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アップルがiOSの開発者規約を緩和、App Store審査ガイドラインも公開
 概ね予想どおりに落ち着いたアップル秋のスペシャルイベントから約一週間、とんでもない one more thing が遅れてやってきた。それはiOS 開発者プログラムライセンスの緩和。Flashによるアプリ開発を締め出した3.3.1節などが改訂され、今後はiOSアプリの開発にサードパーティのツールが利用できるという重大かつそっけない声明がアップルから発表された(ただし「完成したアプリがコードをダウンロードしない限りにおいて」という制限付き)。半年前の制限強化からいったいどのような心変わりがあったのかは不明。We ラブ Appleの声が届いたのか、Androidに注力するというAdobeの姿勢をFlash対応Android "Froyo"が広まりつつある今になって脅威に思ったのか、「勝ち馬がどれか」選んだ結果なのか。とにかく先の読めない企業だ。
 同時に、審査プロセスが不透明と批判の多いApp Storeのレビューガイドラインが初めて公開された。中身は7ページに渡り、主に「こうしたアプリは作るべからず」集になっている。よく分からずリジェクトされた経験がある人も、そうでない人もとりあえずは必見。



任天堂の取引先、今期業績悪化 携帯ゲーム機低迷で メガチップス・ミツミなど 新規顧客開拓へ
 任天堂の携帯型ゲーム機販売の低迷が、取引先部品メーカーの連結業績に波及している。任天堂は自前工場を持たず、ゲーム機生産を外部に委託するファブレス企業。取引先のホシデンやミツミ電機はゲーム機組み立てなどの受注が減り、2011年3月期は2ケタ減益となる見通しだ。株価も安値圏にある。
 携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」の販売台数は、新型機への移行期に入った10年4~6月期に前年同期比47%減の315万台と大きく落ち込んだ。据え置き型の「Wii」はマリオシリーズのソフトがけん引し304万台と36%増えたが、11年3月期通期では前期比12%減る見通しだ。
 ホシデンは任天堂向け売上比率が6割。4~6月期はゲーム機の組み立てや接続部品などの生産が減り、同社向け売上高が276億円と前年同期比59%減った。8月には11年3月期通期の業績予想も下方修正し、今期の純利益は前期比29%減りそうだ。
 ミツミもゲーム機組み立ての受注減で、8月に11年3月期通期の純利益予想を5%増から一転、88%減の7億円に下方修正した。
 Wiiの内蔵アダプターなどを製造する田淵電機も、4~6月期の任天堂向け売上高が6億円と前年同期比69%減少。8月に11年3月期の通期予想を下方修正した。
 取引先部品メーカーもコスト削減や新規顧客の開拓で、立て直しを急いでいる。ミツミは中国工場で原材料の現地調達を増やしたほか、韓国や台湾で新規顧客の開拓に乗り出した。任天堂向け売上比率が8割で、半導体開発のメガチップスはデジタルカメラや携帯電話向けの技術提案を積極化している。
 各社の株価は低迷。3月末と比べた株価は9日までで任天堂が26%下落したのに対し、田淵電は46%、ミツミは38%、ホシデンは34%それぞれ下落し、いずれも年初来安値圏で推移している。
 任天堂は今期中に3次元(3D)対応の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を投入し巻き返しを狙う。ただ、株式市場では「欧米の景気減速が懸念されるなか、新製品による利益押し上げ効果は未知数」(大手証券アナリスト)との声も聞かれる。取引先部品メーカーは任天堂の業績回復をにらみつつも、新たな収益源の確保が重要になりそうだ。



業務用ゲーム、頼みの迫力3D 苦境脱出へ個性磨く
 ゲームセンターで使われる業務用ゲーム機の見本市「アミューズメントマシンショー」が9日、千葉市美浜区の幕張メッセで開幕した。テレビで利用が進む3D(3次元)対応品が出品されるなど、最先端のIT(情報技術)を活用した製品が目立つ。ゲームセンター関連市場は世界同時不況の影響などで落ち込み、低迷から抜け出せていない。家庭用ゲーム機や携帯電話では味わえないようなゲームセンターならではの製品をそろえることで回復を目指そうと、各社の悪戦苦闘が続いている。
 見本市には、業務用ゲーム機メーカーなど37社が参加しており、会期末の11日までに4万人の来場を見込んでいる。
 バンダイナムコゲームスは、来夏の投入を予定する3D対応のアクションゲーム「デッドストームパイレーツ」を展示。「大画面で迫力ある3D映像を操作できるのは、ゲームセンターならではの魅力になる」(石川祝男社長)と、映画やテレビに続いてゲームセンターでも3D時代を印象づける考えだ。
 セガは、マレーシアやシンガポールなどアジア地域のプレーヤーとインターネット回線を使って対戦できるレーシングゲームを展示した。セガの山下滋取締役は「通信機能を使うことで遊び方の可能性が大幅に広がる。魅力あるゲームを提供することで、盛り上げていきたい」と強調した。
 ここ数年、ゲームセンターは苦境が続いている。日本アミューズメント産業協会が9日発表した統計によると、2009年度のゲームセンター関連市場規模は前年同期比12.4%減の6739億円と3年連続で減少した。
 2000年ごろから大規模ショッピングセンター(SC)などへのゲームセンターの出店が相次いだことで過当競争に陥っていることに加え、世界的な景気悪化で遠ざかった客足が、そのまま戻っていない。
 ゲームセンター運営事業者は、数年前から不採算店舗の統廃合を推進。セガの7月のゲームセンター事業の売上高が49カ月ぶりに前年同期比でプラスに転じるなど、“ゲームセンター不況”は底打ちしつつある。
 ただ、携帯電話でゲームを遊ぶユーザーが増えるなど、新たな競合相手も登場している。各社とも「V字回復は見込みづらく、コスト削減などが欠かせない」(タイトー)とし、堅実な収益改善策を重視する構えを崩していない。



ペイオフ、初の発動 振興銀きょう破綻申請
債務超過1500億円
 経営再建中の日本振興銀行(東京・千代田)は自力再建を断念し、2010年9月中間決算で1500億円規模の債務超過に陥る恐れがあると、10日に金融庁に申請する方針を固めた。これを受けて同庁は経営破綻と認定、預金を一定額までしか保護しないペイオフを初めて発動する。1預金者あたり「元本1千万円とその利息」まで預金の払い戻しに応じる一方、これを超える部分は支払額が一部カットされる見通しだ。
 振興銀は04年に中小企業専門銀行として発足したが、金融庁検査を巡る銀行法違反(検査忌避)容疑で、警視庁が木村剛前会長、西野達也前社長らを逮捕。社外取締役だった小畠晴喜(作家名・江上剛)社長が緊急登板して、業務体制を刷新し、自力再建を目指していた。
 関係者によると、振興銀は最近まで資本増強に向けて出資者を探していた。ただ、金融庁に不良債権の査定が甘いと指摘され、改めて精査した。その結果、貸倒引当金の不足が判明。損失計上すると、大幅な債務超過に陥る見通しとなり、増資交渉も断念した。
 金融庁は振興銀を破綻認定し、業務停止命令を出す。その上で預金保険機構を金融整理管財人に選び、預金など財産の管理を委ねる。同時に、振興銀は東京地裁に民事再生法の適用を申請する。
 金融庁が同行を救済せず、ペイオフに踏み切るのは、預金者や金融システムへの影響が限定的とみているためだ。
 ペイオフ発動は1971年に預金保険制度が発足して以来初めて。預金保険法は預金の一定額までしか保護しないことを原則としているが、銀行破綻が相次いだ1990年代の金融危機の際、政府はペイオフを凍結し、預金を全額保護。02年に定期預金についてペイオフ凍結を解除したが、足利銀行が03年に破綻した際には金融システムへの影響を懸念して公的資金を投入し国有化。預金も全額保護した。
 直近の振興銀の預金者約11万人のうち、1000万円を超えるお金を預けている預金者は4000人程度で、大半の預金者の預金はすべて保護される。預金総額約6000億円のうち、一部払い戻しされない可能性がある預金は、100億円程度という。
 振興銀は一般の銀行と異なり、取り扱う預金の種類が運用目的の定期預金だけで、当座預金や普通預金など決済性預金は扱っていない。このためペイオフに踏み切っても、企業の日々の資金繰りに悪影響を与える恐れは小さいと金融庁はみている。また不良債権比率が極めて高いこともあり、公的資金の投入には国民の理解が得られないと判断したもようだ。
 90年代後半からの日本の金融システム不安が収束したことも、ペイオフ実施の背景にある。
 預金保険機構の管理下でも、振興銀は預金の払い戻しや契約済みの融資実行など最低限の業務は続ける。そのうえで(1)受け皿銀行を探す(2)見つかるまで業務を引き継ぐブリッジバンク(承継銀行)を活用する(3)清算する――という3通りの選択肢の中で破綻処理を進めていくとみられる。



振興銀口座の97%は全額預金保護
 金融庁が日本振興銀行を破綻認定し、初のペイオフに踏み切るのは預金者への影響を最小限に抑えられるとの計算がある。
 ペイオフとは銀行が経営破綻した場合でも、預金者1人あたり元本1千万円とその利息分まで預金を保護する制度。逆に言うと、1千万円を超える元本とその利息は保護の対象外で、払い戻しが凍結される。
 振興銀の場合、3月末時点では全預金(約11万口座、残高約5900億円)のうち、元本1千万円を超える預金は口座数で約4800、金額で687億円、預金保険の対象外の金額は200億円程度。足元では約4000口座、450億円程度に減少。保険でカバーされない金額は約100億円に減っているという。97%の預金口座は全額払い戻しを受けられ、影響が出ない見込みだ。
 預金保険機構は週末、複数の口座を持つ人の預金合計額を算出する「名寄せ」を実施、保護対象となる預金額を確定する。週明け以降、預金者は元本1千万円とその利息分まで預金の払い戻しを求めることができる。
 元本1千万円超の部分がどの程度カットされるかは地裁が民事再生計画を認可・決定した後に決まる。1千万円超部分の払い戻しが受けられるまで約1年かかる見通しだ。
 資金が必要で1年先まで待てない預金者は窓口に申し込めば、一定期間後に予想カット率に基づく「概算払い」も受けられる。予想カット率が5割の場合、1千万円超分が100万円なら50万円を仮払金として受け取る。1年後にカット率が確定した段階で、改めて差額を精算する仕組みだ。銀行から借り入れのある預金者は融資との相殺を申し込むこともできる。



