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快走 3D映画 興業収入トップ3独占
国内8月時点、「トイ・ストーリー3」も100億円
3次元(3D)映画の快走が続いている。7月に日本で公開された3Dアニメ「トイ・ストーリー3」の劇場興行収入が100億円を記録。SF作品「アバター」とファンタジー「アリス・イン・ワンダーランド」に続く大台突破で、8月末時点の邦画・洋画を合わせた国内興収でトップ3を3Dの洋画が占めた。
洋画3作品が興収100億円以上を記録したのは2004年以来、6年ぶり。近年は洋画の不振が続いていたが、斬新な立体映像を楽しめる3Dをてこに消費者の関心をひき付けているようだ。
日本映画製作者連盟がまとめた8月29日時点の興収でトイ・ストーリー3は約99億円。すでに100億円を超え、今年の公開作品の中で3位に付けた。1位はアバター(昨年12月公開)で155億円、2位はアリス・イン・ワンダーランド(4月公開)の118億円。
同連盟によると、洋画のシェアは2008年から2年連続で邦画を下回った。年末にかけて3Dの話題作が控える洋画の勢いがこのまま続けば、興収シェアで邦画を再び上回る可能性がある。
スズキ、インドに新工場 日本上回る年170万台体制
【ニューデリー=大西穣】スズキはインドで四輪車の新工場を建設する方針を固めた。年間生産能力は25万台で、早ければ2013年に稼働させる。インドでの年産能力は最大170万台に拡大する見込みで、日本を大きく上回る。スズキは同国で5割近い乗用車シェアを持つ最大手だが、トヨタ自動車や日産自動車など世界の大手が攻勢を強めている。急拡大する市場で安定した供給体制を築き、競争激化に備える。
スズキは外資で最も早い1983年にインド生産を始め、12年に年産能力を145万台に拡張する。今回の新工場建設で日本の3工場合計(年産能力140万台)を大きく上回り、インドが世界最大の生産拠点との位置付けが明確になる。
現地四輪子会社マルチ・スズキが約300億円を投じ、首都ニューデリー近郊のハリヤナ州マネサールに設ける。同地区では年産能力30万台の工場(年内に35万台に増強)が07年に稼働。12年春の稼働を目指し年産25万台の第2工場も建設中だ。並行して新工場の建屋も設置、需要動向をにらみながら設備を導入する。生産車種は現地で売れ筋の「アルト」「ワゴンR」といった小型車が中心になるとみられる。
同州グルガオンの工場(年内に年産能力85万台に増強)は老朽化が進んでいる。鈴木修会長兼社長は「マネサールで生産余力を蓄えておき、グルガオンの改修が必要になっても安定生産できる体制を構築したい」と話す。
インドの乗用車市場は09年度に前年度比25.6%増の約195万台に拡大。10年度も毎月3割前後の高い伸びを維持しており、マルチ・スズキも工場のフル操業が続いている。8月は輸出を含め10万5千台を出荷し、過去最高を更新した。
インドの乗用車市場を切り開いたスズキは今も5割近いシェアを維持。同社の連結営業利益は3分の2をインド事業が稼ぎ出しているとされる。インドで首位固めを急ぎながら収益力を磨き、アジアや欧州などでの事業強化につなげる。
インドでは日産が7月に戦略小型車「マイクラ(日本名マーチ)」を発売、トヨタやホンダも11年までに戦略小型車を投入する計画だ。インド財閥グループのタタ自動車が最低価格20万円台の小型車「ナノ」の出荷を本格化させるなど、地元メーカーを巻き込んだ競争も予想されている。
セガガ、タッチパネル式ゲーム機を施設向けに展開
セガはタッチパネル式のゲーム機をアミューズメント施設向けに展開する。専用のカードを画面下にあるタッチパネル式の盤面上に置いたり、手でたたいたりして、画面内のキャラクターを操作する。施設向けのゲーム機はボタンやレバーを操作するのが一般的だが、カードを使い直感的な操作が楽しめることを売りにする。
今秋に展開するアクションゲーム「戦国大戦」で採用する。利用料金を支払うと、戦国時代の武将などがプリントされた専用カードがゲーム機から排出される。
盤面上にカードを置く場所によって攻撃エリアが指定できる。盤面をたたくと攻撃をするしかけでタッチ式の操作性を楽しめる。
中国、自動車業界の過剰投資を抑制 2015年に3千万台超
新華社電によると、中国国家発展改革委員会の陳斌産業協調局長は4日、国内主要自動車メーカー30社の計画を合計すると2015年末の生産能力が市場の需要を大幅に上回る3124万台に急拡大するとして、過剰な投資を厳しく抑制する方針を示した。天津市で開かれた自動車業界の国際フォーラムで語った。
中国の新車販売台数は昨年、1364万台で世界一となったが、主要30社の昨年末の生産能力は1359万台で、15年末には2.3倍となる計画。陳局長は「著しく過剰な生産能力は自動車産業の健全な発展を阻害し、マクロ経済にも悪影響を与える」と指摘し、抑制策として投資に対する優遇政策の見直しや業界に対するモニターの強化、審査の厳格化などを挙げた。
年内発売を目標 まずは国内投入 東芝 裸眼3Dテレビ来月発表
東芝は2日、専用メガネを用いずに裸眼で立体映像を楽しめる3次元(3D)液晶テレビについて、10月に価格やサイズなどの詳細を発表することを明らかにした。
まずは国内投入を検討しており、年内発売を目標に準備を進めているとみられる。
このほか、欧州での液晶テレビ販売強化のため、ロシアで液晶テレビ生産に乗り出す方針だ。
同社の大角正明ビジュアルプロダクツ社社長が2日、独ベルリンでフジサンケイビジネスアイの取材に応じ、明らかにした。大角社長は裸眼3Dのサイズについて、「40インチ以上の大型サイズではパネル技術や映像処理の面でも厳しい」と説明。すでにパチンコなど娯楽機器向けとして開発した21型など、中小型が中心となる可能性を示した。
このほか、11年度に欧州での薄型テレビのシェアを現状の約7%から10%に引き上げる方針も公表。英国やフランスに比べ、ドイツ、ロシアでは液晶テレビの普及率が50%以下程度にとどまっていることから、両国を中心に高価格帯製品の販売を伸ばしたい考えだ。
欧州展開の一環として、ロシアでの現地生産を検討。すでにサムスン電子とLG電子の韓国2強が同国で生産を開始しており、大角社長は「2011年の春から夏にかけて始めたい」と、すでに調整段階にあることを明らかにした。
また、ドイツでは大手家電量販店に加え、独立系の家電販売店などとも連携を強化し、「日本の品質」を売りにブランド価値を高めていくという。
ただ、足元の円高とユーロ安が「拡販にあたっての大きな課題」という。東芝の調べによると、欧州のテレビ市場は伸び率こそ低いものの、09年時点で世界の3分の1に当たる4700万台を占める最大市場。
大角社長は「わずか数カ月でユーロが20%下がったが、だからといって単純に価格を20%上げられるわけがなく、コスト低減は大きな課題」と述べ、「きちんと運営する以外に生き残る道はない」とした。
JIS法の認証対象 医療・介護サービスにも拡大へ 経産省検討
カロリーを取りすぎない食事制限指導による疾病予防、リハビリ補助といった医療・介護周辺サービスに求められる「基準」を策定するため、経済産業省が平成23年度中に工業標準化法(通称JIS法)の改正を検討する方針を固めたことが4日、分かった。鉱工業品やその関連作業に限られる適用範囲を拡大することで、「医療生活産業」のサービス向上に弾みをつけたい考えだ。
食事指導やリハビリ補助などには、公的保険の対象である医療・介護分野との線引きが不明確な部分も多い。JIS法の認証対象になれば、産業としての位置づけが明確になるだけでなく、民間企業のさらなる参入を促す効果が期待されている。
現行のJIS法では、製品が基準を満たしている場合、承認を受けた機関の認定を得てJISマークを表示できる。国の「規格」制定によって全国的に単純化する目的に加えて、第三者による認証制度の導入には「安心感を与える」(経産省幹部)狙いもある。医療・介護周辺サービスが認証対象になれば、JISマーク付きサービスが誕生しそうだ。
医療生活産業の定義について、政府は「医療や介護が必要な状態から健康な生活に戻ることを支援するサービス」とし、リハビリ補助やエステ、フィットネス、ハウスキーピングなどといった幅広い業務を想定している。すでに経産省は法改正に向けた調査研究事業を決め、企業や自治体にとって制度上の問題点の検討を進めている。
政府が今年6月に閣議決定した新成長戦略の中でも医療生活産業は重点分野の一つとされ、10年後の平成32年までに市場規模25兆円、80万人の新規雇用を創出する目標を立てている。
◇
工業標準化法 昭和24年、鉱工業の品質改善と生産合理化の目的で制定された。製品の種類、材料、形状、寸法などを標準化することによって品質の安定と生産効率の向上を目指している。
【民主党代表選】焦る産業界、法人税と環境税に戦々恐々
民主党代表選に注目が集まる中、産業界が法人税と平成23年度から実施する環境税の行方に戦々恐々としている。国際的に高いとされる日本企業の法人税について小沢一郎前幹事長が「高くない」と発言したほか、来年度税制改正で経済産業省が石油石炭税の増税を要望し、事実上、環境税の創設にかじを切ったためだ。円高で輸出競争力低下に悩む産業界にとって「減税なき増税」は避けたいだけに、困惑も広がっている。
「社会保険の負担を含めて比べれば高いとはいえない。もうかった分を社員にどれだけ配分するかが大事ではないか」
日本の法人税率の水準について小沢氏はテレビ番組でこう語り、引き下げを実施する場合、社員への利益配分を念頭に置くべきだとの考えを明らかにした。
来年度税制改正で、経産省は実効税率40%超の法人税(国税)の基本税率の5%引き下げを求めた。経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国の平均約26%に比べると「引き下げは当然」(自動車メーカー)というわけだ。しかし、鉄鋼業界の関係者は「仮に小沢氏が当選し、首相に就任したら法人税引き下げなどありえないことが分かった」と表情を曇らせる。
「産業界を裏切るつもりですか」。「そうではありません」
民主党代表選が菅直人首相と小沢氏の一騎打ちと決まる直前の8月下旬、経産省幹部と産業界の代表者らが議論を交わした。これまで環境税に異論を唱えていた経産省が一転、既存の石油石炭税の課税強化を提案したからだ。
実施方針のみが決まっている環境税だが、具体的な課税方法は煮詰まっていない。「議論に参加し、産業界の意向を反映させたい」という経産省は、菅首相と小沢氏のどちらが組閣しても、新成長戦略やエネルギー基本計画の策定といった課題を抱える。それだけに「財源確保が必至と判断したのではないか」(財務省)とみる向きも強い。
環境税導入にあたって、産業界は温室効果ガス排出量取引制度や再生可能エネルギーで発電した電気の「全量買い取り制度」とのセットで家計や企業への負担のバランスを考慮すべきだとしている。こうした議論も行われないまま、日本企業にとって影響の大きい税論議の「先がみえない」(財界関係者)ことに、産業界には焦りの色が濃くなっている。
補助金終了後の新車販売は? 東京トヨペット社長 古谷俊男氏に聞く 年明け回復、次世代車カギ
エコカー補助金の申請受け付けが9月中に終了する。10月以降の新車販売は反動減が予想されるが、落ち込みはいつまで続き、どうテコ入れするのか。トヨタ自動車系最大の販売会社、東京トヨペットの古谷俊男社長に聞いた。
――10月以降、販売減少をどうみる。
「当社の4~8月の販売は前年同期を約25%上回ったが、10月はこの水準から3割程度減少するとみている。9月までの上半期と、下半期の販売比率は55対45という試算もあり、この水準を目標に対策を立てる」
「1989年に物品税が廃止され消費税が導入された際、乗用車にかかる税率が低くなるため、現在と逆で買い控えが起きるとされた。実際には積極的な販売促進策などで、懸念されたほどの買い控えはなかった。今回も下半期に販促費など一定の予算を確保しており、予想より販売台数が上回るかもしれない。ただ、消耗戦につながるような価格競争は避けたい」
――ドイツでは補助金終了後、新車販売の低迷が続いている。
「最大の売れ筋である小型車のユーザーが補助金に駆け込んだドイツと、比較的、幅広い価格帯の車が売れる日本では事情が異なる。10月は直前に比べ3割減、11月は2割、12月は1割と減少幅が縮小し、年明けには回復するのではないか。法人需要の回復が下支えになると期待しており、過度に悲観する必要はないと思う」
――国内の新車販売台数は年々減少している。構造的な縮小への対策は。
「確かに減少している。特に東京は90年のバブル時と比べると新車販売台数は3分の1になるなど全国の中でも厳しい。少子高齢化に加え、公共交通網の発達、駐車場料金の高さなどが要因だ。顧客層も一様ではなく、下町の大衆車市場、山の手の高級車市場、都心部の法人需要、というように日本全体の縮図でもある。東京発で需要創造の方法を見いだせば、世界中の成熟市場に応用できるモデルになる」
――具体的には。
「プラグインハイブリッド車(PHV)など次世代車に期待している。時代の先を行く商品を買いたい顧客はいつでもおり、『プリウス』に続きPHVで再び大きなブームを作ることができれば大きな販売の柱になる。プリウスの売れ筋車種は約250万円。PHVも市販に向けてコストダウンしており、300万円を切れば、お客様に薦めやすい。『マークX』の売れ筋と同等の270万円くらいの価格設定なら、普及に弾みが付く」
<聞き手から一言>各社、環境車投入 需要喚起なるか
エコカー補助金の終了後、国内の新車販売が落ち込むのは関係者ならずとも想像がつく。問題は深度と期間の読みだ。古谷社長は極端な悲観論を排す一方で「東京の需要を喚起できれば、世界で応用できる」と指摘する。
需要喚起のけん引役は次世代自動車だ。ホンダが今秋に小型HVを、日産が年末にEVを投入する。トヨタがPHVを発売した後に、日本でどのような市場が形成されるのか。海外市場にもつながる大きな実験だ。
【産経主張】日航更生計画 安易すぎる公的資金注入
1月に経営破綻(はたん)した日本航空と管財人の企業再生支援機構が会社更生法に基づく更生計画案を東京地裁に提出した。
金融機関に5215億円の債権放棄を求める一方、3500億円の公的資金注入という異例の措置が計画の柱である。これによって日航は来年3月までに債務超過を解消し、黒字企業に生まれ変わるとしているが、あまりに甘い見通しといわざるをえない。
加えて日航は主要債権団の日本政策投資銀行や大手メガバンクに運転資金などに3200億円の追加融資を求めているが、債権団は強い難色を示している。それは再建の可能性に強い疑問を抱いているからにほかなるまい。
企業再生支援機構はこれまでの大規模なリストラによるコスト削減や、旅客需要の回復などで「業績は順調に上向いている」と強調する。円高も燃料調達費用の節減と海外旅行客の増加要因につながっていることなどを指摘する。
しかし、円高が長期化すれば、輸出頼みの日本経済が冷え込み、結果的にビジネス客を中心に業績悪化の要因となりかねない。
今後の事業戦略は国内外の計45路線から撤退するものの、国際線はできる限り残す方向だ。稲盛和夫会長はビジネス客を中心としたプレミアム(高付加価値)戦略を強調する。だが、世界の航空業界は相次ぐ再編と格安航空会社の台頭で競争が激化し、債権団から国際線の全面撤退を求める声もくすぶっている。もっと大胆な事業の選択と集中が必要ではないか。
そもそも公的資金の活用を安易に考えては困る。大手金融機関の経営悪化で公的資金が使われたのは金融システム維持のためだ。
昨年6月のゼネラル・モーターズ(GM)破綻でも、米政府が公的資金を使ったのは経済に与える影響が大きかったからだ。それに比べて、日航破綻に伴う影響は比較にならないほど小さい。
民主党政権は「顧客が複数の航空会社を選べる」という利便性を公的資金注入の理由に挙げるが、会社存続が前提になってはいないか。公的資金の注入基準もあいまいであり、明確にすべきだ。
こうした状況下で、稲盛会長が「2年ぐらいで勘弁してほしい」と早期退職を示唆したのは無責任のそしりを免れまい。日航と支援機構は更生計画案をもっと厳しく見直さなければならない。
国内8月時点、「トイ・ストーリー3」も100億円
3次元(3D)映画の快走が続いている。7月に日本で公開された3Dアニメ「トイ・ストーリー3」の劇場興行収入が100億円を記録。SF作品「アバター」とファンタジー「アリス・イン・ワンダーランド」に続く大台突破で、8月末時点の邦画・洋画を合わせた国内興収でトップ3を3Dの洋画が占めた。
洋画3作品が興収100億円以上を記録したのは2004年以来、6年ぶり。近年は洋画の不振が続いていたが、斬新な立体映像を楽しめる3Dをてこに消費者の関心をひき付けているようだ。
日本映画製作者連盟がまとめた8月29日時点の興収でトイ・ストーリー3は約99億円。すでに100億円を超え、今年の公開作品の中で3位に付けた。1位はアバター(昨年12月公開)で155億円、2位はアリス・イン・ワンダーランド(4月公開)の118億円。
同連盟によると、洋画のシェアは2008年から2年連続で邦画を下回った。年末にかけて3Dの話題作が控える洋画の勢いがこのまま続けば、興収シェアで邦画を再び上回る可能性がある。
スズキ、インドに新工場 日本上回る年170万台体制
【ニューデリー=大西穣】スズキはインドで四輪車の新工場を建設する方針を固めた。年間生産能力は25万台で、早ければ2013年に稼働させる。インドでの年産能力は最大170万台に拡大する見込みで、日本を大きく上回る。スズキは同国で5割近い乗用車シェアを持つ最大手だが、トヨタ自動車や日産自動車など世界の大手が攻勢を強めている。急拡大する市場で安定した供給体制を築き、競争激化に備える。
スズキは外資で最も早い1983年にインド生産を始め、12年に年産能力を145万台に拡張する。今回の新工場建設で日本の3工場合計(年産能力140万台)を大きく上回り、インドが世界最大の生産拠点との位置付けが明確になる。
現地四輪子会社マルチ・スズキが約300億円を投じ、首都ニューデリー近郊のハリヤナ州マネサールに設ける。同地区では年産能力30万台の工場(年内に35万台に増強)が07年に稼働。12年春の稼働を目指し年産25万台の第2工場も建設中だ。並行して新工場の建屋も設置、需要動向をにらみながら設備を導入する。生産車種は現地で売れ筋の「アルト」「ワゴンR」といった小型車が中心になるとみられる。
同州グルガオンの工場(年内に年産能力85万台に増強)は老朽化が進んでいる。鈴木修会長兼社長は「マネサールで生産余力を蓄えておき、グルガオンの改修が必要になっても安定生産できる体制を構築したい」と話す。
インドの乗用車市場は09年度に前年度比25.6%増の約195万台に拡大。10年度も毎月3割前後の高い伸びを維持しており、マルチ・スズキも工場のフル操業が続いている。8月は輸出を含め10万5千台を出荷し、過去最高を更新した。
インドの乗用車市場を切り開いたスズキは今も5割近いシェアを維持。同社の連結営業利益は3分の2をインド事業が稼ぎ出しているとされる。インドで首位固めを急ぎながら収益力を磨き、アジアや欧州などでの事業強化につなげる。
インドでは日産が7月に戦略小型車「マイクラ(日本名マーチ)」を発売、トヨタやホンダも11年までに戦略小型車を投入する計画だ。インド財閥グループのタタ自動車が最低価格20万円台の小型車「ナノ」の出荷を本格化させるなど、地元メーカーを巻き込んだ競争も予想されている。
セガガ、タッチパネル式ゲーム機を施設向けに展開
セガはタッチパネル式のゲーム機をアミューズメント施設向けに展開する。専用のカードを画面下にあるタッチパネル式の盤面上に置いたり、手でたたいたりして、画面内のキャラクターを操作する。施設向けのゲーム機はボタンやレバーを操作するのが一般的だが、カードを使い直感的な操作が楽しめることを売りにする。
今秋に展開するアクションゲーム「戦国大戦」で採用する。利用料金を支払うと、戦国時代の武将などがプリントされた専用カードがゲーム機から排出される。
盤面上にカードを置く場所によって攻撃エリアが指定できる。盤面をたたくと攻撃をするしかけでタッチ式の操作性を楽しめる。
中国、自動車業界の過剰投資を抑制 2015年に3千万台超
