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データ通信サービスで見えてくる各社のネットワーク事情(COLUMN)
2月3日、UQコミュニケーションズはモバイルWiMAX(IEEE802.16e)を採用したブロードバンド通信サービス「UQ WiMAX」を発表し、いよいよ2月26日からサービスが開始された。イー・モバイルのモバイルデータ通信サービスをはじめ、NTTドコモやauによるデータ通信サービスの定額制導入、ウィルコムによる次世代PHSのWILLCOM CORE、昨年来のネットブックの人気など、モバイルデータ通信サービスを取り巻く環境がにわかに活気づいている。今回はパケット通信料の定額制を巡る動きから見えてくる各社のネットワーク事情について、考えてみよう。
■ なぜパケット通信が定額になるのか?
読者のみなさんは月にどれくらいのパケット通信料を支払っているだろうか? 基本使用料+α程度? パケット通信料定額サービスの上限である約4000円強? フルブラウザを利用するから約6000円? あるいはそれ以上?
少し古い話になるが、ケータイでパケット通信が身近になったのは、つい先日(2月22日)、ちょうど10周年を迎えたNTTドコモのiモードが開始された頃だ。それまでのデータ通信は主に回線交換による接続で、接続時間による従量制課金が採用されていたが、iモードでは当時はまだなじみの薄かったパケット通信を採用し、転送したデータ量による従量制課金を採用した。NTTドコモの携帯電話サービスがPDC方式のムーバだったため、1パケットあたり0.3円が課金されていた。その後、2001年に開始されたFOMAでは、周波数利用効率が向上したこともあり、1パケットあたりの単価は0.2円からの課金となり、パケットパックを組み合わせることで、月額8000円の固定料金で、1パケットあたり0.02円を実現した。しかし、それでもパケット通信の従量制という課金はなかなか理解されず、ユーザーが思っていた以上にパケット通信料が請求され、「パケ死」という言葉も生まれた。
こうした状況を大きく変えることになったのは、2003年11月にauがサービスを開始した「CDMA 1X WIN」だ。CDMA2000 1xEV-DO方式を採用した同サービスは、ケータイとしては初めてパケット通信料を月額4200円(税別)定額で利用できる「EZフラット」を提供し、話題を集めた。
■ 段階制定額から見えるネットワーク事情
auに遅れること約半年、NTTドコモのFOMA向けに対抗サービスとして、パケット通信料定額サービス「パケ・ホーダイ」を2004年6月からスタートさせたが、当初は料金プランを月額6700円(税別)の「プラン67」以上を契約したユーザーのみに対象を絞る形を取った。実は、これもその後の同社の動向を占ううえで、NTTドコモのネットワーク事情が見え隠れする動きの一つだった。
というのも、パケ・ホーダイのサービス開始から約2カ月後の2004年8月、auはEZフラットをベースに、二段階のパケット通信料定額サービス「ダブル定額」をスタートさせた。このダブル定額は各社が提供する段階制定額サービスの先駆けとなったが、NTTドコモは昨年10月の「パケ・ホーダイ ダブル」の提供まで、約4年近く段階制定額サービスを提供しなかった。というより、提供できなかったのだろう。
実は、NTTドコモは世界初の第三世代携帯電話サービス「FOMA」を開始するにあたり、高品質な通話サービスや通信サービスを提供するため、バックボーンも含め、非常に品質の良いネットワークを構築したと言われている。日本の電話サービスを支えてきたNTTグループの伝統を受け継いだ高品質なネットワークということなのだろう。しかし、高品質なネットワークによって、安定した通話や通信を実現できた半面、当然のことながら、ネットワークコストは総じて高くなってしまった。その結果、簡単にはパケット通信料定額サービスを提供することができず、当初はARPUの高いユーザーのみに提供する形を取らざるを得なかったわけだ。
ここで見え隠れする2社のネットワークコストは、フルブラウザ時代の動向にも反映されている。auは携帯電話初のフルブラウザとなる「PCサイトビューアー」を搭載した「W21CA」(カシオ計算機)を2004年12月に発売したが、当初はPCサイトビューアーによる通信を定額制の対象外としていた。
しかし、発売から半年後、PCサイトビューアーのトラフィックがある程度、見えてくると、2005年5月からはPCサイトビューアーでの利用についてもダブル定額やダブル定額ライト、パケ割ミドル、パケ割スーパーを契約していれば、パケット通信料の上限額を5985円とする施策に切り替えた。現在でも各社が標準的に採用しているが、いわゆるフルブラウザを含めた「三段階」化を実現したわけだ。
これに対し、NTTドコモは2005年6月に発売した「N901iS」(NEC)で初めてフルブラウザを搭載した。当時の発表会では「将来的にフルブラウザの定額化はあり得るかもしれない」としながら、実現は2007年3月開始の「パケ・ホーダイフル」を待たなければならなかった。しかも「パケ・ホーダイフル」は月額5985円の固定料金で、「パケ・ホーダイ」とは別のパケット通信料定額サービスとして、提供された。つまり、パケ・ホーダイフルを選んだ場合、フルブラウザを使わず、iモードブラウザしか使わなくても毎月、5985円が請求されたわけだ。
これは筆者の推測でしかないが、ユーザーからのフルブラウザに対するニーズは高かったものの、FOMAの高品質なネットワークが高コストであったため、なかなか採算の取れるプランが作り出すことができず、auや当時のボーダフォン(現ソフトバンクモバイル)との対抗策上、営業的な判断として、iモード用とフルブラウザ用の二本立ての定額サービスを作らざるをえなかったのではないだろうか。
ちなみに、NTTドコモは2007年からパソコンを利用してのモバイルデータ通信サービスを定額で利用できる「定額データプラン」、昨年9月からは2年間の契約を約束することで月額利用料金を上限を抑えられる「定額データ割」を提供している。
前述の流れから考えると、FOMAの高品質なネットワークでは通信コストが高くなるため、パソコンを接続しての定額サービスの提供は難しいはずだが、2007年春に開業したイー・モバイルの対抗上、定額サービスが必要になったこともあり、提供に踏み切ったようだ。しかし、闇雲に定額サービスの提供に踏み切ったわけではなく、2007年春頃にはある程度、コストダウンができたネットワークへの切り替えもできていたようで、前述のように、端末で利用するフルブラウザ対応のパケット通信料定額サービスの「パケ・ホーダイフル」は2007年3月から提供が開始されている。
また、モバイルデータ通信サービスについては、auも2007年末からデータ通信用端末「W05K」を発売し、専用料金プラン「WINシングル定額」とともに提供を開始している。auのモバイルデータ通信サービスは通信プロトコルやアプリケーションによる制限こそないものの、端末のW05Kにはあらかじめトラフィック制御機能が搭載されており、周囲の回線が混雑している環境下では自動的に通信速度が制限されるしくみとなっている。
この機能は2008年冬モデルのW63CA、W63H、W64SHに受け継がれ、これらの機種では「ダブル定額ライト」「ダブル定額」「パケット割WINミドル」「パケット割WINスーパー」の契約者を対象に、パソコンと接続してのモバイルデータ通信を1万3650円の上限額で利用できるサービスを提供している。2009年春モデルでもPremier3、CA001、H001、S001、P001、SH001、T001の7機種が同サービスの対応機種に挙げられているが、やはり、同様にトラフィック制御機能が搭載されていることになる。
ソフトバンクについては、NTTドコモやauと違い、今のところ、パソコンを接続しての定額制モバイルデータ通信サービスを提供していない。他社の例を見てもわかるように、モバイルデータ通信サービスは当然のことながら、ネットワークへの負荷は大きい。iPhone 3Gという端末ですら、何とかトラフィックを抑えようとしているソフトバンクにとって、定額制モバイルデータ通信サービスはかなり無理のある取り組みとなる。だからこそ、同社はイー・モバイルとの提携に踏み切り、MNO(移動体通信事業者)によるMVNO(仮想移動体通信事業者)参入をアナウンスしたわけだ。ここにもソフトバンクの苦しいネットワーク事情が浮かび上がってくる。
さて、これら3社に対し、同じ携帯電話サービスを提供するイー・モバイルはどうだろうか。同社も他社同様、パケット通信料の段階定額制を採用しているが、他社と違い、音声端末でもデータ通信端末でも同じように定額で利用できることをアピールしている。アプリケーションによる制限もなく、ある程度、自由に利用することができる。これはイー・モバイルが新規参入事業者であるため、ネットワークの構築がもっとも新しく、設備も新しいことが関係している。同時に、契約数も順調に増えてきているものの、2009年1月末現在で119万であり、5000万を超えるNTTドコモ、3000万を超えるau、2000万を超えるソフトバンクに比べれば、ネットワークへの負荷もそれほど深刻ではないことがうかがえる。
ただ、イー・モバイルは他社に比べ、割り当てられている周波数帯域も少ないため、スーパーヘビーユーザーの利用が顕著になってきてしまうと、何らかの制限を加えることになるかもしれない。あるいは、500万、1000万契約を達成した時代に、今と同じ品質を維持できるかどうかは未知数だ。昨年来、家電量販店の店頭ではネットブックと同社のデータ通信アダプタを組み合わせて販売する「100円PC」が人気を集めているが、これを契約したユーザーがライトユーザーであれば、ネットワーク的な問題は起きなさそうだが、なかには自宅に固定のブロードバンド回線を持たず、自宅もモバイル環境もイー・モバイルの回線のみでインターネットを利用するユーザーが現われてきており、『明日のスーパーヘビーユーザー予備軍』が着実に増えつつあるという見方もできる。ユーザーの動向も含め、今後が気になるところだ。
■ 効率的なネットワークを巡る各社の攻防
ここまで説明してきたように、現在、各携帯電話事業者のネットワークは、ユーザーの利用が急速に拡大したことにより、各社は今まで以上にネットワークを効率良く構築し、運用することを考えている。しかし、現世代のサービスについては徐々にその飽和点が近づいており、現状のサービスをうまく活かしながら、次なる世代への模索が始まろうとしている。携帯電話サービスで言えば、LTEがその本命であり、国内ではウィルコムによる次世代PHSということになる。
そして、2月26日、UQコミュニケーションズによる国内初のWiMAXサービスである「UQ WiMAX」がいよいよ開始された。UQ WiMAXは携帯電話サービスというより、インターネットに接続するための『モバイルネットワークサービス』という位置付けになるが、今後のモバイル環境では一つの台風の目になることが予想される。
単純に端末や料金プランだけを比較すると、機能の搭載/非搭載、料金の高い/安いなど、直接的に見える部分ばかりに目が向いてしまう。よく「木を見て森を見ず」というが、実は各社のプランや対策の全体を見渡してみると、各社のネットワーク事情や問題点が少しずつ見え隠れしてくる。同時に、パケット通信については、「パケ代は定額だから、好きなだけ使いまくればいい」という考えもユーザーの間に生まれつつある。市場原理に基づけば、確かにそれもひとつの考え方なのだが、かつてのインターネットがそうであったように、そろそろ携帯電話やモバイルデータ通信サービスは「共有して利用している」ということを意識しなければならない時期を迎えているのかもしれない。
2月3日、UQコミュニケーションズはモバイルWiMAX(IEEE802.16e)を採用したブロードバンド通信サービス「UQ WiMAX」を発表し、いよいよ2月26日からサービスが開始された。イー・モバイルのモバイルデータ通信サービスをはじめ、NTTドコモやauによるデータ通信サービスの定額制導入、ウィルコムによる次世代PHSのWILLCOM CORE、昨年来のネットブックの人気など、モバイルデータ通信サービスを取り巻く環境がにわかに活気づいている。今回はパケット通信料の定額制を巡る動きから見えてくる各社のネットワーク事情について、考えてみよう。
■ なぜパケット通信が定額になるのか?