中国、ネット通販を外資に解禁 コクヨなど参入へ
 【上海=下原口徹】中国政府は外資系企業にインターネットによる通信販売を解禁する。9日までに商務省が中国に進出済みの外資系流通業と製造業に対し、ネット販売を許可する通達を出した。広大な国土の中国では店舗網の整備が難しいのが実情。ネットを使った外資による中国内需の取り込みが加速しそうだ。
 通達によると、ネット販売を認めるのは中国内に店舗などの拠点がある企業。自社が製造した商品や調達した商品の販売なら当局への登録だけで済む。中国内に店舗を持ち、ホームページを開設している企業はネット販売へ移行できる。決済は中国の銀行などとの提携が必要。ショッピングモールなど通販以外のネット事業サービスを行う場合は、工業・情報化省の認可が必要になる。
 通達を受けコクヨは中国の現地法人が上海などで展開しているオフィス用品のカタログ販売をネット販売に切り替える。中国地銀の上海銀行と提携、ネットでカード決済できる仕組みをつくる。
 中国政府は情報統制が緩みかねないとの判断から外資へのネット利用に関する規制緩和には及び腰だった。だが政府が今後の成長の軸足を貿易を中心とした外需から内需拡大へと移行する構造改革を進めるなか、ようやくネット販売の外資解禁に踏み切った形だ。
 中国で10年以内に売上高1兆円を目指すファーストリテイリングも自社のサイトで「ユニクロ」商品のネット販売を始めるもよう。柳井正会長兼社長は「広い中国にネット販売は適している」とみており、中国ネット販売最大手の淘宝網(タオバオ)と組んだネット販売に自社サイトも加え、中国でのネット販売の売上高を1000億円程度まで拡大する方針。
 2008年に米国を抜いて世界一のネット人口を抱える国になった中国でネット販売は急拡大している。10年の中国の消費者向け電子商取引の市場規模は前年比90%増の4900億元(約6兆600億円)に達する見通しで、09年度の日本の消費者向け電子商取引の市場規模の6兆5744億円にほぼ並んだ。
 中国でのネット事業を巡っては、ヤフーが中国最大手の淘宝と提携。7月から相互取引サービスを始め、両国の消費者が相手国の商品を簡単に購入できるようになった。楽天も現地のネット検索サービス最大手の百度(バイドゥ)との合弁会社を設立し、10月から中国でインターネット・ショッピングモール事業を始める計画。
 今回、外資企業によるネット販売事業が解禁されることで、今後は中国でのネット販売への取り組みが中国内販事業の成否を占うカギになりそうだ。



女子に人気のケータイブログ「デコログ」月間60億PV突破
 ネットベンチャーのミツバチワークスは9月9日、同社が運営する携帯電話専用ブログサービス「DECOLOG」(デコログ)の8月の月間ページビュー(PV)が60億を超えたと発表した。「ブログサービス単体の閲覧数では国内最大規模」としている。
 10~20代女性に人気で、キャッチコピーは「輝く女子のキラリン★ブログ」。日記やプロフィールを書いたり、ミニブログ(リアル)「イマナニシテル?」を更新できる。
 出会い系やアダルト、コンプレックス商材などの広告を掲載せず、「クリーンで健全なサイト運営がユーザーからの支持を得ている」という。



人生ゲーム for GREE、開始から25日で100万ユーザー突破
 アイ・エム・ジェイ(IMJ)とタカラトミーエンタメディアは9月9日、「GREE」で提供中のソーシャルゲーム「人生ゲーム for GREE」の利用者数が、9月3日時点で100万人に達したと発表した。
 人生ゲーム for GREEは、国内累計販売数1260万個以上のボードゲーム「人生ゲーム」にソーシャルゲームの要素を取り入れたもの。ルーレットを回して世界中のお宝を集め、世界一の億万長者を目指す。基本プレイは無料でアイテム課金制となっている。今回の100万人突破は8月10日の提供開始から1カ月弱、25日間での達成となった。



車や家電「脱レアアース」 日立や帝人が新技術
材料を安定調達
 家電・素材メーカー各社は電気自動車や家電品に不可欠なモーターを、従来の主力材料のレアアース(希土類)を使わずに作る技術を相次ぎ開発した。レアアースは主要生産国の中国が輸出規制しており、安定調達に懸念がある。代わりに入手しやすい材料を使うメドをつけた。日立製作所は酸化鉄で実用的なモーターを試作、2年後に製品化を目指す。帝人と東北大学などは鉄と窒素を使った新材料を開発、高性能モーターに応用する。
 モーターは磁石の力(磁力)で回転力を得る仕組みで、ハイブリッド車や電気自動車、冷蔵庫、エアコンなど様々な製品の性能を左右する中核部品。回転子と呼ばれる磁石部分に、大きな力を効率良く生み出せるネオジムやジスプロシウムなどのレアアース材料が使われている。調達難に備えて、各社は代替材料の開発を急いでいる。
 日立は調達が容易で安価な酸化鉄でできた永久磁石「フェライト磁石」を使ったモーターを開発した。そのままでは磁力はレアアースを使った場合の半分しかないため、回転部分に磁力が効率良く届くように構造を工夫し、取り出せる力を大きくすることに成功した。
 レアアース製に比べて約1割小さい電力で同じ力が得られる性能を確認。電気の無駄が少なく省エネになる。実用化のメドが得られたとして、今後2年程度でエアコンなどへの応用を目指す。大型化すれば電気自動車にも応用可能とみている。



IT規制改革の要望、50項目が浮上 総務省が集約
 総務省が情報通信技術(ICT)の利用促進に向けてどんな規制改革が必要か一般に意見を聞いたところ、医療や行政分野を中心に約50項目が浮かび上がった。特に文書や手続きの電子化が認められていない点に対する不満が多かった。規制を見直せば生産性が上がり、新たなサービスや雇用が生まれ、経済成長を後押しするとみている。
 総務省によると、現在、文書の電子化が認められていない例としては生命保険料控除証明書、遺言、学校の指導要録などがある。中には50年以上も改定されていない規制があり、ICTが発達した現代にそぐわないとの批判が出ている。
 総務省はこの意見を政府のIT戦略本部に報告し、2011年の通常国会に「ICT利活用促進一括化法案」(仮称)を提出したい考えだ。今回はICT利活用の観点から意見を聞いており、政府がまとめる規制改革案とは項目はほとんど重複しないとみられる。



アイフォーン、外国人観光客に無料貸し出し 観光庁が沖縄で
 観光庁は9日、沖縄県を訪れる外国人観光客などに米アップルの高機能携帯端末(スマートフォン)「iPhone(アイフォーン)4」を無料で貸し出し、情報提供サービスを行う方針を明らかにした。10月から実施する。買い物や移動をスムーズにできるようにする実証実験で、訪日観光拡大につなげることが狙い。今後、京都や東京・浅草への拡大も検討する。
 沖縄県の空港や港などで外国人に100台、希望する飲食店やホテルにも200台を貸し出す。アイフォーンを通じて最寄りの飲食店や観光施設の情報を提供する。24時間対応のコールセンターも設置。買い物やタクシーに乗るときなど言葉が通じずに困ったときに英語や中国語、韓国語に通訳するサービスも行う。
 このほか、旅行者が実際に訪れた観光スポットの感想をウェブ上に書き込めるブログやツイッターの機能の搭載も検討。今年12月には、すでにアイフォーンを持っている外国人観光客も同様のサービスが受けられるようにする。
 実証実験の期間は2年間。沖縄県がソフトバンク子会社のソフトバンクテレコムやJTB沖縄、電通などに委託して実施する。



ゴルフ場、減益・赤字5割超 景気低迷色濃く
本社主要260コース調査
 日本経済新聞社が9日まとめた「第16回ゴルフ場主要コース調査」で、回答したゴルフ場260コースの53.4%にあたる139コースが2010年度の業績見通しを「減益」「赤字」と回答した。来場者の減少などで法的手続きに入るゴルフ場が「増える」との回答も半数を超え、景気低迷の影響が色濃く残っている。
キャディーを付けないセルフプレーが広がっている(PGMホールディングス提供)
 10年度の売上高見通しは数字を公表した103コースでは09年度比0.3%増の6億8728万円となったが、他の157コースでは57.3%が「減少する」と回答。「増加する」は11.5%にとどまった。
 今年は春先の豪雨続きでキャンセルが多く、来場者数は昨年実績比で減少傾向にある。アコーディア・ゴルフは既存コースで4~7月の入場者数が前年同期比で2.5%減。PGMホールディングスは1~7月で1.7%減だった。各ゴルフ場は多様なプレースタイルや割引制度の導入で集客に力を入れている。
 厳しい環境を映し、法的手続きに踏み切るゴルフ場が「増える」との回答は50.8%。その理由に71.2%が「預託金制度の破綻」、51.5%が「予想を上回るペースの利用者減少」を挙げた。資本力のある大手による再編が「進むと思う」との回答も68.1%(177コース)に上った。
 ただ10年度の営業収支が「黒字で増益」「09年度並みの黒字」「黒字に転換」「赤字だが赤字幅は縮小」と改善を予想する回答も合計49.6%あった。



「はてブ」「はてなダイアリー」「はてなココ」が「mixiチェック」に対応
 株式会社はてはは9日、同社が運営するソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」、ブログサービス「はてなダイアリー」、位置情報サービス「はてなココ」において、SNS「mixi」の新機能「mixiチェック」との連携機能を追加した。これら3つのサービスで投稿した情報を、mixi上でマイミクと簡単に共有できるようになった。
 mixiチェックは、ウェブ上のコンテンツをお気に入り登録しておくことで、マイミクと共有できる機能。6日からmixiに実装されている。
 はてなブックマークでは、「外部サイト連携」設定において、あらかじめmixiアカウントをOAuth認証しておくことで、mixiチェックと連携できる。はてなブックマークにURLを登録する際に、「mixiチェックへ投稿」チェックボックスにチェックを入れれば、同時に投稿される(デフォルトで常に同時投稿するよう設定も可能)。なお、同様の機能として、はてなブックマークではすでにTwitterとの連携機能も備えている。
 はてなダイアリーでも同様に、ブログ記事を投稿した際に、mixiチェックに更新を通知できる。はてなココでも、今いるスポットの情報などがmixiチェックにも自動投稿できる。