新華社電によると、中国国家発展改革委員会の陳斌産業協調局長は4日、国内主要自動車メーカー30社の計画を合計すると2015年末の生産能力が市場の需要を大幅に上回る3124万台に急拡大するとして、過剰な投資を厳しく抑制する方針を示した。天津市で開かれた自動車業界の国際フォーラムで語った。
中国の新車販売台数は昨年、1364万台で世界一となったが、主要30社の昨年末の生産能力は1359万台で、15年末には2.3倍となる計画。陳局長は「著しく過剰な生産能力は自動車産業の健全な発展を阻害し、マクロ経済にも悪影響を与える」と指摘し、抑制策として投資に対する優遇政策の見直しや業界に対するモニターの強化、審査の厳格化などを挙げた。
年内発売を目標 まずは国内投入 東芝 裸眼3Dテレビ来月発表
東芝は2日、専用メガネを用いずに裸眼で立体映像を楽しめる3次元(3D)液晶テレビについて、10月に価格やサイズなどの詳細を発表することを明らかにした。
まずは国内投入を検討しており、年内発売を目標に準備を進めているとみられる。
このほか、欧州での液晶テレビ販売強化のため、ロシアで液晶テレビ生産に乗り出す方針だ。
同社の大角正明ビジュアルプロダクツ社社長が2日、独ベルリンでフジサンケイビジネスアイの取材に応じ、明らかにした。大角社長は裸眼3Dのサイズについて、「40インチ以上の大型サイズではパネル技術や映像処理の面でも厳しい」と説明。すでにパチンコなど娯楽機器向けとして開発した21型など、中小型が中心となる可能性を示した。
このほか、11年度に欧州での薄型テレビのシェアを現状の約7%から10%に引き上げる方針も公表。英国やフランスに比べ、ドイツ、ロシアでは液晶テレビの普及率が50%以下程度にとどまっていることから、両国を中心に高価格帯製品の販売を伸ばしたい考えだ。
欧州展開の一環として、ロシアでの現地生産を検討。すでにサムスン電子とLG電子の韓国2強が同国で生産を開始しており、大角社長は「2011年の春から夏にかけて始めたい」と、すでに調整段階にあることを明らかにした。
また、ドイツでは大手家電量販店に加え、独立系の家電販売店などとも連携を強化し、「日本の品質」を売りにブランド価値を高めていくという。
ただ、足元の円高とユーロ安が「拡販にあたっての大きな課題」という。東芝の調べによると、欧州のテレビ市場は伸び率こそ低いものの、09年時点で世界の3分の1に当たる4700万台を占める最大市場。
大角社長は「わずか数カ月でユーロが20%下がったが、だからといって単純に価格を20%上げられるわけがなく、コスト低減は大きな課題」と述べ、「きちんと運営する以外に生き残る道はない」とした。
JIS法の認証対象 医療・介護サービスにも拡大へ 経産省検討
カロリーを取りすぎない食事制限指導による疾病予防、リハビリ補助といった医療・介護周辺サービスに求められる「基準」を策定するため、経済産業省が平成23年度中に工業標準化法(通称JIS法)の改正を検討する方針を固めたことが4日、分かった。鉱工業品やその関連作業に限られる適用範囲を拡大することで、「医療生活産業」のサービス向上に弾みをつけたい考えだ。
食事指導やリハビリ補助などには、公的保険の対象である医療・介護分野との線引きが不明確な部分も多い。JIS法の認証対象になれば、産業としての位置づけが明確になるだけでなく、民間企業のさらなる参入を促す効果が期待されている。
現行のJIS法では、製品が基準を満たしている場合、承認を受けた機関の認定を得てJISマークを表示できる。国の「規格」制定によって全国的に単純化する目的に加えて、第三者による認証制度の導入には「安心感を与える」(経産省幹部)狙いもある。医療・介護周辺サービスが認証対象になれば、JISマーク付きサービスが誕生しそうだ。
医療生活産業の定義について、政府は「医療や介護が必要な状態から健康な生活に戻ることを支援するサービス」とし、リハビリ補助やエステ、フィットネス、ハウスキーピングなどといった幅広い業務を想定している。すでに経産省は法改正に向けた調査研究事業を決め、企業や自治体にとって制度上の問題点の検討を進めている。
政府が今年6月に閣議決定した新成長戦略の中でも医療生活産業は重点分野の一つとされ、10年後の平成32年までに市場規模25兆円、80万人の新規雇用を創出する目標を立てている。
◇
工業標準化法 昭和24年、鉱工業の品質改善と生産合理化の目的で制定された。製品の種類、材料、形状、寸法などを標準化することによって品質の安定と生産効率の向上を目指している。
【民主党代表選】焦る産業界、法人税と環境税に戦々恐々
民主党代表選に注目が集まる中、産業界が法人税と平成23年度から実施する環境税の行方に戦々恐々としている。国際的に高いとされる日本企業の法人税について小沢一郎前幹事長が「高くない」と発言したほか、来年度税制改正で経済産業省が石油石炭税の増税を要望し、事実上、環境税の創設にかじを切ったためだ。円高で輸出競争力低下に悩む産業界にとって「減税なき増税」は避けたいだけに、困惑も広がっている。
「社会保険の負担を含めて比べれば高いとはいえない。もうかった分を社員にどれだけ配分するかが大事ではないか」
日本の法人税率の水準について小沢氏はテレビ番組でこう語り、引き下げを実施する場合、社員への利益配分を念頭に置くべきだとの考えを明らかにした。
来年度税制改正で、経産省は実効税率40%超の法人税(国税)の基本税率の5%引き下げを求めた。経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国の平均約26%に比べると「引き下げは当然」(自動車メーカー)というわけだ。しかし、鉄鋼業界の関係者は「仮に小沢氏が当選し、首相に就任したら法人税引き下げなどありえないことが分かった」と表情を曇らせる。
「産業界を裏切るつもりですか」。「そうではありません」
民主党代表選が菅直人首相と小沢氏の一騎打ちと決まる直前の8月下旬、経産省幹部と産業界の代表者らが議論を交わした。これまで環境税に異論を唱えていた経産省が一転、既存の石油石炭税の課税強化を提案したからだ。
実施方針のみが決まっている環境税だが、具体的な課税方法は煮詰まっていない。「議論に参加し、産業界の意向を反映させたい」という経産省は、菅首相と小沢氏のどちらが組閣しても、新成長戦略やエネルギー基本計画の策定といった課題を抱える。それだけに「財源確保が必至と判断したのではないか」(財務省)とみる向きも強い。
環境税導入にあたって、産業界は温室効果ガス排出量取引制度や再生可能エネルギーで発電した電気の「全量買い取り制度」とのセットで家計や企業への負担のバランスを考慮すべきだとしている。こうした議論も行われないまま、日本企業にとって影響の大きい税論議の「先がみえない」(財界関係者)ことに、産業界には焦りの色が濃くなっている。
補助金終了後の新車販売は? 東京トヨペット社長 古谷俊男氏に聞く 年明け回復、次世代車カギ
エコカー補助金の申請受け付けが9月中に終了する。10月以降の新車販売は反動減が予想されるが、落ち込みはいつまで続き、どうテコ入れするのか。トヨタ自動車系最大の販売会社、東京トヨペットの古谷俊男社長に聞いた。
――10月以降、販売減少をどうみる。
「当社の4~8月の販売は前年同期を約25%上回ったが、10月はこの水準から3割程度減少するとみている。9月までの上半期と、下半期の販売比率は55対45という試算もあり、この水準を目標に対策を立てる」
「1989年に物品税が廃止され消費税が導入された際、乗用車にかかる税率が低くなるため、現在と逆で買い控えが起きるとされた。実際には積極的な販売促進策などで、懸念されたほどの買い控えはなかった。今回も下半期に販促費など一定の予算を確保しており、予想より販売台数が上回るかもしれない。ただ、消耗戦につながるような価格競争は避けたい」
――ドイツでは補助金終了後、新車販売の低迷が続いている。
「最大の売れ筋である小型車のユーザーが補助金に駆け込んだドイツと、比較的、幅広い価格帯の車が売れる日本では事情が異なる。10月は直前に比べ3割減、11月は2割、12月は1割と減少幅が縮小し、年明けには回復するのではないか。法人需要の回復が下支えになると期待しており、過度に悲観する必要はないと思う」
――国内の新車販売台数は年々減少している。構造的な縮小への対策は。
「確かに減少している。特に東京は90年のバブル時と比べると新車販売台数は3分の1になるなど全国の中でも厳しい。少子高齢化に加え、公共交通網の発達、駐車場料金の高さなどが要因だ。顧客層も一様ではなく、下町の大衆車市場、山の手の高級車市場、都心部の法人需要、というように日本全体の縮図でもある。東京発で需要創造の方法を見いだせば、世界中の成熟市場に応用できるモデルになる」
――具体的には。
「プラグインハイブリッド車(PHV)など次世代車に期待している。時代の先を行く商品を買いたい顧客はいつでもおり、『プリウス』に続きPHVで再び大きなブームを作ることができれば大きな販売の柱になる。プリウスの売れ筋車種は約250万円。PHVも市販に向けてコストダウンしており、300万円を切れば、お客様に薦めやすい。『マークX』の売れ筋と同等の270万円くらいの価格設定なら、普及に弾みが付く」
<聞き手から一言>各社、環境車投入 需要喚起なるか
エコカー補助金の終了後、国内の新車販売が落ち込むのは関係者ならずとも想像がつく。問題は深度と期間の読みだ。古谷社長は極端な悲観論を排す一方で「東京の需要を喚起できれば、世界で応用できる」と指摘する。
需要喚起のけん引役は次世代自動車だ。ホンダが今秋に小型HVを、日産が年末にEVを投入する。トヨタがPHVを発売した後に、日本でどのような市場が形成されるのか。海外市場にもつながる大きな実験だ。
【産経主張】日航更生計画 安易すぎる公的資金注入
1月に経営破綻(はたん)した日本航空と管財人の企業再生支援機構が会社更生法に基づく更生計画案を東京地裁に提出した。
金融機関に5215億円の債権放棄を求める一方、3500億円の公的資金注入という異例の措置が計画の柱である。これによって日航は来年3月までに債務超過を解消し、黒字企業に生まれ変わるとしているが、あまりに甘い見通しといわざるをえない。
加えて日航は主要債権団の日本政策投資銀行や大手メガバンクに運転資金などに3200億円の追加融資を求めているが、債権団は強い難色を示している。それは再建の可能性に強い疑問を抱いているからにほかなるまい。
企業再生支援機構はこれまでの大規模なリストラによるコスト削減や、旅客需要の回復などで「業績は順調に上向いている」と強調する。円高も燃料調達費用の節減と海外旅行客の増加要因につながっていることなどを指摘する。
しかし、円高が長期化すれば、輸出頼みの日本経済が冷え込み、結果的にビジネス客を中心に業績悪化の要因となりかねない。
今後の事業戦略は国内外の計45路線から撤退するものの、国際線はできる限り残す方向だ。稲盛和夫会長はビジネス客を中心としたプレミアム(高付加価値)戦略を強調する。だが、世界の航空業界は相次ぐ再編と格安航空会社の台頭で競争が激化し、債権団から国際線の全面撤退を求める声もくすぶっている。もっと大胆な事業の選択と集中が必要ではないか。
そもそも公的資金の活用を安易に考えては困る。大手金融機関の経営悪化で公的資金が使われたのは金融システム維持のためだ。
昨年6月のゼネラル・モーターズ(GM)破綻でも、米政府が公的資金を使ったのは経済に与える影響が大きかったからだ。それに比べて、日航破綻に伴う影響は比較にならないほど小さい。
民主党政権は「顧客が複数の航空会社を選べる」という利便性を公的資金注入の理由に挙げるが、会社存続が前提になってはいないか。公的資金の注入基準もあいまいであり、明確にすべきだ。
こうした状況下で、稲盛会長が「2年ぐらいで勘弁してほしい」と早期退職を示唆したのは無責任のそしりを免れまい。日航と支援機構は更生計画案をもっと厳しく見直さなければならない。
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ゲーム「ブラウザ三国志」成功の理由
専用ソフトをダウンロードする必要がなくブラウザーだけで遊べるオンラインゲーム「ブラウザ三国志」がヒットしている。「いずれブラウザーゲームが人気になると思って開発していたら、時代の流れが追いついてきた」――。開発会社ONE-UPの椎葉忠志社長は8月26日、経済産業省関東経済局が開いたセミナーで開発の経緯などを語った。
ブラウザ三国志はONE-UPが開発し、ゲーム開発・販売会社のAQインタラクティブが運営するオンラインのシミュレーションゲームだ。2009年4月にベータ版サービスを開始し、09年7月に正式課金サービスに移行した。基本プレーは無料で、ゲームの鍵を握る武将カードなどを有料で販売するアイテム課金モデルを取っている。
歴史をテーマにしたシミュレーションゲームは数多くあるが、最大の特徴は特定のハードやソフトに依存せずブラウザーだけで動作する手軽さにある。グラフィックスは「スーパーファミコン」の2D(二次元)ゲームを思わせ、派手なエフェクトや音声があるわけでもない。にもかかわらず、会員数は10年3月末で80万人を超え、日本のブラウザーゲームとしては初の本格ヒットとなった。
予想に反して収益源に急成長
少ない初期投資でオンラインゲームを開発できるブラウザーゲームは、独TravianGamesが04年に開発した「トラビアン」が世界的にヒットしたことで、注目されるようになった。しかし、椎葉氏がブラウザ三国志の開発プロジェクトをAQインタラクティブに提案した08年当時はまだ、日本では海のものとも山のものともつかぬ存在で、成功するとはまったく考えられていなかった。
韓国製オンラインゲームの運営などの経験を持つ椎葉氏は、日本でいち早くブラウザーゲームに注目した草分けの一人。トラビアンのヘビープレーヤーでもあり、このゲームの抱えている問題点を洗い出して「もっと洗練されたゲームにできるはずと考えた」(椎葉氏)という。
ただ、オンラインゲームは元々、販売本数を計算しやすい家庭用ゲーム機向けゲームとは違って売上予測が難しく、しかも題材は使い古された「三国志」である。AQインタラクティブ側の反応も「ヒットするはずがない」というものだったようで、最終的に08年10月、関心を持った武市智行AQインタラクティブ社長(当時)のトップダウンでようやく開発が決まったという。
開発にあたって椎葉氏は、正式サービスに入るまでの開発費を約6000万円、開発チームを約10人と小規模に絞り、サーバーの月間運用コストを1000万円程度として8カ月で投資回収できるように事業計画を組んだ。AQインタラクティブ側も、サービス2年目の10年4月以降は月間売上高が徐々に減少していくとの予想を立てていた。
ところが、AQインタラクティブが8月18日に発表した「4~6月期決算説明会資料」によると、今年2~4月に月間2億円前後で推移していたブラウザ三国志の売上高は、アイテム追加などの施策により5月以降は逆に2億5000万円超へと伸び、10年4~6月期のネットワークコンテンツ事業の部門利益を4億7300万円に押し上げる原動力となった。
AQインタラクティブはこれまで家庭用ゲーム機やゲームセンター用ゲームの受託を主力としていたが、4~6月期はブラウザ三国志を中心としたネットワークコンテンツ事業の売上高が7億7600万円と全体の48.6%を占めるまでに急拡大。同社は従来の事業方針を転換して、「2011年3月期は、ネットワークコンテンツのトップランナーをめざし、成長分野である同事業に経営資源を傾注」するという。言うまでもなく、何億円もかけて開発する家庭用ゲーム機向けゲームより、ブラウザ三国志ははるかに収益性が高いのだ。
ゲームシステム開発に重点
ブラウザ三国志は、建物を建てて領地を広げ、軍団を作り、他の勢力と争って勝者をめざすゲームだ。途中からは、他のプレーヤーと同盟を組んで交渉を中心に国土を拡大していく。1回のゲームは約4カ月で終了し、脱落する多くのユーザーを乗り越えて激戦を生き残ったユーザーは、他のサーバーのユーザーと統合されて、新しいサーバーでより高みをめざして遊ぶ。
一般に、アイテム課金型のオンラインゲームは課金ユーザー率が10%なら及第点といわれる。ブラウザ三国志の課金ユーザーはアクティブユーザーの20%。グラフィックスはシンプルながら月に約5000円支出する人もいるといい、ゲームとしての面白さでユーザーの支持を得ている。
椎葉氏は、小さな開発チームであることの弱みをカバーするため、ゲームシステムの作り込みに特に力を入れたという。多くの大規模オンラインゲームは、ゲームそのものではなく、プレーヤーのキャラクターである「アバター」の衣装といったアイテムで主に収益を上げている。しかし椎葉氏は、小さなチームで常にコンテンツを作り続けることは難しく、「ゲームの本質的部分ではないため、遠からず飽きが来る」と考えた。
ブラウザーゲームは簡単に始められる半面、やめるのも簡単だ。だから、ブラウザ三国志では、最初の15分でユーザーがおもしろいと感じてもらえるようゲームシステムを徹底的に考え抜いてチェックしたという。一人用ではなく対戦型とし、特に他のプレーヤーとのコミュニケーションをゲームに盛り込むことに重点を置いた。自分のキャラクターや軍団を成長させ、他のユーザーとパーティー(チーム)を組むというスタイルは長く遊ばれる大規模オンラインRPGに欠かせない要素だが、それはシミュレーションゲームでも同じことのようだ。
椎葉氏はブラウザ三国志の成功について、「最大の理由は運。成功に必要なことを3%から5%に増やすことぐらいはできるが(その程度。)参入したタイミングがよかったに過ぎない」と振り返る。
確かに、時代の流れに乗れるかどうかは運の要素がある。しかし、運を引きつけるためには、そのための用意をしていなければならない。椎葉氏は、様々な企業のプロジェクトに関わりながら、この市場にこだわり続けた。周囲から無理と言われても、粘って経験を蓄積しておかなければ、次の時代に間に合わないことを、ブラウザ三国志の成功は示している。
米アップルの音楽交流サイト、開始2日で100万突破
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルは3日、同社が1日に始めた音楽に特化した交流サイト「Ping(ピング)」の利用者が100万人を超えたと発表した。ピングは同社が1日から無償配布を始めた最新版の音楽配信ソフト「iTunes(アイチューンズ)10」に対応した交流サイト(SNS)。友人や好きなアーティストと楽曲情報を共有したり、そのまま曲を購入したりできる。
アップルでインターネットサービス事業を手掛けるエディー・キュー担当副社長は声明で、「iTunes10をダウンロードしたユーザーの3分の1がピングに参加している」と言及。クレジットカード情報の登録者だけでも全世界に1億6000万人いるアップルの音楽配信サービス「iTunesストア」で、利用者が配信ソフトを最新版に更新するのに伴って「ピングの会員がさらに増えると期待している」とした。
グーグルが「ダッシュボード」 個人情報を一括管理
米インターネット検索大手、グーグルは3日、電子メールなどグーグルの各種サービスでそれぞれ保存している個人情報を、アカウントごとに一括して管理できるサービス「グーグルダッシュボード」を始めた。利用者のプライバシー保護強化策の一環。
電子メール「Gメール」などの個人のアカウントにログインして利用する。同サービスを選ぶと、動画配信サービス「ユーチューブ」の閲覧履歴や、チャット履歴などさまざまなサービスに関連づけて保存している個人情報をまとめて閲覧したり、削除や設定変更を行うことができる。
グーグルは5月、無線LAN経由でやりとりされている個人情報を誤って収集していたことが発覚、激しい批判を浴びた。これを受け同社はプライバシー保護の基本指針を策定し、その一環としてダッシュボードサービスの提供を始めた。
日産・ゴーン氏にGM再建依頼 米政権責任者の暴露本で判明
経営危機にあった米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)をめぐり、米オバマ政権が昨年、日産自動車のカルロス・ゴーン社長にGMの最高経営責任者(CEO)就任を打診、経営再建を依頼していたことが分かった。米紙デトロイト・ニューズ(電子版)が3日報じた。
