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ドコモ、ソフトバンク…高機能携帯、頼みは「黒船」
ケータイ先進国として世界の先頭を走ってきた日本の地位が揺らいでいる。独自の技術やサービスが集まり、その市場の閉鎖性から「ガラパゴス」と揶揄(やゆ)されたのも今は昔。需要拡大のけん引役となるスマートフォン(高機能携帯電話)では米アップル、韓国サムスン電子といった外資ばかりが目立つ。市場開拓は「黒船」頼みが強まっている。
アップルも戸惑うパフォーマンス
「あれをやっているのは世界で唯一ソフトバンクだけ」。アップル関係者が声をひそめて言う。
「あれ」とはアップルの新製品の発売日、ソフトバンクの携帯電話ショップに孫正義社長が現れて派手なイベントを開くことだ。アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」や多機能端末「iPad(アイパッド)」を片手に満面の笑顔で記念写真に収まる孫社長。その姿は新聞やテレビを通じて人々の脳裏に焼き付く。
アップルはブランドイメージ戦略に厳しい会社だ。新製品の発売日には、リンゴマークが目印の自社直営店に顧客が行列をなす映像がメディアに流れるよう仕向け、世界中で統一的なイメージを演出したいのが本音。孫社長の振る舞いは足並みを乱すスタンドプレーと映るが、販売のパートナーに面と向かって文句も言いにくい。「(ソフトバンクの)親分はお祭り好きなのだろう……」。アップル関係者はあきらめ顔だ。
孫社長の気合が入るのも無理はない。iPhoneは89カ国、iPadは26カ国で販売されているが、ソフトバンクほど自社の事業に「有効活用」している通信事業者はない。
「一言で申し上げて順調」。10月28日。記者やアナリストを集めたソフトバンクの4-9月期の決算説明会。冒頭、孫社長は上機嫌でこう発言した。営業利益、純利益とも過去最高を記録。契約純増数は約160万件に達し、売上高が微減だったNTTドコモ、減益だったKDDIのライバル2社に差をつけた。
好決算を支えるのはアップル製のiPhone。他社が出遅れたスマートフォンでの大ヒット商品はソフトバンクのブランドイメージの向上にも大きく貢献している。孫社長はiPhoneとiPadをけん引役にした業績拡大が今後も続くと強調。「私も毎日使っている。パソコンがなくても人生は成り立つ」。1時間あまりの説明会で孫社長はアップル製品の名前を連呼した。
発売イベントでiPhone4をアピールする孫正義社長(6月24日、東京・渋谷のソフトバンク表参道店)
決算説明会の翌日には東京・有楽町の日本外国特派員協会で講演。「日本のスティーブ・ジョブズと呼ばれることをどう思うか」と質問され、「スティーブ・ジョブズ(米アップル最高経営責任者=CEO)やビル・ゲイツ(米マイクロソフト会長)は偉大な友であり、私のヒーロー。そのように言っていただき大変光栄だ」とご満悦だった。
本家のアップルが戸惑うほどiPhoneやiPadに傾倒するソフトバンク。危うさはないのか。
開発費は年間5億円
IT(情報技術)企業の生命線ともいえる研究開発費。年次報告書によると、ソフトバンクが2009年度に投じたのは前年度比16%減の5億5700万円。2兆7000億円を超える売上高に占める比率はわずか0.02%だ。通信・ネットのリーディングカンパニーとのイメージとはかけ離れる。
孫社長は「自前主義の研究開発は20世紀型。ソフトバンクは世界中の資源を有効活用する」と説明する。アップルの研究開発費は2010年9月期で前年同期比34%増の17億8200万ドル(約1460億円)。アップルが生み出した技術力を踏み台にソフトバンクが好業績を上げる構図が浮かび上がる。
1990年代にはゲイツ氏率いるマイクロソフトと組んで日本でのパソコン普及に一役買い、その後、米ヤフーのサービスを国内に持ち込んでネット分野でも存在感を発揮した。そして今度はアップル。事業チャンスを逃さない孫社長の嗅覚(きゅうかく)は鋭い。ただ「他人頼み」の事業構造は、製品やサービスの調達につまずけば、とたんに足元をすくわれるリスクがつきまとう。
「ネットワークが土管化している」。ドコモの山田隆持社長はアップル製品に依存するソフトバンクをこう皮肉る。「土管」となるインフラを持っているだけで、その土管に流す通信サービスに独自性のある機能、付加価値がないという指摘だ。
ソフトバンク化するドコモ
世界の有力IT企業は、独自の技術やビジネスモデルで競争力を高めている。アップルも端末だけではなく、ソフトのネット配信や、顧客の相談に丁寧に応じる直営店の世界展開といった施策を重層的に打ち出す。通信事業者などに通信機器を売る米シスコシステムズでさえ、ジョン・チェンバースCEOが「ネットの配管業者から脱する」と宣言。企業買収などによってサービス分野への進出を急ぐ。ソフトバンクの経営は世界の有力ネット企業の指向とは逆行しているようにも見える。
実はソフトバンクは「土管」さえ手放すかもしれないという噂(うわさ)が昨年末、IT業界を駆け巡った。自社の携帯通信インフラを売却しようと孫社長が買い手を探しているという内容だった。真偽のほどは不明だが、NTTなど国内の通信大手が売却先の候補だったとされる。
ソフトバンクの「土管化」を皮肉るドコモ。しかし、状況は似たり寄ったりだ。
「iPhoneと十分に戦えると確信する」。10月5日、スマートフォンでのiPhone対抗の目玉としてドコモが発表したのは米グーグルの基本ソフト(OS)を活用した「ギャラクシーS」。山田社長が自信を見せるこの端末は韓国サムスン電子製。海外では5月下旬に売り出され、現在約100カ国で手に入り、累計販売台数はすでに700万台に達する。日本登場は欧米などより遅いが、発売日までの半月で予約件数が5万台を超える人気になっている。
ドコモもソフトバンク同様、スマートフォン市場の攻略に海外のメーカーを担ぎ出した。
さらに11月8日には、都内で今冬以降の新製品・サービスの発表会を開いた。プレゼンに立った山田社長が壇上に招いたゲストは、米シリコンバレーのベンチャー企業、エバーノートのフィル・リービンCEO。文書や画像をネット上に保存し、さまざまな端末でみられるようにする同社のサービスをギャラクシーなど主力スマートフォンに搭載すると表明した。エバーノートもすでに各国で急速に普及しているサービス。世界を見渡し、人気の高い端末やサービスを調達して顧客に提供する手法はソフトバンクと大差ない。
消える楽園ガラパゴス
ドコモの研究開発費は年間1099億円(2009年度)。アップルには及ばないものの、巨額の研究開発費を背景に、これまで「iモード」や「おサイフケータイ」など日本独自の機能やサービスをライバルのKDDIと競い合ってともに世に送り出してきた。
かつては携帯端末の開発の際に、大きさや色、ボタンの位置にまで関与するなどメーカーを丸抱えし、国内メーカーとともに「楽園ガラパゴス」を築いてきた。通信会社に縛られずに製品を自社開発するノキア(フィンランド)やサムスンなどが世界を舞台に繰り広げる競争とは隔絶した市場を日本に作ってきた。
MM総研(東京・港)の予測によれば、国内のスマートフォン市場は2010年度の386万台が15年度には2030万台に急増、携帯電話販売に占める比率は10%強から50%以上に増える見通し。今後のケータイの主戦場で、ドコモは自前主義から舵(かじ)を切った。
「もはや通信会社が独自で最先端の技術に対応できる時代ではない」。NTTグループのある役員はこう指摘する。世界に目を向ければ、通信・ネット部門は猛烈な勢いで技術革新を続けている。「ドコモはまだ自社の成功体験を捨てきれないが、もうあきらめて土管業者になったほうがいい」という。
海外からやってくる「黒船」を使ってスマートフォン市場を開拓する――。ドコモやソフトバンクの戦略は「楽園」の景色を一変させる。市場の閉鎖性に安住してきた国内メーカーは国際競争には大きく出遅れている。技術革新の大波があっという間に孤島を飲み込もうとしている。
都の漫画規制条例、修正案を再提出へ
子どものキャラクターによる露骨な性行為を描写した漫画やアニメの販売・レンタルを規制する東京都青少年健全育成条例の改正案について、東京都は15日、文言を修正の上、今月末開会予定の都議会に再提出する方針を固めた。
これまで反対していた民主党も修正内容に同意するとみられ、条例改正の公算が大きくなった。
今年3月に提出され、6月に否決された改正案は、漫画などの登場人物で「18歳未満として表現されていると認識される」ものを「非実在青少年」と定義。それに対する強姦(ごうかん)など反社会的な性描写の作品を「不健全図書」に指定し、子どもへの販売や閲覧を制限する内容だった。
再提出案では、定義があいまいで過度な規制につながる恐れがあると指摘された「非実在青少年」との文言を削除、「18歳未満」とした、規制対象のキャラクターについても具体的な言及を避けた。
SNSのマイスペース、楽曲の検索機能を強化
交流サイト(SNS)大手のマイスペース日本法人(東京・渋谷)は16日、運営するサイトを全面刷新する。利用者が興味のある楽曲や動画を検索する機能を強化するほか、お薦めの商品を知らせる機能を導入。年内には高機能携帯電話(スマートフォン)版にも対応する。フェイスブックなど競合するSNSとの差別化を進める。
これまでは、楽曲などを検索した場合、接続先のリンクが表示されるだけだったが、新機能では直接楽曲の試聴や動画の閲覧ができるようになる。
また、利用者と同じ種類のコンテンツを選んだ他の利用者の楽曲や動画を表示したり、ネット上で友人になれる機能を取り入れることで、自分の趣味にあったコンテンツを簡単に見つけやすくなる。興味のあるコンテンツに対するほかの利用者のコメントを一覧で見られるようにした。
高島屋、衣料品で製造小売り ユニクロ型で低価格
高島屋は主力の衣料品で、商品企画、素材調達から生産・販売まで一貫して手掛ける製造小売り事業に進出する。第1弾としてカシミヤを使うセーターなどを従来品の4分の1の価格で近く売り出す。百貨店は生産・販売を取引先のアパレルメーカーに依存してきたが、割高感から販売不振が続く。高品質と低価格の両立を求める消費者ニーズに対応、「ユニクロ」に代表される製造小売りモデルの構築を目指す。
冬物の婦人服を販売する高島屋の売り場(東京都中央区)
カシミヤは高島屋がモンゴルで原毛を買い付けて、中国の協力工場に生産加工を委託。100%使用の女性向けセーター・カーディガンとして17日から順次国内11店で計1万着を販売する。店頭価格は7000~8000円台で、アパレルから同等品を仕入れると3万円前後になるという。
円高を追い風に今後もシルクなど素材を海外で買い付け夏用セーター、マフラーなどを開発。男性用の商品にも広げる。自社店舗のない北海道や九州などで地方百貨店向けに卸売りも計画、年商10億円の事業に育てる方針。
商品企画から販売までを自社で管理する事業モデルは製造小売り(SPA)と呼ばれる。ファーストリテイリングのユニクロのほか、流行のファッションを提供するH&M(スウェーデン)などの「ファストファッション」などが代表。割安感と機能・デザインの高さから、衣料品不況のなかでも勢力を伸ばしている。
高島屋の2009年度の衣料品売上高は08年度比14.6%減。伊勢丹(12.1%減)や大丸(8.7%減、現在は大丸松坂屋百貨店)と比べて落ち込みが大きい。若者向けブランドを積極的に誘致する大丸などと比べて改革が遅れていた。
日本百貨店協会によると、全国の百貨店の09年衣料品売上高(既存店)は08年比13.2%減。足元も今年9月まで39カ月連続で前年実績を下回っている。
ケータイ先進国として世界の先頭を走ってきた日本の地位が揺らいでいる。独自の技術やサービスが集まり、その市場の閉鎖性から「ガラパゴス」と揶揄(やゆ)されたのも今は昔。需要拡大のけん引役となるスマートフォン(高機能携帯電話)では米アップル、韓国サムスン電子といった外資ばかりが目立つ。市場開拓は「黒船」頼みが強まっている。
アップルも戸惑うパフォーマンス
「あれをやっているのは世界で唯一ソフトバンクだけ」。アップル関係者が声をひそめて言う。
「あれ」とはアップルの新製品の発売日、ソフトバンクの携帯電話ショップに孫正義社長が現れて派手なイベントを開くことだ。アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」や多機能端末「iPad(アイパッド)」を片手に満面の笑顔で記念写真に収まる孫社長。その姿は新聞やテレビを通じて人々の脳裏に焼き付く。
