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ソニーテレビ事業黒字化へ向け 技術者にも及ぶリストラの波
9月1日、ソニーは今期初めての早期退職者の募集を開始した。前回実施された2009年初頭以来、約1年半ぶりとなる。
早期退職者の対象となっているのはテレビ事業部などを抱えるホームエンタテインメント事業本部と法人向けの製品を扱うプロフェッショナルソリューション事業本部、部品を扱うデバイスソリューション事業本部の合計3事業部。応募条件は勤続10年以上で、一般社員は35歳以上、管理職は40歳以上だ。募集は11月末で締め切り、10年12月末に退職予定だ。募集定員については「希望者を募集するかたちを取っているため人数は決めていない」(ソニー広報)という。
ある30代前半の技術系社員は、電機メーカーの花形部門であるテレビ事業部の技術者にも早期退職の説明があったことに大きな衝撃を受けたという。「年収の4~5倍程度の退職金を提示されたと話していた。今期、会社はテレビ事業の黒字化が見えてきたと息巻いているが、正直、まったく喜べない」とため息を漏らす。
テレビ事業部の技術者が早期退職の対象となったのは今回が初めてではない。だが、これまでは他の事業部の技術部門に配置転換するなどして、なるべく早期退職させることなく人員の調整を行っていたという。「今回の対応を見る限り、配置転換で凌ぐことが難しくなってきたのだろう。ついにリストラの波が技術者のところまで来たということだ」(同)と話す。
ソニーは今期、750億円の構造改革費用を見込んでいる。今回の早期退職プログラムもその一環だ。同社のいう構造改革とは、主に垂直統合型から水平分業型への製造体制の転換を指す。この転換を迫られる最大の理由は、液晶テレビが日用品(コモディティ)化し、単価下落によって利益確保が難しい状況になっているからだ。実際、コスト削減が製品価格の下落スピードに追いつかず、ソニーのテレビ事業は6期連続赤字である。
設計から製品の組み立てまでのすべての製造工程を自社で行う垂直統合型の製造体制では、コスト削減余地に限界がある。思い切ってEMS(製造受託会社)などの外部企業を活用した水平分業型へ移行しなければテレビ事業の黒字化は見えない。これまでメキシコとスロバキアのテレビ組み立て工場を台湾大手EMS、鴻海精密工業に売却し、9月にはスペインのテレビ工場を地元企業に売却するなど矢継ぎ早に手を打ってきた。「ソニーはようやく現実を直視して動き始めた」(大手EMS首脳)と評価する声もある。
今期、テレビ事業の外部委託比率を約50%(前期は約20%)まで引き上げる。こうした移行の過程で余剰人員が出てくるのはやむをえないのかもしれない。だがソニーを支える社員の士気は下がる一方だ。
武富士、更生法申請へ 過払い金返還重く 負債4300億円、さらに拡大も
経営再建中の消費者金融大手、武富士は26日、会社更生法の適用を東京地裁に近く申請する方向で最終調整に入った。顧客が過去に払い過ぎた利息の返還を求める「過払い金」問題の解消のメドが立たず、自力再建を断念した。帳簿上の負債は6月末時点で4300億円。まだ請求されていない潜在的な返還負担を含めると、負債総額はさらに膨らむとみられる。過払い金問題の早期収拾で再建を狙うが、利息の返還額カットを迫られる顧客の不満が強まる可能性もある。
清川昭社長と創業家の武井健晃副社長は辞任する。裁判所が任命する外部の管財人が更生計画の策定にあたる。過払い金の返還額削減など債務を大幅に圧縮し、スポンサーとなる支援先を探す。人員削減や店舗網の縮小も進める。一部の取締役は経営陣に残り、実務を担当する見込みだ。
顧客への利息返還額は、社債や銀行からの借入金などほかの債務と同じ比率でカットされる見通し。カット率は、武富士の資産・負債を確定したうえで決まる。
武富士の有利子負債は3月末時点で、社債を中心に約2200億円。一方、顧客からの返還請求は直近までの未払い分で11万件、1700億円に上る。さらに、現段階まで未請求の顧客からの返還要求も、更生手続きの開始決定後、3、4カ月の期間を設け、受け付ける見通しだ。同社の潜在的な返還負担は1兆円を超えるとの見方もある。
過払い金問題は、利息制限法が定める上限金利(15~20%)を超えて顧客が支払った利息部分について返還を請求できるとした2006年1月の最高裁判決が発端。武富士は顧客からの返還請求に対し、個別に減額や支払い期日の延期を求め、経営への影響を緩和しようとしてきた。