米自動車業界の再建に携わる大統領作業部会の事実上の責任者だったスティーブン・ラトナー氏(元財務長官顧問)の近刊著書を同紙が入手した。
2009年3月にGMのリック・ワゴナー会長兼CEOを追放した後、ラトナー氏はゴーン氏にCEO就任を依頼。しかしゴーン氏は断った。
「ルノー・日産の方に大きな忠誠心を感じていた」ためで、ゴーン氏はルノー・日産連合とGMとの提携を求めたという。
野田財務相が無利子国債を批判 小沢氏構想に疑問
野田佳彦財務相は4日、民放の報道番組に出演し、民主党代表選で小沢一郎前幹事長が財源確保の手段として打ち出した無利子国債の発行について、「相続税が非課税になるため金持ち優遇が論点になる。(財源論としては)乱暴すぎる」と述べ、強く批判した。
無利子国債をめぐっては、1950年代にフランスが一度導入したものの、国民から「不公平だ」異論が出たため、廃止された経緯があるという。このため野田財務相は「過去に失敗した例を、なぜあえて持ってくるのか」と疑問を呈した。
番組終了後、記者団に対しては「富裕層が株や土地を売って無利子国債に変えるなら、株式や不動産市場にも影響する」と指摘し、論点を整理しなければ財源として容易に活用できないと強調した。
一方、急激な円高・株安の動きに対し小沢前幹事長が為替介入に言及したことについては、番組内で「(『必要な時には断固たる措置をとる』と表明した菅直人首相と)言っている意味は同じ」との認識を示した。ただ米国や欧州連合(EU)が景気浮揚のために自国の通貨安を容認している現状から、「(各国と)協調はできないという前提のなかで、何をするかだ」として、為替介入する場合は日本単独になるとの認識を示した。
パラパラめくり書籍丸ごと電子化 大日本印刷と東大
高速複写機 実現へ
大日本印刷と東京大学は新タイプの超高速デジタル複写機を実用化する。本をパラパラめくるだけで丸ごと複写できる東大の技術に、大日本の自動機械技術を組み合わせ、世界最速機を実現する。検索大手の米グーグルが絶版本を電子化してネットで公開するなど、古い書籍や資料を電子化する動きが急拡大している。大日本は2年以内に完成させ、著作権の切れた蔵書などの電子化を目指す図書館や電子書籍製作会社への販売などを狙う。
実用化する複写機のベースになるのは、東大の石川正俊教授らが開発した高速書籍スキャンシステム。高速撮影カメラと赤外線レーザー装置の下で本のページをパラパラめくるだけで全ページを読み取る。
ページをめくるときに生じる文字や絵のゆがみを赤外線レーザーでとらえ、1秒間に500~1千回撮影したカメラ画像と照合し、瞬時に補正する。これにより、1分間に170ページ程度を読み取れる。厚い本も複写できるという。大日本は本を傷めずにページを自動的にめくるロボットなどを検討し、東大の技術に組み合わせ2年以内に試作機を完成させる。
図書館の古い蔵書や著作権者の了解を得た書籍を電子化し、デジタル保存を進めたり電子書籍サービスを展開したりする動きが世界的に加速している。大日本は新型複写機ならば電子化の作業効率が飛躍的に高まるとみており、新型複写機を図書館、大学、電子書籍関連企業へ外販することや、自社の電子書籍製造・販売サービスに活用することを目指す。
書籍を高速に複写する装置は米欧や豪州の企業が開発しており、グーグルや電子書籍製作会社が利用しているという。ただ、いずれの装置も1分間に25ページ程度の読み取りが限度といわれ、文字や絵のゆがみの補正も難しく、より高速で正確に複写できる装置が求められていた。
東大のシステムは昨年夏に完成した。米国の学会で紹介され、世界の専門家が注目。国内外の企業が共同開発などを打診していた。
ネトゲ廃人がゲーム会社を提訴 ネット住民「わかるわかる」
「ネットゲーム『World of Warcraft』に2.4万時間を費やしたアメリカの男性が、ゲームデータを全て破棄」というニュースをご紹介したばかりだが、今度は同じアメリカで、ネットゲームに2万時間以上費やした男性が、ゲーム会社を相手に訴えを起こし、物議をかもしている。
『WIRED VISION』が報じたところによると、この男性は2004~09年にネットゲーム『Lineage (リネージュ) II』を2万時間プレイ。「ゲームの世界にのめり込み過ぎて、朝起きる、着替えをする、入浴する、家族や友人と連絡を取るといった日常的な行為ができなくなった」として、ゲームを作った韓国のNCsoft社を相手に「中毒性を警告しなかった」という訴えを起こした。これに対しアメリカの連邦裁判所は4日、被告の訴えを退けずに受理する姿勢を示した。
これについて、ネット上では
「タバコみたいに警告文のほうが目立つようにしないと駄目になる時代が来るのか」
「流石訴訟大国アメリカ」
「自分をそこまでのアホに育てた親と国を訴えてはどうか」
という否定的な意見が多数を占めたが、なかには
「この手のあれは客の時間を奪うことしか考えてないからな」
「まあレベルあげるのにアホみたいな時間が必要なのはどうかとは思う」
と、男性の肩を持つ意見も一部登場。日本人の感覚では単なる「やつあたり」にしかみえない訴えだが、今後の展開に注目したい。
朝鮮学校無償化 財務の透明化が欠かせない(読売社説)
高校授業料の無償化を巡り、文部科学省の専門家会議が、朝鮮学校を対象にするかどうかを判断するにあたっての基準案をまとめた。
この中で専門家会議は朝鮮学校を無償化の対象に加える場合には、学校側に支給される資金が生徒のために使われていると確認できることが必要だとの見解を示している。
朝鮮学校のうち、日本の高校にあたる「朝鮮高級学校」は、全国に10校あり、約1800人が学んでいる。
他の外国人学校と異なり、本国政府を通じて「日本の高校と同等の課程がある」という確認がとれないため、文科省は専門家会議を設け、検討を要請していた。
無償化の対象に決まると、授業料分として、少なくとも計約2億円の「就学支援金」が学校側に支給される。これを考えれば、財務内容の透明化は欠かせない。
朝鮮学校は、国際社会に背を向ける北朝鮮の指導下にある在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と強い結びつきがある。
無償化の資金が万が一にも北朝鮮に不正送金されるような事態はあってはなるまい。
川端文科相はこれまで、専門家会議の報告を受けて8月中に結論を出すと明言してきたが、今後、民主党内の意見を聞いてまず判断基準を定め、その上で決定する、と方針を転換した。結論を先送りした格好だ。
政府内では、拉致問題を担当する中井国家公安委員長らが、北朝鮮に経済制裁を科している観点から、無償化に反対している。
これに対し、川端文科相は、国会などで「外交問題は判断材料にしない」との見解を示し、合意が得られていない。政府・与党として、さらに慎重な議論が必要と判断したものと見られる。
一方、専門家会議の報告書は「具体的な教育内容は判断基準にしない」としている。
ただ、朝鮮学校で使われる教材に、大韓航空機爆破事件は韓国のでっちあげであるといった、明らかに客観的事実と異なる記述があるとされるのは問題だ。
こうした内容をまったく問わないとするならば、無償化に国民の理解は得られないだろう。
文科省では、判断基準が正式決定されれば、各朝鮮学校がこれに適合するかどうかの審査を行うことになる。その際には書面審査だけではなく、学校に出向いて直接説明を受けるなど、厳格に審査する必要がある。
専用ソフトをダウンロードする必要がなくブラウザーだけで遊べるオンラインゲーム「ブラウザ三国志」がヒットしている。「いずれブラウザーゲームが人気になると思って開発していたら、時代の流れが追いついてきた」――。開発会社ONE-UPの椎葉忠志社長は8月26日、経済産業省関東経済局が開いたセミナーで開発の経緯などを語った。
ブラウザ三国志はONE-UPが開発し、ゲーム開発・販売会社のAQインタラクティブが運営するオンラインのシミュレーションゲームだ。2009年4月にベータ版サービスを開始し、09年7月に正式課金サービスに移行した。基本プレーは無料で、ゲームの鍵を握る武将カードなどを有料で販売するアイテム課金モデルを取っている。
歴史をテーマにしたシミュレーションゲームは数多くあるが、最大の特徴は特定のハードやソフトに依存せずブラウザーだけで動作する手軽さにある。グラフィックスは「スーパーファミコン」の2D(二次元)ゲームを思わせ、派手なエフェクトや音声があるわけでもない。にもかかわらず、会員数は10年3月末で80万人を超え、日本のブラウザーゲームとしては初の本格ヒットとなった。
予想に反して収益源に急成長
少ない初期投資でオンラインゲームを開発できるブラウザーゲームは、独TravianGamesが04年に開発した「トラビアン」が世界的にヒットしたことで、注目されるようになった。しかし、椎葉氏がブラウザ三国志の開発プロジェクトをAQインタラクティブに提案した08年当時はまだ、日本では海のものとも山のものともつかぬ存在で、成功するとはまったく考えられていなかった。
韓国製オンラインゲームの運営などの経験を持つ椎葉氏は、日本でいち早くブラウザーゲームに注目した草分けの一人。トラビアンのヘビープレーヤーでもあり、このゲームの抱えている問題点を洗い出して「もっと洗練されたゲームにできるはずと考えた」(椎葉氏)という。
ただ、オンラインゲームは元々、販売本数を計算しやすい家庭用ゲーム機向けゲームとは違って売上予測が難しく、しかも題材は使い古された「三国志」である。AQインタラクティブ側の反応も「ヒットするはずがない」というものだったようで、最終的に08年10月、関心を持った武市智行AQインタラクティブ社長(当時)のトップダウンでようやく開発が決まったという。
開発にあたって椎葉氏は、正式サービスに入るまでの開発費を約6000万円、開発チームを約10人と小規模に絞り、サーバーの月間運用コストを1000万円程度として8カ月で投資回収できるように事業計画を組んだ。AQインタラクティブ側も、サービス2年目の10年4月以降は月間売上高が徐々に減少していくとの予想を立てていた。
ところが、AQインタラクティブが8月18日に発表した「4~6月期決算説明会資料」によると、今年2~4月に月間2億円前後で推移していたブラウザ三国志の売上高は、アイテム追加などの施策により5月以降は逆に2億5000万円超へと伸び、10年4~6月期のネットワークコンテンツ事業の部門利益を4億7300万円に押し上げる原動力となった。
AQインタラクティブはこれまで家庭用ゲーム機やゲームセンター用ゲームの受託を主力としていたが、4~6月期はブラウザ三国志を中心としたネットワークコンテンツ事業の売上高が7億7600万円と全体の48.6%を占めるまでに急拡大。同社は従来の事業方針を転換して、「2011年3月期は、ネットワークコンテンツのトップランナーをめざし、成長分野である同事業に経営資源を傾注」するという。言うまでもなく、何億円もかけて開発する家庭用ゲーム機向けゲームより、ブラウザ三国志ははるかに収益性が高いのだ。
ゲームシステム開発に重点
ブラウザ三国志は、建物を建てて領地を広げ、軍団を作り、他の勢力と争って勝者をめざすゲームだ。途中からは、他のプレーヤーと同盟を組んで交渉を中心に国土を拡大していく。1回のゲームは約4カ月で終了し、脱落する多くのユーザーを乗り越えて激戦を生き残ったユーザーは、他のサーバーのユーザーと統合されて、新しいサーバーでより高みをめざして遊ぶ。
一般に、アイテム課金型のオンラインゲームは課金ユーザー率が10%なら及第点といわれる。ブラウザ三国志の課金ユーザーはアクティブユーザーの20%。グラフィックスはシンプルながら月に約5000円支出する人もいるといい、ゲームとしての面白さでユーザーの支持を得ている。
椎葉氏は、小さな開発チームであることの弱みをカバーするため、ゲームシステムの作り込みに特に力を入れたという。多くの大規模オンラインゲームは、ゲームそのものではなく、プレーヤーのキャラクターである「アバター」の衣装といったアイテムで主に収益を上げている。しかし椎葉氏は、小さなチームで常にコンテンツを作り続けることは難しく、「ゲームの本質的部分ではないため、遠からず飽きが来る」と考えた。
ブラウザーゲームは簡単に始められる半面、やめるのも簡単だ。だから、ブラウザ三国志では、最初の15分でユーザーがおもしろいと感じてもらえるようゲームシステムを徹底的に考え抜いてチェックしたという。一人用ではなく対戦型とし、特に他のプレーヤーとのコミュニケーションをゲームに盛り込むことに重点を置いた。自分のキャラクターや軍団を成長させ、他のユーザーとパーティー(チーム)を組むというスタイルは長く遊ばれる大規模オンラインRPGに欠かせない要素だが、それはシミュレーションゲームでも同じことのようだ。
椎葉氏はブラウザ三国志の成功について、「最大の理由は運。成功に必要なことを3%から5%に増やすことぐらいはできるが(その程度。)参入したタイミングがよかったに過ぎない」と振り返る。
確かに、時代の流れに乗れるかどうかは運の要素がある。しかし、運を引きつけるためには、そのための用意をしていなければならない。椎葉氏は、様々な企業のプロジェクトに関わりながら、この市場にこだわり続けた。周囲から無理と言われても、粘って経験を蓄積しておかなければ、次の時代に間に合わないことを、ブラウザ三国志の成功は示している。
米アップルの音楽交流サイト、開始2日で100万突破
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルは3日、同社が1日に始めた音楽に特化した交流サイト「Ping(ピング)」の利用者が100万人を超えたと発表した。ピングは同社が1日から無償配布を始めた最新版の音楽配信ソフト「iTunes(アイチューンズ)10」に対応した交流サイト(SNS)。友人や好きなアーティストと楽曲情報を共有したり、そのまま曲を購入したりできる。
アップルでインターネットサービス事業を手掛けるエディー・キュー担当副社長は声明で、「iTunes10をダウンロードしたユーザーの3分の1がピングに参加している」と言及。クレジットカード情報の登録者だけでも全世界に1億6000万人いるアップルの音楽配信サービス「iTunesストア」で、利用者が配信ソフトを最新版に更新するのに伴って「ピングの会員がさらに増えると期待している」とした。
グーグルが「ダッシュボード」 個人情報を一括管理
米インターネット検索大手、グーグルは3日、電子メールなどグーグルの各種サービスでそれぞれ保存している個人情報を、アカウントごとに一括して管理できるサービス「グーグルダッシュボード」を始めた。利用者のプライバシー保護強化策の一環。
電子メール「Gメール」などの個人のアカウントにログインして利用する。同サービスを選ぶと、動画配信サービス「ユーチューブ」の閲覧履歴や、チャット履歴などさまざまなサービスに関連づけて保存している個人情報をまとめて閲覧したり、削除や設定変更を行うことができる。
グーグルは5月、無線LAN経由でやりとりされている個人情報を誤って収集していたことが発覚、激しい批判を浴びた。これを受け同社はプライバシー保護の基本指針を策定し、その一環としてダッシュボードサービスの提供を始めた。
日産・ゴーン氏にGM再建依頼 米政権責任者の暴露本で判明
経営危機にあった米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)をめぐり、米オバマ政権が昨年、日産自動車のカルロス・ゴーン社長にGMの最高経営責任者(CEO)就任を打診、経営再建を依頼していたことが分かった。米紙デトロイト・ニューズ(電子版)が3日報じた。
米自動車業界の再建に携わる大統領作業部会の事実上の責任者だったスティーブン・ラトナー氏(元財務長官顧問)の近刊著書を同紙が入手した。
2009年3月にGMのリック・ワゴナー会長兼CEOを追放した後、ラトナー氏はゴーン氏にCEO就任を依頼。しかしゴーン氏は断った。
「ルノー・日産の方に大きな忠誠心を感じていた」ためで、ゴーン氏はルノー・日産連合とGMとの提携を求めたという。
野田財務相が無利子国債を批判 小沢氏構想に疑問
野田佳彦財務相は4日、民放の報道番組に出演し、民主党代表選で小沢一郎前幹事長が財源確保の手段として打ち出した無利子国債の発行について、「相続税が非課税になるため金持ち優遇が論点になる。(財源論としては)乱暴すぎる」と述べ、強く批判した。
無利子国債をめぐっては、1950年代にフランスが一度導入したものの、国民から「不公平だ」異論が出たため、廃止された経緯があるという。このため野田財務相は「過去に失敗した例を、なぜあえて持ってくるのか」と疑問を呈した。
番組終了後、記者団に対しては「富裕層が株や土地を売って無利子国債に変えるなら、株式や不動産市場にも影響する」と指摘し、論点を整理しなければ財源として容易に活用できないと強調した。
一方、急激な円高・株安の動きに対し小沢前幹事長が為替介入に言及したことについては、番組内で「(『必要な時には断固たる措置をとる』と表明した菅直人首相と)言っている意味は同じ」との認識を示した。ただ米国や欧州連合(EU)が景気浮揚のために自国の通貨安を容認している現状から、「(各国と)協調はできないという前提のなかで、何をするかだ」として、為替介入する場合は日本単独になるとの認識を示した。
パラパラめくり書籍丸ごと電子化 大日本印刷と東大
高速複写機 実現へ
大日本印刷と東京大学は新タイプの超高速デジタル複写機を実用化する。本をパラパラめくるだけで丸ごと複写できる東大の技術に、大日本の自動機械技術を組み合わせ、世界最速機を実現する。検索大手の米グーグルが絶版本を電子化してネットで公開するなど、古い書籍や資料を電子化する動きが急拡大している。大日本は2年以内に完成させ、著作権の切れた蔵書などの電子化を目指す図書館や電子書籍製作会社への販売などを狙う。
実用化する複写機のベースになるのは、東大の石川正俊教授らが開発した高速書籍スキャンシステム。高速撮影カメラと赤外線レーザー装置の下で本のページをパラパラめくるだけで全ページを読み取る。
ページをめくるときに生じる文字や絵のゆがみを赤外線レーザーでとらえ、1秒間に500~1千回撮影したカメラ画像と照合し、瞬時に補正する。これにより、1分間に170ページ程度を読み取れる。厚い本も複写できるという。大日本は本を傷めずにページを自動的にめくるロボットなどを検討し、東大の技術に組み合わせ2年以内に試作機を完成させる。
図書館の古い蔵書や著作権者の了解を得た書籍を電子化し、デジタル保存を進めたり電子書籍サービスを展開したりする動きが世界的に加速している。大日本は新型複写機ならば電子化の作業効率が飛躍的に高まるとみており、新型複写機を図書館、大学、電子書籍関連企業へ外販することや、自社の電子書籍製造・販売サービスに活用することを目指す。
書籍を高速に複写する装置は米欧や豪州の企業が開発しており、グーグルや電子書籍製作会社が利用しているという。ただ、いずれの装置も1分間に25ページ程度の読み取りが限度といわれ、文字や絵のゆがみの補正も難しく、より高速で正確に複写できる装置が求められていた。
東大のシステムは昨年夏に完成した。米国の学会で紹介され、世界の専門家が注目。国内外の企業が共同開発などを打診していた。
ネトゲ廃人がゲーム会社を提訴 ネット住民「わかるわかる」
「ネットゲーム『World of Warcraft』に2.4万時間を費やしたアメリカの男性が、ゲームデータを全て破棄」というニュースをご紹介したばかりだが、今度は同じアメリカで、ネットゲームに2万時間以上費やした男性が、ゲーム会社を相手に訴えを起こし、物議をかもしている。
『WIRED VISION』が報じたところによると、この男性は2004~09年にネットゲーム『Lineage (リネージュ) II』を2万時間プレイ。「ゲームの世界にのめり込み過ぎて、朝起きる、着替えをする、入浴する、家族や友人と連絡を取るといった日常的な行為ができなくなった」として、ゲームを作った韓国のNCsoft社を相手に「中毒性を警告しなかった」という訴えを起こした。これに対しアメリカの連邦裁判所は4日、被告の訴えを退けずに受理する姿勢を示した。
これについて、ネット上では
「タバコみたいに警告文のほうが目立つようにしないと駄目になる時代が来るのか」
「流石訴訟大国アメリカ」