アップルはブランドイメージ戦略に厳しい会社だ。新製品の発売日には、リンゴマークが目印の自社直営店に顧客が行列をなす映像がメディアに流れるよう仕向け、世界中で統一的なイメージを演出したいのが本音。孫社長の振る舞いは足並みを乱すスタンドプレーと映るが、販売のパートナーに面と向かって文句も言いにくい。「(ソフトバンクの)親分はお祭り好きなのだろう……」。アップル関係者はあきらめ顔だ。
孫社長の気合が入るのも無理はない。iPhoneは89カ国、iPadは26カ国で販売されているが、ソフトバンクほど自社の事業に「有効活用」している通信事業者はない。
「一言で申し上げて順調」。10月28日。記者やアナリストを集めたソフトバンクの4-9月期の決算説明会。冒頭、孫社長は上機嫌でこう発言した。営業利益、純利益とも過去最高を記録。契約純増数は約160万件に達し、売上高が微減だったNTTドコモ、減益だったKDDIのライバル2社に差をつけた。
好決算を支えるのはアップル製のiPhone。他社が出遅れたスマートフォンでの大ヒット商品はソフトバンクのブランドイメージの向上にも大きく貢献している。孫社長はiPhoneとiPadをけん引役にした業績拡大が今後も続くと強調。「私も毎日使っている。パソコンがなくても人生は成り立つ」。1時間あまりの説明会で孫社長はアップル製品の名前を連呼した。
発売イベントでiPhone4をアピールする孫正義社長(6月24日、東京・渋谷のソフトバンク表参道店)
決算説明会の翌日には東京・有楽町の日本外国特派員協会で講演。「日本のスティーブ・ジョブズと呼ばれることをどう思うか」と質問され、「スティーブ・ジョブズ(米アップル最高経営責任者=CEO)やビル・ゲイツ(米マイクロソフト会長)は偉大な友であり、私のヒーロー。そのように言っていただき大変光栄だ」とご満悦だった。
本家のアップルが戸惑うほどiPhoneやiPadに傾倒するソフトバンク。危うさはないのか。
開発費は年間5億円
IT(情報技術)企業の生命線ともいえる研究開発費。年次報告書によると、ソフトバンクが2009年度に投じたのは前年度比16%減の5億5700万円。2兆7000億円を超える売上高に占める比率はわずか0.02%だ。通信・ネットのリーディングカンパニーとのイメージとはかけ離れる。
孫社長は「自前主義の研究開発は20世紀型。ソフトバンクは世界中の資源を有効活用する」と説明する。アップルの研究開発費は2010年9月期で前年同期比34%増の17億8200万ドル(約1460億円)。アップルが生み出した技術力を踏み台にソフトバンクが好業績を上げる構図が浮かび上がる。
1990年代にはゲイツ氏率いるマイクロソフトと組んで日本でのパソコン普及に一役買い、その後、米ヤフーのサービスを国内に持ち込んでネット分野でも存在感を発揮した。そして今度はアップル。事業チャンスを逃さない孫社長の嗅覚(きゅうかく)は鋭い。ただ「他人頼み」の事業構造は、製品やサービスの調達につまずけば、とたんに足元をすくわれるリスクがつきまとう。
「ネットワークが土管化している」。ドコモの山田隆持社長はアップル製品に依存するソフトバンクをこう皮肉る。「土管」となるインフラを持っているだけで、その土管に流す通信サービスに独自性のある機能、付加価値がないという指摘だ。
ソフトバンク化するドコモ
世界の有力IT企業は、独自の技術やビジネスモデルで競争力を高めている。アップルも端末だけではなく、ソフトのネット配信や、顧客の相談に丁寧に応じる直営店の世界展開といった施策を重層的に打ち出す。通信事業者などに通信機器を売る米シスコシステムズでさえ、ジョン・チェンバースCEOが「ネットの配管業者から脱する」と宣言。企業買収などによってサービス分野への進出を急ぐ。ソフトバンクの経営は世界の有力ネット企業の指向とは逆行しているようにも見える。
実はソフトバンクは「土管」さえ手放すかもしれないという噂(うわさ)が昨年末、IT業界を駆け巡った。自社の携帯通信インフラを売却しようと孫社長が買い手を探しているという内容だった。真偽のほどは不明だが、NTTなど国内の通信大手が売却先の候補だったとされる。
ソフトバンクの「土管化」を皮肉るドコモ。しかし、状況は似たり寄ったりだ。
「iPhoneと十分に戦えると確信する」。10月5日、スマートフォンでのiPhone対抗の目玉としてドコモが発表したのは米グーグルの基本ソフト(OS)を活用した「ギャラクシーS」。山田社長が自信を見せるこの端末は韓国サムスン電子製。海外では5月下旬に売り出され、現在約100カ国で手に入り、累計販売台数はすでに700万台に達する。日本登場は欧米などより遅いが、発売日までの半月で予約件数が5万台を超える人気になっている。
ドコモもソフトバンク同様、スマートフォン市場の攻略に海外のメーカーを担ぎ出した。
さらに11月8日には、都内で今冬以降の新製品・サービスの発表会を開いた。プレゼンに立った山田社長が壇上に招いたゲストは、米シリコンバレーのベンチャー企業、エバーノートのフィル・リービンCEO。文書や画像をネット上に保存し、さまざまな端末でみられるようにする同社のサービスをギャラクシーなど主力スマートフォンに搭載すると表明した。エバーノートもすでに各国で急速に普及しているサービス。世界を見渡し、人気の高い端末やサービスを調達して顧客に提供する手法はソフトバンクと大差ない。
消える楽園ガラパゴス
ドコモの研究開発費は年間1099億円(2009年度)。アップルには及ばないものの、巨額の研究開発費を背景に、これまで「iモード」や「おサイフケータイ」など日本独自の機能やサービスをライバルのKDDIと競い合ってともに世に送り出してきた。
かつては携帯端末の開発の際に、大きさや色、ボタンの位置にまで関与するなどメーカーを丸抱えし、国内メーカーとともに「楽園ガラパゴス」を築いてきた。通信会社に縛られずに製品を自社開発するノキア(フィンランド)やサムスンなどが世界を舞台に繰り広げる競争とは隔絶した市場を日本に作ってきた。
MM総研(東京・港)の予測によれば、国内のスマートフォン市場は2010年度の386万台が15年度には2030万台に急増、携帯電話販売に占める比率は10%強から50%以上に増える見通し。今後のケータイの主戦場で、ドコモは自前主義から舵(かじ)を切った。
「もはや通信会社が独自で最先端の技術に対応できる時代ではない」。NTTグループのある役員はこう指摘する。世界に目を向ければ、通信・ネット部門は猛烈な勢いで技術革新を続けている。「ドコモはまだ自社の成功体験を捨てきれないが、もうあきらめて土管業者になったほうがいい」という。
海外からやってくる「黒船」を使ってスマートフォン市場を開拓する――。ドコモやソフトバンクの戦略は「楽園」の景色を一変させる。市場の閉鎖性に安住してきた国内メーカーは国際競争には大きく出遅れている。技術革新の大波があっという間に孤島を飲み込もうとしている。
都の漫画規制条例、修正案を再提出へ
子どものキャラクターによる露骨な性行為を描写した漫画やアニメの販売・レンタルを規制する東京都青少年健全育成条例の改正案について、東京都は15日、文言を修正の上、今月末開会予定の都議会に再提出する方針を固めた。
これまで反対していた民主党も修正内容に同意するとみられ、条例改正の公算が大きくなった。
今年3月に提出され、6月に否決された改正案は、漫画などの登場人物で「18歳未満として表現されていると認識される」ものを「非実在青少年」と定義。それに対する強姦(ごうかん)など反社会的な性描写の作品を「不健全図書」に指定し、子どもへの販売や閲覧を制限する内容だった。
再提出案では、定義があいまいで過度な規制につながる恐れがあると指摘された「非実在青少年」との文言を削除、「18歳未満」とした、規制対象のキャラクターについても具体的な言及を避けた。
SNSのマイスペース、楽曲の検索機能を強化
交流サイト(SNS)大手のマイスペース日本法人(東京・渋谷)は16日、運営するサイトを全面刷新する。利用者が興味のある楽曲や動画を検索する機能を強化するほか、お薦めの商品を知らせる機能を導入。年内には高機能携帯電話(スマートフォン)版にも対応する。フェイスブックなど競合するSNSとの差別化を進める。
これまでは、楽曲などを検索した場合、接続先のリンクが表示されるだけだったが、新機能では直接楽曲の試聴や動画の閲覧ができるようになる。
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高島屋、衣料品で製造小売り ユニクロ型で低価格
高島屋は主力の衣料品で、商品企画、素材調達から生産・販売まで一貫して手掛ける製造小売り事業に進出する。第1弾としてカシミヤを使うセーターなどを従来品の4分の1の価格で近く売り出す。百貨店は生産・販売を取引先のアパレルメーカーに依存してきたが、割高感から販売不振が続く。高品質と低価格の両立を求める消費者ニーズに対応、「ユニクロ」に代表される製造小売りモデルの構築を目指す。
冬物の婦人服を販売する高島屋の売り場(東京都中央区)
カシミヤは高島屋がモンゴルで原毛を買い付けて、中国の協力工場に生産加工を委託。100%使用の女性向けセーター・カーディガンとして17日から順次国内11店で計1万着を販売する。店頭価格は7000~8000円台で、アパレルから同等品を仕入れると3万円前後になるという。
円高を追い風に今後もシルクなど素材を海外で買い付け夏用セーター、マフラーなどを開発。男性用の商品にも広げる。自社店舗のない北海道や九州などで地方百貨店向けに卸売りも計画、年商10億円の事業に育てる方針。
商品企画から販売までを自社で管理する事業モデルは製造小売り(SPA)と呼ばれる。ファーストリテイリングのユニクロのほか、流行のファッションを提供するH&M(スウェーデン)などの「ファストファッション」などが代表。割安感と機能・デザインの高さから、衣料品不況のなかでも勢力を伸ばしている。
高島屋の2009年度の衣料品売上高は08年度比14.6%減。伊勢丹(12.1%減)や大丸(8.7%減、現在は大丸松坂屋百貨店)と比べて落ち込みが大きい。若者向けブランドを積極的に誘致する大丸などと比べて改革が遅れていた。
日本百貨店協会によると、全国の百貨店の09年衣料品売上高(既存店)は08年比13.2%減。足元も今年9月まで39カ月連続で前年実績を下回っている。
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ドコモの定額データプラン、オンラインゲームなどが対応
NTTドコモは、データ通信端末向けのパケット定額制サービス「定額データプラン」において、これまで利用できなかったストリーミングラジオなど一部を利用できるよう、11月16日10時より対象通信範囲を拡大する。
新たに利用できるようになるのは、インターネットラジオやオンラインゲームなどのサービス。すでにFlashによる動画サイトには対応しているが、インターネットラジオなどのストリーミング型サービスと、CABAL ONLINEなどオンラインゲーム全般が利用できるようになる。
従来通り、P2PやVoIP、一部のUDPのポートは利用が制限されているほか、直近3日間で300万パケット以上を利用すると規制対象になる場合があるといった事項に変更はない。
UQ、1年契約で月額3880円の「UQ Flat 年間パスポート」
UQコミュニケーションズは、年間契約を条件に割安な価格でWiMAX通信サービスを提供する、新しい料金プラン「UQ Flat 年間パスポート」を発表した。11月16日より提供を開始する。
「UQ Flat 年間パスポート」は、1年間の継続利用を条件に、WiMAXの通信サービスが月額3880円の定額制で利用できるサービス。同社ではこれまで、年間契約無しの定額プラン「UQ Flat」(月額4480円)などを提供してきたが、同プランが初めての年単位での契約を条件とする料金プランとなる。登録料は2835円。
更新月に変更しない場合は自動更新となる。更新月以外で解約やプラン変更を行うと、5250円の契約解除料が発生する。なお、新規の契約で2011年1月31日までに契約が完了した場合、課金開始から30日以内なら、解約および翌月末までの料金プランの変更では契約解除料が発生しない。
「UQ Flat 年間パスポート」は「WiMAX PC バリューセット」との併用も可能。その場合、登録料2835円と、通信料が最大2カ月間無料になる。
サムスンGalaxy S後継は i9100 / Galaxy 2、デュアルコアCPU採用?