だが、07年以降、過払い金の返還額は年1000億円前後に上り、07年3月期には、1998年の東証への株式上場以来初めての赤字に転落した。さらに、08年秋のリーマン・ショック後、社債発行など市場での資金調達を中心とする武富士の資金繰りは悪化。事実上の新規貸し出し停止に追い込まれ、スポンサーとなる支援先を探す必要に迫られていた。
武富士が法的整理の枠組みを使うのは、返還負担を早期に確定しないとスポンサー候補との交渉など再建に向かえないとの判断もあるもようだ。
武富士過払い金、返還金のカット必至 顧客債権の保全課題に
武富士の会社更生法の適用申請は、法的整理という手法を使うことで「過払い金」返還問題の早期収拾を狙う側面が強い。裁判所の管理下で顧客に支払う返還金負担を大幅に圧縮すれば、スポンサーが現れ、武富士が再生する可能性は増すが、返還請求権を持つ顧客は不利益を被りかねない。他の消費者金融会社も含め顧客の債権をどう保全するかが課題になりそうだ。
過払い金問題は、武富士だけの問題ではない。2007年以降本格化した利息返還請求に対し、プロミス、アコム、アイフル、武富士の消費者金融大手4社の顧客への利息返還実績は今年6月までに1兆円を超えた。潜在的な返還負担は業界全体で「20兆円以上」(ムーディーズ・インベスターズ・サービス)との試算もある。
今年6月に完全施行になった改正貸金業法によって貸金業者の経営は厳しさを増している。上限金利引き下げと、融資額の上限を顧客の年収の3分の1に制限する総量規制を柱とする改正法は、貸し過ぎと批判された融資姿勢を是正するため06年の国会で成立した。
最高裁判決と改正貸金業法は、消費者金融のあり方に変革を迫っており、個人向け無担保ローン市場の規模はピーク比半減するとの見方もある。預金を取り扱っていない貸金業者の淘汰は、金融システムには直接的な影響は小さいとされる。ただ、個人金融の新たな担い手はまだ出てこない。個人ローン市場をどう育てていくのか、金融行政も問われる。
景気足踏み、回復力に不安
長引く円高、企業圧迫 鈍る外需、不透明感増す
2009年4月から続く景気回復の勢いが鈍ってきた。世界経済の減速と国内の政策効果の息切れが重なり、輸出や生産の拡大にブレーキがかかる。円高・株安が企業や家計の心理を冷やし、設備投資と個人消費を下押しする恐れも出てきた。7~9月期の日本経済は猛暑やエコカーなどの特需で高めの成長率を維持するが、年末にかけて足踏みの状態に陥る公算が大きい。
08年9月のリーマン・ショックから2年。日本経済の急速な回復をけん引してきた企業部門に不透明感が広がる。
「10~12月期の国内粗鋼生産量は、7~9月期より数%減るかもしれない」。日本鉄鋼連盟の林田英治会長(JFEスチール社長)は危機感を隠さない。過剰生産の中国などで在庫が増え、アジア向けの輸出が減速しているという。
7~9月は実力超える
「生産の状況に合わせて慎重に判断している」。キヤノンの田中稔三副社長の表情も険しい。10年12月期の設備投資は前期比7%減の2000億円。当初は2%増やす計画だったが、円高の進行も踏まえて減額した。
家計部門も事情は同じだ。三越日本橋本店(東京・中央)が8月下旬に開いた「ワールドウォッチフェア」。ここでは高級時計の売上高が1年前より10%近く落ち込んだ。上向きだった高額品の消費に、株安が水を差したといえる。
それでも7~9月期の実質経済成長率は前期比年率で2~3%に達するとの予測が多い。4~6月期の1.5%を上回るペースだ。猛暑やエコカーなどの特需が膨らみ、足元の成長率を実力以上にかさ上げする。
3つの逆風、日本に重く
東芝のエアコン生産子会社、東芝キヤリアは8月に予定していた期間従業員の一部削減を見送った。猛暑とエコポイント制度の恩恵を受け、国内生産台数を当初計画より2割増やしたためだ。
資生堂の制汗シート「エージープラス」。8月の出荷は前年同月に比べて5割伸びた。全身をふける大判タイプが女性の人気を集め、厳しい残暑に見舞われた9月も好調な売れ行きが続く。
しかし10~12月期以降は「3つの逆風」が日本経済を確実にむしばむ。特需に隠れた地力の弱さが表面化しかねない。
長引く円高がもたらす輸出競争力の低下と企業業績の悪化。第1の懸念はそこにある。「為替相場の違いだけで販売価格に2割以上のハンディがついてしまう」。三菱重工業の佃嘉章常務は、発電用ガスタービンの国際的な受注競争で劣勢に立たされていると嘆く。
円高で日本企業の海外移転が加速し、国内の産業が空洞化するリスクも高まる。ホンダは国内で四輪車を生産する際に、海外製の部品を増やすことを決めた。インドから国内に二輪車を輸入することも視野に入れる。