「自分をそこまでのアホに育てた親と国を訴えてはどうか」
という否定的な意見が多数を占めたが、なかには
「この手のあれは客の時間を奪うことしか考えてないからな」
「まあレベルあげるのにアホみたいな時間が必要なのはどうかとは思う」
と、男性の肩を持つ意見も一部登場。日本人の感覚では単なる「やつあたり」にしかみえない訴えだが、今後の展開に注目したい。
朝鮮学校無償化 財務の透明化が欠かせない(読売社説)
高校授業料の無償化を巡り、文部科学省の専門家会議が、朝鮮学校を対象にするかどうかを判断するにあたっての基準案をまとめた。
この中で専門家会議は朝鮮学校を無償化の対象に加える場合には、学校側に支給される資金が生徒のために使われていると確認できることが必要だとの見解を示している。
朝鮮学校のうち、日本の高校にあたる「朝鮮高級学校」は、全国に10校あり、約1800人が学んでいる。
他の外国人学校と異なり、本国政府を通じて「日本の高校と同等の課程がある」という確認がとれないため、文科省は専門家会議を設け、検討を要請していた。
無償化の対象に決まると、授業料分として、少なくとも計約2億円の「就学支援金」が学校側に支給される。これを考えれば、財務内容の透明化は欠かせない。
朝鮮学校は、国際社会に背を向ける北朝鮮の指導下にある在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と強い結びつきがある。
無償化の資金が万が一にも北朝鮮に不正送金されるような事態はあってはなるまい。
川端文科相はこれまで、専門家会議の報告を受けて8月中に結論を出すと明言してきたが、今後、民主党内の意見を聞いてまず判断基準を定め、その上で決定する、と方針を転換した。結論を先送りした格好だ。
政府内では、拉致問題を担当する中井国家公安委員長らが、北朝鮮に経済制裁を科している観点から、無償化に反対している。
これに対し、川端文科相は、国会などで「外交問題は判断材料にしない」との見解を示し、合意が得られていない。政府・与党として、さらに慎重な議論が必要と判断したものと見られる。
一方、専門家会議の報告書は「具体的な教育内容は判断基準にしない」としている。
ただ、朝鮮学校で使われる教材に、大韓航空機爆破事件は韓国のでっちあげであるといった、明らかに客観的事実と異なる記述があるとされるのは問題だ。
こうした内容をまったく問わないとするならば、無償化に国民の理解は得られないだろう。
文科省では、判断基準が正式決定されれば、各朝鮮学校がこれに適合するかどうかの審査を行うことになる。その際には書面審査だけではなく、学校に出向いて直接説明を受けるなど、厳格に審査する必要がある。
パナソニックが全世界で統一の採用基準
パナソニックが世界の地域ごとに定めていた社員の採用基準を2011年度に全世界で統一することが3日、分かった。海外での採用拡大を打ち出すなか、各国の社員の能力、適性を一定レベル以上に保つのが狙い。今年度中に世界共通の採用ガイドラインを策定し、11年度の採用から導入していく。採用基準を全世界で統一するのは、電機業界では異例の試み。
パナソニックは11年度の採用で、国内の新卒採用を前年度比4割減の290人とする一方、海外は約1・5倍の1100人と過去最多の採用を計画。現在、新たな採用ガイドラインを策定するため、本社の人事担当者が海外子会社に出向き、どのような人材が活躍しているかなどを聞き取り調査している。グループ各社の回答から採用の基準となる「キーワード」を抽出し、パナソニックグループとして「どのような人材を採用すべきか」を来年3月までにまとめる。
決定したガイドラインは来年度以降、世界の採用活動で共通の判断材料とする。採用に当たっては、単に報酬や条件などにとらわれず「経営理念や価値観を共有できる人材を採用することが不可欠」(人事担当者)と判断。採用基準の統一で、グループ全体のために活躍できる人材を確保する。さらに将来、経営の中枢として活躍できる外国人幹部を増やすことにつなげたいという。
海外に生産・販売拠点を展開する大手企業は、勤務体系や賃金水準などの違いから、それぞれの国や現地法人ごとの人事制度の規定で、人材を採用するケースが多い。パナソニックも全世界に200以上の拠点を持ち、全社員のうち半数以上が外国人を中心とした海外採用。採用基準は地域ごとの採用センターに委ねられる部分が大きかった。
NTTドコモ、地域情報配信を強化 個人型サービス
NTTドコモは携帯電話を使った個人型情報配信サービス「iコンシェル」向けに地域密着情報の配信を強化する。これまでは大手企業の情報配信に限っていたが、個人商店でも簡易に配信が可能な玄関サイトを開設。地方の施設との連携も強化し、地域情報を全体の3割に当たる200件以上に拡大する。2010年度末に前期比2倍の約800万契約を目指す。
iコンシェルは全地球測位システム(GPS)の位置情報などから、近くにあるレストランや最寄り駅の終電時間などを「執事」のように知らせてくれるサービス。
情報配信用のネットワーク機器を持たない個人商店でも、専用ページから店の情報を入力するだけで月630円でドコモのサーバーを使って同サービスに情報提供できるようにした。地方の観光施設にも情報提供を呼びかけ、水族館や自治体の道の駅のイベント情報といった地域密着の情報を拡充する。
また契約者の拡大に伴い、ドコモはiコンシェルを使い利用者の好みに合った情報を配信するターゲット型の広告事業への参入も検討する。
ドコモは携帯電話の音声収入の低下に対応し、iコンシェルなどの携帯電話を使った情報配信サービスを増やしデータ収入拡大につなげる考え。
3D、ツイッター対応…韓国2強、「スマートテレビ」で攻勢 【ベルリン=森川潤】薄型テレビで世界的な強さを誇るサムスン電子とLG電子の韓国メーカー2社が、インターネットに接続して多彩なソフトも楽しめる「スマートテレビ」で攻勢をかけ始めた。ベルリンで3日開幕した世界最大級の家電見本市「IFA」に、サムスンは3次元(3D)映像に対応するスマートテレビを出品。LGはミニブログのツィッターなどを利用できるサービスを盛り込んだ。追い上げを狙うパナソニックやソニーなどの日本勢を、「次世代テレビ」で引き離す構えだ。
「一昨年はLED(発光ダイオード)テレビ、昨年は3D、今年はスマートテレビでリードする」
サムスン映像ディスプレイビジネス社のユンブグン社長は2日、テレビの開発で常に一歩先を行く姿勢を強調した。LED、3Dテレビで世界シェアのトップに立つサムスンは、今年から来年にかけてはスマートテレビの拡販に力を注ぐ。
米アップルの多機能端末「iPad(アイパッド)」などと同じように、一般の開発者が出品したゲームや動画などのソフトを、配信サービスを通じて購入できるのが特徴。開発者向けのコンテストを各国で催し、優秀なソフトを募る戦略をとる。現在107カ国で利用できるという。
10月には3D対応の65型スマートテレビなどを発売。液晶モニターを搭載したリモコンを持ち運べば、寝室や子供部屋でもネットワーク経由で番組などを楽しむことができる。サムスン幹部は「本当のスマートな生活スタイルを提案する」と自信をみせた。
一方、LGもテレビ向け配信サービスを独自開発。ネット経由で各国の放送を視聴できるほか、投稿動画「ユーチューブ」やゲームをテレビでダウンロードできる。厚さ約3ミリの3D対応有機LEDテレビや、厚さ約8ミリの「ナノテレビ」もIFAで展示し、技術力の高さも見せつけた。
米調査会社ディスプレイサーチによると、インターネット接続テレビの世界販売は09年の1520万台から14年に1億1930万台にまで拡大する見込みだ。
◇
【用語解説】スマートテレビ
インターネット接続機能を強化し、パソコンなどを経由せずに、多くのソフトが楽しめるテレビ。映画を購入でき、テレビ番組を好きなタイミングで見られるほか、テレビ電話、ゲームなど、機能やソフトの種類はメーカーによってさまざま。テレビ自体がユーザーの好きな番組やソフトを学習するタイプも開発されている。
電波再編加速へ競売制度導入 政府方針
政府は3日、10日にも閣議決定する緊急経済対策の規制改革案に、電波の再編を加速するための新制度や競売(オークション)制度の導入を盛り込む方針を固めた。電波をより有効に使うため、周波数帯の再編に伴う費用負担方法を見直す。携帯電話の通信速度向上や無線による新サービスの創出を後押しし、経済の活性化にもつなげる狙いがある。
内閣府の大塚耕平副大臣と総務省の内藤正光副大臣が3日、規制改革のひとつとして推進する考えで一致した。電波政策を所管する総務省が年内に具体策をまとめ、2011年の通常国会で電波法の改正を目指す。
すでに特定の用途に割り当てている周波数帯について、免許期間中でも携帯電話など需要の大きいサービスに振り向けやすくする。違う周波数帯に移るのにかかる設備改修費用の一部を、跡地を使う別の事業者に負担させる新制度を導入する。
参入希望事業者が複数の場合は、より高い金額を提示した事業者に割り当てるオークション制度を活用する。市場原理を取り入れ、電波割り当ての透明性を高める。
アジェンダ、SNS用ゲーム参入 ミクシィ向けに提供
ソフト開発のアジェンダ(札幌市、松井文也社長)は交流サイト(SNS)向けのゲーム開発に参入した。会員数が2000万人を超えるSNS最大手ミクシィ向けに8月17日にゲームの提供を開始。手軽に遊べるSNSのゲーム市場は拡大しており、新たな収益源に育てたい考え。
ミクシィに提供を始めたのは、農場経営ゲームの「モーモータウン」。野菜や動物を育てて販売したり、育てた作物を使った料理を提供するレストランを経営したりする。ミクシィ内の友人「マイミク」と農場やレストランを相互に訪れることで、作物の種などを買うためのコインを得られる。毎週、新しい種やアイテムを追加し、長く遊べるようにする。
将来的な利用者獲得目標は100万人。無料で利用できるが、ゲームを進めやすくするためのアイテムなどは有料のものもある。全体の利用者のうち、1%程度への課金を目指す。
武田薬品、MR全2000人に「iPhone」貸与
武田薬品工業は10月から国内約2千人の医薬情報担当者(MR)全員に米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」を貸与する。業務報告書の提出やメールの送受信、自社製品の販売実績照会などの使途を見込んでおり、業務効率向上を目指す。
一部のMRには多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」も試験導入する方針。医療機関へ情報提供する際にiPadで動画などを使い、医師の理解を深めてもらう。
武田薬品は今年、5年ぶりに国内で新薬を発売した。新薬を素早く医療現場に周知させ、売り上げを伸ばすため、MRの情報武装を強化するとともに業務を効率化する。
良品計画、中国の拠点集約 衣料品の協力工場、2年で半減
雑貨店「無印良品」を運営する良品計画は、衣料品を生産する中国の協力工場を集約する。2010年2月期に約240カ所あった工場を2年で半減する。中国の人件費は高騰しているが、品質を維持・向上する上で他国への急速な生産シフトは難しいと判断した。国内の価格競争が激化する中、衣料品企業が最大の生産基地である中国の活用を見直す動きが加速してきた。
同社は上海市近辺などで、年間約2000品目の衣料品を生産委託している協力工場との契約見直しに入った。シャツ、スカートといった服の種類や使用素材ごとに工場の役割分担や生産量を決め、12年2月期には委託工場を110カ所に集約する計画。
1品当たりの生産量を増やすと同時に、生産ラインを長期にわたって活用し委託先工場の稼働率をアップ。生産コストの低減を図る。工場数を絞ることで良品計画の社員が工程管理の確認のために工場を訪問する機会も増え、商品の品質向上にもつながるとみている。
良品計画の衣料品は売上高の約3割を占める主力商品。ただ近年はユニクロなど、より価格の低い商品との競争が激化し、10年2月期の衣料品売上高は前年比4.2%減と苦戦している。工場を集約することで中国の人件費の高騰リスクを抑えるほか、関係強化で意思疎通を円滑にする。
同社は西友のプライベートブランド(PB=自主企画)の事業部門として発足。百貨店など既存流通の衣料品より割安な商品を作るため、他社に先駆け1980年代から中国への生産委託を始めており、現在は衣料品の8割を中国製が占める。ただ自社工場と異なり、委託工場では納期が遅れたり不良品が発生したりする可能性がある。
こうしたリスクを分散化するため委託先工場を増やしてきたが、コスト削減を優先し方針を転換する。同社も3~4年をめどに中国での衣料品生産比率を約65%に下げ、インドやバングラデシュなどに生産地を広げる計画。ただ中国は技術が高く、今後も当面は最大の生産委託先と判断。中国の生産体制を効率化することで対応する。
衣料品業界は中国で大半の商品を生産している企業がほとんどで、生産体制を見直す動きが広がっている。ユニクロを運営するファーストリテイリングはバングラデシュなどでの生産を拡大し、12年に中国以外での生産比率を3割超と現状の倍以上にする計画。青山商事も主力商品であるスーツの7割が中国生産である現状を改め、同国以外での生産比率を5年で5割程度に高める。
マツダ、原価低減を徹底 円高受け収益改善300~400億円狙う
マツダは足元の急激な円高を受け、緊急の収益改善策に乗り出す。取引先メーカーに対して一律数%の追加コスト削減を要請するほか、マツダ本体でも研究開発の効率化を急ぐ。販売面での採算向上も含めると、追加の収益改善効果は300億~400億円に達する見通しだ。一連の対策で2011年3月期の業績計画の達成を目指す。
収益改善策の目玉となるのがコスト削減で、追加効果は200億円程度に達する公算が大きい。まず原価低減では同社の取引先に対して新たにコスト削減を要請する。削減幅は現状より一律3~5%になるとみられる。設計段階から生産まで様々な過程で削減余地があると判断した。
本体でも設計の共通化などで開発費や生産コストを圧縮する。例えば開発段階で基本的な骨組みなどの構造を共通化し、異なるサイズの車の「作り方」を統一する取り組みだ。設計や開発、衝突実験テストなどの工程を圧縮できるうえ、それぞれの作業をモデル別に分ける必要もなくなり、投入資源の削減や開発期間の短縮につながる。
この取り組みは主力の「マツダ3(アクセラ)」や「マツダ6(アテンザ)」などで実施。これら車種の次期モデルの開発・設計時の工程数は旧モデル比で3割減る見通しだ。また今期に1千億円を計画する開発費についても、投資効率が悪い案件は先送りする。
販売の採算も高める。今期の世界販売は前期比6%増の127万台の計画だったが、タイや中国の好調で実際は130万台以上に上振れしそうだ。採算の良いモデルや地域での売り込みを上積みすることで、収益構造そのものを見直し、販売面で100億円以上の利益貢献につなげる。
マツダが緊急対策を進めるのは、国内生産比率が約7割と日産自動車(3割弱)など他社より高く、為替変動の影響を受けやすいためだ。輸出比率も1~6月は8割弱と業界最高水準だ。
足元の為替相場はマツダの想定レートよりドルで6円、ユーロで17円の円高水準で推移している。1円の円高でどれだけ営業利益が減るかを示す感応度は対ドルで30億円、対ユーロで12億円。特にユーロは、世界販売がほぼ3倍のホンダ(15億円)に迫る規模だ。
マツダは今期の連結営業利益を前期比約3.2倍の300億円と見込むが、今の為替水準が続けばドル・ユーロ以外の通貨も合わせて300億円以上の営業減益要因となる可能性がある。緊急対策で円高の影響を吸収して利益計画を維持する。
3銀行と三菱商事、事業再生ファンド設立へ
三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、日本政策投資銀行の3行と三菱商事が、共同出資により事業再生・再編ファンドを今月末にも設立することが3日、分かった。
メガバンク、総合商社が業態やグループの枠を超えて事業再生分野で本格協力するのは初めてだ。他の金融機関や企業も参加する可能性がある。
ファンドへの出資は当初は約300億円規模で、段階的に拡大し、最終的には1000億円規模に増やしたい考えだ。各行の主力取引先などを対象に、事業再構築や再編などを支援する。
銀行の貸し出しが低迷する中、出資先企業の株式上場後に株式を売却し、投資資金を回収するなど収益確保を図る。さらに、産業再編を後押しすることで、低迷する日本企業の国際競争力を高め、経済の活性化を促す狙いもある。
【主張】代表選と税財政 正面から健全化の議論を
2010.9.4 03:12
このニュースのトピックス:主張
先進国で突出して悪化した財政の健全化と持続可能な社会保障制度のための安定財源確保は、日本にとって最重要課題のひとつである。
政権を担う民主党の代表選はそこが問われねばならないが、結論から言えば課題解決の道筋はまったく見えない。
民主党は昨年夏の衆院選で消費税引き上げ凍結と子ども手当などのマニフェスト(政権公約)を掲げて政権を握った。しかし、こうした政策の一部実施でさえ、国債増発や特別会計の“埋蔵金”に頼るなど、「財源なきバラマキ政策」が明白になった。
本来なら代表選の焦点は政権公約の抜本見直しである。なのに、菅直人首相が少し現実路線に修正した程度で、小沢一郎前幹事長は消費税を凍結しても政権公約の財源16・8兆円は捻出(ねんしゅつ)できると全面実施を主張している。
小沢氏はその捻出策のひとつとして一般会計と特別会計の予算組み替えをあげる。だが、一般会計から見直し可能な特別会計に流れる金額は3・6兆円しかない。昨年の事業仕分けでも捻出できた恒久財源は5000億円程度で、その大幅上積みは不可能に近い。
ひも付き補助金の一括交付金化で無駄を削減するともいう。社会保障や公共事業など分野ごとに自治体が自由に使える財源にすれば効率的だというのだが、これも抽象的で問題が多い。
これは「第二地方交付税」のようなものだから、まず使途が不透明になる可能性がある。財源の配分基準や主体も不明確で、そこに政治利権が生じる恐れもあろう。第一、国の歳出削減にどうつなげるかも明言していない。
現実路線への修正姿勢を見せる菅氏の主張もまた、煮え切らない。子ども手当の満額支給などは断念したが、肝心の消費税については社会保障と税制の一体的議論を政府・党、さらに野党に協力を求めて行うとするだけで、強力なリーダーシップを示さない。
菅氏が消費税増税を先の参院選で打ち出したのは、財政健全化と社会保障の安定財源に不可欠だと、遅まきながら気付いたからではないか。それが参院選敗北に対する党内批判で簡単にしぼむようでは本気度が疑われる。
国、地方の債務残高が国内総生産の1・8倍に達する財政は破綻(はたん)寸前にある。代表選の意義はこれを正面から議論することだ。
パナソニックが世界の地域ごとに定めていた社員の採用基準を2011年度に全世界で統一することが3日、分かった。海外での採用拡大を打ち出すなか、各国の社員の能力、適性を一定レベル以上に保つのが狙い。今年度中に世界共通の採用ガイドラインを策定し、11年度の採用から導入していく。採用基準を全世界で統一するのは、電機業界では異例の試み。
パナソニックは11年度の採用で、国内の新卒採用を前年度比4割減の290人とする一方、海外は約1・5倍の1100人と過去最多の採用を計画。現在、新たな採用ガイドラインを策定するため、本社の人事担当者が海外子会社に出向き、どのような人材が活躍しているかなどを聞き取り調査している。グループ各社の回答から採用の基準となる「キーワード」を抽出し、パナソニックグループとして「どのような人材を採用すべきか」を来年3月までにまとめる。
決定したガイドラインは来年度以降、世界の採用活動で共通の判断材料とする。採用に当たっては、単に報酬や条件などにとらわれず「経営理念や価値観を共有できる人材を採用することが不可欠」(人事担当者)と判断。採用基準の統一で、グループ全体のために活躍できる人材を確保する。さらに将来、経営の中枢として活躍できる外国人幹部を増やすことにつなげたいという。
海外に生産・販売拠点を展開する大手企業は、勤務体系や賃金水準などの違いから、それぞれの国や現地法人ごとの人事制度の規定で、人材を採用するケースが多い。パナソニックも全世界に200以上の拠点を持ち、全社員のうち半数以上が外国人を中心とした海外採用。採用基準は地域ごとの採用センターに委ねられる部分が大きかった。
