00430000s@merumo.ne.jp に空メールすると、ブログと同じ内容のメルマガをが配信されます。twitterはhttps://twitter.com/wataru4 です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「ワイヤレスジャパン2010」に見るケータイ業界の再活性化
7月14日から16日にかけて開催されたモバイルや情報通信関連の総合展示会「ワイヤレスジャパン2010」。今年の展示や講演から筆者は、冷え込みが続いている携帯電話業界全体を再活性化させる新しい要素が増えているように感じた。そうした要素のいくつかについて触れていこう。
急速にプラットフォーム化が進むAR
キャリア各社のブースを見ていると、大幅に増えた印象を受けるのがAR、すなわち拡張現実に関する展示である。NTTドコモやKDDIはこれまでの展示会でもARに関する展示を行ってきたが、今回はその内容がより具体的、かつ現実的になってきている。
中でも大きな変化は、スマートフォンではなく通常の音声端末にARを持ち込むという動きが進んでいること。すでに音声端末向けARサービス「セカイカメラZOOM」のβ版を提供しているKDDIは、ARにおける画像認識技術を強化することで、特定の看板を認識して音楽を流したり、Webサイトへの誘導をしたりするなど、新たな付加価値を持たせるという取り組みを進めている。
NTTドコモも、カメラを向けた方向に魚やロケットが表示されるという空間配置型のAR技術を、音声端末で実現している。また、以前より開発を進めているスマートフォン向けのARサービス「直感ナビ」をよりブラッシュアップさせているほか、8月にはゴルフ場に特化した「ゴルフ版直感ナビ」を提供する予定としている。
さらに、NTTドコモの原田由佳氏の携帯コンテンツに関する講演において、冬モデルのPRIMEシリーズ全機種にAR機能を対応させる予定であるとの話があった。具体的なサービスは準備中とのことだが、大手2キャリアが積極的にARに取り組むことで、プラットフォームとしてのARが急速に立ち上がる可能性も十分考えられるようになった。
スマートフォンと音声端末のサービスはどこまで近づけるか?
現在各社が取り組みを進めているスマートフォンだが、スマートフォンに関する展示の中で、注目を集めていた要素の1つに、NTTドコモの「spモード」がある。これは一言で説明するとスマートフォン向けの「iモード」に位置づけられるもの。同社のスマートフォンでiモードメールやコンテンツ課金、アクセス制限などのサービスが提供される。利用料はiモード同様月額315円で、9月からの提供が予定されている。
NTTドコモは最近、スマートフォン市場の開拓に非常に積極的な動きを見せている。spモードも、多くの人が利用しているiモードメールを中心に、iモード端末からスマートフォンへの移行をしやすくするための取り組みと見ることができよう。
今回のワイヤレスジャパンにおいては、その中からiモードメール対応のメーラーアプリケーションに関する展示がなされていた。これを使うことで、絵文字やデコメールといったiモードメールで一般的な機能の多くが利用できるようになるという。端末側がFlashに対応していないため、“デコメアニメ”には対応していないとのことだが、iモードメールアプリケーションが標準搭載されるようになれば、その利用環境は大きく改善される。
とはいえ、コンテンツ課金などについてはまだ具体的に話すことができる段階にないようで、メール以外の部分に関して、どこまで従来のiモードサービスに近づいた内容になるのかを知ることはできなかった。spモードはスマートフォンが音声端末にどこまで近づけるかの指標の1つとなる可能性があるだけに、今後の動向に注目しておく必要があるだろう。
携帯マルチメディア放送における、ISDB-Tmm陣営の取り組みは?
もう1つ、NTTドコモのブースでひときわ大きな存在感を示していたのが、同社らが中心となって設立した「マルチメディア放送」(mmbi)の展示だ。
地上波アナログ終了後の空き周波数を利用した携帯電話向けマルチメディア放送の提供をめぐり、ISDB-Tmm方式での参入を目指すmmbiと、KDDIなどが中心となって設立し、MediaFLO方式での参入を目指す「メディアフロージャパン企画」が争っているというのは以前お伝えした通りだ。だが、MediaFLO陣営が積極的に実証実験や展示を公開してきたのとは対照的に、mmbiは展示や情報の公開に対し消極的な印象が強い。
だが、すでに審査に向け具体的な動きが進んでいることもあってか、今回のワイヤレスジャパンにおいては会場に特設スタジオを設け、ライブ中継を配信するなど大掛かりな展示を実施していた。ISDB-Tmm方式のチューナーを搭載した携帯電話に映像を配信するというデモだけでなく、無線LAN経由でスマートフォンに映像を配信したり、TransfarJetなどで映像コンテンツを他のデバイスに転送したりするなどの取り組みも示されていた。
ちなみに、今後の実証実験の公開などについて会場で話を聞いたところ、現在のところ、そうした予定があるわけではなく、MediaFLO陣営と比べ実際に見せる機会が少ないのは事実だが、サービスの開始はあくまで2年後(2012年4月を予定)であり、その時期に向けた準備を進めているとのことであった。
携帯電話業界は活気を取り戻しつつある?
今年のワイヤレスジャパンを見て感じたのは、業界全体が徐々にではあるが、再び活気を取り戻しつつあるのではないかということだ。
昨年のワイヤレスジャパンは従来出展していた企業の出展取りやめが相次いだことなどにより、魅力ある展示が減少し、業界全体の活気が失われている印象が非常に強かったのを覚えている。だが今年は、そうした企業のいくつかが再び出展をするようになったほか、中小規模を中心に新しい企業の展示も増え、幾分か活気が戻ってきたように思う。
こうした変化も、先に記したようにARやマルチメディア放送、スマートフォンなどの新しい要素が増えたことやLTEなどの次世代に向けた取り組みが進んでいることで、業界全体が再び活性化しつつあることが大きいのではないかと感じている。
市場環境が決してよいとはいえない状況下で激しい競争が続いていることから、各社を取り巻く環境は引き続き厳しいと予想される。だがそうした苦しみの中から新しい種が生まれ、携帯電話全体の次の成長に結びつくことを期待したいところだ。
「光の道」実現ならNTT完全民営化も…総務相
原口総務相は24日、横浜市内での集会で、光回線などの高速大容量通信網を全世帯に普及させる「光の道」構想に関連して「NTTが2015年までに光の道を造ってくれれば、自由にしていい」と述べ、政府出資を義務づけたNTT法を廃止する考えを示唆した。
原口氏はNTTに対し、固定電話の基盤である銅線を、光回線に切り替える目標時期などを盛り込んだ移行計画を8月末までに提出するよう求めているが、NTTは早期移行に難色を示している。
原口氏の発言は、自らが提唱する光の道構想の実現を条件に、NTTを完全民営化し、再分割などの組織再編を求める政府の関与もなくす意向を示したとみられ、今後、議論を呼びそうだ。
ソフトバンク4~6月、営業利益8割増 「iPhone」好調
ソフトバンクの2010年4~6月期連結営業利益は1900億円程度と前年同期に比べ約8割増えたもようだ。米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」のヒットを受け、データ通信収入が拡大した。09年10~12月期の1356億円を大幅に上回り、四半期ベースの過去最高益を更新する。
売上高は5%増の7000億円程度となったようだ。4~6月期は5月に多機能携帯端末「iPad」、6月に新型アイフォーンと相次いで大型商品を投入。端末販売が増えたほか、データ通信を中心に通信料収入も増えた。
通信機能付きデジタルフォトフレームの人気も寄与し、6月末の契約者数は約2257万件と1年で約162万件増加。契約あたり月間収入も約4200円とデータ通信を中心に前年同期比4%ほど増えたようだ。
ブロードバンド(高速大容量)や固定通信など携帯電話以外の事業も堅調で、子会社のヤフーも増収増益基調を維持したとみられる。
ソフトバンクは業績見通しについて、「11年3月期通期で営業利益5000億円」という予想のみを開示している。今月29日の決算発表では通期見通しを据え置く公算が大きいが、4~6月期だけで4割程度の水準を達成したもようで、上積み余地がありそうだ。
女性だってアダルトビデオ観たい ネットなら抵抗なく買えると人気
男性のための商品と思われたAV(アダルトビデオ)が20代30代の女性にバカ売れしている。「他人がどんなセックスをしているか知りたい」という女性は増えているが、店で買うのは恥ずかしい。でも、ネットなら抵抗なく購入できる、ということらしい。
DVDメーカーSILKLABO(シルクラボ)が女性のためのAV制作のプロジェクトを立ち上げたのは2年前。女性向けアダルトグッズ専門店を調査したところ女性にAVが売れていることがわかったからだ。より女性の嗜好に合わせた作品にしようと、スタッフは全員女性にした。
「他人はどんなセックスをしているか知りたい」
同メーカーは2009年8月に2作品をリリース。一つは女性の理想的な恋愛をドラマ化した「ファインダーの向こうに君がいた」。もう一つはセックスのハウツーもので、オーガズムを得る方法、騎乗位は腰をどのように動かせばいいのかなどを説明した「BODY TALK LESSON」。
これが発売するやいなや注文が殺到。ネット通販の「アマゾン」ではAVランキング売上げトップになり、売れすぎて品切れになった。
シルクラボの女性担当者はこう話す。
「女性もAVを観たいし、他人がどんなセックスをしているかAVで知りたいと思っていました。しかし、店で買うには抵抗があり、女性が不快になる内容のAVもありました」
そこで女性が好むラブストーリー仕立てのAVと、性の知識が得られるハウツーものを考案。AV男優は女性に人気のイケメンを選りすぐった。販売はネットで行い、女性でも抵抗なく買うことが出来るようにした。
AVは現在、3000枚売れるとヒットとされるが、「ファインダー」は約1万枚。9割以上が女性の購入で20代30代が中心。主婦の購入者も多い。これまで発売したのは3本で、10年8月に2本の新作をリリースする。これも予約が始まっていないにも関わらず発売を心待ちにするネットの書き込みや問い合わせが多数あるのだという。
一方、ピンク映画上映館にも女性客が増えている。新東宝映画によれば、ピンク映画業界は女性客を増やすため、作家性の高い監督とイケメン俳優を起用し、ラブロマンスありコメディーありの映画を制作している。最近では一般の映画館でピンク映画の特集上映イベントも催されるようになり、イベントに参加する女性客は1割程度だが、それでも「10年前には考えられない程の女性客の入り」だと新東宝映画のプロデューサーは強調する。
幻想を満たしてくれるAVに女性が傾倒する
福岡市の成人映画館「天神シネマ」は、今年の春から毎週水曜日は「レディスデー!」とし、女性もしくはカップルに限り入場できるようにした。それまで女性客は殆どいなかったが、今では多い日は60席のうち女性客が10人を超える日もある。同映画館では女性はチャレンジ精神が旺盛だとし、
「監督は誰なのか、出演する役者さんは誰なのかを選び来場するケースが目立ちます。中心は20代、30代の女性ですね」
と話している。
日本大学芸術学部非常勤講師で「女装する女」などの著書がある出版・広告ディレクターの湯山玲子さんは、女性がAVに興味を持ち出したのは、女性にも性欲があり、男性と同じような自慰欲求はあることが社会の中で容認され始めたのがきっかけと見る。
アンアンなどの若い女性向けの雑誌では、AVといってもおかしくない、女性のためのセクシュアルなDVDが付録に付いて、完売するという時代になっている。加えて、インターネットの発達で、人に知られず容易に入手できるようになったことも、今のAV人気の背景にある。
「男女とも恋愛を経てのリアルセックスという理想型に、面倒くささを感じている。男性は可愛い女の子が際どいプレイを惜しげもなくやってくれる二次元のAVにハマったが、それと同じ事が女性にも起きている。男の性的なリーダーシップが現実的にはどんどん後退している分、セックス幻想を満たしてくれるAVに、女性がより傾倒する傾向がある」
これが湯山さんの分析だ。
欧州銀行検査 金融不安解消にさらに努力を(7月25日付・読売社説)
欧州の主要銀行の財務状況を調べたストレステスト(特別検査)の結果が公表された。
これまで不透明だった欧州の個別行ごとの潜在的な資本不足額が、ようやく開示された意義は大きい。
ギリシャの財政危機に端を発した欧州の金融不安に歯止めをかけるには、銀行の経営安定が不可欠である。今後も引き続き、各行の資本増強が急務と言えよう。
特別検査は、想定以上に景気が失速したり、銀行が保有するギリシャなどの国債の価格が急落したりした場合でも、銀行経営が耐えられるかどうかを査定した。
欧州連合(EU)が対象にした91行のうち、ドイツ、ギリシャの各1行、スペインの5行の計7行が自己資本不足に陥ると判定された。不足額は合計で35億ユーロ(約3900億円)に上る。
問題行の7行は資本増強に取り組むが、スペイン政府は、公的資金を追加投入するとみられる。速やかな対応が求められる。
今回の検査で「資本不足」と認定された銀行数は、事前予想より少なく、いずれも中堅以下の銀行だった。経営悪化が懸念されたドイツの州立銀行を含め、大手行はすべて「問題なし」とされた。
しかし、この結果だけで、欧州の金融不安を払拭(ふっしょく)できるかと言えば、まだまだ楽観できまい。
市場では、そもそも資産査定の基準が甘かったという懸念がくすぶっているからだ。
不動産バブルが崩壊したスペインなどでは、銀行が抱える不良債権が拡大している模様だが、不動産価格の下落リスクを検査がどう見積もったかは不明だ。
巨額の財政赤字を抱えたギリシャの国債などの損失評価についても、あいまいな部分が残る。
2000もの金融機関がひしめくドイツなどの金融再編の加速も課題といえる。金融不安の解消にはさらなる努力が必要だ。
EUは、自力では資本増強を図れない銀行に対し、各国が公的資金を投入できる仕組みを整えた。さらに、EUの基金を活用した緊急融資制度を「最後の安全網」として検討している。
こうした手段を総動員し、欧州の金融システムを早期に安定させることが肝要である。
ギリシャ、スペインなどの財政赤字国は、財政再建を着実に実行することも求められよう。
欧州危機が拡大すれば、景気回復の途上にある世界経済に打撃を与える。EU各国は、連携を一段と強化しなければならない。
7月14日から16日にかけて開催されたモバイルや情報通信関連の総合展示会「ワイヤレスジャパン2010」。今年の展示や講演から筆者は、冷え込みが続いている携帯電話業界全体を再活性化させる新しい要素が増えているように感じた。そうした要素のいくつかについて触れていこう。
急速にプラットフォーム化が進むAR
キャリア各社のブースを見ていると、大幅に増えた印象を受けるのがAR、すなわち拡張現実に関する展示である。NTTドコモやKDDIはこれまでの展示会でもARに関する展示を行ってきたが、今回はその内容がより具体的、かつ現実的になってきている。
中でも大きな変化は、スマートフォンではなく通常の音声端末にARを持ち込むという動きが進んでいること。すでに音声端末向けARサービス「セカイカメラZOOM」のβ版を提供しているKDDIは、ARにおける画像認識技術を強化することで、特定の看板を認識して音楽を流したり、Webサイトへの誘導をしたりするなど、新たな付加価値を持たせるという取り組みを進めている。
NTTドコモも、カメラを向けた方向に魚やロケットが表示されるという空間配置型のAR技術を、音声端末で実現している。また、以前より開発を進めているスマートフォン向けのARサービス「直感ナビ」をよりブラッシュアップさせているほか、8月にはゴルフ場に特化した「ゴルフ版直感ナビ」を提供する予定としている。
さらに、NTTドコモの原田由佳氏の携帯コンテンツに関する講演において、冬モデルのPRIMEシリーズ全機種にAR機能を対応させる予定であるとの話があった。具体的なサービスは準備中とのことだが、大手2キャリアが積極的にARに取り組むことで、プラットフォームとしてのARが急速に立ち上がる可能性も十分考えられるようになった。
スマートフォンと音声端末のサービスはどこまで近づけるか?
現在各社が取り組みを進めているスマートフォンだが、スマートフォンに関する展示の中で、注目を集めていた要素の1つに、NTTドコモの「spモード」がある。これは一言で説明するとスマートフォン向けの「iモード」に位置づけられるもの。同社のスマートフォンでiモードメールやコンテンツ課金、アクセス制限などのサービスが提供される。利用料はiモード同様月額315円で、9月からの提供が予定されている。
NTTドコモは最近、スマートフォン市場の開拓に非常に積極的な動きを見せている。spモードも、多くの人が利用しているiモードメールを中心に、iモード端末からスマートフォンへの移行をしやすくするための取り組みと見ることができよう。
今回のワイヤレスジャパンにおいては、その中からiモードメール対応のメーラーアプリケーションに関する展示がなされていた。これを使うことで、絵文字やデコメールといったiモードメールで一般的な機能の多くが利用できるようになるという。端末側がFlashに対応していないため、“デコメアニメ”には対応していないとのことだが、iモードメールアプリケーションが標準搭載されるようになれば、その利用環境は大きく改善される。
とはいえ、コンテンツ課金などについてはまだ具体的に話すことができる段階にないようで、メール以外の部分に関して、どこまで従来のiモードサービスに近づいた内容になるのかを知ることはできなかった。spモードはスマートフォンが音声端末にどこまで近づけるかの指標の1つとなる可能性があるだけに、今後の動向に注目しておく必要があるだろう。
携帯マルチメディア放送における、ISDB-Tmm陣営の取り組みは?
もう1つ、NTTドコモのブースでひときわ大きな存在感を示していたのが、同社らが中心となって設立した「マルチメディア放送」(mmbi)の展示だ。
地上波アナログ終了後の空き周波数を利用した携帯電話向けマルチメディア放送の提供をめぐり、ISDB-Tmm方式での参入を目指すmmbiと、KDDIなどが中心となって設立し、MediaFLO方式での参入を目指す「メディアフロージャパン企画」が争っているというのは以前お伝えした通りだ。だが、MediaFLO陣営が積極的に実証実験や展示を公開してきたのとは対照的に、mmbiは展示や情報の公開に対し消極的な印象が強い。
だが、すでに審査に向け具体的な動きが進んでいることもあってか、今回のワイヤレスジャパンにおいては会場に特設スタジオを設け、ライブ中継を配信するなど大掛かりな展示を実施していた。ISDB-Tmm方式のチューナーを搭載した携帯電話に映像を配信するというデモだけでなく、無線LAN経由でスマートフォンに映像を配信したり、TransfarJetなどで映像コンテンツを他のデバイスに転送したりするなどの取り組みも示されていた。
ちなみに、今後の実証実験の公開などについて会場で話を聞いたところ、現在のところ、そうした予定があるわけではなく、MediaFLO陣営と比べ実際に見せる機会が少ないのは事実だが、サービスの開始はあくまで2年後(2012年4月を予定)であり、その時期に向けた準備を進めているとのことであった。
携帯電話業界は活気を取り戻しつつある?
