00430000s@merumo.ne.jp に空メールすると、ブログと同じ内容のメルマガをが配信されます。twitterはhttps://twitter.com/wataru4 です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
E3開幕間近、今年の目玉は「3Dゲーム」と「モーションコントローラー」
来週のゲーム業界展示会E3では、低迷する600億ドル産業の活性化を目指す世界の大手ゲーム機メーカー各社が、新世代のプレイヤーを引き込むための未来的なガジェットを発表する。
Microsoftはロサンゼルスで開催の同カンファレンスで、コントローラー不要のシステム「Project Natal」の正式名称と発売日を発表する見込みだ。ソニーはモーションセンサーコントローラー「Playstation Move」を披露し、任天堂は3D携帯ゲーム機を初めてお披露目する。
「今年のE3はここ数年で最大のハードウェアショウだ」とWedbush Securitiesのアナリスト、マイケル・パッチャー氏は語る。「ゲーム機メーカー3社が同時にハードを発表したことはなかった。革命的だ」
この新製品ラッシュは、ビデオゲーム業界――100億ドル規模の米映画興行収入よりはるかに大きい――が今まさに求めているものだ。米ゲーム業界――ハード、ソフト、周辺機器を合わせて――は、年初から4月にかけての売上高が47億ドルと、前年から10%以上減少している(NPD調べ)。
アナリストは、Microsoftと任天堂の発表は話題になると確信している。前者は自由な動きでゲームを操作するプラットフォームを、後者は専用メガネの要らない3Dゲーム機を発表する。
E3の皮切りとなるのが、Microsoftが長い間温めてきたNatalだ。6月13日に有名人を招いた派手なデモが行われるのはほぼ間違いない。
Microsoft――最近「時価総額世界一のIT企業」の座をAppleに奪われた――は昨年のE3でNatalを発表した。今年は、その正式名称や対応ゲームのラインアップ、価格に注目が集まるだろう。
E3までは、同社はこれらの情報を明かさないだろう。アナリストの予想価格は50~200ドルと幅広い。Natalは3つのカメラを備え、年末商戦に向けて発売される。
「ハード売り上げはソフトの売り上げを増やす最高の刺激剤だ」とMKM Partnersのアナリスト、エリック・ハンドラー氏は語る。「ハードの勢いを高められるものなら何でも歓迎する。今年に入ってからソフトの売り上げが振るわないので、何かが必要だ」
カジュアルゲーマー狙うNatal
ハンズフリーでゲームができ、音声コマンドでゲーム機を操作するNatalは、ハードコアゲーマーというよりも、Natalを知らないかもしれないカジュアルゲーマーや新しいユーザー層に訴求するよう設計されているとアナリストは言う。
「Microsoftが直面するジレンマは、ヘビーゲーマーにはそれほど役に立たないNatalを、各家庭で主にゲーム機を使っているゲーマーに買ってもらうことだ。彼の母親やガールフレンドはNatalを使いたいと思うだろうが、Microsoftがうまく宣伝しなければ、彼女らはNatalのことを知らないままだろう」(パッチャー氏)
非ゲーマー層の取り込みが、Xboxをリビングルームの娯楽の中心にするためのMicrosoftの取り組みのカギになる。
「Natalを家庭に送り込んで、コアゲーマー以外の人に使ってもらえれば、もっと多くの人に映画や音楽、ほかのゲームを売れるようになる」とパッチャー氏は言う。
ゲームソフトメーカーUbisoftのイブ・ギルモCEOは、ジェスチャー技術は複雑なアドベンチャーゲームやシューティング、スポーツゲームを好むコアな男性プレイヤー以外にも訴求すると語る。
「コアゲームをプレイできなかった人もたくさんいる。これまではインタフェースが複雑過ぎた」と同氏は電話取材に応えて語った。「ジェスチャーツールはまず簡単なゲームに導入され、ハイエンドゲームに広がるだろう。人々にこの業界に入ってきてもらうにはいいやり方だ」
Microsoftは既に、オンラインサービスXbox LIVEでNetflixの映画とZuneストアの音楽・動画を配信している。E3ではHuluのテレビ番組も同サービスに追加されるとうわさされているが、Microsoftはその件についてコメントを控えた。
Xbox 360は発売から5年がたっており、販売台数は4000万台以上、Xbox LIVEの有料サービス会員は2300万人に上る。最善のシナリオでは、NatalはXbox 360の寿命を4~5年延ばし、販売台数を6000万~7000万台に拡大する可能性があるとパッチャー氏は語る。
通常、発売から5年目までにハードの需要は最高潮に達するが、ソフトの売り上げはユーザー基盤によってけん引される。
ソニーは、任天堂は
ソニーもPlayStation Moveという形で、独自のモーションセンサー技術を宣伝するだろう。
このデバイスは、カラフルなボールが付いたテレビのリモコンのような形で、3月に発表された。今年の秋に100ドルを切る価格で発売される。
アナリストは、Moveはむしろ熟練したゲーマー向けだが、ソニーはプレイステーション 3(PS3)を持っている3400万人のユーザーすべての関心を引こうとするだろうと語る。
「ソニーはWiiがやったことを取り入れて、次のレベルに引き上げて、モーション技術をコアゲーマー向けのゲーム、FPS(ファーストパーソンシューティング)ゲーム、アクションゲームに取り込もうとしている」とElectronic Entertainment Design and Researchのアナリスト、ジェシー・ディビンチ氏は語る。
ライバルの任天堂は、携帯ゲーム機でこれまでで最大の発表をするかもしれない。「3DS」と呼ばれる3Dゲーム機だ。
3DSはメガネなしで3D効果を表示できる。このデバイスはまだ披露されていない。
「携帯ゲーム機に3D技術が載るのは初めてだ」とディビンチ氏は言う。「どんなふうに見えるのだろうか? 見たことがないので理解が難しい」
3Dテレビの価格の高さから、3Dゲームはまだ受け入れられていないが、任天堂が300ドルを切るゲーム機で3Dのトレンドに弾みをつけるかもしれないと同氏は語る。携帯ゲーム機のファンがAppleのiPhoneやGoogleのAndroidへ流れるのを遅らせることもできるかもしれない。
「今はAppleがかなり伸びている」とハンドラー氏。「(3DSは)任天堂に再び生命を吹き込む興味深い方法となる可能性がある」
ホンダ、二輪部品の輸入拡大 中小型車7~8割に
ホンダは二輪車の国内工場で輸入部品の使用比率を大幅に高める。排気量125cc前後までの中小型車を対象に、今後数年で7~8割を新興国などからの調達に切り替える。中大型車にも順次広げる計画だ。同社の国内二輪車事業は赤字が続いているが、安い輸入部品を増やしコスト構造を抜本的に転換。工場稼働率が現在の4割前後でも、利益を出せる体制を目指す。
部品の調達体制を見直すのは国内唯一の二輪車工場である熊本製作所(熊本県大津町)。国内市場向けや欧米への輸出用の二輪車を手掛け、生産能力は年50万台。現在は使用する部品の9割超を国内で調達している。
今後はホンダの二輪車工場があるタイなどに進出している日系部品メーカーや現地企業からの輸入を増やす。まず主力の「スーパーカブ」(排気量110cc)で5%だった輸入部品の使用比率を60%程度に拡大した。
一方で熊本製作所で生産する国内向けモデルを2003年の58車種から45車種に削減。開発費を抑えて生産性も引き上げる。一時670人いた期間従業員はゼロにした。
熊本製作所の10年3月期の生産台数は前の期比4割減の約18万台で、生産能力のほぼ4割にまで落ち込んでいる。一連のコスト削減策により、二輪事業本部長の大山龍寛常務は「この生産水準でも収支トントンにできる」とし、12年3月期には黒字転換する見通しを示した。
ホンダは生産効率の向上を狙い、08年に国内の二輪車生産拠点を熊本製作所に集約した。ただ金融危機の影響で先進国の二輪車販売が急減。先進国の赤字を新興国の利益で補う事業構造からの脱却が、大きな課題になっていた。ホンダは四輪車でも新興国からの部品輸入拡大などを柱とする調達・生産改革を推進している。
携帯出荷1000万台目指す 富士通・東芝事業統合へ
富士通と東芝が携帯電話事業の統合で最終調整している。実現すると国内市場で第2位、海外も含めた総出荷は年700万台強とみられる。1日にはNEC、カシオ計算機、日立製作所の携帯会社が発足した。相次ぐ再編の背景には事業環境の変化がある。世界の大手と戦えなければ攻め込まれかねないが、巻き返しの余地もわずかながら見えてきた。各社は世界と戦う目安「出荷1000万台」を目指す。
1日に発足したNECカシオモバイルコミュニケーションズの山崎耕司社長は「2012年度に出荷1200万台を目指す」と宣言した。現在の総出荷年720万台から6割増やす計画を疑問視する声もある。
「端末開発のコスト競争力の重要性は増すばかりだ」(野村総合研究所の小林慎和上級コンサルタント)。山崎社長の宣言は、世界に挑戦するには最低でも年1000万台規模が必要という危機感の表れでもある。
年間出荷約11億台の世界市場はフィンランドのノキア(約4億5千万台)、韓国のサムスン電子(同2億台)、LG電子(同1億台)の3社が約7割を占める。世界の約3%にすぎない日本市場には約10社がひしめく。1000万台超えは首位のシャープだけだ。
日本勢の再編が遅れていたのは、右肩上がりの国内市場でNTTドコモなどの通信会社丸抱えの端末開発が機能してきたためだ。端末を通信会社が全量を買い取り、開発を支援する仕組みの下、高機能端末を送り出してきた。携帯端末各社は「ワンセグ」や「おサイフケータイ」といった日本独自の機能付加に注力。世界から孤立した「ガラパゴス」と言われた。
この環境に変化を起こした一例が米アップルの「iPhone(アイフォーン)」。メーカーがコンテンツ課金するモデルの登場は通信会社主導の端末開発の限界を示した。逆にメーカーが魅力的な製品を作れば世界で戦える証明ともなった。それには再編で開発基盤を統合、コスト競争力と開発力に磨きをかける必要がある。
国内では光回線並みの高速通信が可能な「LTE」と呼ばれる次世代携帯電話サービスが年内に始まる。LTEで事実上、世界の携帯電話の規格が統一され、国内メーカーが海外の通信会社や消費者に端末を提供する自由度が高まる。
総務省は携帯電話端末を一つの通信会社でしか使えないようにする「SIMロック」を11年以降解除する方針。消費者が端末と通信サービスを別々に選べるようになれば、メーカーは独自色を発揮できる。
端末の魅力自体が事業の成否を決める新しい時代はメーカーにとってチャンス。だが、残された時間は少ない。
USEN再建へ負債圧縮 インテリジェンス売却
USENはインテリジェンスを売却して約1000億円の有利子負債を圧縮する。インテリジェンスはUSENの連結売上高の3割を占め、宇野康秀社長が創業メンバーの一人として立ち上げたグループの中核会社。だが、人材市場の低迷で経営不振に陥り、有線放送との関連性も薄いため売却を決めた。
USENは有線放送の草分けで、1990年代からは有線の同軸ケーブル網を生かしたインターネット接続や動画配信に力を入れてきた。しかし、NTTなどが同様のサービスを強化する中で劣勢に立たされ、負債は一時2000億円以上に膨らんだ。
昨年からは負債を圧縮して経営を再建するため、資産売却を加速。無料動画サービス「ギャオ」をヤフーに売却し、カラオケやネット接続などの事業も相次ぎ売り渡した。インテリジェンスの売却で負債は約700億円まで減るが、結局、創業事業である有線放送だけが事実上残る格好になる。
有線放送は市場拡大こそ望めないものの飲食店などから安定した収入が見込める。その収入を軸に今後は有料の動画配信サービスを強化していく方針だが、先行きは不透明だ。
インテリジェンスはUSENグループから離脱。資本力のある米大手買収ファンドの傘下に入り事業の再生を目指す。
iPad向け、本の「格安」電子化業者が出現
米アップルの情報端末「iPad(アイパッド)」が人気を集める中、書籍を安く電子化し、iPadなどで読めるようにする業者が現れた。
個人が私的にコピーする以外の複製は著作権法で禁じられており、日本文芸家協会は、著作者が出版社に委託した複製権の侵害にあたるとして業者への抗議を検討している。
東京のある業者は4月、本を裁断して1ページごとにスキャナーで読み取り、PDFと呼ばれる電子文書形式に変換するサービスを始めた。本の送料は自己負担だが、1冊分のデータを100円でホームページからダウンロードできるサービスが評判を呼び、注文が殺到。スキャナーの台数などを増やしたが、注文から納品まで3か月待ちという。
業者は「個人が複製するのは合法。個人の依頼を受けて代行しているだけで、著作権法違反ではない」と主張する。都内の別の業者も5月末に営業を始め、2日間で200人以上の申し込みがあったという。
一方、日本文芸家協会の三田誠広・副理事長は「営利目的の業者が利益を得るのは、たとえ私的複製でも複製権の侵害」と主張する。
著作権問題に詳しい福井健策弁護士は「私的複製は個人が自ら行うのが原則。代行は基本的に認められず、私的複製と言うのは難しい」と話している。
日本の「地デジ」フィリピンも採用 アジア初
総務省は11日、東南アジアのフィリピン共和国が地上デジタルテレビ放送で日本方式を採用することが決まったと発表した。アジアで日本の地デジを採用するのは同国が初めてとなる。
同省によると、フィリピン共和国電気通信委員会が同日、地デジの日本方式を採用する規則に署名した。
フィリピン側は地デジ方式を一時は欧州方式を導入する方向で検討していたが、電波干渉に強い「ワンセグ」といった移動端末向け放送などに対応する日本方式を最終的に選んだ。同国での地デジの放送開始時期などは未定という。
日本側は同国に対し、技術移転や人材育成での支援協力を進める考えだ。
今回のフィリピンの決定で、海外で地デジの日本方式を採用する国は9カ国目。これまではブラジルやペルーなど中南米8カ国で日本方式の採用が決まっていた。
伊主要紙が1面白紙 報道規制法案に抗議
イタリアのベルルスコーニ政権による報道規制法案が10日に上院を通過したことに抗議して、11日付の左派系主要紙レプブリカが1面をほぼ白紙としたほか、主要紙が一斉に批判記事を掲載した。記者組合が近くストを計画するなど政権とメディア側の対立激化は必至だ。
レプブリカ紙は「法案は市民の知る権利を否定する」との声明を中央に載せたほかは1面を白紙に。中立系のコリエレ・デラ・セラ紙、スタンパ紙なども批判した。
法案は司法当局による盗聴捜査を制限、盗聴内容を報じた記者らに刑罰を科す内容で、近く下院も通過する見通し。
盗聴やそれに基づく報道はベルルスコーニ政権の汚職追及の有力な武器となっていただけに、メディア側は「追及封じ込めが目的」と主張している。
国会図書館蔵書電子化 紀伊国屋など48万冊受注
大日本印刷、紀伊国屋書店、コダックなどが国会図書館から蔵書の電子化業務を受注した。戦前から1968年までの書籍や雑誌など48万冊分が対象で、受注額は合計約46億円。蔵書を刊行時期などで8つに分け、競争入札で担当する会社が選ばれた。各社は今回受注した業務を通じて古書の電子化ノウハウを蓄積し、大学などの歴史的資料や専門書を電子保存する業務の受託に生かす。
各社が受注したのは紙の書籍のページを読み取って画像化し、書名や著者、目次といった検索用のデータを整備する業務。国会図書館がマイクロフィルムで保管している書籍も同様の手順で電子化する。
システム開発の日商エレクトロニクス、帳票の読み取りシステムを製造しているムサシなども業務を受注。1社あたりの受注額はムサシの10億円が最高だった。
電子化した蔵書は国会図書館内の情報端末で検索したり閲覧したりできる。著作権が切れた書籍の画像は、図書館のホームページで無料で公開。国会図書館は書籍の画像データを地方図書館に貸し出すことも検討している。
国会図書館は昨年末から大規模な蔵書の電子化に着手。これまでに40万冊程度の電子化を終えている。今回の発注分で、計画していた1968年までの蔵書90万冊の電子保存をすべて完了。127億円の予算を確保していたが、当初見通しより落札金額が低く約40億円が余る見通し。残った予算で68年以降の刊行物の電子化も進める。
海外では米グーグルが大学図書館などの協力で蔵書700万冊の電子化を済ませ、著作権が切れたものをネットで公開する「ブック検索」サービスを提供中。欧州連合(EU)加盟国の国立図書館なども、共同で書籍や公的文書など1000万点を電子化し、順次公開する計画だ。
国会図書館は電子化した書籍を出版社や著者の許諾を前提に幅広く活用したい考え。小学館や講談社など一部の出版社とは今秋にも、書籍全文を検索可能なサービスの実証実験を始める。電子化した蔵書の活用場面が広がれば、電子書籍の普及にもつながりそうだ。
携帯で事前に注文 マクドナルドが専用サイト
日本マクドナルドホールディングスは店頭で携帯電話を使って注文できる仕組みを導入する。消費者はどこでも好きな時に携帯の専用サイト上で注文を入力しておけば、入店時にカウンターの読み取り機にかざすと注文がすぐ厨房(ちゅうぼう)に送られる。客は事前にじっくりメニューを選べ、店側は回転率向上を期待できる。大手ハンバーガーチェーン初の試みで、3年内に約3700の全店に導入する計画。
利用者はまず同社の会員制の携帯向けサービスに登録する。現在の会員は約1800万人で、商品を割り引く電子クーポンなどを配信している。年内にも実験を始める。
各店では昼食時間帯などにカウンター前に長い行列ができることも多いが、新サービスによって待ち時間短縮につながる。混雑時に比べて、そうでない場合は「客単価が15%上がる」(原田泳幸社長)ため、全店で導入していく。今回のサービスは世界のマクドナルド店でも初めてという。
所信表明演説 超党派で財政再建に取り組め(6月12日付・読売社説)
理念ばかりが先行し、空回りし続けた鳩山前首相と違って、地に足のついた現実的な政治を目指す姿勢は評価できる。ただ、具体的な政策は乏しく、物足りなさは否めない。
菅首相が初の所信表明演説を行った。前首相の挫折を乗り越え、国民の信頼を回復することを自らの最大の責務と位置づけた。
新内閣の政策課題として「戦後行政の大掃除の本格実施」「経済・財政・社会保障の一体的建て直し」「責任感に立脚した外交・安全保障政策」の3項目を挙げた。
「戦後行政の大掃除」は前首相が掲げたスローガンだ。道半ばにある事業仕分けや無駄遣いの根絶、地方分権などを継承する考えを示したものだが、具体的に何にどう取り組むかは明確ではない。
「経済・財政・社会保障の一体的建て直し」は、菅首相が最近、一貫して主張している。日本経済を安定した回復軌道に乗せるとともに、財政再建に道筋をつけることの重要性は言うまでもない。
菅首相は、公共事業中心の「第一の道」や、小泉構造改革に代表される「第二の道」に代えて、増税で得た財政資金を社会保障分野などに投入して新たな需要と雇用を創出し、成長につなげる「第三の道」を追求する、という。
だが、それだけで、名目成長率3%超という「強い経済」が実現するほど甘くはあるまい。
急造の演説とはいえ、成長分野ごとに優先順位を定め、予算や施策に反映させる方向性を示さなければ、説得力を持たない。
一方で、首相が、税制の抜本改革を視野に入れ、超党派の「財政健全化検討会議」の創設を提案したのは、妥当である。
財政の赤字体質からの脱却や社会保障の財源確保には、消費税率の引き上げが欠かせない。こうした重要な政策課題については、与野党が共通の認識・合意を形成することが望ましい。自民党など野党も積極的に応じるべきだ。
外交・安保分野で、菅首相は、「現実主義」の外交を唱え、日米同盟が「外交の基軸」と明言した。23日に沖縄を訪問し、米軍普天間飛行場の移設問題の前進に自ら取り組む考えも示した。
「対等な日米関係」を標榜(ひょうぼう)し、無用の摩擦や混乱を招いた前首相を反面教師にしたのだろう。ただ、同盟深化や中韓両国との関係改善のために何をするのか、といった各論への言及はなかった。
今月下旬にはカナダで主要国首脳会議が開かれる。各論の詰めを急がなければならない。
来週のゲーム業界展示会E3では、低迷する600億ドル産業の活性化を目指す世界の大手ゲーム機メーカー各社が、新世代のプレイヤーを引き込むための未来的なガジェットを発表する。
Microsoftはロサンゼルスで開催の同カンファレンスで、コントローラー不要のシステム「Project Natal」の正式名称と発売日を発表する見込みだ。ソニーはモーションセンサーコントローラー「Playstation Move」を披露し、任天堂は3D携帯ゲーム機を初めてお披露目する。
「今年のE3はここ数年で最大のハードウェアショウだ」とWedbush Securitiesのアナリスト、マイケル・パッチャー氏は語る。「ゲーム機メーカー3社が同時にハードを発表したことはなかった。革命的だ」
この新製品ラッシュは、ビデオゲーム業界――100億ドル規模の米映画興行収入よりはるかに大きい――が今まさに求めているものだ。米ゲーム業界――ハード、ソフト、周辺機器を合わせて――は、年初から4月にかけての売上高が47億ドルと、前年から10%以上減少している(NPD調べ)。
アナリストは、Microsoftと任天堂の発表は話題になると確信している。前者は自由な動きでゲームを操作するプラットフォームを、後者は専用メガネの要らない3Dゲーム機を発表する。
E3の皮切りとなるのが、Microsoftが長い間温めてきたNatalだ。6月13日に有名人を招いた派手なデモが行われるのはほぼ間違いない。
Microsoft――最近「時価総額世界一のIT企業」の座をAppleに奪われた――は昨年のE3でNatalを発表した。今年は、その正式名称や対応ゲームのラインアップ、価格に注目が集まるだろう。
E3までは、同社はこれらの情報を明かさないだろう。アナリストの予想価格は50~200ドルと幅広い。Natalは3つのカメラを備え、年末商戦に向けて発売される。