第2の懸念は米中経済の減速だ。「4月末に住宅減税が打ち切られ、売り上げのペースが鈍った」。米住宅大手レナーのスチュアート・ミラー最高経営責任者はこぼす。6~8月期の受注件数は前年同期比15%減。住宅市場にもろさを残す米国の悩みは深い。
中国のテレビ大手TCLマルチメディア。8月の販売台数は前年同月より24%減った。政府が導入した家電購入支援策の効果は一巡しつつある。米国に続いて中国の停滞感が強まるようなら、外需頼みの日本経済にも黄信号がともる。
第3の懸念は国内の政策効果の息切れだろう。トヨタ自動車は10月から国内生産を約2割減らす。愛知県の元町工場(豊田市)や田原工場(田原市)などが対象だ。7日のエコカー補助金終了前に膨らんだ駆け込み需要の反動減は大きい。
政府・日銀、遅れる対応
10月にはたばこの大幅な増税が控える。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏によると、自動車とたばこの駆け込み需要は7~9月期の実質消費を0.6%押し上げる。10~12月期はその反動減が1.0%の押し下げ要因になるという。猛暑特需の反動減が加われば、消費はさらに落ち込む。
尖閣諸島沖の漁船衝突事件で深まった日中の溝、根深い欧州の信用問題、不安定な国内の政局――。日本経済の回復力に影を落とす不安材料を数えればきりがない。
景気の回復が途切れる確率はまだ低い。新興国の成長力は強く、輸出や生産の減速には一定の歯止めがかかる。だが10~12月期の実質成長率は0~1%にとどまるとの見方が多い。みずほ総合研究所の山本康雄氏は「景気の回復が一時的に足踏みする『踊り場』に入る可能性がある」と話す。
政府・日銀は追加的な経済対策や金融緩和に動き、6年半ぶりの為替介入にも踏み切った。その対応は小出しでスピードを欠く。法人課税の軽減を含む成長戦略の核心には踏み込んでいない。
「有言実行内閣」。菅直人首相は17日発足した改造内閣をこう呼んだ。10年越しのデフレを克服し、日本の成長基盤を固める政策論争を長引かせる余裕はない。為替介入で稼いだ時間を生かし、手つかずの「宿題」をやりとげる必要がある。
セブン&アイが仮想商店街 数年で1000店規模に
大手小売業がインターネット上の「仮想商店街」事業に相次ぎ本格参入する。セブン&アイ・ホールディングスは食品や衣料品などの取引先メーカーに自社通販サイトを開放し、数年内に1000店規模が参加する商店街を築く。ヤマダ電機なども参入を計画している。これまで3万店超を抱える楽天など専業が先行してきたが、多数の実店舗を持つ大手小売業が事業を本格化させることで、消費者の選択の幅が広がりそうだ。
セブン&アイはネット通販サイトの「セブンネットショッピング」を手掛けている。現在、サイト内に約50ある専門店を2011年末までに300店に増やす。09年度は300億円にとどまっているグループ全体のネット通販の売上高(ネットスーパー除く)を、12年度までに1000億円規模に引き上げる。
従来は商品仕入れからサイトの製作まですべての業務を自社で手がけてきたため、事業拡大ペースに限界があった。今後は取引先が直接、サイトの一部を編集できるよう仕組みを刷新。新製品を素早く売り出したり、特売イベントなどを展開したりしやすいように改良し、新規出店を呼び掛ける。
利用者は宅配便などに加えて、全国のコンビニ約1万3000店でも商品を受け取れる。仮想商店街の売れ筋情報を実際の店舗の品ぞろえに生かすなどして、効果的な販売促進につなげることも検討している。
仮想商店街、ヤマダ電機も11月参入 家電以外15万品目
現実の店舗と相乗効果狙う
セブン&アイ・ホールディングスやヤマダ電機など大手小売業は仮想商店街事業の展開で、現実の店舗との相乗効果を最大限に引き出す。販売促進や出店企業の募集などで楽天やヤフーなど専業大手にはない特徴を打ち出し、シェアを奪う戦略だ。
ヤマダ電機は11月から家電以外の15万品目の販売を開始する。全国の卸や小売店、中小メーカーから商品を仕入れて商店街を構成。まず500社前後の参加を見込み、初年度は100億円以上の販売をめざす。数年で1000億円規模の新事業に育てる。
家電販売で発行しているポイントを仮想商店街での支払いに使えるようにし、約3000万人いるカード会員の買い物需要を取り込む。配送も家電店向けの物流網を使うことでコストを抑え競争力を高める。