読者のみなさんは月にどれくらいのパケット通信料を支払っているだろうか? 基本使用料+α程度? パケット通信料定額サービスの上限である約4000円強? フルブラウザを利用するから約6000円? あるいはそれ以上?
少し古い話になるが、ケータイでパケット通信が身近になったのは、つい先日(2月22日)、ちょうど10周年を迎えたNTTドコモのiモードが開始された頃だ。それまでのデータ通信は主に回線交換による接続で、接続時間による従量制課金が採用されていたが、iモードでは当時はまだなじみの薄かったパケット通信を採用し、転送したデータ量による従量制課金を採用した。NTTドコモの携帯電話サービスがPDC方式のムーバだったため、1パケットあたり0.3円が課金されていた。その後、2001年に開始されたFOMAでは、周波数利用効率が向上したこともあり、1パケットあたりの単価は0.2円からの課金となり、パケットパックを組み合わせることで、月額8000円の固定料金で、1パケットあたり0.02円を実現した。しかし、それでもパケット通信の従量制という課金はなかなか理解されず、ユーザーが思っていた以上にパケット通信料が請求され、「パケ死」という言葉も生まれた。
こうした状況を大きく変えることになったのは、2003年11月にauがサービスを開始した「CDMA 1X WIN」だ。CDMA2000 1xEV-DO方式を採用した同サービスは、ケータイとしては初めてパケット通信料を月額4200円(税別)定額で利用できる「EZフラット」を提供し、話題を集めた。
■ 段階制定額から見えるネットワーク事情
auに遅れること約半年、NTTドコモのFOMA向けに対抗サービスとして、パケット通信料定額サービス「パケ・ホーダイ」を2004年6月からスタートさせたが、当初は料金プランを月額6700円(税別)の「プラン67」以上を契約したユーザーのみに対象を絞る形を取った。実は、これもその後の同社の動向を占ううえで、NTTドコモのネットワーク事情が見え隠れする動きの一つだった。
というのも、パケ・ホーダイのサービス開始から約2カ月後の2004年8月、auはEZフラットをベースに、二段階のパケット通信料定額サービス「ダブル定額」をスタートさせた。このダブル定額は各社が提供する段階制定額サービスの先駆けとなったが、NTTドコモは昨年10月の「パケ・ホーダイ ダブル」の提供まで、約4年近く段階制定額サービスを提供しなかった。というより、提供できなかったのだろう。
実は、NTTドコモは世界初の第三世代携帯電話サービス「FOMA」を開始するにあたり、高品質な通話サービスや通信サービスを提供するため、バックボーンも含め、非常に品質の良いネットワークを構築したと言われている。日本の電話サービスを支えてきたNTTグループの伝統を受け継いだ高品質なネットワークということなのだろう。しかし、高品質なネットワークによって、安定した通話や通信を実現できた半面、当然のことながら、ネットワークコストは総じて高くなってしまった。その結果、簡単にはパケット通信料定額サービスを提供することができず、当初はARPUの高いユーザーのみに提供する形を取らざるを得なかったわけだ。
ここで見え隠れする2社のネットワークコストは、フルブラウザ時代の動向にも反映されている。auは携帯電話初のフルブラウザとなる「PCサイトビューアー」を搭載した「W21CA」(カシオ計算機)を2004年12月に発売したが、当初はPCサイトビューアーによる通信を定額制の対象外としていた。
しかし、発売から半年後、PCサイトビューアーのトラフィックがある程度、見えてくると、2005年5月からはPCサイトビューアーでの利用についてもダブル定額やダブル定額ライト、パケ割ミドル、パケ割スーパーを契約していれば、パケット通信料の上限額を5985円とする施策に切り替えた。現在でも各社が標準的に採用しているが、いわゆるフルブラウザを含めた「三段階」化を実現したわけだ。
これに対し、NTTドコモは2005年6月に発売した「N901iS」(NEC)で初めてフルブラウザを搭載した。当時の発表会では「将来的にフルブラウザの定額化はあり得るかもしれない」としながら、実現は2007年3月開始の「パケ・ホーダイフル」を待たなければならなかった。しかも「パケ・ホーダイフル」は月額5985円の固定料金で、「パケ・ホーダイ」とは別のパケット通信料定額サービスとして、提供された。つまり、パケ・ホーダイフルを選んだ場合、フルブラウザを使わず、iモードブラウザしか使わなくても毎月、5985円が請求されたわけだ。
これは筆者の推測でしかないが、ユーザーからのフルブラウザに対するニーズは高かったものの、FOMAの高品質なネットワークが高コストであったため、なかなか採算の取れるプランが作り出すことができず、auや当時のボーダフォン(現ソフトバンクモバイル)との対抗策上、営業的な判断として、iモード用とフルブラウザ用の二本立ての定額サービスを作らざるをえなかったのではないだろうか。
ちなみに、NTTドコモは2007年からパソコンを利用してのモバイルデータ通信サービスを定額で利用できる「定額データプラン」、昨年9月からは2年間の契約を約束することで月額利用料金を上限を抑えられる「定額データ割」を提供している。
前述の流れから考えると、FOMAの高品質なネットワークでは通信コストが高くなるため、パソコンを接続しての定額サービスの提供は難しいはずだが、2007年春に開業したイー・モバイルの対抗上、定額サービスが必要になったこともあり、提供に踏み切ったようだ。しかし、闇雲に定額サービスの提供に踏み切ったわけではなく、2007年春頃にはある程度、コストダウンができたネットワークへの切り替えもできていたようで、前述のように、端末で利用するフルブラウザ対応のパケット通信料定額サービスの「パケ・ホーダイフル」は2007年3月から提供が開始されている。
また、モバイルデータ通信サービスについては、auも2007年末からデータ通信用端末「W05K」を発売し、専用料金プラン「WINシングル定額」とともに提供を開始している。auのモバイルデータ通信サービスは通信プロトコルやアプリケーションによる制限こそないものの、端末のW05Kにはあらかじめトラフィック制御機能が搭載されており、周囲の回線が混雑している環境下では自動的に通信速度が制限されるしくみとなっている。
この機能は2008年冬モデルのW63CA、W63H、W64SHに受け継がれ、これらの機種では「ダブル定額ライト」「ダブル定額」「パケット割WINミドル」「パケット割WINスーパー」の契約者を対象に、パソコンと接続してのモバイルデータ通信を1万3650円の上限額で利用できるサービスを提供している。2009年春モデルでもPremier3、CA001、H001、S001、P001、SH001、T001の7機種が同サービスの対応機種に挙げられているが、やはり、同様にトラフィック制御機能が搭載されていることになる。
ソフトバンクについては、NTTドコモやauと違い、今のところ、パソコンを接続しての定額制モバイルデータ通信サービスを提供していない。他社の例を見てもわかるように、モバイルデータ通信サービスは当然のことながら、ネットワークへの負荷は大きい。iPhone 3Gという端末ですら、何とかトラフィックを抑えようとしているソフトバンクにとって、定額制モバイルデータ通信サービスはかなり無理のある取り組みとなる。だからこそ、同社はイー・モバイルとの提携に踏み切り、MNO(移動体通信事業者)によるMVNO(仮想移動体通信事業者)参入をアナウンスしたわけだ。ここにもソフトバンクの苦しいネットワーク事情が浮かび上がってくる。
さて、これら3社に対し、同じ携帯電話サービスを提供するイー・モバイルはどうだろうか。同社も他社同様、パケット通信料の段階定額制を採用しているが、他社と違い、音声端末でもデータ通信端末でも同じように定額で利用できることをアピールしている。アプリケーションによる制限もなく、ある程度、自由に利用することができる。これはイー・モバイルが新規参入事業者であるため、ネットワークの構築がもっとも新しく、設備も新しいことが関係している。同時に、契約数も順調に増えてきているものの、2009年1月末現在で119万であり、5000万を超えるNTTドコモ、3000万を超えるau、2000万を超えるソフトバンクに比べれば、ネットワークへの負荷もそれほど深刻ではないことがうかがえる。
ただ、イー・モバイルは他社に比べ、割り当てられている周波数帯域も少ないため、スーパーヘビーユーザーの利用が顕著になってきてしまうと、何らかの制限を加えることになるかもしれない。あるいは、500万、1000万契約を達成した時代に、今と同じ品質を維持できるかどうかは未知数だ。昨年来、家電量販店の店頭ではネットブックと同社のデータ通信アダプタを組み合わせて販売する「100円PC」が人気を集めているが、これを契約したユーザーがライトユーザーであれば、ネットワーク的な問題は起きなさそうだが、なかには自宅に固定のブロードバンド回線を持たず、自宅もモバイル環境もイー・モバイルの回線のみでインターネットを利用するユーザーが現われてきており、『明日のスーパーヘビーユーザー予備軍』が着実に増えつつあるという見方もできる。ユーザーの動向も含め、今後が気になるところだ。
■ 効率的なネットワークを巡る各社の攻防
ここまで説明してきたように、現在、各携帯電話事業者のネットワークは、ユーザーの利用が急速に拡大したことにより、各社は今まで以上にネットワークを効率良く構築し、運用することを考えている。しかし、現世代のサービスについては徐々にその飽和点が近づいており、現状のサービスをうまく活かしながら、次なる世代への模索が始まろうとしている。携帯電話サービスで言えば、LTEがその本命であり、国内ではウィルコムによる次世代PHSということになる。
そして、2月26日、UQコミュニケーションズによる国内初のWiMAXサービスである「UQ WiMAX」がいよいよ開始された。UQ WiMAXは携帯電話サービスというより、インターネットに接続するための『モバイルネットワークサービス』という位置付けになるが、今後のモバイル環境では一つの台風の目になることが予想される。
単純に端末や料金プランだけを比較すると、機能の搭載/非搭載、料金の高い/安いなど、直接的に見える部分ばかりに目が向いてしまう。よく「木を見て森を見ず」というが、実は各社のプランや対策の全体を見渡してみると、各社のネットワーク事情や問題点が少しずつ見え隠れしてくる。同時に、パケット通信については、「パケ代は定額だから、好きなだけ使いまくればいい」という考えもユーザーの間に生まれつつある。市場原理に基づけば、確かにそれもひとつの考え方なのだが、かつてのインターネットがそうであったように、そろそろ携帯電話やモバイルデータ通信サービスは「共有して利用している」ということを意識しなければならない時期を迎えているのかもしれない。
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日経社説 麻生首相は逃げずに民意の審判受けよ(2/28)
2009年度予算案と関連法案が衆院を通過した。予算案は参院送付後30日たてば採決がなくても自然成立するので、年度内に成立することが確定した。民主党など野党側は関連法案についてもいたずらな審議引き延ばしをせずに、早期成立に協力してもらいたい。
2008年度第二次補正予算に盛り込まれた定額給付金などの財源特例法案は来週、成立する見通しだ。麻生太郎首相は08年度の第一次、第二次補正予算と09年度予算案を景気対策の三段ロケットと称してきたが、ひとまず道筋はついた。
