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ツイッター、日本で黒字に 広告収入の大幅増見込む
ミニブログ「ツイッター」の日本での事業が2011年6月期に黒字転換しそうだ。日本語での利用が可能になった08年4月から2年あまりで1000万人近い利用者を確保し、本家・米国に次ぐ規模に成長。広告収入の大幅な増加を見込む。
ツイッターは06年に米国でサービスを開始。日本ではデジタルガレージが米ツイッターと資本業務提携して手掛けている。デジタルガレージの11年6月期のツイッター関連事業の売上高は前期の2倍強の17億円、営業損益は4億円の黒字(前期は1億円の赤字)となる見通しだ。
昨年12月にパソコン画面に表示するバナー広告の配信を始め、6月には広告の掲示回数が月7億回弱に拡大。8月末には携帯端末向けの広告配信も始めた。ツイッターをマーケティングに使う企業からのコンサルティング収入の増加も見込まれるという。
動画配信サービス強化 ヤフー、NHK番組を有料で
グーグル、大リーグの試合
ヤフーと米グーグルが動画配信サービスを拡充する。ヤフーは子会社GyaO(東京・港)を通じてNHKとテレビ東京の番組の有料配信を始め、高機能携帯電話向けの動画サービスにも参入する。グーグルはユーチューブ経由で米大リーグ(MLB)の全試合を日本向けに無料配信する。ネット利用者に人気が高い動画サービスを強化し収益拡大につなげる。
ユーチューブが日本向けに展開するMLBの動画配信サービス
GyaOは9月上旬、NHK子会社のNHKエンタープライズとテレビ東京の番組の配信を始める。NHKで放送されたドラマや、テレビ東京のアニメなどを1番組あたり数百円で配信して収益を分け合う。
GyaOにはテレビ東京を除く民放キー局4社がコンテンツを提供しており、今回の連携でNHKと全民放キー局のコンテンツを配信する体制を整える。
11月には米アップルの高機能携帯電話「iPhone」と多機能携帯端末「iPad」にも配信サービスを対応させ、各端末から動画を見られるようにする。当初は広告を収益源とする無料サービスで、将来は有料配信にも乗り出す。
グーグル傘下のユーチューブは30日、MLBのネット事業を統括するMLBアドバンスト・メディア社と協力し、動画共有サイト内に専用チャンネルを設けたと発表した。
試合終了後36時間以内に大リーグの全試合を無料でネット配信し、日本人選手のハイライトシーンや試合の速報も流す。試合を丸ごと配信するサービスは日本だけで提供する。動画配信画面にネット広告を掲載し、広告収入をMLBアドバンスト・メディア社と分け合う。
他のサイトでは見ることのできないコンテンツを充実させ、サイト利用者と広告収入の拡大を狙う。
かさむコスト、収益源へ育成急ぐ 有料番組購入どう促す
米ユーチューブのヒットを背景に世界のインターネット大手は一斉に動画配信サービスに参入した。違法動画対策やインフラコストなどの先行投資がかさみ赤字が続いたが、一部では黒字化するサービスも出始めており、今後は投資回収のフェーズに入りそうだ。
ヤフーは赤字だったGyaOを昨年4月にUSENから買収。コスト削減などを進め今年4~6月期まで2四半期連続で黒字を達成した。ドワンゴ子会社が運営する「ニコニコ動画」も有料会員の増加で黒字が定着しつつある。米グーグルが2006年に買収したユーチューブは赤字が続くが、1週間あたり20億本の動画に広告を掲載し収益力を高めている。
富士キメラ総研によると国内パソコン向け映像配信市場は14年に09年実績比7割増の見通し。国内ネット市場をけん引してきた広告や通販の成熟化が進むなか、動画配信は大きな伸びが期待できる分野でもある。
もっとも黒字になったサービスも金額はまだわずか。収益の柱と呼ぶにはほど遠い。有料番組の購入を促す仕組み作りなどが当面の課題になる。
インテル、携帯向け半導体強化 1190億円で事業買収
独インフィニオンから
【シリコンバレー=奥平和行】半導体最大手の米インテルは29日、同業の独インフィニオン・テクノロジーズから携帯電話用の半導体事業を14億ドル(約1190億円)で買収すると発表した。インテルはパソコンのMPU(超小型演算処理装置)で約8割のシェアを握る最大手だが携帯用では存在感が薄い。米アップルなどの携帯電話での実績があるインフィニオンの事業を取り込み、成長分野の強化を急ぐ。
買収は現金方式で、2011年1~3月をメドに手続きを完了するとしている。インテルのポール・オッテリーニ最高経営責任者(CEO)は声明で「携帯機器向けの半導体需要は世界的に驚異的な勢いで伸びており、今回の買収を通じてパソコンから携帯機器まで幅広く対応していきたい」と狙いを説明した。
インフィニオンは携帯の通話機能を担う「ベースバンドプロセッサー」などが主力。アップルの高機能携帯電話(スマートフォン)「iPhone(アイフォーン)」などに供給し、この分野の09年の世界シェアは14%で3位。ただ競争激化により他事業より利益水準が低く、09年9月期通期の部門営業損益は3600万ユーロ(約39億円)の赤字だった。
インテルは過去10年にわたって企業買収などを通じて携帯用分野への参入を目指してきたが、省電力半導体に強い米クアルコムなどとの競合で苦戦。近年ではアップルの「iPad(アイパッド)」など成長が見込まれる多機能携帯端末にも携帯用の技術が使われることが多く、この分野の強化が不可欠と判断した。
新星堂、携帯電話販売に参入 CD落ち込み補う
音楽CD販売の新星堂は9月、携帯電話の販売に参入する。インターネット経由で音楽ソフトを購入し、携帯電話で楽しむ人が増えていることに対応、CD売り場の一部を転用する。まず都内の店で始め、1年後に約160の全店に広げる。米アップルの「iPhone」など高機能携帯電話を中心に販売し、CD需要の落ち込みを補う収益源に育てる。
東京都杉並区の店舗を改装し、9月1日から携帯電話の販売を始める。携帯販売のテレコムサービス(東京・豊島)と電話機の調達や店舗運営で協力する。
iPhoneの購入者にはCDの最新情報が見られる専用ソフトを用意するほか、店内限定で試し聴き用のデータも提供する。店頭にはネット経由の配信では入手できないCDを集めたコーナーを作り、CD販売もテコ入れする。
来年度予算概算要求96兆円台、過去最大に 歳出削減の難航必至
政府は31日、平成23年度予算の概算要求提出を締め切る。社会保障などを除く各省庁の予算の一律10%削減を求める一方、新設する「元気な日本復活特別枠」で削減幅に応じた要求を認める。特別枠を合わせた一般会計の要求総額は、過去最大だった22年度の約95兆円を上回り、96兆円台に上る見込みだ。
政府は23年度予算について、社会保障の自然増約1・3兆円を認める一方、新規国債発行を22年度並みの約44兆円以下に抑える方針。このため、各省庁に10%の経費削減を求め、削減分の一部を特別枠の原資とする。
国債の償還や利払いに充てる国債費は前年度比16・9%増の24兆1321億円に膨らむ。当の財務省が削減対象予算の9%しかカットできていないなど、要求段階での10%削減を達成していない省庁もあり、歳出抑制は難航しそうだ。
円高対応、コスト削減限界 経済界、早くも追加対策求める声 政府・日銀が30日、追加経済対策の基本方針と追加金融緩和を決めたことに対し、経済界は「非常にいいタイミング」(米倉弘昌日本経団連会長)と一定の評価をしている。ただ、最大の懸案事項である円高を是正する効果は限定的との見方が多い。コスト削減による円高対応は限界に達しており、生産拠点の海外移転がさらに進む懸念は払(ふっ)拭(しょく)されていない。
「30兆円という規模も適切だ。政府の追加経済対策と協調して、円高に歯止めがかかることを期待している」。米倉会長は30日、記者団にこう語り、政府・日銀の対応を歓迎した。
日本自動車工業会の志賀俊之会長(日産自動車最高執行責任者)も「日銀と政府が円高に毅(き)然(ぜん)とした対応を取ることを世界の市場に伝えた点で意味がある」と、評価した。
ただ、経済界には、一時1ドル=83円台まで円高が進行しても、なかなか「毅然とした態度」をとろうとしなかった政府・日銀に対する不満がくすぶる。
小林喜光・三菱ケミカルホールディングス社長が「ようやく重い腰を上げてくれた」と、暗に対応の遅れを批判した。桜井正光経済同友会代表幹事は「緊急措置で景気浮揚効果は限定的だ」と、追加措置の必要性を強調。米倉会長も「場合によっては、もう一段の金融緩和など機動的な対策が必要だ」と指摘した。
電機や自動車などの輸出企業は、今期の為替レートを87~90円に設定している。9月までは、想定レートで為替予約を入れており、足元の業績への影響は限定的とみられる。
しかし、「コスト削減などで耐えうるデッドライン」(アナリスト)といわれる85円を超えるような円高水準が定着すれば、下期以降の業績の悪化は避けられない。
三菱マテリアルでは、対ドルで1円円高になると、経常利益が4億円目減りするといい、「できるだけ早く1ドル=90円以上に戻ってほしい」(同社)と切実な本音をもらす。
ソニーは、円高を受け、欧州向けの薄型テレビの新モデルの価格を据え置き、実質的に値上げした。円高は価格競争力の低下を招き、海外市場でのシェア喪失につながる。大手電機メーカーは「ウォン安で値下げ攻勢をかける韓国メーカーに太刀打ちできない」と訴える。
国内でのコスト削減が限界に達する中、より安くモノを造れる海外に生産拠点を移さざるを得なくなり、日本の産業空洞化が一気に進む懸念は強い。
日本経済は、その瀬戸際にあり、円高是正は待ったなしだ。
アクトビラが第三者増資
テレビ向けのビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスを手がけるアクトビラ(東京都渋谷区)は30日、パナソニックとソネットエンタテインメントを引受先とする第三者割当増資を31日に実施すると発表した。計約14億円を調達し、サーバーの増強や決済方法の多様化などサービス拡充に充てる。
VODはインターネットを使って好きな映像をいつでも見られるサービス。増資後の出資比率は、パナソニックが45.5%、ソネットが42.5%となる。ほかにソニー、シャープ、東芝、日立コンシューマエレクトロニクスが各3.0%を保有している。
エコカー補助金:打ち切り目前、各社が対策
政府のエコカー補助金制度が、9月末の期限前に終了することが現実味を帯びてきた。8月以降に申請が急増し、予算が底をつきそうなためだ。自動車販売店の来店客の中には「補助金がもらえないのなら」と購入に二の足を踏むケースも出ている。こうした客の背中を押そうと、自動車メーカーなどが、補助金相当額や一部を負担する動きが広がりつつある。10月以降の落ち込みを防ぐため、奨励金などで販売店を支える検討も始まった。
「スバルなら最大10万円安心保証」。店頭にこんな看板を掲げた東京スバル三鷹店(東京都三鷹市)は、先週末の28日、家族連れらでにぎわっていた。富士重工業では9月5日までに補助金対象車を買えば、登録段階で補助金が打ち切られていても、最大10万円を支払うキャンペーンを始めた。テレビCMの効果もあり、細谷孝店長は「8月の受注は昨年の1.5倍ぐらいになりそう」と目を細める。ミニバン「エクシーガ」を購入した同武蔵野市の男性会社員(42)は「補助金に間に合わないと思っていたが、CMを見てあわてて来た。10万円もらえるかどうかは大違いだ」と笑顔を見せた。
政府の補助金は燃費など一定の基準を満たした新車に買い替える際、登録から13年以上の車を廃車にした場合25万円、それ以外は10万円が支給される。交付を担当する次世代自動車振興センターによると、7月の1日当たりの申請受理額は20億円弱だったが、同月末に制度を延長しないことが決まってから申請が急増。8月に入ると30億円を超える日もあり、24日と25日はそれぞれ37億円にまで達した。27日現在の補助金残額は約564億円と予算額(約5837億円)の9割を消化。1日当たり40億円前後で推移すると、残り15日程度で底をつく計算で「駆け込み需要の動向によっては予算が期限前になくなる」という。 補助金の打ち切りが目前に迫り、「補助金がもらえないのならと購入を先送りする客も目につきだした」(都内の自動車大手系列販売店)。ホンダ系の販売会社「ホンダカーズ東京」(東京都台東区)でも、9月末までに登録したのに補助金がもらえなかった場合、最大5万円を支払う取り組みを始めた。事実上の値引きは販売会社にとって痛手だが
「補助金終了後の販売急減を考えれば、痛みを伴ってでも売れる時に一台でも多く台数を稼ぎたい」としている。ダイハツ工業やマツダ、三菱自動車でも補助金が受けられなかった場合、一部を負担することを検討している。
補助金が打ち切られた後の販売急減をにらみ、メーカーなどでは販売店救済策を検討し始めた。トヨタ自動車やダイハツは、販売店に対し奨励金を支給する方針。一方、自動車関連産業が集積する愛知県安城市では補助金制度を独自に新設し、10月以降、登録車1台10万円、軽自動車同5万円を支給する。同市では「市民の環境意識向上に加え、市の基幹産業である自動車産業の業績悪化を最小限に食い止めたい」という。
中国閣僚「世界2位の経済大国は確実」
中国国務院新聞弁公室の王晨主任(閣僚級)は30日、都内で記者会見し、中国が年内に国内総生産(GDP)で日本を追い抜き、米国に次ぐ「世界2位の経済大国」になるのは確実だとの見方を示した上で、「1人当たりGDPで中国は日本の10分の1にも及ばない」とし、中国はなお発展途上国との立場を改めて示した。
王主任は、中国の経済発展は「日本には百利あって一害なしだ」と強調。「日本は高級品、中国は廉価品で優位性がある。両国は相互補完性が強い」とし、経済協力拡大を呼びかけた。
王主任は、日中関係などを議論する第6回「東京―北京フォーラム」(言論NPO、チャイナ・デイリー共催、30~31日)参加のため、来日した。
政府・日銀協調 「次の一手」も視野に入れよ(8月31日付・読売社説)
急激な円高に歯止めをかけようと、政府と日銀が、ようやく協調して動き始めた。
日銀が30日、臨時の金融政策決定会合で、量的金融緩和の追加策を決めた。年0・1%の超低利による資金供給を10兆円拡大し、総額30兆円とする。
この日は、菅首相と白川方明日銀総裁が直接会い、経済情勢について協議した。政府も、雇用や消費の促進を柱とした追加経済対策の基本方針をまとめ、首相は「経済対策と金融政策を2本柱に機動的な対応を取る」と強調した。
政府・日銀が、経済政策で足並みをそろえて行動したことを、ひとまず歓迎したい。
とはいえ、追加緩和などの内容自体は想定の域を超えず、物足りなかった。タイミングも遅きに失したと言わざるを得ない。政府・日銀は強い危機感を持って、政策運営にあたるべきだ。
昼過ぎに追加緩和が発表された後も、為替市場で円高傾向が続いた。東京市場の平均株価は、朝から政策期待で9000円台を回復していたが、午後の取引では逆に上昇幅が縮小した。
市場関係者の多くが、日銀の本気度を疑っているのだろう。確かに市場や政府にせっつかれ、政策を小出しにした印象が強い。
先週末、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が講演で、追加緩和の用意があると表明し、先手を打たれた形になったことも、効果をそいだ。
もはや市場の関心は日銀の「次の一手」に向き始めている。対応の遅れを再び投機筋に突かれ、円高を加速させぬよう、長期国債の買い入れ増額など、新たな緩和策も視野に入れるべきだろう。
円高は輸出企業や下請けの部品メーカーなどの利益を減らし、設備投資の意欲を冷え込ませる。
仮に、1ドル=85円という現在の円高水準が定着すると、製造業の4割が、工場や開発拠点を海外に移転する考えだという。産業空洞化が日本経済を弱体化させる事態は、避けねばならない。
政府・日銀は、円売りの市場介入も選択肢に、現在の円高水準を容認しないとの決意を、断固として示すべきである。
政治の動きが、市場に与える影響にも注意したい。先週来、民主党代表選の展開次第でバラマキ政策が増えるとの懸念から、長期金利が急上昇する場面があった。
市場はさまざまな要因で激しく動く。政権与党として、市場の声によく耳を傾けてもらいたい。
ミニブログ「ツイッター」の日本での事業が2011年6月期に黒字転換しそうだ。日本語での利用が可能になった08年4月から2年あまりで1000万人近い利用者を確保し、本家・米国に次ぐ規模に成長。広告収入の大幅な増加を見込む。
ツイッターは06年に米国でサービスを開始。日本ではデジタルガレージが米ツイッターと資本業務提携して手掛けている。デジタルガレージの11年6月期のツイッター関連事業の売上高は前期の2倍強の17億円、営業損益は4億円の黒字(前期は1億円の赤字)となる見通しだ。
昨年12月にパソコン画面に表示するバナー広告の配信を始め、6月には広告の掲示回数が月7億回弱に拡大。8月末には携帯端末向けの広告配信も始めた。ツイッターをマーケティングに使う企業からのコンサルティング収入の増加も見込まれるという。
動画配信サービス強化 ヤフー、NHK番組を有料で
グーグル、大リーグの試合
ヤフーと米グーグルが動画配信サービスを拡充する。ヤフーは子会社GyaO(東京・港)を通じてNHKとテレビ東京の番組の有料配信を始め、高機能携帯電話向けの動画サービスにも参入する。グーグルはユーチューブ経由で米大リーグ(MLB)の全試合を日本向けに無料配信する。ネット利用者に人気が高い動画サービスを強化し収益拡大につなげる。
ユーチューブが日本向けに展開するMLBの動画配信サービス
GyaOは9月上旬、NHK子会社のNHKエンタープライズとテレビ東京の番組の配信を始める。NHKで放送されたドラマや、テレビ東京のアニメなどを1番組あたり数百円で配信して収益を分け合う。
GyaOにはテレビ東京を除く民放キー局4社がコンテンツを提供しており、今回の連携でNHKと全民放キー局のコンテンツを配信する体制を整える。
11月には米アップルの高機能携帯電話「iPhone」と多機能携帯端末「iPad」にも配信サービスを対応させ、各端末から動画を見られるようにする。当初は広告を収益源とする無料サービスで、将来は有料配信にも乗り出す。
グーグル傘下のユーチューブは30日、MLBのネット事業を統括するMLBアドバンスト・メディア社と協力し、動画共有サイト内に専用チャンネルを設けたと発表した。
試合終了後36時間以内に大リーグの全試合を無料でネット配信し、日本人選手のハイライトシーンや試合の速報も流す。試合を丸ごと配信するサービスは日本だけで提供する。動画配信画面にネット広告を掲載し、広告収入をMLBアドバンスト・メディア社と分け合う。
他のサイトでは見ることのできないコンテンツを充実させ、サイト利用者と広告収入の拡大を狙う。
かさむコスト、収益源へ育成急ぐ 有料番組購入どう促す
米ユーチューブのヒットを背景に世界のインターネット大手は一斉に動画配信サービスに参入した。違法動画対策やインフラコストなどの先行投資がかさみ赤字が続いたが、一部では黒字化するサービスも出始めており、今後は投資回収のフェーズに入りそうだ。
ヤフーは赤字だったGyaOを昨年4月にUSENから買収。コスト削減などを進め今年4~6月期まで2四半期連続で黒字を達成した。ドワンゴ子会社が運営する「ニコニコ動画」も有料会員の増加で黒字が定着しつつある。米グーグルが2006年に買収したユーチューブは赤字が続くが、1週間あたり20億本の動画に広告を掲載し収益力を高めている。
富士キメラ総研によると国内パソコン向け映像配信市場は14年に09年実績比7割増の見通し。国内ネット市場をけん引してきた広告や通販の成熟化が進むなか、動画配信は大きな伸びが期待できる分野でもある。
もっとも黒字になったサービスも金額はまだわずか。収益の柱と呼ぶにはほど遠い。有料番組の購入を促す仕組み作りなどが当面の課題になる。
インテル、携帯向け半導体強化 1190億円で事業買収
独インフィニオンから