NTTドコモ、地域情報配信を強化 個人型サービス
NTTドコモは携帯電話を使った個人型情報配信サービス「iコンシェル」向けに地域密着情報の配信を強化する。これまでは大手企業の情報配信に限っていたが、個人商店でも簡易に配信が可能な玄関サイトを開設。地方の施設との連携も強化し、地域情報を全体の3割に当たる200件以上に拡大する。2010年度末に前期比2倍の約800万契約を目指す。
iコンシェルは全地球測位システム(GPS)の位置情報などから、近くにあるレストランや最寄り駅の終電時間などを「執事」のように知らせてくれるサービス。
情報配信用のネットワーク機器を持たない個人商店でも、専用ページから店の情報を入力するだけで月630円でドコモのサーバーを使って同サービスに情報提供できるようにした。地方の観光施設にも情報提供を呼びかけ、水族館や自治体の道の駅のイベント情報といった地域密着の情報を拡充する。
また契約者の拡大に伴い、ドコモはiコンシェルを使い利用者の好みに合った情報を配信するターゲット型の広告事業への参入も検討する。
ドコモは携帯電話の音声収入の低下に対応し、iコンシェルなどの携帯電話を使った情報配信サービスを増やしデータ収入拡大につなげる考え。
3D、ツイッター対応…韓国2強、「スマートテレビ」で攻勢 【ベルリン=森川潤】薄型テレビで世界的な強さを誇るサムスン電子とLG電子の韓国メーカー2社が、インターネットに接続して多彩なソフトも楽しめる「スマートテレビ」で攻勢をかけ始めた。ベルリンで3日開幕した世界最大級の家電見本市「IFA」に、サムスンは3次元(3D)映像に対応するスマートテレビを出品。LGはミニブログのツィッターなどを利用できるサービスを盛り込んだ。追い上げを狙うパナソニックやソニーなどの日本勢を、「次世代テレビ」で引き離す構えだ。
「一昨年はLED(発光ダイオード)テレビ、昨年は3D、今年はスマートテレビでリードする」
サムスン映像ディスプレイビジネス社のユンブグン社長は2日、テレビの開発で常に一歩先を行く姿勢を強調した。LED、3Dテレビで世界シェアのトップに立つサムスンは、今年から来年にかけてはスマートテレビの拡販に力を注ぐ。
米アップルの多機能端末「iPad(アイパッド)」などと同じように、一般の開発者が出品したゲームや動画などのソフトを、配信サービスを通じて購入できるのが特徴。開発者向けのコンテストを各国で催し、優秀なソフトを募る戦略をとる。現在107カ国で利用できるという。
10月には3D対応の65型スマートテレビなどを発売。液晶モニターを搭載したリモコンを持ち運べば、寝室や子供部屋でもネットワーク経由で番組などを楽しむことができる。サムスン幹部は「本当のスマートな生活スタイルを提案する」と自信をみせた。
一方、LGもテレビ向け配信サービスを独自開発。ネット経由で各国の放送を視聴できるほか、投稿動画「ユーチューブ」やゲームをテレビでダウンロードできる。厚さ約3ミリの3D対応有機LEDテレビや、厚さ約8ミリの「ナノテレビ」もIFAで展示し、技術力の高さも見せつけた。
米調査会社ディスプレイサーチによると、インターネット接続テレビの世界販売は09年の1520万台から14年に1億1930万台にまで拡大する見込みだ。
◇
【用語解説】スマートテレビ
インターネット接続機能を強化し、パソコンなどを経由せずに、多くのソフトが楽しめるテレビ。映画を購入でき、テレビ番組を好きなタイミングで見られるほか、テレビ電話、ゲームなど、機能やソフトの種類はメーカーによってさまざま。テレビ自体がユーザーの好きな番組やソフトを学習するタイプも開発されている。
電波再編加速へ競売制度導入 政府方針
政府は3日、10日にも閣議決定する緊急経済対策の規制改革案に、電波の再編を加速するための新制度や競売(オークション)制度の導入を盛り込む方針を固めた。電波をより有効に使うため、周波数帯の再編に伴う費用負担方法を見直す。携帯電話の通信速度向上や無線による新サービスの創出を後押しし、経済の活性化にもつなげる狙いがある。
内閣府の大塚耕平副大臣と総務省の内藤正光副大臣が3日、規制改革のひとつとして推進する考えで一致した。電波政策を所管する総務省が年内に具体策をまとめ、2011年の通常国会で電波法の改正を目指す。
すでに特定の用途に割り当てている周波数帯について、免許期間中でも携帯電話など需要の大きいサービスに振り向けやすくする。違う周波数帯に移るのにかかる設備改修費用の一部を、跡地を使う別の事業者に負担させる新制度を導入する。
参入希望事業者が複数の場合は、より高い金額を提示した事業者に割り当てるオークション制度を活用する。市場原理を取り入れ、電波割り当ての透明性を高める。
アジェンダ、SNS用ゲーム参入 ミクシィ向けに提供
ソフト開発のアジェンダ(札幌市、松井文也社長)は交流サイト(SNS)向けのゲーム開発に参入した。会員数が2000万人を超えるSNS最大手ミクシィ向けに8月17日にゲームの提供を開始。手軽に遊べるSNSのゲーム市場は拡大しており、新たな収益源に育てたい考え。
ミクシィに提供を始めたのは、農場経営ゲームの「モーモータウン」。野菜や動物を育てて販売したり、育てた作物を使った料理を提供するレストランを経営したりする。ミクシィ内の友人「マイミク」と農場やレストランを相互に訪れることで、作物の種などを買うためのコインを得られる。毎週、新しい種やアイテムを追加し、長く遊べるようにする。
将来的な利用者獲得目標は100万人。無料で利用できるが、ゲームを進めやすくするためのアイテムなどは有料のものもある。全体の利用者のうち、1%程度への課金を目指す。
武田薬品、MR全2000人に「iPhone」貸与
武田薬品工業は10月から国内約2千人の医薬情報担当者(MR)全員に米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」を貸与する。業務報告書の提出やメールの送受信、自社製品の販売実績照会などの使途を見込んでおり、業務効率向上を目指す。
一部のMRには多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」も試験導入する方針。医療機関へ情報提供する際にiPadで動画などを使い、医師の理解を深めてもらう。
武田薬品は今年、5年ぶりに国内で新薬を発売した。新薬を素早く医療現場に周知させ、売り上げを伸ばすため、MRの情報武装を強化するとともに業務を効率化する。
良品計画、中国の拠点集約 衣料品の協力工場、2年で半減
雑貨店「無印良品」を運営する良品計画は、衣料品を生産する中国の協力工場を集約する。2010年2月期に約240カ所あった工場を2年で半減する。中国の人件費は高騰しているが、品質を維持・向上する上で他国への急速な生産シフトは難しいと判断した。国内の価格競争が激化する中、衣料品企業が最大の生産基地である中国の活用を見直す動きが加速してきた。
同社は上海市近辺などで、年間約2000品目の衣料品を生産委託している協力工場との契約見直しに入った。シャツ、スカートといった服の種類や使用素材ごとに工場の役割分担や生産量を決め、12年2月期には委託工場を110カ所に集約する計画。
1品当たりの生産量を増やすと同時に、生産ラインを長期にわたって活用し委託先工場の稼働率をアップ。生産コストの低減を図る。工場数を絞ることで良品計画の社員が工程管理の確認のために工場を訪問する機会も増え、商品の品質向上にもつながるとみている。
良品計画の衣料品は売上高の約3割を占める主力商品。ただ近年はユニクロなど、より価格の低い商品との競争が激化し、10年2月期の衣料品売上高は前年比4.2%減と苦戦している。工場を集約することで中国の人件費の高騰リスクを抑えるほか、関係強化で意思疎通を円滑にする。
同社は西友のプライベートブランド(PB=自主企画)の事業部門として発足。百貨店など既存流通の衣料品より割安な商品を作るため、他社に先駆け1980年代から中国への生産委託を始めており、現在は衣料品の8割を中国製が占める。ただ自社工場と異なり、委託工場では納期が遅れたり不良品が発生したりする可能性がある。
こうしたリスクを分散化するため委託先工場を増やしてきたが、コスト削減を優先し方針を転換する。同社も3~4年をめどに中国での衣料品生産比率を約65%に下げ、インドやバングラデシュなどに生産地を広げる計画。ただ中国は技術が高く、今後も当面は最大の生産委託先と判断。中国の生産体制を効率化することで対応する。
衣料品業界は中国で大半の商品を生産している企業がほとんどで、生産体制を見直す動きが広がっている。ユニクロを運営するファーストリテイリングはバングラデシュなどでの生産を拡大し、12年に中国以外での生産比率を3割超と現状の倍以上にする計画。青山商事も主力商品であるスーツの7割が中国生産である現状を改め、同国以外での生産比率を5年で5割程度に高める。
マツダ、原価低減を徹底 円高受け収益改善300~400億円狙う
マツダは足元の急激な円高を受け、緊急の収益改善策に乗り出す。取引先メーカーに対して一律数%の追加コスト削減を要請するほか、マツダ本体でも研究開発の効率化を急ぐ。販売面での採算向上も含めると、追加の収益改善効果は300億~400億円に達する見通しだ。一連の対策で2011年3月期の業績計画の達成を目指す。
収益改善策の目玉となるのがコスト削減で、追加効果は200億円程度に達する公算が大きい。まず原価低減では同社の取引先に対して新たにコスト削減を要請する。削減幅は現状より一律3~5%になるとみられる。設計段階から生産まで様々な過程で削減余地があると判断した。
本体でも設計の共通化などで開発費や生産コストを圧縮する。例えば開発段階で基本的な骨組みなどの構造を共通化し、異なるサイズの車の「作り方」を統一する取り組みだ。設計や開発、衝突実験テストなどの工程を圧縮できるうえ、それぞれの作業をモデル別に分ける必要もなくなり、投入資源の削減や開発期間の短縮につながる。
この取り組みは主力の「マツダ3(アクセラ)」や「マツダ6(アテンザ)」などで実施。これら車種の次期モデルの開発・設計時の工程数は旧モデル比で3割減る見通しだ。また今期に1千億円を計画する開発費についても、投資効率が悪い案件は先送りする。
販売の採算も高める。今期の世界販売は前期比6%増の127万台の計画だったが、タイや中国の好調で実際は130万台以上に上振れしそうだ。採算の良いモデルや地域での売り込みを上積みすることで、収益構造そのものを見直し、販売面で100億円以上の利益貢献につなげる。
マツダが緊急対策を進めるのは、国内生産比率が約7割と日産自動車(3割弱)など他社より高く、為替変動の影響を受けやすいためだ。輸出比率も1~6月は8割弱と業界最高水準だ。
足元の為替相場はマツダの想定レートよりドルで6円、ユーロで17円の円高水準で推移している。1円の円高でどれだけ営業利益が減るかを示す感応度は対ドルで30億円、対ユーロで12億円。特にユーロは、世界販売がほぼ3倍のホンダ(15億円)に迫る規模だ。
マツダは今期の連結営業利益を前期比約3.2倍の300億円と見込むが、今の為替水準が続けばドル・ユーロ以外の通貨も合わせて300億円以上の営業減益要因となる可能性がある。緊急対策で円高の影響を吸収して利益計画を維持する。
3銀行と三菱商事、事業再生ファンド設立へ
三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、日本政策投資銀行の3行と三菱商事が、共同出資により事業再生・再編ファンドを今月末にも設立することが3日、分かった。
メガバンク、総合商社が業態やグループの枠を超えて事業再生分野で本格協力するのは初めてだ。他の金融機関や企業も参加する可能性がある。
ファンドへの出資は当初は約300億円規模で、段階的に拡大し、最終的には1000億円規模に増やしたい考えだ。各行の主力取引先などを対象に、事業再構築や再編などを支援する。
銀行の貸し出しが低迷する中、出資先企業の株式上場後に株式を売却し、投資資金を回収するなど収益確保を図る。さらに、産業再編を後押しすることで、低迷する日本企業の国際競争力を高め、経済の活性化を促す狙いもある。
【主張】代表選と税財政 正面から健全化の議論を
2010.9.4 03:12
このニュースのトピックス:主張
先進国で突出して悪化した財政の健全化と持続可能な社会保障制度のための安定財源確保は、日本にとって最重要課題のひとつである。
政権を担う民主党の代表選はそこが問われねばならないが、結論から言えば課題解決の道筋はまったく見えない。
民主党は昨年夏の衆院選で消費税引き上げ凍結と子ども手当などのマニフェスト(政権公約)を掲げて政権を握った。しかし、こうした政策の一部実施でさえ、国債増発や特別会計の“埋蔵金”に頼るなど、「財源なきバラマキ政策」が明白になった。
本来なら代表選の焦点は政権公約の抜本見直しである。なのに、菅直人首相が少し現実路線に修正した程度で、小沢一郎前幹事長は消費税を凍結しても政権公約の財源16・8兆円は捻出(ねんしゅつ)できると全面実施を主張している。
小沢氏はその捻出策のひとつとして一般会計と特別会計の予算組み替えをあげる。だが、一般会計から見直し可能な特別会計に流れる金額は3・6兆円しかない。昨年の事業仕分けでも捻出できた恒久財源は5000億円程度で、その大幅上積みは不可能に近い。
ひも付き補助金の一括交付金化で無駄を削減するともいう。社会保障や公共事業など分野ごとに自治体が自由に使える財源にすれば効率的だというのだが、これも抽象的で問題が多い。
これは「第二地方交付税」のようなものだから、まず使途が不透明になる可能性がある。財源の配分基準や主体も不明確で、そこに政治利権が生じる恐れもあろう。第一、国の歳出削減にどうつなげるかも明言していない。
現実路線への修正姿勢を見せる菅氏の主張もまた、煮え切らない。子ども手当の満額支給などは断念したが、肝心の消費税については社会保障と税制の一体的議論を政府・党、さらに野党に協力を求めて行うとするだけで、強力なリーダーシップを示さない。
菅氏が消費税増税を先の参院選で打ち出したのは、財政健全化と社会保障の安定財源に不可欠だと、遅まきながら気付いたからではないか。それが参院選敗北に対する党内批判で簡単にしぼむようでは本気度が疑われる。
国、地方の債務残高が国内総生産の1・8倍に達する財政は破綻(はたん)寸前にある。代表選の意義はこれを正面から議論することだ。
ゲーム施設、3D対応機で集客 バンダイナムコやコナミ
バンダイナムコゲームスやコナミデジタルエンタテインメントなどゲーム大手は、3次元(3D)映像に対応したアミューズメント施設向けゲーム機に参入する。バンダイナムコは大画面のガンシューティングゲームなど2機種を開発し、コナミもレースゲームを展開する。景気後退などで利用者数が伸び悩むなか、3Dゲーム機を施設の集客に役立てる。
両社が投入するのはいずれも専用の眼鏡を使う方式で、左右の目に異なる映像を送り、画面内の人物や物体などが立体的に見えるようにする。
バンダイナムコはガンシューティングゲームの「デッドストームパイレーツ」を来春にも施設向けに投入する。3D映画で使うような簡易な専用眼鏡を用意する方針。
利用料金は通常の100~200円よりも少し高い300~400円を想定している。ドライブレースの3Dゲーム機も順次展開する。ゲームセンターだけではなく、テーマパークなどでの需要も見込む。国内に加え、北米やアジア地域での展開も視野に入れる。
コナミはドライブゲーム「ロードファイターズ」を9月中にも発売する。望遠鏡のような専用眼鏡がゲーム機に備え付けてあり、利用者は好みに応じて位置を調整できる。通常の2D画面に切り替えたり、別の施設の利用者とインターネットを通じて対戦できたりする機能も取り入れる。
ゲーム業界は3Dゲームを新ジャンルとして注目。任天堂は裸眼で利用できる携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を早ければ年内にも発売する。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)も家庭用ゲーム機「プレイステーション3」と3D対応テレビがあれば楽しめる家庭用ゲームを発売している。
読者に直接ニュース配信 仏AFP通信が構想
AFP(フランス通信)のエマニュエル・オグ社長は、現地時間2010年9月2日付けの仏ルモンド紙に、携帯機器などを経由してインターネットユーザーに直接配信する構想を語った。AFPほか複数のメディアが伝えた。
報道によるとオグ社長は、「通信社が新聞社にコンテンツを販売し、それを一般読者が購入するというシステムから抜け出さなくてはならない」と発言。さらに「(AFPという)世界第3位の通信社が、アイパッド(iPad)やスマートフォンのアプリケーションを持たないのは、ばかげている」とした。
また、オンライン配信のニュースから収益を得る方法を模索中だと明かした。
CEDEC 2010:
ソーシャルゲーム、3日でできた DeNA「Platform Wars」を披露
ディー・エヌ・エー(DeNA)の開発チームが携帯電話向けソーシャルゲームを3日で作る企画が成功した。8月31日から3日間、CEDEC会場で開発し、9月2日にお披露目。開発チームの1人は「携帯ゲームは3日で作って、反応をもらえる。遊んだ感想を聞けるうれしさは何にも代えがたい」と語った。
DeNAの開発チーム6人が、CEDEC開催中にゲームを1本開発する企画。ゲーム内容とタイトルは、CEDEC会場で来場者から募集し、抽選で決定。DeNA、グリー、ミクシィが激しく社員を奪い合って売り上げを競うというゲーム「Platform Wars」だ。
プレイヤーは、3社のうちのどこかの新米ディレクターとなって、ゲームを企画・完成させ、売り上げを立てる。ゲーム開発に必要な人材は、他社から引き抜く仕組み。自分のチームのメンバーに焼肉やキャバクラをおごってねぎらえば信頼度が増し、引き抜かれにくくなる。ゲームに登場するエンジニアなどの顔写真は、CEDECの来場者を撮影したものを使っている。
記者もやってみた。ゲームを作るのも、人材を引き抜くのも決定ボタンを押すだけで、操作は簡単。あっという間にゲームが完成し、11万円をゲットしてちょっとうれしい。DeNAのエンジニア募集のバナーも掲載されており、抜かりなしという感じだ。
大枠の仕様は約1時間半で決め、開発にとりかかったという。エンジニアは機能別に役割を分担して進め、デザイナーはキャラ作成などから始めた。1日目の夜は宿舎のネットがつながらず、開発できなくなるピンチも。2日目からは、人材を引き抜くといった重要な機能の実装し、宿舎を変えて夜通し作業を続けた。
3日目の午後3時に無事完成。どれを省いてもゲームとして成り立たないというコア機能のみで、装飾はあまりできなかったという。URLがCEDEC会場やTwitterで公開されると、午後6時半ごろには約300人がプレイし、ページビューは12万となった。CEDEC来場者からは「シンプルで最初のつかみがいい」「なかなかはまりそう」といった声が聞かれ、高評価だった。
開発に関わったDeNAのスタッフ。「開発中に差し入れが多くてうれしかった」
3日でゲームを開発する企画は、CEDEC側から複数の企業に打診したが、引き受けたのはDeNAだけだったという。DeNAの目的は、携帯ゲームの開発現場の様子を、CEDECに来場した家庭用ゲームの開発者にも知ってもらうことだ。
開発チームの1人は「コンシューマゲームを作っている30代、40代は、携帯というだけで興味がないと切り捨ててしまう。『自分が作りたいのはハイテクなゲームだ』という気持ちも分かるが、携帯ゲームなら3日で作って反応をもらえる。感想が聞けるうれしさは何にも代えがたい」と話している。
ドコモ、スマートフォン対応「補助充電アダプタ 02」を10日発売
NTTドコモは、FOMA端末用外部バッテリー「FOMA 補助充電アダプタ 02」を9月10日に発売する。ドコモオンラインショップを含む、全てのドコモ取扱店で販売され、価格は3500円前後になる見込み。
