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ゲームソフト開発短縮 カプコンやバンダイナムコ
ゲームソフト各社は人気ソフトの開発期間を短縮する。カプコンは外部委託を積極化し、新作を投入するまでの期間を従来の4年程度から1~2年早める。バンダイナムコゲームスは高機能携帯電話(スマートフォン)向けに人材を集中して数カ月での開発を可能にするなど柔軟な体制に切り替えた。投入サイクルを縮めて業績の変動を抑え、携帯など多様な端末の登場への対応も急ぐ。
カプコンは「バイオハザード」など人気作品の新作を従来の年2本程度から3~4本に増やす。同社が抱える家庭用ゲームの開発要員は約900人。大型作品の開発には100人以上が必要になるため、年間の開発案件が30~40本に達する現状では、迅速な新作投入が難しい。北米や欧州を中心に外部企業を活用して開発速度を上げる。
カプコンの2010年3月期の連結売上高は前の期比27%減の668億円、純利益は73%減の21億円となった。人気ソフトの端境期にあたっていたことが主因だという。ソフトの投入を増やして収益を安定させる。
携帯端末向けなど新たな市場の開拓も進める。8月には交流サイト(SNS)大手ディー・エヌ・エーの「モバゲータウン」向けに作品を投入し、ソーシャルゲームに参入する。今春には米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」にバイオハザードの配信を始めている。
バンダイナムコゲームスは同じタイトルのソフトでも据え置き型や携帯型など使う端末によって分かれていた開発、販売などの部隊を統合した。例えば、スマートフォン向けに人員を集中し、家庭用ゲーム機向けの場合で2~3年の開発期間を数カ月に短縮することが可能になるという。
コーエーテクモゲームスも携帯端末部門とパソコンなどのオンライン部門の開発部隊を統合するなどし、機動的な開発につなげている。
天満屋、広島八丁堀店に大型書店 今秋「丸善&ジュンク堂」
天満屋(岡山市、伊原木隆太社長)は広島八丁堀店(広島市)の7~8階フロアを改装し10月9日、「丸善&ジュンク堂書店」を開設する。大日本印刷傘下のジュンク堂書店(神戸市)と丸善が共同展開する新ブランドの店舗で、蔵書数120万冊と広島県下では最大規模の店舗になる。八丁堀周辺では唯一の大型書店となり、百貨店の集客力を高める。
店舗面積は約4000平方メートルで、一般書のほか、豊富な専門書をそろえる。運営はジュンク堂書店が担う。7階には「タリーズコーヒー」も新たに出店、午後10時まで営業し、利便性を高める。投資額は約3億円。
改装に伴い婦人衣料品売り場は縮小した。今後は書店と食品や衣料品など他の売り場と連携した販売促進イベントも展開する計画だ。
日産、メキシコで低価格車生産 年30万台
北・中南米向け
日産自動車はメキシコで低価格の新型小型車3車種を年間30万台規模で生産する。2011年初めから小型車「マーチ(海外名マイクラ)」を生産するのを皮切りに、13年までにセダン、多目的車(MPV)を追加する。北米地域や成長が続く中南米諸国にも供給し、メキシコを北・中南米の輸出拠点に位置付ける。新型車の生産に伴う製造設備の入れ替えなどで6億ドル(約520億円)を投資する。
新型3車種の生産は、小型車「ティーダ」など主に4車種を製造している北部のアグアスカリエンテス工場を中心に手がける予定。ピックアップトラックなど3車種を主体とする南部のクエルナバカ工場でも生産を検討する。両工場の年間生産能力はそれぞれ約35万台と約25万台だが、設備入れ替えの投資後も当面は生産能力を大きく変えない見通しで、製造する車種の入れ替えも視野に入れているとみられる。
新たに生産する3車種はコスト競争力の高い新型車台「Vプラットホーム」を採用した戦略車。ハッチバック車の「マーチ」の価格は1万ドル(約90万円)前後で調整する。マーチはタイや日本、インドですでに販売しており受注も好調。メキシコでもセダン、ミニバンと品ぞろえを広げ、多様な市場ニーズに応える。
日産はメキシコを南北アメリカ各国向けの供給拠点に位置付け、ブラジルをはじめ新興国市場で拡大する需要に対応。日本からの輸出に依存しない体制を築く。年間30万台を生産する予定の新型3車種は全体の2割をメキシコ市場で販売し、残りの8割を中南米や北米に輸出する。米国やチリなど周辺国との自由貿易協定を活用してコスト競争力も高める。
これまで中大型車が中心だった米国でも、燃費規制の強化で今後は低燃費小型車の需要が拡大する見通しだ。経済成長で所得水準の向上が見込める中南米では初めて新車を購入する消費者向けの「エントリーカー」として低価格小型車に関心が集まっている。
北・中南米で日産はメキシコのほか米国に2つの完成車工場を持つ。ブラジルでは仏ルノーの工場でピックアップトラックなどを生産している。ただ、米国工場は北米市場に向けた中大型車の生産が主体。ブラジルは生産量が限られている。まずは小型車の生産ノウハウがある既存のメキシコ工場を北・中南米の小型車供給拠点に育てる。
共通車台、世界で導入 小型車、効率生産で先行
日産、メキシコなどに
日産自動車は新興国向けの小型車を中心に、新たに開発した車台「Vプラットホーム」を世界各地で導入する計画を進めている。メキシコのほか、中国、インドなど日本以外の複数国の工場に導入する。この車台は現地で部品を調達することを前提に設計しており、車両の製造コストを約3割下げられる。競争力のある共通車台を素早く世界各地に展開し、需要が膨らむ小型車の分野で先行する。
日産は量販車種「マーチ(海外名マイクラ)」の生産を日本からタイに移管。タイ製マーチを日本に輸入し、今月から販売している。現地調達する部品の仕様にあわせた車台を独自開発して生産コストを下げ、周辺国に大量輸出する戦略に転換した。円高や原材料高騰などで「マーチクラスの小型車を日本で生産・輸出していては採算が合わない」(幹部)ためだ。
2013年までに共通車台を使い生産する台数を世界合計で100万台規模に増やす。中国は主に自国向けとみられるが、タイは日本やオセアニア諸国、インドは欧州や中近東・アフリカなどに輸出する。価格は1万ドル(約90万円)前後を軸に、市場動向や装備により各国ごとに定める。
部品の現地調達率を9割以上に高めて調達コストを削減。輸出を含む大量生産で製造コストも抑える。
自動車各社は新興国向けの小型車開発を急いでいる。「利幅の小さい小型車でいかに稼げるか」(日産幹部)がカギを握るため、各社とも現地生産を加速させている。
NECライティング、伊那工場閉鎖 140人の雇用維持難しく
NECの照明子会社、NECライティング(東京・品川)は26日、11月末で伊那工場(伊那市)を閉鎖すると発表した。同工場には従業員が140人いる。今後は他のNECグループ企業への配置転換などを検討するが、地元採用の従業員が多数を占め、雇用維持は難しい状況だ。
伊那工場は液晶テレビのバックライト光源に使う蛍光ランプを製造するが、パネル製造拠点が中国に集中しているため現地生産の必要性が高まっていた。NECグループへの配置転換や早期希望退職者を募集し、外部企業への再就職を支援する。
伊那工場は長野日本電気(NEC長野、伊那市)の敷地内にあり2005年から操業。NEC長野の生産規模縮小に伴い、08年に85人がNECライティングに移籍した。このためNEC長野では「従業員を受け入れる余裕はない」(経営企画部)としている。
NEC長野とNECライティング伊那工場は会議室や食堂を共有するなどの関係はあるが、閉鎖に伴う業務上の影響はないという。
スパンション日本法人、年内にも会社清算へ
経営再建中の半導体メーカー、スパンション・ジャパン(川崎市)は、2010年内にも会社を清算する方針を固めた。米半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)への工場売却が15日に決定。米スパンションからの受託生産事業や残りの債務弁済をTIが引き継ぐことになったためだ。
スパンション・ジャパンは09年2月の経営破綻後、親会社で同時期に破綻した米スパンションと経営や財務を分離。独立系の受託生産会社(ファウンドリー)となり生き残りを目指した。
しかし破綻時に約741億円もあった債務が重荷となった。確実な債務弁済を裏付ける顧客の獲得に失敗。自社工場も売却が決まり、清算を余儀なくされる見通しだ。
TIは日本に新たな生産子会社を設立し、買収する福島県会津若松市の2工場の運営母体とする。TIは会津若松工場の従業員500人の雇用を維持する意向を示している。直径300ミリメートルのシリコンウエハーを使う最先端の生産設備は、TI米国工場の能力増強に活用したり、台湾企業に売却したりする方針。
スパンション・ジャパンが米スパンションなどから長期契約していた受託生産もTIは承継。残りの契約期間中は、小容量データを保持するNOR型フラッシュメモリーを供給する。契約満了後は自動車向けが中心のアナログ半導体工場に転用する。
スパンション・ジャパンは足元で300億円程度とみられる債務の弁済に工場売却代金を充てる。弁済残額はTIが引き受ける。
スパンション・ジャパンの会社清算の背景には、世界の半導体産業の潮流変化もある。金融危機後、国内外の半導体メーカーは固定費負担を減らすため、自前の生産能力を減らす一方で、外部委託への依存度を高めた。
その結果、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)、米国のグローバルファウンドリーズなど、ファウンドリー業界で巨大企業による寡占化が進んだ。スパンション・ジャパンが、低コスト生産を売り物にしたこれら企業に太刀打ちするのは難しく、顧客を確保できなかった。
バイク てこ入れ加速…国内販売、ピーク時の1割
二輪車大手各社が、若者の「バイク離れ」などで低迷する国内販売のてこ入れを進める。ホンダは、国内で販売する二輪車約45車種すべての販売価格を、次期改良時から1~3割程度引き下げるほか、ヤマハ発動機の販売店はレンタルサービスで利用者のすそ野を広げる。二輪車の国内販売台数は景気低迷や都市部の駐車場不足などから、ピーク時の10分の1まで激減しているため、あの手この手で顧客を開拓する。
ホンダは今後3年間で順次、全面改良や一部改良に合わせて販売価格を引き下げる。現在販売中のモデルの価格は維持する。ホンダによると、排ガス規制が強化された06~08年に、燃費性能を高める電子制御式の燃料噴射装置を搭載するなどし、コスト増加分の1~2割を製品価格に転嫁した。低価格の海外製部品の割合を高めるなどし、約10年前の水準まで引き下げたい考えだ。業務用の配送などにも使われる「スーパーカブ50」(排気量50CC)の最廉価モデルは現行20万円強だが、次期モデルは2割程度値下げして16万円前後になる見込みだ。
値下げで収益が圧迫されないよう、先進国でも売れるやや付加価値の高いモデルを生産コストの低い新興国で生産し、世界戦略車と位置付けて国内に逆輸入することも進める。
第1弾として3月末に発売した125CCスクーター「PCX」はタイで生産。信号待ちなどの停車時にエンジンを止めるアイドリング・ストップ機能を同クラスで初めて搭載したにもかかわらず、30万円を切る価格に設定。国内で生産すると40万円以上になると見られ、「市場縮小に歯止めをかけるには価格でアプローチするしかない」(ホンダ幹部)と判断した。伊東孝紳社長も「今後もアジア発の世界戦略二輪車を増やす」と話す。
一方、ヤマハ発動機の東京都内などの12の販売店では7月から順次、二輪車を時間貸しするレンタルサービスを始めている。排気量50CCから1900CC前後の海外専用モデルまでが対象になり、各店舗がそれぞれ5車種以上を用意する。50CCを4時間3100円で貸し出すなど、手軽に二輪車を体験してもらい、顧客のすそ野を広げる考えだ。
ヤマハ発の柳弘之社長も「引き下げというより価格の適正化はありうるが、どのぐらいの線にするかは今後検討する」と述べ、ホンダ同様、値下げによる顧客へのアプローチが不可欠と見る。
スズキは、世界で98まで膨らんだモデル数を54まで絞り込み、部品の設計変更などの際にかかるコストや時間を削減するほか、売れ筋車種を積極的に拡販する。
日本自動車工業会によると、国内の二輪車市場は09年に前年比27.1%減の38万777台で、ピークだった1982年(約329万台)の1割強の水準まで落ち込んでおり、立て直しが急務となっている。
中国、鉄鋼再編を加速 メーカーを4分の1に
【上海=下原口徹】中国政府は鉄鋼業界の再編・淘汰に乗り出す。約800社ある鉄鋼メーカーを4分の1の200社まで削減する。企業規模、高炉の生産能力、環境対応能力などで鉄鋼会社の存続条件を打ち出し、基準に満たない企業を淘汰する。再編を促す新たな通達を近く出す。
中国の鉄鋼業界は生産能力と在庫の「2つの過剰」問題に直面している。鉄鋼メーカーの業績が悪化するなか、ようやく再編が本格化しそうだ。
鉄鋼業界の監督官庁である工業情報化省の陳燕海司長が「連携・再編や立ち遅れた設備廃棄などにより鉄鋼企業数を減らす。800社あるメーカーの再編・淘汰を進め、200社程度にするのを第一目標とする」と語った。同省は鉄鋼メーカーの存続条件として具体的な環境、省エネ基準を盛り込んだガイドラインを定めた。
それによると、鉄鋼メーカーの再編・淘汰を促すため、1社当たりの最低年産規模を100万トン以上、特殊鋼メーカーでは30万トン以上と規定。省エネ面では高炉での生産1トン当たりのエネルギー消費量を標準石炭換算で446キロ以内に抑えるよう要求。環境面でも鉄鋼生産1トン当たりの排出量を汚水は2立方メートル以下、粉じんは1000グラム以下に抑えるよう求めた。
陳司長は「我が国には世界に誇る5000立方メートルを超える巨大な高炉がある一方で、300立方メートルに満たない小さな高炉も淘汰されないまま残っている」と指摘。近く鉄鋼企業の合併、再編を奨励する「鉄鋼企業連携再編加速指導意見」という通達を公表し、具体的な行程表を打ち出す。
中国の鉄鋼メーカー上位5社の粗鋼生産量の合計は全体の30%にも満たない。新たな通達では鉄鋼業界の国際競争力を高めるため2011年までに宝鋼集団、武漢鋼鉄集団など年産能力5000万トン以上で国際的な競争力の高い超大型鉄鋼メーカーを数社、年産能力1000万~3000万トンの大型鉄鋼メーカー数社を育成する計画を実行するよう求める見通し。同一地域内の同業他社との統合加速や中小メーカーの再編に言及する。
中国鋼鉄工業協会によると、中国の鉄鋼各社は価格低下と需要鈍化を受けて赤字転落の危機にある。中国の鉄鋼現物相場は4月後半に年初来高値に達した後、約15%値を下げた。宝鋼集団と武鋼集団は8月に鉄鋼製品価格を一部引き下げる方針。
鋼材在庫も6月末で1600万トンに達し、高止まりしたまま。価格に頭打ちの兆しが出ている不動産や、自動車など鉄鋼の主要産業で需要が減退し、多くの鉄鋼メーカーが減産を余儀なくされている。鉄鋼輸出も今年下半期に大幅に落ち込む可能性が高い。中国の鉄鋼企業の経営基盤が小さいことが、高騰する鉄鉱石の仕入れ交渉で中国が価格決定権を握れない要因のひとつとの見方もあり、再編機運が急速に高まっている。
パナソニック、省エネ家電の機種5割増 消費電力を半減
パナソニックは消費電力を最大で約5割減らせるエアコンなど白物家電の省エネ機種を大幅に増やす。独自のセンサー機能で室温などを検知して電力消費を抑えるタイプで、国内では今夏の商戦で昨年度末比5割増の68機種を投入する。欧州や中国でも順次、発売する計画だ。消費者の関心が強い省エネ性能を強調し、価格競争と一線を画すことをめざす。
拡充する機種には「エコナビ」と呼ぶ独自の省エネ機能を採用している。エアコンではセンサーで気温や間取り、人の動きなどを感知して運転を自動制御し、冷房時の消費電力を最大50%減らせる。価格は20万円台のエアコン上位機種の場合で、数万円高くなる。
今夏はエアコンで昨年度末より5割多い34機種、洗濯機と冷蔵庫を加えた白物家電の主要3品目では4割増の47機種へ品ぞろえを増やす。主要3品目の全機種に占めるエコナビの割合は10ポイント程度増え、約55%になる。高効率給湯器「エコキュート」などでも21機種で同機能を搭載する。
昨春に白物家電に本格参入した欧州での販売も検討。中国の富裕層向けにも投入する計画だ。
家電エコポイント制度の導入後、消費者は価格が高くても年間電力料金を抑えられる省エネ家電を選ぶ傾向が強まっている。高付加価値の白物家電の販売増が寄与し、同社の2010年4~6月期の営業損益は黒字(前年同期は201億円の赤字)に転換する見通し。
白物家電の強化に向けてアフターサービスも充実させる。顧客が修理に出してから最短3日で修理し、返却する。
日経社説
太陽光発電に偏っては困る 太陽光や風力など自然エネルギーでつくった電気の全量を電力会社が買い取る新制度について、経済産業省が案を示した。新しい環境産業を育て、温暖化ガスの大幅削減へ踏み出すのに重要な仕組みだが、太陽光発電の後押しに偏っていないか。
この制度では、電力会社が支払った分は家庭や企業の電気料金に上乗せされる。試算では開始10年目で標準家庭の電気代は月150~200円増す。家庭や企業が不公平感を抱かないように負担増への理解をどう得るか。風力やバイオ発電などもバランスよく後押しするよう、きめ細かな制度設計が必要だ。
昨年11月、家庭の太陽光発電で余った分を1キロワット時48円で買い取る仕組みが始まった。新制度の買い取り価格はこれと同じ程度で、家庭用では収支トントン。一方で事業目的でつくる電気も買い取りの対象に加える。大規模に発電すればコストが安いので利益が見込め、太陽光発電会社の参入を促す効果がある。
家庭の太陽光発電は全部を買い取ると電力会社の支払いが膨らみ、電気料金が大幅に上がる恐れがある。それを防ぐため今と同じ余った電気だけを対象としたのは妥当だろう。
不可解なのは、風力やバイオ燃料、小規模な水力発電などは同15~20円の一律の値で買い取るとした点だ。バイオ発電はコストが同数十円とまだ高く、風力などと同じ条件では不利だ。コストに応じた値で買い取り投資資金を回収しやすくするのが制度の狙いとすれば、発電方式ごとに価格を決めるのが筋である。
電気料金への上乗せでも細心の制度設計が欠かせない。電力を多く使う電炉業界などには軽減措置があってもよい。家庭向けでも、低所得者層への配慮などが必要だろう。
太陽光パネルを取り付けた家庭への補助金は、新制度の導入後も続けるという。だが設置場所がないなどの理由で買えない人からは、購入者を優遇しすぎとの不満も出ている。当面は続けるにしても、いずれは縮小や廃止を考えるべきだ。
政府は2020年までに国内のエネルギー供給の1割を自然エネルギーで賄う目標を掲げる。この制度を上手に使って自然エネルギーの普及に弾みをつけてほしい。
ゲームソフト各社は人気ソフトの開発期間を短縮する。カプコンは外部委託を積極化し、新作を投入するまでの期間を従来の4年程度から1~2年早める。バンダイナムコゲームスは高機能携帯電話(スマートフォン)向けに人材を集中して数カ月での開発を可能にするなど柔軟な体制に切り替えた。投入サイクルを縮めて業績の変動を抑え、携帯など多様な端末の登場への対応も急ぐ。
カプコンは「バイオハザード」など人気作品の新作を従来の年2本程度から3~4本に増やす。同社が抱える家庭用ゲームの開発要員は約900人。大型作品の開発には100人以上が必要になるため、年間の開発案件が30~40本に達する現状では、迅速な新作投入が難しい。北米や欧州を中心に外部企業を活用して開発速度を上げる。
カプコンの2010年3月期の連結売上高は前の期比27%減の668億円、純利益は73%減の21億円となった。人気ソフトの端境期にあたっていたことが主因だという。ソフトの投入を増やして収益を安定させる。
携帯端末向けなど新たな市場の開拓も進める。8月には交流サイト(SNS)大手ディー・エヌ・エーの「モバゲータウン」向けに作品を投入し、ソーシャルゲームに参入する。今春には米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」にバイオハザードの配信を始めている。
バンダイナムコゲームスは同じタイトルのソフトでも据え置き型や携帯型など使う端末によって分かれていた開発、販売などの部隊を統合した。例えば、スマートフォン向けに人員を集中し、家庭用ゲーム機向けの場合で2~3年の開発期間を数カ月に短縮することが可能になるという。
コーエーテクモゲームスも携帯端末部門とパソコンなどのオンライン部門の開発部隊を統合するなどし、機動的な開発につなげている。
天満屋、広島八丁堀店に大型書店 今秋「丸善&ジュンク堂」
天満屋(岡山市、伊原木隆太社長)は広島八丁堀店(広島市)の7~8階フロアを改装し10月9日、「丸善&ジュンク堂書店」を開設する。大日本印刷傘下のジュンク堂書店(神戸市)と丸善が共同展開する新ブランドの店舗で、蔵書数120万冊と広島県下では最大規模の店舗になる。八丁堀周辺では唯一の大型書店となり、百貨店の集客力を高める。
店舗面積は約4000平方メートルで、一般書のほか、豊富な専門書をそろえる。運営はジュンク堂書店が担う。7階には「タリーズコーヒー」も新たに出店、午後10時まで営業し、利便性を高める。投資額は約3億円。
改装に伴い婦人衣料品売り場は縮小した。今後は書店と食品や衣料品など他の売り場と連携した販売促進イベントも展開する計画だ。
日産、メキシコで低価格車生産 年30万台
北・中南米向け
日産自動車はメキシコで低価格の新型小型車3車種を年間30万台規模で生産する。2011年初めから小型車「マーチ(海外名マイクラ)」を生産するのを皮切りに、13年までにセダン、多目的車(MPV)を追加する。北米地域や成長が続く中南米諸国にも供給し、メキシコを北・中南米の輸出拠点に位置付ける。新型車の生産に伴う製造設備の入れ替えなどで6億ドル(約520億円)を投資する。
新型3車種の生産は、小型車「ティーダ」など主に4車種を製造している北部のアグアスカリエンテス工場を中心に手がける予定。ピックアップトラックなど3車種を主体とする南部のクエルナバカ工場でも生産を検討する。両工場の年間生産能力はそれぞれ約35万台と約25万台だが、設備入れ替えの投資後も当面は生産能力を大きく変えない見通しで、製造する車種の入れ替えも視野に入れているとみられる。
新たに生産する3車種はコスト競争力の高い新型車台「Vプラットホーム」を採用した戦略車。ハッチバック車の「マーチ」の価格は1万ドル(約90万円)前後で調整する。マーチはタイや日本、インドですでに販売しており受注も好調。メキシコでもセダン、ミニバンと品ぞろえを広げ、多様な市場ニーズに応える。
日産はメキシコを南北アメリカ各国向けの供給拠点に位置付け、ブラジルをはじめ新興国市場で拡大する需要に対応。日本からの輸出に依存しない体制を築く。年間30万台を生産する予定の新型3車種は全体の2割をメキシコ市場で販売し、残りの8割を中南米や北米に輸出する。米国やチリなど周辺国との自由貿易協定を活用してコスト競争力も高める。