パルコも仮想商店街を本格展開する。2013年2月期までに数億円を投じて物流システムなどを再整備。現在約150店のテナントを1.5倍超に増やす。全国21カ所の専門店ビルに入居している有力店から選抜する計画だ。
コーエーテクモ、「GREE」向けにゲーム配信
ゲームソフト制作のコーエーテクモゲームスは10月中旬にも、交流サイト(SNS)大手のグリーのサイト向けに人気ゲーム「100万人の三国志」を配信する。家庭用ゲームで人気のゲームをSNS向けに活用、新たな収益源に育成する。
グリーのゲーム交流サイト「GREE」向けに提供する。100万人の三国志は利用者が領主となりサイト上の友人と協力したり対戦したりする内容。SNSの利点を生かし、多人数が参加できる内容にする。基本利用料は無料だが、ゲームを有利に進めるためのアイテムを有料とする。
サムスン電子、米メトロに「LTE携帯」供給
【ソウル=山口真典】韓国サムスン電子はこのほど、米中堅携帯電話事業のメトロPCSコミュニケーションズに次世代高速通信サービス「LTE」の携帯端末とシステムを供給すると発表した。サムスンは周波数の利用効率を高める通信方式「OFDMA」を採用したLTE用携帯端末で米連邦通信委員会(FCC)からLTE商用サービスとして初の認証を獲得。メトロはこれをラスベガスで開始し、段階的に地域を拡大する計画という。
日銀総裁 追加緩和による経済の落ち込み回避に「大きな疑問」
日銀の白川方明(まさあき)総裁は26日、神戸市の神戸大学で開かれた日本金融学会秋季大会で講演し、8月30日に実施した新型オペレーションによる市場への資金供給量を、20兆円から30兆円に増やした金融緩和に続く追加的緩和について「必要があれば適時適切に対応する」とする一方、金融緩和で経済の落ち込みを避けるとの政策に「大きな疑問が投げかけられている」と述べ、金融政策に過度な期待をすべきではないとの考えをにじませた。
質疑応答でも白川総裁は日本企業の資金調達の良さなどを理由に、米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)といった中央銀行に比べ「(日銀が)最も金融緩和している。控えめとは思っていない」と強調。円高株安に歯止めのかからないことを理由に、さらなる追加緩和を期待する金融市場を牽制(けんせい)した。
農業人口急減 バラマキでは止められない(9月27日付・読売社説)
日本農業の担い手不足は危機的状況だ。放置すれば、「食」の基盤を危うくしかねない。
農林水産省が5年に1度実施している農林業センサスの2010年版で、国内農業の衰退ぶりが鮮明になった。
農業を本業とする人は、05年の前回調査より75万人減って260万人に落ち込んだ。減少率22・4%は過去最大で、この20年間で農業人口は半減したことになる。
戦後の農業を支えてきた昭和ひとけた世代が80歳代に入るなど、引退が本格化したことが要因だ。平均年齢は65・8歳と初めて65歳を超え、高齢化が止まらない。
農地の荒廃も心配される。耕作放棄地は初めて40万ヘクタールに達し、農地全体の10%近くを占める。
産業構造が変化するにつれ、第1次産業の位置づけが低下するのはやむを得まい。農業者の減少や高齢化は、先進各国が抱える共通の悩みでもある。
だが、食料自給率が40%に低下した日本農業の地盤沈下は、欧米と比べても突出している。
長年にわたって手厚い保護で農家や農協を守り、農業を自立した産業に転換させられなかった農水省や、農業の再生を掲げながら、選挙時の農村票を目当てにバラマキ政策を容認してきた政治の責任は大きい。
求められるのは、農家や企業など様々な参入者が創意工夫することで利益を上げ、将来を託せるビジネスとして農業を改革することである。
担い手の減少を農業復活の好機ととらえることもできよう。引退する高齢者の農地を意欲のある若手農業者らに集め、経営規模を拡大すれば、コストが下がり、生産性を高めることも可能だ。
農地を手放したい人と欲しい人をうまく結びつけ、農地の整備や権利の調整を一体で進められるような取り組みが重要になる。
しかし、民主党政権が今年度から導入した農家の戸別所得補償制度は、規模拡大で体質強化を目指す方向に逆行している。
経営規模や農産物の品質などを無視し、一律に所得を補償する政策を続ければ、小規模農家を中心とした非効率な農業構造を温存することになりかねない。
来年度はコメ農家に加え、麦や大豆などを作る畑作農家も対象とする方針だ。
必要な予算額も今年度の5600億円から1兆円近くまで膨らむ。巨額の税金を投入するのなら、将来を担う中核的な農家に支援を絞り込むべきだ。