予算と関連法案が成立した後に、首相は逃げることなく、速やかに衆院を解散して有権者の審判を仰ぐよう重ねて求めたい。
通常は予算の年度内成立が確定すると、政権は一息つくことができる。しかし麻生政権を取り巻く状況は極めて厳しい。本紙の直近の世論調査で内閣支持率は15%、不支持率は80%という結果になり、政権維持に赤信号がともっている。
衆院選の審判を経ないまま安倍、福田両内閣がともに1年で政権を投げ出したことが、現在の政治の混迷の大きな原因になっている。昨年9月に就任した首相は郵政民営化などを巡る発言のぶれや、中川昭一前財務・金融担当相の辞任問題などで支持率低下を招いた。
有権者の閉塞(へいそく)感は募る一方だ。選挙で選ばれていない首相がこのままずるずると政権運営を続けるのは限界に近い。
各種経済指標は日本の景気の一段の冷え込みを如実に示しており、追加の経済対策の策定が最重要の政策課題となる。民意の支持を得た政権でなければ、大胆な対策をまとめて、迅速に実行するのは困難だ。
外交面では4月の金融サミット、5月のプーチン・ロシア首相来日、7月の主要国首脳会議(サミット)などの日程が目白押しである。首脳外交の重要性は論をまたないが、国内に安定した政治基盤がなければ十分な成果は望めない。首脳同士の個人的な信頼関係も深まらない。
衆院議員の任期切れが9月に迫り、自民党内では首相の退陣を求める声が公然と出始めた。誰の下で選挙を戦うのかが定まらず、マニフェスト(政権公約)づくりは停滞している。この難局に羅針盤を示せず、延命にきゅうきゅうとしているかのような麻生政権の姿は遺憾である。
首相が衆院選に向けた態勢をつくれなければ、来年度予算の衆院通過は自民党内の「麻生降ろし」の本番を告げる号砲となるに違いない。
商品価格、下げ幅最大 企業間取引、日経42種2月末22%低下
主要商品の企業間取引価格を指数化した日経商品指数42種(1970年=100)の低下幅が過去最大だった円高不況時に並んだ。2月末値は139.699と前年同月末比22.7%下がり、マイナス幅は23年ぶりの大きさ。1年前と比べた円高・ドル安も下押し要因となった。国内の商品価格急落は景気後退の深刻さを示しているが、自動車や家電など最終製品メーカーのコスト低減につながる側面もある。
前年比騰落率は2002年8月からプラスが続いたが、08年10月にマイナスに転じた。その後マイナス幅は月を追うごとに拡大し、2月は86年7月(22.7%)に並んだ。42種が200を超えた08年7月に比べると3割強下がった計算になる。
中国、産業構造の高度化急ぐ 10業種の振興策出そろう
【北京=高橋哲史】中国政府が景気対策の一環で策定を進めてきた自動車や鉄鋼など主要10産業の振興策が27日、出そろった。同日記者会見した国家発展改革委員会の劉鉄男副主任は、振興策について「産業の安定的な発展を確保し、産業構造の高度化を総合的に進めていくため」と説明し、産業保護が目的でないことを強調した。
主要産業の振興策は温家宝首相が1月半ば、3月5日に開幕する全国人民代表大会(国会に相当)の前に策定することを表明。国務院(政府)が1カ月半の間に自動車、鉄鋼、船舶、石油化学、繊維、軽工業、有色金属、装備機械、電気通信、物流について取りまとめ、順次発表した。
NTT東西、「光」純増数横ばい 中期目標達成難しく
NTT東西地域会社は27日、光ファイバーによる通信回線サービス「フレッツ光」の両社合計の2009年度の契約純増数を08年度実績見込みと同じ250万件とする計画を発表した。10年度末に契約数を2000万件とする中期目標の達成は難しくなった。NTT東西は今後、映像配信など光回線を使ったサービスを収益の柱にする方針だが、インフラとなる回線網の整備の遅れで、戦略を練り直す必要もありそうだ。
両社合わせた純増数はピークだった07年度に比べ約7%低い水準となり、09年度末の契約数は1377万件にとどまる計算だ。NTT東の江部努社長は10年度末までにフレッツ光の契約数を2000万件とする中期経営戦略の達成について「かなり難しいという認識を持っている」と述べ、09年3月期決算発表に合わせて修正する見通しを明らかにした。
光回線に接続できる家庭用機器、NTT東西がシリーズ展開
NTT東日本とNTT西日本は27日、光ブロードバンド(高速大容量)サービスの「フレッツ光」に接続できる通信機能付きの家庭用機器を「光LINK(リンク)」としてシリーズ展開を始めると発表した。第1弾として、電子メールを本体で受信して添付の画像を自動表示できるデジタルフォトフレームを3月2日に発売する。シリーズの機器は今後拡大する。
デジタルフォトフレーム「SPF―86V」は無線LAN(構内情報通信網)を通じて光回線に接続でき、本体に設定したメールアドレスに静止画を送ると自動表示する。
独オペル、GMから分離目指す 経営計画を発表
【フランクフルト=後藤未知夫】米ゼネラル・モーターズ(GM)子会社の独オペルは27日、経営危機に陥ったGMからの分離を目指す経営計画を発表した。余剰生産能力を減らすため人員を削減し、工場集約も検討する。独政府などの信用保証や融資支援で約33億ユーロ(約4100億円)の公的支援が必要とした。それとは別に、GMによる30億ユーロの支援と約10億ユーロのリストラ効果を加味し、2011年の業績改善を見込む。
不正ソフト用機器マジコン販売禁じる ニンテンドーDS訴訟
違法に複製されたゲームソフトが任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」で使えるようにできる機器を販売されて損害を受けたとして、同社とゲームソフトメーカー54社が機器を扱う5社を相手取り、不正競争防止法に基づく輸入・販売の差し止めを求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。市川正巳裁判長(大竹優子裁判長代読)は請求を認め、機器を扱う5社に輸入・販売の禁止と在庫の廃棄を命じた。
訴えられていたのは、東京の4社と横浜の1社。機器は中国からの輸入製品で「マジコン」と呼ばれている。マジコンを使うことで、DSの複製ソフトプロテクト(防護)を解除し、違法複製されたソフトが使えるようになる。
市川裁判長は不正競争防止法が、無断複製などを防止する手段を無効にするマジコンのような機器の販売を規制していると指摘。その上で、違法複製ソフトのプログラムがインターネット上にアップされており、誰でも容易に入手できることなどから、「被告が販売した機器により、原告側のソフトの販売が邪魔され、営業上の利益を侵害された。原告側の訴えには理由がある」と結論付けた。
被告側は「違法ソフトだけではなく、自主制作ソフトも使えるようにする装置で、不正競争防止法の適用対象外」と反論していた。
医療制度改革後退 レセプト請求の完全オンライン化先送り
政府・与党は27日、具体的な治療内容や投薬名、診療報酬点数が書かれたレセプト(診療報酬明細書)請求について、完全オンライン化する時期を平成23年度から、さらに先送りする方針を固めた。先送り期間については、5年にする案が浮上している。衆院選を控え、日本医師会などの反対論に配慮した。来月にも閣議決定される規制改革推進3カ年計画の改訂版に反映させたい考えだ。
オンライン請求の義務化は、小泉政権が医療費抑制策の一環として策定した医療制度改革大綱で決定された経緯がある。それだけに義務化時期の先送り方針は医療費抑制路線からの転換といえ、与党内には改革後退との指摘もある。
オバマ大統領、イラク米軍撤収計画を発表
【ワシントン=弟子丸幸子】オバマ米大統領は27日昼(日本時間28日未明)、米ノースカロライナ州の米海兵隊基地キャンプ・レジューンで演説し、イラク撤収計画について発表した。大統領は「2010年8月31日までに、我々のイラクでの戦闘任務は終了する」と宣言。その間に「戦闘部隊を引き揚げる」と表明した。約14万の駐留米軍のうち、約10万人が撤収することになる。
大統領は同時に、駐イラク米大使に、北朝鮮核問題を巡る6カ国協議の米首席代表を務めたヒル米国務次官補を起用すると発表した。
インド、5.3%成長に減速 08年10―12月GDP
【ニューデリー=長沢倫一郎】インド政府が27日発表した2008年10―12月期の国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除いた実質で前年同期比5.3%増となった。7―9月期の同7.6%増を大きく下回り、4半期ベースでは4年ぶりの低水準。金融危機に端を発する世界経済の低迷で輸出が失速し、生産活動の落ち込みが鮮明になっている。
成長率が前の4半期を下回るのは5四半期連続。製造業が前年同期に比べて0.2%減、農林漁業も同2.2%減と大きく落ち込んだのが響いた。7―9月期は製造業が5.0%増、農林漁業は2.7%増だった。製造業と農林漁業は合わせてGDPの34%を占める。
シティ、08年最終赤字2.7兆円に拡大 のれん代などに追加損失
【ニューヨーク=松浦肇】米シティグループは27日、2008年通期の最終赤字が従来発表の187億ドルから277億ドル(約2兆7000億円)へと拡大したと発表した。昨年末から一層経済環境が悪化しており、のれん代などの資産に対して、約100億ドルの追加損失を計上した。
追加損失を計上したのれん資産に対応する事業は、北米、中南米、欧州・中東・アフリカ地域の消費者金融ビジネスと日本で資産運用業を展開する日興アセットマネジメントなど。米国だけでなく世界各国でカードローンなど個人向け融資の焦げ付きや返済の延滞が増加しており、消費者金融ビジネスの事業価値が低下したと判断した。シティは同日政府からの追加支援を受けており、支援に合わせて資産内容を再度見直したと見られる。
薄型テレビの価格急落 在庫過剰「5万円切るとは…」
「32型の液晶テレビが5万円を切るとは…。ここまできたかという感じだ」
家電メーカー幹部は、流通大手イオンが破格の4万9800円で売り出した韓国メーカー製のDVD付き液晶テレビに、ため息を漏らした。今月中旬に台数限定で発売され、直後に完売した。
薄型テレビの“価格破壊”が止まらない。市場調査会社BCNによると、1月の液晶テレビの平均販売価格は前年同期比13%下落し、9万7700円(税抜き)となり、初めて10万円の大台を割り込んだ。昨年12月の下落率は2・8%だったが、年が明けて一気に値崩れが進んだ。
原因は、世界同時不況による販売不振で在庫が積み上がったためだ。各社はそれまで年30~50%増の成長を見込み、設備を増強し生産を続けてきたが、供給過剰で在庫が膨れ、投げ売りが始まった。
イオンの格安テレビも、「市場にあふれた主要部品のパネルを安値で調達し、組み立てたもの」(業界関係者)とみられる。ソニーなどは「3月末に向けて在庫の適正化に努める」としており、在庫処理による価格下落が続く見通しだ。
販売不振と単価下落による採算悪化が、各社の収益を直撃。テレビ事業の赤字が主因となり、21年3月期の営業損益は軒並み多額の赤字に転落する。薄型テレビ市場はプレーヤー過剰の状態にあり、すでにパイオニアが撤退に追い込まれたが、さらなる再編・淘汰(とうた)は必至だ。
2009年度予算案と関連法案が衆院を通過した。予算案は参院送付後30日たてば採決がなくても自然成立するので、年度内に成立することが確定した。民主党など野党側は関連法案についてもいたずらな審議引き延ばしをせずに、早期成立に協力してもらいたい。
