドは0.035%で、03年6月と同じ水準だ。5年債スプレッドも現在が0.245%なのに対し、03年6月が0.16%で、それなりに近い。一方、10年債スプレッドは現在が0.985%なのに対し、03年6月当時が0.435%。両者にはかなり差がある。
つまり03年当時と比べると、現在の5年債の利回りは低下余地が乏しくなってきた一方で、10年債利回りにはなお大幅な下げ余地があるということだ。すでに5年債利回りはかなり景気後退や金融緩和を織り込んでいるということを示す。市場に弱気のムードが続けば、10年債にも金利低下圧力が及びやすい情勢だ。
日銀はどうみているのか。「世界経済がどこまで減速するのか、市場は気迷いを続けている」。ある幹部はこう語る。気迷いの過程では、いったんは景気の後退を織り込むような場面もあるという見方だ。日銀は15日の景気見通しで示したように、緩やかな回復が続くというシナリオを崩していない。単に債券市場に追加緩和を催促されただけでは、追加緩和に動くつもりはないようだ。
外為市場では円高が進み、16日の海外市場では約7カ月半ぶりの高値をつけた。実効レートでみると、臨時の金融政策決定会合で追加緩和策を決めた昨年12月ごろの水準を超えてきた。最近では米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和が織り込まれつつあり、日銀の金融政策が現状維持なら、思わぬ円高を招く恐れもゼロではない。それでも、いまのところは「当時とは企業収益の強さが違う。企業マインドの下振れは起きていない」として平静を保っている。
「我々が正しいとすれば、市場が間違っているということ」。日銀はこう割り切っているようだ。景気の拡大が続き、日銀と市場との「勝負」に勝つのか。秋にかけて景気の減速懸念が強まり、市場に負けるのか。それとも政治情勢が不透明ななかで勝負がつく前に、急激な円高など「市場の暴力」で動かざるを得ない事態に陥るのか。03年は景気回復が続き、夏以降、債券相場は急落(長期金利は急上昇)したのだが……。
【産経主張】米金融規制法 景気冷やさぬ慎重運用を
米国の金融規制改革法案が上院で可決され、オバマ大統領の署名を経て成立する。一昨年9月のリーマン・ブラザーズ破綻(はたん)に伴う世界金融危機を教訓に、再発を防ぐための金融規制が大幅に強化される。
高額の報酬目当てにリスクの高い取引に手を出し、危機を招いた金融業界に一定のたがをはめることには異論がない。「大きすぎてつぶせない」との理由から、税金で金融機関を救うような事態は二度と起こさないとの決意表明が、今回の法案の趣旨ともいえるからだ。
しかし、米国の金融機関の不良債権処理は遅れており、景気の足取りもまだ不確かだ。規制が行き過ぎて、米経済を萎縮(いしゅく)させるようなことになれば、世界経済にも影響を及ぼしかねない。
法案は今年11月の米議会中間選挙を控え、金融機関に対する厳しい世論を多分に意識しているとされる。今後の具体的な法律の運用にあたっては、「角を矯めて牛を殺す」結果にならぬよう、慎重な対応を求めたい。
法案には米連邦準備制度理事会(FRB)によるノンバンクを含む大手金融機関の監督強化や、金融システムを監視する協議会の新設、経営難に陥った大手銀行を税金で救済せずに破綻処理する制度の整備などが盛り込まれた。銀行自らの投機的取引やヘッジファンドなどへの投資を制限し、自己資本規制も強化する。
米国は1933年、世界恐慌を教訓に、銀行と証券の業務を明確に分離するグラス・スティーガル法を定めた。しかし、その後、欧州の金融機関との競争条件を同じにする狙いもあって同法を撤廃、大胆に規制緩和を進めた。今回の措置は、その金融自由化路線を再び抜本的に転換するものだ。
今後の課題は、日本や欧州など各国で異なる金融規制の整合性をいかに図っていくかだ。投機資金は規制の緩い国や規制の抜け穴を狙って動く。各国がバラバラに新たな金融規制を打ち出すことは、世界の金融システムを不安定化しかねない。
「リーマン・ショック」の再発防止は各国共通の目標だ。主要20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議などで金融規制の国際協調に向けた議論が積み重ねられている。新たな規制が国内の金融機関にとって不利にならぬよう、日本も国際ルールづくりで積極的に声を上げていく必要がある。
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流出する雇用を取り戻すには
米インテルを創業した一人、アンドリュー・グローブ氏が米誌への寄稿でこう書いていた。「新しい製品や技術があればまず米国で量産化を、と昔は考えたものだ。最近は始めに中国ありきだ」
「フラット化する世界」などの著者トーマス・フリードマン氏が米紙に書いたコラム「(雇用をつくるのは)起業家精神」に反論した記事だというが、実際は最近のシリコンバレー経営者への批判だろう。起業家のアイデアが事業へと飛躍する過程で「量産化という重要なノウハウが米国から消えていく」と繰り返し嘆いている。
記事によれば、アップルやヒューレット・パッカード、デル、IBM、マイクロソフト、ソニーの製品を受託生産している台湾企業、鴻海(ホンハイ)精密工業は雇用者総数が80万人と、日米6社の従業員数の合計を上回る。中でもアップル製品をつくる中国の工場は、アップルの米従業員数を10倍も上回る雇用を生んでいる。
もはや、中国を抜きに世界のエレクトロニクス産業は成立しない。それはグローブ氏にも当然わかっているはずだが、技術や雇用が流出し続けている現実を看過していていいのか、との主張はもっともだ。米国人の多くは「アップル製品の多くがホンハイで生産されている事実を知らない」との調査結果もあり、本国にどんな機能を残し、流出した雇用はどんな方法で国内に取り戻すのか。やはり国民的な議論は必要だろう。
それは日本にとっても同様かもしれない。中国や東南アジアを「工場」に活用する電機メーカーは日本でも増えている。最近は雇用への波及力がさらに大きい自動車大手が国内の生産能力を減らし、アジアに生産シフトしようと動き出した。トヨタ自動車は1割、ホンダはそれ以上の国内能力を海外に移す可能性があるという。
円高もあるが、今後10年で2500万台もの新規需要を生み出すとされる新興国市場により近く生産拠点を持とうとの意識が自動車メーカーには強い。では成熟した日本で何をつくるか。最も重要な部分が見えてこないのがもどかしい。
日本から米国へ:「漫画の著作権侵害を停止せよ」
通常は、米国の政策当局者や企業幹部らが知的財産権の侵害に反対する世界的なキャンペーンを主導する。また米政府はこれまで、音楽と映画の著作権保護が不十分だとして日本を非難してきた。
しかし、日本からの最も目立った輸出品の一つと言える漫画に関しては、米国はモラルの高い基準を失っているようだ。
翻訳漫画の出版を手掛ける米バーティカルの編集ディレクター、イオアニス・メンザス氏は「米国では、知的所有権という概念が一般に広まっていると思うだろうが、私の見る限りでは水準は中国と同程度だ」と述べた。
バーティカルは、6月に多国間漫画著作権侵害対策連合(Multi-national Manga Anti-Piracy Coalition)を結成した日米の出版社42社のうちの1社。同連合は米国の違法な漫画サイトに対して「活動を直ちに止めるよう」求めるとともに、「差し止めによる救済や法的損害賠償を求め」、「違法サイトについては米連邦当局に通知する」と警告している。
米国ではこのところ、出版社や著作権者の許諾を得ずに漫画をスキャンし、吹き出しなどのテキストを英語に翻訳した「スキャンレーション」がちょっとしたブームになっているようだ。「スキャンレーション」という用語は、「スキャニング(拾い読み)」と「トランスレーション(翻訳)」を掛け合わせた造語で、通常はパラパラと目を通し編集して、翻訳した漫画を指す。こうした方法により、スキャンレーションを集積したサイト、スキャンレーション・アグリゲーターを通して無料で無数の米読者に入手可能となり、以前には日本語だけでしか手に入らなかった漫画本の人気が急上昇することになった。
チケット半分売れ残り、相撲案内所悲鳴
「営業を始めて以来の大打撃」「来年は存続できないかも」――。
観戦チケットの販売不振に、名古屋場所で4軒営業している相撲案内所は悲鳴を上げている。
案内所はチケット料金の10%、飲食代の約30%が収益の柱だ。各案内所が扱う升席券は昨年より15%少ない。それでも、野球賭博や暴力団観戦の騒動で客離れが進み、全体の約半分が売れ残った。ある案内所では「飲食物が売れず、経営が成り立たない」と嘆く。
相撲協会は案内所で売れ残ったチケットを一定の比率で買い戻す。それでも赤字は免れそうにない。場所前には、各案内所が140万円ずつ負担して建てた仮設小屋が建築基準法違反で市に撤去され、簡易テントに変更されるトラブルもあった。案内所組合の小関義明組合長は「この状況は死活問題。補償してもらえるよう、相撲協会と話し合いたい」と強く訴えた。
一方、観光への打撃も大きい。昨年は計約200人の観戦ツアーを行った名阪近鉄旅行(名古屋市)は、今年は申し込みがなく中止し、近県の旅行会社でもツアー中止が相次いだ。愛知県体育館近くのホテルでは、ペア15組を募集した観戦プランの半分が売れ残った。別のホテルでは場所前、観戦プラン用に300人分のチケットを用意したが、大半が余るなど、苦戦が続いている。
「携帯放送」バトル 最終章 顧客数のドコモVS.“実績”のKDDI
来年7月の地上アナログ放送終了に伴う電波の「空き」を使って、携帯電話などに動画や文字情報など多様なコンテンツを届ける「次世代マルチメディア放送」の事業者選びが大詰めを迎えている。NTTドコモとKDDIが、それぞれ協力企業と陣営をつくって総務省に参入を申請し、「1枠」の事業者認定を争っている。原口一博総務相は来月半ばにも選定の結論を出す方針で、まもなく両陣営の勝敗が決する。
◆技術に「優劣なし」
今回選ばれるのは、基地局などマルチメディア放送のインフラ整備を担う事業者で、ドコモ陣営は、国産技術である地上デジタル放送の規格を発展させた「ISDB-Tmm」と呼ばれる放送方式を提案。KDDI陣営は、米無線通信技術大手クアルコムが開発した「メディアフロー」方式を掲げている。
だが総務省は、両陣営の技術について「優劣がなく、いずれも適切」としている。このため、基地局の整備や対応端末の普及など「事業を成り立たせていく上で計画が適切、確実かどうか」(総務省幹部)が勝敗を分けるポイントになる見込みだ。
この点について、ドコモの山田隆持社長は「充実したコンテンツ、リーズナブルな料金水準、そして対応する携帯端末の多さが強みだ」と、自陣営の事業計画に強い自信をみせる。
フジテレビジョンなど民放4社や商社が陣営に参画しているため、ドコモはコンテンツが集めやすい。国産技術の採用に加え、首都圏の約1600万世帯をカバーする「東京スカイツリー(建設中)」を利用し基地局整備などの設備投資を抑えることもできる。放送サービスの利用料金も、ドコモが携帯電話向けに提供している既存の動画配信サービス「『BeeTV』の月額315円と同水準にしたい」(山田社長)という。
ライバルのソフトバンクモバイルが“呉越同舟”で陣営に加わり、放送サービス開始後5年目で5000万台の端末普及を想定するなど、国内の「地盤の厚み」を生かした提案で、事業の採算や展開力で優位性をアピールしている。
これに対し、KDDI陣営は中規模の基地局を多数設置することで、電波の届きにくい屋内やビル陰といった場所でも受信しやすくするとしている。その分、基地局数や設備投資額はドコモ陣営に比べて大きくかさむが、KDDIの小野寺正社長兼会長は「携帯電話と同じように使える仕組みを整えることが重要」と指摘する。
また、すでに米国でメディアフロー方式のサービスが提供され、携帯端末も複数メーカーから販売されている“実績”はドコモ陣営にはない強みだ。国内でも沖縄県で実証実験を行っており、現状の端末が試作機のみで、「開発が遅れがち」(関係者)ともいわれるドコモ陣営に対し、「総務省からの認定後、速やかに商用化できる」(同)としている。
◆新たな収益源に
携帯電話市場が頭打ちとなる中、課金モデルでコンテンツを配信できる次世代マルチメディア放送は、軌道に乗れば新たな収益源となるだけに両陣営とも認定取得は譲れない。14日から東京・有明の東京ビッグサイトで3日間開かれた無線技術展示会「ワイヤレスジャパン2010」でも、マルチメディア放送対応端末を多数並べるKDDIと、バラエティー番組さながらのコンテンツサービス体験コーナーを設けるドコモが火花を散らしていた。
総務省は21日に、両陣営からの非公開ヒアリングを行う予定で、これが双方にとって最後の山場となるとみられる。原口総務相は「透明性や公平性、日本のデジタルコンテンツの発展性などを大事にしながら事業者を決めたい」としているが、両陣営の提案は甲乙つけ難い。どちらに軍配が上がるのか、勝敗の行方は混沌(こんとん)としている。
ジョブズCEO「アップルが韓国企業ならよいのか」
アイフォーン4の問題についてスティーブ・ジョブズ・アップル最高経営者(CEO)が自ら釈明したが、波紋は収まらない兆しだ。謝罪よりも弁解で一貫したという批判が出ている。
ニューヨークタイムズは17日(現地時間)、 「多くの人々がジョブズから『私のせいだ(Mea culpa)』という言葉を聞くと思っていたが、ジョブズはアンテナ問題をマーケティングイベントに変質させた」と指摘した。
突然アップルの‘作戦’に引き込まれた競合他社も強く反発している。今回の会見の起爆剤の役割をしたコンシューマーリポートは「保護ケース無償提供は最初の処置としては悪くない」としながらも、長期的な解決策が出てくるまではアイフォーン4を推薦除外対象に分類するという立場を明らかにした。
◇競合他社が反論=アイフォーンの競争製品ブラックベリーを生産するRIM(リサーチ・イン・モーション)は17日、共同最高経営者(CEO)名義でジョブズの記者会見内容に反論する公式声明を出した。アイフォーンのアンテナ問題を「すべてのスマートフォン業界が共有する問題」に拡大したジョブズの主張に怒りを表したのだ。
この声明書でRIMは「アップル自身の問題にRIMを引き込んだのは受け入れられない」と不快感を表した。さらに「ブラックベリーを使う顧客はアンテナ性能を高めるために(アップルのように)ケースを使わない」とし「アップルは他のブランドを引き込もうとせず、自社のデザインに責任を負うべきだ」と指摘した。
モトローラの共同CEOサンジェイ・ジャも電子メール声明で「すべてのスマートフォンがアイフォーンほどの問題を抱えていると話するのは正直でない」とし「自社の調査の結果‘ドロイドX’は‘アイフォーン4’より性能がより良かった」と主張した。
◇デザイン執着が招いた災い?=アップルの製品の場合、デザインが占める比重はかなり大きい。デザインに対するジョブズの執着も格別だ。ジョブズは初めてアイフォーン4を紹介しながら、「私たちが作った製品のうち最も美しい」と紹介したりもした。
しかしその美しさがむしろ災いを招いたという分析も出てくる。ニューズウイーク電子版は最近、「アップルの受信不良問題は、ジョブズが奇抜で立派なデザインに集中し、機能問題を後回しにした結果であるかもしれない」と指摘した。
ブルームバーグ通信は最近、「こうした問題は事前に提起されたが、受け入れられなかった」と報じた。アップルのアンテナエンジニアらがすでに昨年、アイフォーン4は受信問題を起こしうるとジョブズに警告したということだ。しかしジョブズは記者会見でこれに関し「全面的に嘘」と強く否定した。
一方、初期の原因把握と対応に問題があったのではないかという質問が出ると、ジョブズは「人々はうまく行けば足を引っ張ろうとする。グーグルを見よ」と述べた。続いて「私たちが米国企業ではなく韓国企業だったら良いのか」と反問したりもした。アップルに傾いた関心と一部の猜忌が問題を膨らませたということだ。
株価材料の研究 iPad・電子書籍、物色どこまで~意外な大型株も関連銘柄?(10/7/19)
「電子書籍」が注目を集めている。きっかけは米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」。米国では4月の販売開始から3カ月足らずで300万台超が売れ、日本でも5月の販売初日には行列のできた店もあった。国内メーカーも相次ぎ同様のタブレット型端末に参入している。株式市場で「電子書籍」関連とされる銘柄は端末からコンテンツまで数多くあるが、iPadのような人気は続くのか。
電子書籍とは、本や雑誌のような印刷物ではなく、電子端末で読む「出版物」。通信ネットワークとつながった端末に書籍ファイルをダウンロードするので、いつでもどこでも購読でき、1つの端末にたくさんの本をしまえる。画面を広くしたiPadが人気に火をつけ、日本国内では携帯電話向けの電子コミックを中心に利用されてきた。
先行していたのは米アマゾンの「キンドル」で、米国では約6割のシェアを握る。キンドルは米国で45万冊、日本で36万冊が利用でき、端末には3500冊まで保存できる。これに続くのがソニーの「リーダー」でシェアは約3割。ここに今年、アップルがiPadを引っ提げて参入し、市場の急拡大が見込まれている。米アイサプライ社の調査によれば、2010年のキンドルやリーダーといった電子書籍の専用端末とiPadを合計した世界の市場規模は約1800万台。12年には2倍強の約3800万台まで膨らむ見通しだ。
日本でもリーダーの年内発売が予定され、NTTドコモも端末投入の意欲を示している。東芝や富士通も個人向けタブレット型端末に参入する予定だ。
日本の株式市場で関連銘柄への物色が始まったのは昨年後半から。今春のiPad発売より早かった。