9月1日、ソニーは今期初めての早期退職者の募集を開始した。前回実施された2009年初頭以来、約1年半ぶりとなる。
早期退職者の対象となっているのはテレビ事業部などを抱えるホームエンタテインメント事業本部と法人向けの製品を扱うプロフェッショナルソリューション事業本部、部品を扱うデバイスソリューション事業本部の合計3事業部。応募条件は勤続10年以上で、一般社員は35歳以上、管理職は40歳以上だ。募集は11月末で締め切り、10年12月末に退職予定だ。募集定員については「希望者を募集するかたちを取っているため人数は決めていない」(ソニー広報)という。
ある30代前半の技術系社員は、電機メーカーの花形部門であるテレビ事業部の技術者にも早期退職の説明があったことに大きな衝撃を受けたという。「年収の4~5倍程度の退職金を提示されたと話していた。今期、会社はテレビ事業の黒字化が見えてきたと息巻いているが、正直、まったく喜べない」とため息を漏らす。
テレビ事業部の技術者が早期退職の対象となったのは今回が初めてではない。だが、これまでは他の事業部の技術部門に配置転換するなどして、なるべく早期退職させることなく人員の調整を行っていたという。「今回の対応を見る限り、配置転換で凌ぐことが難しくなってきたのだろう。ついにリストラの波が技術者のところまで来たということだ」(同)と話す。
ソニーは今期、750億円の構造改革費用を見込んでいる。今回の早期退職プログラムもその一環だ。同社のいう構造改革とは、主に垂直統合型から水平分業型への製造体制の転換を指す。この転換を迫られる最大の理由は、液晶テレビが日用品(コモディティ)化し、単価下落によって利益確保が難しい状況になっているからだ。実際、コスト削減が製品価格の下落スピードに追いつかず、ソニーのテレビ事業は6期連続赤字である。
設計から製品の組み立てまでのすべての製造工程を自社で行う垂直統合型の製造体制では、コスト削減余地に限界がある。思い切ってEMS(製造受託会社)などの外部企業を活用した水平分業型へ移行しなければテレビ事業の黒字化は見えない。これまでメキシコとスロバキアのテレビ組み立て工場を台湾大手EMS、鴻海精密工業に売却し、9月にはスペインのテレビ工場を地元企業に売却するなど矢継ぎ早に手を打ってきた。「ソニーはようやく現実を直視して動き始めた」(大手EMS首脳)と評価する声もある。
今期、テレビ事業の外部委託比率を約50%(前期は約20%)まで引き上げる。こうした移行の過程で余剰人員が出てくるのはやむをえないのかもしれない。だがソニーを支える社員の士気は下がる一方だ。
武富士、更生法申請へ 過払い金返還重く 負債4300億円、さらに拡大も
経営再建中の消費者金融大手、武富士は26日、会社更生法の適用を東京地裁に近く申請する方向で最終調整に入った。顧客が過去に払い過ぎた利息の返還を求める「過払い金」問題の解消のメドが立たず、自力再建を断念した。帳簿上の負債は6月末時点で4300億円。まだ請求されていない潜在的な返還負担を含めると、負債総額はさらに膨らむとみられる。過払い金問題の早期収拾で再建を狙うが、利息の返還額カットを迫られる顧客の不満が強まる可能性もある。
清川昭社長と創業家の武井健晃副社長は辞任する。裁判所が任命する外部の管財人が更生計画の策定にあたる。過払い金の返還額削減など債務を大幅に圧縮し、スポンサーとなる支援先を探す。人員削減や店舗網の縮小も進める。一部の取締役は経営陣に残り、実務を担当する見込みだ。
顧客への利息返還額は、社債や銀行からの借入金などほかの債務と同じ比率でカットされる見通し。カット率は、武富士の資産・負債を確定したうえで決まる。
武富士の有利子負債は3月末時点で、社債を中心に約2200億円。一方、顧客からの返還請求は直近までの未払い分で11万件、1700億円に上る。さらに、現段階まで未請求の顧客からの返還要求も、更生手続きの開始決定後、3、4カ月の期間を設け、受け付ける見通しだ。同社の潜在的な返還負担は1兆円を超えるとの見方もある。
過払い金問題は、利息制限法が定める上限金利(15~20%)を超えて顧客が支払った利息部分について返還を請求できるとした2006年1月の最高裁判決が発端。武富士は顧客からの返還請求に対し、個別に減額や支払い期日の延期を求め、経営への影響を緩和しようとしてきた。