2008年度第二次補正予算に盛り込まれた定額給付金などの財源特例法案は来週、成立する見通しだ。麻生太郎首相は08年度の第一次、第二次補正予算と09年度予算案を景気対策の三段ロケットと称してきたが、ひとまず道筋はついた。
予算と関連法案が成立した後に、首相は逃げることなく、速やかに衆院を解散して有権者の審判を仰ぐよう重ねて求めたい。
通常は予算の年度内成立が確定すると、政権は一息つくことができる。しかし麻生政権を取り巻く状況は極めて厳しい。本紙の直近の世論調査で内閣支持率は15%、不支持率は80%という結果になり、政権維持に赤信号がともっている。
衆院選の審判を経ないまま安倍、福田両内閣がともに1年で政権を投げ出したことが、現在の政治の混迷の大きな原因になっている。昨年9月に就任した首相は郵政民営化などを巡る発言のぶれや、中川昭一前財務・金融担当相の辞任問題などで支持率低下を招いた。
有権者の閉塞(へいそく)感は募る一方だ。選挙で選ばれていない首相がこのままずるずると政権運営を続けるのは限界に近い。
各種経済指標は日本の景気の一段の冷え込みを如実に示しており、追加の経済対策の策定が最重要の政策課題となる。民意の支持を得た政権でなければ、大胆な対策をまとめて、迅速に実行するのは困難だ。
外交面では4月の金融サミット、5月のプーチン・ロシア首相来日、7月の主要国首脳会議(サミット)などの日程が目白押しである。首脳外交の重要性は論をまたないが、国内に安定した政治基盤がなければ十分な成果は望めない。首脳同士の個人的な信頼関係も深まらない。
衆院議員の任期切れが9月に迫り、自民党内では首相の退陣を求める声が公然と出始めた。誰の下で選挙を戦うのかが定まらず、マニフェスト(政権公約)づくりは停滞している。この難局に羅針盤を示せず、延命にきゅうきゅうとしているかのような麻生政権の姿は遺憾である。
首相が衆院選に向けた態勢をつくれなければ、来年度予算の衆院通過は自民党内の「麻生降ろし」の本番を告げる号砲となるに違いない。
商品価格、下げ幅最大 企業間取引、日経42種2月末22%低下
主要商品の企業間取引価格を指数化した日経商品指数42種(1970年=100)の低下幅が過去最大だった円高不況時に並んだ。2月末値は139.699と前年同月末比22.7%下がり、マイナス幅は23年ぶりの大きさ。1年前と比べた円高・ドル安も下押し要因となった。国内の商品価格急落は景気後退の深刻さを示しているが、自動車や家電など最終製品メーカーのコスト低減につながる側面もある。
前年比騰落率は2002年8月からプラスが続いたが、08年10月にマイナスに転じた。その後マイナス幅は月を追うごとに拡大し、2月は86年7月(22.7%)に並んだ。42種が200を超えた08年7月に比べると3割強下がった計算になる。
中国、産業構造の高度化急ぐ 10業種の振興策出そろう
【北京=高橋哲史】中国政府が景気対策の一環で策定を進めてきた自動車や鉄鋼など主要10産業の振興策が27日、出そろった。同日記者会見した国家発展改革委員会の劉鉄男副主任は、振興策について「産業の安定的な発展を確保し、産業構造の高度化を総合的に進めていくため」と説明し、産業保護が目的でないことを強調した。
主要産業の振興策は温家宝首相が1月半ば、3月5日に開幕する全国人民代表大会(国会に相当)の前に策定することを表明。国務院(政府)が1カ月半の間に自動車、鉄鋼、船舶、石油化学、繊維、軽工業、有色金属、装備機械、電気通信、物流について取りまとめ、順次発表した。
NTT東西、「光」純増数横ばい 中期目標達成難しく
NTT東西地域会社は27日、光ファイバーによる通信回線サービス「フレッツ光」の両社合計の2009年度の契約純増数を08年度実績見込みと同じ250万件とする計画を発表した。10年度末に契約数を2000万件とする中期目標の達成は難しくなった。NTT東西は今後、映像配信など光回線を使ったサービスを収益の柱にする方針だが、インフラとなる回線網の整備の遅れで、戦略を練り直す必要もありそうだ。
両社合わせた純増数はピークだった07年度に比べ約7%低い水準となり、09年度末の契約数は1377万件にとどまる計算だ。NTT東の江部努社長は10年度末までにフレッツ光の契約数を2000万件とする中期経営戦略の達成について「かなり難しいという認識を持っている」と述べ、09年3月期決算発表に合わせて修正する見通しを明らかにした。
光回線に接続できる家庭用機器、NTT東西がシリーズ展開
NTT東日本とNTT西日本は27日、光ブロードバンド(高速大容量)サービスの「フレッツ光」に接続できる通信機能付きの家庭用機器を「光LINK(リンク)」としてシリーズ展開を始めると発表した。第1弾として、電子メールを本体で受信して添付の画像を自動表示できるデジタルフォトフレームを3月2日に発売する。シリーズの機器は今後拡大する。
デジタルフォトフレーム「SPF―86V」は無線LAN(構内情報通信網)を通じて光回線に接続でき、本体に設定したメールアドレスに静止画を送ると自動表示する。
独オペル、GMから分離目指す 経営計画を発表
【フランクフルト=後藤未知夫】米ゼネラル・モーターズ(GM)子会社の独オペルは27日、経営危機に陥ったGMからの分離を目指す経営計画を発表した。余剰生産能力を減らすため人員を削減し、工場集約も検討する。独政府などの信用保証や融資支援で約33億ユーロ(約4100億円)の公的支援が必要とした。それとは別に、GMによる30億ユーロの支援と約10億ユーロのリストラ効果を加味し、2011年の業績改善を見込む。
不正ソフト用機器マジコン販売禁じる ニンテンドーDS訴訟
違法に複製されたゲームソフトが任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」で使えるようにできる機器を販売されて損害を受けたとして、同社とゲームソフトメーカー54社が機器を扱う5社を相手取り、不正競争防止法に基づく輸入・販売の差し止めを求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。市川正巳裁判長(大竹優子裁判長代読)は請求を認め、機器を扱う5社に輸入・販売の禁止と在庫の廃棄を命じた。
訴えられていたのは、東京の4社と横浜の1社。機器は中国からの輸入製品で「マジコン」と呼ばれている。マジコンを使うことで、DSの複製ソフトプロテクト(防護)を解除し、違法複製されたソフトが使えるようになる。
市川裁判長は不正競争防止法が、無断複製などを防止する手段を無効にするマジコンのような機器の販売を規制していると指摘。その上で、違法複製ソフトのプログラムがインターネット上にアップされており、誰でも容易に入手できることなどから、「被告が販売した機器により、原告側のソフトの販売が邪魔され、営業上の利益を侵害された。原告側の訴えには理由がある」と結論付けた。
被告側は「違法ソフトだけではなく、自主制作ソフトも使えるようにする装置で、不正競争防止法の適用対象外」と反論していた。
医療制度改革後退 レセプト請求の完全オンライン化先送り
政府・与党は27日、具体的な治療内容や投薬名、診療報酬点数が書かれたレセプト(診療報酬明細書)請求について、完全オンライン化する時期を平成23年度から、さらに先送りする方針を固めた。先送り期間については、5年にする案が浮上している。衆院選を控え、日本医師会などの反対論に配慮した。来月にも閣議決定される規制改革推進3カ年計画の改訂版に反映させたい考えだ。
オンライン請求の義務化は、小泉政権が医療費抑制策の一環として策定した医療制度改革大綱で決定された経緯がある。それだけに義務化時期の先送り方針は医療費抑制路線からの転換といえ、与党内には改革後退との指摘もある。
オバマ大統領、イラク米軍撤収計画を発表
【ワシントン=弟子丸幸子】オバマ米大統領は27日昼(日本時間28日未明)、米ノースカロライナ州の米海兵隊基地キャンプ・レジューンで演説し、イラク撤収計画について発表した。大統領は「2010年8月31日までに、我々のイラクでの戦闘任務は終了する」と宣言。その間に「戦闘部隊を引き揚げる」と表明した。約14万の駐留米軍のうち、約10万人が撤収することになる。
大統領は同時に、駐イラク米大使に、北朝鮮核問題を巡る6カ国協議の米首席代表を務めたヒル米国務次官補を起用すると発表した。
インド、5.3%成長に減速 08年10―12月GDP
【ニューデリー=長沢倫一郎】インド政府が27日発表した2008年10―12月期の国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除いた実質で前年同期比5.3%増となった。7―9月期の同7.6%増を大きく下回り、4半期ベースでは4年ぶりの低水準。金融危機に端を発する世界経済の低迷で輸出が失速し、生産活動の落ち込みが鮮明になっている。
成長率が前の4半期を下回るのは5四半期連続。製造業が前年同期に比べて0.2%減、農林漁業も同2.2%減と大きく落ち込んだのが響いた。7―9月期は製造業が5.0%増、農林漁業は2.7%増だった。製造業と農林漁業は合わせてGDPの34%を占める。
シティ、08年最終赤字2.7兆円に拡大 のれん代などに追加損失
【ニューヨーク=松浦肇】米シティグループは27日、2008年通期の最終赤字が従来発表の187億ドルから277億ドル(約2兆7000億円)へと拡大したと発表した。昨年末から一層経済環境が悪化しており、のれん代などの資産に対して、約100億ドルの追加損失を計上した。
追加損失を計上したのれん資産に対応する事業は、北米、中南米、欧州・中東・アフリカ地域の消費者金融ビジネスと日本で資産運用業を展開する日興アセットマネジメントなど。米国だけでなく世界各国でカードローンなど個人向け融資の焦げ付きや返済の延滞が増加しており、消費者金融ビジネスの事業価値が低下したと判断した。シティは同日政府からの追加支援を受けており、支援に合わせて資産内容を再度見直したと見られる。
薄型テレビの価格急落 在庫過剰「5万円切るとは…」
「32型の液晶テレビが5万円を切るとは…。ここまできたかという感じだ」
家電メーカー幹部は、流通大手イオンが破格の4万9800円で売り出した韓国メーカー製のDVD付き液晶テレビに、ため息を漏らした。今月中旬に台数限定で発売され、直後に完売した。
薄型テレビの“価格破壊”が止まらない。市場調査会社BCNによると、1月の液晶テレビの平均販売価格は前年同期比13%下落し、9万7700円(税抜き)となり、初めて10万円の大台を割り込んだ。昨年12月の下落率は2・8%だったが、年が明けて一気に値崩れが進んだ。
原因は、世界同時不況による販売不振で在庫が積み上がったためだ。各社はそれまで年30~50%増の成長を見込み、設備を増強し生産を続けてきたが、供給過剰で在庫が膨れ、投げ売りが始まった。
イオンの格安テレビも、「市場にあふれた主要部品のパネルを安値で調達し、組み立てたもの」(業界関係者)とみられる。ソニーなどは「3月末に向けて在庫の適正化に努める」としており、在庫処理による価格下落が続く見通しだ。
販売不振と単価下落による採算悪化が、各社の収益を直撃。テレビ事業の赤字が主因となり、21年3月期の営業損益は軒並み多額の赤字に転落する。薄型テレビ市場はプレーヤー過剰の状態にあり、すでにパイオニアが撤退に追い込まれたが、さらなる再編・淘汰(とうた)は必至だ。
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攻守逆転か、円高テコに世界に打って出る日本ゲーム大手 <COLUMN>