「タッチパネル」は思惑先行、人気は早くも息切れ
最初ににぎわったのは端末に使われる部品・部材をつくっている銘柄。特に日本写真印刷やワコムといった「タッチパネル」関連は、一時は相場の主役に躍り出た。それが年明け後は急失速。日写印の株価は昨年末の半分になってしまった。実はiPadのタッチパネルに多く使われているのは台湾や韓国勢。日本製品の比率は07年発売の「iPhone」に比べて大幅に下がったという。投資家の期待や思惑が先走りした典型例だ。
電子部品は日本勢に強みのある分野だが、電子書籍ではあまり地力を発揮できそうもない。というのは、端末の主流になるとみられるタブレット型端末は携帯端末よりサイズが大きく、日本勢が開発を進めてきた超小型・高機能の部品を使う必要がないからだ。結果としてアジア勢の低価格品が多く組み込まれている。
もちろん、TDKの子会社製の電池など、iPadに採用された日本製部品もあるが、「収益に大きく寄与しそうなのは、グループでコネクタをiPadに提供する第一精工くらい」(バークレイズ・キャピタル証券の越田優アナリスト)だ。肝心の端末本体を手掛けるソニーも、株式市場での人気はいまひとつ。リーダーの価格は1台2万~3万円で、今のところ年間200億~300億円規模の事業。「事業規模がまだ小さいため、今後の展開を見極めたい」と投資家は様子見を決め込んでいる。
部品・部材に続いたのが、端末に取り込まれるコンテンツ関連。本や雑誌で言えば「出版社」「卸」「書店」などにあたる。
ライフネット生命の調査(対象1000人、複数回答可)では、iPadで読んでみたい電子書籍のジャンルに「コミック」が「雑誌」に次いで2位。携帯コミックはすでに300億~400億円(08年)の市場規模があり、「携帯電話コミックを手掛けている企業は、電子書籍でも優位」との見方から関連銘柄がはやされた。
今年前半に人気になったのが、携帯コミックで「書店」にあたる銘柄。フォーサイド・ドット・コム、インフォコムなどがそれだ。一時は株価が昨年末の約3倍まで買い進まれた。ただし、配信事業は競争が過熱気味。着メロ同様、いずれ上位数社に淘汰されるとの指摘がある。
「印刷」と「取り次ぎ」、つまり「電子卸」にあたるのがパピレス。文字や画像などの素材を組み合わせて電子コンテンツのファイルを作成する「オーサリング」を手掛け、シティグループ証券の山科拓アナリストによれば、同社と凸版印刷系2社、大日本印刷系1社の4社でシェアの大半を占める。パピレスは6月23日に上場したばかり。上場当日に初値がつかない人気ぶりだったが、「印刷会社系に比べると出版社とのつながりが弱く、仕入れの価格競争力が弱い」(国内証券アナリスト)との見方もあり、最近は商いが細ってきている。
反対に、コンテンツという「宝の山」を抱えていそうな出版社の値動きは鈍い。著作権などの仕組みが複雑で、電子書籍普及の恩恵を受けられるか不透明だからだ。ただし、アルクやベネッセホールディングスなど「学習・教育関連は著作権の問題が少なく、電子化との相性がよい」(山科氏)と期待する声はある。
あまり話題にはなっていないが、先行き有望だとみられている分野もある。電子書籍の文字の表示装置である「電子ペーパー」だ。白黒の微小な粒子を電気制御してコンテンツを紙のような見栄えにする技術で、需要が急拡大している。
「電子ペーパー」の需要拡大、ブリヂストンも参入狙う
リーダーやキンドルなど電子書籍端末向けでは、米イーインクが9割以上の圧倒的なシェアをもつとされる。イーインクの電子ペーパー採用端末の多くにはセイコーエプソンの制御用ICチップが搭載されているとみられ、エプソンの貴重な収益源になるとの声がある。富士通子会社の富士通フロンテックは、世界初のカラー電子ペーパー採用書籍端末「フレッピア」を開発。カラー液晶を採用したiPadとは異なる路線で電子書籍のカラー化を目指す。
電子ペーパーのカラー化という点では、意外な銘柄も連なってくる。タイヤ大手のブリヂストンで、昨年にカラー電子ペーパーの実用化にこぎ着けた。主にスーパーなどで商品の値段などを表示する装置に使われている。同社はもともとプリンターなどに使われるローラーを手掛け、トナーに関する基礎研究で培った粉末や粒子の制御技術を応用した。同社は「電子書籍向けでは事業化していないが、有望な分野とみて開発を続けている」としている。
ほかにiPadで無料カタログの配布を始めた千趣会、iPad向け電子コンテンツ制作ソフトに参入したスターティアやインフォテリアなど、電子書籍関連と位置付けられた銘柄は数え上げればきりがないほどある。
もちろん、これらは玉石混交。そもそも電子書籍がどれくらい普及し、長続きするか分からない点も多い。日本では04年のパナソニック(「シグマブック」)やソニー(「リブリエ」)などいち早く電子書籍市場に参入したが、その後は根付かなかった例もある。株価の一時的な上昇に惑わされず、実績を確認しながらじっくり投資するのが無難なようだ。
[FT]当局はグーグルを注意深く監視せよ(社説)
グーグルは無料の検索技術によって消費者に多大な利益をもたらした革新的な企業である。そして今度は、同社が大きな市場シェアを持つ超高収益企業になった。
それゆえ、多くの企業(特に中小企業)にとって、自社がグーグルの検索結果ランキングのどこにつけるかが非常に重要になる。グーグルは競争優位を守りたいと考えているため、これらの企業にはグーグルの技術の仕組みを知る術がない。
市場支配力、乱用の可能性
その結果、グーグルは次第に規制当局から厳しい監視の目を向けられるようになった。欧州委員会は既に、検索市場を対象に非公式な調査を行っている。今のところ、グーグルが市場支配力を乱用している証拠はないが、乱用することは考えられる。
先日来、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)が報じてきたように、グーグルは2つの分野で論争に見舞われている。1つ目は「検索の中立性」で、規制当局はグーグルの検索アルゴリズムを監督するなり、明確なルールを設けるなりして、同社が編集上、商業上の理由から体系的に偏ることがないよう請け合うべきだとの声が上がっている。
これは実用的でなく、必要性もない案だ。グーグルの検索部門を率いるマリッサ・メイヤー氏が本紙で論じたように、様々な検索エンジンが最も関連性の高い最高の検索結果をはじき出すべく互いに激しく競争した方が好ましい。グーグルは検索分野で大成功しているかもしれないが、お金をかけずにたった1回クリックした先に競争相手が存在している。
垂直的なサービス、不当な影響力持つ恐れ
グーグルは中国政府とも検索サービスの検閲を巡って衝突した(北京市にあるグーグル中国の本社があるビル=ロイター)
懸念されている2つ目の分野は、グーグルが検索と連動する垂直的なサービスを提供していることだ。例えば、ユーザーが住所を検索した時にグーグル・マップが表示されたり、誰かがカメラを検索した時にグーグルの買い物データ比較が表示されたりする。これは旅行や電子商取引分野の競合企業に影響を及ぼす。
エクスペディアとインタラクティブコープの会長を務めるバリー・ディラー氏は先日、グーグルが7億ドルでITAソフトウエアを買収する計画に抗議した。グーグルはフライト情報の表示で不当な影響力を手に入れることになる、というのがその理由だ。ディラー氏は、規制当局が買収計画を慎重に精査し、条件を課すことを求めている。
これに対してグーグルは、同社は可能な限り有益な情報をユーザーに提供しようとしているのだと弁明する。しかし、垂直的なサービスを検索と連動させることが反トラスト法の違反行為につながる可能性は、明確な懸念を引き起こす。欧州と米国の規制当局はITA買収を利用して、この問題を広範に検証すべきである。
あまりに強大なハイテク企業
ただ単にグーグルのサービスが競合他社より優れているという理由から、同社が規制当局に力を奪われることがあってはならないが、同社を注意深く監視する必要はある。グーグルは明らかに邪悪なわけではないが、あまりに強大なハイテク企業であり、道を踏み外す可能性がある。
米インテルを創業した一人、アンドリュー・グローブ氏が米誌への寄稿でこう書いていた。「新しい製品や技術があればまず米国で量産化を、と昔は考えたものだ。最近は始めに中国ありきだ」
「フラット化する世界」などの著者トーマス・フリードマン氏が米紙に書いたコラム「(雇用をつくるのは)起業家精神」に反論した記事だというが、実際は最近のシリコンバレー経営者への批判だろう。起業家のアイデアが事業へと飛躍する過程で「量産化という重要なノウハウが米国から消えていく」と繰り返し嘆いている。
記事によれば、アップルやヒューレット・パッカード、デル、IBM、マイクロソフト、ソニーの製品を受託生産している台湾企業、鴻海(ホンハイ)精密工業は雇用者総数が80万人と、日米6社の従業員数の合計を上回る。中でもアップル製品をつくる中国の工場は、アップルの米従業員数を10倍も上回る雇用を生んでいる。
もはや、中国を抜きに世界のエレクトロニクス産業は成立しない。それはグローブ氏にも当然わかっているはずだが、技術や雇用が流出し続けている現実を看過していていいのか、との主張はもっともだ。米国人の多くは「アップル製品の多くがホンハイで生産されている事実を知らない」との調査結果もあり、本国にどんな機能を残し、流出した雇用はどんな方法で国内に取り戻すのか。やはり国民的な議論は必要だろう。
それは日本にとっても同様かもしれない。中国や東南アジアを「工場」に活用する電機メーカーは日本でも増えている。最近は雇用への波及力がさらに大きい自動車大手が国内の生産能力を減らし、アジアに生産シフトしようと動き出した。トヨタ自動車は1割、ホンダはそれ以上の国内能力を海外に移す可能性があるという。
円高もあるが、今後10年で2500万台もの新規需要を生み出すとされる新興国市場により近く生産拠点を持とうとの意識が自動車メーカーには強い。では成熟した日本で何をつくるか。最も重要な部分が見えてこないのがもどかしい。
日本から米国へ:「漫画の著作権侵害を停止せよ」
通常は、米国の政策当局者や企業幹部らが知的財産権の侵害に反対する世界的なキャンペーンを主導する。また米政府はこれまで、音楽と映画の著作権保護が不十分だとして日本を非難してきた。
しかし、日本からの最も目立った輸出品の一つと言える漫画に関しては、米国はモラルの高い基準を失っているようだ。
翻訳漫画の出版を手掛ける米バーティカルの編集ディレクター、イオアニス・メンザス氏は「米国では、知的所有権という概念が一般に広まっていると思うだろうが、私の見る限りでは水準は中国と同程度だ」と述べた。
バーティカルは、6月に多国間漫画著作権侵害対策連合(Multi-national Manga Anti-Piracy Coalition)を結成した日米の出版社42社のうちの1社。同連合は米国の違法な漫画サイトに対して「活動を直ちに止めるよう」求めるとともに、「差し止めによる救済や法的損害賠償を求め」、「違法サイトについては米連邦当局に通知する」と警告している。
米国ではこのところ、出版社や著作権者の許諾を得ずに漫画をスキャンし、吹き出しなどのテキストを英語に翻訳した「スキャンレーション」がちょっとしたブームになっているようだ。「スキャンレーション」という用語は、「スキャニング(拾い読み)」と「トランスレーション(翻訳)」を掛け合わせた造語で、通常はパラパラと目を通し編集して、翻訳した漫画を指す。こうした方法により、スキャンレーションを集積したサイト、スキャンレーション・アグリゲーターを通して無料で無数の米読者に入手可能となり、以前には日本語だけでしか手に入らなかった漫画本の人気が急上昇することになった。
チケット半分売れ残り、相撲案内所悲鳴
「営業を始めて以来の大打撃」「来年は存続できないかも」――。
観戦チケットの販売不振に、名古屋場所で4軒営業している相撲案内所は悲鳴を上げている。
案内所はチケット料金の10%、飲食代の約30%が収益の柱だ。各案内所が扱う升席券は昨年より15%少ない。それでも、野球賭博や暴力団観戦の騒動で客離れが進み、全体の約半分が売れ残った。ある案内所では「飲食物が売れず、経営が成り立たない」と嘆く。
相撲協会は案内所で売れ残ったチケットを一定の比率で買い戻す。それでも赤字は免れそうにない。場所前には、各案内所が140万円ずつ負担して建てた仮設小屋が建築基準法違反で市に撤去され、簡易テントに変更されるトラブルもあった。案内所組合の小関義明組合長は「この状況は死活問題。補償してもらえるよう、相撲協会と話し合いたい」と強く訴えた。
一方、観光への打撃も大きい。昨年は計約200人の観戦ツアーを行った名阪近鉄旅行(名古屋市)は、今年は申し込みがなく中止し、近県の旅行会社でもツアー中止が相次いだ。愛知県体育館近くのホテルでは、ペア15組を募集した観戦プランの半分が売れ残った。別のホテルでは場所前、観戦プラン用に300人分のチケットを用意したが、大半が余るなど、苦戦が続いている。
「携帯放送」バトル 最終章 顧客数のドコモVS.“実績”のKDDI
来年7月の地上アナログ放送終了に伴う電波の「空き」を使って、携帯電話などに動画や文字情報など多様なコンテンツを届ける「次世代マルチメディア放送」の事業者選びが大詰めを迎えている。NTTドコモとKDDIが、それぞれ協力企業と陣営をつくって総務省に参入を申請し、「1枠」の事業者認定を争っている。原口一博総務相は来月半ばにも選定の結論を出す方針で、まもなく両陣営の勝敗が決する。
◆技術に「優劣なし」
今回選ばれるのは、基地局などマルチメディア放送のインフラ整備を担う事業者で、ドコモ陣営は、国産技術である地上デジタル放送の規格を発展させた「ISDB-Tmm」と呼ばれる放送方式を提案。KDDI陣営は、米無線通信技術大手クアルコムが開発した「メディアフロー」方式を掲げている。
だが総務省は、両陣営の技術について「優劣がなく、いずれも適切」としている。このため、基地局の整備や対応端末の普及など「事業を成り立たせていく上で計画が適切、確実かどうか」(総務省幹部)が勝敗を分けるポイントになる見込みだ。
この点について、ドコモの山田隆持社長は「充実したコンテンツ、リーズナブルな料金水準、そして対応する携帯端末の多さが強みだ」と、自陣営の事業計画に強い自信をみせる。
フジテレビジョンなど民放4社や商社が陣営に参画しているため、ドコモはコンテンツが集めやすい。国産技術の採用に加え、首都圏の約1600万世帯をカバーする「東京スカイツリー(建設中)」を利用し基地局整備などの設備投資を抑えることもできる。放送サービスの利用料金も、ドコモが携帯電話向けに提供している既存の動画配信サービス「『BeeTV』の月額315円と同水準にしたい」(山田社長)という。
ライバルのソフトバンクモバイルが“呉越同舟”で陣営に加わり、放送サービス開始後5年目で5000万台の端末普及を想定するなど、国内の「地盤の厚み」を生かした提案で、事業の採算や展開力で優位性をアピールしている。
これに対し、KDDI陣営は中規模の基地局を多数設置することで、電波の届きにくい屋内やビル陰といった場所でも受信しやすくするとしている。その分、基地局数や設備投資額はドコモ陣営に比べて大きくかさむが、KDDIの小野寺正社長兼会長は「携帯電話と同じように使える仕組みを整えることが重要」と指摘する。
また、すでに米国でメディアフロー方式のサービスが提供され、携帯端末も複数メーカーから販売されている“実績”はドコモ陣営にはない強みだ。国内でも沖縄県で実証実験を行っており、現状の端末が試作機のみで、「開発が遅れがち」(関係者)ともいわれるドコモ陣営に対し、「総務省からの認定後、速やかに商用化できる」(同)としている。
◆新たな収益源に
携帯電話市場が頭打ちとなる中、課金モデルでコンテンツを配信できる次世代マルチメディア放送は、軌道に乗れば新たな収益源となるだけに両陣営とも認定取得は譲れない。14日から東京・有明の東京ビッグサイトで3日間開かれた無線技術展示会「ワイヤレスジャパン2010」でも、マルチメディア放送対応端末を多数並べるKDDIと、バラエティー番組さながらのコンテンツサービス体験コーナーを設けるドコモが火花を散らしていた。
総務省は21日に、両陣営からの非公開ヒアリングを行う予定で、これが双方にとって最後の山場となるとみられる。原口総務相は「透明性や公平性、日本のデジタルコンテンツの発展性などを大事にしながら事業者を決めたい」としているが、両陣営の提案は甲乙つけ難い。どちらに軍配が上がるのか、勝敗の行方は混沌(こんとん)としている。
ジョブズCEO「アップルが韓国企業ならよいのか」
アイフォーン4の問題についてスティーブ・ジョブズ・アップル最高経営者(CEO)が自ら釈明したが、波紋は収まらない兆しだ。謝罪よりも弁解で一貫したという批判が出ている。
ニューヨークタイムズは17日(現地時間)、 「多くの人々がジョブズから『私のせいだ(Mea culpa)』という言葉を聞くと思っていたが、ジョブズはアンテナ問題をマーケティングイベントに変質させた」と指摘した。
突然アップルの‘作戦’に引き込まれた競合他社も強く反発している。今回の会見の起爆剤の役割をしたコンシューマーリポートは「保護ケース無償提供は最初の処置としては悪くない」としながらも、長期的な解決策が出てくるまではアイフォーン4を推薦除外対象に分類するという立場を明らかにした。
◇競合他社が反論=アイフォーンの競争製品ブラックベリーを生産するRIM(リサーチ・イン・モーション)は17日、共同最高経営者(CEO)名義でジョブズの記者会見内容に反論する公式声明を出した。アイフォーンのアンテナ問題を「すべてのスマートフォン業界が共有する問題」に拡大したジョブズの主張に怒りを表したのだ。