韓国内だけでなく日本や米国でも人気端末となっているサムスン Galaxy S の後継機について。先日は「(2011年)前半フラッグシップ」モデルについての流出資料を掲載しましたが、今度は「Galaxy 2」の実機に触れたという人物のコメントが出てきました。携帯電話に強いジャーナリスト Eldar Murtazin 氏がなにげなく Tweet した発言で、内容は「ソニエリの anzo (原文まま) と、galaxy 2 / i9100をいじっている。ソニエリのは良くできているが、サムスンのほうは技術的にとても先を行っている。デュアルコアなど」。
Eldar Murtazin 氏といえば、未発表端末について「うっかり」漏らす癖で知られている人物です。たとえばGalaxy SのQWERTYキーボード付きモデル (のちの Epic 4G ) を " Galaxy Pro "としていち早く報じたのも同氏。また欧州向けのオリジナル Galaxy Sの型番はGT-i9000 であり、「i9100」は一世代進んだ後継機としていかにもありそうな型番ではあります。
とりあえず i9100 / Galaxy 2 が実在するとして、問題なのはそれがいつどんな形で世に出るのか。「デュアルコア」部分からすれば、たとえばARM Cortex-A9 デュアルコアを載せたサムスンの次世代 SoC " ORION " 採用機ということも考えられます。 また「サムスン製の次期 Google 携帯 Nexus S」のうわさとの関係も気になるところ。ORIONベースだとすればプロセッサはサンプルが始まったばかりであることなど時期的には微妙ですが、HTC製 Nexus One と HTC Desire の関係のように、素の Android 2.3 Gingerbreadを載せたGoogle携帯がNexus S、サムスンの独自要素を加えた兄弟機が Galaxy 2 (仮) という可能性もありそうです。
WiMAXと3Gの両方に対応した高性能Androidスマートフォン「HTC EVO 4G」に新型が登場する可能性
従来の3G通信に加えて、次世代高速通信サービス「モバイルWiMAX」をサポートした高性能なAndroidスマートフォン「HTC EVO 4G」が今年3月に登場しましたが、さらなる新型が登場する可能性があることが明らかになりました。
ちなみに「HTC EVO 4G」は4.3インチWVGAタッチパネル液晶や1GHzで駆動するQualcommのSnapdragonプロセッサ、800万画素カメラなどを搭載しており、現在はOSに最新バージョンとなる「Android 2.2」を採用しています。
アメリカの特許商標庁が開設しているデータベースによると、HTCは新たに「HTC EVO SHIFT 4G」という商標を申請したそうです。「HTC EVO SHIFT 4G」が具体的にどのような製品であるのかは不明で、商標の使用開始日についても明らかになっていませんが、この商標自体は携帯電話やスマートフォンを指すものだとされています。
ちなみにHTCはモバイルWiMAXだけでなく、次世代高速通信サービス「LTE」を採用したAndroidスマートフォン「HTC Mecha」の開発に乗り出すなど、スマートフォン分野において先行しており、先日ソフトバンクモバイルから国内最大のディスプレイを備えたハイエンドモデル「HTC Desire HD」をリリースしています。
実際に新型が発売されるのであれば、今後リリースが予定されているAndroidの最新バージョン「Gingerbread」や今年6月に発表された新型Snapdragonプロセッサを採用するなど、さらなるスペックアップが期待されます。
「HTC EVO 4G」がサポートしている通信方式「CDMA2000」を国内で唯一採用しているのは、モバイルWiMAXサービス「UQ WiMAX」を展開しているUQコミュニケーションズを子会社として抱えているKDDIなのですが、今後この端末をリリースするというようなことは無いのでしょうか。
シャープ製品説明会、国産スマートフォンで勝負する同社の狙い
シャープは15日、2010年冬春モデルの製品発表会を開催した。同社は2010年をスマートフォン元年と位置づけ、従来の携帯電話の端末開発と並行して、国内外のスマートフォンに注力していく姿勢を見せた。
プレゼンテーションを行ったシャープの情報通信事業統轄 通信システム事業本部長の大畠昌巳氏は、冒頭「今日はスマートフォンにおけるSomething New(何か新しいこと)を届けたい」と意気込みを語った。
大畠氏は、活況を呈しているスマートフォン市場の状況を資料で説明し、Android OSのシェアが2010年に17.7%、2014年には30%になるとした。また、国内の携帯電話販売数自体は横ばいだが、こうした中でもスマートフォンの比率は高まり、2010年の10.6%から、2011年には18%以上になるとの予測を示した。
さらに、Twitterなどのマイクロブログの利用者が拡大しており、スマートフォンを使ってマイクロブログを利用しているユーザーは、パソコンや一般的な携帯電話で利用しているユーザーを引き離し42.5%に上るとした。この傾向はSNSでも顕著で、スマートフォンを使ったSNSの利用は45.8%でトップ、2位は42%で携帯電話とパソコンの併用者となった。
しかし、スマートフォンの利用が活発になる一方で、従来の携帯電話で利用できていたことがスマートフォンで利用できなくなる場合があるために、スマートフォンへの移行に二の足を踏んでいるユーザーがいると大畠氏は述べた。シャープの2010年冬春モデルは、こうした市場の動向を踏まえた端末展開になっているという。
■ スマートフォン販売数、早期に500万台に
大畠氏は、インド市場向けにGSM端末を投入することを明らかにしたほか、中国市場向けには、Android OSを中国市場向けにカスタマイズした点心OS(Tapas OS)を採用したスマートフォンを投入していることを紹介。今後、3D液晶搭載モデルを海外展開する計画にも触れた。なお、点心OSは、グーグルの地図サービスなどが利用できない中国の国内事情を背景に、代替サービスやコンテンツを盛り込んだカスタマイズOSとなる。
シャープでは、今後2~3年でスマートフォン販売台数を500万台まで伸ばしていきたい考え。同社の2010年の目標販売台数は国内外で1100万台、売上げ規模は4500億円。携帯電話のシェアと同様に、スマートフォンでも3割程度を獲得したいとしている。
このほか質疑応答において、ベースモデルを国内と海外で共通化し、国内についてはローカライズして提供することで効率的な開発が可能になるとした。また、Android以外にも投入する地域に最適なOSを展開するという。
発表会後の質疑では、携帯電話業界ではネガティブな意味で使われることもある「ガラパゴス(GALAPAGOS)」をブランド名にしたことについて、当初は驚きを持って迎えられたが、「総じて温かく頑張って欲しいという声が大きい」(大畠氏)と述べた。シャープでは、「GALAPAGOS」という名称をダーウィンの進化論の起点となった、今後の進化を感じさせるポジティブなイメージとして採用したという。
7~9月のGDP、実質年率3.9%成長
4期連続プラス、駆け込み消費で上ぶれ 10~12月はマイナス成長も
内閣府が15日発表した2010年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.9%増、年率換算では3.9%増となり、4四半期連続のプラス成長となった。エコカー補助金終了やたばこ増税などをにらんだ駆け込み需要に猛暑効果が加わり、個人消費が大幅に伸びた。ただ、政策による押し上げ効果が弱まる10~12月期はマイナス成長に転じる可能性が高い。(関連記事総合・ビジネス面に)
海江田万里経済財政相は15日の記者会見で、GDP速報に関して「個人消費の伸びは一時的なものだ」と語った。さらに景気の先行きについて「足元では生産が弱含み、輸出も伸び悩んでいる」と警戒感を示した。
7~9月期の成長率は1%程度とされる日本の潜在成長率を大きく上回った。日経グループのQUICKが事前にまとめた民間予測平均は年率で前期比2.6%増。実績はこれを1.3ポイント上回った。生活実感に近い名目成長率は0.7%増、年率換算では2.9%増で、2期ぶりにプラスに転じた。
前期比でみた実質成長率0.9%は内需で押し上げられた。とくにGDPの6割弱を占める個人消費は前期比1.1%増と、4~6月期の0.1%増を大きく上回った。なかでも駆け込み需要と猛暑効果で自動車やエアコンなど耐久財が11.1%増え、成長率を0.6ポイント押し上げたのが特徴だ。値上がり前のたばこの買いだめなどで非耐久財も0.6%増えた。
設備投資は前期比0.8%増と4期連続のプラスだったが、伸び幅は4~6月期の1.8%から縮小した。住宅投資は前期比1.3%増と2期ぶりにプラスに転じた。
大幅に伸びた内需とは反対に、外需の押し上げはわずか0.02ポイントだった。これまでの景気回復を支えてきた輸出の伸びが鈍化し、前期比2.4%増にとどまった。輸入は2.7%増だった。
物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比2.0%低下と6期連続でマイナスとなった。国内の価格動向を示す内需デフレーターも1.2%低下。ともに前期からマイナス幅を広げており、デフレから抜け出せない状況が続いている。
日本、中国の名目GDP実額を下回る 7~9月
日本の名目GDP実額は4~6月期に続き、7~9月期も中国を下回った。内閣府のドル換算の試算によると、日本の1兆3719億ドルに対し、中国は1兆4154億ドルとなった。円高で日本のドル換算のGDPは押し上げられたものの、中国経済の成長ペースがこれを上回った形だ。中国は2010年に日本を抜き、米国に次ぐ世界2位の経済規模になる見通しだ。
内閣府は季節調整をかけていない数字(原数値)を参考値として公表している。ドルに換算する際に使った為替レート(期中平均)は円が1ドル=85.857円、人民元が1ドル=6.770元だった。
1~9月でみると、日本の名目GDPが3兆9674億ドルだったのに対し、中国は3兆9468億ドル。今なお日本が上回っている。
大和総研が独自に季節調整をかけて日中の名目GDPを年率換算で試算したところ、7~9月期は日本が5兆6249億ドル、中国は6兆1890億ドルだった。1~3月期以降、3四半期連続で日中が逆転しているという。
NTTドコモは、データ通信端末向けのパケット定額制サービス「定額データプラン」において、これまで利用できなかったストリーミングラジオなど一部を利用できるよう、11月16日10時より対象通信範囲を拡大する。
新たに利用できるようになるのは、インターネットラジオやオンラインゲームなどのサービス。すでにFlashによる動画サイトには対応しているが、インターネットラジオなどのストリーミング型サービスと、CABAL ONLINEなどオンラインゲーム全般が利用できるようになる。
従来通り、P2PやVoIP、一部のUDPのポートは利用が制限されているほか、直近3日間で300万パケット以上を利用すると規制対象になる場合があるといった事項に変更はない。
UQ、1年契約で月額3880円の「UQ Flat 年間パスポート」
UQコミュニケーションズは、年間契約を条件に割安な価格でWiMAX通信サービスを提供する、新しい料金プラン「UQ Flat 年間パスポート」を発表した。11月16日より提供を開始する。
「UQ Flat 年間パスポート」は、1年間の継続利用を条件に、WiMAXの通信サービスが月額3880円の定額制で利用できるサービス。同社ではこれまで、年間契約無しの定額プラン「UQ Flat」(月額4480円)などを提供してきたが、同プランが初めての年単位での契約を条件とする料金プランとなる。登録料は2835円。
更新月に変更しない場合は自動更新となる。更新月以外で解約やプラン変更を行うと、5250円の契約解除料が発生する。なお、新規の契約で2011年1月31日までに契約が完了した場合、課金開始から30日以内なら、解約および翌月末までの料金プランの変更では契約解除料が発生しない。
「UQ Flat 年間パスポート」は「WiMAX PC バリューセット」との併用も可能。その場合、登録料2835円と、通信料が最大2カ月間無料になる。
サムスンGalaxy S後継は i9100 / Galaxy 2、デュアルコアCPU採用?
韓国内だけでなく日本や米国でも人気端末となっているサムスン Galaxy S の後継機について。先日は「(2011年)前半フラッグシップ」モデルについての流出資料を掲載しましたが、今度は「Galaxy 2」の実機に触れたという人物のコメントが出てきました。携帯電話に強いジャーナリスト Eldar Murtazin 氏がなにげなく Tweet した発言で、内容は「ソニエリの anzo (原文まま) と、galaxy 2 / i9100をいじっている。ソニエリのは良くできているが、サムスンのほうは技術的にとても先を行っている。デュアルコアなど」。
Eldar Murtazin 氏といえば、未発表端末について「うっかり」漏らす癖で知られている人物です。たとえばGalaxy SのQWERTYキーボード付きモデル (のちの Epic 4G ) を " Galaxy Pro "としていち早く報じたのも同氏。また欧州向けのオリジナル Galaxy Sの型番はGT-i9000 であり、「i9100」は一世代進んだ後継機としていかにもありそうな型番ではあります。
とりあえず i9100 / Galaxy 2 が実在するとして、問題なのはそれがいつどんな形で世に出るのか。「デュアルコア」部分からすれば、たとえばARM Cortex-A9 デュアルコアを載せたサムスンの次世代 SoC " ORION " 採用機ということも考えられます。 また「サムスン製の次期 Google 携帯 Nexus S」のうわさとの関係も気になるところ。ORIONベースだとすればプロセッサはサンプルが始まったばかりであることなど時期的には微妙ですが、HTC製 Nexus One と HTC Desire の関係のように、素の Android 2.3 Gingerbreadを載せたGoogle携帯がNexus S、サムスンの独自要素を加えた兄弟機が Galaxy 2 (仮) という可能性もありそうです。
WiMAXと3Gの両方に対応した高性能Androidスマートフォン「HTC EVO 4G」に新型が登場する可能性
従来の3G通信に加えて、次世代高速通信サービス「モバイルWiMAX」をサポートした高性能なAndroidスマートフォン「HTC EVO 4G」が今年3月に登場しましたが、さらなる新型が登場する可能性があることが明らかになりました。
ちなみに「HTC EVO 4G」は4.3インチWVGAタッチパネル液晶や1GHzで駆動するQualcommのSnapdragonプロセッサ、800万画素カメラなどを搭載しており、現在はOSに最新バージョンとなる「Android 2.2」を採用しています。