日本のゲーム産業は、これまで日本という適度に居心地のよく周囲から閉じた「ガラパゴス」的環境にあった。しかし、国内市場の成長がこれ以上見込めず、海外企業が力をつけるなか、「脱ガラパゴス化」しなければ将来はないという危機感は強い。日本企業は、経済危機と円高という環境の下で、海外展開強化に向けて大きく舵を切った。
その動きが、2008年4―12月期決算の発表に併せ次々と明らかになった。今回は国内の主要プレーヤーであるスクウェア・エニックス・ホールディングス、カプコンのケースを考える。
■スクエニ、「トゥームレイダー」を持つ老舗を買収
スクエニは「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」の発売延期を発表した2月12日に、もう一つ重要な発表を行っている。英大手ゲーム会社で1990年創業の老舗であるアイドスの買収だ。
「トゥームレイダー」や「ヒットマン」といったハリウッド映画のブランドタイトルを持ちながら、「Xbox360」や「プレイステーション3(PS3)」などの現行プラットホーム向けの開発に手こずり、大きな苦境に立たされていた。業績悪化から開発費を捻出できず、完成度の低いままのゲームを発売したこともあり、それがさらに販売の低迷を招くという悪循環に陥っていた。
05年のタイトーの買収額約670億円に比べるとはるかに割安で、円高の強みを大きく利用した買収劇でもある。
トゥームレイダーなどの欧米で強いブランドタイトルを手に入れられただけでなく、アイドスの傘下には米カリフォルニアの開発会社Crystal Dynamicsがある。ここはトゥームレイダーや他のゲームにも利用できる独自の汎用アクションゲーム用エンジンを持っている。このエンジンは、アイドス傘下のスタジオ間で共有されており、それぞれのゲーム用に独自カスタマイズできるように拡張が進められている。
もちろん、経営の立て直しは大きな課題であり、アイドスが企業として黒字化を果たすためには相当な苦労が伴うだろう。ただ、大手ゲーム会社から脱落しかけていたとはいえ、アイドスの買収はスクエニに海外の大手に対抗できるスケールメリットを与えてくれる。経済危機と円高が今回の規模拡大のチャンスを生み出した。
スクエニの戦略は、世界全体でラインアップを増やして市場での影響力拡大を図ることにある。既存のスクエニのタイトルと重ならない分野のゲームを持つ企業への買収や提携を進めている。
また、欧米地域だけでも開発投資を回収できるスキームを作ろうとしている。地域によって違う嗜好性を無理に解決しようとはせず、その地域ごとに合わせたタイトルを投入して、販売本数が多くなくても収益を出せる事業構造を作ろうとしているように見える。
■カプコン、元EA開発者たちが中心のスタジオと共同開発
カプコンは2月9日、カナダ西海岸バンクーバーのBlue Castle Gamesと共同で、「DEAD RISING 2」をPS3とXbox360向けに開発していると発表した。このシリーズの前作「DEAD RISING」は全世界で150万本以上を売り上げ、日本以上に北米での評価が高かった。
ゲームの画面がまだまったく発表になっていないため確認できないのだが、わざわざ共同開発と発表していることから考えると、カプコンの強みでもあるアクションゲーム用のゲームエンジン「MTフレームワーク」を使って開発が進められているのではないかと推測できる。
MTフレームワークは「バイオハザード5」(PS3、Xbox360)、「Lost Planet 2」(PS3、Xbox360)の土台となるプログラムだが、もし推測が正しいなら、日本製のゲームエンジンが本格的に海外での開発に使われる初のケースになるのではないかと思われる。
カプコンがコア技術を提供し、共同開発の形で海外企業と連携することで、海外市場に合ったタイトル開発と規模拡大を実現しつつあると考えることができる。
カプコンは05年から、非常に苦しみながらも北米の流通網を独自のものに再編している。それまでは他社の流通網を使っていたのだが、それでは販売拡大に結びつかなかった。欧州でも昨年から本格的に自社流通網の整備に力を入れている。
これらの成果もあって、12日に発売になった「ストリートファイターIV」の全世界出荷が200万本を突破するという結果に結びついているのだろう。
■世界企業化へ大きなチャンス
今、欧米企業が市場で苦境に立たされているのは、任天堂の「Wii」「ニンテンドーDS」が予想を超えて勢力を広げ、Wii、DS中心の市場形成が進んだことが理由だ。20億~30億円もの開発費が必要なPS3やXbox360向けのタイトルは、開発費を回収できるほどの販売本数とならず、失敗している。
ゲーム大手の一角であった米Midwayが13日に破産手続きを開始したが、スクエニに買収されたアイドスのような独自の強いブランドタイトルがなく、買い手が見つからなかったようだ。Midwayにしてもアイドスにしても、Wii市場では存在感がなかった。
今の円高基調(ここ数日はまた一気に円安が進んでいるが)は日本の輸出産業に大打撃を与えたが、ゲーム産業では逆に日本の大手に大きなチャンスを呼び込んでいる。今回の日本企業の動きは、中長期に大きな意味を持つことになるだろう。
ある大手ゲーム会社の著名な開発者と「ゲーム業界は5年後にどうなっているだろうか?」という雑談をしばらく前にした。「国際混成チームで開発する目玉プロジェクトを、どこの大手も持つようになるのではないだろうか」という意見をもらったが、最近の動きを見ていると、その実現には5年もかからないと思った方がよさそうだ。
ソニー、エレクトロニクスとゲームを統合 ストリンガー会長が社長兼務
ソニーは2月27日、エレクトロニクス事業とゲーム事業を4月1日付けで統合すると発表した。ネット対応製品やサービス創出につなげ、収益力改善と競争力強化を図る。
4月1日から、ハワード・ストリンガー会長兼CEOが社長職を兼務。ストリンガー氏がエレクトロニクス事業を統括する。中鉢良治社長は代表執行役副会長に就任する。
新たに、PCやゲームなどネットワーク対応製品・サービスを手掛ける「ネットワークプロダクツ&サービス・グループ」と、テレビなど家電を統括する「コンスーマー・プロダクツ・グループ」を設置する。
全製品共通のユーザーインタフェースやソフトを開発する部署や、効率的なサプライチェーンソリューションを開発する部署も設置。それぞれが、社内の各事業部にサービスを提供する。
読売新聞とウォール・ストリート・ジャーナル紙が提携
読売新聞は米有力経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルと編集・印刷・販売に関する提携に合意し、27日に東京都内で契約を締結した。
同紙の解説記事やコラムなどを翻訳し、原則第1、第3水曜日に解説面で掲載する。また、日本国内で販売する同紙アジア版を読売新聞が印刷し、東京、大阪、名古屋などの販売店を通じて配達する。いずれも3月から開始。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は1889年創刊で発行部数は約170万部。経済記事を中心とした質の高い報道に定評があり米国を代表する新聞の一つ。深刻な危機に直面する世界経済などに関する翻訳記事掲載で国際報道の一層の充実を図る。
シティ、事実上の政府管理下に 持ち株比率30―40% 米紙報道
【ニューヨーク=米州総局】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は26日、米政府と米金融大手シティグループが、政府の所有するシティの優先株を普通株に転換することで合意したと報じた。関係者によると、政府の持ち株比率は30―40%になる見通し。普通株転換により事実上、政府の管理下に置くことで、シティの財務に対する投資家の懸念を軽減させる。
シティグループは金融市場の混乱などに伴って巨額損失を計上。政府は昨年、合計450億ドルの公的資金を注入し、優先株を取得していた。ただ一段の財務悪化に対する懸念から、株価は一時1ドル台まで下落していた。
ニンテンドーDS 被害は3000億円超との試算も
平成16年の発売以来、国内での累計販売台数が2500万台以上、全世界では8000万台以上に上る「ニンテンドーDS」。爆発的人気の陰で、違法コピーやプロテクト(防御)外しによる不正利用が横行、被害総額は全世界で3000億円を超すとの試算もある。ゲームメーカーは対策に力を注ぐが、根本的な解決策はなく、著作権団体は「産業の衰退につながる」として法整備を求めている。
著作権法では、私的使用の複製は例外的に認められており、データのバックアップ機能の側面を持つ「マジコン」自体の違法性は問いにくい。
任天堂によると、マジコンの利用者は国内だけで少なくとも数十万人規模に上り、ユーザーの多くは海外のサイトやファイル交換ソフト「ウィニー」などを通じて違法ソフトを入手しているとみられる。
1月新設住宅着工戸数は‐18.7%、大手工事受注は過去最大の減少
国土交通省が27日発表した1月の新設住宅着工戸数は、前年比18.7%減の7万0688戸となり、2カ月連続で減少した。季節調整済み年率換算は95万7000戸。
大手50社の建設工事受注額は前年比38.3%減と3カ月連続で減少し、1985年4月の調査開始以来最大の減少率となった。国内では公共工事、民間工事ともに減少し、海外工事も減少した。
【産経主張】在日米軍縮小 小沢氏は全体像を明確に
民主党の小沢一郎代表が、在日米軍は「第7艦隊だけで十分ではないか」との見解を示した。小沢氏は「日本が自らの安全保障と極東での役割をしっかり担っていくことで話がつくと思う」と話しているが、在日米軍の抑止力を否定しかねない発言であり、問題視せざるを得ない。
日本の平和と安全は、在日米軍と自衛隊による日米安保体制によって守られている。米軍の抑止力は陸軍、空軍、海兵隊などがあって全体としての即応体制を維持している。それを認めないとすれば、日米同盟は機能しない。
政権交代を目指す政党のトップとしての見識が問われよう。米軍との協力に基づく日本の安全保障をどう考えるのか、全体像を明確に説明すべきだ。
小沢氏の発言は「米軍もこの時代に前線に部隊を置いておく意味はなく、軍事戦略的に米国の極東におけるプレゼンス(存在)は第7艦隊で十分ではないか」というものである。しかし、中国が空母建造を含む海軍力の増強を通じて、海洋における軍事作戦能力の拡大を図ろうとしているのは明白で、それにどう対処するのか。
小沢氏は米軍の抑止力の低下を日本の責任で補う趣旨の発言もしているが、この真意もわからない。第7艦隊だけでいいなら、沖縄などに駐留する海兵隊が持つ抑止能力を自衛隊にそっくり肩代わりさせるのか。それには相当な時間がかかり、日本や極東の安全に空白が生じる。
民主党の鳩山由紀夫幹事長は、軍事増強の発想から出たものではないと説明するが、軍事的空白を解消する方策を、具体的な規模や能力とともに示さないのは責任ある態度といえない。
自民党幹部は「日米の防衛問題の実情に無知な不見識発言」と批判した。米国のケビン・メア駐沖縄総領事も「極東における安全保障の環境は、空軍や海兵隊を不必要とするほど甘くない」と反発したのは当然だろう。
小沢氏は先のクリントン米国務長官との会談で、「対等な日米関係」を強調した。両国が地域や国際社会の安保戦略を十分話し合おうという主張はその通りだ。問われるのは日本の具体的な関与だ。対中外交をどう位置づけ、中国の軍事力をどうみるか。
米軍縮小を言う前に、政権獲得後の外交・安保政策を示し、党内で議論する必要がある。