【シリコンバレー=奥平和行】半導体最大手の米インテルは29日、同業の独インフィニオン・テクノロジーズから携帯電話用の半導体事業を14億ドル(約1190億円)で買収すると発表した。インテルはパソコンのMPU(超小型演算処理装置)で約8割のシェアを握る最大手だが携帯用では存在感が薄い。米アップルなどの携帯電話での実績があるインフィニオンの事業を取り込み、成長分野の強化を急ぐ。
買収は現金方式で、2011年1~3月をメドに手続きを完了するとしている。インテルのポール・オッテリーニ最高経営責任者(CEO)は声明で「携帯機器向けの半導体需要は世界的に驚異的な勢いで伸びており、今回の買収を通じてパソコンから携帯機器まで幅広く対応していきたい」と狙いを説明した。
インフィニオンは携帯の通話機能を担う「ベースバンドプロセッサー」などが主力。アップルの高機能携帯電話(スマートフォン)「iPhone(アイフォーン)」などに供給し、この分野の09年の世界シェアは14%で3位。ただ競争激化により他事業より利益水準が低く、09年9月期通期の部門営業損益は3600万ユーロ(約39億円)の赤字だった。
インテルは過去10年にわたって企業買収などを通じて携帯用分野への参入を目指してきたが、省電力半導体に強い米クアルコムなどとの競合で苦戦。近年ではアップルの「iPad(アイパッド)」など成長が見込まれる多機能携帯端末にも携帯用の技術が使われることが多く、この分野の強化が不可欠と判断した。
新星堂、携帯電話販売に参入 CD落ち込み補う
音楽CD販売の新星堂は9月、携帯電話の販売に参入する。インターネット経由で音楽ソフトを購入し、携帯電話で楽しむ人が増えていることに対応、CD売り場の一部を転用する。まず都内の店で始め、1年後に約160の全店に広げる。米アップルの「iPhone」など高機能携帯電話を中心に販売し、CD需要の落ち込みを補う収益源に育てる。
東京都杉並区の店舗を改装し、9月1日から携帯電話の販売を始める。携帯販売のテレコムサービス(東京・豊島)と電話機の調達や店舗運営で協力する。
iPhoneの購入者にはCDの最新情報が見られる専用ソフトを用意するほか、店内限定で試し聴き用のデータも提供する。店頭にはネット経由の配信では入手できないCDを集めたコーナーを作り、CD販売もテコ入れする。
来年度予算概算要求96兆円台、過去最大に 歳出削減の難航必至
政府は31日、平成23年度予算の概算要求提出を締め切る。社会保障などを除く各省庁の予算の一律10%削減を求める一方、新設する「元気な日本復活特別枠」で削減幅に応じた要求を認める。特別枠を合わせた一般会計の要求総額は、過去最大だった22年度の約95兆円を上回り、96兆円台に上る見込みだ。
政府は23年度予算について、社会保障の自然増約1・3兆円を認める一方、新規国債発行を22年度並みの約44兆円以下に抑える方針。このため、各省庁に10%の経費削減を求め、削減分の一部を特別枠の原資とする。
国債の償還や利払いに充てる国債費は前年度比16・9%増の24兆1321億円に膨らむ。当の財務省が削減対象予算の9%しかカットできていないなど、要求段階での10%削減を達成していない省庁もあり、歳出抑制は難航しそうだ。
円高対応、コスト削減限界 経済界、早くも追加対策求める声 政府・日銀が30日、追加経済対策の基本方針と追加金融緩和を決めたことに対し、経済界は「非常にいいタイミング」(米倉弘昌日本経団連会長)と一定の評価をしている。ただ、最大の懸案事項である円高を是正する効果は限定的との見方が多い。コスト削減による円高対応は限界に達しており、生産拠点の海外移転がさらに進む懸念は払(ふっ)拭(しょく)されていない。
「30兆円という規模も適切だ。政府の追加経済対策と協調して、円高に歯止めがかかることを期待している」。米倉会長は30日、記者団にこう語り、政府・日銀の対応を歓迎した。
日本自動車工業会の志賀俊之会長(日産自動車最高執行責任者)も「日銀と政府が円高に毅(き)然(ぜん)とした対応を取ることを世界の市場に伝えた点で意味がある」と、評価した。
ただ、経済界には、一時1ドル=83円台まで円高が進行しても、なかなか「毅然とした態度」をとろうとしなかった政府・日銀に対する不満がくすぶる。
小林喜光・三菱ケミカルホールディングス社長が「ようやく重い腰を上げてくれた」と、暗に対応の遅れを批判した。桜井正光経済同友会代表幹事は「緊急措置で景気浮揚効果は限定的だ」と、追加措置の必要性を強調。米倉会長も「場合によっては、もう一段の金融緩和など機動的な対策が必要だ」と指摘した。
電機や自動車などの輸出企業は、今期の為替レートを87~90円に設定している。9月までは、想定レートで為替予約を入れており、足元の業績への影響は限定的とみられる。
しかし、「コスト削減などで耐えうるデッドライン」(アナリスト)といわれる85円を超えるような円高水準が定着すれば、下期以降の業績の悪化は避けられない。
三菱マテリアルでは、対ドルで1円円高になると、経常利益が4億円目減りするといい、「できるだけ早く1ドル=90円以上に戻ってほしい」(同社)と切実な本音をもらす。
ソニーは、円高を受け、欧州向けの薄型テレビの新モデルの価格を据え置き、実質的に値上げした。円高は価格競争力の低下を招き、海外市場でのシェア喪失につながる。大手電機メーカーは「ウォン安で値下げ攻勢をかける韓国メーカーに太刀打ちできない」と訴える。
国内でのコスト削減が限界に達する中、より安くモノを造れる海外に生産拠点を移さざるを得なくなり、日本の産業空洞化が一気に進む懸念は強い。
日本経済は、その瀬戸際にあり、円高是正は待ったなしだ。
アクトビラが第三者増資
テレビ向けのビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスを手がけるアクトビラ(東京都渋谷区)は30日、パナソニックとソネットエンタテインメントを引受先とする第三者割当増資を31日に実施すると発表した。計約14億円を調達し、サーバーの増強や決済方法の多様化などサービス拡充に充てる。
VODはインターネットを使って好きな映像をいつでも見られるサービス。増資後の出資比率は、パナソニックが45.5%、ソネットが42.5%となる。ほかにソニー、シャープ、東芝、日立コンシューマエレクトロニクスが各3.0%を保有している。
エコカー補助金:打ち切り目前、各社が対策
政府のエコカー補助金制度が、9月末の期限前に終了することが現実味を帯びてきた。8月以降に申請が急増し、予算が底をつきそうなためだ。自動車販売店の来店客の中には「補助金がもらえないのなら」と購入に二の足を踏むケースも出ている。こうした客の背中を押そうと、自動車メーカーなどが、補助金相当額や一部を負担する動きが広がりつつある。10月以降の落ち込みを防ぐため、奨励金などで販売店を支える検討も始まった。
「スバルなら最大10万円安心保証」。店頭にこんな看板を掲げた東京スバル三鷹店(東京都三鷹市)は、先週末の28日、家族連れらでにぎわっていた。富士重工業では9月5日までに補助金対象車を買えば、登録段階で補助金が打ち切られていても、最大10万円を支払うキャンペーンを始めた。テレビCMの効果もあり、細谷孝店長は「8月の受注は昨年の1.5倍ぐらいになりそう」と目を細める。ミニバン「エクシーガ」を購入した同武蔵野市の男性会社員(42)は「補助金に間に合わないと思っていたが、CMを見てあわてて来た。10万円もらえるかどうかは大違いだ」と笑顔を見せた。
政府の補助金は燃費など一定の基準を満たした新車に買い替える際、登録から13年以上の車を廃車にした場合25万円、それ以外は10万円が支給される。交付を担当する次世代自動車振興センターによると、7月の1日当たりの申請受理額は20億円弱だったが、同月末に制度を延長しないことが決まってから申請が急増。8月に入ると30億円を超える日もあり、24日と25日はそれぞれ37億円にまで達した。27日現在の補助金残額は約564億円と予算額(約5837億円)の9割を消化。1日当たり40億円前後で推移すると、残り15日程度で底をつく計算で「駆け込み需要の動向によっては予算が期限前になくなる」という。 補助金の打ち切りが目前に迫り、「補助金がもらえないのならと購入を先送りする客も目につきだした」(都内の自動車大手系列販売店)。ホンダ系の販売会社「ホンダカーズ東京」(東京都台東区)でも、9月末までに登録したのに補助金がもらえなかった場合、最大5万円を支払う取り組みを始めた。事実上の値引きは販売会社にとって痛手だが
「補助金終了後の販売急減を考えれば、痛みを伴ってでも売れる時に一台でも多く台数を稼ぎたい」としている。ダイハツ工業やマツダ、三菱自動車でも補助金が受けられなかった場合、一部を負担することを検討している。
補助金が打ち切られた後の販売急減をにらみ、メーカーなどでは販売店救済策を検討し始めた。トヨタ自動車やダイハツは、販売店に対し奨励金を支給する方針。一方、自動車関連産業が集積する愛知県安城市では補助金制度を独自に新設し、10月以降、登録車1台10万円、軽自動車同5万円を支給する。同市では「市民の環境意識向上に加え、市の基幹産業である自動車産業の業績悪化を最小限に食い止めたい」という。
中国閣僚「世界2位の経済大国は確実」
中国国務院新聞弁公室の王晨主任(閣僚級)は30日、都内で記者会見し、中国が年内に国内総生産(GDP)で日本を追い抜き、米国に次ぐ「世界2位の経済大国」になるのは確実だとの見方を示した上で、「1人当たりGDPで中国は日本の10分の1にも及ばない」とし、中国はなお発展途上国との立場を改めて示した。
王主任は、中国の経済発展は「日本には百利あって一害なしだ」と強調。「日本は高級品、中国は廉価品で優位性がある。両国は相互補完性が強い」とし、経済協力拡大を呼びかけた。
王主任は、日中関係などを議論する第6回「東京―北京フォーラム」(言論NPO、チャイナ・デイリー共催、30~31日)参加のため、来日した。
政府・日銀協調 「次の一手」も視野に入れよ(8月31日付・読売社説)
急激な円高に歯止めをかけようと、政府と日銀が、ようやく協調して動き始めた。
日銀が30日、臨時の金融政策決定会合で、量的金融緩和の追加策を決めた。年0・1%の超低利による資金供給を10兆円拡大し、総額30兆円とする。
この日は、菅首相と白川方明日銀総裁が直接会い、経済情勢について協議した。政府も、雇用や消費の促進を柱とした追加経済対策の基本方針をまとめ、首相は「経済対策と金融政策を2本柱に機動的な対応を取る」と強調した。
政府・日銀が、経済政策で足並みをそろえて行動したことを、ひとまず歓迎したい。
とはいえ、追加緩和などの内容自体は想定の域を超えず、物足りなかった。タイミングも遅きに失したと言わざるを得ない。政府・日銀は強い危機感を持って、政策運営にあたるべきだ。
昼過ぎに追加緩和が発表された後も、為替市場で円高傾向が続いた。東京市場の平均株価は、朝から政策期待で9000円台を回復していたが、午後の取引では逆に上昇幅が縮小した。
市場関係者の多くが、日銀の本気度を疑っているのだろう。確かに市場や政府にせっつかれ、政策を小出しにした印象が強い。
先週末、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が講演で、追加緩和の用意があると表明し、先手を打たれた形になったことも、効果をそいだ。
もはや市場の関心は日銀の「次の一手」に向き始めている。対応の遅れを再び投機筋に突かれ、円高を加速させぬよう、長期国債の買い入れ増額など、新たな緩和策も視野に入れるべきだろう。
円高は輸出企業や下請けの部品メーカーなどの利益を減らし、設備投資の意欲を冷え込ませる。
仮に、1ドル=85円という現在の円高水準が定着すると、製造業の4割が、工場や開発拠点を海外に移転する考えだという。産業空洞化が日本経済を弱体化させる事態は、避けねばならない。
政府・日銀は、円売りの市場介入も選択肢に、現在の円高水準を容認しないとの決意を、断固として示すべきである。
政治の動きが、市場に与える影響にも注意したい。先週来、民主党代表選の展開次第でバラマキ政策が増えるとの懸念から、長期金利が急上昇する場面があった。
市場はさまざまな要因で激しく動く。政権与党として、市場の声によく耳を傾けてもらいたい。
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「アプリ」関連、個人に人気 携帯・ネット向け成長期待
新興3市場は停滞が続いている。前週は日経ジャスダック平均株価と東証マザーズ指数が年初来安値を更新。売買も低水準が続く。手掛かり材料が少なく、盛り上がりを欠く新興市場で「アプリ」関連銘柄が個人投資家の人気を集めている。
アプリとは、アプリケーションソフトの略称。携帯電話で利用できるゲームやスケジュール管理などで、有料・無料の様々なソフトがある。
アプリ関連銘柄が人気化したのは今月19日。NTTドコモが、iモードが使える従来型の携帯電話で、個人や企業が開発したアプリを取り込めるサービスを今秋から始めるとの報道がきっかけ。NTTドコモが携帯電話で使えるアプリを増やせば、関連銘柄の収益が拡大するとの思惑が株式市場に広がった。
インターネット上で友人と一緒に遊ぶ「ソーシャルアプリ」などを手掛けるアクセルマークは株価が急騰。27日終値は18日終値に比べ2倍近くになった。
音楽配信サービスを展開するエムティーアイも7%上昇。PER(株価収益率)が8倍弱とネット関連銘柄の中では相対的に低いことに加え「従来型携帯電話で蓄積した収益モデルをいかせるとの期待が高まった」(中堅証券)ようだ。
もっとも、アプリ関連銘柄の人気が持続するかどうかは不透明だ。「外部環境に左右されにくく、値動きが軽いため消去法的に買われている」(証券ジャパンの大谷正之調査情報部長)面がある。人気化している銘柄には業績の裏付けが乏しい企業もあり、買い一巡後は利益確定売りに押される可能性もある。
米で中高年の交流サイト利用急増 昔の友人と連絡
米民間調査団体ピュー・リサーチ・センターが27日発表した調査で、米国でフェースブックなどの交流サイトを利用する中高年層が急増していることが分かった。同センターは、定年退職を控えて昔の友人らと連絡を取りたい人や、子供や孫の世代との交流を望む人などが利用を始めているのではないかと分析している。
調査は4月29日から5月30日にかけてインターネット利用者1756人を対象に実施した。50~64歳で交流サイトを利用したことがあると答えた人は47%と昨年4月に比べ1.9倍に増加。65歳以上でも26%と倍増した。簡易ブログ「ツイッター」の利用も50~64歳では5%から11%、65歳以上では3%から5%に増えた。
30~49歳の交流サイト利用は61%、18~29歳では86%に上った。ツイッターの利用者は30~49歳が16%、18~29歳が27%だった。
同センターのマッデン研究員は、中高年層は健康上の不安を抱えていることも多く、関連情報を得るために交流サイトを利用している可能性もあると指摘している。
Google、ソーシャル技術の新興企業Angstroを買収
米Googleが、米Slide、米Jamboolに続けて、またソーシャル関連企業を買収した。ソーシャル情報サービスの米Angstroが8月26日(現地時間)、Googleに買収されたことを公式ブログで明らかにした。買収総額など詳細は公表していない。
Angstroは2007年創業の、カリフォルニア州パロアルトに拠点を置く非公開企業。創業者は、W3CでWeb標準策定に参加した経験を持つベテラン技術者のロヒット・カーレ氏と、米Yahoo!で「Fire Eagle」などのソーシャル系新サービス開発に従事したことのあるサリム・イスライム氏。Facebook、LinkedIn、Twitterなど複数のソーシャルサービスのデータからユーザーに必要な情報を抽出して提供するサービスを手掛けている。カーレ氏は「Google Alertsで企業家のアダム・ラフキンを指定すると、配信されてくる情報の95%が映画監督のラフキンだった」という経験から、ユーザーのソーシャルグラフに沿った情報提供サービスを開発したという。
カーレ氏は「Angstroでのわれわれの仕事は終わるが、オープンで相互運用可能なソーシャルネットワーク実現への戦いは始まったばかりだ。わたしはGoogleでこの戦いに取り組むことを楽しみにしている」とブログに書いている。
Google自身は認めていないが、同社は独自のソーシャルネットワーク「Google Me」を構築中とうわさされている。ソーシャル系企業を活発に買収しているほか、OpenIDのジョゼフ・スマー氏やクリス・メッシーナ氏など、オープンソース系の人材を立て続けに採用している。
インデックス・ホールディングス、アトラスを吸収合併
当面、ゲームはアトラスブランドでリリース
株式会社インデックス・ホールディングスは、株式会社アトラスと株式会社インデックスの2社を吸収合併すると発表した。
インデックスはインデックス・ホールディングスの連結子会社であり、アトラスはインデックス・ホールディングスの100%子会社だったが、今回の吸収合併により両社は解散となり、インデックス・ホールディングスが吸収合併存続会社となる。
インデックス・ホールディングスは、現在グループ再編を行なっており、重点事業への絞り込みの課程でノンコア事業の整理および売却を行なってきた。その中で、重点事業の1つとしてゲームが存在し、これに経営資源を集中させ、グループ経営資源の有効活用を行なうために統合したとしている。
同社、広報IR担当によれば、アトラスのゲームについては「当面は“アトラス”のブランドで発売すると聞いている」としている。家庭用ゲームに関して“アトラス”ブランドで発売を継続する一方で、先日発表された「ペルソナ3」のソーシャルゲーム化など、アトラスのIPを活用し、インデックスの強みを活かす形で展開を図っていくものと見られる。
Mozilla、Android版ウェブブラウザ「Fennec」α版を公開
Mozillaは27日、Android端末およびNokia N900向けのウェブブラウザー「Fennec」のアルファ版を公開した。Android版の対応OSはAndroid 2.0以上。
Fennecは、Mozillaがモバイル端末向けに開発しているウェブブラウザー「Firefox mobile」のコードネーム。次期バージョンの2.0からAndroid端末も対応機種として開発を進めている。
アルファ版には、複数のFirefoxのブックマークや履歴などを同期させる「Firefox Sync」の機能を搭載した。また、ウェブページのレンダリングと操作系のプロセスを分離することで、ページのロード中やJavaScriptの動作中などでもユーザーの操作に素早く反応できるようになるとしている。
YouTube、メジャーリーグ全試合の映像を配信開始
YouTubeは30日、MLBアドバンスト・メディア株式会社とパートナーシップを締結し、米メジャーリーグ(MLB)の映像配信を開始した。全試合のノーカット映像に加え、ハイライト映像、歴史的な名シーンをYouTubeの「MLBJPチャンネル」で配信する。動画の視聴は無料。今シーズンの試合は、終了後36時間以内に視聴できるようになる。
漫画「ワンピース」が初の4週休載 新シリーズへの充電期間
集英社の漫画誌「週刊少年ジャンプ」で連載されている尾田栄一郎さんの人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」が、9月6日発売号から4週にわたって休載する。30日発売の同誌で発表された。集英社によると、同作が4週にわたって休載するのは初めてで、物語が新シリーズに移行するための「充電期間」という。
尾田さんは、30日発売号の巻末で、同誌で長期連載されていた、うすた京介さんの人気ギャグ漫画「ピューと吹く!ジャガー」が完結したことに触れ、「うすたさーん連載お疲れさんでしたー!そして僕は遊ぶのです!やっほーい!!!」とコメントしている。
ワンピースは、「海賊王」を目指す主人公のルフィが仲間たちと海を冒険する物語。単行本はシリーズ累計1億9500万部以上を数え、アニメや映画化もされるなど国内外で幅広い支持を集めている。
和歌山県ついに人口100万人割れ 近畿6府県で初