これまで中大型車が中心だった米国でも、燃費規制の強化で今後は低燃費小型車の需要が拡大する見通しだ。経済成長で所得水準の向上が見込める中南米では初めて新車を購入する消費者向けの「エントリーカー」として低価格小型車に関心が集まっている。
北・中南米で日産はメキシコのほか米国に2つの完成車工場を持つ。ブラジルでは仏ルノーの工場でピックアップトラックなどを生産している。ただ、米国工場は北米市場に向けた中大型車の生産が主体。ブラジルは生産量が限られている。まずは小型車の生産ノウハウがある既存のメキシコ工場を北・中南米の小型車供給拠点に育てる。
共通車台、世界で導入 小型車、効率生産で先行
日産、メキシコなどに
日産自動車は新興国向けの小型車を中心に、新たに開発した車台「Vプラットホーム」を世界各地で導入する計画を進めている。メキシコのほか、中国、インドなど日本以外の複数国の工場に導入する。この車台は現地で部品を調達することを前提に設計しており、車両の製造コストを約3割下げられる。競争力のある共通車台を素早く世界各地に展開し、需要が膨らむ小型車の分野で先行する。
日産は量販車種「マーチ(海外名マイクラ)」の生産を日本からタイに移管。タイ製マーチを日本に輸入し、今月から販売している。現地調達する部品の仕様にあわせた車台を独自開発して生産コストを下げ、周辺国に大量輸出する戦略に転換した。円高や原材料高騰などで「マーチクラスの小型車を日本で生産・輸出していては採算が合わない」(幹部)ためだ。
2013年までに共通車台を使い生産する台数を世界合計で100万台規模に増やす。中国は主に自国向けとみられるが、タイは日本やオセアニア諸国、インドは欧州や中近東・アフリカなどに輸出する。価格は1万ドル(約90万円)前後を軸に、市場動向や装備により各国ごとに定める。
部品の現地調達率を9割以上に高めて調達コストを削減。輸出を含む大量生産で製造コストも抑える。
自動車各社は新興国向けの小型車開発を急いでいる。「利幅の小さい小型車でいかに稼げるか」(日産幹部)がカギを握るため、各社とも現地生産を加速させている。
NECライティング、伊那工場閉鎖 140人の雇用維持難しく
NECの照明子会社、NECライティング(東京・品川)は26日、11月末で伊那工場(伊那市)を閉鎖すると発表した。同工場には従業員が140人いる。今後は他のNECグループ企業への配置転換などを検討するが、地元採用の従業員が多数を占め、雇用維持は難しい状況だ。
伊那工場は液晶テレビのバックライト光源に使う蛍光ランプを製造するが、パネル製造拠点が中国に集中しているため現地生産の必要性が高まっていた。NECグループへの配置転換や早期希望退職者を募集し、外部企業への再就職を支援する。
伊那工場は長野日本電気(NEC長野、伊那市)の敷地内にあり2005年から操業。NEC長野の生産規模縮小に伴い、08年に85人がNECライティングに移籍した。このためNEC長野では「従業員を受け入れる余裕はない」(経営企画部)としている。
NEC長野とNECライティング伊那工場は会議室や食堂を共有するなどの関係はあるが、閉鎖に伴う業務上の影響はないという。
スパンション日本法人、年内にも会社清算へ
経営再建中の半導体メーカー、スパンション・ジャパン(川崎市)は、2010年内にも会社を清算する方針を固めた。米半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)への工場売却が15日に決定。米スパンションからの受託生産事業や残りの債務弁済をTIが引き継ぐことになったためだ。
スパンション・ジャパンは09年2月の経営破綻後、親会社で同時期に破綻した米スパンションと経営や財務を分離。独立系の受託生産会社(ファウンドリー)となり生き残りを目指した。
しかし破綻時に約741億円もあった債務が重荷となった。確実な債務弁済を裏付ける顧客の獲得に失敗。自社工場も売却が決まり、清算を余儀なくされる見通しだ。
TIは日本に新たな生産子会社を設立し、買収する福島県会津若松市の2工場の運営母体とする。TIは会津若松工場の従業員500人の雇用を維持する意向を示している。直径300ミリメートルのシリコンウエハーを使う最先端の生産設備は、TI米国工場の能力増強に活用したり、台湾企業に売却したりする方針。
スパンション・ジャパンが米スパンションなどから長期契約していた受託生産もTIは承継。残りの契約期間中は、小容量データを保持するNOR型フラッシュメモリーを供給する。契約満了後は自動車向けが中心のアナログ半導体工場に転用する。
スパンション・ジャパンは足元で300億円程度とみられる債務の弁済に工場売却代金を充てる。弁済残額はTIが引き受ける。
スパンション・ジャパンの会社清算の背景には、世界の半導体産業の潮流変化もある。金融危機後、国内外の半導体メーカーは固定費負担を減らすため、自前の生産能力を減らす一方で、外部委託への依存度を高めた。
その結果、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)、米国のグローバルファウンドリーズなど、ファウンドリー業界で巨大企業による寡占化が進んだ。スパンション・ジャパンが、低コスト生産を売り物にしたこれら企業に太刀打ちするのは難しく、顧客を確保できなかった。
バイク てこ入れ加速…国内販売、ピーク時の1割
二輪車大手各社が、若者の「バイク離れ」などで低迷する国内販売のてこ入れを進める。ホンダは、国内で販売する二輪車約45車種すべての販売価格を、次期改良時から1~3割程度引き下げるほか、ヤマハ発動機の販売店はレンタルサービスで利用者のすそ野を広げる。二輪車の国内販売台数は景気低迷や都市部の駐車場不足などから、ピーク時の10分の1まで激減しているため、あの手この手で顧客を開拓する。
ホンダは今後3年間で順次、全面改良や一部改良に合わせて販売価格を引き下げる。現在販売中のモデルの価格は維持する。ホンダによると、排ガス規制が強化された06~08年に、燃費性能を高める電子制御式の燃料噴射装置を搭載するなどし、コスト増加分の1~2割を製品価格に転嫁した。低価格の海外製部品の割合を高めるなどし、約10年前の水準まで引き下げたい考えだ。業務用の配送などにも使われる「スーパーカブ50」(排気量50CC)の最廉価モデルは現行20万円強だが、次期モデルは2割程度値下げして16万円前後になる見込みだ。
値下げで収益が圧迫されないよう、先進国でも売れるやや付加価値の高いモデルを生産コストの低い新興国で生産し、世界戦略車と位置付けて国内に逆輸入することも進める。
第1弾として3月末に発売した125CCスクーター「PCX」はタイで生産。信号待ちなどの停車時にエンジンを止めるアイドリング・ストップ機能を同クラスで初めて搭載したにもかかわらず、30万円を切る価格に設定。国内で生産すると40万円以上になると見られ、「市場縮小に歯止めをかけるには価格でアプローチするしかない」(ホンダ幹部)と判断した。伊東孝紳社長も「今後もアジア発の世界戦略二輪車を増やす」と話す。
一方、ヤマハ発動機の東京都内などの12の販売店では7月から順次、二輪車を時間貸しするレンタルサービスを始めている。排気量50CCから1900CC前後の海外専用モデルまでが対象になり、各店舗がそれぞれ5車種以上を用意する。50CCを4時間3100円で貸し出すなど、手軽に二輪車を体験してもらい、顧客のすそ野を広げる考えだ。
ヤマハ発の柳弘之社長も「引き下げというより価格の適正化はありうるが、どのぐらいの線にするかは今後検討する」と述べ、ホンダ同様、値下げによる顧客へのアプローチが不可欠と見る。
スズキは、世界で98まで膨らんだモデル数を54まで絞り込み、部品の設計変更などの際にかかるコストや時間を削減するほか、売れ筋車種を積極的に拡販する。
日本自動車工業会によると、国内の二輪車市場は09年に前年比27.1%減の38万777台で、ピークだった1982年(約329万台)の1割強の水準まで落ち込んでおり、立て直しが急務となっている。
中国、鉄鋼再編を加速 メーカーを4分の1に
【上海=下原口徹】中国政府は鉄鋼業界の再編・淘汰に乗り出す。約800社ある鉄鋼メーカーを4分の1の200社まで削減する。企業規模、高炉の生産能力、環境対応能力などで鉄鋼会社の存続条件を打ち出し、基準に満たない企業を淘汰する。再編を促す新たな通達を近く出す。
中国の鉄鋼業界は生産能力と在庫の「2つの過剰」問題に直面している。鉄鋼メーカーの業績が悪化するなか、ようやく再編が本格化しそうだ。
鉄鋼業界の監督官庁である工業情報化省の陳燕海司長が「連携・再編や立ち遅れた設備廃棄などにより鉄鋼企業数を減らす。800社あるメーカーの再編・淘汰を進め、200社程度にするのを第一目標とする」と語った。同省は鉄鋼メーカーの存続条件として具体的な環境、省エネ基準を盛り込んだガイドラインを定めた。
それによると、鉄鋼メーカーの再編・淘汰を促すため、1社当たりの最低年産規模を100万トン以上、特殊鋼メーカーでは30万トン以上と規定。省エネ面では高炉での生産1トン当たりのエネルギー消費量を標準石炭換算で446キロ以内に抑えるよう要求。環境面でも鉄鋼生産1トン当たりの排出量を汚水は2立方メートル以下、粉じんは1000グラム以下に抑えるよう求めた。
陳司長は「我が国には世界に誇る5000立方メートルを超える巨大な高炉がある一方で、300立方メートルに満たない小さな高炉も淘汰されないまま残っている」と指摘。近く鉄鋼企業の合併、再編を奨励する「鉄鋼企業連携再編加速指導意見」という通達を公表し、具体的な行程表を打ち出す。
中国の鉄鋼メーカー上位5社の粗鋼生産量の合計は全体の30%にも満たない。新たな通達では鉄鋼業界の国際競争力を高めるため2011年までに宝鋼集団、武漢鋼鉄集団など年産能力5000万トン以上で国際的な競争力の高い超大型鉄鋼メーカーを数社、年産能力1000万~3000万トンの大型鉄鋼メーカー数社を育成する計画を実行するよう求める見通し。同一地域内の同業他社との統合加速や中小メーカーの再編に言及する。
中国鋼鉄工業協会によると、中国の鉄鋼各社は価格低下と需要鈍化を受けて赤字転落の危機にある。中国の鉄鋼現物相場は4月後半に年初来高値に達した後、約15%値を下げた。宝鋼集団と武鋼集団は8月に鉄鋼製品価格を一部引き下げる方針。
鋼材在庫も6月末で1600万トンに達し、高止まりしたまま。価格に頭打ちの兆しが出ている不動産や、自動車など鉄鋼の主要産業で需要が減退し、多くの鉄鋼メーカーが減産を余儀なくされている。鉄鋼輸出も今年下半期に大幅に落ち込む可能性が高い。中国の鉄鋼企業の経営基盤が小さいことが、高騰する鉄鉱石の仕入れ交渉で中国が価格決定権を握れない要因のひとつとの見方もあり、再編機運が急速に高まっている。
パナソニック、省エネ家電の機種5割増 消費電力を半減
パナソニックは消費電力を最大で約5割減らせるエアコンなど白物家電の省エネ機種を大幅に増やす。独自のセンサー機能で室温などを検知して電力消費を抑えるタイプで、国内では今夏の商戦で昨年度末比5割増の68機種を投入する。欧州や中国でも順次、発売する計画だ。消費者の関心が強い省エネ性能を強調し、価格競争と一線を画すことをめざす。
拡充する機種には「エコナビ」と呼ぶ独自の省エネ機能を採用している。エアコンではセンサーで気温や間取り、人の動きなどを感知して運転を自動制御し、冷房時の消費電力を最大50%減らせる。価格は20万円台のエアコン上位機種の場合で、数万円高くなる。
今夏はエアコンで昨年度末より5割多い34機種、洗濯機と冷蔵庫を加えた白物家電の主要3品目では4割増の47機種へ品ぞろえを増やす。主要3品目の全機種に占めるエコナビの割合は10ポイント程度増え、約55%になる。高効率給湯器「エコキュート」などでも21機種で同機能を搭載する。
昨春に白物家電に本格参入した欧州での販売も検討。中国の富裕層向けにも投入する計画だ。
家電エコポイント制度の導入後、消費者は価格が高くても年間電力料金を抑えられる省エネ家電を選ぶ傾向が強まっている。高付加価値の白物家電の販売増が寄与し、同社の2010年4~6月期の営業損益は黒字(前年同期は201億円の赤字)に転換する見通し。
白物家電の強化に向けてアフターサービスも充実させる。顧客が修理に出してから最短3日で修理し、返却する。
日経社説
太陽光発電に偏っては困る 太陽光や風力など自然エネルギーでつくった電気の全量を電力会社が買い取る新制度について、経済産業省が案を示した。新しい環境産業を育て、温暖化ガスの大幅削減へ踏み出すのに重要な仕組みだが、太陽光発電の後押しに偏っていないか。
この制度では、電力会社が支払った分は家庭や企業の電気料金に上乗せされる。試算では開始10年目で標準家庭の電気代は月150~200円増す。家庭や企業が不公平感を抱かないように負担増への理解をどう得るか。風力やバイオ発電などもバランスよく後押しするよう、きめ細かな制度設計が必要だ。
昨年11月、家庭の太陽光発電で余った分を1キロワット時48円で買い取る仕組みが始まった。新制度の買い取り価格はこれと同じ程度で、家庭用では収支トントン。一方で事業目的でつくる電気も買い取りの対象に加える。大規模に発電すればコストが安いので利益が見込め、太陽光発電会社の参入を促す効果がある。
家庭の太陽光発電は全部を買い取ると電力会社の支払いが膨らみ、電気料金が大幅に上がる恐れがある。それを防ぐため今と同じ余った電気だけを対象としたのは妥当だろう。
不可解なのは、風力やバイオ燃料、小規模な水力発電などは同15~20円の一律の値で買い取るとした点だ。バイオ発電はコストが同数十円とまだ高く、風力などと同じ条件では不利だ。コストに応じた値で買い取り投資資金を回収しやすくするのが制度の狙いとすれば、発電方式ごとに価格を決めるのが筋である。
電気料金への上乗せでも細心の制度設計が欠かせない。電力を多く使う電炉業界などには軽減措置があってもよい。家庭向けでも、低所得者層への配慮などが必要だろう。
太陽光パネルを取り付けた家庭への補助金は、新制度の導入後も続けるという。だが設置場所がないなどの理由で買えない人からは、購入者を優遇しすぎとの不満も出ている。当面は続けるにしても、いずれは縮小や廃止を考えるべきだ。
政府は2020年までに国内のエネルギー供給の1割を自然エネルギーで賄う目標を掲げる。この制度を上手に使って自然エネルギーの普及に弾みをつけてほしい。
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これからは「リアゲー」です――NHN Japan「Hangame ex 2010」で語られたこと
NHN Japanは7月26日、都内カンファレンス会場にて「Hangame ex 2010」を開催。ハンゲームにおいて現実とゲームを結び付ける「リアゲー」を展開することをはじめ、PC版やケータイ版「ハンゲ-ム」に続く、スマートフォン版の開設を発表した。この発表をもってハンゲームはオープンプラットフォームとし、コストダウンやAPIやオリジナルの開発ツールの提供を行い、独占タイトルについては高い利益配分をもって他メーカーの参入を呼び掛けた。
冒頭、NHN Japan代表取締役社長の森川亮氏は、NHN Japanが持つハンゲーム、ネイバージャパン、ライブドアについての事業内容を説明し、日本最大のクリエイター集団である強みを生かし、グループのシナジー効果でトップグループに食い込むべく、“リアルタイム”を重視するとの方針を発表した。ネイバージャパンに「トピック検索」があり、ライブドアには「ブログメディア」があるように、ハンゲームでは時間や場所、現象(天気)など“プレイヤーの今”を楽しさに変える「リアゲー」を展開すると明かした。
例えば、ケータイでもPCでも楽しめる育成ゲーム「不思議な生き物 ねんどん」では、天気と連動しており、プレイヤーのいる地域で雨が降ると成長がしやすくなるなどゲームに“今”を反映した。こういった機能が入ることにより、自然に天気を気にするようになるし、もしかしたら天候を気にして場所を移動する人もいるかもしれないと森川氏は語る。これで「リアルベネフィット」を提供できるのではないかと考えたのだ。なお、「ねんどん」と天気との連動は本日7月26日から実施されている。
また、新作「トライフルストーリー」(ケータイ及びパソコン版「ハンゲーム」と連動)は、場所(GPS)と時間に連動した機能を実装する予定のRPGだ(2010年9月リリース予定)。魔王軍(ケータイ)と勇者軍(PC)に分かれて戦う本作は、時間と場所と連動し、昼夜で軍勢が変わり、地域限定モンスターが出現する。
発表会ではほかにも、場所・天気・時間と連動した機能を搭載した新プラットフォーム「イマコレ」を紹介。ゲームを通じてプレイヤーが獲得するカードが、実際に使用できるクーポンとして配布され、企業プロモーションとして活用できる事例を報告した。PIZZA-LAとのコラボではトッピングのコレクションカードを集めることで割引クーポンを獲得でき、限定アバターや抽選でエビマヨうきわが当たるキャンペーンなども実施される。こちらも本日から開始している。
前述したとおり、これまでサービスを展開してきたPC版「ハンゲ-ム」、ケータイ版「ハンゲ.jp」に続く、新たなサービスとして、スマートフォン版「ハンゲーム」のオープンを発表した。また、「ハンゲ.jp」のサービス名称を「ハンゲーム」に変更し、すべてのサービスを「ハンゲーム」という共通ブランドに統合することも公開した。なお、スマートフォン版「ハンゲーム」は、Android OS版が本日午後1時30分より開設しており、iPhone版についても近日オープン予定とのこと。
さらに、PC・ケータイ・スマートフォン、すべてのハンゲームプラットフォームの外部開放も発表され、NHN Japanグループの総力をあげた圧倒的集客力と整備された開発環境、インフラ環境の提供など、参画企業がハンゲームにおいてコンテンツサービス展開を行う際に、積極的なサポートを行うプラットフォーム戦略を打ち出した。なお、パートナー登録の詳細などについては、本日オープンしたNHN Partners Centerに詳しい。
1つのIDでPC、ケータイ、スマートフォンのすべてを利用できるあらゆるプラットフォームは世界初の試み。気になるコンテンツの誘致については、ライブドアとの協業によりインフラサービスを低価格で提供(初月無料+月額1万円)したり、運営ノウハウが集約されたAPIの公開、オリジナル開発ツール「GameOVEN」の提供、ハンゲームの独占に限り売上の80%をシェアする利益配分やその他支援など、手厚いゲーム開発環境支援を表明している。発表会の段階では戦略的に協力関係にあるパートナーが、70社に及ぶと明かされている。NHN Japanの取るべき道は“共存共栄”であるとしている。今後は未定ながら今までのローカライズの実績を活かしたグローバル展開も視野に入っていると発表会を締めた。
発表会中盤には、スクウェア・エニックスのエグゼクティブプロデューサー三宅有氏とプロデューサー渡辺範明氏が登壇し、先日公開されたNHN Japanとの共同コンテンツWebブラウザゲーム「地球オークション」を紹介した。現在クローズドβテスト中の「地球オークション」は、近日オープンβテスト予定だ。
発表会では加藤夏希さんをゲストに迎え、実際に「イマコレ」を体験。普段、ハンゲームも遊ぶことがある加藤さんは、「『リアゲー』ってだけを聞くとなんだか分からないけど、説明を聞くとなるほどと思いました」とコメント。アバターなどはコスプレみたいなもの。ゲームを現実に投影するのがコスプレであるならば、現実をゲームに投影するのがリアゲーなんじゃないかと(納得した)と発言した。なお、今日が誕生日の加藤さんのためにサプライズでハッピーバースデーのカードを表示するサプライズも。バースデーケーキでお祝いする場面もあった。
ドコモ「エクスペリア」20万台追加 販売好調で月内に
NTTドコモはスマートフォン(高機能携帯電話)の主力製品、英ソニー・エリクソン製「エクスペリア」を20万台追加する。4月の発売から国内の累計販売台数が30万台を超えるなど好調で、7月末までに供給量を増やす。ドコモは10月にも機能追加を計画しており、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」に対抗する。
「エクスペリア」は米グーグルのOS(基本ソフト)であるアンドロイドを搭載したスマートフォン。製造するソニー・エリクソンは全世界に同じ端末を供給、日本市場では一時、品不足感も出ていた。発売後3カ月間の比較ではソフトバンクモバイルが扱うアイフォーンに並ぶ出荷ペースとなっている。
ドコモは10月にも「エクスペリア」向けにOSの新バージョンをダウンロード形式で配布、新機能を追加する。画像処理や各機能の動作が速くなるほか、待ち受け画面に動画を表示できるなど機能を充実させる。9月には通常の携帯電話の「iモードメール」も使えるサービスを始める。
ドコモは2010年度内にスマートフォン全体で100万台を販売する計画。人気機種の拡充と機能追加で販売拡大につなげる。
アイフォーンシリーズの国内出荷は累計約300万台とみられ、6月後半に販売した新型の「アイフォーン4」は約1カ月で10万台以上を販売。店頭価格を事実上「0円」とする販促策などを背景に販売量が拡大、現在はスマートフォン市場でトップシェアを維持している。
IDCジャパン(東京・千代田)によると国内のスマートフォン出荷台数は14年に約3倍の887万台に拡大し、全携帯電話の約3割を占める見通しだ。
ドコモ、スマートフォンにも利用できる補助バッテリーを開発
NTTドコモは、リチウムイオン電池を内臓したFOMA端末用の補助バッテリー「FOMA 補助充電アダプタ 02」を開発した。8月~9月に発売する予定。価格は未定。
「FOMA 補助充電アダプタ 02」は、携帯電話を充電できる外部接続型の補助バッテリー。メーカーは三洋電機。同社では2007年より「FOMA 補助充電アダプタ 01」を提供してきたが、従来品は一般的な携帯電話の充電のみ可能だったのに対し、今回の「FOMA 補助充電アダプタ 02」にはUSB出力端子が用意され、スマートフォンでも利用できる。ただし、BlackBerryシリーズは非対応で、「Xperia」「LINX SH-10B」「dynapocket T-01B」「SC-01B」などで利用でき、今後発売される機種でも利用できるようになる見込み。なお、HTC製の「HT-03A」や「HT-01A」などはiモード端末と同じ端子から充電する。従来品と同じく、iモード対応の一般的な携帯電話の充電もできる。
ケースをスライドさせてケーブルを収納できる機構を備えるほか、バッテリー残量を確認できる機能が用意される。大きさは約102.5×58.5×15.7mm、重さは約96.5g。内臓バッテリーの容量は1800mAh。出力電圧はiモード端末向けでDC5.4V、USB経由でDC5.0Vとなり、出力電流はiモード端末向けで400mA、USB経由で500mA。満充電にかかる時間は、平均的な携帯電話のバッテリー(800mAh程度)であれば、iモード端末で約145分、USB経由で約110分となる。
新型iMacとMac Pro間もなく?