「ハード売り上げはソフトの売り上げを増やす最高の刺激剤だ」とMKM Partnersのアナリスト、エリック・ハンドラー氏は語る。「ハードの勢いを高められるものなら何でも歓迎する。今年に入ってからソフトの売り上げが振るわないので、何かが必要だ」
カジュアルゲーマー狙うNatal
ハンズフリーでゲームができ、音声コマンドでゲーム機を操作するNatalは、ハードコアゲーマーというよりも、Natalを知らないかもしれないカジュアルゲーマーや新しいユーザー層に訴求するよう設計されているとアナリストは言う。
「Microsoftが直面するジレンマは、ヘビーゲーマーにはそれほど役に立たないNatalを、各家庭で主にゲーム機を使っているゲーマーに買ってもらうことだ。彼の母親やガールフレンドはNatalを使いたいと思うだろうが、Microsoftがうまく宣伝しなければ、彼女らはNatalのことを知らないままだろう」(パッチャー氏)
非ゲーマー層の取り込みが、Xboxをリビングルームの娯楽の中心にするためのMicrosoftの取り組みのカギになる。
「Natalを家庭に送り込んで、コアゲーマー以外の人に使ってもらえれば、もっと多くの人に映画や音楽、ほかのゲームを売れるようになる」とパッチャー氏は言う。
ゲームソフトメーカーUbisoftのイブ・ギルモCEOは、ジェスチャー技術は複雑なアドベンチャーゲームやシューティング、スポーツゲームを好むコアな男性プレイヤー以外にも訴求すると語る。
「コアゲームをプレイできなかった人もたくさんいる。これまではインタフェースが複雑過ぎた」と同氏は電話取材に応えて語った。「ジェスチャーツールはまず簡単なゲームに導入され、ハイエンドゲームに広がるだろう。人々にこの業界に入ってきてもらうにはいいやり方だ」
Microsoftは既に、オンラインサービスXbox LIVEでNetflixの映画とZuneストアの音楽・動画を配信している。E3ではHuluのテレビ番組も同サービスに追加されるとうわさされているが、Microsoftはその件についてコメントを控えた。
Xbox 360は発売から5年がたっており、販売台数は4000万台以上、Xbox LIVEの有料サービス会員は2300万人に上る。最善のシナリオでは、NatalはXbox 360の寿命を4~5年延ばし、販売台数を6000万~7000万台に拡大する可能性があるとパッチャー氏は語る。
通常、発売から5年目までにハードの需要は最高潮に達するが、ソフトの売り上げはユーザー基盤によってけん引される。
ソニーは、任天堂は
ソニーもPlayStation Moveという形で、独自のモーションセンサー技術を宣伝するだろう。
このデバイスは、カラフルなボールが付いたテレビのリモコンのような形で、3月に発表された。今年の秋に100ドルを切る価格で発売される。
アナリストは、Moveはむしろ熟練したゲーマー向けだが、ソニーはプレイステーション 3(PS3)を持っている3400万人のユーザーすべての関心を引こうとするだろうと語る。
「ソニーはWiiがやったことを取り入れて、次のレベルに引き上げて、モーション技術をコアゲーマー向けのゲーム、FPS(ファーストパーソンシューティング)ゲーム、アクションゲームに取り込もうとしている」とElectronic Entertainment Design and Researchのアナリスト、ジェシー・ディビンチ氏は語る。
ライバルの任天堂は、携帯ゲーム機でこれまでで最大の発表をするかもしれない。「3DS」と呼ばれる3Dゲーム機だ。
3DSはメガネなしで3D効果を表示できる。このデバイスはまだ披露されていない。
「携帯ゲーム機に3D技術が載るのは初めてだ」とディビンチ氏は言う。「どんなふうに見えるのだろうか? 見たことがないので理解が難しい」
3Dテレビの価格の高さから、3Dゲームはまだ受け入れられていないが、任天堂が300ドルを切るゲーム機で3Dのトレンドに弾みをつけるかもしれないと同氏は語る。携帯ゲーム機のファンがAppleのiPhoneやGoogleのAndroidへ流れるのを遅らせることもできるかもしれない。
「今はAppleがかなり伸びている」とハンドラー氏。「(3DSは)任天堂に再び生命を吹き込む興味深い方法となる可能性がある」
ホンダ、二輪部品の輸入拡大 中小型車7~8割に
ホンダは二輪車の国内工場で輸入部品の使用比率を大幅に高める。排気量125cc前後までの中小型車を対象に、今後数年で7~8割を新興国などからの調達に切り替える。中大型車にも順次広げる計画だ。同社の国内二輪車事業は赤字が続いているが、安い輸入部品を増やしコスト構造を抜本的に転換。工場稼働率が現在の4割前後でも、利益を出せる体制を目指す。
部品の調達体制を見直すのは国内唯一の二輪車工場である熊本製作所(熊本県大津町)。国内市場向けや欧米への輸出用の二輪車を手掛け、生産能力は年50万台。現在は使用する部品の9割超を国内で調達している。
今後はホンダの二輪車工場があるタイなどに進出している日系部品メーカーや現地企業からの輸入を増やす。まず主力の「スーパーカブ」(排気量110cc)で5%だった輸入部品の使用比率を60%程度に拡大した。
一方で熊本製作所で生産する国内向けモデルを2003年の58車種から45車種に削減。開発費を抑えて生産性も引き上げる。一時670人いた期間従業員はゼロにした。
熊本製作所の10年3月期の生産台数は前の期比4割減の約18万台で、生産能力のほぼ4割にまで落ち込んでいる。一連のコスト削減策により、二輪事業本部長の大山龍寛常務は「この生産水準でも収支トントンにできる」とし、12年3月期には黒字転換する見通しを示した。
ホンダは生産効率の向上を狙い、08年に国内の二輪車生産拠点を熊本製作所に集約した。ただ金融危機の影響で先進国の二輪車販売が急減。先進国の赤字を新興国の利益で補う事業構造からの脱却が、大きな課題になっていた。ホンダは四輪車でも新興国からの部品輸入拡大などを柱とする調達・生産改革を推進している。
携帯出荷1000万台目指す 富士通・東芝事業統合へ
富士通と東芝が携帯電話事業の統合で最終調整している。実現すると国内市場で第2位、海外も含めた総出荷は年700万台強とみられる。1日にはNEC、カシオ計算機、日立製作所の携帯会社が発足した。相次ぐ再編の背景には事業環境の変化がある。世界の大手と戦えなければ攻め込まれかねないが、巻き返しの余地もわずかながら見えてきた。各社は世界と戦う目安「出荷1000万台」を目指す。
1日に発足したNECカシオモバイルコミュニケーションズの山崎耕司社長は「2012年度に出荷1200万台を目指す」と宣言した。現在の総出荷年720万台から6割増やす計画を疑問視する声もある。
「端末開発のコスト競争力の重要性は増すばかりだ」(野村総合研究所の小林慎和上級コンサルタント)。山崎社長の宣言は、世界に挑戦するには最低でも年1000万台規模が必要という危機感の表れでもある。
年間出荷約11億台の世界市場はフィンランドのノキア(約4億5千万台)、韓国のサムスン電子(同2億台)、LG電子(同1億台)の3社が約7割を占める。世界の約3%にすぎない日本市場には約10社がひしめく。1000万台超えは首位のシャープだけだ。
日本勢の再編が遅れていたのは、右肩上がりの国内市場でNTTドコモなどの通信会社丸抱えの端末開発が機能してきたためだ。端末を通信会社が全量を買い取り、開発を支援する仕組みの下、高機能端末を送り出してきた。携帯端末各社は「ワンセグ」や「おサイフケータイ」といった日本独自の機能付加に注力。世界から孤立した「ガラパゴス」と言われた。
この環境に変化を起こした一例が米アップルの「iPhone(アイフォーン)」。メーカーがコンテンツ課金するモデルの登場は通信会社主導の端末開発の限界を示した。逆にメーカーが魅力的な製品を作れば世界で戦える証明ともなった。それには再編で開発基盤を統合、コスト競争力と開発力に磨きをかける必要がある。
国内では光回線並みの高速通信が可能な「LTE」と呼ばれる次世代携帯電話サービスが年内に始まる。LTEで事実上、世界の携帯電話の規格が統一され、国内メーカーが海外の通信会社や消費者に端末を提供する自由度が高まる。
総務省は携帯電話端末を一つの通信会社でしか使えないようにする「SIMロック」を11年以降解除する方針。消費者が端末と通信サービスを別々に選べるようになれば、メーカーは独自色を発揮できる。
端末の魅力自体が事業の成否を決める新しい時代はメーカーにとってチャンス。だが、残された時間は少ない。
USEN再建へ負債圧縮 インテリジェンス売却
USENはインテリジェンスを売却して約1000億円の有利子負債を圧縮する。インテリジェンスはUSENの連結売上高の3割を占め、宇野康秀社長が創業メンバーの一人として立ち上げたグループの中核会社。だが、人材市場の低迷で経営不振に陥り、有線放送との関連性も薄いため売却を決めた。
USENは有線放送の草分けで、1990年代からは有線の同軸ケーブル網を生かしたインターネット接続や動画配信に力を入れてきた。しかし、NTTなどが同様のサービスを強化する中で劣勢に立たされ、負債は一時2000億円以上に膨らんだ。
昨年からは負債を圧縮して経営を再建するため、資産売却を加速。無料動画サービス「ギャオ」をヤフーに売却し、カラオケやネット接続などの事業も相次ぎ売り渡した。インテリジェンスの売却で負債は約700億円まで減るが、結局、創業事業である有線放送だけが事実上残る格好になる。
有線放送は市場拡大こそ望めないものの飲食店などから安定した収入が見込める。その収入を軸に今後は有料の動画配信サービスを強化していく方針だが、先行きは不透明だ。
インテリジェンスはUSENグループから離脱。資本力のある米大手買収ファンドの傘下に入り事業の再生を目指す。
iPad向け、本の「格安」電子化業者が出現
米アップルの情報端末「iPad(アイパッド)」が人気を集める中、書籍を安く電子化し、iPadなどで読めるようにする業者が現れた。
個人が私的にコピーする以外の複製は著作権法で禁じられており、日本文芸家協会は、著作者が出版社に委託した複製権の侵害にあたるとして業者への抗議を検討している。
東京のある業者は4月、本を裁断して1ページごとにスキャナーで読み取り、PDFと呼ばれる電子文書形式に変換するサービスを始めた。本の送料は自己負担だが、1冊分のデータを100円でホームページからダウンロードできるサービスが評判を呼び、注文が殺到。スキャナーの台数などを増やしたが、注文から納品まで3か月待ちという。
業者は「個人が複製するのは合法。個人の依頼を受けて代行しているだけで、著作権法違反ではない」と主張する。都内の別の業者も5月末に営業を始め、2日間で200人以上の申し込みがあったという。
一方、日本文芸家協会の三田誠広・副理事長は「営利目的の業者が利益を得るのは、たとえ私的複製でも複製権の侵害」と主張する。
著作権問題に詳しい福井健策弁護士は「私的複製は個人が自ら行うのが原則。代行は基本的に認められず、私的複製と言うのは難しい」と話している。
日本の「地デジ」フィリピンも採用 アジア初
総務省は11日、東南アジアのフィリピン共和国が地上デジタルテレビ放送で日本方式を採用することが決まったと発表した。アジアで日本の地デジを採用するのは同国が初めてとなる。
同省によると、フィリピン共和国電気通信委員会が同日、地デジの日本方式を採用する規則に署名した。
フィリピン側は地デジ方式を一時は欧州方式を導入する方向で検討していたが、電波干渉に強い「ワンセグ」といった移動端末向け放送などに対応する日本方式を最終的に選んだ。同国での地デジの放送開始時期などは未定という。
日本側は同国に対し、技術移転や人材育成での支援協力を進める考えだ。
今回のフィリピンの決定で、海外で地デジの日本方式を採用する国は9カ国目。これまではブラジルやペルーなど中南米8カ国で日本方式の採用が決まっていた。
伊主要紙が1面白紙 報道規制法案に抗議
イタリアのベルルスコーニ政権による報道規制法案が10日に上院を通過したことに抗議して、11日付の左派系主要紙レプブリカが1面をほぼ白紙としたほか、主要紙が一斉に批判記事を掲載した。記者組合が近くストを計画するなど政権とメディア側の対立激化は必至だ。
レプブリカ紙は「法案は市民の知る権利を否定する」との声明を中央に載せたほかは1面を白紙に。中立系のコリエレ・デラ・セラ紙、スタンパ紙なども批判した。
法案は司法当局による盗聴捜査を制限、盗聴内容を報じた記者らに刑罰を科す内容で、近く下院も通過する見通し。
盗聴やそれに基づく報道はベルルスコーニ政権の汚職追及の有力な武器となっていただけに、メディア側は「追及封じ込めが目的」と主張している。
国会図書館蔵書電子化 紀伊国屋など48万冊受注
大日本印刷、紀伊国屋書店、コダックなどが国会図書館から蔵書の電子化業務を受注した。戦前から1968年までの書籍や雑誌など48万冊分が対象で、受注額は合計約46億円。蔵書を刊行時期などで8つに分け、競争入札で担当する会社が選ばれた。各社は今回受注した業務を通じて古書の電子化ノウハウを蓄積し、大学などの歴史的資料や専門書を電子保存する業務の受託に生かす。
各社が受注したのは紙の書籍のページを読み取って画像化し、書名や著者、目次といった検索用のデータを整備する業務。国会図書館がマイクロフィルムで保管している書籍も同様の手順で電子化する。
システム開発の日商エレクトロニクス、帳票の読み取りシステムを製造しているムサシなども業務を受注。1社あたりの受注額はムサシの10億円が最高だった。
電子化した蔵書は国会図書館内の情報端末で検索したり閲覧したりできる。著作権が切れた書籍の画像は、図書館のホームページで無料で公開。国会図書館は書籍の画像データを地方図書館に貸し出すことも検討している。
国会図書館は昨年末から大規模な蔵書の電子化に着手。これまでに40万冊程度の電子化を終えている。今回の発注分で、計画していた1968年までの蔵書90万冊の電子保存をすべて完了。127億円の予算を確保していたが、当初見通しより落札金額が低く約40億円が余る見通し。残った予算で68年以降の刊行物の電子化も進める。
海外では米グーグルが大学図書館などの協力で蔵書700万冊の電子化を済ませ、著作権が切れたものをネットで公開する「ブック検索」サービスを提供中。欧州連合(EU)加盟国の国立図書館なども、共同で書籍や公的文書など1000万点を電子化し、順次公開する計画だ。
国会図書館は電子化した書籍を出版社や著者の許諾を前提に幅広く活用したい考え。小学館や講談社など一部の出版社とは今秋にも、書籍全文を検索可能なサービスの実証実験を始める。電子化した蔵書の活用場面が広がれば、電子書籍の普及にもつながりそうだ。
携帯で事前に注文 マクドナルドが専用サイト
日本マクドナルドホールディングスは店頭で携帯電話を使って注文できる仕組みを導入する。消費者はどこでも好きな時に携帯の専用サイト上で注文を入力しておけば、入店時にカウンターの読み取り機にかざすと注文がすぐ厨房(ちゅうぼう)に送られる。客は事前にじっくりメニューを選べ、店側は回転率向上を期待できる。大手ハンバーガーチェーン初の試みで、3年内に約3700の全店に導入する計画。
利用者はまず同社の会員制の携帯向けサービスに登録する。現在の会員は約1800万人で、商品を割り引く電子クーポンなどを配信している。年内にも実験を始める。
各店では昼食時間帯などにカウンター前に長い行列ができることも多いが、新サービスによって待ち時間短縮につながる。混雑時に比べて、そうでない場合は「客単価が15%上がる」(原田泳幸社長)ため、全店で導入していく。今回のサービスは世界のマクドナルド店でも初めてという。
所信表明演説 超党派で財政再建に取り組め(6月12日付・読売社説)
理念ばかりが先行し、空回りし続けた鳩山前首相と違って、地に足のついた現実的な政治を目指す姿勢は評価できる。ただ、具体的な政策は乏しく、物足りなさは否めない。
菅首相が初の所信表明演説を行った。前首相の挫折を乗り越え、国民の信頼を回復することを自らの最大の責務と位置づけた。
新内閣の政策課題として「戦後行政の大掃除の本格実施」「経済・財政・社会保障の一体的建て直し」「責任感に立脚した外交・安全保障政策」の3項目を挙げた。
「戦後行政の大掃除」は前首相が掲げたスローガンだ。道半ばにある事業仕分けや無駄遣いの根絶、地方分権などを継承する考えを示したものだが、具体的に何にどう取り組むかは明確ではない。
「経済・財政・社会保障の一体的建て直し」は、菅首相が最近、一貫して主張している。日本経済を安定した回復軌道に乗せるとともに、財政再建に道筋をつけることの重要性は言うまでもない。
菅首相は、公共事業中心の「第一の道」や、小泉構造改革に代表される「第二の道」に代えて、増税で得た財政資金を社会保障分野などに投入して新たな需要と雇用を創出し、成長につなげる「第三の道」を追求する、という。
だが、それだけで、名目成長率3%超という「強い経済」が実現するほど甘くはあるまい。
急造の演説とはいえ、成長分野ごとに優先順位を定め、予算や施策に反映させる方向性を示さなければ、説得力を持たない。
一方で、首相が、税制の抜本改革を視野に入れ、超党派の「財政健全化検討会議」の創設を提案したのは、妥当である。
財政の赤字体質からの脱却や社会保障の財源確保には、消費税率の引き上げが欠かせない。こうした重要な政策課題については、与野党が共通の認識・合意を形成することが望ましい。自民党など野党も積極的に応じるべきだ。
外交・安保分野で、菅首相は、「現実主義」の外交を唱え、日米同盟が「外交の基軸」と明言した。23日に沖縄を訪問し、米軍普天間飛行場の移設問題の前進に自ら取り組む考えも示した。
「対等な日米関係」を標榜(ひょうぼう)し、無用の摩擦や混乱を招いた前首相を反面教師にしたのだろう。ただ、同盟深化や中韓両国との関係改善のために何をするのか、といった各論への言及はなかった。
今月下旬にはカナダで主要国首脳会議が開かれる。各論の詰めを急がなければならない。
PR
ゲームを超えたソーシャルの価値を作る=ミクシィ新オープン戦略発表へ
「昨年のmixiのオープン化は、今年これから発表するオープン化に比べるとはるかに小さなオープン化だったと言える」ー。株式会社ミクシィの原田明典取締役はそう語る。
新オープン化戦略の正式発表は8月に予定されているカンファレンスで行う予定だが、仮称だが3つのテーマが決まっている。1つは、メディア・デバイスプラットフォーム。メディアやデバイスに向けたプラットフォームという。詳細は正式発表まで明らかにしない。
2つ目はソーシャル支援プラットフォーム。Infinity Venture Summit(IVS)ではその具体例として、一般のウェブサービス上にmixiの中の情報を出したり、外部のウェブサービスからmixi向けに投稿できるようにmixiのAPIと呼ばれる技術仕様を公開する計画を明らかにした。
IVSでは「Facebookを真似たのか」との質問が出たようだが、ミクシィの笠原健治社長は「Facebookが発表する前から考えていた」と主張、原田取締役は「今回はFacebookが発表したのと同じレベルのものだけを明らかにした。8月にはFacebookでさえ実施していない新しい取り組みを発表するので、われわれが単純に真似ているのではないことを理解してもらえると思う」と語る。確かにこうした仕組みのアイデアは「はてなスター」しかり、以前から存在するものなので、特に真似たわけではないのだろう。
そして3つ目はソーシャルゲートウェイプラットフォーム。ソーシャルな世界と従来の世界をブリッジしていくようなプラットフォームだという。
具体的な中身は未発表だが恐らくミクシィが目指しているのは、友人関係を通じて情報が流れる仕組み、情報社会のインフラになるような仕組みなのだろう。
友人のグループの間でゲームをすれば、一人でゲームをするよりも何倍も楽しい。それがゲームがソーシャルゲームになることで生み出される価値だ。それどころの価値ではない。もっと大きな価値が作り出される。
例えば友人と買い物を一緒にするだけで買い物はより楽しくなる。友人と相談するだけで、よりいいアイデアが浮かぶ。同様に、ソーシャルな仕組みを、あらゆるウェブサイト、あらゆるメディア、デバイス、あらゆる人、物に広げていけば、社会により大きな価値を不可できるのではないか。笠原氏と原田氏はそう主張するわけだ。
さてミクシィは、モバゲータウン、グリーのように世界進出を狙わないのだろうか。原田氏は「対象はグローバル」と言う。
しかし世界には、ミクシィと同様のビジョンを持つ会員5億人を誇る世界最大のFacebookが存在する。ミクシィはどう対抗していくのだろうか。笠原氏、原田氏ともに「まだ話せない。いずれ大きく発表する」と言う。
さてここで大胆予測させてもらえば、わたしはミクシィがFacebookと連携する可能性があると思う。Twitterと連携したのだから、Facebookとも連携したとしてもおかしくない。世界のSNSはいずれすべて連携していくようになるのだと思う。
孫社長明言。iPhone 3G、3GSの2台を割賦契約中でもiPhone 4が買えるように!
いよいよ来週15日(火)から予約が始まるiPhone 4。多くの既存iPhoneユーザーが購入を考えているでしょうが、1つ、問題がありました。ソフトバンクモバイルでは割賦契約ができるのは1人につき2台までと制限されているのです。
このため、2年前にiPhone 3Gを割賦契約で購入し、それから1年後にiPhone 3GSをさらに割賦契約で購入したユーザーは、今年発売のiPhone 4を割賦で購入することができない状態となっていました。
iPhoneが好きだからこそ毎年乗り換えたいのに、その制限のために乗り換えられない。iPhone 3G、3GSの2台を割賦契約中のユーザーがiPhone 4を手に入れるためには、一括で支払う以外方法がなかったのです――昨日までは。
そう、このiPhoneユーザーを絶望のどん底に叩き落とす制限は昨日までの話。じつは昨夜、この制限をなんとかして欲しいと思ったユーザーが孫社長に伝えたところ、孫社長が「追加で割賦購入可能にしましょう」と答えたのです。
まだ正式なリリースは発表されていませんが、これでiPhone 3G、そして3GSの2台を割賦契約で購入しているユーザーもiPhone 4を購入できるようになることは間違いないでしょう!