和歌山県の1日現在の推計人口が99万9834人となり、100万人を下回ったことが30日、県調査統計課のまとめで分かった。昭和30年の国勢調査で100万人を突破以降は大台を割り込んだことはなく、近畿2府4県では唯一。
県は人口減に歯止めをかけるため、施策を展開するが、目に見える成果は挙がっていない。県は「残念だ。いろいろな施策を組み合わせ効果的な政策を検討していきたい」としている。
県によると、8月1日現在の推計人口は前月比263人減、前年同期比では6508人減。県の推計人口は57年の109万521人をピークに、平成8年以降は14年連続で減少傾向が続いている。昨年4月と今年4月との比較では、市町村別で人口が増加していたのは岩出市だけだった。
こうした状況が続くなかで、県は人口減を食い止めるためさまざまな対策に取り組んでいる。
18年度から自治体と地域住民組織が連携してIターン希望者の受け入れを促進、これまでに150世帯294人を招いた。企業誘致でも、全国最高レベルの最大100億円の奨励金制度を創設。今年度は5社を誘致している。また、育児支援として第3子以降3歳未満児の保育料を原則無料にする「紀州3人っこ施策」なども行っている。
ファミコン世代”の8割が「現在もゲームで遊ぶ」 ケータイゲームが主
「ファミコン世代」を対象に東京工芸大学が実施したアンケート調査によると、約8割が「現在もゲームで遊んでいる」と回答したことが分かった。
携帯電話によるインターネット調査で、小学校から高校生のころにファミコンで遊んだことのある全国の35~44歳の男女1000人を対象に実施。「現在もコンピューターゲームで遊んでいる」と答えた人は79.2%で、ファミコン世代にとってゲームが生活に広く浸透していることがうかがえる結果となった。
現在もゲームで遊んでいると答えた792人に、現在遊んでいるゲーム端末の種類を複数回答で聞いたところ、「携帯電話」が71.8%で最も多く、次いで「ニンテンドーDS」シリーズの59.2%と携帯型のゲーム端末が上位に入った。「パソコン」が43.2%で、任天堂の「Wii」が39.8%、ソニーの「プレイステーション3」は37.8%だった。
また、「久しぶりに遊んでみたいファミコンゲームは?」との質問には、アクションゲームの名作「スーパーマリオブラザーズ」が50.3%で1位。2位はパズルゲームの「テトリス」で43.3%だった。
【サッカー日本代表】日本代表新監督にザッケローニ氏
サッカー日本代表の岡田武史前監督の後任人事を進めていた日本サッカー協会は30日、新監督にイタリア人でイタリア1部リーグ(セリエA)前ユベントス監督のアルベルト・ザッケローニ氏(57)が就任することを明らかにした。同氏は31日に就任の記者会見を行う。
日銀、資金供給30兆円に…臨時会合で決定
政府と日本銀行が30日、足並みをそろえ、急激な円高・株安による景気の下ぶれを抑えるための具体策を打ち出す。
日本銀行は30日午前、臨時の金融政策決定会合を開き、追加の金融緩和策を決めた。一方、政府も追加経済対策の基本方針の決定を1日前倒しして30日午後に行う。政府・日銀が協調し、景気を下支えする姿勢を明確に示す。
日銀が決めた追加緩和策は、年0・1%の固定金利で金融機関に貸出期間3か月の資金を提供する「新型オペ」(公開市場操作)に、新たに6か月の資金を10兆円追加し、資金供給規模を現在の20兆円から30兆円に増やすというものだ。
日銀の白川方明総裁は30日中に菅首相と会談し、決定について説明する。30日午後には記者会見を開き、追加緩和の理由や景気認識について説明する。
日銀が臨時会合で追加緩和策を決めたのは、中東発の金融不安で円高が進んだ「ドバイ・ショック」直後の昨年12月1日以来。日銀はこの臨時会合で資金供給規模10兆円の新型オペ導入を決め、今年3月17日に規模を20兆円に上積みした。日銀の追加緩和はそれ以来、約5か月ぶりとなる。
今回も新型オペを拡充する。市場に潤沢な資金を供給するとともに、より長い期間の資金も供給し、長めの金利を押し下げる狙いがある。円高の要因である日米の金利差の縮小を抑えることで、円相場を押し下げる効果があるとみている。
一方、今回の臨時会合で、年0・1%の政策金利は政策委員9人の全員一致で据え置いた。新型オペの拡充には須田美矢子審議委員が反対した。
会合後の公表文で、日銀は景気の現状について「緩やかに回復しつつある」との判断を維持した。ただ、為替相場や株価が「不安定な動きを続けている」と指摘し、米経済の先行き不安も強調。急速な円高・株安と米経済の減速が企業業績や消費者心理に悪影響を与え、景気を冷やしかねないとの警戒感を反映させた。
日銀に対しては、菅首相が27日、「機動的な金融政策の実施を期待する」と、追加の金融緩和を求める異例の発言を行った。さらに同日、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が追加緩和に踏み切る可能性を示唆したことで、日米の金利差がさらに縮小し、円高が進む恐れが強まっていた。
政府・日銀・労使による「成長戦略会議」新設へ
政府が30日午後発表する追加経済対策の基本方針の概要が明らかになった。
関係閣僚と日銀総裁、産業界と労働界代表らをメンバーとする「新成長戦略実現推進会議」を新設し、経済政策を幅広く議論する体制を整える。財源は、2010年度予算の「経済危機対応・地域活性化予備費」の残り9200億円を9月中に活用する。今後の景気動向を踏まえ、補正予算の編成も検討する。
政府は当初、31日に発表する予定だったが、日銀の追加金融緩和に合わせて、前倒しで決めることにした。具体策として、省エネ住宅に対するエコポイント制度や長期固定型住宅ローン「フラット35S」の金利優遇措置の12月末の期限延長などによる消費刺激策、若者を試験的に雇用する企業に助成金を支給する「トライアル雇用制度」の拡充などの雇用対策を盛り込む。
一方、財政出動を伴わない規制緩和策も推進する。国内で働く外国人専門家の在留期間延長を始め、都市再生や住宅、環境・エネルギー、医療・介護、観光振興などの分野を対象に経済の活性化を図る。
「AMD Radeon」に AMD、ATIブランドを統合
米AMDは8月30日、ATIブランドをAMDブランドに統合すると発表した。GPU「Radeon」など、ATIの製品は年内にAMDブランドに移行。今後は「AMD Radeon」になる。
AMDは2006年、カナダのGPUメーカーだったATI Technologiesを買収。GPUなどのグラフィックス関連製品はATIブランドで販売してきた。
ブランド統合について、AMDのジョン・ヴォルクマン副社長は「私たちのブランドは一つになり、世界中でブランド認知を向上させることができる」とコメント。「ATIというブランドには別れを告げますが、その精神はAMD RadeonやAMD FireProグラフィックス製品、VISIONテクノロジープラットフォーム、さらには近く発表予定のすべてのAMD Fusion APUの中に生き続ける」と述べている。
【産経主張】政権交代1年 未熟さが作り出した惨状
昨年8月30日の衆院選で民主党が308議席を獲得し、政権交代を実現してから1年が経過した。政権が交代することに意味はあるが、今の日本の惨状の多くは、政権担当能力が欠如している政党が国政を担ったことによるといえる。
ばらまきによるポピュリズム政治、急激な円高に何ら有効策を打てないでいる対応のまずさ、米軍普天間飛行場移設問題の迷走と日米同盟の空洞化などをみれば、政権交代に裏切られた思いを抱く国民も少なくないだろう。
外交・安全保障の基軸を共有してこなかった、この国の二大政党制が、いかに問題をはらんでいたか。自民党政治を踏襲しないとした民主党は未熟さを直視し、国益と国民の利益を実現する現実路線に大きく転換することが求められている。
だが、その民主党の代表選は、不毛な選択ともいえる様相を見せている。
ばらまき政治の張本人であり、政治とカネの問題で開き直っている小沢一郎前幹事長と、参院選大敗の責任を取らずに政治空白をつくり上げている菅直人首相との一騎打ちの構図は、日本を再生する道をふさいでいる。
なぜ候補は、この2人だけなのか。とくに、検察審査会で刑事責任の有無が検討されている小沢氏は、候補者としての適格性が疑われる。それぞれの支持勢力は、何の疑問も抱かずに代表選へ臨む愚かさに気付くべきだ。「恩返し」などの発言には耳を疑う。
多くの失政の一方、予算執行のあり方に迫った事業仕分けは注目を集めた。不十分な知識による独断的な結論や、パフォーマンス先行の印象を与えた点は問題だが、予算の使い方を公開の場で議論する手法は、国民と政治の距離を近づけたともいえる。
しかし、どのような国家戦略に基づいて予算を配分するかという根本は定まっていない。「政治主導」の象徴ともいえる国家戦略室を、菅首相は提言機関に格下げした。国をどうするかを明確にしない限り、この政権の政治主導は空回りを続けるだろう。
参院選で勝利した自民党も、政権復帰が近づいたとは言い難い。受け皿となるよう信頼回復に全力を挙げるしかない。健全な保守勢力を再結集する核となることに強く期待する。
新興3市場は停滞が続いている。前週は日経ジャスダック平均株価と東証マザーズ指数が年初来安値を更新。売買も低水準が続く。手掛かり材料が少なく、盛り上がりを欠く新興市場で「アプリ」関連銘柄が個人投資家の人気を集めている。
アプリとは、アプリケーションソフトの略称。携帯電話で利用できるゲームやスケジュール管理などで、有料・無料の様々なソフトがある。
アプリ関連銘柄が人気化したのは今月19日。NTTドコモが、iモードが使える従来型の携帯電話で、個人や企業が開発したアプリを取り込めるサービスを今秋から始めるとの報道がきっかけ。NTTドコモが携帯電話で使えるアプリを増やせば、関連銘柄の収益が拡大するとの思惑が株式市場に広がった。
インターネット上で友人と一緒に遊ぶ「ソーシャルアプリ」などを手掛けるアクセルマークは株価が急騰。27日終値は18日終値に比べ2倍近くになった。
音楽配信サービスを展開するエムティーアイも7%上昇。PER(株価収益率)が8倍弱とネット関連銘柄の中では相対的に低いことに加え「従来型携帯電話で蓄積した収益モデルをいかせるとの期待が高まった」(中堅証券)ようだ。
もっとも、アプリ関連銘柄の人気が持続するかどうかは不透明だ。「外部環境に左右されにくく、値動きが軽いため消去法的に買われている」(証券ジャパンの大谷正之調査情報部長)面がある。人気化している銘柄には業績の裏付けが乏しい企業もあり、買い一巡後は利益確定売りに押される可能性もある。
米で中高年の交流サイト利用急増 昔の友人と連絡
米民間調査団体ピュー・リサーチ・センターが27日発表した調査で、米国でフェースブックなどの交流サイトを利用する中高年層が急増していることが分かった。同センターは、定年退職を控えて昔の友人らと連絡を取りたい人や、子供や孫の世代との交流を望む人などが利用を始めているのではないかと分析している。
調査は4月29日から5月30日にかけてインターネット利用者1756人を対象に実施した。50~64歳で交流サイトを利用したことがあると答えた人は47%と昨年4月に比べ1.9倍に増加。65歳以上でも26%と倍増した。簡易ブログ「ツイッター」の利用も50~64歳では5%から11%、65歳以上では3%から5%に増えた。
30~49歳の交流サイト利用は61%、18~29歳では86%に上った。ツイッターの利用者は30~49歳が16%、18~29歳が27%だった。
同センターのマッデン研究員は、中高年層は健康上の不安を抱えていることも多く、関連情報を得るために交流サイトを利用している可能性もあると指摘している。
Google、ソーシャル技術の新興企業Angstroを買収
米Googleが、米Slide、米Jamboolに続けて、またソーシャル関連企業を買収した。ソーシャル情報サービスの米Angstroが8月26日(現地時間)、Googleに買収されたことを公式ブログで明らかにした。買収総額など詳細は公表していない。
Angstroは2007年創業の、カリフォルニア州パロアルトに拠点を置く非公開企業。創業者は、W3CでWeb標準策定に参加した経験を持つベテラン技術者のロヒット・カーレ氏と、米Yahoo!で「Fire Eagle」などのソーシャル系新サービス開発に従事したことのあるサリム・イスライム氏。Facebook、LinkedIn、Twitterなど複数のソーシャルサービスのデータからユーザーに必要な情報を抽出して提供するサービスを手掛けている。カーレ氏は「Google Alertsで企業家のアダム・ラフキンを指定すると、配信されてくる情報の95%が映画監督のラフキンだった」という経験から、ユーザーのソーシャルグラフに沿った情報提供サービスを開発したという。
カーレ氏は「Angstroでのわれわれの仕事は終わるが、オープンで相互運用可能なソーシャルネットワーク実現への戦いは始まったばかりだ。わたしはGoogleでこの戦いに取り組むことを楽しみにしている」とブログに書いている。
Google自身は認めていないが、同社は独自のソーシャルネットワーク「Google Me」を構築中とうわさされている。ソーシャル系企業を活発に買収しているほか、OpenIDのジョゼフ・スマー氏やクリス・メッシーナ氏など、オープンソース系の人材を立て続けに採用している。
インデックス・ホールディングス、アトラスを吸収合併
当面、ゲームはアトラスブランドでリリース
株式会社インデックス・ホールディングスは、株式会社アトラスと株式会社インデックスの2社を吸収合併すると発表した。
インデックスはインデックス・ホールディングスの連結子会社であり、アトラスはインデックス・ホールディングスの100%子会社だったが、今回の吸収合併により両社は解散となり、インデックス・ホールディングスが吸収合併存続会社となる。
インデックス・ホールディングスは、現在グループ再編を行なっており、重点事業への絞り込みの課程でノンコア事業の整理および売却を行なってきた。その中で、重点事業の1つとしてゲームが存在し、これに経営資源を集中させ、グループ経営資源の有効活用を行なうために統合したとしている。
同社、広報IR担当によれば、アトラスのゲームについては「当面は“アトラス”のブランドで発売すると聞いている」としている。家庭用ゲームに関して“アトラス”ブランドで発売を継続する一方で、先日発表された「ペルソナ3」のソーシャルゲーム化など、アトラスのIPを活用し、インデックスの強みを活かす形で展開を図っていくものと見られる。
Mozilla、Android版ウェブブラウザ「Fennec」α版を公開
Mozillaは27日、Android端末およびNokia N900向けのウェブブラウザー「Fennec」のアルファ版を公開した。Android版の対応OSはAndroid 2.0以上。
Fennecは、Mozillaがモバイル端末向けに開発しているウェブブラウザー「Firefox mobile」のコードネーム。次期バージョンの2.0からAndroid端末も対応機種として開発を進めている。
アルファ版には、複数のFirefoxのブックマークや履歴などを同期させる「Firefox Sync」の機能を搭載した。また、ウェブページのレンダリングと操作系のプロセスを分離することで、ページのロード中やJavaScriptの動作中などでもユーザーの操作に素早く反応できるようになるとしている。
YouTube、メジャーリーグ全試合の映像を配信開始
YouTubeは30日、MLBアドバンスト・メディア株式会社とパートナーシップを締結し、米メジャーリーグ(MLB)の映像配信を開始した。全試合のノーカット映像に加え、ハイライト映像、歴史的な名シーンをYouTubeの「MLBJPチャンネル」で配信する。動画の視聴は無料。今シーズンの試合は、終了後36時間以内に視聴できるようになる。
漫画「ワンピース」が初の4週休載 新シリーズへの充電期間
集英社の漫画誌「週刊少年ジャンプ」で連載されている尾田栄一郎さんの人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」が、9月6日発売号から4週にわたって休載する。30日発売の同誌で発表された。集英社によると、同作が4週にわたって休載するのは初めてで、物語が新シリーズに移行するための「充電期間」という。
尾田さんは、30日発売号の巻末で、同誌で長期連載されていた、うすた京介さんの人気ギャグ漫画「ピューと吹く!ジャガー」が完結したことに触れ、「うすたさーん連載お疲れさんでしたー!そして僕は遊ぶのです!やっほーい!!!」とコメントしている。
ワンピースは、「海賊王」を目指す主人公のルフィが仲間たちと海を冒険する物語。単行本はシリーズ累計1億9500万部以上を数え、アニメや映画化もされるなど国内外で幅広い支持を集めている。
和歌山県ついに人口100万人割れ 近畿6府県で初
和歌山県の1日現在の推計人口が99万9834人となり、100万人を下回ったことが30日、県調査統計課のまとめで分かった。昭和30年の国勢調査で100万人を突破以降は大台を割り込んだことはなく、近畿2府4県では唯一。
県は人口減に歯止めをかけるため、施策を展開するが、目に見える成果は挙がっていない。県は「残念だ。いろいろな施策を組み合わせ効果的な政策を検討していきたい」としている。
県によると、8月1日現在の推計人口は前月比263人減、前年同期比では6508人減。県の推計人口は57年の109万521人をピークに、平成8年以降は14年連続で減少傾向が続いている。昨年4月と今年4月との比較では、市町村別で人口が増加していたのは岩出市だけだった。
こうした状況が続くなかで、県は人口減を食い止めるためさまざまな対策に取り組んでいる。
18年度から自治体と地域住民組織が連携してIターン希望者の受け入れを促進、これまでに150世帯294人を招いた。企業誘致でも、全国最高レベルの最大100億円の奨励金制度を創設。今年度は5社を誘致している。また、育児支援として第3子以降3歳未満児の保育料を原則無料にする「紀州3人っこ施策」なども行っている。
ファミコン世代”の8割が「現在もゲームで遊ぶ」 ケータイゲームが主
「ファミコン世代」を対象に東京工芸大学が実施したアンケート調査によると、約8割が「現在もゲームで遊んでいる」と回答したことが分かった。
携帯電話によるインターネット調査で、小学校から高校生のころにファミコンで遊んだことのある全国の35~44歳の男女1000人を対象に実施。「現在もコンピューターゲームで遊んでいる」と答えた人は79.2%で、ファミコン世代にとってゲームが生活に広く浸透していることがうかがえる結果となった。
現在もゲームで遊んでいると答えた792人に、現在遊んでいるゲーム端末の種類を複数回答で聞いたところ、「携帯電話」が71.8%で最も多く、次いで「ニンテンドーDS」シリーズの59.2%と携帯型のゲーム端末が上位に入った。「パソコン」が43.2%で、任天堂の「Wii」が39.8%、ソニーの「プレイステーション3」は37.8%だった。
また、「久しぶりに遊んでみたいファミコンゲームは?」との質問には、アクションゲームの名作「スーパーマリオブラザーズ」が50.3%で1位。2位はパズルゲームの「テトリス」で43.3%だった。
【サッカー日本代表】日本代表新監督にザッケローニ氏
サッカー日本代表の岡田武史前監督の後任人事を進めていた日本サッカー協会は30日、新監督にイタリア人でイタリア1部リーグ(セリエA)前ユベントス監督のアルベルト・ザッケローニ氏(57)が就任することを明らかにした。同氏は31日に就任の記者会見を行う。
日銀、資金供給30兆円に…臨時会合で決定
政府と日本銀行が30日、足並みをそろえ、急激な円高・株安による景気の下ぶれを抑えるための具体策を打ち出す。
日本銀行は30日午前、臨時の金融政策決定会合を開き、追加の金融緩和策を決めた。一方、政府も追加経済対策の基本方針の決定を1日前倒しして30日午後に行う。政府・日銀が協調し、景気を下支えする姿勢を明確に示す。