「FOMA 補助充電アダプタ 02」は、1800mAhのリチウムイオン電池を内蔵する、FOMA端末用の外部接続バッテリー。一般的なFOMA端末を充電するためのコネクタに加え、スマートフォンを充電できるようUSB出力端子が用意されている。対応機種は、「Xperia」「LINX SH-10B」「dynapocket T-01B」「SC-01B」などに対応する。機種によって、異なるケーブルを利用する必要があり、たとえば「Xperia」の場合は同梱のmicroUSBケーブルを併用し、「SC-01B」の場合は同梱のPC接続用USBケーブルを併用する。なお、BlackBerryシリーズは非対応となる。
ケースをスライドさせてコードを収納できる仕組みを採用し、バッテリー残量を確認できるCHECKボタンを搭載する。出力電圧はiモード端末向けでDC5.4V、USB経由でDC5.0Vとなり、出力電流はiモード端末向けで400mA、USB経由で500mAとなる。
「ポケモン」新作発売で「DSi」の中古値上がり
携帯ゲーム機の「ニンテンドーDSi」の中古品が値上がりし、1万円を上回った。9月18日にDS用ソフト「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」が発売されるためだ。予約だけですでに100万本を突破。「一度DSを手放してしまった人を中心に、ポケモンを遊ぶために割安な中古品を購入する例が増えそう」(ブックオフコーポレーション)との見方から、需要増を見越して値上げする動きが出ている。
新作ソフト発売一巡で中古「Wii」は値下がり
ポケモンの新作発売の余波は他のDS用ソフトにも及んでいる。「ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2」の中古品は2カ月前から20%近く値下がりした。「(モンスターを仲間にして育てるという)ゲーム性がポケモンと似ている」(同)影響で、需要が鈍ったとみられる。
DS以外のゲーム機本体では、Wiiの中古価格が9%下落。「スーパーマリオギャラクシー2」などの人気ソフトの発売が一巡したため、在庫が増えている。一方、プレイステーション3(PS3)やプレイステーション・ポータブルの販売価格は底堅く推移している。
PS3用「FF13」は1500円割り込む
PS3用ソフト「ファイナルファンタジー13」は中古品が一段と値下がりし、1500円を割り込んだ。新品の2割以下の価格で買えるため割安感が強い。ブックオフでは売り切れになる店舗もあるという。
中小書店を中心に減少 ネット通販・電子書籍浸透
書店は淘汰が進んでいる。出版社のアルメディア(東京・豊島)によると、2010年5月時点の全国の書店数は前年同月比3%減の1万5300。この10年で見ると3割減少した。
一方、店舗の大型化は進み、売り場面積は4678万9400平方メートルとこの10年で15%広がった。「経営基盤の弱い中小書店の閉鎖が増える中、品ぞろえが広く、効率的な店舗運営ができる大型店が増えているため」(アルメディア)という。
今後も中小書店の経営は厳しくなるのは確実。電子書籍の需要が拡大の兆しを見せているうえに、米アマゾン・ドット・コムに代表される書籍のネット通販が勢力を拡大し、書店のシェアを奪いつつあるためだ。
もちろん丸善やジュンク堂はDNPと協力して独自の電子書籍販売サイトを10月にも立ち上げるなど、電子書籍への対応も進めている。ただ、書籍や雑誌を購入する消費者が現時点で最も多いのは本業の書店で、経営をおろそかにはできない。このため一気に大型化を進め、中小店のシェアなどをつかむ考え。競合他社も大型化を進めるのは必至で、書店の淘汰が加速しそうだ。
家電エコポイント制度“延長”でも“終了後”を睨み戦略修正を図る電機メーカー
省エネ家電の購入を促進する「家電エコポイント制度」が3ヵ月間延長されることになった。エアコン、冷蔵庫、薄型テレビを対象とした家電エコポイント制度は、昨年5月にスタートした。当初の期限は今年3月末だったが、国内経済の停滞から、今年12月まで延長されていた。
そして今回、終了期限が来年3月まで“再延長”された。円高や欧米経済の減速により、国内景気の下振れリスクがあるとして、8月30日に、政府の追加経済政策の中に盛り込まれたのだ。
それにもかかわらず、再延長によって恩恵を被るはずの電機メーカー内部の反応は、意外なほどに冷めている。
なぜか。それは、制度開始から1年以上もの月日が流れ、「需要の先食いをすることはあっても、中長期的な経済効果は期待できない」(アナリスト)とする考え方が一般的だからだ。
順にみてみよう。最も“先食い需要”が懸念されるのは薄型テレビである。来年7月24日には、地上波デジタル放送が開始される予定だ。エコポイントは、アナログ放送停止に向けた起爆剤として機能しているものの、来年8月以降に訪れるであろう急激な需要減をカバーする効果は期待できない。
家電量販店は商戦の目玉となるエコポイント対象製品に、通常より多くの自社ポイントを付与する傾向があり、その値下げ原資は自社や電機メーカーのマーケティングコストから捻出されている。エコポイントが安値競争の常態化を生む元凶となっており、なかでも薄型テレビの価格競争は群を抜いて熾烈である。
次に、エアコンの販売数量は6~8月期に前年同期の1.5倍に達しているが、「この特需はまさに猛暑の賜物であり、昨年の冷夏の反動を考えれば当然の水準。エコポイントの効果は限定的だ」(電機メーカー幹部)と言う。
対象3製品のなかでは、最も消費刺激効果が大きいとみられるのは冷蔵庫である。この6~8月期に前年同期比で、数量ベースでは数%の伸びだったが、(エコポイントの点数が高い)大容量の冷蔵庫の販売が堅調であったため、金額ベースでは2割増の伸びとなっている。
もっとも、制度運用に毎月300億円もの巨費を投下してまで維持する制度であるかは疑問だ。
また、再延長された後には、「エコカー補助金(の申請期限)がこの9月末で打ち切られるのに、家電補助政策が温存されるとは考え難い」(電機メーカー幹部)。そのため、早くも水面下では、 家電エコポイント“終了後”を見通して、戦略修正を図る電機メーカーが出てきている。
その一例が、住宅版エコポイント制度――窓や外壁の断熱性能が高い新築住宅・リフォーム住宅にエコポイントが付与される――を意識した戦略修正である。家電エコポイント制度よりも景気刺激効果が大きく、また、温室効果ガスの削減にも直結する住宅版エコポイント制度は、当面継続されるのではないか、という見方が根強い。
一方で、パナソニックや日立製作所、三菱電機といった大手電気メーカーは、調理・給湯・冷暖房など家庭で使用するエネルギーをすべて電気でまかなう“オール電化”システム事業に注力している。現在は対象外だが、「いずれ、“オール電化住宅”が住宅版エコポイント制度の対象となってもおかしくない」(電機メーカー幹部)と言うように、“ポスト・家電エコポイント制度”を睨んだ動きが活発化しそうだ。
【中央日報社説】スマートテレビ時代、メディアもグローバル競争力を備えるべき
第47回放送の日の今日、世界は「スマート戦争」で砲煙が立ち込める。三星(サムスン)とLGはこの日からドイツ・ベルリンで開催される家電展示会「IFA2010」でスマートテレビを紹介する。LEDと3Dに続き、スマートテレビ市場の先行獲得に乗り出したのだ。世界最大の検索企業グーグルが日本のソニーと提携して「グーグルテレビ」というが、三星の場合、これに対する先制対応という性格が強い。アイフォーンのスティーブ・ジョブズも昨日、「アップルテレビ」を発表した。少しずつ機能と性格は異なるが、携帯電話やタブレットPCに続き、デジタル生活の「キーステーション」になる家庭のスマートテレビを狙って、譲歩のない戦争が繰り広げられているのだ。スマートフォンでは基本ソフト(OS)問題で後れを取ったが、スマートテレビは進んだ技術と洞察力のある異種融合で世界市場を席巻することを願う。
問題はスマートテレビがもたらすメディアの地殻変動だ。ニュースや天気を確認し、ゲームや映画も楽しみ、フェースブックやツイッターで疎通しながら、その場で商品も注文できる。リモコン一つで視聴から検索・疎通・購買まで同時に解決するのだ。さらにインターネットのように国や圏域がない。例えば米国のドラマを見ながら、主人公が身に付けた間接広告(PPL)物品を「アマゾン」や購買代行社を通してすぐに購入できるのだ。もうテレビは「視聴」するものではなく、何かを実行する窓であり、新概念の「場」なのだ。地上波とケーブルに分かれ、報道・娯楽・文化・レジャーなどに分類された障壁が、無意味な状況になりうるという意味だ。従来の放送のパラダイムの一大転換点だ。
結局、スマートテレビに代表されるデジタル戦争は、器機とメディア・コンテンツ間の相互融合・協力・競争形態で進行されるだろう。メディアはどんなコンテンツをどう最適化して提供するかがポイントだ。顧客は国内でなく世界だ。商品と同じようにコンテンツも世界で通用しなければ無視される。井の中のどんぐりの背くらべでは‘コンテンツ植民地化’を招くことになる。メディア融合の時代にスマートテレビは企業にとってチャンスだが、従来のメディアには危機的な要素もある。
したがって現在議論されている総合編成・報道放送チャンネルも個別事業の成敗より、もう少し目を大きく開いて、世界メディア市場を見なければならない。グローバル競争力を備えればデジタル新韓流の夢も可能だが、それができなければ深刻なコンテンツの逆潮が懸念される。李明博(イ・ミョンバク)大統領も放送の日の祝辞で、グローバル競争力を備えた創意的なコンテンツの必要性を力説した。放送にも、世界との競争を強調しながらグローバルレベルに合わせることを注文した。すべて正しい言葉だ。
先日、慶尚北道蔚珍(キョンサンブクド・ウルチン)で地上波アナログテレビ放送が終了した。2012年を眺めたデジタル化の信号弾だ。異種メディアのグローバル離合集散も激しい。光速度に変わる先端時代だ。グローバル競争で生き残るには、政府も企業もメディアも気を引き締める必要がある。
バンダイナムコゲームスやコナミデジタルエンタテインメントなどゲーム大手は、3次元(3D)映像に対応したアミューズメント施設向けゲーム機に参入する。バンダイナムコは大画面のガンシューティングゲームなど2機種を開発し、コナミもレースゲームを展開する。景気後退などで利用者数が伸び悩むなか、3Dゲーム機を施設の集客に役立てる。
両社が投入するのはいずれも専用の眼鏡を使う方式で、左右の目に異なる映像を送り、画面内の人物や物体などが立体的に見えるようにする。
バンダイナムコはガンシューティングゲームの「デッドストームパイレーツ」を来春にも施設向けに投入する。3D映画で使うような簡易な専用眼鏡を用意する方針。
利用料金は通常の100~200円よりも少し高い300~400円を想定している。ドライブレースの3Dゲーム機も順次展開する。ゲームセンターだけではなく、テーマパークなどでの需要も見込む。国内に加え、北米やアジア地域での展開も視野に入れる。
コナミはドライブゲーム「ロードファイターズ」を9月中にも発売する。望遠鏡のような専用眼鏡がゲーム機に備え付けてあり、利用者は好みに応じて位置を調整できる。通常の2D画面に切り替えたり、別の施設の利用者とインターネットを通じて対戦できたりする機能も取り入れる。
ゲーム業界は3Dゲームを新ジャンルとして注目。任天堂は裸眼で利用できる携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を早ければ年内にも発売する。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)も家庭用ゲーム機「プレイステーション3」と3D対応テレビがあれば楽しめる家庭用ゲームを発売している。
読者に直接ニュース配信 仏AFP通信が構想
AFP(フランス通信)のエマニュエル・オグ社長は、現地時間2010年9月2日付けの仏ルモンド紙に、携帯機器などを経由してインターネットユーザーに直接配信する構想を語った。AFPほか複数のメディアが伝えた。
報道によるとオグ社長は、「通信社が新聞社にコンテンツを販売し、それを一般読者が購入するというシステムから抜け出さなくてはならない」と発言。さらに「(AFPという)世界第3位の通信社が、アイパッド(iPad)やスマートフォンのアプリケーションを持たないのは、ばかげている」とした。
また、オンライン配信のニュースから収益を得る方法を模索中だと明かした。
CEDEC 2010:
ソーシャルゲーム、3日でできた DeNA「Platform Wars」を披露
ディー・エヌ・エー(DeNA)の開発チームが携帯電話向けソーシャルゲームを3日で作る企画が成功した。8月31日から3日間、CEDEC会場で開発し、9月2日にお披露目。開発チームの1人は「携帯ゲームは3日で作って、反応をもらえる。遊んだ感想を聞けるうれしさは何にも代えがたい」と語った。
DeNAの開発チーム6人が、CEDEC開催中にゲームを1本開発する企画。ゲーム内容とタイトルは、CEDEC会場で来場者から募集し、抽選で決定。DeNA、グリー、ミクシィが激しく社員を奪い合って売り上げを競うというゲーム「Platform Wars」だ。
プレイヤーは、3社のうちのどこかの新米ディレクターとなって、ゲームを企画・完成させ、売り上げを立てる。ゲーム開発に必要な人材は、他社から引き抜く仕組み。自分のチームのメンバーに焼肉やキャバクラをおごってねぎらえば信頼度が増し、引き抜かれにくくなる。ゲームに登場するエンジニアなどの顔写真は、CEDECの来場者を撮影したものを使っている。
記者もやってみた。ゲームを作るのも、人材を引き抜くのも決定ボタンを押すだけで、操作は簡単。あっという間にゲームが完成し、11万円をゲットしてちょっとうれしい。DeNAのエンジニア募集のバナーも掲載されており、抜かりなしという感じだ。
大枠の仕様は約1時間半で決め、開発にとりかかったという。エンジニアは機能別に役割を分担して進め、デザイナーはキャラ作成などから始めた。1日目の夜は宿舎のネットがつながらず、開発できなくなるピンチも。2日目からは、人材を引き抜くといった重要な機能の実装し、宿舎を変えて夜通し作業を続けた。
3日目の午後3時に無事完成。どれを省いてもゲームとして成り立たないというコア機能のみで、装飾はあまりできなかったという。URLがCEDEC会場やTwitterで公開されると、午後6時半ごろには約300人がプレイし、ページビューは12万となった。CEDEC来場者からは「シンプルで最初のつかみがいい」「なかなかはまりそう」といった声が聞かれ、高評価だった。
開発に関わったDeNAのスタッフ。「開発中に差し入れが多くてうれしかった」
3日でゲームを開発する企画は、CEDEC側から複数の企業に打診したが、引き受けたのはDeNAだけだったという。DeNAの目的は、携帯ゲームの開発現場の様子を、CEDECに来場した家庭用ゲームの開発者にも知ってもらうことだ。
開発チームの1人は「コンシューマゲームを作っている30代、40代は、携帯というだけで興味がないと切り捨ててしまう。『自分が作りたいのはハイテクなゲームだ』という気持ちも分かるが、携帯ゲームなら3日で作って反応をもらえる。感想が聞けるうれしさは何にも代えがたい」と話している。
ドコモ、スマートフォン対応「補助充電アダプタ 02」を10日発売
NTTドコモは、FOMA端末用外部バッテリー「FOMA 補助充電アダプタ 02」を9月10日に発売する。ドコモオンラインショップを含む、全てのドコモ取扱店で販売され、価格は3500円前後になる見込み。
「FOMA 補助充電アダプタ 02」は、1800mAhのリチウムイオン電池を内蔵する、FOMA端末用の外部接続バッテリー。一般的なFOMA端末を充電するためのコネクタに加え、スマートフォンを充電できるようUSB出力端子が用意されている。対応機種は、「Xperia」「LINX SH-10B」「dynapocket T-01B」「SC-01B」などに対応する。機種によって、異なるケーブルを利用する必要があり、たとえば「Xperia」の場合は同梱のmicroUSBケーブルを併用し、「SC-01B」の場合は同梱のPC接続用USBケーブルを併用する。なお、BlackBerryシリーズは非対応となる。
ケースをスライドさせてコードを収納できる仕組みを採用し、バッテリー残量を確認できるCHECKボタンを搭載する。出力電圧はiモード端末向けでDC5.4V、USB経由でDC5.0Vとなり、出力電流はiモード端末向けで400mA、USB経由で500mAとなる。
「ポケモン」新作発売で「DSi」の中古値上がり
携帯ゲーム機の「ニンテンドーDSi」の中古品が値上がりし、1万円を上回った。9月18日にDS用ソフト「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」が発売されるためだ。予約だけですでに100万本を突破。「一度DSを手放してしまった人を中心に、ポケモンを遊ぶために割安な中古品を購入する例が増えそう」(ブックオフコーポレーション)との見方から、需要増を見越して値上げする動きが出ている。
新作ソフト発売一巡で中古「Wii」は値下がり
ポケモンの新作発売の余波は他のDS用ソフトにも及んでいる。「ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2」の中古品は2カ月前から20%近く値下がりした。「(モンスターを仲間にして育てるという)ゲーム性がポケモンと似ている」(同)影響で、需要が鈍ったとみられる。
DS以外のゲーム機本体では、Wiiの中古価格が9%下落。「スーパーマリオギャラクシー2」などの人気ソフトの発売が一巡したため、在庫が増えている。一方、プレイステーション3(PS3)やプレイステーション・ポータブルの販売価格は底堅く推移している。
PS3用「FF13」は1500円割り込む
PS3用ソフト「ファイナルファンタジー13」は中古品が一段と値下がりし、1500円を割り込んだ。新品の2割以下の価格で買えるため割安感が強い。ブックオフでは売り切れになる店舗もあるという。
中小書店を中心に減少 ネット通販・電子書籍浸透
書店は淘汰が進んでいる。出版社のアルメディア(東京・豊島)によると、2010年5月時点の全国の書店数は前年同月比3%減の1万5300。この10年で見ると3割減少した。
一方、店舗の大型化は進み、売り場面積は4678万9400平方メートルとこの10年で15%広がった。「経営基盤の弱い中小書店の閉鎖が増える中、品ぞろえが広く、効率的な店舗運営ができる大型店が増えているため」(アルメディア)という。
今後も中小書店の経営は厳しくなるのは確実。電子書籍の需要が拡大の兆しを見せているうえに、米アマゾン・ドット・コムに代表される書籍のネット通販が勢力を拡大し、書店のシェアを奪いつつあるためだ。
もちろん丸善やジュンク堂はDNPと協力して独自の電子書籍販売サイトを10月にも立ち上げるなど、電子書籍への対応も進めている。ただ、書籍や雑誌を購入する消費者が現時点で最も多いのは本業の書店で、経営をおろそかにはできない。このため一気に大型化を進め、中小店のシェアなどをつかむ考え。競合他社も大型化を進めるのは必至で、書店の淘汰が加速しそうだ。
家電エコポイント制度“延長”でも“終了後”を睨み戦略修正を図る電機メーカー
省エネ家電の購入を促進する「家電エコポイント制度」が3ヵ月間延長されることになった。エアコン、冷蔵庫、薄型テレビを対象とした家電エコポイント制度は、昨年5月にスタートした。当初の期限は今年3月末だったが、国内経済の停滞から、今年12月まで延長されていた。
そして今回、終了期限が来年3月まで“再延長”された。円高や欧米経済の減速により、国内景気の下振れリスクがあるとして、8月30日に、政府の追加経済政策の中に盛り込まれたのだ。
それにもかかわらず、再延長によって恩恵を被るはずの電機メーカー内部の反応は、意外なほどに冷めている。
なぜか。それは、制度開始から1年以上もの月日が流れ、「需要の先食いをすることはあっても、中長期的な経済効果は期待できない」(アナリスト)とする考え方が一般的だからだ。
順にみてみよう。最も“先食い需要”が懸念されるのは薄型テレビである。来年7月24日には、地上波デジタル放送が開始される予定だ。エコポイントは、アナログ放送停止に向けた起爆剤として機能しているものの、来年8月以降に訪れるであろう急激な需要減をカバーする効果は期待できない。