「割賦契約中だから……」と諦めていたアナタ! 諦めるには早すぎます。iPhone 4、購入できるようになりましたよ。
今度は池田信夫氏、孫社長の「光の道」対談、司会は夏野剛氏
ソフトバンクグループと株式会社ニワンゴは、ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏と経済学者の池田信夫氏による対談を、6月17日20時からUstreamとニコニコ生放送で同時生中継すると発表した。テーマはもちろん「光の道構想」。
2015年までに国内の4900万世帯にブロードバンドを普及させるとして、原口一博総務大臣が掲げた「光の道構想」については、孫氏が支持を表明する一方、池田氏は異議を唱えている。対談では、光回線の問題にとどまらず、テレビ放送や携帯電話、無線LANなどの電波をめぐる議論にも踏み込む予定だとしている。司会・進行は、夏野剛氏が務める。
「光の道」対談は今回が2回目。5月13日には、やはり「光の道構想」への反論を表明していたジャーナリストの佐々木俊尚氏との間で約5時間にわたって行われ、孫氏が「光の道」に対する考えを熱弁。その模様がUstreamとニコニコ生放送で中継された。
ネットで500円政治献金…ヤフーが開始
インターネット国内最大手のヤフーが、国内で発行されている様々なクレジットカードで1回500円から政治献金できるサービスを11日から始める。
ヤフーは4月から自社のヤフーカードを使ってネット献金サービスの試行をしてきた。だが、参院選を前に対応するカードの種類を増やし、若年層などへ個人献金のすそ野を広げることを目指す。クレディセゾン、セディナの2社のほか、ビザ、マスターがついているクレジットカードも使うことができるようにする。JCBカードでも対応する方針だ。
献金対象は、現職の国会議員のうち、ネットでの個人献金の受け取りを希望している政治家に限られる。ヤフーの専用サイトから政治家を選び、クリックなどの簡単な操作で献金できる仕組みだ。今後、地方自治体の首長や議員に拡大することも検討する。カード決済の手数料は、政治家の資金管理団体が負担する。
iPadアドレス流出 FBIが捜査開始
米電子機器大手アップルの新型マルチメディア端末、iPad(アイパッド)所有者のメールアドレスが外部に大量流出した問題で、米連邦捜査局(FBI)が捜査に乗り出したことが10日分かった。米メディアが伝えた。
iPadが利用する携帯通信網を米国で独占的に扱う米通信大手AT&Tのサイトの不具合で、約11万4千人のアドレスが外部に流出した。FBIはハッカーらの関与を捜査するとみられる。
流出したアドレスには政府高官や大手企業の幹部のものが含まれていた。AT&Tは不具合について対策を取ったとしている。
【W杯】試合よりも注目? FIFAブラッター会長がツイッター開始
【ヨハネスブルク=北川信行】国際サッカー連盟(FIFA)は10日、ブラッター会長が投稿コミュニケーションサービス「Twitter(ツィッター)」を始めると発表した。
アドレスは「@seppblatter」(http://twitter.com/seppblatter)。ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の期間中、コメントを寄せるという。
「私がW杯で経験することを世界中のみんなと分かち合えることに興奮している」という“サッカー界のドン”は、どんなつぶやきを発信するだろうか。
つぶやくと国旗を表示、Twitterがワールドカップ連携機能を開始
Twitterは、11日に開幕するサッカーのFIFAワールドカップ南アフリカ大会に合わせた特別サイトや、ハッシュタグによってツイートに国旗を表示する機能などの提供を開始した。
特別サイトでは、ワールドカップに関連するツイートを表示。各試合ごとに、対戦している国に関するツイートをリアルタイムで見ることができる。
また、国の名前のハッシュタグにより、ツイートに国旗を表示する「ハッシュフラグ」機能も提供。日本の場合は「#jpn」というハッシュタグを付けると、ツイートに国旗のアイコンが表示される。現時点でこの機能はTwitterの公式サイトのみが対応しており、モバイル版などは対応していない模様。
このほか、ワールドカップのおすすめリストや、プロフィールページの背景に設定できるワールドカップのテーマなども提供している。
09年度土地白書 地価、経済への影響低下 バブル後20年分析
前原誠司国土交通相は11日の閣議で2009年度の土地白書を報告し、了承された。バブル崩壊後20年間の不動産市場を分析し、地価とマクロ経済の相関関係は弱まっている一方、家計の住宅投資が経済全般に与える影響などはなお存在しているとした。
白書は1980年以降、地価変化率と国内総生産(GDP)変化率に正の相関があるが、バブル崩壊後の92年以降は明確な関係がみられないと指摘。大企業の資金調達で土地担保融資の重要性が低下し、「地価が大企業の設備投資を通じてマクロ経済に与える影響は低下した」と分析した。
半面、家計の住宅投資がマクロ経済に与える影響はなお確認でき、マクロ経済が地価に及ぼす影響もあるとした。家計については「持ち家志向は依然強い」というが、住宅価格や所得などを基にした住宅取得能力指数は01年の353をピークに、08年は244に下がった。これに伴い35~49歳の持ち家率の上昇幅も03年以降は縮小している。
ゴルフ会員権、値下がり続く 年初比4%、換金売り膨らむ
ゴルフ会員権の値下がりが続いている。会員権仲介大手の住地ゴルフ(東京・中央)がまとめた全国平均価格は現在155万円。年初に比べ約4%下がった。換金目的に企業や個人の売りが膨らんだのに対し、買い意欲が盛り上がらない。株価や景気に不透明感が強まっており、買い控えの動きが鮮明だ。
関東では都心から遠い北関東の物件に売り圧力が強い。関西でも「売りが7に対し買いが3。希望売却価格を下げると売買が成立する」(会員権仲介会社のイーグル=大阪市)という。
企業や個人の売りが止まらない。リーマン・ショック後の業績悪化に底入れ感が出たことで「損失を確定させようとする売りが膨らんだ」(仲介会社の桜ゴルフ=東京・中央)。名門コースの会員権を複数持つような企業も処分に動いている。
ゴルフ会員権は株価にやや遅れて連動する傾向があるといわれる。株価が戻り基調にあった春先には値下がりで買いやすくなったコースを購入する動きもあったが、最近では様子見ムードが強まってきた。
超党派で「財政健全化検討会議」…首相所信表明
菅首相は11日午後の衆参両院本会議で、就任後初の所信表明演説。
首相は鳩山政権が掲げた「戦後行政の大掃除」を本格化させる一方、「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」の一体的実現を目指す考えを表明。特に、財政健全化のため消費税率の引き上げを含む税制の抜本改革に着手し、超党派の「財政健全化検討会議」を創設することを提唱。
首相は冒頭、鳩山前首相と小沢一郎前民主党幹事長の「政治とカネ」に関する問題や、沖縄県の米軍普天間飛行場移設をめぐる混乱で、政権への国民の期待が大きく揺らいだとし、「前内閣の一員として責任を痛感している」と陳謝。そのうえで、鳩山、小沢両氏の辞任でけじめはつけたとして、国民の信頼回復こそ自らに課された最大の責務だと訴える。
新内閣の政策課題としては、「戦後行政の大掃除」の本格実施、経済・財政・社会保障の一体的立て直し、責任感に立脚した外交・安全保障政策の3点を掲げる。
内政では「強い経済、強い財政、強い社会保障の一体的実現を、政治の強いリーダーシップで実現していく決意だ」と訴える。財政の健全化のため、「税制の抜本改革に着手することが不可避だ」との認識を示す。
「強い経済」の実現に向けては、これまでの「公共事業中心」「供給サイドに偏った、生産性重視」のいずれでもない「第三の道」を追求する考えを表明。新成長戦略の実行により、2020年度までの年平均で名目3%、実質2%を上回る経済成長を目指す考えを示す。
「強い社会保障」に関しては、新たな年金制度に関する基本原則や、社会保障や税の番号制度の導入に向けた具体的な選択肢を近く提示する考えを示す。
郵政改革法案については、「民主党と国民新党の合意に基づき、速やかな成立を期す」と表明する。
外交では、「現実主義」を掲げ、基軸である日米同盟を「着実に深化させる」と表明する。沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題については、「日米合意を踏まえつつ、沖縄の負担軽減に尽力する覚悟だ」との決意を語る。
【W杯】1次リーグ突破は困難?! 担当記者6人全員が敗退を予想…
本紙W杯担当記者6人が日本の成績、優勝国を予想した。全員が日本の1次リーグ敗退を予想。自国開催以外のW杯で初の16強入りは難しいか。優勝国は4カ国に票が割れた。(W杯取材班)
◇
全員が1次リーグ敗退を予想した中、半数の3人が3連敗と厳しい見立て。「すべてが万全でも勝てる保証のない相手。直前の方針転換、定まらない攻撃の形、試行錯誤の選手配置と『今ごろ何を』と言いたくなることが多すぎる」(森本)。岡田采配(さいはい)の“迷走”が背景にある。
南アフリカ入り直前まで親善試合で4連敗。10日に組んだジンバブエとの練習試合も0-0と無得点に終わった。「流れの中で得点を奪う『型』がまったくない。練習でさえできないことを試合で望めない」(榊)と得点力への不安が募る。
各試合で見ると、最も勝ち点を奪える可能性があるのが初戦のカメルーン戦。勝利と引き分けを1人ずつが予想。ただ、「選手が抱いているはずの危機感が初戦で奏功する期待はしている」(奥村)、「調子を落としている相手に引き分け、以降に期待をつなげたい」(中野)と“皮算用”の感がある。
オランダ戦は全員が完敗を予想。「まったく歯が立たない」(北川、中野、榊)という声が大きい。デンマーク戦は「強化試合を見たかぎり、引き分けに持ち込めそうなのはデンマークのみ」(北川)との見方が1人、「点を取れる気がしない」(中野)という声が多い。
優勝国予想は割れた。スペインは「選手層が厚い」(小川)うえ「攻撃サッカーの潮流を作ってほしい」(中野)との声も。ブラジルは「堅守の王国に負ける材料などない」(榊)、ドイツは「故障者が多い逆境で真価を発揮する」(北川)との理由で推された。アルゼンチンは「メッシがマラドーナを超える瞬間を見たい」(森本)。さて、栄冠はどの国へ。
記者の目◇コナミ、W杯イヤーの業績を左右するもの
サッカーのワールドカップ(W杯)開幕が11日に迫った。W杯は世界最大級のスポーツイベントだけに、株式市場でもサッカー関連ビジネスを手掛ける企業が相場のテーマになるのが常。ゲーム大手のコナミもそんな企業の1社だ。
コナミといえば、サッカーゲームの有力タイトルを持つことで知られる。今年もW杯を控え、人気シリーズの最新作「ワールドサッカーウイニングイレブン2010蒼き侍の挑戦」を5月下旬に発売した。南米トップのサッカークラブを決定する「コパ・リベルタドーレス」のゲーム化に関するライセンスも世界で初めて取得。2010年3月期は同社のサッカーゲームソフトの売上本数(全世界)が749万本と前の期比12%減少しただけに、4年に1度のW杯イヤーとなる今期は業績的にもはずせない。
コナミの今期ゲームソフト販売は3トップ体制だ。1つ目は「ウイニングイレブン」。国内のみの販売だが、対応ゲーム機はPS3など4機種と「マルチプラットフォーム」体制を敷く。
2つ目はこちらも人気シリーズの最新作「メタルギアソリッドピースウォーカー」。海外でも絶大な支持を得ている戦闘ゲームのシリーズで期待が持てる。国内では4月下旬に発売されており、北米、欧州と順次リリースされる。3つ目は、グローバル事業展開を推進する同社にとって、試金石となる「キャッスルヴァニア」だ。スペインの制作会社と日本の著名な監督がタッグを組んだ、ヴァンパイアを倒すアクションゲーム。今年中にも販売予定だ。
コナミはゲームソフト以外の事業も手掛けており、今期は非ゲームソフト事業が連結業績の改善に寄与しそうだ。スポーツクラブ運営が主体の健康サービス事業は「スクラップ&ビルドにより収益性を高める」(山口憲明副社長)方針で、今期の営業損益が8億円の黒字(前期は19億円の赤字)に転換する見通し。海外カジノ向けにスロットや業務システムを販売するゲーミング&システム事業は着実な収益貢献が見込まれる。
主な収益源を検証していく中で気になるのが、国内ではW杯に対してこれまでほどの盛り上がりがないとの指摘だ。5月末のイングランド戦では見せ場があったものの、ライバルの韓国に対して今年に入って2度敗れるなど、このところ日本代表の戦績が振るわないのも要因の1つとも言われる。市場では「他の事業が良くても、主力のサッカーゲームが低迷すれば株価の弱材料」(外資系証券)との声は多い。
期待は「岡田ジャパン」が戦前の予想以上にW杯本番で活躍することだろう。国内でサッカーへの関心が一段と高くなればこれまでサッカーゲームに関心がなかった人を新たなユーザーとして取り込める可能性が広がる。W杯の決勝は7月12日(日本時間)。今回のサッカーゲームの売り上げで「W杯による大きな販売増は考えていない」(同社)とはいうが、集計段階に入っているコナミの4~6月期決算にどんな影響を与えるだろうか。
【中日社説】
郵政法案 廃案にして仕切り直せ
2010年6月11日
郵政改革法案が目指す新たな「郵政像」が見えてこない。利便性向上とは裏腹に、法案は事業の効率化から目をそらし、国民負担を招きかねない。審議も十分でなく、廃案にして仕切り直すべきだ。
衆院総務委員会での法案審議はいかにも乱暴だった。審議わずか一日。しかも強行採決で参院に送られた。「だれのための見直しか」「利益誘導ではないか」。野党議員の質問が見直しの本質を突いている。
法案は亀井静香郵政改革担当相が代表を務める国民新党の選挙基盤、全国郵便局長会(全特)の要望が広く採り入れられている。
郵便貯金は毎年十兆円、金利など条件のよい金融機関への流出が続く。収益の七割を郵貯と簡易保険の委託手数料に頼る郵便局の死活問題になりかねない。
そのためだろうか、全特の求めに応じ「政府が日本郵政の株を、日本郵政が子会社のゆうちょ銀行とかんぽ生命の株を保有し一体化する」「郵便局の維持費を賄うため、郵貯の預入限度額などを引き上げる」を法案の柱に据えた。
政府を頂点に組織を固め、限度額引き上げによる資金量増大で収益を回復させるシナリオだ。
解せないのは法案が経営効率化に一切触れていないことだ。
一般の企業は採算が悪化すれば経営のスリム化に迫られる。郵政事業も国民の利便を損ねないよう、至近距離に集中する郵便局の統合など、工夫できるはずだ。全特に三十万の組織票を動かす力があるにしても、合理化の素通りは露骨に過ぎる。
原口一博総務相も「経営が立ち行かなくなれば税金を投入せざるを得なくなる」と語っている。合理化を促すこともせず、国民につけを回すとでもいうのだろうか。
民主党の小沢一郎前幹事長は全特の定期総会で「今国会での成立を約束する」と言い切った。法案が参院選を有利に運ぶための道具であってはならない。
郵政はどう変わるのか。短時間の審議では議論は詰まらないし、国民にも容易に伝わらない。見直し後については、亀井氏ですら「どのくらいの黒字になるか分からない」とあいまいだ。
菅直人首相は「行政の透明化」を内閣の基本方針に掲げた。その方針に沿えば、透明度が低いまま法案成立には走れない。いったん廃案にし、仕切り直すのが筋だ。
首相はまず拙速を排し、開かれた国会審議を貫いて国民と政策との距離も縮めるべきだ。
「昨年のmixiのオープン化は、今年これから発表するオープン化に比べるとはるかに小さなオープン化だったと言える」ー。株式会社ミクシィの原田明典取締役はそう語る。
新オープン化戦略の正式発表は8月に予定されているカンファレンスで行う予定だが、仮称だが3つのテーマが決まっている。1つは、メディア・デバイスプラットフォーム。メディアやデバイスに向けたプラットフォームという。詳細は正式発表まで明らかにしない。
2つ目はソーシャル支援プラットフォーム。Infinity Venture Summit(IVS)ではその具体例として、一般のウェブサービス上にmixiの中の情報を出したり、外部のウェブサービスからmixi向けに投稿できるようにmixiのAPIと呼ばれる技術仕様を公開する計画を明らかにした。
IVSでは「Facebookを真似たのか」との質問が出たようだが、ミクシィの笠原健治社長は「Facebookが発表する前から考えていた」と主張、原田取締役は「今回はFacebookが発表したのと同じレベルのものだけを明らかにした。8月にはFacebookでさえ実施していない新しい取り組みを発表するので、われわれが単純に真似ているのではないことを理解してもらえると思う」と語る。確かにこうした仕組みのアイデアは「はてなスター」しかり、以前から存在するものなので、特に真似たわけではないのだろう。
そして3つ目はソーシャルゲートウェイプラットフォーム。ソーシャルな世界と従来の世界をブリッジしていくようなプラットフォームだという。
具体的な中身は未発表だが恐らくミクシィが目指しているのは、友人関係を通じて情報が流れる仕組み、情報社会のインフラになるような仕組みなのだろう。
友人のグループの間でゲームをすれば、一人でゲームをするよりも何倍も楽しい。それがゲームがソーシャルゲームになることで生み出される価値だ。それどころの価値ではない。もっと大きな価値が作り出される。
例えば友人と買い物を一緒にするだけで買い物はより楽しくなる。友人と相談するだけで、よりいいアイデアが浮かぶ。同様に、ソーシャルな仕組みを、あらゆるウェブサイト、あらゆるメディア、デバイス、あらゆる人、物に広げていけば、社会により大きな価値を不可できるのではないか。笠原氏と原田氏はそう主張するわけだ。
さてミクシィは、モバゲータウン、グリーのように世界進出を狙わないのだろうか。原田氏は「対象はグローバル」と言う。
しかし世界には、ミクシィと同様のビジョンを持つ会員5億人を誇る世界最大のFacebookが存在する。ミクシィはどう対抗していくのだろうか。笠原氏、原田氏ともに「まだ話せない。いずれ大きく発表する」と言う。
さてここで大胆予測させてもらえば、わたしはミクシィがFacebookと連携する可能性があると思う。Twitterと連携したのだから、Facebookとも連携したとしてもおかしくない。世界のSNSはいずれすべて連携していくようになるのだと思う。
孫社長明言。iPhone 3G、3GSの2台を割賦契約中でもiPhone 4が買えるように!
いよいよ来週15日(火)から予約が始まるiPhone 4。多くの既存iPhoneユーザーが購入を考えているでしょうが、1つ、問題がありました。ソフトバンクモバイルでは割賦契約ができるのは1人につき2台までと制限されているのです。
このため、2年前にiPhone 3Gを割賦契約で購入し、それから1年後にiPhone 3GSをさらに割賦契約で購入したユーザーは、今年発売のiPhone 4を割賦で購入することができない状態となっていました。
iPhoneが好きだからこそ毎年乗り換えたいのに、その制限のために乗り換えられない。iPhone 3G、3GSの2台を割賦契約中のユーザーがiPhone 4を手に入れるためには、一括で支払う以外方法がなかったのです――昨日までは。
そう、このiPhoneユーザーを絶望のどん底に叩き落とす制限は昨日までの話。じつは昨夜、この制限をなんとかして欲しいと思ったユーザーが孫社長に伝えたところ、孫社長が「追加で割賦購入可能にしましょう」と答えたのです。
まだ正式なリリースは発表されていませんが、これでiPhone 3G、そして3GSの2台を割賦契約で購入しているユーザーもiPhone 4を購入できるようになることは間違いないでしょう!
「割賦契約中だから……」と諦めていたアナタ! 諦めるには早すぎます。iPhone 4、購入できるようになりましたよ。
今度は池田信夫氏、孫社長の「光の道」対談、司会は夏野剛氏
ソフトバンクグループと株式会社ニワンゴは、ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏と経済学者の池田信夫氏による対談を、6月17日20時からUstreamとニコニコ生放送で同時生中継すると発表した。テーマはもちろん「光の道構想」。
2015年までに国内の4900万世帯にブロードバンドを普及させるとして、原口一博総務大臣が掲げた「光の道構想」については、孫氏が支持を表明する一方、池田氏は異議を唱えている。対談では、光回線の問題にとどまらず、テレビ放送や携帯電話、無線LANなどの電波をめぐる議論にも踏み込む予定だとしている。司会・進行は、夏野剛氏が務める。
「光の道」対談は今回が2回目。5月13日には、やはり「光の道構想」への反論を表明していたジャーナリストの佐々木俊尚氏との間で約5時間にわたって行われ、孫氏が「光の道」に対する考えを熱弁。その模様がUstreamとニコニコ生放送で中継された。
ネットで500円政治献金…ヤフーが開始
インターネット国内最大手のヤフーが、国内で発行されている様々なクレジットカードで1回500円から政治献金できるサービスを11日から始める。
ヤフーは4月から自社のヤフーカードを使ってネット献金サービスの試行をしてきた。だが、参院選を前に対応するカードの種類を増やし、若年層などへ個人献金のすそ野を広げることを目指す。クレディセゾン、セディナの2社のほか、ビザ、マスターがついているクレジットカードも使うことができるようにする。JCBカードでも対応する方針だ。
献金対象は、現職の国会議員のうち、ネットでの個人献金の受け取りを希望している政治家に限られる。ヤフーの専用サイトから政治家を選び、クリックなどの簡単な操作で献金できる仕組みだ。今後、地方自治体の首長や議員に拡大することも検討する。カード決済の手数料は、政治家の資金管理団体が負担する。
iPadアドレス流出 FBIが捜査開始
米電子機器大手アップルの新型マルチメディア端末、iPad(アイパッド)所有者のメールアドレスが外部に大量流出した問題で、米連邦捜査局(FBI)が捜査に乗り出したことが10日分かった。米メディアが伝えた。
iPadが利用する携帯通信網を米国で独占的に扱う米通信大手AT&Tのサイトの不具合で、約11万4千人のアドレスが外部に流出した。FBIはハッカーらの関与を捜査するとみられる。
流出したアドレスには政府高官や大手企業の幹部のものが含まれていた。AT&Tは不具合について対策を取ったとしている。
【W杯】試合よりも注目? FIFAブラッター会長がツイッター開始
【ヨハネスブルク=北川信行】国際サッカー連盟(FIFA)は10日、ブラッター会長が投稿コミュニケーションサービス「Twitter(ツィッター)」を始めると発表した。
アドレスは「@seppblatter」(http://twitter.com/seppblatter)。ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の期間中、コメントを寄せるという。
「私がW杯で経験することを世界中のみんなと分かち合えることに興奮している」という“サッカー界のドン”は、どんなつぶやきを発信するだろうか。
つぶやくと国旗を表示、Twitterがワールドカップ連携機能を開始
Twitterは、11日に開幕するサッカーのFIFAワールドカップ南アフリカ大会に合わせた特別サイトや、ハッシュタグによってツイートに国旗を表示する機能などの提供を開始した。
特別サイトでは、ワールドカップに関連するツイートを表示。各試合ごとに、対戦している国に関するツイートをリアルタイムで見ることができる。
また、国の名前のハッシュタグにより、ツイートに国旗を表示する「ハッシュフラグ」機能も提供。日本の場合は「#jpn」というハッシュタグを付けると、ツイートに国旗のアイコンが表示される。現時点でこの機能はTwitterの公式サイトのみが対応しており、モバイル版などは対応していない模様。