Appleが間もなくiMacとMac Proの新モデルを投入する兆候が見られると報じられている。AppleはiMacの現行モデルを流通経路から一掃しようとしているようで、流通業者や小売業者に、新たな在庫を出荷しないことを伝えたという。また米国では一部のAppleストアでMac Proが注文できなくなっており、これは在庫が少なくなっていることの現れだ。Mac Proは約18カ月の間新モデルが出ていない。新モデルは新しいIntelプロセッサ、より高速なグラフィックスカード、USB 3.0などを搭載するとみられている。
ヤフー、複数のソーシャルサービスを一度に確認できるiPhoneアプリ
ヤフーは、複数のソーシャルサービスの最新状況をまとめて確認できるiPhone/iPod touch向けアプリ「ポッフィ」を公開した。App Storeで配信され、利用料は無料。
「ポッフィ」は、複数のソーシャルサービスを利用するユーザー向けのiPhone/iPod touchアプリ。Twitterのタイムラインやmixiのマイミク最新状況など、複数のサービスをまとめて確認でき、同社では「ポッフィ」を“マルチタイムラインサービス”としている。対応サービスは、Twitter、mixi、Yahoo!プロフィール(Yahoo!プロフィール対応のYahoo!ブログなど含む)で、今後他のサービスにも拡充される予定。
最新状況の確認のほか、ユーザーの現在地周辺のスポットについて投稿された内容や任意のキーワードで検索できる「みんなのひとこと、近くのひとこと」、著名人などをお気に入り登録できる「おすすめプロフィール」といった機能も用意される。
ファミリーマートで中古本の回収を実施
ファミリーマートは26日、8月の1カ月間、山梨県内のファミリーマート(64店)で、雑誌や週刊誌を除く中古本を回収すると発表した。コンビニ業界では初の試みという。
顧客がファミリーマートの店舗に持参した不要な本を、同社が回収して中古書取扱業者に買い取りを依頼。買い取り代金は今回、山梨県のプロサッカークラブ「ヴァンフォーレ甲府」に寄付される。
電子書籍の後はネットで夏の風物詩
米アマゾンで電子書籍の販売数が、ハードカバー単行本を上回ったというニュースが20日、インターネット内を駆けめぐり、「電子書籍元年」を印象づけた。
国内でも作家、村上龍さんが16日、長編小説「歌うクジラ」を紙での発売に先駆け、iPad向けに公開した。出版社を介さない“中抜き”と呼ばれる方法で、ソフトウエア会社「グリオ」と協力して発売、作品には音楽家の坂本龍一さんの楽曲も盛り込まれている。
作家、瀬名秀明さんら一線の書き手が集まり、やはり“中抜き”で6月に発売した電子書籍「AiR エア」の先行版も売れ行き好調で、採算ライン超え。22日には、さらにコンテンツを加えた正式版を刊行した。
電子書籍ならではのサービスも登場。著者などから委託を受け、絶版となった書籍をPDFで販売する「絶版堂」が8月、オープンする。今秋、大日本印刷が国内最大規模となるネット書店を立ち上げ、米グーグルの電子書籍出版サービス「グーグルエディション」も来年から日本で始まるなど、電子書籍のニュースは当分、絶えそうにない。
一方、国立国会図書館も、書籍のデジタル化を積極的に推進している。20日には、出版物の全文テキスト検索の実証実験を行うため、参加する出版社や印刷会社の募集をスタート。募集期間は8月31日までで、実験は来年2~3月に館内で実施される。
さて、猛暑続きの日本列島。涼しい部屋で電子書籍を読むのに飽きたら、ネットで夏の風物詩を楽しむのはどうだろう。26日に新潟・ぎおん柏崎まつり海の大花火大会、8月2、3日に新潟・長岡まつり大花火大会が動画サイト「Ustream」で中継される。動画サイト「ニコニコ動画」でも、8月19日に東京・神宮外苑花火大会を生中継する。
86・44歳、女性は25年連続で長寿世界一
厚生労働省は26日、2009年の日本人の平均寿命は女性86・44歳、男性79・59歳で、いずれも4年連続で過去最高を更新したと発表した。
女性は25年連続で長寿世界一。男性は5位だった。同省は「主に心疾患や肺炎で死亡する割合が下がっていることが平均寿命の延びにつながっている」と分析している。
若い女性の「パンスト離れ」 レギンス、トレンカが台頭
パンティストッキング(パンスト)を履く若い女性が減っている。国内生産数は10年間で約4分の1に激減した。レッグウェアの多様化が進み、「レギンス」や「トレンカ」が台頭してきたのが原因らしい。
日本靴下工業組合連合会によると、2009年に国内で生産されたパンストは1億2700万足だった。05年は2億70万足、1999年は4億7700万足で、10年間で年間生産数がおよそ4分の1になった。
担当者は、「若い女性に生足、レギンスやトレンカがはやって、パンストを履かなくなった」という。これだけ大幅に減るとメーカーは大変だ。「パンストだけでは赤字。レギンスやトレンカ、下着の生産を強化して、売上げを保っている」と明かす。
■生足ブームも影響か
グンゼの広報担当者も「パンストの生産数は確実に減っている」という。足回りの商品はアウターファッションのトレンドの影響を受ける傾向があり、1990年代にカジュアルファッションが台頭して「生足」がブームになってから「右肩下がり」だ。
パンストの売上げは落ち込んだが、レギンスやトレンカが売れているので、レッグウェアのトータルの売上げは大きく減っていない。レギンスやトレンカは、2010年秋冬も引き続きはやると広報担当者は見る。ただ、トレンドで「丈の長さ」が変わるので、パンストのように同じ型を作り続けられないといった難しさがあるという。
1968年に国内で初めてパンストを売り出したのは厚木ナイロン工業(現在のアツギ)。それまでのストッキングはガーターベルトで留めるタイプで、ずり落ちやすく、ミニスカートを履くとベルト部分が見えるなどの難点があった。その悩みを解消したパンストは一大ブームになった。
ところがアツギでもパンストの生産数が最盛期に比べて減っていて、広報担当者は「90年代以降の生足ブームにみられるように、消費者の価値観が変化したため」と話す。
■パンスト回帰の可能性が高まっている?
一方、アツギ広報担当者は、レギンスやトレンカといったレッグウェアの流行で、パンスト市場の縮小に歯止めがかかると期待する。
「パンストを履いたことがない若い女性も、足にまとうことに慣れてきています。何かのきっかけによってパンストに回帰する可能性は、生足ブーム以来、もっとも高まっていると考えます」
同社は、女性にパンストに関心を持ってもらうためのコミュニケーション活動も始めた。ウェブ上で「パンスト女子部」を結成し、2010年3月20日から6月20日まで、毎日3人に1万円のパンスト手当を出す「パンスト手当1万円キャンペーン」を実施。今後もコミュニケーションを展開する予定だ。
さらに、福助の広報担当者もこう話す。
「一昔前は女性の足下はプレーンなパンスト一色でしたが、最近はトレンカやレギンスとレッグウェアの選択肢が広がり、積極的におしゃれを楽しむ女性が増えています。足周りのおしゃれに目覚めた若い女性のなかには、素足に抵抗がある人も出てきているようで、女性誌の編集者が、最近、若い女性がプレーンなパンストに戻ってきていると言っていました」
記者の目◇“売られすぎ”のKDDI株は「買い」なのか
「2011年4月までの目標株価は80万5000円」。JPモルガン証券の通信アナリスト、佐分博信氏は14日に出したKDDIのリポートにこう記した。4~6月期(第1四半期)決算を発表した23日の終値は42万8000万円。予想が当たれば、上昇率は9割に達する計算だ。
iPhone(アイフォーン)で快走するソフトバンクの影でスマートフォン商戦の「負け組」のイメージが付いてしまったKDDI。株式市場でも人気離散が鮮明で、年初来高値圏にあるソフトバンクが3月末比9%の上昇なのに対してKDDIは1割強下げている。それでも佐分氏が推すのは、突き詰めると「売られすぎ」の一語に尽きる。
株価指標を見てみよう。23日終値ベースの予想株価収益率(PER)は8倍弱。これは過去数年でみてもほぼ最低水準。株価純資産倍率は0.95倍と1倍を割り込んでいる。配当利回りは3%強。10年物国債利回りが1%に接近し、30年債に手を出しても1.8%ほどの利息しか手に入らない時代にあって、十分魅力的な水準との声は少なくない。
23日に発表した2010年4~6月期決算は、連結純利益が前年同期比17%減の719億円となり、通期予想2400億円に対する進ちょく率は30%とまずまずの出だしとなった。
固定通信事業の音声収入の落ち込みがややきつく、同事業の営業黒字化(前期は442億円の赤字)という課題達成に逆風が吹いているが、決算会見で小野寺正社長兼会長はコスト削減をテコに「第2四半期に黒字化する」と“公約”してみせた。通期で100億円の黒字という目標が達成できれば、携帯事業の減益をちょうど補える。全体の連結純利益が予想通りの着地となれば、2年ぶりの最高益更新となる。
「株価が40万円を割り込むには、減益シナリオがはっきりしたり、契約者数が継続的に減少に転じるなど相当のネガティブな材料が必要」というのが佐分氏の見立て。ダウンサイドリスクが限定的なら、今の株価は買い、という答えが出てくる。佐分氏の目標株価はPERが14倍程度まで戻るのを織り込んだもの。3%の配当利回りを確保しつつ、低PERの修正を期待するという筋書きだ。
問題は、PERの大幅修正が起きるようなきっかけが見あたらないこと。次の成長シナリオが見えてくるのが条件になりそうだが、低価格の「シンプルプラン」の浸透で音声通信収入の落ち込みが続くのは確実で、契約当たり月間収入(ARPU)の反転増加は「2年間は難しい」(小野寺社長兼会長)。スマートフォン商戦での遅れも、成長性に欠けるというイメージを強めている。
携帯大手3社では、NTTドコモも配当利回りが4%近く、対照的にソフトバンクは0.2%ほどと極端に低い。極論すると、NTTドコモとKDDIは電力株のように配当利回りで株価の位置が決まるいわば“債券化”の道をたどっている。投資家が成長株投資の対象とみなしているのはソフトバンクだけという状態と言えなくもない。
確かにKDDI株は、安い。だが、いっこうに株価反転の兆しがみえないのは、市場が「KDDI株が“債券化”の呪縛(じゅばく)から抜け出すのはまだ先。慌てて買う必要はない」と見ているからだろう。
東アジア外交 日米連携を基本に推進せよ(7月26日付・読売社説)
東アジアの地域協力を進める枠組みである「東アジア首脳会議」(EAS)に、米国とロシアが来年から参加する見通しとなった。
中国が経済的にも軍事的にも台頭する中、東アジアの平和と繁栄を保つには米国のプレゼンス(存在)を高めることが望ましい。それは日本の国益にも合致する。
政府は、この地域の経済、外交、安全保障全般にわたって米国との連携を深めるべきだ。
ベトナムで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議は、米露両国のEAS参加を歓迎した。10月のASEAN首脳会議でこれを決定する運びだ。
2005年に創設されたEASは、ASEAN10か国と日本、中国、韓国、インド、豪州、ニュージーランドで構成される。
創設時から参加を希望していたロシアに対し、米国は当初、中国が米国排除の動きをみせたこともあって、EASに距離を置いていた。ASEAN諸国にも、大国が加われば自分たちが埋没しかねない、との慎重論があった。
それが、ここにきてASEAN内に米国参加論が高まり、オバマ米政権も前向きな姿勢を示して、一気に具体化した。
域内の経済連携を進めるうえで中国と肩を並べる輸出相手の米国の「不在」はむしろ不自然、との判断があったとみられる。
それ以上に米国の参加を促したのが、安全保障の側面である。
ベトナムやシンガポール、インドなどは、中国の海軍力増強の動きに警戒感を高めている。中国は南シナ海の海南島に潜水艦基地を建設し、インド洋では、パキスタンやミャンマーで港湾施設を設けるなどしている。
米国が従来の慎重姿勢を一転させ、EASに参加することにしたのも、中国の軍事的な影響力拡大をにらんだものだろう。
日本にとっても、同盟国の米国が東アジアへの関与を強めることは歓迎できる。海上交通路(シーレーン)の安全確保や防災協力など、さまざまな分野で米国との連携による活動が可能になる。
しかし、鳩山前首相は「東アジア共同体」を唱える一方、「今まで米国に依存し過ぎていた」などと発言した。日米の同盟関係が不安定になるのでは、との印象を広め、米国だけでなく、アジア諸国にも不安を抱かせた。
菅首相は、米国のEAS参加を契機として、日米同盟を基軸に東アジア各国との関係をいっそう深めていく必要がある。
NHN Japanは7月26日、都内カンファレンス会場にて「Hangame ex 2010」を開催。ハンゲームにおいて現実とゲームを結び付ける「リアゲー」を展開することをはじめ、PC版やケータイ版「ハンゲ-ム」に続く、スマートフォン版の開設を発表した。この発表をもってハンゲームはオープンプラットフォームとし、コストダウンやAPIやオリジナルの開発ツールの提供を行い、独占タイトルについては高い利益配分をもって他メーカーの参入を呼び掛けた。
冒頭、NHN Japan代表取締役社長の森川亮氏は、NHN Japanが持つハンゲーム、ネイバージャパン、ライブドアについての事業内容を説明し、日本最大のクリエイター集団である強みを生かし、グループのシナジー効果でトップグループに食い込むべく、“リアルタイム”を重視するとの方針を発表した。ネイバージャパンに「トピック検索」があり、ライブドアには「ブログメディア」があるように、ハンゲームでは時間や場所、現象(天気)など“プレイヤーの今”を楽しさに変える「リアゲー」を展開すると明かした。
例えば、ケータイでもPCでも楽しめる育成ゲーム「不思議な生き物 ねんどん」では、天気と連動しており、プレイヤーのいる地域で雨が降ると成長がしやすくなるなどゲームに“今”を反映した。こういった機能が入ることにより、自然に天気を気にするようになるし、もしかしたら天候を気にして場所を移動する人もいるかもしれないと森川氏は語る。これで「リアルベネフィット」を提供できるのではないかと考えたのだ。なお、「ねんどん」と天気との連動は本日7月26日から実施されている。
また、新作「トライフルストーリー」(ケータイ及びパソコン版「ハンゲーム」と連動)は、場所(GPS)と時間に連動した機能を実装する予定のRPGだ(2010年9月リリース予定)。魔王軍(ケータイ)と勇者軍(PC)に分かれて戦う本作は、時間と場所と連動し、昼夜で軍勢が変わり、地域限定モンスターが出現する。
発表会ではほかにも、場所・天気・時間と連動した機能を搭載した新プラットフォーム「イマコレ」を紹介。ゲームを通じてプレイヤーが獲得するカードが、実際に使用できるクーポンとして配布され、企業プロモーションとして活用できる事例を報告した。PIZZA-LAとのコラボではトッピングのコレクションカードを集めることで割引クーポンを獲得でき、限定アバターや抽選でエビマヨうきわが当たるキャンペーンなども実施される。こちらも本日から開始している。
前述したとおり、これまでサービスを展開してきたPC版「ハンゲ-ム」、ケータイ版「ハンゲ.jp」に続く、新たなサービスとして、スマートフォン版「ハンゲーム」のオープンを発表した。また、「ハンゲ.jp」のサービス名称を「ハンゲーム」に変更し、すべてのサービスを「ハンゲーム」という共通ブランドに統合することも公開した。なお、スマートフォン版「ハンゲーム」は、Android OS版が本日午後1時30分より開設しており、iPhone版についても近日オープン予定とのこと。
さらに、PC・ケータイ・スマートフォン、すべてのハンゲームプラットフォームの外部開放も発表され、NHN Japanグループの総力をあげた圧倒的集客力と整備された開発環境、インフラ環境の提供など、参画企業がハンゲームにおいてコンテンツサービス展開を行う際に、積極的なサポートを行うプラットフォーム戦略を打ち出した。なお、パートナー登録の詳細などについては、本日オープンしたNHN Partners Centerに詳しい。
1つのIDでPC、ケータイ、スマートフォンのすべてを利用できるあらゆるプラットフォームは世界初の試み。気になるコンテンツの誘致については、ライブドアとの協業によりインフラサービスを低価格で提供(初月無料+月額1万円)したり、運営ノウハウが集約されたAPIの公開、オリジナル開発ツール「GameOVEN」の提供、ハンゲームの独占に限り売上の80%をシェアする利益配分やその他支援など、手厚いゲーム開発環境支援を表明している。発表会の段階では戦略的に協力関係にあるパートナーが、70社に及ぶと明かされている。NHN Japanの取るべき道は“共存共栄”であるとしている。今後は未定ながら今までのローカライズの実績を活かしたグローバル展開も視野に入っていると発表会を締めた。
発表会中盤には、スクウェア・エニックスのエグゼクティブプロデューサー三宅有氏とプロデューサー渡辺範明氏が登壇し、先日公開されたNHN Japanとの共同コンテンツWebブラウザゲーム「地球オークション」を紹介した。現在クローズドβテスト中の「地球オークション」は、近日オープンβテスト予定だ。
発表会では加藤夏希さんをゲストに迎え、実際に「イマコレ」を体験。普段、ハンゲームも遊ぶことがある加藤さんは、「『リアゲー』ってだけを聞くとなんだか分からないけど、説明を聞くとなるほどと思いました」とコメント。アバターなどはコスプレみたいなもの。ゲームを現実に投影するのがコスプレであるならば、現実をゲームに投影するのがリアゲーなんじゃないかと(納得した)と発言した。なお、今日が誕生日の加藤さんのためにサプライズでハッピーバースデーのカードを表示するサプライズも。バースデーケーキでお祝いする場面もあった。
ドコモ「エクスペリア」20万台追加 販売好調で月内に
NTTドコモはスマートフォン(高機能携帯電話)の主力製品、英ソニー・エリクソン製「エクスペリア」を20万台追加する。4月の発売から国内の累計販売台数が30万台を超えるなど好調で、7月末までに供給量を増やす。ドコモは10月にも機能追加を計画しており、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」に対抗する。
「エクスペリア」は米グーグルのOS(基本ソフト)であるアンドロイドを搭載したスマートフォン。製造するソニー・エリクソンは全世界に同じ端末を供給、日本市場では一時、品不足感も出ていた。発売後3カ月間の比較ではソフトバンクモバイルが扱うアイフォーンに並ぶ出荷ペースとなっている。
ドコモは10月にも「エクスペリア」向けにOSの新バージョンをダウンロード形式で配布、新機能を追加する。画像処理や各機能の動作が速くなるほか、待ち受け画面に動画を表示できるなど機能を充実させる。9月には通常の携帯電話の「iモードメール」も使えるサービスを始める。
ドコモは2010年度内にスマートフォン全体で100万台を販売する計画。人気機種の拡充と機能追加で販売拡大につなげる。
アイフォーンシリーズの国内出荷は累計約300万台とみられ、6月後半に販売した新型の「アイフォーン4」は約1カ月で10万台以上を販売。店頭価格を事実上「0円」とする販促策などを背景に販売量が拡大、現在はスマートフォン市場でトップシェアを維持している。
IDCジャパン(東京・千代田)によると国内のスマートフォン出荷台数は14年に約3倍の887万台に拡大し、全携帯電話の約3割を占める見通しだ。
ドコモ、スマートフォンにも利用できる補助バッテリーを開発
NTTドコモは、リチウムイオン電池を内臓したFOMA端末用の補助バッテリー「FOMA 補助充電アダプタ 02」を開発した。8月~9月に発売する予定。価格は未定。
「FOMA 補助充電アダプタ 02」は、携帯電話を充電できる外部接続型の補助バッテリー。メーカーは三洋電機。同社では2007年より「FOMA 補助充電アダプタ 01」を提供してきたが、従来品は一般的な携帯電話の充電のみ可能だったのに対し、今回の「FOMA 補助充電アダプタ 02」にはUSB出力端子が用意され、スマートフォンでも利用できる。ただし、BlackBerryシリーズは非対応で、「Xperia」「LINX SH-10B」「dynapocket T-01B」「SC-01B」などで利用でき、今後発売される機種でも利用できるようになる見込み。なお、HTC製の「HT-03A」や「HT-01A」などはiモード端末と同じ端子から充電する。従来品と同じく、iモード対応の一般的な携帯電話の充電もできる。
ケースをスライドさせてケーブルを収納できる機構を備えるほか、バッテリー残量を確認できる機能が用意される。大きさは約102.5×58.5×15.7mm、重さは約96.5g。内臓バッテリーの容量は1800mAh。出力電圧はiモード端末向けでDC5.4V、USB経由でDC5.0Vとなり、出力電流はiモード端末向けで400mA、USB経由で500mA。満充電にかかる時間は、平均的な携帯電話のバッテリー(800mAh程度)であれば、iモード端末で約145分、USB経由で約110分となる。
新型iMacとMac Pro間もなく?
Appleが間もなくiMacとMac Proの新モデルを投入する兆候が見られると報じられている。AppleはiMacの現行モデルを流通経路から一掃しようとしているようで、流通業者や小売業者に、新たな在庫を出荷しないことを伝えたという。また米国では一部のAppleストアでMac Proが注文できなくなっており、これは在庫が少なくなっていることの現れだ。Mac Proは約18カ月の間新モデルが出ていない。新モデルは新しいIntelプロセッサ、より高速なグラフィックスカード、USB 3.0などを搭載するとみられている。
ヤフー、複数のソーシャルサービスを一度に確認できるiPhoneアプリ
ヤフーは、複数のソーシャルサービスの最新状況をまとめて確認できるiPhone/iPod touch向けアプリ「ポッフィ」を公開した。App Storeで配信され、利用料は無料。
「ポッフィ」は、複数のソーシャルサービスを利用するユーザー向けのiPhone/iPod touchアプリ。Twitterのタイムラインやmixiのマイミク最新状況など、複数のサービスをまとめて確認でき、同社では「ポッフィ」を“マルチタイムラインサービス”としている。対応サービスは、Twitter、mixi、Yahoo!プロフィール(Yahoo!プロフィール対応のYahoo!ブログなど含む)で、今後他のサービスにも拡充される予定。
最新状況の確認のほか、ユーザーの現在地周辺のスポットについて投稿された内容や任意のキーワードで検索できる「みんなのひとこと、近くのひとこと」、著名人などをお気に入り登録できる「おすすめプロフィール」といった機能も用意される。
ファミリーマートで中古本の回収を実施
ファミリーマートは26日、8月の1カ月間、山梨県内のファミリーマート(64店)で、雑誌や週刊誌を除く中古本を回収すると発表した。コンビニ業界では初の試みという。
顧客がファミリーマートの店舗に持参した不要な本を、同社が回収して中古書取扱業者に買い取りを依頼。買い取り代金は今回、山梨県のプロサッカークラブ「ヴァンフォーレ甲府」に寄付される。
電子書籍の後はネットで夏の風物詩
米アマゾンで電子書籍の販売数が、ハードカバー単行本を上回ったというニュースが20日、インターネット内を駆けめぐり、「電子書籍元年」を印象づけた。
国内でも作家、村上龍さんが16日、長編小説「歌うクジラ」を紙での発売に先駆け、iPad向けに公開した。出版社を介さない“中抜き”と呼ばれる方法で、ソフトウエア会社「グリオ」と協力して発売、作品には音楽家の坂本龍一さんの楽曲も盛り込まれている。
作家、瀬名秀明さんら一線の書き手が集まり、やはり“中抜き”で6月に発売した電子書籍「AiR エア」の先行版も売れ行き好調で、採算ライン超え。22日には、さらにコンテンツを加えた正式版を刊行した。
電子書籍ならではのサービスも登場。著者などから委託を受け、絶版となった書籍をPDFで販売する「絶版堂」が8月、オープンする。今秋、大日本印刷が国内最大規模となるネット書店を立ち上げ、米グーグルの電子書籍出版サービス「グーグルエディション」も来年から日本で始まるなど、電子書籍のニュースは当分、絶えそうにない。
一方、国立国会図書館も、書籍のデジタル化を積極的に推進している。20日には、出版物の全文テキスト検索の実証実験を行うため、参加する出版社や印刷会社の募集をスタート。募集期間は8月31日までで、実験は来年2~3月に館内で実施される。
さて、猛暑続きの日本列島。涼しい部屋で電子書籍を読むのに飽きたら、ネットで夏の風物詩を楽しむのはどうだろう。26日に新潟・ぎおん柏崎まつり海の大花火大会、8月2、3日に新潟・長岡まつり大花火大会が動画サイト「Ustream」で中継される。動画サイト「ニコニコ動画」でも、8月19日に東京・神宮外苑花火大会を生中継する。
86・44歳、女性は25年連続で長寿世界一
厚生労働省は26日、2009年の日本人の平均寿命は女性86・44歳、男性79・59歳で、いずれも4年連続で過去最高を更新したと発表した。
女性は25年連続で長寿世界一。男性は5位だった。同省は「主に心疾患や肺炎で死亡する割合が下がっていることが平均寿命の延びにつながっている」と分析している。
若い女性の「パンスト離れ」 レギンス、トレンカが台頭
パンティストッキング(パンスト)を履く若い女性が減っている。国内生産数は10年間で約4分の1に激減した。レッグウェアの多様化が進み、「レギンス」や「トレンカ」が台頭してきたのが原因らしい。
日本靴下工業組合連合会によると、2009年に国内で生産されたパンストは1億2700万足だった。05年は2億70万足、1999年は4億7700万足で、10年間で年間生産数がおよそ4分の1になった。
担当者は、「若い女性に生足、レギンスやトレンカがはやって、パンストを履かなくなった」という。これだけ大幅に減るとメーカーは大変だ。「パンストだけでは赤字。レギンスやトレンカ、下着の生産を強化して、売上げを保っている」と明かす。
■生足ブームも影響か
グンゼの広報担当者も「パンストの生産数は確実に減っている」という。足回りの商品はアウターファッションのトレンドの影響を受ける傾向があり、1990年代にカジュアルファッションが台頭して「生足」がブームになってから「右肩下がり」だ。
パンストの売上げは落ち込んだが、レギンスやトレンカが売れているので、レッグウェアのトータルの売上げは大きく減っていない。レギンスやトレンカは、2010年秋冬も引き続きはやると広報担当者は見る。ただ、トレンドで「丈の長さ」が変わるので、パンストのように同じ型を作り続けられないといった難しさがあるという。
1968年に国内で初めてパンストを売り出したのは厚木ナイロン工業(現在のアツギ)。それまでのストッキングはガーターベルトで留めるタイプで、ずり落ちやすく、ミニスカートを履くとベルト部分が見えるなどの難点があった。その悩みを解消したパンストは一大ブームになった。
ところがアツギでもパンストの生産数が最盛期に比べて減っていて、広報担当者は「90年代以降の生足ブームにみられるように、消費者の価値観が変化したため」と話す。
■パンスト回帰の可能性が高まっている?