今年のワイヤレスジャパンを見て感じたのは、業界全体が徐々にではあるが、再び活気を取り戻しつつあるのではないかということだ。
昨年のワイヤレスジャパンは従来出展していた企業の出展取りやめが相次いだことなどにより、魅力ある展示が減少し、業界全体の活気が失われている印象が非常に強かったのを覚えている。だが今年は、そうした企業のいくつかが再び出展をするようになったほか、中小規模を中心に新しい企業の展示も増え、幾分か活気が戻ってきたように思う。
こうした変化も、先に記したようにARやマルチメディア放送、スマートフォンなどの新しい要素が増えたことやLTEなどの次世代に向けた取り組みが進んでいることで、業界全体が再び活性化しつつあることが大きいのではないかと感じている。
市場環境が決してよいとはいえない状況下で激しい競争が続いていることから、各社を取り巻く環境は引き続き厳しいと予想される。だがそうした苦しみの中から新しい種が生まれ、携帯電話全体の次の成長に結びつくことを期待したいところだ。
「光の道」実現ならNTT完全民営化も…総務相
原口総務相は24日、横浜市内での集会で、光回線などの高速大容量通信網を全世帯に普及させる「光の道」構想に関連して「NTTが2015年までに光の道を造ってくれれば、自由にしていい」と述べ、政府出資を義務づけたNTT法を廃止する考えを示唆した。
原口氏はNTTに対し、固定電話の基盤である銅線を、光回線に切り替える目標時期などを盛り込んだ移行計画を8月末までに提出するよう求めているが、NTTは早期移行に難色を示している。
原口氏の発言は、自らが提唱する光の道構想の実現を条件に、NTTを完全民営化し、再分割などの組織再編を求める政府の関与もなくす意向を示したとみられ、今後、議論を呼びそうだ。
ソフトバンク4~6月、営業利益8割増 「iPhone」好調
ソフトバンクの2010年4~6月期連結営業利益は1900億円程度と前年同期に比べ約8割増えたもようだ。米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」のヒットを受け、データ通信収入が拡大した。09年10~12月期の1356億円を大幅に上回り、四半期ベースの過去最高益を更新する。
売上高は5%増の7000億円程度となったようだ。4~6月期は5月に多機能携帯端末「iPad」、6月に新型アイフォーンと相次いで大型商品を投入。端末販売が増えたほか、データ通信を中心に通信料収入も増えた。
通信機能付きデジタルフォトフレームの人気も寄与し、6月末の契約者数は約2257万件と1年で約162万件増加。契約あたり月間収入も約4200円とデータ通信を中心に前年同期比4%ほど増えたようだ。
ブロードバンド(高速大容量)や固定通信など携帯電話以外の事業も堅調で、子会社のヤフーも増収増益基調を維持したとみられる。
ソフトバンクは業績見通しについて、「11年3月期通期で営業利益5000億円」という予想のみを開示している。今月29日の決算発表では通期見通しを据え置く公算が大きいが、4~6月期だけで4割程度の水準を達成したもようで、上積み余地がありそうだ。
女性だってアダルトビデオ観たい ネットなら抵抗なく買えると人気
男性のための商品と思われたAV(アダルトビデオ)が20代30代の女性にバカ売れしている。「他人がどんなセックスをしているか知りたい」という女性は増えているが、店で買うのは恥ずかしい。でも、ネットなら抵抗なく購入できる、ということらしい。
DVDメーカーSILKLABO(シルクラボ)が女性のためのAV制作のプロジェクトを立ち上げたのは2年前。女性向けアダルトグッズ専門店を調査したところ女性にAVが売れていることがわかったからだ。より女性の嗜好に合わせた作品にしようと、スタッフは全員女性にした。
「他人はどんなセックスをしているか知りたい」
同メーカーは2009年8月に2作品をリリース。一つは女性の理想的な恋愛をドラマ化した「ファインダーの向こうに君がいた」。もう一つはセックスのハウツーもので、オーガズムを得る方法、騎乗位は腰をどのように動かせばいいのかなどを説明した「BODY TALK LESSON」。
これが発売するやいなや注文が殺到。ネット通販の「アマゾン」ではAVランキング売上げトップになり、売れすぎて品切れになった。
シルクラボの女性担当者はこう話す。
「女性もAVを観たいし、他人がどんなセックスをしているかAVで知りたいと思っていました。しかし、店で買うには抵抗があり、女性が不快になる内容のAVもありました」
そこで女性が好むラブストーリー仕立てのAVと、性の知識が得られるハウツーものを考案。AV男優は女性に人気のイケメンを選りすぐった。販売はネットで行い、女性でも抵抗なく買うことが出来るようにした。
AVは現在、3000枚売れるとヒットとされるが、「ファインダー」は約1万枚。9割以上が女性の購入で20代30代が中心。主婦の購入者も多い。これまで発売したのは3本で、10年8月に2本の新作をリリースする。これも予約が始まっていないにも関わらず発売を心待ちにするネットの書き込みや問い合わせが多数あるのだという。
一方、ピンク映画上映館にも女性客が増えている。新東宝映画によれば、ピンク映画業界は女性客を増やすため、作家性の高い監督とイケメン俳優を起用し、ラブロマンスありコメディーありの映画を制作している。最近では一般の映画館でピンク映画の特集上映イベントも催されるようになり、イベントに参加する女性客は1割程度だが、それでも「10年前には考えられない程の女性客の入り」だと新東宝映画のプロデューサーは強調する。
幻想を満たしてくれるAVに女性が傾倒する
福岡市の成人映画館「天神シネマ」は、今年の春から毎週水曜日は「レディスデー!」とし、女性もしくはカップルに限り入場できるようにした。それまで女性客は殆どいなかったが、今では多い日は60席のうち女性客が10人を超える日もある。同映画館では女性はチャレンジ精神が旺盛だとし、
「監督は誰なのか、出演する役者さんは誰なのかを選び来場するケースが目立ちます。中心は20代、30代の女性ですね」
と話している。
日本大学芸術学部非常勤講師で「女装する女」などの著書がある出版・広告ディレクターの湯山玲子さんは、女性がAVに興味を持ち出したのは、女性にも性欲があり、男性と同じような自慰欲求はあることが社会の中で容認され始めたのがきっかけと見る。
アンアンなどの若い女性向けの雑誌では、AVといってもおかしくない、女性のためのセクシュアルなDVDが付録に付いて、完売するという時代になっている。加えて、インターネットの発達で、人に知られず容易に入手できるようになったことも、今のAV人気の背景にある。
「男女とも恋愛を経てのリアルセックスという理想型に、面倒くささを感じている。男性は可愛い女の子が際どいプレイを惜しげもなくやってくれる二次元のAVにハマったが、それと同じ事が女性にも起きている。男の性的なリーダーシップが現実的にはどんどん後退している分、セックス幻想を満たしてくれるAVに、女性がより傾倒する傾向がある」
これが湯山さんの分析だ。
欧州銀行検査 金融不安解消にさらに努力を(7月25日付・読売社説)
欧州の主要銀行の財務状況を調べたストレステスト(特別検査)の結果が公表された。
これまで不透明だった欧州の個別行ごとの潜在的な資本不足額が、ようやく開示された意義は大きい。
ギリシャの財政危機に端を発した欧州の金融不安に歯止めをかけるには、銀行の経営安定が不可欠である。今後も引き続き、各行の資本増強が急務と言えよう。
特別検査は、想定以上に景気が失速したり、銀行が保有するギリシャなどの国債の価格が急落したりした場合でも、銀行経営が耐えられるかどうかを査定した。
欧州連合(EU)が対象にした91行のうち、ドイツ、ギリシャの各1行、スペインの5行の計7行が自己資本不足に陥ると判定された。不足額は合計で35億ユーロ(約3900億円)に上る。
問題行の7行は資本増強に取り組むが、スペイン政府は、公的資金を追加投入するとみられる。速やかな対応が求められる。
今回の検査で「資本不足」と認定された銀行数は、事前予想より少なく、いずれも中堅以下の銀行だった。経営悪化が懸念されたドイツの州立銀行を含め、大手行はすべて「問題なし」とされた。
しかし、この結果だけで、欧州の金融不安を払拭(ふっしょく)できるかと言えば、まだまだ楽観できまい。
市場では、そもそも資産査定の基準が甘かったという懸念がくすぶっているからだ。
不動産バブルが崩壊したスペインなどでは、銀行が抱える不良債権が拡大している模様だが、不動産価格の下落リスクを検査がどう見積もったかは不明だ。
巨額の財政赤字を抱えたギリシャの国債などの損失評価についても、あいまいな部分が残る。
2000もの金融機関がひしめくドイツなどの金融再編の加速も課題といえる。金融不安の解消にはさらなる努力が必要だ。
EUは、自力では資本増強を図れない銀行に対し、各国が公的資金を投入できる仕組みを整えた。さらに、EUの基金を活用した緊急融資制度を「最後の安全網」として検討している。
こうした手段を総動員し、欧州の金融システムを早期に安定させることが肝要である。
ギリシャ、スペインなどの財政赤字国は、財政再建を着実に実行することも求められよう。
欧州危機が拡大すれば、景気回復の途上にある世界経済に打撃を与える。EU各国は、連携を一段と強化しなければならない。
PR
“ノキア・シーメンス+モトローラ”の衝撃 日本のケータイ市場にとっても他人事ではない
フィンランドのノキアとドイツのシーメンスの合弁会社ノキア・シーメンス・ネットワークス(以下、ノキア・シーメンス)が7月19日、米通信機器大手モトローラの無線インフラ事業の大部分を12億ドルで買収することを発表した。
モトローラといえば、ケータイ端末、基地局、セミコンのすべてを手がけ、米国では民生のみならず軍需産業をも手がける、総合的な通信機器ベンダーである。日本との付き合いも長く、その名を耳にした人は少なくないだろう。一方のノキア・シーメンスは、本連載の読者なら言わずと知れた、世界第2位のシェアを誇る基地局ベンダーである。
このところ、基地局やセミコンといった、ケータイ産業を支えるプレーヤーたちの動きが激しさを増しているが、今回の一件は日本のケータイ市場にも直接的な影響を与えることになろう。そこで今回は、この買収が各方面に及ぼす影響を考察しつつ、その背後にある大きな潮流についてまとめてみる。
必ずしも競合ではなかった
事実関係をおさらいしておくと、今回ノキア・シーメンスは、モトローラの無線インフラ事業の主要部分のほとんどを手にすることになる。この中には、GSM、CDMA、W-CDMA、モバイルWiMAX、LTEなどの方式が含まれる。記者会見でノキア・シーメンスのラジブ・スリCEO(最高経営責任者)はその目的を「顧客基盤の獲得」としており、今回の買収がノキア・シーメンス側の事業拡大を目的としていることがうかがえる。
確かに買収の目的は、記者会見で説明された通りだろう。先日のルネサスとノキアの買収金額である2億ドルに比べると、そのおよそ6倍の12億ドルという規模の大きさが注目されるが、これは単純にモトローラの事業規模を反映したもの。例えば従業員数を見ても、ノキアの1200人に対してモトローラの7500人と6倍近い。
基地局という商材には、「規格が一度決まってしまえば後は大規模生産による大量供給」というイメージがあるかもしれない。しかし実際は、国ごとに細かく異なる周波数や通信規格への対応、納入先の通信事業者に割り当てられた周波数への調整、電源や電波塔といった既存資産との摺り合わせ、さらにはノンストップの運用を実現するための保守点検が必要となる。
そんなきめ細やかな開発・営業体制を必要とする基地局ビジネスを、モトローラは世界展開していた。彼らが有する商圏は、米国はもちろん、中国やインド、あるいは日本にも及び、各地で事業や研究開発を進めていた。その中核は、CDMAと呼ばれる通信規格で、日本ではCDMA方式を採用するKDDIが主要顧客となる。
こうした市場で、モトローラとノキア・シーメンスとは必ずしも競合しておらず、場合によっては補完関係にあった。そしてモトローラ率いるCDMA陣営は、次世代規格の開発を概ね見送りつつあったため将来性に不安が生じており、業績も低迷していた。モトローラ全体としてみれば、ノキア・シーメンスからの買収提案は、渡りに船というところだろう。
今回の買収によってモトローラの基地局ビジネスに残るのは、iDENなどの通信関連技術の一部に過ぎない。その詳細は明らかでないが、おそらくはセミコンダクターとの関係性が強い領域と、ナショナルセキュリティに直結する領域を残して、ほぼ全面的にノキア・シーメンスに売却したということになる。モトローラにとっては、市場における立ち位置を抜本的に変える大規模な事業再編ということになる。
エリクソンの狙いを再認識
一方、ノキア・シーメンスは今回の買収によって、何を手にしたのか。これには、攻守両方の意味があると考えている。
まず「攻め」のほうでは、世界中の商圏とその先にある顧客基盤の獲得であろう。前述の通り、モトローラは日本を含む世界市場で顧客を有している。そしてそれらの多くはCDMA陣営なのだが、CDMAの発展が止まった現在、KDDIがLTE採用を表明しているように、顧客企業は遠くない将来にLTEをはじめとした次世代技術への世代交代を迫られる。
しかしLTEは規格の関係上、当面はデータ通信中心の技術であり、音声通信は現世代を利用しなければならない。そのため通信事業者は、CDMA2000とW-CDMAの如何に関わらず、3Gを残しつつオーバーレイの形でLTEの導入を進めることになる。
おそらくノキア・シーメンスは、その際にCDMAの商流が活きてくると考えたのだろう。LTEの導入が進む一方、当面はCDMAのネットワークも維持しなければならない。ならば、CDMAの保守という既存商流をベースに、LTE移行のソリューションを提案できれば、営業効率が高い。あるいはCDMAとLTEを組み合わせたベンダーファイナンスのような財務を一体化させた高度な営業提案も、おそらく可能となるだろう。
一方「守り」の意味としては、なんといっても北米市場の確保だろう。ちょうど1年前の本連載で、スウェーデンのエリクソンによるノーテルネットワークスの無線通信関連(CDMAとLTEを含む)の事業買収に触れたが、ノキア・シーメンスはこの巨大市場で昨年より相次いでいたM&A(合併・買収)競争にことごとく破れ、プレゼンスを低下させていた。
この間、LTEを巡る事業環境は、大きく激変した。昨夏の時点ではまだLTE普及に関するリアリティが不足しており、「本当に普及するの?」という声も業界ではチラホラ聞かれた。しかし年末の頃から急速にLTEが次世代の主流派として台頭し始めた。特に米国では、バラク・オバマ政権下のFCC(連邦通信委員会)が進めるワイヤレス・ブロードバンド環境の整備において、主要技術としてLTEが位置づけられつつあり、急激な盛り上がりを見せている。
今回の買収により、ようやくエリクソンなどと対等に渡り合えるところまでキャッチアップできたと考えるべきだろう。逆に言えばノキア・シーメンスは、ほぼ1年間にわたって事業機会を損失したということになる。このように考えれば、なぜ昨夏にエリクソンがノキア・シーメンスの提案額の2倍近い金額を提示してノーテルの事業資産を“強奪”したか、しみじみ分かるというものである。
一気に訪れたLTEの波
では今回の一件は、ケータイ産業全体にとってどのような意味を有するのだろうか。それは大きく2つ挙げられる。
1つ目は、次世代規格がほぼLTEに収束したということ。これは前述の通りだが、次世代規格を巡るLTE対モバイルWiMAXの戦いは、昨秋辺りから勝敗が見えていた。今回の買収内容の中にはモバイルWiMAX事業も含まれているが、おそらくノキア・シーメンスがこの技術を担いで営業する局面は、皆無とまでは言わないにせよ、既に免許交付や事業化が進んでいる国・地域などを対象とした限定的なものとなろう。
一方、このモバイルWiMAXの資産継承とも緊密に関係するのが、TD-LTEの台頭だ。技術的な説明は割愛するが、LTEにはFDD(周波数分割複信)とTDD(時分割複信)という2方式がある。現在、世界で事業化に入りつつあるLTEはFDD方式なのだが、やはり昨秋辺りからTDD方式を採用するTD-LTEが台頭し始めた。
このTD-LTEは、中国で3G規格に採用されているTD-SCDMAと一部互換性があること、また中国移動(チャイナ・モバイル)や華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ=Huawei Technologies)といった中国系通信企業が注力していたことから、中国由来の技術として警戒されることも多かった。確かに開発体制などからはそう思われる側面もあるのだが、ここに来てエリクソンをはじめ欧米系の通信機器ベンダーも商品化を進めており、今回のモトローラもその1社となる。
そして前述のモバイルWiMAXも、実はTDD方式を採用する通信規格の1つである。そのため、次世代規格競争に敗れたかに見えるモバイルWiMAXだが、TD-LTEへの合流を図ることで起死回生を狙っているとも考えられているのだ。事実、モバイルWiMAXによる通信事業を行う米クリアワイヤも、米国におけるLTE重視という流れを察知し、TD-LTEの採用をほのめかしている。
このTD-LTEに関しては、実は日本でも他人事ではない。会社更生中のPHS最大手のウィルコムが次世代規格として開発を進めたXGPも、実はTD-LTEと技術的な親和性を有しており、中国企業との交流も以前から活発に行っていた。こうした一連の動きをいち早く感じ取ったソフトバンクは、ウィルコムのXGP資産を引き取りつつあるが、おそらく同社は既に割り当てられている2.5GHz帯でのTD-LTE導入を狙うと目されている。
もちろんこれは「言うは易し」の話だ。ウィルコムが取得した2.5GHz帯の周波数帯域は、あくまでXGPという技術を前提に割り当てられたものである。そしてXGPもTD-LTEも、それぞれ独立した技術としてITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)での標準化が完了している。ITUの判断が日本のみならず世界的にも電波政策・通信政策の基盤である以上、現実的には不可能に思える。
それでも、2012年に控えた周波数再編という電波政策の一大イベントを控え、何が起こるか分からないのも事実。特にLTEの波がこの1年で一気に訪れたことを考えると、M&A競争で苦汁をなめたノキア・シーメンスとしては、KDDI周辺はもちろん、それ以外のあらゆる方面にも商機を見出したいところだろう。
ノキアの新しい姿が見えてきた
そして今回の一件がケータイ産業全体に与えたもう1つの意味は、ノキアの新しい姿が見えてきたということだと、筆者は考えている。
本連載でもやんわり触れてきたが、実はノキアはここ数年重大な曲がり角に入ってきており、一部の資本市場筋では「ノキア再編」に向けた議論がとっくに行われていたところである。その大きな理由は、競争環境の変化である。
GSM時代に安価で気の利いたデザインによる端末販売で急速に成長したノキアだが、3Gへの移行が進むにつれて付加価値市場での競争力を欠くようになった。現在は、出荷台数こそ新興国のGSM市場を中心に圧倒的な数字を記録しているが、スマートフォン市場では完全に遅れを取っており、2010年第1四半期の数字では、前年同時期に比べスマートフォンの端末販売価格が20%近く下落している状態にある。
こうした中、ノキアは数年前から、事業形態の大幅な転換を目指していたように思える。その大きな方向性が、知財管理と資本管理を主体とした事業体への緩やかな転換だ。
前回の本連載で触れた、ルネサスへのワイヤレスモデム事業部門の売却も、おそらくこの一環だろう。ルネサスという従来から商流を構築していた企業に、売却することで、緩やかに時間を稼ぎながら新たな姿に移行しようとしているのだろう。これは推測だが、この売買が予想よりも安価だったのは、こうしたノキアの意向をルネサス側が何らか汲んだからではないかと思われる。
そして今回のノキア・シーメンスの強化も、筆者にはこうした動きの1つだと思える。というのは、ノキア・シーメンスは、財務上の位置づけこそノキアの連結子会社だが、現場の動きとしては概ねシーメンスの会社と思われるからだ。すなわち、シーメンスが実質オペレーションする子会社の成長戦略の一環としてM&Aを行い、親会社たるノキアはあくまでその果実を獲得する、という姿である。
実はこの買収劇に並行する形で、7月20日付けのウォール・ストリート・ジャーナルに興味深い記事が載っていた。「ノキアがオリペッカ・カラスブオCEOに変わる新たな経営者を登用する可能性がある」と報じたのだ。現時点でノキアはその事実関係を認めていないが、明らかに経営判断のミスや事故などでもない限り、こうした経営者交代に関する新聞辞令的な観測気球が打ち上がる時は、事業構造や組織の抜本的な変革を意図していることが少なくない。
もちろんこれも「言うは易し」の話だ。本当にそんなに都合よく話が進むとは限らないし、実際に格付け会社のフィッチは、そもそもの競争激化はもちろん、今回の事業買収・統合に係るリスクも厳しく評価しており、長期社債の格付けに影響を及ぼす可能性を指摘している。フィッチは2010年下期、つまり今後半年の動きが極めて重要だと指摘しており、ノキア・シーメンスは早々の成果やビジョンの明確化が求められている。
いずれにせよ、ここ最近の目まぐるしい動きは、ケータイというビジネスが抜本的に変革していることを如実に表している。そして今回のような世界的な再編が進むとなれば、上位2社の通信事業者がLTEの導入を進めようとしている日本市場においても、影響必至であろう。新たな重商主義が求められる日本経済において、こうした海外企業の動きが国内市場に重大な影響を与えるという姿で「脱ガラパゴス」が進むのが本当に望ましいのかは、大いに議論の余地があるところだが、いずれにせよ状況を注視したい。