この声明書でRIMは「アップル自身の問題にRIMを引き込んだのは受け入れられない」と不快感を表した。さらに「ブラックベリーを使う顧客はアンテナ性能を高めるために(アップルのように)ケースを使わない」とし「アップルは他のブランドを引き込もうとせず、自社のデザインに責任を負うべきだ」と指摘した。
モトローラの共同CEOサンジェイ・ジャも電子メール声明で「すべてのスマートフォンがアイフォーンほどの問題を抱えていると話するのは正直でない」とし「自社の調査の結果‘ドロイドX’は‘アイフォーン4’より性能がより良かった」と主張した。
◇デザイン執着が招いた災い?=アップルの製品の場合、デザインが占める比重はかなり大きい。デザインに対するジョブズの執着も格別だ。ジョブズは初めてアイフォーン4を紹介しながら、「私たちが作った製品のうち最も美しい」と紹介したりもした。
しかしその美しさがむしろ災いを招いたという分析も出てくる。ニューズウイーク電子版は最近、「アップルの受信不良問題は、ジョブズが奇抜で立派なデザインに集中し、機能問題を後回しにした結果であるかもしれない」と指摘した。
ブルームバーグ通信は最近、「こうした問題は事前に提起されたが、受け入れられなかった」と報じた。アップルのアンテナエンジニアらがすでに昨年、アイフォーン4は受信問題を起こしうるとジョブズに警告したということだ。しかしジョブズは記者会見でこれに関し「全面的に嘘」と強く否定した。
一方、初期の原因把握と対応に問題があったのではないかという質問が出ると、ジョブズは「人々はうまく行けば足を引っ張ろうとする。グーグルを見よ」と述べた。続いて「私たちが米国企業ではなく韓国企業だったら良いのか」と反問したりもした。アップルに傾いた関心と一部の猜忌が問題を膨らませたということだ。
株価材料の研究 iPad・電子書籍、物色どこまで~意外な大型株も関連銘柄?(10/7/19)
「電子書籍」が注目を集めている。きっかけは米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」。米国では4月の販売開始から3カ月足らずで300万台超が売れ、日本でも5月の販売初日には行列のできた店もあった。国内メーカーも相次ぎ同様のタブレット型端末に参入している。株式市場で「電子書籍」関連とされる銘柄は端末からコンテンツまで数多くあるが、iPadのような人気は続くのか。
電子書籍とは、本や雑誌のような印刷物ではなく、電子端末で読む「出版物」。通信ネットワークとつながった端末に書籍ファイルをダウンロードするので、いつでもどこでも購読でき、1つの端末にたくさんの本をしまえる。画面を広くしたiPadが人気に火をつけ、日本国内では携帯電話向けの電子コミックを中心に利用されてきた。
先行していたのは米アマゾンの「キンドル」で、米国では約6割のシェアを握る。キンドルは米国で45万冊、日本で36万冊が利用でき、端末には3500冊まで保存できる。これに続くのがソニーの「リーダー」でシェアは約3割。ここに今年、アップルがiPadを引っ提げて参入し、市場の急拡大が見込まれている。米アイサプライ社の調査によれば、2010年のキンドルやリーダーといった電子書籍の専用端末とiPadを合計した世界の市場規模は約1800万台。12年には2倍強の約3800万台まで膨らむ見通しだ。
日本でもリーダーの年内発売が予定され、NTTドコモも端末投入の意欲を示している。東芝や富士通も個人向けタブレット型端末に参入する予定だ。
日本の株式市場で関連銘柄への物色が始まったのは昨年後半から。今春のiPad発売より早かった。
「タッチパネル」は思惑先行、人気は早くも息切れ
最初ににぎわったのは端末に使われる部品・部材をつくっている銘柄。特に日本写真印刷やワコムといった「タッチパネル」関連は、一時は相場の主役に躍り出た。それが年明け後は急失速。日写印の株価は昨年末の半分になってしまった。実はiPadのタッチパネルに多く使われているのは台湾や韓国勢。日本製品の比率は07年発売の「iPhone」に比べて大幅に下がったという。投資家の期待や思惑が先走りした典型例だ。
電子部品は日本勢に強みのある分野だが、電子書籍ではあまり地力を発揮できそうもない。というのは、端末の主流になるとみられるタブレット型端末は携帯端末よりサイズが大きく、日本勢が開発を進めてきた超小型・高機能の部品を使う必要がないからだ。結果としてアジア勢の低価格品が多く組み込まれている。
もちろん、TDKの子会社製の電池など、iPadに採用された日本製部品もあるが、「収益に大きく寄与しそうなのは、グループでコネクタをiPadに提供する第一精工くらい」(バークレイズ・キャピタル証券の越田優アナリスト)だ。肝心の端末本体を手掛けるソニーも、株式市場での人気はいまひとつ。リーダーの価格は1台2万~3万円で、今のところ年間200億~300億円規模の事業。「事業規模がまだ小さいため、今後の展開を見極めたい」と投資家は様子見を決め込んでいる。
部品・部材に続いたのが、端末に取り込まれるコンテンツ関連。本や雑誌で言えば「出版社」「卸」「書店」などにあたる。
ライフネット生命の調査(対象1000人、複数回答可)では、iPadで読んでみたい電子書籍のジャンルに「コミック」が「雑誌」に次いで2位。携帯コミックはすでに300億~400億円(08年)の市場規模があり、「携帯電話コミックを手掛けている企業は、電子書籍でも優位」との見方から関連銘柄がはやされた。
今年前半に人気になったのが、携帯コミックで「書店」にあたる銘柄。フォーサイド・ドット・コム、インフォコムなどがそれだ。一時は株価が昨年末の約3倍まで買い進まれた。ただし、配信事業は競争が過熱気味。着メロ同様、いずれ上位数社に淘汰されるとの指摘がある。
「印刷」と「取り次ぎ」、つまり「電子卸」にあたるのがパピレス。文字や画像などの素材を組み合わせて電子コンテンツのファイルを作成する「オーサリング」を手掛け、シティグループ証券の山科拓アナリストによれば、同社と凸版印刷系2社、大日本印刷系1社の4社でシェアの大半を占める。パピレスは6月23日に上場したばかり。上場当日に初値がつかない人気ぶりだったが、「印刷会社系に比べると出版社とのつながりが弱く、仕入れの価格競争力が弱い」(国内証券アナリスト)との見方もあり、最近は商いが細ってきている。
反対に、コンテンツという「宝の山」を抱えていそうな出版社の値動きは鈍い。著作権などの仕組みが複雑で、電子書籍普及の恩恵を受けられるか不透明だからだ。ただし、アルクやベネッセホールディングスなど「学習・教育関連は著作権の問題が少なく、電子化との相性がよい」(山科氏)と期待する声はある。
あまり話題にはなっていないが、先行き有望だとみられている分野もある。電子書籍の文字の表示装置である「電子ペーパー」だ。白黒の微小な粒子を電気制御してコンテンツを紙のような見栄えにする技術で、需要が急拡大している。
「電子ペーパー」の需要拡大、ブリヂストンも参入狙う
リーダーやキンドルなど電子書籍端末向けでは、米イーインクが9割以上の圧倒的なシェアをもつとされる。イーインクの電子ペーパー採用端末の多くにはセイコーエプソンの制御用ICチップが搭載されているとみられ、エプソンの貴重な収益源になるとの声がある。富士通子会社の富士通フロンテックは、世界初のカラー電子ペーパー採用書籍端末「フレッピア」を開発。カラー液晶を採用したiPadとは異なる路線で電子書籍のカラー化を目指す。
電子ペーパーのカラー化という点では、意外な銘柄も連なってくる。タイヤ大手のブリヂストンで、昨年にカラー電子ペーパーの実用化にこぎ着けた。主にスーパーなどで商品の値段などを表示する装置に使われている。同社はもともとプリンターなどに使われるローラーを手掛け、トナーに関する基礎研究で培った粉末や粒子の制御技術を応用した。同社は「電子書籍向けでは事業化していないが、有望な分野とみて開発を続けている」としている。
ほかにiPadで無料カタログの配布を始めた千趣会、iPad向け電子コンテンツ制作ソフトに参入したスターティアやインフォテリアなど、電子書籍関連と位置付けられた銘柄は数え上げればきりがないほどある。
もちろん、これらは玉石混交。そもそも電子書籍がどれくらい普及し、長続きするか分からない点も多い。日本では04年のパナソニック(「シグマブック」)やソニー(「リブリエ」)などいち早く電子書籍市場に参入したが、その後は根付かなかった例もある。株価の一時的な上昇に惑わされず、実績を確認しながらじっくり投資するのが無難なようだ。
[FT]当局はグーグルを注意深く監視せよ(社説)
グーグルは無料の検索技術によって消費者に多大な利益をもたらした革新的な企業である。そして今度は、同社が大きな市場シェアを持つ超高収益企業になった。
それゆえ、多くの企業(特に中小企業)にとって、自社がグーグルの検索結果ランキングのどこにつけるかが非常に重要になる。グーグルは競争優位を守りたいと考えているため、これらの企業にはグーグルの技術の仕組みを知る術がない。
市場支配力、乱用の可能性
その結果、グーグルは次第に規制当局から厳しい監視の目を向けられるようになった。欧州委員会は既に、検索市場を対象に非公式な調査を行っている。今のところ、グーグルが市場支配力を乱用している証拠はないが、乱用することは考えられる。
先日来、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)が報じてきたように、グーグルは2つの分野で論争に見舞われている。1つ目は「検索の中立性」で、規制当局はグーグルの検索アルゴリズムを監督するなり、明確なルールを設けるなりして、同社が編集上、商業上の理由から体系的に偏ることがないよう請け合うべきだとの声が上がっている。
これは実用的でなく、必要性もない案だ。グーグルの検索部門を率いるマリッサ・メイヤー氏が本紙で論じたように、様々な検索エンジンが最も関連性の高い最高の検索結果をはじき出すべく互いに激しく競争した方が好ましい。グーグルは検索分野で大成功しているかもしれないが、お金をかけずにたった1回クリックした先に競争相手が存在している。
垂直的なサービス、不当な影響力持つ恐れ
グーグルは中国政府とも検索サービスの検閲を巡って衝突した(北京市にあるグーグル中国の本社があるビル=ロイター)
懸念されている2つ目の分野は、グーグルが検索と連動する垂直的なサービスを提供していることだ。例えば、ユーザーが住所を検索した時にグーグル・マップが表示されたり、誰かがカメラを検索した時にグーグルの買い物データ比較が表示されたりする。これは旅行や電子商取引分野の競合企業に影響を及ぼす。
エクスペディアとインタラクティブコープの会長を務めるバリー・ディラー氏は先日、グーグルが7億ドルでITAソフトウエアを買収する計画に抗議した。グーグルはフライト情報の表示で不当な影響力を手に入れることになる、というのがその理由だ。ディラー氏は、規制当局が買収計画を慎重に精査し、条件を課すことを求めている。
これに対してグーグルは、同社は可能な限り有益な情報をユーザーに提供しようとしているのだと弁明する。しかし、垂直的なサービスを検索と連動させることが反トラスト法の違反行為につながる可能性は、明確な懸念を引き起こす。欧州と米国の規制当局はITA買収を利用して、この問題を広範に検証すべきである。
あまりに強大なハイテク企業
ただ単にグーグルのサービスが競合他社より優れているという理由から、同社が規制当局に力を奪われることがあってはならないが、同社を注意深く監視する必要はある。グーグルは明らかに邪悪なわけではないが、あまりに強大なハイテク企業であり、道を踏み外す可能性がある。
iPhone 4+ドコモ携帯、負担増ゼロで“2台持ち”するには?
従来の使い勝手のよさに加え、高解像度ディスプレーにハイビジョン動画撮影など、豊富な機能を取り揃えたことで、予約が殺到するなど高い人気を誇るアップルの「iPhone 4」。だが“スマートフォン”に分類される端末で、通常の携帯電話とは異なる部分も多いことから、購入に躊躇している人も少なくないのではないだろうか。
そこで「iPhone 4は欲しいけど、携帯電話は手放せない」という人のため、多くの人が所有しているNTTドコモの携帯電話とiPhone 4の2台持ちを前提に、どのような使い方・料金で利用するのがベストかを考えてみよう。
まずはiPhone 4にできないことを見極めよう
まずはiPhone 4を利用する上で、ネックとなる要素を確認しておこう。代表的な要素としては、ワンセグやおさいふケータイなどが(単体では)利用できないということが挙げられるが、他にも見落としがちな要素がいくつかある。
例えば“携帯サイト”。QRコードの読み取りなどは、iPhoneに別途アプリケーションをインストールすることで対応できるが、その先の携帯サイトにアクセスできないことも少なくない。お店のクーポンやメールマガジンへの登録などを利用したい場合、この制限に引っかかるケースが意外と多い。
同様の理由から、携帯電話の公式コンテンツや、モバゲータウンなどのSNSで提供されているソーシャルゲームもほぼ利用することができない。さらにいえば、「iコンシェル」「iチャネル」などのキャリアが提供する情報系サービスももちろん利用不可能だ。
“赤外線”も見落としがちなポイントである。赤外線はアドレス情報や写真の交換などに広く活用されているが、iPhoneには赤外線端子自体が存在しない。そのため、携帯電話の利用者とアドレス交換ができない。プロフィール情報をQRコード化して相手に読み取らせるアプリケーションなども存在するが、ひと手間かかってしまう。
また、iPhone 4にしたとしてもどうしても変えたくない要素もいくつかあるだろう。例えば、メールアドレス。電話番号は番号ポータビリティ(MNP)で移行させることができるが、メールアドレスはそれができない。そのため、躊躇してしまう人も少なくないだろう。さらにNTTドコモの方がソフトバンクモバイルより通信インフラが充実していることから、普段、一般的な携帯電話を利用しているのであれば、回線品質に不満を感じるかもしれない。
どの機能を残して、どの機能を移すか?
こうした要素を考慮した上で、どこまでをiPhone 4に移し、どこまでを携帯電話に残すかを考える必要がある。
比較的移行しやすいのは、Webサイトやコンテンツ、アプリケーション関連であろう。普段、携帯サイトをあまり利用しておらず、PCサイトの利用頻度の方が高いのであれば、iPhone 4の方が利便性が高い。またゲームやニュース、電子書籍などのアプリケーションも、最近はiPhone向けのものが充実してきている。音楽に関しても、PCや無線LAN経由でiTunesを利用することで代替可能だ。
またカメラに関しても、iPhone 4では500万画素と大幅に強化され、静止画・動画ともにミドルクラスの携帯電話並みの画質が得られるようになった。デジタルカメラ並みの画質が欲しいというのであれば話は別だが、そうでない人はiPhone 4でもある程度の満足は得られるだろう。
一方で、ワンセグやおさいふケータイ、赤外線などハード的に対応していない機能は、携帯電話側のものを利用した方がよい。ワンセグなど周辺機器で対応可能なものもあるにはあるが、2台持ちを前提とするのであれば、上手に使い分けた方が荷物を増やさずに済む。
通話に関しては、NTTドコモの充実したインフラ、そしてiPhone 4の回線品質を考慮すると、やはり従来の携帯電話中心に利用した方が安心だ。また家族がNTTドコモを使っているなら、「ファミ割MAX50」の契約で家族間通話が定額となることから、そちらに合わせた方が安く済むだろう。
ただしiPhone 4には、ソフトバンクモバイルのホワイトプランにおける定額通話が存在する。ソフトバンクモバイルの携帯電話相手に、21時~翌1時以外の間に通話をするなら、そちらを利用した方がお得。双方を使い分けて料金を節約するという手もあるので、覚えておきたい。 通話に合わせてプランを選択、iモードの解除は慎重に
こうした要素を考慮すると、Webやアプリケーションなどコンテンツの利用をiPhone 4に移し、通話、そしてワンセグやおさいふケータイなど不足部分を従来の携帯電話で補うというのが現実的な2台持ちのスタイルといえる。それゆえ携帯電話側の料金プランは、純粋に自分の通話利用状況に合わせたものを選ぶのがよい。
オプションに関してはどうだろうか。通話中心の利用に限定するのであれば、「ケータイ補償 お届けサービス」(月額315円)など補償に関するものや、オプションパック割引(留守番電話、キャッチホン、転送電話、メロディーコールのセット。月額420円)のような通話に関連するものを除き、例えばパケ・ホーダイ ダブルやiチャネル(月額157.5円)、iコンシェル(月額210円)などは外してしまってよいだろう。
だがiモード(月額315円)に関しては、十分注意する必要がある。携帯電話側でWebやメールを使わないのであれば必要ないように思えるが、おさいふケータイや各種クーポン、メロディーコールの設定などiモードを契約していないと利用できない、あるいは利用しづらいサービスもいくつか存在するためだ。また、そもそも現在のiモードメールのアドレスを維持したいのであれば、iモードの契約は必須だ。
こうしたことから、iPhone 4と2台持ちをしてからしばらくはiモードの契約を残しておき、その後の自分の利用状況に応じて契約を続けるか否かを判断するというのが現実的だ。もしiモードを契約し続ける場合はパケ・ホーダイ ダブル(月額390~4410円、フルブラウザ使用時は5985円)も契約していた方が安全だが、NTTドコモの場合、万が一パケット代を使いすぎた場合でも、同月内であればあとからパケ・ホーダイ ダブルを適用することも可能なので、覚えておくといいだろう。
実際の料金イメージは?