一方、アツギ広報担当者は、レギンスやトレンカといったレッグウェアの流行で、パンスト市場の縮小に歯止めがかかると期待する。
「パンストを履いたことがない若い女性も、足にまとうことに慣れてきています。何かのきっかけによってパンストに回帰する可能性は、生足ブーム以来、もっとも高まっていると考えます」
同社は、女性にパンストに関心を持ってもらうためのコミュニケーション活動も始めた。ウェブ上で「パンスト女子部」を結成し、2010年3月20日から6月20日まで、毎日3人に1万円のパンスト手当を出す「パンスト手当1万円キャンペーン」を実施。今後もコミュニケーションを展開する予定だ。
さらに、福助の広報担当者もこう話す。
「一昔前は女性の足下はプレーンなパンスト一色でしたが、最近はトレンカやレギンスとレッグウェアの選択肢が広がり、積極的におしゃれを楽しむ女性が増えています。足周りのおしゃれに目覚めた若い女性のなかには、素足に抵抗がある人も出てきているようで、女性誌の編集者が、最近、若い女性がプレーンなパンストに戻ってきていると言っていました」
記者の目◇“売られすぎ”のKDDI株は「買い」なのか
「2011年4月までの目標株価は80万5000円」。JPモルガン証券の通信アナリスト、佐分博信氏は14日に出したKDDIのリポートにこう記した。4~6月期(第1四半期)決算を発表した23日の終値は42万8000万円。予想が当たれば、上昇率は9割に達する計算だ。
iPhone(アイフォーン)で快走するソフトバンクの影でスマートフォン商戦の「負け組」のイメージが付いてしまったKDDI。株式市場でも人気離散が鮮明で、年初来高値圏にあるソフトバンクが3月末比9%の上昇なのに対してKDDIは1割強下げている。それでも佐分氏が推すのは、突き詰めると「売られすぎ」の一語に尽きる。
株価指標を見てみよう。23日終値ベースの予想株価収益率(PER)は8倍弱。これは過去数年でみてもほぼ最低水準。株価純資産倍率は0.95倍と1倍を割り込んでいる。配当利回りは3%強。10年物国債利回りが1%に接近し、30年債に手を出しても1.8%ほどの利息しか手に入らない時代にあって、十分魅力的な水準との声は少なくない。
23日に発表した2010年4~6月期決算は、連結純利益が前年同期比17%減の719億円となり、通期予想2400億円に対する進ちょく率は30%とまずまずの出だしとなった。
固定通信事業の音声収入の落ち込みがややきつく、同事業の営業黒字化(前期は442億円の赤字)という課題達成に逆風が吹いているが、決算会見で小野寺正社長兼会長はコスト削減をテコに「第2四半期に黒字化する」と“公約”してみせた。通期で100億円の黒字という目標が達成できれば、携帯事業の減益をちょうど補える。全体の連結純利益が予想通りの着地となれば、2年ぶりの最高益更新となる。
「株価が40万円を割り込むには、減益シナリオがはっきりしたり、契約者数が継続的に減少に転じるなど相当のネガティブな材料が必要」というのが佐分氏の見立て。ダウンサイドリスクが限定的なら、今の株価は買い、という答えが出てくる。佐分氏の目標株価はPERが14倍程度まで戻るのを織り込んだもの。3%の配当利回りを確保しつつ、低PERの修正を期待するという筋書きだ。
問題は、PERの大幅修正が起きるようなきっかけが見あたらないこと。次の成長シナリオが見えてくるのが条件になりそうだが、低価格の「シンプルプラン」の浸透で音声通信収入の落ち込みが続くのは確実で、契約当たり月間収入(ARPU)の反転増加は「2年間は難しい」(小野寺社長兼会長)。スマートフォン商戦での遅れも、成長性に欠けるというイメージを強めている。
携帯大手3社では、NTTドコモも配当利回りが4%近く、対照的にソフトバンクは0.2%ほどと極端に低い。極論すると、NTTドコモとKDDIは電力株のように配当利回りで株価の位置が決まるいわば“債券化”の道をたどっている。投資家が成長株投資の対象とみなしているのはソフトバンクだけという状態と言えなくもない。
確かにKDDI株は、安い。だが、いっこうに株価反転の兆しがみえないのは、市場が「KDDI株が“債券化”の呪縛(じゅばく)から抜け出すのはまだ先。慌てて買う必要はない」と見ているからだろう。
東アジア外交 日米連携を基本に推進せよ(7月26日付・読売社説)
東アジアの地域協力を進める枠組みである「東アジア首脳会議」(EAS)に、米国とロシアが来年から参加する見通しとなった。
中国が経済的にも軍事的にも台頭する中、東アジアの平和と繁栄を保つには米国のプレゼンス(存在)を高めることが望ましい。それは日本の国益にも合致する。
政府は、この地域の経済、外交、安全保障全般にわたって米国との連携を深めるべきだ。
ベトナムで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議は、米露両国のEAS参加を歓迎した。10月のASEAN首脳会議でこれを決定する運びだ。
2005年に創設されたEASは、ASEAN10か国と日本、中国、韓国、インド、豪州、ニュージーランドで構成される。
創設時から参加を希望していたロシアに対し、米国は当初、中国が米国排除の動きをみせたこともあって、EASに距離を置いていた。ASEAN諸国にも、大国が加われば自分たちが埋没しかねない、との慎重論があった。
それが、ここにきてASEAN内に米国参加論が高まり、オバマ米政権も前向きな姿勢を示して、一気に具体化した。
域内の経済連携を進めるうえで中国と肩を並べる輸出相手の米国の「不在」はむしろ不自然、との判断があったとみられる。
それ以上に米国の参加を促したのが、安全保障の側面である。
ベトナムやシンガポール、インドなどは、中国の海軍力増強の動きに警戒感を高めている。中国は南シナ海の海南島に潜水艦基地を建設し、インド洋では、パキスタンやミャンマーで港湾施設を設けるなどしている。
米国が従来の慎重姿勢を一転させ、EASに参加することにしたのも、中国の軍事的な影響力拡大をにらんだものだろう。
日本にとっても、同盟国の米国が東アジアへの関与を強めることは歓迎できる。海上交通路(シーレーン)の安全確保や防災協力など、さまざまな分野で米国との連携による活動が可能になる。
しかし、鳩山前首相は「東アジア共同体」を唱える一方、「今まで米国に依存し過ぎていた」などと発言した。日米の同盟関係が不安定になるのでは、との印象を広め、米国だけでなく、アジア諸国にも不安を抱かせた。
菅首相は、米国のEAS参加を契機として、日米同盟を基軸に東アジア各国との関係をいっそう深めていく必要がある。
これからは「リアゲー」です――NHN Japan「Hangame ex 2010」で語られたこと
NHN Japanは7月26日、都内カンファレンス会場にて「Hangame ex 2010」を開催。ハンゲームにおいて現実とゲームを結び付ける「リアゲー」を展開することをはじめ、PC版やケータイ版「ハンゲ-ム」に続く、スマートフォン版の開設を発表した。この発表をもってハンゲームはオープンプラットフォームとし、コストダウンやAPIやオリジナルの開発ツールの提供を行い、独占タイトルについては高い利益配分をもって他メーカーの参入を呼び掛けた。
冒頭、NHN Japan代表取締役社長の森川亮氏は、NHN Japanが持つハンゲーム、ネイバージャパン、ライブドアについての事業内容を説明し、日本最大のクリエイター集団である強みを生かし、グループのシナジー効果でトップグループに食い込むべく、“リアルタイム”を重視するとの方針を発表した。ネイバージャパンに「トピック検索」があり、ライブドアには「ブログメディア」があるように、ハンゲームでは時間や場所、現象(天気)など“プレイヤーの今”を楽しさに変える「リアゲー」を展開すると明かした。
例えば、ケータイでもPCでも楽しめる育成ゲーム「不思議な生き物 ねんどん」では、天気と連動しており、プレイヤーのいる地域で雨が降ると成長がしやすくなるなどゲームに“今”を反映した。こういった機能が入ることにより、自然に天気を気にするようになるし、もしかしたら天候を気にして場所を移動する人もいるかもしれないと森川氏は語る。これで「リアルベネフィット」を提供できるのではないかと考えたのだ。なお、「ねんどん」と天気との連動は本日7月26日から実施されている。
また、新作「トライフルストーリー」(ケータイ及びパソコン版「ハンゲーム」と連動)は、場所(GPS)と時間に連動した機能を実装する予定のRPGだ(2010年9月リリース予定)。魔王軍(ケータイ)と勇者軍(PC)に分かれて戦う本作は、時間と場所と連動し、昼夜で軍勢が変わり、地域限定モンスターが出現する。
発表会ではほかにも、場所・天気・時間と連動した機能を搭載した新プラットフォーム「イマコレ」を紹介。ゲームを通じてプレイヤーが獲得するカードが、実際に使用できるクーポンとして配布され、企業プロモーションとして活用できる事例を報告した。PIZZA-LAとのコラボではトッピングのコレクションカードを集めることで割引クーポンを獲得でき、限定アバターや抽選でエビマヨうきわが当たるキャンペーンなども実施される。こちらも本日から開始している。
前述したとおり、これまでサービスを展開してきたPC版「ハンゲ-ム」、ケータイ版「ハンゲ.jp」に続く、新たなサービスとして、スマートフォン版「ハンゲーム」のオープンを発表した。また、「ハンゲ.jp」のサービス名称を「ハンゲーム」に変更し、すべてのサービスを「ハンゲーム」という共通ブランドに統合することも公開した。なお、スマートフォン版「ハンゲーム」は、Android OS版が本日午後1時30分より開設しており、iPhone版についても近日オープン予定とのこと。
さらに、PC・ケータイ・スマートフォン、すべてのハンゲームプラットフォームの外部開放も発表され、NHN Japanグループの総力をあげた圧倒的集客力と整備された開発環境、インフラ環境の提供など、参画企業がハンゲームにおいてコンテンツサービス展開を行う際に、積極的なサポートを行うプラットフォーム戦略を打ち出した。なお、パートナー登録の詳細などについては、本日オープンしたNHN Partners Centerに詳しい。
1つのIDでPC、ケータイ、スマートフォンのすべてを利用できるあらゆるプラットフォームは世界初の試み。気になるコンテンツの誘致については、ライブドアとの協業によりインフラサービスを低価格で提供(初月無料+月額1万円)したり、運営ノウハウが集約されたAPIの公開、オリジナル開発ツール「GameOVEN」の提供、ハンゲームの独占に限り売上の80%をシェアする利益配分やその他支援など、手厚いゲーム開発環境支援を表明している。発表会の段階では戦略的に協力関係にあるパートナーが、70社に及ぶと明かされている。NHN Japanの取るべき道は“共存共栄”であるとしている。今後は未定ながら今までのローカライズの実績を活かしたグローバル展開も視野に入っていると発表会を締めた。
発表会中盤には、スクウェア・エニックスのエグゼクティブプロデューサー三宅有氏とプロデューサー渡辺範明氏が登壇し、先日公開されたNHN Japanとの共同コンテンツWebブラウザゲーム「地球オークション」を紹介した。現在クローズドβテスト中の「地球オークション」は、近日オープンβテスト予定だ。
発表会では加藤夏希さんをゲストに迎え、実際に「イマコレ」を体験。普段、ハンゲームも遊ぶことがある加藤さんは、「『リアゲー』ってだけを聞くとなんだか分からないけど、説明を聞くとなるほどと思いました」とコメント。アバターなどはコスプレみたいなもの。ゲームを現実に投影するのがコスプレであるならば、現実をゲームに投影するのがリアゲーなんじゃないかと(納得した)と発言した。なお、今日が誕生日の加藤さんのためにサプライズでハッピーバースデーのカードを表示するサプライズも。バースデーケーキでお祝いする場面もあった。
ドコモ「エクスペリア」20万台追加 販売好調で月内に
NTTドコモはスマートフォン(高機能携帯電話)の主力製品、英ソニー・エリクソン製「エクスペリア」を20万台追加する。4月の発売から国内の累計販売台数が30万台を超えるなど好調で、7月末までに供給量を増やす。ドコモは10月にも機能追加を計画しており、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」に対抗する。
「エクスペリア」は米グーグルのOS(基本ソフト)であるアンドロイドを搭載したスマートフォン。製造するソニー・エリクソンは全世界に同じ端末を供給、日本市場では一時、品不足感も出ていた。発売後3カ月間の比較ではソフトバンクモバイルが扱うアイフォーンに並ぶ出荷ペースとなっている。
ドコモは10月にも「エクスペリア」向けにOSの新バージョンをダウンロード形式で配布、新機能を追加する。画像処理や各機能の動作が速くなるほか、待ち受け画面に動画を表示できるなど機能を充実させる。9月には通常の携帯電話の「iモードメール」も使えるサービスを始める。
ドコモは2010年度内にスマートフォン全体で100万台を販売する計画。人気機種の拡充と機能追加で販売拡大につなげる。
アイフォーンシリーズの国内出荷は累計約300万台とみられ、6月後半に販売した新型の「アイフォーン4」は約1カ月で10万台以上を販売。店頭価格を事実上「0円」とする販促策などを背景に販売量が拡大、現在はスマートフォン市場でトップシェアを維持している。
IDCジャパン(東京・千代田)によると国内のスマートフォン出荷台数は14年に約3倍の887万台に拡大し、全携帯電話の約3割を占める見通しだ。
ドコモ、スマートフォンにも利用できる補助バッテリーを開発
NTTドコモは、リチウムイオン電池を内臓したFOMA端末用の補助バッテリー「FOMA 補助充電アダプタ 02」を開発した。8月~9月に発売する予定。価格は未定。
「FOMA 補助充電アダプタ 02」は、携帯電話を充電できる外部接続型の補助バッテリー。メーカーは三洋電機。同社では2007年より「FOMA 補助充電アダプタ 01」を提供してきたが、従来品は一般的な携帯電話の充電のみ可能だったのに対し、今回の「FOMA 補助充電アダプタ 02」にはUSB出力端子が用意され、スマートフォンでも利用できる。ただし、BlackBerryシリーズは非対応で、「Xperia」「LINX SH-10B」「dynapocket T-01B」「SC-01B」などで利用でき、今後発売される機種でも利用できるようになる見込み。なお、HTC製の「HT-03A」や「HT-01A」などはiモード端末と同じ端子から充電する。従来品と同じく、iモード対応の一般的な携帯電話の充電もできる。
ケースをスライドさせてケーブルを収納できる機構を備えるほか、バッテリー残量を確認できる機能が用意される。大きさは約102.5×58.5×15.7mm、重さは約96.5g。内臓バッテリーの容量は1800mAh。出力電圧はiモード端末向けでDC5.4V、USB経由でDC5.0Vとなり、出力電流はiモード端末向けで400mA、USB経由で500mA。満充電にかかる時間は、平均的な携帯電話のバッテリー(800mAh程度)であれば、iモード端末で約145分、USB経由で約110分となる。
新型iMacとMac Pro間もなく?
Appleが間もなくiMacとMac Proの新モデルを投入する兆候が見られると報じられている。AppleはiMacの現行モデルを流通経路から一掃しようとしているようで、流通業者や小売業者に、新たな在庫を出荷しないことを伝えたという。また米国では一部のAppleストアでMac Proが注文できなくなっており、これは在庫が少なくなっていることの現れだ。Mac Proは約18カ月の間新モデルが出ていない。新モデルは新しいIntelプロセッサ、より高速なグラフィックスカード、USB 3.0などを搭載するとみられている。
ヤフー、複数のソーシャルサービスを一度に確認できるiPhoneアプリ
ヤフーは、複数のソーシャルサービスの最新状況をまとめて確認できるiPhone/iPod touch向けアプリ「ポッフィ」を公開した。App Storeで配信され、利用料は無料。
「ポッフィ」は、複数のソーシャルサービスを利用するユーザー向けのiPhone/iPod touchアプリ。Twitterのタイムラインやmixiのマイミク最新状況など、複数のサービスをまとめて確認でき、同社では「ポッフィ」を“マルチタイムラインサービス”としている。対応サービスは、Twitter、mixi、Yahoo!プロフィール(Yahoo!プロフィール対応のYahoo!ブログなど含む)で、今後他のサービスにも拡充される予定。
最新状況の確認のほか、ユーザーの現在地周辺のスポットについて投稿された内容や任意のキーワードで検索できる「みんなのひとこと、近くのひとこと」、著名人などをお気に入り登録できる「おすすめプロフィール」といった機能も用意される。
ファミリーマートで中古本の回収を実施
ファミリーマートは26日、8月の1カ月間、山梨県内のファミリーマート(64店)で、雑誌や週刊誌を除く中古本を回収すると発表した。コンビニ業界では初の試みという。
顧客がファミリーマートの店舗に持参した不要な本を、同社が回収して中古書取扱業者に買い取りを依頼。買い取り代金は今回、山梨県のプロサッカークラブ「ヴァンフォーレ甲府」に寄付される。
電子書籍の後はネットで夏の風物詩
米アマゾンで電子書籍の販売数が、ハードカバー単行本を上回ったというニュースが20日、インターネット内を駆けめぐり、「電子書籍元年」を印象づけた。
国内でも作家、村上龍さんが16日、長編小説「歌うクジラ」を紙での発売に先駆け、iPad向けに公開した。出版社を介さない“中抜き”と呼ばれる方法で、ソフトウエア会社「グリオ」と協力して発売、作品には音楽家の坂本龍一さんの楽曲も盛り込まれている。
作家、瀬名秀明さんら一線の書き手が集まり、やはり“中抜き”で6月に発売した電子書籍「AiR エア」の先行版も売れ行き好調で、採算ライン超え。22日には、さらにコンテンツを加えた正式版を刊行した。
電子書籍ならではのサービスも登場。著者などから委託を受け、絶版となった書籍をPDFで販売する「絶版堂」が8月、オープンする。今秋、大日本印刷が国内最大規模となるネット書店を立ち上げ、米グーグルの電子書籍出版サービス「グーグルエディション」も来年から日本で始まるなど、電子書籍のニュースは当分、絶えそうにない。
一方、国立国会図書館も、書籍のデジタル化を積極的に推進している。20日には、出版物の全文テキスト検索の実証実験を行うため、参加する出版社や印刷会社の募集をスタート。募集期間は8月31日までで、実験は来年2~3月に館内で実施される。
さて、猛暑続きの日本列島。涼しい部屋で電子書籍を読むのに飽きたら、ネットで夏の風物詩を楽しむのはどうだろう。26日に新潟・ぎおん柏崎まつり海の大花火大会、8月2、3日に新潟・長岡まつり大花火大会が動画サイト「Ustream」で中継される。動画サイト「ニコニコ動画」でも、8月19日に東京・神宮外苑花火大会を生中継する。
86・44歳、女性は25年連続で長寿世界一
厚生労働省は26日、2009年の日本人の平均寿命は女性86・44歳、男性79・59歳で、いずれも4年連続で過去最高を更新したと発表した。
女性は25年連続で長寿世界一。男性は5位だった。同省は「主に心疾患や肺炎で死亡する割合が下がっていることが平均寿命の延びにつながっている」と分析している。
若い女性の「パンスト離れ」 レギンス、トレンカが台頭
パンティストッキング(パンスト)を履く若い女性が減っている。国内生産数は10年間で約4分の1に激減した。レッグウェアの多様化が進み、「レギンス」や「トレンカ」が台頭してきたのが原因らしい。
日本靴下工業組合連合会によると、2009年に国内で生産されたパンストは1億2700万足だった。05年は2億70万足、1999年は4億7700万足で、10年間で年間生産数がおよそ4分の1になった。
担当者は、「若い女性に生足、レギンスやトレンカがはやって、パンストを履かなくなった」という。これだけ大幅に減るとメーカーは大変だ。「パンストだけでは赤字。レギンスやトレンカ、下着の生産を強化して、売上げを保っている」と明かす。
■生足ブームも影響か
グンゼの広報担当者も「パンストの生産数は確実に減っている」という。足回りの商品はアウターファッションのトレンドの影響を受ける傾向があり、1990年代にカジュアルファッションが台頭して「生足」がブームになってから「右肩下がり」だ。
パンストの売上げは落ち込んだが、レギンスやトレンカが売れているので、レッグウェアのトータルの売上げは大きく減っていない。レギンスやトレンカは、2010年秋冬も引き続きはやると広報担当者は見る。ただ、トレンドで「丈の長さ」が変わるので、パンストのように同じ型を作り続けられないといった難しさがあるという。
1968年に国内で初めてパンストを売り出したのは厚木ナイロン工業(現在のアツギ)。それまでのストッキングはガーターベルトで留めるタイプで、ずり落ちやすく、ミニスカートを履くとベルト部分が見えるなどの難点があった。その悩みを解消したパンストは一大ブームになった。
ところがアツギでもパンストの生産数が最盛期に比べて減っていて、広報担当者は「90年代以降の生足ブームにみられるように、消費者の価値観が変化したため」と話す。
■パンスト回帰の可能性が高まっている?