このほか、ワールドカップのおすすめリストや、プロフィールページの背景に設定できるワールドカップのテーマなども提供している。
09年度土地白書 地価、経済への影響低下 バブル後20年分析
前原誠司国土交通相は11日の閣議で2009年度の土地白書を報告し、了承された。バブル崩壊後20年間の不動産市場を分析し、地価とマクロ経済の相関関係は弱まっている一方、家計の住宅投資が経済全般に与える影響などはなお存在しているとした。
白書は1980年以降、地価変化率と国内総生産(GDP)変化率に正の相関があるが、バブル崩壊後の92年以降は明確な関係がみられないと指摘。大企業の資金調達で土地担保融資の重要性が低下し、「地価が大企業の設備投資を通じてマクロ経済に与える影響は低下した」と分析した。
半面、家計の住宅投資がマクロ経済に与える影響はなお確認でき、マクロ経済が地価に及ぼす影響もあるとした。家計については「持ち家志向は依然強い」というが、住宅価格や所得などを基にした住宅取得能力指数は01年の353をピークに、08年は244に下がった。これに伴い35~49歳の持ち家率の上昇幅も03年以降は縮小している。
ゴルフ会員権、値下がり続く 年初比4%、換金売り膨らむ
ゴルフ会員権の値下がりが続いている。会員権仲介大手の住地ゴルフ(東京・中央)がまとめた全国平均価格は現在155万円。年初に比べ約4%下がった。換金目的に企業や個人の売りが膨らんだのに対し、買い意欲が盛り上がらない。株価や景気に不透明感が強まっており、買い控えの動きが鮮明だ。
関東では都心から遠い北関東の物件に売り圧力が強い。関西でも「売りが7に対し買いが3。希望売却価格を下げると売買が成立する」(会員権仲介会社のイーグル=大阪市)という。
企業や個人の売りが止まらない。リーマン・ショック後の業績悪化に底入れ感が出たことで「損失を確定させようとする売りが膨らんだ」(仲介会社の桜ゴルフ=東京・中央)。名門コースの会員権を複数持つような企業も処分に動いている。
ゴルフ会員権は株価にやや遅れて連動する傾向があるといわれる。株価が戻り基調にあった春先には値下がりで買いやすくなったコースを購入する動きもあったが、最近では様子見ムードが強まってきた。
超党派で「財政健全化検討会議」…首相所信表明
菅首相は11日午後の衆参両院本会議で、就任後初の所信表明演説。
首相は鳩山政権が掲げた「戦後行政の大掃除」を本格化させる一方、「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」の一体的実現を目指す考えを表明。特に、財政健全化のため消費税率の引き上げを含む税制の抜本改革に着手し、超党派の「財政健全化検討会議」を創設することを提唱。
首相は冒頭、鳩山前首相と小沢一郎前民主党幹事長の「政治とカネ」に関する問題や、沖縄県の米軍普天間飛行場移設をめぐる混乱で、政権への国民の期待が大きく揺らいだとし、「前内閣の一員として責任を痛感している」と陳謝。そのうえで、鳩山、小沢両氏の辞任でけじめはつけたとして、国民の信頼回復こそ自らに課された最大の責務だと訴える。
新内閣の政策課題としては、「戦後行政の大掃除」の本格実施、経済・財政・社会保障の一体的立て直し、責任感に立脚した外交・安全保障政策の3点を掲げる。
内政では「強い経済、強い財政、強い社会保障の一体的実現を、政治の強いリーダーシップで実現していく決意だ」と訴える。財政の健全化のため、「税制の抜本改革に着手することが不可避だ」との認識を示す。
「強い経済」の実現に向けては、これまでの「公共事業中心」「供給サイドに偏った、生産性重視」のいずれでもない「第三の道」を追求する考えを表明。新成長戦略の実行により、2020年度までの年平均で名目3%、実質2%を上回る経済成長を目指す考えを示す。
「強い社会保障」に関しては、新たな年金制度に関する基本原則や、社会保障や税の番号制度の導入に向けた具体的な選択肢を近く提示する考えを示す。
郵政改革法案については、「民主党と国民新党の合意に基づき、速やかな成立を期す」と表明する。
外交では、「現実主義」を掲げ、基軸である日米同盟を「着実に深化させる」と表明する。沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題については、「日米合意を踏まえつつ、沖縄の負担軽減に尽力する覚悟だ」との決意を語る。
【W杯】1次リーグ突破は困難?! 担当記者6人全員が敗退を予想…
本紙W杯担当記者6人が日本の成績、優勝国を予想した。全員が日本の1次リーグ敗退を予想。自国開催以外のW杯で初の16強入りは難しいか。優勝国は4カ国に票が割れた。(W杯取材班)
◇
全員が1次リーグ敗退を予想した中、半数の3人が3連敗と厳しい見立て。「すべてが万全でも勝てる保証のない相手。直前の方針転換、定まらない攻撃の形、試行錯誤の選手配置と『今ごろ何を』と言いたくなることが多すぎる」(森本)。岡田采配(さいはい)の“迷走”が背景にある。
南アフリカ入り直前まで親善試合で4連敗。10日に組んだジンバブエとの練習試合も0-0と無得点に終わった。「流れの中で得点を奪う『型』がまったくない。練習でさえできないことを試合で望めない」(榊)と得点力への不安が募る。
各試合で見ると、最も勝ち点を奪える可能性があるのが初戦のカメルーン戦。勝利と引き分けを1人ずつが予想。ただ、「選手が抱いているはずの危機感が初戦で奏功する期待はしている」(奥村)、「調子を落としている相手に引き分け、以降に期待をつなげたい」(中野)と“皮算用”の感がある。
オランダ戦は全員が完敗を予想。「まったく歯が立たない」(北川、中野、榊)という声が大きい。デンマーク戦は「強化試合を見たかぎり、引き分けに持ち込めそうなのはデンマークのみ」(北川)との見方が1人、「点を取れる気がしない」(中野)という声が多い。
優勝国予想は割れた。スペインは「選手層が厚い」(小川)うえ「攻撃サッカーの潮流を作ってほしい」(中野)との声も。ブラジルは「堅守の王国に負ける材料などない」(榊)、ドイツは「故障者が多い逆境で真価を発揮する」(北川)との理由で推された。アルゼンチンは「メッシがマラドーナを超える瞬間を見たい」(森本)。さて、栄冠はどの国へ。
記者の目◇コナミ、W杯イヤーの業績を左右するもの
サッカーのワールドカップ(W杯)開幕が11日に迫った。W杯は世界最大級のスポーツイベントだけに、株式市場でもサッカー関連ビジネスを手掛ける企業が相場のテーマになるのが常。ゲーム大手のコナミもそんな企業の1社だ。
コナミといえば、サッカーゲームの有力タイトルを持つことで知られる。今年もW杯を控え、人気シリーズの最新作「ワールドサッカーウイニングイレブン2010蒼き侍の挑戦」を5月下旬に発売した。南米トップのサッカークラブを決定する「コパ・リベルタドーレス」のゲーム化に関するライセンスも世界で初めて取得。2010年3月期は同社のサッカーゲームソフトの売上本数(全世界)が749万本と前の期比12%減少しただけに、4年に1度のW杯イヤーとなる今期は業績的にもはずせない。
コナミの今期ゲームソフト販売は3トップ体制だ。1つ目は「ウイニングイレブン」。国内のみの販売だが、対応ゲーム機はPS3など4機種と「マルチプラットフォーム」体制を敷く。
2つ目はこちらも人気シリーズの最新作「メタルギアソリッドピースウォーカー」。海外でも絶大な支持を得ている戦闘ゲームのシリーズで期待が持てる。国内では4月下旬に発売されており、北米、欧州と順次リリースされる。3つ目は、グローバル事業展開を推進する同社にとって、試金石となる「キャッスルヴァニア」だ。スペインの制作会社と日本の著名な監督がタッグを組んだ、ヴァンパイアを倒すアクションゲーム。今年中にも販売予定だ。
コナミはゲームソフト以外の事業も手掛けており、今期は非ゲームソフト事業が連結業績の改善に寄与しそうだ。スポーツクラブ運営が主体の健康サービス事業は「スクラップ&ビルドにより収益性を高める」(山口憲明副社長)方針で、今期の営業損益が8億円の黒字(前期は19億円の赤字)に転換する見通し。海外カジノ向けにスロットや業務システムを販売するゲーミング&システム事業は着実な収益貢献が見込まれる。
主な収益源を検証していく中で気になるのが、国内ではW杯に対してこれまでほどの盛り上がりがないとの指摘だ。5月末のイングランド戦では見せ場があったものの、ライバルの韓国に対して今年に入って2度敗れるなど、このところ日本代表の戦績が振るわないのも要因の1つとも言われる。市場では「他の事業が良くても、主力のサッカーゲームが低迷すれば株価の弱材料」(外資系証券)との声は多い。
期待は「岡田ジャパン」が戦前の予想以上にW杯本番で活躍することだろう。国内でサッカーへの関心が一段と高くなればこれまでサッカーゲームに関心がなかった人を新たなユーザーとして取り込める可能性が広がる。W杯の決勝は7月12日(日本時間)。今回のサッカーゲームの売り上げで「W杯による大きな販売増は考えていない」(同社)とはいうが、集計段階に入っているコナミの4~6月期決算にどんな影響を与えるだろうか。
【中日社説】
郵政法案 廃案にして仕切り直せ
2010年6月11日
郵政改革法案が目指す新たな「郵政像」が見えてこない。利便性向上とは裏腹に、法案は事業の効率化から目をそらし、国民負担を招きかねない。審議も十分でなく、廃案にして仕切り直すべきだ。
衆院総務委員会での法案審議はいかにも乱暴だった。審議わずか一日。しかも強行採決で参院に送られた。「だれのための見直しか」「利益誘導ではないか」。野党議員の質問が見直しの本質を突いている。
法案は亀井静香郵政改革担当相が代表を務める国民新党の選挙基盤、全国郵便局長会(全特)の要望が広く採り入れられている。
郵便貯金は毎年十兆円、金利など条件のよい金融機関への流出が続く。収益の七割を郵貯と簡易保険の委託手数料に頼る郵便局の死活問題になりかねない。
そのためだろうか、全特の求めに応じ「政府が日本郵政の株を、日本郵政が子会社のゆうちょ銀行とかんぽ生命の株を保有し一体化する」「郵便局の維持費を賄うため、郵貯の預入限度額などを引き上げる」を法案の柱に据えた。
政府を頂点に組織を固め、限度額引き上げによる資金量増大で収益を回復させるシナリオだ。
解せないのは法案が経営効率化に一切触れていないことだ。
一般の企業は採算が悪化すれば経営のスリム化に迫られる。郵政事業も国民の利便を損ねないよう、至近距離に集中する郵便局の統合など、工夫できるはずだ。全特に三十万の組織票を動かす力があるにしても、合理化の素通りは露骨に過ぎる。
原口一博総務相も「経営が立ち行かなくなれば税金を投入せざるを得なくなる」と語っている。合理化を促すこともせず、国民につけを回すとでもいうのだろうか。
民主党の小沢一郎前幹事長は全特の定期総会で「今国会での成立を約束する」と言い切った。法案が参院選を有利に運ぶための道具であってはならない。
郵政はどう変わるのか。短時間の審議では議論は詰まらないし、国民にも容易に伝わらない。見直し後については、亀井氏ですら「どのくらいの黒字になるか分からない」とあいまいだ。
菅直人首相は「行政の透明化」を内閣の基本方針に掲げた。その方針に沿えば、透明度が低いまま法案成立には走れない。いったん廃案にし、仕切り直すのが筋だ。
首相はまず拙速を排し、開かれた国会審議を貫いて国民と政策との距離も縮めるべきだ。
富士通・東芝、携帯事業統合へ 国内2位浮上
年内に次世代方式の端末導入 世界市場を開拓
富士通と東芝は携帯電話機事業を統合する方向で最終調整に入った。実現すると国内シェアは約2割となり、シャープに次ぐ第2位メーカーが誕生する。携帯端末市場の低迷が続く中で、統合により事業基盤を強化する。国内では年内に高精細な動画などが楽しめる次世代方式の端末が導入される予定。両社は互いの技術を持ち寄ることで開発力を高め、海外市場開拓にも取り組む。
富士通と東芝は年内にも共同出資会社を設立し、それぞれの携帯電話機事業を統合する案が有力。両社は統合の詳細を詰めているが、富士通が過半を出資する見通し。早ければ月内に合意する。
今月1日にはNECとカシオ計算機、日立製作所の3社が携帯電話機事業を統合したばかりで、再編が加速してきた。
民間調査会社によると、2009年度の国内出荷台数は富士通が518万台で3位、東芝が126万台で8位。両社を単純合計するとシェアは18.7%となる。パナソニックモバイルコミュニケーションズやNECカシオモバイルコミュニケーションズを抜き、最大手のシャープ(26.2%)に次ぐ2位になる。
富士通はNTTドコモ向けに携帯電話機を供給しており、機能を簡単にした「らくらくホン」がヒットしている。東芝はKDDI(au)向けが主力で、事業統合により複数の携帯電話会社へ幅広く製品を供給できるようになる。開発ノウハウを持ち寄り、ソフトウエアを共通化するなどして競争力を高める。
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、09年度の携帯電話・PHS端末メーカーの国内出荷台数は、前年度比12.3%減の3142万6000台だった。携帯電話の普及が本格化したころの1998年度並みの水準に落ち込んでいる。
携帯端末の機能は年々高度化し、開発費は膨らんでいる。東芝は携帯電話機の国内生産から撤退し、海外企業に生産委託するなどコストを削減してきたが09年度も赤字だった。富士通は黒字を確保しているが、海外で攻勢をかけるためには国内の事業基盤を強化する必要があると判断した。
日本の携帯電話機メーカーは通信方式が海外と異なるなど孤立したため、出遅れた。国内メーカーの世界シェアを合計しても約3%にとどまる。ただ年内にも導入される「LTE」と呼ばれる新しい通信方式は、欧米などと共通化される可能性があり、端末メーカーにとっては商機が広がる。再編により国際競争力を高め、海外でも攻勢をかけたい考えだ。
東芝は09年秋に富士通のハードディスク駆動装置(HDD)部門を買収。事業の集中と選択を進める中で、両社の関係が深まっていた。
縮む国内市場、スマートフォン攻勢が背中押す 生き残りへ再編加速
富士通と東芝が携帯電話事業を統合すれば最盛期に11社あった日本の携帯電話メーカーは半分の6社に集約される。しかし世界市場では首位のノキア(フィンランド)やサムスン電子(韓国)が日本市場全体の7~12倍の規模で展開。縮む国内市場にとどまってきた日本勢の出遅れは深刻だ。米アップルのiPhone(アイフォーン)など海外勢のスマートフォン攻勢への対応も迫られている。
国内市場の再編は遅々として進まなかった。04年にカシオと日立が事業統合、08年には京セラが三洋電機の携帯事業を買収し、三菱電機が撤退した。今年6月にNECとカシオ日立モバイルコミュニケーションズが事業統合。富士通と東芝の交渉は今年に入って急速に進んだ。シャープ、富士通・東芝連合、パナソニック、NECカシオの体制まで6年かかった計算だ。
その間、携帯電話の新規加入の伸び悩みや、買い替えサイクルの長期化により、国内の端末出荷はピークの5200万台(07年度)から急落した。10年度は3100万台まで落ち込む見通しだ。「国内市場だけでは生き残れない」(NECカシオモバイルコミュニケーションズの山崎耕司社長)という危機感がようやく再編を背中を押し始めている。
だが海外市場ではノキア、サムスン電子、LG電子の三強が合計で8億台近い端末を全世界に出荷しており、寡占体制の牙城を崩すのは容易ではない。6月1日に発足したNECカシオモバイルは、カシオが開拓してきた北米の通信会社への販路を拡大して欧州やオーストラリアなどに展開する計画だ。
同様に東芝は欧州市場で昨年からマイクロソフトのOSを搭載したスマートフォン(高機能携帯)を展開している。富士通はこうした東芝の海外販路に魅力を感じている模様だ。
国内メーカーに立ちはだかる相手はノキアなど従来型の巨大メーカーだけではない。米アップルのアイフォーンやアイパッド、アマゾンのキンドルなど、電子書籍やノートパソコンの機能を併せ持った新しいタイプの端末が急速に携帯電話市場を浸食しつつある。
国内首位のシャープは米マイクロソフトと組み、北米と欧州でSNSの利用に特化した新しいタイプのスマートフォン「キン」の販売を開始した。パソコン、電子書籍と携帯電話との間の垣根は崩れ始めている。富士通と東芝連合がどう対策を打つのかが焦点になりそうだ。
AT&Tに続き英O2もiPhoneでのデータ通信無制限を廃止、日本は?
英国の携帯キャリアO2が、6月24日の「iPhone 4」提供開始に合わせて新料金プランを発表した。それによれば、従来までiPhone契約者にはデフォルトで提供されていたデータ通信の無制限オプションが廃止され、月額料金に応じた容量制限つきの従量制プランへと移行している。もしユーザーが容量を超過して利用した場合は、500MBあたり5ポンド、あるいは1GBあたり10ポンドの追加料金が発生する。
新料金プランは6月24日より適用され、既存の契約者はそのまま従来のデータ通信無制限プランを引き継げる。米AT&Tが6月2日に発表した新料金プランに準じたものとなり、今後世界の携帯通信キャリアの動向が注目される。
亀井氏、閣僚を辞任へ 「約束破られた」
国民新党代表の亀井静香郵政改革・金融相は11日未明、菅直人首相が郵政改革法案の今国会成立を断念、廃案にする意向を示したことを理由に辞任する意向を固めた。ただ国民新党は、参院選後に召集される臨時国会で、同じ内容の法案を提出し成立させるとする覚書を民主党と交わすことに合意、同党出身の松下忠洋経済産業副大臣と長谷川憲正総務政務官は残留するため、民主・国民新両党の連立政権は維持される。亀井氏は11日未明の記者会見で「約束を破られ、履行できなかった」と述べた。
国会日程については、会期を17日まで1日延長し、衆参両院の予算委員会を開催することで与野党が合意する見通しになった。民主党が会期延長を「最大1日」(党幹部)との方針を決めたことで、参院選は「24日公示、7月11日投開票」で実施されることが確実となった。
民主党の枝野幸男幹事長は国民新党の自見庄三郎幹事長と断続的に会談。自見氏は11日未明、記者団に「(連立離脱しない)方向で努力中だ」と強調。枝野氏も「郵政法案をこの国会で通すことは難しいとの前提で理解いただける方向に進んでいる」と語った。
「郵政法案、大幅見直しに期待」 亀井氏辞任で金融業界
郵政改革法案が臨時国会に先送りされることで、郵政問題は参院選の争点の一つとなることが確実となった。とりわけ亀井静香郵政改革・金融相が辞任することで、郵政論議を主導してきた国民新党の影響力が低下する可能性もあり、批判の多かった法案の中身が大幅に見直されると指摘する声も多い。
官業色の強い日本郵政が肥大化することに猛反発してきた金融業界は「法案自体を見直す時間ができる。良い方向に動き出した」(大手生保幹部)と内容が変わることに期待した。
一方、日本郵政グループ労働組合(JP労組)の幹部は「ここ数年間、組織体制を含めて政治に何度も振り回されてきた。今回も宙ぶらりんの状態になった」などと不満を口にした。
臨時国会に先送りされる法案は、参院選での結果を踏まえて議論されることになるが、東海大の新保恵志教授は「農村部などで金融サービスが低下しているのであれば、移動車などで金融サービスを行うなど現状の制度で、アイデアを使って改善していくこともできる」と語り、現行法案を安易に踏襲すべきではないと指摘している。
また、東洋大の松原聡教授は、国民に法案を理解してもらえるよう現在の体制を十分に検証した上で、見直しが必要かどうかを判断すべきだと主張。「最低でも参院選後、議論に半年間はかけるべきで、臨時国会ではなく、次期通常国会に提出すればよい」と語り、十分な検討期間を設けるよう求めている。
民主参院選公約、「消費税」明記
民主党は10日、夏の参院選公約の全容を固めた。
菅首相が掲げる「強い経済、強い財政、強い社会保障」を目指す方針を掲げ、「消費税を含む税制の抜本改革を行う」と明記して、財政再建と経済成長の両立を図る姿勢をアピールする。財政再建に向けた超党派の議論を呼びかけることも盛り込む。11日に政権公約会議を開いて決定する。
公約は、〈1〉ムダ遣い排除、行政刷新〈2〉政治改革〈3〉外交、安全保障〈4〉子育て、教育〈5〉年金、医療、介護、障害者福祉〈6〉雇用〈7〉農林水産〈8〉郵政改革〈9〉地域主権〈10〉交通政策、公共事業――の10項目で構成する。
消費税率の引き上げ時期には「次期衆院選後」などの制約を設けず、早期の引き上げに含みを持たせる。また、「2020年度までに基礎的財政収支を黒字化する」とする財政健全化目標を掲げる。郵政改革法案の早期成立方針も盛り込む。
奈良日日新聞が週刊へ、奈良新聞と業務統合
奈良県内で日刊紙を発行する奈良新聞社(奈良市)と奈良日日新聞社(同)は10日、奈良日日新聞を「WEEKLY Naranichi」(仮称)と改題して週刊紙にするとともに、両社の営業などの業務を統合すると発表した。奈良日日新聞社は、規約に基づき日本新聞協会も退会する方針。
両社は統合について、広告収入の落ち込みなど厳しい経済状況のなかで「広告事業などで業務を効率化し、収益増につなげたい」としている。資本金や役員の移動はないという。
両社によると、奈良日日新聞社は7月10日付で日刊紙の発行を終え、毎週金曜発行の週刊紙に移行する。宅配やコンビニエンスストアなどの販売は継続する。奈良新聞は日刊紙発行を続ける。
奈良新聞と日日新聞の公称発行部数はそれぞれ12万部と5万部。
資源インフレ、製品デフレ 企業板挟みの消耗戦
日本経済が資源価格の“インフレ”と、最終製品の価格下落というデフレの板挟みに直面している。日銀が10日発表した5月の国内企業物価指数は、原油などの価格高騰が影響し、1年5カ月ぶりに前年比でプラスに転じた。企業はコスト負担の増加分を製品価格に転嫁したい考えだが、低価格志向の強い消費者に近い製品ほど値上げは難しいのが実情で、回復途上の企業業績に急ブレーキがかかる懸念も否めない。
「原材料価格は上昇傾向にあるものの、需給のバランスが大きく崩れた状態が続いているため、“産業の川下”に近い製品価格の下落圧力は根強い」。農林中金総合研究所の南武志主任研究員は企業物価の動向についてこう解説する。
企業物価が騰勢を強めている背景には、中国など新興国の需要が膨らんで資源価格の高騰を招き、石油・石炭製品など素材系製品を中心に影響が広がってきていることがある。
実際、石油化学製品の基礎原料であるナフサ(粗製ガソリン)価格は原油高を受けて上昇。平成21年1~3月に1キロリットル当たり2万7千円だった国産ナフサ価格は22年1~3月に4万7700円となっている。
このため化学メーカーは石化製品の値上げに相次いで踏み切った。旭化成は3月、家電製品のケースなどに使うABS樹脂について1キログラム当たり30円の値上げを打ち出し、5月中に家電メーカーなどとの交渉がまとまった。
また国内鉄鋼大手は、22年7~9月期の鉄鋼原料用石炭の価格を4~6月期に比べ約13%高い1トン当たり225ドルとすることで英豪系資源大手BHPビリトンと合意。原料炭と並ぶ原料の鉄鉱石価格も7~9月期は4~6月期を2~3割程度上回る水準で資源大手と最終調整に入った。こうした情勢を受け、新日本製鉄とトヨタ自動車は4~9月の自動車用鋼材の取引価格を21年度に比べて1トン当たり最大2万円引き上げる方向で大筋合意した。
もっとも消費の現場では厳しい価格競争が繰り広げられており、トヨタなどのように資源高に伴う値上げ要求を受け入れることが困難な企業も多い。
日銀は欧州の信用不安の影響で「企業物価の上昇圧力は弱まる可能性もある」と慎重な見方だが、「先行きの景気回復期待を織り込んで上昇基調を続けるのではないか」(石油大手)との見方も多く、原料コストの負担増を企業間で押しつけあう消耗戦の様相が強まっている。
会見ライブ中継やツイッター…平松大阪市長、橋下知事に対抗?