これらを踏まえ、実際、現在NTTドコモの携帯電話を持っている人が、iPhone 4との2台持ちに変更した場合、毎月の料金がどのように変化するかを考えてみよう。
バリューコースでファミ割MAX50、またはひとりでも割50を適用しており、かつ料金プランに一般的な「タイプSS」を選択している場合の基本料は980円となる。これに加えて、iモードやパケ・ホーダイ ダブルなど、量販店で薦められることが多い一般的なオプションを適用した場合、毎月の料金は2787~6807円、フルブラウザを利用している場合は8382円となる(いずれも小数点以下は切り捨て)。ここから先の例に従って「iチャネル」「iコンシェル」「パケ・ホーダイ ダブル」のオプションを外した場合、月額料金は2030円となる。
一方、iPhone 4の料金プランには「バリュープログラム(i)」と「標準プライスプラン」の2つが用意されている。両者の違いはパケット定額制のオプションと月月割の価格で、前者は「パケットし放題フラット」(月額4410円)、月月割が1920円。後者は「パケットし放題 for スマートフォン」(月額1029~4410円)、月月割が1440円となっている。
ともに新スーパーボーナス2年契約でiPhone 4(32GB)を購入し、パケット通信をフルに使用した場合、バリュープログラム(i)では「ホワイトプラン(i)」(月額980円)、「S!ベーシックパック(i)」(月額315円)、そして月月割適用後の端末価格(480円)をプラスして6185円、標準プライスプランでは月月割が480円分少ない分、上限がアップして6665円となる。
iPhone 4と2台持ちでの利用と、NTTドコモのみを利用した場合との比較(画像クリックで拡大)
これらの料金を単純に合計すると、バリュープログラム(i)を選択した場合は8215円、標準プライスプランを選択した場合は8695円ということになる。携帯電話でiモードメールやiモードブラウザのみ使っていた場合は1500~2000円のアップとなるが、フルブラウザを使っていた人の場合は、大きく変わらない料金で利用できるといえる。
なお、ここで記した例はあくまで一例に過ぎない。16GBのiPhone 4を購入した場合や、端末を一括で購入した場合、分割払いが終了した場合は月額料金がより安くなるし、標準プライスプランで無線LAN主体で使う場合は通信料を大幅に抑えられるだろう。またNTTドコモ側も、オプション・プランを変更することで料金は増減することとなる。ここで上げた事例をベースとしながら、自分なりの2台持ち料金設定を考えてみて欲しい。
改正貸金業法、完全施行1カ月 秋以降は要警戒、特区構想で火種も
消費者金融などの融資を大幅に制限する改正貸金業法が完全施行されて18日で1カ月。今のところ大きな混乱はないが、秋以降、ボーナスを使い切って資金繰りに困る借り手が増える懸念は高く、専業主婦などが悪質商法に走る恐れも指摘される。事態を重くみた大阪府は法改正前の規制に戻す「貸金特区」構想を示したが、政府は難色を示し、新たな火種となっている。 (藤澤志穂子)
完全施行後、日本貸金業協会に寄せられた相談の大半は変更点の質問で、「借りられなくなり困った」との声はあまりないという。
静かなスタートの背景には、6、7月が賞与時期と重なり、資金需要が少ないという事情がある。大手消費者金融幹部は「秋以降が要注意だ。改正法の存在を知っていても内容を知らない人は多く、借りる段階で混乱する可能性がある。そんな利用者が悪質商法に走りかねない」と警戒する。
消費者庁も最近、トラブルが急増中の6つの悪質商法を公表。特に懸念されるのが、クレジットカードのショッピング枠を悪用して借り手に不正換金させる手口で、東京情報大の堂下(どうもと)浩准教授は「業者の競争が激化し、手数料率引き下げなどで利用者が増える悪循環となっている」と語る。
そもそも段階的に施行された改正法の狙いは多重債務者問題の解決で、「一定の効果があった」(新里(にいさと)宏二弁護士)とされる。ただ多重債務者が減る一方、生活費や運転資金に困った主婦や零細事業者はなお多く、昨年秋以降、自己破産は前年同月比で増える傾向にある。
このため大阪府は7月6日、政府に「貸金特区」設立を要望。内容は(1)20万円以内の融資で上限金利を法改正前(年29・2%)に戻す(2)返済能力がある借り手には総量規制を超えて無担保融資(3)専業主婦には50万円まで融資-などだ。
これに対し、自見庄三郎金融相は「法律違反を認めることになる」と真っ向から批判。日本弁護士連合会も「直ちに撤回を求める」との声明を出したが、借りにくくなった人の有効な受け皿があるわけではない。
実際、金融庁は信用金庫や信用組合の融資に期待、日弁連は社会福祉協議会などの生活困窮者向け「セーフティーネット融資」の拡充を求めているが、「損失を政府が保証するなどしない限り無理」(信組幹部)との声も漏れる。堂下氏は「改正法を見直し、短期・少額融資の規制を緩和するしかない」と話している。
「オバマ政権はアンチビジネスだ!」米経済界で不満噴出
【ワシントン=渡辺浩生】医療保険改革法や金融規制改革法案などオバマ政権が次々に打ち出す政策に対し、米経済界から、企業負担を増やす「アンチビジネス」だという不満が噴出している。米商工会議所が「雇用創出という最優先事項を無視している」との書簡を出すなど対立する動きも拡大。中間選挙を控え関係悪化を避けたいホワイトハウスは対応に苦慮している。
米商工会議所が大統領への公開書簡を出したのは14日。増税や規制強化で「産業界を傷つけている」とした上で、「先行き不安感は経済成長や投資、雇用の敵だが、政府と議会多数派(民主党)は企業の経営判断に多大な不安感を与えている」と攻撃した。
エマニュエル大統領首席補佐官らは同日、素早く書簡を返信。「われわれは正しい方向に向かっている」とした上で、政府と経済界は雇用回復の目標を共有し「対立することはできない」と火消しに回った。
先月中旬には、通信大手ベライゾン・コミュニケーションズのセイデンバーグ最高経営責任者(CEO)が「政府とビジネス界の分断された関係に悩まされている」と述べ、政治不信が投資や雇用を妨げていると強調。同氏は大統領選でオバマ氏を支持しており、その発言は反響を呼んだ。
オバマ政権は医療保険改革法を今春に実現。金融規制改革法案も近く成立するほか、温暖化対策法案への意欲も捨てていない。大統領の手腕を評価する声もあるが、企業にすれば、医療費やエネルギーコストなど「負担を増やす事実上の増税」(米商工会議所)だ。
さらに金融危機の発信源となったウォール街や、原油流出事故を起こした英メジャー(国際石油資本)BPを舌鋒(ぜつぽう)鋭く批判する大統領の姿勢が「アンチビジネス」の印象を強めている。
米企業は利益を設備投資や雇用に回さず、3月末時点で1・8兆ドル(約155兆円)と過去最大規模の現金をため込んでおり、保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のシャーク研究員は「将来の増税や規制強化を見極めようと様子見の姿勢になっているためだ」と指摘する。
もちろん「経営判断は経済情勢に基づいて行われるもので、大統領の好き嫌いとは関係ない」(スタンフォード大経営大学院のフェファー教授)との擁護論もあるが、民主党の資金集めが低調な中、「オバマ対大企業」(米紙ワシントン・ポスト)という図式は避けたいところで、政権は対話促進の糸口を探っている。
エコカー戦線激化 トヨタのPHV、300万円以下で発売へ 安価設定で他社EVに対抗
トヨタ自動車が、平成23年末に発売予定の家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)の価格を、300万円以下とする方向で検討していることが18日、分かった。ハイブリッド車(HV)で得た原価低減などのノウハウを生かすとともに、車載用リチウムイオン電池の量産化で製造コストを下げられると判断した。ライバルメーカーの電気自動車(EV)よりも価格を70万~100万円安く設定することにより、PHVでエコカー分野のデファクトスタンダード(業界標準)を狙う。
価格を300万円以下とするのは、人気HVの「プリウス」をベースにしたPHV。対抗車種となる他社製EVの価格は、三菱自動車の「i-MiEV(アイ・ミーブ)」が398万円、日産自動車が発売予定の「リーフ」が376万円。トヨタでは「PHVの普及を考えると、EVのような高い価格を設定できない」(幹部)としており、EVを下回る価格設定とする方針を固めた。
他社がEVの価格を引き下げれば、その動きに合わせてトヨタも「プリウスPHV」の価格をもう一段階引き下げる可能性もある。
トヨタは、EV分野で米ベンチャーのテスラ・モーターズ(カリフォルニア州)と提携。27年からは燃料電池車の本格販売も計画している。ただ、トヨタはエコカー戦略について、短距離をEV、長距離を燃料電池車と位置付けているものの、あらゆる走行距離に対応できるPHVを主軸に据えている。
昨年12月に600台限定で発売した法人向けプリウスPHVの価格は、525万円だった。しかし、PHVをエコカーの主流にするには、大幅な価格引き下げが必要と判断した。
ただ、昨年5月に発売したプリウス(3代目)の最上級モデルが327万円のため、全体の価格体系維持の点で今後も調整が必要とされ、プリウスPHVの価格が正式決定するのは発売直前になるとみられる。
100~200ボルトの家庭用電源で充電できるHV。動力源は電池駆動のモーターとガソリンエンジンの2つ。HVよりも電池の容量を増やし、モーターによるEVモードで走れる距離が長い。電池切れになると自動でガソリンエンジンに切り替わる。トヨタ以外にも、米ゼネラル・モーターズ(GM)が年内にPHV「シボレー・ボルト」の発売を計画している。
国内新規上場が低調…景気悪化・高コストなどで
2010年上半期(1~6月)に国内株式市場へ新規上場した企業が12社にとどまったことが、投資情報サイト「東京IPO」を運営するフィナンテック(東京・港区)の調査で分かった。
市場環境の悪化に加え、上場時の割高なコストなどが要因で、上場を目指す新興企業などにとっては厳しい状況が続いている。
国内の新規上場数は06年(188社)以降減り続け、リーマン・ショックが起きた08年は49社まで激減した。09年は19社(上半期は9社)にとどまった。景気悪化による収益の減少で、上場基準に満たない企業が増えているうえ、長引く株式市場の低迷で十分な資金調達が見込めず、上場を見送る企業も少なくない。
一方で、09年4月に日本企業としては初めて韓国市場に上場したインターネット広告の「ネプロアイティ」のように、成長が見込めるアジア市場に上場を検討する企業が目立っている。上場のハードルが高い国内市場を避け、アジア市場での上場を狙う企業は今後も増加すると予想されており、市場では「国内市場が空洞化する恐れもある」(大手証券)との指摘も出ている。
(日経社説)半導体不足が映すヒット商品の威力
半導体が世界的に品不足となり、日本にも影響が広がっている。春ごろからパソコンやテレビの生産に遅れが生じ、先週は日産自動車が工場の操業休止に追い込まれた。
日産ではエンジンなどを制御するための半導体部品が足りなくなり、16日までの3日間、日本の4つの工場が止まった。米国でも2工場が19日まで休業する。
自動車産業はすそ野が広く、生産を止めた時のコストや雇用への影響が大きい。このため半導体メーカーも「自動車の工場だけは止められない」と最優先で供給をしてきた。
だが、今回はその余裕もなくなり、スイスの半導体大手、STマイクロエレクトロニクスは取引が比較的少ない日産への供給を減らした。
品不足を招いているのは主に、半導体メーカーに供給力が足りない、自動車や家電で世界的なヒット商品が増えている、の2つが原因だ。
半導体産業はリーマン・ショック後に世界での生産能力を2割以上絞り込んだ。需要は今年初めから回復に向かっているが、多くの半導体メーカーは「本物の回復かどうか判断しにくい」と慎重で、設備投資が後手に回った。
そこにスマートフォン「iPhone」、携帯端末「iPad」、ハイブリッド車「プリウス」などのヒット商品が続いた。光半導体を使ったLED照明やクラウドコンピューティングという新市場も生まれた。
これらは半導体のかたまりである。スマートフォンに使う半導体は1台100~150ドル、ハイブリッド車も1台700~800ドル相当の半導体を使う。いずれも一般的な携帯電話やガソリン車の3~5倍だ。
新技術で突破口が生まれ、半導体など電子部材の需要も押し上げる。そんな事実が今回の背景にはあった点を見逃すことはできない。
半導体の需要拡大は今後も続く見通しで、業界の調査機関である世界半導体市場統計は最近、2010~12年の世界市場予測を「3年連続で過去最高(07年の2556億ドル)を更新する」と強気に修正した。
日銀も「(半導体など)情報関連材需要の拡大などを背景に輸出や生産は増加を続けている」と指摘した。技術革新が経済に大きな影響を及ぼす点を見事に映した形である。
ただ、残念ながらプリウス以外の突破口は国外企業によるものだ。ウォークマンで世界を制したソニーはなぜiPadを作れないのか。日本には突破型の技術が減っている原因を突き詰め、製品開発の在り方を見直していく努力も求められる。
従来の使い勝手のよさに加え、高解像度ディスプレーにハイビジョン動画撮影など、豊富な機能を取り揃えたことで、予約が殺到するなど高い人気を誇るアップルの「iPhone 4」。だが“スマートフォン”に分類される端末で、通常の携帯電話とは異なる部分も多いことから、購入に躊躇している人も少なくないのではないだろうか。
そこで「iPhone 4は欲しいけど、携帯電話は手放せない」という人のため、多くの人が所有しているNTTドコモの携帯電話とiPhone 4の2台持ちを前提に、どのような使い方・料金で利用するのがベストかを考えてみよう。
まずはiPhone 4にできないことを見極めよう
まずはiPhone 4を利用する上で、ネックとなる要素を確認しておこう。代表的な要素としては、ワンセグやおさいふケータイなどが(単体では)利用できないということが挙げられるが、他にも見落としがちな要素がいくつかある。
例えば“携帯サイト”。QRコードの読み取りなどは、iPhoneに別途アプリケーションをインストールすることで対応できるが、その先の携帯サイトにアクセスできないことも少なくない。お店のクーポンやメールマガジンへの登録などを利用したい場合、この制限に引っかかるケースが意外と多い。
同様の理由から、携帯電話の公式コンテンツや、モバゲータウンなどのSNSで提供されているソーシャルゲームもほぼ利用することができない。さらにいえば、「iコンシェル」「iチャネル」などのキャリアが提供する情報系サービスももちろん利用不可能だ。
“赤外線”も見落としがちなポイントである。赤外線はアドレス情報や写真の交換などに広く活用されているが、iPhoneには赤外線端子自体が存在しない。そのため、携帯電話の利用者とアドレス交換ができない。プロフィール情報をQRコード化して相手に読み取らせるアプリケーションなども存在するが、ひと手間かかってしまう。
また、iPhone 4にしたとしてもどうしても変えたくない要素もいくつかあるだろう。例えば、メールアドレス。電話番号は番号ポータビリティ(MNP)で移行させることができるが、メールアドレスはそれができない。そのため、躊躇してしまう人も少なくないだろう。さらにNTTドコモの方がソフトバンクモバイルより通信インフラが充実していることから、普段、一般的な携帯電話を利用しているのであれば、回線品質に不満を感じるかもしれない。
どの機能を残して、どの機能を移すか?
こうした要素を考慮した上で、どこまでをiPhone 4に移し、どこまでを携帯電話に残すかを考える必要がある。
比較的移行しやすいのは、Webサイトやコンテンツ、アプリケーション関連であろう。普段、携帯サイトをあまり利用しておらず、PCサイトの利用頻度の方が高いのであれば、iPhone 4の方が利便性が高い。またゲームやニュース、電子書籍などのアプリケーションも、最近はiPhone向けのものが充実してきている。音楽に関しても、PCや無線LAN経由でiTunesを利用することで代替可能だ。
またカメラに関しても、iPhone 4では500万画素と大幅に強化され、静止画・動画ともにミドルクラスの携帯電話並みの画質が得られるようになった。デジタルカメラ並みの画質が欲しいというのであれば話は別だが、そうでない人はiPhone 4でもある程度の満足は得られるだろう。
一方で、ワンセグやおさいふケータイ、赤外線などハード的に対応していない機能は、携帯電話側のものを利用した方がよい。ワンセグなど周辺機器で対応可能なものもあるにはあるが、2台持ちを前提とするのであれば、上手に使い分けた方が荷物を増やさずに済む。
通話に関しては、NTTドコモの充実したインフラ、そしてiPhone 4の回線品質を考慮すると、やはり従来の携帯電話中心に利用した方が安心だ。また家族がNTTドコモを使っているなら、「ファミ割MAX50」の契約で家族間通話が定額となることから、そちらに合わせた方が安く済むだろう。
ただしiPhone 4には、ソフトバンクモバイルのホワイトプランにおける定額通話が存在する。ソフトバンクモバイルの携帯電話相手に、21時~翌1時以外の間に通話をするなら、そちらを利用した方がお得。双方を使い分けて料金を節約するという手もあるので、覚えておきたい。 通話に合わせてプランを選択、iモードの解除は慎重に
こうした要素を考慮すると、Webやアプリケーションなどコンテンツの利用をiPhone 4に移し、通話、そしてワンセグやおさいふケータイなど不足部分を従来の携帯電話で補うというのが現実的な2台持ちのスタイルといえる。それゆえ携帯電話側の料金プランは、純粋に自分の通話利用状況に合わせたものを選ぶのがよい。
オプションに関してはどうだろうか。通話中心の利用に限定するのであれば、「ケータイ補償 お届けサービス」(月額315円)など補償に関するものや、オプションパック割引(留守番電話、キャッチホン、転送電話、メロディーコールのセット。月額420円)のような通話に関連するものを除き、例えばパケ・ホーダイ ダブルやiチャネル(月額157.5円)、iコンシェル(月額210円)などは外してしまってよいだろう。
だがiモード(月額315円)に関しては、十分注意する必要がある。携帯電話側でWebやメールを使わないのであれば必要ないように思えるが、おさいふケータイや各種クーポン、メロディーコールの設定などiモードを契約していないと利用できない、あるいは利用しづらいサービスもいくつか存在するためだ。また、そもそも現在のiモードメールのアドレスを維持したいのであれば、iモードの契約は必須だ。
こうしたことから、iPhone 4と2台持ちをしてからしばらくはiモードの契約を残しておき、その後の自分の利用状況に応じて契約を続けるか否かを判断するというのが現実的だ。もしiモードを契約し続ける場合はパケ・ホーダイ ダブル(月額390~4410円、フルブラウザ使用時は5985円)も契約していた方が安全だが、NTTドコモの場合、万が一パケット代を使いすぎた場合でも、同月内であればあとからパケ・ホーダイ ダブルを適用することも可能なので、覚えておくといいだろう。
実際の料金イメージは?