(日経社説)携帯向け新放送の認定に疑問がある
 総務省の電波監理審議会が携帯向けの次世代放送にNTTドコモなどが推す「マルチメディア放送」を採用すべきだと答申し、原口一博総務相がドコモグループに免許を交付した。地上放送のデジタル化で空く周波数を使い、映像や音楽などを有料配信するにあたって、1グループだけを選んだことには疑問がある。
 新しい携帯放送には、放送業務を行う受託事業者と、その上で番組を流す委託事業者があり、今回選んだのは前者のほうだ。受託事業者は放送設備を第三者に開放する義務があり、審査ではどれだけそれを安く提供できるかが焦点となった。
 ドコモ方式は既存の放送設備を使い、大出力で広範囲に配信する技術で、フジテレビジョンなど民放大手が開発した。一方のKDDI陣営の「メディアフロー」方式は米クアルコムの技術で、受信感度が上がるよう基地局を多数設ける。米国ではすでに電話大手が採用している。
 電監審がドコモ方式を選んだのは新設の東京スカイツリーを使うなど基地局が少なく、設備投資が安上がりという理由からだ。設備が安ければ番組会社が払う委託料が下がり、新規参入が増えるというわけだ。
 だが審査には疑問がある。電監審が挙げた比較項目は、委託事業者の参入のしやすさ、基地局計画、財務基盤、技術力の4つ。最初の3点でドコモ側を優位としたが、いずれも金銭的な事業計画の話であり、技術の評点が相対的に低く抑えられた。
 重要なのは事業者の採算より、なぜ携帯放送が国民に必要かである。番組を出先で見るならワンセグ放送がある。番組会社の育成は重要だが、チャンネルだけ増やしても質の向上は望めない。いま必要なのは、電子書籍など新しい携帯端末に情報を安価に配信できる基盤である。
 そう考えると携帯放送に求められる要件は、自分の部屋などどこでも受信できることや、ラジオのように将来海外でも利用できる環境づくりだ。日本の端末メーカーにも新たな販路が広がる。その点では必ずしもドコモ方式が優位とはいえない。
 新しい携帯放送に割り当てる周波数は14.5メガヘルツあり、受託事業者を2社にして競わせることも可能だ。競争原理を働かせることが、将来の委託料やサービス内容をよりよいものにするだろう。委託する番組会社側も放送の特性に合わせて受託事業者を選ぶことができるはずだ。
 事業者を決める権限を持つ総務相は、放送局や通信会社の利益だけでなく、国民や端末メーカーの利益も踏まえた決定を下すべきだ。
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ドコモの「iD」、1500万会員に
 NTTドコモは、おサイフケータイなどで利用できるクレジット決済ブランド「iD」の会員数が8月末で1509万人になったと発表した。
 「iD」は、ドコモが提供するクレジットブランド。三井住友カードとの資本業務提携により2005年12月より提供されており、2007年11月に500万、2008年12月に1000万会員と突破し、開始から4年9カ月で1500万に達した。ドコモでは、おサイフケータイ対応で後払い式の決済手段であることから「iD」を“後払い電子マネー”と案内。iDが利用できるクレジットサービス(イシュア)は、ドコモの「DCMX」や三井住友カードなどが存在しており、8月末時点でのDCMX会員は1189万人とのこと。
 ドコモによれば、おサイフケータイの契約数は3750万件で、ドコモ全体の6割を占める。iD対応の決済端末は全国で約48.1万台となり、iDの月間利用件数は1688万件となっている。コンビニエンスストアでの利用額を見ると、JFAコンビニエンスストア統計調査月報の平均客単価(550円~570円程度)よりも、20%以上高いという。



KDDI、携帯新放送の番組配信に参入せず
「ドコモ方式は不透明」
 2012年春に始まる携帯端末向け新放送で、KDDI(au)が番組配信などコンテンツ事業に参入しない方針であることが9日、明らかになった。電波監理審議会(総務相の諮問機関)は8日、放送基地局を運営するインフラ事業者にNTTドコモグループを選定。参入を争ってきたKDDIは総務省の審査プロセスに反発しており、同社が参入を見送れば、新放送普及の足かせになりそうだ。
 小野寺正社長が9日、日本経済新聞社の取材に応じ、「ドコモの技術方式は不透明。情報公開されていない現時点で(新放送に)参加することはできない」と話した。屋内やビル陰で十分に視聴できるかなどに疑問があるとしている。KDDIの携帯電話契約者3200万人は今後、端末を買い替えても新放送が視聴できなくなる可能性がある。
 原口一博総務相は電監審の答申を受け、9日午後ドコモを認定する予定。小野寺社長は「(電監審がドコモを評価した)投資額抑制などの点は、事前の評価基準で明確にしていなかった」と反発。審査の透明性について今後総務省に説明を求める。
 総務省はドコモのインフラを利用してコンテンツを配信する会社を数社募集する方針で、ドコモはフジテレビジョンなどと共同で参入する。



「iOS 4.1」の提供開始、ソーシャルゲームやHDR写真機能追加
 アップルは、iPhoneやiPod touch、iPadが搭載するOS「iOS」の最新バージョンとなる「iOS 4.1」の提供を開始した。無償でアップデートできる。
 iOS 4シリーズで初の主要アップデートとなる「iOS 4.1」では、「Game Center」「iTunes Ping」「HDビデオアップロード」「HDR写真」の大きな4つのアップデートが含まれる。「Game Center」は、ソーシャルネットワークゲームのプラットフォームのことで、iPhoneやiPod touchでネットワークゲームが楽しめる。「iTunes Ping」はiTunes向けのソーシャルネットワーキング機能で、友人のお気に入りの楽曲がチェックできる。
 「HDビデオアップロード」は、HD画質の動画をiPhone 4からYouTubeにアップロードできるもの。「HDR写真」は、iPhone 4のカメラ機能に新たにHDR(High Dynamic Range)設定が追加され、露出の異なる複数の画像を自動的に1枚の画像へ合成できるようになる。HDR合成機能はデジタルカメラなどに搭載されている機能で、通常1枚の写真では表現できない多様な光の表現を実現するもの。
 このほか、BluetoothやiPhone 3G上での改善などのバグも修正される。なお、アップデートはiPhone 4/iPhone 3GS/iPhone 3G/iPod touch(第2世代以降)などに対応しているが、利用できる機能は端末により異なる。
 更新作業は、iTunesを利用して実行する。



検索所要時間を短縮 グーグルが新サービス
 米インターネット検索大手グーグルは8日、ネット検索でユーザーが文字やキーワードを入力するごとに、検索ボタンをクリックしなくても検索結果を自動的に表示する新サービス「グーグルインスタント」を近く開始すると発表した。標準的なユーザーで検索1回当たりの所要時間を2~5秒短縮できるという。
 米国やイギリス、ドイツ、フランスなど7カ国でスタートし、その後数カ月で世界中に広げる予定。
 グーグルサイトなどの検索キーワードを入力する枠内に、ユーザーが文字を打ち込むごとに、その時点で予測されるキーワードと検索結果を瞬時に表示する。これまで通り、検索ボタンをクリックしないと結果を表示しない設定も選べる。



au、セカイカメラに公式エアタグを配信
 KDDIは、「セカイカメラ」「セカイカメラZOOM(β版)」におけるAR(拡張現実)空間に公式のエアタグを配信する。
 今回の取り組みにより、9月13日からauショップの場所を示すエアタグが「セカイカメラ」「セカイカメラZOOM(β版)」で表示され、場所や営業時間を確認できるようになる。
 今後は、全国のライブハウスの場所をエアタグで表示するほか、ライブの出演アーティストや開演日時を掲載し、LISMOと連携して関連楽曲の着うたが購入できようになる予定。
 なお、9月9日には「セカイカメラZOOM」のアプリがバージョンアップし機能拡充が行われているほか、対応機種にS004、T004が追加されている。



GREE、iPhone向けに有料のアバターサービス
 グリーは、ソーシャルネットワークサービス(SNS)の「GREE」iPhone版で、有料サービスの提供を開始した。
 「GREE」のiPhone版は、8月9日よりβ版として提供が開始された。今回は、有料サービスの第1弾として、アバター機能が追加され、パソコン版や携帯版と同様に、アバター用アイテムをiPhoneでも購入できるようになる。決済方法は、WebMoneyとクレジットカード。
 対応機種はiPhone、iPod touchとなる。グリーでは今後、Androidを含めたスマートフォンへの取り組みを強化する。



ルネサス、携帯/車/家電共通SoC基盤構築でSH-Mobileなど統合へ
 ルネサス エレクトロニクスは、携帯電話向けのSoC(System on a chip)を含めたマルチメディア向けSoC事業の戦略説明会を開催した。
 ルネサスは、NECエレクトロニクスとルネサステクノロジの事業統合によって2010年4月に設立された半導体メーカー。マイコン事業、システムLSI(SoC)、アナログ&パワー半導体の3事業を柱に、さまざまな機器に半導体を供給している。
 同社は、今年7月、ノキアの無線モデム事業を約2億ドルで買収すると発表、11月末には買収が完了する予定となっている。GSM、HSPA、LTEといった無線通信のハードウェア/ソフトウェア技術を得たことで、既存チップソリューションに通信機能を盛り込めるようになるため、今後加速すると見られるメーカー各社の要望に柔軟に応えていくともに、海外事業への布石としたい考え。
 SoCとは、デバイスに必要なマイクロプロセッサやメモリ、制御回路などを1つの半導体チップとして実装する集積回路のこと。ある機能を提供するために基板上に個別に実装する必要があったLSIをまとめられるため、実装スペースの削減、コスト低減、低消費電力化といったメリットがある。
 ルネサスでは、SoC第2事業本部がモバイル機器、車載情報システム、ホームマルチメディア向けのSoCソリューションを手かげている。今回の説明会で同社は、この3分野のプラットフォームを統合して「新統合SoCプラットフォーム」を構築し、開発効率を上げていくことが明らかにされた。



ネット検閲国家に圧力を――Googleが呼びかけ
 米Googleの最高法務責任者は、「Webサイトへのアクセスを国家が遮断するという行為は、人々の人権を侵害するだけでなく、米国の貿易を不当に制限するものだ」と主張し、中国やトルコなど、インターネットを検閲している政府への圧力を呼びかけた。
 Googleの最高法務責任者であるデビッド・ドラモンド氏によるこの発言は、検閲のない自由なインターネットを目指すGoogleが新たに取り組むべき経済的テーマを示すもの。またこの発言は、Googleが今年1月に中国でのオンライン検索の検閲を取り止める方針を発表して以来続いている中国政府とのデリケートな関係を刺激する可能性もある。
 ドラモンド氏は、米通商代表部(USTR)のロン・カーク代表やそのほかの企業幹部らを集めて米カリフォルニア州シリコンバレーのGoogle本社で開かれた公開の会合において、「インターネット検閲はまさに貿易障壁だ。海外に事業を展開しようとしている米国企業にとっては、現にそのように作用している」と語っている。
 「もしこれが現実空間での貿易で行われているのだとすれば、われわれは皆、“この行為は貿易協定を根本から侵害している”と非難しているはずだ」とさらに同氏。
 ドラモンド氏によると、最近では、政治的な理由だけでなく経済的な理由から、インターネットをさまざまな方法で検閲する国家が増えてきているという。例えば、Googleのオンライン動画サービスYouTubeは20カ国以上でアクセスが遮断され、トルコでは既に2年間も禁止されたままという。
 「当社としては、まさにこの問題に真剣に取り組むべきときがきたと考えている」とドラモンド氏。
 「現在懸案となっている貿易協定は、ネット検閲を行っている国家に圧力をかける上で、われわれにとって格好のチャンスだ。そうした国家には、自由はインターネットの核となる価値であるということを認識させる必要がある。われわれは人権の観点からも、そうした国家の責任を問うべきだ。また、自由貿易のコミュニティーに参加したいのであればインターネットをオープンなものにする方法を見つける必要があるということも認識してもらわなければならない」とさらに同氏は続けている。
 Googleは今年1月、中国本土での検索結果の検閲を取りやめる方針を表明するとともに、Googleなど米国の主要企業に高度なサイバー攻撃を仕掛けたとして中国のハッカーを非難。それ以来、同社と中国当局とは微妙な緊張関係にある。
 また米国政府と中国政府は当時、中国人民元の為替レート問題や米国による台湾への武器売却、チベット問題など、さまざまな問題で意見を対立させており、Googleのこの発言を機に両政府間の緊張はより一層高まった。米国のヒラリー・クリントン国務長官はGoogleの発表を受け、世界のインターネットの自由を呼びかけ、中国を名指しで非難している。
 その後Googleは中国の同社サイトにアクセスするユーザーを香港の無検閲のサイトにリダイレクトする措置を開始したが、結局は、中国本土のユーザーが香港の無検閲の検索エンジンサイトにアクセスするためにはリンクを自分でクリックしなければならないよう、設定に変更を加えている。
 今年7月には、当面は衝突を避けたいとの考えからか、中国政府はGoogleが中国で検索ページを運営する事業免許の1年間の更新を認めている。