大阪市の平松邦夫市長は10日の定例記者会見で、インターネットの動画サイト「ユーストリーム」を使ったライブ中継をスタートさせた。平松市長は5月下旬からミニブログ「ツイッター」も始めており、いずれも「大阪都」構想をめぐって対立する大阪府の橋下徹知事より一歩先んじた取り組み。強い情報発信力をもつ橋下知事に対抗する思惑もありそうだ。
会見で平松市長はライブ中継について「われわれが出した情報が伝わっていない。すべて生の形で市政改革が進んでいるという思いを伝えたい」と説明した。市によると、同様のライブ中継は全国の自治体で導入する動きが広がりつつあるという。この日の視聴者は193人だった。
一方、ツイッターは10日現在で約2200人がフォロワー(登録読者)に。市政について積極的につぶやき、都構想への批判に費やすこともある。8日には、東京都の猪瀬直樹副知事が「大阪市水道局の平均年収は1千万円」と書き込んだことを知ると、即座に「東京都副知事ともあろう方が間違ったデータをもとにツイートされる」などと数字を示して反論した。
国会図書館と出版各社、書籍全文検索を実験へ
国立国会図書館と講談社、小学館など出版社は共同で、今秋にも書籍の全文をキーワード検索するシステムの実証実験を始める。出版済み書籍を電子化してデータベースとするほか、出版社から新刊書の電子データをもらって検索対象に加えることも検討する。全文検索は米グーグルや米アマゾン・ドット・コムも提供しているが、日本勢による本格的な取り組みは初めて。
実験には新潮社、筑摩書房など大手出版社と、中小出版社160社以上を束ねる団体の版元ドットコムなども参加する。
全文検索では利用者が検索したい言葉を入力すると、本文にその言葉を含む書籍の名称や目次が一覧表示される。検索語を含む本文をどの範囲まで表示するのかは今後検討する。
システム構築には、まず書籍データを取り込み、文字、単語単位で言葉を機械的に認識できるデータベースを作る必要があり、著作権者の同意が必要。このため国会図書館は著作権者の窓口である出版社の合意を取り付けたうえで、日本語書籍のシステムを作る。
実証実験は来春まで実施する予定。日本語表記特有の技術的な問題を検討するほか、検索結果の表示順位が公平性を確保できるような仕組みも検証する。実験結果を踏まえて、実際に本格運用に移るかどうかはさらに議論する。
書籍の全文検索サービスを巡っては、米グーグルが著作権者に無断で電子化を進めたため、訴訟に発展した経緯がある。
直嶋経産相「法人税まず5%下げを」
来年度、税制改革を待たず 成長へ決断必要
直嶋正行経済産業相は10日、日本経済新聞のインタビューに応じ、「法人税の税率を来年度にまず5%下げる必要がある。税制の抜本改革の議論を待つのでなく、成長戦略の一環として決断すべきだ」と強調した。月内に政府全体でまとめる成長戦略では、環境、介護・医療(健康)、観光、アジア、科学技術、雇用・人材の6本柱に加えて「個人金融資産の活用など金融分野の活性化が不可欠だ」との考えを示した。
インタビューに答える直嶋経産相(10日、経産省)
経産相は「日本経済は基本的にこの20年間ずっと停滞し、国民全体を閉塞(へいそく)感が覆ってきた」と指摘。「経済がある程度安定的に成長すれば税収増にもつながり、社会保障にも安心感が増す」として成長戦略の実行が重要だと繰り返した。
法人税減税について、直嶋氏は「菅(直人)首相と何度か話し合い、法人税は税制の一つではあるが、財政の枠組みでなく、成長戦略の政策の一環として考えよう、ということを確認した」という。さらに「国際水準が日本より10~15%低いのは事実。中期的には国際水準を視野に税率の下げを目指す」と述べ、税率下げで菅首相の理解は得ているとの認識を示した。
経産相は「法人税の高さが指摘され始めてもう10年はたつのに、日本はいっこうに動いていない。それが海外にはマイナスのメッセージになっている」と指摘。「将来の経済活性化や雇用、税収の確保のためにも決断する時期だ」と述べ、早期の税率下げで、日本の国際競争力回復や外資企業の日本への投資増につなげる考えを示した。
月内に政府全体でまとめる成長戦略については「環境、健康など昨年末に決めた6本柱とは別に、金融分野を新たな柱に加えたい」と言明。例えば、1400兆円の個人金融資産の一部を海外のインフラ投資に充てるなどリスクマネーの供給増を促したり、金融市場や金融取引を改革して日本に海外から資金を呼び込んだりする戦略を明らかにした。
経産相は「日本での新規株式公開(IPO)が著しく減っている。この状況を立て直し、日本の金融産業に成長機会を取り戻す」と語った。
成長戦略の別の柱である海外への原発や水などのインフラ輸出については、産業構造審議会に近く新たな部会を設ける方針を表明。鉄道、次世代送電網など11の重点支援分野などで具体的な連携方法などを詰める。
今年末で期限を迎える省エネ家電のエコポイント制度について経産相は「今後の扱いはもう少し景気を見極める」とした一方、「家計の二酸化炭素(CO2)排出削減のため省エネ製品の普及支援は必要だ」と述べた。
【産経主張】南アW杯 心躍る大会で日本の力を
地球の反対側の南アフリカで、華やかなスポーツの宴(うたげ)が幕を開ける。サッカーのワールドカップ(W杯)である。
19回の歴史の中で、アフリカ大陸では初の開催となる。治安や大会運営などに不安はあるものの、全世界の目が南アに集まっている。まずは安全で、心躍る大会となることを祈りたい。
南アフリカといえば、アパルトヘイト(人種隔離)政策の国だった。国際社会から非難され、国際サッカー連盟(FIFA)からも、代表チームの国際試合への出場停止の制裁を科された。
1991年、アパルトヘイト法が撤廃されると、FIFAの制裁が解除された。それから約20年、ようやく悲願のW杯の開催が実現したのである。
アパルトヘイト撤廃運動の象徴で、ノーベル平和賞を受けたネルソン・マンデラ元大統領も91歳の高齢をおして、開会式に出席したい意向だという。何にもまして盛り上がるに違いない。
とはいえ、心配がなくはない。南アは民主化後、毎年2~5%の経済成長を遂げているものの失業率は24%を超え、貧富の格差が大きい。治安も悪く、昨年は1万8千件もの殺人事件が発生した。7日白昼にも、ケープタウンで武装強盗団と警官隊が銃撃戦を展開し観光客を震え上がらせた。
だが期間中、30万人の外国人観客がスタジアムを埋め、メディアは世界中に熱戦を生中継する。試合以外にも人々の暮らしや、美しい自然が報じられることだろう。南アはいま、主要20カ国・地域(G20)の一角を占め、将来性が注目されている。アフリカに「世界の目」が注がれる機会としてもW杯には大きな意義がある。
今大会に参加する32チームの中には、4大会連続出場となる日本代表もいる。日本は2002年日韓大会以外、すべて1次リーグで敗退しており、このところの国際親善試合でも4連敗中と、下馬評は高くない。
岡田武史監督は目標にベスト4を掲げ、「世界を驚かせる」とも言っていた。そのためにも14日夜(日本時間)の初戦カメルーン戦がカギとなる。何としても勝ち、予選突破につなげてほしい。
W杯はオリンピックと並ぶスポーツの最高峰である。見ているだけで不思議な感動を受ける。日本や世界を覆う閉塞(へいそく)感を打破する契機になるかもしれない。
年内に次世代方式の端末導入 世界市場を開拓
富士通と東芝は携帯電話機事業を統合する方向で最終調整に入った。実現すると国内シェアは約2割となり、シャープに次ぐ第2位メーカーが誕生する。携帯端末市場の低迷が続く中で、統合により事業基盤を強化する。国内では年内に高精細な動画などが楽しめる次世代方式の端末が導入される予定。両社は互いの技術を持ち寄ることで開発力を高め、海外市場開拓にも取り組む。
富士通と東芝は年内にも共同出資会社を設立し、それぞれの携帯電話機事業を統合する案が有力。両社は統合の詳細を詰めているが、富士通が過半を出資する見通し。早ければ月内に合意する。
今月1日にはNECとカシオ計算機、日立製作所の3社が携帯電話機事業を統合したばかりで、再編が加速してきた。
民間調査会社によると、2009年度の国内出荷台数は富士通が518万台で3位、東芝が126万台で8位。両社を単純合計するとシェアは18.7%となる。パナソニックモバイルコミュニケーションズやNECカシオモバイルコミュニケーションズを抜き、最大手のシャープ(26.2%)に次ぐ2位になる。
富士通はNTTドコモ向けに携帯電話機を供給しており、機能を簡単にした「らくらくホン」がヒットしている。東芝はKDDI(au)向けが主力で、事業統合により複数の携帯電話会社へ幅広く製品を供給できるようになる。開発ノウハウを持ち寄り、ソフトウエアを共通化するなどして競争力を高める。
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、09年度の携帯電話・PHS端末メーカーの国内出荷台数は、前年度比12.3%減の3142万6000台だった。携帯電話の普及が本格化したころの1998年度並みの水準に落ち込んでいる。
携帯端末の機能は年々高度化し、開発費は膨らんでいる。東芝は携帯電話機の国内生産から撤退し、海外企業に生産委託するなどコストを削減してきたが09年度も赤字だった。富士通は黒字を確保しているが、海外で攻勢をかけるためには国内の事業基盤を強化する必要があると判断した。
日本の携帯電話機メーカーは通信方式が海外と異なるなど孤立したため、出遅れた。国内メーカーの世界シェアを合計しても約3%にとどまる。ただ年内にも導入される「LTE」と呼ばれる新しい通信方式は、欧米などと共通化される可能性があり、端末メーカーにとっては商機が広がる。再編により国際競争力を高め、海外でも攻勢をかけたい考えだ。
東芝は09年秋に富士通のハードディスク駆動装置(HDD)部門を買収。事業の集中と選択を進める中で、両社の関係が深まっていた。
縮む国内市場、スマートフォン攻勢が背中押す 生き残りへ再編加速
富士通と東芝が携帯電話事業を統合すれば最盛期に11社あった日本の携帯電話メーカーは半分の6社に集約される。しかし世界市場では首位のノキア(フィンランド)やサムスン電子(韓国)が日本市場全体の7~12倍の規模で展開。縮む国内市場にとどまってきた日本勢の出遅れは深刻だ。米アップルのiPhone(アイフォーン)など海外勢のスマートフォン攻勢への対応も迫られている。
国内市場の再編は遅々として進まなかった。04年にカシオと日立が事業統合、08年には京セラが三洋電機の携帯事業を買収し、三菱電機が撤退した。今年6月にNECとカシオ日立モバイルコミュニケーションズが事業統合。富士通と東芝の交渉は今年に入って急速に進んだ。シャープ、富士通・東芝連合、パナソニック、NECカシオの体制まで6年かかった計算だ。
その間、携帯電話の新規加入の伸び悩みや、買い替えサイクルの長期化により、国内の端末出荷はピークの5200万台(07年度)から急落した。10年度は3100万台まで落ち込む見通しだ。「国内市場だけでは生き残れない」(NECカシオモバイルコミュニケーションズの山崎耕司社長)という危機感がようやく再編を背中を押し始めている。
だが海外市場ではノキア、サムスン電子、LG電子の三強が合計で8億台近い端末を全世界に出荷しており、寡占体制の牙城を崩すのは容易ではない。6月1日に発足したNECカシオモバイルは、カシオが開拓してきた北米の通信会社への販路を拡大して欧州やオーストラリアなどに展開する計画だ。
同様に東芝は欧州市場で昨年からマイクロソフトのOSを搭載したスマートフォン(高機能携帯)を展開している。富士通はこうした東芝の海外販路に魅力を感じている模様だ。
国内メーカーに立ちはだかる相手はノキアなど従来型の巨大メーカーだけではない。米アップルのアイフォーンやアイパッド、アマゾンのキンドルなど、電子書籍やノートパソコンの機能を併せ持った新しいタイプの端末が急速に携帯電話市場を浸食しつつある。
国内首位のシャープは米マイクロソフトと組み、北米と欧州でSNSの利用に特化した新しいタイプのスマートフォン「キン」の販売を開始した。パソコン、電子書籍と携帯電話との間の垣根は崩れ始めている。富士通と東芝連合がどう対策を打つのかが焦点になりそうだ。
AT&Tに続き英O2もiPhoneでのデータ通信無制限を廃止、日本は?
英国の携帯キャリアO2が、6月24日の「iPhone 4」提供開始に合わせて新料金プランを発表した。それによれば、従来までiPhone契約者にはデフォルトで提供されていたデータ通信の無制限オプションが廃止され、月額料金に応じた容量制限つきの従量制プランへと移行している。もしユーザーが容量を超過して利用した場合は、500MBあたり5ポンド、あるいは1GBあたり10ポンドの追加料金が発生する。
新料金プランは6月24日より適用され、既存の契約者はそのまま従来のデータ通信無制限プランを引き継げる。米AT&Tが6月2日に発表した新料金プランに準じたものとなり、今後世界の携帯通信キャリアの動向が注目される。
亀井氏、閣僚を辞任へ 「約束破られた」
国民新党代表の亀井静香郵政改革・金融相は11日未明、菅直人首相が郵政改革法案の今国会成立を断念、廃案にする意向を示したことを理由に辞任する意向を固めた。ただ国民新党は、参院選後に召集される臨時国会で、同じ内容の法案を提出し成立させるとする覚書を民主党と交わすことに合意、同党出身の松下忠洋経済産業副大臣と長谷川憲正総務政務官は残留するため、民主・国民新両党の連立政権は維持される。亀井氏は11日未明の記者会見で「約束を破られ、履行できなかった」と述べた。
国会日程については、会期を17日まで1日延長し、衆参両院の予算委員会を開催することで与野党が合意する見通しになった。民主党が会期延長を「最大1日」(党幹部)との方針を決めたことで、参院選は「24日公示、7月11日投開票」で実施されることが確実となった。
民主党の枝野幸男幹事長は国民新党の自見庄三郎幹事長と断続的に会談。自見氏は11日未明、記者団に「(連立離脱しない)方向で努力中だ」と強調。枝野氏も「郵政法案をこの国会で通すことは難しいとの前提で理解いただける方向に進んでいる」と語った。
「郵政法案、大幅見直しに期待」 亀井氏辞任で金融業界
郵政改革法案が臨時国会に先送りされることで、郵政問題は参院選の争点の一つとなることが確実となった。とりわけ亀井静香郵政改革・金融相が辞任することで、郵政論議を主導してきた国民新党の影響力が低下する可能性もあり、批判の多かった法案の中身が大幅に見直されると指摘する声も多い。
官業色の強い日本郵政が肥大化することに猛反発してきた金融業界は「法案自体を見直す時間ができる。良い方向に動き出した」(大手生保幹部)と内容が変わることに期待した。
一方、日本郵政グループ労働組合(JP労組)の幹部は「ここ数年間、組織体制を含めて政治に何度も振り回されてきた。今回も宙ぶらりんの状態になった」などと不満を口にした。
臨時国会に先送りされる法案は、参院選での結果を踏まえて議論されることになるが、東海大の新保恵志教授は「農村部などで金融サービスが低下しているのであれば、移動車などで金融サービスを行うなど現状の制度で、アイデアを使って改善していくこともできる」と語り、現行法案を安易に踏襲すべきではないと指摘している。
また、東洋大の松原聡教授は、国民に法案を理解してもらえるよう現在の体制を十分に検証した上で、見直しが必要かどうかを判断すべきだと主張。「最低でも参院選後、議論に半年間はかけるべきで、臨時国会ではなく、次期通常国会に提出すればよい」と語り、十分な検討期間を設けるよう求めている。
民主参院選公約、「消費税」明記
民主党は10日、夏の参院選公約の全容を固めた。
菅首相が掲げる「強い経済、強い財政、強い社会保障」を目指す方針を掲げ、「消費税を含む税制の抜本改革を行う」と明記して、財政再建と経済成長の両立を図る姿勢をアピールする。財政再建に向けた超党派の議論を呼びかけることも盛り込む。11日に政権公約会議を開いて決定する。
公約は、〈1〉ムダ遣い排除、行政刷新〈2〉政治改革〈3〉外交、安全保障〈4〉子育て、教育〈5〉年金、医療、介護、障害者福祉〈6〉雇用〈7〉農林水産〈8〉郵政改革〈9〉地域主権〈10〉交通政策、公共事業――の10項目で構成する。
消費税率の引き上げ時期には「次期衆院選後」などの制約を設けず、早期の引き上げに含みを持たせる。また、「2020年度までに基礎的財政収支を黒字化する」とする財政健全化目標を掲げる。郵政改革法案の早期成立方針も盛り込む。
奈良日日新聞が週刊へ、奈良新聞と業務統合
奈良県内で日刊紙を発行する奈良新聞社(奈良市)と奈良日日新聞社(同)は10日、奈良日日新聞を「WEEKLY Naranichi」(仮称)と改題して週刊紙にするとともに、両社の営業などの業務を統合すると発表した。奈良日日新聞社は、規約に基づき日本新聞協会も退会する方針。
両社は統合について、広告収入の落ち込みなど厳しい経済状況のなかで「広告事業などで業務を効率化し、収益増につなげたい」としている。資本金や役員の移動はないという。
両社によると、奈良日日新聞社は7月10日付で日刊紙の発行を終え、毎週金曜発行の週刊紙に移行する。宅配やコンビニエンスストアなどの販売は継続する。奈良新聞は日刊紙発行を続ける。
奈良新聞と日日新聞の公称発行部数はそれぞれ12万部と5万部。
資源インフレ、製品デフレ 企業板挟みの消耗戦
日本経済が資源価格の“インフレ”と、最終製品の価格下落というデフレの板挟みに直面している。日銀が10日発表した5月の国内企業物価指数は、原油などの価格高騰が影響し、1年5カ月ぶりに前年比でプラスに転じた。企業はコスト負担の増加分を製品価格に転嫁したい考えだが、低価格志向の強い消費者に近い製品ほど値上げは難しいのが実情で、回復途上の企業業績に急ブレーキがかかる懸念も否めない。
「原材料価格は上昇傾向にあるものの、需給のバランスが大きく崩れた状態が続いているため、“産業の川下”に近い製品価格の下落圧力は根強い」。農林中金総合研究所の南武志主任研究員は企業物価の動向についてこう解説する。
企業物価が騰勢を強めている背景には、中国など新興国の需要が膨らんで資源価格の高騰を招き、石油・石炭製品など素材系製品を中心に影響が広がってきていることがある。
実際、石油化学製品の基礎原料であるナフサ(粗製ガソリン)価格は原油高を受けて上昇。平成21年1~3月に1キロリットル当たり2万7千円だった国産ナフサ価格は22年1~3月に4万7700円となっている。
このため化学メーカーは石化製品の値上げに相次いで踏み切った。旭化成は3月、家電製品のケースなどに使うABS樹脂について1キログラム当たり30円の値上げを打ち出し、5月中に家電メーカーなどとの交渉がまとまった。
また国内鉄鋼大手は、22年7~9月期の鉄鋼原料用石炭の価格を4~6月期に比べ約13%高い1トン当たり225ドルとすることで英豪系資源大手BHPビリトンと合意。原料炭と並ぶ原料の鉄鉱石価格も7~9月期は4~6月期を2~3割程度上回る水準で資源大手と最終調整に入った。こうした情勢を受け、新日本製鉄とトヨタ自動車は4~9月の自動車用鋼材の取引価格を21年度に比べて1トン当たり最大2万円引き上げる方向で大筋合意した。
もっとも消費の現場では厳しい価格競争が繰り広げられており、トヨタなどのように資源高に伴う値上げ要求を受け入れることが困難な企業も多い。
日銀は欧州の信用不安の影響で「企業物価の上昇圧力は弱まる可能性もある」と慎重な見方だが、「先行きの景気回復期待を織り込んで上昇基調を続けるのではないか」(石油大手)との見方も多く、原料コストの負担増を企業間で押しつけあう消耗戦の様相が強まっている。
会見ライブ中継やツイッター…平松大阪市長、橋下知事に対抗?
大阪市の平松邦夫市長は10日の定例記者会見で、インターネットの動画サイト「ユーストリーム」を使ったライブ中継をスタートさせた。平松市長は5月下旬からミニブログ「ツイッター」も始めており、いずれも「大阪都」構想をめぐって対立する大阪府の橋下徹知事より一歩先んじた取り組み。強い情報発信力をもつ橋下知事に対抗する思惑もありそうだ。
会見で平松市長はライブ中継について「われわれが出した情報が伝わっていない。すべて生の形で市政改革が進んでいるという思いを伝えたい」と説明した。市によると、同様のライブ中継は全国の自治体で導入する動きが広がりつつあるという。この日の視聴者は193人だった。
一方、ツイッターは10日現在で約2200人がフォロワー(登録読者)に。市政について積極的につぶやき、都構想への批判に費やすこともある。8日には、東京都の猪瀬直樹副知事が「大阪市水道局の平均年収は1千万円」と書き込んだことを知ると、即座に「東京都副知事ともあろう方が間違ったデータをもとにツイートされる」などと数字を示して反論した。
国会図書館と出版各社、書籍全文検索を実験へ
国立国会図書館と講談社、小学館など出版社は共同で、今秋にも書籍の全文をキーワード検索するシステムの実証実験を始める。出版済み書籍を電子化してデータベースとするほか、出版社から新刊書の電子データをもらって検索対象に加えることも検討する。全文検索は米グーグルや米アマゾン・ドット・コムも提供しているが、日本勢による本格的な取り組みは初めて。
実験には新潮社、筑摩書房など大手出版社と、中小出版社160社以上を束ねる団体の版元ドットコムなども参加する。
全文検索では利用者が検索したい言葉を入力すると、本文にその言葉を含む書籍の名称や目次が一覧表示される。検索語を含む本文をどの範囲まで表示するのかは今後検討する。
システム構築には、まず書籍データを取り込み、文字、単語単位で言葉を機械的に認識できるデータベースを作る必要があり、著作権者の同意が必要。このため国会図書館は著作権者の窓口である出版社の合意を取り付けたうえで、日本語書籍のシステムを作る。
実証実験は来春まで実施する予定。日本語表記特有の技術的な問題を検討するほか、検索結果の表示順位が公平性を確保できるような仕組みも検証する。実験結果を踏まえて、実際に本格運用に移るかどうかはさらに議論する。
書籍の全文検索サービスを巡っては、米グーグルが著作権者に無断で電子化を進めたため、訴訟に発展した経緯がある。
直嶋経産相「法人税まず5%下げを」
来年度、税制改革を待たず 成長へ決断必要
直嶋正行経済産業相は10日、日本経済新聞のインタビューに応じ、「法人税の税率を来年度にまず5%下げる必要がある。税制の抜本改革の議論を待つのでなく、成長戦略の一環として決断すべきだ」と強調した。月内に政府全体でまとめる成長戦略では、環境、介護・医療(健康)、観光、アジア、科学技術、雇用・人材の6本柱に加えて「個人金融資産の活用など金融分野の活性化が不可欠だ」との考えを示した。
インタビューに答える直嶋経産相(10日、経産省)
経産相は「日本経済は基本的にこの20年間ずっと停滞し、国民全体を閉塞(へいそく)感が覆ってきた」と指摘。「経済がある程度安定的に成長すれば税収増にもつながり、社会保障にも安心感が増す」として成長戦略の実行が重要だと繰り返した。
法人税減税について、直嶋氏は「菅(直人)首相と何度か話し合い、法人税は税制の一つではあるが、財政の枠組みでなく、成長戦略の政策の一環として考えよう、ということを確認した」という。さらに「国際水準が日本より10~15%低いのは事実。中期的には国際水準を視野に税率の下げを目指す」と述べ、税率下げで菅首相の理解は得ているとの認識を示した。
経産相は「法人税の高さが指摘され始めてもう10年はたつのに、日本はいっこうに動いていない。それが海外にはマイナスのメッセージになっている」と指摘。「将来の経済活性化や雇用、税収の確保のためにも決断する時期だ」と述べ、早期の税率下げで、日本の国際競争力回復や外資企業の日本への投資増につなげる考えを示した。
月内に政府全体でまとめる成長戦略については「環境、健康など昨年末に決めた6本柱とは別に、金融分野を新たな柱に加えたい」と言明。例えば、1400兆円の個人金融資産の一部を海外のインフラ投資に充てるなどリスクマネーの供給増を促したり、金融市場や金融取引を改革して日本に海外から資金を呼び込んだりする戦略を明らかにした。
経産相は「日本での新規株式公開(IPO)が著しく減っている。この状況を立て直し、日本の金融産業に成長機会を取り戻す」と語った。
成長戦略の別の柱である海外への原発や水などのインフラ輸出については、産業構造審議会に近く新たな部会を設ける方針を表明。鉄道、次世代送電網など11の重点支援分野などで具体的な連携方法などを詰める。
今年末で期限を迎える省エネ家電のエコポイント制度について経産相は「今後の扱いはもう少し景気を見極める」とした一方、「家計の二酸化炭素(CO2)排出削減のため省エネ製品の普及支援は必要だ」と述べた。
【産経主張】南アW杯 心躍る大会で日本の力を
地球の反対側の南アフリカで、華やかなスポーツの宴(うたげ)が幕を開ける。サッカーのワールドカップ(W杯)である。
19回の歴史の中で、アフリカ大陸では初の開催となる。治安や大会運営などに不安はあるものの、全世界の目が南アに集まっている。まずは安全で、心躍る大会となることを祈りたい。
南アフリカといえば、アパルトヘイト(人種隔離)政策の国だった。国際社会から非難され、国際サッカー連盟(FIFA)からも、代表チームの国際試合への出場停止の制裁を科された。
1991年、アパルトヘイト法が撤廃されると、FIFAの制裁が解除された。それから約20年、ようやく悲願のW杯の開催が実現したのである。