アメリカの特許商標庁が開設しているデータベースによると、HTCは新たに「HTC EVO SHIFT 4G」という商標を申請したそうです。「HTC EVO SHIFT 4G」が具体的にどのような製品であるのかは不明で、商標の使用開始日についても明らかになっていませんが、この商標自体は携帯電話やスマートフォンを指すものだとされています。
ちなみにHTCはモバイルWiMAXだけでなく、次世代高速通信サービス「LTE」を採用したAndroidスマートフォン「HTC Mecha」の開発に乗り出すなど、スマートフォン分野において先行しており、先日ソフトバンクモバイルから国内最大のディスプレイを備えたハイエンドモデル「HTC Desire HD」をリリースしています。
実際に新型が発売されるのであれば、今後リリースが予定されているAndroidの最新バージョン「Gingerbread」や今年6月に発表された新型Snapdragonプロセッサを採用するなど、さらなるスペックアップが期待されます。
「HTC EVO 4G」がサポートしている通信方式「CDMA2000」を国内で唯一採用しているのは、モバイルWiMAXサービス「UQ WiMAX」を展開しているUQコミュニケーションズを子会社として抱えているKDDIなのですが、今後この端末をリリースするというようなことは無いのでしょうか。
シャープ製品説明会、国産スマートフォンで勝負する同社の狙い
シャープは15日、2010年冬春モデルの製品発表会を開催した。同社は2010年をスマートフォン元年と位置づけ、従来の携帯電話の端末開発と並行して、国内外のスマートフォンに注力していく姿勢を見せた。
プレゼンテーションを行ったシャープの情報通信事業統轄 通信システム事業本部長の大畠昌巳氏は、冒頭「今日はスマートフォンにおけるSomething New(何か新しいこと)を届けたい」と意気込みを語った。
大畠氏は、活況を呈しているスマートフォン市場の状況を資料で説明し、Android OSのシェアが2010年に17.7%、2014年には30%になるとした。また、国内の携帯電話販売数自体は横ばいだが、こうした中でもスマートフォンの比率は高まり、2010年の10.6%から、2011年には18%以上になるとの予測を示した。
さらに、Twitterなどのマイクロブログの利用者が拡大しており、スマートフォンを使ってマイクロブログを利用しているユーザーは、パソコンや一般的な携帯電話で利用しているユーザーを引き離し42.5%に上るとした。この傾向はSNSでも顕著で、スマートフォンを使ったSNSの利用は45.8%でトップ、2位は42%で携帯電話とパソコンの併用者となった。
しかし、スマートフォンの利用が活発になる一方で、従来の携帯電話で利用できていたことがスマートフォンで利用できなくなる場合があるために、スマートフォンへの移行に二の足を踏んでいるユーザーがいると大畠氏は述べた。シャープの2010年冬春モデルは、こうした市場の動向を踏まえた端末展開になっているという。
■ スマートフォン販売数、早期に500万台に
大畠氏は、インド市場向けにGSM端末を投入することを明らかにしたほか、中国市場向けには、Android OSを中国市場向けにカスタマイズした点心OS(Tapas OS)を採用したスマートフォンを投入していることを紹介。今後、3D液晶搭載モデルを海外展開する計画にも触れた。なお、点心OSは、グーグルの地図サービスなどが利用できない中国の国内事情を背景に、代替サービスやコンテンツを盛り込んだカスタマイズOSとなる。
シャープでは、今後2~3年でスマートフォン販売台数を500万台まで伸ばしていきたい考え。同社の2010年の目標販売台数は国内外で1100万台、売上げ規模は4500億円。携帯電話のシェアと同様に、スマートフォンでも3割程度を獲得したいとしている。
このほか質疑応答において、ベースモデルを国内と海外で共通化し、国内についてはローカライズして提供することで効率的な開発が可能になるとした。また、Android以外にも投入する地域に最適なOSを展開するという。
発表会後の質疑では、携帯電話業界ではネガティブな意味で使われることもある「ガラパゴス(GALAPAGOS)」をブランド名にしたことについて、当初は驚きを持って迎えられたが、「総じて温かく頑張って欲しいという声が大きい」(大畠氏)と述べた。シャープでは、「GALAPAGOS」という名称をダーウィンの進化論の起点となった、今後の進化を感じさせるポジティブなイメージとして採用したという。
7~9月のGDP、実質年率3.9%成長
4期連続プラス、駆け込み消費で上ぶれ 10~12月はマイナス成長も
内閣府が15日発表した2010年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.9%増、年率換算では3.9%増となり、4四半期連続のプラス成長となった。エコカー補助金終了やたばこ増税などをにらんだ駆け込み需要に猛暑効果が加わり、個人消費が大幅に伸びた。ただ、政策による押し上げ効果が弱まる10~12月期はマイナス成長に転じる可能性が高い。(関連記事総合・ビジネス面に)
海江田万里経済財政相は15日の記者会見で、GDP速報に関して「個人消費の伸びは一時的なものだ」と語った。さらに景気の先行きについて「足元では生産が弱含み、輸出も伸び悩んでいる」と警戒感を示した。
7~9月期の成長率は1%程度とされる日本の潜在成長率を大きく上回った。日経グループのQUICKが事前にまとめた民間予測平均は年率で前期比2.6%増。実績はこれを1.3ポイント上回った。生活実感に近い名目成長率は0.7%増、年率換算では2.9%増で、2期ぶりにプラスに転じた。
前期比でみた実質成長率0.9%は内需で押し上げられた。とくにGDPの6割弱を占める個人消費は前期比1.1%増と、4~6月期の0.1%増を大きく上回った。なかでも駆け込み需要と猛暑効果で自動車やエアコンなど耐久財が11.1%増え、成長率を0.6ポイント押し上げたのが特徴だ。値上がり前のたばこの買いだめなどで非耐久財も0.6%増えた。
設備投資は前期比0.8%増と4期連続のプラスだったが、伸び幅は4~6月期の1.8%から縮小した。住宅投資は前期比1.3%増と2期ぶりにプラスに転じた。
大幅に伸びた内需とは反対に、外需の押し上げはわずか0.02ポイントだった。これまでの景気回復を支えてきた輸出の伸びが鈍化し、前期比2.4%増にとどまった。輸入は2.7%増だった。
物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比2.0%低下と6期連続でマイナスとなった。国内の価格動向を示す内需デフレーターも1.2%低下。ともに前期からマイナス幅を広げており、デフレから抜け出せない状況が続いている。
日本、中国の名目GDP実額を下回る 7~9月
日本の名目GDP実額は4~6月期に続き、7~9月期も中国を下回った。内閣府のドル換算の試算によると、日本の1兆3719億ドルに対し、中国は1兆4154億ドルとなった。円高で日本のドル換算のGDPは押し上げられたものの、中国経済の成長ペースがこれを上回った形だ。中国は2010年に日本を抜き、米国に次ぐ世界2位の経済規模になる見通しだ。
内閣府は季節調整をかけていない数字(原数値)を参考値として公表している。ドルに換算する際に使った為替レート(期中平均)は円が1ドル=85.857円、人民元が1ドル=6.770元だった。
1~9月でみると、日本の名目GDPが3兆9674億ドルだったのに対し、中国は3兆9468億ドル。今なお日本が上回っている。
大和総研が独自に季節調整をかけて日中の名目GDPを年率換算で試算したところ、7~9月期は日本が5兆6249億ドル、中国は6兆1890億ドルだった。1~3月期以降、3四半期連続で日中が逆転しているという。
FOMA網併用が徒となるドコモLTEの料金体系
NTTドコモは8日、、年内に開始するとしていたXi(クロッシィ)サービスを12月24日から提供開始すると発表した。Xiは、最大37.5Mbpsの通信速度をサポートしたLTEを利用するサービスである。サービス開始直後はエリアが限られており、LTEのサービスが受けられない地域ではFOMA網を利用することになる。LTEの帯域は、現在最速のUQコミュニケーションズによるモバイルWiMAXに匹敵するのだが、予想された通り、PCのデータ通信に最適化されたサービスというより、高速化された携帯電話サービスという色彩が強い。
●縛りやキャンペーンの存在するXiの料金体系
それを最も強く感じるのは、料金体系である。複数の料金プランに制約を前提にした割引やキャンペーンのからんだ複雑で分かりにくい携帯電話の料金体系は、Xiサービスにも引き継がれている。端末の価格を割り引いたり、2年間利用することを前提に利用料金を割り引いたりと複雑で、注意書きがたくさんある。帯域制限も受け継がれており、極めて“ケータイ的"な印象だ。
Xiの料金体系は、大きく分けて、2年縛りとなる「Xiデータプランにねん」と、2年縛りのない「Xiデータプラン」の2種類。いずれも2段階制定額に青天井の容量拡張を組み合わせたもので、3MBまで、5GBまでの2段階の定額プランと、それを超えると2GBごとに2,625円が加算されていく仕組みを合わせたものとなっている。つまり、5GBを超えると、使った分だけ、2GBごとに上限なく2,625円が加算されていく。
現在NTTドコモは3.5Gサービス(FOMA)において、上限のあるデータ通信サービス(定額制サービス)を提供しており、こと上限料金の設定という点でXiは後退してしまったと言える。データ専用端末によるFOMAのデータ通信は、2年縛り前提なら月額5,985円を上限とした定額制となっているのに、FOMAより電波の利用効率が良いハズのLTEを用いたXiに上限設定がないのはなぜなのだろう。
ややこしいのは、2012年4月30日までは、「スタートキャンペーン」と称して、上限を4,935円(Xiデータプランにねん)、あるいは6,405円(Xiデータプラン)に設定した定額制料金が設定されていることだ(対応プロバイダ料金は別)。つまり最大で約16カ月は、定額制で利用でき、しかもFOMAのみの2年縛りより1,000円ほど毎月の利用料金が割安になる(2年縛りのXiデータプランにねんの場合)わけだが、それでも残りの8カ月は青天井で利用することが求められる。
キャンペーン期間終了後は、2年縛りで月額6,510円(5GBまで)で、2GBごとに2,625円加算だから、2年間の利用を前提にすると、FOMAのデータ通信のみを利用するユーザーでも、Xiデータプランにねんに入って、最後の8カ月を5GBを超えないよう注意して使った方が、利用料金だけなら安くなる、ということになる。ただし端末代が別途かかるので、トータルでどれくらい違うかは、現時点では不明だ。
●現実のデータ通信に即していないドコモの想定
ハッキリいって、ここまで書いてきただけで、筆者はイヤになった。制約や注意書きの多い料金体系はもちろん、対応プロバイダ料金などのオプション課金の存在、そして決定的なのは、青天井の料金体系である。世界の大半の携帯電話会社が採用を決めているという理由で、LTEを将来のモバイルブロードバンドの主役と考えている人は多いようだが、こんなにややこしいサービスなら筆者はまっぴらごめんだ。
そもそも広帯域のネットワークに期待するのは、その帯域に見合った利用であり、サービスだ。当然、帯域の狭いサービスよりデータの使用量は増える。料金を青天井にした上で、一定以上の利用に対しては帯域制限をするというのでは、何のためのブロードバンドサービスなのだろうと思う。Xiサービスでも従来同様、直近の3日間のデータ通信料が300万パケット(約370MB)以上になった利用者に対して、帯域制限を行うという。3日間でたったの370MB、月間で5GBという規制は、3.5Gであれば妥当なものかもしれないが、ブロードバンドを名乗るサービスの規制としては似つかわしくない。
もちろん、現在の定額制をベースにしたInternetサービス(回線を含む)において、ごく一部のユーザーが大半の帯域を使っていることが問題視されていることは理解している。多くのユーザーの利益を守るために、あまりにも帯域を消費するユーザーに対しては、何らかの措置が必要だということも理解する。が、370MBに5GBでは、次世代の高速モバイルブロードバンドという看板が泣く。まるで、北米のキャリアが、3Gによる年間契約のデータ通信サービスに対して現在課している容量制限のようだ。北米では、3Gのデータ通信サービスは、もっぱら企業向けで、個人で契約するユーザーは極めて限られている。
NTTドコモは、この5GBという容量の目安として、Webサイト閲覧17,500回(1ページ300KB程度を想定)、メール送受信(1KB程度を想定)で約524万通、動画(平均512Kbpsを想定)で約1,370分、音楽(1曲4分、約4MBを想定)で約1,250曲、という例を挙げている。音楽はともかく、その他の設定で前提とされているデータ量は、PC用のデータ通信というより、iモードのデータ通信ではないかと思う。Flashの貼られたページを閲覧すれば、1MBなど軽く超えるし、PDFや高解像度のJPEGイメージが添付されたメールが送られてくるのがPCのデータ通信だ。
ここ数年、筆者が利用しているサービスに、NFL Game Passというものがある。これは、NFL(アメリカンフットボールのプロリーグ)が、国外在住のファン向けに、NFLの試合をリアルタイムでインターネット中継するサービスだ。料金は1シーズン279.99ドル(2010年シーズンの場合)だが、シーズン途中からの加入用に割引料金も設定されている。今シーズンで3年目だか4年目で、昨年からHD化した。最大3Mbpsの720pによる生中継である(その前はラジオの有償中継だった)。3Mbps以下でも中継を見ることは可能だが、画面がノイズだらけになり、肝心のボールの行方を追うことが難しくなる。
NFLの試合は、米国東部時間の日曜13時、16時、20時半の3パターンに、月曜日の20時半の4回に分けて行なわれる。それぞれ日本時間にして、月曜日未明の3時、6時、10時半、そして火曜日朝の10時半ということになる(サマータイムが終わった11月以降の場合)。筆者はこのスケジュールに合わせて、日曜日は夜の20時にはベッドに入ることにしているが、10時半スタートのゲームに関しては、自宅で見ることができないことも少なくない。たとえば11時から12時までの発表会や説明会に出席すると、帰宅するのは13時頃で、以前は試合の結果を歴史として知ることがほとんどだった。
ところがUQのWiMAXがあれば、とりあえず自宅に戻る前に、コーヒーショップでも公園でも、ノートPCを開けば試合の後半をそのまま見ることができる。現時点でこれが可能なのはWiMAXだけだ。ほかのワイヤレスサービスでは、理論上の通信速度は十分でも、安定して3Mbpsの通信を維持することが難しい。少なくとも都内の地表面(地下や高層ビルの上層階は除く)であれば、どこでノートPCを開いても、その瞬間に米国で行なわれているフットボールの試合を見ることができるというのは、ちょっと前なら考えられなかったことであり、まさにモバイルブロードバンドを実感する。
おそらくLTEでも、通信の帯域的には同じことが可能だろう。だが、料金体系や帯域制限が邪魔をする。アメリカンフットボールの1試合は約3時間だから、3Mbpsのデータレートでは1試合でおおよそ4GBとなる。現在の料金体系なら2試合目で早くも追加料金が発生するし、月曜朝の試合を見ると、火曜朝の試合は帯域制限で見ることができない、ということになりかねない。筆者にとっては使えないサービスだ。