これらを踏まえ、実際、現在NTTドコモの携帯電話を持っている人が、iPhone 4との2台持ちに変更した場合、毎月の料金がどのように変化するかを考えてみよう。
バリューコースでファミ割MAX50、またはひとりでも割50を適用しており、かつ料金プランに一般的な「タイプSS」を選択している場合の基本料は980円となる。これに加えて、iモードやパケ・ホーダイ ダブルなど、量販店で薦められることが多い一般的なオプションを適用した場合、毎月の料金は2787~6807円、フルブラウザを利用している場合は8382円となる(いずれも小数点以下は切り捨て)。ここから先の例に従って「iチャネル」「iコンシェル」「パケ・ホーダイ ダブル」のオプションを外した場合、月額料金は2030円となる。
一方、iPhone 4の料金プランには「バリュープログラム(i)」と「標準プライスプラン」の2つが用意されている。両者の違いはパケット定額制のオプションと月月割の価格で、前者は「パケットし放題フラット」(月額4410円)、月月割が1920円。後者は「パケットし放題 for スマートフォン」(月額1029~4410円)、月月割が1440円となっている。
ともに新スーパーボーナス2年契約でiPhone 4(32GB)を購入し、パケット通信をフルに使用した場合、バリュープログラム(i)では「ホワイトプラン(i)」(月額980円)、「S!ベーシックパック(i)」(月額315円)、そして月月割適用後の端末価格(480円)をプラスして6185円、標準プライスプランでは月月割が480円分少ない分、上限がアップして6665円となる。
iPhone 4と2台持ちでの利用と、NTTドコモのみを利用した場合との比較(画像クリックで拡大)
これらの料金を単純に合計すると、バリュープログラム(i)を選択した場合は8215円、標準プライスプランを選択した場合は8695円ということになる。携帯電話でiモードメールやiモードブラウザのみ使っていた場合は1500~2000円のアップとなるが、フルブラウザを使っていた人の場合は、大きく変わらない料金で利用できるといえる。
なお、ここで記した例はあくまで一例に過ぎない。16GBのiPhone 4を購入した場合や、端末を一括で購入した場合、分割払いが終了した場合は月額料金がより安くなるし、標準プライスプランで無線LAN主体で使う場合は通信料を大幅に抑えられるだろう。またNTTドコモ側も、オプション・プランを変更することで料金は増減することとなる。ここで上げた事例をベースとしながら、自分なりの2台持ち料金設定を考えてみて欲しい。
改正貸金業法、完全施行1カ月 秋以降は要警戒、特区構想で火種も
消費者金融などの融資を大幅に制限する改正貸金業法が完全施行されて18日で1カ月。今のところ大きな混乱はないが、秋以降、ボーナスを使い切って資金繰りに困る借り手が増える懸念は高く、専業主婦などが悪質商法に走る恐れも指摘される。事態を重くみた大阪府は法改正前の規制に戻す「貸金特区」構想を示したが、政府は難色を示し、新たな火種となっている。 (藤澤志穂子)
完全施行後、日本貸金業協会に寄せられた相談の大半は変更点の質問で、「借りられなくなり困った」との声はあまりないという。
静かなスタートの背景には、6、7月が賞与時期と重なり、資金需要が少ないという事情がある。大手消費者金融幹部は「秋以降が要注意だ。改正法の存在を知っていても内容を知らない人は多く、借りる段階で混乱する可能性がある。そんな利用者が悪質商法に走りかねない」と警戒する。
消費者庁も最近、トラブルが急増中の6つの悪質商法を公表。特に懸念されるのが、クレジットカードのショッピング枠を悪用して借り手に不正換金させる手口で、東京情報大の堂下(どうもと)浩准教授は「業者の競争が激化し、手数料率引き下げなどで利用者が増える悪循環となっている」と語る。
そもそも段階的に施行された改正法の狙いは多重債務者問題の解決で、「一定の効果があった」(新里(にいさと)宏二弁護士)とされる。ただ多重債務者が減る一方、生活費や運転資金に困った主婦や零細事業者はなお多く、昨年秋以降、自己破産は前年同月比で増える傾向にある。
このため大阪府は7月6日、政府に「貸金特区」設立を要望。内容は(1)20万円以内の融資で上限金利を法改正前(年29・2%)に戻す(2)返済能力がある借り手には総量規制を超えて無担保融資(3)専業主婦には50万円まで融資-などだ。
これに対し、自見庄三郎金融相は「法律違反を認めることになる」と真っ向から批判。日本弁護士連合会も「直ちに撤回を求める」との声明を出したが、借りにくくなった人の有効な受け皿があるわけではない。
実際、金融庁は信用金庫や信用組合の融資に期待、日弁連は社会福祉協議会などの生活困窮者向け「セーフティーネット融資」の拡充を求めているが、「損失を政府が保証するなどしない限り無理」(信組幹部)との声も漏れる。堂下氏は「改正法を見直し、短期・少額融資の規制を緩和するしかない」と話している。
「オバマ政権はアンチビジネスだ!」米経済界で不満噴出
【ワシントン=渡辺浩生】医療保険改革法や金融規制改革法案などオバマ政権が次々に打ち出す政策に対し、米経済界から、企業負担を増やす「アンチビジネス」だという不満が噴出している。米商工会議所が「雇用創出という最優先事項を無視している」との書簡を出すなど対立する動きも拡大。中間選挙を控え関係悪化を避けたいホワイトハウスは対応に苦慮している。
米商工会議所が大統領への公開書簡を出したのは14日。増税や規制強化で「産業界を傷つけている」とした上で、「先行き不安感は経済成長や投資、雇用の敵だが、政府と議会多数派(民主党)は企業の経営判断に多大な不安感を与えている」と攻撃した。
エマニュエル大統領首席補佐官らは同日、素早く書簡を返信。「われわれは正しい方向に向かっている」とした上で、政府と経済界は雇用回復の目標を共有し「対立することはできない」と火消しに回った。
先月中旬には、通信大手ベライゾン・コミュニケーションズのセイデンバーグ最高経営責任者(CEO)が「政府とビジネス界の分断された関係に悩まされている」と述べ、政治不信が投資や雇用を妨げていると強調。同氏は大統領選でオバマ氏を支持しており、その発言は反響を呼んだ。
オバマ政権は医療保険改革法を今春に実現。金融規制改革法案も近く成立するほか、温暖化対策法案への意欲も捨てていない。大統領の手腕を評価する声もあるが、企業にすれば、医療費やエネルギーコストなど「負担を増やす事実上の増税」(米商工会議所)だ。
さらに金融危機の発信源となったウォール街や、原油流出事故を起こした英メジャー(国際石油資本)BPを舌鋒(ぜつぽう)鋭く批判する大統領の姿勢が「アンチビジネス」の印象を強めている。
米企業は利益を設備投資や雇用に回さず、3月末時点で1・8兆ドル(約155兆円)と過去最大規模の現金をため込んでおり、保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のシャーク研究員は「将来の増税や規制強化を見極めようと様子見の姿勢になっているためだ」と指摘する。
もちろん「経営判断は経済情勢に基づいて行われるもので、大統領の好き嫌いとは関係ない」(スタンフォード大経営大学院のフェファー教授)との擁護論もあるが、民主党の資金集めが低調な中、「オバマ対大企業」(米紙ワシントン・ポスト)という図式は避けたいところで、政権は対話促進の糸口を探っている。
エコカー戦線激化 トヨタのPHV、300万円以下で発売へ 安価設定で他社EVに対抗
トヨタ自動車が、平成23年末に発売予定の家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)の価格を、300万円以下とする方向で検討していることが18日、分かった。ハイブリッド車(HV)で得た原価低減などのノウハウを生かすとともに、車載用リチウムイオン電池の量産化で製造コストを下げられると判断した。ライバルメーカーの電気自動車(EV)よりも価格を70万~100万円安く設定することにより、PHVでエコカー分野のデファクトスタンダード(業界標準)を狙う。
価格を300万円以下とするのは、人気HVの「プリウス」をベースにしたPHV。対抗車種となる他社製EVの価格は、三菱自動車の「i-MiEV(アイ・ミーブ)」が398万円、日産自動車が発売予定の「リーフ」が376万円。トヨタでは「PHVの普及を考えると、EVのような高い価格を設定できない」(幹部)としており、EVを下回る価格設定とする方針を固めた。
他社がEVの価格を引き下げれば、その動きに合わせてトヨタも「プリウスPHV」の価格をもう一段階引き下げる可能性もある。
トヨタは、EV分野で米ベンチャーのテスラ・モーターズ(カリフォルニア州)と提携。27年からは燃料電池車の本格販売も計画している。ただ、トヨタはエコカー戦略について、短距離をEV、長距離を燃料電池車と位置付けているものの、あらゆる走行距離に対応できるPHVを主軸に据えている。
昨年12月に600台限定で発売した法人向けプリウスPHVの価格は、525万円だった。しかし、PHVをエコカーの主流にするには、大幅な価格引き下げが必要と判断した。
ただ、昨年5月に発売したプリウス(3代目)の最上級モデルが327万円のため、全体の価格体系維持の点で今後も調整が必要とされ、プリウスPHVの価格が正式決定するのは発売直前になるとみられる。
100~200ボルトの家庭用電源で充電できるHV。動力源は電池駆動のモーターとガソリンエンジンの2つ。HVよりも電池の容量を増やし、モーターによるEVモードで走れる距離が長い。電池切れになると自動でガソリンエンジンに切り替わる。トヨタ以外にも、米ゼネラル・モーターズ(GM)が年内にPHV「シボレー・ボルト」の発売を計画している。
国内新規上場が低調…景気悪化・高コストなどで
2010年上半期(1~6月)に国内株式市場へ新規上場した企業が12社にとどまったことが、投資情報サイト「東京IPO」を運営するフィナンテック(東京・港区)の調査で分かった。
市場環境の悪化に加え、上場時の割高なコストなどが要因で、上場を目指す新興企業などにとっては厳しい状況が続いている。
国内の新規上場数は06年(188社)以降減り続け、リーマン・ショックが起きた08年は49社まで激減した。09年は19社(上半期は9社)にとどまった。景気悪化による収益の減少で、上場基準に満たない企業が増えているうえ、長引く株式市場の低迷で十分な資金調達が見込めず、上場を見送る企業も少なくない。
一方で、09年4月に日本企業としては初めて韓国市場に上場したインターネット広告の「ネプロアイティ」のように、成長が見込めるアジア市場に上場を検討する企業が目立っている。上場のハードルが高い国内市場を避け、アジア市場での上場を狙う企業は今後も増加すると予想されており、市場では「国内市場が空洞化する恐れもある」(大手証券)との指摘も出ている。
(日経社説)半導体不足が映すヒット商品の威力
半導体が世界的に品不足となり、日本にも影響が広がっている。春ごろからパソコンやテレビの生産に遅れが生じ、先週は日産自動車が工場の操業休止に追い込まれた。
日産ではエンジンなどを制御するための半導体部品が足りなくなり、16日までの3日間、日本の4つの工場が止まった。米国でも2工場が19日まで休業する。
自動車産業はすそ野が広く、生産を止めた時のコストや雇用への影響が大きい。このため半導体メーカーも「自動車の工場だけは止められない」と最優先で供給をしてきた。
だが、今回はその余裕もなくなり、スイスの半導体大手、STマイクロエレクトロニクスは取引が比較的少ない日産への供給を減らした。
品不足を招いているのは主に、半導体メーカーに供給力が足りない、自動車や家電で世界的なヒット商品が増えている、の2つが原因だ。
半導体産業はリーマン・ショック後に世界での生産能力を2割以上絞り込んだ。需要は今年初めから回復に向かっているが、多くの半導体メーカーは「本物の回復かどうか判断しにくい」と慎重で、設備投資が後手に回った。
そこにスマートフォン「iPhone」、携帯端末「iPad」、ハイブリッド車「プリウス」などのヒット商品が続いた。光半導体を使ったLED照明やクラウドコンピューティングという新市場も生まれた。
これらは半導体のかたまりである。スマートフォンに使う半導体は1台100~150ドル、ハイブリッド車も1台700~800ドル相当の半導体を使う。いずれも一般的な携帯電話やガソリン車の3~5倍だ。
新技術で突破口が生まれ、半導体など電子部材の需要も押し上げる。そんな事実が今回の背景にはあった点を見逃すことはできない。
半導体の需要拡大は今後も続く見通しで、業界の調査機関である世界半導体市場統計は最近、2010~12年の世界市場予測を「3年連続で過去最高(07年の2556億ドル)を更新する」と強気に修正した。
日銀も「(半導体など)情報関連材需要の拡大などを背景に輸出や生産は増加を続けている」と指摘した。技術革新が経済に大きな影響を及ぼす点を見事に映した形である。
ただ、残念ながらプリウス以外の突破口は国外企業によるものだ。ウォークマンで世界を制したソニーはなぜiPadを作れないのか。日本には突破型の技術が減っている原因を突き詰め、製品開発の在り方を見直していく努力も求められる。
本家アメリカを超えて日本でツイッターが栄える3つの理由
調査会社のニールセンが、アジアパシフィックにおけるソーシャルメディア利用実態についての興味深いデータを発表しました。日本のソーシャルメディアの状況を知ることができる、信頼性の高い最新の資料と言えるでしょう。
ソーシャルメディアとは、ツイッターやmixi、Facebookのような、情報発信が可能で、友人関係を結ぶことができるウェブサイトを指します。ソーシャルメディアは「つながり」を再定義し、人々の生活や働き方を着々と変えつつあります。
調査によれば、日本におけるツイッターの対前年成長比は1,900%という驚くべき数字に達しているようです。Twitter.comへの月間の訪問者数はユニーク(重複を排除した数値)で約1,000万人であり、国内最大のSNSであるmixiをわずかに上回っています。グラフの強烈な上昇カーブを見るに、今後数ヵ月は成長が続いていくと思われます
グローバルな視点で見ても日本におけるツイッターの人気は特徴的で、米国の普及率(10%)を上回る16%という数字を記録しています。本家である米国を上回っている点を見るに、日本はツイッター好きな国民と言えるのかも知れません。
日本でツイッターが人気であることについて、私は3つの理由を考えています。
1. 日本語は多くの情報を140文字に詰め込める
「情報」という単語一つとっても、英語だと「information」の11字になってしまいます。英語では文字数がオーバーしがちな「議論」や「意見」も、日本語なら投稿することができます。英語などの言語に比べて、日本語が取りうるコミュニケーションの幅が広いことはまず間違いないでしょう。
2. 文化的に相性が良い。俳句・連歌、恥の文化、電車移動
制約の中で表現をすることは、日本人が古くから得意としてきたものです。ツイッターの140文字制限は、俳句や連歌といった文化に通じるものがあるのかも知れません。
日本が「行間を読む」ハイコンテクスト文化の国であることも、関係がありそうです。
また、強い自己表現を是としない「恥の文化」への鬱屈からテキスト表現を好む、といった指摘もされています。電車移動が多い、という社会的な理由も考えられます。ハンドルを握る必要がある自動車の中では、なかなかつぶやけません。
いずれも検証は難しいですが、急速な成長と浸透を見る限り、文化的な相性の良さは否定しにくいと思います。
3.ツイッターの代わりとなるサービスがない
最後に、日本人にとってツイッターの代わりとなるような、短文コミュニケーションを得意とするサービスが無かったことが挙げられます。
米国などでは、同じく短文コミュニケーションを得意とするFacebookが既に普及しているので「わざわざツイッターを使う必要がない」という状態が生じます。
日本には「Amebaなう」「mixiボイス」など後続のサービスはあれど、ツイッターに取って代わるようなサービスは事実上存在しないため、ツイッターへの需要が高くなるのは必然と言えるでしょう。
複雑な事象なのでこの3つにまとめるのは多少の無理があるのですが、ツイッターの隆盛を読み解くヒントにして頂ければ幸いです。
任天堂、円高で「最終赤字382億円」に転落の可能性が浮上
任天堂が軟調。15日終値は930円安の2万5030円だった。同社の11年3月期第1四半期の連結業績が赤字になりそうだとの予測が各証券会社から出ており、業績への懸念が売りを呼んでいる。
同社の前提為替レートは1ドル=95円、1ユーロ=120円。今期になってから欧州ソブリン問題などで前提レートを上回る円高水準が続いている。為替予約状況次第の面はあるものの為替差損が出る可能性は高い。
ゴールドマン・サックス証券は9日付リポートで、「10年3月末と6月末の為替の差から計算上は700億円程度の為替差損もあり得、その場合の経常損益は382億円の赤字となりえる」と指摘。
バークレイズ・キャピタル証券も14日付リポートで、「為替差損発生により最終赤字転落は避けられない」とする。
中国、2026年W杯招致へ 日本の22年招致の障害に
【北京=川越一】自国の代表が出場していないにもかかわらず、サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会に対する熱狂度は“世界レベル”だった中国が、2026年大会の招致に乗り出す。南ア大会の成功に触発されたようで、北京五輪、上海万博に続き、W杯で国威発揚をもくろんでいる。
国家体育総局の崔大林副局長らと南ア大会を視察した中国サッカー協会の韋迪主任(会長)が、スポーツ専門紙、体壇週報に語った。中国は18年、22年大会の招致を、代表チームの実力不足、国際サッカー界での存在感の薄さを理由に断念した。
しかし、国際サッカー連盟(FIFA)ランキングが低い南アが大過なく開催したことで方向を転換、協会は近く、招致を訴える視察報告書を体育総局に提出する。
韋主任は「W杯開催はサッカーの発展や商業的な価値だけでなく、南アフリカを国家として結束させることに役立った」と指摘。チベットや新疆ウイグル自治区など火種を抱える中国としても、民族団結に利用しない手はない。
中国は現在、国際サッカー連盟(FIFA)ランク78位。サッカー賭博や協会の腐敗も明るみに出て、代表チームは国内のファンからそっぽを向かれている。実は南アのサッカー界もかつては不正が蔓延していた。W杯開催を期に海外からの協力を得て浄化を成し遂げた。国内リーグの“改革”を掲げる韋主任にとって南アは格好のお手本だ。
FIFAのブラッター会長は13億人超の人口を抱える“巨大市場”でのW杯開催を望んでいるとささやかれてきた。韋主任は体壇週報に「アジアの国の22年大会招致が不成功に終わることを願っている」と述べており、中国の動きは22年大会招致を目指す日本の大きな障害になりかねない。
「就職人気No.1」JTBの崖っぷち
「旅の思い出は子どもの思い出となって残っていく。その意味でも、旅行の仕方や仕組みをもっと提案していかなくては……」
ある経済誌で「若者の旅行離れ」の原因を問われ、なんとも牧歌的な発言をしているのは、旅行業最大手ジェイティービー(JTB)の田川博己社長だ。リクルートが発表した来春卒業予定の大学生1万1640人を対象にした就職志望企業ランキングでJTBは7年ぶりに首位に返り咲いたばかり。田川社長の暢気な発言といい、就職人気の高さといい、順風満帆に見えるが、実は旅行業界全体が未曾有の苦境に直面している。
「旅行会社が危ない」。コンピューターによる旅券予約システムが旅行代理店の店頭に普及し始めた四半世紀前からそう叫ばれてきた。鉄道や航空機などの輸送機関やホテル・旅館などの宿泊施設と利用客がオンラインで結ばれることで「旅行代理店は不要になる」という単純な理屈だった。ところが、セキュリティーや換金システムなどインフラ面の整備の遅れや、しがらみで結びついた業界事情などによって「利権」は守られ、インターネット利用者が爆発的に増えてからも大手旅行会社は生きながらえてきた。だが、もういけない。大手旅行会社の決算数字は長期低落だけでなく、財務の脆弱性も覆い隠せなくなり、「退場」の日が近いことを予感させる。