日本のゲーム産業は、これまで日本という適度に居心地のよく周囲から閉じた「ガラパゴス」的環境にあった。しかし、国内市場の成長がこれ以上見込めず、海外企業が力をつけるなか、「脱ガラパゴス化」しなければ将来はないという危機感は強い。日本企業は、経済危機と円高という環境の下で、海外展開強化に向けて大きく舵を切った。
その動きが、2008年4―12月期決算の発表に併せ次々と明らかになった。今回は国内の主要プレーヤーであるスクウェア・エニックス・ホールディングス、カプコンのケースを考える。
■スクエニ、「トゥームレイダー」を持つ老舗を買収
スクエニは「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」の発売延期を発表した2月12日に、もう一つ重要な発表を行っている。英大手ゲーム会社で1990年創業の老舗であるアイドスの買収だ。
「トゥームレイダー」や「ヒットマン」といったハリウッド映画のブランドタイトルを持ちながら、「Xbox360」や「プレイステーション3(PS3)」などの現行プラットホーム向けの開発に手こずり、大きな苦境に立たされていた。業績悪化から開発費を捻出できず、完成度の低いままのゲームを発売したこともあり、それがさらに販売の低迷を招くという悪循環に陥っていた。
05年のタイトーの買収額約670億円に比べるとはるかに割安で、円高の強みを大きく利用した買収劇でもある。
トゥームレイダーなどの欧米で強いブランドタイトルを手に入れられただけでなく、アイドスの傘下には米カリフォルニアの開発会社Crystal Dynamicsがある。ここはトゥームレイダーや他のゲームにも利用できる独自の汎用アクションゲーム用エンジンを持っている。このエンジンは、アイドス傘下のスタジオ間で共有されており、それぞれのゲーム用に独自カスタマイズできるように拡張が進められている。
もちろん、経営の立て直しは大きな課題であり、アイドスが企業として黒字化を果たすためには相当な苦労が伴うだろう。ただ、大手ゲーム会社から脱落しかけていたとはいえ、アイドスの買収はスクエニに海外の大手に対抗できるスケールメリットを与えてくれる。経済危機と円高が今回の規模拡大のチャンスを生み出した。
スクエニの戦略は、世界全体でラインアップを増やして市場での影響力拡大を図ることにある。既存のスクエニのタイトルと重ならない分野のゲームを持つ企業への買収や提携を進めている。
また、欧米地域だけでも開発投資を回収できるスキームを作ろうとしている。地域によって違う嗜好性を無理に解決しようとはせず、その地域ごとに合わせたタイトルを投入して、販売本数が多くなくても収益を出せる事業構造を作ろうとしているように見える。
■カプコン、元EA開発者たちが中心のスタジオと共同開発
カプコンは2月9日、カナダ西海岸バンクーバーのBlue Castle Gamesと共同で、「DEAD RISING 2」をPS3とXbox360向けに開発していると発表した。このシリーズの前作「DEAD RISING」は全世界で150万本以上を売り上げ、日本以上に北米での評価が高かった。
ゲームの画面がまだまったく発表になっていないため確認できないのだが、わざわざ共同開発と発表していることから考えると、カプコンの強みでもあるアクションゲーム用のゲームエンジン「MTフレームワーク」を使って開発が進められているのではないかと推測できる。
MTフレームワークは「バイオハザード5」(PS3、Xbox360)、「Lost Planet 2」(PS3、Xbox360)の土台となるプログラムだが、もし推測が正しいなら、日本製のゲームエンジンが本格的に海外での開発に使われる初のケースになるのではないかと思われる。
カプコンがコア技術を提供し、共同開発の形で海外企業と連携することで、海外市場に合ったタイトル開発と規模拡大を実現しつつあると考えることができる。
カプコンは05年から、非常に苦しみながらも北米の流通網を独自のものに再編している。それまでは他社の流通網を使っていたのだが、それでは販売拡大に結びつかなかった。欧州でも昨年から本格的に自社流通網の整備に力を入れている。
これらの成果もあって、12日に発売になった「ストリートファイターIV」の全世界出荷が200万本を突破するという結果に結びついているのだろう。
■世界企業化へ大きなチャンス
今、欧米企業が市場で苦境に立たされているのは、任天堂の「Wii」「ニンテンドーDS」が予想を超えて勢力を広げ、Wii、DS中心の市場形成が進んだことが理由だ。20億~30億円もの開発費が必要なPS3やXbox360向けのタイトルは、開発費を回収できるほどの販売本数とならず、失敗している。
ゲーム大手の一角であった米Midwayが13日に破産手続きを開始したが、スクエニに買収されたアイドスのような独自の強いブランドタイトルがなく、買い手が見つからなかったようだ。Midwayにしてもアイドスにしても、Wii市場では存在感がなかった。
今の円高基調(ここ数日はまた一気に円安が進んでいるが)は日本の輸出産業に大打撃を与えたが、ゲーム産業では逆に日本の大手に大きなチャンスを呼び込んでいる。今回の日本企業の動きは、中長期に大きな意味を持つことになるだろう。
ある大手ゲーム会社の著名な開発者と「ゲーム業界は5年後にどうなっているだろうか?」という雑談をしばらく前にした。「国際混成チームで開発する目玉プロジェクトを、どこの大手も持つようになるのではないだろうか」という意見をもらったが、最近の動きを見ていると、その実現には5年もかからないと思った方がよさそうだ。
ソニー、エレクトロニクスとゲームを統合 ストリンガー会長が社長兼務
ソニーは2月27日、エレクトロニクス事業とゲーム事業を4月1日付けで統合すると発表した。ネット対応製品やサービス創出につなげ、収益力改善と競争力強化を図る。
4月1日から、ハワード・ストリンガー会長兼CEOが社長職を兼務。ストリンガー氏がエレクトロニクス事業を統括する。中鉢良治社長は代表執行役副会長に就任する。
新たに、PCやゲームなどネットワーク対応製品・サービスを手掛ける「ネットワークプロダクツ&サービス・グループ」と、テレビなど家電を統括する「コンスーマー・プロダクツ・グループ」を設置する。
全製品共通のユーザーインタフェースやソフトを開発する部署や、効率的なサプライチェーンソリューションを開発する部署も設置。それぞれが、社内の各事業部にサービスを提供する。
読売新聞とウォール・ストリート・ジャーナル紙が提携
読売新聞は米有力経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルと編集・印刷・販売に関する提携に合意し、27日に東京都内で契約を締結した。
同紙の解説記事やコラムなどを翻訳し、原則第1、第3水曜日に解説面で掲載する。また、日本国内で販売する同紙アジア版を読売新聞が印刷し、東京、大阪、名古屋などの販売店を通じて配達する。いずれも3月から開始。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は1889年創刊で発行部数は約170万部。経済記事を中心とした質の高い報道に定評があり米国を代表する新聞の一つ。深刻な危機に直面する世界経済などに関する翻訳記事掲載で国際報道の一層の充実を図る。
シティ、事実上の政府管理下に 持ち株比率30―40% 米紙報道
【ニューヨーク=米州総局】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は26日、米政府と米金融大手シティグループが、政府の所有するシティの優先株を普通株に転換することで合意したと報じた。関係者によると、政府の持ち株比率は30―40%になる見通し。普通株転換により事実上、政府の管理下に置くことで、シティの財務に対する投資家の懸念を軽減させる。
シティグループは金融市場の混乱などに伴って巨額損失を計上。政府は昨年、合計450億ドルの公的資金を注入し、優先株を取得していた。ただ一段の財務悪化に対する懸念から、株価は一時1ドル台まで下落していた。
ニンテンドーDS 被害は3000億円超との試算も
平成16年の発売以来、国内での累計販売台数が2500万台以上、全世界では8000万台以上に上る「ニンテンドーDS」。爆発的人気の陰で、違法コピーやプロテクト(防御)外しによる不正利用が横行、被害総額は全世界で3000億円を超すとの試算もある。ゲームメーカーは対策に力を注ぐが、根本的な解決策はなく、著作権団体は「産業の衰退につながる」として法整備を求めている。
著作権法では、私的使用の複製は例外的に認められており、データのバックアップ機能の側面を持つ「マジコン」自体の違法性は問いにくい。
任天堂によると、マジコンの利用者は国内だけで少なくとも数十万人規模に上り、ユーザーの多くは海外のサイトやファイル交換ソフト「ウィニー」などを通じて違法ソフトを入手しているとみられる。
1月新設住宅着工戸数は‐18.7%、大手工事受注は過去最大の減少
国土交通省が27日発表した1月の新設住宅着工戸数は、前年比18.7%減の7万0688戸となり、2カ月連続で減少した。季節調整済み年率換算は95万7000戸。
大手50社の建設工事受注額は前年比38.3%減と3カ月連続で減少し、1985年4月の調査開始以来最大の減少率となった。国内では公共工事、民間工事ともに減少し、海外工事も減少した。
【産経主張】在日米軍縮小 小沢氏は全体像を明確に
民主党の小沢一郎代表が、在日米軍は「第7艦隊だけで十分ではないか」との見解を示した。小沢氏は「日本が自らの安全保障と極東での役割をしっかり担っていくことで話がつくと思う」と話しているが、在日米軍の抑止力を否定しかねない発言であり、問題視せざるを得ない。
日本の平和と安全は、在日米軍と自衛隊による日米安保体制によって守られている。米軍の抑止力は陸軍、空軍、海兵隊などがあって全体としての即応体制を維持している。それを認めないとすれば、日米同盟は機能しない。
政権交代を目指す政党のトップとしての見識が問われよう。米軍との協力に基づく日本の安全保障をどう考えるのか、全体像を明確に説明すべきだ。
小沢氏の発言は「米軍もこの時代に前線に部隊を置いておく意味はなく、軍事戦略的に米国の極東におけるプレゼンス(存在)は第7艦隊で十分ではないか」というものである。しかし、中国が空母建造を含む海軍力の増強を通じて、海洋における軍事作戦能力の拡大を図ろうとしているのは明白で、それにどう対処するのか。
小沢氏は米軍の抑止力の低下を日本の責任で補う趣旨の発言もしているが、この真意もわからない。第7艦隊だけでいいなら、沖縄などに駐留する海兵隊が持つ抑止能力を自衛隊にそっくり肩代わりさせるのか。それには相当な時間がかかり、日本や極東の安全に空白が生じる。
民主党の鳩山由紀夫幹事長は、軍事増強の発想から出たものではないと説明するが、軍事的空白を解消する方策を、具体的な規模や能力とともに示さないのは責任ある態度といえない。
自民党幹部は「日米の防衛問題の実情に無知な不見識発言」と批判した。米国のケビン・メア駐沖縄総領事も「極東における安全保障の環境は、空軍や海兵隊を不必要とするほど甘くない」と反発したのは当然だろう。
小沢氏は先のクリントン米国務長官との会談で、「対等な日米関係」を強調した。両国が地域や国際社会の安保戦略を十分話し合おうという主張はその通りだ。問われるのは日本の具体的な関与だ。対中外交をどう位置づけ、中国の軍事力をどうみるか。
米軍縮小を言う前に、政権獲得後の外交・安保政策を示し、党内で議論する必要がある。
ようやくアップルと同じ土俵に立った世界の携帯メーカー MWC2009総括 <COLUMN>