一方、アツギ広報担当者は、レギンスやトレンカといったレッグウェアの流行で、パンスト市場の縮小に歯止めがかかると期待する。
「パンストを履いたことがない若い女性も、足にまとうことに慣れてきています。何かのきっかけによってパンストに回帰する可能性は、生足ブーム以来、もっとも高まっていると考えます」
同社は、女性にパンストに関心を持ってもらうためのコミュニケーション活動も始めた。ウェブ上で「パンスト女子部」を結成し、2010年3月20日から6月20日まで、毎日3人に1万円のパンスト手当を出す「パンスト手当1万円キャンペーン」を実施。今後もコミュニケーションを展開する予定だ。
さらに、福助の広報担当者もこう話す。
「一昔前は女性の足下はプレーンなパンスト一色でしたが、最近はトレンカやレギンスとレッグウェアの選択肢が広がり、積極的におしゃれを楽しむ女性が増えています。足周りのおしゃれに目覚めた若い女性のなかには、素足に抵抗がある人も出てきているようで、女性誌の編集者が、最近、若い女性がプレーンなパンストに戻ってきていると言っていました」
記者の目◇“売られすぎ”のKDDI株は「買い」なのか
「2011年4月までの目標株価は80万5000円」。JPモルガン証券の通信アナリスト、佐分博信氏は14日に出したKDDIのリポートにこう記した。4~6月期(第1四半期)決算を発表した23日の終値は42万8000万円。予想が当たれば、上昇率は9割に達する計算だ。
iPhone(アイフォーン)で快走するソフトバンクの影でスマートフォン商戦の「負け組」のイメージが付いてしまったKDDI。株式市場でも人気離散が鮮明で、年初来高値圏にあるソフトバンクが3月末比9%の上昇なのに対してKDDIは1割強下げている。それでも佐分氏が推すのは、突き詰めると「売られすぎ」の一語に尽きる。
株価指標を見てみよう。23日終値ベースの予想株価収益率(PER)は8倍弱。これは過去数年でみてもほぼ最低水準。株価純資産倍率は0.95倍と1倍を割り込んでいる。配当利回りは3%強。10年物国債利回りが1%に接近し、30年債に手を出しても1.8%ほどの利息しか手に入らない時代にあって、十分魅力的な水準との声は少なくない。
23日に発表した2010年4~6月期決算は、連結純利益が前年同期比17%減の719億円となり、通期予想2400億円に対する進ちょく率は30%とまずまずの出だしとなった。
固定通信事業の音声収入の落ち込みがややきつく、同事業の営業黒字化(前期は442億円の赤字)という課題達成に逆風が吹いているが、決算会見で小野寺正社長兼会長はコスト削減をテコに「第2四半期に黒字化する」と“公約”してみせた。通期で100億円の黒字という目標が達成できれば、携帯事業の減益をちょうど補える。全体の連結純利益が予想通りの着地となれば、2年ぶりの最高益更新となる。
「株価が40万円を割り込むには、減益シナリオがはっきりしたり、契約者数が継続的に減少に転じるなど相当のネガティブな材料が必要」というのが佐分氏の見立て。ダウンサイドリスクが限定的なら、今の株価は買い、という答えが出てくる。佐分氏の目標株価はPERが14倍程度まで戻るのを織り込んだもの。3%の配当利回りを確保しつつ、低PERの修正を期待するという筋書きだ。
問題は、PERの大幅修正が起きるようなきっかけが見あたらないこと。次の成長シナリオが見えてくるのが条件になりそうだが、低価格の「シンプルプラン」の浸透で音声通信収入の落ち込みが続くのは確実で、契約当たり月間収入(ARPU)の反転増加は「2年間は難しい」(小野寺社長兼会長)。スマートフォン商戦での遅れも、成長性に欠けるというイメージを強めている。
携帯大手3社では、NTTドコモも配当利回りが4%近く、対照的にソフトバンクは0.2%ほどと極端に低い。極論すると、NTTドコモとKDDIは電力株のように配当利回りで株価の位置が決まるいわば“債券化”の道をたどっている。投資家が成長株投資の対象とみなしているのはソフトバンクだけという状態と言えなくもない。
確かにKDDI株は、安い。だが、いっこうに株価反転の兆しがみえないのは、市場が「KDDI株が“債券化”の呪縛(じゅばく)から抜け出すのはまだ先。慌てて買う必要はない」と見ているからだろう。
東アジア外交 日米連携を基本に推進せよ(7月26日付・読売社説)
東アジアの地域協力を進める枠組みである「東アジア首脳会議」(EAS)に、米国とロシアが来年から参加する見通しとなった。
中国が経済的にも軍事的にも台頭する中、東アジアの平和と繁栄を保つには米国のプレゼンス(存在)を高めることが望ましい。それは日本の国益にも合致する。
政府は、この地域の経済、外交、安全保障全般にわたって米国との連携を深めるべきだ。
ベトナムで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議は、米露両国のEAS参加を歓迎した。10月のASEAN首脳会議でこれを決定する運びだ。
2005年に創設されたEASは、ASEAN10か国と日本、中国、韓国、インド、豪州、ニュージーランドで構成される。
創設時から参加を希望していたロシアに対し、米国は当初、中国が米国排除の動きをみせたこともあって、EASに距離を置いていた。ASEAN諸国にも、大国が加われば自分たちが埋没しかねない、との慎重論があった。
それが、ここにきてASEAN内に米国参加論が高まり、オバマ米政権も前向きな姿勢を示して、一気に具体化した。
域内の経済連携を進めるうえで中国と肩を並べる輸出相手の米国の「不在」はむしろ不自然、との判断があったとみられる。
それ以上に米国の参加を促したのが、安全保障の側面である。
ベトナムやシンガポール、インドなどは、中国の海軍力増強の動きに警戒感を高めている。中国は南シナ海の海南島に潜水艦基地を建設し、インド洋では、パキスタンやミャンマーで港湾施設を設けるなどしている。
米国が従来の慎重姿勢を一転させ、EASに参加することにしたのも、中国の軍事的な影響力拡大をにらんだものだろう。
日本にとっても、同盟国の米国が東アジアへの関与を強めることは歓迎できる。海上交通路(シーレーン)の安全確保や防災協力など、さまざまな分野で米国との連携による活動が可能になる。
しかし、鳩山前首相は「東アジア共同体」を唱える一方、「今まで米国に依存し過ぎていた」などと発言した。日米の同盟関係が不安定になるのでは、との印象を広め、米国だけでなく、アジア諸国にも不安を抱かせた。
菅首相は、米国のEAS参加を契機として、日米同盟を基軸に東アジア各国との関係をいっそう深めていく必要がある。
NHN Japanは7月26日、都内カンファレンス会場にて「Hangame ex 2010」を開催。ハンゲームにおいて現実とゲームを結び付ける「リアゲー」を展開することをはじめ、PC版やケータイ版「ハンゲ-ム」に続く、スマートフォン版の開設を発表した。この発表をもってハンゲームはオープンプラットフォームとし、コストダウンやAPIやオリジナルの開発ツールの提供を行い、独占タイトルについては高い利益配分をもって他メーカーの参入を呼び掛けた。
冒頭、NHN Japan代表取締役社長の森川亮氏は、NHN Japanが持つハンゲーム、ネイバージャパン、ライブドアについての事業内容を説明し、日本最大のクリエイター集団である強みを生かし、グループのシナジー効果でトップグループに食い込むべく、“リアルタイム”を重視するとの方針を発表した。ネイバージャパンに「トピック検索」があり、ライブドアには「ブログメディア」があるように、ハンゲームでは時間や場所、現象(天気)など“プレイヤーの今”を楽しさに変える「リアゲー」を展開すると明かした。
例えば、ケータイでもPCでも楽しめる育成ゲーム「不思議な生き物 ねんどん」では、天気と連動しており、プレイヤーのいる地域で雨が降ると成長がしやすくなるなどゲームに“今”を反映した。こういった機能が入ることにより、自然に天気を気にするようになるし、もしかしたら天候を気にして場所を移動する人もいるかもしれないと森川氏は語る。これで「リアルベネフィット」を提供できるのではないかと考えたのだ。なお、「ねんどん」と天気との連動は本日7月26日から実施されている。
また、新作「トライフルストーリー」(ケータイ及びパソコン版「ハンゲーム」と連動)は、場所(GPS)と時間に連動した機能を実装する予定のRPGだ(2010年9月リリース予定)。魔王軍(ケータイ)と勇者軍(PC)に分かれて戦う本作は、時間と場所と連動し、昼夜で軍勢が変わり、地域限定モンスターが出現する。
発表会ではほかにも、場所・天気・時間と連動した機能を搭載した新プラットフォーム「イマコレ」を紹介。ゲームを通じてプレイヤーが獲得するカードが、実際に使用できるクーポンとして配布され、企業プロモーションとして活用できる事例を報告した。PIZZA-LAとのコラボではトッピングのコレクションカードを集めることで割引クーポンを獲得でき、限定アバターや抽選でエビマヨうきわが当たるキャンペーンなども実施される。こちらも本日から開始している。
前述したとおり、これまでサービスを展開してきたPC版「ハンゲ-ム」、ケータイ版「ハンゲ.jp」に続く、新たなサービスとして、スマートフォン版「ハンゲーム」のオープンを発表した。また、「ハンゲ.jp」のサービス名称を「ハンゲーム」に変更し、すべてのサービスを「ハンゲーム」という共通ブランドに統合することも公開した。なお、スマートフォン版「ハンゲーム」は、Android OS版が本日午後1時30分より開設しており、iPhone版についても近日オープン予定とのこと。
さらに、PC・ケータイ・スマートフォン、すべてのハンゲームプラットフォームの外部開放も発表され、NHN Japanグループの総力をあげた圧倒的集客力と整備された開発環境、インフラ環境の提供など、参画企業がハンゲームにおいてコンテンツサービス展開を行う際に、積極的なサポートを行うプラットフォーム戦略を打ち出した。なお、パートナー登録の詳細などについては、本日オープンしたNHN Partners Centerに詳しい。
1つのIDでPC、ケータイ、スマートフォンのすべてを利用できるあらゆるプラットフォームは世界初の試み。気になるコンテンツの誘致については、ライブドアとの協業によりインフラサービスを低価格で提供(初月無料+月額1万円)したり、運営ノウハウが集約されたAPIの公開、オリジナル開発ツール「GameOVEN」の提供、ハンゲームの独占に限り売上の80%をシェアする利益配分やその他支援など、手厚いゲーム開発環境支援を表明している。発表会の段階では戦略的に協力関係にあるパートナーが、70社に及ぶと明かされている。NHN Japanの取るべき道は“共存共栄”であるとしている。今後は未定ながら今までのローカライズの実績を活かしたグローバル展開も視野に入っていると発表会を締めた。
発表会中盤には、スクウェア・エニックスのエグゼクティブプロデューサー三宅有氏とプロデューサー渡辺範明氏が登壇し、先日公開されたNHN Japanとの共同コンテンツWebブラウザゲーム「地球オークション」を紹介した。現在クローズドβテスト中の「地球オークション」は、近日オープンβテスト予定だ。
発表会では加藤夏希さんをゲストに迎え、実際に「イマコレ」を体験。普段、ハンゲームも遊ぶことがある加藤さんは、「『リアゲー』ってだけを聞くとなんだか分からないけど、説明を聞くとなるほどと思いました」とコメント。アバターなどはコスプレみたいなもの。ゲームを現実に投影するのがコスプレであるならば、現実をゲームに投影するのがリアゲーなんじゃないかと(納得した)と発言した。なお、今日が誕生日の加藤さんのためにサプライズでハッピーバースデーのカードを表示するサプライズも。バースデーケーキでお祝いする場面もあった。
ドコモ「エクスペリア」20万台追加 販売好調で月内に
NTTドコモはスマートフォン(高機能携帯電話)の主力製品、英ソニー・エリクソン製「エクスペリア」を20万台追加する。4月の発売から国内の累計販売台数が30万台を超えるなど好調で、7月末までに供給量を増やす。ドコモは10月にも機能追加を計画しており、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」に対抗する。
「エクスペリア」は米グーグルのOS(基本ソフト)であるアンドロイドを搭載したスマートフォン。製造するソニー・エリクソンは全世界に同じ端末を供給、日本市場では一時、品不足感も出ていた。発売後3カ月間の比較ではソフトバンクモバイルが扱うアイフォーンに並ぶ出荷ペースとなっている。
ドコモは10月にも「エクスペリア」向けにOSの新バージョンをダウンロード形式で配布、新機能を追加する。画像処理や各機能の動作が速くなるほか、待ち受け画面に動画を表示できるなど機能を充実させる。9月には通常の携帯電話の「iモードメール」も使えるサービスを始める。
ドコモは2010年度内にスマートフォン全体で100万台を販売する計画。人気機種の拡充と機能追加で販売拡大につなげる。
アイフォーンシリーズの国内出荷は累計約300万台とみられ、6月後半に販売した新型の「アイフォーン4」は約1カ月で10万台以上を販売。店頭価格を事実上「0円」とする販促策などを背景に販売量が拡大、現在はスマートフォン市場でトップシェアを維持している。
IDCジャパン(東京・千代田)によると国内のスマートフォン出荷台数は14年に約3倍の887万台に拡大し、全携帯電話の約3割を占める見通しだ。
ドコモ、スマートフォンにも利用できる補助バッテリーを開発
NTTドコモは、リチウムイオン電池を内臓したFOMA端末用の補助バッテリー「FOMA 補助充電アダプタ 02」を開発した。8月~9月に発売する予定。価格は未定。
「FOMA 補助充電アダプタ 02」は、携帯電話を充電できる外部接続型の補助バッテリー。メーカーは三洋電機。同社では2007年より「FOMA 補助充電アダプタ 01」を提供してきたが、従来品は一般的な携帯電話の充電のみ可能だったのに対し、今回の「FOMA 補助充電アダプタ 02」にはUSB出力端子が用意され、スマートフォンでも利用できる。ただし、BlackBerryシリーズは非対応で、「Xperia」「LINX SH-10B」「dynapocket T-01B」「SC-01B」などで利用でき、今後発売される機種でも利用できるようになる見込み。なお、HTC製の「HT-03A」や「HT-01A」などはiモード端末と同じ端子から充電する。従来品と同じく、iモード対応の一般的な携帯電話の充電もできる。
ケースをスライドさせてケーブルを収納できる機構を備えるほか、バッテリー残量を確認できる機能が用意される。大きさは約102.5×58.5×15.7mm、重さは約96.5g。内臓バッテリーの容量は1800mAh。出力電圧はiモード端末向けでDC5.4V、USB経由でDC5.0Vとなり、出力電流はiモード端末向けで400mA、USB経由で500mA。満充電にかかる時間は、平均的な携帯電話のバッテリー(800mAh程度)であれば、iモード端末で約145分、USB経由で約110分となる。
新型iMacとMac Pro間もなく?
Appleが間もなくiMacとMac Proの新モデルを投入する兆候が見られると報じられている。AppleはiMacの現行モデルを流通経路から一掃しようとしているようで、流通業者や小売業者に、新たな在庫を出荷しないことを伝えたという。また米国では一部のAppleストアでMac Proが注文できなくなっており、これは在庫が少なくなっていることの現れだ。Mac Proは約18カ月の間新モデルが出ていない。新モデルは新しいIntelプロセッサ、より高速なグラフィックスカード、USB 3.0などを搭載するとみられている。
ヤフー、複数のソーシャルサービスを一度に確認できるiPhoneアプリ
ヤフーは、複数のソーシャルサービスの最新状況をまとめて確認できるiPhone/iPod touch向けアプリ「ポッフィ」を公開した。App Storeで配信され、利用料は無料。
「ポッフィ」は、複数のソーシャルサービスを利用するユーザー向けのiPhone/iPod touchアプリ。Twitterのタイムラインやmixiのマイミク最新状況など、複数のサービスをまとめて確認でき、同社では「ポッフィ」を“マルチタイムラインサービス”としている。対応サービスは、Twitter、mixi、Yahoo!プロフィール(Yahoo!プロフィール対応のYahoo!ブログなど含む)で、今後他のサービスにも拡充される予定。
最新状況の確認のほか、ユーザーの現在地周辺のスポットについて投稿された内容や任意のキーワードで検索できる「みんなのひとこと、近くのひとこと」、著名人などをお気に入り登録できる「おすすめプロフィール」といった機能も用意される。
ファミリーマートで中古本の回収を実施
ファミリーマートは26日、8月の1カ月間、山梨県内のファミリーマート(64店)で、雑誌や週刊誌を除く中古本を回収すると発表した。コンビニ業界では初の試みという。
顧客がファミリーマートの店舗に持参した不要な本を、同社が回収して中古書取扱業者に買い取りを依頼。買い取り代金は今回、山梨県のプロサッカークラブ「ヴァンフォーレ甲府」に寄付される。
電子書籍の後はネットで夏の風物詩
米アマゾンで電子書籍の販売数が、ハードカバー単行本を上回ったというニュースが20日、インターネット内を駆けめぐり、「電子書籍元年」を印象づけた。
国内でも作家、村上龍さんが16日、長編小説「歌うクジラ」を紙での発売に先駆け、iPad向けに公開した。出版社を介さない“中抜き”と呼ばれる方法で、ソフトウエア会社「グリオ」と協力して発売、作品には音楽家の坂本龍一さんの楽曲も盛り込まれている。
作家、瀬名秀明さんら一線の書き手が集まり、やはり“中抜き”で6月に発売した電子書籍「AiR エア」の先行版も売れ行き好調で、採算ライン超え。22日には、さらにコンテンツを加えた正式版を刊行した。
電子書籍ならではのサービスも登場。著者などから委託を受け、絶版となった書籍をPDFで販売する「絶版堂」が8月、オープンする。今秋、大日本印刷が国内最大規模となるネット書店を立ち上げ、米グーグルの電子書籍出版サービス「グーグルエディション」も来年から日本で始まるなど、電子書籍のニュースは当分、絶えそうにない。
一方、国立国会図書館も、書籍のデジタル化を積極的に推進している。20日には、出版物の全文テキスト検索の実証実験を行うため、参加する出版社や印刷会社の募集をスタート。募集期間は8月31日までで、実験は来年2~3月に館内で実施される。
さて、猛暑続きの日本列島。涼しい部屋で電子書籍を読むのに飽きたら、ネットで夏の風物詩を楽しむのはどうだろう。26日に新潟・ぎおん柏崎まつり海の大花火大会、8月2、3日に新潟・長岡まつり大花火大会が動画サイト「Ustream」で中継される。動画サイト「ニコニコ動画」でも、8月19日に東京・神宮外苑花火大会を生中継する。
86・44歳、女性は25年連続で長寿世界一
厚生労働省は26日、2009年の日本人の平均寿命は女性86・44歳、男性79・59歳で、いずれも4年連続で過去最高を更新したと発表した。
女性は25年連続で長寿世界一。男性は5位だった。同省は「主に心疾患や肺炎で死亡する割合が下がっていることが平均寿命の延びにつながっている」と分析している。
若い女性の「パンスト離れ」 レギンス、トレンカが台頭
パンティストッキング(パンスト)を履く若い女性が減っている。国内生産数は10年間で約4分の1に激減した。レッグウェアの多様化が進み、「レギンス」や「トレンカ」が台頭してきたのが原因らしい。
日本靴下工業組合連合会によると、2009年に国内で生産されたパンストは1億2700万足だった。05年は2億70万足、1999年は4億7700万足で、10年間で年間生産数がおよそ4分の1になった。
担当者は、「若い女性に生足、レギンスやトレンカがはやって、パンストを履かなくなった」という。これだけ大幅に減るとメーカーは大変だ。「パンストだけでは赤字。レギンスやトレンカ、下着の生産を強化して、売上げを保っている」と明かす。
■生足ブームも影響か
グンゼの広報担当者も「パンストの生産数は確実に減っている」という。足回りの商品はアウターファッションのトレンドの影響を受ける傾向があり、1990年代にカジュアルファッションが台頭して「生足」がブームになってから「右肩下がり」だ。
パンストの売上げは落ち込んだが、レギンスやトレンカが売れているので、レッグウェアのトータルの売上げは大きく減っていない。レギンスやトレンカは、2010年秋冬も引き続きはやると広報担当者は見る。ただ、トレンドで「丈の長さ」が変わるので、パンストのように同じ型を作り続けられないといった難しさがあるという。
1968年に国内で初めてパンストを売り出したのは厚木ナイロン工業(現在のアツギ)。それまでのストッキングはガーターベルトで留めるタイプで、ずり落ちやすく、ミニスカートを履くとベルト部分が見えるなどの難点があった。その悩みを解消したパンストは一大ブームになった。
ところがアツギでもパンストの生産数が最盛期に比べて減っていて、広報担当者は「90年代以降の生足ブームにみられるように、消費者の価値観が変化したため」と話す。
■パンスト回帰の可能性が高まっている?
一方、アツギ広報担当者は、レギンスやトレンカといったレッグウェアの流行で、パンスト市場の縮小に歯止めがかかると期待する。
「パンストを履いたことがない若い女性も、足にまとうことに慣れてきています。何かのきっかけによってパンストに回帰する可能性は、生足ブーム以来、もっとも高まっていると考えます」
同社は、女性にパンストに関心を持ってもらうためのコミュニケーション活動も始めた。ウェブ上で「パンスト女子部」を結成し、2010年3月20日から6月20日まで、毎日3人に1万円のパンスト手当を出す「パンスト手当1万円キャンペーン」を実施。今後もコミュニケーションを展開する予定だ。
さらに、福助の広報担当者もこう話す。
「一昔前は女性の足下はプレーンなパンスト一色でしたが、最近はトレンカやレギンスとレッグウェアの選択肢が広がり、積極的におしゃれを楽しむ女性が増えています。足周りのおしゃれに目覚めた若い女性のなかには、素足に抵抗がある人も出てきているようで、女性誌の編集者が、最近、若い女性がプレーンなパンストに戻ってきていると言っていました」
記者の目◇“売られすぎ”のKDDI株は「買い」なのか
「2011年4月までの目標株価は80万5000円」。JPモルガン証券の通信アナリスト、佐分博信氏は14日に出したKDDIのリポートにこう記した。4~6月期(第1四半期)決算を発表した23日の終値は42万8000万円。予想が当たれば、上昇率は9割に達する計算だ。
iPhone(アイフォーン)で快走するソフトバンクの影でスマートフォン商戦の「負け組」のイメージが付いてしまったKDDI。株式市場でも人気離散が鮮明で、年初来高値圏にあるソフトバンクが3月末比9%の上昇なのに対してKDDIは1割強下げている。それでも佐分氏が推すのは、突き詰めると「売られすぎ」の一語に尽きる。
株価指標を見てみよう。23日終値ベースの予想株価収益率(PER)は8倍弱。これは過去数年でみてもほぼ最低水準。株価純資産倍率は0.95倍と1倍を割り込んでいる。配当利回りは3%強。10年物国債利回りが1%に接近し、30年債に手を出しても1.8%ほどの利息しか手に入らない時代にあって、十分魅力的な水準との声は少なくない。
23日に発表した2010年4~6月期決算は、連結純利益が前年同期比17%減の719億円となり、通期予想2400億円に対する進ちょく率は30%とまずまずの出だしとなった。
固定通信事業の音声収入の落ち込みがややきつく、同事業の営業黒字化(前期は442億円の赤字)という課題達成に逆風が吹いているが、決算会見で小野寺正社長兼会長はコスト削減をテコに「第2四半期に黒字化する」と“公約”してみせた。通期で100億円の黒字という目標が達成できれば、携帯事業の減益をちょうど補える。全体の連結純利益が予想通りの着地となれば、2年ぶりの最高益更新となる。
「株価が40万円を割り込むには、減益シナリオがはっきりしたり、契約者数が継続的に減少に転じるなど相当のネガティブな材料が必要」というのが佐分氏の見立て。ダウンサイドリスクが限定的なら、今の株価は買い、という答えが出てくる。佐分氏の目標株価はPERが14倍程度まで戻るのを織り込んだもの。3%の配当利回りを確保しつつ、低PERの修正を期待するという筋書きだ。
問題は、PERの大幅修正が起きるようなきっかけが見あたらないこと。次の成長シナリオが見えてくるのが条件になりそうだが、低価格の「シンプルプラン」の浸透で音声通信収入の落ち込みが続くのは確実で、契約当たり月間収入(ARPU)の反転増加は「2年間は難しい」(小野寺社長兼会長)。スマートフォン商戦での遅れも、成長性に欠けるというイメージを強めている。
携帯大手3社では、NTTドコモも配当利回りが4%近く、対照的にソフトバンクは0.2%ほどと極端に低い。極論すると、NTTドコモとKDDIは電力株のように配当利回りで株価の位置が決まるいわば“債券化”の道をたどっている。投資家が成長株投資の対象とみなしているのはソフトバンクだけという状態と言えなくもない。
確かにKDDI株は、安い。だが、いっこうに株価反転の兆しがみえないのは、市場が「KDDI株が“債券化”の呪縛(じゅばく)から抜け出すのはまだ先。慌てて買う必要はない」と見ているからだろう。
東アジア外交 日米連携を基本に推進せよ(7月26日付・読売社説)
東アジアの地域協力を進める枠組みである「東アジア首脳会議」(EAS)に、米国とロシアが来年から参加する見通しとなった。
中国が経済的にも軍事的にも台頭する中、東アジアの平和と繁栄を保つには米国のプレゼンス(存在)を高めることが望ましい。それは日本の国益にも合致する。
政府は、この地域の経済、外交、安全保障全般にわたって米国との連携を深めるべきだ。
ベトナムで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議は、米露両国のEAS参加を歓迎した。10月のASEAN首脳会議でこれを決定する運びだ。
2005年に創設されたEASは、ASEAN10か国と日本、中国、韓国、インド、豪州、ニュージーランドで構成される。
創設時から参加を希望していたロシアに対し、米国は当初、中国が米国排除の動きをみせたこともあって、EASに距離を置いていた。ASEAN諸国にも、大国が加われば自分たちが埋没しかねない、との慎重論があった。
それが、ここにきてASEAN内に米国参加論が高まり、オバマ米政権も前向きな姿勢を示して、一気に具体化した。