日本人有効旅券保持者、4年で400万人減少 海外旅行市場の縮小傾向鮮明
日本人が保有する有効旅券(パスポート)の数が、2009年には4年前に比べ約400万人減少したことが、外務省の旅券統計から分かった。政府は観光立国の推進を成長戦略の柱に位置づけ、海外からの観光客受け入れだけでなく、日本人観光客の海外渡航拡大にも力を入れている。しかし、日本人の海外旅行市場は縮小傾向にあるのが実態で、政府や旅行業界は抜本的な対策が求められそうだ。
有効旅券数は、旅券統計の公表を始めた2005年末には約3493万人だったものが、09年末には約3088万人と、この4年間で405万人も減った。09年の一般旅券の発行件数は、前年より約5.6%多い約401万件だったものの、失効した旅券はこれを100万件以上上回った。有効期限を迎えた旅券を更新したり、初めて旅券を持とうとする人が減っているといえそうだ。
有効旅券が減少している要因について、ツーリズム・マーケティング研究所の磯貝政弘主席研究員は、(1)少子高齢化(2)経済情勢の悪化(3)地方路線の減少-と指摘しており、減少傾向については「公表前の01年ごろから始まっていた可能性もある」とみている。
実際、観光庁によると、09年に海外旅行に出かけた日本人は前年比3.4%減の約1544万人と3年連続で減少した。直近のピークである05年からは200万人近く減った計算だ。最近では景気後退や新型インフルエンザの流行などが影響したが、旅券を持っている人の数が減ってきていることも響いたとみられる。
旅行各社も海外旅行市場の縮小傾向を感じており、最大手のJTBでは「海外旅行マーケットのすそ野は着実に狭まっている」と危機感をあらわにする。
政府は今年度中に、日本人の海外旅行者数の2000万人達成を目標に掲げているが、09年実績からみれば実現しそうにない。旅行業界には魅力的な商品提案が求められると同時に、政府には旅券を取得しやすい環境整備なども求められそうだ。
【東京新聞社説】
経済財政白書 希望が見えてこない
2010年7月24日
二〇一〇年度経済財政白書が閣議に報告された。家計支援だけではデフレ脱却は難しく、企業が活動しやすい日本にすべきという。どう実現するのか。豊かさを支える成長への希望が見えない。
経済財政白書は日本経済の課題を分析し、経済運営の方向を客観的に示すことが目的だ。しかし本年度の白書は長期債務が国内総生産(GDP)の二倍近くに膨張した窮迫財政を背景に、家計支援の余裕はなくなったという国民向けメッセージに力点を置いたと見るべきだろう。
昨年の政権交代後、鳩山前政権は子ども手当や高校の実質無償化など、家計負担を軽くして可処分所得を押し上げ、需要を掘り起こす政策に軸足を置いてきた。しかし、来年度からの子ども手当全額支給は、財源五・五兆円の見通しすら立っていない。
そこで白書が登場させたのが、企業が日本でビジネスをしやすくする「居心地」論だ。最終章を「企業が居心地のよい国は、家計にも居心地がよいはずだ」との記述で結んでいる。財政支援に代わって、企業に需要創出の旗振り役を担わせるという台本だ。
企業が生み出す付加価値はGDPの半分の二百六十兆円に上り、全労働人口の七割が企業で働いている。日本に進出した外国企業も含め、収益の拡大が期待できれば給料が上がり、需要を喚起してデフレからの脱却も見えてくる。
しかし、企業が活動しやすい日本にするために白書が挙げているのは、外国企業の対日投資を妨げている語学の専門家不足の解消や、世界的にみて水準の高い法人税率を引き下げて外国企業の誘致を図る、などに限られている。
いずれも、これまで再三議論されてきたテーマであり、それだけで需要の創出を期待するというのでは、あまりにも戦略に乏しいと言わざるを得ない。
雇用にしても、企業の居心地のよさを追い求めるよりも、まずは女性や高齢者らを働きやすくさせる方が実現可能性が高い。
育児のため通勤できない女性が働けるよう保育所を整備することも立派な成長戦略であり、より現実的といえる。勤労意欲が旺盛な高齢者に就労を促すこともデフレ脱却を後押しするだろう。
菅政権は需要の創出を掛け声だけで終わらせてはならない。
国会論戦などを通じ、国民が納得する力強い需要創出の戦略を、分かりやすく、もっと具体的に提示すべきだ。
フィンランドのノキアとドイツのシーメンスの合弁会社ノキア・シーメンス・ネットワークス(以下、ノキア・シーメンス)が7月19日、米通信機器大手モトローラの無線インフラ事業の大部分を12億ドルで買収することを発表した。
モトローラといえば、ケータイ端末、基地局、セミコンのすべてを手がけ、米国では民生のみならず軍需産業をも手がける、総合的な通信機器ベンダーである。日本との付き合いも長く、その名を耳にした人は少なくないだろう。一方のノキア・シーメンスは、本連載の読者なら言わずと知れた、世界第2位のシェアを誇る基地局ベンダーである。
このところ、基地局やセミコンといった、ケータイ産業を支えるプレーヤーたちの動きが激しさを増しているが、今回の一件は日本のケータイ市場にも直接的な影響を与えることになろう。そこで今回は、この買収が各方面に及ぼす影響を考察しつつ、その背後にある大きな潮流についてまとめてみる。
必ずしも競合ではなかった
事実関係をおさらいしておくと、今回ノキア・シーメンスは、モトローラの無線インフラ事業の主要部分のほとんどを手にすることになる。この中には、GSM、CDMA、W-CDMA、モバイルWiMAX、LTEなどの方式が含まれる。記者会見でノキア・シーメンスのラジブ・スリCEO(最高経営責任者)はその目的を「顧客基盤の獲得」としており、今回の買収がノキア・シーメンス側の事業拡大を目的としていることがうかがえる。
確かに買収の目的は、記者会見で説明された通りだろう。先日のルネサスとノキアの買収金額である2億ドルに比べると、そのおよそ6倍の12億ドルという規模の大きさが注目されるが、これは単純にモトローラの事業規模を反映したもの。例えば従業員数を見ても、ノキアの1200人に対してモトローラの7500人と6倍近い。
基地局という商材には、「規格が一度決まってしまえば後は大規模生産による大量供給」というイメージがあるかもしれない。しかし実際は、国ごとに細かく異なる周波数や通信規格への対応、納入先の通信事業者に割り当てられた周波数への調整、電源や電波塔といった既存資産との摺り合わせ、さらにはノンストップの運用を実現するための保守点検が必要となる。
そんなきめ細やかな開発・営業体制を必要とする基地局ビジネスを、モトローラは世界展開していた。彼らが有する商圏は、米国はもちろん、中国やインド、あるいは日本にも及び、各地で事業や研究開発を進めていた。その中核は、CDMAと呼ばれる通信規格で、日本ではCDMA方式を採用するKDDIが主要顧客となる。
こうした市場で、モトローラとノキア・シーメンスとは必ずしも競合しておらず、場合によっては補完関係にあった。そしてモトローラ率いるCDMA陣営は、次世代規格の開発を概ね見送りつつあったため将来性に不安が生じており、業績も低迷していた。モトローラ全体としてみれば、ノキア・シーメンスからの買収提案は、渡りに船というところだろう。
今回の買収によってモトローラの基地局ビジネスに残るのは、iDENなどの通信関連技術の一部に過ぎない。その詳細は明らかでないが、おそらくはセミコンダクターとの関係性が強い領域と、ナショナルセキュリティに直結する領域を残して、ほぼ全面的にノキア・シーメンスに売却したということになる。モトローラにとっては、市場における立ち位置を抜本的に変える大規模な事業再編ということになる。
エリクソンの狙いを再認識
一方、ノキア・シーメンスは今回の買収によって、何を手にしたのか。これには、攻守両方の意味があると考えている。
まず「攻め」のほうでは、世界中の商圏とその先にある顧客基盤の獲得であろう。前述の通り、モトローラは日本を含む世界市場で顧客を有している。そしてそれらの多くはCDMA陣営なのだが、CDMAの発展が止まった現在、KDDIがLTE採用を表明しているように、顧客企業は遠くない将来にLTEをはじめとした次世代技術への世代交代を迫られる。
しかしLTEは規格の関係上、当面はデータ通信中心の技術であり、音声通信は現世代を利用しなければならない。そのため通信事業者は、CDMA2000とW-CDMAの如何に関わらず、3Gを残しつつオーバーレイの形でLTEの導入を進めることになる。
おそらくノキア・シーメンスは、その際にCDMAの商流が活きてくると考えたのだろう。LTEの導入が進む一方、当面はCDMAのネットワークも維持しなければならない。ならば、CDMAの保守という既存商流をベースに、LTE移行のソリューションを提案できれば、営業効率が高い。あるいはCDMAとLTEを組み合わせたベンダーファイナンスのような財務を一体化させた高度な営業提案も、おそらく可能となるだろう。
一方「守り」の意味としては、なんといっても北米市場の確保だろう。ちょうど1年前の本連載で、スウェーデンのエリクソンによるノーテルネットワークスの無線通信関連(CDMAとLTEを含む)の事業買収に触れたが、ノキア・シーメンスはこの巨大市場で昨年より相次いでいたM&A(合併・買収)競争にことごとく破れ、プレゼンスを低下させていた。
この間、LTEを巡る事業環境は、大きく激変した。昨夏の時点ではまだLTE普及に関するリアリティが不足しており、「本当に普及するの?」という声も業界ではチラホラ聞かれた。しかし年末の頃から急速にLTEが次世代の主流派として台頭し始めた。特に米国では、バラク・オバマ政権下のFCC(連邦通信委員会)が進めるワイヤレス・ブロードバンド環境の整備において、主要技術としてLTEが位置づけられつつあり、急激な盛り上がりを見せている。
今回の買収により、ようやくエリクソンなどと対等に渡り合えるところまでキャッチアップできたと考えるべきだろう。逆に言えばノキア・シーメンスは、ほぼ1年間にわたって事業機会を損失したということになる。このように考えれば、なぜ昨夏にエリクソンがノキア・シーメンスの提案額の2倍近い金額を提示してノーテルの事業資産を“強奪”したか、しみじみ分かるというものである。
一気に訪れたLTEの波
では今回の一件は、ケータイ産業全体にとってどのような意味を有するのだろうか。それは大きく2つ挙げられる。
1つ目は、次世代規格がほぼLTEに収束したということ。これは前述の通りだが、次世代規格を巡るLTE対モバイルWiMAXの戦いは、昨秋辺りから勝敗が見えていた。今回の買収内容の中にはモバイルWiMAX事業も含まれているが、おそらくノキア・シーメンスがこの技術を担いで営業する局面は、皆無とまでは言わないにせよ、既に免許交付や事業化が進んでいる国・地域などを対象とした限定的なものとなろう。
一方、このモバイルWiMAXの資産継承とも緊密に関係するのが、TD-LTEの台頭だ。技術的な説明は割愛するが、LTEにはFDD(周波数分割複信)とTDD(時分割複信)という2方式がある。現在、世界で事業化に入りつつあるLTEはFDD方式なのだが、やはり昨秋辺りからTDD方式を採用するTD-LTEが台頭し始めた。
このTD-LTEは、中国で3G規格に採用されているTD-SCDMAと一部互換性があること、また中国移動(チャイナ・モバイル)や華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ=Huawei Technologies)といった中国系通信企業が注力していたことから、中国由来の技術として警戒されることも多かった。確かに開発体制などからはそう思われる側面もあるのだが、ここに来てエリクソンをはじめ欧米系の通信機器ベンダーも商品化を進めており、今回のモトローラもその1社となる。
そして前述のモバイルWiMAXも、実はTDD方式を採用する通信規格の1つである。そのため、次世代規格競争に敗れたかに見えるモバイルWiMAXだが、TD-LTEへの合流を図ることで起死回生を狙っているとも考えられているのだ。事実、モバイルWiMAXによる通信事業を行う米クリアワイヤも、米国におけるLTE重視という流れを察知し、TD-LTEの採用をほのめかしている。
このTD-LTEに関しては、実は日本でも他人事ではない。会社更生中のPHS最大手のウィルコムが次世代規格として開発を進めたXGPも、実はTD-LTEと技術的な親和性を有しており、中国企業との交流も以前から活発に行っていた。こうした一連の動きをいち早く感じ取ったソフトバンクは、ウィルコムのXGP資産を引き取りつつあるが、おそらく同社は既に割り当てられている2.5GHz帯でのTD-LTE導入を狙うと目されている。
もちろんこれは「言うは易し」の話だ。ウィルコムが取得した2.5GHz帯の周波数帯域は、あくまでXGPという技術を前提に割り当てられたものである。そしてXGPもTD-LTEも、それぞれ独立した技術としてITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)での標準化が完了している。ITUの判断が日本のみならず世界的にも電波政策・通信政策の基盤である以上、現実的には不可能に思える。
それでも、2012年に控えた周波数再編という電波政策の一大イベントを控え、何が起こるか分からないのも事実。特にLTEの波がこの1年で一気に訪れたことを考えると、M&A競争で苦汁をなめたノキア・シーメンスとしては、KDDI周辺はもちろん、それ以外のあらゆる方面にも商機を見出したいところだろう。
ノキアの新しい姿が見えてきた
そして今回の一件がケータイ産業全体に与えたもう1つの意味は、ノキアの新しい姿が見えてきたということだと、筆者は考えている。
本連載でもやんわり触れてきたが、実はノキアはここ数年重大な曲がり角に入ってきており、一部の資本市場筋では「ノキア再編」に向けた議論がとっくに行われていたところである。その大きな理由は、競争環境の変化である。
GSM時代に安価で気の利いたデザインによる端末販売で急速に成長したノキアだが、3Gへの移行が進むにつれて付加価値市場での競争力を欠くようになった。現在は、出荷台数こそ新興国のGSM市場を中心に圧倒的な数字を記録しているが、スマートフォン市場では完全に遅れを取っており、2010年第1四半期の数字では、前年同時期に比べスマートフォンの端末販売価格が20%近く下落している状態にある。
こうした中、ノキアは数年前から、事業形態の大幅な転換を目指していたように思える。その大きな方向性が、知財管理と資本管理を主体とした事業体への緩やかな転換だ。
前回の本連載で触れた、ルネサスへのワイヤレスモデム事業部門の売却も、おそらくこの一環だろう。ルネサスという従来から商流を構築していた企業に、売却することで、緩やかに時間を稼ぎながら新たな姿に移行しようとしているのだろう。これは推測だが、この売買が予想よりも安価だったのは、こうしたノキアの意向をルネサス側が何らか汲んだからではないかと思われる。
そして今回のノキア・シーメンスの強化も、筆者にはこうした動きの1つだと思える。というのは、ノキア・シーメンスは、財務上の位置づけこそノキアの連結子会社だが、現場の動きとしては概ねシーメンスの会社と思われるからだ。すなわち、シーメンスが実質オペレーションする子会社の成長戦略の一環としてM&Aを行い、親会社たるノキアはあくまでその果実を獲得する、という姿である。
実はこの買収劇に並行する形で、7月20日付けのウォール・ストリート・ジャーナルに興味深い記事が載っていた。「ノキアがオリペッカ・カラスブオCEOに変わる新たな経営者を登用する可能性がある」と報じたのだ。現時点でノキアはその事実関係を認めていないが、明らかに経営判断のミスや事故などでもない限り、こうした経営者交代に関する新聞辞令的な観測気球が打ち上がる時は、事業構造や組織の抜本的な変革を意図していることが少なくない。
もちろんこれも「言うは易し」の話だ。本当にそんなに都合よく話が進むとは限らないし、実際に格付け会社のフィッチは、そもそもの競争激化はもちろん、今回の事業買収・統合に係るリスクも厳しく評価しており、長期社債の格付けに影響を及ぼす可能性を指摘している。フィッチは2010年下期、つまり今後半年の動きが極めて重要だと指摘しており、ノキア・シーメンスは早々の成果やビジョンの明確化が求められている。
いずれにせよ、ここ最近の目まぐるしい動きは、ケータイというビジネスが抜本的に変革していることを如実に表している。そして今回のような世界的な再編が進むとなれば、上位2社の通信事業者がLTEの導入を進めようとしている日本市場においても、影響必至であろう。新たな重商主義が求められる日本経済において、こうした海外企業の動きが国内市場に重大な影響を与えるという姿で「脱ガラパゴス」が進むのが本当に望ましいのかは、大いに議論の余地があるところだが、いずれにせよ状況を注視したい。
日本人有効旅券保持者、4年で400万人減少 海外旅行市場の縮小傾向鮮明
日本人が保有する有効旅券(パスポート)の数が、2009年には4年前に比べ約400万人減少したことが、外務省の旅券統計から分かった。政府は観光立国の推進を成長戦略の柱に位置づけ、海外からの観光客受け入れだけでなく、日本人観光客の海外渡航拡大にも力を入れている。しかし、日本人の海外旅行市場は縮小傾向にあるのが実態で、政府や旅行業界は抜本的な対策が求められそうだ。
有効旅券数は、旅券統計の公表を始めた2005年末には約3493万人だったものが、09年末には約3088万人と、この4年間で405万人も減った。09年の一般旅券の発行件数は、前年より約5.6%多い約401万件だったものの、失効した旅券はこれを100万件以上上回った。有効期限を迎えた旅券を更新したり、初めて旅券を持とうとする人が減っているといえそうだ。
有効旅券が減少している要因について、ツーリズム・マーケティング研究所の磯貝政弘主席研究員は、(1)少子高齢化(2)経済情勢の悪化(3)地方路線の減少-と指摘しており、減少傾向については「公表前の01年ごろから始まっていた可能性もある」とみている。
実際、観光庁によると、09年に海外旅行に出かけた日本人は前年比3.4%減の約1544万人と3年連続で減少した。直近のピークである05年からは200万人近く減った計算だ。最近では景気後退や新型インフルエンザの流行などが影響したが、旅券を持っている人の数が減ってきていることも響いたとみられる。
旅行各社も海外旅行市場の縮小傾向を感じており、最大手のJTBでは「海外旅行マーケットのすそ野は着実に狭まっている」と危機感をあらわにする。
政府は今年度中に、日本人の海外旅行者数の2000万人達成を目標に掲げているが、09年実績からみれば実現しそうにない。旅行業界には魅力的な商品提案が求められると同時に、政府には旅券を取得しやすい環境整備なども求められそうだ。
【東京新聞社説】
経済財政白書 希望が見えてこない
2010年7月24日
二〇一〇年度経済財政白書が閣議に報告された。家計支援だけではデフレ脱却は難しく、企業が活動しやすい日本にすべきという。どう実現するのか。豊かさを支える成長への希望が見えない。
経済財政白書は日本経済の課題を分析し、経済運営の方向を客観的に示すことが目的だ。しかし本年度の白書は長期債務が国内総生産(GDP)の二倍近くに膨張した窮迫財政を背景に、家計支援の余裕はなくなったという国民向けメッセージに力点を置いたと見るべきだろう。
昨年の政権交代後、鳩山前政権は子ども手当や高校の実質無償化など、家計負担を軽くして可処分所得を押し上げ、需要を掘り起こす政策に軸足を置いてきた。しかし、来年度からの子ども手当全額支給は、財源五・五兆円の見通しすら立っていない。
そこで白書が登場させたのが、企業が日本でビジネスをしやすくする「居心地」論だ。最終章を「企業が居心地のよい国は、家計にも居心地がよいはずだ」との記述で結んでいる。財政支援に代わって、企業に需要創出の旗振り役を担わせるという台本だ。
企業が生み出す付加価値はGDPの半分の二百六十兆円に上り、全労働人口の七割が企業で働いている。日本に進出した外国企業も含め、収益の拡大が期待できれば給料が上がり、需要を喚起してデフレからの脱却も見えてくる。
しかし、企業が活動しやすい日本にするために白書が挙げているのは、外国企業の対日投資を妨げている語学の専門家不足の解消や、世界的にみて水準の高い法人税率を引き下げて外国企業の誘致を図る、などに限られている。
いずれも、これまで再三議論されてきたテーマであり、それだけで需要の創出を期待するというのでは、あまりにも戦略に乏しいと言わざるを得ない。
雇用にしても、企業の居心地のよさを追い求めるよりも、まずは女性や高齢者らを働きやすくさせる方が実現可能性が高い。
育児のため通勤できない女性が働けるよう保育所を整備することも立派な成長戦略であり、より現実的といえる。勤労意欲が旺盛な高齢者に就労を促すこともデフレ脱却を後押しするだろう。
菅政権は需要の創出を掛け声だけで終わらせてはならない。
国会論戦などを通じ、国民が納得する力強い需要創出の戦略を、分かりやすく、もっと具体的に提示すべきだ。
ツイッター:利用者数約1000万人に
簡易型ブログ「ツイッター」の日本語版を運営するデジタルガレージ(東京都渋谷区)は23日、利用者向けのイベント「ツイートアップ サマー2010」を開き、日本のツイッター利用者が約1000万人(ネットレイティングス調べ)に達したと発表した。
東京都目黒区で開かれたこの日のイベントには、米ツイッターの共同創業者、エバン・ウィリアムス最高経営責任者(CEO)が来日して参加した。ウィリアムスCEOは「ツイッターはこの2年間で素晴らしい成長をした。特に日本で伸びている」とあいさつ。サッカーのワールドカップ南アフリカ大会中の会話数をグラフ化したところ、日本・デンマーク戦後の日本語の会話が1秒あたり3283ツイートで世界最多を記録したという。