もちろん、こうした利用が今のところ一般的とは言えないことは承知している。国内の利用者はわずかだろう。しかし、これは実験でも夢でもなく、すでに実用化された商用サービスなのである。
●原因はFOMA網の併用
LTEの料金を定額にすることができない理由の1つは、当面はFOMAサービスを併用せざるを得ないからだろう。LTEも、サービス開始直後は、そのサービスエリアは極めて限られる。都内の場合、初期のサービスエリアはおおよそ山手線内プラスアルファといった感じで、つながらない、圏外ばかりと評判の悪かったWiMAXの立ち上げ時と利用範囲に大差はない。
LTEがWiMAXと大きく異なるのは、サービスエリア外でもFOMAにフォールバックして利用可能であることだ。つまり、遅くなっても、全くつながらないことをまず考えなくて済むことになる。それは大きなアドバンテージに違いないが、FOMA網を併用するがゆえに、データ通信が携帯電話サービスに支障を与えないようにする必要がある。LTEと同じ感覚で、FOMAを使われては困る、ということではないかと思う。
携帯電話サービスを併用しない(併用できなかった)WiMAXは、サービスエリアの狭さに悩んだ(地方では今も悩んでいる)ものの、併用しないがゆえに携帯電話サービスに起因する制約がない。将来的な可能性は否定しないものの、今のところ、帯域制限や容量制限は存在しない。もちろん、携帯電話サービスに頼れないということは、データ通信だけでエコシステムを作れるか(採算ベースに乗せられるか)、ということでもあり、ここに不安を感じるユーザーも多いのだろう。
つまり、つながれば高速で料金体系も分かりやすい反面、圏外になる不安と国際的な普及が進むかどうか懸念されるWiMAXと、圏外になる不安はないものの、当面は料金体系が分かりにくく、帯域制限により大量のデータ通信向きではないXiサービスというのが、現時点での色分けとなる。
おそらくNTTドコモとしては、基地局の整備と、LTEによる利用範囲の拡大を見ながら、料金プランを改訂していこうという考えなのだと思う。エリアの大半をFOMAに依存せず、LTEでカバーできるようになれば、定額制の料金を導入する可能性は十分にあるだろうし、帯域制限も緩和されるのではないかと筆者は考える(問題は、それがいつになるか、だが)。ただ、携帯電話の音声サービスや携帯電話端末によるデータ通信も、いずれはLTEにしていく方向性であることを考えると、XiがWiMAXほどフラットな料金体系になることはないのではないかとも思う。
また、国際的な普及が確実視されるLTEだが、各国でどのようなバンドプランが使われるのか、まだ結論は出ていない。LTE同士であっても、バンドプランが違えば機器の相互利用はできない。おそらくLTEで国際ローミングが可能になるのは、相当先の話だろう。それに対してWiMAXでは、エリアが限定されるとはいえ、最も利用者の多い米国と日本間で国際ローミングが可能になっている。
当分の間は、こうした点を考慮しつつ、どんなサービスと契約するのかを決めていくことになるのだろうが、やはり残念でならないのは、Xiが最初から定額を前提とした料金プランを提示できなかったことだ。たとえ定額料金が高くなっても、定額プランを用意して欲しかった。それは、現在のInternetのエコシステムが、広告を前提にしているからだ。定額制でない料金体系は、広告のパケット代をユーザーが負担することを意味する。それが最終的にはユーザーによる広告のブロックを招くかもしれない。そんな料金プランを最大手のNTTドコモが提示したという点に疑問を感じる。
NTTドコモは8日、、年内に開始するとしていたXi(クロッシィ)サービスを12月24日から提供開始すると発表した。Xiは、最大37.5Mbpsの通信速度をサポートしたLTEを利用するサービスである。サービス開始直後はエリアが限られており、LTEのサービスが受けられない地域ではFOMA網を利用することになる。LTEの帯域は、現在最速のUQコミュニケーションズによるモバイルWiMAXに匹敵するのだが、予想された通り、PCのデータ通信に最適化されたサービスというより、高速化された携帯電話サービスという色彩が強い。
●縛りやキャンペーンの存在するXiの料金体系
それを最も強く感じるのは、料金体系である。複数の料金プランに制約を前提にした割引やキャンペーンのからんだ複雑で分かりにくい携帯電話の料金体系は、Xiサービスにも引き継がれている。端末の価格を割り引いたり、2年間利用することを前提に利用料金を割り引いたりと複雑で、注意書きがたくさんある。帯域制限も受け継がれており、極めて“ケータイ的"な印象だ。
Xiの料金体系は、大きく分けて、2年縛りとなる「Xiデータプランにねん」と、2年縛りのない「Xiデータプラン」の2種類。いずれも2段階制定額に青天井の容量拡張を組み合わせたもので、3MBまで、5GBまでの2段階の定額プランと、それを超えると2GBごとに2,625円が加算されていく仕組みを合わせたものとなっている。つまり、5GBを超えると、使った分だけ、2GBごとに上限なく2,625円が加算されていく。
現在NTTドコモは3.5Gサービス(FOMA)において、上限のあるデータ通信サービス(定額制サービス)を提供しており、こと上限料金の設定という点でXiは後退してしまったと言える。データ専用端末によるFOMAのデータ通信は、2年縛り前提なら月額5,985円を上限とした定額制となっているのに、FOMAより電波の利用効率が良いハズのLTEを用いたXiに上限設定がないのはなぜなのだろう。
ややこしいのは、2012年4月30日までは、「スタートキャンペーン」と称して、上限を4,935円(Xiデータプランにねん)、あるいは6,405円(Xiデータプラン)に設定した定額制料金が設定されていることだ(対応プロバイダ料金は別)。つまり最大で約16カ月は、定額制で利用でき、しかもFOMAのみの2年縛りより1,000円ほど毎月の利用料金が割安になる(2年縛りのXiデータプランにねんの場合)わけだが、それでも残りの8カ月は青天井で利用することが求められる。
キャンペーン期間終了後は、2年縛りで月額6,510円(5GBまで)で、2GBごとに2,625円加算だから、2年間の利用を前提にすると、FOMAのデータ通信のみを利用するユーザーでも、Xiデータプランにねんに入って、最後の8カ月を5GBを超えないよう注意して使った方が、利用料金だけなら安くなる、ということになる。ただし端末代が別途かかるので、トータルでどれくらい違うかは、現時点では不明だ。
●現実のデータ通信に即していないドコモの想定
ハッキリいって、ここまで書いてきただけで、筆者はイヤになった。制約や注意書きの多い料金体系はもちろん、対応プロバイダ料金などのオプション課金の存在、そして決定的なのは、青天井の料金体系である。世界の大半の携帯電話会社が採用を決めているという理由で、LTEを将来のモバイルブロードバンドの主役と考えている人は多いようだが、こんなにややこしいサービスなら筆者はまっぴらごめんだ。
そもそも広帯域のネットワークに期待するのは、その帯域に見合った利用であり、サービスだ。当然、帯域の狭いサービスよりデータの使用量は増える。料金を青天井にした上で、一定以上の利用に対しては帯域制限をするというのでは、何のためのブロードバンドサービスなのだろうと思う。Xiサービスでも従来同様、直近の3日間のデータ通信料が300万パケット(約370MB)以上になった利用者に対して、帯域制限を行うという。3日間でたったの370MB、月間で5GBという規制は、3.5Gであれば妥当なものかもしれないが、ブロードバンドを名乗るサービスの規制としては似つかわしくない。
もちろん、現在の定額制をベースにしたInternetサービス(回線を含む)において、ごく一部のユーザーが大半の帯域を使っていることが問題視されていることは理解している。多くのユーザーの利益を守るために、あまりにも帯域を消費するユーザーに対しては、何らかの措置が必要だということも理解する。が、370MBに5GBでは、次世代の高速モバイルブロードバンドという看板が泣く。まるで、北米のキャリアが、3Gによる年間契約のデータ通信サービスに対して現在課している容量制限のようだ。北米では、3Gのデータ通信サービスは、もっぱら企業向けで、個人で契約するユーザーは極めて限られている。
NTTドコモは、この5GBという容量の目安として、Webサイト閲覧17,500回(1ページ300KB程度を想定)、メール送受信(1KB程度を想定)で約524万通、動画(平均512Kbpsを想定)で約1,370分、音楽(1曲4分、約4MBを想定)で約1,250曲、という例を挙げている。音楽はともかく、その他の設定で前提とされているデータ量は、PC用のデータ通信というより、iモードのデータ通信ではないかと思う。Flashの貼られたページを閲覧すれば、1MBなど軽く超えるし、PDFや高解像度のJPEGイメージが添付されたメールが送られてくるのがPCのデータ通信だ。
ここ数年、筆者が利用しているサービスに、NFL Game Passというものがある。これは、NFL(アメリカンフットボールのプロリーグ)が、国外在住のファン向けに、NFLの試合をリアルタイムでインターネット中継するサービスだ。料金は1シーズン279.99ドル(2010年シーズンの場合)だが、シーズン途中からの加入用に割引料金も設定されている。今シーズンで3年目だか4年目で、昨年からHD化した。最大3Mbpsの720pによる生中継である(その前はラジオの有償中継だった)。3Mbps以下でも中継を見ることは可能だが、画面がノイズだらけになり、肝心のボールの行方を追うことが難しくなる。
NFLの試合は、米国東部時間の日曜13時、16時、20時半の3パターンに、月曜日の20時半の4回に分けて行なわれる。それぞれ日本時間にして、月曜日未明の3時、6時、10時半、そして火曜日朝の10時半ということになる(サマータイムが終わった11月以降の場合)。筆者はこのスケジュールに合わせて、日曜日は夜の20時にはベッドに入ることにしているが、10時半スタートのゲームに関しては、自宅で見ることができないことも少なくない。たとえば11時から12時までの発表会や説明会に出席すると、帰宅するのは13時頃で、以前は試合の結果を歴史として知ることがほとんどだった。
ところがUQのWiMAXがあれば、とりあえず自宅に戻る前に、コーヒーショップでも公園でも、ノートPCを開けば試合の後半をそのまま見ることができる。現時点でこれが可能なのはWiMAXだけだ。ほかのワイヤレスサービスでは、理論上の通信速度は十分でも、安定して3Mbpsの通信を維持することが難しい。少なくとも都内の地表面(地下や高層ビルの上層階は除く)であれば、どこでノートPCを開いても、その瞬間に米国で行なわれているフットボールの試合を見ることができるというのは、ちょっと前なら考えられなかったことであり、まさにモバイルブロードバンドを実感する。
おそらくLTEでも、通信の帯域的には同じことが可能だろう。だが、料金体系や帯域制限が邪魔をする。アメリカンフットボールの1試合は約3時間だから、3Mbpsのデータレートでは1試合でおおよそ4GBとなる。現在の料金体系なら2試合目で早くも追加料金が発生するし、月曜朝の試合を見ると、火曜朝の試合は帯域制限で見ることができない、ということになりかねない。筆者にとっては使えないサービスだ。
もちろん、こうした利用が今のところ一般的とは言えないことは承知している。国内の利用者はわずかだろう。しかし、これは実験でも夢でもなく、すでに実用化された商用サービスなのである。
●原因はFOMA網の併用
LTEの料金を定額にすることができない理由の1つは、当面はFOMAサービスを併用せざるを得ないからだろう。LTEも、サービス開始直後は、そのサービスエリアは極めて限られる。都内の場合、初期のサービスエリアはおおよそ山手線内プラスアルファといった感じで、つながらない、圏外ばかりと評判の悪かったWiMAXの立ち上げ時と利用範囲に大差はない。
LTEがWiMAXと大きく異なるのは、サービスエリア外でもFOMAにフォールバックして利用可能であることだ。つまり、遅くなっても、全くつながらないことをまず考えなくて済むことになる。それは大きなアドバンテージに違いないが、FOMA網を併用するがゆえに、データ通信が携帯電話サービスに支障を与えないようにする必要がある。LTEと同じ感覚で、FOMAを使われては困る、ということではないかと思う。
携帯電話サービスを併用しない(併用できなかった)WiMAXは、サービスエリアの狭さに悩んだ(地方では今も悩んでいる)ものの、併用しないがゆえに携帯電話サービスに起因する制約がない。将来的な可能性は否定しないものの、今のところ、帯域制限や容量制限は存在しない。もちろん、携帯電話サービスに頼れないということは、データ通信だけでエコシステムを作れるか(採算ベースに乗せられるか)、ということでもあり、ここに不安を感じるユーザーも多いのだろう。
つまり、つながれば高速で料金体系も分かりやすい反面、圏外になる不安と国際的な普及が進むかどうか懸念されるWiMAXと、圏外になる不安はないものの、当面は料金体系が分かりにくく、帯域制限により大量のデータ通信向きではないXiサービスというのが、現時点での色分けとなる。
おそらくNTTドコモとしては、基地局の整備と、LTEによる利用範囲の拡大を見ながら、料金プランを改訂していこうという考えなのだと思う。エリアの大半をFOMAに依存せず、LTEでカバーできるようになれば、定額制の料金を導入する可能性は十分にあるだろうし、帯域制限も緩和されるのではないかと筆者は考える(問題は、それがいつになるか、だが)。ただ、携帯電話の音声サービスや携帯電話端末によるデータ通信も、いずれはLTEにしていく方向性であることを考えると、XiがWiMAXほどフラットな料金体系になることはないのではないかとも思う。
また、国際的な普及が確実視されるLTEだが、各国でどのようなバンドプランが使われるのか、まだ結論は出ていない。LTE同士であっても、バンドプランが違えば機器の相互利用はできない。おそらくLTEで国際ローミングが可能になるのは、相当先の話だろう。それに対してWiMAXでは、エリアが限定されるとはいえ、最も利用者の多い米国と日本間で国際ローミングが可能になっている。
当分の間は、こうした点を考慮しつつ、どんなサービスと契約するのかを決めていくことになるのだろうが、やはり残念でならないのは、Xiが最初から定額を前提とした料金プランを提示できなかったことだ。たとえ定額料金が高くなっても、定額プランを用意して欲しかった。それは、現在のInternetのエコシステムが、広告を前提にしているからだ。定額制でない料金体系は、広告のパケット代をユーザーが負担することを意味する。それが最終的にはユーザーによる広告のブロックを招くかもしれない。そんな料金プランを最大手のNTTドコモが提示したという点に疑問を感じる。
KDDI、LTE開始まで綱渡りの2年間 高速化競争の勝者は