域内の経済連携を進めるうえで中国と肩を並べる輸出相手の米国の「不在」はむしろ不自然、との判断があったとみられる。
それ以上に米国の参加を促したのが、安全保障の側面である。
ベトナムやシンガポール、インドなどは、中国の海軍力増強の動きに警戒感を高めている。中国は南シナ海の海南島に潜水艦基地を建設し、インド洋では、パキスタンやミャンマーで港湾施設を設けるなどしている。
米国が従来の慎重姿勢を一転させ、EASに参加することにしたのも、中国の軍事的な影響力拡大をにらんだものだろう。
日本にとっても、同盟国の米国が東アジアへの関与を強めることは歓迎できる。海上交通路(シーレーン)の安全確保や防災協力など、さまざまな分野で米国との連携による活動が可能になる。
しかし、鳩山前首相は「東アジア共同体」を唱える一方、「今まで米国に依存し過ぎていた」などと発言した。日米の同盟関係が不安定になるのでは、との印象を広め、米国だけでなく、アジア諸国にも不安を抱かせた。
菅首相は、米国のEAS参加を契機として、日米同盟を基軸に東アジア各国との関係をいっそう深めていく必要がある。
成熟期迎えたSNSはテレビを“凌駕” マーケティング大転換
Twitterに比べると利用者数が多く成熟期を迎えた感の強い、「mixi」や「GREE」などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)。時にはテレビCMを凌駕(りょうが)するほどのマーケティング効果を得ることができる。ホンダと、うどんチェーンのはなまる(東京都中央区)の最新の成功事例を紹介しよう。ホンダは、テレビとの接触時間が短く、「自動車離れ」も深刻化しつつある若年層の取り込みにmixiを活用した。はなまるは、店舗が近所にはない消費者への認知度を高めるためにGREEを使った。店舗が全国に点在する同社にとってテレビCMは費用対効果が低いのだ。
「ガッチャンCR-Z」「しのっちCR-Zのんのん」――。2010年2月から3月にかけて、ニックネームに「CR-Z」を加えたユーザーがSNS「mixi」上に一気に増えた。ホンダが2月11日からハイブリッドカー「CR-Z」の認知向上を狙って展開した「mixiアプリ」の「Ole!Ole!CR-Z」の“成果”だ。
テレビCM以上の効果を実感
CR-Zが当たるプレゼントキャンペーンを目当てに、3月31日までのキャンペーン期間で80万人超がアプリの利用登録をした。登録者だけではなく周りにいる「マイミク」(ミクシィ上の友人)もCR-Zという単語を目にすることとなった。この成果に、当初1万人の利用を想定していたというホンダの日本営業本部営業開発室マーケティング戦略ブロック主任の原寛和氏は、「見通しが甘かった。ソーシャルメディアのパワーを大きく感じた」と驚きを隠さない。
様々なメディアを用いたCR-Zのプロモーションにおいて、ネットに課せられたミッションは、20代~30代の製品認知を最大化することだった。そこで、同年代が多く利用するmixiを施策展開の場と決定。Ole!Ole!CR-Zの利用には、ニックネームにCR-Zという単語を加えることを条件とした。「CR-Zという記号的で愛着がわきにくいネーミングを逆手にとって、名前をネタにして遊んでもらい親しんでもらう」(原氏)ことが狙いだ。商品を売り込むより、ユーザーに面白がってもらってmixi上に自然に広まることを目指した。
アプリへの接触頻度を増やし、クチコミの広がりを後押しするためにアプリの設計には工夫を凝らした。まず20時間に1回、当選倍率が高まるサイコロを振れるようにして毎日のアクセスを促した。また、ユーザー間での広がりも意識して、20時間で5回までマイミクにサイコロを振る権利を与えられるといった、友人間で楽しめる仕組みを用意した。
ユーザーが爆発的に増えたポイントは2つあった。まずパソコン版に続き、2月25日にmixiアプリのケータイ版を提供した点。「増加ペースが提供前の1.5倍以上になった」(原氏)。もう1点は、周りの人のニックネームが急に変わったことを疑問に思った人が、その理由を尋ねるといったクチコミの連鎖が起こったことだ。
キャンペーンの成果から原氏は、「バナー広告を張り続けても80万人ものユーザーを動かすことは難しい。(mixiユーザーのような)特定の層に対しては、テレビCM以上の効果を得られる」とソーシャルメディアに大きな可能性を見いだしている。
企業が一方的にメッセージを発信し続けても大きな“うねり”は作り出せない。ユーザーを「協力者」と意識することが重要だ。
“乗っ取り”には不快感も
ホンダと似た事例に、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とデジタルガレージが4月1日から開催した、ツイートで「Tポイント」がたまるキャンペーンがある。この企画では、Twitterのアイコンに「I Love Tポイント」マークを張ると、10万ポイントが当たるWチャンスが用意されていた。Twitter公式ガイドサイト「twinavi」提供のツール「きせかえアイコン」を利用すれば、自分のアイコンに簡単にマークを張ることができた。
2009年12月には同様の仕組みで、自分のアイコンにサンタ帽を追加することがTwitter上で流行。これをネタにコミュニケーションしたユーザーも目立った。
だが一方で、ネット上の人格を構成する重要要素であるニックネームやアイコン画像を、“乗っとる”手法について、「えげつない」と不快感を示すユーザーもいることは確か。ネガティブ反応も一定割合出てくることは覚悟する必要がある。
ホンダは短期的に認知を獲得する施策の一方で、長期的なコミュニケーションを目指してキャラクター化したCR-Zを育てるmixiアプリ「クルっくー」も提供している。クルっくーでは、より長い間利用してもらうために、企業色を極力抑えた。「短期的な施策だけではなく、(ユーザーが)能動的に接触する機会を作る」(原氏)のが目的だ。その登録者数は6万人を超えたところ。今後はケータイ版の展開も検討する。
このように企業がキャンペーンでSNSを活用する際、その舞台は会員数2000万人(2010年4月時点)を擁する最大手mixiとなることが多いが、これを猛追しケータイユーザーを中心に1673万人(2009年12月時点)会員に達した「GREE」もソーシャルメディアとしての集客、訴求パワーが上昇している。
ユーザーからメニュー提案も
セルフ式うどん店「はなまるうどん」をチェーン展開するはなまる(東京都中央区)は、2010年3月17日から4月14日まで、GREE上でクーポンキャンペーンを開催した。同社のキャラクター「はなどんくん」を前面に立て、「友だちリンク」を結んだユーザーには50円割引クーポンのほか、プロフィールページをカスタマイズできる壁紙「きせかえプロフ」のはなまるオリジナル版を進呈。友だちリンクを1カ月で9万2000人以上を獲得した。
経営企画室販売促進担当で、同社のTwitterアカウント(@Hanamaru_Udon)の“中の人”である西脇有希子氏は、「当店は安さが魅力の一つだが、『安かろう悪かろう』ではない。品質のこだわりをしっかり伝えたかった」と語る。そのこだわりは企業サイトで何ページにもわたって掲載しているが、詳述するほど説明調になり、じっくりとは読んでもらいにくい。
そこでGREE上では、「今日は、えび天くんと一緒に、『うどんマイスター』の試験を見学に行ったんだ」など、はなどんくんの語り口調で興味を引く日記を用意。新メニューが決まる裏話には、「こんなメニューがあったら食べたい」というユーザーの声が自然と集まり、コミュニケーションが活性化した。
同社はこれまでほとんど広告を打ってこなかった。店舗数は現在全国270店ほど。アンケートで「はなまる未利用者」に理由を尋ねれば「近くにないから」が圧倒的多数を占める。テレビCMを流すには商圏外の人が多すぎる。それでもこの春に東京・新宿東口店がオープンするなど人口カバー率が高まり、認知度の向上に取り組むフェーズに差しかかっていた。「マス広告より1けた少ない額で、当初予想の5万人の倍近いユーザーと交流を持てたことの意味は大きい」(経営企画室長の佐野博章氏)。
好反響を得たことで第2回開催の機運も高まっている。ユーザー側がリンクを外さない限り友だちリンクは残るため、次回開催時には約9万人のユーザーから再スタートし、さらに“友だち”を積み上げていくことができる。単発ではなく継続・蓄積が効くソーシャルメディアのパワーが本領を発揮するのはこれからだ。
世界シェア 日本勢、薄れる存在感 液晶パネル、シャープ1ケタ台 白色LED 、日亜化学も守勢
世界シェアでは、調査対象26品目のうち自動車や白色発光ダイオード(LED)など6品目で日本企業が首位を確保した。ただ、中国企業の台頭や韓国勢の攻勢を受け、シェアを落とすケースも相次いでいる。世界市場で日本企業の存在感が薄れる傾向が一段と強まってきた。
新興国が追い上げるなか、日本勢が強みを発揮しているのはカメラの分野だ。デジタルカメラではコンパクト型の販売拡大に成功したニコンのシェアが上昇。ビデオカメラでも世界最軽量の機種が欧州で好調だったパナソニックがシェアを上げるなど、両品目とも上位を日本企業が占めた。
このほかNAND型フラッシュメモリーでは東芝がシェアを初の30%台に乗せ、サムスン電子との差を1ケタに縮めた。需要回復に合わせ、素早く減産緩和に踏み切ったことが奏功した。海水淡水化などに使う水処理膜(RO膜)でも、日東電工や東レが中東やアジアでの大型受注をテコにシェアを伸ばしている。
半面、IT(情報技術)関連では苦戦が目立つ。液晶パネルでは韓国の2社がさらにシェアを伸ばし、合計で4割を突破。シャープは5位を維持したものの、シェアは1ケタ台に低下した。
白色LEDでも日亜化学工業が4年連続で首位を守ったが、シェアは4.5ポイント低下した。大胆な投資戦略を進める韓国勢に押される状況が鮮明だ。
旺盛な新興国需要を背景に市場が拡大する分野も多いが、日本企業は追い風を生かしきれていない。自動車は中国などで需要が伸びているが、トヨタ自動車のシェアは1.1ポイント低下。新興国に強い独フォルクスワーゲンなどがシェアを上げた。
太陽電池でも存在感を増す中国企業(サンテックパワー製を使った米ネバダ州の大型発電所)
高成長が続く太陽電池でも、前年首位の独Qセルズが失速した代わりに上位に入ったのは、増産に積極的な米ファーストソーラーや中国サンテックパワーだった。シャープや京セラは好機を生かせず伸び悩んでいる。
成長分野を的確に見極めて攻めの戦略を打ち出せるかが、日本企業のシェア回復のカギを握っているといえそうだ。
(経営の視点)「挑戦者=アップル」が崩れる日 ブランド力揺らぐ危機に
高機能携帯端末「iPhone(アイフォーン)4」の受信トラブルで近年では珍しい逆風を浴びた米アップルは、20日に発表した4~6月期決算で改めて強さを見せつけた。売上高が前年同期比61%増の157億ドル(1兆3700億円)、純利益は78%増の33億ドル(2900億円)と、新興企業並みの高成長だ。
受信トラブルを巡っては購入者から訴えられ、米有力消費者専門誌に「購入を推奨しない」と宣言されるなど批判を浴びた。強気で知られるスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)も16日に記者会見を開き、不具合を陳謝。トラブルを防げるケースを無償配布することにした。
それでもiPhone4はトラブル発覚後も高い人気が続き、供給が追いつかない。日本でも購入申し込みから入荷まで1カ月以上待たされる状態だ。年内に「驚くべき新製品」を出すとも宣言しており、トラブルをはねのける快進撃がなお続きそうに見える。
だが実は、同社にとってより本質的な危機が、この快進撃そのものに潜んでいる。このまま成長すると、1976年の創業以来維持してきた、大多数の大衆とは一線を画す「非主流派」あるいは「挑戦者」といったブランドイメージが揺らぎかねないという難題だ。
IBM、マイクロソフト(MS)といった同時代で最強のIT(情報技術)企業を専制君主に見立て、自らは「革命家」の役割を演じることで、少数派が愛用する「かっこよい」イメージをまとってきたのがアップル。それが今年になって時価総額でMSを抜き、世界最大のIT企業になってしまった。
市場の人気投票結果である時価総額だけでなく、実業面でもアップルの直近四半期の売上高はMSの160億ドル(1兆3900億円)にほぼ並ぶ。しかも7~9月期の売上高は180億ドル(1兆5700億円)に伸びる見込みで、売り上げでもMSを超えそうな勢いだ。
これまでも多くの企業や製品が大きく強くなり過ぎることでブランド力を失ってきた。モノでもサービスでも普及すれば「ありふれたもの」になるリスクが高まり、強くなれば若い挑戦者ではなく老練な王者にみられるからだ。
MSはとっくの昔にブランド戦略の目標を特別感ではなく、「親しみやすさ」に定めている。同社のスティーブ・バルマーCEOは昨秋、「アップルは少数のためのぜいたく品を作っているが、MSは大衆全員のための実務ソフトを作っている」と語った。
元来、MSに対する挑戦者というブランドイメージで支持を拡大してきたグーグルも、検索とネット広告で圧倒的なシェアを獲得したことでブランド戦略の難しさに直面している。ことあるごとに欧米独禁当局の調査をうけ、消費者団体や政府からプライバシー侵害の指摘を受けるようになった。独占力を持った「脅威」とみられる局面が増えているのだ。
人気が拡大するほどブランド力を失う危機が高まるというパラドックスをどう乗り越えるのか。マーケティングの天才と評されるジョブズ氏にとって、創業以来、最も難しい挑戦になるかもしれない。
ソニー、2四半期ぶりの営業黒字に
4~6月期 電機大手、相次ぎ転換
ソニーの2010年4~6月期は、本業のもうけを示す連結営業損益(米国会計基準)が100億~300億円の黒字に転換したもようだ。前年同期は257億円の赤字。新興国でデジタルカメラやパソコンの販売が拡大した。これまでの合理化に増収効果が加わり、4~6月期はパナソニックや東芝など電機大手が相次いで営業黒字に浮上したもようだ。
ソニーが四半期ベースで営業黒字を計上するのは2四半期ぶり。主要製品の売り上げが中国などで増えた。デジカメはレンズ交換式の新製品が好調だ。パソコンやビデオカメラも伸びた。液晶テレビは国内外で好調で、価格の下落幅が想定を下回る範囲に収まった。ゲームや携帯電話部門もコスト削減効果で黒字に転換したもようだ。
10年3月期には工場の統廃合や人員削減などで3300億円以上のコストを削った。この結果、売り上げが増えると利益が伸びやすくなり円高・ユーロ安の影響も吸収した。7月以降も増収は続いているようだ。
電機大手は08年秋の金融危機後の需要急減で業績が悪化。09年4~6月期は日立製作所や東芝などの営業損益が赤字になり、各社は人件費などの削減を急いできた。
富士通、アジア・北米に低価格帯パソコン投入
富士通は世界市場でのパソコン販売をテコ入れする。これまで手薄だった中国を含むアジアおよび北米市場での製品構成を見直し、400~600ドル程度の低価格帯モデルを投入する。製品ラインアップの拡充により伸びが見込める両市場での販売を強化、2012年度に世界でのパソコン販売台数を現在の1.8倍に当たる1000万台とする計画だ。
アジアで新たに市場投入するのは、液晶サイズ14型程度のノートパソコンなど。中国などアジアではこれまで、ブランドを維持するため800ドル以上の中・高級機種を中心に販売していたが、現地の販売店から低価格モデルへの要望が多いことから低価格機の投入に踏み切る。12年度までに販売台数を現在の3倍に当たる200万台に伸ばし、最終的には全体に占める低価格モデルの販売台数を約半分にする計画だ。
企業向けを中心に手掛けていた北米市場では、個人向け市場に新たに参入する。低価格モデルを中心に拡販し販売数量を確保しながら、企業向けも同社が手掛けるサーバーなどと抱き合わせてパソコンを販売するなどして、アジアと同様に販売台数を200万台程度に引き上げる。
富士通は09年4月に独シーメンスとの合弁会社との合弁を解消、富士通テクノロジー・ソリューションズ(FTS)として完全子会社化したのを機に、パソコン事業の立て直しに着手。世界的に製品プラットフォームの共通化や、部品調達の一本化を進めてきた。今後は製品戦略の見直しにより、これまで手薄だったアジアや北米市場の販売台数をテコ入れし、部品調達コストの低減など製品競争力を高める。
世界のパソコン市場は今後、新興国を中心に伸びが加速する見込み。こうした成長市場での低価格モデルの投入による販売台数の拡大戦略は、日系メーカーでは東芝が399ドル以下の新興国モデルの投入を始めているほか、ソニーが低価格機種の専任部署を設置。各社とも伸びしろの大きい新興国市場で販売台数を増やしたい考え。
ニッセン、iPadに通販カタログを配信 9月開始
ニッセンホールディングスは9月上旬、米アップルの多機能端末「iPad(アイパッド)」向けに通信販売カタログの配信を始める。婦人服や家具などを掲載し、指先のタッチでページをめくったり、商品の画像を拡大したりできる。値引きなどの情報も随時更新し、新規顧客の拡大につなげる。
8月に発行する婦人服カタログの秋号800ページを、アップルのソフト販売サイト「アップストア」から無料でダウンロードできるようにする。モデルの香里奈さんが薦めるセーターやスカート、薄くて暖かいダウンジャケットなどがある。商品の検索や口コミ紹介などの機能も追加していく計画だ。
キヤノンMJとアドビ、電子文書保全サービスで提携
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は米アドビシステムズと電子文書の保全サービスで提携する。アドビの電子文書保全システムをキヤノンMJグループを通じて販売する。日本企業の海外展開が広がる中、機密情報の外部流出を防ぐ同システムのニーズは高まると判断。電子文書に強いアドビと連携を深め、主力のデジタル複合機の販売拡大につなげる。
キヤノンMJと同社のIT(情報技術)サービス子会社、キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS、東京・港)が8月からアドビの電子文書保全システム「PDFポリシーサービス」を大手企業を中心に販売する。
システムはインターネットを経由してソフトを提供する「SaaS(サース)」と呼ぶ仕組みを採用し、サービスは12月に始める。
PDFポリシーサービスは、図面や仕様書など機密のPDFの閲覧や編集、印刷などの利用権限を企業内の組織ごとに細かく設定できる。キヤノンの複合機とも連動し、複合機で読み取った電子文書に同様に利用権限を定められる。アドビとキヤノンITS、キヤノンソフトウェア(東京・港)の3社でシステムを開発した。
オリコン、新人発掘支援でサイト
オリコンは芸能プロダクションなどによる新人発掘を支援する。芸能デビューを目指す全国の中高校生らの登録サイトを新設。俳優や歌手など志望分野別に閲覧できるようにし、プロダクションが効率よくスカウトできるようにする。
新サイトは「ORICONCASTINGNET(オリ☆キャス)」。個人情報や写真、自己PRなどを無料で登録できる。年齢制限は設けないが、未成年者については保護者の同意が条件。プロダクションは登録者を検索・閲覧したうえで面接などにより手軽に人材を発掘できる。
26日にパソコン向け、9月には携帯版の開設を予定する。一定の登録者を集め、サイトを通じてスカウトしたいプロダクションに10月から有料でサービスを提供する。原則月額制で、人材発掘による成功報酬などは発生しない。サイトを活用したオーディションも可能で、テレビ局や映画制作会社もエキストラなどを募集できる。初年度は20万人の登録を目指す。
オリコンはオーディション情報誌も発行しており、サイト内で雑誌の宣伝も展開し紙媒体の拡販も狙う。
日経社説
リスク恐れず世界で商機得る人と組織に
日本企業の経営者や従業員は世界で勝ち残っていけるだろうか。
日産自動車のカルロス・ゴーン社長はこの2年で60件も国際提携を実現した。独ダイムラーと小型車開発で、ロシアやインドのメーカーとは両国向けの戦略車で手を組んだ。
ブラジル出身で、母国語はポルトガル語。英語とフランス語も自在に操り、世界中を動き回る。日本の企業には、これほどグローバルに活躍できる経営者はいないだろう。
20億人の市場をつかめ
日本企業は岐路に立つ。人口減など国内市場の限界に直面し、海外に活路を求めても、現地での意思疎通や経営の能力に富む人材はあまりいないと気づかされる。結果的にグローバルな変化の波に乗り切れない。
ファーストリテイリングや楽天は2012年から英語を社内の共通語にする。世界の需要を追う経営へと脱皮し、売上高を現在の7~11倍に増やす計画だ。その成否は、10年後に20億人に達するというアジアの中間層の需要獲得にかかる。カギを握るのは、先兵となる意思疎通能力のある人材の確保と育成だ。
アジアの成長を自社の今後の成長にどう結びつけるかが日本企業の共通課題だが、新興国市場では韓国や中国の企業との競争も激しい。
日本の代表企業も、今やアジアのナンバーワンとはいえない。昨年の粗鋼生産量で中国の鉄鋼メーカー3社が新日本製鉄を抜き、韓国のポスコも新日鉄より上位だった。日用品ではユニ・チャームが新興国市場への進出で先んじたが、同社の株式の時価総額は新興メーカーの中国・恒安国際集団に逆転されている。
自動車では、独フォルクスワーゲン(VW)のヴィンターコーン社長が「もはや日本のメーカーには脅威を感じない」と語る。新興国市場に成長の重心が移ってから、日本企業の販売の伸びはパッとしないという意味だ。一方でライバル視するようになったのは韓国の現代自動車。中国や南米、アフリカで急速に販売を伸ばし、VWとぶつかっている。
グローバルな競争の構図は急激な変化を続けている。変化に取り残されないためには、迅速かつ的確に対応して意思決定できる人材、新たな成長市場に精通した人材が必要だ。
韓国では1997年のアジア通貨危機を機に業界再編を進め、各業種の大企業を1~2社に減らした。並行して進めたのが人材のグローバル化だ。サムスン電子は毎年、優秀な人材を世界各国に派遣して地域専門家を育て、人脈づくりや製品を売り込む原動力にしていった。
韓国は国全体が追い込まれた危機に直面して変革が進み、国も企業も一変した。「失われた20年」といわれる日本でも変化の兆しはある。
日立製作所は最近、海外勤務を経験せずに役員にはなれない決まりを設け、総合職の半分以上に海外経験をさせることも義務付けた。東芝は採用条件から日本語を外し、アジアから数十人を本社採用している。
だが、韓国の変化は企業カルチャーにも及ぶ。サムスン電子は「韓国で最も働きやすい会社」に選ばれている一方、1年で役員の半分が入れ替えられることも多い。役員の年間報酬は平均4億円。報酬も手厚いが責任も重く、成長のためにリスクを取るカルチャーを浸透させている。
照準を外に合わせる
日本は日本人の新卒一括採用、年功序列型の人事制度を真ん中に据えたままだ。リスクを取らない傾向が以前よりも強まり、これが日本の最大の弱点との指摘もある。人づくりのあり方で見直すべき点は多い。
米国ではIBM、ゼネラル・エレクトリック(GE)などが早い段階から幹部候補を、世界中で採用する従業員の中から絞り込み、帝王学を植え付ける体制ができている。
日本でも日産自動車、ソニーなどが似たシステムを採用しつつある。日産は社長直轄の人事諮問委員会を設け、数百ある幹部ポストの後継プランをつくり、絶えず進ちょく状況をみている。登用する人材の国籍や性別は問わず、逆に幹部候補には出身国や地域を超えた人事異動も受け入れるよう求めている。
日本中心ではなく世界市場に照準を合わせ直す企業も少しずつ出てきた。旭硝子はガラス事業の本部をブリュッセルに移し、東京はアジアの本部にした。日本たばこ産業(JT)は、旧RJRナビスコから買収した海外子会社の日本人副社長に、JTの社長より高い報酬を払う。
日本の本社にいるだけでは世界の動きは見えない。グローバルに活躍できる人材を確保して激しい変化についていき、リスクをとって一歩前に出ていく企業に――。人事と組織のあり方を見直し、これからの成長の土台づくりを進めよう。
Twitterに比べると利用者数が多く成熟期を迎えた感の強い、「mixi」や「GREE」などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)。時にはテレビCMを凌駕(りょうが)するほどのマーケティング効果を得ることができる。ホンダと、うどんチェーンのはなまる(東京都中央区)の最新の成功事例を紹介しよう。ホンダは、テレビとの接触時間が短く、「自動車離れ」も深刻化しつつある若年層の取り込みにmixiを活用した。はなまるは、店舗が近所にはない消費者への認知度を高めるためにGREEを使った。店舗が全国に点在する同社にとってテレビCMは費用対効果が低いのだ。
「ガッチャンCR-Z」「しのっちCR-Zのんのん」――。2010年2月から3月にかけて、ニックネームに「CR-Z」を加えたユーザーがSNS「mixi」上に一気に増えた。ホンダが2月11日からハイブリッドカー「CR-Z」の認知向上を狙って展開した「mixiアプリ」の「Ole!Ole!CR-Z」の“成果”だ。
テレビCM以上の効果を実感
CR-Zが当たるプレゼントキャンペーンを目当てに、3月31日までのキャンペーン期間で80万人超がアプリの利用登録をした。登録者だけではなく周りにいる「マイミク」(ミクシィ上の友人)もCR-Zという単語を目にすることとなった。この成果に、当初1万人の利用を想定していたというホンダの日本営業本部営業開発室マーケティング戦略ブロック主任の原寛和氏は、「見通しが甘かった。ソーシャルメディアのパワーを大きく感じた」と驚きを隠さない。
様々なメディアを用いたCR-Zのプロモーションにおいて、ネットに課せられたミッションは、20代~30代の製品認知を最大化することだった。そこで、同年代が多く利用するmixiを施策展開の場と決定。Ole!Ole!CR-Zの利用には、ニックネームにCR-Zという単語を加えることを条件とした。「CR-Zという記号的で愛着がわきにくいネーミングを逆手にとって、名前をネタにして遊んでもらい親しんでもらう」(原氏)ことが狙いだ。商品を売り込むより、ユーザーに面白がってもらってmixi上に自然に広まることを目指した。
アプリへの接触頻度を増やし、クチコミの広がりを後押しするためにアプリの設計には工夫を凝らした。まず20時間に1回、当選倍率が高まるサイコロを振れるようにして毎日のアクセスを促した。また、ユーザー間での広がりも意識して、20時間で5回までマイミクにサイコロを振る権利を与えられるといった、友人間で楽しめる仕組みを用意した。