だが、07年以降、過払い金の返還額は年1000億円前後に上り、07年3月期には、1998年の東証への株式上場以来初めての赤字に転落した。さらに、08年秋のリーマン・ショック後、社債発行など市場での資金調達を中心とする武富士の資金繰りは悪化。事実上の新規貸し出し停止に追い込まれ、スポンサーとなる支援先を探す必要に迫られていた。
武富士が法的整理の枠組みを使うのは、返還負担を早期に確定しないとスポンサー候補との交渉など再建に向かえないとの判断もあるもようだ。
武富士過払い金、返還金のカット必至 顧客債権の保全課題に
武富士の会社更生法の適用申請は、法的整理という手法を使うことで「過払い金」返還問題の早期収拾を狙う側面が強い。裁判所の管理下で顧客に支払う返還金負担を大幅に圧縮すれば、スポンサーが現れ、武富士が再生する可能性は増すが、返還請求権を持つ顧客は不利益を被りかねない。他の消費者金融会社も含め顧客の債権をどう保全するかが課題になりそうだ。
過払い金問題は、武富士だけの問題ではない。2007年以降本格化した利息返還請求に対し、プロミス、アコム、アイフル、武富士の消費者金融大手4社の顧客への利息返還実績は今年6月までに1兆円を超えた。潜在的な返還負担は業界全体で「20兆円以上」(ムーディーズ・インベスターズ・サービス)との試算もある。
今年6月に完全施行になった改正貸金業法によって貸金業者の経営は厳しさを増している。上限金利引き下げと、融資額の上限を顧客の年収の3分の1に制限する総量規制を柱とする改正法は、貸し過ぎと批判された融資姿勢を是正するため06年の国会で成立した。
最高裁判決と改正貸金業法は、消費者金融のあり方に変革を迫っており、個人向け無担保ローン市場の規模はピーク比半減するとの見方もある。預金を取り扱っていない貸金業者の淘汰は、金融システムには直接的な影響は小さいとされる。ただ、個人金融の新たな担い手はまだ出てこない。個人ローン市場をどう育てていくのか、金融行政も問われる。
景気足踏み、回復力に不安
長引く円高、企業圧迫 鈍る外需、不透明感増す
2009年4月から続く景気回復の勢いが鈍ってきた。世界経済の減速と国内の政策効果の息切れが重なり、輸出や生産の拡大にブレーキがかかる。円高・株安が企業や家計の心理を冷やし、設備投資と個人消費を下押しする恐れも出てきた。7~9月期の日本経済は猛暑やエコカーなどの特需で高めの成長率を維持するが、年末にかけて足踏みの状態に陥る公算が大きい。
08年9月のリーマン・ショックから2年。日本経済の急速な回復をけん引してきた企業部門に不透明感が広がる。
「10~12月期の国内粗鋼生産量は、7~9月期より数%減るかもしれない」。日本鉄鋼連盟の林田英治会長(JFEスチール社長)は危機感を隠さない。過剰生産の中国などで在庫が増え、アジア向けの輸出が減速しているという。
7~9月は実力超える
「生産の状況に合わせて慎重に判断している」。キヤノンの田中稔三副社長の表情も険しい。10年12月期の設備投資は前期比7%減の2000億円。当初は2%増やす計画だったが、円高の進行も踏まえて減額した。
家計部門も事情は同じだ。三越日本橋本店(東京・中央)が8月下旬に開いた「ワールドウォッチフェア」。ここでは高級時計の売上高が1年前より10%近く落ち込んだ。上向きだった高額品の消費に、株安が水を差したといえる。
それでも7~9月期の実質経済成長率は前期比年率で2~3%に達するとの予測が多い。4~6月期の1.5%を上回るペースだ。猛暑やエコカーなどの特需が膨らみ、足元の成長率を実力以上にかさ上げする。
3つの逆風、日本に重く
東芝のエアコン生産子会社、東芝キヤリアは8月に予定していた期間従業員の一部削減を見送った。猛暑とエコポイント制度の恩恵を受け、国内生産台数を当初計画より2割増やしたためだ。
資生堂の制汗シート「エージープラス」。8月の出荷は前年同月に比べて5割伸びた。全身をふける大判タイプが女性の人気を集め、厳しい残暑に見舞われた9月も好調な売れ行きが続く。
しかし10~12月期以降は「3つの逆風」が日本経済を確実にむしばむ。特需に隠れた地力の弱さが表面化しかねない。
長引く円高がもたらす輸出競争力の低下と企業業績の悪化。第1の懸念はそこにある。「為替相場の違いだけで販売価格に2割以上のハンディがついてしまう」。三菱重工業の佃嘉章常務は、発電用ガスタービンの国際的な受注競争で劣勢に立たされていると嘆く。
円高で日本企業の海外移転が加速し、国内の産業が空洞化するリスクも高まる。ホンダは国内で四輪車を生産する際に、海外製の部品を増やすことを決めた。インドから国内に二輪車を輸入することも視野に入れる。