また、イベントには音楽家、坂本龍一さんの娘で、同じく音楽家の坂本美雨さんが参加し、「父に勧められてツイッターを始めた。みんなが気軽に書いてくれるので、だんだん素の自分を出せるようになった」と話した。
会場にはツイッター利用者など500人以上が集まった。
ヤマダ、出店投資3分の1 国内飽和、大型店抑制に転換
エディオンも3割減
家電量販店最大手のヤマダ電機は2010年度に、出店投資を前年度比3分の1の350億円に減らす。出店数も今期は25店と2割以上減らし、投資のかさむ都市部での大型店を抑制。2位のエディオンも投資を今年度に3割減らす。各社の大量出店で市場が飽和しつつあるところに、年末のエコポイント制度終了に伴いテレビなどの販売が失速すると判断、出店抑制にカジを切る。
ヤマダは06年以降、大阪・ミナミや東京・池袋などへの出店を加速。出店関連が大半を占める設備投資額は09年度に1100億円まで膨らんでいた。今春の新宿(東京)進出で大都市部での大型店立地はほぼ一巡、今後の国内出店は原則、郊外とする。投資が年間500億円を下回るのは04年度以来、6年ぶり。
出店も減速する。今年度の直営店出店は昨年度の33から25に減らす計画。ここ数年は年40店前後の新規出店が続いており、20店台は03年度以来となる。
ヤマダは「国内での成長には限界がある」(山田昇会長)と見ており、今年12月をメドに中国・瀋陽市に1号店を開業する。海外に進出するのは初めてで、来年以降は年に2店程度のペースで同国に出店していく考えだ。
エディオンも10年度の直営店出店を5店と、09年度の13店から半分弱に減らす。設備投資額も3割減の180億円とする。今春には中国などアジア地域での出店を検討する専門部署を新設しており、具体化を急ぐ。
昨年5月に始まった省エネ家電の購入を促すエコポイント制度(対象はテレビ、エコアン、冷蔵庫)の追い風を受けて、家電量販各社は全般的に販売好調だった。だが制度開始から1年が過ぎると、その押し上げ効果は薄れてきた。
全国の量販店の販売動向を調査するBCN(東京・千代田)によると、大半がポイント対象となる薄型テレビの売上高は4月まで16カ月連続で前年同月を上回っていたが、5月と6月はマイナスに転じた。来年7月に地上デジタル放送へ完全移行すると、テレビ特需もなくなる。ヤマダなどは経営環境が悪化すると判断、投資を抑制して店舗の効率運営や海外展開に力を入れる。
大量出店モデル 転換点 空白地少なく TVに続く主役不在
大量出店で成長してきた家電量販店のビジネスモデルが転換期にさしかかっている。都市部・郊外を問わず複数のチェーン店が同じ商圏で競合するのは当たり前となり、有望な空白地はほとんど残っていない。テレビに続くけん引役が見あたらない中、消費不振と値引き競争激化も追い打ちをかけており、収益環境は厳しくなりそうだ。
家電量販各社は1990年代から2000年代にかけ郊外中心に出店、フランチャイズチェーン(FC)店を含め上位10社だけで3000店以上がひしめく。だが家電市場は97年以降7兆~8兆円台で伸び悩む。ヤマダ電機、ケーズホールディングスなど主に郊外で展開する4社の合計店舗数を見ると、00年度から10年間の年間平均伸び率は6%台後半だが、10年度計画は3.8%に鈍化する。
同じく大量出店を事業モデルとするコンビニエンスストアも国内店舗数が4万を超え飽和感も出ており、店舗数の伸びは2%前後にとどまる。小さな商圏で成立するコンビニと異なり、家電量販店は少なくとも5万~10万人規模の商圏人口を必要とするだけに出店余地の減り方は急速だ。仕入れ規模で劣るチェーンの劣勢が鮮明となり、九州地盤のベスト電器は逆に大幅な店舗縮小に追い込まれた。
量販店は出店攻勢と値引きで大量に集客し、投資を回収しながら成長してきた。だが、ヤマダの10年3月期末の売り場面積は約160万平方メートルと5年前の2倍強になったのに対し、同期間の連結売上高は83%増にとどまる。店舗などの資産を使って効率的に利益を生み出しているかを示す総資産利益率(ROA)も前期は6.7%と、5年前に比べ1.5ポイント低下した。
エディオンの10年3月期の連結業績は増収と最終黒字を確保したが、エコポイント効果のなかった09年3月期の売り上げは前の期に比べ5%減少。店舗閉鎖損などで最終損益は赤字だった。
80年代以降、ビデオ録画再生機やパソコン、携帯電話、そして地デジ対応テレビと次々と目玉製品が誕生し「売るものに恵まれた業界」(山田昇ヤマダ会長)だった。これからは逆風にさらされることになる。
iPhone4無償で対策品配布 「白」は発売延期 アップル
米アップル社は23日、電波受信の不具合が報告された新型情報端末「iPhone4」について、対策品の「バンパー」と呼ばれる同社製のケースを無償提供するプログラムを開始した。また、日本では7月中と予定されていた白色モデルの販売時期についても「年内」に延期することを明らかにした。
iPhone4は、アンテナの構造上、電波受信に問題があると報告されていた。アップル社はこれに対応するため、ユーザーに「バンパー」と呼ばれる本体を覆う純正のカバーもしくは、外部社製のカバーを無償で提供する。同社サイト「AppStore」(アップストア)で申請用のソフトを提供を始めており、ユーザーは同ソフトをダウンロードして申し込む。
また、日本では当初7月に発売される予定になっていた白色モデルについては「製作が当初の予想よりも困難で、年内まで発売を延期する。黒いモデルの発売については問題ない」と発表した。
マツダ、高機能携帯使い業務効率を改善 社員に貸与
マツダはスマートフォン(高機能携帯電話)を使った社員の業務効率改善に乗り出す。課長級以上の幹部社員を対象に年内に200~300台を貸与する。通話や通信費用は全額会社が負担する。スマートフォンを使って会議や出張の予定などを管理できるほか、オフィスのパソコンと連動して外出先から、社内外向けの電子メールなどを確認できる。
すでに役員や出張が多い一部の幹部社員など約60人向けにスマートフォンの貸与を開始。これを年内に3~5倍程度に広げる。マツダが通信会社と法人契約し、社員は無料で通話や通信できる。
機種は米アップルの「iPhone(アイフォーン)」の旧モデル「3GS」など2機種から選べる。ソフトバンクモバイルなど通信3社がスマートフォンの機種拡充を計画していることから、マツダも採用機種の拡大を検討する。
熱狂iPad、中国に闇市場 発売未定、香港から大量不正輸入も
米電子機器大手アップルの多機能情報端末iPad(アイパッド)が23日、香港で発売され、発売を待ちわびた消費者が小売店に押し寄せた。これを機に同社が発売計画を決めていない中国本土に、香港から大量のアップル製品が流れ込み、グレーマーケットが膨張するとみられている。中国の流通業者らはほくほく顔だ。
◆アイフォーンで実績
米国からアップル製品を輸入して販売している北京の電気店の販売員、ワン・ピンダオさんは、多機能携帯電話の新型機iPhone4(アイフォーン4)とアイパッドの中国での発売が1日遅れるごとに、店の売り上げが伸びると話した。
ワンさんのビジネスはさらに拡大する可能性が高い。アップルはアイパッドの発売に続き、来週中にアイフォーン4を香港で発売するからだ。
BDAチャイナのアナリスト、フローラ・ウー氏は、アップル製品が香港から、正規の流通経路を通さない中国のグレーマーケットに大量に流れ込むのではないかとみている。実際にワンさんは、香港でアイパッドの低価格モデルを3888香港ドル(約4万3400円)で仕入れ、北京で4300元(約5万5000円)で販売する計画を立てている。
BDAによると、中国で販売されたアイフォーンの約半数は、ワンさんのような非正規の販売業者が取り扱ったものだという。CIMB・GK証券の調査部門責任者、バートラム・ライ氏は「いつかは対処しなければならない問題だが、今がそのときだ」と話した。同氏は今年の1~6月期に中国のグレーマーケットで販売されたアイフォーンが40万台に達したと説明した。同国で唯一販売を認められたチャイナ・ユニコム(中国聯通)の50万台に迫る勢いだ。
アイパッドとアイフォーン4の中国本土での発売日はまだ決定されていない。従って、グレーマーケットの需要が香港での売り上げを押し上げるのではないかとの見方が広まっている。調査会社IDCによると、アイフォーンの出荷台数は1~3月期に約10倍に増加した。同社のアナリスト、キャシー・シン氏は、香港の需要が中国によって押し上げられた可能性は否定できないと述べた。
◆提携相手決まらず
新商品の中国での発売が遅れている理由を、ガートナーのアナリスト、サンディ・シェン氏は「アップルは中国をあまり重視しておらず、同国での販売経路や提携相手をまだ決定していないからだ」と説明した。競合するノキア(フィンランド)は同国に10万店舗、レノボ(中国)は1万店舗を超える販売網を構築している。
一方でシェン氏は、アップルが本格的に中国進出を果たしても、非正規経路で販売される製品の方が安いため、グレーマーケットが駆逐されるとは限らないと指摘する。アイフォーンの3GSで比較すると、チャイナ・ユニコムの販売価格は6999元で、香港で売られているものより約28%高い。米AT&Tの販売価格とは3倍の開きがある。
法律事務所ラウス・アンド・カンパニー・インターナショナルのホー・ファン弁護士によると、5万元以上の関税を不正に免れた者は刑事罰に問われ、50万元以上の場合は終身刑になる可能性がある。
それでも当局は販売台数がそれほど多くないとして、これまでアップル製品の不正輸入に真剣に取り組んでこなかった。北京の電気店街でアップル製品を販売するチェンウェイ・ヤンさんは1カ月前にアイフォーン4が米国で発売されてから、同機種を50台以上売り上げた。ヤンさんは「買い手の90%以上は政府当局者か企業だ」と話した。
欧銀、資本不足3900億円 監督委テスト、7行が不合格
【ロンドン=木村正人】欧州連合(EU)の銀行監督当局でつくる欧州銀行監督委員会(CEBS)は23日、域内の91銀行の健全性を審査した「ストレステスト」の結果を公表した。自己資本比率が不十分で「不合格」となったのは7行だった。ロイター通信によると、資本不足額は35億ユーロ(約3900億円)。今後、公的資金による資本増強が速やかに行われる見通しだ。
テストは、ギリシャなどの財政不安を受けて、南欧などの国債暴落といった最悪の事態に金融システムが耐えられるかどうかを判断するために行われた。CEBSによると、来年末時点での最大の損失見込み額は全体で5660億ユーロ(約63兆4千億円)を超える。
審査では、2010~11年に(1)景気回復が続く(2)景気が二番底を打つ(3)銀行が保有する国債が25%下落する-の3つを想定。最悪の場合でも、普通株や優先株などの中核的な自己資本比率が6%を下回らないかをチェックした。
不合格が7行にとどまったのは審査基準が甘いためとされ、市場関係者は「詳細は各国に任されており、テストの結果をうのみにはできない」としている。
デノミで北朝鮮経済悪化 人権団体調査 米価50倍も
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチで北朝鮮を担当するケイ・ソク調査員が23日、都内で記者会見し、北朝鮮で昨年11月に実施されたデノミネーション(通貨呼称単位の変更)後、米価が高騰するなど経済状況が悪化し「新しい飢餓状態が生まれている」との見方を示した。「米価が50倍になった」との情報もあるという。
複数の北朝鮮脱出住民(脱北者)などから聞いた情報を基にしたとしており「金正日総書記は経済状況を改善できないなら交代すべきだ」との批判も聞いた、という。
また、金総書記の後継者に三男ジョンウン氏が内定したとされる情報は北朝鮮国民にも伝わっているものの「素顔など詳細は知られていないようだ」と語った。
高齢者医療制度 拙速な見直しは混乱を招く(7月24日付・読売社説)
後期高齢者医療の見直しを、それほど急ぐ必要があるのか。
今は無用の混乱を避けて、現行制度を適切に検証・評価し、議論を積み重ねるべき時だろう。
現行制度に代わる仕組みを検討している厚生労働省の「高齢者医療制度改革会議」が23日、新制度の骨格案をとりまとめた。
これを土台として年末までに最終案を確定し、来年の通常国会に法案を提出するという。
民主党はマニフェスト(政権公約)に「後期高齢者医療制度の廃止」を掲げている。これにこだわって、見直しを急いでいるようだが、あまりにも拙速である。
現行制度で後期高齢者は都道府県単位の独立した保険に加入しているが、骨格案では、市町村の国民健康保険か、本人や世帯主が勤める企業の健保などに入る。
ただし、高齢者の8割以上が加入することになる国保では、高齢者の収支は別勘定で運営する。
その運営は、現行同様に都道府県単位で行う。税金と現役世代の支援金で9割、本人の保険料は1割、という現行制度の負担割合も維持する。
高齢者が家族とは別の保険証を持つことはなくなる。ただし、膨らみ続ける高齢者医療の負担割合を明確にするため、事実上の別枠方式は残す、という案だ。
長妻厚労相は、高齢者を区別しない医療制度を作るとの原則を示し、改革会議をスタートさせた。骨格案が原則を守った制度と言えるかどうか、疑問の声も出るのではないか。
また、再び高齢者が加入する保険を変更するには、相当な準備を必要とし、少なからぬ混乱も生じるだろう。
さらに問題なのは、財源の議論がまったくないことだ。制度をどういじっても、高齢者の医療費が縮小するわけではない。
消費税の議論をきっちり詰め、公費の投入をどこまで拡大できるか十分に検討しつつ、制度を練る必要がある。
現行の後期高齢者医療制度は、呼称などに対する感情的反発が先行したが、負担軽減措置もとられて制度は定着しつつある。
改革会議で高齢者団体の代表から「現行制度はすでに廃止されたと思っている人が多い」という趣旨の発言まであった。
手直しするならば、超党派協議で社会保障の財源をきちんと確保した上で、年金や介護などと共に高齢者施策全体を抜本改革する中で進めるべきだ。
簡易型ブログ「ツイッター」の日本語版を運営するデジタルガレージ(東京都渋谷区)は23日、利用者向けのイベント「ツイートアップ サマー2010」を開き、日本のツイッター利用者が約1000万人(ネットレイティングス調べ)に達したと発表した。
東京都目黒区で開かれたこの日のイベントには、米ツイッターの共同創業者、エバン・ウィリアムス最高経営責任者(CEO)が来日して参加した。ウィリアムスCEOは「ツイッターはこの2年間で素晴らしい成長をした。特に日本で伸びている」とあいさつ。サッカーのワールドカップ南アフリカ大会中の会話数をグラフ化したところ、日本・デンマーク戦後の日本語の会話が1秒あたり3283ツイートで世界最多を記録したという。
また、イベントには音楽家、坂本龍一さんの娘で、同じく音楽家の坂本美雨さんが参加し、「父に勧められてツイッターを始めた。みんなが気軽に書いてくれるので、だんだん素の自分を出せるようになった」と話した。
会場にはツイッター利用者など500人以上が集まった。
ヤマダ、出店投資3分の1 国内飽和、大型店抑制に転換
エディオンも3割減
家電量販店最大手のヤマダ電機は2010年度に、出店投資を前年度比3分の1の350億円に減らす。出店数も今期は25店と2割以上減らし、投資のかさむ都市部での大型店を抑制。2位のエディオンも投資を今年度に3割減らす。各社の大量出店で市場が飽和しつつあるところに、年末のエコポイント制度終了に伴いテレビなどの販売が失速すると判断、出店抑制にカジを切る。
ヤマダは06年以降、大阪・ミナミや東京・池袋などへの出店を加速。出店関連が大半を占める設備投資額は09年度に1100億円まで膨らんでいた。今春の新宿(東京)進出で大都市部での大型店立地はほぼ一巡、今後の国内出店は原則、郊外とする。投資が年間500億円を下回るのは04年度以来、6年ぶり。
出店も減速する。今年度の直営店出店は昨年度の33から25に減らす計画。ここ数年は年40店前後の新規出店が続いており、20店台は03年度以来となる。
ヤマダは「国内での成長には限界がある」(山田昇会長)と見ており、今年12月をメドに中国・瀋陽市に1号店を開業する。海外に進出するのは初めてで、来年以降は年に2店程度のペースで同国に出店していく考えだ。
エディオンも10年度の直営店出店を5店と、09年度の13店から半分弱に減らす。設備投資額も3割減の180億円とする。今春には中国などアジア地域での出店を検討する専門部署を新設しており、具体化を急ぐ。
昨年5月に始まった省エネ家電の購入を促すエコポイント制度(対象はテレビ、エコアン、冷蔵庫)の追い風を受けて、家電量販各社は全般的に販売好調だった。だが制度開始から1年が過ぎると、その押し上げ効果は薄れてきた。
全国の量販店の販売動向を調査するBCN(東京・千代田)によると、大半がポイント対象となる薄型テレビの売上高は4月まで16カ月連続で前年同月を上回っていたが、5月と6月はマイナスに転じた。来年7月に地上デジタル放送へ完全移行すると、テレビ特需もなくなる。ヤマダなどは経営環境が悪化すると判断、投資を抑制して店舗の効率運営や海外展開に力を入れる。
大量出店モデル 転換点 空白地少なく TVに続く主役不在
大量出店で成長してきた家電量販店のビジネスモデルが転換期にさしかかっている。都市部・郊外を問わず複数のチェーン店が同じ商圏で競合するのは当たり前となり、有望な空白地はほとんど残っていない。テレビに続くけん引役が見あたらない中、消費不振と値引き競争激化も追い打ちをかけており、収益環境は厳しくなりそうだ。
家電量販各社は1990年代から2000年代にかけ郊外中心に出店、フランチャイズチェーン(FC)店を含め上位10社だけで3000店以上がひしめく。だが家電市場は97年以降7兆~8兆円台で伸び悩む。ヤマダ電機、ケーズホールディングスなど主に郊外で展開する4社の合計店舗数を見ると、00年度から10年間の年間平均伸び率は6%台後半だが、10年度計画は3.8%に鈍化する。
同じく大量出店を事業モデルとするコンビニエンスストアも国内店舗数が4万を超え飽和感も出ており、店舗数の伸びは2%前後にとどまる。小さな商圏で成立するコンビニと異なり、家電量販店は少なくとも5万~10万人規模の商圏人口を必要とするだけに出店余地の減り方は急速だ。仕入れ規模で劣るチェーンの劣勢が鮮明となり、九州地盤のベスト電器は逆に大幅な店舗縮小に追い込まれた。
量販店は出店攻勢と値引きで大量に集客し、投資を回収しながら成長してきた。だが、ヤマダの10年3月期末の売り場面積は約160万平方メートルと5年前の2倍強になったのに対し、同期間の連結売上高は83%増にとどまる。店舗などの資産を使って効率的に利益を生み出しているかを示す総資産利益率(ROA)も前期は6.7%と、5年前に比べ1.5ポイント低下した。
エディオンの10年3月期の連結業績は増収と最終黒字を確保したが、エコポイント効果のなかった09年3月期の売り上げは前の期に比べ5%減少。店舗閉鎖損などで最終損益は赤字だった。
80年代以降、ビデオ録画再生機やパソコン、携帯電話、そして地デジ対応テレビと次々と目玉製品が誕生し「売るものに恵まれた業界」(山田昇ヤマダ会長)だった。これからは逆風にさらされることになる。
iPhone4無償で対策品配布 「白」は発売延期 アップル
米アップル社は23日、電波受信の不具合が報告された新型情報端末「iPhone4」について、対策品の「バンパー」と呼ばれる同社製のケースを無償提供するプログラムを開始した。また、日本では7月中と予定されていた白色モデルの販売時期についても「年内」に延期することを明らかにした。
iPhone4は、アンテナの構造上、電波受信に問題があると報告されていた。アップル社はこれに対応するため、ユーザーに「バンパー」と呼ばれる本体を覆う純正のカバーもしくは、外部社製のカバーを無償で提供する。同社サイト「AppStore」(アップストア)で申請用のソフトを提供を始めており、ユーザーは同ソフトをダウンロードして申し込む。
また、日本では当初7月に発売される予定になっていた白色モデルについては「製作が当初の予想よりも困難で、年内まで発売を延期する。黒いモデルの発売については問題ない」と発表した。
マツダ、高機能携帯使い業務効率を改善 社員に貸与
マツダはスマートフォン(高機能携帯電話)を使った社員の業務効率改善に乗り出す。課長級以上の幹部社員を対象に年内に200~300台を貸与する。通話や通信費用は全額会社が負担する。スマートフォンを使って会議や出張の予定などを管理できるほか、オフィスのパソコンと連動して外出先から、社内外向けの電子メールなどを確認できる。
すでに役員や出張が多い一部の幹部社員など約60人向けにスマートフォンの貸与を開始。これを年内に3~5倍程度に広げる。マツダが通信会社と法人契約し、社員は無料で通話や通信できる。
機種は米アップルの「iPhone(アイフォーン)」の旧モデル「3GS」など2機種から選べる。ソフトバンクモバイルなど通信3社がスマートフォンの機種拡充を計画していることから、マツダも採用機種の拡大を検討する。
熱狂iPad、中国に闇市場 発売未定、香港から大量不正輸入も
米電子機器大手アップルの多機能情報端末iPad(アイパッド)が23日、香港で発売され、発売を待ちわびた消費者が小売店に押し寄せた。これを機に同社が発売計画を決めていない中国本土に、香港から大量のアップル製品が流れ込み、グレーマーケットが膨張するとみられている。中国の流通業者らはほくほく顔だ。
◆アイフォーンで実績
米国からアップル製品を輸入して販売している北京の電気店の販売員、ワン・ピンダオさんは、多機能携帯電話の新型機iPhone4(アイフォーン4)とアイパッドの中国での発売が1日遅れるごとに、店の売り上げが伸びると話した。