法人税引き下げ、年内に結論を…菅首相が指示
 政府は9日、新成長戦略実現会議(議長・菅首相)の初会合を首相官邸で開いた。菅首相は、出席した全閣僚に対し、企業の国際競争力を高めるため、主要国に比べて高い法人税の実効税率の引き下げについて、年末までに結論を出すように指示した。
 さらに、雇用を軸とする成長を実現するため、政府税制調査会の中に、雇用促進税制の検討を行うプロジェクトチームを作るように求めた。
 会議の冒頭で菅首相は、「(同会議が)まさに、新成長戦略の実現、そして日本の20年にわたる閉塞(へいそく)感を突破する強力なエンジン役となることを期待している」と強調した。
 成長戦略では、40・69%と世界でも突出して高い日本の法人税の実効税率を主要国並みの30~20%台半ばまで下げる方針が盛り込まれた。税収減を懸念する財務省との調整が難航することが懸念されていたが、菅首相の指示で、2011年度税制改正で減税論議が加速するとみられる。



日本の国際競争力、6位浮上…技術革新に高評価
 【ジュネーブ=平本秀樹】世界の政財界人らが集う「ダボス会議」を主宰する世界経済フォーラムは9日、各国・地域の国際競争力に関する2010年版の報告書を発表した。
 1位は2年連続でスイス、09年に首位から陥落した米国は2位から4位に後退。日本は6位で前年よりランクを二つ上げた。
 日本が浮上した理由について、同フォーラムは「技術革新などが高く評価された。巨額の財政赤字はマイナス材料で全体として競争力は向上していないが、他国も財政赤字が深刻で相対的に日本の順位が上がった」と説明した。
 新興国では中国は27位(前年29位)と順位を上げたが、インドは51位(同49位)、ブラジルは58位(同56位)で順位を下げた。アジアではシンガポールが3位、香港が11位でいずれも前年と同じ。台湾は13位(同12位)、韓国は22位(同19位)だった。



米中間層の減税、恒常化へ…大統領方針
 【ワシントン=岡田章裕】オバマ米大統領は8日、米中西部のオハイオ州を訪れて追加の景気対策について演説した。
 民主、共和両党で論争が続いている、ブッシュ前政権が2001、03年に導入した大型減税の延長について、「中間所得層をこれ以上、(政争の)人質にすべきではない」と述べ、年収25万ドル以下の世帯向けについて恒久化する方針を示した。ただ、富裕層に対しては、「(減税継続で財政負担が)今後10年間で7000億ドルもかかる。消費増も見込み薄だ」と述べ、打ち切る考えを強調した。
 共和党は富裕層向けも含めてブッシュ減税を延長するよう求めており、景気減速が鮮明になっている米経済政策の最大の焦点となっている。オバマ大統領は演説で、「(年収25万ドル以下の世帯は)国民の97~98%を占める」と指摘、国民に幅広く恩恵が行き渡ると訴えたが、富裕層向けは打ち切ることで、共和党との対立はさらに深まりそうだ。



ウォークマンがiPodを逆転 「一ヶ月天下だ」の見方も
ソニーの携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」の日本国内販売台数シェアが、2010年8月に米アップルの「iPod(アイポッド)」を逆転し首位に立った。民間調査会社BCNが家電量販店の調査を始めた2001年11月以来、月間販売でソニーの首位は初めて。
ただ、アップルは全面刷新したiPodを9月上旬に発売するため「1カ月天下」を指摘する向きもある。一方、両社は海外でのネット配信サービス強化を相次いで発表しており、ここへきてハード、ソフト両面の競争が激化している。
音質向上させたウォークマンの支持が広がる
ソニーのウォークマンは1979年の発売以来、歩きながら聞くという独創的な発想やデザインなどが国内外に浸透し、ブランド力のある一大音響製品群に成長した。しかし、携帯音楽プレーヤーがカセットテープやMD(ミニディスク)に録音した音楽を再生する段階から、音楽自体をデータとしてどんどん取り込む時代に移るなか、圧倒的な曲数を誇る音楽配信サービス「iTunes(アイチューンズ)」と一体となったiPodが2001年の投入以来、市場を席巻した。日本国内でも一時はiPodの販売台数シェアが8割を超える時期もあるなど、ウォークマンは後塵を拝す状況が続いた。
しかし、最近1~2年、特にソニーのブランド力が強い国内では、主力機種が2割程度安く、「音楽専用」を打ち出して音質を向上させたウォークマンの支持が広がった。シェアも徐々にばん回し、8月にはついに逆転した。
とはいえ、首位を維持できるかどうかは楽観できない。アップルが発表した新たな主力機種「iPodナノ」は、従来品の約半分の大きさで、最近流行している画面を触って操作するタッチスクリーンを採用。価格は8ギガバイトのモデルで1万3800円と旧モデルより1000円値下げした。音楽配信で先行するアップルを追撃
これでもウォークマンの主力機種より2000円高いとはいえ、こうしたアップルのフルモデルチェンジ攻勢に「9月のシェア再逆転は確実」(ITアナリスト)との見方も出ている。さらに、世界市場ではウォークマンの存在感は「圧倒的にiPodに劣る」(電機メーカー)のも事実で、日本というマザーマーケットでソニーがどこまで踏ん張れるかが、注目される。
一方、アップルは新iPod発表と同時に、米国で、1話99セント(約83円)で視聴期限のあるテレビ番組のレンタル配信を始める、と発表した。米ネットワークテレビABCなどの番組が対象。低価格を武器に、音楽配信で培ったノウハウも活用し、iTunesによる動画配信で本格攻勢をかける。また、ネット経由で配信された番組などを家庭用テレビで楽しむ装置「アップルTV」の新製品発売も発表した。
ソニーも2010年9月2日、4月に米国で始めたネット対応テレビ向けビデオ配信サービス「Qriocity(キュリオシティ)」の新サービスとして、音楽配信事業を年内に始めると発表した。音楽はソニーの液晶テレビ「ブラビア」のネット対応機種などで楽しめる。音楽配信で先行するアップルの追撃態勢を整える狙い。今や「強者」の地位にあるアップルにどこまで追いつけるかは、使い勝手の向上やソフトの充実などがカギになりそうだ。

グーグル、日本企業などと端末開発 アップルに対抗
 インターネット検索最大手の米グーグルは、日本を含む世界の電機メーカーと情報端末を共同開発する。多機能携帯電話(スマートフォン)や電子書籍、インターネット対応テレビなどで先進的な端末を継続的に投入し、米アップルに対抗する。パソコン並みの情報検索機能を備えたネットテレビの開発ではソニーと提携しており、日本企業とグーグルの協業がさらに拡大しそうだ。
 米グーグルのアンディー・ルービン副社長が日本経済新聞の取材で明らかにした。
 携帯向け無償OS(基本ソフト)「アンドロイド」の最新版を搭載する多機能携帯電話を、今年の年末商戦向けに投入する。グーグルは液晶や半導体などで最先端の技術を持つ電機メーカーと共同で新型機を開発する。
 今後も年2機種のペースで発売する新製品は「世界でアンドロイド携帯の市場拡大をけん引するリードデバイス(戦略商品)」(ルービン副社長)と位置づける。
 電子書籍も楽しめるアップルの「iPad(アイパッド)」のようなタブレット型携帯端末でも戦略商品を発売する。ソニーと開発中のネットテレビは今秋まず米国で発売し、来年以降は日本を含む世界でも販売する。
インタビューに答えるルービン副社長
 戦略商品を共同開発する提携相手は「個別には言えないが、日本メーカーでない理由はない」(同)と含みを持たせた。あらゆる情報端末で自社OSを普及させ、業界標準を目指す。
 グーグルはOSを無償で公開している。世界の端末メーカーは自社の新製品に自由に搭載できる。戦略商品はソフトやサービスの仕組みを熟知しているグーグルが、メーカーの技術者と一緒に開発する。最先端の機能を盛り込み、他のアンドロイド端末の「お手本」をつくる狙いがある。ソフトから端末まですべてを自社で開発し、ヒット商品を次々に送り出すアップルに対抗する。
 ネットサービスの主戦場はパソコンから、情報処理能力が向上した携帯端末に移りつつある。グーグルはOSのシェア拡大を通じて携帯からのネット検索などを増やし、収益源となる広告収入の拡大につなげる戦略だ。携帯端末の機器、ソフト、サービスをめぐり、アップルとグーグルが激しくぶつかることになる。



日本勢、提携戦略に商機 アンドロイドを生かせるか
自社製品との相乗効果がカギ
 米グーグルが携帯向け無償OS(基本ソフト)「アンドロイド」で世界の家電・情報端末各社との連携を加速する。デジタル機器市場で米アップルにおされてきた日本の家電メーカーには強力な援軍となる。ただ、単純にアンドロイドを搭載するだけでは他メーカーとの差異化は難しい。グーグルのネット・ソフト力に、自社の製品力を組み合わせた商品を開発できるかが課題になる。
 携帯音楽プレーヤー「iPod」や、多機能携帯電話「iPhone」、タブレット型の情報端末「iPad」で次々とヒットを飛ばすアップル。同社の最大の強みは、音楽や動画などの配信サービス「iチューンズ・ストア」、携帯アプリを集めた「アップストア」、それに基本ソフト「iOS」など、ソフト・サービス・ハードのすべてを1社で丸抱えしていることにある。
 現時点でアップルと真っ向から対抗できる「デジタル総合力」を持つ日本企業は皆無。世界規模で配信サービスを展開するには、巨大なデータセンターも必要になる。グーグルの無償OSや配信サービスを使えば、端末各社は“ただ”でアップルに対抗しうるソフトやサービスを手に入れることができる。
 だが、単純に無償OSを採用するだけでは、韓国や中国企業との価格競争に巻き込まれる。ソニーは主力製品のテレビで他社に先行してグーグルと「戦略商品」を開発中だ。共同開発を通じてグーグルの「ネット力」をうまく吸収、活用して自社の専用サービスにつなげるなど、ネット最大手の背中に乗るしたたかさが求められそうだ。