KDDIが次世代携帯通信サービス「LTE」を開始するのは、NTTドコモから2年遅れの2012年12月。高速化競争ではNTTドコモやイー・モバイルに大きく引き離され、向こう2年間はUQコミュニケーションズの高速データ通信サービス「WiMAX」との連携が生命線となる。14年までにNTTドコモを上回る約5150億円をLTEに投資して一気の追い上げを狙うが、KDDIの次世代移行は綱渡りが続く。
“逆襲”のなかの「地味な」サービス
10月18日、KDDIが開いた今秋~来春商戦の新製品発表会。スマートフォン3機種をはじめ計23機種をそろえ、スカイプ・テクノロジーズ(ルクセンブルク)との提携も発表して、「KDDIの逆襲」をアピールした。このとき併せて発表したのが、高速データ通信サービス「WIN HIGH SPEED」だ。
通信速度は下り方向で最大毎秒9.2メガビット、上り方向で最大毎秒5.5メガビット。当初はスマートフォン2機種を含む7機種が対応し、端末の発売と同時に大都市圏や県庁所在地からサービスを開始する。KDDI商品開発統括本部の湯本敏彦モバイルネットワーク開発本部長は「これまで毎秒1メガビット程度だったEZwebの実効速度を、毎秒3.7メガ程度に高められる。全体の7~8割の地域で高速化のメリットを得られる」と説明する。
ただ、KDDI次期社長の田中孝司専務が発表会見で「ちょっと地味」と口を滑らせたように、WIN HIGH SPEEDはこの日の主役ではなかった。というのも、最大速度が他社の新サービスに比べ大きく見劣りするうえ、対応機種が当初は音声通話端末に限られるからだ。
NTTドコモが今年12月24日に開始するLTEサービス「Xi(クロッシィ)」は、最大速度が下り毎秒37.5メガビット(屋内など一部は毎秒75メガビット)、上り毎秒12.5メガビット(一部は毎秒25メガビット)。また、イー・モバイルが11月19日に開始するDC-HSDPAと呼ぶ技術を使った「EMOBILE G4」は、最大速度が下り毎秒42メガビット、上り毎秒5.8メガビットだ。両社ともサービス開始時はパソコンなどに接続するデータ通信端末を発売する。ソフトバンクモバイルも2011年2月下旬以降、DC-HSDPAのサービスを始める。
LTEは3.9世代(3.9G)携帯電話システムに、DC-HSDPAは3.5世代(3.5G)を高度化させた技術に分類される。一方、KDDIがWIN HIGH SPEEDで採用した「EVDOマルチキャリア」はそれらよりも前の世代の技術にとどまる。次世代通信の主戦場となるデータ通信端末では自社の手駒がないことになる。
なぜLTE開始が遅れるのか
肝心のLTEをKDDIが開始するのは12年12月の予定。この遅れの背景には、KDDIがLTEの基盤周波数に800MHz帯を使おうとしている事情がある。
800MHz帯は電波の浸透率が高く全国カバーに適しているが、800MHz帯は総務省の政策に基づき周波数の再配置作業が続いている。そのためKDDIは再配置が完了するまであえてLTEの開始を先送りし、総務省から3.9Gサービスのために割り当てられた1.5GHz帯周波数は、800MHz帯で賄いきれない回線容量の補完帯域として活用しようとしている。
ただ、携帯電話ネットワークのトラフィックは急増を続けており、高速化へのニーズは高まる一方だ。パソコンはもちろん、最近急増しているスマートフォンや米アップルの「iPad」をはじめとするタブレット端末、カーナビゲーションシステムなど端末も多様化している。これらの新型端末とネット経由でソフトやサービスを提供するクラウドコンピューティングを連携させるサービスも育ち始めた。
こうした需要が他社に流れるのを防ぎ、LTEまでの2年間をつなぐ技術としてKDDIが見込むのが、UQコミュニケーションズのWiMAXサービス「UQ WiMAX」だ。09年7月に正式サービスを開始し、最大速度は下り毎秒40メガビット、上り毎秒10メガビットと速度では遜色(そんしょく)ない。KDDIはUQの経営権は持たないものの出資比率は45%で、携帯電話4社のなかでは唯一、UQの回線を借りるMVNOとしてWiMAXサービスを扱っている。
LTEが携帯電話の進化型であるのに対し、WiMAXは無線LANなどのデータ通信から派生した技術。データ通信に限れば、LTEと同じ新型の変調方式を採用するなど高速化手法は近いが、音声通話に対応していないなど根本的な思想がLTEとは異なる。
KDDIは今年6月、1台で3Gデータ通信とWiMAXの両方を使えるデュアルモードのデータ通信端末を4機種投入した。この端末はWiMAXを使えるエリアでは高速なデータ通信を利用でき、それ以外の地域は従来の3Gで通信する。
KDDIのLTE実験用基地局
NTTドコモも、サービス開始当初は3GとLTEを連携させ徐々にLTEのエリアを拡大していく。使う技術は異なるものの、端末側が複数の通信方式をサポートするサービスである点は共通している。
KDDIはデュアルモード端末で個人向けとビジネス向けの2種類の料金メニューを用意した。個人向けは月額最大5750円、ビジネス向けは最大6580円で、価格設定は他社の新サービスとさほど変わらない。
開始は1年半先行したが・・・
WiMAXは当初はつながりにくさが指摘されたが、UQはこの1年あまりで改善を進めてきた。「開始以来、実際の環境でサービスを提供しながらチューニングしてきた。これから始まる他社のサービスに対するアドバンテージになる」(UQの野坂章雄社長)。
ただし、KDDIにとっていくつかの懸念材料もある。6月に発売したデュアルモード端末は、3GとWiMAXを自動的に切り替える機能にトラブルが発生した。法人ユーザーのVPN(仮想私設網)ソフトやそのバージョンによって、ネットワークの切り替え時にリンクが切断する事例が発生。「その場合は、ネットワークを手動で切り替えることを勧めている」(KDDI)。一部のケースに過ぎないことを割り引くとしても、携帯電話がベースの3Gとデータ通信用のWiMAXの連携が技術的に容易でないことがうかがえる。
しかもWiMAXで使う2.5GHz帯周波数には直進性が強い特性があり、屋内に電波が入りにくいという課題が付いて回る。この問題をクリアするため、UQは電波が届きにくいオフィスや会議室に電波を中継する機器を用意して、エリア整備に当たっている。それでも「サービス開始時のエリアの狭さは、いまだにユーザーの記憶に残っており、顧客獲得の足を引っ張っている」と野村総合研究所コンサルティング事業本部情報・通信コンサルティング部長の桑津浩太郎主席コンサルタントは指摘する。
海外の動向も不安の一つだ。米国の主要WiMAX事業者であるクリアワイヤがLTE導入の検討を具体化させたことなどがきっかけとなり、「WiMAX陣営の勢いが一気に失速してきた」と情報通信総合研究所グローバル研究グループの岸田重行主任研究員は語る。商用化で先行したこの2~3年で市場を取っていれば状況は違ったかもしれないが、多くの通信事業者が携帯電話と親和性が高いLTEの採用に動いたため、データ通信がベースのWiMAX陣営は劣勢となっている。事業者数が少なければ海外で使える地域は限られ、端末価格も高止まりしてしまう。
国際電気通信連合(ITU)は10月下旬、次々世代の超高速データ通信となる4G携帯電話システムの国際規格に、LTEの発展型である「LTE-Advanced」とWiMAXの発展型である「WirelessMAN-Advanced」をともに採用すると決めた。国際規格を定める標準化機関からは将来のお墨付きを得たかたちだが、通信事業者などが選ぶ業界標準としてWiMAXの存在感をどう高めるかは、UQのみならずKDDIにとっても大きな課題となる。
LTEの「垂直立ち上げ」は成功するか
KDDIはLTEを開始する12年12月から14年度末の約2年間での巻き返しを狙っている。NTTドコモの1.5倍に当たる5150億円をつぎ込んで、人口カバー率で96.5%を目指す。さらにサービス開始時点で音声通話端末も販売し、データ通信以外の用途にも拡大する。
しかし、先行するドコモも11年には音声端末を投入する。WiMAXで料金競争を挑むなど大胆な方策をとらないと、LTEをはじめとする他社サービスに市場を奪われ、LTEで勝負をかける12年には、その場所は既になくなっているかもしれない。
会談実現、まだ出発点
オバマ米大統領の歴訪に同行してアジアを巡った。汚い長屋の隣に最新デザインのビルが建ち、そこらじゅうで道路工事の音が騒がしい。どこからわいたかと思うほどの数の子どもたち。インド12億人の半数以上は30歳未満だ。風景は高度経済成長期の日本と重なる。
最後の訪問地・横浜にはかつてのようにせかせか歩く人はいなかった。時間が止まったような日本にふさわしく、オバマ氏と菅直人首相の会談はごく和やかだった。
日本は視線の外
鳩山前政権のときのようにオバマ氏が「普天間移設が進展していない」と詰問する場面はなかったし、11日の米韓や米中の首脳会談みたいに経済摩擦を巡り双方が声を荒らげることもなかった。
日米に続き、菅氏は実現が心配された中国やロシアとの首脳会談も無事こなした。「周到な準備をされましたね」。胡錦濤主席にはねぎらいの言葉をかけられた。相次ぐ外交失点で支持率を落とした菅氏は胡主席を送り出した直後、「ふ~」と大きく息を吐いた。
台頭する中国と渡り合うには日米連携が欠かせない。米国は過去1年余りの日米対立を棚上げしたのか。オバマ氏に近い米民主党の関係者に聞くと、答えはイエスでもノーでもなかった。
米側からみると、何かとふらつく菅氏の外交姿勢はかなり危うげだ。だが、喫緊の課題は対中包囲網づくりのカギを握るインドや東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の引き寄せ。多くの場合、日本は視線の外だ。
「やはり一番大事だからな」。米側の事情を知ってか知らずか、一連の外交日程に先立つ勉強会で菅氏が熱心に耳を傾けたのが日米関係だった。
英語が不得手で、国際会議の社交の場では1人で手持ちぶさたにしていることが多いのに、今回はソウルで勇気を奮ってオバマ氏に「横浜で会うのを楽しみにしています」と話しかけた。
問題はやる気と裏腹に日本外交の戦略が描けていないことだ。
首脳会談をしたといっても中国ともロシアとも懸案が片付いたわけではない。メドベージェフ大統領は今後も北方領土を占有すると言い切っており、事態はむしろ一段と悪化した。言葉で日米重視を打ち出せば、中国の東シナ海進出は止まるのか。ロシアは再び領土交渉の席に着くのか。外交はそれほど単純ではあるまい。
米中は備え厚く
米政府にTPPへの参加検討を内々に伝えた際、日本政府関係者は驚いた。キャンベル国務次官補が「この件ですでに中国と話している」と明かしたからだ。
シンクタンク新米国安全保障研究所のクローニン上級顧問はいう。「中国に触れずにアジアを語ることはできない」。にらみ合いつつ、組むときは組み、切るべき仁義は切る。米中とも外交は二枚腰、三枚腰だ。
そもそも菅氏が公約した日米重視はきちんと中身が伴っているのか。
10月、ワシントンでのセミナー。「気候変動、新エネルギー対策などで日米協力を重ね、同盟を再軌道に乗せよう」。日米の有識者の議論にボーイング社幹部が割って入った。「普天間はコア・イシューだ」。これを解決しない限り、日米改善はない、と指摘され、会場はしんとした。
菅氏は6月に普天間に関する日米合意の履行を約束したが、風向きが悪くなると代替施設の建設工法の8月決定などの段取りをほごにした。今回もオバマ氏に28日の沖縄県知事選後に「最大限の努力をする」と明言。もはやその場しのぎの口約束では済まされない。菅氏には一息入れている余裕など全くない。
KDDIが次世代携帯通信サービス「LTE」を開始するのは、NTTドコモから2年遅れの2012年12月。高速化競争ではNTTドコモやイー・モバイルに大きく引き離され、向こう2年間はUQコミュニケーションズの高速データ通信サービス「WiMAX」との連携が生命線となる。14年までにNTTドコモを上回る約5150億円をLTEに投資して一気の追い上げを狙うが、KDDIの次世代移行は綱渡りが続く。
“逆襲”のなかの「地味な」サービス
10月18日、KDDIが開いた今秋~来春商戦の新製品発表会。スマートフォン3機種をはじめ計23機種をそろえ、スカイプ・テクノロジーズ(ルクセンブルク)との提携も発表して、「KDDIの逆襲」をアピールした。このとき併せて発表したのが、高速データ通信サービス「WIN HIGH SPEED」だ。
通信速度は下り方向で最大毎秒9.2メガビット、上り方向で最大毎秒5.5メガビット。当初はスマートフォン2機種を含む7機種が対応し、端末の発売と同時に大都市圏や県庁所在地からサービスを開始する。KDDI商品開発統括本部の湯本敏彦モバイルネットワーク開発本部長は「これまで毎秒1メガビット程度だったEZwebの実効速度を、毎秒3.7メガ程度に高められる。全体の7~8割の地域で高速化のメリットを得られる」と説明する。
ただ、KDDI次期社長の田中孝司専務が発表会見で「ちょっと地味」と口を滑らせたように、WIN HIGH SPEEDはこの日の主役ではなかった。というのも、最大速度が他社の新サービスに比べ大きく見劣りするうえ、対応機種が当初は音声通話端末に限られるからだ。
NTTドコモが今年12月24日に開始するLTEサービス「Xi(クロッシィ)」は、最大速度が下り毎秒37.5メガビット(屋内など一部は毎秒75メガビット)、上り毎秒12.5メガビット(一部は毎秒25メガビット)。また、イー・モバイルが11月19日に開始するDC-HSDPAと呼ぶ技術を使った「EMOBILE G4」は、最大速度が下り毎秒42メガビット、上り毎秒5.8メガビットだ。両社ともサービス開始時はパソコンなどに接続するデータ通信端末を発売する。ソフトバンクモバイルも2011年2月下旬以降、DC-HSDPAのサービスを始める。
LTEは3.9世代(3.9G)携帯電話システムに、DC-HSDPAは3.5世代(3.5G)を高度化させた技術に分類される。一方、KDDIがWIN HIGH SPEEDで採用した「EVDOマルチキャリア」はそれらよりも前の世代の技術にとどまる。次世代通信の主戦場となるデータ通信端末では自社の手駒がないことになる。
なぜLTE開始が遅れるのか
肝心のLTEをKDDIが開始するのは12年12月の予定。この遅れの背景には、KDDIがLTEの基盤周波数に800MHz帯を使おうとしている事情がある。
800MHz帯は電波の浸透率が高く全国カバーに適しているが、800MHz帯は総務省の政策に基づき周波数の再配置作業が続いている。そのためKDDIは再配置が完了するまであえてLTEの開始を先送りし、総務省から3.9Gサービスのために割り当てられた1.5GHz帯周波数は、800MHz帯で賄いきれない回線容量の補完帯域として活用しようとしている。
ただ、携帯電話ネットワークのトラフィックは急増を続けており、高速化へのニーズは高まる一方だ。パソコンはもちろん、最近急増しているスマートフォンや米アップルの「iPad」をはじめとするタブレット端末、カーナビゲーションシステムなど端末も多様化している。これらの新型端末とネット経由でソフトやサービスを提供するクラウドコンピューティングを連携させるサービスも育ち始めた。