先週、世界最大級の携帯電話関連イベント「Mobile World Congress(MWC)」がスペイン・バルセロナで開催された。日本からもNTTドコモやNEC、パナソニック、東芝などが参加し、業界キーマンの姿も数多く目撃された。
ただ、世界的な不況の影響もあってか、昨年に比べて人もブースも少なかったように思える。しかし、内容的には時代の変化を感じさせる興味深い話題がいくつもあった。
■バルマーCEO自ら積極的に活動
今回、特に注目したのはマイクロソフトの動向だ。スティーブ・バルマーCEOがわざわざ出席し、記者会見と基調講演をするなど精力的に活動していた。キャリアとの交渉のテーブルにも付いていたようだ。
マイクロソフトはMWCに合わせ、最新版OS「Window Mobile 6.5」を発表してきた。従来のパソコンの操作性を携帯電話に無理矢理押し込めるのではなく、はじめから携帯電話を意識したユーザーインターフェースを採用してきており、使いやすさを向上させた。
さらに「MyPhone」というネットサービスも導入。ユーザーに200MBの容量を与え、端末内に保存してあるデータをバックアップできるだけでなく、ウェブ上から編集作業などもできるようになっている。
アプリケーションの販売システムとして構築する「Windows Marketplace」も話題となった。クレジットカードもしくはキャリアの回収代行の仕組みを使い、アプリケーションを購入できる。マイクロソフトは「キャリアも収益が得られる仕組みにすることで、開発者とマイクロソフトの3者によるウィン・ウィンのビジネスモデルを構築したい」と語る。
■ノキア、ソニ・エリもサービス拡充に意気込み
一方、ノキアも同様のサービスである「Ovi Store」を始めると発表した。こちらの売り上げはキャリアは絡めず「開発者に7割、ノキアが3割」という割合になる。
ノキアは何よりも端末シェアが圧倒的に高い。シェアの大きさがイコール市場規模の大きさになる。このボリュームで優良なアプリケーションを集めることを狙っている。
ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは「プレイナウ」という音楽サービスを強化していく姿勢を示した。パソコン向けに音楽などをダウンロードできるようになっている。一部のキャリアでは1カ月10ユーロでダウンロードし放題となる「プレイナウプラス」というサービスを用意する。
ソニー・エリクソンはサービスを自前で用意できないキャリアに向けて、カスタマイズするかたちで供給していこうとしている。他社とは違い、キャリアとの協調路線でサービスを広めていくスタンスだ。
今年のMWCでは、いずれの会社もハードとともにサービスを拡充するという意気込みを示してきた。
■タッチパネル全盛期、サムスンの驚異的な開発力
一方、端末はどうか。
ソニー・エリクソンは、3.5インチの液晶とさらに12メガの高精細デジカメを搭載した「idou(アイドゥー)」を発表してきた。日本国内では8メガが最高スペックであるから、すでに日本向けよりも海外向けの方がハイスペックになってしまったようだ。
また、韓国勢もタッチパネルに力を注ぐ。サムスン電子は「Get in touch with SAMSUNG mobile」というスローガンでタッチパネルをアピールした。
サムスンがすごいのは、異なるプラットフォームでありながら、同じ操作性、同じユーザーインターフェースを実現してしまっている点だ。
昨年6月、シンガポールで発売したタッチパネルのスマートフォン「OMNIA」は、Windows Mobileを採用していた。しかし、昨年末にソフトバンクモバイルから発売された「OMNIA」は、サムスンの独自OSを搭載する。なぜなら、ワンセグといった日本独自の仕様を載せる必要があったからだ。
今回、発表された「OMNIA HD」は、新たにシンビアンOSを使っている。また、LiMOファウンデーションのブースではLiMOプラットフォームを搭載したモデルも参考出展している。
すべて同じ「TouchWiz」というユーザーインターフェースでありながら、それを異なるプラットフォームで展開できるサムスン電子。その開発力は驚異ともいえるだろう。
■アップルに再定義された世界の携帯業界
MWCの会場を巡り、すぐに思い出したのは2年前の1枚のプレスリリースだ。2007年1月10日、アップルがiPhoneを発表したとき、そこに印象的なフレーズがあった。
「アップルは携帯電話の可能性を完全に再定義します」
それから2年後、まさに世界のケータイ業界はアップルに再定義されてしまったようだ。
パソコンとの連携、音楽ビジネス、アプリケーション販売の仕組み、タッチパネルによるユーザーインターフェース――。携帯電話の開発には2年近い年月が必要とされている。まさにiPhoneの衝撃を目の当たりにした各社の答えが、ようやく今年のMWCで出てきたように感じるのだ。
今年、参加して10年目という夏野剛氏によれば「どれも端末やサービスなどの一部をまねているだけに過ぎない。アップルは端末のデザインやサービスなどを、すべてバリューチェーンとして結びつけ、新しいユーザー体験を提供したから成功した」と指摘する。
■ようやくアップルと同じ土俵に
マイクロソフト、ノキア、ソニー・エリクソン、サムスン電子など、いまようやくアップルと同じ土俵に立っただけにすぎない。
これらの会社は、パソコンとの親和性、市場シェア、音楽・家電機器との連携、技術開発力など、それぞれ強力な武器を持っている。果たして、それらをどのように生かして、今後、アップルにはないサービスと端末の連携を見せていくのか。
そういった意味で、2009年のMWCは見応えのあるものだったと言えるし、今年1年、各社の戦略がどのように進んでいくかは興味深いところだ。
GM、最終赤字3兆円 08年通期、過去2番目の損失額
【ニューヨーク=小高航】米ゼネラル・モーターズ(GM)が26日発表した2008年通期決算は、最終損益が308億6000万ドル(約3兆円)の赤字だった。07年の387億ドルに次ぐ過去2番目の赤字額で、最終赤字は4年連続となる。特に金融危機の影響を受けた10―12月期は売上高が前年同期比で34%減り、北米やアジアなど全地域で損失を計上した。3月末までに追加支援の是非を決める米政府は難しい判断を迫られそうだ。
08年通期の売上高は17%減の1489億8000万ドル。北米が23%減、アジア・太平洋地域が12%減など多くの地域で減収になった。特に北米事業は税引き前の赤字幅が141億ドル(前年は33億ドルの赤字)となり、収益の悪化が目立った。07年に続く巨額赤字の計上で08年末の債務超過額は861億ドルに膨らんだ。
日本経済新聞社、電子新聞事業化へ新組織 10年の創刊めざす
日本経済新聞社はパソコンや携帯電話などデジタル媒体で読者に新聞を届ける電子新聞の事業化に向けて、4月1日付で組織改革を実施する。来年の創刊を目指す。
電子新聞はパソコンやデジタルテレビ、携帯電話などを通じて、いつでもどこでも新聞を読めるようにする有料の新サービス。速報性や読者との双方向性など、デジタルならではの機能を盛り込み、新しい読者の開拓を狙う。
電子新聞の開発や事業運営の主体となるデジタル編成局と、電子新聞の販売を担当する第2販売局を新設。編集局に電子新聞編集本部を設ける。子会社の日本経済新聞デジタルメディアのインターネット部門を本社に統合する。
印タタ自動車、20万円の超低価格車を4月に発売
インド大手財閥傘下のタタ自動車は26日、自主開発した10万ルピー(約20万円)の超低価格車「ナノ」をインド国内で4月に発売すると発表した。昨年1月の発表時に自動車業界に衝撃を与えた世界最安の新型車が新興国の消費者にどう受け入れられるか、改めて注目を集めそうだ。
タタグループのラタン・タタ会長らが3月23日にムンバイで記者会見し、正式な価格などを公表する。4月第1週から販売店に車両を展示し、同第2週に受注を始める。昨年1月の発表以来、ナノの専用ホームページには3000万件を超えるアクセスがあり、関心の高さを示した。
ナノを巡っては昨年10月、東部の西ベンガル州で完成間際だった専用工場が一部地元農民らの反対で撤退に追い込まれ、タタは目標にしていた同月中の発売を断念した。工場は移転先の西部グジャラート州でまだ建設中であるため、当初はほかの工場で生産する。
米財政赤字、最大の171兆円 09会計年度、大統領予算方針
【ワシントン=大隅隆】オバマ米大統領は26日、中期の財政見通しと2010会計年度(09年10月―10年9月)予算の基本方針を発表した。財政見通しの中で、景気対策などに伴い09年度の財政赤字が史上最大の1兆7520億ドル(約171兆円)に拡大すると明らかにした。2010年度も1兆ドル超の赤字となる。金融安定化の公的資金枠(7000億ドル)を必要に応じ2500億ドル(約24兆5000億円)追加する。
オバマ大統領は同日の演説で「ブッシュ政権から1兆ドル超の財政赤字を引き継いだ。経済の進展に資する分野に集中する必要がある」と語った。景気悪化で一時的に赤字がさらに増えるものの、向こう10年間で不要な歳出を2兆ドル削減。2013年までに赤字を5330億ドルに圧縮する。
日経社説 1年迎えた韓国「経済」大統領の苦悩(2/27)
韓国の李明博大統領が就任して1年が過ぎた。企業経営者出身で経済に強い大統領を自任しているが、韓国経済は苦境の真っただ中にある。
李大統領の直近の支持率は30%台半ばで、6割近くあった就任時の人気には遠く及ばない。
最大の要因は経済だ。李政権は年7%の経済成長を公約したが、昨年の実質国内総生産(GDP)成長率は2.5%にとどまり、2007年の5.0%から大幅に低下した。
今年はさらに厳しさを増す見通しで、国際通貨基金(IMF)は年間成長率をマイナス4%と予測する。日米欧の主要国より厳しく、新興国も含めた20カ国・地域(G20)のなかでも最低水準である。
韓国経済は積極的な外資導入と対外貿易を柱に成長してきた。外需に依存した経済構造で、米国発の金融危機と世界同時不況の打撃をまともに受けた。輸出は急減速し、信用収縮のあおりで外資が流出。通貨ウォンは主要通貨に対して急落した。
苦境に立つ李政権は「緑のニューディール事業」を打ち出すなど、政府主導の景気対策に躍起だ。積極財政で内需拡大を目指すのは当然である。だが韓国の経済規模は日本のおよそ5分の1で、内需中心の成長モデルへの転換は容易ではない。
韓国は今、自由貿易の有益さを身にしみて感じているはずだ。李大統領の残る任期は4年。苦境のいまこそ、貿易立国として将来の成長を見据えた政策を進めるのも大切ではないか。隣国で主要貿易相手国の日本との連携強化は特に重要だろう。
日韓の経済連携協定(EPA)の早期締結はひとつの選択だ。液晶パネルなど電子製品が強みの韓国は日本製素材や部品の輸入が多く、対日貿易赤字が続いている。EPA締結で短期的には赤字が一段と膨らむかもしれないが、長期的には日本の素材・部品産業の対韓進出を促し、国内の雇用創出にもつながる。
日本も農産物の市場開放などで譲歩を検討すべきだし、日韓貿易の規制も緩和する必要がある。例えば韓国では釜山港など主要港にフェリーで到着する日本の物流トラックがそのまま目的地まで移動できるのに、日本では認められていない。
日韓が連携し自由貿易体制の堅持を世界に訴えることも大事だ。韓国はG20財務相・中央銀行総裁会議の来年の議長国で、今年4月の第2回G20緊急首脳会合(金融サミット)では英国、ブラジルとともに議長団に加わる。首脳会合で世界の保護主義の動きを阻止するのは李大統領に課せられた重要な役割である。