携帯向け新放送、NTTドコモが運営事業者に
 2012年春に始まる携帯端末向け新放送の放送設備を運営するインフラ事業者に8日、NTTドコモグループの「マルチメディア放送」が決まった。電波監理審議会(総務相の諮問機関)がKDDIグループの「メディアフロージャパン企画」と比較審査した結果、利用料金など事業計画の面でドコモ陣営が優位と判断した。映画などの動画を高画質で閲覧、いったん端末に保存して電波の届かない場所でも見られるサービスが具体化に向け動き出す。
 電監審は同日、マルチメディア放送に免許を与えるのが適当と総務相に答申した。9日以降に総務相は免許を交付。総務省は今後、実際に放送番組をつくる事業者の選定に移る。コンテンツを持つ放送会社などが名乗りをあげる見通しだ。
 新放送はテレビのアナログ放送が終了した後の周波数帯を活用し、首都圏では東京スカイツリーなどから放送。携帯電話やスマートフォン(高機能携帯電話)、電子書籍端末などで視聴できる。放送基地局の免許を巡り、ドコモ陣営とKDDI陣営が競ってきた。
 新放送の特長は現行の携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」より画質が約9倍向上した動画が見られる点。周波数の幅を様々に分離できるため、大手だけでなくベンチャー企業など多様なコンテンツをそろえやすくなる。
 端末への番組保存も可能だ。端末に番組を蓄積し、地下鉄など電波の入らない場所でも視聴できるようになる。ドコモでは「月額基本料を300円程度とし、無料と有料コンテンツを用意する仕組み」を想定している。
 原島博・電監審会長は記者会見で「新放送の発展のために(放送番組をつくる)委託事業者が参入しやすいことが重要」と強調。ドコモ陣営が放送事業者から徴収する料金や視聴料を安く設定できることを評価した。
 ドコモ陣営はサービス開始5年目で対応端末を累計5000万台にする目標を提示。基地局の整備費用を当初の700億円から約440億円に圧縮、KDDI陣営より低く抑えた。電監審はKDDI側は技術面でやや上回っているとしたが、事業の継続性などからドコモ陣営を選んだ。
 今回の事業者選定の審査過程では民主党の一部議員から「2社の参入を認めるべきだ」などの異論も出た。総務省は選定そのものを電監審に委ねる異例の諮問形式を採用。電監審は独自にヒアリングを実施したり、臨時の会合を開いたりして審査を進めてきた。



携帯新放送、12年春の開始へ加速 収益確保など課題
 携帯向け新放送の設備事業者に決まったNTTドコモ陣営は2012年春のサービス開始に向け準備を加速する。ドコモなどが出資する「マルチメディア放送」を2分割し、放送設備を整備・運営するインフラ会社を設ける。この設備をコンテンツをつくる放送事業者が借りる仕組みだ。新サービスへの期待が集まる半面、どう収益を確保するか課題もある。
 ドコモ陣営は分割2社のもう1社を放送会社としコンテンツ配信も計画している。同時に放送、映画、出版など各業界にコンテンツ事業者として参加を呼びかける。
 ドコモはすでに携帯電話回線を使った動画配信サービス「BeeTV」などに力を入れている。放送波の活用で携帯向けコンテンツを拡充。スマートフォン(高機能携帯電話)の普及でデータ通信量が急拡大しており、コンテンツ配信を放送に振り向けて携帯電話回線にかかる負荷をやわらげる狙いもある。
 ただ、携帯向け新放送には課題も多い。
 新放送の採算ラインは契約者300万人前後とみられる。ドコモによると米国ですでに実用化されている携帯新放送「フローTV」は契約者が100万人未満といわれ、事業環境は厳しい。
 ドコモの山田隆持社長は「携帯向け新放送には事業リスクがある。慎重に収益計画を練る」と話す。ドコモ陣営が目標とするサービス開始後3年での黒字化は急速な普及ぺースが前提になる。
 ポイントの1つは「落選」したKDDI陣営との連携。ドコモ陣営が採用する放送方式にはソフトバンクも対応する見通しだが、KDDIが同方式を支持しないと同社の契約者約3200万人が視聴する機会を失い、普及ペースが鈍る可能性がある。両陣営の関係修復も必要になる。KDDI幹部からは「十分に議論を尽くしたか疑問が残る。総務相の正式決定が出てから、対応を考える」との声も出ている。
 インターネット上には有料・無料の映像コンテンツがあふれる。消費者を魅了できるサービスや、海外展開ができなければ、独自の発展を遂げて世界市場から孤立する「ガラパゴス化」を進めることにもなりかねない。



ソニー、40型以上のテレビを3Dに パソコンも発売へ
 ソニーは8日、40型以上の薄型テレビについて、一部の低価格モデルを除いて2011年中に3D(3次元)対応とする方針を発表した。パソコンは来春に同社初の3D対応モデルを発売する。通常商品より高価格の3Dテレビは収益性が高いため製品群を拡充する。パナソニックも42型以上を3D対応にする方針を打ち出しており、競争が激しくなってきた。
 ソニーは今年6月、立体的な映像が楽しめる液晶テレビ「3Dブラビア」を発売した。同社の40~60型の薄型テレビ16機種のうち、3D対応モデルは現在8機種。今年末から来年にかけて新製品を追加し、大半のモデルを3D対応にする。
 3Dテレビはパナソニック、シャープなどが今春以降に順次、発売している。ソニーは今年度の国内3Dテレビ市場を100万台程度と予測。このうち50%以上のシェア獲得を目指す。
 3Dの映像表示に対応するパソコンはNECや富士通、東芝などが発売済み。ソニーが来春発売する商品は、発光ダイオード(LED)バックライトを搭載し、フルハイビジョン映像を視聴できるのが特徴。高画質でブルーレイ・ディスクやゲームなどを楽しめる機能を売り物にする。



セガとバンダイナムコ、ICカードで連携 施設向けゲーム
 セガとバンダイナムコゲームスはアミューズメント施設向けのゲーム機で使うICカードシステムで連携する。利用者は両社の対応ゲーム機で遊んだときの成績やアイテムなどのデータを、1枚のカードで保存できるようになる。別の店舗でもデータを生かしてゲームを再開できる。使い勝手を良くして集客力を高める。
 ICカードはゲーム機で遊ぶ際に使用し、成績などの個人データを保存する。これまではゲーム機ごとに別々のカードを買う必要があった。
 セガは今秋から新ICカードシステム「アイミー」を順次導入する。カードは1枚300円で店頭の専用機で販売する。同システムに対応するゲーム機なら、異なる種類のゲームでもデータを専用サーバーに保存し、どの店舗でも利用できる。専用のウェブサイトに登録すれば、カードを紛失してもデータの再利用が可能。バンダイナムコも同様のシステムを来年導入し、両社のゲーム機のデータを保存できるようにする。



ツイッターフォロワーを1万に増やす技が大人気
 ツイッターフォロワーを1万に増やす技が大おもしろく、ゆるいネタ満載のサイト「オモコロ」で「Twitterのフォロワーを1万人に増やすルール」が紹介され、「はてなブックマーク」で約1400のブックマークがつく(8月30日現在)など、大反響を呼んでいる。
この反響の多くは「すごい! 参考になりました!」というものより、「読み物としておもしろい」「笑った」というものが主流だ。
 この記事は、ツイッターのフォロワーを増やしたい少年・「ねじ男」がフォロワー数万人を誇る「ツイッターはかせ」に教えを請うというストーリーにそって紹介されている。ツイッターはかせはいかにしてフォロワーを増やすかを述べ、「アルファブロガー」ならぬ「アルファツイッタラー」になるためのルールを伝授しているのだ。
そのルールとは以下の通り。
・価値のある情報をツイートする
・ふぁぼられ(評価の高いツイートを紹介する「ふぁぼったー」などで紹介されること)による外部サイトへの露出を増やす
・フォローを増やしてフォロー返しを狙う
・リプライで人脈を広げる
これに加え、「はてなブックマーク」で紹介されるといい、などいろいろな技を伝授し、ねじ男を興奮させる。だが、はかせは時に「アルファツイッタラーにとってツイッターが居心地のいいものであるかどうかなんて関係ないんだ。あいつらにとってはフォロワー、ふぁぼられの無機質的な数値が際限なく上がっていくことだけが快感なのさ」などと、フォロワー数の多い人に対し、ネガティブ発言をすることもある。
 全体的に皮肉のこめられたエントリーになり、最後にはまさかのオチも用意されているのだが、ツイッターでやるべきではないことも挙げられるなど、実はためになる記述も多い。
 たとえば、ねじ男がプロフィール欄に「フォロー、リムーブご自由に(笑笑)」と書いたことについては「こんなのいらないんだよ。お前に言われなくても勝手にやるっつーの。むしろそんなことに口出す権利はもともとないんだよ。ペッ」と修正指示を出してくれる。
 この「Twitterのフォロワーを1万人に増やすルール」は、はてなブックマークだけでなく、記事自体のコメント欄でも500件を超えるコメントが寄せられ、一般ユーザーが少しは持っているであろう「アルファツイッタラー」に対する憧れとどことない嫉妬の感情をうまく表現したこのエントリーに共感する声が多数だ。



ツイッター上で話題の「ボット」ってなんだ?
 毎日、親しくコミュニケーションをとっていた相手が、実はロボットだった…。なんて、まるでSFホラーめいた話だが。これって、今話題のツイッター上では、比較的ありがちな出来事。そう、ツイッター経験者なら知っているだろう「ボット(bot)」の仕業である。
 ボット(インターネット・ボット)とは本来、ネット上で自動的に実行されるプログラムの総称。検索サイトが利用する、Webサイトの自動収集プログラムなどもボットの一種だが、ツイッター上で、あたかも人間のようにつぶやいたり、他ユーザーと会話を行ったりするプログラムが話題となったことから、最近ではボット=人工会話プログラム、という認識が強くなっている。
 「日本のツイッター上でボットの存在がメジャーになったのは、1年前くらいから。熱血で知られる松岡修造氏のキャラクターを模倣した『shuzo_matsuoka BOT』が登場してからだと思います」(ボットの世界に詳しい、株式会社ピクルスのタナカミノル氏)
 ちなみに、この『shuzo_matsuoka BOT』。あまりの“リアル”さに、本人と勘違いして話しかける人が続出。そのやり取りがブログなどで取り上げられ、大きな話題となった。と、これだけでは単なるお遊び的存在にしか見えないボット。しかし最近では、遊びの枠を超えた活躍をしているという。
 「特に注目されているのが広告の分野。ボットをプロモーションに活用する企業が増えています。生身の人間との区別がつきにくいので、ヤラセや、宣伝文句ばかりをつぶやくスパムメールのような悪印象につながる恐れもありますが、ボットのキャラクターを上手に使えば、安価で効果的なプロモーションが可能になります」(タナカ氏)
最近では、誰でも簡単にボットが作成できるサービスも登場。様々な趣向を凝らしたボットが日々増殖しているらしい。顔が見えない、ネットならではの存在ともいえるボット。その実態を知りたい人は、ぜひツイッターで確認してほしい。