■「楽天トラベル」だけが躍進
JTBは5月28日に「過去最悪の決算」を発表した。10年3月期の連結売上高は前期比12%減の1兆1212億円。景気低迷で企業の出張需要が急減し、新型インフルエンザ流行で個人旅行の需要も落ち込んだ。こうした収入減に加えて日本航空破綻に伴う保有株式や社債など投資有価証券の評価損24億円を計上、連結最終損益は145億円の赤字となった。09年3月期も23億円の連結最終赤字だったが、3ケタの赤字は異例。100億円を超える純損失は前身の日本交通公社時代を含めて初めてだ。
業界2位の近畿日本ツーリスト(近ツー)はさらに悲惨だ。09年12月期の連結売上高は前期比15%減の627億8500万円、連結最終損益は3期連続の赤字で、その額は84億円。最終赤字額は前期(08年12月期)の37億円から大幅に悪化した。同社は昨年10月に192人(単体の社員総数3603人)の希望退職を実施したのに続いて、全店舗の2割程度(50~70店)の店舗閉鎖を発表。加えて企業年金の給付減額といったリストラ策を次々に打ち出した。
ところが、5月11日に発表した10年12月期第1四半期(1~3月)決算で近ツーは34億円の連結純損失を計上、3億8700万円の債務超過に陥ってしまった。慌てた同社は5月27日に東京都千代田区神田松永町にある本社ビルと土地を加賀電子に32億円で売却することを発表。10年12月期に7億5千万円の売却益を計上することを公にして、信用不安が広がるのを防ごうとしている。近ツーをめぐっては、01年に決定し、翌年あっさりと白紙になった「日本旅行との合併話が再燃するのでは」との観測まで飛び交っている。
だが、相手の日本旅行も経営の苦しさは近ツーと大差がない。09年12月期の売上高は前期比17%減の415億9700万円、最終損益は同じように3期連続の赤字で、その額は10億6200万円。大手旅行会社の09年度取扱高ランキング(日経産業新聞まとめ)で、日本旅行(3476億円、08年度比18%減)は初めて阪急交通社(3528億円、0.4%増)に抜かれ、4位に転落する屈辱を味わっている。
ちなみにランキングトップはJTB(1兆4172億円、15%減)で、2位は近ツー(3803億円、17%減)。仮に近ツーと日本旅行が合併しても取扱高では首位のJTBの半分、3位の阪急交通社を加えてもJTBに遠く及ばない。収益構造が崩れかかっているのに、JTBの経営者と社員に危機感が乏しいのはこうしたガリバー構造が背景にある。
■大株主に「右顧左眄」の限界
日本旅行の4位転落とは逆に、躍進が話題を呼んだのは楽天トラベルだ。09年12月期の同社の旅行取扱高は前期比17%増の3051億円。(新型インフルエンザの影響を「限定的」と読んでツアー拡大に賭けた阪急交通社を除き)既存の大手旅行会社が軒並み減収となる中、ネット専業の楽天トラベルだけが大きく業績を伸ばした。数年前まで新興勢力と呼ばれたエイチ・アイ・エス(HIS)も09年度取扱高は前年度比13%減の2800億円。楽天トラベルは、このHISを抜いて業界5位となった。
「ネット時代」といわれて久しいのに、大手旅行会社の取り組みは驚くほど遅れている。JTBを例にとると、10年3月期のネット事業売上高は906億円で売上高全体に占める割合はわずか8%。巨額の赤字転落を受けて同社は8月下旬をメドに新たな中期経営計画を作成するが、その中にネット事業を13年3月期までに2千億円に拡大する方針を盛り込むという。近ツーも危機対策の中で、09年12月期110億円のネット取扱高を12年12月期に400億円に増やす計画を打ち出している。
近ツーは年初時点で、国内パック旅行商品のうち2割しか対象にしていなかったネット予約をすべての商品に開放するといった「ネット強化策」を明らかにしていた。これまで2割しかネットに開放していなかったのは店頭販売への影響を懸念したため。近ツーの店舗は260店(今年1月時点、法人専門店は除く)。JTBも885店(10年3月末)を抱えており、こうした店舗とそこで働く従業員の存在が、ネット事業に舵を切る足枷になっていた。
近ツーは年内に全店舗の2割程度を閉鎖すると、今年2月に発表。JTBも12年3月期末までに、やはり全店舗(この時点の全国店舗数は940店)の約2割に当たる200店近くを閉鎖する方針とされる。しかし、「得意客が楽天トラベルはじめネット専業に流れている」という悲鳴が営業現場から漏れてくる。果たして2割程度の店舗閉鎖で乗り切れるのか。労組の影響力が強いとされる旅行業界。その行く手には、労使紛争が待ち受けている。
大手旅行会社のもう一つの「頸木(くびき)」は大株主の存在だ。JTBの筆頭株主は財団法人日本交通公社(持ち株比率30%)だが、2位のJR東日本(22%)と3位のJR東海(13%)を合算すると35%になる。1912年に鉄道院(後の鉄道省)が母体となって前身の「ジャパン・ツーリスト・ビューロー」を発足させて以来、JTBは旧国鉄勢の影響が強く、82年まで歴代社長は国鉄OBが占めてきた。最近では5代続けてJTB生え抜きが社長に就任しているが、絶えず大株主のJRの顔色を窺わざるを得ず、抜本的なリストラや大胆なネット戦略を打ち出せなかった。
近ツーも立場は似ている。東証1部上場とはいえ、近鉄グループが40%を超える株式を保有し、事実上の親会社である近畿日本鉄道が歴代社長を送り込んできた。3位の阪急交通社は阪急阪神ホールディングスの孫会社であり、4位の日本旅行もJR西日本が80%の株式を握る。日本の旅行会社は大手といえども、親会社である輸送機関に右顧左眄してきた歴史を持つ。自立した経営陣が、時代に即応したリーダーシップを発揮しない限り、大手旅行会社は「終末」を回避できないだろう。
【東京新聞社説】
週のはじめに考える 世界のなかの日本語に
2010年7月18日
社内の共通語を英語にする企業も珍しくなくなったグローバル化時代です。気がかりなのは日本語の運命。世界に向けて逞(たくま)しく輝け、が願いです。
近代国語辞典の決定版として名高い日本国語大辞典の編集長を務めた倉島長正さんの近著「国語辞書一〇〇年」刊行の動機のひとつは「国語の時代を総括する」ことにありました。
◆近代国家苦闘の百五十年
グローバル化とインターネットのせいでしょう。言語の世界も新しい世紀に入り、日本語も日本人だけの国語ではなくなりました。日本への留学生は十万人、海外の百三十カ国で三百万人が日本語を学習して「国語」は「日本語」へと変容しています。学会も大学の専攻名も「国語・国文学」系から「日本語・日本文学」系へと名称変更されています。
倉島さんの著書の副題が「日本語をつかまえようと苦闘した人々の物語」であるように、黒船の来航で近代化を余儀なくされた日本の百五十年も苦闘の連続でした。
急ぎ近代国家の陣容を整え、国民に共通の国語もつくらねばなりませんでした。標準語、口語文、訳語、字体、句読点などの明治政府の言語の革新は、漢字廃止論やローマ字化論など今なお悔いを残す日本語混乱の副作用を引き起こしました。
そんな時代の辞書づくりは国家的偉業でもありました。「十七年間の辛勤」で明治二十四(一八九一)年完成したのは大槻文彦の「言海」。近代国語辞典の祖とされ、中小の辞典のあと、「大日本国語辞典」、百万部普及の「大言海」、「大辞典」と大型辞典の刊行が続きます。
オックスフォード英語辞典(OED)の理想に近づいたとされる「日本国語大辞典」二十巻の完成は昭和五十一(一九七六)年でした。四十五万項目、国語辞典に百科事典的要素を加え、言語学的研究辞典としても完璧(かんぺき)が期されたとされます。
◆主語がいらない秘密
親子二代、あるいは三世代にわたる研究者たちが生涯を捧(ささ)げてのそれぞれの辞書づくりでした。その労苦と情熱がページに刻み込まれています。
国語から日本語へ。新しい言語の世紀ですが、この時代の主役としての英語の急速な君臨が日本語にとって難問です。
二年後をめどに英語を社内の共通語にすると公表したのは楽天でした。ユニクロのファーストリテイリングも続くようですが、グローバル企業の意思伝達はすでに英語が原則です。実用英語が企業人の条件となると、子をもつ親たちの心は穏やかでないにちがいありません。英語第二公用語論は再び勢いを増してくるでしょうし、作家水村美苗さんのベストセラー「日本語が亡(ほろ)びるとき」の憂慮がいよいよ現実化しかねません。
そんな悲観論に「日本語は亡びない」(ちくま新書)と反論するのがカナダ・モントリオール大学で日本語を教える金谷武洋さん。日本語の希望の未来を語ります。
金谷さんによれば、日本語は間違いなく重要な国際語の一つになっていて、日本や日本の文化、日本の自然や日本人の優しさへの評価が日本語人気になっているといいます。そのうえで、「主語がいらない日本語」の構造にこそ世界を救う秘密が隠されていることを指摘します。日本語の共存共栄の思想と世界観です。
主語と述語がなければ成り立たない英語は、<我>と<汝(なんじ)>が区別され、対立する世界です。主語のいらない日本語の世界は、我と汝が一体となって溶け込み「対話の場」がつくられているというのです。敵も味方もなくなります。
例えば広島の原爆慰霊碑の「過ちは繰返しませぬから」の碑銘や沖縄平和祈念公園の「平和の礎(いしじ)」。敵も味方も同じ被害者で沖縄の慰霊碑には米兵の名前さえ刻まれています。これこそが日本語が何世紀にも何世代にもわたって先祖から引き継いできた共存共栄の思想だというのです。
◆敵対から共存共栄へ
敵対、対立から共存共栄の世界へ。英語公用語などという愚かで不要な議論はやめて、世界を救える思想を含む日本語を世界で教えられる正しい形に整えること-金谷さんはこれが武器や資源にもまして効果的な日本国家戦略だと訴えるのです。
言語はたんなる伝達の手段ではありません。思考の基礎であり、歴史や文化、伝統、思想信条や情緒、感性が込められて遠い過去から伝えられ、未来へ引き継がなければならないものです。日本語を充実させ輝かせるのがわれわれの世代の任務。政治家は国民を納得させる言葉を、ジャーナリズムは言葉を磨く。国民一人一人が使命を果たさなければなりません。
調査会社のニールセンが、アジアパシフィックにおけるソーシャルメディア利用実態についての興味深いデータを発表しました。日本のソーシャルメディアの状況を知ることができる、信頼性の高い最新の資料と言えるでしょう。
ソーシャルメディアとは、ツイッターやmixi、Facebookのような、情報発信が可能で、友人関係を結ぶことができるウェブサイトを指します。ソーシャルメディアは「つながり」を再定義し、人々の生活や働き方を着々と変えつつあります。
調査によれば、日本におけるツイッターの対前年成長比は1,900%という驚くべき数字に達しているようです。Twitter.comへの月間の訪問者数はユニーク(重複を排除した数値)で約1,000万人であり、国内最大のSNSであるmixiをわずかに上回っています。グラフの強烈な上昇カーブを見るに、今後数ヵ月は成長が続いていくと思われます
グローバルな視点で見ても日本におけるツイッターの人気は特徴的で、米国の普及率(10%)を上回る16%という数字を記録しています。本家である米国を上回っている点を見るに、日本はツイッター好きな国民と言えるのかも知れません。
日本でツイッターが人気であることについて、私は3つの理由を考えています。
1. 日本語は多くの情報を140文字に詰め込める
「情報」という単語一つとっても、英語だと「information」の11字になってしまいます。英語では文字数がオーバーしがちな「議論」や「意見」も、日本語なら投稿することができます。英語などの言語に比べて、日本語が取りうるコミュニケーションの幅が広いことはまず間違いないでしょう。
2. 文化的に相性が良い。俳句・連歌、恥の文化、電車移動
制約の中で表現をすることは、日本人が古くから得意としてきたものです。ツイッターの140文字制限は、俳句や連歌といった文化に通じるものがあるのかも知れません。
日本が「行間を読む」ハイコンテクスト文化の国であることも、関係がありそうです。
また、強い自己表現を是としない「恥の文化」への鬱屈からテキスト表現を好む、といった指摘もされています。電車移動が多い、という社会的な理由も考えられます。ハンドルを握る必要がある自動車の中では、なかなかつぶやけません。
いずれも検証は難しいですが、急速な成長と浸透を見る限り、文化的な相性の良さは否定しにくいと思います。
3.ツイッターの代わりとなるサービスがない
最後に、日本人にとってツイッターの代わりとなるような、短文コミュニケーションを得意とするサービスが無かったことが挙げられます。
米国などでは、同じく短文コミュニケーションを得意とするFacebookが既に普及しているので「わざわざツイッターを使う必要がない」という状態が生じます。
日本には「Amebaなう」「mixiボイス」など後続のサービスはあれど、ツイッターに取って代わるようなサービスは事実上存在しないため、ツイッターへの需要が高くなるのは必然と言えるでしょう。
複雑な事象なのでこの3つにまとめるのは多少の無理があるのですが、ツイッターの隆盛を読み解くヒントにして頂ければ幸いです。
任天堂、円高で「最終赤字382億円」に転落の可能性が浮上
任天堂が軟調。15日終値は930円安の2万5030円だった。同社の11年3月期第1四半期の連結業績が赤字になりそうだとの予測が各証券会社から出ており、業績への懸念が売りを呼んでいる。
同社の前提為替レートは1ドル=95円、1ユーロ=120円。今期になってから欧州ソブリン問題などで前提レートを上回る円高水準が続いている。為替予約状況次第の面はあるものの為替差損が出る可能性は高い。
ゴールドマン・サックス証券は9日付リポートで、「10年3月末と6月末の為替の差から計算上は700億円程度の為替差損もあり得、その場合の経常損益は382億円の赤字となりえる」と指摘。
バークレイズ・キャピタル証券も14日付リポートで、「為替差損発生により最終赤字転落は避けられない」とする。
中国、2026年W杯招致へ 日本の22年招致の障害に
【北京=川越一】自国の代表が出場していないにもかかわらず、サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会に対する熱狂度は“世界レベル”だった中国が、2026年大会の招致に乗り出す。南ア大会の成功に触発されたようで、北京五輪、上海万博に続き、W杯で国威発揚をもくろんでいる。
国家体育総局の崔大林副局長らと南ア大会を視察した中国サッカー協会の韋迪主任(会長)が、スポーツ専門紙、体壇週報に語った。中国は18年、22年大会の招致を、代表チームの実力不足、国際サッカー界での存在感の薄さを理由に断念した。
しかし、国際サッカー連盟(FIFA)ランキングが低い南アが大過なく開催したことで方向を転換、協会は近く、招致を訴える視察報告書を体育総局に提出する。
韋主任は「W杯開催はサッカーの発展や商業的な価値だけでなく、南アフリカを国家として結束させることに役立った」と指摘。チベットや新疆ウイグル自治区など火種を抱える中国としても、民族団結に利用しない手はない。
中国は現在、国際サッカー連盟(FIFA)ランク78位。サッカー賭博や協会の腐敗も明るみに出て、代表チームは国内のファンからそっぽを向かれている。実は南アのサッカー界もかつては不正が蔓延していた。W杯開催を期に海外からの協力を得て浄化を成し遂げた。国内リーグの“改革”を掲げる韋主任にとって南アは格好のお手本だ。
FIFAのブラッター会長は13億人超の人口を抱える“巨大市場”でのW杯開催を望んでいるとささやかれてきた。韋主任は体壇週報に「アジアの国の22年大会招致が不成功に終わることを願っている」と述べており、中国の動きは22年大会招致を目指す日本の大きな障害になりかねない。
「就職人気No.1」JTBの崖っぷち
「旅の思い出は子どもの思い出となって残っていく。その意味でも、旅行の仕方や仕組みをもっと提案していかなくては……」
ある経済誌で「若者の旅行離れ」の原因を問われ、なんとも牧歌的な発言をしているのは、旅行業最大手ジェイティービー(JTB)の田川博己社長だ。リクルートが発表した来春卒業予定の大学生1万1640人を対象にした就職志望企業ランキングでJTBは7年ぶりに首位に返り咲いたばかり。田川社長の暢気な発言といい、就職人気の高さといい、順風満帆に見えるが、実は旅行業界全体が未曾有の苦境に直面している。
「旅行会社が危ない」。コンピューターによる旅券予約システムが旅行代理店の店頭に普及し始めた四半世紀前からそう叫ばれてきた。鉄道や航空機などの輸送機関やホテル・旅館などの宿泊施設と利用客がオンラインで結ばれることで「旅行代理店は不要になる」という単純な理屈だった。ところが、セキュリティーや換金システムなどインフラ面の整備の遅れや、しがらみで結びついた業界事情などによって「利権」は守られ、インターネット利用者が爆発的に増えてからも大手旅行会社は生きながらえてきた。だが、もういけない。大手旅行会社の決算数字は長期低落だけでなく、財務の脆弱性も覆い隠せなくなり、「退場」の日が近いことを予感させる。
■「楽天トラベル」だけが躍進
JTBは5月28日に「過去最悪の決算」を発表した。10年3月期の連結売上高は前期比12%減の1兆1212億円。景気低迷で企業の出張需要が急減し、新型インフルエンザ流行で個人旅行の需要も落ち込んだ。こうした収入減に加えて日本航空破綻に伴う保有株式や社債など投資有価証券の評価損24億円を計上、連結最終損益は145億円の赤字となった。09年3月期も23億円の連結最終赤字だったが、3ケタの赤字は異例。100億円を超える純損失は前身の日本交通公社時代を含めて初めてだ。
業界2位の近畿日本ツーリスト(近ツー)はさらに悲惨だ。09年12月期の連結売上高は前期比15%減の627億8500万円、連結最終損益は3期連続の赤字で、その額は84億円。最終赤字額は前期(08年12月期)の37億円から大幅に悪化した。同社は昨年10月に192人(単体の社員総数3603人)の希望退職を実施したのに続いて、全店舗の2割程度(50~70店)の店舗閉鎖を発表。加えて企業年金の給付減額といったリストラ策を次々に打ち出した。
ところが、5月11日に発表した10年12月期第1四半期(1~3月)決算で近ツーは34億円の連結純損失を計上、3億8700万円の債務超過に陥ってしまった。慌てた同社は5月27日に東京都千代田区神田松永町にある本社ビルと土地を加賀電子に32億円で売却することを発表。10年12月期に7億5千万円の売却益を計上することを公にして、信用不安が広がるのを防ごうとしている。近ツーをめぐっては、01年に決定し、翌年あっさりと白紙になった「日本旅行との合併話が再燃するのでは」との観測まで飛び交っている。
だが、相手の日本旅行も経営の苦しさは近ツーと大差がない。09年12月期の売上高は前期比17%減の415億9700万円、最終損益は同じように3期連続の赤字で、その額は10億6200万円。大手旅行会社の09年度取扱高ランキング(日経産業新聞まとめ)で、日本旅行(3476億円、08年度比18%減)は初めて阪急交通社(3528億円、0.4%増)に抜かれ、4位に転落する屈辱を味わっている。
ちなみにランキングトップはJTB(1兆4172億円、15%減)で、2位は近ツー(3803億円、17%減)。仮に近ツーと日本旅行が合併しても取扱高では首位のJTBの半分、3位の阪急交通社を加えてもJTBに遠く及ばない。収益構造が崩れかかっているのに、JTBの経営者と社員に危機感が乏しいのはこうしたガリバー構造が背景にある。
■大株主に「右顧左眄」の限界
日本旅行の4位転落とは逆に、躍進が話題を呼んだのは楽天トラベルだ。09年12月期の同社の旅行取扱高は前期比17%増の3051億円。(新型インフルエンザの影響を「限定的」と読んでツアー拡大に賭けた阪急交通社を除き)既存の大手旅行会社が軒並み減収となる中、ネット専業の楽天トラベルだけが大きく業績を伸ばした。数年前まで新興勢力と呼ばれたエイチ・アイ・エス(HIS)も09年度取扱高は前年度比13%減の2800億円。楽天トラベルは、このHISを抜いて業界5位となった。