日銀が決めた追加緩和策は、年0・1%の固定金利で金融機関に貸出期間3か月の資金を提供する「新型オペ」(公開市場操作)に、新たに6か月の資金を10兆円追加し、資金供給規模を現在の20兆円から30兆円に増やすというものだ。
日銀の白川方明総裁は30日中に菅首相と会談し、決定について説明する。30日午後には記者会見を開き、追加緩和の理由や景気認識について説明する。
日銀が臨時会合で追加緩和策を決めたのは、中東発の金融不安で円高が進んだ「ドバイ・ショック」直後の昨年12月1日以来。日銀はこの臨時会合で資金供給規模10兆円の新型オペ導入を決め、今年3月17日に規模を20兆円に上積みした。日銀の追加緩和はそれ以来、約5か月ぶりとなる。
今回も新型オペを拡充する。市場に潤沢な資金を供給するとともに、より長い期間の資金も供給し、長めの金利を押し下げる狙いがある。円高の要因である日米の金利差の縮小を抑えることで、円相場を押し下げる効果があるとみている。
一方、今回の臨時会合で、年0・1%の政策金利は政策委員9人の全員一致で据え置いた。新型オペの拡充には須田美矢子審議委員が反対した。
会合後の公表文で、日銀は景気の現状について「緩やかに回復しつつある」との判断を維持した。ただ、為替相場や株価が「不安定な動きを続けている」と指摘し、米経済の先行き不安も強調。急速な円高・株安と米経済の減速が企業業績や消費者心理に悪影響を与え、景気を冷やしかねないとの警戒感を反映させた。
日銀に対しては、菅首相が27日、「機動的な金融政策の実施を期待する」と、追加の金融緩和を求める異例の発言を行った。さらに同日、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が追加緩和に踏み切る可能性を示唆したことで、日米の金利差がさらに縮小し、円高が進む恐れが強まっていた。
政府・日銀・労使による「成長戦略会議」新設へ
政府が30日午後発表する追加経済対策の基本方針の概要が明らかになった。
関係閣僚と日銀総裁、産業界と労働界代表らをメンバーとする「新成長戦略実現推進会議」を新設し、経済政策を幅広く議論する体制を整える。財源は、2010年度予算の「経済危機対応・地域活性化予備費」の残り9200億円を9月中に活用する。今後の景気動向を踏まえ、補正予算の編成も検討する。
政府は当初、31日に発表する予定だったが、日銀の追加金融緩和に合わせて、前倒しで決めることにした。具体策として、省エネ住宅に対するエコポイント制度や長期固定型住宅ローン「フラット35S」の金利優遇措置の12月末の期限延長などによる消費刺激策、若者を試験的に雇用する企業に助成金を支給する「トライアル雇用制度」の拡充などの雇用対策を盛り込む。
一方、財政出動を伴わない規制緩和策も推進する。国内で働く外国人専門家の在留期間延長を始め、都市再生や住宅、環境・エネルギー、医療・介護、観光振興などの分野を対象に経済の活性化を図る。
「AMD Radeon」に AMD、ATIブランドを統合
米AMDは8月30日、ATIブランドをAMDブランドに統合すると発表した。GPU「Radeon」など、ATIの製品は年内にAMDブランドに移行。今後は「AMD Radeon」になる。
AMDは2006年、カナダのGPUメーカーだったATI Technologiesを買収。GPUなどのグラフィックス関連製品はATIブランドで販売してきた。
ブランド統合について、AMDのジョン・ヴォルクマン副社長は「私たちのブランドは一つになり、世界中でブランド認知を向上させることができる」とコメント。「ATIというブランドには別れを告げますが、その精神はAMD RadeonやAMD FireProグラフィックス製品、VISIONテクノロジープラットフォーム、さらには近く発表予定のすべてのAMD Fusion APUの中に生き続ける」と述べている。
【産経主張】政権交代1年 未熟さが作り出した惨状
昨年8月30日の衆院選で民主党が308議席を獲得し、政権交代を実現してから1年が経過した。政権が交代することに意味はあるが、今の日本の惨状の多くは、政権担当能力が欠如している政党が国政を担ったことによるといえる。
ばらまきによるポピュリズム政治、急激な円高に何ら有効策を打てないでいる対応のまずさ、米軍普天間飛行場移設問題の迷走と日米同盟の空洞化などをみれば、政権交代に裏切られた思いを抱く国民も少なくないだろう。
外交・安全保障の基軸を共有してこなかった、この国の二大政党制が、いかに問題をはらんでいたか。自民党政治を踏襲しないとした民主党は未熟さを直視し、国益と国民の利益を実現する現実路線に大きく転換することが求められている。
だが、その民主党の代表選は、不毛な選択ともいえる様相を見せている。
ばらまき政治の張本人であり、政治とカネの問題で開き直っている小沢一郎前幹事長と、参院選大敗の責任を取らずに政治空白をつくり上げている菅直人首相との一騎打ちの構図は、日本を再生する道をふさいでいる。
なぜ候補は、この2人だけなのか。とくに、検察審査会で刑事責任の有無が検討されている小沢氏は、候補者としての適格性が疑われる。それぞれの支持勢力は、何の疑問も抱かずに代表選へ臨む愚かさに気付くべきだ。「恩返し」などの発言には耳を疑う。
多くの失政の一方、予算執行のあり方に迫った事業仕分けは注目を集めた。不十分な知識による独断的な結論や、パフォーマンス先行の印象を与えた点は問題だが、予算の使い方を公開の場で議論する手法は、国民と政治の距離を近づけたともいえる。
しかし、どのような国家戦略に基づいて予算を配分するかという根本は定まっていない。「政治主導」の象徴ともいえる国家戦略室を、菅首相は提言機関に格下げした。国をどうするかを明確にしない限り、この政権の政治主導は空回りを続けるだろう。
参院選で勝利した自民党も、政権復帰が近づいたとは言い難い。受け皿となるよう信頼回復に全力を挙げるしかない。健全な保守勢力を再結集する核となることに強く期待する。
東京ゲームショウに出展する企業、しない企業
日本のゲーム業界にとって最も忙しい9月がやってくる。8月31日に開幕する日本版ゲーム開発者会議「CEDEC」から始まって、9月16~19日の「東京ゲームショウ(TGS)2010」、さらに任天堂が単独開催する9月29日の「任天堂カンファレンス」まで、約1カ月に渡ってゲームの最新情報を発信するイベントが続くからだ。
なかでもメーンイベントは、東京ゲームショウだ。7月1日時点の主催者発表によると、出展予定は138社・団体で、総ブース数は昨年実績を約50上回る1410小間を見込んでいる。韓国、台湾、中国などアジア企業の参加が増えているという。
だが世界的にみれば、展示会としての東京ゲームショウは大きな岐路に立たされている。これまでのような開催スタイルをどこまで維持するかを問い直す時期にあるといっていいだろう。
例えば、現在発表されている展示会フロアには、日本を代表するソーシャルゲームのプラットフォーム企業であるディー・エヌ・エー(DeNA)、グリー、ミクシィの名はない。以前出展していたNTTドコモなどの携帯電話会社も見当たらなくなった。もちろん、任天堂は今年も出展しない。国内主要企業が出展メリットを見出せなければ、地盤沈下は避けようがない。
来場者と実際のユーザーにズレ
そもそもTGSは、家庭用ゲーム機向けゲームソフトの最新情報をユーザーに直接発信する場としてスタートした。第1回が開催された1996年当時、日本の家庭用ゲーム機市場は絶頂期を迎えつつあり、新作ゲームの情報を求めるユーザーのニーズは高かった。そのため、BtoCの機能に重点が置かれ、そのコンセプトは今も続いている。
家庭用ゲーム機向けゲームは、ゲームショップや家電量販店などを通じてパッケージソフトを販売するBtoBtoCのビジネスである。そのため出展する企業にとってTGSは、製品のプロモーションが主な狙いとなる。来場したユーザーのクチコミや各種メディアの報道によって期待を煽り、秋冬商戦の発売日につなげる。事実、09年も延べ18万人以上の来場者を集めており、一定のプロモーション効果があるのは間違いない。
ただ、来場者の属性を細かくみると、ゲーム企業の現在のニーズに合致しているか疑問な点もある。一般日来場者の地域属性は東京都内と神奈川、埼玉、千葉、茨城の4県で8割超を占め、他の地域はわずか13.3%に過ぎない。これは会場が幕張メッセ(千葉県)であることを考えれば当然ともいえるが、首都圏への依存度は高い。また、男女比も男性が73.9%、女性が26.1%と偏りがある。
これをグリーが発表している地域別のユーザー属性と比較するとおもしろい。8月13日に開示した2010年6月期決算説明会資料によると、首都圏のユーザーは33%で、それ以外が67%。男女比も男性が52%、女性が48%で、TGSに来るユーザーとはかなり違いがある。
展示会よりテレビCM
インターネットや携帯電話を基盤とするゲームサービスは、そのサービス自体をメディアとして使い、直接ユーザーに情報を送ることができる。05年前後には、パソコン系オンラインゲームの新興企業が続々とTGSに出展したこともあったが、現在はハンゲームのNHNなど日本でシェアを持つ企業はほとんど出展を見送っている。新規ユーザーに接触する最初のステップとしては、リアルなイベントより手っ取り早いテレビCMに資金をつぎ込むのが最近の傾向だ。
ビデオリサーチコムハウスの調査によると、今年7月のテレビCM広告主ランキングは、関東、関西、名古屋地区とも花王、サントリーに続く3、4位にグリーとDeNAが入った。テレビCMで全国のユーザーにリーチし、自社メディア、自社サービスに直接呼び込む戦略がはっきり見て取れる。
家庭用ゲーム機企業でさえ、その手法が主流になりつつある。最たる企業が任天堂で、サイト情報の充実ぶりは先端を走っている。「社長が訊く」のような自社製品のセルフインタビューや各種カンファレンスの中継、迅速な資料公開など、他媒体を必要としない量の情報がサイトから入手できる。
各種ゲームサイトがTGSに合わせて、高画質なプロモーション動画を公開する例も増えている。今年は、3次元(3D)立体視やモーションコントローラーなどがTGSの目玉になるだろうが、これらはむしろ例外で、ゲームの内容を理解するだけであれば、展示会場に足を運ぶ必要性は年々低下している。
商談機能を競う世界のゲーム展示会
では、TGSに今後求められる役割はあるのだろうか。一つ言えることは、BtoB機能へのいっそうのシフトであろう。
BtoCイベントとしてスタートしたTGSは、長年この機能が脆弱だった。海外からビジネス目的で来日するゲーム企業の関係者は毎年多いのだが、彼らが商談をする場がそもそもなく、だれがいつ来場しているのかという正確な情報もなかった。カナダ、英国、韓国など各国政府の支援事業でTGSに出展する企業も増えているが、展示ブースでは商談にならず日本企業の情報さえ得ることができないとの不満もよく聞く。
今、世界のゲーム展示会は、即効性のあるビジネスミーティングの場としていかに優位かを争う競争に入っている。ゲーム産業において世界同時開発、世界同時流通が一般化しつつあるためで、TGSの出遅れは相対的にも目立つ。
海外の商談会でこのところ特に存在感を高めているのは、年3回行われる「Game Connection」だ。ドイツで8月、フランスで11月、米国ではゲーム開発者会議(GDC)に合わせて3月に開催されており、その他の地域にも提携先を広げつつある。登録するだけで自動的に30分単位のミーティングスケジュールをセットしてくれるシステムなど利便性の高さが評価され、今年3月のGDCでは158社、600人が参加した。
海外のある政府系団体は「TGSにお金をかけて出展しなくても、GDCに出れば日本企業ともビジネスミーティングの場を持つことができて効率がいい」と語り、今年のTGSへの出展を見送っている。
今年の成功が重要に
もちろんTGSも手をこまぬいているわけではなく、今年は「ビジネスマッチングシステムの強化」を打ち出した。ビジネス展示用小ブースの「ビジネスソリューションコーナー」には約40社の出展があり、ミーティング専用に用意した「ビジネスミーティングコーナー」には約20社が登録した。また、日本、中国、台湾、韓国の経営者がアジア戦略について討議する「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット」を開催するなど、アジア市場重視の姿勢も打ち出している。
会期中に行われるカンファレンス「TGSフォーラム」には、ミクシィ、グリー、グーグル、NTTドコモなど、出展社ではない有力企業が多く登壇するという逆転現象が起きている。これらの企業が講演だけでなく、ビジネスの場として参加したいと感じられるようなTGSに変えていくことが必要だろう。TGSの効用を世界に認知させ日本のゲーム産業の盛り返しにつなげていくには、今年の成功がなにより重要になる。
ウォークマン、「悲願」のアイポッド超えへ 8月の国内販売 携帯音楽プレーヤーの8月の国内販売台数で、ソニーのウォークマンが米アップル社の「iPod(アイポッド)」を抜く見通しであることが29日、市場調査会社の調べで分かった。携帯音楽プレーヤー市場は平成13年の投入以来、アイポッドの独壇場だったが、後塵(こうじん)を拝してきたウォークマンが初めて「悲願」のトップを奪う。
市場関係者は、「iPhone(アイフォーン)」などのスマートフォン(高機能携帯電話)の登場で携帯電話で音楽を聴く層が増え、アイポッドの伸びが鈍化する一方で、音楽専用端末として音質を売りにするウォークマンの人気が高まっていると分析する。
市場調査会社のBCNによると、8月の携帯音楽プレーヤー国内市場は第1週にウォークマンが46.7%を記録し、アイポッドの45.7%を上回って首位に立った。第3週は47.4%とさらに市場シェアを上げ、「この流れが続く」(道越一郎アナリスト)見通し。
アイポッドは、一時はシェアが80%に迫る「独り勝ち」の状態だった。これに対し、ソニーは10年に投入したデジタル用「ウォークマン」が、ソニーの独自規格にしか対応しないなど、低迷した。
しかし、ウォークマンは16年以降、操作性を改善したうえ、ネット接続など多機能化を進めるアイポッドとは違う「音楽専用プレーヤー」に特化した販売戦略を取り、徐々に支持を回復してきた。
歌に合わせて歌詞が確認でき、スピーカーがセットのものもある現行の「Sシリーズ」モデルは、同じ容量のアイポッドに比べて1万円前後安いこともあって中高生に人気。21年8月には、1週間だけアイポッド超えを果たした。
高機能携帯電話に負けじと、携帯音楽プレーヤー市場は前年比1割近く拡大しており、「純粋に音楽だけを楽しむ層を開拓できている」とソニーは自信を深める。ただ、アップルは毎年9月にアイポッド新商品を投入している。「新製品待ちの買い控え」(道越アナリスト)との観測もあり、勝負は予断を許さない。
きょうにも追加緩和…日銀総裁、前倒し帰国
日本銀行は29日、臨時の金融政策決定会合を30日に開き、追加の金融緩和に踏み切る方針を固めた。
政府が31日にも決定する追加経済対策の基本方針に歩調を合わせる。急激な円高による景気の下ぶれを抑えるため、追加緩和により政府と一体となって経済を下支えする。日銀の白川方明総裁は30日、臨時会合後に菅首相と会談し、日銀の景気認識や金融政策運営について説明する方針だ。訪米中だった白川総裁は、当初の予定を1日前倒しして、29日夕に帰国した。
追加緩和策としては、年0・1%の固定金利で金融機関に資金供給する「新型オペ」(公開市場操作)の貸出期間を現在の3か月から6か月に延長するほか、資金供給の規模を20兆円から30兆円に増やすことを軸に検討する。
日銀は足元の景気情勢について「緩やかに回復しつつある」と判断してきたが、米経済の減速と円高の進行で、景気の先行きに対する警戒感を強めている。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加緩和に踏み切れば、日米の金利差が縮小し、円高が一段と進みかねない。日銀は追加緩和で金利を押し下げ、円高に歯止めをかける狙いもある。
レクサス、スペインのデザイナー起用などでテコ入れ 販売目標届かず
トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」が30日、平成17年の国内登場から、まる5年を迎える。累計販売台数は当初目標(年5万台)の約6割。同社はブランドイメージが浸透していないことが原因とみる。25日にはスペインのデザイナーを起用した特別仕様車を発売し、来年前半にはレクサス初の小型ハイブリッド車(HV)を投入。多彩な新車で購買層拡大へ巻き返しを図る。
レクサスは、トヨタが1989年に米国でスタートした高級車ブランドで、現在、約60カ国で展開。高品質と信頼性、販売店のきめ細かな接客が高く評価され、海外調査会社の高級車ブランドイメージ調査では常に上位にランクされている。日本では平成17年8月30日に販売を開始。セルシオ、ソアラなど人気上級車種を「レクサス」ブランドに統一し、高級車路線を前面に打ち出した。
だが、国内販売最多台数は19年の3万5千台。大原一夫常務役員は「輸入車の顧客層を取りたかったが、まだ、期待できるレベルではない。日本の高級車市場の壁は厚かった」と話す。
20年は世界同時不況の影響で2万6千台だったが、21年は2万8千台。今年1~6月累計は1万9千台と回復傾向をみせている。
回復の原動力となったのは、昨年から投入された新車だった。21年にレクサス初のSUV(スポーツ多目的車)の「RX」や「IS」のオープンカー仕様、初のHV専用車「HS250h」を発売。セダン中心から品ぞろえを増やし、新たな顧客層を開拓した。
これまで、日本の高級車市場はメルセデス・ベンツ(ドイツ)とBMW(同)の2強がシェアを占めてきた。だが、21年の日本国内の販売台数は、BMWが前年比19%減の約2万9千台、ベンツも同22%減の約2万8700台、レクサスは同8%増の約2万8千台と、ほぼ肩を並べた。
大原常務役員は「(デザイン性に優れた)感性に訴える車を出し、購買層を広げたい」と、意気込む。今後、週末などを中心に大型商業施設で展示商談会を開き、ブランドイメージの定着に力を注ぐという。
8月以降の急激な円高を背景に、ライバル2社は販促キャンペーンに出るとみられる。レクサスはHVを含む多彩な車種構成で需要をどれだけ掘り起こせるかが課題となる。
温暖化ガス排出量、大企業に上限
取引制度の環境省原案、輸出企業は緩和
政府が地球温暖化対策として導入を検討する国内排出量取引制度の原案が29日、判明した。大企業ごとに温暖化ガス排出量の上限を設けるほか、発展途上国や中小企業を支援して排出を減らした分を自社の削減分と見なすことを一部認める。国際競争にさらされる業種には排出枠を上乗せして削減の負担を軽減する措置も導入。企業活動への影響を緩和する方策を盛り込み、排出削減につなげる。
国内排出量取引制度は、企業が経済活動を通じて温暖化ガスを減らす制度。先の通常国会で廃案となった地球温暖化対策基本法案に創設が盛り込まれていた。政府は秋の臨時国会に法案を再提出する方針。法案では法律の施行から1年以内に同制度の具体的な設計をまとめるとしてあり、環境省が法案の成立をにらみ、今年4月から作業を進めていた。
原案は31日に開く中央環境審議会(環境相の諮問機関)の有識者委員会で示す。制度案を年内に固め、経済産業省などを加えた閣僚委員会を開いて正式に決める方向だ。
原案では排出量の上限を設けるのは一定量以上の温暖化ガスを排出する大企業とした。国内企業が工場などから出た二酸化炭素(CO2)などの量を国へ報告する「温暖化ガス排出量報告制度」などを参考に、上限を決める。排出量取引の開始は2013年度とした。
ドコモの敵を日本通信が取る
両社が急接近した本当の理由
NTTドコモにとって、正しく“渡りに船”の急展開だった。
8月23日、通信ベンチャーの日本通信は、世界中で売れている米アップルの高機能携帯電話iPhone4用の「SIMカード」を発表した。
iPhone4は、国内ではソフトバンクモバイルと回線契約をすることが義務づけられている。だが、国外で買ってきたSIMフリーのiPhone4に、26日から日本通信が出荷を開始するSIMカードを差し込めば、ソフトバンクよりもネットワークの品質がよいドコモの回線でiPhone4の機能をフルに使えるようになる。