【産経主張】代表選と成長戦略 欠けている企業活性化策

 民主党代表選で問われているのは、日本経済の成長戦略である。円高、株安で大きく揺さぶられている足元の経済はもとより、長引くデフレから脱却する道筋をどう描いていくのか。
 だが、菅直人首相と小沢一郎前幹事長が掲げる成長戦略には、経済の担い手である企業の活動を活性化させる政策が決定的に欠けている。経済の持続的な成長にどこまで結びつくのか、不透明というしかない。
 菅氏は「一に雇用、二に雇用、三に雇用。仕事が増えれば経済が大きくなり、税収が増えて社会保障の充実につながる」と雇用創出を第一の柱に据えている。
 菅氏が描く成長分野は医療や介護、保育などが中心である。確かに介護などは高齢化の進展もあって、需要が急増している。だが、財政支援によって雇用を増やすだけでは成長は期待できまい。
 企業が利益を上げてこそ、大きな雇用も生まれる。重要なのは、医療や介護分野などをいかに産業化していくかである。
 一方の小沢氏は「内需で最低限の経済成長が可能な経済体質にしないといけない」と言う。もっともな主張だが、少子高齢化で人口が減ってゆく中で、国内消費の掘り起こしを強調するだけではやはり不十分だ。
 需要拡大の具体策にも欠ける。小沢氏は自由党時代に「各種事業規制の原則撤廃」を主張していたが、今回の代表選では規制緩和への言及もまったくない。
 両氏にともに欠落しているのは、グローバル経済への企業の競争力をいかに強めていくかの視点だ。それには自由貿易協定(FTA)を拡大し、企業の国際競争力を高め、外需を伸ばす戦略が必要だろう。世界的に高い法人税率の引き下げなども実行すべきだ。
 さらに、成長戦略の中心的役割を果たすのは規制緩和である。医療では混合診療の解禁や医療機器の審査期間の短縮、保育では保育所の認可条件の緩和など、やるべきことは多い。それができないのは、支持母体の労組への配慮といわれても仕方あるまい。
 民主党政権の経済政策に対しては従来、企業を国内から追い出し、雇用を減らす「アンチビジネス」との批判が経済界から出ている。いま求められるのは、企業が国内で設備投資と雇用を拡大できる企業活性化策の断行だ。
米グーグル、TVプラットフォームを11年に世界で導入へ
 【ベルリン】米グーグルのエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)は、ドイツで開催されている家電見本市「IFA2010」の基調講演で、テレビ・プラットフォーム「グーグルTV」を来年、世界でスタートさせる計画を明らかにした。
 このサービスは米国でこの秋、導入される。グーグルは中核市場の米国以外の地域での事業の拡大に注力している。
 グーグルTVのユーザーは、テレビ画面の上端に表示された検索バーを使用することで、ネット検索とネットサーフィンが可能になる。
 同社は現在、グーグルTVに娯楽オプションを加えるために、コンテンツ供給業者と協議を行っているという。来年にはこのサービスのアプリケーションのサポートを開始する計画だ。
 グーグルのプロダクト・マーケティング・マネジャー、ブリタニー・ボーネット氏によると、ユーザーは間もなく、同社の音声認識技術を利用することで、テレビのチャンネルを自身の声で切り替えることが可能になる見通しだ。
 グーグルはまた、携帯電話用基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマートフォン(多機能携帯電話)向けの通訳機能を紹介した。ユーザーがある言語で電話に向けて話すと、電話が別の言語に翻訳した文章を読み上げるシステムで、数カ月後に利用可能になるという。
 同社はさらに、アンドロイド搭載スマートフォン向けの地図サービス「ストリートビュー」の新バージョンも発表した。



都青少年健全育成条例改正案:9月議会提出見送りか
 東京都が検討している青少年健全育成条例の改正案が、21日開会の都議会9月定例会に提出されず、先送りされる公算が大きいことが分かった。6月定例会で反対に回った都議会最大会派の民主の理解が得られず、7日に各会派に説明した提出予定案件に盛り込むことができなかった。都側は「引き続き提案への努力を続ける」としている。
 改正案は、18歳未満の性的行為を過度に描いた漫画の子供への販売を規制する内容。



<Xbox360>コントローラー不要の「キネクト」日本で11月20日発売 川島教授の脳トレゲームも
 マイクロソフトは8日、家庭用ゲーム機Xbox360の新作発表会を開き、コントローラーを必要としない新型ゲームシステム「Kinect(キネクト)」を11月20日に発売することを明らかにした。キネクトセンサーと専用ソフト「キネクトアドベンチャー」がセットで1万4800円、Xbox360の4GB本体とのセットが2万9800円。また、発売を記念してXbox360の250GB本体とのセットを3万9800円で限定販売する。
 「キネクト」は、カメラとマイクなどでプレーヤーを認識するのが特徴。センサーの前に立つだけで使用でき、カメラの前で体を動かしたり、口で命令をしてゲームを操作する。オンラインでビデオチャットが楽しめる「ビデオ キネクト」機能なども盛り込む。操作をシンプルにし、新しい体験を提供することで、幅広い層のユーザーの取り込みを図る。北米では11月4日に発売される。 
 また、“脳トレ”ブームの立役者となった東北大学の川島隆太教授が監修・指導を手がけた「体で答える新しい脳トレ」(バンダイナムコゲームス)を同時発売する。
 発売日の11月20日には本体同梱(どうこん)の「キネクトアドベンチャー」のほか、「キネクトスポーツ」(マイクロソフト)、「ソニックフリーライダーズ」(セガ)、「ダンスエボリューション」(コナミ)、「体で答える新しい脳トレ」(バンダイナムコゲームス)を発売。その後も「デカスポルタ フリーダム」(ハドソン)などのタイトルを順次発売していく。



<スクエニ>FF13をXbox360でも12月16日に発売 海外版に要素追加
 スクウェア・エニックスはPS3用ソフトとして人気を集めたゲーム「ファイナルファンタジー(FF)13」をXbox360で発売すると発表した。英語音声の海外版をベースにイージーモードを加え特典も付けた「ファイナルファンタジー13 アルティメットヒッツ インターナショナル」で、発売日は12月16日、価格は4980円。
 FF13は、人類の守護者「ファルシ」の祝福によって繁栄していた天空の楽園「コクーン」などを舞台に、「ライトニング」と呼ばれる美しい女戦士とその仲間が、過酷な運命に立ち向かうため戦い続けるというストーリー。リアルタイムで戦況が劇的に変化するバトルシステムを採用。日本ではPS3のみの発売だったが海外ではXbox360でも発売され、全世界で累計500万本を出荷するヒットを記録していた。
 「アルティメットヒッツ インターナショナル」は、難易度が高いという声があったバトル全体のバランスを見直し、新たにイージーモードを搭載。ビジュアルアート集や未公開シーン、エンディング後のストーリーを小説仕立てにしたブックレットを初回特典で付ける。



FF14の「疲労度」導入についてどう思う?
 スクウェア・エニックスの人気RPGシリーズ最新作『ファイナルファンタジー XIV』(以下「FF14」、Windows版)オープンβテストが、9月1日11時から開始される運びとなったが、新たに搭載される「疲労度」というシステムがネット上で議論を呼んでいる。
 16日にファミ通.comが同ソフトディレクターの河本氏にFF14の「疲労度」について聞いたインタビューによると、「プレイできる時間の短いユーザーに大きなボーナスを与えてあげたい」という考えから作られたもの。一方、長時間遊ぶユーザーに対しては、『潜在値』と呼ばれる、疲労した状態でのみ獲得できる値も設定されるほか、装備を変更することでクラスを変えた場合は疲労度などは影響ないため、さまざまなクラスにトライすることのメリットを強調している。
 まだテスト段階であり、現時点で詳細は不明なものの、「4時間プレイしたら二日間は放置しないといけない」などの噂が出た。そして、このいわゆる「疲労度」システムについて、ネットユーザーは、「現実から逃避したくてネトゲやってるのにこんな現実っぽいシステム取り入れてどうすんだ 」と指摘する声も。
 その一方で「こういう対策は、ネトゲで人生狂う奴がたくさんいる現状を踏まえたら全然ありだと思うんだが」「これなら社会人の俺はやってみたい」など、「疲労度」に対する理解を示す人もいる。
 ゲームの新システムが発売前に紹介されると、とかくネット上でも大騒ぎするのがゲームファンの常。今年に入ってからも、『ドラゴンクエストVI 幻の大地』がニンテンドーDSで発売された際、「スライム種以外のモンスターを仲間にできない」システムが導入された時は「キラーマシン2のロビンを仲間にしたかったのに…」「それって誰得?」などと大変話題になった例がある。



世界の携帯電話市場、スマートフォン好調で予想以上に成長=IDC
 [ヘルシンキ 7日 ロイター] 調査会社IDCは、米アップルのiPhone(アイフォーン)4などの新しいスマートフォンに対する強い需要を受け、世界の携帯電話市場の成長率見通しを上方修正した。
 IDCは、2010年のスマートフォン販売台数の伸び率予想を、44%から55%に修正した。また、スマートフォン需要の拡大を受け、携帯電話市場全体の伸び率予想も12.6%から14.1%に修正した。
 IDCのアナリストは声明で「下半期に新製品の導入によるスマートフォンの爆発的な売れ行きが予想されることから、市場は予想をはるかに上回る成長を遂げるだろう」と述べた。
 IDCは、2011年の見通しも明るいとし、経済の先行き不透明感にもかかわらず、スマートフォン市場は24.5%成長するとの予想を示した。



ぐるなびがmixiチェックと連動、飲食店情報を共有可能に
 飲食店情報サイト「ぐるなび」は、ミクシィが開始した新サービス「mixiチェック」を通じて友だちと飲食店情報を共有できる機能を8日から提供する。
 「mixiチェック」は、ユーザーが興味・関心を持った情報を、友人・知人と共有できるコミュニケーションサービス。「ぐるなび」上の「mixiチェック」のボタンをクリックすると、マイミクシィ(友人・知人)のトップページに飲食店の基本情報やその飲食店に対する自分のコメントが掲載される。



業界最小のコネクタ 京セラエルコが開発 
 京セラ傘下で接続部品事業を手掛ける京セラエルコ(横浜市)は8日、携帯電話などの電子機器向けの接続用コネクタの新製品「5803シリーズ」を開発したと発表した。奥行きが2・4ミリと業界最小で、電子機器の小型化に貢献するという。
 2枚の基板同士を接続する際に使う基板対基板用コネクタで、回路を接続するピンの間隔を0・4ミリピッチとした。サンプル出荷を9日に始める。
 電子機器の小型化や多機能化による搭載部品数の増加に伴い、基板スペースを有効的に使える小型部品のニーズが増している。京セラエルコは「小型化の進展が見込まれる携帯電話などへの搭載を進める」としている。