「ネット時代」といわれて久しいのに、大手旅行会社の取り組みは驚くほど遅れている。JTBを例にとると、10年3月期のネット事業売上高は906億円で売上高全体に占める割合はわずか8%。巨額の赤字転落を受けて同社は8月下旬をメドに新たな中期経営計画を作成するが、その中にネット事業を13年3月期までに2千億円に拡大する方針を盛り込むという。近ツーも危機対策の中で、09年12月期110億円のネット取扱高を12年12月期に400億円に増やす計画を打ち出している。
近ツーは年初時点で、国内パック旅行商品のうち2割しか対象にしていなかったネット予約をすべての商品に開放するといった「ネット強化策」を明らかにしていた。これまで2割しかネットに開放していなかったのは店頭販売への影響を懸念したため。近ツーの店舗は260店(今年1月時点、法人専門店は除く)。JTBも885店(10年3月末)を抱えており、こうした店舗とそこで働く従業員の存在が、ネット事業に舵を切る足枷になっていた。
近ツーは年内に全店舗の2割程度を閉鎖すると、今年2月に発表。JTBも12年3月期末までに、やはり全店舗(この時点の全国店舗数は940店)の約2割に当たる200店近くを閉鎖する方針とされる。しかし、「得意客が楽天トラベルはじめネット専業に流れている」という悲鳴が営業現場から漏れてくる。果たして2割程度の店舗閉鎖で乗り切れるのか。労組の影響力が強いとされる旅行業界。その行く手には、労使紛争が待ち受けている。
大手旅行会社のもう一つの「頸木(くびき)」は大株主の存在だ。JTBの筆頭株主は財団法人日本交通公社(持ち株比率30%)だが、2位のJR東日本(22%)と3位のJR東海(13%)を合算すると35%になる。1912年に鉄道院(後の鉄道省)が母体となって前身の「ジャパン・ツーリスト・ビューロー」を発足させて以来、JTBは旧国鉄勢の影響が強く、82年まで歴代社長は国鉄OBが占めてきた。最近では5代続けてJTB生え抜きが社長に就任しているが、絶えず大株主のJRの顔色を窺わざるを得ず、抜本的なリストラや大胆なネット戦略を打ち出せなかった。
近ツーも立場は似ている。東証1部上場とはいえ、近鉄グループが40%を超える株式を保有し、事実上の親会社である近畿日本鉄道が歴代社長を送り込んできた。3位の阪急交通社は阪急阪神ホールディングスの孫会社であり、4位の日本旅行もJR西日本が80%の株式を握る。日本の旅行会社は大手といえども、親会社である輸送機関に右顧左眄してきた歴史を持つ。自立した経営陣が、時代に即応したリーダーシップを発揮しない限り、大手旅行会社は「終末」を回避できないだろう。
【東京新聞社説】
週のはじめに考える 世界のなかの日本語に
2010年7月18日
社内の共通語を英語にする企業も珍しくなくなったグローバル化時代です。気がかりなのは日本語の運命。世界に向けて逞(たくま)しく輝け、が願いです。
近代国語辞典の決定版として名高い日本国語大辞典の編集長を務めた倉島長正さんの近著「国語辞書一〇〇年」刊行の動機のひとつは「国語の時代を総括する」ことにありました。
◆近代国家苦闘の百五十年
グローバル化とインターネットのせいでしょう。言語の世界も新しい世紀に入り、日本語も日本人だけの国語ではなくなりました。日本への留学生は十万人、海外の百三十カ国で三百万人が日本語を学習して「国語」は「日本語」へと変容しています。学会も大学の専攻名も「国語・国文学」系から「日本語・日本文学」系へと名称変更されています。
倉島さんの著書の副題が「日本語をつかまえようと苦闘した人々の物語」であるように、黒船の来航で近代化を余儀なくされた日本の百五十年も苦闘の連続でした。
急ぎ近代国家の陣容を整え、国民に共通の国語もつくらねばなりませんでした。標準語、口語文、訳語、字体、句読点などの明治政府の言語の革新は、漢字廃止論やローマ字化論など今なお悔いを残す日本語混乱の副作用を引き起こしました。
そんな時代の辞書づくりは国家的偉業でもありました。「十七年間の辛勤」で明治二十四(一八九一)年完成したのは大槻文彦の「言海」。近代国語辞典の祖とされ、中小の辞典のあと、「大日本国語辞典」、百万部普及の「大言海」、「大辞典」と大型辞典の刊行が続きます。
オックスフォード英語辞典(OED)の理想に近づいたとされる「日本国語大辞典」二十巻の完成は昭和五十一(一九七六)年でした。四十五万項目、国語辞典に百科事典的要素を加え、言語学的研究辞典としても完璧(かんぺき)が期されたとされます。
◆主語がいらない秘密
親子二代、あるいは三世代にわたる研究者たちが生涯を捧(ささ)げてのそれぞれの辞書づくりでした。その労苦と情熱がページに刻み込まれています。
国語から日本語へ。新しい言語の世紀ですが、この時代の主役としての英語の急速な君臨が日本語にとって難問です。
二年後をめどに英語を社内の共通語にすると公表したのは楽天でした。ユニクロのファーストリテイリングも続くようですが、グローバル企業の意思伝達はすでに英語が原則です。実用英語が企業人の条件となると、子をもつ親たちの心は穏やかでないにちがいありません。英語第二公用語論は再び勢いを増してくるでしょうし、作家水村美苗さんのベストセラー「日本語が亡(ほろ)びるとき」の憂慮がいよいよ現実化しかねません。
そんな悲観論に「日本語は亡びない」(ちくま新書)と反論するのがカナダ・モントリオール大学で日本語を教える金谷武洋さん。日本語の希望の未来を語ります。
金谷さんによれば、日本語は間違いなく重要な国際語の一つになっていて、日本や日本の文化、日本の自然や日本人の優しさへの評価が日本語人気になっているといいます。そのうえで、「主語がいらない日本語」の構造にこそ世界を救う秘密が隠されていることを指摘します。日本語の共存共栄の思想と世界観です。
主語と述語がなければ成り立たない英語は、<我>と<汝(なんじ)>が区別され、対立する世界です。主語のいらない日本語の世界は、我と汝が一体となって溶け込み「対話の場」がつくられているというのです。敵も味方もなくなります。
例えば広島の原爆慰霊碑の「過ちは繰返しませぬから」の碑銘や沖縄平和祈念公園の「平和の礎(いしじ)」。敵も味方も同じ被害者で沖縄の慰霊碑には米兵の名前さえ刻まれています。これこそが日本語が何世紀にも何世代にもわたって先祖から引き継いできた共存共栄の思想だというのです。
◆敵対から共存共栄へ
敵対、対立から共存共栄の世界へ。英語公用語などという愚かで不要な議論はやめて、世界を救える思想を含む日本語を世界で教えられる正しい形に整えること-金谷さんはこれが武器や資源にもまして効果的な日本国家戦略だと訴えるのです。
言語はたんなる伝達の手段ではありません。思考の基礎であり、歴史や文化、伝統、思想信条や情緒、感性が込められて遠い過去から伝えられ、未来へ引き継がなければならないものです。日本語を充実させ輝かせるのがわれわれの世代の任務。政治家は国民を納得させる言葉を、ジャーナリズムは言葉を磨く。国民一人一人が使命を果たさなければなりません。
米で人気急上昇「フォースクエア」は第2のツイッターか
ミニブログ「ツイッター」に次ぐネットサービスの新星として、米国で注目を集めているのが「フォースクエア(Foursquare)」(ニューヨーク市)だ。サービスの基本は、友人との交流を支援するSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や「つぶやき」をやりとりするツイッターと変わらないが、最大の特徴は「今どこにいるのか」という位置(ロケーション)情報だ。米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」など、全地球測位システム(GPS)を搭載した高機能携帯端末からのデータを活用して、利用者が書き込みをした瞬間の位置を把握する。
使い方は簡単。お気に入りのレストランやバーなどに到着したら、携帯電話上のアプリケーションソフト(アプリ)を利用して、その場所に「チェックイン(登録手続き)」するだけ。アプリを立ち上げれば、その地域にあるレストランなどの主な施設が自動的に一覧表示されるため、そのなかから自分のいるレストランを選択すれば、チェックインが完了する。
チェックインを済ませると、同じ場所にいる友人や近隣にいる知り合いなどの携帯にその情報が表示される。「800円でおいしいランチを見つけた」などのコメントを添付すれば、たまたま同じ地域にいた友人が集まってきて、寂しい“1人ランチ”をしなくて済む。また、仕事後に1杯飲みたい気分になったときにも便利。フォースクエアを使って近所で飲んでいる友人を探し出し、その友人がチェックインしている飲み屋に足を運べばいい。インターネットが得意とするバーチャルなやりとりを通じて、実際に人と人が対面する機会を増やすツールである点が面白い。
サービス開始は2009年3月で、現在の利用者は約180万人だ。まだ、「アーリーアドプター」と呼ばれる新技術に敏感な人たちが利用者の中心で、一般利用が進んだフェースブックやツイッターには遠く及ばない。だが、フォースクエアが今後爆発的に人気が出ると予測される理由は、ツイッターと驚くほどの共通点があるからだ。
(1) 投資家が同じ
フォースクエアの将来性を真っ先に認めた大手ベンチャーキャピタル(VC)「ユニオン・スクエア・ベンチャーズ」は、ツイッターを初期から支援したVCとして知られる。ユニオン・スクエア・ベンチャーズは昨年9月、今年6月の2回に渡って、フォースクエアに投資している。
また、ツイッターの共同創業者の1人、ジャック・ドーシー氏が、フォースクエアの初期投資家リストに個人として名前を連ねている点も興味深い。ドーシー氏は、ツイッター現経営陣のエバン・ウィリアムズ氏、ビズ・ストーン氏とともにツイッターを立ち上げた。シリコンバレーで活躍する30歳代の若手連続起業家(シリアル・アントレプレナー)を代表する1人だ。
フォースクエアは6月末、VCなどから総額2000万ドルの追加投資を受けたと発表した。1回目の投資から参加しているユニオン・スクエア・ベンチャーズに加え、今回からシリコンバレーの著名ベンチャー投資家2人が運営するVC「アンドリーセン・ホロウィツ」が参加、米メディアの注目を集めた。同VC運営者の1人、マーク・アンドリーセン氏は、ネット閲覧ソフト企業「ネットスケープ・コミュニケーションズ」の共同創業者で、全米屈指の連続起業家として知られる人物。ツイッターにもいち早く注目して、個人として投資してきた。フォースクエアは、こうした新興企業の「目利きのなかの目利き」と呼ばれている人たちから支持されている。
(2)企業利用が活発
ツイッターが人気になった理由の1つに、企業が販促ツールとして盛んに活用した点が挙げられる。企業が割引や無料キャンペーンなどのお得情報を積極的にツイッターを通じて発信したため、そうした情報目当てに利用者も加速度的に増えていった。
フォースクエアの場合も、早い段階から企業の参入が相次いでおり、コーヒーチェーン大手スターバックス、スポーツジム運営大手のクランチ、遊園地チェーン大手シックスフラッグスなどがすでに活用している。企業にとって、利用者のチェックイン回数や訪問頻度など、履歴情報を収集できるメリットは大きい。「頻繁に店舗を訪れる顧客層にのみセール情報を提供する」「一回きりになってしまっている客層を対象に割引情報を送付して再訪を促す」など、顧客個人の特性に合わせた販促活動が可能になる。「チェックイン回数10回で、コーヒー1杯無料」などの仕組みで、リピーター増を狙うカフェなども登場している。
(3)創業者がグーグルに買収された企業を育てた経験を持つ
フォースクエアを創業したのは、デニス・クローリー氏とナビーン・セルバデュライ氏の2人。クローリー氏は、フォースクエアの前に手掛けたSNSサービス「ドッジボール」を05年にグーグルに売却した経験を持つ。グーグル傘下で、SNSと位置情報を組み合わせたサービスを実現させようとするが、大企業内では思い通りに物事が進まない。不満を募らせたクローリー氏は07年にグーグルを退社。そのとき温めていたアイデアが、フォースクエアの原型となった。
こうした経験は、ツイッター創業者にも共通する。ウィリアムズ氏は、03年にブログサービス「ブロガー」をグーグルに売却。約1年半グーグル傘下で働くが、起業の面白さが忘れられずに再度独立。当時話題だったポッドキャストの技術をいろいろと試しているうちに、ツイッターの基礎となる仕組みを作り上げる。
新興企業を育成した経験。グーグルに認められる技術力。グーグルという大企業勤務。フォースクエアは、こうした体験を経たクローリー氏が生み出した自信作だ。
現在、フォースクエアの利用者は1日1万人のペースで増加している。フォースクエアにはまる理由は、「ゲーム性」(セルバデュライ共同創業者)だ。チェックインの頻度などに応じて「バッジ」がもらえるため、一度チェックインしたレストランやバー、ジムなどには、そのバッジ欲しさに何度も足を運ぶようになってしまう。もちろん、自己紹介の欄に表示されるバッジの数は利用者のあいだでは多いほど自慢になる。
また、最も頻繁に訪問した人には、その場所の「メイヤー(市長)」という称号が与えられる。お気に入りのバーやカフェには、縄張り意識を持つ人も多く、つい「市長になりたい」とがんばって通うようになる。あるバーの市長の称号を持つ女性は「夜中にほかの人に訪問回数で抜かされそうなことに気がついて、あわててベッドから飛び出して飲みに行った」と苦笑するように、やや中毒気味の人もいる。
米メディアの報道によると、今までにヤフーとフェースブックが、フォースクエアと買収交渉を持ったという。現段階では、独立企業として成長する道を選んだフォースクエア。類似点の多いツイッターのように、ネット業界の「台風の目」になれるのか。今後、その名前を聞く機会が増えるのは確実だ。
ゲーム配信の普及、どう対応? バンダイナムコHD社長 石川祝男氏に聞く ネットできめ細かく課金
ゲーム業界が転機を迎えている。「iPhone」(アイフォーン)など高機能携帯電話(スマートフォン)や交流サイト(SNS)など、ゲームを提供するサービスが多様化。インターネットを通じたソフト配信の世界的な普及で、パッケージソフトの店頭販売が苦戦を強いられている。ゲーム業界はどう対応すべきか。バンダイナムコホールディングスの石川祝男社長に聞いた。
――店頭でのパッケージ販売が縮小している。
「パッケージがなくなることはないが、今のままでは生き残れない。去年から任天堂の据え置き型ゲーム機のWii(ウィー)や携帯型のニンテンドーDSの勢いが落ち着いてきた。限られた時間の中、消費者が自宅でゲーム機のスイッチを入れる時間がどれだけあるか。売り方を変えなければならない」
――バンダイナムコではどう対応するのか。
「1本6000円、7000円のゲームソフトを一回限りで売るだけではだめだ。例えば最初に2000円、極端に言えば無料で販売した後、ネット経由で場面やアイテムを追加配信。もう1000円、2000円出してもらうなど、きめ細かな課金もあり得る」
――携帯向けに無料、あるいは安価なゲームが急成長している。
「パッケージを買っていた層が流れているのは確かだ。我々もアイフォーンに『太鼓の達人』など家庭用ゲーム機の人気タイトルを配信した。ベンチャー企業のゲームと比べれば開発費をかけているだけに、内容のレベルも高い。販売価格だけではなく、広告、アイテム課金など新しいビジネスモデルを築いていく」
「開発体制も家庭用ゲーム、パソコンなど端末ごとに分けていたのをコンテンツごとに統合する組織体制に変更した。ゲーム機、携帯、パソコンなどコンテンツを提供する出口はたくさんあり、どう展開していけるかが重要となる」
――ゲーム機ならではの楽しみ方をどう示すのか。
「3D(3次元)テレビに注目している。単に画像が美しいだけではなく、面白いコンテンツができるのではないか。ゲームの中の世界に入っていけるスポーツ、ライブ系のゲームなどだ。10年、20年後にはゲームの3D対応が当たり前になっているだろう」
「豊富なキャラクターを生かせば海外でも売れる。アクションゲーム『パックマン』は、北米でも知名度が高い。グループ企業で連携し、玩具、映像なども含めて展開できる。欧州、東南アジアも含めて開拓の余地があると考えている」
東芝、システムLSI用途開発の専門組織 市場開拓
東芝は半導体の新市場開拓に乗り出す。このほどシステムLSI(大規模集積回路)の用途開発、提案営業に取り組む専門組織を社内に設置。電子書籍端末などに使う通信系の部品、クラウドコンピューティング向け端末の半導体など成長分野の需要を掘り起こす。回復が遅れていたシステムLSIの再成長への足がかりとする考えだ。
新組織「新規市場開拓プロジェクト」は半導体事業を担当するセミコンダクター社内に置いた。所属する約50人は技術開発からマーケティング、製造まで広く人材を集めた。外部顧客だけでなく、東芝グループ内でも半導体に求める要求を調べて事業連携を検討する。
システムLSIは民生品や産業機器の最終製品の心臓部として搭載する高性能半導体。幅広く用途を開拓し、世界市場で業界標準となる製品を目指す。
東芝はNAND型フラッシュで韓国サムスン電子に次ぐ世界2位。2009年は世界シェアの約30%を占める。
一方、システムLSIは世界で幅広い顧客に使われるような製品は少ない。最新鋭工場などの固定費負担が重く、この数年の業績不振の要因ともなっていたため、テコ入れする。
TVデジタル化延期、放送専門の有識者ら提言
1年後に迫った地上波テレビの完全デジタル化について、放送を専門とする有識者らが17日、東京都内で記者会見を開き、デジタル放送の完全移行を2、3年延期すべきであるとの提言を発表した。
提言をまとめた発起人はジャーナリストの坂本衛さん、清水英夫・青山学院大学名誉教授ら。
提言では、来年7月までに見込まれる地上デジタル放送の受像機の普及台数から、テレビが見られなくなる世帯や事業所が数百万規模に上る恐れがあることなどから、アナログ放送停止を延期するのが得策としている。
財政頼み、もろさ潜む
安徽省の省都、合肥市。中心部をゆったりと川が流れ、緑に囲まれた内陸部都市でスーパーの出店競争が起きている。年内に開店予定の店舗面積7000平方メートル以上の大型スーパーの数は実に21店。仏カルフール、英テスコなど外資系に国内大手も含まれる。
同市の5月の社会消費品小売総額(小売売上高)は前年同期比20.4%増。全国の数値を約2ポイントも上回る。好況を支えるのは政府の景気対策だ。農村の家電購入補助の対象となる家電製品の販売額(5月)で、安徽省は約9億元(約117億円)で全国3位だった。
高速鉄道に沸く
同省では上海―北京線や南京―安慶線など複数の高速鉄道の工事が同時並行で進む。高速鉄道網の整備は中国政府が打ち出した4兆元の景気刺激策の柱の一つ。15年までに同省内での鉄道投資額は3千億元に達する。
長沙(湖南省)、鄭州(河南省)……。高速鉄道の工事が進む内陸部の各都市が合肥のような「鉄道景気」に沸いている。だが、中国の経済をけん引してきた沿海部に目を転じると、異なる風景が見えてくる。
最大の経済都市、上海。「期待したエアコンが思ったより売れない。値段を見比べ見送るケースがある」と家電量販店、国美電器の従業員はぼやく。上海の1~5月の小売売上高は同17.1%増で全国より1ポイント下回る。
建設のつち音も聞こえなくなった。上海万博に向けた工事前倒しの反動もあり、市内の建設工事が急減した。上海市の5月の固定資産投資(建設投資や設備投資の合計)額は同11.2%減。1~5月の累計でも同5.6%増と全国の同25.9%増を大きく下回った。
財政による景気刺激策が続く地域は好景気に沸くが、刺激策が一段落した上海のような地域では息切れ感が出ている。
中国政府は経済のけん引役を財政支出による投資や消費刺激から民間の自律的な消費拡大に切り替えるシナリオを描いてきた。だが個人消費の動向を示す小売売上高の上半期の伸びは同18.2%。2.6%のインフレ率を差し引けば昨年の伸びとさほど変わらない。
在庫は高止まり
期待ほど個人消費が盛り上がらないなか、在庫を抱える業界が増えてきた。購入補助金が縮小した自動車。「ディーラーも合わせた全国の在庫台数が120万台を超え、危険水準に入った。減産で対応するしかないだろう」(自動車業界筋)
中国鉄鋼大手の宝鋼集団と武漢鋼鉄集団は8月の鉄鋼製品価格を一部引き下げる。中国の鉄鋼相場は4月後半に年初来高値に達した後、約15%値を下げた。6月末の鋼材在庫は1600万トンに達し高止まりしたままだ。