こうした需要が他社に流れるのを防ぎ、LTEまでの2年間をつなぐ技術としてKDDIが見込むのが、UQコミュニケーションズのWiMAXサービス「UQ WiMAX」だ。09年7月に正式サービスを開始し、最大速度は下り毎秒40メガビット、上り毎秒10メガビットと速度では遜色(そんしょく)ない。KDDIはUQの経営権は持たないものの出資比率は45%で、携帯電話4社のなかでは唯一、UQの回線を借りるMVNOとしてWiMAXサービスを扱っている。
LTEが携帯電話の進化型であるのに対し、WiMAXは無線LANなどのデータ通信から派生した技術。データ通信に限れば、LTEと同じ新型の変調方式を採用するなど高速化手法は近いが、音声通話に対応していないなど根本的な思想がLTEとは異なる。
KDDIは今年6月、1台で3Gデータ通信とWiMAXの両方を使えるデュアルモードのデータ通信端末を4機種投入した。この端末はWiMAXを使えるエリアでは高速なデータ通信を利用でき、それ以外の地域は従来の3Gで通信する。
KDDIのLTE実験用基地局
NTTドコモも、サービス開始当初は3GとLTEを連携させ徐々にLTEのエリアを拡大していく。使う技術は異なるものの、端末側が複数の通信方式をサポートするサービスである点は共通している。
KDDIはデュアルモード端末で個人向けとビジネス向けの2種類の料金メニューを用意した。個人向けは月額最大5750円、ビジネス向けは最大6580円で、価格設定は他社の新サービスとさほど変わらない。
開始は1年半先行したが・・・
WiMAXは当初はつながりにくさが指摘されたが、UQはこの1年あまりで改善を進めてきた。「開始以来、実際の環境でサービスを提供しながらチューニングしてきた。これから始まる他社のサービスに対するアドバンテージになる」(UQの野坂章雄社長)。
ただし、KDDIにとっていくつかの懸念材料もある。6月に発売したデュアルモード端末は、3GとWiMAXを自動的に切り替える機能にトラブルが発生した。法人ユーザーのVPN(仮想私設網)ソフトやそのバージョンによって、ネットワークの切り替え時にリンクが切断する事例が発生。「その場合は、ネットワークを手動で切り替えることを勧めている」(KDDI)。一部のケースに過ぎないことを割り引くとしても、携帯電話がベースの3Gとデータ通信用のWiMAXの連携が技術的に容易でないことがうかがえる。
しかもWiMAXで使う2.5GHz帯周波数には直進性が強い特性があり、屋内に電波が入りにくいという課題が付いて回る。この問題をクリアするため、UQは電波が届きにくいオフィスや会議室に電波を中継する機器を用意して、エリア整備に当たっている。それでも「サービス開始時のエリアの狭さは、いまだにユーザーの記憶に残っており、顧客獲得の足を引っ張っている」と野村総合研究所コンサルティング事業本部情報・通信コンサルティング部長の桑津浩太郎主席コンサルタントは指摘する。
海外の動向も不安の一つだ。米国の主要WiMAX事業者であるクリアワイヤがLTE導入の検討を具体化させたことなどがきっかけとなり、「WiMAX陣営の勢いが一気に失速してきた」と情報通信総合研究所グローバル研究グループの岸田重行主任研究員は語る。商用化で先行したこの2~3年で市場を取っていれば状況は違ったかもしれないが、多くの通信事業者が携帯電話と親和性が高いLTEの採用に動いたため、データ通信がベースのWiMAX陣営は劣勢となっている。事業者数が少なければ海外で使える地域は限られ、端末価格も高止まりしてしまう。
国際電気通信連合(ITU)は10月下旬、次々世代の超高速データ通信となる4G携帯電話システムの国際規格に、LTEの発展型である「LTE-Advanced」とWiMAXの発展型である「WirelessMAN-Advanced」をともに採用すると決めた。国際規格を定める標準化機関からは将来のお墨付きを得たかたちだが、通信事業者などが選ぶ業界標準としてWiMAXの存在感をどう高めるかは、UQのみならずKDDIにとっても大きな課題となる。
LTEの「垂直立ち上げ」は成功するか
KDDIはLTEを開始する12年12月から14年度末の約2年間での巻き返しを狙っている。NTTドコモの1.5倍に当たる5150億円をつぎ込んで、人口カバー率で96.5%を目指す。さらにサービス開始時点で音声通話端末も販売し、データ通信以外の用途にも拡大する。
しかし、先行するドコモも11年には音声端末を投入する。WiMAXで料金競争を挑むなど大胆な方策をとらないと、LTEをはじめとする他社サービスに市場を奪われ、LTEで勝負をかける12年には、その場所は既になくなっているかもしれない。
会談実現、まだ出発点
オバマ米大統領の歴訪に同行してアジアを巡った。汚い長屋の隣に最新デザインのビルが建ち、そこらじゅうで道路工事の音が騒がしい。どこからわいたかと思うほどの数の子どもたち。インド12億人の半数以上は30歳未満だ。風景は高度経済成長期の日本と重なる。
最後の訪問地・横浜にはかつてのようにせかせか歩く人はいなかった。時間が止まったような日本にふさわしく、オバマ氏と菅直人首相の会談はごく和やかだった。
日本は視線の外
鳩山前政権のときのようにオバマ氏が「普天間移設が進展していない」と詰問する場面はなかったし、11日の米韓や米中の首脳会談みたいに経済摩擦を巡り双方が声を荒らげることもなかった。
日米に続き、菅氏は実現が心配された中国やロシアとの首脳会談も無事こなした。「周到な準備をされましたね」。胡錦濤主席にはねぎらいの言葉をかけられた。相次ぐ外交失点で支持率を落とした菅氏は胡主席を送り出した直後、「ふ~」と大きく息を吐いた。
台頭する中国と渡り合うには日米連携が欠かせない。米国は過去1年余りの日米対立を棚上げしたのか。オバマ氏に近い米民主党の関係者に聞くと、答えはイエスでもノーでもなかった。
米側からみると、何かとふらつく菅氏の外交姿勢はかなり危うげだ。だが、喫緊の課題は対中包囲網づくりのカギを握るインドや東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の引き寄せ。多くの場合、日本は視線の外だ。
「やはり一番大事だからな」。米側の事情を知ってか知らずか、一連の外交日程に先立つ勉強会で菅氏が熱心に耳を傾けたのが日米関係だった。
英語が不得手で、国際会議の社交の場では1人で手持ちぶさたにしていることが多いのに、今回はソウルで勇気を奮ってオバマ氏に「横浜で会うのを楽しみにしています」と話しかけた。
問題はやる気と裏腹に日本外交の戦略が描けていないことだ。
首脳会談をしたといっても中国ともロシアとも懸案が片付いたわけではない。メドベージェフ大統領は今後も北方領土を占有すると言い切っており、事態はむしろ一段と悪化した。言葉で日米重視を打ち出せば、中国の東シナ海進出は止まるのか。ロシアは再び領土交渉の席に着くのか。外交はそれほど単純ではあるまい。
米中は備え厚く
米政府にTPPへの参加検討を内々に伝えた際、日本政府関係者は驚いた。キャンベル国務次官補が「この件ですでに中国と話している」と明かしたからだ。
シンクタンク新米国安全保障研究所のクローニン上級顧問はいう。「中国に触れずにアジアを語ることはできない」。にらみ合いつつ、組むときは組み、切るべき仁義は切る。米中とも外交は二枚腰、三枚腰だ。
そもそも菅氏が公約した日米重視はきちんと中身が伴っているのか。
10月、ワシントンでのセミナー。「気候変動、新エネルギー対策などで日米協力を重ね、同盟を再軌道に乗せよう」。日米の有識者の議論にボーイング社幹部が割って入った。「普天間はコア・イシューだ」。これを解決しない限り、日米改善はない、と指摘され、会場はしんとした。
菅氏は6月に普天間に関する日米合意の履行を約束したが、風向きが悪くなると代替施設の建設工法の8月決定などの段取りをほごにした。今回もオバマ氏に28日の沖縄県知事選後に「最大限の努力をする」と明言。もはやその場しのぎの口約束では済まされない。菅氏には一息入れている余裕など全くない。
ラジオ番組ネット配信の新会社、電通などが設立へ
電通とラジオ局13社はラジオ番組のインターネット配信を事業化する。ネット配信の事業会社を12月1日に設立し、電波での放送と同時にパソコンと高機能携帯電話(スマートフォン)に無料配信する。配信エリアは首都圏と関西に限定するが、将来的には他地域のラジオ局の参加も検討する。ネット配信に伴う広告の拡大で収益の幅を広げるのが狙い。
新会社の社長や出資比率は現在調整中。ニッポン放送や文化放送など首都圏7局と関西6局は今年3月から「radiko(ラジコ)」と呼ぶ共同サイトを通じて同サービスの試験配信を始め、年内の実用化を目指していた。試験期間中はサイト画面に企業の広告枠を設けていなかったが、12月からの本格配信に合わせて広告も付く。
来年以降には首都圏、関西以外のラジオ局の参加やNHK番組の配信も視野に入れる。また通常の携帯電話への番組配信やミニブログ「ツイッター」と連動したサービスなども検討する。
ネット配信によるラジオ番組は、都市部のビル陰など電波が届きにくい場所でも音質がきれいに聞こえる利点がある。また受信機自体を持っていない若年層らにネットで番組を聴く機会を提供し、新たな聴取者を掘り起こす狙いがある。
KDDI、オンキヨーのタブレット端末を高速無線付きで販売
KDDI(au)はオンキヨーが開発したタブレット型情報端末と高速無線通信端末をセットにして、19日から販売する。米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」を搭載した国内メーカー初のタブレット端末で、ビジネス需要が見込めると判断。価格も抑えめにして米アップルや韓国サムスン電子のタブレット端末を販売するソフトバンクやNTTドコモに対抗する。
KDDIが売り出すタブレット端末はオンキヨーが近く発売する「TWシリーズ」の最上位機種で、液晶画面は11.6型。メモリーを増設するとともにタッチパネル式のボタン表示を大きくした独自仕様にし、高速無線「WiMAX」と携帯電話回線でインターネットが利用できる通信端末を付けて販売する。通信端末はUSB接続する。
KDDIが販促費として4万2000円を負担し、店頭料金は3万円を下回る見込み。家電量販店より割安に購入できるという。ただ月1925~6695円の定額料金プランの契約が条件になる。ビジネスマンや企業向け需要を見込み、携帯販売店「auショップ」930店で販売する。
サイバーエージェント、採用に交流サイト活用
サイバーエージェントは交流サイト(SNS)などソーシャルメディアを使った採用活動を本格的に始める。世界最大のSNSである米フェイスブック経由の採用枠を設けるほか、インターネット上の仮想空間で会社説明会や面接を実施。SNSは就職面でも情報交換の場として利用が増えており、全国各地から有能な新卒・中途採用者を確保するねらいだ。
日本語版フェイスブックに、採用活動専用のサイトを近く開設する。2012年度の新卒採用で予定する計160人のうち、10人をフェイスブック枠に設定。11年度の中途採用でも10人をフェイスブック経由とする。
採用サイトには社員インタビューやオフィスの様子などを公開。学生らが掲示板に質問を寄せると、社員が回答する。11年初頭には東京都内でフェイスブック利用者に限定したイベントも開く。
一方、12月にはフェイスブック経由以外の採用も対象に、利用者同士が交流できるサイバーエージェントの仮想空間サービス「アメーバピグ」内のドームで採用説明会を実施する。志望者は事前にリクルートの就職情報サイト「リクナビ」を通じて登録。約1000人が参加でき、簡単な質疑応答も実施するという。
サイバーエージェントなどネット企業が注力するアプリケーションソフトの開発分野では、有能な技術者の獲得競争が激化。地方や海外在住者を対象とするウエブ面接も始めている。
ビックカメラが免税専門店 秋葉原で外国人客争奪戦
家電製品やアニメグッズも
ビックカメラは今月中に東京・秋葉原に訪日外国人客向けの免税専門店を開く。免税品はこれまで店内に設けた専用売り場で扱っていたが、中国人をはじめとした外国人客の増加を受けて採算に合うと判断した。近隣地区ではラオックスやヨドバシカメラも専用売り場を強化しており、訪日客を巡る家電量販店同士の争奪戦が激化する。
免税店への改装を進めるソフマップ店舗(東京・千代田)
11月中旬をめどに、子会社のソフマップが秋葉原に持つ「パソコン総合館」を改装する。店名は「アキバデューティーフリーズ」。同店の売り場面積は約2100平方メートル。地上7階建て店舗の1~4階で、海外の電圧などに対応したカメラ、炊飯器、パソコンなどの家電製品を扱う。このほか、外国人にも人気のアニメグッズやつめ切りといった日用雑貨などもそろえる。
免税店は6カ月以内の短期滞在の旅行者が対象。商品購入の際にパスポートを提示すると1度の会計額が1万500円超であれば、消費税分の5%を実質的に割り引く。
販売員の3分の1は中国語や英語、韓国語で接客できる人材を配置する。1階部分には今後、訪日客向けの観光案内コーナーを設け、近隣の飲食店などの紹介サービスも始める。団体客の誘致を狙い、旅行会社などへも売り込む考えだ。
ビックは10月に外国人客専用のポイントカードの発行を大手量販で初めて開始。中国人客の増加などを見込み、「外国人の囲い込みを進める」(宮嶋宏幸社長)方針だ。
日本政府観光局(JNTO)によると、9月の訪日外客数(推計)は71万7800人で前年同月比34%増えた。羽田空港の国際化などを受け今後も増加傾向が続くとみられる。海外でも電気街として有名な秋葉原には多くの訪日客が訪れており、ヨドバシの秋葉原店を訪れる外国人客数は前年から2~3割増えているという。
他社も訪日客向けの対策を強化している。中国・蘇寧電器(南京市)傘下のラオックスは、買い物目当ての外国人観光客が多く集まる東京・銀座の百貨店、松坂屋銀座店(東京・中央)内に20日出店する。免税専門館である東京・秋葉原の本店も9月下旬に改装し、品ぞろえを拡充した。ヨドバシは秋葉原店で、中国語などが話せる人材を今年に入り2.5倍に増やした。
省エネ家電の購入を促す家電エコポイント制度などの恩恵を受け、家電量販各社の業績は上向いている。ただ政策効果を除けば市場の飽和感は強まっており、各社は将来の成長策が急務。外国人旅行客の取り込みはそのための一手となる。
オラクルとアップル、Java技術で連携
【シリコンバレー=岡田信行】米IT(情報技術)大手のオラクルとアップルが12日、プログラミング言語「Java(ジャバ)」技術で連携すると発表した。オラクルは10月に宿敵IBMと同様の連携を発表する一方、グーグルに対しては8月にジャバ関連の特許侵害で提訴。同様にグーグルと対立するアップルを自陣営に引き込み、グーグル包囲網を強化する形になった。
両社が協力するのは、「オープンJDK」と呼ばれる開発キットに関する技術。従来、アップルは自社の基本ソフト(OS)「マックOS」向けに、ジャバ技術を使える開発キットを自社開発してきた。
今回の連携により、アップルは現行ソフトの提供を続けながら、オラクル主導のオープンJDKの枠内でマック版を開発・提供する。両社はオープンソース(無料公開)環境でソフトを作る技術者が開発しやすい条件を整えることで、ソフト開発者の支持を集め、中長期的に自社のソフトやデジタル機器の販売につなげる。
ジャバを巡っては、世界的にスマートフォンへの搭載が進んでいるグーグルのOS「アンドロイド」が、オラクルが持つジャバの技術を侵害しているとして、オラクルが8月にグーグルを提訴。IBM、アップルの有力2社を味方に引き入れたオラクルと、グーグルの対立は長期化が避けられない状況だ。