ワンさんのビジネスはさらに拡大する可能性が高い。アップルはアイパッドの発売に続き、来週中にアイフォーン4を香港で発売するからだ。
BDAチャイナのアナリスト、フローラ・ウー氏は、アップル製品が香港から、正規の流通経路を通さない中国のグレーマーケットに大量に流れ込むのではないかとみている。実際にワンさんは、香港でアイパッドの低価格モデルを3888香港ドル(約4万3400円)で仕入れ、北京で4300元(約5万5000円)で販売する計画を立てている。
BDAによると、中国で販売されたアイフォーンの約半数は、ワンさんのような非正規の販売業者が取り扱ったものだという。CIMB・GK証券の調査部門責任者、バートラム・ライ氏は「いつかは対処しなければならない問題だが、今がそのときだ」と話した。同氏は今年の1~6月期に中国のグレーマーケットで販売されたアイフォーンが40万台に達したと説明した。同国で唯一販売を認められたチャイナ・ユニコム(中国聯通)の50万台に迫る勢いだ。
アイパッドとアイフォーン4の中国本土での発売日はまだ決定されていない。従って、グレーマーケットの需要が香港での売り上げを押し上げるのではないかとの見方が広まっている。調査会社IDCによると、アイフォーンの出荷台数は1~3月期に約10倍に増加した。同社のアナリスト、キャシー・シン氏は、香港の需要が中国によって押し上げられた可能性は否定できないと述べた。
◆提携相手決まらず
新商品の中国での発売が遅れている理由を、ガートナーのアナリスト、サンディ・シェン氏は「アップルは中国をあまり重視しておらず、同国での販売経路や提携相手をまだ決定していないからだ」と説明した。競合するノキア(フィンランド)は同国に10万店舗、レノボ(中国)は1万店舗を超える販売網を構築している。
一方でシェン氏は、アップルが本格的に中国進出を果たしても、非正規経路で販売される製品の方が安いため、グレーマーケットが駆逐されるとは限らないと指摘する。アイフォーンの3GSで比較すると、チャイナ・ユニコムの販売価格は6999元で、香港で売られているものより約28%高い。米AT&Tの販売価格とは3倍の開きがある。
法律事務所ラウス・アンド・カンパニー・インターナショナルのホー・ファン弁護士によると、5万元以上の関税を不正に免れた者は刑事罰に問われ、50万元以上の場合は終身刑になる可能性がある。
それでも当局は販売台数がそれほど多くないとして、これまでアップル製品の不正輸入に真剣に取り組んでこなかった。北京の電気店街でアップル製品を販売するチェンウェイ・ヤンさんは1カ月前にアイフォーン4が米国で発売されてから、同機種を50台以上売り上げた。ヤンさんは「買い手の90%以上は政府当局者か企業だ」と話した。
欧銀、資本不足3900億円 監督委テスト、7行が不合格
【ロンドン=木村正人】欧州連合(EU)の銀行監督当局でつくる欧州銀行監督委員会(CEBS)は23日、域内の91銀行の健全性を審査した「ストレステスト」の結果を公表した。自己資本比率が不十分で「不合格」となったのは7行だった。ロイター通信によると、資本不足額は35億ユーロ(約3900億円)。今後、公的資金による資本増強が速やかに行われる見通しだ。
テストは、ギリシャなどの財政不安を受けて、南欧などの国債暴落といった最悪の事態に金融システムが耐えられるかどうかを判断するために行われた。CEBSによると、来年末時点での最大の損失見込み額は全体で5660億ユーロ(約63兆4千億円)を超える。
審査では、2010~11年に(1)景気回復が続く(2)景気が二番底を打つ(3)銀行が保有する国債が25%下落する-の3つを想定。最悪の場合でも、普通株や優先株などの中核的な自己資本比率が6%を下回らないかをチェックした。
不合格が7行にとどまったのは審査基準が甘いためとされ、市場関係者は「詳細は各国に任されており、テストの結果をうのみにはできない」としている。
デノミで北朝鮮経済悪化 人権団体調査 米価50倍も
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチで北朝鮮を担当するケイ・ソク調査員が23日、都内で記者会見し、北朝鮮で昨年11月に実施されたデノミネーション(通貨呼称単位の変更)後、米価が高騰するなど経済状況が悪化し「新しい飢餓状態が生まれている」との見方を示した。「米価が50倍になった」との情報もあるという。
複数の北朝鮮脱出住民(脱北者)などから聞いた情報を基にしたとしており「金正日総書記は経済状況を改善できないなら交代すべきだ」との批判も聞いた、という。
また、金総書記の後継者に三男ジョンウン氏が内定したとされる情報は北朝鮮国民にも伝わっているものの「素顔など詳細は知られていないようだ」と語った。
高齢者医療制度 拙速な見直しは混乱を招く(7月24日付・読売社説)
後期高齢者医療の見直しを、それほど急ぐ必要があるのか。
今は無用の混乱を避けて、現行制度を適切に検証・評価し、議論を積み重ねるべき時だろう。
現行制度に代わる仕組みを検討している厚生労働省の「高齢者医療制度改革会議」が23日、新制度の骨格案をとりまとめた。
これを土台として年末までに最終案を確定し、来年の通常国会に法案を提出するという。
民主党はマニフェスト(政権公約)に「後期高齢者医療制度の廃止」を掲げている。これにこだわって、見直しを急いでいるようだが、あまりにも拙速である。
現行制度で後期高齢者は都道府県単位の独立した保険に加入しているが、骨格案では、市町村の国民健康保険か、本人や世帯主が勤める企業の健保などに入る。
ただし、高齢者の8割以上が加入することになる国保では、高齢者の収支は別勘定で運営する。
その運営は、現行同様に都道府県単位で行う。税金と現役世代の支援金で9割、本人の保険料は1割、という現行制度の負担割合も維持する。
高齢者が家族とは別の保険証を持つことはなくなる。ただし、膨らみ続ける高齢者医療の負担割合を明確にするため、事実上の別枠方式は残す、という案だ。
長妻厚労相は、高齢者を区別しない医療制度を作るとの原則を示し、改革会議をスタートさせた。骨格案が原則を守った制度と言えるかどうか、疑問の声も出るのではないか。
また、再び高齢者が加入する保険を変更するには、相当な準備を必要とし、少なからぬ混乱も生じるだろう。
さらに問題なのは、財源の議論がまったくないことだ。制度をどういじっても、高齢者の医療費が縮小するわけではない。
消費税の議論をきっちり詰め、公費の投入をどこまで拡大できるか十分に検討しつつ、制度を練る必要がある。
現行の後期高齢者医療制度は、呼称などに対する感情的反発が先行したが、負担軽減措置もとられて制度は定着しつつある。
改革会議で高齢者団体の代表から「現行制度はすでに廃止されたと思っている人が多い」という趣旨の発言まであった。
手直しするならば、超党派協議で社会保障の財源をきちんと確保した上で、年金や介護などと共に高齢者施策全体を抜本改革する中で進めるべきだ。
地デジ移行 カウントダウン メディア多様化、崩れる垣根 放送局、問われる成長戦略
1はNHK総合、4は日本テレビ、13はヤフー――。画面上に放送局とインターネットサービスのチャンネルを“平等”に表示する新型テレビが今春、家電量販店の店頭に並んだ。ソフトウエア開発のカデンザ(東京・千代田)が家電製造のオリオン電機(福井県越前市)などと共同開発した「ロブロTV」だ。
米インテルの超小型演算処理装置(MPU)と米マイクロソフトの基本ソフト(OS)を搭載。価格は19型で6万9800円と割高だが、リモコンでテレビのチャンネルを切り替えるように簡単にネット閲覧を楽しめる。放送とネットの垣根をなくす次世代テレビはソニーとグーグルなども開発中。放送局がテレビの画面を独占できた時代は終わりつつある。
月間利用1億人
1953年のテレビ放送開始以来、最大の試練といわれる「完全デジタル化」。その準備に各局が奔走する間にも、テレビを取り巻く環境は刻一刻と変化している。
「我々とテレビは共存共栄の関係だ」。5月に来日した米ユーストリームのジョン・ハム最高経営責任者(CEO)は、面会した日本のテレビ局関係者にアピールした。ユーストリームは携帯電話などでだれでも簡単に動画の「生中継」ができる無料サービスを手掛け、4月に月間利用者が1億人を突破。同社のサイトでは世界中の利用者による常時4000種類以上の番組が生中継されている。
米国ではABCやNBCが大きなイベント中継の直前に、まずユーストリームで会場の様子などを流し、本番のテレビ中継の視聴率アップを狙う試みを始めた。しかし、視聴者の時間や企業の広告宣伝費を奪い合う点では、両者は明らかな競合関係にある。
競争相手はネットだけではない。「予想以上の反響だ」。スカパーJSATの高田真治副社長は6月19日に始めた3次元(3D)映像の専門チャンネルに手応えを感じている。カラー化や高画質化に続く技術革新の波に、いち早く乗ったのは多チャンネルが武器のCS放送やCATV。チャンネル数が限られる地上波では、対応テレビの普及が進むまで3Dの特殊な番組を放送するのは難しい。
制作費12%減
相次ぐ新興勢力の台頭で地上波の相対的な地位が低下、番組制作会社や芸能事務所はテレビ局頼みの経営を見直し始めた。吉本興業の大崎洋社長は「これからはデジタルと海外に注力していく」と強調する。同社は米アップルの多機能情報端末「iPad」向けに自社制作映画や「吉本新喜劇」の舞台公演などの有料配信を開始。中国メディア大手、SMGとの合弁設立など海外事業も本格化する。
民放各局は広告収入の減少で「削りたくない」と言ってきた番組制作費の削減を余儀なくされている。09年度のキー局5社合計の制作費は前の年度に比べて12%減の4139億円。減少は2年連続だ。制作会社などが独自路線に大きくカジを切れば、各局が強みとしてきたコンテンツを生み出す機能にも響きかねない。
国内の放送市場の頂点に君臨してきた地上波テレビ。視聴者の嗜好(しこう)とメディアの多様化が進むなかで、デジタル化の先にどんな成長戦略を描くのか。5年後、10年後を見据えた構想力が問われる。
法人税引き下げ、消費税上げ促す…経済財政白書
荒井経済財政相は23日午前の閣議に、2010年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。
白書は、長引くデフレからの脱却に向けて、成長力を強化するために法人税の実効税率を引き下げ、企業の収益力強化を通じて家計の所得を増やす必要性を指摘した。また、国の財政再建のため、消費税率の引き上げを強く促す内容となっている。
白書の副題は「需要の創造による成長力の強化」で、日本経済が抱える構造的な問題点として、「(物価が持続的に下落する)デフレと、財政状況の悪化をどう克服していくかが問われている」と指摘した。特に、景気回復の遅れの原因となっているデフレは「現時点では日本だけが主要先進国において明確なデフレ状況にある」と分析。2000年前後のデフレに比べて、商品だけでなく、サービス価格なども下落し、09年の1年間だけで、価格の下がった品目の割合は「30%程度から60%台半ばまで上昇」し、状況が深刻になっているとした。需要不足によるデフレは失業率を2%程度押し上げているとの試算も示した。
デフレ経済から脱却するため、白書は「(企業による)経済成長が続くアジアの(鉄道などの社会基盤作りの)需要の取り込みが不可欠」とした。さらに、先進国で最も高い日本の法人税(40・69%)の実効税率に関連して、経済協力開発機構(OECD)諸国では「20%以上30%未満」の国が、国内総生産(GDP)に占める法人税収の割合が最も多いとの分析結果を提示した。法人税率の引き下げが企業の事業拡大を後押しし、利益が増えて、結果的に税収増につながることを示すことで、法人税率の引き下げを促した。白書は「企業が家計に分配する原資が必要で、企業が収益を拡大できるような基盤整備が求められる」とし、「企業が居心地が良い国は家計にとっても良い」と結論付けた。
また、財政再建に向けて、景気動向に税収が影響されにくい消費税中心の税体系に移行する必要性を指摘し、消費税率の引き上げに向けた論議を進めることを求めた。
KDDI社長、SIMロック解除「メリットの即時性に疑問」
KDDIの小野寺正会長兼社長は23日の決算発表記者会見で、携帯電話を特定の通信会社でしか使えないようにする「SIMロック」の解除について「どのような方法で導入していくか検討中だ」としたうえで「(他社と通信方式が違い)KDDI以外のネットワークは使えないので、利用者にすぐメリットがあるかは疑問がある」と述べた。
すでに総務省はSIMロックの解除に向け指針を策定。NTTドコモは、来春から全機種で解除する方針を明らかにしている。
契約あたりの月間収入(ARPU)の見通しについては「現在のペースで行けば音声収入は11年度も下がる(上昇に転じるのは)2年間は無理だ」と述べた。理由として、データ収入の伸びは音声収入の落ち込みに比べ小さいことを挙げた。
4―6月期は、携帯端末の販売台数が281万台(前年同期は221万台)と増加したが、ARPUは前年比7.9%減の5160円。端末料金と通話料を分離させた「シンプルコース」への移行の浸透で音声収入が減少しているため。契約者に占めるシンプルコースの契約率は6月末で49%だが、記者会見した小野寺正社長兼会長は、シンプルコースの契約率が80―90%に達するまで音声ARPUの落ち込みは続くと指摘した上で「このペースで行けば来年度も下がらざるを得ない」と述べた。音声収入の落ち込みをカバーするため、データ収入の拡大を目指す。
カレーハウスCoCo壱番屋に「ソフトバンクWi-Fiスポット」導入
「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋とソフトバンクモバイルは、ソフトバンクテレコムの協力を受け、「カレーハウスCoCo壱番屋」店舗内で公衆無線LANサービス「ソフトバンクWi-Fiスポット」を提供する。
「カレーハウスCoCo壱番屋」は、全国に約1200店舗をかまえるカレー専門チェーン店。7月23日より、本部本社のある愛知県一宮市の「尾西開明店」において、「ソフトバンクWi-Fiスポット」に対応した。iPhoneやケータイWi-Fi対応モデルにおいて、無線LANサービスが利用できるようになる。
「カレーハウスCoCo壱番屋」では今後、「ソフトバンクWi-Fiスポット」対応店舗を全国約800店舗に拡大していく方針だ。対応店舗の拡大について、ソフトバンクモバイルでは「早急に準備を進めていく」としている。
ゲームメーカーが『ファミ通』のクロスレビューを批判! 「プラチナ取って倒産したところもある」
パソコンゲームとして誕生し、現在はあらゆるハードでシリーズが発売されている人気ゲーム『イース』(Ys)。その発売元である日本ファルコムが、コミュニケーションサービス『Twitter』(ツイッター)の公式アカウントで、ゲーム雑誌『ファミ通』を批判するかのような内容のコメントを掲載し、物議をかもしている。
日本ファルコムは『Twitter』で「Ysは熱烈なファンが多いのですが、プロのライターさんなどに評価されないことが多い」とコメント。『ファミ通』にはゲーム批評コーナー『クロスレビュー』があり、それに対する不満の言葉だと推測できる。日本ファルコムのコメントの全文は以下の通り。
「何でだろ? Ysは熱烈なファンが多いのですが、プロのライターさんなどに評価されないことが多い。洋楽好きなひとが演歌をなかなか評価しにくいみたいなもんだろうと思っていますが。プラチナ取って初期注文六千本で、作りすぎ? 倒産してしまったところもあるのですが、どうなんでしょうか」(引用)
「おかげさまでYs.vs空の軌跡は順調です。あるメジャー誌以外の評価もおおむね好評です。六千本の件は先日倒産した〇〇物語の某社のことです」(引用)
上記のコメントから推測するに、「あるメジャー誌」はどう考えても『ファミ通』の事だと思われる。『ファミ通』のゲームレビューは以前から「アテにならない」とインターネット上で噂されており、ゲーム業界内でも不信感を持っている人たちがいるほど。
ちなみに、日本ファルコムが「プラチナ取って初期注文六千本で、作りすぎ? 倒産してしまったところもある」とコメントしているが、プラチナとは『クロスレビュー』で高評価を得たゲームにだけ与えられる称号。日本ファルコムは、「『ファミ通』で高評価なのにゲームが売れなくてつぶれてしまった会社もあるから『ファミ通』の評価はアテにならない」と言いたいのだと思われる。この発言に対するインターネット上での反応は以下の通りだ。
「ファルコムのゲームって本当に面白いの?」
「ファミ通の点数って、みんな気にしてるんだな」
「ベイグラントストーリー満点出したの許してねーから」
「PCエンジンのイースはファミ通の高評価を見て買った記憶があるぞ」
「ヴァルキリープロファイルも最初は全然取り上げてもらえなかったね」
「さすがのファミ通もファルコムに言われたくはないだろうな 」
「ガキの頃PCゲームといえば、日本ファルコムだったのに、どうしてこうなった!?」
「twitterで自爆できる神経が分からんわ 」
「こないだ買ったファミ通のスーパーストリートファイターⅣの攻略本が間違いだらけで騙された」
「大丈夫! ファミ通の攻略本だよ!」
「売り上げがよければファミ通の方から擦り寄ってくるんじゃない?」
「クソゲーなのに評価高い事は多々あるけど評価低かったのに良ゲーだった事はほとんどない」
嘘かホントか「ファミ通は金払わないといい評価くれないからな」や「ファミ通は金送らないと評価してもらえないんだよ」、「お布施が足りないってことだよ。言わせんなよ恥ずかしい」という書き込みまであった。さすがに現金で評価が変わる事はないと思うが、そう思われても仕方がないくらい評価がアテにならないと思われているのは確かである。
「ファミ通っていつからこうなった? 昔からこんなダメだったか? まだ名称がファミコン通信だった頃はもっとすげえマシに見えたんだが… 」と、過去の思い出を振り返る人もいた。『イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ』はPSP専用ソフトで、7月29日に発売予定だ。ダウンロード購入もできるようなので、興味があれば購入してみるといいだろう。
六本木でゲームに萌えろ コナミ初の直営店
コナミデジタルエンタテインメントは23日、東京・六本木の東京ミッドタウンに初の直営店舗「コナミスタイル」をオープンした。自社のゲームソフトや、同店舗でしか手に入らない限定アイテムの販売などを行う予定で、同日正午のオープン時には200人を超える行列ができた。コナミデジタルでは、ファッションの街としての色彩が強い六本木でゲーム文化の浸透を目指す考えだ。
コナミデジタルのオフィスは、2007年から東京ミッドタウンに置いており、おひざ元で直接ファンに情報発信することを狙う。直営店舗では、グッズ販売のほか、発売前のソフトの試遊会などの各種イベントを開催する予定。
コナミデジタルの永田昭彦執行役員副社長は「六本木にはゲーム専門店などがなく、ゲーム文化を根付かせることも狙って直営店をオープンした。ファンとの新たな交流の場として育てていきたい」と述べた。同店舗での反響を見て、他地域への展開についても検討するとしている。
iPadがPCから売り上げ奪う可能性 Apple幹部が示唆
Appleは、iPadの当初の需要は同社の予想を超えていると主張。また、以前アナリストが示していた「iPadがAppleのほかの製品ラインの需要を奪う」という見方とは逆に、同製品はほかのApple製品とのシナジーを生み出す可能性があるとも話している。この見解は、Appleの7月20日の決算発表電話会見で、ティム・クックCOO(最高執行責任者)で示したものだ。この会見ではiPadの最初の3カ月の売り上げについて、具体的なデータが公表された。
Appleは2010年第3四半期(4~6月)に327万台のiPadを販売し、これが総売上高157億ドルと純利益32億5000万ドルに貢献した。同四半期にMacとiPhoneの出荷台数は拡大したが、iPodの売り上げは緩やかな下降を続けた。Appleは以前から、iPod売り上げ減の一因はiPhoneに需要を食われたことにあると説明している。
「iPadを出すときに、当社の生産能力で100万台は大胆な計画だと思っていた」とクック氏は電話会見でメディアとアナリストに語った。「多数の業界アナリストは、1年丸々かけて100万台しか売れないと予測していた」
結局iPadは1カ月に100万台以上売れ、生産を調整し直さなければならなかったと同氏は付け加えた。「できるだけ早急に生産を増強している。そのために増やさなければならないものがたくさんある。だが、生産を拡大できると自信を持っている」
一部のアナリストは、iPadがiPodやMacの市場に食い込むと見込んでいるが、クック氏は同製品がほかのApple製品と食い合う可能性について、ポジティブな見方を示そうとした。
「Macのシェアはまだ低く、成長の機会はまだ非常に大きい。それにiPad、iPhone、iPodを通じてAppleに初めて触れる顧客は確実に増える。そこでMacとのシナジーが生まれるかもしれないし、iPadとiPhoneの間のシナジーなどもあるかもしれない」(同氏)
iPadは結局、Appleのライバルの方に大きなダメージを与えるかもしれないと同氏は示唆した。
「iPadがPCと売り上げを奪い合うことになったら、当社にとっては素晴らしいことだと思う。奪う相手がたくさんいるからだ」と同氏。「この市場は今でも大きい」
調査会社iSuppliは7月20日に、2010年のiPad販売台数は1290万台になり、2011年には3650万台、2012年には5040万台に達すると予測するリサーチノートを発表した。