たとえば、ソフトバンクは国内でiPhone4を販売するに当たり、通信ネットワークに過度の負担をかけないために、「テザリング」(iPhone4をPCのモデムとして使ってインターネットに接続すること)の機能をはずしていた。
だが、日本通信のSIMカードであれば、ドコモの3Gネットワーク(FOMA網)が使えるので、海外のiPhone4同様に、手持ちのPCと連携しながら、本来の機能を楽しむことが可能になる。
じつは、ドコモは、今年の5月5日、大型連休最後の日に大きな決断をした。というのも、アップルの多機能データ通信端末のiPadが、当初予想していたSIMフリーの端末ではなく、ソフトバンクからSIMロックされた状態で独占的に発売されるという情報が入ったからだった。
このとき、本社に集合した山田隆持社長以下のドコモ役員は、iPadと一緒に使うことが可能な「携帯型無線LANルーター」の増産を決定した。これは、NTTブロードバンドプラットフォームが企画した小型中継機で、ドコモの夏商戦で市場に投入された。
このルーターを使えば、ドコモの3.5世代携帯電話網(HSDPA)と、全国各地にある公衆無線LAN(WiFi接続)のいずれかの電波をキャッチして、受信状況に応じてネットワークを切り替えられる。ターゲットは、ズバリiPadの通信料金の獲得だった。
そして、ドコモは、iPadを自ら販売することを希望していたので、海外と同じ仕様のSIMフリー端末に対する準備を水面下で進めていた。と同時に、アップルの機器に適合するSIM(マイクロSIM)も2万枚以上手配していた。結局、無用となったSIMは、今回、ドコモが日本通信に貸与するという格好で、iPhone4用のSIMとして復活した。
両社が急接近した理由は、通信キャリアであるドコモ側が、自分たちの回線を借りて商売している日本通信のようなMVNO(仮想移動体通信事業者)のサービスに対する見方を改めたからだ。
匿名が条件のあるドコモ幹部は、きっぱりとこう語る。「少し前まで、MVNOは、自分たちの畑(既得権益)を荒らす存在だと敵視していた。だが、ドコモが逆立ちしてもできないことが可能な日本通信と連携すれば、結果的にドコモの回線契約数を増やしてくれる」。
かねて日本通信の三田聖二社長は、「端末と通信回線を選べる自由な市場をつくるべき」と主張してきた。快進撃を続けるソフトバンクにとっては、手強い“連合軍”の誕生である。
クール・ジャパン 海外の人気を成長に生かせ(8月30日付・読売社説)
海外での日本ブームは「クール(かっこいい)・ジャパン」と呼ばれている。これを企業の海外進出につなげることに、もっと知恵を絞りたい。
日本のアニメや漫画は海外の若者から絶大な人気を得ている。ファッションの注目度も高い。すしなどの和食は「健康にいい」と好評だ。
しかし、その人気が、必ずしも日本の関連産業の海外展開に結びついていない。アニメ産業は中小零細企業が圧倒的で、繊維産業の輸出も伸びていない。世界で急増する和食レストランも、その多くが日本人以外の経営だ。
日本がせっかくの人気を経済成長に生かせないのとは対照的に、アジア各地で存在感を増しているのが韓国である。
経済産業省の報告書によると、香港、バンコク、シンガポールなどのCD・DVD売り場は、韓国ドラマや韓国人歌手らのKポップがあふれている。中国では「韓国のユニクロ」と言われるファッション企業が売り上げを急速に伸ばしている。
韓国ドラマが人気を得ると、韓流スターの着こなすファッションを売り込み、「韓国ブランド」の向上をテコに、韓国製品の売り上げにつなげる――というビジネススタイルを、官民挙げて築きつつあるようだ。
日本は、海外で「クール」ともてはやされることに満足して、ビジネスに生かす発想と努力を欠いていたのではないか。
経産省が6月、クール・ジャパンを日本経済活性化の起爆剤の一つと位置づける「文化産業立国戦略」を策定したのも、そうした反省に立ったものだろう。
戦略では、海外展開に必要なノウハウも資金も不足している中小企業を対象に、商品開発から海外での販売契約まで一貫して支援する仕組みを整えることを盛り込んだ。着実に実施してほしい。
政府は従来、クール・ジャパンの関連産業の育成は経産省、文化交流は外務省、和食の海外PRは農林水産省という具合に、各省庁が縦割りで対応してきた。
これでは、「日本製イコール高品質」というブランドイメージが確立する欧米市場はまだしも、成長著しいアジア市場は韓国勢に席巻されかねない。
韓国に倣い、省庁別でなく、ファッションと映画、食文化と漫画といった分野横断型の連携を強化すべきだ。省庁の“垣根”が依然高いなら、閣僚など政務三役が政治主導で進める必要があろう。
日本のゲーム業界にとって最も忙しい9月がやってくる。8月31日に開幕する日本版ゲーム開発者会議「CEDEC」から始まって、9月16~19日の「東京ゲームショウ(TGS)2010」、さらに任天堂が単独開催する9月29日の「任天堂カンファレンス」まで、約1カ月に渡ってゲームの最新情報を発信するイベントが続くからだ。
なかでもメーンイベントは、東京ゲームショウだ。7月1日時点の主催者発表によると、出展予定は138社・団体で、総ブース数は昨年実績を約50上回る1410小間を見込んでいる。韓国、台湾、中国などアジア企業の参加が増えているという。
だが世界的にみれば、展示会としての東京ゲームショウは大きな岐路に立たされている。これまでのような開催スタイルをどこまで維持するかを問い直す時期にあるといっていいだろう。
例えば、現在発表されている展示会フロアには、日本を代表するソーシャルゲームのプラットフォーム企業であるディー・エヌ・エー(DeNA)、グリー、ミクシィの名はない。以前出展していたNTTドコモなどの携帯電話会社も見当たらなくなった。もちろん、任天堂は今年も出展しない。国内主要企業が出展メリットを見出せなければ、地盤沈下は避けようがない。
来場者と実際のユーザーにズレ
そもそもTGSは、家庭用ゲーム機向けゲームソフトの最新情報をユーザーに直接発信する場としてスタートした。第1回が開催された1996年当時、日本の家庭用ゲーム機市場は絶頂期を迎えつつあり、新作ゲームの情報を求めるユーザーのニーズは高かった。そのため、BtoCの機能に重点が置かれ、そのコンセプトは今も続いている。
家庭用ゲーム機向けゲームは、ゲームショップや家電量販店などを通じてパッケージソフトを販売するBtoBtoCのビジネスである。そのため出展する企業にとってTGSは、製品のプロモーションが主な狙いとなる。来場したユーザーのクチコミや各種メディアの報道によって期待を煽り、秋冬商戦の発売日につなげる。事実、09年も延べ18万人以上の来場者を集めており、一定のプロモーション効果があるのは間違いない。
ただ、来場者の属性を細かくみると、ゲーム企業の現在のニーズに合致しているか疑問な点もある。一般日来場者の地域属性は東京都内と神奈川、埼玉、千葉、茨城の4県で8割超を占め、他の地域はわずか13.3%に過ぎない。これは会場が幕張メッセ(千葉県)であることを考えれば当然ともいえるが、首都圏への依存度は高い。また、男女比も男性が73.9%、女性が26.1%と偏りがある。
これをグリーが発表している地域別のユーザー属性と比較するとおもしろい。8月13日に開示した2010年6月期決算説明会資料によると、首都圏のユーザーは33%で、それ以外が67%。男女比も男性が52%、女性が48%で、TGSに来るユーザーとはかなり違いがある。
展示会よりテレビCM
インターネットや携帯電話を基盤とするゲームサービスは、そのサービス自体をメディアとして使い、直接ユーザーに情報を送ることができる。05年前後には、パソコン系オンラインゲームの新興企業が続々とTGSに出展したこともあったが、現在はハンゲームのNHNなど日本でシェアを持つ企業はほとんど出展を見送っている。新規ユーザーに接触する最初のステップとしては、リアルなイベントより手っ取り早いテレビCMに資金をつぎ込むのが最近の傾向だ。
ビデオリサーチコムハウスの調査によると、今年7月のテレビCM広告主ランキングは、関東、関西、名古屋地区とも花王、サントリーに続く3、4位にグリーとDeNAが入った。テレビCMで全国のユーザーにリーチし、自社メディア、自社サービスに直接呼び込む戦略がはっきり見て取れる。
家庭用ゲーム機企業でさえ、その手法が主流になりつつある。最たる企業が任天堂で、サイト情報の充実ぶりは先端を走っている。「社長が訊く」のような自社製品のセルフインタビューや各種カンファレンスの中継、迅速な資料公開など、他媒体を必要としない量の情報がサイトから入手できる。
各種ゲームサイトがTGSに合わせて、高画質なプロモーション動画を公開する例も増えている。今年は、3次元(3D)立体視やモーションコントローラーなどがTGSの目玉になるだろうが、これらはむしろ例外で、ゲームの内容を理解するだけであれば、展示会場に足を運ぶ必要性は年々低下している。
商談機能を競う世界のゲーム展示会
では、TGSに今後求められる役割はあるのだろうか。一つ言えることは、BtoB機能へのいっそうのシフトであろう。
BtoCイベントとしてスタートしたTGSは、長年この機能が脆弱だった。海外からビジネス目的で来日するゲーム企業の関係者は毎年多いのだが、彼らが商談をする場がそもそもなく、だれがいつ来場しているのかという正確な情報もなかった。カナダ、英国、韓国など各国政府の支援事業でTGSに出展する企業も増えているが、展示ブースでは商談にならず日本企業の情報さえ得ることができないとの不満もよく聞く。
今、世界のゲーム展示会は、即効性のあるビジネスミーティングの場としていかに優位かを争う競争に入っている。ゲーム産業において世界同時開発、世界同時流通が一般化しつつあるためで、TGSの出遅れは相対的にも目立つ。
海外の商談会でこのところ特に存在感を高めているのは、年3回行われる「Game Connection」だ。ドイツで8月、フランスで11月、米国ではゲーム開発者会議(GDC)に合わせて3月に開催されており、その他の地域にも提携先を広げつつある。登録するだけで自動的に30分単位のミーティングスケジュールをセットしてくれるシステムなど利便性の高さが評価され、今年3月のGDCでは158社、600人が参加した。
海外のある政府系団体は「TGSにお金をかけて出展しなくても、GDCに出れば日本企業ともビジネスミーティングの場を持つことができて効率がいい」と語り、今年のTGSへの出展を見送っている。
今年の成功が重要に
もちろんTGSも手をこまぬいているわけではなく、今年は「ビジネスマッチングシステムの強化」を打ち出した。ビジネス展示用小ブースの「ビジネスソリューションコーナー」には約40社の出展があり、ミーティング専用に用意した「ビジネスミーティングコーナー」には約20社が登録した。また、日本、中国、台湾、韓国の経営者がアジア戦略について討議する「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット」を開催するなど、アジア市場重視の姿勢も打ち出している。
会期中に行われるカンファレンス「TGSフォーラム」には、ミクシィ、グリー、グーグル、NTTドコモなど、出展社ではない有力企業が多く登壇するという逆転現象が起きている。これらの企業が講演だけでなく、ビジネスの場として参加したいと感じられるようなTGSに変えていくことが必要だろう。TGSの効用を世界に認知させ日本のゲーム産業の盛り返しにつなげていくには、今年の成功がなにより重要になる。
ウォークマン、「悲願」のアイポッド超えへ 8月の国内販売 携帯音楽プレーヤーの8月の国内販売台数で、ソニーのウォークマンが米アップル社の「iPod(アイポッド)」を抜く見通しであることが29日、市場調査会社の調べで分かった。携帯音楽プレーヤー市場は平成13年の投入以来、アイポッドの独壇場だったが、後塵(こうじん)を拝してきたウォークマンが初めて「悲願」のトップを奪う。
市場関係者は、「iPhone(アイフォーン)」などのスマートフォン(高機能携帯電話)の登場で携帯電話で音楽を聴く層が増え、アイポッドの伸びが鈍化する一方で、音楽専用端末として音質を売りにするウォークマンの人気が高まっていると分析する。
市場調査会社のBCNによると、8月の携帯音楽プレーヤー国内市場は第1週にウォークマンが46.7%を記録し、アイポッドの45.7%を上回って首位に立った。第3週は47.4%とさらに市場シェアを上げ、「この流れが続く」(道越一郎アナリスト)見通し。
アイポッドは、一時はシェアが80%に迫る「独り勝ち」の状態だった。これに対し、ソニーは10年に投入したデジタル用「ウォークマン」が、ソニーの独自規格にしか対応しないなど、低迷した。
しかし、ウォークマンは16年以降、操作性を改善したうえ、ネット接続など多機能化を進めるアイポッドとは違う「音楽専用プレーヤー」に特化した販売戦略を取り、徐々に支持を回復してきた。
歌に合わせて歌詞が確認でき、スピーカーがセットのものもある現行の「Sシリーズ」モデルは、同じ容量のアイポッドに比べて1万円前後安いこともあって中高生に人気。21年8月には、1週間だけアイポッド超えを果たした。
高機能携帯電話に負けじと、携帯音楽プレーヤー市場は前年比1割近く拡大しており、「純粋に音楽だけを楽しむ層を開拓できている」とソニーは自信を深める。ただ、アップルは毎年9月にアイポッド新商品を投入している。「新製品待ちの買い控え」(道越アナリスト)との観測もあり、勝負は予断を許さない。
きょうにも追加緩和…日銀総裁、前倒し帰国
日本銀行は29日、臨時の金融政策決定会合を30日に開き、追加の金融緩和に踏み切る方針を固めた。
政府が31日にも決定する追加経済対策の基本方針に歩調を合わせる。急激な円高による景気の下ぶれを抑えるため、追加緩和により政府と一体となって経済を下支えする。日銀の白川方明総裁は30日、臨時会合後に菅首相と会談し、日銀の景気認識や金融政策運営について説明する方針だ。訪米中だった白川総裁は、当初の予定を1日前倒しして、29日夕に帰国した。
追加緩和策としては、年0・1%の固定金利で金融機関に資金供給する「新型オペ」(公開市場操作)の貸出期間を現在の3か月から6か月に延長するほか、資金供給の規模を20兆円から30兆円に増やすことを軸に検討する。
日銀は足元の景気情勢について「緩やかに回復しつつある」と判断してきたが、米経済の減速と円高の進行で、景気の先行きに対する警戒感を強めている。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加緩和に踏み切れば、日米の金利差が縮小し、円高が一段と進みかねない。日銀は追加緩和で金利を押し下げ、円高に歯止めをかける狙いもある。
レクサス、スペインのデザイナー起用などでテコ入れ 販売目標届かず
トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」が30日、平成17年の国内登場から、まる5年を迎える。累計販売台数は当初目標(年5万台)の約6割。同社はブランドイメージが浸透していないことが原因とみる。25日にはスペインのデザイナーを起用した特別仕様車を発売し、来年前半にはレクサス初の小型ハイブリッド車(HV)を投入。多彩な新車で購買層拡大へ巻き返しを図る。
レクサスは、トヨタが1989年に米国でスタートした高級車ブランドで、現在、約60カ国で展開。高品質と信頼性、販売店のきめ細かな接客が高く評価され、海外調査会社の高級車ブランドイメージ調査では常に上位にランクされている。日本では平成17年8月30日に販売を開始。セルシオ、ソアラなど人気上級車種を「レクサス」ブランドに統一し、高級車路線を前面に打ち出した。
だが、国内販売最多台数は19年の3万5千台。大原一夫常務役員は「輸入車の顧客層を取りたかったが、まだ、期待できるレベルではない。日本の高級車市場の壁は厚かった」と話す。
20年は世界同時不況の影響で2万6千台だったが、21年は2万8千台。今年1~6月累計は1万9千台と回復傾向をみせている。
回復の原動力となったのは、昨年から投入された新車だった。21年にレクサス初のSUV(スポーツ多目的車)の「RX」や「IS」のオープンカー仕様、初のHV専用車「HS250h」を発売。セダン中心から品ぞろえを増やし、新たな顧客層を開拓した。
これまで、日本の高級車市場はメルセデス・ベンツ(ドイツ)とBMW(同)の2強がシェアを占めてきた。だが、21年の日本国内の販売台数は、BMWが前年比19%減の約2万9千台、ベンツも同22%減の約2万8700台、レクサスは同8%増の約2万8千台と、ほぼ肩を並べた。
大原常務役員は「(デザイン性に優れた)感性に訴える車を出し、購買層を広げたい」と、意気込む。今後、週末などを中心に大型商業施設で展示商談会を開き、ブランドイメージの定着に力を注ぐという。
8月以降の急激な円高を背景に、ライバル2社は販促キャンペーンに出るとみられる。レクサスはHVを含む多彩な車種構成で需要をどれだけ掘り起こせるかが課題となる。
温暖化ガス排出量、大企業に上限
取引制度の環境省原案、輸出企業は緩和
政府が地球温暖化対策として導入を検討する国内排出量取引制度の原案が29日、判明した。大企業ごとに温暖化ガス排出量の上限を設けるほか、発展途上国や中小企業を支援して排出を減らした分を自社の削減分と見なすことを一部認める。国際競争にさらされる業種には排出枠を上乗せして削減の負担を軽減する措置も導入。企業活動への影響を緩和する方策を盛り込み、排出削減につなげる。
国内排出量取引制度は、企業が経済活動を通じて温暖化ガスを減らす制度。先の通常国会で廃案となった地球温暖化対策基本法案に創設が盛り込まれていた。政府は秋の臨時国会に法案を再提出する方針。法案では法律の施行から1年以内に同制度の具体的な設計をまとめるとしてあり、環境省が法案の成立をにらみ、今年4月から作業を進めていた。
原案は31日に開く中央環境審議会(環境相の諮問機関)の有識者委員会で示す。制度案を年内に固め、経済産業省などを加えた閣僚委員会を開いて正式に決める方向だ。
原案では排出量の上限を設けるのは一定量以上の温暖化ガスを排出する大企業とした。国内企業が工場などから出た二酸化炭素(CO2)などの量を国へ報告する「温暖化ガス排出量報告制度」などを参考に、上限を決める。排出量取引の開始は2013年度とした。
ドコモの敵を日本通信が取る
両社が急接近した本当の理由
NTTドコモにとって、正しく“渡りに船”の急展開だった。
8月23日、通信ベンチャーの日本通信は、世界中で売れている米アップルの高機能携帯電話iPhone4用の「SIMカード」を発表した。
iPhone4は、国内ではソフトバンクモバイルと回線契約をすることが義務づけられている。だが、国外で買ってきたSIMフリーのiPhone4に、26日から日本通信が出荷を開始するSIMカードを差し込めば、ソフトバンクよりもネットワークの品質がよいドコモの回線でiPhone4の機能をフルに使えるようになる。
たとえば、ソフトバンクは国内でiPhone4を販売するに当たり、通信ネットワークに過度の負担をかけないために、「テザリング」(iPhone4をPCのモデムとして使ってインターネットに接続すること)の機能をはずしていた。
だが、日本通信のSIMカードであれば、ドコモの3Gネットワーク(FOMA網)が使えるので、海外のiPhone4同様に、手持ちのPCと連携しながら、本来の機能を楽しむことが可能になる。
じつは、ドコモは、今年の5月5日、大型連休最後の日に大きな決断をした。というのも、アップルの多機能データ通信端末のiPadが、当初予想していたSIMフリーの端末ではなく、ソフトバンクからSIMロックされた状態で独占的に発売されるという情報が入ったからだった。
このとき、本社に集合した山田隆持社長以下のドコモ役員は、iPadと一緒に使うことが可能な「携帯型無線LANルーター」の増産を決定した。これは、NTTブロードバンドプラットフォームが企画した小型中継機で、ドコモの夏商戦で市場に投入された。