アパルトヘイト撤廃運動の象徴で、ノーベル平和賞を受けたネルソン・マンデラ元大統領も91歳の高齢をおして、開会式に出席したい意向だという。何にもまして盛り上がるに違いない。
とはいえ、心配がなくはない。南アは民主化後、毎年2~5%の経済成長を遂げているものの失業率は24%を超え、貧富の格差が大きい。治安も悪く、昨年は1万8千件もの殺人事件が発生した。7日白昼にも、ケープタウンで武装強盗団と警官隊が銃撃戦を展開し観光客を震え上がらせた。
だが期間中、30万人の外国人観客がスタジアムを埋め、メディアは世界中に熱戦を生中継する。試合以外にも人々の暮らしや、美しい自然が報じられることだろう。南アはいま、主要20カ国・地域(G20)の一角を占め、将来性が注目されている。アフリカに「世界の目」が注がれる機会としてもW杯には大きな意義がある。
今大会に参加する32チームの中には、4大会連続出場となる日本代表もいる。日本は2002年日韓大会以外、すべて1次リーグで敗退しており、このところの国際親善試合でも4連敗中と、下馬評は高くない。
岡田武史監督は目標にベスト4を掲げ、「世界を驚かせる」とも言っていた。そのためにも14日夜(日本時間)の初戦カメルーン戦がカギとなる。何としても勝ち、予選突破につなげてほしい。
W杯はオリンピックと並ぶスポーツの最高峰である。見ているだけで不思議な感動を受ける。日本や世界を覆う閉塞(へいそく)感を打破する契機になるかもしれない。
mixiがTwitter連携--ツイート取り込み可能に
ミクシィは6月10日より、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「mixi」のつぶやきコミュニケーション機能「mixi ボイス」に、米国のミニブログサービス「Twitter」の投稿を取り込めるボタンを設置した。
Twitterで投稿を公開しているユーザーは、自動で「mixi ボイス」にも同じ内容をつぶやける。なお、Twitterで「@」を含む投稿はmixi ボイスには反映されない。
mixi ボイスの設定変更画面の「Twitter と連携する」ボタンをクリックして表示されるTwitterのページで、TwitterのIDとパスワードを入力すると両サービスを連携できる。Twitter経由で投稿されたつぶやきはmixi ボイス上では「Twitterから」と表示される。
mixi ボイスは4月15日のリニューアル以降、投稿数が急増しているという。つぶやきの数、それに寄せられた返信の数を合計するとリニューアル後の2カ月で3億件に上る。
ミクシィ広報によれば、「mixiにはリアルな人間関係に基づいたユーザー同士のつながり(ソーシャルグラフ)があるため、コミュニケーションが活発になる傾向がある。つぶやきへのレス(コメント、イイネ)が多いのがmixiボイスの特長」とのこと。
下のグラフはmixi ボイスのつぶやき数とフィードバック(イイネ!/コメント)数の推移をまとめたもの。つぶやき数を上回るペースで、イイネ!やコメントなどのフィードバック数が増加しているのがわかる。1つのつぶやきに2つのレスがつくイメージだ。
Twitterの月間投稿数、約20億件に
Twitterの投稿数が1カ月に約20億件に達したと、スウェーデンのWeb分析会社Pingdomが6月8日に報告した。1秒当たり741ツイートが投稿された計算になる。
同社の調査によると、Twitterの2010年5月の投稿数は19億9000万件(API経由の投稿も含む)。月間ツイート数が10億件に達したのは2009年12月で、半年足らずで倍増したことになる。
ニンテンドー3DSは国産プロセッサ搭載か、PS3やXbox360に近い性能になるという予測も
5月にテスト基板とおぼしき写真が発見されたことで、スペックの1部が明らかになった任天堂の新型携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」ですが、昨年10月に搭載される可能性が指摘されたNVIDIAのTegraプロセッサではなく、国産のプロセッサを搭載する可能性があることが明らかになりました。
また、処理性能については同社の据置型ゲーム機「Wii」を超え、ソニーの「PS3」やマイクロソフトの「Xbox360」に近い性能になるという予測もありますが、実際はどうなるのでしょうか。
任天堂の新型携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」に対して、従来はNVIDIAのTegraプロセッサが搭載されるのではないかと見込まれていましたが、ニンテンドー3DSにはTegraプロセッサの代わりに日本製の3D演算プロセッサが組み込まれているようであるということを、2つの独立した情報源が明かしたそうです。
また、これらの情報源はニンテンドー3DSのコードネームが「Nintendo CTR」であることを明かしており、5月に発見されたテスト基板「Nintendo DS CTR TARGET BOARD」がニンテンドー3DSのものであったことを裏付けています。
なお、大手ゲーム情報サイト「IGN」が先日、ニンテンドー3DSはPS3やXbox360に近い処理性能を実現しているのではないかと予測していましたが、Tegraプロセッサの第2世代モデルとほぼ同等かそれ以上の処理能力を持つとされる、ソニーのPSP2(仮)に搭載される見込みの4コアグラフィックチップ「SGX543MP4」が初代XboxとXbox360の間に位置する処理能力にとどまるほか、任天堂は携帯ゲーム機のバッテリー寿命を重視してきたことを考えると、処理性能はそこまで突出したものになるというわけではなさそうです。
さまざまな憶測が飛び交うニンテンドー3DSですが、いよいよ来週からアメリカで開催されるE3でお披露目されるのでしょうか。どのようなソフトが登場するのかも気になります。
携帯をWi-Fi WIN対応に――au Wi-Fi WINカード、6月11日から順次発売
KDDIは6月11日から、au Wi-Fi WINカードの販売を開始する。発売日は東北、中部、北陸、関西、九州、沖縄エリアが6月11日、北海道、関東、中国、四国エリアが6月12日。
au Wi-Fi WINカードは、au携帯電話のmicroSDカードスロットに差し込むことで、端末をWi-Fi対応機として使えるようにする無線LANカード。このカードを利用することで、携帯電話を無線LANに接続できるようになり、EZwebやPCサイトビューアーなどのインターネットコンテンツを高速な通信環境下でパケット通信料をかけずに楽しめる。
対応機種は、BRAVIA Phone S004、REGZA Phone T004の2機種で、対応機種は順次拡大予定。価格は4200円で、auショップやPiPit、au Online Shopで購入できる。なお、同カードを利用して無線LANに接続するには、別途「Wi-Fi WIN」に申し込む必要がある。
ソニー、ストリンガー会長兼社長ら執行役の平均報酬1億4825万円
ソニーが2010年3月期のハワード・ストリンガー会長兼社長ら執行役8人の報酬総額が前期比8.6%増の11億8600万円とすることが10日、分かった。18日に開く株主総会の招集通知書に添付された参考書類で明らかになった。執行役の平均報酬額は単純計算で1億4825万円となり、前期(執行役は7人)と比べて5%減少した。
報酬は、定額と業績連動の2つで構成。09年3月期は業績悪化を受け、ストリンガー会長兼社長ら代表執行役3人が業績連動報酬を返上。10年3月期は本業のもうけを示す営業損益が黒字転換したことから、全執行役に業績連動報酬を支払う。
執行役の1人当たりの報酬額は会長と社長の職を兼務するストリンガー氏の報酬水準が最も高いとみられるが、平均報酬額が減少していることを踏まえると、1株当たりの年間配当金が前期の42円50銭から25円に大幅減配としたことに配慮したとみられる。
28日に提出する予定の有価証券報告書では今期分から1億円以上の報酬を得た役員を個別開示するが、株主総会で公表するかは未定としている。また、2002年から08年まで7年続いた株主オンブズマンからの取締役報酬の個別開示を要求する株主提案は昨年に続き今年も行われない。
ソニーでは執行役を兼務する取締役には取締役としての報酬は支給していない。このため、取締役の報酬総額1億8100万円は社外取締役12人分になる。
民主「会期延長せず」 郵政巡り国民新と調整
民主党は10日、16日までの今国会会期を延長しない方針を固め、連立を組む国民新党との調整を続けた。延長しないことで参院選は予定通り「6月24日公示―7月11日投開票」の日程になる公算が大きい。民営化路線を見直す郵政改革法案の今国会成立に固執する国民新党には反発があり、参院選後、速やかに臨時国会を開き、冒頭で郵政改革法案を処理する合意をかわす案が浮上している。
民主党の樽床伸二国会対策委員長は10日午前、国会内で国民新党の下地幹郎国対委員長に会い、選挙日程を遅らせることに慎重な参院民主党に配慮し、会期延長はしない考えを伝えた。下地氏は回答を留保し「連立離脱もありうる」と答えた。
この後、仙谷由人官房長官が都内で国民新党代表の亀井静香郵政・金融担当相と協議した。亀井氏は「郵政改革法案を今国会で成立させてほしい」と要請。仙谷氏は「今国会でできるかどうかはともかく、速やかな成立を期す」と述べるにとどめた。亀井氏は「菅直人首相と仙谷氏を信じている」とも語った。
首相は10日昼、首相官邸で枝野幸男幹事長や仙谷、樽床両氏に「今日一日、それぞれの立場で努力を続けてほしい」と指示した。
民主党の細野豪志幹事長代理は午前のフジテレビ番組で「国会会期を延ばしても落ち着いた議論はできない。国民新党との約束は守らなければならない」と力説した。郵政改革法案は参院審議中。成立せずに国会を閉じると審議未了で廃案になる。参院選後の国会に改めて提出し、衆院審議からやり直す必要がある。
一方、樽床氏は自民党の川崎二郎国対委員長とも会談した。自民党などが首相の所信表明演説への各党代表質問に続いて衆参両院の予算委員会を開くよう求めていることについて、予算委ではなく党首討論で代替する案を打診した。代表質問は14~15日の2日間にとどめ、16日に党首討論を開き、今国会を閉じることを想定している。
JCOM社長、JCNとの資本関係構築「極めて大きなメリット」
ケーブルテレビ(CATV)国内最大手のジュピターテレコム(4817)の森泉知行社長は10日の記者会見で、KDDI(9433)傘下でCATV業界2位のジャパンケーブルネット(JCN)と資本関係の構築を目指すことを表明した。「当社はM&A(合併・買収)によって、規模の拡大や経営ノウハウ、サービスなどを獲得することで利益を伸ばしてきた経緯がある」と説明。その上で「日本で第2位の事業者と一緒になることは、両社にとって極めて大きなメリットが出ることは間違いない」と述べ、「着実に実現したい」との考えを示した。具体的な方法や時期については「細かい話には至っていない」と述べるにとどまった。
GDP上方修正 エコノミスト泣き、新政権にんまり
内閣府は10日に発表した1~3月期の国内総生産(GDP)改定値で実質成長率を速報値から上方修正した。下方修正を見込んでいた大半の民間エコノミストの予測は、結果的に大ハズレ。それだけに、改定結果を素直に「ポジティブ・サプライズ」と喜べるエコノミストは少ない。顔をしかめるエコノミストとは対照的に、参院選を控えるなかで8日に発足したばかりの菅新政権にとっては顔をにんまりさせる指標となった。
1~3月期の実質GDPは前期比年率で5.0%増となり、速報値の4.9%から小幅ながら上方修正された。民間エコノミストの多くは0.8ポイント程度の下方修正を予想していたが、無情にも逆方向の結果が出た。
上方修正は個人消費が0.4%増と速報値の0.3%増を上回ったことが主因。「エコポイントやエコカー減税などが個人消費を下支えした」(大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミスト)とみられている。公共投資や住宅投資も上方修正された。
一方、設備投資は1.0%増から0.6%増に下方修正された。エコノミストにとって“誤算”だったのは、この修正幅が意外と小さかったことだ。3日に発表された法人企業統計で1~3月期の設備投資額が前年同期を下回ったため、このデータを使って推計し直したGDP改定値でも設備投資が速報値のプラスからマイナスに転じるとの予想が相次いだ。
もともとGDPの設備投資は、予測が難しいとされ、エコノミスト泣かせの指標だとも言われる。集計方法が「ブラックボックス」(熊谷氏)で、過去に何度も速報値から改定値で大幅に修正されたことがある。「設備投資の供給側と需要側の統計を両方使うのは日本独特の集計方法」(伊藤忠商事の丸山義正主任研究員)との指摘もあるくらいだ。
09年7~9月期のGDP改定値では、設備投資が前期比プラスからマイナスに転落。GDP全体も4.8%増から1.3%増に3.5ポイントも下方修正されたことがある。内閣府の津村啓介政務官は当時、「GDP統計のあり方を見直したい」と息巻いた。
その津村政務官が10日午前の記者会見で言い放ったのは、景気は「回復局面に入りつつある」というシンボリックな言葉だ。これまでの「持ち直し」から判断を前進させた。6月の月例経済報告でも、正式な政府の景気判断に「回復」の2文字が盛り込まれる公算が大きい。5月の月例報告で判断を据え置いた際は「参院選に備えて『景気回復宣言』を温存した」との解説がまことしやかに流れた。それが政府の真意だったとしたら、ひとまずは「作戦成功」と言える。
今後の景気については、「輸出主導の緩やかな回復が続く」(丸山氏)との見方が民間エコノミストのコンセンサスとなっている。ただ、「政策効果の息切れに加え、欧州の財政危機や中国の景気過熱といった海外要因が下振れリスク」(農林中金総合研究所の南武志主任研究員)との指摘も多い。「今年後半は回復のモメンタムが落ちる」(熊谷氏)との見方もあり、菅政権は引き続き経済政策面で慎重なかじ取りを迫られる。
マーケットアイ
問題は「ユーロ圏」だけじゃない=ブライアン・ヒリアード氏(10/6/10)
ここ数カ月の債券市場の混乱で、ユーロ圏の構造問題が注目を集めるようになった。ユーロ発足前、導入予定国はマーストリヒト条約の基準を満たすべく財政収支の改善に努めた。特に力を入れたのは、財政赤字を国内総生産(GDP)比3%まで減らすことである。過去にはこのルールが明らかに甘く解釈されたケースもあり、ユーロが当初の構想ほど完ぺきであるとは言えない。
だが、ギリシャ危機に目を奪われ、この問題がユーロ圏固有のものと考えるべきではない。
ギリシャを除き、欧州で最大の財政赤字を抱えるとみられるのは英国(3月の予算編成時点で、政府は財政赤字がGDP比で最高11.8%に達すると見込んでいる)である。
しかも、経済低迷の言い訳として、ユーロ導入に伴って短期市場にゆがみが生じたとか国債利回りが下がったといった理由を持ち出すことはできない。英国の構造的な不均衡は、金融部門の肥大や、税収が潤沢だったころの放漫財政が原因である。
2007年からの金融危機で、各国政府は第2の大恐慌に陥りかねない状況を沈静化するために、金融・財政の両面で大規模な景気刺激策を打たなければならなくなった。どの国の政府も、その時点では中期的なリスクを冒していると承知しており、それは恐慌を避けるためにはやむを得ないという認識だった。こうした安定化策の結果、負債が民間部門から政府部門に移転した。景気刺激策は財政赤字を大幅に増やし、したがって公的債務も増大させた。
問題は、世界経済が再び成長に転じ始めたいま、債券市場では危機後の財政の持続可能性に関心が集まってきたことである。財政赤字の拡大は構造的要因によるものとみられ、したがって黒字に転換するのは難しい。必然的に、赤字縮小には徹底的な財政再建が必要、という結論に達する。
これとも関連するが、ここ数カ月のソブリンリスク(政府債務の信認危機)で、一部の国の信用格付けが見直された。その結果、問題のある国の国債利回りは急上昇し、これらの国の財政赤字は一段と膨らんでいる。対GDP債務比率を引き下げるためには、さらに厳しい財政再建が必要になる。
だがそうなれば、経済成長率が落ち込むことは避けられない。税収の伸びは鈍化し、社会福祉コストは増える。赤字削減を推し進めるためには一段の支出削減と増税が必要になる。
この問題が最も深刻なのはいうまでもなくギリシャだが、悩みを抱える国は他にもある。例えばポルトガルとスペインは、抜本的な構造調整を迫られている。それは痛みを伴うし、成功する保証もない。だがこれらの国に対しては、政府債務の返済を支援するメカニズムが整備されている。ユーロ加盟国は万一に備えた資金供給のために、7500億ユーロ規模の金融安定化メカニズム創設に合意しているからだ。
だが、英国の場合は自力でやらねばならない。先月に発足した新政権が、最優先課題に赤字削減を掲げたのはそのためだ。市場というものは、犠牲者を一人ひとり血祭りにあげる傾向があり、一番弱い標的に売りを浴びせると、おもむろに次を狙うものだ。したがって、ユーロ圏の危機が一段落したら、次に国債利回りが大幅上昇する危険にさらされているのは英国ということになる。
ところが驚いたことに、今回の危機で英国債は安全な逃避先として買われ、10年物国債の利回りは4月初めから0.5%以上も下がった。対GDP債務比率が急上昇する恐れに直面した国としては、まったく奇妙なことである。市場は、英国の財務状況をさほど心配していないのだろうか。
だが安心している場合ではない。新政権が6月22日に発表する予定の緊急予算では、財政赤字見通しが上方修正されるだろう。筆者は、大幅な支出削減と一部増税の組み合わせにより赤字減らしをするとの英国の決意を、いささかも疑っていない。とはいえ、現在の英国が他国の状況にいくらか助けられていることは認めざるを得ない。英国の最大の貿易相手はユーロ圏であり、財の輸出のほぼ半分を占めている。
ユーロ圏が過酷な財政再建に取り組み、成長が滞るようなら、英国の成長にも悪影響が出るだろう。そうなれば、英国が赤字削減目標を達成するのは一段と難しくなる。英国はやり遂げると筆者は信じているが、それが困難な道のりなのは間違いない。
【中日社説】
米原油流出 海からの警告なのか
2010年6月10日
米メキシコ湾の原油流出は、発生から一カ月半を過ぎても衰えず、史上最大の環境汚染といわれ始めた。われわれは、海を蝕(むしば)む油の染みさえ容易に止められない。消し去る力も持っていない。
どうして早く止められないのと、多くの人が思うだろう。だが、原油の激しい流出は、今この瞬間も続いている。これが現実だ。後手後手に回る対応策は「オバマ政権のカトリーナ」とも呼ばれ、秋の中間選挙への影響すら懸念されている。
米国南部ルイジアナ州のメキシコ湾沖合約八十キロ。英国の国際資本、BPの石油掘削施設が爆発、沈没し、約千五百メートルの深海底から地中に延びる深さ五千五百メートルの掘削パイプが折れた。史上最深の油井を採掘したとして、注目を浴びたばかりの施設である。
一日最大三千キロリットルが噴き出していて、総流出量は、一九八九年にアラスカ沖で座礁したタンカー「エクソン・バルディズ号」から流れ出た、当時最悪の約四万キロリットルをすでに大きく上回る。
流出原油の帯は日に日に伸び、米国屈指のエビ漁場である海や、鳥が憩う水辺の生態系、そして漁民の暮らしにも深刻な影響を及ぼしている。日本の需要を支える大西洋クロマグロの産卵海域にも打撃を与える恐れがある。
当初は早期沈静化の楽観論があった。しかし、人類は宇宙以上に海の中を知らないとすらいわれている。深海では、人も機械も思うようには動けない。油井に泥を流し込む作戦や、ロボットを使った封じ込めなど、最先端技術の挑戦も次々退けられた。
われわれは、流出した原油を消し去る魔法を持っていない。回収技術は、二十年前からほとんど進んでいない。バルディズ号から出た原油の一部は未回収のまま今も生態系を汚しているという。
BP側の責任を問うだけだった米国政府は五月末になってようやく、対策の先頭に立つ姿勢に切り替えた。
初動の遅れが残念だ。豊かな海にじわじわと広がる赤黒い油の染みは、あらためて警告を発しているようにも見える。
第一に、海の中には人間や科学の力がまだ遠く及ばない。第二にはそうでなくても、技術を過信するのは危険である。第三に、生態系は傷つきやすく、汚染に遭うと元に戻すのが難しい。そして、海に囲まれ、海の恩恵を受けているわれわれも、遠い米国の環境汚染に、無関心ではいられない。
ミクシィは6月10日より、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「mixi」のつぶやきコミュニケーション機能「mixi ボイス」に、米国のミニブログサービス「Twitter」の投稿を取り込めるボタンを設置した。
Twitterで投稿を公開しているユーザーは、自動で「mixi ボイス」にも同じ内容をつぶやける。なお、Twitterで「@」を含む投稿はmixi ボイスには反映されない。
mixi ボイスの設定変更画面の「Twitter と連携する」ボタンをクリックして表示されるTwitterのページで、TwitterのIDとパスワードを入力すると両サービスを連携できる。Twitter経由で投稿されたつぶやきはmixi ボイス上では「Twitterから」と表示される。
mixi ボイスは4月15日のリニューアル以降、投稿数が急増しているという。つぶやきの数、それに寄せられた返信の数を合計するとリニューアル後の2カ月で3億件に上る。
ミクシィ広報によれば、「mixiにはリアルな人間関係に基づいたユーザー同士のつながり(ソーシャルグラフ)があるため、コミュニケーションが活発になる傾向がある。つぶやきへのレス(コメント、イイネ)が多いのがmixiボイスの特長」とのこと。
下のグラフはmixi ボイスのつぶやき数とフィードバック(イイネ!/コメント)数の推移をまとめたもの。つぶやき数を上回るペースで、イイネ!やコメントなどのフィードバック数が増加しているのがわかる。1つのつぶやきに2つのレスがつくイメージだ。
Twitterの月間投稿数、約20億件に
Twitterの投稿数が1カ月に約20億件に達したと、スウェーデンのWeb分析会社Pingdomが6月8日に報告した。1秒当たり741ツイートが投稿された計算になる。
同社の調査によると、Twitterの2010年5月の投稿数は19億9000万件(API経由の投稿も含む)。月間ツイート数が10億件に達したのは2009年12月で、半年足らずで倍増したことになる。
ニンテンドー3DSは国産プロセッサ搭載か、PS3やXbox360に近い性能になるという予測も
5月にテスト基板とおぼしき写真が発見されたことで、スペックの1部が明らかになった任天堂の新型携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」ですが、昨年10月に搭載される可能性が指摘されたNVIDIAのTegraプロセッサではなく、国産のプロセッサを搭載する可能性があることが明らかになりました。
また、処理性能については同社の据置型ゲーム機「Wii」を超え、ソニーの「PS3」やマイクロソフトの「Xbox360」に近い性能になるという予測もありますが、実際はどうなるのでしょうか。
任天堂の新型携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」に対して、従来はNVIDIAのTegraプロセッサが搭載されるのではないかと見込まれていましたが、ニンテンドー3DSにはTegraプロセッサの代わりに日本製の3D演算プロセッサが組み込まれているようであるということを、2つの独立した情報源が明かしたそうです。
また、これらの情報源はニンテンドー3DSのコードネームが「Nintendo CTR」であることを明かしており、5月に発見されたテスト基板「Nintendo DS CTR TARGET BOARD」がニンテンドー3DSのものであったことを裏付けています。
なお、大手ゲーム情報サイト「IGN」が先日、ニンテンドー3DSはPS3やXbox360に近い処理性能を実現しているのではないかと予測していましたが、Tegraプロセッサの第2世代モデルとほぼ同等かそれ以上の処理能力を持つとされる、ソニーのPSP2(仮)に搭載される見込みの4コアグラフィックチップ「SGX543MP4」が初代XboxとXbox360の間に位置する処理能力にとどまるほか、任天堂は携帯ゲーム機のバッテリー寿命を重視してきたことを考えると、処理性能はそこまで突出したものになるというわけではなさそうです。
さまざまな憶測が飛び交うニンテンドー3DSですが、いよいよ来週からアメリカで開催されるE3でお披露目されるのでしょうか。どのようなソフトが登場するのかも気になります。
携帯をWi-Fi WIN対応に――au Wi-Fi WINカード、6月11日から順次発売
KDDIは6月11日から、au Wi-Fi WINカードの販売を開始する。発売日は東北、中部、北陸、関西、九州、沖縄エリアが6月11日、北海道、関東、中国、四国エリアが6月12日。
au Wi-Fi WINカードは、au携帯電話のmicroSDカードスロットに差し込むことで、端末をWi-Fi対応機として使えるようにする無線LANカード。このカードを利用することで、携帯電話を無線LANに接続できるようになり、EZwebやPCサイトビューアーなどのインターネットコンテンツを高速な通信環境下でパケット通信料をかけずに楽しめる。