「成功を続けるカギは、問題が生じたときにAppleがどれだけ迅速に対応するか、同社が需要に応えるためにサプライヤーをそろえられるかどうかだ」とiSuppliのモニタ調査ディレクター、ロンダ・アレクサンダー氏は述べている。「Appleの部品需要が急速に増えていることは、同社が2010年の生産目標を引き上げたことを示唆している」
iSuppliのリサーチノートでは、Appleが2011年4月にiPadを刷新するとの予測も示されている。おそらくはカメラを内蔵し、ディスプレイサイズのバリエーションが増えると予想している。同社は、iPadは現在タブレット市場の84%を占め、「少なくとも2012年まで圧倒的優位に立つ」と示唆している。
コメ作りはあと5年で破綻する!? 高齢化進み崩壊寸前
★都会の[田植え男子]の主張
現在、田んぼをとりまく状況は明るくない。農業ジャーナリストの大野和興氏は「コメ作りの現場はどこも高齢化が進み崩壊寸前。あと5年持つかどうか……」と危機感を募らせる。
「どこの農村でも困っているのは、とにかく人手が足りないこと。よく『耕作放棄』という言葉がメディアで使われます。しかし本当は、農村の人々は耕作放棄しているのではなく、続けたくても続けられないのです。コメの価格が安すぎるため、作れば作るほど赤字になる。また、昨年の農業就業人口の平均年齢は65歳で、そのうち70歳以上が48%という状況です」
大野氏は「多くの若者が農村に行くようになれば、この状況も変わるかもしれない」とも語る。
「そのために重要なのはマッチングです。農業を志す若者をいかに市場に繋げるかということ。政府や農協がやりたがっている国際競争力をつけて外国に農産物を売っていこうというのは古い考え。むしろ、食糧を自給したい都市の若者と、土地を荒廃から守りたい農村の人々が繋がることのほうが現実的です。
コメ作りで忙しいのは、苗床作りや田植え、草取りなど、ある程度時期が決まっています。そうした時期だけでも都会の人が作業をしに来てくれれば、だいぶ助かる。都市に拠点を置きながら、関われるときに農業に参加するだけでも、意義は十分あるかと思います」
【産経主張】22年W杯招致 今度こそ日本単独開催を
サッカーの2022年ワールドカップ(W杯)招致を目指す日本を訪問中だった国際サッカー連盟(FIFA)の視察団が全日程を終え、離日前の総括会見で、団長を務めたチリ・サッカー連盟のマイネニコルス会長は「日本の計画はバランスが取れていた」と高評価を残した。
日本招致委員会の犬飼基昭委員長(日本サッカー協会会長)も、IT(情報技術)をフル活用して「世界との共催」を目指す日本の開催コンセプトは、「かなり理解しているという手応えがあった」と招致に強い自信を示した。
南アフリカW杯ベスト16の実績も後押しする。開幕・決勝戦の舞台とすべくJR大阪駅前に新設される8万人規模のスタジアムも関西再興の大きな核となるだろう。招致委には今度こそ、W杯単独招致を実現してもらいたい。
18、22年大会の開催地は12月2日、チューリヒで行われるFIFA理事会で決定される。視察団は日本を皮切りに両大会に手を挙げた9候補地を回り、優劣をつけたうえで報告書を理事会に提出する。日本が目指す22年大会では、米国、豪州、韓国、カタールがライバルとなるが、視察団の高評価は大きな力となる。
招致委の開催提案書で日本は、FIFAの208加盟国・地域すべてで3D映像による大画面のライブ中継も提案している。技術大国日本を世界に再認識させる壮大で夢のある計画だ。開催国決定の12月までに、実現可能性を各国理事に信用させる大規模なデモンストレーションが必要となる。
韓国と共催した02年W杯で日本が世界を驚かしたのは、日本独特のホスピタリティー(もてなしの心)だった。チュニジアのキャンプ地、奈良県橿原市の関係者は、日本戦にチュニジアカラーの赤いシャツの応援団を送り込んだ。自国で他国を応援することは、外国では考えられない光景だった。
欧州のメディアは「コインランドリーを尋ねたら自宅で洗濯してくれた」「終電を逃し困っていたらお金を貸してくれた」など「信じられない話」をこぞって掲載した。その記憶はプラスのものとして世界のサッカー界に根強い。
技術力もホスピタリティーも、日本が世界に誇るべきものだ。都市開催の五輪と違い、W杯は国がホストとなる。国家・国民が一体となり、胸を張って「日本」を世界に宣伝していきたい。
1はNHK総合、4は日本テレビ、13はヤフー――。画面上に放送局とインターネットサービスのチャンネルを“平等”に表示する新型テレビが今春、家電量販店の店頭に並んだ。ソフトウエア開発のカデンザ(東京・千代田)が家電製造のオリオン電機(福井県越前市)などと共同開発した「ロブロTV」だ。
米インテルの超小型演算処理装置(MPU)と米マイクロソフトの基本ソフト(OS)を搭載。価格は19型で6万9800円と割高だが、リモコンでテレビのチャンネルを切り替えるように簡単にネット閲覧を楽しめる。放送とネットの垣根をなくす次世代テレビはソニーとグーグルなども開発中。放送局がテレビの画面を独占できた時代は終わりつつある。
月間利用1億人
1953年のテレビ放送開始以来、最大の試練といわれる「完全デジタル化」。その準備に各局が奔走する間にも、テレビを取り巻く環境は刻一刻と変化している。
「我々とテレビは共存共栄の関係だ」。5月に来日した米ユーストリームのジョン・ハム最高経営責任者(CEO)は、面会した日本のテレビ局関係者にアピールした。ユーストリームは携帯電話などでだれでも簡単に動画の「生中継」ができる無料サービスを手掛け、4月に月間利用者が1億人を突破。同社のサイトでは世界中の利用者による常時4000種類以上の番組が生中継されている。
米国ではABCやNBCが大きなイベント中継の直前に、まずユーストリームで会場の様子などを流し、本番のテレビ中継の視聴率アップを狙う試みを始めた。しかし、視聴者の時間や企業の広告宣伝費を奪い合う点では、両者は明らかな競合関係にある。
競争相手はネットだけではない。「予想以上の反響だ」。スカパーJSATの高田真治副社長は6月19日に始めた3次元(3D)映像の専門チャンネルに手応えを感じている。カラー化や高画質化に続く技術革新の波に、いち早く乗ったのは多チャンネルが武器のCS放送やCATV。チャンネル数が限られる地上波では、対応テレビの普及が進むまで3Dの特殊な番組を放送するのは難しい。
制作費12%減
相次ぐ新興勢力の台頭で地上波の相対的な地位が低下、番組制作会社や芸能事務所はテレビ局頼みの経営を見直し始めた。吉本興業の大崎洋社長は「これからはデジタルと海外に注力していく」と強調する。同社は米アップルの多機能情報端末「iPad」向けに自社制作映画や「吉本新喜劇」の舞台公演などの有料配信を開始。中国メディア大手、SMGとの合弁設立など海外事業も本格化する。
民放各局は広告収入の減少で「削りたくない」と言ってきた番組制作費の削減を余儀なくされている。09年度のキー局5社合計の制作費は前の年度に比べて12%減の4139億円。減少は2年連続だ。制作会社などが独自路線に大きくカジを切れば、各局が強みとしてきたコンテンツを生み出す機能にも響きかねない。
国内の放送市場の頂点に君臨してきた地上波テレビ。視聴者の嗜好(しこう)とメディアの多様化が進むなかで、デジタル化の先にどんな成長戦略を描くのか。5年後、10年後を見据えた構想力が問われる。
法人税引き下げ、消費税上げ促す…経済財政白書
荒井経済財政相は23日午前の閣議に、2010年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。
白書は、長引くデフレからの脱却に向けて、成長力を強化するために法人税の実効税率を引き下げ、企業の収益力強化を通じて家計の所得を増やす必要性を指摘した。また、国の財政再建のため、消費税率の引き上げを強く促す内容となっている。
白書の副題は「需要の創造による成長力の強化」で、日本経済が抱える構造的な問題点として、「(物価が持続的に下落する)デフレと、財政状況の悪化をどう克服していくかが問われている」と指摘した。特に、景気回復の遅れの原因となっているデフレは「現時点では日本だけが主要先進国において明確なデフレ状況にある」と分析。2000年前後のデフレに比べて、商品だけでなく、サービス価格なども下落し、09年の1年間だけで、価格の下がった品目の割合は「30%程度から60%台半ばまで上昇」し、状況が深刻になっているとした。需要不足によるデフレは失業率を2%程度押し上げているとの試算も示した。
デフレ経済から脱却するため、白書は「(企業による)経済成長が続くアジアの(鉄道などの社会基盤作りの)需要の取り込みが不可欠」とした。さらに、先進国で最も高い日本の法人税(40・69%)の実効税率に関連して、経済協力開発機構(OECD)諸国では「20%以上30%未満」の国が、国内総生産(GDP)に占める法人税収の割合が最も多いとの分析結果を提示した。法人税率の引き下げが企業の事業拡大を後押しし、利益が増えて、結果的に税収増につながることを示すことで、法人税率の引き下げを促した。白書は「企業が家計に分配する原資が必要で、企業が収益を拡大できるような基盤整備が求められる」とし、「企業が居心地が良い国は家計にとっても良い」と結論付けた。
また、財政再建に向けて、景気動向に税収が影響されにくい消費税中心の税体系に移行する必要性を指摘し、消費税率の引き上げに向けた論議を進めることを求めた。
KDDI社長、SIMロック解除「メリットの即時性に疑問」
KDDIの小野寺正会長兼社長は23日の決算発表記者会見で、携帯電話を特定の通信会社でしか使えないようにする「SIMロック」の解除について「どのような方法で導入していくか検討中だ」としたうえで「(他社と通信方式が違い)KDDI以外のネットワークは使えないので、利用者にすぐメリットがあるかは疑問がある」と述べた。
すでに総務省はSIMロックの解除に向け指針を策定。NTTドコモは、来春から全機種で解除する方針を明らかにしている。
契約あたりの月間収入(ARPU)の見通しについては「現在のペースで行けば音声収入は11年度も下がる(上昇に転じるのは)2年間は無理だ」と述べた。理由として、データ収入の伸びは音声収入の落ち込みに比べ小さいことを挙げた。
4―6月期は、携帯端末の販売台数が281万台(前年同期は221万台)と増加したが、ARPUは前年比7.9%減の5160円。端末料金と通話料を分離させた「シンプルコース」への移行の浸透で音声収入が減少しているため。契約者に占めるシンプルコースの契約率は6月末で49%だが、記者会見した小野寺正社長兼会長は、シンプルコースの契約率が80―90%に達するまで音声ARPUの落ち込みは続くと指摘した上で「このペースで行けば来年度も下がらざるを得ない」と述べた。音声収入の落ち込みをカバーするため、データ収入の拡大を目指す。
カレーハウスCoCo壱番屋に「ソフトバンクWi-Fiスポット」導入
「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋とソフトバンクモバイルは、ソフトバンクテレコムの協力を受け、「カレーハウスCoCo壱番屋」店舗内で公衆無線LANサービス「ソフトバンクWi-Fiスポット」を提供する。
「カレーハウスCoCo壱番屋」は、全国に約1200店舗をかまえるカレー専門チェーン店。7月23日より、本部本社のある愛知県一宮市の「尾西開明店」において、「ソフトバンクWi-Fiスポット」に対応した。iPhoneやケータイWi-Fi対応モデルにおいて、無線LANサービスが利用できるようになる。
「カレーハウスCoCo壱番屋」では今後、「ソフトバンクWi-Fiスポット」対応店舗を全国約800店舗に拡大していく方針だ。対応店舗の拡大について、ソフトバンクモバイルでは「早急に準備を進めていく」としている。
ゲームメーカーが『ファミ通』のクロスレビューを批判! 「プラチナ取って倒産したところもある」
パソコンゲームとして誕生し、現在はあらゆるハードでシリーズが発売されている人気ゲーム『イース』(Ys)。その発売元である日本ファルコムが、コミュニケーションサービス『Twitter』(ツイッター)の公式アカウントで、ゲーム雑誌『ファミ通』を批判するかのような内容のコメントを掲載し、物議をかもしている。
日本ファルコムは『Twitter』で「Ysは熱烈なファンが多いのですが、プロのライターさんなどに評価されないことが多い」とコメント。『ファミ通』にはゲーム批評コーナー『クロスレビュー』があり、それに対する不満の言葉だと推測できる。日本ファルコムのコメントの全文は以下の通り。
「何でだろ? Ysは熱烈なファンが多いのですが、プロのライターさんなどに評価されないことが多い。洋楽好きなひとが演歌をなかなか評価しにくいみたいなもんだろうと思っていますが。プラチナ取って初期注文六千本で、作りすぎ? 倒産してしまったところもあるのですが、どうなんでしょうか」(引用)
「おかげさまでYs.vs空の軌跡は順調です。あるメジャー誌以外の評価もおおむね好評です。六千本の件は先日倒産した〇〇物語の某社のことです」(引用)
上記のコメントから推測するに、「あるメジャー誌」はどう考えても『ファミ通』の事だと思われる。『ファミ通』のゲームレビューは以前から「アテにならない」とインターネット上で噂されており、ゲーム業界内でも不信感を持っている人たちがいるほど。
ちなみに、日本ファルコムが「プラチナ取って初期注文六千本で、作りすぎ? 倒産してしまったところもある」とコメントしているが、プラチナとは『クロスレビュー』で高評価を得たゲームにだけ与えられる称号。日本ファルコムは、「『ファミ通』で高評価なのにゲームが売れなくてつぶれてしまった会社もあるから『ファミ通』の評価はアテにならない」と言いたいのだと思われる。この発言に対するインターネット上での反応は以下の通りだ。
「ファルコムのゲームって本当に面白いの?」
「ファミ通の点数って、みんな気にしてるんだな」
「ベイグラントストーリー満点出したの許してねーから」
「PCエンジンのイースはファミ通の高評価を見て買った記憶があるぞ」
「ヴァルキリープロファイルも最初は全然取り上げてもらえなかったね」
「さすがのファミ通もファルコムに言われたくはないだろうな 」
「ガキの頃PCゲームといえば、日本ファルコムだったのに、どうしてこうなった!?」
「twitterで自爆できる神経が分からんわ 」
「こないだ買ったファミ通のスーパーストリートファイターⅣの攻略本が間違いだらけで騙された」
「大丈夫! ファミ通の攻略本だよ!」
「売り上げがよければファミ通の方から擦り寄ってくるんじゃない?」
「クソゲーなのに評価高い事は多々あるけど評価低かったのに良ゲーだった事はほとんどない」
嘘かホントか「ファミ通は金払わないといい評価くれないからな」や「ファミ通は金送らないと評価してもらえないんだよ」、「お布施が足りないってことだよ。言わせんなよ恥ずかしい」という書き込みまであった。さすがに現金で評価が変わる事はないと思うが、そう思われても仕方がないくらい評価がアテにならないと思われているのは確かである。
「ファミ通っていつからこうなった? 昔からこんなダメだったか? まだ名称がファミコン通信だった頃はもっとすげえマシに見えたんだが… 」と、過去の思い出を振り返る人もいた。『イースvs.空の軌跡 オルタナティブ・サーガ』はPSP専用ソフトで、7月29日に発売予定だ。ダウンロード購入もできるようなので、興味があれば購入してみるといいだろう。
六本木でゲームに萌えろ コナミ初の直営店
コナミデジタルエンタテインメントは23日、東京・六本木の東京ミッドタウンに初の直営店舗「コナミスタイル」をオープンした。自社のゲームソフトや、同店舗でしか手に入らない限定アイテムの販売などを行う予定で、同日正午のオープン時には200人を超える行列ができた。コナミデジタルでは、ファッションの街としての色彩が強い六本木でゲーム文化の浸透を目指す考えだ。
コナミデジタルのオフィスは、2007年から東京ミッドタウンに置いており、おひざ元で直接ファンに情報発信することを狙う。直営店舗では、グッズ販売のほか、発売前のソフトの試遊会などの各種イベントを開催する予定。
コナミデジタルの永田昭彦執行役員副社長は「六本木にはゲーム専門店などがなく、ゲーム文化を根付かせることも狙って直営店をオープンした。ファンとの新たな交流の場として育てていきたい」と述べた。同店舗での反響を見て、他地域への展開についても検討するとしている。
iPadがPCから売り上げ奪う可能性 Apple幹部が示唆
Appleは、iPadの当初の需要は同社の予想を超えていると主張。また、以前アナリストが示していた「iPadがAppleのほかの製品ラインの需要を奪う」という見方とは逆に、同製品はほかのApple製品とのシナジーを生み出す可能性があるとも話している。この見解は、Appleの7月20日の決算発表電話会見で、ティム・クックCOO(最高執行責任者)で示したものだ。この会見ではiPadの最初の3カ月の売り上げについて、具体的なデータが公表された。
Appleは2010年第3四半期(4~6月)に327万台のiPadを販売し、これが総売上高157億ドルと純利益32億5000万ドルに貢献した。同四半期にMacとiPhoneの出荷台数は拡大したが、iPodの売り上げは緩やかな下降を続けた。Appleは以前から、iPod売り上げ減の一因はiPhoneに需要を食われたことにあると説明している。
「iPadを出すときに、当社の生産能力で100万台は大胆な計画だと思っていた」とクック氏は電話会見でメディアとアナリストに語った。「多数の業界アナリストは、1年丸々かけて100万台しか売れないと予測していた」
結局iPadは1カ月に100万台以上売れ、生産を調整し直さなければならなかったと同氏は付け加えた。「できるだけ早急に生産を増強している。そのために増やさなければならないものがたくさんある。だが、生産を拡大できると自信を持っている」
一部のアナリストは、iPadがiPodやMacの市場に食い込むと見込んでいるが、クック氏は同製品がほかのApple製品と食い合う可能性について、ポジティブな見方を示そうとした。
「Macのシェアはまだ低く、成長の機会はまだ非常に大きい。それにiPad、iPhone、iPodを通じてAppleに初めて触れる顧客は確実に増える。そこでMacとのシナジーが生まれるかもしれないし、iPadとiPhoneの間のシナジーなどもあるかもしれない」(同氏)
iPadは結局、Appleのライバルの方に大きなダメージを与えるかもしれないと同氏は示唆した。
「iPadがPCと売り上げを奪い合うことになったら、当社にとっては素晴らしいことだと思う。奪う相手がたくさんいるからだ」と同氏。「この市場は今でも大きい」
調査会社iSuppliは7月20日に、2010年のiPad販売台数は1290万台になり、2011年には3650万台、2012年には5040万台に達すると予測するリサーチノートを発表した。
「成功を続けるカギは、問題が生じたときにAppleがどれだけ迅速に対応するか、同社が需要に応えるためにサプライヤーをそろえられるかどうかだ」とiSuppliのモニタ調査ディレクター、ロンダ・アレクサンダー氏は述べている。「Appleの部品需要が急速に増えていることは、同社が2010年の生産目標を引き上げたことを示唆している」
iSuppliのリサーチノートでは、Appleが2011年4月にiPadを刷新するとの予測も示されている。おそらくはカメラを内蔵し、ディスプレイサイズのバリエーションが増えると予想している。同社は、iPadは現在タブレット市場の84%を占め、「少なくとも2012年まで圧倒的優位に立つ」と示唆している。
コメ作りはあと5年で破綻する!? 高齢化進み崩壊寸前
★都会の[田植え男子]の主張
現在、田んぼをとりまく状況は明るくない。農業ジャーナリストの大野和興氏は「コメ作りの現場はどこも高齢化が進み崩壊寸前。あと5年持つかどうか……」と危機感を募らせる。
「どこの農村でも困っているのは、とにかく人手が足りないこと。よく『耕作放棄』という言葉がメディアで使われます。しかし本当は、農村の人々は耕作放棄しているのではなく、続けたくても続けられないのです。コメの価格が安すぎるため、作れば作るほど赤字になる。また、昨年の農業就業人口の平均年齢は65歳で、そのうち70歳以上が48%という状況です」
大野氏は「多くの若者が農村に行くようになれば、この状況も変わるかもしれない」とも語る。
「そのために重要なのはマッチングです。農業を志す若者をいかに市場に繋げるかということ。政府や農協がやりたがっている国際競争力をつけて外国に農産物を売っていこうというのは古い考え。むしろ、食糧を自給したい都市の若者と、土地を荒廃から守りたい農村の人々が繋がることのほうが現実的です。
コメ作りで忙しいのは、苗床作りや田植え、草取りなど、ある程度時期が決まっています。そうした時期だけでも都会の人が作業をしに来てくれれば、だいぶ助かる。都市に拠点を置きながら、関われるときに農業に参加するだけでも、意義は十分あるかと思います」
【産経主張】22年W杯招致 今度こそ日本単独開催を
サッカーの2022年ワールドカップ(W杯)招致を目指す日本を訪問中だった国際サッカー連盟(FIFA)の視察団が全日程を終え、離日前の総括会見で、団長を務めたチリ・サッカー連盟のマイネニコルス会長は「日本の計画はバランスが取れていた」と高評価を残した。
日本招致委員会の犬飼基昭委員長(日本サッカー協会会長)も、IT(情報技術)をフル活用して「世界との共催」を目指す日本の開催コンセプトは、「かなり理解しているという手応えがあった」と招致に強い自信を示した。