第2の懸念は米中経済の減速だ。「4月末に住宅減税が打ち切られ、売り上げのペースが鈍った」。米住宅大手レナーのスチュアート・ミラー最高経営責任者はこぼす。6~8月期の受注件数は前年同期比15%減。住宅市場にもろさを残す米国の悩みは深い。
中国のテレビ大手TCLマルチメディア。8月の販売台数は前年同月より24%減った。政府が導入した家電購入支援策の効果は一巡しつつある。米国に続いて中国の停滞感が強まるようなら、外需頼みの日本経済にも黄信号がともる。
第3の懸念は国内の政策効果の息切れだろう。トヨタ自動車は10月から国内生産を約2割減らす。愛知県の元町工場(豊田市)や田原工場(田原市)などが対象だ。7日のエコカー補助金終了前に膨らんだ駆け込み需要の反動減は大きい。
政府・日銀、遅れる対応
10月にはたばこの大幅な増税が控える。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏によると、自動車とたばこの駆け込み需要は7~9月期の実質消費を0.6%押し上げる。10~12月期はその反動減が1.0%の押し下げ要因になるという。猛暑特需の反動減が加われば、消費はさらに落ち込む。
尖閣諸島沖の漁船衝突事件で深まった日中の溝、根深い欧州の信用問題、不安定な国内の政局――。日本経済の回復力に影を落とす不安材料を数えればきりがない。
景気の回復が途切れる確率はまだ低い。新興国の成長力は強く、輸出や生産の減速には一定の歯止めがかかる。だが10~12月期の実質成長率は0~1%にとどまるとの見方が多い。みずほ総合研究所の山本康雄氏は「景気の回復が一時的に足踏みする『踊り場』に入る可能性がある」と話す。
政府・日銀は追加的な経済対策や金融緩和に動き、6年半ぶりの為替介入にも踏み切った。その対応は小出しでスピードを欠く。法人課税の軽減を含む成長戦略の核心には踏み込んでいない。
「有言実行内閣」。菅直人首相は17日発足した改造内閣をこう呼んだ。10年越しのデフレを克服し、日本の成長基盤を固める政策論争を長引かせる余裕はない。為替介入で稼いだ時間を生かし、手つかずの「宿題」をやりとげる必要がある。
セブン&アイが仮想商店街 数年で1000店規模に
大手小売業がインターネット上の「仮想商店街」事業に相次ぎ本格参入する。セブン&アイ・ホールディングスは食品や衣料品などの取引先メーカーに自社通販サイトを開放し、数年内に1000店規模が参加する商店街を築く。ヤマダ電機なども参入を計画している。これまで3万店超を抱える楽天など専業が先行してきたが、多数の実店舗を持つ大手小売業が事業を本格化させることで、消費者の選択の幅が広がりそうだ。
セブン&アイはネット通販サイトの「セブンネットショッピング」を手掛けている。現在、サイト内に約50ある専門店を2011年末までに300店に増やす。09年度は300億円にとどまっているグループ全体のネット通販の売上高(ネットスーパー除く)を、12年度までに1000億円規模に引き上げる。
従来は商品仕入れからサイトの製作まですべての業務を自社で手がけてきたため、事業拡大ペースに限界があった。今後は取引先が直接、サイトの一部を編集できるよう仕組みを刷新。新製品を素早く売り出したり、特売イベントなどを展開したりしやすいように改良し、新規出店を呼び掛ける。
利用者は宅配便などに加えて、全国のコンビニ約1万3000店でも商品を受け取れる。仮想商店街の売れ筋情報を実際の店舗の品ぞろえに生かすなどして、効果的な販売促進につなげることも検討している。
仮想商店街、ヤマダ電機も11月参入 家電以外15万品目
現実の店舗と相乗効果狙う
セブン&アイ・ホールディングスやヤマダ電機など大手小売業は仮想商店街事業の展開で、現実の店舗との相乗効果を最大限に引き出す。販売促進や出店企業の募集などで楽天やヤフーなど専業大手にはない特徴を打ち出し、シェアを奪う戦略だ。
ヤマダ電機は11月から家電以外の15万品目の販売を開始する。全国の卸や小売店、中小メーカーから商品を仕入れて商店街を構成。まず500社前後の参加を見込み、初年度は100億円以上の販売をめざす。数年で1000億円規模の新事業に育てる。
家電販売で発行しているポイントを仮想商店街での支払いに使えるようにし、約3000万人いるカード会員の買い物需要を取り込む。配送も家電店向けの物流網を使うことでコストを抑え競争力を高める。
パルコも仮想商店街を本格展開する。2013年2月期までに数億円を投じて物流システムなどを再整備。現在約150店のテナントを1.5倍超に増やす。全国21カ所の専門店ビルに入居している有力店から選抜する計画だ。