エイベックスが株主限定ライブを中止
 エイベックス・グループ・ホールディングスは8日、上場以来続けてきた「株主限定ライブ」を来年以降、いったん取りやめると発表した。ライブは6月の定時株主総会終了後に行っていたが、出席株主数の増加などにより会場の確保が難しくなっていることにくわえ、ライブ出席の必要書類である議決権行使書がネットオークションなどで売買されるといった問題も発生しており、ライブの開催を取りやめることにした。
 エイベックスでは株主のライブ観覧に対するニーズが高いことから「株主優先予約制度」を含む株主サービスの拡充を引き続き検討していくとしている。
 ライブ付きの株主総会はこれまでに12回開かれている。今年も6月27日にさいたまスーパーアリーナ(さいたま市)で開催し、過去最高の1万1011人の株主が参加した。総会後には小室哲哉さんやTRFなど7組の所属アーティストのライブが約2時間にわたって行われた。



Google TV、来年世界へ Chrome OSタブレット計画も
 Googleは今秋米国で、来年に世界でWebをテレビ画面で利用できるサービスを立ち上げると、同社のエリック・シュミットCEOが明らかにした。同社はデスクトップからリビングルームへと勢力を拡大しようとしている。
 シュミット氏は、このサービスはテレビでインターネットをフルブラウジングでき、無料だと語った。Googleは番組制作者や家電メーカーと協力して、このサービスを消費者に提供するという。
 「コンテンツ企業と協力するが、当社が実際にコンテンツを制作することはないだろう」と同氏はベルリンの家電展示会IFAの基調講演で語った。
 ソニーは先週、自社のテレビにGoogle TVを搭載することで合意したと語り、Samsungも同サービスを検討していることを明らかにした。
 この発表の前には、ライバルのAppleが最新版の「Apple TV」を発表しており、消費者の関心を奪い合う戦いに拍車がかかるだろう。1800億ドルの世界テレビ広告市場をめぐる競争も激しくなるかもしれない。
 シュミット氏はまた、携帯電話で採用されているAndroidではなく、間もなくリリースのChrome OSを搭載するタブレットPCについて、年内にメーカーとの提携を発表することも明らかにした。
 Googleは、MicrosoftのInternet Explorer(IE)やMozillaのFirefoxに対抗するChromeブラウザを、MicrosoftのWindowsの代替となるChrome OSの中心に据える計画だ。
 同社は、中核事業であるネット事業の成長が鈍化し、スマートフォンやSNSなどの新たな技術が消費者のWeb利用を変える中で、新たな収益の機会を模索している。
 シュミット氏は、Google独自のSNSの計画についてコメントを控えた。音楽事業を拡大する計画はあると語ったが、詳細は明らかにしなかった。
 Reutersは先週、Googleが音楽ダウンロードストアと音楽ロッカーサービスを提供するためにレーベルと話し合っていると報じた。



指導者の頻繁な交代に目まい…NYタイムズ紙
 【ワシントン=小川聡】7日付米ニューヨーク・タイムズ紙は、日本の民主党代表選を前に、「メリーゴーラウンドのような日本の指導者の地位」と題する社説を掲載。
 「指導者の頻繁な交代は目まいがするほどで、ますます非生産的だ」と懸念を示した。
 社説は、「代表選で誰が勝とうとも、最優先の課題は経済だ」と指摘して追加の景気刺激策を求めた。
 また、小沢一郎前幹事長が沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で交渉を再開する意図を表明した点について、「非現実的な立場を考え直す必要がある」と指摘した。



【ウォールストリートジャーナル社説】民主党、代表選きっかけに政策の「アイデア」提示
 日本の民主党が再びよろめきながら、いわば「偶発的な政治革命」に向かって進んでいる。同党は昨年、半世紀にわたる政権の座から自由民主党を放逐し、日本を揺り動かした。今は、一生懸命に政策アイデアのコンテストをやっている。民主党代表選のおかげだ。
 これは、過去何十年間にもわたり政策よりも舞台裏の政治家の裏取引や人間関係、利権に左右されてきた日本の政治にとって、決して小さな一歩ではない。
 民主党の創設者、小沢一郎氏の代表(したがって首相)への立候補がこれを変えた。
 過去1週間の4つの主要イベントの中で、小沢氏は自分が菅直人氏よりも首相としてふさわしい理由の説明を余儀なくされた。
 これは、少なくとも理論的には、難しくない。菅氏は財政緊縮のマントをまとい、子ども手当など民主党のおはこであるばらまき計画拡大に反対している。同氏は消費税引き上げを支持し、さもなければ日本の財政赤字拡大に歯止めをかけて成長と投資を促進するビジョンを描けないと主張した。そんな同首相の下で、民主党は7月の参院選で過半数を失った。
 菅氏は、外交政策では沖縄の基地移転問題をめぐって、米国という日本の最も大切な同盟国との関係を改善したが、同盟強化のためのビジョンをうまく説明できなかった。台頭する中国と核武装する北朝鮮にどう対処するかをめぐってもあまり多くを話さなかった。
 これに対し小沢氏は、ダメージがあるかもしれないとはいえ、少なくとも自分の経済政策上の嗜好を明確にした。同氏は民主党がマニフェスト(政権公約)に固執するよう望み、20年間にわたるケインズ主義的な実験をもっと大々的に実施するよう求めている。同氏は福祉関連予算を増やし、地方自治体に対するインフラ整備事業向け資金について、アカウンタビリティー(説明責任)を果たさぬままに増額するという。同氏は農業補助金の改革の構えもちらつかせている。農業分野は政治圧力が強いだけに、進展は難しいかもしれないが。
 外交政策でも小沢氏は明確なビジョンを提示している。同氏は米軍基地移転交渉合意を順守すると述べると同時にそれに対する疑問も表明している。ただし、より広い米軍駐留問題については、日本における米軍の大きなプレゼンスの必要性を問題視し、北朝鮮やイランといった「ならず者国家」への対処では国連のような多国籍機関にもっと大きな権限を与えるべきだとしている。
 菅氏と小沢氏、いずれにも欠落しているのが、日本を経済的な不振から脱却させるための成長促進政策だ。日本は、菅氏が言うような緊縮だけのための財政緊縮を必要としているのではないし、小沢氏が言うような「適切に配分」されたインフラ投資を必要としているのでもない。
 日本が必要としているのは、ナオミ・フィンク氏が本紙の別欄で書いているように、国内でのアニマルスピリッツ(経済活動における動物精神=ケインズの言葉)である。菅氏の主張する法人税減税は、この国を、事業の展開しやすい国にするかもしれない。しかし、日本はもっと多くを必要としている。それは、より自由な移民、より自由な貿易、より慎ましい政府などだ。預金量で世界最大のゆうちょ銀行の民営化は、スタート地点としてふさわしい。しかし菅氏、小沢氏ともにこれに反対している。
 それでもなお、今回の党内論争は明るい兆しだ。政策上のアイデアには、筋のいいものどころか首尾一貫したものさえほとんどない。しかし少なくともそれが提示されつつある。これは重要なポイントだ。日本の民主政治は、長い間、成果を出せる政治家を探し求めながら、それを得られずにきたからだ。
 政策アイデアをめぐる論戦は、政治家と有権者の双方に対し、検討の材料を与える。それは日本の政治再編の結末ではないが、スタートではある。
携帯新放送事業者、NTTドコモ優勢に 電監審きょうにも答申
 2012年春にも始まる携帯端末向け新放送のインフラ事業者選定を巡り、電波監理審議会(総務相の諮問機関)が早ければ8日にも答申をまとめる見通しとなった。同事業者ではNTTドコモグループとKDDIグループが競ってきた。電監審が7日に開いた臨時の会合では、ドコモ陣営の事業計画を評価する声が優勢だったもようだ。
 新放送はテレビの地上アナログ放送が終了した後に空く周波数帯を使って始める。携帯端末向けに本格的な放送番組を流すほか、通信と融合した新しいサービスの提供も想定している。
 総務省は今回、基地局を整備するインフラ事業者を選定する。NTTドコモグループの「マルチメディア放送」と、KDDIグループの「メディアフロージャパン企画」の2社が名乗りを上げ、1枠を競ってきた。
 電監審のメンバーの間では端末の普及計画や料金設定の安さ、設備投資額などの観点からドコモ陣営の方が優れているといった意見が出ているもようだ。KDDI側は電波の届きやすさといった技術面の優位性を主張してきたが、技術面での差はつきにくいと判断したとみられる。
 原口一博総務相は8月中旬の決定を目指していたが、民主党などから選定過程などに異論が出て審査は難航。総務省が事業者をあらかじめ内定せず、選定そのものを電監審に委任する異例の対応で結論を先送りした。
 電監審は改めて事業者からの聴取や公開説明会を開き、選定に向けた作業を進めてきた。電監審が8日以降にまとめる答申を受け、総務省が最終的に認可を判断する。



外資系化粧品、日本でネット通販拡大 仏ロレアルが全ブランド
 化粧品世界最大手の仏ロレアルは、2011年中に店頭で扱う8ブランドすべてをインターネットの自社サイトで国内向けに販売する。国内勢に比べて店頭販売網が手薄であるため、ネット通販を百貨店などに次ぐ主力販路として育成。資生堂など国内大手に対抗する。
 ロレアルは現在、高級ブランド「ランコム」をネットで販売している。来春までに「イヴ・サンローラン」や「ヘレナルビンスタイン」など主に百貨店で展開する高級5ブランドを投入。来年末までにはドラッグストアなどで販売している低価格の「ロレアル パリ」と「メイベリン」を含め、店頭で販売するブランドすべてを自社の通販サイトにそろえる。
 店頭の全ブランドをネットで扱うのは大手メーカーでは初。ロレアルとしても他国に先駆けて日本で試みる。販売価格は百貨店などでの価格と同等に設定。通販売上高比率を3~5年後に10%にまで高めたい考え。
 世界2位の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)も8月、主力の「SK―2」でネット販売に参入した。SK―2をセブン&アイ・ホールディングスやイオンのオンラインショップなどで発売。ネット限定のスキンケア化粧品のセットなどをそろえる。
 カネボウ化粧品によると、国内化粧品市場に占める外資系メーカーのシェアは10~15%程度。国内勢に比べると、専門店の販売網などが弱く、主販路の百貨店も閉鎖や客数減少に直面していることからネット通販の強化に動く。カウンセリング販売する美容部員の人件費がかからないため、店頭に比べ営業利益率が高くなる利点もある。
 国内大手では資生堂やコーセーが子会社ブランドのネット販売に乗り出しているが、自社の主力ブランドは取り扱っていない。売上高の3割程度を占める専門店などに配慮しているためで、ネット通販の本格参入に消極的な姿勢が目立つ。
 だが国内化粧品市場は減少傾向である一方、通販市場は成長している。今後、消費者にとって通販の存在感がさらに高まれば、国内勢も戦略の見直しを迫られる可能性もある。