このルーターを使えば、ドコモの3.5世代携帯電話網(HSDPA)と、全国各地にある公衆無線LAN(WiFi接続)のいずれかの電波をキャッチして、受信状況に応じてネットワークを切り替えられる。ターゲットは、ズバリiPadの通信料金の獲得だった。
そして、ドコモは、iPadを自ら販売することを希望していたので、海外と同じ仕様のSIMフリー端末に対する準備を水面下で進めていた。と同時に、アップルの機器に適合するSIM(マイクロSIM)も2万枚以上手配していた。結局、無用となったSIMは、今回、ドコモが日本通信に貸与するという格好で、iPhone4用のSIMとして復活した。
両社が急接近した理由は、通信キャリアであるドコモ側が、自分たちの回線を借りて商売している日本通信のようなMVNO(仮想移動体通信事業者)のサービスに対する見方を改めたからだ。
匿名が条件のあるドコモ幹部は、きっぱりとこう語る。「少し前まで、MVNOは、自分たちの畑(既得権益)を荒らす存在だと敵視していた。だが、ドコモが逆立ちしてもできないことが可能な日本通信と連携すれば、結果的にドコモの回線契約数を増やしてくれる」。
かねて日本通信の三田聖二社長は、「端末と通信回線を選べる自由な市場をつくるべき」と主張してきた。快進撃を続けるソフトバンクにとっては、手強い“連合軍”の誕生である。
クール・ジャパン 海外の人気を成長に生かせ(8月30日付・読売社説)
海外での日本ブームは「クール(かっこいい)・ジャパン」と呼ばれている。これを企業の海外進出につなげることに、もっと知恵を絞りたい。
日本のアニメや漫画は海外の若者から絶大な人気を得ている。ファッションの注目度も高い。すしなどの和食は「健康にいい」と好評だ。
しかし、その人気が、必ずしも日本の関連産業の海外展開に結びついていない。アニメ産業は中小零細企業が圧倒的で、繊維産業の輸出も伸びていない。世界で急増する和食レストランも、その多くが日本人以外の経営だ。
日本がせっかくの人気を経済成長に生かせないのとは対照的に、アジア各地で存在感を増しているのが韓国である。
経済産業省の報告書によると、香港、バンコク、シンガポールなどのCD・DVD売り場は、韓国ドラマや韓国人歌手らのKポップがあふれている。中国では「韓国のユニクロ」と言われるファッション企業が売り上げを急速に伸ばしている。
韓国ドラマが人気を得ると、韓流スターの着こなすファッションを売り込み、「韓国ブランド」の向上をテコに、韓国製品の売り上げにつなげる――というビジネススタイルを、官民挙げて築きつつあるようだ。
日本は、海外で「クール」ともてはやされることに満足して、ビジネスに生かす発想と努力を欠いていたのではないか。
経産省が6月、クール・ジャパンを日本経済活性化の起爆剤の一つと位置づける「文化産業立国戦略」を策定したのも、そうした反省に立ったものだろう。
戦略では、海外展開に必要なノウハウも資金も不足している中小企業を対象に、商品開発から海外での販売契約まで一貫して支援する仕組みを整えることを盛り込んだ。着実に実施してほしい。
政府は従来、クール・ジャパンの関連産業の育成は経産省、文化交流は外務省、和食の海外PRは農林水産省という具合に、各省庁が縦割りで対応してきた。
これでは、「日本製イコール高品質」というブランドイメージが確立する欧米市場はまだしも、成長著しいアジア市場は韓国勢に席巻されかねない。
韓国に倣い、省庁別でなく、ファッションと映画、食文化と漫画といった分野横断型の連携を強化すべきだ。省庁の“垣根”が依然高いなら、閣僚など政務三役が政治主導で進める必要があろう。
アナリストに聞く、ドコモのiモード版ドコモマーケットをどう見る
個人の取り込みは大きな転換、ようやく当たり前の世界に
野村證券 金融経済研究所 企業調査二部 情報通信産業調査室長
主席研究員 増野 大作氏
個人の開発者がビジネスとしてアプリをどんどん提供してそれが受け入れられるような循環になればいいが、現状はそうした循環になる前の段階。iアプリ版をスタートする前段階として、既にスタートしているAndroid版のドコモマーケット自体がきちんと育っていくのかどうか、そこを見ていかないといけないという印象を持っている。
個人開発者を取り込む場合、今の公式と非公式の基準がどうなるのかも気になる。公式サイトになるには審査のために200ページ程度の書類の提出が必要。ハードルを下げるのであれば、公式と非公式の区別の意味がなくなる。法人と個人で別の審査基準を用意するのか。(ほとんど審査らしい審査がない)Android Marketと同じ感覚というなら全部OKということになる。その辺をどうすみ分けるのか現時点ではイメージしにくい。
ただ、iモードは個人には開かれていない閉ざされた市場だと一般に見られていたため、今回のような動きはいいことではないか。個人の創造力なり活力を利用するのはありだと思う。
今モバイルアプリの開発者は、モバゲータウンやGREEの方を向いているのではないか。「ニフティクラウド」のユーザーはほとんどモバゲータウンのアプリを開発している人たち。「IIJ GIO」のユーザーにもGREEのアプリを開発している人は多い。
いわゆるガラケー(スマートフォンではない普通の携帯電話)向けアプリのプラットフォーマ―は、通信事業者だけではなくなっている。グリー、DeNA、ミクシィがプラットフォーマーとして登場している。今起こっているのは、ガラケー向けにiモードアプリを出すのではなく、ガラケー向けにGREE、モバゲータウンのアプリを出しているという状況。それを何とかするためには、当然何でもやったほうがいい。
NTTドコモにすれば個人を取り込むことは大きな転換だ。ただスマートフォンの世界でいえば当たり前の世界。そういう当たり前の世界がようやく出てきたことになる。(談)
アプリ開発の制限を取り払っていくことが大事
バークレイズ・キャピタル証券 株式調査部
ディレクター 津坂 徹郎氏
iアプリを開発するための仕様は公開されてはいるが、個人がアイデアを思い付いてアプリを開発し、世に出そうとしても課金や決済にハードルがあった。勝手サイトで無料で配っていたりするが、一般ユーザーはそこにたどり着くまでが大変で、ものすごく限定的なマーケット。ユーザーから見ると、App StoreやAndroid Marketの方が広がりがあるということになる。それがiモードでできるとなると、App StoreやAndroid Marketで展開されている面白いアプリがiモード側に移植されるかもしれない。
現状のドコモマーケットはAndroidアプリのレコメンドサイト。そこでレコメンドされているアプリをiモードに移植するといったことも考えられる。今までのiアプリで提供されていなかったようなアプリが流通する可能性がある。ユーザー数でいえば今年NTTドコモが仮に100万台スマートフォンを販売したところで、NTTドコモのスマートフォン稼働数は150万程度。一方いわゆるガラケーは約5000万。全然マーケット規模が違う。
ガラケーとスマートフォンは今は区別されている。これらの境目がなくなってくるような業界の流れがあるとすれば、「iモードだからこれ」とこだわっているより、いろいろなアプリを扱うマーケットプレイスを拡大したほうがいいという考えがあるかもしれない。
ドコモマーケットに多くのアプリを呼び込むには、アプリを開発するうえでの制限を取り払っていくことが大事だ。単に「市場が大きい」と訴えたところで、AndroidやiPhone向けにアプリを開発している人たちにとって魅力がなければ、「だったらもう一つiPhoneのアプリを作ろう」ということになる。
支援ツールで実際どれだけのことができるかは現時点ではわからないが、「こんな制限がある、あんな制限がある」となっていくと、わざわざiアプリを開発しなくてもいいのではないか、となってしまう。仮にFeliCaの機能をオープンにできるのであれば、AndroidやiPhoneにはない世界なだけに、逆に興味を持ってもらえるのではないか。今端末がネイティブに持っている機能を工夫次第でフルに使わせるようなことをしないと、クリエイターは乗ってこないだろう。(談)
「ガラケーだから」「スマートフォンだから」という意識は無意味
UBS証券 株式調査部
シニア アナリスト マネージング ディレクター 乾 牧夫氏
オープンにすることでサンデープログラマのような個人開発者が今より増えるだろう。ただし、アプリの提供のために、個人でサーバーを運用して、NTTドコモのサーバーと接続試験をやる、といったことをするのは難しい。そこでNTTドコモがホスティングサービスを個人に提供する。
ホスティングすることによってNTTドコモとしては、iモードのコンテンツ代金回収の手数料率を現状の9%よりも高く設定できるようになるだろう。ただし、NTTドコモの収益源という意味ではあまりインパクトはない。兆円単位のパケット代がある中で、コンテンツの回収代行は200億円くらい。そこから見れば誤差の世界だ。
NTTドコモはプラットフォームの価値を落とさないために(オープン化などの施策を)やるのだろう。現状、サンデープログラマなど個人の開発者はiPhoneなり、Androidなりをより優先して開発するようになってしまった。そういった開発者が、再びiモード向けにアプリを提供したいと思うようなプラットフォームにするということだと考えている。
一方で「これはApp Storeだけ」「これはiモードだけ」ではなく全部に提供できればいいと考えるのが開発者だ。今回の施策は、NTTドコモが「ガラケーだから」「スマートフォンだから」ということを意識してほしくない、というメッセージでもあると思う。
コンテンツを提供する人にとっては、iモードだろうがiPhoneだろうがAndroidだろうが、差分がそんなにないのであれば、マルチプラットフォームでやったほうがいいに決まっている。今までできなかったのは課金手段がなかったことも一因だろう。
今回の施策では個人開発者に課金手段を提供する。これまでもクレジットカードをユーザーに使ってもらうという手段はあったが、クレジットカード番号を携帯で打ち込む人は少ないし、クレジットカードの所有には年齢制限もある。今回の施策であれば料金回収代行で未成年にも課金できる。(談)
アイフォーン「無料アプリ1位」 開発者は15歳の灘中生だった
米アップルの多機能携帯電話「アイフォーン(iPhone)」向けのアプリケーションは、20万個を超え、日々増加している。その中には、中学生がつくったヒット商品も見られる。
無料で配信して広告収入を得ている中学生や、有料アプリで稼いだお金でグランドピアノを買ったという15歳。日本で、海外で、「カリスマ中高生」のアプリ開発者が活躍している。
広告を導入、収入を全額ユニセフに寄付
性別を選び、身長と体重を入力すると、理想の体重と必要摂取カロリーの数値が表示される「健康計算機」。シンプルなつくりだが、無料アプリのダウンロードで一時は3位にランクインし、「メディカル」部門で2010年3月に1位に輝いた。ダウンロードされた回数は、既に18万回を突破したという。
アプリを制作したのは、神戸市に住むTehu君。名門・灘中学に通う現役中学生だ。将来は米スタンフォード大学へ進学し、プログラマーになるのが夢。マイブームすらも「アイフォーンのアプリ開発」とブログに綴るほど、プログラム好きのようだ。
「健康計算機」は無料アプリで配信しているため、収入はゼロ。無料にした理由を本人に聞くと、「有料にしてもよいクオリティーのものができていない」と話す。一方Tehu君は、このアプリに広告を導入し、その収入を全額ユニセフに寄付している。10年4月には、広告収入およそ2万円を寄付したとブログで公表した。8月時点では、金額はさらに増えているとTehu君。広告収入を「お小遣い」にしてもよさそうだが、「自分では使い道がありませんし、溜め込むくらいなら寄付したほうが人の役に立てると思って」と打ち明けた。
「アプリ長者」とはいかないが、中学生のアプリ開発者として、テレビや雑誌と複数のメディアに取り上げられているTehu君。アイフォーンやネット関連のイベントに積極的に参加し、プレゼンも行うようだ。ブログには「取材申し込みはメールでお願いします」との欄まである。将来のビジョンを聞くと、「米国で、時代のニーズに合った企業をつくりたい」と明快だ。中学生とは思えないバイタリティーのTehu君に対して、2ちゃんねるでは揶揄する声もあるが、
「正直うらやましいなぁ・・・」
「こういうやつこそ日本を動かしてもらいたい」
「俺もWindows Mobileで開発したいんだがどうやるの?教えて!」
と、その行動力に感心する書き込みも見られた。
「どれだけ目立つかが勝負」
海外にも、アイフォーンアプリで収入を得る中高生がいる。米カリフォルニア州のピアース・フリーマン君は14歳。独自でプログラムを学び、10年7月に最初のアプリを99セントでリリースした。米誌「フォーブス」にも取り上げられたほどだ。中東・クウェートのアブドゥラマン・アルザンキ君も14歳で、無料、有料と複数のゲームアプリを配信している。
2人を上回るのが、米コネチカット州の地方紙のウェブサイトで紹介されたブライアン・クランプトン君だ。現在15歳のブライアン君が初めてアプリをつくったのは08年12月。以来、222個のアプリを制作し、ダウンロードされた回数は5万以上、売り上げは約3万5000ドル(約301万円)に上るという。これらのアプリの値段は、ひとつ70セントから1ドル99セントに設定されており、全額寄付しているTehu君とは違って、純粋な「儲け」となっているようだ。
現在、アップルが配信するアプリの数は20万本を超える。あるアプリ開発者に聞くと、たとえ無料でも本数が多すぎて埋もれてしまい、ダウンロードさえしてもらえないのが実情のようだ。ユーザーに届くには「どれだけ目立つかが勝負」と言う。
「カリスマ中高生のアプリ」となれば話題性十分なので、メディアやブログで取り上げられやすい。人気ランキング上位にランクされればさらに人気を呼んで、集客力は抜群だ。100円のアプリでも、何万回もダウンロードされれば「億万長者」になるのも夢ではない。Tehu君のように、短期的な金銭を得ないとしても、今のうちにメディアに露出しておくことで将来的な仕事につながる期待がもて、さらには起業を支援する人が出てくるかもしれない。
彼ら中高生開発者から「未来のスティーブ・ジョブズ」が出てくるかどうか、これからは話題性でなく、その力量も問われていくことになろう。
【東京新聞社説】
週のはじめに考える 歴史とリーダーシップ
2010年8月29日
政治家のリーダーシップが問われています。歴史の中で政治家に求められる資質とは何でしょうか。どういう人物を国民は望むべきなのでしょうか。
リーダー論は、欧米でも最近盛んだったようです。英国では首相と連立相手の副首相がともに四十三歳と若い政権が生まれ、米国ではあのオバマ大統領の人気が陰りぎみです。
英国の政権交代のすぐ後、世界的ベストセラー「大国の興亡」の著者で歴史学者のポール・ケネディ氏が英字紙(インターナショナル・ヘラルド・トリビューン)に寄稿していました。題は「歴史はリーダーがつくるのか、それとも出来事がつくるのか」。
首相チャーチルの功績
彼が例示に持ち出したのは、英国の戦勝首相チャーチルでした。演説や言葉の修辞の才能は素晴らしかったとまず評しています。それがなえがちな兵士も国民もおおいに奮い立たせたのでした。
寄稿はチャーチルの行動力にも及んでいます。近くはドイツの爆撃に遭ったロンドンの貧困地域へすぐに行って慰め、遠くはエジプト駐留部隊を電撃訪問し励ましています。この種の現地訪問は、今では宣伝臭が強くなっていますが(だから悪くすると点数稼ぎに見られることもあるのですが)チャーチルの時代には多くはなかったでしょう。意図はともかく指導者の思いを率直に伝える手段と受け止められたはずです。
しかし…、と歴史家の立場からケネディ氏は、冷たく言うのです。チャーチルは確かに膨大な仕事をしたが、歴史の潮流は変えられなかったではないか、と。戦争に勝ちはしたが、英国はインドなどの植民地を失い小島国として再出発しただけではないか、と。
見いだされた首相吉田
実際、戦争の勝敗にかかわらず帝国主義を終わらせたのは歴史の力強い流れでした。ここには、政治リーダーたちは精いっぱい努力しても、歴史の流れを変えるまでには至らないという、歴史学者ならではの抑制のきいた主張がうかがえます。もう少し踏み込むなら、歴史の流れを変えようというようなリーダーを待望するのはよしなさいというわけです。
英国がチャーチルなら日本には吉田茂首相がいました。戦後、日米関係を基軸に据え、再軍備を拒み、天皇制を維持し自ら「臣茂」と称していました。それらは国民大方の支持するところでした。
吉田といえば、あの独特のスタイルが思い出されます。国民がまだひもじい思いのころ、高価な葉巻をくわえ、折り目の立ったはかま、真っ白な足袋、それにステッキといういでたちです。その和洋折衷の不思議な姿は戦前の強くて富んだ日本を象徴していました。つまり連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーとの交渉を意識したものといわれます。
吉田は、明治の元勲大久保利通の次男、牧野伸顕の女婿です。古き強き日本を内外に思い出させる必要があったのです。チャーチルの演説のごとく、日本国民を心強くさせたのではないでしょうか。外交官吉田は政界で煙たがられた分、国民との距離を熟知していました。寄席好きは有名ですが、犬を連れて散歩する写真を見た少女から「子犬を分けてください」という手紙を受け取って、それを実行したのは、チャーチルの英国風ユーモアを思わせます。
歴史学の見地に立てば、吉田は日本敗戦という出来事に見いだされたと言ってもいいのではないでしょうか。彼の首相在任は合計二千六百十六日。憲政史上では桂太郎の二千八百八十六日、佐藤栄作の二千七百九十八日、伊藤博文の二千七百二十日に次ぐ四位。期間は歴史がそれぞれの使命に与えた時間でしょう。
米国のオバマ大統領は、歴史が命じたかのように初の黒人大統領となり、次いで「核なき世界」を唱えました。歴史が彼を必要とし、民衆は彼の歴史認識を熱く支持したのです。
日本は歴史的危機にあります。昨年の政権交代は歴史の必然であり、リーダーシップが発揮される好機だったのですが、そうはなりませんでした。政治は停滞し、少子高齢化は進み、指針なき経済は世界から取り残されそうです。
共に歩むという意味
その揚げ句の今度の民主党代表選には、国民と共に歩むという意味のリーダーシップはかけらも見えません。同様の先進国病に悩むドイツではメルケル首相が長期政権を率い、その口癖は「辛(つら)い仕事をしてゆくしかない」。ドイツ国民はその堅実と忍耐を理解しています。歴史を見るとは現実をよく見ること。夢想より足元を見るということです。それを政治家が国民に説き理解をえて共に歩む時、リーダーシップという言葉はやっと意味と力を帯びるのです。
個人の取り込みは大きな転換、ようやく当たり前の世界に
野村證券 金融経済研究所 企業調査二部 情報通信産業調査室長
主席研究員 増野 大作氏
個人の開発者がビジネスとしてアプリをどんどん提供してそれが受け入れられるような循環になればいいが、現状はそうした循環になる前の段階。iアプリ版をスタートする前段階として、既にスタートしているAndroid版のドコモマーケット自体がきちんと育っていくのかどうか、そこを見ていかないといけないという印象を持っている。
個人開発者を取り込む場合、今の公式と非公式の基準がどうなるのかも気になる。公式サイトになるには審査のために200ページ程度の書類の提出が必要。ハードルを下げるのであれば、公式と非公式の区別の意味がなくなる。法人と個人で別の審査基準を用意するのか。(ほとんど審査らしい審査がない)Android Marketと同じ感覚というなら全部OKということになる。その辺をどうすみ分けるのか現時点ではイメージしにくい。
ただ、iモードは個人には開かれていない閉ざされた市場だと一般に見られていたため、今回のような動きはいいことではないか。個人の創造力なり活力を利用するのはありだと思う。