南アフリカW杯ベスト16の実績も後押しする。開幕・決勝戦の舞台とすべくJR大阪駅前に新設される8万人規模のスタジアムも関西再興の大きな核となるだろう。招致委には今度こそ、W杯単独招致を実現してもらいたい。
18、22年大会の開催地は12月2日、チューリヒで行われるFIFA理事会で決定される。視察団は日本を皮切りに両大会に手を挙げた9候補地を回り、優劣をつけたうえで報告書を理事会に提出する。日本が目指す22年大会では、米国、豪州、韓国、カタールがライバルとなるが、視察団の高評価は大きな力となる。
招致委の開催提案書で日本は、FIFAの208加盟国・地域すべてで3D映像による大画面のライブ中継も提案している。技術大国日本を世界に再認識させる壮大で夢のある計画だ。開催国決定の12月までに、実現可能性を各国理事に信用させる大規模なデモンストレーションが必要となる。
韓国と共催した02年W杯で日本が世界を驚かしたのは、日本独特のホスピタリティー(もてなしの心)だった。チュニジアのキャンプ地、奈良県橿原市の関係者は、日本戦にチュニジアカラーの赤いシャツの応援団を送り込んだ。自国で他国を応援することは、外国では考えられない光景だった。
欧州のメディアは「コインランドリーを尋ねたら自宅で洗濯してくれた」「終電を逃し困っていたらお金を貸してくれた」など「信じられない話」をこぞって掲載した。その記憶はプラスのものとして世界のサッカー界に根強い。
技術力もホスピタリティーも、日本が世界に誇るべきものだ。都市開催の五輪と違い、W杯は国がホストとなる。国家・国民が一体となり、胸を張って「日本」を世界に宣伝していきたい。
セブンイレブン、独自コンテンツ店内配信で集客
コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンは、来店客向けに娯楽関連など独自コンテンツの配信を始める。NTTグループなどと組んで、店舗に公衆無線LAN(構内情報通信網)を整備。スマートフォン(高機能携帯電話)などにゲーム用キャラクターや商品割引券を配信する。店内でのみ手に入れられる情報を発信することで、顧客の来店を促して囲い込みをはかる。
23日から秋葉原センタープレイス店(東京・千代田)など都内の直営15店で順次、サービスを始める。NTTブロードバンドプラットフォーム(東京・中央)とソフトバンクテレコムの無線LANルーターを店舗に設置。来店客が持ち込んだ無線LAN対応の情報端末でインターネットに接続できる環境を整える。
任天堂のゲーム機「ニンテンドーDS」向けには人気ゲームソフト「ポケットモンスター」の特別キャラクターなどを配信。1日1個提供するスタンプを集めると景品がもらえるキャンペーンも展開する。
また、アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の利用者は、一部の食品の値引きクーポンを受け取れるようにする。
今回の配信は9月半ばまでの期間限定の試み。顧客の利用状況などを見たうえで、全国の約1万3000店へサービスを広げていく方針だ。DSやアイフォーン以外の端末への情報発信や、コンテンツを動画や音楽などへ広げることも検討していく。
コンビニは日本国内の店舗数が4万店を超え、消費不況のなかで市場の飽和感を強めている。セブンイレブンは、スマートフォンなど高機能端末の普及を背景に、店内でのみ受け取れる独自コンテンツの配信で特徴を出し、顧客の来店動機の多様化につなげる考えだ。
ガラケーTwitterアプリがiPhoneを超えた
株式会社ネイキッドテクノロジーの携帯電話向けツイッターアプリ「Twittie(ツイッティー)」が、iPhoneに搭載されているツイッターアプリを超えた。
そんなわけはない、と思われるかもしれない。iPhone向けアプリは、世界中の開発者がしのぎを削る激戦地帯。日本で開発されたアプリが世界を超えるわけがないー。僕もそう思っていた。しかし日本のユーザーにとっては、Twittieのほうが使い勝手がよくなったと思う。
なぜなら「ふぁぼったー」や「togetter(トゥギャッター)」などといった日本人にとって馴染み深いツイッター関連サービスが、Twittie上で使えるようになったからだ。
Twittieのことは以前から気になっていた。ツイッターはガラケー、もしくはフィーチャーフォンと呼ばれる日本の一般的な携帯電話のケータイブラウザ上でも、もちろん利用できる。ただフォローしている人数が少ないうちはブラウザ利用でも問題ないんだが、100人以上をフォローすると1つ1つのツイートを丁寧に読んでいられなくなる。次から次へと流し読みしたくなるわけだが、ケータイブラウザだと次のページを読み込むのに若干時間がかかる。これが結構なストレスになる。
その点Twittieは、アプリなのでいろいろな機能を搭載できる。例えば、ページの途中までスクロールしていけば勝手に次のページを読み込んでくれる。待ち時間なく次々と流し読みができるのだ。
素晴らしいと思ったのだが、そのころはドコモ向けにしかアプリを出していなかった。Twittieを使うためにドコモに乗り換えることも考えたが、その前にiPhoneを購入してしまった。iPhoneのツイッターアプリは、Twittieでできることは何でもできた。もはやTwittieに用はない。一件落着。そう思っていた。
ところが今回、Twittieはプラットフォーム戦略に乗り出した。他のツイッター関連サービスをTwittie上で簡単に利用できるようにしたのだ。今回Twittieと提携したのは、ツイッターで引用されたURLを人気順に並べるTwib(ツイブ)や、複数のユーザーのツイートを組み合わせて1つの読み物にするサービス「togetter(トゥギャッター)」、お気に入り登録したツイートのまとめサイト「ふぁぼったー」、ツイッターユーザー同士のQ&Aサイト「Q&Aなう」、今の話題のキーワードを抽出する「buzztter(バズッター)」。
お気に入りのツイートのランキングや話題キーワード抽出といったサービスは英語圏にもある。iPhoneでも利用できる。ただ日本語に最適化されていない。英語のTweetが混ざるぐらいなら許容範囲だが、日本語がまったく使えないサービスもある。
上に挙げたサービスはどれも日本語最適化されているので、日本人ユーザーにとっては非常に使い勝手がいい。
一方でtogetterは英語圏にはないサービス。少なくとも僕は同種のサービスを見かけたことがない。どんなサービスかというと、いろんな人のツイートをドラッグ・アンド・ドロップといった非常に直感的な簡単な操作で集めることができるもの。いろんな人がいろいろなまとめを作っている。ツイッター上で議論しているネット有名人のツイートまとめなどは、非常に面白かった。僕の周りでもユーザーがかなり増えてきているように思う。これが普通のケータイで利用できるようになったのだ。このことだけでも、TwittieはiPhoneアプリを超えたと言っていいと僕は思う。
こうしたユニークなツイッター関連サービスは、個人が開発した場合が圧倒的に多い。個人運営なので、携帯向けサービスを開発するだけの余裕がない。そこで携帯向けプログラムの共通基幹部分をTwittie側で今回無償で提供、これらのサービスを携帯電話で利用出来るようにしたのだという。
残念ながらTwittieをダウンロードできるのはドコモとソフトバンクの一部機種だけ。対応機種表で調べてみたら、僕のソフトバンクのガラケーでは利用できなかった。そろそろ機種変更しようかなあ。
音楽CD生産額、4期連続前年割れ 1~6月、11%減
日本レコード協会が21日発表した2010年1~6月の音楽CD生産額は前年同期比11%減の約1046億円にとどまった。上半期として4期連続の前年割れとなったほか、00年以降で最低となった。娯楽の多様化やネット配信の拡大で「パッケージ離れ」が一段と加速している実態が鮮明になった格好だ。
生産枚数は約9575万枚と前年同期より3%減少。2期連続で1億枚に届かなかった。00年以降で最も生産額が多かった00年1~6月の約2659億円から10年間で6割減った。
シングルCDは約177億円と前年同期を1%上回ったものの、生産額全体の8割を占めるアルバムが13%減少したことが響いた。分野別では邦楽が8%減の約854億円、洋楽が22%減の約191億円。カセットテープを含むオーディオ全体の生産額も11%減の1061億円に落ち込んだ。
タワーレコード、新人募集してCD販売
タワーレコードはミュージシャンをオーディションで発掘し、CDで販売する事業を始める。楽曲を募集した上でCD化、2曲入り100円で販売して売れ行きによって評価を決める。最も売れた音楽家は改めてアルバムCDを制作・発売できる。CD市場の活性化を目指す。
9月15日まで楽曲を募集し、タワーの社員が10組程度を選定。専用レーベルを立ち上げて秋に1カ月間程度店頭やインターネット通販で販売する。売れ行きをもとに最大3組のミュージシャンを選び、タワーなどが支援して来年2月にもアルバムCDを発売する。
レコード会社などと契約を結んでいないミュージシャンであれば、国籍、年齢、ジャンルなどによらず参加できる。毎年開催する方針で、約3千組の音楽家が参加する国内最大規模のオーディションに育成したい考え。
日本レコード協会によると、10年1~6月の音楽CD生産額は前年同期比11%減の1046億円と、上半期として4期連続で前年実績を下回った。レコード会社が担ってきた新人発掘をCD販売店も手がけることで、低迷するCD販売をテコ入れする。
ソフトバンクが「HTC Desire」新モデル発売 ディスプレイがTFT液晶に
ソフトバンクモバイルは7月22日、HTC製のAndroid 2.1搭載スマートフォン「HTC Desire X06HTII」を9月下旬以降に発売すると発表した。予約受け付けは8月3日から。販売を終了する現行モデル「X06HT」は有機ELディスプレイを搭載しているが、新モデルはTFT液晶を採用する。
ディスプレイの変更について、同社広報部は「さらなるユーザーエクスペリエンスを提供するため」と説明している。
HTC Desireの現行・新型モデルの両方で、MMS「S!メール」を利用可能にする専用アプリを9月中旬以降に提供することも同日発表した。
たばこ増税でフィリップモリスも値上げ申請 マールボロは440円に
フィリップモリスジャパン(東京都千代田区)は22日、財務省に対し、たばこ製品76銘柄の値上げ申請を行ったと発表した。政府が10月から実施するたばこ増税に伴う対応で、10月1日から値上げする。
主な銘柄では、マールボロやバージニア・スリムが現行の320円から440円に、ラークやフィリップ・モリスが300円から410円に、それぞれ値上げとなる。
毎日放送(MBS)が新館建設へ
毎日放送は22日、大阪市北区茶屋町の本社本館に隣接する駐車場約2200平方メートルに、平成26年春をめどに新館ビルを建設すると発表した。鉄骨構造で地上15階建て地下1階、延べ床面積約1万7500平方。新館は、分散している一部のスタジオを集約し、3D(立体映像)撮影など最新の機能を備える。来年4月着工予定で、総事業費は約170億円。
女性キャスターにリストラの嵐…テレビ局お寒い事情
テレビ界で昨年来、吹き荒れているリストラの嵐が、女性キャスターにも及ぼうとしている。厳しい生存競争を勝ち抜くのは誰か。放送事情にくわしい芸能評論家、肥留間正明氏が、ぶった切る。
田丸美寿々(58)は、16年間キャスターを務めてきたTBS系「報道特集」を9月末に降板することが決まった。
放送30年目を迎える番組のリニューアルと、田丸の母親介護が理由とされるが、「バブル期から活躍してきたため、ギャラもなかなか下げられない」(肥留間氏)という事情もあったようだ。田丸の年間契約料は推定2000万円ともいわれる。
TBSは放送事業部門の不振で、2010年3月期の決算では23億円の最終赤字を出した。後任は“社員”の金平茂紀アメリカ総局長が務める。
肥留間氏は「田丸さんはリポーターからキャスターに出世する一方で、不倫スキャンダルで世間も騒がせた。そんな人が降板するのは一つの時代の終わり。考え方もシャープで、ジャーナリストとしても度胸があった人だけに残念」と語る。
田丸に続く“リストラ候補”として、名前が取りざたされているのが、同じくTBS系「NEWS23X(クロス)」の膳場貴子(35)だ。
前身の「NEWS23」のメーンキャスターに昨年3月に昇格。今年3月、TBS記者出身の松原耕二氏(49)らが加わるなどテコ入れして現番組に変ったが、視聴率は6~7%台を推移。ライバルの日本テレビ系「NEWS ZERO」の後塵を拝している。
年間のギャラは6000万とも8000万ともいわれるが、11日のTBSの参院選特番「乱! 参院選2010」のキャスターの座は、NHK時代の先輩・堀尾正明(55)に奪われた。
「全体の視聴率で、民放では日テレに続く2位と善戦、堀尾の選択は正解だった」と局関係者。
田原総一朗(76)が21年続けた「サンデープロジェクト」の後を継ぎ、4月から始まった「サンデーフロントライン」の小宮悦子(52)はどうか。
12年間続けた平日夕方の「スーパーJチャンネル」から“引っ越し”した背景には、年間1億ともいわれた高額ギャラがあったともいわれる。
肥留間氏は「田原さんと比べてしまうと、やはりツッコミが弱い」と指摘する一方、「局アナ時代からの功労者。テレ朝も、そう簡単に切るということはない」とみる。
局との深いつながりといえば、テレビ東京系「ワールドビジネスサテライト」のキャスターを12年間も務める小谷真生子(45)。
参院選特番でも、池上彰(59)がキャスターを務めた第1部「池上彰の選挙スペシャル」からバトンを受け、第2部の討論形式の「ニッポン戦略会議」を仕切った。
肥留間氏は「まさにジジ殺し。女を半分捨てて、相手の話を上手に聞き、取り込んでしまう。あの人の代わりはなかなかいない」と語る。
荒波を乗り越えてきた女性キャスター陣には、何とか踏ん張ってほしい-という視聴者も少なくないのだが…。
食料品も低価格化へ、スーパー売り上げ下降線
スーパーマーケットで、主力商品である食料品の売り上げ不振が目立っている。
以前は景気が低迷する中、調理済み食品を家に持ち帰って食べる「中食」ブームが起き、食料品がスーパーの売り上げを支えていた。
ところが、長引くデフレとともに食料品に対する消費者の節約志向は一層強まり、低価格化に拍車がかかっているとみられる。
日本チェーンストア協会が22日に発表した全国スーパーの6月の売上高は1兆73億円と、前年同月比で1・4%減(既存店ベース)となった。
品目別でみると、昨年は対前年比で10%以上落ち込むなど不振だった「衣料品」の売上高が、54か月ぶりにプラスになった。しかし、「食料品」は、1・4%減と17か月連続のマイナスだ。同協会の小笠原荘一常務理事は「中食ブームの効果は1年前から薄れ、節約の対象が衣料品から食品へと向かっている」と説明する。
東武ストアは21日、3~8月の連結売上高の見通しを、7月7日に発表した予想から5・5%、営業利益を61・1%、それぞれ下方修正した。格安の飲料や加工食品などを多く並べるドラッグストアなどに対抗して食料品を値下げした結果、売り上げが落ち込んだ。
ダイエーでは、特売日には食品の売上高が前年の同時期より2割ほど増えるが、それ以外は前年割れが続いているという。価格に対する消費者の視線は厳しさを増すばかりのようだ。
イオンも「食品の販売が厳しい」(村井正平GMS事業最高経営責任者)と危機感を強めており、各社は割安な自主企画商品(PB)に活路を見いだそうとしている。
イオンは88円の「第3のビール」をPBで発売。PBの売れ筋商品を今年度中に100品目と2009年度と比べて倍増させる計画だ。ダイエーは、肉や野菜などの生鮮品にもPB商品を拡大。低価格品だけでなく、高品質のPBの開発にも注力している。
大王製紙、タイに初の海外工場 紙おむつ生産
大王製紙はタイに幼児用の紙おむつ工場を建設する。同社初の海外自社工場となり、2011年にも生産を始める予定だ。現地生産でコスト競争力を高め、人口増が見込まれる東南アジアで高級品市場を開拓する。国内市場の伸び悩みを受け、製紙大手の海外展開が本格化してきた。
新工場はタイのチョンブリ県に建設する。当初の投資額は約30億円で、月間生産能力は1600万~1800万枚程度を想定している。11年初めに着工。同年中にも在庫を確保するための生産を開始し、早ければ12年3月から出荷を始める。
アジアでの生産に踏み切るのは、需要が本格的に拡大するとみているためだ。輸出を通じ、代理店など販売網も整ったと判断した。東南アジアの幼児用紙おむつの販売量は月間4億~5億枚と、日本(同6億枚)に比べるとやや少ないが、日本など先進国に比べて普及率がまだ低い。経済成長で購買力の向上も見込め「需要は年率10%以上で成長する」(大王製紙)とみている。
新工場で生産する紙おむつはタイを中心にベトナム、インドネシア、マレーシアなどで販売する。インドなど南アジアの市場開拓も進める。
販売状況を見ながら、投資額の積み増しを検討する。投資額は120億~130億円、月間生産能力は9000万~1億枚程度まで拡大する可能性がある。
東南アジア市場には現在、日本からの輸出で高級品を投入しているが、輸送費などがかさみ、採算面では苦戦している。タイで生産すれば、日本から輸出する場合と比べ原料や製造、輸送などのコストを20~25%下げられるという。
大王製紙は紙おむつなど家庭紙事業(ホーム&パーソナルケア事業)の売上高を、13年3月期に今期計画比2割増の1600億円に増やす目標を立てている。同事業の海外売上高比率は現在約5%だが、海外生産の開始で13年3月期には約13%に高める。
大王製紙は国内の幼児用紙おむつで約14%と第4位。しかし国内の幼児用紙おむつの市場規模(10年度見通しで約1460億円)は08年度以降頭打ちだ。アジア市場には日本や欧米の紙おむつメーカーが多く参入している。大王製紙も新工場の設立でアジア市場でシェア獲得を狙う。
WTO加盟各国、政府調達を電子入札に
価格下げ狙う 41カ国・地域が導入へ
中国・インドも参加交渉
【ジュネーブ=藤田剛】世界貿易機関(WTO)加盟各国は政府調達でインターネットを使った電子入札制度を導入する。外国企業の参加を容易にすることで競争を促し、各国政府などが物品やサービスをより安く購入できるようにするのが狙い。現在の政府調達協定の加盟国は日米欧など先進国が中心だが、中国など9カ国との新規加盟交渉も始まった。実現すれば、政府調達市場への参入障壁が多国間で低くなる。日本企業も競争激化に対応を迫られそうだ。
政府調達の国際的な競争の仕組みを定めた現行の政府調達協定を16年ぶりに改定し、これをもとに各国が電子入札制度を導入する。WTOは日米欧など各国政府が金融・経済危機への対応で財政が悪化していることを背景に「政府調達をさらに開放し、調達価格の引き下げで財政を健全化すべきだ」と要請。現行協定に加盟する41カ国・地域が年内に新協定を作ることで一致した。
調達価格を下げるため「競り下げ方式」を電子入札の一形態として認めることも特徴だ。これは電子入札の画面上で他社の金額を見ながら、それより安い価格で何度でも入札できるもの。その国に拠点がない外国企業も参加しやすく、より競争原理が働く効果がある。
日本では公共事業も含めた全体の政府調達は推計で年15兆円程度。政府調達協定の対象となる案件は現在でもほぼインターネットで入札を告示している。しかし、実際の入札まで電子的に受け付けている案件は限定的で、外国企業が落札するケースは物品・サービスでは3%のみ。加盟国の大半も電子入札の規模はほぼ同様の水準にとどまっているもようだ。
新協定が成立し、各国が電子入札を導入すれば、各政府にとって調達費削減につながる可能性が高い一方で、その国の企業にとっては外国企業との競争を迫られることになる。電子入札の対象となる分野はコンピューターなどIT情報技術)機器などが先行するとみられている。
中印など新興国も加盟に動き出した。中国は7月中旬、日米などに協定の対象とする具体的な分野を提示し、本格的な加盟交渉に入った。インドも加盟を視野に協定のオブザーバー国に加わった。
WTOによると、中国の政府調達は拡大し、年8兆円程度に達した。これ以外に協定の対象となる政府系企業の調達があるため、全体はさらに大きくなるという。このため、日米欧など現加盟国・地域は中国に早期の加盟を促している。
各国政府の調達を外国企業にも開放して貿易全体を活発化することを狙い、1979年に初めて政府調達協定が締結された。当初は国の物品調達だけが対象だったが、94年に成立した現行協定は建設などのサービス、地方自治体や政府系機関の調達も対象に入った。
日経社説
米中が布石打つ電気自動車
電気自動車の開発競争が激しくなってきた。年末に発売する日産自動車に続き、トヨタ自動車やホンダも2012年の発売を目指して開発を進めていると発表した。
電気自動車は走行中に二酸化炭素(CO2)を出さない究極の環境技術の1つだ。だが燃料にあたる電池の値段がまだ高く、ガソリン車に比べ走行距離が短い。トヨタもホンダも「当面は電気自動車の前にガソリンと電池の併用で走るハイブリッド車の時代が続く」と考えていた。
それがここにきて開発を急ぎ出したのは、2つの理由からである。
1つは米国だ。オバマ政権は12年から従来より大幅に厳しい燃費規制を導入する。自動車メーカーは毎年5%ずつ燃費を改善しCO2排出量を減らす必要がある。できなければ罰金が科されてしまう。
燃費をよくする切り札がハイブリッド車や電気自動車だが、特に電気自動車は効果的であり、多く売ればそれだけガソリン車も売っていいことになる。米国での成長は電気自動車がカギを握り始めたと言える。
2つめは中国だ。09年末に発表した「国家重点省エネルギー技術目録」では15年にも電気自動車の生産台数を全体の10%に増やす計画を掲げた。1台6万元(約77万円)を上限とする補助金制度も設けた。