今年上半期の輸出総額は同35.2%増。落ち込みが激しかった昨年の反動増で好調だが、今後は欧州不安に加え、人民元高もあり減速が予想される。「投資と輸出に頼った経済成長は持続不可能だ」。国内総生産(GDP)を発表した15日の国家統計局の記者会見で、スポークスマンの盛来運氏はこう語った。
だが肝心の消費は投資に代わるほどの力強さを見せていない。一段の内需拡大に向け、再び政府による大型の景気刺激策を期待する声も出ている。
来年は年金を減らすのか
菅直人首相が9月初めに予定されている民主党の代表選に勝利し、政権を維持しても、いばらの道は続く。最初の試練は2011年度の予算編成だ。
焦点は社会保障費、言い換えれば年金や医療、介護にかかるお金の調達だ。12年度が診療報酬と介護報酬を同時に改革する年にあたり、11年度は年金が主役になる。越えなければならない壁は、基礎年金の国庫負担率を50%に保つ算段だ。
話は自民、公明党が04年に成立させた年金制度改革法にさかのぼる。両党が「百年安心プラン」と呼んだ同法は、国内に住むすべての人に加入義務がある基礎年金の給付費について、一般財源の割合(国庫負担率)を33%から50%に高めると定めた。年金保険料を過度に上昇させないため、という理屈だった。
それには、ざっと2兆5000億円、消費税率にして1%分の巨費がいる。だから厳しい条件をつけた。「税制改革によって安定した財源を確保する」
引き上げは09年度に実現する。国庫負担率を50%にしたのは麻生政権だ。
しかし、いや、やはり、必須であるはずの条件は満たされなかった。09、10の両年度は「霞が関埋蔵金」、つまり特別会計にためた積立金を一般財源に繰り入れる会計操作でしのいだ。この埋蔵金は本来、国債の発行額を減らすのに使うために積み立てられてきた。突き詰めれば、赤字国債を出して高齢者に年金を配ったのに等しい。
消費税増税など安定した財源を確保するための税制の一体改革を怠り、次の世代へ借金をつけ回しした。禁じ手だろう。野党だった民主党は埋蔵金を年金にあてるのはおかしいと、反対した。筋をとおしたのだ。
今、民主党政権は麻生政権と同じ立場にある。
菅首相が参院選の公約に消費税率の引き上げを掲げたまではよかった。だが、それがなぜ必要なのか、説明は尽くされなかった。仮に一部を年金の国庫負担にあてると明言していれば、有権者の受け止めは微妙に違っていたかもしれない。
軸がはっきりしない増税公約は納税者が消費税に対して抱く印象を悪くした。与党の政治家には、この問題はやはり鬼門だと再認識させてしまったようだ。
野党に転じた自民党には2年前に禁じ手を使ったことへの反省の色がみえる。参院選の公約では消費税率10%の使い道のひとつに、年金の国庫負担を示した。
基礎年金は40年加入した人の場合、月に約6万6000円を受け取る。うち3万3000円が国庫から出ていることになる。11年度の予算編成で政府がもし2兆5000億円をひねり出せないとなると、国庫負担率は33%に戻る。支給額に引き直すと国庫分は2万2000円に減る。1万1000円分をどうするか。
2年前、筋をとおした民主党だ。埋蔵金には頼れまい。となると若者らの保険料を引き上げるのか。あるいは国債の発行増か。それとも年金積立金の流用か。
ここからは空想の世界。ない袖は振れないと、政府・民主党が非常事態を宣言し、11年度に限って基礎年金の額を月5万5000円に減らすための臨時特例法案を国会に出したら――。
そこまでしないと消費税を上げられないようでは、情けない。
ミニブログ「ツイッター」に次ぐネットサービスの新星として、米国で注目を集めているのが「フォースクエア(Foursquare)」(ニューヨーク市)だ。サービスの基本は、友人との交流を支援するSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や「つぶやき」をやりとりするツイッターと変わらないが、最大の特徴は「今どこにいるのか」という位置(ロケーション)情報だ。米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」など、全地球測位システム(GPS)を搭載した高機能携帯端末からのデータを活用して、利用者が書き込みをした瞬間の位置を把握する。
使い方は簡単。お気に入りのレストランやバーなどに到着したら、携帯電話上のアプリケーションソフト(アプリ)を利用して、その場所に「チェックイン(登録手続き)」するだけ。アプリを立ち上げれば、その地域にあるレストランなどの主な施設が自動的に一覧表示されるため、そのなかから自分のいるレストランを選択すれば、チェックインが完了する。
チェックインを済ませると、同じ場所にいる友人や近隣にいる知り合いなどの携帯にその情報が表示される。「800円でおいしいランチを見つけた」などのコメントを添付すれば、たまたま同じ地域にいた友人が集まってきて、寂しい“1人ランチ”をしなくて済む。また、仕事後に1杯飲みたい気分になったときにも便利。フォースクエアを使って近所で飲んでいる友人を探し出し、その友人がチェックインしている飲み屋に足を運べばいい。インターネットが得意とするバーチャルなやりとりを通じて、実際に人と人が対面する機会を増やすツールである点が面白い。
サービス開始は2009年3月で、現在の利用者は約180万人だ。まだ、「アーリーアドプター」と呼ばれる新技術に敏感な人たちが利用者の中心で、一般利用が進んだフェースブックやツイッターには遠く及ばない。だが、フォースクエアが今後爆発的に人気が出ると予測される理由は、ツイッターと驚くほどの共通点があるからだ。
(1) 投資家が同じ
フォースクエアの将来性を真っ先に認めた大手ベンチャーキャピタル(VC)「ユニオン・スクエア・ベンチャーズ」は、ツイッターを初期から支援したVCとして知られる。ユニオン・スクエア・ベンチャーズは昨年9月、今年6月の2回に渡って、フォースクエアに投資している。
また、ツイッターの共同創業者の1人、ジャック・ドーシー氏が、フォースクエアの初期投資家リストに個人として名前を連ねている点も興味深い。ドーシー氏は、ツイッター現経営陣のエバン・ウィリアムズ氏、ビズ・ストーン氏とともにツイッターを立ち上げた。シリコンバレーで活躍する30歳代の若手連続起業家(シリアル・アントレプレナー)を代表する1人だ。
フォースクエアは6月末、VCなどから総額2000万ドルの追加投資を受けたと発表した。1回目の投資から参加しているユニオン・スクエア・ベンチャーズに加え、今回からシリコンバレーの著名ベンチャー投資家2人が運営するVC「アンドリーセン・ホロウィツ」が参加、米メディアの注目を集めた。同VC運営者の1人、マーク・アンドリーセン氏は、ネット閲覧ソフト企業「ネットスケープ・コミュニケーションズ」の共同創業者で、全米屈指の連続起業家として知られる人物。ツイッターにもいち早く注目して、個人として投資してきた。フォースクエアは、こうした新興企業の「目利きのなかの目利き」と呼ばれている人たちから支持されている。
(2)企業利用が活発
ツイッターが人気になった理由の1つに、企業が販促ツールとして盛んに活用した点が挙げられる。企業が割引や無料キャンペーンなどのお得情報を積極的にツイッターを通じて発信したため、そうした情報目当てに利用者も加速度的に増えていった。
フォースクエアの場合も、早い段階から企業の参入が相次いでおり、コーヒーチェーン大手スターバックス、スポーツジム運営大手のクランチ、遊園地チェーン大手シックスフラッグスなどがすでに活用している。企業にとって、利用者のチェックイン回数や訪問頻度など、履歴情報を収集できるメリットは大きい。「頻繁に店舗を訪れる顧客層にのみセール情報を提供する」「一回きりになってしまっている客層を対象に割引情報を送付して再訪を促す」など、顧客個人の特性に合わせた販促活動が可能になる。「チェックイン回数10回で、コーヒー1杯無料」などの仕組みで、リピーター増を狙うカフェなども登場している。
(3)創業者がグーグルに買収された企業を育てた経験を持つ
フォースクエアを創業したのは、デニス・クローリー氏とナビーン・セルバデュライ氏の2人。クローリー氏は、フォースクエアの前に手掛けたSNSサービス「ドッジボール」を05年にグーグルに売却した経験を持つ。グーグル傘下で、SNSと位置情報を組み合わせたサービスを実現させようとするが、大企業内では思い通りに物事が進まない。不満を募らせたクローリー氏は07年にグーグルを退社。そのとき温めていたアイデアが、フォースクエアの原型となった。
こうした経験は、ツイッター創業者にも共通する。ウィリアムズ氏は、03年にブログサービス「ブロガー」をグーグルに売却。約1年半グーグル傘下で働くが、起業の面白さが忘れられずに再度独立。当時話題だったポッドキャストの技術をいろいろと試しているうちに、ツイッターの基礎となる仕組みを作り上げる。
新興企業を育成した経験。グーグルに認められる技術力。グーグルという大企業勤務。フォースクエアは、こうした体験を経たクローリー氏が生み出した自信作だ。
現在、フォースクエアの利用者は1日1万人のペースで増加している。フォースクエアにはまる理由は、「ゲーム性」(セルバデュライ共同創業者)だ。チェックインの頻度などに応じて「バッジ」がもらえるため、一度チェックインしたレストランやバー、ジムなどには、そのバッジ欲しさに何度も足を運ぶようになってしまう。もちろん、自己紹介の欄に表示されるバッジの数は利用者のあいだでは多いほど自慢になる。
また、最も頻繁に訪問した人には、その場所の「メイヤー(市長)」という称号が与えられる。お気に入りのバーやカフェには、縄張り意識を持つ人も多く、つい「市長になりたい」とがんばって通うようになる。あるバーの市長の称号を持つ女性は「夜中にほかの人に訪問回数で抜かされそうなことに気がついて、あわててベッドから飛び出して飲みに行った」と苦笑するように、やや中毒気味の人もいる。
米メディアの報道によると、今までにヤフーとフェースブックが、フォースクエアと買収交渉を持ったという。現段階では、独立企業として成長する道を選んだフォースクエア。類似点の多いツイッターのように、ネット業界の「台風の目」になれるのか。今後、その名前を聞く機会が増えるのは確実だ。
ゲーム配信の普及、どう対応? バンダイナムコHD社長 石川祝男氏に聞く ネットできめ細かく課金
ゲーム業界が転機を迎えている。「iPhone」(アイフォーン)など高機能携帯電話(スマートフォン)や交流サイト(SNS)など、ゲームを提供するサービスが多様化。インターネットを通じたソフト配信の世界的な普及で、パッケージソフトの店頭販売が苦戦を強いられている。ゲーム業界はどう対応すべきか。バンダイナムコホールディングスの石川祝男社長に聞いた。
――店頭でのパッケージ販売が縮小している。
「パッケージがなくなることはないが、今のままでは生き残れない。去年から任天堂の据え置き型ゲーム機のWii(ウィー)や携帯型のニンテンドーDSの勢いが落ち着いてきた。限られた時間の中、消費者が自宅でゲーム機のスイッチを入れる時間がどれだけあるか。売り方を変えなければならない」
――バンダイナムコではどう対応するのか。
「1本6000円、7000円のゲームソフトを一回限りで売るだけではだめだ。例えば最初に2000円、極端に言えば無料で販売した後、ネット経由で場面やアイテムを追加配信。もう1000円、2000円出してもらうなど、きめ細かな課金もあり得る」
――携帯向けに無料、あるいは安価なゲームが急成長している。
「パッケージを買っていた層が流れているのは確かだ。我々もアイフォーンに『太鼓の達人』など家庭用ゲーム機の人気タイトルを配信した。ベンチャー企業のゲームと比べれば開発費をかけているだけに、内容のレベルも高い。販売価格だけではなく、広告、アイテム課金など新しいビジネスモデルを築いていく」
「開発体制も家庭用ゲーム、パソコンなど端末ごとに分けていたのをコンテンツごとに統合する組織体制に変更した。ゲーム機、携帯、パソコンなどコンテンツを提供する出口はたくさんあり、どう展開していけるかが重要となる」
――ゲーム機ならではの楽しみ方をどう示すのか。
「3D(3次元)テレビに注目している。単に画像が美しいだけではなく、面白いコンテンツができるのではないか。ゲームの中の世界に入っていけるスポーツ、ライブ系のゲームなどだ。10年、20年後にはゲームの3D対応が当たり前になっているだろう」
「豊富なキャラクターを生かせば海外でも売れる。アクションゲーム『パックマン』は、北米でも知名度が高い。グループ企業で連携し、玩具、映像なども含めて展開できる。欧州、東南アジアも含めて開拓の余地があると考えている」
東芝、システムLSI用途開発の専門組織 市場開拓
東芝は半導体の新市場開拓に乗り出す。このほどシステムLSI(大規模集積回路)の用途開発、提案営業に取り組む専門組織を社内に設置。電子書籍端末などに使う通信系の部品、クラウドコンピューティング向け端末の半導体など成長分野の需要を掘り起こす。回復が遅れていたシステムLSIの再成長への足がかりとする考えだ。
新組織「新規市場開拓プロジェクト」は半導体事業を担当するセミコンダクター社内に置いた。所属する約50人は技術開発からマーケティング、製造まで広く人材を集めた。外部顧客だけでなく、東芝グループ内でも半導体に求める要求を調べて事業連携を検討する。
システムLSIは民生品や産業機器の最終製品の心臓部として搭載する高性能半導体。幅広く用途を開拓し、世界市場で業界標準となる製品を目指す。
東芝はNAND型フラッシュで韓国サムスン電子に次ぐ世界2位。2009年は世界シェアの約30%を占める。
一方、システムLSIは世界で幅広い顧客に使われるような製品は少ない。最新鋭工場などの固定費負担が重く、この数年の業績不振の要因ともなっていたため、テコ入れする。
TVデジタル化延期、放送専門の有識者ら提言
1年後に迫った地上波テレビの完全デジタル化について、放送を専門とする有識者らが17日、東京都内で記者会見を開き、デジタル放送の完全移行を2、3年延期すべきであるとの提言を発表した。
提言をまとめた発起人はジャーナリストの坂本衛さん、清水英夫・青山学院大学名誉教授ら。
提言では、来年7月までに見込まれる地上デジタル放送の受像機の普及台数から、テレビが見られなくなる世帯や事業所が数百万規模に上る恐れがあることなどから、アナログ放送停止を延期するのが得策としている。
財政頼み、もろさ潜む
安徽省の省都、合肥市。中心部をゆったりと川が流れ、緑に囲まれた内陸部都市でスーパーの出店競争が起きている。年内に開店予定の店舗面積7000平方メートル以上の大型スーパーの数は実に21店。仏カルフール、英テスコなど外資系に国内大手も含まれる。
同市の5月の社会消費品小売総額(小売売上高)は前年同期比20.4%増。全国の数値を約2ポイントも上回る。好況を支えるのは政府の景気対策だ。農村の家電購入補助の対象となる家電製品の販売額(5月)で、安徽省は約9億元(約117億円)で全国3位だった。
高速鉄道に沸く
同省では上海―北京線や南京―安慶線など複数の高速鉄道の工事が同時並行で進む。高速鉄道網の整備は中国政府が打ち出した4兆元の景気刺激策の柱の一つ。15年までに同省内での鉄道投資額は3千億元に達する。
長沙(湖南省)、鄭州(河南省)……。高速鉄道の工事が進む内陸部の各都市が合肥のような「鉄道景気」に沸いている。だが、中国の経済をけん引してきた沿海部に目を転じると、異なる風景が見えてくる。
最大の経済都市、上海。「期待したエアコンが思ったより売れない。値段を見比べ見送るケースがある」と家電量販店、国美電器の従業員はぼやく。上海の1~5月の小売売上高は同17.1%増で全国より1ポイント下回る。
建設のつち音も聞こえなくなった。上海万博に向けた工事前倒しの反動もあり、市内の建設工事が急減した。上海市の5月の固定資産投資(建設投資や設備投資の合計)額は同11.2%減。1~5月の累計でも同5.6%増と全国の同25.9%増を大きく下回った。
財政による景気刺激策が続く地域は好景気に沸くが、刺激策が一段落した上海のような地域では息切れ感が出ている。
中国政府は経済のけん引役を財政支出による投資や消費刺激から民間の自律的な消費拡大に切り替えるシナリオを描いてきた。だが個人消費の動向を示す小売売上高の上半期の伸びは同18.2%。2.6%のインフレ率を差し引けば昨年の伸びとさほど変わらない。
在庫は高止まり
期待ほど個人消費が盛り上がらないなか、在庫を抱える業界が増えてきた。購入補助金が縮小した自動車。「ディーラーも合わせた全国の在庫台数が120万台を超え、危険水準に入った。減産で対応するしかないだろう」(自動車業界筋)
中国鉄鋼大手の宝鋼集団と武漢鋼鉄集団は8月の鉄鋼製品価格を一部引き下げる。中国の鉄鋼相場は4月後半に年初来高値に達した後、約15%値を下げた。6月末の鋼材在庫は1600万トンに達し高止まりしたままだ。
今年上半期の輸出総額は同35.2%増。落ち込みが激しかった昨年の反動増で好調だが、今後は欧州不安に加え、人民元高もあり減速が予想される。「投資と輸出に頼った経済成長は持続不可能だ」。国内総生産(GDP)を発表した15日の国家統計局の記者会見で、スポークスマンの盛来運氏はこう語った。
だが肝心の消費は投資に代わるほどの力強さを見せていない。一段の内需拡大に向け、再び政府による大型の景気刺激策を期待する声も出ている。
来年は年金を減らすのか
菅直人首相が9月初めに予定されている民主党の代表選に勝利し、政権を維持しても、いばらの道は続く。最初の試練は2011年度の予算編成だ。
焦点は社会保障費、言い換えれば年金や医療、介護にかかるお金の調達だ。12年度が診療報酬と介護報酬を同時に改革する年にあたり、11年度は年金が主役になる。越えなければならない壁は、基礎年金の国庫負担率を50%に保つ算段だ。
話は自民、公明党が04年に成立させた年金制度改革法にさかのぼる。両党が「百年安心プラン」と呼んだ同法は、国内に住むすべての人に加入義務がある基礎年金の給付費について、一般財源の割合(国庫負担率)を33%から50%に高めると定めた。年金保険料を過度に上昇させないため、という理屈だった。
それには、ざっと2兆5000億円、消費税率にして1%分の巨費がいる。だから厳しい条件をつけた。「税制改革によって安定した財源を確保する」
引き上げは09年度に実現する。国庫負担率を50%にしたのは麻生政権だ。
しかし、いや、やはり、必須であるはずの条件は満たされなかった。09、10の両年度は「霞が関埋蔵金」、つまり特別会計にためた積立金を一般財源に繰り入れる会計操作でしのいだ。この埋蔵金は本来、国債の発行額を減らすのに使うために積み立てられてきた。突き詰めれば、赤字国債を出して高齢者に年金を配ったのに等しい。
消費税増税など安定した財源を確保するための税制の一体改革を怠り、次の世代へ借金をつけ回しした。禁じ手だろう。野党だった民主党は埋蔵金を年金にあてるのはおかしいと、反対した。筋をとおしたのだ。
今、民主党政権は麻生政権と同じ立場にある。
菅首相が参院選の公約に消費税率の引き上げを掲げたまではよかった。だが、それがなぜ必要なのか、説明は尽くされなかった。仮に一部を年金の国庫負担にあてると明言していれば、有権者の受け止めは微妙に違っていたかもしれない。
軸がはっきりしない増税公約は納税者が消費税に対して抱く印象を悪くした。与党の政治家には、この問題はやはり鬼門だと再認識させてしまったようだ。
野党に転じた自民党には2年前に禁じ手を使ったことへの反省の色がみえる。参院選の公約では消費税率10%の使い道のひとつに、年金の国庫負担を示した。
基礎年金は40年加入した人の場合、月に約6万6000円を受け取る。うち3万3000円が国庫から出ていることになる。11年度の予算編成で政府がもし2兆5000億円をひねり出せないとなると、国庫負担率は33%に戻る。支給額に引き直すと国庫分は2万2000円に減る。1万1000円分をどうするか。
2年前、筋をとおした民主党だ。埋蔵金には頼れまい。となると若者らの保険料を引き上げるのか。あるいは国債の発行増か。それとも年金積立金の流用か。
ここからは空想の世界。ない袖は振れないと、政府・民主党が非常事態を宣言し、11年度に限って基礎年金の額を月5万5000円に減らすための臨時特例法案を国会に出したら――。
そこまでしないと消費税を上げられないようでは、情けない。