先週、世界最大級の携帯電話関連イベント「Mobile World Congress(MWC)」がスペイン・バルセロナで開催された。日本からもNTTドコモやNEC、パナソニック、東芝などが参加し、業界キーマンの姿も数多く目撃された。
ただ、世界的な不況の影響もあってか、昨年に比べて人もブースも少なかったように思える。しかし、内容的には時代の変化を感じさせる興味深い話題がいくつもあった。
■バルマーCEO自ら積極的に活動
今回、特に注目したのはマイクロソフトの動向だ。スティーブ・バルマーCEOがわざわざ出席し、記者会見と基調講演をするなど精力的に活動していた。キャリアとの交渉のテーブルにも付いていたようだ。
マイクロソフトはMWCに合わせ、最新版OS「Window Mobile 6.5」を発表してきた。従来のパソコンの操作性を携帯電話に無理矢理押し込めるのではなく、はじめから携帯電話を意識したユーザーインターフェースを採用してきており、使いやすさを向上させた。
さらに「MyPhone」というネットサービスも導入。ユーザーに200MBの容量を与え、端末内に保存してあるデータをバックアップできるだけでなく、ウェブ上から編集作業などもできるようになっている。
アプリケーションの販売システムとして構築する「Windows Marketplace」も話題となった。クレジットカードもしくはキャリアの回収代行の仕組みを使い、アプリケーションを購入できる。マイクロソフトは「キャリアも収益が得られる仕組みにすることで、開発者とマイクロソフトの3者によるウィン・ウィンのビジネスモデルを構築したい」と語る。
■ノキア、ソニ・エリもサービス拡充に意気込み
一方、ノキアも同様のサービスである「Ovi Store」を始めると発表した。こちらの売り上げはキャリアは絡めず「開発者に7割、ノキアが3割」という割合になる。
ノキアは何よりも端末シェアが圧倒的に高い。シェアの大きさがイコール市場規模の大きさになる。このボリュームで優良なアプリケーションを集めることを狙っている。
ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは「プレイナウ」という音楽サービスを強化していく姿勢を示した。パソコン向けに音楽などをダウンロードできるようになっている。一部のキャリアでは1カ月10ユーロでダウンロードし放題となる「プレイナウプラス」というサービスを用意する。
ソニー・エリクソンはサービスを自前で用意できないキャリアに向けて、カスタマイズするかたちで供給していこうとしている。他社とは違い、キャリアとの協調路線でサービスを広めていくスタンスだ。
今年のMWCでは、いずれの会社もハードとともにサービスを拡充するという意気込みを示してきた。
■タッチパネル全盛期、サムスンの驚異的な開発力
一方、端末はどうか。
ソニー・エリクソンは、3.5インチの液晶とさらに12メガの高精細デジカメを搭載した「idou(アイドゥー)」を発表してきた。日本国内では8メガが最高スペックであるから、すでに日本向けよりも海外向けの方がハイスペックになってしまったようだ。
また、韓国勢もタッチパネルに力を注ぐ。サムスン電子は「Get in touch with SAMSUNG mobile」というスローガンでタッチパネルをアピールした。
サムスンがすごいのは、異なるプラットフォームでありながら、同じ操作性、同じユーザーインターフェースを実現してしまっている点だ。
昨年6月、シンガポールで発売したタッチパネルのスマートフォン「OMNIA」は、Windows Mobileを採用していた。しかし、昨年末にソフトバンクモバイルから発売された「OMNIA」は、サムスンの独自OSを搭載する。なぜなら、ワンセグといった日本独自の仕様を載せる必要があったからだ。
今回、発表された「OMNIA HD」は、新たにシンビアンOSを使っている。また、LiMOファウンデーションのブースではLiMOプラットフォームを搭載したモデルも参考出展している。
すべて同じ「TouchWiz」というユーザーインターフェースでありながら、それを異なるプラットフォームで展開できるサムスン電子。その開発力は驚異ともいえるだろう。
■アップルに再定義された世界の携帯業界
MWCの会場を巡り、すぐに思い出したのは2年前の1枚のプレスリリースだ。2007年1月10日、アップルがiPhoneを発表したとき、そこに印象的なフレーズがあった。
「アップルは携帯電話の可能性を完全に再定義します」
それから2年後、まさに世界のケータイ業界はアップルに再定義されてしまったようだ。
パソコンとの連携、音楽ビジネス、アプリケーション販売の仕組み、タッチパネルによるユーザーインターフェース――。携帯電話の開発には2年近い年月が必要とされている。まさにiPhoneの衝撃を目の当たりにした各社の答えが、ようやく今年のMWCで出てきたように感じるのだ。
今年、参加して10年目という夏野剛氏によれば「どれも端末やサービスなどの一部をまねているだけに過ぎない。アップルは端末のデザインやサービスなどを、すべてバリューチェーンとして結びつけ、新しいユーザー体験を提供したから成功した」と指摘する。
■ようやくアップルと同じ土俵に
マイクロソフト、ノキア、ソニー・エリクソン、サムスン電子など、いまようやくアップルと同じ土俵に立っただけにすぎない。
これらの会社は、パソコンとの親和性、市場シェア、音楽・家電機器との連携、技術開発力など、それぞれ強力な武器を持っている。果たして、それらをどのように生かして、今後、アップルにはないサービスと端末の連携を見せていくのか。
そういった意味で、2009年のMWCは見応えのあるものだったと言えるし、今年1年、各社の戦略がどのように進んでいくかは興味深いところだ。
GM、最終赤字3兆円 08年通期、過去2番目の損失額
【ニューヨーク=小高航】米ゼネラル・モーターズ(GM)が26日発表した2008年通期決算は、最終損益が308億6000万ドル(約3兆円)の赤字だった。07年の387億ドルに次ぐ過去2番目の赤字額で、最終赤字は4年連続となる。特に金融危機の影響を受けた10―12月期は売上高が前年同期比で34%減り、北米やアジアなど全地域で損失を計上した。3月末までに追加支援の是非を決める米政府は難しい判断を迫られそうだ。
08年通期の売上高は17%減の1489億8000万ドル。北米が23%減、アジア・太平洋地域が12%減など多くの地域で減収になった。特に北米事業は税引き前の赤字幅が141億ドル(前年は33億ドルの赤字)となり、収益の悪化が目立った。07年に続く巨額赤字の計上で08年末の債務超過額は861億ドルに膨らんだ。
日本経済新聞社、電子新聞事業化へ新組織 10年の創刊めざす
日本経済新聞社はパソコンや携帯電話などデジタル媒体で読者に新聞を届ける電子新聞の事業化に向けて、4月1日付で組織改革を実施する。来年の創刊を目指す。
電子新聞はパソコンやデジタルテレビ、携帯電話などを通じて、いつでもどこでも新聞を読めるようにする有料の新サービス。速報性や読者との双方向性など、デジタルならではの機能を盛り込み、新しい読者の開拓を狙う。
電子新聞の開発や事業運営の主体となるデジタル編成局と、電子新聞の販売を担当する第2販売局を新設。編集局に電子新聞編集本部を設ける。子会社の日本経済新聞デジタルメディアのインターネット部門を本社に統合する。
印タタ自動車、20万円の超低価格車を4月に発売
インド大手財閥傘下のタタ自動車は26日、自主開発した10万ルピー(約20万円)の超低価格車「ナノ」をインド国内で4月に発売すると発表した。昨年1月の発表時に自動車業界に衝撃を与えた世界最安の新型車が新興国の消費者にどう受け入れられるか、改めて注目を集めそうだ。
タタグループのラタン・タタ会長らが3月23日にムンバイで記者会見し、正式な価格などを公表する。4月第1週から販売店に車両を展示し、同第2週に受注を始める。昨年1月の発表以来、ナノの専用ホームページには3000万件を超えるアクセスがあり、関心の高さを示した。
ナノを巡っては昨年10月、東部の西ベンガル州で完成間際だった専用工場が一部地元農民らの反対で撤退に追い込まれ、タタは目標にしていた同月中の発売を断念した。工場は移転先の西部グジャラート州でまだ建設中であるため、当初はほかの工場で生産する。
米財政赤字、最大の171兆円 09会計年度、大統領予算方針
【ワシントン=大隅隆】オバマ米大統領は26日、中期の財政見通しと2010会計年度(09年10月―10年9月)予算の基本方針を発表した。財政見通しの中で、景気対策などに伴い09年度の財政赤字が史上最大の1兆7520億ドル(約171兆円)に拡大すると明らかにした。2010年度も1兆ドル超の赤字となる。金融安定化の公的資金枠(7000億ドル)を必要に応じ2500億ドル(約24兆5000億円)追加する。
オバマ大統領は同日の演説で「ブッシュ政権から1兆ドル超の財政赤字を引き継いだ。経済の進展に資する分野に集中する必要がある」と語った。景気悪化で一時的に赤字がさらに増えるものの、向こう10年間で不要な歳出を2兆ドル削減。2013年までに赤字を5330億ドルに圧縮する。
日経社説 1年迎えた韓国「経済」大統領の苦悩(2/27)
韓国の李明博大統領が就任して1年が過ぎた。企業経営者出身で経済に強い大統領を自任しているが、韓国経済は苦境の真っただ中にある。
李大統領の直近の支持率は30%台半ばで、6割近くあった就任時の人気には遠く及ばない。
最大の要因は経済だ。李政権は年7%の経済成長を公約したが、昨年の実質国内総生産(GDP)成長率は2.5%にとどまり、2007年の5.0%から大幅に低下した。
今年はさらに厳しさを増す見通しで、国際通貨基金(IMF)は年間成長率をマイナス4%と予測する。日米欧の主要国より厳しく、新興国も含めた20カ国・地域(G20)のなかでも最低水準である。
韓国経済は積極的な外資導入と対外貿易を柱に成長してきた。外需に依存した経済構造で、米国発の金融危機と世界同時不況の打撃をまともに受けた。輸出は急減速し、信用収縮のあおりで外資が流出。通貨ウォンは主要通貨に対して急落した。
苦境に立つ李政権は「緑のニューディール事業」を打ち出すなど、政府主導の景気対策に躍起だ。積極財政で内需拡大を目指すのは当然である。だが韓国の経済規模は日本のおよそ5分の1で、内需中心の成長モデルへの転換は容易ではない。
韓国は今、自由貿易の有益さを身にしみて感じているはずだ。李大統領の残る任期は4年。苦境のいまこそ、貿易立国として将来の成長を見据えた政策を進めるのも大切ではないか。隣国で主要貿易相手国の日本との連携強化は特に重要だろう。
日韓の経済連携協定(EPA)の早期締結はひとつの選択だ。液晶パネルなど電子製品が強みの韓国は日本製素材や部品の輸入が多く、対日貿易赤字が続いている。EPA締結で短期的には赤字が一段と膨らむかもしれないが、長期的には日本の素材・部品産業の対韓進出を促し、国内の雇用創出にもつながる。
日本も農産物の市場開放などで譲歩を検討すべきだし、日韓貿易の規制も緩和する必要がある。例えば韓国では釜山港など主要港にフェリーで到着する日本の物流トラックがそのまま目的地まで移動できるのに、日本では認められていない。
日韓が連携し自由貿易体制の堅持を世界に訴えることも大事だ。韓国はG20財務相・中央銀行総裁会議の来年の議長国で、今年4月の第2回G20緊急首脳会合(金融サミット)では英国、ブラジルとともに議長団に加わる。首脳会合で世界の保護主義の動きを阻止するのは李大統領に課せられた重要な役割である。