中国は自動車普及の加速で09年に米国を抜き世界最大のエネルギー消費国になった。自動車の保有台数も20年に1億6000万台と現在の3倍強に達し、石油が大幅に不足する事態が予想されている。つなぎ役とされるハイブリッド車を飛び越え、一気に電気自動車に移行しようと中国政府は考える。
大きな変革期だ。特に中国は世界最大の自動車市場に成長し、変化のうねりが世界全体に影響を及ぼす。日本企業には好機となる半面、乗り遅れたら世界での存在感を低下させる懸念もあるだろう。
みずほコーポレート銀行によれば、中国では近く、100万円前後の廉価な電気自動車が数車種登場する見込みだ。変わり目をとらえ主導権を奪いたいのが中国だ。日本のメーカーはそうした思惑も踏まえ、中国などの企業に負けない商品作りをいち早く進める必要がある。
コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンは、来店客向けに娯楽関連など独自コンテンツの配信を始める。NTTグループなどと組んで、店舗に公衆無線LAN(構内情報通信網)を整備。スマートフォン(高機能携帯電話)などにゲーム用キャラクターや商品割引券を配信する。店内でのみ手に入れられる情報を発信することで、顧客の来店を促して囲い込みをはかる。
23日から秋葉原センタープレイス店(東京・千代田)など都内の直営15店で順次、サービスを始める。NTTブロードバンドプラットフォーム(東京・中央)とソフトバンクテレコムの無線LANルーターを店舗に設置。来店客が持ち込んだ無線LAN対応の情報端末でインターネットに接続できる環境を整える。
任天堂のゲーム機「ニンテンドーDS」向けには人気ゲームソフト「ポケットモンスター」の特別キャラクターなどを配信。1日1個提供するスタンプを集めると景品がもらえるキャンペーンも展開する。
また、アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の利用者は、一部の食品の値引きクーポンを受け取れるようにする。
今回の配信は9月半ばまでの期間限定の試み。顧客の利用状況などを見たうえで、全国の約1万3000店へサービスを広げていく方針だ。DSやアイフォーン以外の端末への情報発信や、コンテンツを動画や音楽などへ広げることも検討していく。
コンビニは日本国内の店舗数が4万店を超え、消費不況のなかで市場の飽和感を強めている。セブンイレブンは、スマートフォンなど高機能端末の普及を背景に、店内でのみ受け取れる独自コンテンツの配信で特徴を出し、顧客の来店動機の多様化につなげる考えだ。
ガラケーTwitterアプリがiPhoneを超えた
株式会社ネイキッドテクノロジーの携帯電話向けツイッターアプリ「Twittie(ツイッティー)」が、iPhoneに搭載されているツイッターアプリを超えた。
そんなわけはない、と思われるかもしれない。iPhone向けアプリは、世界中の開発者がしのぎを削る激戦地帯。日本で開発されたアプリが世界を超えるわけがないー。僕もそう思っていた。しかし日本のユーザーにとっては、Twittieのほうが使い勝手がよくなったと思う。
なぜなら「ふぁぼったー」や「togetter(トゥギャッター)」などといった日本人にとって馴染み深いツイッター関連サービスが、Twittie上で使えるようになったからだ。
Twittieのことは以前から気になっていた。ツイッターはガラケー、もしくはフィーチャーフォンと呼ばれる日本の一般的な携帯電話のケータイブラウザ上でも、もちろん利用できる。ただフォローしている人数が少ないうちはブラウザ利用でも問題ないんだが、100人以上をフォローすると1つ1つのツイートを丁寧に読んでいられなくなる。次から次へと流し読みしたくなるわけだが、ケータイブラウザだと次のページを読み込むのに若干時間がかかる。これが結構なストレスになる。
その点Twittieは、アプリなのでいろいろな機能を搭載できる。例えば、ページの途中までスクロールしていけば勝手に次のページを読み込んでくれる。待ち時間なく次々と流し読みができるのだ。
素晴らしいと思ったのだが、そのころはドコモ向けにしかアプリを出していなかった。Twittieを使うためにドコモに乗り換えることも考えたが、その前にiPhoneを購入してしまった。iPhoneのツイッターアプリは、Twittieでできることは何でもできた。もはやTwittieに用はない。一件落着。そう思っていた。
ところが今回、Twittieはプラットフォーム戦略に乗り出した。他のツイッター関連サービスをTwittie上で簡単に利用できるようにしたのだ。今回Twittieと提携したのは、ツイッターで引用されたURLを人気順に並べるTwib(ツイブ)や、複数のユーザーのツイートを組み合わせて1つの読み物にするサービス「togetter(トゥギャッター)」、お気に入り登録したツイートのまとめサイト「ふぁぼったー」、ツイッターユーザー同士のQ&Aサイト「Q&Aなう」、今の話題のキーワードを抽出する「buzztter(バズッター)」。
お気に入りのツイートのランキングや話題キーワード抽出といったサービスは英語圏にもある。iPhoneでも利用できる。ただ日本語に最適化されていない。英語のTweetが混ざるぐらいなら許容範囲だが、日本語がまったく使えないサービスもある。
上に挙げたサービスはどれも日本語最適化されているので、日本人ユーザーにとっては非常に使い勝手がいい。
一方でtogetterは英語圏にはないサービス。少なくとも僕は同種のサービスを見かけたことがない。どんなサービスかというと、いろんな人のツイートをドラッグ・アンド・ドロップといった非常に直感的な簡単な操作で集めることができるもの。いろんな人がいろいろなまとめを作っている。ツイッター上で議論しているネット有名人のツイートまとめなどは、非常に面白かった。僕の周りでもユーザーがかなり増えてきているように思う。これが普通のケータイで利用できるようになったのだ。このことだけでも、TwittieはiPhoneアプリを超えたと言っていいと僕は思う。
こうしたユニークなツイッター関連サービスは、個人が開発した場合が圧倒的に多い。個人運営なので、携帯向けサービスを開発するだけの余裕がない。そこで携帯向けプログラムの共通基幹部分をTwittie側で今回無償で提供、これらのサービスを携帯電話で利用出来るようにしたのだという。
残念ながらTwittieをダウンロードできるのはドコモとソフトバンクの一部機種だけ。対応機種表で調べてみたら、僕のソフトバンクのガラケーでは利用できなかった。そろそろ機種変更しようかなあ。
音楽CD生産額、4期連続前年割れ 1~6月、11%減
日本レコード協会が21日発表した2010年1~6月の音楽CD生産額は前年同期比11%減の約1046億円にとどまった。上半期として4期連続の前年割れとなったほか、00年以降で最低となった。娯楽の多様化やネット配信の拡大で「パッケージ離れ」が一段と加速している実態が鮮明になった格好だ。
生産枚数は約9575万枚と前年同期より3%減少。2期連続で1億枚に届かなかった。00年以降で最も生産額が多かった00年1~6月の約2659億円から10年間で6割減った。
シングルCDは約177億円と前年同期を1%上回ったものの、生産額全体の8割を占めるアルバムが13%減少したことが響いた。分野別では邦楽が8%減の約854億円、洋楽が22%減の約191億円。カセットテープを含むオーディオ全体の生産額も11%減の1061億円に落ち込んだ。
タワーレコード、新人募集してCD販売
タワーレコードはミュージシャンをオーディションで発掘し、CDで販売する事業を始める。楽曲を募集した上でCD化、2曲入り100円で販売して売れ行きによって評価を決める。最も売れた音楽家は改めてアルバムCDを制作・発売できる。CD市場の活性化を目指す。
9月15日まで楽曲を募集し、タワーの社員が10組程度を選定。専用レーベルを立ち上げて秋に1カ月間程度店頭やインターネット通販で販売する。売れ行きをもとに最大3組のミュージシャンを選び、タワーなどが支援して来年2月にもアルバムCDを発売する。
レコード会社などと契約を結んでいないミュージシャンであれば、国籍、年齢、ジャンルなどによらず参加できる。毎年開催する方針で、約3千組の音楽家が参加する国内最大規模のオーディションに育成したい考え。
日本レコード協会によると、10年1~6月の音楽CD生産額は前年同期比11%減の1046億円と、上半期として4期連続で前年実績を下回った。レコード会社が担ってきた新人発掘をCD販売店も手がけることで、低迷するCD販売をテコ入れする。
ソフトバンクが「HTC Desire」新モデル発売 ディスプレイがTFT液晶に
ソフトバンクモバイルは7月22日、HTC製のAndroid 2.1搭載スマートフォン「HTC Desire X06HTII」を9月下旬以降に発売すると発表した。予約受け付けは8月3日から。販売を終了する現行モデル「X06HT」は有機ELディスプレイを搭載しているが、新モデルはTFT液晶を採用する。
ディスプレイの変更について、同社広報部は「さらなるユーザーエクスペリエンスを提供するため」と説明している。
HTC Desireの現行・新型モデルの両方で、MMS「S!メール」を利用可能にする専用アプリを9月中旬以降に提供することも同日発表した。
たばこ増税でフィリップモリスも値上げ申請 マールボロは440円に
フィリップモリスジャパン(東京都千代田区)は22日、財務省に対し、たばこ製品76銘柄の値上げ申請を行ったと発表した。政府が10月から実施するたばこ増税に伴う対応で、10月1日から値上げする。
主な銘柄では、マールボロやバージニア・スリムが現行の320円から440円に、ラークやフィリップ・モリスが300円から410円に、それぞれ値上げとなる。
毎日放送(MBS)が新館建設へ
毎日放送は22日、大阪市北区茶屋町の本社本館に隣接する駐車場約2200平方メートルに、平成26年春をめどに新館ビルを建設すると発表した。鉄骨構造で地上15階建て地下1階、延べ床面積約1万7500平方。新館は、分散している一部のスタジオを集約し、3D(立体映像)撮影など最新の機能を備える。来年4月着工予定で、総事業費は約170億円。
女性キャスターにリストラの嵐…テレビ局お寒い事情
テレビ界で昨年来、吹き荒れているリストラの嵐が、女性キャスターにも及ぼうとしている。厳しい生存競争を勝ち抜くのは誰か。放送事情にくわしい芸能評論家、肥留間正明氏が、ぶった切る。
田丸美寿々(58)は、16年間キャスターを務めてきたTBS系「報道特集」を9月末に降板することが決まった。
放送30年目を迎える番組のリニューアルと、田丸の母親介護が理由とされるが、「バブル期から活躍してきたため、ギャラもなかなか下げられない」(肥留間氏)という事情もあったようだ。田丸の年間契約料は推定2000万円ともいわれる。
TBSは放送事業部門の不振で、2010年3月期の決算では23億円の最終赤字を出した。後任は“社員”の金平茂紀アメリカ総局長が務める。
肥留間氏は「田丸さんはリポーターからキャスターに出世する一方で、不倫スキャンダルで世間も騒がせた。そんな人が降板するのは一つの時代の終わり。考え方もシャープで、ジャーナリストとしても度胸があった人だけに残念」と語る。
田丸に続く“リストラ候補”として、名前が取りざたされているのが、同じくTBS系「NEWS23X(クロス)」の膳場貴子(35)だ。
前身の「NEWS23」のメーンキャスターに昨年3月に昇格。今年3月、TBS記者出身の松原耕二氏(49)らが加わるなどテコ入れして現番組に変ったが、視聴率は6~7%台を推移。ライバルの日本テレビ系「NEWS ZERO」の後塵を拝している。
年間のギャラは6000万とも8000万ともいわれるが、11日のTBSの参院選特番「乱! 参院選2010」のキャスターの座は、NHK時代の先輩・堀尾正明(55)に奪われた。
「全体の視聴率で、民放では日テレに続く2位と善戦、堀尾の選択は正解だった」と局関係者。
田原総一朗(76)が21年続けた「サンデープロジェクト」の後を継ぎ、4月から始まった「サンデーフロントライン」の小宮悦子(52)はどうか。
12年間続けた平日夕方の「スーパーJチャンネル」から“引っ越し”した背景には、年間1億ともいわれた高額ギャラがあったともいわれる。
肥留間氏は「田原さんと比べてしまうと、やはりツッコミが弱い」と指摘する一方、「局アナ時代からの功労者。テレ朝も、そう簡単に切るということはない」とみる。
局との深いつながりといえば、テレビ東京系「ワールドビジネスサテライト」のキャスターを12年間も務める小谷真生子(45)。
参院選特番でも、池上彰(59)がキャスターを務めた第1部「池上彰の選挙スペシャル」からバトンを受け、第2部の討論形式の「ニッポン戦略会議」を仕切った。
肥留間氏は「まさにジジ殺し。女を半分捨てて、相手の話を上手に聞き、取り込んでしまう。あの人の代わりはなかなかいない」と語る。
荒波を乗り越えてきた女性キャスター陣には、何とか踏ん張ってほしい-という視聴者も少なくないのだが…。
食料品も低価格化へ、スーパー売り上げ下降線
スーパーマーケットで、主力商品である食料品の売り上げ不振が目立っている。
以前は景気が低迷する中、調理済み食品を家に持ち帰って食べる「中食」ブームが起き、食料品がスーパーの売り上げを支えていた。
ところが、長引くデフレとともに食料品に対する消費者の節約志向は一層強まり、低価格化に拍車がかかっているとみられる。
日本チェーンストア協会が22日に発表した全国スーパーの6月の売上高は1兆73億円と、前年同月比で1・4%減(既存店ベース)となった。
品目別でみると、昨年は対前年比で10%以上落ち込むなど不振だった「衣料品」の売上高が、54か月ぶりにプラスになった。しかし、「食料品」は、1・4%減と17か月連続のマイナスだ。同協会の小笠原荘一常務理事は「中食ブームの効果は1年前から薄れ、節約の対象が衣料品から食品へと向かっている」と説明する。
東武ストアは21日、3~8月の連結売上高の見通しを、7月7日に発表した予想から5・5%、営業利益を61・1%、それぞれ下方修正した。格安の飲料や加工食品などを多く並べるドラッグストアなどに対抗して食料品を値下げした結果、売り上げが落ち込んだ。
ダイエーでは、特売日には食品の売上高が前年の同時期より2割ほど増えるが、それ以外は前年割れが続いているという。価格に対する消費者の視線は厳しさを増すばかりのようだ。
イオンも「食品の販売が厳しい」(村井正平GMS事業最高経営責任者)と危機感を強めており、各社は割安な自主企画商品(PB)に活路を見いだそうとしている。
イオンは88円の「第3のビール」をPBで発売。PBの売れ筋商品を今年度中に100品目と2009年度と比べて倍増させる計画だ。ダイエーは、肉や野菜などの生鮮品にもPB商品を拡大。低価格品だけでなく、高品質のPBの開発にも注力している。
大王製紙、タイに初の海外工場 紙おむつ生産
大王製紙はタイに幼児用の紙おむつ工場を建設する。同社初の海外自社工場となり、2011年にも生産を始める予定だ。現地生産でコスト競争力を高め、人口増が見込まれる東南アジアで高級品市場を開拓する。国内市場の伸び悩みを受け、製紙大手の海外展開が本格化してきた。
新工場はタイのチョンブリ県に建設する。当初の投資額は約30億円で、月間生産能力は1600万~1800万枚程度を想定している。11年初めに着工。同年中にも在庫を確保するための生産を開始し、早ければ12年3月から出荷を始める。
アジアでの生産に踏み切るのは、需要が本格的に拡大するとみているためだ。輸出を通じ、代理店など販売網も整ったと判断した。東南アジアの幼児用紙おむつの販売量は月間4億~5億枚と、日本(同6億枚)に比べるとやや少ないが、日本など先進国に比べて普及率がまだ低い。経済成長で購買力の向上も見込め「需要は年率10%以上で成長する」(大王製紙)とみている。
新工場で生産する紙おむつはタイを中心にベトナム、インドネシア、マレーシアなどで販売する。インドなど南アジアの市場開拓も進める。
販売状況を見ながら、投資額の積み増しを検討する。投資額は120億~130億円、月間生産能力は9000万~1億枚程度まで拡大する可能性がある。
東南アジア市場には現在、日本からの輸出で高級品を投入しているが、輸送費などがかさみ、採算面では苦戦している。タイで生産すれば、日本から輸出する場合と比べ原料や製造、輸送などのコストを20~25%下げられるという。
大王製紙は紙おむつなど家庭紙事業(ホーム&パーソナルケア事業)の売上高を、13年3月期に今期計画比2割増の1600億円に増やす目標を立てている。同事業の海外売上高比率は現在約5%だが、海外生産の開始で13年3月期には約13%に高める。
大王製紙は国内の幼児用紙おむつで約14%と第4位。しかし国内の幼児用紙おむつの市場規模(10年度見通しで約1460億円)は08年度以降頭打ちだ。アジア市場には日本や欧米の紙おむつメーカーが多く参入している。大王製紙も新工場の設立でアジア市場でシェア獲得を狙う。
WTO加盟各国、政府調達を電子入札に
価格下げ狙う 41カ国・地域が導入へ
中国・インドも参加交渉
【ジュネーブ=藤田剛】世界貿易機関(WTO)加盟各国は政府調達でインターネットを使った電子入札制度を導入する。外国企業の参加を容易にすることで競争を促し、各国政府などが物品やサービスをより安く購入できるようにするのが狙い。現在の政府調達協定の加盟国は日米欧など先進国が中心だが、中国など9カ国との新規加盟交渉も始まった。実現すれば、政府調達市場への参入障壁が多国間で低くなる。日本企業も競争激化に対応を迫られそうだ。
政府調達の国際的な競争の仕組みを定めた現行の政府調達協定を16年ぶりに改定し、これをもとに各国が電子入札制度を導入する。WTOは日米欧など各国政府が金融・経済危機への対応で財政が悪化していることを背景に「政府調達をさらに開放し、調達価格の引き下げで財政を健全化すべきだ」と要請。現行協定に加盟する41カ国・地域が年内に新協定を作ることで一致した。
調達価格を下げるため「競り下げ方式」を電子入札の一形態として認めることも特徴だ。これは電子入札の画面上で他社の金額を見ながら、それより安い価格で何度でも入札できるもの。その国に拠点がない外国企業も参加しやすく、より競争原理が働く効果がある。
日本では公共事業も含めた全体の政府調達は推計で年15兆円程度。政府調達協定の対象となる案件は現在でもほぼインターネットで入札を告示している。しかし、実際の入札まで電子的に受け付けている案件は限定的で、外国企業が落札するケースは物品・サービスでは3%のみ。加盟国の大半も電子入札の規模はほぼ同様の水準にとどまっているもようだ。
新協定が成立し、各国が電子入札を導入すれば、各政府にとって調達費削減につながる可能性が高い一方で、その国の企業にとっては外国企業との競争を迫られることになる。電子入札の対象となる分野はコンピューターなどIT情報技術)機器などが先行するとみられている。
中印など新興国も加盟に動き出した。中国は7月中旬、日米などに協定の対象とする具体的な分野を提示し、本格的な加盟交渉に入った。インドも加盟を視野に協定のオブザーバー国に加わった。
WTOによると、中国の政府調達は拡大し、年8兆円程度に達した。これ以外に協定の対象となる政府系企業の調達があるため、全体はさらに大きくなるという。このため、日米欧など現加盟国・地域は中国に早期の加盟を促している。
各国政府の調達を外国企業にも開放して貿易全体を活発化することを狙い、1979年に初めて政府調達協定が締結された。当初は国の物品調達だけが対象だったが、94年に成立した現行協定は建設などのサービス、地方自治体や政府系機関の調達も対象に入った。
日経社説
米中が布石打つ電気自動車
電気自動車の開発競争が激しくなってきた。年末に発売する日産自動車に続き、トヨタ自動車やホンダも2012年の発売を目指して開発を進めていると発表した。
電気自動車は走行中に二酸化炭素(CO2)を出さない究極の環境技術の1つだ。だが燃料にあたる電池の値段がまだ高く、ガソリン車に比べ走行距離が短い。トヨタもホンダも「当面は電気自動車の前にガソリンと電池の併用で走るハイブリッド車の時代が続く」と考えていた。
それがここにきて開発を急ぎ出したのは、2つの理由からである。
1つは米国だ。オバマ政権は12年から従来より大幅に厳しい燃費規制を導入する。自動車メーカーは毎年5%ずつ燃費を改善しCO2排出量を減らす必要がある。できなければ罰金が科されてしまう。
燃費をよくする切り札がハイブリッド車や電気自動車だが、特に電気自動車は効果的であり、多く売ればそれだけガソリン車も売っていいことになる。米国での成長は電気自動車がカギを握り始めたと言える。
2つめは中国だ。09年末に発表した「国家重点省エネルギー技術目録」では15年にも電気自動車の生産台数を全体の10%に増やす計画を掲げた。1台6万元(約77万円)を上限とする補助金制度も設けた。
中国は自動車普及の加速で09年に米国を抜き世界最大のエネルギー消費国になった。自動車の保有台数も20年に1億6000万台と現在の3倍強に達し、石油が大幅に不足する事態が予想されている。つなぎ役とされるハイブリッド車を飛び越え、一気に電気自動車に移行しようと中国政府は考える。
大きな変革期だ。特に中国は世界最大の自動車市場に成長し、変化のうねりが世界全体に影響を及ぼす。日本企業には好機となる半面、乗り遅れたら世界での存在感を低下させる懸念もあるだろう。
みずほコーポレート銀行によれば、中国では近く、100万円前後の廉価な電気自動車が数車種登場する見込みだ。変わり目をとらえ主導権を奪いたいのが中国だ。日本のメーカーはそうした思惑も踏まえ、中国などの企業に負けない商品作りをいち早く進める必要がある。