対応機種は、BRAVIA Phone S004、REGZA Phone T004の2機種で、対応機種は順次拡大予定。価格は4200円で、auショップやPiPit、au Online Shopで購入できる。なお、同カードを利用して無線LANに接続するには、別途「Wi-Fi WIN」に申し込む必要がある。
ソニー、ストリンガー会長兼社長ら執行役の平均報酬1億4825万円
ソニーが2010年3月期のハワード・ストリンガー会長兼社長ら執行役8人の報酬総額が前期比8.6%増の11億8600万円とすることが10日、分かった。18日に開く株主総会の招集通知書に添付された参考書類で明らかになった。執行役の平均報酬額は単純計算で1億4825万円となり、前期(執行役は7人)と比べて5%減少した。
報酬は、定額と業績連動の2つで構成。09年3月期は業績悪化を受け、ストリンガー会長兼社長ら代表執行役3人が業績連動報酬を返上。10年3月期は本業のもうけを示す営業損益が黒字転換したことから、全執行役に業績連動報酬を支払う。
執行役の1人当たりの報酬額は会長と社長の職を兼務するストリンガー氏の報酬水準が最も高いとみられるが、平均報酬額が減少していることを踏まえると、1株当たりの年間配当金が前期の42円50銭から25円に大幅減配としたことに配慮したとみられる。
28日に提出する予定の有価証券報告書では今期分から1億円以上の報酬を得た役員を個別開示するが、株主総会で公表するかは未定としている。また、2002年から08年まで7年続いた株主オンブズマンからの取締役報酬の個別開示を要求する株主提案は昨年に続き今年も行われない。
ソニーでは執行役を兼務する取締役には取締役としての報酬は支給していない。このため、取締役の報酬総額1億8100万円は社外取締役12人分になる。
民主「会期延長せず」 郵政巡り国民新と調整
民主党は10日、16日までの今国会会期を延長しない方針を固め、連立を組む国民新党との調整を続けた。延長しないことで参院選は予定通り「6月24日公示―7月11日投開票」の日程になる公算が大きい。民営化路線を見直す郵政改革法案の今国会成立に固執する国民新党には反発があり、参院選後、速やかに臨時国会を開き、冒頭で郵政改革法案を処理する合意をかわす案が浮上している。
民主党の樽床伸二国会対策委員長は10日午前、国会内で国民新党の下地幹郎国対委員長に会い、選挙日程を遅らせることに慎重な参院民主党に配慮し、会期延長はしない考えを伝えた。下地氏は回答を留保し「連立離脱もありうる」と答えた。
この後、仙谷由人官房長官が都内で国民新党代表の亀井静香郵政・金融担当相と協議した。亀井氏は「郵政改革法案を今国会で成立させてほしい」と要請。仙谷氏は「今国会でできるかどうかはともかく、速やかな成立を期す」と述べるにとどめた。亀井氏は「菅直人首相と仙谷氏を信じている」とも語った。
首相は10日昼、首相官邸で枝野幸男幹事長や仙谷、樽床両氏に「今日一日、それぞれの立場で努力を続けてほしい」と指示した。
民主党の細野豪志幹事長代理は午前のフジテレビ番組で「国会会期を延ばしても落ち着いた議論はできない。国民新党との約束は守らなければならない」と力説した。郵政改革法案は参院審議中。成立せずに国会を閉じると審議未了で廃案になる。参院選後の国会に改めて提出し、衆院審議からやり直す必要がある。
一方、樽床氏は自民党の川崎二郎国対委員長とも会談した。自民党などが首相の所信表明演説への各党代表質問に続いて衆参両院の予算委員会を開くよう求めていることについて、予算委ではなく党首討論で代替する案を打診した。代表質問は14~15日の2日間にとどめ、16日に党首討論を開き、今国会を閉じることを想定している。
JCOM社長、JCNとの資本関係構築「極めて大きなメリット」
ケーブルテレビ(CATV)国内最大手のジュピターテレコム(4817)の森泉知行社長は10日の記者会見で、KDDI(9433)傘下でCATV業界2位のジャパンケーブルネット(JCN)と資本関係の構築を目指すことを表明した。「当社はM&A(合併・買収)によって、規模の拡大や経営ノウハウ、サービスなどを獲得することで利益を伸ばしてきた経緯がある」と説明。その上で「日本で第2位の事業者と一緒になることは、両社にとって極めて大きなメリットが出ることは間違いない」と述べ、「着実に実現したい」との考えを示した。具体的な方法や時期については「細かい話には至っていない」と述べるにとどまった。
GDP上方修正 エコノミスト泣き、新政権にんまり
内閣府は10日に発表した1~3月期の国内総生産(GDP)改定値で実質成長率を速報値から上方修正した。下方修正を見込んでいた大半の民間エコノミストの予測は、結果的に大ハズレ。それだけに、改定結果を素直に「ポジティブ・サプライズ」と喜べるエコノミストは少ない。顔をしかめるエコノミストとは対照的に、参院選を控えるなかで8日に発足したばかりの菅新政権にとっては顔をにんまりさせる指標となった。
1~3月期の実質GDPは前期比年率で5.0%増となり、速報値の4.9%から小幅ながら上方修正された。民間エコノミストの多くは0.8ポイント程度の下方修正を予想していたが、無情にも逆方向の結果が出た。
上方修正は個人消費が0.4%増と速報値の0.3%増を上回ったことが主因。「エコポイントやエコカー減税などが個人消費を下支えした」(大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミスト)とみられている。公共投資や住宅投資も上方修正された。
一方、設備投資は1.0%増から0.6%増に下方修正された。エコノミストにとって“誤算”だったのは、この修正幅が意外と小さかったことだ。3日に発表された法人企業統計で1~3月期の設備投資額が前年同期を下回ったため、このデータを使って推計し直したGDP改定値でも設備投資が速報値のプラスからマイナスに転じるとの予想が相次いだ。
もともとGDPの設備投資は、予測が難しいとされ、エコノミスト泣かせの指標だとも言われる。集計方法が「ブラックボックス」(熊谷氏)で、過去に何度も速報値から改定値で大幅に修正されたことがある。「設備投資の供給側と需要側の統計を両方使うのは日本独特の集計方法」(伊藤忠商事の丸山義正主任研究員)との指摘もあるくらいだ。
09年7~9月期のGDP改定値では、設備投資が前期比プラスからマイナスに転落。GDP全体も4.8%増から1.3%増に3.5ポイントも下方修正されたことがある。内閣府の津村啓介政務官は当時、「GDP統計のあり方を見直したい」と息巻いた。
その津村政務官が10日午前の記者会見で言い放ったのは、景気は「回復局面に入りつつある」というシンボリックな言葉だ。これまでの「持ち直し」から判断を前進させた。6月の月例経済報告でも、正式な政府の景気判断に「回復」の2文字が盛り込まれる公算が大きい。5月の月例報告で判断を据え置いた際は「参院選に備えて『景気回復宣言』を温存した」との解説がまことしやかに流れた。それが政府の真意だったとしたら、ひとまずは「作戦成功」と言える。
今後の景気については、「輸出主導の緩やかな回復が続く」(丸山氏)との見方が民間エコノミストのコンセンサスとなっている。ただ、「政策効果の息切れに加え、欧州の財政危機や中国の景気過熱といった海外要因が下振れリスク」(農林中金総合研究所の南武志主任研究員)との指摘も多い。「今年後半は回復のモメンタムが落ちる」(熊谷氏)との見方もあり、菅政権は引き続き経済政策面で慎重なかじ取りを迫られる。
マーケットアイ
問題は「ユーロ圏」だけじゃない=ブライアン・ヒリアード氏(10/6/10)
ここ数カ月の債券市場の混乱で、ユーロ圏の構造問題が注目を集めるようになった。ユーロ発足前、導入予定国はマーストリヒト条約の基準を満たすべく財政収支の改善に努めた。特に力を入れたのは、財政赤字を国内総生産(GDP)比3%まで減らすことである。過去にはこのルールが明らかに甘く解釈されたケースもあり、ユーロが当初の構想ほど完ぺきであるとは言えない。
だが、ギリシャ危機に目を奪われ、この問題がユーロ圏固有のものと考えるべきではない。
ギリシャを除き、欧州で最大の財政赤字を抱えるとみられるのは英国(3月の予算編成時点で、政府は財政赤字がGDP比で最高11.8%に達すると見込んでいる)である。
しかも、経済低迷の言い訳として、ユーロ導入に伴って短期市場にゆがみが生じたとか国債利回りが下がったといった理由を持ち出すことはできない。英国の構造的な不均衡は、金融部門の肥大や、税収が潤沢だったころの放漫財政が原因である。
2007年からの金融危機で、各国政府は第2の大恐慌に陥りかねない状況を沈静化するために、金融・財政の両面で大規模な景気刺激策を打たなければならなくなった。どの国の政府も、その時点では中期的なリスクを冒していると承知しており、それは恐慌を避けるためにはやむを得ないという認識だった。こうした安定化策の結果、負債が民間部門から政府部門に移転した。景気刺激策は財政赤字を大幅に増やし、したがって公的債務も増大させた。
問題は、世界経済が再び成長に転じ始めたいま、債券市場では危機後の財政の持続可能性に関心が集まってきたことである。財政赤字の拡大は構造的要因によるものとみられ、したがって黒字に転換するのは難しい。必然的に、赤字縮小には徹底的な財政再建が必要、という結論に達する。
これとも関連するが、ここ数カ月のソブリンリスク(政府債務の信認危機)で、一部の国の信用格付けが見直された。その結果、問題のある国の国債利回りは急上昇し、これらの国の財政赤字は一段と膨らんでいる。対GDP債務比率を引き下げるためには、さらに厳しい財政再建が必要になる。
だがそうなれば、経済成長率が落ち込むことは避けられない。税収の伸びは鈍化し、社会福祉コストは増える。赤字削減を推し進めるためには一段の支出削減と増税が必要になる。
この問題が最も深刻なのはいうまでもなくギリシャだが、悩みを抱える国は他にもある。例えばポルトガルとスペインは、抜本的な構造調整を迫られている。それは痛みを伴うし、成功する保証もない。だがこれらの国に対しては、政府債務の返済を支援するメカニズムが整備されている。ユーロ加盟国は万一に備えた資金供給のために、7500億ユーロ規模の金融安定化メカニズム創設に合意しているからだ。
だが、英国の場合は自力でやらねばならない。先月に発足した新政権が、最優先課題に赤字削減を掲げたのはそのためだ。市場というものは、犠牲者を一人ひとり血祭りにあげる傾向があり、一番弱い標的に売りを浴びせると、おもむろに次を狙うものだ。したがって、ユーロ圏の危機が一段落したら、次に国債利回りが大幅上昇する危険にさらされているのは英国ということになる。
ところが驚いたことに、今回の危機で英国債は安全な逃避先として買われ、10年物国債の利回りは4月初めから0.5%以上も下がった。対GDP債務比率が急上昇する恐れに直面した国としては、まったく奇妙なことである。市場は、英国の財務状況をさほど心配していないのだろうか。
だが安心している場合ではない。新政権が6月22日に発表する予定の緊急予算では、財政赤字見通しが上方修正されるだろう。筆者は、大幅な支出削減と一部増税の組み合わせにより赤字減らしをするとの英国の決意を、いささかも疑っていない。とはいえ、現在の英国が他国の状況にいくらか助けられていることは認めざるを得ない。英国の最大の貿易相手はユーロ圏であり、財の輸出のほぼ半分を占めている。
ユーロ圏が過酷な財政再建に取り組み、成長が滞るようなら、英国の成長にも悪影響が出るだろう。そうなれば、英国が赤字削減目標を達成するのは一段と難しくなる。英国はやり遂げると筆者は信じているが、それが困難な道のりなのは間違いない。
【中日社説】
米原油流出 海からの警告なのか
2010年6月10日
米メキシコ湾の原油流出は、発生から一カ月半を過ぎても衰えず、史上最大の環境汚染といわれ始めた。われわれは、海を蝕(むしば)む油の染みさえ容易に止められない。消し去る力も持っていない。
どうして早く止められないのと、多くの人が思うだろう。だが、原油の激しい流出は、今この瞬間も続いている。これが現実だ。後手後手に回る対応策は「オバマ政権のカトリーナ」とも呼ばれ、秋の中間選挙への影響すら懸念されている。
米国南部ルイジアナ州のメキシコ湾沖合約八十キロ。英国の国際資本、BPの石油掘削施設が爆発、沈没し、約千五百メートルの深海底から地中に延びる深さ五千五百メートルの掘削パイプが折れた。史上最深の油井を採掘したとして、注目を浴びたばかりの施設である。
一日最大三千キロリットルが噴き出していて、総流出量は、一九八九年にアラスカ沖で座礁したタンカー「エクソン・バルディズ号」から流れ出た、当時最悪の約四万キロリットルをすでに大きく上回る。
流出原油の帯は日に日に伸び、米国屈指のエビ漁場である海や、鳥が憩う水辺の生態系、そして漁民の暮らしにも深刻な影響を及ぼしている。日本の需要を支える大西洋クロマグロの産卵海域にも打撃を与える恐れがある。
当初は早期沈静化の楽観論があった。しかし、人類は宇宙以上に海の中を知らないとすらいわれている。深海では、人も機械も思うようには動けない。油井に泥を流し込む作戦や、ロボットを使った封じ込めなど、最先端技術の挑戦も次々退けられた。
われわれは、流出した原油を消し去る魔法を持っていない。回収技術は、二十年前からほとんど進んでいない。バルディズ号から出た原油の一部は未回収のまま今も生態系を汚しているという。
BP側の責任を問うだけだった米国政府は五月末になってようやく、対策の先頭に立つ姿勢に切り替えた。
初動の遅れが残念だ。豊かな海にじわじわと広がる赤黒い油の染みは、あらためて警告を発しているようにも見える。
第一に、海の中には人間や科学の力がまだ遠く及ばない。第二にはそうでなくても、技術を過信するのは危険である。第三に、生態系は傷つきやすく、汚染に遭うと元に戻すのが難しい。そして、海に囲まれ、海の恩恵を受けているわれわれも、遠い米国の環境汚染に、無関心ではいられない。
資金調達世界で減速 欧州不安が影響
社債、リーマン直後の水準 株式の新規発行額半減
欧州財政不安を受けて世界の企業の資金調達の中止や延期が相次いでいる。5月の世界の社債発行額は約680億ドル(約6兆2400億円)とリーマン・ショック直後の水準まで落ち込んだ。日本でも鹿島などが社債発行を延期した。世界の株式の新規発行も5月は前月比で半減した。今後も資金調達の減速が続けば、企業の設備投資や買収といった成長戦略に影を落としかねない。
米調査会社ディール・ロジックによると、5月の世界の社債発行額は前月比38%減。特に深刻なのが欧州だ。約70億ドルと前月の4分の1に急減し、2年9カ月ぶりの低水準となった。欧州市場では社債の利回りが上昇している。モルガン・スタンレーMUFG証券によると、国債に対するシングルA格社債の上乗せ金利は2%近い水準まで上昇。投資家が欧州企業の信用力に不安を感じ購入を手控えている。カネ余りは依然として続いているものの、企業に成長資金が回らない状況だ。
■鹿島など見送り
日本の5月の社債発行額は前月比14%減と欧米に比べ落ち込みは小さい。ただ鹿島やオリックス、阪和興業などが当面の社債発行を見送った。5月下旬に最大100億円の社債を起債する方針だった鹿島は投資家の求める金利水準が想定より高くなったため、発行を延期。200億円の社債発行を予定していたオリックスも延期を決めた。
株式発行による資金調達も延期が相次いでいる。5月の発行額は欧州が前月比79%減、米国が47%減だった。欧州では、英旅行会社トラベルポート、英娯楽施設運営のマーリン・エンターテインメンツなどが市場環境の悪化などを理由に今春予定していた新規上場を延期した。「相場の低迷で、買収ファンドなどが予定していた投資先の上場による投資回収を見送っている」(英投資銀行)
米国でも映画館大手のリーガルエンターテインメントグループが傘下企業による約2億5000万ドルの株式売り出しを延期すると発表。ディール・ロジックによると、5月の世界のIPO(新規株式公開)中止・延期件数は23件で、08年12月以来の高水準となっている。
■景気押し下げも
金融市場で資金調達が難しくなれば、企業は新たな設備投資やM&A(合併・買収)がしにくくなる。「企業の資金調達が滞れば、設備投資の減少につながり、景気の押し下げ要因となる。欧州はバブル崩壊後の日本の景気悪化局面と似てきた」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の水野和夫チーフエコノミスト)との指摘がある。
ただ日本企業の手元資金は3月末で約63兆円と比較できる00年3月期以降で最高水準にあり投資余力が高まっている。日本の資金調達環境は欧州ほど悪化しておらず、M&Aや大型の設備投資で日本企業が相対的に優位に立てる可能性もある。
「5年後、言葉の壁は消える」、グーグルが検索技術への取り組み
米グーグルは2010年6月8日、「検索の科学」と題したイベントを都内で開催した。エンジニアリングリサーチ担当の上級副社長アラン・ユースタス氏をはじめ、検索の技術研究や製品開発を担当するエンジニアが登壇。現在までの検索技術の進化と、今後のビジョンを語った。
「かつて、Web検索で得た情報の中身は、古いのが当たり前だった。今では1分前に更新された情報ですら、検索できるようになった」。ユースタス上級副社長は、Web検索技術の進化の一端を、こう説明する。
リアルタイム検索に加えて、グーグルがここ数年かけて取り組んできたテーマが、個人ごとに最適な検索を可能にする「パーソナライズド検索」、音声による検索や動画検索などだ。「検索は本来、とてもパーソナルなものだ。同じ『膝』という単語でも、医者の場合と患者の女性の場合とでは、求める結果の種類もレベルも違う。医者などに向けて学術論文検索を提供しているのは、異なるレベルの情報を、最適な形で提供する取り組みの一つだ」(ユースタス上級副社長)。
検索技術の開発を進めるにつれて、同社のコンピュータ基盤は「クラウド=雲」と呼ばれるほど急激に拡大。そして「何千台ものマシンを一度に動作させることで、統計的に翻訳機ができるのではないかというアイデアにたどり着いた」。
文字の翻訳や音声認識といったコンピュータサイエンスの長年のテーマに、同社はクラウドを応用した。「もちろん、まだ人間のレベルには至っていない。しかし重要なことは、翻訳や音声認識の精度が、毎年大きく上がっていることだ。まもなく、携帯電話を挟んで、私とみなさんがそれぞれの母国語を使って話し合えるようになる。この5年間で、その世界が具現化していくだろう」。
続いて検索技術担当フェローのアミット・シングハル氏が登壇した。「学生のころに抱いていた夢は、テキストを超えた検索、言語を超えた検索、個人のための検索、今この瞬間の検索だ。グーグルはテクノロジーを理解し駆使することで、こうした技術をようやく可能にしつつある」。
次の夢は何か。それは「検索しない検索」だという。「検索エンジンが、私が何をすべきかを教えてくれる。『カレンダーに予定が書いてあるが、道路で事故が起きているから会議の予定を組み直した方がいい』。これを検索エンジンが教えてくれるようになる。今はSFだと思うかもしれない。しかし近い将来、必ず可能になる」。
最後にアジア太平洋地域で検索関連製品のプロダクト マネージメント ディレクターを務めるアダム・スミス氏が、同地域における検索の課題とそれに対する取り組みを述べた。
最も大きい課題は、やはり言語の壁である。「アジア太平洋地域の人々の母国語の情報を、Web上にどうやって増やして検索可能にするかは、重要な課題だ。例えば世界人口の8%がアラビア語を話すが、Web上のアラビア語コンテンツは1%にすぎない」。
グーグルは文字の翻訳や音声認識といった基礎的な技術を組み合わせて、様々な製品やサービスに組み込んでいる。一例が動画共有サービス「YouTube」の字幕機能だ。字幕付き動画については、翻訳機能を使って他の言語へ自動翻訳できる。
さらに、字幕が付いてない動画についても字幕をつけられるようにした。英語の音声を認識して文字に変換して字幕をつける。それを翻訳して、中国語の字幕として表示する、といった具合である。
このほか、オーストラリアのチームが取り組んでいる紙媒体のデジタル化プロジェクト、インド・バンガロールのチームが作った、利用者による地図作製機能「マップメーカー」、地図上の地名を利用者の母国語で表示する日本生まれの機能などを紹介。「ローカルのチームとグローバルのチームが連携して、言語や地域特有の問題を解決しようとしている」。
菅首相で「日本は買い」 米著名エコノミスト、消費税上げを評価
「BRICs」の生みの親として知られる米ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ジム・オニール(53)氏が8日、都内で投資家向け講演会を開いた。オニール氏は、菅直人内閣について、「消費税の引き上げや法人税の引き下げなどが実現すれば、世界の関心を集める」と述べ、税制の抜本改革に積極的な姿勢を評価し、日本買いを“推奨”した。
また、最近のユーロ安について「過大評価されていたものが、公正価値に戻っただけ」との見方を示した。
オニール氏は、危機の震源地であるギリシャについて、「(世界経済に)大きな影響を与えることはない」と楽観的な見方を示した。
また、ハンガリーにも財政粉飾の疑いが浮上し、危機が飛び火したことに、「予測不能な事態が起きると、(リーマンショックの)08年を思い出して神経質になりがちになる」とし、市場の過度の反応を戒めた。
ただ欧州の金融機関が多くの中東欧の債権を保有していることから、「これから慎重に見守っていかなければならない」と、先行きに警戒感も示した。
新興国経済については、中国を「米国の個人消費を抜く勢いで、今後10年で最も注目すべき国」と指摘。さらに、バングラデシュを「まだ貧しいが安定している」として、注目国に挙げた。
資産バブルの可能性指摘…IMF副専務理事
【シンガポール=実森出】国際通貨基金(IMF)の篠原尚之副専務理事は9日、シンガポールで講演し、欧州の債務危機がアジア経済に与える影響について、「アジアとユーロ圏の金融面でのつながりは限定的だが、アジア地域の明るい経済見通しが、これまで以上の資本を引きつける可能性がある」とし、アジア経済が資産バブルに陥ることに警戒感を示した。
篠原氏は「アジア経済が成長するにつれ、域内の経済政策が世界経済全体に重大な影響を与えることになる。政策責任者は大局的な視野を持ち、変化に迅速に対応する用意をしておくことが重要だ」と求めた。
移民向け新送金サービス開始…FRB
【ワシントン=岡田章裕】米連邦準備制度理事会(FRB)は8日、米国の銀行向けに新しい送金サービスの提供を始めたと発表した。
提携先には、旧東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)出身の枋迫篤昌(とちさこあつまさ)氏が2003年にワシントンで設立した「マイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーション(MFIC)」なども含まれる。
新送金サービスは、主に、中南米諸国から米国への移民による利用を期待している。受取人の家族が本国で銀行口座を持たなくても比較的、低い手数料で米国の銀行から送金出来る仕組み。メキシコやブラジルなど中南米11か国を対象にする。
これまでは高い手数料がかかる送金業者を利用せざるを得なかった。米国からの海外送金は年間約1100億ドル(約10兆円)規模とも推定されている。
W杯南アフリカの光と影 犯罪の背後に世界最悪の「経済格差」
アフリカ大陸で初めて行われるサッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会が11日、開幕する。アパルトヘイト(人種隔離)が撤廃され、1994年に選ばれた黒人初のマンデラ大統領が、「国民和解」を唱えて16年。人種差別の解消は進んだものの、社会格差は解消できず、強盗やレイプが増えて、外国人労働者排斥事件も多発する。W杯を機に「虹の国」は輝きを取り戻せるだろうか。
95年6月24日、南アで行われた同国対ニュージーランドのラグビーW杯決勝戦に出場した唯一の黒人選手チェスター・ウィリアムズ氏(39)はかつて、本紙にその感激をこう語った。
「試合の準備中、人種に関係なく6万5千人の大観衆が総立ちになり新しい国歌を歌った。感動的な光景で、私も大声で歌った」
アパルトヘイトを撤廃した南アにとり、W杯は国際社会への復帰をアピールする絶好機で、南ア代表は見事に初出場、初優勝を果たした。マンデラ大統領にとり、「国民和解」を演出する最高の舞台となった。
その15年後の今年、今度はサッカーW杯である。
観戦のため訪れる旅行者数の予測は、金融危機の後遺症で45万人から30万人に下方修正されたとはいえ、「W杯はかつてないほど国民を団結させている」とズマ現大統領は力説する。
94年以降、南ア経済は毎年2~5%の成長を遂げて国内総生産(GDP)の規模は4・5倍に拡大。旅行者数も年間390万人から950万人に膨らんだ。
サッカーW杯で南アの発展とアフリカ大陸の可能性を世界に印象付けようとの狙いが、主催者の国際サッカー連盟(FIFA)にも開催国の南アにもある。
ヨハネスブルクを拠点に活動する英人ジャーナリスト、フレッド・ブリッジランド氏はしかし、「問題は犯罪率の高さ。殺人発生率はコロンビアに次ぎ世界2番目。主要都市住民は電気さくに囲まれて暮らす。正常な社会ではない。自動車や携帯電話を盗むため日常的に殺人が行われている」と、声をひそめて語る。