ユーザーが爆発的に増えたポイントは2つあった。まずパソコン版に続き、2月25日にmixiアプリのケータイ版を提供した点。「増加ペースが提供前の1.5倍以上になった」(原氏)。もう1点は、周りの人のニックネームが急に変わったことを疑問に思った人が、その理由を尋ねるといったクチコミの連鎖が起こったことだ。
キャンペーンの成果から原氏は、「バナー広告を張り続けても80万人ものユーザーを動かすことは難しい。(mixiユーザーのような)特定の層に対しては、テレビCM以上の効果を得られる」とソーシャルメディアに大きな可能性を見いだしている。
企業が一方的にメッセージを発信し続けても大きな“うねり”は作り出せない。ユーザーを「協力者」と意識することが重要だ。
“乗っ取り”には不快感も
ホンダと似た事例に、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とデジタルガレージが4月1日から開催した、ツイートで「Tポイント」がたまるキャンペーンがある。この企画では、Twitterのアイコンに「I Love Tポイント」マークを張ると、10万ポイントが当たるWチャンスが用意されていた。Twitter公式ガイドサイト「twinavi」提供のツール「きせかえアイコン」を利用すれば、自分のアイコンに簡単にマークを張ることができた。
2009年12月には同様の仕組みで、自分のアイコンにサンタ帽を追加することがTwitter上で流行。これをネタにコミュニケーションしたユーザーも目立った。
だが一方で、ネット上の人格を構成する重要要素であるニックネームやアイコン画像を、“乗っとる”手法について、「えげつない」と不快感を示すユーザーもいることは確か。ネガティブ反応も一定割合出てくることは覚悟する必要がある。
ホンダは短期的に認知を獲得する施策の一方で、長期的なコミュニケーションを目指してキャラクター化したCR-Zを育てるmixiアプリ「クルっくー」も提供している。クルっくーでは、より長い間利用してもらうために、企業色を極力抑えた。「短期的な施策だけではなく、(ユーザーが)能動的に接触する機会を作る」(原氏)のが目的だ。その登録者数は6万人を超えたところ。今後はケータイ版の展開も検討する。
このように企業がキャンペーンでSNSを活用する際、その舞台は会員数2000万人(2010年4月時点)を擁する最大手mixiとなることが多いが、これを猛追しケータイユーザーを中心に1673万人(2009年12月時点)会員に達した「GREE」もソーシャルメディアとしての集客、訴求パワーが上昇している。
ユーザーからメニュー提案も
セルフ式うどん店「はなまるうどん」をチェーン展開するはなまる(東京都中央区)は、2010年3月17日から4月14日まで、GREE上でクーポンキャンペーンを開催した。同社のキャラクター「はなどんくん」を前面に立て、「友だちリンク」を結んだユーザーには50円割引クーポンのほか、プロフィールページをカスタマイズできる壁紙「きせかえプロフ」のはなまるオリジナル版を進呈。友だちリンクを1カ月で9万2000人以上を獲得した。
経営企画室販売促進担当で、同社のTwitterアカウント(@Hanamaru_Udon)の“中の人”である西脇有希子氏は、「当店は安さが魅力の一つだが、『安かろう悪かろう』ではない。品質のこだわりをしっかり伝えたかった」と語る。そのこだわりは企業サイトで何ページにもわたって掲載しているが、詳述するほど説明調になり、じっくりとは読んでもらいにくい。
そこでGREE上では、「今日は、えび天くんと一緒に、『うどんマイスター』の試験を見学に行ったんだ」など、はなどんくんの語り口調で興味を引く日記を用意。新メニューが決まる裏話には、「こんなメニューがあったら食べたい」というユーザーの声が自然と集まり、コミュニケーションが活性化した。
同社はこれまでほとんど広告を打ってこなかった。店舗数は現在全国270店ほど。アンケートで「はなまる未利用者」に理由を尋ねれば「近くにないから」が圧倒的多数を占める。テレビCMを流すには商圏外の人が多すぎる。それでもこの春に東京・新宿東口店がオープンするなど人口カバー率が高まり、認知度の向上に取り組むフェーズに差しかかっていた。「マス広告より1けた少ない額で、当初予想の5万人の倍近いユーザーと交流を持てたことの意味は大きい」(経営企画室長の佐野博章氏)。
好反響を得たことで第2回開催の機運も高まっている。ユーザー側がリンクを外さない限り友だちリンクは残るため、次回開催時には約9万人のユーザーから再スタートし、さらに“友だち”を積み上げていくことができる。単発ではなく継続・蓄積が効くソーシャルメディアのパワーが本領を発揮するのはこれからだ。
世界シェア 日本勢、薄れる存在感 液晶パネル、シャープ1ケタ台 白色LED 、日亜化学も守勢
世界シェアでは、調査対象26品目のうち自動車や白色発光ダイオード(LED)など6品目で日本企業が首位を確保した。ただ、中国企業の台頭や韓国勢の攻勢を受け、シェアを落とすケースも相次いでいる。世界市場で日本企業の存在感が薄れる傾向が一段と強まってきた。
新興国が追い上げるなか、日本勢が強みを発揮しているのはカメラの分野だ。デジタルカメラではコンパクト型の販売拡大に成功したニコンのシェアが上昇。ビデオカメラでも世界最軽量の機種が欧州で好調だったパナソニックがシェアを上げるなど、両品目とも上位を日本企業が占めた。
このほかNAND型フラッシュメモリーでは東芝がシェアを初の30%台に乗せ、サムスン電子との差を1ケタに縮めた。需要回復に合わせ、素早く減産緩和に踏み切ったことが奏功した。海水淡水化などに使う水処理膜(RO膜)でも、日東電工や東レが中東やアジアでの大型受注をテコにシェアを伸ばしている。
半面、IT(情報技術)関連では苦戦が目立つ。液晶パネルでは韓国の2社がさらにシェアを伸ばし、合計で4割を突破。シャープは5位を維持したものの、シェアは1ケタ台に低下した。
白色LEDでも日亜化学工業が4年連続で首位を守ったが、シェアは4.5ポイント低下した。大胆な投資戦略を進める韓国勢に押される状況が鮮明だ。
旺盛な新興国需要を背景に市場が拡大する分野も多いが、日本企業は追い風を生かしきれていない。自動車は中国などで需要が伸びているが、トヨタ自動車のシェアは1.1ポイント低下。新興国に強い独フォルクスワーゲンなどがシェアを上げた。
太陽電池でも存在感を増す中国企業(サンテックパワー製を使った米ネバダ州の大型発電所)
高成長が続く太陽電池でも、前年首位の独Qセルズが失速した代わりに上位に入ったのは、増産に積極的な米ファーストソーラーや中国サンテックパワーだった。シャープや京セラは好機を生かせず伸び悩んでいる。
成長分野を的確に見極めて攻めの戦略を打ち出せるかが、日本企業のシェア回復のカギを握っているといえそうだ。
(経営の視点)「挑戦者=アップル」が崩れる日 ブランド力揺らぐ危機に
高機能携帯端末「iPhone(アイフォーン)4」の受信トラブルで近年では珍しい逆風を浴びた米アップルは、20日に発表した4~6月期決算で改めて強さを見せつけた。売上高が前年同期比61%増の157億ドル(1兆3700億円)、純利益は78%増の33億ドル(2900億円)と、新興企業並みの高成長だ。
受信トラブルを巡っては購入者から訴えられ、米有力消費者専門誌に「購入を推奨しない」と宣言されるなど批判を浴びた。強気で知られるスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)も16日に記者会見を開き、不具合を陳謝。トラブルを防げるケースを無償配布することにした。
それでもiPhone4はトラブル発覚後も高い人気が続き、供給が追いつかない。日本でも購入申し込みから入荷まで1カ月以上待たされる状態だ。年内に「驚くべき新製品」を出すとも宣言しており、トラブルをはねのける快進撃がなお続きそうに見える。
だが実は、同社にとってより本質的な危機が、この快進撃そのものに潜んでいる。このまま成長すると、1976年の創業以来維持してきた、大多数の大衆とは一線を画す「非主流派」あるいは「挑戦者」といったブランドイメージが揺らぎかねないという難題だ。
IBM、マイクロソフト(MS)といった同時代で最強のIT(情報技術)企業を専制君主に見立て、自らは「革命家」の役割を演じることで、少数派が愛用する「かっこよい」イメージをまとってきたのがアップル。それが今年になって時価総額でMSを抜き、世界最大のIT企業になってしまった。
市場の人気投票結果である時価総額だけでなく、実業面でもアップルの直近四半期の売上高はMSの160億ドル(1兆3900億円)にほぼ並ぶ。しかも7~9月期の売上高は180億ドル(1兆5700億円)に伸びる見込みで、売り上げでもMSを超えそうな勢いだ。
これまでも多くの企業や製品が大きく強くなり過ぎることでブランド力を失ってきた。モノでもサービスでも普及すれば「ありふれたもの」になるリスクが高まり、強くなれば若い挑戦者ではなく老練な王者にみられるからだ。
MSはとっくの昔にブランド戦略の目標を特別感ではなく、「親しみやすさ」に定めている。同社のスティーブ・バルマーCEOは昨秋、「アップルは少数のためのぜいたく品を作っているが、MSは大衆全員のための実務ソフトを作っている」と語った。
元来、MSに対する挑戦者というブランドイメージで支持を拡大してきたグーグルも、検索とネット広告で圧倒的なシェアを獲得したことでブランド戦略の難しさに直面している。ことあるごとに欧米独禁当局の調査をうけ、消費者団体や政府からプライバシー侵害の指摘を受けるようになった。独占力を持った「脅威」とみられる局面が増えているのだ。
人気が拡大するほどブランド力を失う危機が高まるというパラドックスをどう乗り越えるのか。マーケティングの天才と評されるジョブズ氏にとって、創業以来、最も難しい挑戦になるかもしれない。
ソニー、2四半期ぶりの営業黒字に
4~6月期 電機大手、相次ぎ転換
ソニーの2010年4~6月期は、本業のもうけを示す連結営業損益(米国会計基準)が100億~300億円の黒字に転換したもようだ。前年同期は257億円の赤字。新興国でデジタルカメラやパソコンの販売が拡大した。これまでの合理化に増収効果が加わり、4~6月期はパナソニックや東芝など電機大手が相次いで営業黒字に浮上したもようだ。
ソニーが四半期ベースで営業黒字を計上するのは2四半期ぶり。主要製品の売り上げが中国などで増えた。デジカメはレンズ交換式の新製品が好調だ。パソコンやビデオカメラも伸びた。液晶テレビは国内外で好調で、価格の下落幅が想定を下回る範囲に収まった。ゲームや携帯電話部門もコスト削減効果で黒字に転換したもようだ。
10年3月期には工場の統廃合や人員削減などで3300億円以上のコストを削った。この結果、売り上げが増えると利益が伸びやすくなり円高・ユーロ安の影響も吸収した。7月以降も増収は続いているようだ。
電機大手は08年秋の金融危機後の需要急減で業績が悪化。09年4~6月期は日立製作所や東芝などの営業損益が赤字になり、各社は人件費などの削減を急いできた。
富士通、アジア・北米に低価格帯パソコン投入
富士通は世界市場でのパソコン販売をテコ入れする。これまで手薄だった中国を含むアジアおよび北米市場での製品構成を見直し、400~600ドル程度の低価格帯モデルを投入する。製品ラインアップの拡充により伸びが見込める両市場での販売を強化、2012年度に世界でのパソコン販売台数を現在の1.8倍に当たる1000万台とする計画だ。
アジアで新たに市場投入するのは、液晶サイズ14型程度のノートパソコンなど。中国などアジアではこれまで、ブランドを維持するため800ドル以上の中・高級機種を中心に販売していたが、現地の販売店から低価格モデルへの要望が多いことから低価格機の投入に踏み切る。12年度までに販売台数を現在の3倍に当たる200万台に伸ばし、最終的には全体に占める低価格モデルの販売台数を約半分にする計画だ。
企業向けを中心に手掛けていた北米市場では、個人向け市場に新たに参入する。低価格モデルを中心に拡販し販売数量を確保しながら、企業向けも同社が手掛けるサーバーなどと抱き合わせてパソコンを販売するなどして、アジアと同様に販売台数を200万台程度に引き上げる。
富士通は09年4月に独シーメンスとの合弁会社との合弁を解消、富士通テクノロジー・ソリューションズ(FTS)として完全子会社化したのを機に、パソコン事業の立て直しに着手。世界的に製品プラットフォームの共通化や、部品調達の一本化を進めてきた。今後は製品戦略の見直しにより、これまで手薄だったアジアや北米市場の販売台数をテコ入れし、部品調達コストの低減など製品競争力を高める。
世界のパソコン市場は今後、新興国を中心に伸びが加速する見込み。こうした成長市場での低価格モデルの投入による販売台数の拡大戦略は、日系メーカーでは東芝が399ドル以下の新興国モデルの投入を始めているほか、ソニーが低価格機種の専任部署を設置。各社とも伸びしろの大きい新興国市場で販売台数を増やしたい考え。
ニッセン、iPadに通販カタログを配信 9月開始
ニッセンホールディングスは9月上旬、米アップルの多機能端末「iPad(アイパッド)」向けに通信販売カタログの配信を始める。婦人服や家具などを掲載し、指先のタッチでページをめくったり、商品の画像を拡大したりできる。値引きなどの情報も随時更新し、新規顧客の拡大につなげる。
8月に発行する婦人服カタログの秋号800ページを、アップルのソフト販売サイト「アップストア」から無料でダウンロードできるようにする。モデルの香里奈さんが薦めるセーターやスカート、薄くて暖かいダウンジャケットなどがある。商品の検索や口コミ紹介などの機能も追加していく計画だ。
キヤノンMJとアドビ、電子文書保全サービスで提携
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は米アドビシステムズと電子文書の保全サービスで提携する。アドビの電子文書保全システムをキヤノンMJグループを通じて販売する。日本企業の海外展開が広がる中、機密情報の外部流出を防ぐ同システムのニーズは高まると判断。電子文書に強いアドビと連携を深め、主力のデジタル複合機の販売拡大につなげる。
キヤノンMJと同社のIT(情報技術)サービス子会社、キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS、東京・港)が8月からアドビの電子文書保全システム「PDFポリシーサービス」を大手企業を中心に販売する。
システムはインターネットを経由してソフトを提供する「SaaS(サース)」と呼ぶ仕組みを採用し、サービスは12月に始める。
PDFポリシーサービスは、図面や仕様書など機密のPDFの閲覧や編集、印刷などの利用権限を企業内の組織ごとに細かく設定できる。キヤノンの複合機とも連動し、複合機で読み取った電子文書に同様に利用権限を定められる。アドビとキヤノンITS、キヤノンソフトウェア(東京・港)の3社でシステムを開発した。
オリコン、新人発掘支援でサイト
オリコンは芸能プロダクションなどによる新人発掘を支援する。芸能デビューを目指す全国の中高校生らの登録サイトを新設。俳優や歌手など志望分野別に閲覧できるようにし、プロダクションが効率よくスカウトできるようにする。
新サイトは「ORICONCASTINGNET(オリ☆キャス)」。個人情報や写真、自己PRなどを無料で登録できる。年齢制限は設けないが、未成年者については保護者の同意が条件。プロダクションは登録者を検索・閲覧したうえで面接などにより手軽に人材を発掘できる。
26日にパソコン向け、9月には携帯版の開設を予定する。一定の登録者を集め、サイトを通じてスカウトしたいプロダクションに10月から有料でサービスを提供する。原則月額制で、人材発掘による成功報酬などは発生しない。サイトを活用したオーディションも可能で、テレビ局や映画制作会社もエキストラなどを募集できる。初年度は20万人の登録を目指す。
オリコンはオーディション情報誌も発行しており、サイト内で雑誌の宣伝も展開し紙媒体の拡販も狙う。
日経社説
リスク恐れず世界で商機得る人と組織に
日本企業の経営者や従業員は世界で勝ち残っていけるだろうか。
日産自動車のカルロス・ゴーン社長はこの2年で60件も国際提携を実現した。独ダイムラーと小型車開発で、ロシアやインドのメーカーとは両国向けの戦略車で手を組んだ。
ブラジル出身で、母国語はポルトガル語。英語とフランス語も自在に操り、世界中を動き回る。日本の企業には、これほどグローバルに活躍できる経営者はいないだろう。
20億人の市場をつかめ
日本企業は岐路に立つ。人口減など国内市場の限界に直面し、海外に活路を求めても、現地での意思疎通や経営の能力に富む人材はあまりいないと気づかされる。結果的にグローバルな変化の波に乗り切れない。
ファーストリテイリングや楽天は2012年から英語を社内の共通語にする。世界の需要を追う経営へと脱皮し、売上高を現在の7~11倍に増やす計画だ。その成否は、10年後に20億人に達するというアジアの中間層の需要獲得にかかる。カギを握るのは、先兵となる意思疎通能力のある人材の確保と育成だ。
アジアの成長を自社の今後の成長にどう結びつけるかが日本企業の共通課題だが、新興国市場では韓国や中国の企業との競争も激しい。
日本の代表企業も、今やアジアのナンバーワンとはいえない。昨年の粗鋼生産量で中国の鉄鋼メーカー3社が新日本製鉄を抜き、韓国のポスコも新日鉄より上位だった。日用品ではユニ・チャームが新興国市場への進出で先んじたが、同社の株式の時価総額は新興メーカーの中国・恒安国際集団に逆転されている。
自動車では、独フォルクスワーゲン(VW)のヴィンターコーン社長が「もはや日本のメーカーには脅威を感じない」と語る。新興国市場に成長の重心が移ってから、日本企業の販売の伸びはパッとしないという意味だ。一方でライバル視するようになったのは韓国の現代自動車。中国や南米、アフリカで急速に販売を伸ばし、VWとぶつかっている。
グローバルな競争の構図は急激な変化を続けている。変化に取り残されないためには、迅速かつ的確に対応して意思決定できる人材、新たな成長市場に精通した人材が必要だ。
韓国では1997年のアジア通貨危機を機に業界再編を進め、各業種の大企業を1~2社に減らした。並行して進めたのが人材のグローバル化だ。サムスン電子は毎年、優秀な人材を世界各国に派遣して地域専門家を育て、人脈づくりや製品を売り込む原動力にしていった。
韓国は国全体が追い込まれた危機に直面して変革が進み、国も企業も一変した。「失われた20年」といわれる日本でも変化の兆しはある。
日立製作所は最近、海外勤務を経験せずに役員にはなれない決まりを設け、総合職の半分以上に海外経験をさせることも義務付けた。東芝は採用条件から日本語を外し、アジアから数十人を本社採用している。
だが、韓国の変化は企業カルチャーにも及ぶ。サムスン電子は「韓国で最も働きやすい会社」に選ばれている一方、1年で役員の半分が入れ替えられることも多い。役員の年間報酬は平均4億円。報酬も手厚いが責任も重く、成長のためにリスクを取るカルチャーを浸透させている。
照準を外に合わせる
日本は日本人の新卒一括採用、年功序列型の人事制度を真ん中に据えたままだ。リスクを取らない傾向が以前よりも強まり、これが日本の最大の弱点との指摘もある。人づくりのあり方で見直すべき点は多い。
米国ではIBM、ゼネラル・エレクトリック(GE)などが早い段階から幹部候補を、世界中で採用する従業員の中から絞り込み、帝王学を植え付ける体制ができている。
日本でも日産自動車、ソニーなどが似たシステムを採用しつつある。日産は社長直轄の人事諮問委員会を設け、数百ある幹部ポストの後継プランをつくり、絶えず進ちょく状況をみている。登用する人材の国籍や性別は問わず、逆に幹部候補には出身国や地域を超えた人事異動も受け入れるよう求めている。
日本中心ではなく世界市場に照準を合わせ直す企業も少しずつ出てきた。旭硝子はガラス事業の本部をブリュッセルに移し、東京はアジアの本部にした。日本たばこ産業(JT)は、旧RJRナビスコから買収した海外子会社の日本人副社長に、JTの社長より高い報酬を払う。
日本の本社にいるだけでは世界の動きは見えない。グローバルに活躍できる人材を確保して激しい変化についていき、リスクをとって一歩前に出ていく企業に――。人事と組織のあり方を見直し、これからの成長の土台づくりを進めよう。
週刊誌、女性誌、ファッション誌、ゴルフ誌......ツイッターに群がる出版業界の浅はかさ
──ウェブサービス“ツイッター”の人気ぶりが、大変なことになっている。「これはチャンス」とばかりに必死になっているのが、不調の続く出版業界だ。写真週刊誌からビジネス誌、スポーツ誌に至るまで、雑誌各誌が特集を組み、関連書籍も数多く出版された。この“ツイッター狂想曲”、一体いつまで続くのだろうか?
2006年7月、アメリカでObvious社(現Twitter社)がそのサービスを開始した簡易投稿サイト・ツイッター。140字以内で思っていることや今何をしてるかなどをつぶやくウェブサービスだが、その誕生時、誰がここまでの爆発的な大流行を予想していただろうか。08年には全世界で数百万人だったユーザー数は、09年にかけて順調に伸び、同年6月には数千万人を記録した(もっとも、そのあたりから利用者数は横ばいとも伝えられている)。
日本でもツイッターは、今や"超話題"のツールだ。日本語版が開始されたのは08年4月のことだが、当時は話題にはなったものの、一部のネット上の新情報に敏感な層を除いてほとんど利用されることはなく、流行には至らなかった。それが、昨年になって突如として存在感を増し、12月には200万人以上のユニークユーザーを抱える までになった。今年1月には500 万人、4月には1600万人とも報道されたユーザー数は、ツイッターを題材にしたテレビドラマ『素直になれなくて』(フジテレビ/4月15日~)などの影響もあってか、その勢いは現在も衰えることなく、順調に利用者を増やしている。
ツイッターが日本で急速に普及した理由としては、08年にソフトバンクから発売された次世代携帯端末・iPhoneのヒットが挙げられるだろう。 iPhoneそれ自体はビジネスマンやガジェット好きに訴えただけでなく、ソフトバンクの0円キャンペーンなどが功を奏し、昨年末の時点で国内販売台数は 200万台と伝えられている。ウェブサイトへのアクセスが手軽で、アプリの追加が容易なiPhoneは、各種クライアント(ツイッターを使うためのサービス、アプリケーション)が存在するツイッターの利用を手軽にし、昨夏の3GS機発売と、ツイッターの世間的な盛り上がりは軌を一にしたと見られている。
■広がるユーザー層と増える活用方法
ツイッターのすそ野は広い。インターネットに馴染みきっている若者のみならず、旧来のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の代表といえるミクシィにはハマれなかった中年層をも虜にしている。アスキー総合研究所による「ツイッター利用実態調査」(09年12月調べ)では、日本のユーザーの平均年齢は35・7歳だそうだ。
ツイッターは、これまでのブログやSNSにはなかったリアルタイム性・同期性を持つ、新しいコミュニケーション・サービスだ。
また忘れてはならないのが、140字という制約によって利用者の参入障壁を下げたこと。字数が少ないという前提は、書き込みをする気負いを軽減しているはず。手軽に書き込めて、なおかつ気の利いたツイート(ツイッター上での投稿)はRT(リツイート:他人のツイートを引用すること)され、受ければ受けるほど拡散していき、その盛り上がりが視認できる。業務連絡や宣伝、メモ帳がわりにも使え、ツイッターならではのイベント企画なども多く、時には著名人同士の論争の場にもなる。また動画配信サービスのような、人気のウェブサービスとの相性も良い。誰でも手軽に配信できる動画共有サービスとして、最近利用者を増やしているUSTREAMは、昨年5月に自サイトのチャットシステムをツイッターと同期させ、相互サービスの利用を促進させた。
利用者には著名人も多く、彼らのつぶやき見たさに利用しているユーザーもいる。タレントから芸人、政治家、言論人、果ては「こいつ何やってる人なの?」と首をかしげたくなるような一般人までが、数千から数万、中には数十万人のフォロワー(その人の投稿したつぶやきを閲覧できるように登録している人)を抱えている例もある。例えば“ツイッター伝道師”の呼び声が高い『Twitter社会論』(洋泉社)の著者でジャーナリストの津田大介氏のフォロワーは6万人を数える。彼らの言動は、下手な雑誌などよりもよっぽど影響力を持ち、ちょっとした情報発信の場となっている。また、宣伝やマーケティングのために公式アカウント(ツイッター上のID)を取得して参入する企業も多い。
■ユーザーもメディアもお祭り騒ぎさながら
確かにツイッターは今、新しく魅力的なサービスとして機能しており、久々の“新しいメディア”の登場に社会が盛り上がるのは無理もない。とはいえ、今の過熱気味の状況は、形容するなら「まるで子どもが新しいおもちゃを与えられたかのよう」という文句がぴったりに思える。
お祭り騒ぎさながらにこぞってツイッターを取り上げ、「ツイッター○○○」と銘打っておけば流行を押さえた気になっている雑誌やテレビ。ツイッターにのめり込むあまり、常にデバイスの画面から目を離さないユーザー。ツイッターでの実況を優先して、観客のほとんどが登壇者を見もしないで携帯やノートパソコンをいじってうつむいているトークイベント……。その異様な盛り上がりときたら、ハマっているユーザーを揶揄した、「『ツイッター信者』にその素晴らしさを熱く語られたときの平和で適当なかわし方」というコラムが大量のソーシャルブックマークを集めるほどだ。
子供や妊婦、高齢者は要注意? 3Dテレビで健康被害の警告
大手家電メーカーから次々に3Dテレビが発売され家電量販店で人気を集めているが、気になる話が聞こえてきた。
「サムスン電子のオーストラリア法人が、ウェブ上で3Dテレビの視聴によって健康被害が起こる可能性があるという警告を出したんです」(商品情報誌記者)
実は、国内の家電メーカーや放送局もホームページで注意を促している。
「3D映像の視聴年齢については、およそ五~六歳以上を目安にしてください」(パナソニック)
「視聴年齢は、およそ五~六歳以上が目安です。保護者は十分に気をつけてください」(BS11デジタル)
なぜ子供に悪影響が?