家電量販店は商戦の目玉となるエコポイント対象製品に、通常より多くの自社ポイントを付与する傾向があり、その値下げ原資は自社や電機メーカーのマーケティングコストから捻出されている。エコポイントが安値競争の常態化を生む元凶となっており、なかでも薄型テレビの価格競争は群を抜いて熾烈である。
次に、エアコンの販売数量は6~8月期に前年同期の1.5倍に達しているが、「この特需はまさに猛暑の賜物であり、昨年の冷夏の反動を考えれば当然の水準。エコポイントの効果は限定的だ」(電機メーカー幹部)と言う。
対象3製品のなかでは、最も消費刺激効果が大きいとみられるのは冷蔵庫である。この6~8月期に前年同期比で、数量ベースでは数%の伸びだったが、(エコポイントの点数が高い)大容量の冷蔵庫の販売が堅調であったため、金額ベースでは2割増の伸びとなっている。
もっとも、制度運用に毎月300億円もの巨費を投下してまで維持する制度であるかは疑問だ。
また、再延長された後には、「エコカー補助金(の申請期限)がこの9月末で打ち切られるのに、家電補助政策が温存されるとは考え難い」(電機メーカー幹部)。そのため、早くも水面下では、 家電エコポイント“終了後”を見通して、戦略修正を図る電機メーカーが出てきている。
その一例が、住宅版エコポイント制度――窓や外壁の断熱性能が高い新築住宅・リフォーム住宅にエコポイントが付与される――を意識した戦略修正である。家電エコポイント制度よりも景気刺激効果が大きく、また、温室効果ガスの削減にも直結する住宅版エコポイント制度は、当面継続されるのではないか、という見方が根強い。
一方で、パナソニックや日立製作所、三菱電機といった大手電気メーカーは、調理・給湯・冷暖房など家庭で使用するエネルギーをすべて電気でまかなう“オール電化”システム事業に注力している。現在は対象外だが、「いずれ、“オール電化住宅”が住宅版エコポイント制度の対象となってもおかしくない」(電機メーカー幹部)と言うように、“ポスト・家電エコポイント制度”を睨んだ動きが活発化しそうだ。
【中央日報社説】スマートテレビ時代、メディアもグローバル競争力を備えるべき
第47回放送の日の今日、世界は「スマート戦争」で砲煙が立ち込める。三星(サムスン)とLGはこの日からドイツ・ベルリンで開催される家電展示会「IFA2010」でスマートテレビを紹介する。LEDと3Dに続き、スマートテレビ市場の先行獲得に乗り出したのだ。世界最大の検索企業グーグルが日本のソニーと提携して「グーグルテレビ」というが、三星の場合、これに対する先制対応という性格が強い。アイフォーンのスティーブ・ジョブズも昨日、「アップルテレビ」を発表した。少しずつ機能と性格は異なるが、携帯電話やタブレットPCに続き、デジタル生活の「キーステーション」になる家庭のスマートテレビを狙って、譲歩のない戦争が繰り広げられているのだ。スマートフォンでは基本ソフト(OS)問題で後れを取ったが、スマートテレビは進んだ技術と洞察力のある異種融合で世界市場を席巻することを願う。
問題はスマートテレビがもたらすメディアの地殻変動だ。ニュースや天気を確認し、ゲームや映画も楽しみ、フェースブックやツイッターで疎通しながら、その場で商品も注文できる。リモコン一つで視聴から検索・疎通・購買まで同時に解決するのだ。さらにインターネットのように国や圏域がない。例えば米国のドラマを見ながら、主人公が身に付けた間接広告(PPL)物品を「アマゾン」や購買代行社を通してすぐに購入できるのだ。もうテレビは「視聴」するものではなく、何かを実行する窓であり、新概念の「場」なのだ。地上波とケーブルに分かれ、報道・娯楽・文化・レジャーなどに分類された障壁が、無意味な状況になりうるという意味だ。従来の放送のパラダイムの一大転換点だ。
結局、スマートテレビに代表されるデジタル戦争は、器機とメディア・コンテンツ間の相互融合・協力・競争形態で進行されるだろう。メディアはどんなコンテンツをどう最適化して提供するかがポイントだ。顧客は国内でなく世界だ。商品と同じようにコンテンツも世界で通用しなければ無視される。井の中のどんぐりの背くらべでは‘コンテンツ植民地化’を招くことになる。メディア融合の時代にスマートテレビは企業にとってチャンスだが、従来のメディアには危機的な要素もある。
したがって現在議論されている総合編成・報道放送チャンネルも個別事業の成敗より、もう少し目を大きく開いて、世界メディア市場を見なければならない。グローバル競争力を備えればデジタル新韓流の夢も可能だが、それができなければ深刻なコンテンツの逆潮が懸念される。李明博(イ・ミョンバク)大統領も放送の日の祝辞で、グローバル競争力を備えた創意的なコンテンツの必要性を力説した。放送にも、世界との競争を強調しながらグローバルレベルに合わせることを注文した。すべて正しい言葉だ。
先日、慶尚北道蔚珍(キョンサンブクド・ウルチン)で地上波アナログテレビ放送が終了した。2012年を眺めたデジタル化の信号弾だ。異種メディアのグローバル離合集散も激しい。光速度に変わる先端時代だ。グローバル競争で生き残るには、政府も企業もメディアも気を引き締める必要がある。
アップル、大幅値下げでテレビ再挑戦
新端末で映画や番組のデジタルレンタルを開始
無線LANなどでネットに接続し、本体をテレビとつなぐことで、映画やテレビ番組などのコンテンツを大画面で楽しめる「アップルTV(Apple TV)」―― 米アップルが9月1日に発表したその新型モデルは、概ね欧米メディアの事前報道通りの内容だった。
価格は従来モデルの229ドルから大きく下げて99ドルとし、同社が初めて開始するコンテンツのレンタルサービスは、テレビ番組の場合で1話99セント、映画は1本4.99ドルとなる。
レンタル開始から視聴を始めるまでの有効期間は30日で、視聴開始から48時間以内であれば何度でも見ることができる。
レンタルの対象となる映画タイトルは当初約7000本を用意し、そのうち3400本はHD(高精細)画質。作品はDVDの発売と同時に解禁されるという。
本体は9月にも米国で出荷を開始するが、日本での発売は未定。またコンテンツのレンタルサービスは当初、米国のほか、カナダ、英国、フランス、ドイツ、オーストラリアなど6カ国で始める予定だ。
テレビ局は「実験段階」と慎重姿勢
アップルがアップルTVを発売したのは2007年。携帯音楽プレーヤーの「アイポッド(iPod)」と有料音楽配信サービス「アイチューンズ・ストア(iTunes Store)」で成功を収めた同社が、今度は家庭のテレビの領域に進出すると話題を呼んだ。
しかし、その売れ行きは期待外れ。あとになって「(アップルTVは)スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)の道楽商品だ」と揶揄されることになった。
米国ではケーブルテレビ事業者が、長期サービス契約の見返りにセットトップボックスを安価で提供していること、ケーブル事業者のビジネスが脅かされると懸念するメディア企業がデジタル配信に消極的なことなどが理由とされている。
アップルは今回の新型機と新たなレンタルサービスでテレビ分野に再挑戦することになるが、その効果は限定的だと米ウォールストリート・ジャーナルは報じている。
このレンタルサービスにコンテンツを提供するテレビ局は今のところ、米4大ネットワークのフォックステレビとABC放送、そしてケーブルチャンネルのABCファミリー、ディズニーチャンネル、BBCアメリカだけ。
ジョブズCEOは、チャンネルは今後増えていくと話しているが、4大ネットワークのNBCユニバーサルやCBS、そしてケーブルテレビを持つタイム・ワーナーは既にアップルの提案を断っており、現時点でアップルと契約する計画はないと各社の関係者は話している。
また今回コンテンツを提供することになったフォックステレビや、ABC放送の親会社であるウォルト・ディズニーも、あくまでも短期的な実験だと述べている。
各社はデジタル配信市場で何らかの影響力を持ちたいと考えているものの、ケーブル・衛星事業者から得られる収入を犠牲にしたいと思ってはおらず、当面慎重な姿勢が続くだろうと記事は伝えている。
「(アップルTVは)変革とは言えない。おそらくプリンターのような周辺機器のような存在になるだろう」(市場調査会社米フォーレスターリサーチのアナリスト)といった手厳しい評価もあるようだ。
アイフォーンの仕組みでテレビも変わる?
一方で、英フィナンシャル・タイムズはアップルTVの可能性について報じている。アップルのスマートフォン「アイフォーン(iPhone)」が人々の携帯電話に対する認識を変えたように、テレビに対しても同様のことが実現できる可能性をアップルTVは持っているのだという。
記事によると、そのカギを握るのはアイフォーンやタブレット端末「アイパッド」などに導入しているアプリの仕組み。
アプリがアップルTVの可能性へのカギか〔AFPBB News〕
アプリは現在数十億本ダウンロードされているが、その中でゲームなどリビングルームのテレビと相性の良いアプリも数多くある。この仕組みをアップルTVに導入すればテレビも使い方が大きく変わるというのだ。
アップルは同日、アップルTVを操作できるアイフォーン用のアプリを無料で配布することを明らかにしており、これが手始めになると記事は予測している。
アップルTVは付属のリモートコントローラーを使って操作することもできるが、アプリを使えばアイフォーンのタッチスクリーンを利用してテレビの画面をより直感的に操作できる。
また同社はアイフォーンやアイパッドなどのほかのアップル製機器から、映像コンテンツなどをアップルTVを経由してテレビに映し出すといった機能を追加する計画。
こうして基本ソフト(OS)の機能を向上させたり、アプリのエコシステムを拡大していくことで、大きな変化が表れるのではないかとアナリストは見ている。
価格を99ドルと廉価にしたことに加え、本体の大きさを約10センチ四方の手のひらサイズにしたことも大きな意味があるという。これはアップルが、ケーブル事業者によって提供されているセットトップボックスと直接競合する道を避けたことを意味しているとアナリストは分析している。
アップルの当初の目標は、アップルTVを2台目の端末として使ってもらうという控えめなもの。放送局に取って代わろうという戦略は立てていないというのだ。
こうして一度家庭に進出してしまえば、アップルはその先の計画に進むことができる。ただ、将来はアップルの強みを生かしたサービスや機能をいっそう拡充していくことが不可欠になるという。
そうしなければ、ケーブル事業者の既存モデルや、消費者との強いつながりを持つテレビメーカーなどの中に埋もれ、身動きが取れなくなる。記事はそう指摘している。
<IFA2010>ソニー・ヨーロッパ西田プレジデントが語る独自ネットサービス「Qriocity」の展望
「3D元年」と位置づけられている2010年。IFA会場のソニーブースでは、このカテゴリーのさらなる普及・啓蒙を目的とした大々的な展示が予定されている。一般公開に先立ち、現地時間2日に同社欧州ビジネスを統括する西田不二夫プレジデントにお話をうかがうことができた。
日本メディアを対象とした記者会見では、3Dに限らず、デジタルイメージング製品の充実、ソニーが提唱するコンテンツプラットフォーム「Qriocity(キュリオシティー)」サービス拡充等に力を入れていくことなどを明言した。
ヨーロッパでは6月~7月にかけて開催された「FIFAワールドカップ」をターゲットとして各社ともに3D製品の開発・発売が進められ、成果も「予定通り」に上がったという。この時期の商戦においては、いわゆるアーリーアダプター層を中心に3DTVに対する評価を集め、販売成果を勝ち取ることができたが、W杯終了後は3DTVに関する関心がスローダウンしているという。
西田氏は、さらなる3Dの認知度向上にはやはりコンテンツの拡充が不可欠としており、年末及び2011年初頭に見込まれている3D BDソフトのラインナップ拡充、およびグループ内のソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)を始めとするゲームメーカー各社による3Dゲームソフトの充実と連動した形での3DTVビジネスの発展に対して期待感を示した。
また、LCD方式のテレビの中で3DTVが占める割合も業界全体で次第に向上しているともコメント。販売初年の2010年内に5%程度、2011年においては20%程度の水準に達することをそれぞれ見込んでおり、欧州全体のシェア2番手グループに属するソニーとしても同程度の割合に達するであろうとした。
同社の3D対応テレビ“BRAVIA LX900シリーズ”
そして西田氏がコンテンツの中でも特に期待感を示すのがゲーム分野だ。3D効果が出やすく、ユーザー嗜好とのマッチングガ現れやすいジャンルとして、3DTV販売との連動成果が出やすいカテゴリーとして大きな期待感を持っているという。
一方で映画においても、ソニーグループの一員であるソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)を筆頭とし、全体で30~40タイトル程度の3Dソフト販売が予定されているとしており、ゲームと合わせ、両コンテンツが市場を牽引することが3D普及の鍵となることを繰り返し強調した。
また、ユーザー自身が「パーソナル3Dコンテンツ」を作成・視聴できるデジタルカメラにも力を入れ、それぞれを組み合わせたトータルの戦略として3D普及を図っていくとした。
「3Dスイングパノラマ」も可能な「NEX-5」などを展開している
さて、3D製品に対する反応は、ワールドワイドの視点で見るとどうなのだろうか。この質問に対して西田氏は、全世界の中で見ると日本市場がもっとも「食いつき」がよく、次いで北米と欧州がほぼ同じレベルでの反応だと語る。
日本以外のアジア市場に関しては商品導入がまだこれからということもあり、世界全体では日本のユーザーが相対的にもっとも関心が高い、という見方を示した。
なお、欧州の中でもこの新ジャンルに対する反応には非常に温度差があり、受け入れられている度合いは「北部>南部」という図式が成立するという。また、比較的反応が良い北部においても、スイス市場の反応の良さが際立っている一方で、ドイツにおいては「新しいものよりも良いもの」を求める傾向が強く、冷静に第一次商品のスペックとクオリティを見極めている段階だと言える、とした。
欧州での戦略について西田氏は、「一口に欧州といっても各国ごとに反応は様々で、国ごと地域ごとに戦略を分けた方が良いが、現在のグローバル化の過度な進捗・商品サイクルの短期化という現状を見定めると、そういった戦略を取ることが難しい」と語る。
ただ、その中でもデザイン面での差別化による包括的な戦略、ブランディングを押し進めることで、マーケティング面での効率化を図っていくという。そして「そのためにも、テレビに限った話ではないがデザイン面での統一、『ソニーらしい』イメージの確立に注力していく」と明言した。
そしてまた、3D以外に西田氏がビジネスのコアとして位置付けるのがネットワークサービス、およびデジタルイメージング製品の拡充だ。
ネットワークサービスに関しては、同社では数年前から手がけてきたが、最近になって技術的な諸問題が次々と解決。ネットワークを通じてユーザーに送り込まれるコンテンツも徐々にその数が増えており、こういった背景をふまえて、ソニーが提唱するトータル・ネットワークオープンプラットフォーム「Qriocity」(関連ニュース)をベースとするハード・ソフト一体型ビジネスに力を入れていくと西田氏は語る。
続けて西田氏は、Qriocityが組み込まれたサービスは、将来的にはカテゴリーやフォーマットを越えた形でのシームレス検索機能の導入を果たし、ソニーとしてのネットワークコネクションの基礎インフラとして活用していくという考え方を示した。テレビだけでなくVAIOにおいても、近々Qriocityを積んだ製品を発売していくとも明かした。
なお、Qriocityのアーキテクチャー自体はPS3用のものとほぼ同じものを転用しているが、ゲームとテレビではターゲットする層の幅が全く異なるため、ターゲットに即した形でネーミングを使い分けることを戦略として置いているという。ゲームのコアは20歳前後の非常に狭い層に集中しているのに対し、家庭用テレビの場合は若年層から老年層までターゲットが広がっており、ネーミングの共用は不可能と判断しているとのことだ。
西田氏は、ネットワークを通じてユーザーに届けられるコンテンツは、これからはストリーミング方式が中心となるとしており、ファイルレス(クラウド)化が進捗するとコメント。そのためには使い勝手の改善、検索機能のさらなる高度化が不可欠と言う。
また、ユーザーがコンテンツを直接所有するダウンロード・ビジネスモデルもソニーは持っているが、それよりもユーザー・ベネフィットの効果が大きいと見込まれるストリーミング・ビジネスに大きな可能性を見いだしているという考えを披露した。
日本での導入時期に関しては、私見として「IPTVに関する著作権の問題をクリアにすることが不可欠」と西田氏は指摘。コンテンツ制作側の意識改革、よりオープンでフラットな体質の実現が図られれば、日本市場での成功の道筋が見えてくるとしている。
また西田氏は、BDプレーヤー市場伸張への期待感も表明。PS3を除いた2010年の同市場は、業界全体として欧州で400万台、全世界で1,600万台の水準に達し、既にソニーがその中で20%以上のシェアを獲得していることを明らかにした。DVDからBDへのシフトも順調に進み、年率60%の販売実績の伸びを記録しているという。
3D対応のBDプレーヤー「BDP-S1700ES」
そして会見の最後には、3Dビジネスに対する今後の展望にも言及。私見として、現行のコンテンツを100%全て3Dに置き換えるのではなく、3Dの特性を活かした形での見せ方の使い分け(例えば、サッカーの試合であれば全部を3D化するのではなく、通常は2Dで流し、ゴール後のリプレイシーンを3Dで見せる、など)を行うなど、3Dと2Dの両コンテンツを緩やかに共存させることが望ましいとの考えを示した。
また、ディスプレイの世界において3Dがビジネス・アドバンテージを持つのは「3年程度」とも述べ、その間にさらなるシェアアップ、コスト改善、性能向上を順次実現していきたいとした。
ソニー:タブレット型PC発売についてはまだ未決定
9月2日(ブルームバーグ):ソニーは、アップルの「iPad(アイパッド)」に対抗するためタブレット型パソコン(PC)を発売するかどうかについて、まだ判断を下していないことを明らかにした。
ネットワークプロダクツ&サービスを統括する平井一夫執行役は2日ベルリンで、ソニーのコンテンツをタブレット型PCに融合させることで競合製品との差別化を図る必要があるだろうと語った。競争が高まりつつある市場で多くの企業が製品投入を目指していると続けた。
アイパッドの成功が競合他社をタブレット型PCへと駆り立てている。計画に詳しい関係者2人によると、カナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)は9.7インチのスクリーンと高速無線LANのWiFi(ワイファイ)機能を搭載した製品を11月に投入する。ベライゾン・ワイヤレスとグーグルは、グーグルの基本ソフト(OS)で動作するタブレット型PCについて協議したほか、デルは5インチのスクリーンを搭載したモデルを299.99ドル(約2万5300円)で先月発売した。
ソニーのハワード・ストリンガー最高経営責任者(CEO)は同日にベルリンで、タブレット型PCの事業計画について、美しく十分競争力があれば開始する可能性があると語った。
ソニー、総合力でアップルに対抗 テレビ軸に囲い込み
ソニーがネット配信サービスの展開を急ぐのは、世界のモバイル機器市場で米アップルに大きく水をあけられているためだ。ソニーはテレビや家庭用ゲーム機といったアップルにない主力製品を活用することで、新たな顧客層の開拓を目指す。
アップルのビジネスモデルは、様々なソフトを直感的な操作で使える携帯型の端末を開発し、ソフトを広く外部企業から集めるというもの。手軽にソフトを購入できる利便性の高さと、強いブランド力で「iPhone」「iPad」といった端末を拡販してきた。