今モバイルアプリの開発者は、モバゲータウンやGREEの方を向いているのではないか。「ニフティクラウド」のユーザーはほとんどモバゲータウンのアプリを開発している人たち。「IIJ GIO」のユーザーにもGREEのアプリを開発している人は多い。
いわゆるガラケー(スマートフォンではない普通の携帯電話)向けアプリのプラットフォーマ―は、通信事業者だけではなくなっている。グリー、DeNA、ミクシィがプラットフォーマーとして登場している。今起こっているのは、ガラケー向けにiモードアプリを出すのではなく、ガラケー向けにGREE、モバゲータウンのアプリを出しているという状況。それを何とかするためには、当然何でもやったほうがいい。
NTTドコモにすれば個人を取り込むことは大きな転換だ。ただスマートフォンの世界でいえば当たり前の世界。そういう当たり前の世界がようやく出てきたことになる。(談)
アプリ開発の制限を取り払っていくことが大事
バークレイズ・キャピタル証券 株式調査部
ディレクター 津坂 徹郎氏
iアプリを開発するための仕様は公開されてはいるが、個人がアイデアを思い付いてアプリを開発し、世に出そうとしても課金や決済にハードルがあった。勝手サイトで無料で配っていたりするが、一般ユーザーはそこにたどり着くまでが大変で、ものすごく限定的なマーケット。ユーザーから見ると、App StoreやAndroid Marketの方が広がりがあるということになる。それがiモードでできるとなると、App StoreやAndroid Marketで展開されている面白いアプリがiモード側に移植されるかもしれない。
現状のドコモマーケットはAndroidアプリのレコメンドサイト。そこでレコメンドされているアプリをiモードに移植するといったことも考えられる。今までのiアプリで提供されていなかったようなアプリが流通する可能性がある。ユーザー数でいえば今年NTTドコモが仮に100万台スマートフォンを販売したところで、NTTドコモのスマートフォン稼働数は150万程度。一方いわゆるガラケーは約5000万。全然マーケット規模が違う。
ガラケーとスマートフォンは今は区別されている。これらの境目がなくなってくるような業界の流れがあるとすれば、「iモードだからこれ」とこだわっているより、いろいろなアプリを扱うマーケットプレイスを拡大したほうがいいという考えがあるかもしれない。
ドコモマーケットに多くのアプリを呼び込むには、アプリを開発するうえでの制限を取り払っていくことが大事だ。単に「市場が大きい」と訴えたところで、AndroidやiPhone向けにアプリを開発している人たちにとって魅力がなければ、「だったらもう一つiPhoneのアプリを作ろう」ということになる。
支援ツールで実際どれだけのことができるかは現時点ではわからないが、「こんな制限がある、あんな制限がある」となっていくと、わざわざiアプリを開発しなくてもいいのではないか、となってしまう。仮にFeliCaの機能をオープンにできるのであれば、AndroidやiPhoneにはない世界なだけに、逆に興味を持ってもらえるのではないか。今端末がネイティブに持っている機能を工夫次第でフルに使わせるようなことをしないと、クリエイターは乗ってこないだろう。(談)
「ガラケーだから」「スマートフォンだから」という意識は無意味
UBS証券 株式調査部
シニア アナリスト マネージング ディレクター 乾 牧夫氏
オープンにすることでサンデープログラマのような個人開発者が今より増えるだろう。ただし、アプリの提供のために、個人でサーバーを運用して、NTTドコモのサーバーと接続試験をやる、といったことをするのは難しい。そこでNTTドコモがホスティングサービスを個人に提供する。
ホスティングすることによってNTTドコモとしては、iモードのコンテンツ代金回収の手数料率を現状の9%よりも高く設定できるようになるだろう。ただし、NTTドコモの収益源という意味ではあまりインパクトはない。兆円単位のパケット代がある中で、コンテンツの回収代行は200億円くらい。そこから見れば誤差の世界だ。
NTTドコモはプラットフォームの価値を落とさないために(オープン化などの施策を)やるのだろう。現状、サンデープログラマなど個人の開発者はiPhoneなり、Androidなりをより優先して開発するようになってしまった。そういった開発者が、再びiモード向けにアプリを提供したいと思うようなプラットフォームにするということだと考えている。
一方で「これはApp Storeだけ」「これはiモードだけ」ではなく全部に提供できればいいと考えるのが開発者だ。今回の施策は、NTTドコモが「ガラケーだから」「スマートフォンだから」ということを意識してほしくない、というメッセージでもあると思う。
コンテンツを提供する人にとっては、iモードだろうがiPhoneだろうがAndroidだろうが、差分がそんなにないのであれば、マルチプラットフォームでやったほうがいいに決まっている。今までできなかったのは課金手段がなかったことも一因だろう。
今回の施策では個人開発者に課金手段を提供する。これまでもクレジットカードをユーザーに使ってもらうという手段はあったが、クレジットカード番号を携帯で打ち込む人は少ないし、クレジットカードの所有には年齢制限もある。今回の施策であれば料金回収代行で未成年にも課金できる。(談)
アイフォーン「無料アプリ1位」 開発者は15歳の灘中生だった
米アップルの多機能携帯電話「アイフォーン(iPhone)」向けのアプリケーションは、20万個を超え、日々増加している。その中には、中学生がつくったヒット商品も見られる。
無料で配信して広告収入を得ている中学生や、有料アプリで稼いだお金でグランドピアノを買ったという15歳。日本で、海外で、「カリスマ中高生」のアプリ開発者が活躍している。
広告を導入、収入を全額ユニセフに寄付
性別を選び、身長と体重を入力すると、理想の体重と必要摂取カロリーの数値が表示される「健康計算機」。シンプルなつくりだが、無料アプリのダウンロードで一時は3位にランクインし、「メディカル」部門で2010年3月に1位に輝いた。ダウンロードされた回数は、既に18万回を突破したという。
アプリを制作したのは、神戸市に住むTehu君。名門・灘中学に通う現役中学生だ。将来は米スタンフォード大学へ進学し、プログラマーになるのが夢。マイブームすらも「アイフォーンのアプリ開発」とブログに綴るほど、プログラム好きのようだ。
「健康計算機」は無料アプリで配信しているため、収入はゼロ。無料にした理由を本人に聞くと、「有料にしてもよいクオリティーのものができていない」と話す。一方Tehu君は、このアプリに広告を導入し、その収入を全額ユニセフに寄付している。10年4月には、広告収入およそ2万円を寄付したとブログで公表した。8月時点では、金額はさらに増えているとTehu君。広告収入を「お小遣い」にしてもよさそうだが、「自分では使い道がありませんし、溜め込むくらいなら寄付したほうが人の役に立てると思って」と打ち明けた。
「アプリ長者」とはいかないが、中学生のアプリ開発者として、テレビや雑誌と複数のメディアに取り上げられているTehu君。アイフォーンやネット関連のイベントに積極的に参加し、プレゼンも行うようだ。ブログには「取材申し込みはメールでお願いします」との欄まである。将来のビジョンを聞くと、「米国で、時代のニーズに合った企業をつくりたい」と明快だ。中学生とは思えないバイタリティーのTehu君に対して、2ちゃんねるでは揶揄する声もあるが、
「正直うらやましいなぁ・・・」
「こういうやつこそ日本を動かしてもらいたい」
「俺もWindows Mobileで開発したいんだがどうやるの?教えて!」
と、その行動力に感心する書き込みも見られた。
「どれだけ目立つかが勝負」
海外にも、アイフォーンアプリで収入を得る中高生がいる。米カリフォルニア州のピアース・フリーマン君は14歳。独自でプログラムを学び、10年7月に最初のアプリを99セントでリリースした。米誌「フォーブス」にも取り上げられたほどだ。中東・クウェートのアブドゥラマン・アルザンキ君も14歳で、無料、有料と複数のゲームアプリを配信している。
2人を上回るのが、米コネチカット州の地方紙のウェブサイトで紹介されたブライアン・クランプトン君だ。現在15歳のブライアン君が初めてアプリをつくったのは08年12月。以来、222個のアプリを制作し、ダウンロードされた回数は5万以上、売り上げは約3万5000ドル(約301万円)に上るという。これらのアプリの値段は、ひとつ70セントから1ドル99セントに設定されており、全額寄付しているTehu君とは違って、純粋な「儲け」となっているようだ。
現在、アップルが配信するアプリの数は20万本を超える。あるアプリ開発者に聞くと、たとえ無料でも本数が多すぎて埋もれてしまい、ダウンロードさえしてもらえないのが実情のようだ。ユーザーに届くには「どれだけ目立つかが勝負」と言う。
「カリスマ中高生のアプリ」となれば話題性十分なので、メディアやブログで取り上げられやすい。人気ランキング上位にランクされればさらに人気を呼んで、集客力は抜群だ。100円のアプリでも、何万回もダウンロードされれば「億万長者」になるのも夢ではない。Tehu君のように、短期的な金銭を得ないとしても、今のうちにメディアに露出しておくことで将来的な仕事につながる期待がもて、さらには起業を支援する人が出てくるかもしれない。
彼ら中高生開発者から「未来のスティーブ・ジョブズ」が出てくるかどうか、これからは話題性でなく、その力量も問われていくことになろう。
【東京新聞社説】
週のはじめに考える 歴史とリーダーシップ
2010年8月29日
政治家のリーダーシップが問われています。歴史の中で政治家に求められる資質とは何でしょうか。どういう人物を国民は望むべきなのでしょうか。
リーダー論は、欧米でも最近盛んだったようです。英国では首相と連立相手の副首相がともに四十三歳と若い政権が生まれ、米国ではあのオバマ大統領の人気が陰りぎみです。
英国の政権交代のすぐ後、世界的ベストセラー「大国の興亡」の著者で歴史学者のポール・ケネディ氏が英字紙(インターナショナル・ヘラルド・トリビューン)に寄稿していました。題は「歴史はリーダーがつくるのか、それとも出来事がつくるのか」。
首相チャーチルの功績
彼が例示に持ち出したのは、英国の戦勝首相チャーチルでした。演説や言葉の修辞の才能は素晴らしかったとまず評しています。それがなえがちな兵士も国民もおおいに奮い立たせたのでした。
寄稿はチャーチルの行動力にも及んでいます。近くはドイツの爆撃に遭ったロンドンの貧困地域へすぐに行って慰め、遠くはエジプト駐留部隊を電撃訪問し励ましています。この種の現地訪問は、今では宣伝臭が強くなっていますが(だから悪くすると点数稼ぎに見られることもあるのですが)チャーチルの時代には多くはなかったでしょう。意図はともかく指導者の思いを率直に伝える手段と受け止められたはずです。
しかし…、と歴史家の立場からケネディ氏は、冷たく言うのです。チャーチルは確かに膨大な仕事をしたが、歴史の潮流は変えられなかったではないか、と。戦争に勝ちはしたが、英国はインドなどの植民地を失い小島国として再出発しただけではないか、と。
見いだされた首相吉田
実際、戦争の勝敗にかかわらず帝国主義を終わらせたのは歴史の力強い流れでした。ここには、政治リーダーたちは精いっぱい努力しても、歴史の流れを変えるまでには至らないという、歴史学者ならではの抑制のきいた主張がうかがえます。もう少し踏み込むなら、歴史の流れを変えようというようなリーダーを待望するのはよしなさいというわけです。
英国がチャーチルなら日本には吉田茂首相がいました。戦後、日米関係を基軸に据え、再軍備を拒み、天皇制を維持し自ら「臣茂」と称していました。それらは国民大方の支持するところでした。
吉田といえば、あの独特のスタイルが思い出されます。国民がまだひもじい思いのころ、高価な葉巻をくわえ、折り目の立ったはかま、真っ白な足袋、それにステッキといういでたちです。その和洋折衷の不思議な姿は戦前の強くて富んだ日本を象徴していました。つまり連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーとの交渉を意識したものといわれます。
吉田は、明治の元勲大久保利通の次男、牧野伸顕の女婿です。古き強き日本を内外に思い出させる必要があったのです。チャーチルの演説のごとく、日本国民を心強くさせたのではないでしょうか。外交官吉田は政界で煙たがられた分、国民との距離を熟知していました。寄席好きは有名ですが、犬を連れて散歩する写真を見た少女から「子犬を分けてください」という手紙を受け取って、それを実行したのは、チャーチルの英国風ユーモアを思わせます。
歴史学の見地に立てば、吉田は日本敗戦という出来事に見いだされたと言ってもいいのではないでしょうか。彼の首相在任は合計二千六百十六日。憲政史上では桂太郎の二千八百八十六日、佐藤栄作の二千七百九十八日、伊藤博文の二千七百二十日に次ぐ四位。期間は歴史がそれぞれの使命に与えた時間でしょう。
米国のオバマ大統領は、歴史が命じたかのように初の黒人大統領となり、次いで「核なき世界」を唱えました。歴史が彼を必要とし、民衆は彼の歴史認識を熱く支持したのです。
日本は歴史的危機にあります。昨年の政権交代は歴史の必然であり、リーダーシップが発揮される好機だったのですが、そうはなりませんでした。政治は停滞し、少子高齢化は進み、指針なき経済は世界から取り残されそうです。
共に歩むという意味
その揚げ句の今度の民主党代表選には、国民と共に歩むという意味のリーダーシップはかけらも見えません。同様の先進国病に悩むドイツではメルケル首相が長期政権を率い、その口癖は「辛(つら)い仕事をしてゆくしかない」。ドイツ国民はその堅実と忍耐を理解しています。歴史を見るとは現実をよく見ること。夢想より足元を見るということです。それを政治家が国民に説き理解をえて共に歩む時、リーダーシップという言葉はやっと意味と力を帯びるのです。
ドコモ「iモード版ドコモマーケットの審査のハードルは低く、App Storeに負けない速さで」
NTTドコモは2010年11月にもiモード版ドコモマーケットを開設する。アプリをNTTドコモのサーバーでホスティングし、個人開発者にもiモード課金を開放する計画だ。従来のiモードのあり方からは大きく踏み出すことになる。NTTドコモは、この施策をなぜ実施するのだろうか。NTTドコモ コンシューマサービス部 ネットサービス企画担当部長 前田義晃氏に聞いた。
公式サイトとの比較で言えば、iモード版ドコモマーケットの審査のハードルは極端に低くなります。Android Marketのようなほぼ無審査に近い状況ではないにせよ、iPhoneのApp Store並みの基準にはなると思います。
申請から公開までの期間も、App Storeに負けないくらい迅速にします。今回はドコモがアプリをホスティングを提供してアプリを預かる形になります。アプリ自体をいただいて、ガイドラインに抵触していないかどうかを簡単に調べることができるので、迅速に審査できるのです。具体的には1週間程度を目指します。審査のガイドラインは、8月中にも公開する予定です。
ドコモが徴収する決済手数料は。
現在の公式サイトでは、アプリケーションはコンテンツプロバイダーが用意するサーバーに置いてあります。これに対し、iモード版ドコモマーケットではドコモのサーバー側で管理します。さらに、現在の公式サイトではアプリの代金の債権はコンテンツプロバイダーが持ち、回収できなかった場合はコンテンツプロバイダーの損金になります。これに対し、iモード版ドコモマーケットでは債権はNTTドコモが持ち、貸し倒れた場合のリスクはドコモが負います。これら、ホスティングや回収リスクのコストにより、手数料は現在の公式サイトの料率である9%よりもどうしても高くなります。
しかし、手数料収入の拡大が狙いではありません。ドコモのiモード決済手数料収入は、通信料収入に比べればきわめて小さいのです。収入面での主な目的は、あくまでも通信料収入の拡大です(編注:ドコモ 代表取締役社長 山田隆持氏はApp StoreやAndroid Marketより手数料率を低く設定すると発言している)。
無料のアプリもiモード版ドコモマーケットに登録できますか。
無料のアプリも登録できます。無料アプリに広告を掲載することも可能です。ドコモが広告を配信することは現在のところ考えていませんが、開発者は外部から配信される広告をアプリを組み込むことができます。
モバゲータウンやGREE、mixiなどのソーシャルサービスがプラットフォーム化してきています。iモード版ドコモマーケットは、それらへの対抗策になるのでしょうか。
対抗ではありません。先ほど申し上げたように我々の狙いのひとつは通信料収入の拡大にあり、その目的が達成できるのであればソーシャルサービスでもドコモマーケットでも同じことです。
支援ツールでiアプリとAndroidアプリ両方のコードを生成
ドコモが提供する開発支援ツールはどのようなものになるのでしょうか。
上流から、ゼロからアプリを開発していく際に、iアプリとAndroidアプリの両方のコードを生成するツールです。オープンソースのIDE(統合開発環境)であるEclipseのプラグインとして提供する予定です。
支援ツールのターゲットとなる端末は、iアプリの最新版である「Starプロファイル」対応機ですか。
できれば、Starプロファイルよりも前のもの(編注:DoJaプロファイル)も、きちんとサポートしていきたいと考えています。
もちろん、端末によって機能の違いがあるため、機種による濃淡は出てきてしまうのは申し訳ないところですが。
個人開発者にとって最も負担になるのは、多機種への対応です。企業であれば多くのテスト用端末をそろえることができますが、個人では難しい。
プロファイルの代表的な機種でドコモが動作確認
まず、プロファイルのバージョンと、具体的にはどの機種で動作を確認したかという情報をアプリといっしょにいただきます。その情報に基づいて我々が動作チェックします。その情報を含めて出させていただきますので、お客様には自分の機種で対応しているかどうかが分かります。
プロファイルのバージョンの代表的な機種では動作を確認し、安心してお使いいただけるようにしたいと考えています。
機種間のアプリの互換性はどの程度あるのでしょうか。
山田氏:一般論になりますが、機器特有のデバイスに依存していなければ、けっこう広く互換性は取れます。例えばBluetoothや赤外線など通信系の機能を使っているアプリだと、相性の問題が出てくることがありますが、そうでなければかなり多くの機種で動作します。
こういった情報も、広く開発者の方にお伝えしたいと考えています。
企業にはない自由な発想を期待
個人開発者に期待するのは、どういったアプリですか。
App Storeなどを見ていると、「なんだかなぁ」というアプリもありますが、「こんなのアリか!」、「これはすごい!」というアプリに出会うこともあります。個人の開発者の方々には、そういった、既存の事業者にはない自由な発想を期待しています。
やはり、個人の作るアプリには、事業として取り組んでいるのとは違う領域があると思います。そういった様々なアプリがある懐の深さ、ロングテールといったものをiモード版ドコモマーケットで実現したいと考えています。
その考えがガラパゴス
最近「ガラケー」という言葉を当たり前のように耳にするし、自分でもつい使ってしまう。ガラケーとは「ガラパゴスケータイ」の略。誰が最初に使い始めたのかはわからないが、スマートフォン以外の日本の携帯電話機を揶揄(やゆ)する言葉として使われることが多い。
確かにスマートフォンとこれまでの携帯電話機を区別する意味では便利な言葉だ。しかし、使っている自分を棚に上げて恐縮だが、最近「ガラケーだ、スマートフォンだ」と区別するような考え自体が“ガラパゴス”なのではないか、と取材を通して思うようになった。特にNTTドコモのiアプリオープン化に関する一連の取材でそれを痛感した。
互いの長所を取り込み、そして区別はなくなる?