コーエーテクモ、「GREE」向けにゲーム配信
ゲームソフト制作のコーエーテクモゲームスは10月中旬にも、交流サイト(SNS)大手のグリーのサイト向けに人気ゲーム「100万人の三国志」を配信する。家庭用ゲームで人気のゲームをSNS向けに活用、新たな収益源に育成する。
グリーのゲーム交流サイト「GREE」向けに提供する。100万人の三国志は利用者が領主となりサイト上の友人と協力したり対戦したりする内容。SNSの利点を生かし、多人数が参加できる内容にする。基本利用料は無料だが、ゲームを有利に進めるためのアイテムを有料とする。
サムスン電子、米メトロに「LTE携帯」供給
【ソウル=山口真典】韓国サムスン電子はこのほど、米中堅携帯電話事業のメトロPCSコミュニケーションズに次世代高速通信サービス「LTE」の携帯端末とシステムを供給すると発表した。サムスンは周波数の利用効率を高める通信方式「OFDMA」を採用したLTE用携帯端末で米連邦通信委員会(FCC)からLTE商用サービスとして初の認証を獲得。メトロはこれをラスベガスで開始し、段階的に地域を拡大する計画という。
日銀総裁 追加緩和による経済の落ち込み回避に「大きな疑問」
日銀の白川方明(まさあき)総裁は26日、神戸市の神戸大学で開かれた日本金融学会秋季大会で講演し、8月30日に実施した新型オペレーションによる市場への資金供給量を、20兆円から30兆円に増やした金融緩和に続く追加的緩和について「必要があれば適時適切に対応する」とする一方、金融緩和で経済の落ち込みを避けるとの政策に「大きな疑問が投げかけられている」と述べ、金融政策に過度な期待をすべきではないとの考えをにじませた。
質疑応答でも白川総裁は日本企業の資金調達の良さなどを理由に、米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)といった中央銀行に比べ「(日銀が)最も金融緩和している。控えめとは思っていない」と強調。円高株安に歯止めのかからないことを理由に、さらなる追加緩和を期待する金融市場を牽制(けんせい)した。
農業人口急減 バラマキでは止められない(9月27日付・読売社説)
日本農業の担い手不足は危機的状況だ。放置すれば、「食」の基盤を危うくしかねない。
農林水産省が5年に1度実施している農林業センサスの2010年版で、国内農業の衰退ぶりが鮮明になった。
農業を本業とする人は、05年の前回調査より75万人減って260万人に落ち込んだ。減少率22・4%は過去最大で、この20年間で農業人口は半減したことになる。
戦後の農業を支えてきた昭和ひとけた世代が80歳代に入るなど、引退が本格化したことが要因だ。平均年齢は65・8歳と初めて65歳を超え、高齢化が止まらない。
農地の荒廃も心配される。耕作放棄地は初めて40万ヘクタールに達し、農地全体の10%近くを占める。
産業構造が変化するにつれ、第1次産業の位置づけが低下するのはやむを得まい。農業者の減少や高齢化は、先進各国が抱える共通の悩みでもある。
だが、食料自給率が40%に低下した日本農業の地盤沈下は、欧米と比べても突出している。
長年にわたって手厚い保護で農家や農協を守り、農業を自立した産業に転換させられなかった農水省や、農業の再生を掲げながら、選挙時の農村票を目当てにバラマキ政策を容認してきた政治の責任は大きい。
求められるのは、農家や企業など様々な参入者が創意工夫することで利益を上げ、将来を託せるビジネスとして農業を改革することである。
担い手の減少を農業復活の好機ととらえることもできよう。引退する高齢者の農地を意欲のある若手農業者らに集め、経営規模を拡大すれば、コストが下がり、生産性を高めることも可能だ。
農地を手放したい人と欲しい人をうまく結びつけ、農地の整備や権利の調整を一体で進められるような取り組みが重要になる。
しかし、民主党政権が今年度から導入した農家の戸別所得補償制度は、規模拡大で体質強化を目指す方向に逆行している。
経営規模や農産物の品質などを無視し、一律に所得を補償する政策を続ければ、小規模農家を中心とした非効率な農業構造を温存することになりかねない。
来年度はコメ農家に加え、麦や大豆などを作る畑作農家も対象とする方針だ。
必要な予算額も今年度の5600億円から1兆円近くまで膨らむ。巨額の税金を投入するのなら、将来を担う中核的な農家に支援を絞り込むべきだ。
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