西武有楽町店跡にルミネ 11年秋にファッションビル
JR東、流通事業拡大へ
 今年12月末で閉鎖する百貨店、西武有楽町店(東京・千代田)の後継店舗として、東日本旅客鉄道(JR東日本)系の商業ビル運営会社、ルミネ(東京・渋谷)が有力になったことが7日明らかになった。JR東日本グループは新たな収益の柱として流通事業を強化している。日本最大の商業地である銀座・有楽町地区に拠点を設けて、事業拡大に弾みをつける。
 今年1月にセブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武が、商業ビル(通称・有楽町マリオン)の核テナントだった西武有楽町店(売り場面積約1万5000平方メートル)の閉鎖を決定、後継が注目されていた。
 後継店の入札にはイオンやヤマダ電機なども参加していたが、ルミネとビル所有者の朝日新聞社が最終調整に入る。正式に決まれば、ルミネは2011年秋に新店舗を開業する。衣料品や雑貨を中心としたファッションビルになるもようで、内外の有力ブランド店の誘致を急ぐ。
 ルミネはJR新宿駅などJR東の駅ビルに13施設を展開している。若い女性の集客力を持つ衣料品・雑貨などの専門店の発掘に定評があり、09年3月期まで10期連続の増収増益。ただ10年3月期は消費低迷の影響で減収となった。西武有楽町跡はJR駅と直結していない初の本格的な大型商業施設となり、今後は駅ビル以外の施設運営を本格展開する方針だ。



ソニー、スペインのテレビ工場売却 外部生産委託加速
 ソニーは7日、欧州向け液晶テレビを生産しているスペインのバルセロナ工場を同国の自動車部品メーカーなど2社に売却すると発表した。ソニーはすでにメキシコとスロバキアのテレビ工場を台湾企業に売却済み。生産の外部委託を加速することで赤字が続くテレビ事業をテコ入れする。
 バルセロナ工場を生産会社と設計・開発会社の2社に分割する。生産会社は自動車部品メーカー大手のフィコサ・インターナショナルに売却。設計・開発会社はフィコサと、鉄道などのインフラ設計を手掛けるコムサ・エムテに売却する。
 2010年12月末までに売却手続きを終える予定。ソニーは売却後2年間は新会社にテレビ生産を委託し、欧州での販売を続ける。約1100人の従業員の大半は両社が引き継ぐ。売却額は明らかにしていないが、売却に伴う損失は11年3月期の業績予想に織り込み済みとしている。
 ソニーのテレビ工場は日本と中国、マレーシア、ブラジルの4カ所となり、欧州の現地生産からは撤退する。昨年末からメキシコとスロバキアのテレビ工場を相次ぎ売却しており、今年度のテレビ生産の外部委託比率は50%以上になる見通し。



経団連会長、代表選に苦言「何たることか」
 【北京=山腰克也】日中経済協会代表団の最高顧問として訪中している米倉弘昌日本経団連会長は7日、北京で記者会見した。14日の民主党代表選について「日本の直面している様々な課題や、新成長戦略を閣議決定して実施しようという矢先に代表選というのは何たることか」と苦言を呈した。「日本の課題を解決するためにどういう政策をとればいいのか、2人の候補者、民主党の中でもっと真剣に議論すべきだ」と述べた。



サイバー、アジアで企業投資加速 ゲームなど年10社に
 インターネット広告大手のサイバーエージェントはアジアのネット企業への投資を加速する。台湾やベトナム、中国などのゲーム関連や交流サイト(SNS)運営の企業を中心に、年10社程度に投資する計画。出資先の香港やシンガポールでの上場を支援するほか、グループとしてアジア展開の足掛かりとする。2012年までに計60億円程度の出資を目指す。
 子会社のサイバーエージェント・インベストメント(CAI、東京・渋谷)を通じて出資する。このほど、ベトナムのオンラインゲーム・SNS運営最大手であるVNGコーポレーション(ホーチミン市)の発行済み株式の0.4%を取得した。取得額は明らかにしていない。VNGのベトナムでの会員数は500万人。中国やベトナムへの投資は同社で今年8社目になる。
 サイバーエージェントはSNS運営の世界最大手である米フェースブックのSNS内で、仮想空間やオンラインゲームなどを展開している。VNGとは互いのノウハウを共有して相乗効果を見込む。
 中長期的に国内のネット関連市場は伸び悩みが懸念される中、「アジア市場は高い成長を見込める」(CAI田島聡一社長)として積極投資する。



フィリップス、半導体から撤退 分離会社の全株売却へ
 【フランクフルト=下田英一郎】欧州総合電機大手のフィリップス(オランダ)は7日、2006年に分離した半導体メーカー、NXPセミコンダクターズの出資分17%をすべて売却すると発表した。売却先はフィリップス英国法人の年金基金。フィリップスは半導体事業から完全撤退する。フィリップスは2010年7~9月期に1億4千万ユーロ(約150億円)をNXP株の売却益として計上する。
 同年金基金は欠損を抱えているため、フィリップスは3億5千万ユーロを同基金に注入。この資金を元手に基金はNXP株を買い取る仕組みで、同基金の救済策といえる。



野村、スマートフォン向け投資情報サービス拡充
 野村証券は7日、株式や為替などの投資情報を無料提供するスマートフォン向けの専用サイトとiPhone向けのアプリケーションを17日から導入することを発表した。携帯端末からの投資情報を拡充することで、個人投資家の利便性を向上することが狙い。
 スマートフォン向けの専用サイトでは、株価検索や投資情報、アナリストのリポート閲覧などが、同社に口座がなくても利用できる。iPhone向けアプリでは、これまで口座保有者に限定していたセミナーの動画について、口座に有無にかかわらず視聴できる。
 また、外国為替保証金取引(FX)「野村ジョイ」のiPhone向けアプリでは、同社で提供している店頭FXの取引ができる。



ゲーム操作 新市場萌芽 家電・医療…応用へ開発競争
 イスラエルのIT(情報技術)ベンチャー企業「XTR」が、画面に触れずに身ぶり手ぶりでゲームソフトなどを操作する「モーションコントロール」の新技術を開発した。パソコンに接続する市販のウェブカメラで細かい動きをモニター画面に反映させられるのが特徴で、来年4~6月にもゲーム機などへの搭載を目指す。モーションコントロールは任天堂の家庭用ゲーム機「Wii(ウィー)」で知られるようになったが、今後は家電や医療機器など幅広い分野で利用が見込まれ、成長市場の取り込みを目指して技術開発の動きも加速している。
 ◆動きでコントロール
 XTRは、イスラエルのテルアビブで2005年に設立されたベンチャー。同社のモーションコントロール技術は、ウェブカメラで人間の動きを把握するソフトウエアが特徴。カメラで撮影した人間の動きを3D(3次元)技術で捕捉すると同時に、奥行きについても分析し、利用者の動きを正確に把握して画面上に反映させる仕組みだ。
 これらの処理をソフトで行うため、専用のコントローラーやカメラも不要で、精度も1ミリ単位の誤差しかないという。ソフトを電子機器にダウンロードするだけでモーションコントロールを利用できるのも売りだ。
 XTRのドー・ギボン最高経営責任者(CEO)は「専用の機器を使わないのでコストがかからない。他の技術と比べた際の優位性は明らかだ」と強調。XTRではゲーム機器のほか、テレビなど家電メーカーにもソフト搭載を働きかけている。
 モーションコントロールは、任天堂が06年に発売したWiiに搭載されたことで認知度を得た。ゲーム機の常識だったボタン操作ではなく、身体の動きで操作する新しさが高齢者や女性らにも訴求し、全世界で約7400万台(6月末時点)を販売するヒット商品となった。
 ◆専用の機器不要
 他のゲーム機メーカーも追随している。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、モーションコントローラー「Move(ムーブ)」を今月15日に欧州で発売する。先端部が光を発する手持ち型のコントローラーと、その動きを読み取る専用カメラなどで構成。カメラがコントローラーの放つ光を感知して利用者の動きを正確に把握することで、Wiiよりも正確性を高めたという。米マイクロソフトも、コントローラーを使わずに身ぶりや声でゲームを操作する「Kinect(キネクト)」を北米で11月4日に発売する。専用カメラとセンサーを組み合わせ、利用者の動きだけでなく声も検知して画面内の登場人物の動きなどに反映させる。専用のコントローラーは不要だ。
 ゲーム機以外でも応用が始まった。日立ソフトウェアエンジニアリングは島根県産業技術センター(松江市)と共同で、同技術を使って水族館で来場者に飼育員の仕事を疑似体験してもらうなどのサービスを開発し、今月から本格展開する。日立ソフトでは「産業や医療などでも使用が見込める」(幹部)として、用途を開発中だ。半導体大手のルネサスエレクトロニクスも、テレビに市販のウェブカメラを装着して手ぶりなどで操作する技術を開発した。XTRのギボンCEOはモーションコントロールについて「自然な操作感はわれわれを取り巻く多くの機器に広がっていく」と期待する。野村総合研究所の中林優介コンサルタントは「ゲーム以外ではまだ未知の分野だが、操作の正確性などが向上すればセキュリティー機器を遠隔操作するなど産業分野でも利用が広がる可能性はある」と指摘する。
 米アップルの多機能情報端末「iPad(アイパッド)」がタッチパネルによって情報機器への入力方法を変えたように、モーションコントロールが電子機器を大きく変化させる可能性もありそうだ。



日経社説
優先度問われる日本版GPS
 カーナビなど電子地図に不可欠な全地球測位システム(GPS)を巡り、国際的な競争と連携の構図が変わりつつある。欧州版GPS計画「ガリレオ」を進める欧州連合(EU)が米国との連携を探る一方、日本は独自の測位衛星を打ち上げる。GPSは生活に重要な技術だけに、どうすれば利便性が高まるか、政府も具体的戦略を持つ必要がある。
 GPSは航空機などを安全に誘導する目的で米国が軍事用に開発した衛星技術だ。インターネットと同様に冷戦の終結によって商用化が認められ、カーナビなどへの利用が広まった。最近は携帯情報端末にもGPS機能が搭載され、地図情報サービスなどに使われている。
 GPS開発の国際競争が加速した背景には、米国の軍事技術に依存し続けたくないという判断があった。EUのガリレオは2014年から運用を始める予定。ロシアは「グロナス」というシステムを持つ。中国は「コンパス」と呼ぶ計画を進めており、インドも技術を開発中だ。韓国はガリレオに参画している。
 ところがガリレオで米国に対抗するEUが最近、米国との協調路線に転じた。打ち上げなどに多額の費用がかかるのが一因だ。米国のGPSと一体運用できるようにすれば、情報の精度が高まり、ガリレオの商用化が進むという判断もある。
 日本は独自衛星の投入を考えたが米国に反対され、ガリレオへの参画も見送っている。今週打ち上げ予定の測位衛星「みちびき」は日本としての技術検証が狙いだが、打ち上げなどに735億円かかる。GPSとして利用するには何基も必要だが、その見通しが立っていない状況だ。
 問題は米欧が協調に転じた結果、これまで無償で利用できた米国のGPSが有料化される懸念が出てきたことだ。10月にGPS関連の国際会議が開かれるが、日本が独自路線に固執すれば、国際的な衛星の運用で不利な立場に立たされかねない。
 日本はGPS利用で世界の先頭を走ってきた。宇宙基本計画は宇宙開発全体の予算を5年で2.5兆円としたが、限られた財源の中で効果を上げるには海外との連携も必要だ。基盤整備よりも利用技術の開発と実用化で世界をリードすべきだろう。
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