そもそも“ガラパゴス”とは、日本の携帯電話市場が国内の閉じた市場だけで発展してきたことを、独自の生態系を持つガラパゴス諸島になぞらえたもの。ガラパゴスという言葉自体は筆者が知る限り、数年前から日本の携帯電話市場を指す言葉として使われており、実際筆者も使ってきた。
ガラケーがややネガティブな印象を与える背景には、ガラパゴス=閉鎖的との認識があることに加え、ガラケーと対比されるスマートフォン、とりわけiPhoneやAndroid搭載スマートフォンが“オープン”な印象を与えるからだろう。米アップル1社が端末からアプリ流通まで手掛ける世界がはたしてオープンなのか、といった議論はあるかもしれない。だが、モバイルアプリの開発者にとっては、アプリの開発の制限に対するハードルの低さやアプリの流通・課金手段の利用の手軽さといった点で魅力があるのは確かだ。
ただ、この認識を変えるような施策をNTTドコモが打ち出し始めている。7月14日に開催された「WIRELESS JAPAN 2010」で同社の山田 隆持 代表取締役社長は、(1)スマートフォンに“ガラケー”の機能を取り込む、(2)“ガラケー”の世界にスマートフォンと同じようなモバイルアプリのマーケットを創設する――ことを表明している。つまりNTTドコモにおいては、スマートフォンとガラケーは互いの長所を取り込みつつあるように見えるのだ。
(1)の例がスマートフォンでiモードメールを使えるようにする「spモード」の導入。さらに冬モデルとして投入するスマートフォンには、ガラケーの機能を代表する「おサイフケータイ」や「ワンセグ」機能を備える機種を用意するという。
(2)については前述したiアプリの数々のオープン化施策が該当するだろう。個人も対象に課金プラットフォームを利用可能にしたiモード版ドコモマーケットの創設や、個人開発者には利用できなかった機能「iアプリDX」の一部開放などだ。
“ないこと”をあげつらうのではなく、それをチャンスに
UBS証券 株式調査部のシニア アナリストである乾 牧夫マネージング ディレクターは、NTTドコモのこうした施策を次のように見る。「NTTドコモとしては、ガラケーだから、スマートフォンだから、ということを意識してほしくないと思っている。どんどん両者をブレンドしてくるだろう。我々が色眼鏡で見過ぎている」。
確かに乾氏の指摘通り「ガラケーだ、スマートフォンだ」と色眼鏡で見て騒ぎ立てているのは、筆者を含めた一部の業界の人間だろう。モバイルアプリの開発者から見ると、ガラケーだろうが、スマートフォンだろうが、開発環境が整えばどちらに対しても自ら開発したアプリを広く使ってもらいたいと考えるのが自然だ。
開発者の視点から見ると、これまでのガラケーは「できないことはできないままの端末」、スマートフォンは「できないことを何とかできるようにする端末」と捉えられていたのではないか、と筆者は考えている。
日本でiPhone 3Gが発表された当初、おサイフケータイやワンセグがないことを理由に「日本では普及しないのでは」という見方があった。だがそこであきらめないのがスマートフォン側の開発者。“ないこと”をあげつらうのはたやすいが、そんな見方をものともせず、それをチャンスとしてしまうバイタリティがあるのがスマートフォンの世界だ。
例を挙げよう。ソフトバンクモバイルはワンセグを見ることができないとの批判を受けると、iPhone用ワンセグチューナーおよびそのためのアプリを市場に投入した。
ワンセグの例は、「iPhoneを売っている張本人だからできたんだろう」と言われそうだが、それなら次の例はどうだろうか。Androidを搭載するソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製スマートフォン「Xperia」 は、標準ではNTTドコモのiモード・メールが使えなかった。では、どうしたか。大半のユーザーはiモード・メールの利用をあきらめず、egg氏という技術者が個人で開発したアプリである「IMoNi」をインストールして、iモード・メールを使い続けている。
こうした“ないこと”をチャンスにするバイタリティあふれる世界がiPhoneやAndroidには広がっている。そしてガラケーの世界でもっとも大きなシェアを占めるNTTドコモが、iアプリオープン化の数々の施策を通して、この方向に舵を切ったのだと筆者は感じている。ガラケーがアプリの開発者にとって「できないことはできないままの端末」から「できないことを何とかできるようにする端末」に変貌する可能性が見えてきたのだ。
いずれ「ガラケーだ、スマートフォンだ」などと区別するその考え自体が閉鎖的思考=ガラパゴスだ、と言われるようになるだろう。
ソフトバンク、「社内大学」を新設 研修を年40万回に倍増
ソフトバンクはグループ社員約2万2000人を対象とした研修機関「ソフトバンクユニバーシティ」を9月1日に新設する。社内研修は現在も年間約20万回の受講があるが、研修体制の刷新で約40万回に倍増させる計画だ。
10月に始める研修では通信技術や財務、ビジネススキル、幹部育成など40種類程度のコースを用意する。ネットを使った遠隔研修も併用する。外部から招く講師だけでなく、資格を持った社員や経営幹部も登用し、実践的な内容にする。
ソフトバンクは孫正義社長の後継者やグループ各社トップを育成するための機関「ソフトバンクアカデミア」を7月に設置した。アカデミアでは社内外を含めた300人が孫社長の講義を受ける。10月初旬まで30人を一般公募しているが、募集後1カ月弱で8000人以上が集まっているという。
ユニバーシティとアカデミアの両輪でグループの人材育成を活性化する。
工場の海外移転防げ「国内投資促進計画」首相が策定指示
菅直人首相は28日、工場などの海外移転を防ぎ、地方で悪化している雇用を改善するための総合計画「国内投資促進プログラム」を10月にも取りまとめるよう、直嶋正行経済産業相ら関係閣僚に指示した。工場視察で訪れた北九州市で記者団に明らかにした。
同プログラムは、最近の円高傾向で企業が工場や本社機能を海外に移す懸念があるとして、国内産業の空洞化回避のため、国内での工場立地を促進する施策を重点課題としてまとめる。半年から1年で重点的に実施するが、一部は31日に決める追加経済対策に盛り込む。
首相は記者団に「経営者が思い切って国内投資に踏み出すため、必要な支援を行い、行政上の制約を取り除きたい」と述べた。
首相はこれに先立ち、同市内で発光ダイオード(LED)製造工場などを視察。企業経営者らとの車座集会で円高の影響などについて意見交換した。
【産経主張】日韓併合100年 「ご用聞き」外交の罪深さ
日韓併合条約の発効から100年の節目の日を迎えた。韓国に過度に配慮した菅直人首相談話の効果もあって、現地の反日ムードは下火になっているというが、一時的にすぎない。謝罪すればするほど日韓関係は悪化してきた。国が違えば歴史認識は異なるという基本に立ち戻るしかない。
菅談話の検討を仙谷由人官房長官が明らかにしたのは、先月16日だ。その後、複数の民主党有力議員が訪韓し、青瓦台(大統領府)幹部らに「どのような首相談話を希望されるか」と尋ねる一方、韓国側もさまざまなルートで要望を提示してきた。
主な要望は、(1)併合は韓国人の「意に反して行われた」との言及がほしい(2)文化財返還も談話に入れてほしい-の2点だったとされる。菅内閣はこれを受け入れ、鳩山由紀夫前首相らの意見も盛り込んだという。
しかも、その中身を国民に知らせないばかりか、与党・民主党の政策調査会でも十分な議論を尽くさず、閣議決定を強行した。
韓国におもねった一方的首相談話が、日本政府の公式見解として後の内閣の行動を事実上、拘束するのだ。「ご用聞き」外交の罪深さを改めて思い知らされる。
菅談話にわずかながら認めるべき点があるとすれば、「条約は日本の不当な圧力によるもので、締結当初から無効だった」とする韓国側の主張までは受け入れなかったことだ。韓国紙は一斉にこのことへの不満を伝えた。
だが、韓国の主張は2001年の国際学術会議で欧米の国際法学者らに否定されている。岡田克也外相も25日、東京都内の講演で「日本政府としては、当時は合法に締結されたという考え方を持っている」と述べた。今後も、これを明確に主張すべきだ。
菅談話でも不満だとする韓国の国会議員らのグループは、慰安婦問題などでの追加補償を要求している。だが、日韓間の補償・請求権問題は、昭和40年の日韓基本条約で決着し、菅首相も談話発表後の会見でこの考えを示した。決着済みの補償問題を蒸し返すことは厳に慎むべきだ。
民主党内でも保守系議員らが最近、新たな勉強会を立ち上げた。菅談話の問題点に加え、手続き面の欠陥を指摘する声が相次いだという。与野党で、歴史認識の論議が深まることを期待したい。
NTTドコモは2010年11月にもiモード版ドコモマーケットを開設する。アプリをNTTドコモのサーバーでホスティングし、個人開発者にもiモード課金を開放する計画だ。従来のiモードのあり方からは大きく踏み出すことになる。NTTドコモは、この施策をなぜ実施するのだろうか。NTTドコモ コンシューマサービス部 ネットサービス企画担当部長 前田義晃氏に聞いた。
公式サイトとの比較で言えば、iモード版ドコモマーケットの審査のハードルは極端に低くなります。Android Marketのようなほぼ無審査に近い状況ではないにせよ、iPhoneのApp Store並みの基準にはなると思います。
申請から公開までの期間も、App Storeに負けないくらい迅速にします。今回はドコモがアプリをホスティングを提供してアプリを預かる形になります。アプリ自体をいただいて、ガイドラインに抵触していないかどうかを簡単に調べることができるので、迅速に審査できるのです。具体的には1週間程度を目指します。審査のガイドラインは、8月中にも公開する予定です。
ドコモが徴収する決済手数料は。
現在の公式サイトでは、アプリケーションはコンテンツプロバイダーが用意するサーバーに置いてあります。これに対し、iモード版ドコモマーケットではドコモのサーバー側で管理します。さらに、現在の公式サイトではアプリの代金の債権はコンテンツプロバイダーが持ち、回収できなかった場合はコンテンツプロバイダーの損金になります。これに対し、iモード版ドコモマーケットでは債権はNTTドコモが持ち、貸し倒れた場合のリスクはドコモが負います。これら、ホスティングや回収リスクのコストにより、手数料は現在の公式サイトの料率である9%よりもどうしても高くなります。
しかし、手数料収入の拡大が狙いではありません。ドコモのiモード決済手数料収入は、通信料収入に比べればきわめて小さいのです。収入面での主な目的は、あくまでも通信料収入の拡大です(編注:ドコモ 代表取締役社長 山田隆持氏はApp StoreやAndroid Marketより手数料率を低く設定すると発言している)。
無料のアプリもiモード版ドコモマーケットに登録できますか。
無料のアプリも登録できます。無料アプリに広告を掲載することも可能です。ドコモが広告を配信することは現在のところ考えていませんが、開発者は外部から配信される広告をアプリを組み込むことができます。
モバゲータウンやGREE、mixiなどのソーシャルサービスがプラットフォーム化してきています。iモード版ドコモマーケットは、それらへの対抗策になるのでしょうか。
対抗ではありません。先ほど申し上げたように我々の狙いのひとつは通信料収入の拡大にあり、その目的が達成できるのであればソーシャルサービスでもドコモマーケットでも同じことです。
支援ツールでiアプリとAndroidアプリ両方のコードを生成
ドコモが提供する開発支援ツールはどのようなものになるのでしょうか。
上流から、ゼロからアプリを開発していく際に、iアプリとAndroidアプリの両方のコードを生成するツールです。オープンソースのIDE(統合開発環境)であるEclipseのプラグインとして提供する予定です。
支援ツールのターゲットとなる端末は、iアプリの最新版である「Starプロファイル」対応機ですか。
できれば、Starプロファイルよりも前のもの(編注:DoJaプロファイル)も、きちんとサポートしていきたいと考えています。
もちろん、端末によって機能の違いがあるため、機種による濃淡は出てきてしまうのは申し訳ないところですが。
個人開発者にとって最も負担になるのは、多機種への対応です。企業であれば多くのテスト用端末をそろえることができますが、個人では難しい。
プロファイルの代表的な機種でドコモが動作確認
まず、プロファイルのバージョンと、具体的にはどの機種で動作を確認したかという情報をアプリといっしょにいただきます。その情報に基づいて我々が動作チェックします。その情報を含めて出させていただきますので、お客様には自分の機種で対応しているかどうかが分かります。
プロファイルのバージョンの代表的な機種では動作を確認し、安心してお使いいただけるようにしたいと考えています。
機種間のアプリの互換性はどの程度あるのでしょうか。
山田氏:一般論になりますが、機器特有のデバイスに依存していなければ、けっこう広く互換性は取れます。例えばBluetoothや赤外線など通信系の機能を使っているアプリだと、相性の問題が出てくることがありますが、そうでなければかなり多くの機種で動作します。
こういった情報も、広く開発者の方にお伝えしたいと考えています。
企業にはない自由な発想を期待
個人開発者に期待するのは、どういったアプリですか。
App Storeなどを見ていると、「なんだかなぁ」というアプリもありますが、「こんなのアリか!」、「これはすごい!」というアプリに出会うこともあります。個人の開発者の方々には、そういった、既存の事業者にはない自由な発想を期待しています。
やはり、個人の作るアプリには、事業として取り組んでいるのとは違う領域があると思います。そういった様々なアプリがある懐の深さ、ロングテールといったものをiモード版ドコモマーケットで実現したいと考えています。
その考えがガラパゴス
最近「ガラケー」という言葉を当たり前のように耳にするし、自分でもつい使ってしまう。ガラケーとは「ガラパゴスケータイ」の略。誰が最初に使い始めたのかはわからないが、スマートフォン以外の日本の携帯電話機を揶揄(やゆ)する言葉として使われることが多い。
確かにスマートフォンとこれまでの携帯電話機を区別する意味では便利な言葉だ。しかし、使っている自分を棚に上げて恐縮だが、最近「ガラケーだ、スマートフォンだ」と区別するような考え自体が“ガラパゴス”なのではないか、と取材を通して思うようになった。特にNTTドコモのiアプリオープン化に関する一連の取材でそれを痛感した。
互いの長所を取り込み、そして区別はなくなる?
そもそも“ガラパゴス”とは、日本の携帯電話市場が国内の閉じた市場だけで発展してきたことを、独自の生態系を持つガラパゴス諸島になぞらえたもの。ガラパゴスという言葉自体は筆者が知る限り、数年前から日本の携帯電話市場を指す言葉として使われており、実際筆者も使ってきた。
ガラケーがややネガティブな印象を与える背景には、ガラパゴス=閉鎖的との認識があることに加え、ガラケーと対比されるスマートフォン、とりわけiPhoneやAndroid搭載スマートフォンが“オープン”な印象を与えるからだろう。米アップル1社が端末からアプリ流通まで手掛ける世界がはたしてオープンなのか、といった議論はあるかもしれない。だが、モバイルアプリの開発者にとっては、アプリの開発の制限に対するハードルの低さやアプリの流通・課金手段の利用の手軽さといった点で魅力があるのは確かだ。
ただ、この認識を変えるような施策をNTTドコモが打ち出し始めている。7月14日に開催された「WIRELESS JAPAN 2010」で同社の山田 隆持 代表取締役社長は、(1)スマートフォンに“ガラケー”の機能を取り込む、(2)“ガラケー”の世界にスマートフォンと同じようなモバイルアプリのマーケットを創設する――ことを表明している。つまりNTTドコモにおいては、スマートフォンとガラケーは互いの長所を取り込みつつあるように見えるのだ。
(1)の例がスマートフォンでiモードメールを使えるようにする「spモード」の導入。さらに冬モデルとして投入するスマートフォンには、ガラケーの機能を代表する「おサイフケータイ」や「ワンセグ」機能を備える機種を用意するという。
(2)については前述したiアプリの数々のオープン化施策が該当するだろう。個人も対象に課金プラットフォームを利用可能にしたiモード版ドコモマーケットの創設や、個人開発者には利用できなかった機能「iアプリDX」の一部開放などだ。
“ないこと”をあげつらうのではなく、それをチャンスに
UBS証券 株式調査部のシニア アナリストである乾 牧夫マネージング ディレクターは、NTTドコモのこうした施策を次のように見る。「NTTドコモとしては、ガラケーだから、スマートフォンだから、ということを意識してほしくないと思っている。どんどん両者をブレンドしてくるだろう。我々が色眼鏡で見過ぎている」。
確かに乾氏の指摘通り「ガラケーだ、スマートフォンだ」と色眼鏡で見て騒ぎ立てているのは、筆者を含めた一部の業界の人間だろう。モバイルアプリの開発者から見ると、ガラケーだろうが、スマートフォンだろうが、開発環境が整えばどちらに対しても自ら開発したアプリを広く使ってもらいたいと考えるのが自然だ。
開発者の視点から見ると、これまでのガラケーは「できないことはできないままの端末」、スマートフォンは「できないことを何とかできるようにする端末」と捉えられていたのではないか、と筆者は考えている。
日本でiPhone 3Gが発表された当初、おサイフケータイやワンセグがないことを理由に「日本では普及しないのでは」という見方があった。だがそこであきらめないのがスマートフォン側の開発者。“ないこと”をあげつらうのはたやすいが、そんな見方をものともせず、それをチャンスとしてしまうバイタリティがあるのがスマートフォンの世界だ。
例を挙げよう。ソフトバンクモバイルはワンセグを見ることができないとの批判を受けると、iPhone用ワンセグチューナーおよびそのためのアプリを市場に投入した。
ワンセグの例は、「iPhoneを売っている張本人だからできたんだろう」と言われそうだが、それなら次の例はどうだろうか。Androidを搭載するソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製スマートフォン「Xperia」 は、標準ではNTTドコモのiモード・メールが使えなかった。では、どうしたか。大半のユーザーはiモード・メールの利用をあきらめず、egg氏という技術者が個人で開発したアプリである「IMoNi」をインストールして、iモード・メールを使い続けている。
こうした“ないこと”をチャンスにするバイタリティあふれる世界がiPhoneやAndroidには広がっている。そしてガラケーの世界でもっとも大きなシェアを占めるNTTドコモが、iアプリオープン化の数々の施策を通して、この方向に舵を切ったのだと筆者は感じている。ガラケーがアプリの開発者にとって「できないことはできないままの端末」から「できないことを何とかできるようにする端末」に変貌する可能性が見えてきたのだ。
いずれ「ガラケーだ、スマートフォンだ」などと区別するその考え自体が閉鎖的思考=ガラパゴスだ、と言われるようになるだろう。
ソフトバンク、「社内大学」を新設 研修を年40万回に倍増
ソフトバンクはグループ社員約2万2000人を対象とした研修機関「ソフトバンクユニバーシティ」を9月1日に新設する。社内研修は現在も年間約20万回の受講があるが、研修体制の刷新で約40万回に倍増させる計画だ。
10月に始める研修では通信技術や財務、ビジネススキル、幹部育成など40種類程度のコースを用意する。ネットを使った遠隔研修も併用する。外部から招く講師だけでなく、資格を持った社員や経営幹部も登用し、実践的な内容にする。
ソフトバンクは孫正義社長の後継者やグループ各社トップを育成するための機関「ソフトバンクアカデミア」を7月に設置した。アカデミアでは社内外を含めた300人が孫社長の講義を受ける。10月初旬まで30人を一般公募しているが、募集後1カ月弱で8000人以上が集まっているという。
ユニバーシティとアカデミアの両輪でグループの人材育成を活性化する。
工場の海外移転防げ「国内投資促進計画」首相が策定指示
菅直人首相は28日、工場などの海外移転を防ぎ、地方で悪化している雇用を改善するための総合計画「国内投資促進プログラム」を10月にも取りまとめるよう、直嶋正行経済産業相ら関係閣僚に指示した。工場視察で訪れた北九州市で記者団に明らかにした。
同プログラムは、最近の円高傾向で企業が工場や本社機能を海外に移す懸念があるとして、国内産業の空洞化回避のため、国内での工場立地を促進する施策を重点課題としてまとめる。半年から1年で重点的に実施するが、一部は31日に決める追加経済対策に盛り込む。
首相は記者団に「経営者が思い切って国内投資に踏み出すため、必要な支援を行い、行政上の制約を取り除きたい」と述べた。
首相はこれに先立ち、同市内で発光ダイオード(LED)製造工場などを視察。企業経営者らとの車座集会で円高の影響などについて意見交換した。
【産経主張】日韓併合100年 「ご用聞き」外交の罪深さ
日韓併合条約の発効から100年の節目の日を迎えた。韓国に過度に配慮した菅直人首相談話の効果もあって、現地の反日ムードは下火になっているというが、一時的にすぎない。謝罪すればするほど日韓関係は悪化してきた。国が違えば歴史認識は異なるという基本に立ち戻るしかない。
菅談話の検討を仙谷由人官房長官が明らかにしたのは、先月16日だ。その後、複数の民主党有力議員が訪韓し、青瓦台(大統領府)幹部らに「どのような首相談話を希望されるか」と尋ねる一方、韓国側もさまざまなルートで要望を提示してきた。
主な要望は、(1)併合は韓国人の「意に反して行われた」との言及がほしい(2)文化財返還も談話に入れてほしい-の2点だったとされる。菅内閣はこれを受け入れ、鳩山由紀夫前首相らの意見も盛り込んだという。
しかも、その中身を国民に知らせないばかりか、与党・民主党の政策調査会でも十分な議論を尽くさず、閣議決定を強行した。
韓国におもねった一方的首相談話が、日本政府の公式見解として後の内閣の行動を事実上、拘束するのだ。「ご用聞き」外交の罪深さを改めて思い知らされる。
菅談話にわずかながら認めるべき点があるとすれば、「条約は日本の不当な圧力によるもので、締結当初から無効だった」とする韓国側の主張までは受け入れなかったことだ。韓国紙は一斉にこのことへの不満を伝えた。
だが、韓国の主張は2001年の国際学術会議で欧米の国際法学者らに否定されている。岡田克也外相も25日、東京都内の講演で「日本政府としては、当時は合法に締結されたという考え方を持っている」と述べた。今後も、これを明確に主張すべきだ。
菅談話でも不満だとする韓国の国会議員らのグループは、慰安婦問題などでの追加補償を要求している。だが、日韓間の補償・請求権問題は、昭和40年の日韓基本条約で決着し、菅首相も談話発表後の会見でこの考えを示した。決着済みの補償問題を蒸し返すことは厳に慎むべきだ。
民主党内でも保守系議員らが最近、新たな勉強会を立ち上げた。菅談話の問題点に加え、手続き面の欠陥を指摘する声が相次いだという。与野党で、歴史認識の論議が深まることを期待したい。