「六~七歳頃までは体のバランスを取る際、目からの入力に頼る割合がとても高い。そのため3Dテレビの様に刺激が強い映像を見るとバランスが取れなくなり、乗り物酔いに似た症状が出やすいんです」(岐阜大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科学分野 臨床准教授・青木光広さん)
サムスン電子は子供に加え、妊婦や高齢者、そして酒に酔っている場合も3Dテレビの視聴を控えるようにと警告。
「妊婦はホルモンバランスの関係で、酒に酔っている場合は副交感神経系がダウンするため、子供と同じように“酔い”が起きやすくなります。また、筋力が衰えている高齢者は、3Dテレビを見た直後にいきなり立ち上がると、体のバランスを崩して転倒する可能性があります」(同前)
健康な成人も例外ではない。
「仕事で3D製品を各種テストしていますが、2Dと比べると非常に眼が疲れ、乗り物酔いに似た感覚になります」(デジタル製品に詳しいビジネス書作家・戸田覚氏)
3D映画「アバター」を観て眼の疲れを訴えた人も多い。
「3Dテレビや映画は、左右の目に異なった位置から撮影した画像を見せて立体感を出しています。しかし、実際には画面と目の距離は左右同じですから、眼の調節機能が混乱して2Dより数倍強い疲労を感じると言われています」(東京医科歯科大学眼科学 臨床教授・清澤源弘氏)
三年後には出荷台数が現在の十倍以上になるという予測もある3Dテレビだが、鑑賞には酔い止め薬と目薬が必需品となる?
たばこ1000円で「やめる」8割=「絶対やめない」は2%弱―ネット調査
たばこが1箱1000円に値上げされたら、8割近くの人が禁煙する―。日本財団が実施したインターネット調査で、こうした結果が出たことが25日までに分かった。
調査は5月から6月にかけ実施し、約2万1000人の回答を集計。内訳は喫煙者が27.3%、非喫煙者が72・7%だった。
現在300円のマイルドセブンが10月から410円になることについて、喫煙者の9割弱が「かなり高い」または「やや高い」と回答。欧州などでは1箱平均1000円することから、喫煙者に1000円になったらやめるか尋ねたところ、「やめる」が38.8%、「たぶんやめる」は41.0%。合わせると断念派が約8割に達したが、「絶対やめない」人も1.8%いた。
中国政府、標準賃金公表へ…スト多発看過できず
【北京=幸内康】中国人的資源・社会保障省の尹成基報道官は23日の記者会見で、賃上げを求めるストライキが頻発していることに関連し、標準的な賃金水準や、各業種の一般的な労働コストなどを公表する考えを示した。
尹報道官は、「企業の賃金決定や労使交渉の重要な根拠にするため」と説明した。同時に、当局による監督や労働争議の解決にもさらに力を入れる考えを明らかにした。
また、尹報道官は「賃上げは企業の発展の能力を超えることはできない」と指摘し、行きすぎた賃上げに警戒感を示した。
同省によると、今年上半期に23の地方政府が最低賃金を引き上げた。引き上げ後の最高賃金は、上海市の月額1120元(約1万4400円)だった。
Wall Street通信◇企業収益の上振れにはしゃげない理由
発表が佳境の4~6月期の米企業決算が、市場の予想を超えて健闘している。内外景気の不透明感にもかかわらず株式相場が堅調な背景だ。ただ、内実にはもろさがのぞく。
トムソンロイターの集計によれば、主要500社中、23日までに175社が発表を終えた。アナリストによる未発表企業の推定も含めると、4~6月期の前年同月比の増益率は34%。発表が本格化する前の今月9日時点で見込んでいた増益率は27%だったので、7ポイントも上に振れた。
米企業には「ポジティブ・サプライズ」による株高を演出するために、予想をあらかじめ低めに出しておく傾向がある。それにしても、実際の利益が市場の事前予想を上回ったのが発表済み企業の78%に及ぶという実績は注目に値する。同社によると、この「ポジティブ・サプライズ率」の1994年以来の平均は62%にとどまるからだ。
ダウ工業株30種平均は決算発表が本格化する直前の9日の1万0198ドルから、23日の1万0424ドルまで上昇した。21日のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長による「(景気の)異例な不確かさ」発言に代表されるように、この間に市場で話題になっていたのは欧米を中心とする景気減速懸念。米企業業績の上振れは、これらの逆風を突いて株価を押し上げた。
だが、見落としてはならないポイントがある。業績が回復しているにもかかわらず、経営者の心理がさえないことだ。第1の理由は経営者の景況感にある。
「世界経済は多くの地域で不透明だ。欧州は財政危機で苦しんでいるし、中国の景気も減速している。(全般的に)消費者心理は弱まっている」。これは21日に飲料大手コカ・コーラのムーター・ケント最高経営責任者(CEO)が出した声明。16%増益を達成した決算発表に盛り込んだものとは思えないほど暗い内容だ。
利益の上振れと暗い景況感。この落差を探るために、もういちど主要500社の推定業績を点検してみよう。今度は収入に注目すると、23日時点の増収率は10%となっている。増益率との差が大きい上、9日時点の推定値9%からほとんど変わっていない。浮き上がるのは、増益はコストの削減などで確保したもので、収入の伸びがけん引しているわけではないという構図だ。コスト削減はいずれ限界に突き当たるので、収入が増える形での業績向上とは持続性で一線を画す。
経営者心理を湿らせている第2の理由は政治的なものだ。今月初旬、ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフリー・イメルトCEOが、経済危機後に強まった規制強化の傾向を批判したと報じられ、波紋を呼んだ。GEは報道を否定したが、5月にはニューヨークでの講演で本音を語っている。「政府が行動派に転じ、金融業界が大がかりな規制強化にさらされている。私はGEキャピタル(GEの金融部門)の立場を守りたい」。
イメルト氏の発言は規制強化が自社に及ぶ逆風を懸念したもの。だが景気全体への悪影響を露骨に批判した人物もいる。買収ファンド大手ブラックストーン・グループのトニー・ジェイムズ社長は22日の決算発表で、「金融業界は政治的な攻撃にさらされ、貸し渋りにつながっている」とまで語った。
「政権や議会のせいで、金融業界の人々は悪役にされたように感じている。(規制改革で)仕事のやり方がどう変わるのかも、誰が自分を規制するのかすらも不透明。このようなときは霧が晴れるまでじっとしているのが人間というものだ」。
経営者心理が好転しなければ設備投資や人員の採用は回復せず、経済全体の成長にもつながらない。そうなれば、いずれ投資家心理にも飛び火して相場の足を引っ張るだろう。こんなシナリオを考慮すれば、目先のポジティブ・サプライズにはしゃぎすぎるのは危ういことが分かる。
西日本新聞社説
経済財政白書 バブルの亡霊はらうには
本年度の経済財政白書は分厚かった。「はじめに」から「むすび」までが400ページを超える。前年度は280ページだったから、前年度比で45%の増量である。
経済白書から経済財政白書に衣替えして今回で10回目だが、本文が300ページを超えたことはなかったのではないか。
なぜ、こんな大冊になったのか。
白書冒頭の「公表にあたって」で経済財政担当相が次のように書いている。
日本経済の抱える課題の本質がここで大きく変わったわけではないが、対応は難しさが増している面がある。国民に対し説明責任を果たしつつ、適切に経済運営を行っていくには、これまで以上に的確な情勢の把握が求められる-と。
今回の白書は、これまでより丁寧に日本経済の現状を分析したうえで、課題解決の方向性を示したというわけだ。だから、大著になってしまったのだ、と。
確かに、思い付きのような経済政策、達成できそうもない目標などが安易に掲げられてはたまらない。与野党ともに今回の白書を参考書の一つに加えて、実りある国会論戦をしてもらいたい。
ところで、白書があらためて焦点をあてたのが1990年前後のバブル崩壊である。バブルの亡霊がいまなお日本国民を苦しめているという。亡霊の再登場にはいささか驚いたが、現状分析や今後の処方せんは常識的なものといえる。
バブル崩壊はすさまじかった。地価と株価は下がり続け、累計1500兆円超の資産価値の下落となったという。
不動産を担保に多額の借金をした企業は返済できなくなり、銀行など金融機関は巨額の不良債権を抱えた。企業倒産、失業率は過去最悪を更新し続けた。
失われた10年とも20年ともいわれる厳しい時代の記憶が人々の心に深く刻み込まれ、行動を左右しているという。
物価が上がらないのが当たり前になった。お金の回りが悪いのも安全志向が強いからだ。起業家やベンチャー企業などは資金が調達しづらい。低金利でも銀行などには国債が人気だから、財政は大赤字でも新規国債発行に支障が出ない。
これでは成長期待は高まらないと、白書は言う。どうするか。時代や社会の変化に合った産業や企業を育てる。そのために金融などの支援態勢をしっかりつくり、障害となる規制があれば取り除く。アジアなどで市場開拓を手助けする。
情報技術(IT)を活用して生産性を上げる余地は大きい。環境・エネルギー分野では逆に規制を強めることで新技術開発などを促せる、と白書は続ける。
いずれも目新しいアイデアではない。これらを組み合わせながら着実に回復軌道に乗せていこうというのだ。私たちも日本経済が短期間で一気に良くなる特効薬や魔法などないと考えている。
漢方薬のように時間をかけて、硬直した日本経済をほぐし、新陳代謝を促すのが有効かもしれない。打てる手を休まずに積み重ね経済再生を図るしかない。
──ウェブサービス“ツイッター”の人気ぶりが、大変なことになっている。「これはチャンス」とばかりに必死になっているのが、不調の続く出版業界だ。写真週刊誌からビジネス誌、スポーツ誌に至るまで、雑誌各誌が特集を組み、関連書籍も数多く出版された。この“ツイッター狂想曲”、一体いつまで続くのだろうか?
2006年7月、アメリカでObvious社(現Twitter社)がそのサービスを開始した簡易投稿サイト・ツイッター。140字以内で思っていることや今何をしてるかなどをつぶやくウェブサービスだが、その誕生時、誰がここまでの爆発的な大流行を予想していただろうか。08年には全世界で数百万人だったユーザー数は、09年にかけて順調に伸び、同年6月には数千万人を記録した(もっとも、そのあたりから利用者数は横ばいとも伝えられている)。
日本でもツイッターは、今や"超話題"のツールだ。日本語版が開始されたのは08年4月のことだが、当時は話題にはなったものの、一部のネット上の新情報に敏感な層を除いてほとんど利用されることはなく、流行には至らなかった。それが、昨年になって突如として存在感を増し、12月には200万人以上のユニークユーザーを抱える までになった。今年1月には500 万人、4月には1600万人とも報道されたユーザー数は、ツイッターを題材にしたテレビドラマ『素直になれなくて』(フジテレビ/4月15日~)などの影響もあってか、その勢いは現在も衰えることなく、順調に利用者を増やしている。
ツイッターが日本で急速に普及した理由としては、08年にソフトバンクから発売された次世代携帯端末・iPhoneのヒットが挙げられるだろう。 iPhoneそれ自体はビジネスマンやガジェット好きに訴えただけでなく、ソフトバンクの0円キャンペーンなどが功を奏し、昨年末の時点で国内販売台数は 200万台と伝えられている。ウェブサイトへのアクセスが手軽で、アプリの追加が容易なiPhoneは、各種クライアント(ツイッターを使うためのサービス、アプリケーション)が存在するツイッターの利用を手軽にし、昨夏の3GS機発売と、ツイッターの世間的な盛り上がりは軌を一にしたと見られている。
■広がるユーザー層と増える活用方法
ツイッターのすそ野は広い。インターネットに馴染みきっている若者のみならず、旧来のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の代表といえるミクシィにはハマれなかった中年層をも虜にしている。アスキー総合研究所による「ツイッター利用実態調査」(09年12月調べ)では、日本のユーザーの平均年齢は35・7歳だそうだ。
ツイッターは、これまでのブログやSNSにはなかったリアルタイム性・同期性を持つ、新しいコミュニケーション・サービスだ。
また忘れてはならないのが、140字という制約によって利用者の参入障壁を下げたこと。字数が少ないという前提は、書き込みをする気負いを軽減しているはず。手軽に書き込めて、なおかつ気の利いたツイート(ツイッター上での投稿)はRT(リツイート:他人のツイートを引用すること)され、受ければ受けるほど拡散していき、その盛り上がりが視認できる。業務連絡や宣伝、メモ帳がわりにも使え、ツイッターならではのイベント企画なども多く、時には著名人同士の論争の場にもなる。また動画配信サービスのような、人気のウェブサービスとの相性も良い。誰でも手軽に配信できる動画共有サービスとして、最近利用者を増やしているUSTREAMは、昨年5月に自サイトのチャットシステムをツイッターと同期させ、相互サービスの利用を促進させた。
利用者には著名人も多く、彼らのつぶやき見たさに利用しているユーザーもいる。タレントから芸人、政治家、言論人、果ては「こいつ何やってる人なの?」と首をかしげたくなるような一般人までが、数千から数万、中には数十万人のフォロワー(その人の投稿したつぶやきを閲覧できるように登録している人)を抱えている例もある。例えば“ツイッター伝道師”の呼び声が高い『Twitter社会論』(洋泉社)の著者でジャーナリストの津田大介氏のフォロワーは6万人を数える。彼らの言動は、下手な雑誌などよりもよっぽど影響力を持ち、ちょっとした情報発信の場となっている。また、宣伝やマーケティングのために公式アカウント(ツイッター上のID)を取得して参入する企業も多い。
■ユーザーもメディアもお祭り騒ぎさながら
確かにツイッターは今、新しく魅力的なサービスとして機能しており、久々の“新しいメディア”の登場に社会が盛り上がるのは無理もない。とはいえ、今の過熱気味の状況は、形容するなら「まるで子どもが新しいおもちゃを与えられたかのよう」という文句がぴったりに思える。
お祭り騒ぎさながらにこぞってツイッターを取り上げ、「ツイッター○○○」と銘打っておけば流行を押さえた気になっている雑誌やテレビ。ツイッターにのめり込むあまり、常にデバイスの画面から目を離さないユーザー。ツイッターでの実況を優先して、観客のほとんどが登壇者を見もしないで携帯やノートパソコンをいじってうつむいているトークイベント……。その異様な盛り上がりときたら、ハマっているユーザーを揶揄した、「『ツイッター信者』にその素晴らしさを熱く語られたときの平和で適当なかわし方」というコラムが大量のソーシャルブックマークを集めるほどだ。
子供や妊婦、高齢者は要注意? 3Dテレビで健康被害の警告
大手家電メーカーから次々に3Dテレビが発売され家電量販店で人気を集めているが、気になる話が聞こえてきた。
「サムスン電子のオーストラリア法人が、ウェブ上で3Dテレビの視聴によって健康被害が起こる可能性があるという警告を出したんです」(商品情報誌記者)
実は、国内の家電メーカーや放送局もホームページで注意を促している。
「3D映像の視聴年齢については、およそ五~六歳以上を目安にしてください」(パナソニック)
「視聴年齢は、およそ五~六歳以上が目安です。保護者は十分に気をつけてください」(BS11デジタル)
なぜ子供に悪影響が?
「六~七歳頃までは体のバランスを取る際、目からの入力に頼る割合がとても高い。そのため3Dテレビの様に刺激が強い映像を見るとバランスが取れなくなり、乗り物酔いに似た症状が出やすいんです」(岐阜大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科学分野 臨床准教授・青木光広さん)
サムスン電子は子供に加え、妊婦や高齢者、そして酒に酔っている場合も3Dテレビの視聴を控えるようにと警告。
「妊婦はホルモンバランスの関係で、酒に酔っている場合は副交感神経系がダウンするため、子供と同じように“酔い”が起きやすくなります。また、筋力が衰えている高齢者は、3Dテレビを見た直後にいきなり立ち上がると、体のバランスを崩して転倒する可能性があります」(同前)
健康な成人も例外ではない。
「仕事で3D製品を各種テストしていますが、2Dと比べると非常に眼が疲れ、乗り物酔いに似た感覚になります」(デジタル製品に詳しいビジネス書作家・戸田覚氏)
3D映画「アバター」を観て眼の疲れを訴えた人も多い。
「3Dテレビや映画は、左右の目に異なった位置から撮影した画像を見せて立体感を出しています。しかし、実際には画面と目の距離は左右同じですから、眼の調節機能が混乱して2Dより数倍強い疲労を感じると言われています」(東京医科歯科大学眼科学 臨床教授・清澤源弘氏)
三年後には出荷台数が現在の十倍以上になるという予測もある3Dテレビだが、鑑賞には酔い止め薬と目薬が必需品となる?
たばこ1000円で「やめる」8割=「絶対やめない」は2%弱―ネット調査
たばこが1箱1000円に値上げされたら、8割近くの人が禁煙する―。日本財団が実施したインターネット調査で、こうした結果が出たことが25日までに分かった。
調査は5月から6月にかけ実施し、約2万1000人の回答を集計。内訳は喫煙者が27.3%、非喫煙者が72・7%だった。
現在300円のマイルドセブンが10月から410円になることについて、喫煙者の9割弱が「かなり高い」または「やや高い」と回答。欧州などでは1箱平均1000円することから、喫煙者に1000円になったらやめるか尋ねたところ、「やめる」が38.8%、「たぶんやめる」は41.0%。合わせると断念派が約8割に達したが、「絶対やめない」人も1.8%いた。
中国政府、標準賃金公表へ…スト多発看過できず
【北京=幸内康】中国人的資源・社会保障省の尹成基報道官は23日の記者会見で、賃上げを求めるストライキが頻発していることに関連し、標準的な賃金水準や、各業種の一般的な労働コストなどを公表する考えを示した。
尹報道官は、「企業の賃金決定や労使交渉の重要な根拠にするため」と説明した。同時に、当局による監督や労働争議の解決にもさらに力を入れる考えを明らかにした。
また、尹報道官は「賃上げは企業の発展の能力を超えることはできない」と指摘し、行きすぎた賃上げに警戒感を示した。
同省によると、今年上半期に23の地方政府が最低賃金を引き上げた。引き上げ後の最高賃金は、上海市の月額1120元(約1万4400円)だった。
Wall Street通信◇企業収益の上振れにはしゃげない理由
発表が佳境の4~6月期の米企業決算が、市場の予想を超えて健闘している。内外景気の不透明感にもかかわらず株式相場が堅調な背景だ。ただ、内実にはもろさがのぞく。
トムソンロイターの集計によれば、主要500社中、23日までに175社が発表を終えた。アナリストによる未発表企業の推定も含めると、4~6月期の前年同月比の増益率は34%。発表が本格化する前の今月9日時点で見込んでいた増益率は27%だったので、7ポイントも上に振れた。
米企業には「ポジティブ・サプライズ」による株高を演出するために、予想をあらかじめ低めに出しておく傾向がある。それにしても、実際の利益が市場の事前予想を上回ったのが発表済み企業の78%に及ぶという実績は注目に値する。同社によると、この「ポジティブ・サプライズ率」の1994年以来の平均は62%にとどまるからだ。
ダウ工業株30種平均は決算発表が本格化する直前の9日の1万0198ドルから、23日の1万0424ドルまで上昇した。21日のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長による「(景気の)異例な不確かさ」発言に代表されるように、この間に市場で話題になっていたのは欧米を中心とする景気減速懸念。米企業業績の上振れは、これらの逆風を突いて株価を押し上げた。
だが、見落としてはならないポイントがある。業績が回復しているにもかかわらず、経営者の心理がさえないことだ。第1の理由は経営者の景況感にある。
「世界経済は多くの地域で不透明だ。欧州は財政危機で苦しんでいるし、中国の景気も減速している。(全般的に)消費者心理は弱まっている」。これは21日に飲料大手コカ・コーラのムーター・ケント最高経営責任者(CEO)が出した声明。16%増益を達成した決算発表に盛り込んだものとは思えないほど暗い内容だ。
利益の上振れと暗い景況感。この落差を探るために、もういちど主要500社の推定業績を点検してみよう。今度は収入に注目すると、23日時点の増収率は10%となっている。増益率との差が大きい上、9日時点の推定値9%からほとんど変わっていない。浮き上がるのは、増益はコストの削減などで確保したもので、収入の伸びがけん引しているわけではないという構図だ。コスト削減はいずれ限界に突き当たるので、収入が増える形での業績向上とは持続性で一線を画す。
経営者心理を湿らせている第2の理由は政治的なものだ。今月初旬、ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフリー・イメルトCEOが、経済危機後に強まった規制強化の傾向を批判したと報じられ、波紋を呼んだ。GEは報道を否定したが、5月にはニューヨークでの講演で本音を語っている。「政府が行動派に転じ、金融業界が大がかりな規制強化にさらされている。私はGEキャピタル(GEの金融部門)の立場を守りたい」。
イメルト氏の発言は規制強化が自社に及ぶ逆風を懸念したもの。だが景気全体への悪影響を露骨に批判した人物もいる。買収ファンド大手ブラックストーン・グループのトニー・ジェイムズ社長は22日の決算発表で、「金融業界は政治的な攻撃にさらされ、貸し渋りにつながっている」とまで語った。
「政権や議会のせいで、金融業界の人々は悪役にされたように感じている。(規制改革で)仕事のやり方がどう変わるのかも、誰が自分を規制するのかすらも不透明。このようなときは霧が晴れるまでじっとしているのが人間というものだ」。
経営者心理が好転しなければ設備投資や人員の採用は回復せず、経済全体の成長にもつながらない。そうなれば、いずれ投資家心理にも飛び火して相場の足を引っ張るだろう。こんなシナリオを考慮すれば、目先のポジティブ・サプライズにはしゃぎすぎるのは危ういことが分かる。
西日本新聞社説
経済財政白書 バブルの亡霊はらうには
本年度の経済財政白書は分厚かった。「はじめに」から「むすび」までが400ページを超える。前年度は280ページだったから、前年度比で45%の増量である。
経済白書から経済財政白書に衣替えして今回で10回目だが、本文が300ページを超えたことはなかったのではないか。
なぜ、こんな大冊になったのか。
白書冒頭の「公表にあたって」で経済財政担当相が次のように書いている。
日本経済の抱える課題の本質がここで大きく変わったわけではないが、対応は難しさが増している面がある。国民に対し説明責任を果たしつつ、適切に経済運営を行っていくには、これまで以上に的確な情勢の把握が求められる-と。
今回の白書は、これまでより丁寧に日本経済の現状を分析したうえで、課題解決の方向性を示したというわけだ。だから、大著になってしまったのだ、と。
確かに、思い付きのような経済政策、達成できそうもない目標などが安易に掲げられてはたまらない。与野党ともに今回の白書を参考書の一つに加えて、実りある国会論戦をしてもらいたい。
ところで、白書があらためて焦点をあてたのが1990年前後のバブル崩壊である。バブルの亡霊がいまなお日本国民を苦しめているという。亡霊の再登場にはいささか驚いたが、現状分析や今後の処方せんは常識的なものといえる。
バブル崩壊はすさまじかった。地価と株価は下がり続け、累計1500兆円超の資産価値の下落となったという。
不動産を担保に多額の借金をした企業は返済できなくなり、銀行など金融機関は巨額の不良債権を抱えた。企業倒産、失業率は過去最悪を更新し続けた。
失われた10年とも20年ともいわれる厳しい時代の記憶が人々の心に深く刻み込まれ、行動を左右しているという。
物価が上がらないのが当たり前になった。お金の回りが悪いのも安全志向が強いからだ。起業家やベンチャー企業などは資金が調達しづらい。低金利でも銀行などには国債が人気だから、財政は大赤字でも新規国債発行に支障が出ない。
これでは成長期待は高まらないと、白書は言う。どうするか。時代や社会の変化に合った産業や企業を育てる。そのために金融などの支援態勢をしっかりつくり、障害となる規制があれば取り除く。アジアなどで市場開拓を手助けする。
情報技術(IT)を活用して生産性を上げる余地は大きい。環境・エネルギー分野では逆に規制を強めることで新技術開発などを促せる、と白書は続ける。
いずれも目新しいアイデアではない。これらを組み合わせながら着実に回復軌道に乗せていこうというのだ。私たちも日本経済が短期間で一気に良くなる特効薬や魔法などないと考えている。
漢方薬のように時間をかけて、硬直した日本経済をほぐし、新陳代謝を促すのが有効かもしれない。打てる手を休まずに積み重ね経済再生を図るしかない。