ソニーも外部からコンテンツを集める点は同じだが、消費者との接点には主に同社が得意とするテレビや家庭用ゲーム機を据える。ソニーの薄型テレビ出荷額シェアは世界第2位(2009年)で、家庭用ゲーム機も世界3強の一角。こうしたソニー製品のユーザーをネットサービスに誘い込めば、アップルに対抗できるという読みだ。
ソニーはグループで音楽や映画も手掛けており、自社の有力コンテンツをネット配信の販促に活用することも可能。ネット配信の利用者を増やし、携帯端末などコンテンツを楽しめるテレビ以外の製品の販売も増やすという好循環をもくろむ。
ただアップルも1日、テレビをネットに接続すための機器「アップルTV」の新製品を発表。米国ではテレビ番組を1話0.99ドル(約83円)でレンタル視聴できるネット配信サービスも開始する。韓国サムスンも独自開発のネット対応テレビの拡販に動き始めており、ソニーが主導権を握れるかはまだ不透明だ。
東芝がタブレット型新端末 「iPad」に対抗
東芝は2日、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した平面型のタブレット端末「FOLIO 100」を欧州、中東、アフリカで年内に発売すると発表した。タッチパネル操作でインターネットの閲覧や動画などのコンテンツを気軽に楽しめる。タブレット端末で先行する米アップルを追撃する。
米アップルの多機能携帯端末「iPad」より一回り大きい10.1型のタッチパネル液晶を搭載。画面に直接指で触れて端末を操作する「マルチタッチ」方式を採用した。価格は399ユーロで端末で使える音楽やアプリケーションソフトの有料配信サイトも立ち上げる。
消費者金融、 7月の成約率は最低の25%
6月の改正貸金業法の完全施行を受け、プロミス、アコム、アイフル、武富士の消費者金融大手4社が新たな貸し出しに応じた割合(成約率)が7月に平均25%と過去最低になった。4人のうち3人の融資を断った計算となり、新規貸し出しも前年同月比でほぼ半減した。
改正貸金業法の完全施行は貸し出しを年収の3分の1にとどめる総量規制の導入などが柱で、低所得者層を中心にこの基準に抵触した借り手が多かったとみられる。7月の各社の成約率はプロミスが34%、アコムが33%、アイフルが26%、武富士が6%。大手4社の平均成約率は2009年末から20%台後半に落ち込んできたが、改正法の完全施行で融資の姿勢が一段と厳しくなった。
新規貸出件数も大手4社合計で1万9000件にとどまった。前年同月に比べ47%の減少で、単月ベースで過去最低とみられる。6月以降、業界では4割を超える貸し出し減少が続いている。
新端末で映画や番組のデジタルレンタルを開始
無線LANなどでネットに接続し、本体をテレビとつなぐことで、映画やテレビ番組などのコンテンツを大画面で楽しめる「アップルTV(Apple TV)」―― 米アップルが9月1日に発表したその新型モデルは、概ね欧米メディアの事前報道通りの内容だった。
価格は従来モデルの229ドルから大きく下げて99ドルとし、同社が初めて開始するコンテンツのレンタルサービスは、テレビ番組の場合で1話99セント、映画は1本4.99ドルとなる。
レンタル開始から視聴を始めるまでの有効期間は30日で、視聴開始から48時間以内であれば何度でも見ることができる。
レンタルの対象となる映画タイトルは当初約7000本を用意し、そのうち3400本はHD(高精細)画質。作品はDVDの発売と同時に解禁されるという。
本体は9月にも米国で出荷を開始するが、日本での発売は未定。またコンテンツのレンタルサービスは当初、米国のほか、カナダ、英国、フランス、ドイツ、オーストラリアなど6カ国で始める予定だ。
テレビ局は「実験段階」と慎重姿勢
アップルがアップルTVを発売したのは2007年。携帯音楽プレーヤーの「アイポッド(iPod)」と有料音楽配信サービス「アイチューンズ・ストア(iTunes Store)」で成功を収めた同社が、今度は家庭のテレビの領域に進出すると話題を呼んだ。
しかし、その売れ行きは期待外れ。あとになって「(アップルTVは)スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)の道楽商品だ」と揶揄されることになった。
米国ではケーブルテレビ事業者が、長期サービス契約の見返りにセットトップボックスを安価で提供していること、ケーブル事業者のビジネスが脅かされると懸念するメディア企業がデジタル配信に消極的なことなどが理由とされている。
アップルは今回の新型機と新たなレンタルサービスでテレビ分野に再挑戦することになるが、その効果は限定的だと米ウォールストリート・ジャーナルは報じている。
このレンタルサービスにコンテンツを提供するテレビ局は今のところ、米4大ネットワークのフォックステレビとABC放送、そしてケーブルチャンネルのABCファミリー、ディズニーチャンネル、BBCアメリカだけ。
ジョブズCEOは、チャンネルは今後増えていくと話しているが、4大ネットワークのNBCユニバーサルやCBS、そしてケーブルテレビを持つタイム・ワーナーは既にアップルの提案を断っており、現時点でアップルと契約する計画はないと各社の関係者は話している。
また今回コンテンツを提供することになったフォックステレビや、ABC放送の親会社であるウォルト・ディズニーも、あくまでも短期的な実験だと述べている。
各社はデジタル配信市場で何らかの影響力を持ちたいと考えているものの、ケーブル・衛星事業者から得られる収入を犠牲にしたいと思ってはおらず、当面慎重な姿勢が続くだろうと記事は伝えている。
「(アップルTVは)変革とは言えない。おそらくプリンターのような周辺機器のような存在になるだろう」(市場調査会社米フォーレスターリサーチのアナリスト)といった手厳しい評価もあるようだ。
アイフォーンの仕組みでテレビも変わる?
一方で、英フィナンシャル・タイムズはアップルTVの可能性について報じている。アップルのスマートフォン「アイフォーン(iPhone)」が人々の携帯電話に対する認識を変えたように、テレビに対しても同様のことが実現できる可能性をアップルTVは持っているのだという。
記事によると、そのカギを握るのはアイフォーンやタブレット端末「アイパッド」などに導入しているアプリの仕組み。
アプリがアップルTVの可能性へのカギか〔AFPBB News〕
アプリは現在数十億本ダウンロードされているが、その中でゲームなどリビングルームのテレビと相性の良いアプリも数多くある。この仕組みをアップルTVに導入すればテレビも使い方が大きく変わるというのだ。
アップルは同日、アップルTVを操作できるアイフォーン用のアプリを無料で配布することを明らかにしており、これが手始めになると記事は予測している。
アップルTVは付属のリモートコントローラーを使って操作することもできるが、アプリを使えばアイフォーンのタッチスクリーンを利用してテレビの画面をより直感的に操作できる。
また同社はアイフォーンやアイパッドなどのほかのアップル製機器から、映像コンテンツなどをアップルTVを経由してテレビに映し出すといった機能を追加する計画。
こうして基本ソフト(OS)の機能を向上させたり、アプリのエコシステムを拡大していくことで、大きな変化が表れるのではないかとアナリストは見ている。
価格を99ドルと廉価にしたことに加え、本体の大きさを約10センチ四方の手のひらサイズにしたことも大きな意味があるという。これはアップルが、ケーブル事業者によって提供されているセットトップボックスと直接競合する道を避けたことを意味しているとアナリストは分析している。
アップルの当初の目標は、アップルTVを2台目の端末として使ってもらうという控えめなもの。放送局に取って代わろうという戦略は立てていないというのだ。
こうして一度家庭に進出してしまえば、アップルはその先の計画に進むことができる。ただ、将来はアップルの強みを生かしたサービスや機能をいっそう拡充していくことが不可欠になるという。
そうしなければ、ケーブル事業者の既存モデルや、消費者との強いつながりを持つテレビメーカーなどの中に埋もれ、身動きが取れなくなる。記事はそう指摘している。
<IFA2010>ソニー・ヨーロッパ西田プレジデントが語る独自ネットサービス「Qriocity」の展望
「3D元年」と位置づけられている2010年。IFA会場のソニーブースでは、このカテゴリーのさらなる普及・啓蒙を目的とした大々的な展示が予定されている。一般公開に先立ち、現地時間2日に同社欧州ビジネスを統括する西田不二夫プレジデントにお話をうかがうことができた。
日本メディアを対象とした記者会見では、3Dに限らず、デジタルイメージング製品の充実、ソニーが提唱するコンテンツプラットフォーム「Qriocity(キュリオシティー)」サービス拡充等に力を入れていくことなどを明言した。
ヨーロッパでは6月~7月にかけて開催された「FIFAワールドカップ」をターゲットとして各社ともに3D製品の開発・発売が進められ、成果も「予定通り」に上がったという。この時期の商戦においては、いわゆるアーリーアダプター層を中心に3DTVに対する評価を集め、販売成果を勝ち取ることができたが、W杯終了後は3DTVに関する関心がスローダウンしているという。
西田氏は、さらなる3Dの認知度向上にはやはりコンテンツの拡充が不可欠としており、年末及び2011年初頭に見込まれている3D BDソフトのラインナップ拡充、およびグループ内のソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)を始めとするゲームメーカー各社による3Dゲームソフトの充実と連動した形での3DTVビジネスの発展に対して期待感を示した。
また、LCD方式のテレビの中で3DTVが占める割合も業界全体で次第に向上しているともコメント。販売初年の2010年内に5%程度、2011年においては20%程度の水準に達することをそれぞれ見込んでおり、欧州全体のシェア2番手グループに属するソニーとしても同程度の割合に達するであろうとした。
同社の3D対応テレビ“BRAVIA LX900シリーズ”
そして西田氏がコンテンツの中でも特に期待感を示すのがゲーム分野だ。3D効果が出やすく、ユーザー嗜好とのマッチングガ現れやすいジャンルとして、3DTV販売との連動成果が出やすいカテゴリーとして大きな期待感を持っているという。
一方で映画においても、ソニーグループの一員であるソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)を筆頭とし、全体で30~40タイトル程度の3Dソフト販売が予定されているとしており、ゲームと合わせ、両コンテンツが市場を牽引することが3D普及の鍵となることを繰り返し強調した。
また、ユーザー自身が「パーソナル3Dコンテンツ」を作成・視聴できるデジタルカメラにも力を入れ、それぞれを組み合わせたトータルの戦略として3D普及を図っていくとした。
「3Dスイングパノラマ」も可能な「NEX-5」などを展開している
さて、3D製品に対する反応は、ワールドワイドの視点で見るとどうなのだろうか。この質問に対して西田氏は、全世界の中で見ると日本市場がもっとも「食いつき」がよく、次いで北米と欧州がほぼ同じレベルでの反応だと語る。
日本以外のアジア市場に関しては商品導入がまだこれからということもあり、世界全体では日本のユーザーが相対的にもっとも関心が高い、という見方を示した。
なお、欧州の中でもこの新ジャンルに対する反応には非常に温度差があり、受け入れられている度合いは「北部>南部」という図式が成立するという。また、比較的反応が良い北部においても、スイス市場の反応の良さが際立っている一方で、ドイツにおいては「新しいものよりも良いもの」を求める傾向が強く、冷静に第一次商品のスペックとクオリティを見極めている段階だと言える、とした。
欧州での戦略について西田氏は、「一口に欧州といっても各国ごとに反応は様々で、国ごと地域ごとに戦略を分けた方が良いが、現在のグローバル化の過度な進捗・商品サイクルの短期化という現状を見定めると、そういった戦略を取ることが難しい」と語る。
ただ、その中でもデザイン面での差別化による包括的な戦略、ブランディングを押し進めることで、マーケティング面での効率化を図っていくという。そして「そのためにも、テレビに限った話ではないがデザイン面での統一、『ソニーらしい』イメージの確立に注力していく」と明言した。
そしてまた、3D以外に西田氏がビジネスのコアとして位置付けるのがネットワークサービス、およびデジタルイメージング製品の拡充だ。
ネットワークサービスに関しては、同社では数年前から手がけてきたが、最近になって技術的な諸問題が次々と解決。ネットワークを通じてユーザーに送り込まれるコンテンツも徐々にその数が増えており、こういった背景をふまえて、ソニーが提唱するトータル・ネットワークオープンプラットフォーム「Qriocity」(関連ニュース)をベースとするハード・ソフト一体型ビジネスに力を入れていくと西田氏は語る。
続けて西田氏は、Qriocityが組み込まれたサービスは、将来的にはカテゴリーやフォーマットを越えた形でのシームレス検索機能の導入を果たし、ソニーとしてのネットワークコネクションの基礎インフラとして活用していくという考え方を示した。テレビだけでなくVAIOにおいても、近々Qriocityを積んだ製品を発売していくとも明かした。
なお、Qriocityのアーキテクチャー自体はPS3用のものとほぼ同じものを転用しているが、ゲームとテレビではターゲットする層の幅が全く異なるため、ターゲットに即した形でネーミングを使い分けることを戦略として置いているという。ゲームのコアは20歳前後の非常に狭い層に集中しているのに対し、家庭用テレビの場合は若年層から老年層までターゲットが広がっており、ネーミングの共用は不可能と判断しているとのことだ。
西田氏は、ネットワークを通じてユーザーに届けられるコンテンツは、これからはストリーミング方式が中心となるとしており、ファイルレス(クラウド)化が進捗するとコメント。そのためには使い勝手の改善、検索機能のさらなる高度化が不可欠と言う。
また、ユーザーがコンテンツを直接所有するダウンロード・ビジネスモデルもソニーは持っているが、それよりもユーザー・ベネフィットの効果が大きいと見込まれるストリーミング・ビジネスに大きな可能性を見いだしているという考えを披露した。
日本での導入時期に関しては、私見として「IPTVに関する著作権の問題をクリアにすることが不可欠」と西田氏は指摘。コンテンツ制作側の意識改革、よりオープンでフラットな体質の実現が図られれば、日本市場での成功の道筋が見えてくるとしている。
また西田氏は、BDプレーヤー市場伸張への期待感も表明。PS3を除いた2010年の同市場は、業界全体として欧州で400万台、全世界で1,600万台の水準に達し、既にソニーがその中で20%以上のシェアを獲得していることを明らかにした。DVDからBDへのシフトも順調に進み、年率60%の販売実績の伸びを記録しているという。
3D対応のBDプレーヤー「BDP-S1700ES」
そして会見の最後には、3Dビジネスに対する今後の展望にも言及。私見として、現行のコンテンツを100%全て3Dに置き換えるのではなく、3Dの特性を活かした形での見せ方の使い分け(例えば、サッカーの試合であれば全部を3D化するのではなく、通常は2Dで流し、ゴール後のリプレイシーンを3Dで見せる、など)を行うなど、3Dと2Dの両コンテンツを緩やかに共存させることが望ましいとの考えを示した。
また、ディスプレイの世界において3Dがビジネス・アドバンテージを持つのは「3年程度」とも述べ、その間にさらなるシェアアップ、コスト改善、性能向上を順次実現していきたいとした。
ソニー:タブレット型PC発売についてはまだ未決定
9月2日(ブルームバーグ):ソニーは、アップルの「iPad(アイパッド)」に対抗するためタブレット型パソコン(PC)を発売するかどうかについて、まだ判断を下していないことを明らかにした。
ネットワークプロダクツ&サービスを統括する平井一夫執行役は2日ベルリンで、ソニーのコンテンツをタブレット型PCに融合させることで競合製品との差別化を図る必要があるだろうと語った。競争が高まりつつある市場で多くの企業が製品投入を目指していると続けた。
アイパッドの成功が競合他社をタブレット型PCへと駆り立てている。計画に詳しい関係者2人によると、カナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)は9.7インチのスクリーンと高速無線LANのWiFi(ワイファイ)機能を搭載した製品を11月に投入する。ベライゾン・ワイヤレスとグーグルは、グーグルの基本ソフト(OS)で動作するタブレット型PCについて協議したほか、デルは5インチのスクリーンを搭載したモデルを299.99ドル(約2万5300円)で先月発売した。
ソニーのハワード・ストリンガー最高経営責任者(CEO)は同日にベルリンで、タブレット型PCの事業計画について、美しく十分競争力があれば開始する可能性があると語った。
ソニー、総合力でアップルに対抗 テレビ軸に囲い込み
ソニーがネット配信サービスの展開を急ぐのは、世界のモバイル機器市場で米アップルに大きく水をあけられているためだ。ソニーはテレビや家庭用ゲーム機といったアップルにない主力製品を活用することで、新たな顧客層の開拓を目指す。
アップルのビジネスモデルは、様々なソフトを直感的な操作で使える携帯型の端末を開発し、ソフトを広く外部企業から集めるというもの。手軽にソフトを購入できる利便性の高さと、強いブランド力で「iPhone」「iPad」といった端末を拡販してきた。
ソニーも外部からコンテンツを集める点は同じだが、消費者との接点には主に同社が得意とするテレビや家庭用ゲーム機を据える。ソニーの薄型テレビ出荷額シェアは世界第2位(2009年)で、家庭用ゲーム機も世界3強の一角。こうしたソニー製品のユーザーをネットサービスに誘い込めば、アップルに対抗できるという読みだ。
ソニーはグループで音楽や映画も手掛けており、自社の有力コンテンツをネット配信の販促に活用することも可能。ネット配信の利用者を増やし、携帯端末などコンテンツを楽しめるテレビ以外の製品の販売も増やすという好循環をもくろむ。
ただアップルも1日、テレビをネットに接続すための機器「アップルTV」の新製品を発表。米国ではテレビ番組を1話0.99ドル(約83円)でレンタル視聴できるネット配信サービスも開始する。韓国サムスンも独自開発のネット対応テレビの拡販に動き始めており、ソニーが主導権を握れるかはまだ不透明だ。
東芝がタブレット型新端末 「iPad」に対抗
東芝は2日、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した平面型のタブレット端末「FOLIO 100」を欧州、中東、アフリカで年内に発売すると発表した。タッチパネル操作でインターネットの閲覧や動画などのコンテンツを気軽に楽しめる。タブレット端末で先行する米アップルを追撃する。
米アップルの多機能携帯端末「iPad」より一回り大きい10.1型のタッチパネル液晶を搭載。画面に直接指で触れて端末を操作する「マルチタッチ」方式を採用した。価格は399ユーロで端末で使える音楽やアプリケーションソフトの有料配信サイトも立ち上げる。
消費者金融、 7月の成約率は最低の25%
6月の改正貸金業法の完全施行を受け、プロミス、アコム、アイフル、武富士の消費者金融大手4社が新たな貸し出しに応じた割合(成約率)が7月に平均25%と過去最低になった。4人のうち3人の融資を断った計算となり、新規貸し出しも前年同月比でほぼ半減した。
改正貸金業法の完全施行は貸し出しを年収の3分の1にとどめる総量規制の導入などが柱で、低所得者層を中心にこの基準に抵触した借り手が多かったとみられる。7月の各社の成約率はプロミスが34%、アコムが33%、アイフルが26%、武富士が6%。大手4社の平均成約率は2009年末から20%台後半に落ち込んできたが、改正法の完全施行で融資の姿勢が一段と厳しくなった。
新規貸出件数も大手4社合計で1万9000件にとどまった。前年同月に比べ47%の減少で、単月ベースで過去最低とみられる。6月以降、業界では4割を超える貸し出し減少が続いている。