殺人こそ94年の年間2万6千件から1万8千件(昨年)に減ったものの、レイプは4万4千件から7万件(同)に激増。強盗も11万7千件から18万件(同)に増えた。中でも気になるのは異端者や外国人労働者を狙った「嫌悪犯罪」だ。
2008年には、同性愛を公表していた女子サッカー代表選手、ユーディ・シメラニーさんが、“性の矯正”を理由にレイプされ、拷問を受け、顔や胸、足を25回も刺されて殺された。この事件で2人に有罪が言い渡され、2人は無罪判決を受けた。同性愛への嫌悪犯罪は今も、続発する。
外国人労働者に対するそれは、ムガベ政権の圧政を逃れて南アに300万人も流入した隣国ジンバブエの人たちを、黒人貧困層が仕事を奪われるのを恐れて次々と襲撃するケースが少なくない。警備が強化されるW杯期間中はおとなしくして閉幕後に襲撃を再開すると予告する集団もある。
W杯で人権問題に光
嫌悪犯罪や一般犯罪の多発の背景に、マンデラ氏が唱えた「国民和解」の理想では解消できない社会格差の現実が横たわる。南アの経済格差は世界最悪との研究も昨年、発表された。
失業率24%超。貧困家庭に生まれた子供たちは十分な教育を受けられず、青年になっても雇用機会に恵まれない。生活の糧を得ようにも、強盗しか手段が見当たらないのが、実情だ。
だが、他のアフリカ諸国の状況はもっと深刻だ。
サッカーの英スコットランド・プレミアリーグでプレーするコートジボワール代表のスレイマン・バンバ選手は英メディアで、「銃とサッカーは両立しない。暴力が繰り返されないよう力を合わせるべきだ」と呼びかける。サッカーが子供に夢と希望を与えればとの期待が、そこにはある。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのコルドーネ暫定事務総長は本紙の取材に、「W杯を、南アで人権問題に取り組む人たちに光を当てる機会にしたい」と話している。
LG、日本のテレビ市場に本格参入へ 3D含む最新型
電機大手の韓国・LG電子は9日、来年までに日本国内のテレビ市場に本格参入する方針を明らかにした。3D(3次元)テレビを含めた幅広い商品の販売を検討している。国内は日本メーカーがほぼ独占しているが、世界第3位メーカーの参入で、国内勢の脅威となる可能性もある。
主に30型前後から50型以上の大型機種までの投入を検討。3Dテレビや、画面を照らす部品にLED(発光ダイオード)を使った最新の液晶テレビも販売する。LG関係者によると、今年の年末商戦での発売も視野に入れている。価格は国内メーカーと同程度を想定している模様だ。
菅内閣支持64%、「脱小沢」評価…読売調査
読売新聞社は、菅内閣が発足した8日夜から9日にかけて、緊急全国世論調査(電話方式)を実施した。
新内閣の支持率は64%で、発足直後の調査(1978年の大平内閣以降)としては5番目の高さとなった。不支持率は25%だった。夏の参院比例選で民主党や同党の候補者に投票すると答えた人は36%で、鳩山前首相の退陣表明を受けた前回調査(2~3日実施)から11ポイント上がり、自民党の13%(前回18%)を引き離した。参院選の結果、民主が参院でも過半数の議席を獲得する方がよいと思う人は49%で、同じ質問をした3月調査以降で初めて、「そうは思わない」40%を上回った。
民主は政党支持率も39%(同29%)に伸ばした。内閣支持率が19%まで落ち込んだ鳩山前内閣から菅内閣への「刷新効果」が鮮明になった。自民は過去最低の5月調査に並ぶ14%(同18%)に後退した。
菅首相(民主党代表)が、内閣と民主党役員の人事で、同党の小沢一郎前幹事長とは距離を置く議員を要職に起用したことを「評価する」との答えは76%に上り、民主支持層では81%に達した。首相が「脱小沢」の姿勢を示したことが、内閣や民主党への支持を回復させたと言えそうだ。内閣を支持する理由をみると、「非自民の政権だから」21%に続き、「閣僚の顔ぶれがよい」18%が2番目に多かった。
閣僚人事について具体的に聞くと、蓮舫行政刷新相の起用を「評価する」は71%だった。仙谷官房長官の起用は「評価する」55%、「評価しない」19%となった。また、民主党の枝野幹事長の就任は「評価する」64%が「評価しない」15%を大きく上回った。
ただ、小沢前幹事長が民主党内で引き続き強い影響力を持つと思う人は72%に上った。小沢前幹事長が、自らの資金管理団体をめぐる「政治とカネ」の問題について、国会で説明すべきだと思う人は83%を占めた。「小沢問題」への対応が、菅内閣と民主党に対する今後の評価を左右することになりそうだ。
菅首相が財政再建に積極的な姿勢を示していることを「評価する」との答えは71%だった。
参院選で投票先を決める時に最も重視する政策や争点は、「景気や雇用」33%、「年金など社会保障」27%、「消費税など税制改革」13%――などの順に多かった。
【産経主張】国会会期問題 臭いものにフタするのか
菅直人首相は、今国会でやるべきことは何かを考えてもらいたい。
首相は11日に所信表明演説を行ったあと、週明けに衆参両院で各1日行われる代表質問で初の国会論戦に臨む。会期は16日までだ。
参院民主党は各種世論調査で新内閣や民主党への支持率が急伸したことから、7月11日と想定している参院選の日程を遅らせるべきではないと、会期の延長に強く反対している。
一方、連立相手である国民新党の亀井静香代表(郵政改革・金融相)は郵政法案の今国会成立を強く迫っている。そのためには延長が必要だ。
首相は慎重なようだが、決断すべきは延長である。政権が取り組む内政外交の課題について、衆参両院で予算委員会を開き、具体的に語る必要がある。本会議での代表質問では一問一答形式の質疑が行われないからだ。
さらに問題なのは、民主党政権が自浄能力を示そうとしないことだ。小沢一郎前幹事長の証人喚問について、枝野幸男幹事長は「法的責任の問題には防御権がある」などと消極的な姿勢だ。首相も小沢氏の幹事長辞任により、政治的責任には「一定のけじめ」がついたとしている。
これでは政治的かつ道義的責任は問わないと言っているようなものだ。クリーン政党という以上、証人喚問を実現すべきだ。
首相の側近といえる荒井聡国家戦略担当相が、東京都内の知人宅を後援会の事務所として届け出て、事務所費を架空計上していた疑惑も浮上した。
本人が十分な説明も行わないうちに、政府・与党は「問題ない」との判断を示した。これでは、臭いものにフタをして開き直った鳩山由紀夫政権と同じではないか。国民の信を失いかねない対応と言わざるを得ない。
すでに新内閣では子ども手当の満額支給断念など、マニフェストの変更にあたる新方針も浮上している。財政健全化目標の策定への考え方も問われねばならない。
郵政法案は民営化に逆行する内容で、衆院では約6時間しか審議が行われなかった。延長した会期内で審議を重ねた上で、廃案とするしかあるまい。
新内閣の勢いがあるうちに、国会を閉じ、選挙に突入したいという判断は、党利党略そのものだと指摘しておきたい。
社債、リーマン直後の水準 株式の新規発行額半減
欧州財政不安を受けて世界の企業の資金調達の中止や延期が相次いでいる。5月の世界の社債発行額は約680億ドル(約6兆2400億円)とリーマン・ショック直後の水準まで落ち込んだ。日本でも鹿島などが社債発行を延期した。世界の株式の新規発行も5月は前月比で半減した。今後も資金調達の減速が続けば、企業の設備投資や買収といった成長戦略に影を落としかねない。
米調査会社ディール・ロジックによると、5月の世界の社債発行額は前月比38%減。特に深刻なのが欧州だ。約70億ドルと前月の4分の1に急減し、2年9カ月ぶりの低水準となった。欧州市場では社債の利回りが上昇している。モルガン・スタンレーMUFG証券によると、国債に対するシングルA格社債の上乗せ金利は2%近い水準まで上昇。投資家が欧州企業の信用力に不安を感じ購入を手控えている。カネ余りは依然として続いているものの、企業に成長資金が回らない状況だ。
■鹿島など見送り
日本の5月の社債発行額は前月比14%減と欧米に比べ落ち込みは小さい。ただ鹿島やオリックス、阪和興業などが当面の社債発行を見送った。5月下旬に最大100億円の社債を起債する方針だった鹿島は投資家の求める金利水準が想定より高くなったため、発行を延期。200億円の社債発行を予定していたオリックスも延期を決めた。
株式発行による資金調達も延期が相次いでいる。5月の発行額は欧州が前月比79%減、米国が47%減だった。欧州では、英旅行会社トラベルポート、英娯楽施設運営のマーリン・エンターテインメンツなどが市場環境の悪化などを理由に今春予定していた新規上場を延期した。「相場の低迷で、買収ファンドなどが予定していた投資先の上場による投資回収を見送っている」(英投資銀行)
米国でも映画館大手のリーガルエンターテインメントグループが傘下企業による約2億5000万ドルの株式売り出しを延期すると発表。ディール・ロジックによると、5月の世界のIPO(新規株式公開)中止・延期件数は23件で、08年12月以来の高水準となっている。
■景気押し下げも
金融市場で資金調達が難しくなれば、企業は新たな設備投資やM&A(合併・買収)がしにくくなる。「企業の資金調達が滞れば、設備投資の減少につながり、景気の押し下げ要因となる。欧州はバブル崩壊後の日本の景気悪化局面と似てきた」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の水野和夫チーフエコノミスト)との指摘がある。
ただ日本企業の手元資金は3月末で約63兆円と比較できる00年3月期以降で最高水準にあり投資余力が高まっている。日本の資金調達環境は欧州ほど悪化しておらず、M&Aや大型の設備投資で日本企業が相対的に優位に立てる可能性もある。
「5年後、言葉の壁は消える」、グーグルが検索技術への取り組み
米グーグルは2010年6月8日、「検索の科学」と題したイベントを都内で開催した。エンジニアリングリサーチ担当の上級副社長アラン・ユースタス氏をはじめ、検索の技術研究や製品開発を担当するエンジニアが登壇。現在までの検索技術の進化と、今後のビジョンを語った。
「かつて、Web検索で得た情報の中身は、古いのが当たり前だった。今では1分前に更新された情報ですら、検索できるようになった」。ユースタス上級副社長は、Web検索技術の進化の一端を、こう説明する。
リアルタイム検索に加えて、グーグルがここ数年かけて取り組んできたテーマが、個人ごとに最適な検索を可能にする「パーソナライズド検索」、音声による検索や動画検索などだ。「検索は本来、とてもパーソナルなものだ。同じ『膝』という単語でも、医者の場合と患者の女性の場合とでは、求める結果の種類もレベルも違う。医者などに向けて学術論文検索を提供しているのは、異なるレベルの情報を、最適な形で提供する取り組みの一つだ」(ユースタス上級副社長)。
検索技術の開発を進めるにつれて、同社のコンピュータ基盤は「クラウド=雲」と呼ばれるほど急激に拡大。そして「何千台ものマシンを一度に動作させることで、統計的に翻訳機ができるのではないかというアイデアにたどり着いた」。
文字の翻訳や音声認識といったコンピュータサイエンスの長年のテーマに、同社はクラウドを応用した。「もちろん、まだ人間のレベルには至っていない。しかし重要なことは、翻訳や音声認識の精度が、毎年大きく上がっていることだ。まもなく、携帯電話を挟んで、私とみなさんがそれぞれの母国語を使って話し合えるようになる。この5年間で、その世界が具現化していくだろう」。
続いて検索技術担当フェローのアミット・シングハル氏が登壇した。「学生のころに抱いていた夢は、テキストを超えた検索、言語を超えた検索、個人のための検索、今この瞬間の検索だ。グーグルはテクノロジーを理解し駆使することで、こうした技術をようやく可能にしつつある」。
次の夢は何か。それは「検索しない検索」だという。「検索エンジンが、私が何をすべきかを教えてくれる。『カレンダーに予定が書いてあるが、道路で事故が起きているから会議の予定を組み直した方がいい』。これを検索エンジンが教えてくれるようになる。今はSFだと思うかもしれない。しかし近い将来、必ず可能になる」。
最後にアジア太平洋地域で検索関連製品のプロダクト マネージメント ディレクターを務めるアダム・スミス氏が、同地域における検索の課題とそれに対する取り組みを述べた。
最も大きい課題は、やはり言語の壁である。「アジア太平洋地域の人々の母国語の情報を、Web上にどうやって増やして検索可能にするかは、重要な課題だ。例えば世界人口の8%がアラビア語を話すが、Web上のアラビア語コンテンツは1%にすぎない」。
グーグルは文字の翻訳や音声認識といった基礎的な技術を組み合わせて、様々な製品やサービスに組み込んでいる。一例が動画共有サービス「YouTube」の字幕機能だ。字幕付き動画については、翻訳機能を使って他の言語へ自動翻訳できる。
さらに、字幕が付いてない動画についても字幕をつけられるようにした。英語の音声を認識して文字に変換して字幕をつける。それを翻訳して、中国語の字幕として表示する、といった具合である。
このほか、オーストラリアのチームが取り組んでいる紙媒体のデジタル化プロジェクト、インド・バンガロールのチームが作った、利用者による地図作製機能「マップメーカー」、地図上の地名を利用者の母国語で表示する日本生まれの機能などを紹介。「ローカルのチームとグローバルのチームが連携して、言語や地域特有の問題を解決しようとしている」。
菅首相で「日本は買い」 米著名エコノミスト、消費税上げを評価
「BRICs」の生みの親として知られる米ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ジム・オニール(53)氏が8日、都内で投資家向け講演会を開いた。オニール氏は、菅直人内閣について、「消費税の引き上げや法人税の引き下げなどが実現すれば、世界の関心を集める」と述べ、税制の抜本改革に積極的な姿勢を評価し、日本買いを“推奨”した。
また、最近のユーロ安について「過大評価されていたものが、公正価値に戻っただけ」との見方を示した。
オニール氏は、危機の震源地であるギリシャについて、「(世界経済に)大きな影響を与えることはない」と楽観的な見方を示した。
また、ハンガリーにも財政粉飾の疑いが浮上し、危機が飛び火したことに、「予測不能な事態が起きると、(リーマンショックの)08年を思い出して神経質になりがちになる」とし、市場の過度の反応を戒めた。
ただ欧州の金融機関が多くの中東欧の債権を保有していることから、「これから慎重に見守っていかなければならない」と、先行きに警戒感も示した。
新興国経済については、中国を「米国の個人消費を抜く勢いで、今後10年で最も注目すべき国」と指摘。さらに、バングラデシュを「まだ貧しいが安定している」として、注目国に挙げた。
資産バブルの可能性指摘…IMF副専務理事
【シンガポール=実森出】国際通貨基金(IMF)の篠原尚之副専務理事は9日、シンガポールで講演し、欧州の債務危機がアジア経済に与える影響について、「アジアとユーロ圏の金融面でのつながりは限定的だが、アジア地域の明るい経済見通しが、これまで以上の資本を引きつける可能性がある」とし、アジア経済が資産バブルに陥ることに警戒感を示した。
篠原氏は「アジア経済が成長するにつれ、域内の経済政策が世界経済全体に重大な影響を与えることになる。政策責任者は大局的な視野を持ち、変化に迅速に対応する用意をしておくことが重要だ」と求めた。
移民向け新送金サービス開始…FRB
【ワシントン=岡田章裕】米連邦準備制度理事会(FRB)は8日、米国の銀行向けに新しい送金サービスの提供を始めたと発表した。
提携先には、旧東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)出身の枋迫篤昌(とちさこあつまさ)氏が2003年にワシントンで設立した「マイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーション(MFIC)」なども含まれる。
新送金サービスは、主に、中南米諸国から米国への移民による利用を期待している。受取人の家族が本国で銀行口座を持たなくても比較的、低い手数料で米国の銀行から送金出来る仕組み。メキシコやブラジルなど中南米11か国を対象にする。
これまでは高い手数料がかかる送金業者を利用せざるを得なかった。米国からの海外送金は年間約1100億ドル(約10兆円)規模とも推定されている。
W杯南アフリカの光と影 犯罪の背後に世界最悪の「経済格差」
アフリカ大陸で初めて行われるサッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会が11日、開幕する。アパルトヘイト(人種隔離)が撤廃され、1994年に選ばれた黒人初のマンデラ大統領が、「国民和解」を唱えて16年。人種差別の解消は進んだものの、社会格差は解消できず、強盗やレイプが増えて、外国人労働者排斥事件も多発する。W杯を機に「虹の国」は輝きを取り戻せるだろうか。
95年6月24日、南アで行われた同国対ニュージーランドのラグビーW杯決勝戦に出場した唯一の黒人選手チェスター・ウィリアムズ氏(39)はかつて、本紙にその感激をこう語った。
「試合の準備中、人種に関係なく6万5千人の大観衆が総立ちになり新しい国歌を歌った。感動的な光景で、私も大声で歌った」
アパルトヘイトを撤廃した南アにとり、W杯は国際社会への復帰をアピールする絶好機で、南ア代表は見事に初出場、初優勝を果たした。マンデラ大統領にとり、「国民和解」を演出する最高の舞台となった。
その15年後の今年、今度はサッカーW杯である。
観戦のため訪れる旅行者数の予測は、金融危機の後遺症で45万人から30万人に下方修正されたとはいえ、「W杯はかつてないほど国民を団結させている」とズマ現大統領は力説する。
94年以降、南ア経済は毎年2~5%の成長を遂げて国内総生産(GDP)の規模は4・5倍に拡大。旅行者数も年間390万人から950万人に膨らんだ。
サッカーW杯で南アの発展とアフリカ大陸の可能性を世界に印象付けようとの狙いが、主催者の国際サッカー連盟(FIFA)にも開催国の南アにもある。
ヨハネスブルクを拠点に活動する英人ジャーナリスト、フレッド・ブリッジランド氏はしかし、「問題は犯罪率の高さ。殺人発生率はコロンビアに次ぎ世界2番目。主要都市住民は電気さくに囲まれて暮らす。正常な社会ではない。自動車や携帯電話を盗むため日常的に殺人が行われている」と、声をひそめて語る。
殺人こそ94年の年間2万6千件から1万8千件(昨年)に減ったものの、レイプは4万4千件から7万件(同)に激増。強盗も11万7千件から18万件(同)に増えた。中でも気になるのは異端者や外国人労働者を狙った「嫌悪犯罪」だ。
2008年には、同性愛を公表していた女子サッカー代表選手、ユーディ・シメラニーさんが、“性の矯正”を理由にレイプされ、拷問を受け、顔や胸、足を25回も刺されて殺された。この事件で2人に有罪が言い渡され、2人は無罪判決を受けた。同性愛への嫌悪犯罪は今も、続発する。
外国人労働者に対するそれは、ムガベ政権の圧政を逃れて南アに300万人も流入した隣国ジンバブエの人たちを、黒人貧困層が仕事を奪われるのを恐れて次々と襲撃するケースが少なくない。警備が強化されるW杯期間中はおとなしくして閉幕後に襲撃を再開すると予告する集団もある。
W杯で人権問題に光
嫌悪犯罪や一般犯罪の多発の背景に、マンデラ氏が唱えた「国民和解」の理想では解消できない社会格差の現実が横たわる。南アの経済格差は世界最悪との研究も昨年、発表された。
失業率24%超。貧困家庭に生まれた子供たちは十分な教育を受けられず、青年になっても雇用機会に恵まれない。生活の糧を得ようにも、強盗しか手段が見当たらないのが、実情だ。
だが、他のアフリカ諸国の状況はもっと深刻だ。
サッカーの英スコットランド・プレミアリーグでプレーするコートジボワール代表のスレイマン・バンバ選手は英メディアで、「銃とサッカーは両立しない。暴力が繰り返されないよう力を合わせるべきだ」と呼びかける。サッカーが子供に夢と希望を与えればとの期待が、そこにはある。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのコルドーネ暫定事務総長は本紙の取材に、「W杯を、南アで人権問題に取り組む人たちに光を当てる機会にしたい」と話している。
LG、日本のテレビ市場に本格参入へ 3D含む最新型
電機大手の韓国・LG電子は9日、来年までに日本国内のテレビ市場に本格参入する方針を明らかにした。3D(3次元)テレビを含めた幅広い商品の販売を検討している。国内は日本メーカーがほぼ独占しているが、世界第3位メーカーの参入で、国内勢の脅威となる可能性もある。
主に30型前後から50型以上の大型機種までの投入を検討。3Dテレビや、画面を照らす部品にLED(発光ダイオード)を使った最新の液晶テレビも販売する。LG関係者によると、今年の年末商戦での発売も視野に入れている。価格は国内メーカーと同程度を想定している模様だ。
菅内閣支持64%、「脱小沢」評価…読売調査
読売新聞社は、菅内閣が発足した8日夜から9日にかけて、緊急全国世論調査(電話方式)を実施した。
新内閣の支持率は64%で、発足直後の調査(1978年の大平内閣以降)としては5番目の高さとなった。不支持率は25%だった。夏の参院比例選で民主党や同党の候補者に投票すると答えた人は36%で、鳩山前首相の退陣表明を受けた前回調査(2~3日実施)から11ポイント上がり、自民党の13%(前回18%)を引き離した。参院選の結果、民主が参院でも過半数の議席を獲得する方がよいと思う人は49%で、同じ質問をした3月調査以降で初めて、「そうは思わない」40%を上回った。
民主は政党支持率も39%(同29%)に伸ばした。内閣支持率が19%まで落ち込んだ鳩山前内閣から菅内閣への「刷新効果」が鮮明になった。自民は過去最低の5月調査に並ぶ14%(同18%)に後退した。
菅首相(民主党代表)が、内閣と民主党役員の人事で、同党の小沢一郎前幹事長とは距離を置く議員を要職に起用したことを「評価する」との答えは76%に上り、民主支持層では81%に達した。首相が「脱小沢」の姿勢を示したことが、内閣や民主党への支持を回復させたと言えそうだ。内閣を支持する理由をみると、「非自民の政権だから」21%に続き、「閣僚の顔ぶれがよい」18%が2番目に多かった。
閣僚人事について具体的に聞くと、蓮舫行政刷新相の起用を「評価する」は71%だった。仙谷官房長官の起用は「評価する」55%、「評価しない」19%となった。また、民主党の枝野幹事長の就任は「評価する」64%が「評価しない」15%を大きく上回った。
ただ、小沢前幹事長が民主党内で引き続き強い影響力を持つと思う人は72%に上った。小沢前幹事長が、自らの資金管理団体をめぐる「政治とカネ」の問題について、国会で説明すべきだと思う人は83%を占めた。「小沢問題」への対応が、菅内閣と民主党に対する今後の評価を左右することになりそうだ。
菅首相が財政再建に積極的な姿勢を示していることを「評価する」との答えは71%だった。
参院選で投票先を決める時に最も重視する政策や争点は、「景気や雇用」33%、「年金など社会保障」27%、「消費税など税制改革」13%――などの順に多かった。
【産経主張】国会会期問題 臭いものにフタするのか
菅直人首相は、今国会でやるべきことは何かを考えてもらいたい。
首相は11日に所信表明演説を行ったあと、週明けに衆参両院で各1日行われる代表質問で初の国会論戦に臨む。会期は16日までだ。
参院民主党は各種世論調査で新内閣や民主党への支持率が急伸したことから、7月11日と想定している参院選の日程を遅らせるべきではないと、会期の延長に強く反対している。
一方、連立相手である国民新党の亀井静香代表(郵政改革・金融相)は郵政法案の今国会成立を強く迫っている。そのためには延長が必要だ。
首相は慎重なようだが、決断すべきは延長である。政権が取り組む内政外交の課題について、衆参両院で予算委員会を開き、具体的に語る必要がある。本会議での代表質問では一問一答形式の質疑が行われないからだ。
さらに問題なのは、民主党政権が自浄能力を示そうとしないことだ。小沢一郎前幹事長の証人喚問について、枝野幸男幹事長は「法的責任の問題には防御権がある」などと消極的な姿勢だ。首相も小沢氏の幹事長辞任により、政治的責任には「一定のけじめ」がついたとしている。
これでは政治的かつ道義的責任は問わないと言っているようなものだ。クリーン政党という以上、証人喚問を実現すべきだ。
首相の側近といえる荒井聡国家戦略担当相が、東京都内の知人宅を後援会の事務所として届け出て、事務所費を架空計上していた疑惑も浮上した。
本人が十分な説明も行わないうちに、政府・与党は「問題ない」との判断を示した。これでは、臭いものにフタをして開き直った鳩山由紀夫政権と同じではないか。国民の信を失いかねない対応と言わざるを得ない。
すでに新内閣では子ども手当の満額支給断念など、マニフェストの変更にあたる新方針も浮上している。財政健全化目標の策定への考え方も問われねばならない。
郵政法案は民営化に逆行する内容で、衆院では約6時間しか審議が行われなかった。延長した会期内で審議を重ねた上で、廃案とするしかあるまい。
新内閣の勢いがあるうちに、国会を閉じ、選挙に突入したいという判断は、党利党略そのものだと指摘しておきたい。