航海士処分、海保まだ本格検討せず…議論は今後
尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡る映像流出事件は、映像流出を告白した神戸海上保安部の主任航海士(43)の取り調べが中断しており、逮捕するかどうかの判断は週明け以降に持ち越された。
過去の国家公務員法違反のケースでは、秘密を漏えいした職員が懲戒処分を受ける一方、起訴を免れているケースも多く、処分の仕方が今後、議論になりそうだ。
◆懲戒処分の行方◆
主任航海士の懲戒処分について、海上保安庁はまだ本格的な検討をしていない。幹部は「捜査で事実関係が固まらないと、議論しようがない」と言う。
国家公務員法では、同法やその他の職務上の義務に違反した場合に、懲戒処分を行うことができるとしており、過去の秘密漏えい事件では停職や免職になっているケースが目立つ。
元総務事務次官の増島俊之氏(74)は、「個人情報なども多数取り扱う官公庁で、個々の職員が『公開すべきと思った』という理由で、組織として非公表としている情報を公表してしまったら、秩序を保つことはできない。懲戒処分を行うことは、公務員組織としては当然だ」と指摘する。
ただ、増島氏は、「刑事処分に問うかは別だ」とする。2007年には、受刑者の経歴などをブログに書き込んだ徳島刑務所の看守部長が、停職3か月とされる一方、徳島地検が「懲戒処分で社会的制裁を受けた」として不起訴(起訴猶予)としている。
【産経主張】日中首脳会談 禍根残した友好第一主義
横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、日中首脳会談が行われたことは前向きに受け止めたい。だが、菅直人首相が尖閣問題で「日本の確固たる立場を伝えた」のに対し、胡錦濤国家主席も「中国の立場」を表明したという。首相は尖閣についての日本の主張を繰り返したにすぎない。
わずか20分余りの会談で、尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件の本質が日本の主権の侵害であるという肝心の点が強調できたのか。首脳の顔合わせという友好の演出が優先され、「戦略的互恵関係」の促進というお題目の表明にとどまった印象は否めない。
北方領土問題で議論が平行線に終わった日露首脳会談と同様、マイナス点をつけざるを得ない。
9月7日の漁船衝突事件から2カ月余、菅政権は「尖閣諸島は中国領土」と強弁する中国政府に振り回され、悉(ことごと)く対応を誤った。その根幹は中国漁船と乗組員を早々に送り返し、公務執行妨害容疑で逮捕した船長を処分保留で釈放したことだ。その措置を「検察の判断」としたのも問題だ。
事件の様子を記録した海上保安庁撮影のビデオ映像もごく一部を少数の国会議員に限定公開したにすぎない。中国側への過剰な配慮としかいえない弱腰姿勢が、海上保安官によるビデオ映像の流出を招いたのは言うまでもない。
この間に中国側が示した威圧的な対抗措置は枚挙にいとまがない。東シナ海ガス田共同開発に関する日中両政府の条約締結交渉会合の延期▽ガス田への掘削用とみられる機材の搬入▽ハイテク製品に不可欠なレアアース(希土類)の事実上の輸出制限-などである。こうした肝心の課題について明確な方向性も出さずに首脳会談が終わったのは残念だ。
日本側は数日前から「30~40分程度」の会談実現を要望していた。しかし中国側は回答せず、直前になって応諾したものの実質的な議論ができないような短時間の設定となった。日本側の駆け引きの稚拙さにも苦言を呈したい。
一方、日露首脳会談では、菅首相はロシアのメドベージェフ大統領の国後島訪問について、「わが国の立場、日本国民の感情から受け入れられない」と抗議したという。尖閣諸島の問題でも、中国に対して、同様の毅然(きぜん)とした姿勢を貫くべきである。
電通とラジオ局13社はラジオ番組のインターネット配信を事業化する。ネット配信の事業会社を12月1日に設立し、電波での放送と同時にパソコンと高機能携帯電話(スマートフォン)に無料配信する。配信エリアは首都圏と関西に限定するが、将来的には他地域のラジオ局の参加も検討する。ネット配信に伴う広告の拡大で収益の幅を広げるのが狙い。
新会社の社長や出資比率は現在調整中。ニッポン放送や文化放送など首都圏7局と関西6局は今年3月から「radiko(ラジコ)」と呼ぶ共同サイトを通じて同サービスの試験配信を始め、年内の実用化を目指していた。試験期間中はサイト画面に企業の広告枠を設けていなかったが、12月からの本格配信に合わせて広告も付く。
来年以降には首都圏、関西以外のラジオ局の参加やNHK番組の配信も視野に入れる。また通常の携帯電話への番組配信やミニブログ「ツイッター」と連動したサービスなども検討する。
ネット配信によるラジオ番組は、都市部のビル陰など電波が届きにくい場所でも音質がきれいに聞こえる利点がある。また受信機自体を持っていない若年層らにネットで番組を聴く機会を提供し、新たな聴取者を掘り起こす狙いがある。
KDDI、オンキヨーのタブレット端末を高速無線付きで販売
KDDI(au)はオンキヨーが開発したタブレット型情報端末と高速無線通信端末をセットにして、19日から販売する。米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」を搭載した国内メーカー初のタブレット端末で、ビジネス需要が見込めると判断。価格も抑えめにして米アップルや韓国サムスン電子のタブレット端末を販売するソフトバンクやNTTドコモに対抗する。
KDDIが売り出すタブレット端末はオンキヨーが近く発売する「TWシリーズ」の最上位機種で、液晶画面は11.6型。メモリーを増設するとともにタッチパネル式のボタン表示を大きくした独自仕様にし、高速無線「WiMAX」と携帯電話回線でインターネットが利用できる通信端末を付けて販売する。通信端末はUSB接続する。
KDDIが販促費として4万2000円を負担し、店頭料金は3万円を下回る見込み。家電量販店より割安に購入できるという。ただ月1925~6695円の定額料金プランの契約が条件になる。ビジネスマンや企業向け需要を見込み、携帯販売店「auショップ」930店で販売する。
サイバーエージェント、採用に交流サイト活用
サイバーエージェントは交流サイト(SNS)などソーシャルメディアを使った採用活動を本格的に始める。世界最大のSNSである米フェイスブック経由の採用枠を設けるほか、インターネット上の仮想空間で会社説明会や面接を実施。SNSは就職面でも情報交換の場として利用が増えており、全国各地から有能な新卒・中途採用者を確保するねらいだ。
日本語版フェイスブックに、採用活動専用のサイトを近く開設する。2012年度の新卒採用で予定する計160人のうち、10人をフェイスブック枠に設定。11年度の中途採用でも10人をフェイスブック経由とする。
採用サイトには社員インタビューやオフィスの様子などを公開。学生らが掲示板に質問を寄せると、社員が回答する。11年初頭には東京都内でフェイスブック利用者に限定したイベントも開く。
一方、12月にはフェイスブック経由以外の採用も対象に、利用者同士が交流できるサイバーエージェントの仮想空間サービス「アメーバピグ」内のドームで採用説明会を実施する。志望者は事前にリクルートの就職情報サイト「リクナビ」を通じて登録。約1000人が参加でき、簡単な質疑応答も実施するという。
サイバーエージェントなどネット企業が注力するアプリケーションソフトの開発分野では、有能な技術者の獲得競争が激化。地方や海外在住者を対象とするウエブ面接も始めている。
ビックカメラが免税専門店 秋葉原で外国人客争奪戦
家電製品やアニメグッズも
ビックカメラは今月中に東京・秋葉原に訪日外国人客向けの免税専門店を開く。免税品はこれまで店内に設けた専用売り場で扱っていたが、中国人をはじめとした外国人客の増加を受けて採算に合うと判断した。近隣地区ではラオックスやヨドバシカメラも専用売り場を強化しており、訪日客を巡る家電量販店同士の争奪戦が激化する。
免税店への改装を進めるソフマップ店舗(東京・千代田)
11月中旬をめどに、子会社のソフマップが秋葉原に持つ「パソコン総合館」を改装する。店名は「アキバデューティーフリーズ」。同店の売り場面積は約2100平方メートル。地上7階建て店舗の1~4階で、海外の電圧などに対応したカメラ、炊飯器、パソコンなどの家電製品を扱う。このほか、外国人にも人気のアニメグッズやつめ切りといった日用雑貨などもそろえる。
免税店は6カ月以内の短期滞在の旅行者が対象。商品購入の際にパスポートを提示すると1度の会計額が1万500円超であれば、消費税分の5%を実質的に割り引く。
販売員の3分の1は中国語や英語、韓国語で接客できる人材を配置する。1階部分には今後、訪日客向けの観光案内コーナーを設け、近隣の飲食店などの紹介サービスも始める。団体客の誘致を狙い、旅行会社などへも売り込む考えだ。
ビックは10月に外国人客専用のポイントカードの発行を大手量販で初めて開始。中国人客の増加などを見込み、「外国人の囲い込みを進める」(宮嶋宏幸社長)方針だ。
日本政府観光局(JNTO)によると、9月の訪日外客数(推計)は71万7800人で前年同月比34%増えた。羽田空港の国際化などを受け今後も増加傾向が続くとみられる。海外でも電気街として有名な秋葉原には多くの訪日客が訪れており、ヨドバシの秋葉原店を訪れる外国人客数は前年から2~3割増えているという。
他社も訪日客向けの対策を強化している。中国・蘇寧電器(南京市)傘下のラオックスは、買い物目当ての外国人観光客が多く集まる東京・銀座の百貨店、松坂屋銀座店(東京・中央)内に20日出店する。免税専門館である東京・秋葉原の本店も9月下旬に改装し、品ぞろえを拡充した。ヨドバシは秋葉原店で、中国語などが話せる人材を今年に入り2.5倍に増やした。
省エネ家電の購入を促す家電エコポイント制度などの恩恵を受け、家電量販各社の業績は上向いている。ただ政策効果を除けば市場の飽和感は強まっており、各社は将来の成長策が急務。外国人旅行客の取り込みはそのための一手となる。
オラクルとアップル、Java技術で連携
【シリコンバレー=岡田信行】米IT(情報技術)大手のオラクルとアップルが12日、プログラミング言語「Java(ジャバ)」技術で連携すると発表した。オラクルは10月に宿敵IBMと同様の連携を発表する一方、グーグルに対しては8月にジャバ関連の特許侵害で提訴。同様にグーグルと対立するアップルを自陣営に引き込み、グーグル包囲網を強化する形になった。
両社が協力するのは、「オープンJDK」と呼ばれる開発キットに関する技術。従来、アップルは自社の基本ソフト(OS)「マックOS」向けに、ジャバ技術を使える開発キットを自社開発してきた。
今回の連携により、アップルは現行ソフトの提供を続けながら、オラクル主導のオープンJDKの枠内でマック版を開発・提供する。両社はオープンソース(無料公開)環境でソフトを作る技術者が開発しやすい条件を整えることで、ソフト開発者の支持を集め、中長期的に自社のソフトやデジタル機器の販売につなげる。
ジャバを巡っては、世界的にスマートフォンへの搭載が進んでいるグーグルのOS「アンドロイド」が、オラクルが持つジャバの技術を侵害しているとして、オラクルが8月にグーグルを提訴。IBM、アップルの有力2社を味方に引き入れたオラクルと、グーグルの対立は長期化が避けられない状況だ。
航海士処分、海保まだ本格検討せず…議論は今後
尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡る映像流出事件は、映像流出を告白した神戸海上保安部の主任航海士(43)の取り調べが中断しており、逮捕するかどうかの判断は週明け以降に持ち越された。
過去の国家公務員法違反のケースでは、秘密を漏えいした職員が懲戒処分を受ける一方、起訴を免れているケースも多く、処分の仕方が今後、議論になりそうだ。
◆懲戒処分の行方◆
主任航海士の懲戒処分について、海上保安庁はまだ本格的な検討をしていない。幹部は「捜査で事実関係が固まらないと、議論しようがない」と言う。
国家公務員法では、同法やその他の職務上の義務に違反した場合に、懲戒処分を行うことができるとしており、過去の秘密漏えい事件では停職や免職になっているケースが目立つ。
元総務事務次官の増島俊之氏(74)は、「個人情報なども多数取り扱う官公庁で、個々の職員が『公開すべきと思った』という理由で、組織として非公表としている情報を公表してしまったら、秩序を保つことはできない。懲戒処分を行うことは、公務員組織としては当然だ」と指摘する。
ただ、増島氏は、「刑事処分に問うかは別だ」とする。2007年には、受刑者の経歴などをブログに書き込んだ徳島刑務所の看守部長が、停職3か月とされる一方、徳島地検が「懲戒処分で社会的制裁を受けた」として不起訴(起訴猶予)としている。
【産経主張】日中首脳会談 禍根残した友好第一主義
横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、日中首脳会談が行われたことは前向きに受け止めたい。だが、菅直人首相が尖閣問題で「日本の確固たる立場を伝えた」のに対し、胡錦濤国家主席も「中国の立場」を表明したという。首相は尖閣についての日本の主張を繰り返したにすぎない。
わずか20分余りの会談で、尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件の本質が日本の主権の侵害であるという肝心の点が強調できたのか。首脳の顔合わせという友好の演出が優先され、「戦略的互恵関係」の促進というお題目の表明にとどまった印象は否めない。
北方領土問題で議論が平行線に終わった日露首脳会談と同様、マイナス点をつけざるを得ない。
9月7日の漁船衝突事件から2カ月余、菅政権は「尖閣諸島は中国領土」と強弁する中国政府に振り回され、悉(ことごと)く対応を誤った。その根幹は中国漁船と乗組員を早々に送り返し、公務執行妨害容疑で逮捕した船長を処分保留で釈放したことだ。その措置を「検察の判断」としたのも問題だ。
事件の様子を記録した海上保安庁撮影のビデオ映像もごく一部を少数の国会議員に限定公開したにすぎない。中国側への過剰な配慮としかいえない弱腰姿勢が、海上保安官によるビデオ映像の流出を招いたのは言うまでもない。
この間に中国側が示した威圧的な対抗措置は枚挙にいとまがない。東シナ海ガス田共同開発に関する日中両政府の条約締結交渉会合の延期▽ガス田への掘削用とみられる機材の搬入▽ハイテク製品に不可欠なレアアース(希土類)の事実上の輸出制限-などである。こうした肝心の課題について明確な方向性も出さずに首脳会談が終わったのは残念だ。
日本側は数日前から「30~40分程度」の会談実現を要望していた。しかし中国側は回答せず、直前になって応諾したものの実質的な議論ができないような短時間の設定となった。日本側の駆け引きの稚拙さにも苦言を呈したい。
一方、日露首脳会談では、菅首相はロシアのメドベージェフ大統領の国後島訪問について、「わが国の立場、日本国民の感情から受け入れられない」と抗議したという。尖閣諸島の問題でも、中国に対して、同様の毅然(きぜん)とした姿勢を貫くべきである。